【ロマサガRS】吟遊詩人「聖夜の舞台、ネズミの詩とクリスマス」back

【ロマサガRS】吟遊詩人「聖夜の舞台、ネズミの詩とクリスマス」


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吟遊詩人「──これより語るは聖夜の一幕」
吟遊詩人「誰も彼もが心躍らせ、弾む笑顔で夜空を見上げ、邪なるものは空に消ゆ……」
吟遊詩人「空飛ぶソリを駆る英雄のうたは皆々が知る通り。なれば、人知れず討ち払われた
  悪にこそ、今宵は焦点を当てましょう」
吟遊詩人「始まりは、女神と謳われし乙女の願い。
  さぁ、精霊よ!この詩を唄い終えられるよう、我に力を与えよ──」
2:以下、
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【ひと月前、クラウディウス家の御屋敷・その一室】
トーマス「──お芝居、ですか」
ミューズ「はい。それならばきっと、子供たちも喜んでくれるでしょう?」
トーマス「ええ。勿論聖夜に相応しい、良い試みだと思います。……ですが、」
ミューズ「……現状に、そんな余裕が有るのか、と仰りたいのでしょう。……当然、その懸念も理解しています」
ミューズ「この一年、余りに色々な事が起こり過ぎました。四魔貴族の襲来、バンガードの強奪。魔塔は日を定めず出現し……、押し寄せる脅威は後を経ちません」
ミューズ「ですが、だからこそ……。この地に生きる人々に喜びを届ける助けがしたいのです。勝手な願いである事は重々承知の上。どうか、お力添えを頂けませんか?」
シャール「……私からもお願いしたい、トーマス。これは我が主たっての希望。私も、叶えられるならば砕身を厭わない覚悟だ。しかし、この身一つではどうしても足りず……」
3:以下、
トーマス「……頭をあげて下さい、ミューズ様、シャールさん。我がベント家と縁深い、クラウディウス家の願いでもあるのです。私で良ければ、勿論。喜んで力になりましょう」
ミューズ「嗚呼。良かった! 有り難うございます、トーマス様。頼もしい協力者を得られて、わたくし達も一安心ですわ」
トーマス「頼りにして頂けて光栄です、ミューズ様。……しかし、実を言うと私もそういった催物は初めてで、うまく助けになれるかどうか……」
バァン!!
フルブライト23世「話は聞かせてもらった!!」ドン!
タチアナ「もらったよ!」ドン!!
トーマス「うわっ!ビックリした」
シャール「人が居る部屋に入る時はノックをしては如何か、フルブライト殿」
フルブライト「ぐうの音も出ない正論ですな!」
ミューズ「まぁ、フルブライト様、それにタチアナ様も! 驚きましたわ。何故、此処に?」
4:以下、
フルブライト「いや何、たまたま当代のクラウディウス家当主に招かれていた折、面白そうな話が聞こえていたのでつい、聞き耳を。そこのタチアナ嬢も一緒にね」
タチアナ「途中からだけど、バッチリ聞いてたよ! お芝居するんでしょ? 楽しそう! わたしも手伝う!」
フルブライト「そして是非、この私にもお手伝いを申し付けていただきたく。構いませんかな? ミューズ様」
ミューズ「ええ、勿論、喜んで! 心強いですわ、フルブライト様、タチアナ様! 嗚呼、なんとお礼を言えば良いのか……」
フルブライト「お礼などと、滅相もない。商人は商機を逃さない、というだけですよ。話を聞いている内に浮かんだ芝居の運営計画を、是非……」
タチアナ「……商機? もしかして、みんなからお金を取る気!? 信じらんないケチ!守銭奴!!銭ゲバ!!」
フルブライト「なんとでも言いたまえ! 銭ゲバにあらずんば商人にあらず、だ! それに、なにも私も、己の懐を満たす為に提案をする訳ではないさ。先ずは私の案を──」
5:以下、
【数十分後】
フルブライト「──と、運営の話はここまでです。後を任せて頂けるならば、裏方に必要な人物には、私自ら声を掛けに行きましょう」
ミューズ「まぁ、助かりますわ! それにしても、流石はフルブライト商会の会長。その手腕も、鮮やかなものですわね」
フルブライト「今の世においては、何代も前に席を譲った身ですがね。さぁ、決める事はまだまだ山ほど。演者なども、まだ決まっていないのでしょう?」
タチアナ「そもそも、演目はなぁに? それはもう決まっているの?」
ミューズ「ええ。実は、なんの劇にするかはもう決めているのです。きっと、タチアナ様もご存じのものですわ」
タチアナ「そうなの? って言うと……」
シャール「……『くるみ割り人形』だ」
トーマス「くるみ割り人形……。人形の国に招かれた少女がネズミの王を退け、くるみ割り人形に変えられた王子と、その愛する王女を救う聖夜の物語、ですね」
タチアナ「人形の国を救った女の子は、人形達の色んな踊りで歓迎されて、最後には幸せな気持ちでクリスマスの朝に目を覚ますんだよね! うん、あれならきっと、ぴったり!」
6:以下、
フルブライト「ならば、美しい王女はミューズ様が演じるべきでしょう。希望の象徴は華やかであればあるほど良い」
ミューズ「およしになって、フルブライト様。……ですが、言い出した者の責任は負うつもりです。わたくしに務まるのならば、心を込めて演じましょう」
フルブライト「決まりですな。では、次は……」
