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P「営業に行くぞ!!!!!」ほたる「はい!!!!!」


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通行人「居眠り運転だ!」
ドガン!
P「ぐえっ!!!!!」
ドグシャア!!
ほたる「プロデューサーさん!!!!! 大丈夫ですか!!!!!」
P「大丈夫だ!!!!! 無敵だからな!!!!!」
ほたる「さすがプロデューサーさん!!!!!」
ファンファンファン ファンファンのファン
P「むっ、警察と救急車が来たな…捕まったら営業どころじゃない、行くぞ!!!!!」
ほたる「はい!!!!!」
----------------------------------------------------------------------------
2: 以下、
番組D「うーん、最近マンネリだな…これでいいものか」
番組D「ああ、そろそろ来る時間か。得意先だから断れなかったけど、相手はよく知らん無名アイドルだし、適当にあしらっておこう」
バーン!!
P「失礼します!!!!! アポイントメントを取らせていただいた白菊ほたるです!!!!!」
ほたる「白菊ほたるです!!!!! よろしくお願いします!!!!!」
パリーン!!
番組D「うわぁ、窓ガラスが全部割れた!?」
ほたる「本日はお時間を作っていただきありがとうございます!!!!! それと私の不幸のせいで窓ガラスを割ってしまってすみません!!!!!」
番組D「え、ええ…?」
P「私は白菊ほたるのプロデューサーです!!!!! 汚い格好で申し訳ありません!!!!! 先程トラックに轢かれたもので!!!!!」
番組D「いや病院行きなよ君」
P「話に移らせていただきます!!!!! うちのほたるを番組に出演させてみてはいかがでしょうか!!!!!」
番組D「聞いちゃいねえ」
3: 以下、
P「この子、ほたるは不幸なんですよ!!!!!」
ほたる「不幸です!!!!!」
番組D「誇らしそうだね君…」
P「どれくらい不幸かと言うと、馬券を複勝で予想させてみたら163回全部見事に外しました!!!!! 大赤字です!!!!!」
番組D「なんでそんなことしちゃったの」
P「今の窓ガラス見たでしょう!!!!! こんなことがいつも起こるんですよ!!!!!」
ほたる「もう衝撃映像撮れまくり、ドッカンドッカン間違いなしですよ!!!!!」
番組D「う、うーん…そう言われても」
P「まだ信じられませんか!!!!! ならこの炭酸飲料貰いますね、ほたる!!!!!」
ほたる「はい!!!!!」カシュッ
ブシュゥゥゥゥゥ!!!
ほたる「どやぁ…」ベトベト
番組D「ま、まぁ…絵的には面白いかもな…」
P「決まりですね!!!!!」
ほたる「ありがとうございます!!!!!」
番組D「え? いや、まだ決めたわけじゃ…ああ、もういいや。じゃあそれで話進めちゃおっか」
P「ありがとうございます!!!!!」
P「あ、そうだ。番組内にCDの宣伝入れてもらっていいです? アイドルなので」
番組D「あ、うん」
4: 以下、
そして…
P「昨日のOA、大反響だぞほたる!!!!!」
ほたる「本当ですか!!!!!」
P「釣りに行った先が悉く干上がってたのは最高だったよな!!!!!」
ほたる「帰った途端辺り一帯土砂降りに見舞われてたのもよかったですね!!!!!」
P「歌のコーナーも凄いことになったな!!!!!」
ほたる「録音機器だけはなんとか生きててよかったです!!!!!」
P「まぁ、歌でも有名になっていけばちゃんとした仕事も増えていくからな」
ほたる「はい」
P「それはそうとして、テレビ局から依頼の電話が鳴り止まなくて昨日から一睡もしてないぜ!!!!!」
ほたる「嬉しいです!!!!! 歌やステージの依頼はありましたか!!!!!」
P「一つもなかったが無理 矢理ねじ込んだぞ!!!!!」
ほたる「さすがプロデューサーさん!!!!!」
P「心配すべきことは照明や音響が壊れないかどうかだけだな!!!!!」
ほたる「こっちで予備を持っていかなきゃですね!!!!!」
二人「「HAHAHAHAHA!!!!!」」
ちひろ「こわい」
5: 以下、
そして…
ほたる「ほっ、はっ」
里奈「ほたるん、おつぽよ〜」
小梅「ぽよ〜」
ほたる「里奈さん!!!!! 小梅さん!!!!! おつぽよです!!!!!」
里奈「つか珍しい組み合わせだよねー。ほたるんも小梅っちもやっぱレッスン?」
トレーナー「レッスン場で他に何をするというんだ?」
里奈「それもそっかー☆」
小梅「ほたるちゃん…最近…すごいよね…」
里奈「あ、そうそう。なんかいいカンジじゃ〜ん」
ほたる「ありがとうございます!!!!! 寝る暇もないってのが最近の最大の不幸ですかね!!!!! HAHAHA!!!!!」
ビキビキビキィッ!!
