エイラ「なんだコレ」芳佳「さあ」back

エイラ「なんだコレ」芳佳「さあ」


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1:
〜食堂〜
エイラ「邪魔だナ。どかせよミヤフジ」
芳佳「何度もどかそうとしたんですけど……なかなか動かなくて」
リーネ「すっごく重いんです」
エイラ「しょうがない。私も手伝ってやるよ。せーの、で押すからナ」
芳佳「はい」
エイラ「せーの! んぐぐぐぐぐ」
芳佳「むむむむむっ!」
リーネ「ん〜〜〜〜!」
エイラ「ハァ!? なんだよコレ! 全然動かネー!」
芳佳「だから言ったじゃないですか」
エイラ「黒くて丸いけど、鉛か?」
芳佳「さぁ……石? ではないよね」
リーネ「困ったね……これじゃ朝ご飯が食べられないよ」
芳佳「うん……」
               
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4:
ペリーヌ「何ですの? 朝っぱらから騒々しい」
芳佳「あ、ペリーヌさん」
リーネ「実はこれが……」
ペリーヌ「まあっ、そんな小汚い物を食卓の上に乗せるだなんて……!」
芳佳「わ、私じゃないよ」
リーネ「私も違いますっ」
ペリーヌ「エイラさん……、あなたどうしてこんなものを」
エイラ「どうしてそうなるんダ! 誰が好きこのんでこんな重たいもんを基地に持ち込むんだよ」
ペリーヌ「じゃあいったい誰が……? ともかく、いいからどかしなさい。もうすぐ皆さん集まりますわ」
ペリーヌ「そんな物が食卓に置いてあったら、邪魔でしょうがないでしょう」
芳佳「だからさっきから頑張ってどかそうとしてるんだけど……」
リーネ「全然動いてくれないんです。まるで机に張り付いてるみたい」
ペリーヌ「はぁ? そんなお馬鹿なこと」
エイラ「だったらオマエもやってみろって。1mmも動かないんだかんナー」
               
          
5:
ペリーヌ「ぬぬぬぬぬぬっ!」
芳佳「やっぱ動かないね」
エイラ「それみろ」
ペリーヌ「だはぁっ! な、なんですの? これは……」
シャーリー「うーっす」
ルッキーニ「おっはよー! みんな何してんのー?」
芳佳「あ、実は……」
―――
シャーリー「謎の物体? こいつが?」
ルッキーニ「うえー、なにこれー」
エイラ「食事の邪魔なんだ。どかしてくれよ」
シャーリー「って言われてもな。宮藤たちが試して駄目だったなら、あたしらでも無理だろ」
ルッキーニ「なんかひんやりしてるー」
ペタペタ
リーネ「ルッキーニちゃん、あまり触らない方がいいよっ」
               
          
6:
バルクホルン「皆、おはよう……ってなんだそれは!?」
芳佳「あ、おはようございます。バルクホルンさん」
バルクホルン「誰だ! こんなものを基地に持ち込んだのは! 即刻どかせ!」
シャーリー「朝っぱらからテンション高いなぁ」
バルクホルン「リベリアン、貴様の所有物か?」
シャーリー「違うって。あたしだってついさっきそいつのことを知ったんだ」
芳佳「あの、最初に食堂へ来たのは私なんですけど……その時にはもうありましたよ」
バルクホルン「何者かが夜のうちにここへ運び込んだということか……」
エイラ「いったい誰だよ。物好きな奴だナー」
ペリーヌ「ここまで運ぶメリットがさっぱりわかりませんわ」
バルクホルン「なんにせよ、こんなものがあっては食事の邪魔だろう。食卓から下ろそう」
グググ
バルクホルン「む? う、動かないな」
               
          
7:
バルクホルン「んぐぐぐぐ……! くっ……異様な重さだ」
シャーリー「おいおい、簡単に諦めちゃうなよ。頑張れって」
バルクホルン「そう言うなら、お前も手伝ったらどうだ」
シャーリー「あたしはホラ、力仕事とか苦手なタイプだし」
バルクホルン「腑抜けたことを」
シャーリー「それにさ、お前の固有魔法はこういう時にこそ役立つんだろ?」
バルクホルン「たかが荷物運びのために魔法を発動しろと?」
シャーリー「けち臭いこと言うなって。ほら、宮藤だって配膳できなくて困ってる」
芳佳「あの、がんばってください! バルクホルンさん!」
バルクホルン「仕方ない……」
               
