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佐々木「これがシュタインズ・ゲートの選択だよ」


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もしも佐々木にファンが存在するのだとしたら、その持ち前の聡明さや常識に則った言動、そして如何なる時でも発揮される沈着冷静ぶりを気に入ったのだろうということは想像に難くないが、とはいえ、女子の癖に自分のことを僕と言う佐々木が果たして常識に則った言動をしているかと問われれば、疑問が生じるのもまた事実である。
たしかに中学時代、それなりに親しくしていた俺の目から見ても佐々木は常識人のように映ったが、それはあくまでも主観的な話であり、客観的に見れば女子が男子に対して男のように振る舞い、そしてそいつに男友達と同じように接する俺の態度は甚だ奇異に映っていたに違いない。
しかしながらこちらとしては今更友人に対する態度を変えるつもりはなく、どれだけそれが周りから見て不自然な光景だろうと構いやしないのさと、お互い歯牙にも掛けずに俺と佐々木は帰り道を共にしていた。
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2: 以下、
塾帰りで、辺りは真っ暗で、頭上を見上げるとキラキラとお星様が瞬いているような、そんな夜だった。人気のない静かな夜道に俺がチャリを押すカラカラとした音が響き、そして互いの靴底がジャリジャリと舗装路を踏みしめる音しか聞こえない。
佐々木はわりとお喋りな奴だが、俺がそう遠くない未来に遭遇するであろう何処かの機関に所属する無駄にハンサムな超能力者とは違い、時と場合に応じてちゃんと口を閉じる分別を弁えた良く出来た友人であった。
静かにそしてゆっくりと流れる時間は、俺の精神を落ち着かせ、寛ぎすら与えてくれる。
このまま時が止まれば良いのに、なんてロマンティックな願いすらその時は感じていた。
しかしそんな願いとは裏腹に佐々木は鞄からおもむろに白衣を取り出してそれに袖を通して両手を広げ、天を仰ぐと、いきなりわけのわからないことを宣った。
「勝利の時は来た! この勝利のために犠牲となった全ての思いに感謝を! 訪れるのは、僕が望んだ世界であり、全てはシュタインズ・ゲートの選択である! 世界は! 再構築される!!」
ポカンと呆気に取られた俺は、遅ればせながら思う。すまん。これ、笑うとこ?
3: 以下、
「あの、佐々木さん……?」
おずおずと声をかけると、佐々木は無言で白衣を脱いで鞄に仕舞い、また歩き始めた。
佐々木の言葉が本当ならついさっき世界は再構築されたらしいが、周辺を見渡しても何も変わったようには見えない。
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「え? なんだい、キョン」
肩を掴んで引き留めると、佐々木はようやく立ち止まり、キョトンと首を傾げた。
肩口で切り揃えられた髪がさらりと流れる。
まるで何事もなかったかのような態度を訝しみつつも、先程の発言について尋ねた。
「さっきのはなんだ?」
「さっきのってなんのこと?」
「いきなり勝利の時がどうとか、世界が再構築されるとか言ってただろ?」
すると佐々木は本当に何も知らない様子で。
「なんだい、それは。映画の台詞かい?」
「いや、お前が言っていたんだが……」
「ふむ。詳しく聞かせてみたまえ」
俺は記憶を辿り、なるべく齟齬がないように発言内容を伝えた。佐々木はふむふむと熱心に耳を傾けて、顎に手を当ててしばらく熟考した後に結論を口にした。
「なるほど。それはきっと未来の僕の仕業だね。恐らく、世界の再構築とやらのために、過去のキミに干渉しようとしたのだろう」
そんな突飛な考察を俺は理解出来なかった。
4: 以下、
「過去に干渉ってのはどういう意味だ?」
「そうだね。わかりやすく例えるならば」