トレーナー「うわ、天井にヒビが!?」
ほたる「うわ、これおじさんの顔に見えて超面白くないですか!!!!?」
小梅「すごい…」
里奈「ウケる」
トレーナー「白菊…昔はまともだったのに…」
6: 以下、
オーナー「今日もあの子来てんの?」ガチャ
トレーナー「あれ、あなたはこのビルのオーナー…」
オーナー「おいおい、天井がおじさんになってるじゃん。白菊ほたるちゃんだっけ? 困るんだよね、こういうことされるとさぁ」
ほたる「すみません、こういう体質なもので!!!!!」
オーナー「体質って言われてもねぇ…こっちは被害受けてるんだけど?」
ほたる「えーと、ではどうすれば!!!!!」
オーナー「あのねぇ。君が直接壊してるわけじゃないけどさ、修理だってタダじゃないんだよ。わかる?」
ほたる「あ、そういうことでしたか!!!!! そうですよね、今までの分も含めてこれでどうにか!!!!!(床に札束を叩きつける)」
オーナー「白菊ちゃん! ここはちゃんと整備しておくからさ、これからもどんどんこのスタジオを使ってね! 応援してるよ!」
ほたる「はい、また来ます!!!!!」
トレーナー「白菊…昔はまともだったのに…」
7: 以下、
そして…
番組D「いやぁ、ほたるちゃんのお陰でうちの番組大人気だよ!」
P「それならよかったです!!!!! ありがとうございます!!!!!」
番組D「それでさ、ほたるちゃんメインの番組やろうかと思ってんだけど。どう?」
ほたる「本当ですか!!!!! 嬉しいです!!!!!!」
P「是非やりましょう!!!!!」
番組D「第一弾はさ、バンジージャンプに挑戦するとかいいんじゃない? 視聴者もうハラハラドキドキよ」
P「すみません、そういうのはちょっと…流石に命の危険があるので」
番組D「そ、そうねぇ…ごめん、流石に調子乗りすぎたよね…」
ほたる「いえ、ディレクターさん!!!!! それで行けますよ!!!!! 幸いにも大怪我を負ったことはないです!!!!!」
P「馬鹿野郎!!!!! 今日まで無事でも、明日も無事で居られる保証なんてどこにもないんだぞ!!!!!」
ほたる「そうやって何もせずにいたらその明日がなくなるんですよ!!!!! このチャンスを逃してはいけません!!!!!」
P「何もしないとは言ってないだろ!!!!!」
ほたる「じゃあスキューバダイビングならどうですか!!!!! やってみたいですし、ボンベが壊れるかどうかでハラハラドキドキかと!!!!!」
P「それならまぁ…ディレクターさん、それで行けますか?」
番組D「基準がわからない」
8: 以下、
そして…
ほたる(今日は大きな仕事を取るとプロデューサーさんと一緒に出てきたけど、お偉いさんにプロデューサーさんと一対一で話したいって言われて、しばらく外でもぶらついたらどうか提案されて街に出てきたのだった)
通行人A「なぁ、もしかしてあれ、白菊ほたるじゃね?」
通行人B「え、マジじゃん。サインとか貰えないかな」
通行人A「何かあったら巻き込まれるんじゃね」
通行人B「え〜、巻き込まれてもいいからサイン欲しいわ」
通行人A「つーか、今プライベートだろ。そっとしておこうぜ」
通行人B「そうだよな…プライベート邪魔しちゃいけないよな…」
ほたる(私は別にいいんだけど…今度サイン会出来ないかプロデューサーさんに言ってみよっかな。ちゃんと安全は確保して…)
通行人A「ほたるちゃんと言えば、この前始まった番組さ。編集で『この後衝撃の出来事が…!?』とか煽りまくってたけど、結局何もなかったよな。なんなんだろうあれ」
通行人B「助けが入らなかったら歌のコーナーだと。まぁ、ほたるちゃんが無事に歌えてよかったぜ」
ほたる(ふふ、嬉しいなぁ)
9: 以下、
ババア「ちょっとあなた、白菊ほたるよね!?」
ほたる「はい?」
ババア「テレビ観たわよ!」
ほたる「あ、観てくださったんですね! ありがとうございます!」
ババア「あの番組の放送中止するよう、あんたから言ってくれない!?」
ほたる「あぁん!!!!?」
ババア「危険に身を置かせて、不幸が起きるかどうかを楽しむなんて…まるで見世物じゃない! あなたそれでいいの!?」
ほたる「いいです!!!!! 楽しかったですし、たとえあなたの言う見世物になろうと掴みたいモンがあんですよ!!!!!」