          
9:
バルクホルン「ぐぬぬぬぬぬぬぬ!!!!!!」
メキメキメキ
エイラ「ナンカ……嫌な音がしてないか?」
ペリーヌ「え、ええ。まるで木が軋むような……」
ズズズ
ルッキーニ「あ! ちょっと動いたよ!」
シャーリー「おっ! いいじゃんいいじゃん」
芳佳「バルクホルンさん! 頑張って!」
バルクホルン「でやあああああああああああ!!!!!!」
ベキャッ
リーネ「きゃっ」
ペリーヌ「な、何の音!?」
エイラ「オワッ! 謎の物体がテーブルにめり込んでるぞ!?」
シャーリー「バルクホルン! ストップ! ストッープ!」
               
          
10:
バルクホルン「な、なんだ?」
シャーリー「おまっ、下に力を入れたら駄目だろ! あーあー、めり込んじゃったじゃん。どうすんだコレ」
ルッキーニ「いっけないんだ〜! テーブル壊した〜!」
バルクホルン「馬鹿な! 私は押しつけてなどいない!」
エイラ「じゃあなんでめり込んだんダ……?」
ペリーヌ「あの。これ、先ほどよりも傾いているような気が……」
芳佳「あっ、ほんとだ」
エーリカ「ふあぁぁあぁ。おはよー」
バルクホルン「遅い! 私が起こしに行ってからどれだけ経って……いや、今はそれどころじゃない」
エーリカ「んー? なにそれ」
芳佳「それが……今日の朝、気づいたらここにあって」
リーネ「すっごく重くて、バルクホルンさんでも動かせないんです」
エーリカ「へー、すごいね」
芳佳「はい……」
エーリカ「そのテーブル」
芳佳「え?」
               
          
11:
エーリカ「だってさー、トゥルーデでも手こずるほどの重さって、相当だよ」
エーリカ「そんな重たいものを乗せてるのに壊れないなんて、そのテーブルすごいなーって」
バルクホルン「……たしかに」
シャーリー「言われてみれば、変だな」
ルッキーニ「あー!」
エイラ「な、ナンダ?」
リーネ「どうしたの?」
ルッキーニ「テーブルの下! ほら!」
芳佳「下……? わっ!」
ペリーヌ「これは……! なんでしょう……棒? 柱かしら……」
バルクホルン「ゆ、床から生えているのか……?」
シャーリー「なるほど。謎の物体はベリーピンの頭の部分だったのか」
芳佳「ベリーピン……?」
リーネ「えっと、お裁縫のときにつかう針のことだよ。仮止めのために、球がついてるやつがあるでしょ?」
芳佳「ああ、待ち針のことだね」
               
          
13:
ペリーヌ「つまり……この物体はテーブルの上に置いてあるのではなくて……」
シャーリー「テーブルを貫いて、立ってる状態ってことさ」
バルクホルン「地面へ刺さり、固定されていたのか……動かそうとしても動かないわけだ」
芳佳「無理やり押したから、傾いてテーブルにめり込んじゃったんですね」
バルクホルン「そういうことだろう。やれやれ」
ルッキーニ「これで一件落着だね!」
バルクホルン「ああ。さあ、問題が解決したところで朝食を――」
バルクホルン「って、まだ何も解決していないだろうが!!!」
芳佳「え? 待ち針ってことでいいんじゃないんですか?」
ペリーヌ「あなたね……ベリーピンはあくまで例えでしょう? こんなに大きな針があるわけないでしょうに」
芳佳「じゃあ……これって何なんだろう」
リーネ「さあ……」
エイラ「結局最初の疑問に戻ってないか……?」
エーリカ「どうでもいいけどさー、朝ご飯は?」
バルクホルン「ベリーピンが邪魔で配膳できん。片付くまで我慢しろ」
エーリカ「えーっ! ならはやくソレどかせよー!」
バルクホルン「だから! それができんから困っているんだろうが!」
               