佐々木は頭上に輝く星々を指差して語る。
「あの星のどれかに僕が瞬間移動したとして、キミに何かメッセージを発する。もちろん声では伝わらないだろうから旗か何かを振るなりしてね。そしてそれをキミが天体望遠鏡で観測することで、それが伝わった」
「余計に意味がわからない」
「いいかい、キョン。僕らの真上で輝いている星の光は、距離に比例して何年も何十年も何百年も遅れて届くんだ。つまり、過去を遡ることで未来に干渉出来るということさ」
言わんとしようとしていることはなんとなく伝わり、けれども納得出来ずに追求する。
「それでさっきの宣言に何の意味がある?」
「さてね。何の意味もないただの宣言だったのかも知れないし、あるいは言葉通りにその瞬間に世界は再構築されたのかも知れない」
そんな莫迦なという思いが顔に出てしまっていたらしく、佐々木はくつくつと喉を鳴らしてやれやれと嘆息しつつ補足してくれた。
「もしも本当に世界が再構築されたのならば、僕がそのことを覚えていないのは道理とも取れる。変わった世界において、変わる前の記憶は残らないだろうからね。しかし、ならば何故、キミの記憶には残っているのだろうか。それこそが最大の謎で実に興味深い」
何故も何も、たった今さっき目の前で起こったことだからだ。謎でもなんでもないだろ。
5: 以下、
「キョン。仮に世界が変わったとしたらそれは奇妙なんだ。たとえば夜が存在しない世界に変わったとして、いきなり昼となり周囲が明るくなったことにキミは驚くかも知れないが、その世界に住む者にとってはそれが常識で普通のことだ。そしてキミもまたそれを当然として受け入れられなければおかしい」
もしもそんなヘンテコな世界になったとしたら、たしかにそれを異常と認識するよりもそれを普通のことと受け入れられたほうが精神衛生上良さそうだとは思うが、待ってくれ。
「本当に記憶にないのか?」
「記憶にはない。しかし、こうして鞄に白衣が入っていることから察するに、事実なのだろうと納得出来る。大丈夫。キミは狂ってなどいない。キミは未来の僕を観測したんだ」
鞄から先程袖を通した白衣を出して見せ、それを熱心に観察している佐々木は俺の言葉を信じると言い、そしてそれを未来の自分からのメッセージであると決めつけている。
しかし、本当にそれが真実なのだろうか。
「嘘か真かを判断するには、本当に世界が変わったのかについて確認すれば済む話だ。幸い、元の世界の記憶を持ったキミが居るわけだから、答え合わせは簡単に可能だろうさ」
なんてことのないように佐々木は言うが、俺は元の世界について何から何まで知っているわけではない。こんなことならもっと世界史の授業を真面目に聞いておくんだったぜ。
6: 以下、
「安心したまえ。キミが世界の再構築に際して違和感を覚えていないということは、世界の根幹は大きく変わってはいないのだろう。恐らく、変わったのは僕らの周辺だけの限定的なものと推察する。さて、それは何か」
何かと言われても特にこれと言って変化は感じられない。塾終わりに帰路を共にして、今に至るその流れに変化があるとは思えない。
「おや? そう言えば、ここに来るまでの道中、僕はキミと手を繋いでいたんだけど、そのことについては記憶にないのかい?」
そんな記憶はない。だいたい、俺はチャリを押しているのだから、手など繋げる筈ない。
揶揄っているのかと、文句を言うより早く。
「ああ、すまない。僕の記憶違いだ。腕を組んでいたんだった……こんな風に、ね?」
そう言ってするりと俺の腕に自分の腕を組ませる佐々木との距離の近さに、息を飲む。
「キョン、まさか覚えてないのかい?」
「こんなことをした覚えはない」
「じゃあ、あの時のことも?」
あの時ってなんだ。俺はいったい何をした。
7: 以下、
「やれやれ。付き合ってもうしばらく経つというのに、キミは変わらず照れ屋のままだね。まあ、そんなところもキミの魅力だが」
まじまじと佐々木を見る。今なんと言った?