シャール「……演者を募るのならば、私が塔士や異界の者達に声を掛けて回ろう。元より、他の役には立たない身だ。それくらいは……」
タチアナ「え? なに言ってるの? 王女さまがミューズ様なら、王子さまはシャールなんでしょ?」
シャール「……………いや、何を馬鹿な事を……」
クルッ
フルブライト(小声)「……いいんですかな? ここでシャール殿が役を降りれば、舞台の上で別の男とミューズ様が結ばれる情景を目の当たりにする羽目になるのでは?」ゴニョゴニョ
シャール「……………………………………。いや、しかし…………」
トーマス(小声)「主たっての希望ならば砕身を厭わない覚悟なのでは?」ゴニョゴニョ
シャール「トーマス、君もか……」
7:以下、
クルッ
フルブライト「決まりました、ミューズ様。彼は是非、王子役の大任を果たしたいと」
シャール「言っていません……。それに私は、今も昔も槍働きしか能のない、ただの兵士です。裏方ならば、幾らでも。ですが、演技も踊りも縁遠い身で役を演じても、子供たちは喜ばないでしょう」
フルブライト「……ふむ、クオリティの面を突かれると、確かに……」
フルブライト「そもそも、この地に住まう人々に安息を与える為のこの計画。我々のような者たちから参加者を募るとして、果たして何人、舞台に上がれる程の資質を持つのか……」
トーマス「……それなら一つ、私に案があります。シナリオの展開を少しだけ変えて、──」
8:以下、
【数十分後】
トーマス「──と。まぁ、そう言う訳です。演者の中の1人に大分負担を掛けてしまうのですが……」
シャール「……それならば、確かに。なんとか……」
フルブライト「いや、良いじゃないか! これならば、特別な稽古をする必要もない。子供たちもきっと大喜びだ!」
トーマス「……ああ、よかった。そう言って頂けたなら、きっと上手くいくでしょう。……では私は、この辺りで失礼を。帰ったら、仲間に声を掛けてチラシを作ってみるつもりです」
フルブライト「それはいい! では私は戻り次第、開催に当たって必要なものを揃えるとしよう。場所に予算、演者たち! さぁ、ウィルミントン商人のド根性の見せ所だぞ!」
タチアナ「じゃあ、わたしは『こっち』で仲良くなった子たちに声をかけて回るね! 大人も子供も、きっとみんな喜ぶよ! うふふ、楽しみだなぁ!」
ミューズ「では、わたくし達は舞台の台本や、段取りを。
……皆さま、本当に、本当に有り難う……。この計画、絶対に成功させましょう……!」
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9:以下、
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吟遊詩人「──こうして始まった聖夜の計画。各々、己の出来る事に勤しみました」
吟遊詩人「得意なことは其々なれど、人々の幸せを願う気持ちは皆同じ。
  話を聞きつけた者達は次々と助力を申し出、気付くと賑やかな一団に……」
吟遊詩人「『きっと、素敵な一夜になる』彼らはそう信じて、一丸となって励みます」
吟遊詩人「しかし、招待状もないこの夜会。誰に気づかれることもなく、
  招かれざる客人はひっそりと、影を伸ばしていたのです……」
10:以下、
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【聖夜、街の中】
ユリアン「──さぁ、大人も子供もチラシをどうぞ! 塔士とその仲間達の楽しいお芝居だ! 今夜は1オーラムだけ握りしめて、遊びに来てくれよな!」
ユリアン「……あれ、そこのアンタ。せっかくのクリスマスなのに、俯いてちゃ勿体ないぜ! チラシはどうだい? おれ達のお芝居を──」
????「ああ、いや、結構だ。……どうも」
ユリアン「……そっか。ま、しょうがないか。
さぁさ、今夜は気取らず塔士のお芝居──」
 ????(……………………)
 マクシムス(……ハッ、クリスマスだなんだと。随分と呑気なもんだ! このマクシムス様が街にいる事も知らず、どいつもこいつもマヌケ面を晒していやがる!)
11:以下、
 マクシムス(……遺物の力で、いずれはこの世界を支配してやるさ。だが、この平穏に緩み切った善人どもの顔は、今すぐにでも踏みにじってやりたいもんだ! ……ん? あれは……)
フルブライト23世「──それじゃあ、頼んだぞ。他と比べると、どうしても君への負担は重くなってしまうのだが……」
ネズミ役の男「いいえ、確かにこのフードは多少窮屈ですが……。人々の為、この身を役立てられると言うのに、なぜ労苦など厭いましょうか。帝国と、皇帝陛下の名にかけて、与えられた役をこなして見せましょう──」
 マクシムス(……役? ああ、何処ぞで芝居をやると、さっきの小僧が言っていたな……)
12:以下、
マクシムス(……聞くに、この地に住まう者のヒーロー気取りの塔士共が、大勢上がる聖夜の舞台だとか)
マクシムス(……つまりは、まぁ、他が手薄になるってことだよなぁ?)
マクシムス(…………ヒヒヒ、ヒャーッハッハッハ!! 決まりだ!! この街をめちゃくちゃにして……その聖夜とやら、このジャッカル様が忘れられないものにしてやる!)