          
14:
ミーナ「皆さん、おはよう……あら? どうかしたの?」
坂本「なんだお前たち。まだ朝食をとってないのか」
芳佳「あっ! おはようございます!」
坂本「ああ、おはよう。大きな黒豆だな」
ミーナ「美緒、あれはどう見ても豆じゃないわ」
坂本「では何だ?」
ミーナ「誰か、説明してもらえるかしら?」
芳佳「あの、実は……」
               
          
15:
ミーナ「そう……たしかに、地面から生えているようね……」
ミーナ「でも、机に刺さっているということは、上から落ちてきたのかしら」
バルクホルン「だが天井に破損した箇所は見当たらない」
ルッキーニ「きっと誰かが夜中に刺したんだよ! ブスーッって!」
ペリーヌ「何のために?」
ルッキーニ「知んない」
坂本「そもそも、これは何だ? 豆でも、石でもないようだが」
ミーナ「手触りだけでは判断がつかないわね」
エーリカ「ねー、お腹すいたよー」
バルクホルン「我慢しろっ」
エーリカ「ぶー!」
               
          
16:
サーニャ「……」
芳佳「あ、サーニャちゃん」
エイラ「オッ! サ、サーニャ!? 起きてて大丈夫なのか!?」
エイラ「哨戒任務から帰ってきたばかりダロ? 寝てていいんだぞ?」
サーニャ「うん、大丈夫よ。……あの、ミーナ隊長」
ミーナ「あら、サーニャさん。休まなくていいの?」
サーニャ「はい、その、ネウロイの反応が……」
ミーナ「……!? 本当に!?」
サーニャ「はい」
坂本「距離はどのくらいだ?」
サーニャ「……どのくらいというか……ここです」
坂本「……なに? ここ?」
ミーナ「それはどういうことかしら」
サーニャ「この基地内から……ネウロイの反応が」
               
          
17:
ミーナ「……美緒、もしかして」
坂本「あ、ああ……ゴクリ」
坂本「……」
ミーナ「どう?」
坂本「間違いない。こいつだ」
ミーナ「……!」
エーリカ「どけよー! こいつー! このこのー!」
ベシベシ
バルクホルン「もっと力を入れろリベリアン……! これでは引き抜くことができん……!」
シャーリー「わーってるよ……! あー、くそっ! 手がいてぇ〜!」
ギュウウウウウ
ルッキーニ「ふれーふれー! がんばれー!」
坂本「お前たち、そいつから離れろ」
シャーリー「え?」
バルクホルン「こいつを抜かんことには、我々の食卓が――」
ミーナ「それはネウロイよ」
               
          
19:
〜廊下〜
シャーリー「いやー! 心臓バックバク! まさかネウロイだったなんて」
リーネ「あ、危なかったですね……」
ペリーヌ「乱暴にしがみついたりして……攻撃されていたら消し炭になってましたわ」
ルッキーニ「うにゃー! 危なかったー!」
エーリカ「む〜、ネウロイに食卓を乗っ取られた〜! お腹減った―!」
バルクホルン「ネウロイの侵入を許すとは……!」
芳佳「これでもう、あそこでご飯を食べられなくなっちゃいましたね……」
坂本「撃墜すれば問題ない。ミーナ、出撃命令を」
ミーナ「出撃……する意味がないわ。室内でユニットを装着しても邪魔なだけでしょう?」
坂本「それもそうだな。はっはっは」
バルクホルン「幸い、あれだけ周囲で喚いても無反応だったんだ。機動力は必要ないだろう」
バルクホルン「ここからあの球体を狙って銃撃すればいい」
ミーナ「ええ。バルクホルン大尉、お願いします」
バルクホルン「了解」
               
          
21:
坂本「全員、退避したな?」
芳佳「はい」
ペリーヌ「問題ありません」
坂本「よし。頼む、バルクホルン」
バルクホルン「くらえっ」
ダダダダダダダ
バルクホルン「やったか!?」
エーリカ「あ、そういうこと言うと……」
               