「なんだいキョン。こんなところでじっと見つめるなんて。そういうことは時と場所を」
「佐々木。俺たち、付き合ってるのか?」
「へ? 何を今更……って、まさかそれも忘れてしまったのかい? それは流石に……困る」
困ると言われても困っているのはこちらの方で、そんな風に裏切られたみたいな目をされてもどうしたらいいかわからない。参った。
「佐々木、お前は本当に俺の……?」
「うん。僕はキミの彼女だよ。未来永劫ね」
未来永劫と口にされると、未来から来たという先程の佐々木の宣言が脳裏を過り、そこでようやく、何を変えたのかを理解出来た。
「未来のお前は何故、こんな……」
「理由は定かではないが、僕は未来の自分に感謝しなければならないらしい」
「感謝……?」
「キミと付き合えて、僕は嬉しい」
そう言って微笑む佐々木に、胸が高鳴った。
8: 以下、
「キョン。キミは嬉しくないのかい?」
嬉しいか嬉しくないかと問われれば微妙なところだ。佐々木とは気が合うし、良い奴だとは思う。しかし、ではいきなり付き合えるかと言えば話は別で、そもそもこちらがそう思ったとしても佐々木は恋愛感情など精神病の一種だと切り捨てて、取りあってくれないとばかり思っていて、つまり、だから、俺は。
「混乱しているようだね。とはいえ、その態度から察するに元の世界においてもキミは僕のことを憎からず思っていてくれたらしい。ようするにその世界では僕らの関係が進展するきっかけがなかったのだろう。そしてそのきっかけを、未来の僕がくれたわけだ」
「きっかけ……?」
「そう。ほんのちょっとの勇気ってやつさ」
そう言ってくつくつと喉を鳴らして笑う佐々木は妙に格好良くて、なるほど、この世界の俺が惚れてしまうのも無理はないと思った。
「どういった経緯で付き合ったんだ?」
「僭越ながら僕からアプローチをした」
「それは、何というか……悪かったな」
アプローチをして貰ったことに対してあまりの不甲斐なさから謝罪すると、また佐々木はくくっと笑って、手をひらひらと振った。
9: 以下、
「何を謝る必要がある? 欲しいものを手に入れるために手を伸ばすのは当然のことだ。僕は手を伸ばして、キミは手中に収まった。ただそれだけのことさ。無論、キミのほうから手を伸ばして欲しかったとは思うけどね」
慰めるのかトドメを刺すのかどっちなんだ。
「なんならせっかく記憶を失ったのだから、やり直してくれても構わないよ? 僕としてもそのほうが都合が良い。うん。そうするべきだ。そうしたまえ、キョン」
そうしたまえと言われても、一応確認する。
「佐々木、お前は本当にこれでいいのか?」
「良いも何も、これ以上ないくらい幸せさ」
そう言って、いつもの皮肉げな笑みではなく蕩けるような微笑みを浮かべる佐々木はたしかに幸せそうで、それならば何ら問題ないように思えたが、果たして、いいのだろうか。
「キョン、何を悩んでいるんだい?」
悩んでいるって程じゃない。ただ単に俺は、こんな棚からぼた餅みたいな状況で幸せになっていいのか疑問なだけだ。こうした幸せは苦労の末に掴み取る必要があると俺は思う。
10: 以下、
「棚からぼた餅か。ぼた餅呼ばわりは癪だけど、お膳立てされようがなんだろうが、悪くなる前に美味しく食べて欲しいものだ」
そりゃあ俺だってすぐに食っちまいたいさ。
ただこの状況が気に食わない。まるで据え膳に毒を盛られているような、そんな気分だ。
「重ねて失礼だね、キミは。ぼた餅な上に毒入りまで疑われるとは。ようし、わかった。だったら僕が安全だとキミにわからせよう」
そう言って、佐々木は俺の正面に立ち、そして抱きついてきた。背中に手が回される。
佐々木のおせじにも豊満とは言えない胸や、細い腰や、丸い額が俺に触れている。
ガシャンと自転車が倒れるが、動けない。
「さ、佐々木……?」
情けないことに声が震えてしまった。
しかし、極度の緊張状態なのは俺だけでないようで、佐々木の手も微かに震えている。
胸元で、くぐもった佐々木の声が聞こえる。
「怖いんだ」
「怖いって、何が?」
「全部なかったことになって、キミと別れるのが怖い。そんな臆病者の僕に取れる最後の手段が、キミをこうして物理的に引き留めることだったと、そう言うわけさ」