ババア「可哀想に…自分で言えないのね、私が話つけてあげるから一緒に来なさい!」
ほたる「私は自分で納得してやってるんです!!!!! 人を勝手に可哀想にしたり余計なことをしないでください!!!!!」
ババア「まぁ、人が親切で言ってるのに! なんてことを言うのこの疫病神! もういいわ、一生見世物やってなさい、ブス!!」
スタスタ
通行人「うわっ、雪崩だ!」
ババア「ウボァー」
P「ほたる!!!!! 大丈夫か!!!!!」
ほたる「今レスキューを呼びました!!!!!」
P「あんなもんどうでもいい!!!!! お前は大丈夫かって聞いてるんだ!!!!!」
ほたる「プロデューサーさん…あの人、私のこと、疫病神って…」
P「変な奴の言うことなんて真に受ける必要ないぞ!!!!!」
ほたる「ですよね!!!!!」
10: 以下、
P「そんなことよりほたる、単独ライブが決まったぞ!!!!!」
ほたる「マジですか!!!!! 私がライブ出来る設備があったんですね!!!!!」
P「おいおい、今まで何回ライブしたと思ってるんだ!!!!!」
ほたる「確かに!!!!!」
P「まぁ、設備自体は毎回壊れてるけどな!!!!!」
二人「「HAHAHAHAHA!!!!!」」
P「会場は屋外だ!!!!! これなら壊れるものはあまりないぞ!!!!!」
ほたる「雨でも降りそうですね!!!!!」
P「確かに!!!!! まぁとにかく心配するな!!!!! こっちで全部なんとかしておく!!!!!」
ほたる「はい!!!!! 私はライブに向けてにレッスンします!!!!!」
P「レッスン場は抑えてある!!!!! まずはそこでトレーナーさんとも今後の打ち合わせをして、それから…」
通行人「うわぁ! 直径20mはある巨大隕石が落ちて来たぞ!!」
ドズン!!!
P「うげぉ」
ほたる「プロデューサーさん!?」
P「ぐぐぐ…」ズルズル
P「かっ…」
ほたる「だ、大丈夫ですか!? ナメクジみたいに這い出てきましたけど…」
P「だ、大丈夫だ…無敵だ…」
P「か…ら…」
P「な…」
バタン
ほたる「プロデューサーさんっ!? だ、誰か…誰か…!」
ほたる「あっそうだ救急車」ピポパ
ピーポーピーポー
11: 以下、
そして…
コンコン
ほたる「失礼します」ガチャ
P「ほたるか…」
ほたる「ミイラ男…じゃなくてプロデューサーさん…」
P「すまないなほたる、お前に心配なんてかけたくなかったのに…」
ほたる「そ、そんな…! わ、私が不幸に巻き込んだせいで…」
P「お前のせいじゃない…巻き込んだとかそういうことを言うな…」
ほたる「でも…」
P「ほたる…お前はずっと人を巻き込むことを恐れていたよな。あの時も…」ホワンホワン
12: 以下、
〜〜〜〜〜
通行人『植木鉢が落ちてきたぞォ』
P『くべっ!!』ゴンッ
ほたる『ああっ…!?』
P『う…ん…?』
ほたる『ご、ごめんなさい…わ、私の不幸に巻き込んで…』
P『…ほたる?』
ほたる『ああ…私、また…これじゃ今までと同じ…』
P『………』
P『ははは! おいおいほたる、何を落ち込んでるんだ!!』ムクリ
ほたる『だ、だって…』
P『こんなもん痛くもなんともないわ!!! はーっはっはっはっは!!!!』
ほたる『え…え? でも…』
P『何故なら…俺は無敵だからな!!!!!』
〜〜〜〜〜
13: 以下、
P「ほたる…今まで黙ってたけど、実は俺な…無敵でもなんでもないんだ…」
ほたる「はい、薄々そんな気はしてました…」
P「マジか」
ほたる「マジです…」
P「そうなのか…そっかー…」
ほたる「でも、信じたかった。この人なら、私の不幸をものともしないんだって…」
P「ほたる…」
ほたる「そうじゃなかったんですね…」
P「ああ…本当のこと言うとあの時めちゃくちゃ痛かったし気失いそうだったし後頭部からも血めっちゃ出てた」
ほたる「じゃあ先日の交通事故も…」
P「今回の検査でわかったけどあの時既に全身複雑骨折してたみたい」
ほたる「そんな…」
14: 以下、
ほたる「私…やっぱりアイドルになんてならない方が…プロデューサーさんをこんな目に遭わせてまで…」
P「馬鹿野郎!!」ブンッ
ほたる「おっと」サッ
蜂「ヴ〜ンッ…!」バシッ
グサァーッ!