          
23:
シャーリー「あらら、無傷じゃん」
バルクホルン「なっ……! この至近距離から弾を浴びせたんだぞ……!?」
エーリカ「ほらー、トゥルーデが『やったか!?』とか言うから」
シャーリー「なーにが『やったか!?』だ」
バルクホルン「わ、私に落ち度はないっ」
エイラ「あいつ、すごく固いんダナ」
坂本「駄目、か。よし、リーネ」
リーネ「は、はい! なんですか……?」
坂本「対装甲ライフルを試してみてくれ」
リーネ「ええぇ! ここで、ですか!?」
ミーナ「通常のネウロイより装甲が厚いようなの」
芳佳「リーネちゃん、頑張って!」
ペリーヌ「外して壁を壊さないように」
リーネ「は、はい……」
               
          
24:
リーネ「い、いきます」
坂本「うむ」
バルクホルン「抜群の貫通力だ。いくら硬いと言っても、これで終わりだろう」
エーリカ「そういうこと言わない方がいいって」
バルクホルン「何故だ?」
リーネ「えいっ」
ズダンッ
芳佳「うわっ!」
ペリーヌ「きゃっ! 埃がっ」
坂本「さすがに室内で撃つものではないな……!」
ミーナ「結果は!?」
坂本「……命中したようだが……駄目だ。コアはまだそこにある」
バルクホルン「なにぃ!?」
エーリカ「あーあ」
               
          
26:
シャーリー「固いなんてもんじゃないな。無敵なんじゃないか?」
ルッキーニ「ねえねえ、どうすれば倒せるのー?」
シャーリー「さってなぁー。たぶんバーナーとか使っても無駄だろうし」
バルクホルン「あの装甲を崩せなければコアを叩くことができない。どうする、ミーナ」
エーリカ「本部に連絡すれば? そんで軍艦の砲撃で建物ごとドカーンってさ」
芳佳「ええぇー!」
バルクホルン「501の基地を捨てろと言うのか!?」
エーリカ「冗談だよ」
バルクホルン「お前なぁ!」
ミーナ「……いえ、最終的にはそうせざるを得ないかもしれない……」
サーニャ「基地を壊しちゃうんですか……?」
エイラ「そ、それは困る! そうなる前に家具とか運び出さないと」
坂本「早まるな。最終的には、と言っただろう」
ミーナ「そうならないためにも、今できることはしておきましょう」
               
          
29:
ミーナ「ペリーヌさん、お願いします」
ペリーヌ「はい!」
芳佳「頑張って! ペリーヌさん!」
リーネ「頑張ってくださいっ」
ペリーヌ「ふふん、わたくしにお任せなさい!」
バルクホルン「赤城の装甲を撃ち抜いた電撃には耐えられまい。ネウロイめ、貴様らの侵攻もここまでだ」
エーリカ「だからそういうこと言うとさー」
ペリーヌ「トネール!!!」
バチィッ
エイラ「ドウダー?」
サーニャ「ううん、倒せてないみたい……」
ペリーヌ「うぅ……申し訳ありません少佐ぁ……」
坂本「ペリーヌの電撃も効かんか……」
               
          
32:
エイラ「ツンツン眼鏡、髪の毛がわしゃわしゃしてるぞ。おもしれー」
ルッキーニ「ほんとだー! にゃはー! もじゃもじゃー!」
シャーリー「おっ! なんだこれ、生きてるみたいだなー。触らせてくれよ」
ペリーヌ「ちょ! やめてくださいまし!」
バルクホルン「これでは埒があかないぞ」
ミーナ「……美緒、こうなったら」
坂本「よし。私の烈風丸の出番だな」
芳佳「烈風斬ですね!?」
ペリーヌ「やりましたわ!」
バルクホルン「少佐の烈風斬を食らって生き延びたネウロイはいない。さしものヤツもここまでだろう」
エーリカ「トゥルーデがそういうこと言うと失敗する気がするんだけど」
バルクホルン「なにっ?」
               
          
34:
坂本「烈風斬!!!」
ズァァ
ガキィィィン
坂本「なっ!?」
ペリーヌ「少佐の刃が……弾かれた!?」
エーリカ「ほらぁ」
バルクホルン「わ、私は悪くないだろう」
シャーリー「だーめだ。こりゃホントにお手上げだな」
ミーナ「烈風斬ですら受け付けないなんて……」
               