自らを臆病者と蔑む佐々木であったが、俺からしてみれば大胆としか思えない行動であり、それでも佐々木が怯えているのは事実で、そのことに対して酷く申し訳なく思うのと同時にどうしたら安心させてやれるのかを考えに考えて、おっかなびっくり俺も佐々木の背中に手を回すという手段に打って出た。
11: 以下、
「悪かったな、怖がらせて」
妹が赤ん坊だった頃にそうしたように、背中を撫でたり叩いたりして安心感を与える。
佐々木はくすぐったそうにくくくっと笑い。
「子供扱いはやめたまえよ」
そう言って顔を上げて目を閉じた。これは。
「佐々木。もう一度だけ、聞いていいか?」
「いいとも。何が聞きたいんだい?」
目を閉じたまま、早く話を終わらせて何かをせがむように、佐々木は応じてくれた。
「ひとつだけわからないことがある。未来のお前はどんなきっかけをくれたんだ?」
「秘密」
未来の佐々木は俺と付き合うためのきっかけを与えたらしいが、具体的にそれがどのようなものだったのかについては不明のままだ。
意図的に佐々木はそれを伏せていると判明して、俺の中の疑念はますます大きくなった。
「間違っていたら申し訳ないが……」
「遠慮せずに言ってみたまえ」
「そのきっかけとやらこそあの宣言で、世界の再構築ってのは今まさに行われている最中なんじゃないかと、俺はそう考えている」
記憶を失っているという元の世界など存在せず、全て佐々木の思い通りにことが進んでいるのではないかとそう訊ねると、目を開いた佐々木はくつくつ笑ってぺろりと舌を出した。
12: 以下、
「やれやれ。残念ながら僕には世界の支配構造を打ち砕くことは出来なかったらしい」
「全部お前のでっち上げだったんだな?」
「ああ、そうとも。奇抜な言動でキミに興味を持たせさえすればあとはどうにでもなるという腹づもりだった。失敗したけれどね」
佐々木はちっとも悪びれた様子もなく、種明かしをした。そこまで開き直られると、こちらとしても憤りが霧散して行き場を失った。
「なんでこんなことを……?」
「世界を再構築するためだよ」
種明かしをしてもなお、佐々木は俺から離れようとはしない。俺としても、全てを聞き出すまでは佐々木を離すつもりはなかった。
「人間は環境が激変しても順応することが可能な生き物だ。だからキミもそれを当たり前として受け入れてくれると思ったんだけど、よもや棚からぼた餅を引き合いに出すとは」
くつくつも笑いながら、佐々木は俺のシャツの胸元を濡らして、泣いているようだった。
「どうして受け入れてくれなかったんだい?」
「それが正しいとは思えなかった」
「正義漢だねキミは。いや、潔癖なのか?」
「俺はただ、お前を……大切にしようと……」
途中から自分は何を言っているんだと首を傾げつつ、言い淀むと、佐々木は顔を上げて。
「ん。ならば、大切にしたまえよ」
そう言って、懲りずに目を閉じて何かを待つ佐々木の目尻に光る涙の雫の輝きを、俺はきっと一生忘れることはないだろうと思った。
13: 以下、
「キョン、これだけは嘘偽りなく保証しよう。据え膳だろうが棚からぼた餅だろうが、結局は食べてしまった者の勝ちだ。そして食べられた側もまた、勝利を得るのだよ」
据え膳も棚からぼた餅も勝ち負けの問題ではないと思うが、たしかに食わなければ損するだけなのは真理だった。俺だって食いたい。
しかし俺の中の正義漢や潔癖な部分がそれを許さない。あとで必ず後悔する羽目となる。
ならば、どうする。何が正解だ。勝利条件。
このまま佐々木を美味しく頂いて、そうすればそれはたしかに互いにとって幸せな結末かも知れない。けれど、些か都合が良すぎる。
都合の良い展開には必然的に無理が生じるもので、その皺寄せはあとからやってくる。
そして自分でやったことの尻拭いは自分でしなくてはならない。尻拭い。そうだこれだ。
「佐々木」
「どうしたんだ、キョン。あまり女の子を待たせるものではないよ。さっさとしたまえ」
「その前にお前には尻拭いをして貰おうか」
「えっ?」
ぎゅむっ!と、爪が食い込むくらい佐々木の尻の肉を掴んだ。両方の尻たぶを均等に。
すると、尻穴を広げられた佐々木は堪らず。
「んぁっ!?」
ぶりゅっ!