P「ぎゃああああああああああああああ蜂に刺されたああああああああ」
ほたる「プ、プロデューサーさん!」
P「うごご…」
ほたる「顔にビンタはやめてくださいね」
P「お前が避けなければ止めるつもりだったが…流石に蜂が飛び込んでくるのは予想外でした、今後気をつけます」
ほたる「それと、腕動かして大丈夫なんですか…?」
P「あ、変な方向に曲がってるけど感覚がない…それはそうとして、馬鹿野郎!!」
ほたる「え、戻るんですか!?」
P「お前言ってたよな!? ずっと不幸だったって! 倒産した会社もあったって! それも自分の不幸のせいじゃないかって!!」
P「そんなことがあっても諦めたくなかったんだろ!? 諦められなかったんだろ!? だったらこんなことで立ち止まろうとするんじゃない!!」
ほたる「こ、こんなことって…」
P「こんなことだ!!! お前にとって一番大切なことは何なのか考えろ!!!! そして、それを待ってる人達のことを!!!!!」
P「うっ…」
ほたる「プロデューサーさん!」
15: 以下、
P「…お前はもう大丈夫だと思ってたんだけどな。最近のお前は変にハイテンションだったし、何も恐れていないようだったが」
ほたる「それは、プロデューサーさんの真似をしてただけで…本当は、私は、ずっと変わってなくて…あの時のままで…」
P「それは違うぞほたる」
ほたる「え?」
P「お前のあのハイテンションっぷりは、お前の中に元々あったものだ。俺はそれを引き出してやったにすぎない」
ほたる「マジですか」
P「マジだ」
ほたる「責任逃れしようとしてません?」
P「マジだ。お前のそれこそ責任逃れだ」
ほたる「いやー、やっぱ違うんじゃないですかね」
P「いいや。お前がそういう奴じゃなかったら、往生際が悪くていつまでもアイドルにしがみ付くような奴じゃなかったら、きっと俺とは出会わなかった」
ほたる「………」
16: 以下、
ほたる「…でも、その結果が、こんな…私の不幸に巻き込んで、プロデューサーさんを不幸に…」
P「人を勝手に不幸にするな」
ほたる「…!」
P「俺はお前と一緒にやってきて、不幸だなんて思ったことは一度もないぞ。今でもな」
ほたる「プロデューサーさん…」
P「お前はどうだ、ほたる? これまで一緒にやってきて、自分が不幸だと思ったことはあるか?」
ほたる「あるかないかで言えば、ありますね…」
P「そうか」
17: 以下、
P「とにかくな、不幸でもなんでもないんだよこんなもんは。俺にとっての不幸はこんなことじゃない」
ほたる「じゃあ、プロデューサーさんにとって、不幸ってなんですか…?」
P「お前がまた立ち止まってしまうことだ。何も出来ず、何をしても前に進めなくなってしまうことだ」
ほたる「!」
P「俺と一緒にやってきた全てが、無駄になること。それこそが、俺の不幸だよ」
ほたる「………」
P「ほたる。怯えるな。巻き込むことを恐れるな。何が起きようと、それを味方にするんだ。アイドルを楽しめ」
P「俺達はそうしてきただろう。そして、お前のファンはそれに応えてくれただろう」
ほたる「…そうですよね…」
P「ああ」
ほたる「私、そうやってここまで来たんですよね…」
P「ああ」
ほたる「だから、ここまで来れたんですよね!」
P「そうだ」
ほたる「私…私! ステージに立ちます!! ファンのため、そして自分のため!!」
P「よく言った!!!!!」
P「ぐっ…」
ほたる「プロデューサーさんはここからゆっくり見ていてください…! 行って来ます!」
ガチャ