マクシムス(……先ずは定石通り、変装して内側から潜り込むかね)
マクシムス(さっきの男の姿形は……、確か、こんな感じだったか……)
13:以下、
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フルブライトに変身したマクシムス「あー。すまない、君。一つ伝え忘れていた事が……」
ネズミ役の男「おや、フルブライト殿。如何しましたか?」
変身したマクシムス「いや、すまない。実は芝居の場所と、開始時刻が変更になったのだ。急で悪いのだが……」
ネズミ役の男「おや、そうでしたか。ですが、どうかお気になさらず。これほど大規模な催しなのです。予定外の事も起こりましょう」
変身したマクシムス「そう言ってもらえると助かるよ。場所は????で、時間は──」
ネズミ役の男「──ふむふむ、分かりました。では、後ほど。そちらも良い聖夜を!」
変身したマクシムス「ああ、良い聖夜を! …………」
マクシムス(…………ハッ!! 疑いもしないとは、なんてマヌケな野郎だ!! 
  オマケにこのオレに、『良い聖夜を!』ときた! 危うく腹を抱えて笑い出すところだ!)
14:以下、
 マクシムス(しかしまぁ、よし。これでコイツとは、まずもって鉢合わせる事は……ない!)
 ネズミ役に変身したマクシムス(後はこれで……、どうしてやろうかね。……ヒ、ヒ)
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──
ローラ「……待ちな、そこのドブネズミ」
 ネズミ役に変身したマクシムス(…………!?)
 マクシムス(馬鹿な……!! 何故見破られた!?) 
15:以下、
ローラ「あたしの聞き耳を侮ったかい? ……ああ、その異様なギラつきと、悪意……。あんた、海賊だね」
マクシムス「…………ハ。なんだ、同業か」
ローラ「元、だ。間違えるんじゃないよ。……何にせよ、あんたはここで……」
マクシムス「ここで? たった1人で、このオレをどうにかしようとでも? そいつぁ……、」
ガンッッ!!!!
マクシムス「な……!? なん…………、ヒゲ-......」ガクッ
シフ「……そいつぁ、なんだい? 聞きそびれちまったよ」
ローラ「聞く価値も無いだろうさ。……さて、片付いたはいいものの。こいつ、どうしようかねぇ」
16:以下、
シフ「……ん? おや、見覚えのある坊やが走ってきてるじゃないか。あんたのとこの坊やもだよ、ローラ」
ローラ「うん? ああ、本当だ。なんだか急いでいる風だけれど……」
アルベルト「ああ、シフ! それに、ローラさんも!」
ローラ「聖夜だってのに、忙しないねぇ。一体、何をそんなに慌てて……」
アンリ「ローラさん! 実は……、『ネズミ』の男性が見つからなくて……」
ローラ「……ん? 『ネズミ』……?」
マクシムス(…………)
ローラ「……もしかして、こいつの事かい?」ヒョイ
シフ「なんだ。あんた達も、こいつを探してたのか。ほら、それならここにいるよ」ヒョイ
アルベルト「! 灰色のフードに、尾を模した装飾! 伝え聞いた通りの特徴です、アンリ!」
アンリ「ああ、よかった! ありがとうございます、お二方。なんだか意識がないようだけれど……、これでお芝居に間に合います!」
17:以下、
シフ「お芝居? ああ、見に行くのかい。坊やもまだまだ子供だねぇ」
アルベルト「大人だってお芝居は見ますよ、シフ。……そういえば、2人は行かないのですか?」
シフ「私は酒の先約が入っててね。ローラ、あんたは?」
ローラ「あたしはあたしで、子供達が出払っている内に用事を済ませなきゃいけないのさ。芝居の出資者の商人の所に……。それにしてもあんた達、最近よく一緒にいるね」
アンリ「ええ。アルベルトさんとは、なんだか共通点が多くて……。よく同じ話題で盛り上がっているんです」
アルベルト「城を預かる者の子同士の話や、歳上の仲間の……、ゴホン。あと、亡城あるあるなんてものも……」
ローラ「そりゃまた……、希有な仲間がいたもんだねぇ」
アルベルト「私もまさか、自分の辛い経験をあるあるとして共有出来る日が来るとは……、っと、いけない! つい話し込んでいた! 戻りましょう、アンリ!」
アンリ「はい、アルベルトさん! きっと、皆さん心配しています。急いで連れて行きましょう!」
18:以下、
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シフ「……おやまぁ、元気な事。もうあんなに遠くまで走って行って……」
