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魚群リーチかな。5000万年前のすでに絶滅した魚の群れがそのまま化石の状態で発見される(米研究)
2019年06月07日 ι コメント(42) ι 絶滅・絶滅危惧種生物 ι 水中生物 ι #
Mizumoto et al./ Royal Society B
2016年、アメリカ・アリゾナ州立大学の生物学者、水元惟暁氏は福井県立恐竜博物館の所蔵品を調査しているときに不思議な化石に興味を惹かれた。
それはもともとアメリカのコロラド州・ワイオミング州・ユタ州にまたがる石灰岩地帯「グリーン・リバー層」で発掘された、5000万年前の始新世のもの。
縦38センチ、横56センチの化石には小さな小魚がわちゃわちゃとひしめいており、まるで魚が群れで川を泳いでいたら急に凍結して閉じ込められてしまったかのようだった。
実際の魚が3次元空間で生活していたのに対して、化石は2次元でしかない。そのため、魚が本当に群れで泳いでいたのかどうか真相を明らかにするのは難しいと思われていたが、『Proceedings of the Royal Society B』に掲載された研究では、それを裏付ける確かな論証が行われている。
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絶滅した魚の稚魚の群れ
化石に残されている259匹の稚魚は、とうの昔に絶滅したサケスズキ目の淡水魚エリスマトプテラス・レバタス(Erismatopterus levatus)であるようだ。
それぞれは2.5センチ未満で、どれも同い方向を向いている。まさに現代のメダカの学校さながらに、それぞれが適度な距離を取りつつ、群れを形成しているように見えるではないか。
水元氏らは、稚魚それぞれの位置と向きを計測し、水流や空間分布を考慮しつつ1000回ものコンピューターシミュレーションでデータを解析。ここから次にいるだろう位置について予測してみた。
その結果、まったく違う方向へ向かっているのは8匹のみで、稚魚の動きは現在の魚の群れと同じような動き――距離があれば近づき、近づき過ぎれば離れるというパターンによって、うねるような集団動態をしていることが判明した。
つまりこの結果が正しければ、5000万年前から魚は群れで暮らしてたということになる。
Mizumoto et al./ Royal Society B
稚魚はなぜ群れていたのか?
仮に魚が本当に群れで泳いでいたのだとすれば、それは現在の魚が群れるのと同じ理由だろう。絵本のスイミーと同じ、大きな魚に食べられないようにするためだ。
実際にシミュレーションの結果からも、お腹を空かせた捕食者の襲撃から一番安全な群れの中央ほど魚の数が多いことが明らかになっている。
Mizumoto et al./ Royal Society B
稚魚たちが迎えた最後はミステリー
ただし、今のところ解けない謎もある。それは魚の群れが一体どのような最後を迎えたのか? ということだ。
たとえば砂丘が崩れて、魚の群れが一瞬で埋もれてしまったというのなら、化石はおそらく魚の直前の動きをそのまま現在まで伝えていることだろう。
だが、埋もれるまでしばらく時間がかかったというのなら、そこに閉じ込められた時点で魚はすでに死んでおり、泳いでいなかったとも考えられる。むしろ、現在の配置になったのはその後の化石化のプロセスによる可能性が高くなるだろう。
なお当時は気候が温暖だったために、川が急に凍りついて閉じ込められたという可能性は低いようだ。
ということで、残念ながら化石が魚の群れが泳いでいたときの姿を写したものとは必ずしも断言できないのが現状だ。――でもやっぱりこれ、群れで泳いでいるよな、うん。
References:Did This Fossil Freeze a Swimming School of Fish in Time? | Smart News | Smithsonian/ written by hiroching / edited by parumo
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