ほたる「私、アイドルを楽しんできますから!!」
パタン…
P「…はは…たくましくなりやがって…」
P「は…」
P「………」
ピー…
18: 以下、
そして…
ざわ…ざわ…
ほたる(今日がライブ当日…やるだけのことはやった…会場に埋まっていた不発弾は取り除いた…雲も全部吹き飛ばした…)
泰葉「ほたるちゃん!」
ほたる「泰葉ちゃん? どうしてここに…」
泰葉「プロデューサーがいないから、誰か一緒の方がいいと思ってスタッフに混じってたんだ。本当はみんなと客席で応援したかったんだけど」
ほたる「ううん、ありがとう。すごく心強いよ」
泰葉「もうすぐ開演だね」
ほたる「そうだね」
泰葉「…今日は静かだね?」
ほたる「うん。だけど私の心は静かに燃えてるよ。淡く輝く蛍の光のようにね」
泰葉「そ、そうなんだ…」
チーフ「白菊さん。そろそろ開場するから。開演までの準備しておいてね」
ほたる「はい。わかりました」
泰葉「モニターに会場の様子が映ってるね。どんどん人が入ってくる」
ほたる(気は抜けない…いざとなったら客席の皆さんは私が守護らなきゃ…)
19: 以下、
泰葉「あれ…」
泰葉「ほ、ほたるちゃん! これって!」
ほたる「え、これ…会場のみんなが、ヘルメットを被ってる!?」チラッ
泰葉「なんで私を見るの?」
ほたる「他意はないよ!」
泰葉「でも、なんでだろう。別に会場で配ってるわけじゃないのに…」
ほたる「みんな、自分で持って来てくれたの…!? 私の不幸で怪我しないように…」
P『それだけじゃないぞ、ほたる…』ズズ…
泰葉「!?」
ほたる「プロデューサーさん!!」
泰葉「え、あの、プロデューサー、その体は…」
P『ああ、悪いな…ちょっと透けてて…』
泰葉「えぇ…」
ほたる「それより、ヘルメットを持って来ただけじゃないって…どういうことですか!?」
P『あのヘルメットは自分の身は自分で守る…だからほたるは何も心配せず堂々とライブしていいんだと…そういう、ファンからのメッセージなんだ…』
ほたる「あ…」
P『お前の今までの活動で…お前のことを知って…巻き込まれるかもしれないとわかって…その上で付いて来てくれてるんだ…いいファンを持ったな…』
ほたる「わ、私…」
P『今後のライブからはこっちで用意しておくんだぞ…』スゥ…
ほたる「あ、プロデューサーさん…!」
泰葉「じょ、成仏した…」
20: 以下、
アナウンス『間もなく開演です!』
シーン…
ほたる(出口のない迷路にいるようだった)
ほたる(私のことを知れば知るほど、周りのみんなは私から遠ざかっていく)
ほたる(そんな時、テレビで見たアイドルの姿)
ほたる(本当に楽しそうで、見ている私も幸せになるようで…そんな姿に憧れた)
ほたる(誰かを幸せに出来る存在に、心の底から惹かれたんだ)
ほたる(だけど、そこでもまた同じだった…不幸は、強くて…私の力じゃどうしようもなくて…どうしたらいいのかもわからなかった)
ほたる(その中で…忘れちゃってた、自分が楽しむこと。楽しく歌う姿に、憧れたんだってこと)
ほたる(でも、今は違う。私のことを知って、暗い迷路の中から手を引いてくれた人がいる)
ほたる(私のことを知って、共に歩いてくれる仲間達がいる)
ほたる『お願い! シンデレラ 夢は夢で終われない』
ォォォォオ…
ほたる(私のことを知って、それでも、私を待ってくれてる人達がいる!!)
ほたる『動き始めてる 輝く日のために』
ワァァァァァァァァ!!!
ほたる(私は…もう、不幸なんかじゃない!!!!!)