ローラ「……しかし、街に入り込んでたあの『ネズミ』、どうするのかねぇ」
シフ「さぁ。……ま、それなりの天罰が下るんだろうさ。それじゃ、私は行くかね。メリー・クリスマス!」
ローラ「ああ、大事な挨拶だ。あたしも、もう行くよ。メリー・クリスマス!」
19:以下、
【一方その頃】
ミューズ「〜〜♪ 〜〜♪♪」
バーバラ「〜〜♪ 〜〜♪♪ 旋律に情熱を乗せて……さぁ、手拍子を!!」
観客「「ワオオーーーーッッッッ!!!!」」
コッペリア「ケッ、負けるかよ! オラァッ!!」ギャリギャリギャリ
観客「「ワアァーーーーッッッッ!!!!」」
 ヒラガ18世(ああっ、そんなに関節部を高回転しては、また壊れ……、ああっ……)
【屋外劇場・ステージ裏手】
フルブライト23世「──いや、素晴らしいパフォーマンスだった! 流石は元曲芸師だ! 後半はこちらでどうにかするとは言え、やはり最初には華がないと!」
20:以下、
リズ「ふふ。私たち、一番得意なのは空中ブランコだけど、他の演目も負けてないんだから! なんて言ったかしら? こういうの。ええと、昔……昔の……」
ポルカ「えーっと、昔とった……キネヅカ? イーストガード達が教えてくれた言葉だけど。とにかく、役に立ててよかったよ。久し振りにリズと舞台に立てて楽しかったし」
リズ「それにしても、ミューズ様もつれないわ。私たちにまっ先に相談してくれないだなんて! 舞台の上での大立ち回りなら私たち、お手の物なのにね!」
フルブライト「ミューズ様も、塔士である君たちに負担を掛けるつもりはなかったのだろう。……とは言え、君たちが参加すると知れ渡ったお陰で、他の大勢の者たちも力を貸すと申し出てくれたのだよ。今回の成功の立役者は、君たちだと言っていいかもしれないね」
ポルカ「そんな、大袈裟だよ。……それに、まだ成功すると決まったわけじゃ……、……いや、ごめん。でも、ネズミ役の彼はまだ……?」
フルブライト「……うむ。まだここには来ていないようだ。もうそろそろ出番だと言うのに……。あの彼に限ってすっぽかすという事はあるまい。なにか、妙なことに巻き込まれていなければ良いのだが……」
21:以下、
 遠くの声『〜〜さい! さぁ、〜〜!』
ポルカ「……あ。ほら、あそこ! よかった、間に合ったみたいだ! こっちに来ているぞ──」
アンリ「──はぁ、はっ、お、お待たせしました、皆さん! 無事、彼をお連れしましたよ!」
アルベルト「務めを果たせてよかった……! さぁ、ネズミ殿、起きて下さい! 起きて! もう出番ですよ!」
 ネズミ(マクシムス)(……ハッ!! こ、ここは? 一体なにが……)
フルブライト「全く、冷や冷やさせてくれる! さ、出番だ! 頼んだぞ!」ドンッ!
マクシムス「う、うおっ!! 押すんじゃ……、ぐわーっ!」
22:以下、
ナレーター「──そして、遂に現れたネズミの王! 
  クルミ割りの騎士は決意を胸に、立ち向かう!」
観客「「「ワァアーーーーッッ!!!!」」」
 マクシムス(…………!! おい、なんの冗談だ!? ──ここは、ステージのど真ん中じゃあねえか!!)
 マクシムス(へ、変装を解いて逃げるか? ……いや、ここにいるのはどいつもこいつも手練ればかり……。俺様と言えど、流石に……)
 マクシムス(どうすれば……、いや、そもそもなんだ! この状況は……! ……ん?)
シャール「ネズミの王よ! ここで会ったが百年目。その素っ首、貰い受ける!!」
 マクシムス(あれは……ミューズの側近、シャール! ご丁寧に、俺のものになるはずだった銀の手まで着けてやがる!)
23:以下、
 マクシムス(……ああ、いい事を思い付いた)
 マクシムス(見た所、槍は本物の様だが……。こいつらにとって、これは所詮お芝居。……まさか、本気で命を狙われるなどとは夢にも思ってはいまい)
 マクシムス(その油断をついて、こいつを聴衆の眼前で……[ピーーー]!! そうして出来た混乱に乗じて逃げる。……ハッ、完璧じゃねえか!)
シャール「どうした、ネズミの王よ! 初手は譲ろう。遠慮無くかかってくるがいい!」
マクシムス「……急かしてくれるなよ。今、行くとも。クク……」
24:以下、
 シャール(……? 台本と、少し違……)
マクシムス「素っ首、落とされるのは貴様の方だ!! 喰らえ、バックスタッ──!!」
シャール「────かざぐるまッッ!!!!」ゴォッッ!!
マクシムス「な、なにッ!? ぐ、グワーーッ!!!!」
 マクシムス(な、何故だ!! あの反撃技は、攻撃を見てから放てるシロモノじゃねえ! 事前に読まれていた……!? 一体、なにが……!!)