          
36:
坂本「無防備な敵へ太刀を浴びせ、傷ひとつ負わせられないとは……」
坂本「私もまだまだ未熟だな……」
ペリーヌ「坂本少佐……」
エーリカ「ねーねー。ご飯はー? まさかあのネウロイを倒すまで食べられないとか言わないよね?」
芳佳「そういえば、お腹すきましたね……」
グゥゥゥ
ルッキーニ「うにゅー、あたしもお腹減ったー」
ミーナ「……そうね。まずは食事にしましょう」
坂本「腹が減っては戦はできぬと言うからな」
バルクホルン「て、敵の眼前で食事をしてる場合か!?」
シャーリー「今のとこ害はないみたいだし、いいだろ」
バルクホルン「しかしだな」
芳佳「せっかくつくった食事が冷めちゃう……」
バルクホルン「食べるとしよう」
               
          
38:
ペリーヌ「床で食べるだなんて……」
エイラ「文句言いながら食べるなよ。飯がまずくなるダロ」
エーリカ「おっ芋〜おっ芋〜んふふ〜」
バルクホルン「おいハルトマン。食事をしながらも敵から目を離すなよ」
エーリカ「わかってるって」
芳佳「な、なんだか落ち着かないね」
リーネ「うん……」
ミーナ「明らかに、いつものネウロイと違うわね」
坂本「ああ。何が目的で基地の食堂に居座るのか……こちらの様子を窺っているのか?」
ミーナ「そもそも、どこから入ってきたのかしら」
芳佳「あ、そういえば」
坂本「どうした宮藤。思い当たる節があるのか?」
芳佳「食堂へ来たとき、窓が開いてたんですけど……」
ペリーヌ「そういうことはもっと早く言いなさい! どう考えても、そこが侵入経路じゃないの!」
芳佳「だ、だって……まさかあの黒いのがネウロイだなんて思わなかったし……」
               
          
39:
ミーナ「食堂の窓が一晩開け放しになっていたということ?」
ペリーヌ「なんて不用心な……!」
シャーリー「誰だよ、戸締り忘れたの。寝る前にはちゃんと閉めなきゃだめだぞー?」
エイラ「昨日、最後まで食堂に残ってたやつが怪しいナ」
サーニャ「哨戒任務へ行く途中、食堂の方から歩いてくるシャーリーさんを見たような……」
シャーリー「え?」
バルクホルン「おい、リベリアン……」
シャーリー「あっ。そういや、細かいパーツを洗うために来たな……」
シャーリー「……んー、そんとき窓開けたかも……。いや、うん。開けた。なっはっはー、ごめん、あたしだ」
バルクホルン「お前というやつは……!」
シャーリー「まあまあ、どうせ窓が閉まってても、ネウロイなら割ってでも侵入するだろ?」
シャーリー「そこをホラ、あたしが開けておいたおかげでさ、窓を割られずにすんだわけだ」
シャーリー「感謝されこそすれ、怒られる筋合いはないと思うぞ?」
バルクホルン「屁理屈をこねるな! 素直に謝罪しろ!」
               
          
40:
シャーリー「だからごめんって。今はあたしを責めるよりも、後の対策を練る方が先だろ?」
シャーリー「どうしてこうなったかではなく、これからどうすべきかを審議すべきである! な! ルッキーニ!」
ルッキーニ「そーだそーだ!」
ペリーヌ「どうすべきか……まあ、相手はネウロイなんですから。やることはひとつですわね」
坂本「ああ。即刻、撃破する」
バルクホルン「だがどうやってだ。ついさっき試したように、こちらの攻撃はいっさい効かなかったが?」
坂本「うむ……コアは間違いなく、そこにあるはずなんだ。だが装甲が異様に固い。厄介だな」
エーリカ「倒せないなら引っこ抜いちゃえば? そんで海にポイ」
ミーナ「簡単に言うけれど……」
リーネ「バルクホルン大尉が魔法を使っても動かせなかったんですよ……?」
エーリカ「みんなで引っ張ればいいじゃん。綱引きみたいに」
芳佳「わー、面白そうっ」
エーリカ「でしょでしょ?」
ミーナ「却下です。下手に刺激して攻撃を受けたら大変でしょう?」
坂本「周りに何も無い空の上とは違うからな。こちらがネウロイの攻撃を避けたり弾いただけで、基地に被害が出る」
芳佳「あ、そっか……」
               