「フハッ!」
勝利の時は来た。世界は……再構築される!
14: 以下、
ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅぅ?っ!
「ああっ!? あああ、ああああっ!?!!」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
佐々木の悲痛な叫びと、耳を塞ぎたくなるような排泄音が響き渡る。この素晴らしい光景はきっと、時を経て、何光年も先の星で観測されるに違いない。その際に、どこにいるとも知れない宇宙人は地球人の業の深さを尻で知り、おいそれと手を出そうとは思わなくなり、つまり俺と佐々木は世界を救ったのだ。
「キョン! やだ! もう離して!!」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
掴んだ尻たぶを広げたりサンドウィッチしたりして遊んでいると、ぽこぽこ佐々木が俺の胸を叩いて抗議した。調子に乗った俺がすっかり広がった尻穴を穿ってやるべく下着の中に手を入れようとすると、佐々木はキレた。
「キョン、嫌いになるよ」
「す、すまん……悪かった」
「ん。僕もごめんね。仲直りしよう」
一瞬で頭が冷えた俺は佐々木に許されて、そして佐々木のことも許した。これで仲直り。
互いの尻を拭い合った俺たちは、どちらともなく星空の下でくつくつと仲良く笑い合う。
15: 以下、
「なあ、佐々木」
「なんだい、キョン」
「世界の再構築とやらも悪くないな」
足腰が立たなくなって膝を震わせる佐々木を支えながら、俺が所感を述べると、佐々木は鞄からまた白衣を取り出してそれを羽織り。
「よろしい。では助手よ。改めて、僕と共に世界の支配構造を打ち砕こうではないか!」
そう言って差し伸べて来た手を固く握って。
「望むところ、なのだぜ」
そう言って片目を瞑ってやると、佐々木は喜んでまた俺の腕に自分の腕を絡めてきた。
なんとか話がまとまったことに安堵しつつ、倒れた自転車を起こして再び歩き始める。
立ち止まる前とはたしかに違う世界を、俺と佐々木は寄り添い合いながら、進んでいく。
ふと、気になることがあって、立ち止まる。
「佐々木。お前が言ってたシュタインズ・ゲートってのはもしかして、尻の……」
「黙らないと、嫌いになるよ」
せっかく出来た彼女に嫌われたら困ると思って俺が黙ると傍らからくつくつと満足げな笑い声が聞こえてきて、こちらとしても満更でもない気分となり、そんな胸中を見透かした佐々木がこう囁く。
「これがシュタインズ・ゲートの選択だよ」
片腕にしっかりとしがみつく佐々木の温もりを白衣越しに感じて、俺はそのシュタインズ・ゲートとやらがたとえ尻穴だろうが何だろうが、そう悪くはないと思えた。
【佐々木とキョンのウン命石の扉】
FIN
16: 以下、
はい
17: 以下、
はいじゃないが
18: 以下、
いいね
元スレ
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