 シャール(……ふう。タイミングこそ少し違ったが、ちゃんと台本通りだな)
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25:以下、
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【ひと月前、クラウディウス家の御屋敷・その一室】
トーマス「──それなら一つ、私に案があります。シナリオの展開を少しだけ変えて……演技ではなく、武器で聴衆を魅せるのは如何でしょうか」
タチアナ「……? えーと、つまりどういうこと?」
シャール「……要するに、普段通り戦えばいい、という事か?」
トーマス「ええ、その通りです。ただ、いつもの様に槍を振るっていただくだけで構いません」
トーマス「侯国にいる戦士は、一人一人が一騎当千の猛者……。その彼らの技術の粋である『技』、使わない手はないでしょう。これならば、舞台へ向けた特別な練習も必要ありませんしね」
26:以下、
トーマス「更に言うならば、皆に披露する技の冴えは、そのまま彼ら市民を守る刃の鋭さでもあるのです。国を守る者たちの力強さをもアピール出来る、良い機会になるかと」
シャール「成る程。……それで、その段取りは?」
トーマス「……私が考えたのは、演者の内、守り手を一人。残りを全員攻め手にして、後はもう心の赴くまま兎に角派手な技を、良い塩梅でバシバシと叩き込んでもらって……」
ミューズ「急に投げやりにお成りになりましたわね」
フルブライト23世「しかし、ふむ。有り体に言えば、冒頭以外を全てアクション劇にしてやろうと。いや、いいじゃないか! 国中何処を探しても、これ以上の殺陣はあるまいよ!」
トーマス「……と。まぁ、そう言う訳です。演者の中の1人に大分負担を掛けてしまうのですが……」
シャール「……それならば、確かに──」
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27:以下、
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【舞台袖】
シャールカーン「……おや。手筈通りならば、軽く数合打ち合ってから開始という話でしたが……」
ハリード「なんだ、もう始まったのか? それなら急げ急げ、こういうのは勢いが命だ! そうだろう? 異国の砂漠の戦士さんよ!」
シャールカーン「……ええ。貴殿の言う通りだ、異なる世界の砂漠の王よ! その曲刀の鋭さ、ウワサ以上のものだと期待しておりますぞ!」
ハリード「フ、そっちの曲刀も、さぞ磨かれたものなのだろう! さぁ、いざ! ……参りましょう、姫!」
ファティーマ「ええ! ゲッシアの女が伊達ではない事をお見せしましょう。皆さまにも、ハリード、貴方にも!」
三人「「「喰らえーーーーッッ!!!!」」」
マクシムス「ギ、ギャーーーーーーッッッ!!」グシャドカバキッッ
28:以下、
ナレーター(トーマス)「き、決まったーーッッ!! 砂漠出身の猛者たちの連携! デミつむじステアだーーッ!!」
観衆「「「「ワァーーーーッッッッ!!!!」」」」
トーマス「なお、ここからは私、実況トーマス・ベントに加え、指輪の君ことヴァジュイール氏を解説、兼花火師として迎えていきます。ヴァジュイール氏、宜しくお願い致します」
ヴァジュイール(解説)「フフ、良いぞ! 曲刀が生み出した雷と風に、小剣が回転を加え……実に美しく技と技が纏まっている! 素晴らしい! もっとだ!もっと魅せてもらおう!」
ヒュルルルル.. ドォン ドォォン...
観衆の母親「……花火師? あら、本当! なんて綺麗……!」
観衆の子供「……わぁ、花火だ! すごいすごい!」
29:以下、
【舞台袖】
白薔薇姫「まぁ、本当にヴァジュイール様が解説席に収まっていらして……」
アセルス「しかも、思ってたよりだいぶ普通に解説してるね……。クーン、君すごいね。どうやってあの人を説得してここまで連れてきたの?」
メイレン「あんなの、説得なんてもんじゃないわよ……。まぁ、この子が恐れ知らずなのは確かなんだけど……」
クーン「どうやって……って、『連携いっぱい見られるよ』って言ったら、じゃあ行こうって! 花火もいっぱい打ち上げてよって言ったら、それもいいよってさ」
アセルス「そんな、近所のおじさんかなんかみたいに……。でも、お陰で地上も空も大盛り上がりだ! 私たちも行こう、白薔薇!」
白薔薇姫「ええ、参りましょうアセルス様!」
クーン「ボクもーっ! 一緒に行こうよ、メイレン!」
メイレン「はいはい。なんだかムスペルニブルを思い出すわね。……オラァッッ!!」
30:以下、
四人「「「「ロザリオチョコレート滝掃射ッッッッ!!!!」」」」
マクシムス「ギャーーーーーーッッッッ!!!!」
トーマス「こ、これはっ!! 塔士団随一の実力者が率いる四連携だ! 技のキレも一味違う!!」
ヴァジュイール「う、美しいっ!! 見るがいい、実況よ……! 一見無秩序な技の間にも、緻密な硝子細工の如きスキマとスキマが──」
【同時刻、客席】
ヘンリー「うおおーっいいぞ! そこだーー!! お前の頑健さ見せてやれーーっ!!」
テレーズ「頑張ってーーっ! 帝国の盾、伊達じゃないんでしょー!」
ヤンヤヤンヤ
ジェイムズ「いやぁ。同僚の晴れ舞台をこの目で見られる事の、なんと幸福な事か……。しかも……」チラ
31:以下、
ジェラール「兄さん、父上! 見てください、今の攻め手の流し斬り! なんと流麗な太刀筋なのだろう……! 私も見習わなくては……」
レオン「うむ、これ程見事なつわもの達。叶うならば、全員アバロンに連れて帰りたいものだ」
ヴィクトール「言った所で詮無き事でしょう、父上。……ああ、すまない、そこの売り子よ。焼き菓子を三つ……」
 ジェイムズ(いやぁ、生きててよかった……)ホロリ..