          
43:
ミーナ「この件については、一度本部へ掛け合います。前例の無いタイプだから、おそらく解析班の見解を待つことになるでしょうね」
バルクホルン「それまではヤツを警戒しつつも静観、我々はいつも通りというわけか?」
坂本「基本はそうだな。だが、夜間が心許ない」
ミーナ「そうね。サーニャさんの哨戒の他に、食堂へ見張りを立てましょう」
坂本「立番か。数はそう必要無いだろうから、せいぜい2名といったところか」
シャーリー「はい質問。誰がやるんですかー?」
エーリカ「あー、ごめん私はパス。夜は寝てるからさー」
バルクホルン「お前は昼夜構わず寝ているだろうが……だいたい、そんな自分勝手な言い分は通らん」
坂本「よし、ならば公平にくじ引きで決めよう」
ミーナ「ちょ、ちょっと美緒。もっとよく考えて選んだほうが……」
坂本「見張りをするだけだ、そう難しいことじゃない。それに、くじで決めれば後腐れも無いだろう?」
坂本「当然、最終的な判断はミーナに任せるがな」
ミーナ「それなら……まあ」
芳佳「じゃあ爪楊枝持ってきますね」
坂本「ああ、頼む。2本だけ、先端を赤く塗ってくれ」
芳佳「はーい」
               
          
45:
坂本「皆、楊枝を引いたな? 先端を確認してくれ。赤い印がついているのが当たりだ」
リーネ「何もついてない……ハズレってことかな」
ペリーヌ「わたくしも、ハズレですわ」
ルッキーニ「やったよシャーリー! ほら見て! さきっちょが赤くなってる!」
シャーリー「おお! やったなルッキーニ! こりゃ大当たりだ!」
ルッキーニ「シャーリーは?」
シャーリー「残念ながらハズレだ。ルッキーニは運がいいな〜」
ルッキーニ「えへへ〜」
エイラ「この場合の『当たり』って夜中に見張りをやらされるってことだろー? それってハズレじゃないか……?」
サーニャ「エイラ。そういうことを言ったらだめよ。気持ちの問題なんだから」
エイラ「そ、そうか。そうダナ」
坂本「よし、ひとりめはルッキーニか。あとひとりは誰だ?」
バルクホルン「私はハズレだ」
芳佳「あ、私もです」
バルクホルン「となれば、残ったのは…………おい、ハルトマン」
エーリカ「え? なに? 知らない。私知らないよ。じゃ、部屋戻るね」
バルクホルン「待て」
エーリカ「うわあああああああ! 離せよぉ! 横暴だぁ! こんなの無効だぁ! 夜は寝かせてよぉ!」
坂本「ん? ふたりめはハルトマンか」
               
          
46:
ミーナ「ハルトマン中尉、ルッキーニ少尉。ふたりに夜間の哨務を命じます」
エーリカ「うえぇ〜」
ルッキーニ「はーい」
ミーナ「とは言ったものの…………本当に大丈夫かしら」
坂本「何だ? 人選に不安要素でもあるのか?」
ミーナ「不安要素というか……」
ペリーヌ「おふたり自身が、歩く不安要素ではなくて?」
ルッキーニ「なにおー! ペリーヌのくせに!」
シャーリー「おいおい失礼なやつだなー。いくらルッキーニでも、見張り番くらいできるさ。な?」
ルッキーニ「あったりまえじゃん! らくしょーだよ」
バルクホルン「おいハルトマン。任務を放棄して寝たりするんじゃないぞ。絶対に寝るな。絶対だ。絶対だからな?」
エーリカ「寝ろってこと?」
バルクホルン「なんでそうなる!? 絶対に寝るなと言っているだろうが!!!」
坂本「眠くなったら互いに頬をつねり合えばいい。はっはっは! それでなんとかなる!」
芳佳「頑張ってね、ルッキーニちゃん。あっそうだ、眠気覚ましに緑茶をいれてあげるよ」
ルッキーニ「ん! あんがと!」
シャーリー「がんばれよー。隊の安眠はルッキーニにかかってるからな」
               