21: 以下、
ワァァァァ…
泰葉「順調に進んでますね」
チーフ「そうね。でも油断はできないわ、こんなスリリングな仕事、何年ぶりかしら」
泰葉「スリリングの意味合いが違うような…」
ほたる「ふぅ!!!!!」
泰葉「ほたるちゃん、お疲れ様。これで汗拭いて」
ほたる「うん、ありがとう!!!!! でもすぐ行かないと!!!!! 何故ならファンのみんなが待っているから!!!!!」
泰葉「…ほたるちゃん、楽しそう」
ほたる「そう見えるかな? …なら、よかった」ニコッ
ざわ…ざわ…
ほたる「スタンバイできました!!!!!」
チーフ「音響、5秒前! 始まったらステージせり出して!」
音響「はい!」
泰葉「ほたるちゃん…」
ほたる「行ってくるね」
〜♪
泰葉(舞台がせり上がっていく…)
ワァァァァァァァ…
ギギィィ
通行人「危ないっ、照明が…!!!」
ほたる「え?」
ガシャァァァァン!!!
22: 以下、
泰葉「ほたるちゃんっ!」
キャアアアアアアアア!!
観客「「「ほたるちゃーん!!!」」」
照明「あ、ああ、白菊さん…!」
音響「い、今すぐ曲を止めて救助を…!」
チーフ「いや待って、止めちゃ駄目!」
『〜♪』
泰葉「この声は…」
ほたる『〜〜〜♪』ズリ…
ガチャ ガチャ
泰葉(ほたるちゃんは…壊れたステージの下から、ゆっくりと瓦礫を登っていった。歌いながら…)
ほたる『〜〜♪』スゥ…
泰葉(そして…その上に…立った)
泰葉(アイドルが…そこにいた)
ウォォォォォオオォオオオオオオ!!!!!!
泰葉(ほたるちゃんの不幸が、熱狂へと変わり…悲鳴が、歓声へと変わり…)
泰葉(こうして、ほたるちゃんの単独ライブは、大成功で幕を閉じた…)
23: 以下、
そして…
里奈「おつかれちゃ〜ん☆」
小梅「ほたるちゃん、ライブ…すごかった…」
泰葉「本当に、凄かった…とにかく、ほたるちゃんが無事でよかった」
ほたる「ありがとうございます!!!!!」
P「やったなほたる!!!!! 俺も病院で見ていたぞ!!!!!」
泰葉「プ、プロデューサー!? 生きてたんですか!?」
P「生きてたんですかって、人を勝手に殺すなよ…」
泰葉「ええぇぇ…」
P「そんなことよりほたる、ライブの感想が山程届いてるぞ!!!!!」
ほたる「本当ですか!!!!!」
24: 以下、
『感動した』
『本物を見た』
『あの時瞳から落ちた雨が今もまだ降り止まない』
『すてきだった。』
『私も瓦礫の上で歌いたい』
『なんかあれ以来部屋から変な音がするようになったんだけど』
『また彼女のライブに行きたい』
『あの感動を上書きしてほしい。もうあれ以上のものは見られないと思うと人生に張り合いがない』
『本当に、幸せな時間を過ごしました』
ほたる「こんなに…嬉しいです!!!!!」
泰葉「一つおかしくないですか?」
P(一つ…?)
25: 以下、
P「収益も凄…凄い… ………」
P「うん!!!!! 会場の被害の修繕費に大分出したが…総合的にはプラスだな!!!!!」
ほたる「プロデューサーさん!!!!!」
P「おう!!!!! なんだ!!!!!」
ほたる「私、とっても幸せです!!!!! この幸せを、もっとみんなに届けたいです!!!!!」
P「よし、それじゃ次の仕事を取りに行くぞ!!!!!」
ほたる「はい!!!!!」
終わり
26: 以下、
乙 勢いがとんでもねえ
元スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1523032949/
営業力 100本ノック (日経文庫)
日本経済新聞出版社 北澤 孝太郎 2017-09-16
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ゾンビ「おおおおお・・・お?あれ?アレ?人間いなくね?」読み返したくなるほどの良作
犬「やべえwwwwwwなにあいつwwww」ライオン「……」面白いしかっこいいし可愛いし!
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KevinIdemn:DIO「ASB?」
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サタナユナタハマナハタナハタハ:アカギ「ククク・・・残念、きあいパンチだ」
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小4娘が友達家に行こうとしたら「親同士が顔と連絡先知らないお友達は家では遊べない」と断られた

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めんつゆ使うのそんなに悪? 赤の他人に要求するようになったらただの宗教&マウンティングだよ。

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