32:以下、
ジェイムズ「……しかし、んん? 気のせいか、いつものあいつとは太刀筋も、振る舞いも違う様な……」
ヘンリー「……あ、やっぱりか? 俺もそこ、ちょっと気になってたんだよ」
テレーズ「そうよね。いつもはもっと、直立不動!って感じなのに、なんだか今日は……」
ヘクター「……やれやれ、見ちゃいられねえな、お前たち。アレを見て、何も気付かんのかね……」
テレーズ「ヘクター!!」
ジェイムズ「なんだ、ヘクター。まるでお前は……何かに気付いたって風じゃないか」
ヘクター「全く、俺を誰だと思ってやがるんだか。いいか? アレは……」
皆「「アレは……?」」
ヘクター「敵役があんまり直立不動だと変だろう……と閃きを得た時に目覚めた、あいつの役者魂……その輝きさ」
皆「「魂の……輝き……」」
33:以下、
ヘンリー「な、なんて……なんて熱い男なんだ、お前は……!!」
ジェイムズ「お前は……お前は帝国の誇りだーーっ!! うおおーーっ!!」
ヘクター「……へっ、ガラにもなく、俺も熱くなってきやがったじゃねえか……!!」
帝国兵たち「「「いいぞーーーーッッ!! いけーーっ!!」」」
マクシムス(死ぬーーーーッッ!!)
ウルピナ「今日の主役は私ではないけれど……! ウルピナーーッ!!」
モンド「姫、フィニッシュはいけませんぞ。まだまだ、後続の者たちが今か今かと出番を待っているのですからな」
ウルピナ「あっ、そうね、モンド。危なかったわ。では控え目に……フンッ!!」ギィンッッ!!
マクシムス(ア"ァ"ァ"ーーーーッッッッ!!!!)
34:以下、
【同時刻、また別の客席】
カーン「ほう……、攻め手の練度もさる事ながら、あの守り手。あれだけの連撃を受けつつも、なお滑稽を装う余裕があるとは……。大したものだな」
タリア「ええ、そうね。本当に滑稽を『装っている』のだとしたら……ね」
カーン「……? あの守り手は、その手の戦術に特化した者……。その中で、更に厳選した手練れ中の手練れだという話だぞ。確かに、本当に慌てふためいている様にも見えるが……」
タリア「あら、そうなの。ふふ……」
カーン「……なんだか、いつもよりも楽しそうだな。タリア」
タリア「そうかしら? けれど、そうね……。実は、ちょっとしたお伽話を思い出していたの」
カーン「……お伽話?」
35:以下、
タリア「ええ。小狡いねずみが、優しい牛を利用して……。一等賞を勝ち取り、その年を統べる大将になった、と。まぁ、この話、本当かどうか確かめる術はないのだけれど」
カーン「なんだ、吟遊詩人みたいな事を言うなぁ。……だが、今の話とこの劇のネズミ、どう繋がるんだ?」
タリア「……お話の中では、ねずみは大した咎めもなく栄光を手に入れたでしょう? けれど、此方では充分過ぎる程に制裁を受けている様だから、なんだか可笑しくて……ふふ」
カーン「……?? ……まぁ、なんだか分からんが、楽しそうならいいか。……しかし、途切れんなぁ、花火」
タリア「ええ、そうね。夜空一面が、まるで満開の花畑のよう……。
 ……あら? 少し、空気がひりついてきたわ……」
36:以下、
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【ステージ上】
 マクシムス(げ……限界だ!! これ以上続けば、流石に生きちゃいれねえ!!)
 マクシムス(……次!! 次に来た奴を……この手で始末し、逃げる!!)
 マクシムス(たった一人しかやれねえのは残念だが、もう四の五の言ってられるか!!)
 マクシムス(さぁ、誰だ!! このマクシムス様の手にかかってくたばる、運のない野郎は……!!)
【実況・解説席】
ヴァジュイール「……足りぬ!!!!」
37:以下、
トーマス「ど、どうされました? 解説のヴァジュイールさん」
ヴァジュイール「足りぬのだ! 実況のトーマス・ベントよ!!」
ヴァジュイール「練度か? 数か? ……いいや、違う!! どちらも最高だ! この私が今まで目にした物の中でも一番と言っていい程に! だが……物足りん!!」
ヴァジュイール「何故か!? そう……距離だ!! 斯様に熱き連携が、斯様に遠い!! このヴァジュイール、もはや行儀良く椅子になど留まってはおるまいぞ! いざ!!」ヴォンッッ
トーマス「ああっ!! か、解説のヴァジュイールさんがなんと……離脱!! 向かう先は……ステージ上だーーッッ!!」
聴衆「「ワァーーーーッッッッ!!」」
アセルス「……、あちゃー……」
白薔薇姫「やはり、収まりきれませんでしたわね、ヴァジュイール様……」
38:以下、
【ステージ上】
ヴォンッッ
ヴァジュイール「さぁ、皆のもの! 遠慮する事はない!! この私に連携を……、」
 マクシムス(な、何かよく分からんが……もうコイツでいい!! くたばりやがッ、!! な、)
ヴァジュイール「……なんだ? その剣は。今の私に、悪意に塗れた薄汚い剣を向けるか? ……無礼者がッ!!」
マクシムス「……う、動けん!! なんだ、テメェは! 何者だ……!!」
ヴァジュイール「……私が何者か、だと……!? この、指輪の君ヴァジュイールを存ぜぬと!!? ……その無礼、もはや許してはおけぬ!! 失せよッ!!」
マクシムス「待っ、流石に理不尽……、ぐ、グワーーーーッッ!!」シュンッッ!!