          
47:
〜夜〜
ルッキーニ「……」
エーリカ「……」
ルッキーニ「……」
エーリカ「…………眠い」
ルッキーニ「寝たらダメ!」
エーリカ「わかってるよ。寝ないって……でもさー、退屈じゃない? 玉を眺めてるだけなんてさ」
ルッキーニ「うじゅ……たしかに、飽きてきたかも……」
エーリカ「異常があったらすぐに教えろ〜って、あるわけないじゃん」
エーリカ「だって、昼間からずっとあのままなんだしさー。眺めてたって変わりっこないよ」
ルッキーニ「たしかにー……ああっ! 窓に虫がはっついてる!」
エーリカ「え? どこどこ? あー、ほんとだ。明かりに誘われてきたんだね」
ルッキーニ「う〜……捕まえたい〜……追いかけたい〜」
エーリカ「外に出て追っかけてくればいいじゃん」
ルッキーニ「だめ! みんなのアンミンがかかってるんだもん」
エーリカ「へぇー。偉いんだ、ルッキーニ」
ルッキーニ「えへへー」
               
          
48:
エーリカ「……ううっ」ブルッ
ルッキーニ「どったの?」
エーリカ「いやー、ちょっと催しちゃってさ」
ルッキーニ「もよおす?」
エーリカ「トイレ行きたいってこと」
ルッキーニ「いいよ! あたしが見張ってるから!」
エーリカ「ん、じゃあちょっとの間頼むよ。急いで行ってくるから!」
タッタッタ
ルッキーニ「いってらー」
ルッキーニ「……」
ブーン
ルッキーニ「あ! 虫!!!」
               
          
51:
ブーン
ルッキーニ「ネウロイの上にとまった……! チャンス……!」
ルッキーニ「あ、でも……うーん……ミーナ隊長、絶対に触っちゃ駄目って言ってたし……」
ルッキーニ「……」ウズウズ
ルッキーニ「……ちょっとだけなら、へーきかな……うしっ!」
タッタッタッ
ルッキーニ「んっしょ、んしょ。後ろからそ〜っと……」
ウネウネ
ルッキーニ「あや? ……なんかネウロイから生えてる……」
ウネウネウネウネ
ルッキーニ「うえ〜、きもちわるーい。うにょうにょ動いてるー」ツンツン
カパッ
ルッキーニ「わっ」
               
          
52:
―――
エーリカ「お待たせー……あれ? ルッキーニ?」
シーン
エーリカ「おーい、ルッキーニ〜」
シーン
エーリカ「どこ行っちゃったんだろ。結局、虫を追いかけにいっちゃったのかな」
エーリカ「探しに……行くのもまずいか。ここ、誰もいなくなっちゃうし」
エーリカ「ん〜、ルッキーニのやつ〜……話し相手がいないと、余計に眠くなるよ……」
エーリカ「…………ふぅ……」
エーリカ「…………………ングゥ」
エーリカ「はっ!!!」ビクッ
エーリカ「寝ちゃ駄目だ……トゥルーデに怒られる……起きてないと……」
エーリカ「…………起きて……ない、と……」
エーリカ「Zzz」
               
          
53:
〜朝〜
バルクホルン「おいハルトマン!!!!!! 起きろ!!!!!!!」
エーリカ「んぁ!?」ガバッ
バルクホルン「…………」
エーリカ「…………トゥルーデ……お、おはよー」
バルクホルン「ああ、おはよう。……見事に寝たな」
エーリカ「あーあ、やっぱ寝ちゃったか……。途中までは調子良かったのに」
バルクホルン「最後まで起きていられなければ意味が無いだろう……!」
ミーナ「ハルトマン中尉。まずは報告を聞きたいのだけど」
エーリカ「あ、ミーナもおはよう。えーっと……報告? 寝ちゃってごめん」
ミーナ「……他には?」
エーリカ「……え? 他は……異常無しかな。ネウロイに変わったところはないからさ」
バルクホルン「『異常無し』? なにを馬鹿なことを……異常しかないだろ……!」
バルクホルン「いつまでも寝ぼけていないで、よく見ろ! 明らかに球体が大きくなっているだろうが!」
エーリカ「ん〜……? わっ! ほんとだ! 昨日より大きくなってる! なんでなんでー!?」
ミーナ「球体を支える柱の部分も太くなっているわ。おかげで食卓が割れてしまったようね」
エーリカ「わー! ほんとだー! どうして!?」
バルクホルン「こっちの台詞だ!!! 何故こんなことになっているんだ!?」
エーリカ「さぁ」
 