聴衆の子供「あ、あれ……? ネズミの人、消えちゃったよ……?」
ヴァジュイール「……さぁ、英雄達よ! 邪魔者は消え失せた!! その輝き、息吹を私に感じさせてくれ!!」
聴衆「「………………??」」
 トーマス(……ま、まずいぞ……、なにやら収集が付かなくなってきた……!!)
39:以下、
【客席】
聴衆の子供「な、なんだか怖いよ……。こんな時、ヒーローがいてくれたら……」
レッド「……!! とうっ!!」シュバッ
聴衆の子供「……あれ? さっきまでここにいたツンツン頭のお兄ちゃんは……?」
ライム・トラックス「「とうっ!!」」シュババッ
聴衆の子供「あれ……? 隣のおじさんとお兄さんも、どこかに行っちゃった……」
40:以下、
 『『ハーーッハッハッハ!!!!』』
子供「こ、この声は!!」
ロビン(細)「舞台の危機は、誰が知る!」シュタッ!
ロビン(太)「天知る、地知る、ロビン知る!!」ドスッ!!
アルカイザー「アルカイザーも知ってるぜ!! いくぞっ!!」シュタッ!!
三人「「「ファイナルライトニング・フェニックスッッッッ!!!!」」」
ヴァジュイール「グワーーッッ!! いい……!! 良いぞ!! だが、もっとだ!! もっと見せてくれッ!!」
41:以下、
アルカイザー「こ、こいつはっ、なんて手強いんだ! こうなったら、客席に座ってるおじさん達にも手伝ってもらうしかないなー!」
ロビン(太)「お嬢さんもおじいさんも、みんなで力を合わせて立ち向かうのだ!!」
ロビン(細)「さぁ、今こそ集え! 正義は侯国の旗のもとに……あるッ!!」
トーマス「……! そうか! よし、会場の皆ー! ヒーローたちに力を貸して、この舞台を大団円で終わらせておくれーっ!!」
────
カーン「……ん? これは……呼ばれていると思っていいんだな? ……行くか!」
タリア「お嬢さんだなんて、照れてしまうわね。……さて、」
────
レオナルド「お兄さんは呼ばれてないから別にいいよな」
エリザベート「いい訳ないでしょ! ほら立って、レオも行くの!!」
レオナルド「マジかよ……」
42:以下、
────
ヘンリー「こ、これは……、どうすれば……?」
ヘクター「っていうかあいつ、なんか消し飛ばされてなかったか……?」
レオン「……何を怯んでいる、我がバレンヌの誇る兵士達よ!」
ジェイムズ「へ、陛下!!」
ヴィクトール「斯様に見事な号令、応じずして何が戦士か! 勇あるものは私に続け!!」
ヘンリー「ヴィクトール様!!」
ジェラール「私も参ります、兄上、父上! みなも、共に参ろう!」
テレーズ「ジェラール様……!!」
ヘクター「……ええ、俺ら、何処までだってお供しますよ……!!」
43:以下、
────
──────
────────
全員「「「「「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!!!!!!!!」」」」」
ヴァジュイール「う、うおぉーーーーッッッッ!!!!!!」ドォ...ン ドォオン..
 アルカイザー(……やったか!?)
ヴァジュイール「嗚呼、嗚呼……! 素晴らしい……!! この一瞬の為に、永遠の時を生きていたのだと思える程に……!! 流石だ、英雄達よ……!!」
 アルカイザー(って、まだ割とピンピンしてんじゃねえか! どうやってシメるんだ、この空気!)
【舞台袖】
リズ「ど、どうしよう! どうにかして、お兄ちゃん……!!」
ポルカ「お、おれ……!? わ、わかった。兄ちゃんがなんとかしてみる……」
44:以下、
聴衆「凄まじいパフォーマンスと花火だったが……、これは、一体……」
聴衆「……あっ、見ろ! 塔士が出てきたぞ!」
【ステージ上】
ポルカ「……ヴァジュイール!」
ヴァジュイール「ん? おお、私を異界へと招きし者……塔士などと言ったか。此度の催し、実に愉快なものであった! その功績を称えて、何か願いを……」
ポルカ「い、言いたい事は色々あるけど、取り敢えずやられたフリをしてくれ! 早く!」
ヴァジュイール「ふむ、それが願いか。良いだろう。承った」
ヴァジュイール「や、や ら れ た ーー っ ! !」ボォッッ!!
聴衆の子供「わぁ、なんかすごい……、敵……? みたいのが消えちゃった!」
 ポルカ(意外とサービス精神旺盛だなぁ……)
45:以下、
ポルカ「って、……あー、ええと……、観客のみんな!! 今見た通り……、この世界にはまだ、想像も付かないくらい恐ろしい相手だっているんだ」
ポルカ「けど、こうやって皆で力を合わせて立ち向かえば……、俺たちは負けない!! 侯国の平和は塔士団が守るから、安心して暮らしていてくれ!」
ポルカ「その、今日はお芝居……?を見に来てくれて、本当にありがとう!! 
 『メリー・クリスマス』……!! えっと、アンコールはないけれど……」
『ワ…………』
聴衆「「ワァアアーーーーーーーーッッッッ!!!!」」
 「いいぞーーっっ!!」 「「ウォーーーーッッ!!!!」」 ヒュ----ッッ!!!!
 ポルカ(……………………)
 ポルカ(……こ、これは……上手くいった、のか……?)
 ポルカ(あっ、舞台袖のリズが喜んでる。……ああ、よかった。成功だ……!!)
──────
────
46:以下、
──
【その後の話】
ローラ「──やぁ、あんたらが今年のサンタ役の連中かい? なんだか、一人輪郭が変なのがいるけれど……」
リッチ「ハハハ、膨れ上がっててもハンサムだろ?」
ローラ「それは、雪だるま界の基準かなにかでの話かい? 一体、何がどうなってそんな事に……」
リッチ「いやあの……、クリスマス中に声を掛けた女の子達が大勢、同じ箇所に集まったものだから……いっそ美女達を侍らせるハンサムなサンタとして家家を回ろうと……」
ローラ「へぇ。それで、どうなったんだい?」
リッチ「普通に全員から平等にボコボコにされました」
コーデリア「哀れね……」
ラベール「哀れだわ……」
リッチ「辛い……、母親からの哀れみの視線が辛い……」
47:以下、
ローラ「だがまぁ、今からが名誉挽回のチャンスだよ。プレゼントはもう用意してあるんだ。 塔士達のお芝居で得た興行料を、ある商人が寄付してくれてね」
ウィル「ならば、後は夢と希望のアニマと一緒に配るだけ。このサンタの仕事、ナイツ家の皆で精一杯勤めようとも……!」
リッチ「ああ、任せてくれ! かわいい子にも、綺麗な子にも分け隔てなく……」
ウィル「リチャード」
リッチ「子供達の夢と希望の為にがんばるぞ!!」
ローラ「……まぁ、任せたよ。あたしの教え子達にもよろしくね──」
48:以下、
────
フルブライト23世「──ああ、よかった! 君を探していたのだよ! いや、実にすまない! 段取りが狂って、君には不当な扱いを……」
本物のネズミ役の男「おや、フルブライト殿。私は気にしてなどおりませんよ。 フィナーレの花火は、遠くからでも見えていました。無事に成功したのならば、何よりですとも」
本物のネズミ役の男「……ああ。そういえば、このフードを被っている必要も、もうないのですね。お恥ずかしながら、この衣装は少々窮屈で……」バッ
バイソン(帝国重装歩兵)「……ふぅ。先ほどの続きですが……。私の望みは、陛下の愛した民達の笑顔。決して、我が技をひけらかす事ではないのです。ですから、どうかお気になさらず」
フルブライト「……君のように立派な兵を持てて、皇帝陛下もさぞ、鼻が高い事だろう……。……おや、鼻が高いのは皇帝陛下だけではないようだ」
49:以下、
バイソン「……? って、うわっ、なんだなんだ」
ヘンリー「バイソンお前ー! やるじゃないか! 同僚の俺たちも鼻高々だぞー!」
ヘクター「へっ、見せてもらったぜ……、お前の熱い役者魂ってやつをよ……!!」
ジェイムズ「風邪をひいて出て来れなかったベアの奴にも、お前の魂、俺たちがしっかり語り継いでいくからな! バイソン……!」
ガヤガヤガヤ
バイソン「た、魂……? なんだこの酔っ払い達は……、いや、酒の匂いがしない……。こいつら、シラフか……!」
フルブライト「はっはっは」
50:以下、
────
ミューズ「予定したものとは、少しだけ違っていたけれど……。最後に与えられたものが希望であるならば、それでよいのです。……力を貸してくれて、本当に有り難う……」
ポルカ「……ミューズ様が、最初に立案してくれたからこそ、この結果があるんです。お礼を言うのはむしろ、俺の方で……」
アルカイザー「なぁ、ポルカ! 次やる時は、初っ端からヒーローショーにしようぜ! ロビン達も呼んで、ド派手に……、」
コッペリア「ああ? 次はオレ100体による人形劇に決まってんだろーが。声紋パターン分析して正体特定すんぞオラ」
アルカイザー「や、やめろよ……」
ミューズ「……フフ、わたくしが心配するまでもなかったのかもしれませんね。だって、こんなにも人々に希望は溢れて──」
51:以下、
──────
────
──
吟遊詩人「聖夜の夜……こうして、誰にも知られる事なく悪は去れり……」
吟遊詩人「まるで、彼が悪いもの みなを連れて行ってしまったかのように、
  人々の元には幸福と、笑顔だけが残されたと言います」
吟遊詩人「……この話が本当かどうか、ですって?
  ええ、確かめる術ならばありますよ」
吟遊詩人「彼らには、幸せな夜を思い起こす、とっておきの呪文があるのです。
  さぁ、両手を広げ『メリー・クリスマス』と──」
──
────
──────
52:以下、
────────
マクシムス「……クソ、クソッ、クソッッ!!!! なんなんだ、あれは!! オレがなにをしたって言うんだ!! 企みはしたが未遂だっただろうが!!」
マクシムス「大体、ここは何処だ!! 扉はあれど、出口も無けりゃ明かりも……」
赤カブ「…………」
マクシムス「…………」
赤カブ「………………」
マクシムス「………………」
赤カブ「………………」
マクシムス「………………」
【完】
53:以下、

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