ミーナ「はぁ……やっぱり、人選に問題が……」
               
          
54:
芳佳「おはようございます。あれ、どうかしたんですか? 深刻そうな顔して」
リーネ「なにかあったんですか?」
ミーナ「それが……」
坂本「これは……! 黒豆ネウロイが昨日より大きくなっているな……!」
シャーリー「おわー、なんだこれ。倍くらい膨らんだんじゃないか?」
ペリーヌ「テーブルを貫いていた針の部分もかなり太くなっていますわね……いったい何が原因でこのようなことに?」
バルクホルン「不明だ。見張りが寝ていたおかげでな」ジロッ
エーリカ「えへへー、ごめん」
エイラ「ま、こんなことになる気はしてたけどサ」
シャーリー「……あれ? ルッキーニはいないの?」
バルクホルン「そうだ、ルッキーニ少尉はどうした? なぜお前ひとりなんだ?」
エーリカ「それがさぁ、ちょっと食堂を離れた隙にどっか行っちゃって……ひとりで見張りをすることに……」
バルクホルン「任務放棄か……」
エーリカ「あ、でもね、ルッキーニはやる気だったんだよ。みんなが安心して眠れるようにーって」
エーリカ「でも、部屋の明かりに集まった虫が気になってたみたいでさ」
シャーリー「あちゃー、虫を捕まえに行っちゃったわけか。今頃、どこかの木の上で眠ってるかもな」
               
          
56:
ミーナ「姿を変えたことで、何か変化があったかもしれないわね」
坂本「ああ。コアの位置を確認してみよう………ん?」
坂本「なっ…………こ、これはっ!?」
ミーナ「どうかしたの?」
坂本「コアが無くなっている……!」
バルクホルン「なに!?」
シャーリー「な、無くなってるって……!」
芳佳「消えちゃったってことですか!?」
ペリーヌ「消えたって……いったいどこへ!?」
ミーナ「コアはネウロイにとっての心臓よ。体内から消えたとして、形態を保てるはずはないのだけど……」
坂本「……ん? あれは……。……いや、すまん。あったぞ」
ミーナ「えっ?」
エイラ「ナンダ。少佐の見間違えかヨ」
坂本「球体部分には無い。下だ。かすかにコアの光が見える。……地中へコアを降ろしたようだな」
バルクホルン「あの柱の部分はコアの通り道ということか?」
坂本「かもな」
芳佳「へー、麦わらみたい。あ、えっと、こっちでは『ストロー』って言うんだっけ」
リーネ「どうして地面の下にコアを移動させたんだろう」
エーリカ「怖くなったんじゃないの? 私が目を光らせてたんだからさ。途中までは」
               
          
57:
バルクホルン「わからないことだらけだ。少しでも情報が欲しいというのに……」
エーリカ「あー、はいはい。寝ちゃってごめんって」
坂本「コアが地中へ移動したことで、より対処が難しくなったな」
ミーナ「そうね……」
芳佳「えーっと、あの! とにかく朝ご飯にしませんか? ここで悩んでてもしょうがないし」
エーリカ「賛成ー。徹夜明けでお腹空いちゃって」
バルクホルン「お前は寝ていただろう……」
エーリカ「だーから、途中までは起きてたんだってばー」
ミーナ「そうね……。ネウロイの形態変化について上へ報告するにしても、私たちがやるべきことは変わらないわ」
坂本「いつもどおり、襲撃に備えつつ鍛錬だ」
芳佳「はい! じゃあ準備しますね。行こう、リーネちゃん」
リーネ「うん」
バルクホルン「宮藤。食堂へ入る時は壁伝いにな。絶対にネウロイへ近づくなよ」
               
          
60:
坂本「おお、今日は茹でたまごがあるのか」
芳佳「補給物資の中にたまごがたくさんあったので」
エイラ「おいミヤフジ。後でサーニャの分も茹でてくれよ。黄身は半熟だからナ。固くしすぎるなよ」
芳佳「は、はい」
坂本「ふむ……」
ペリーヌ「どうかされましたか? 少佐」
坂本「ん? ああいや、たまごとあのネウロイを重ねると、大涌谷の黒たまごを思い出してな」
ペリーヌ「オオワクダニ……?」
坂本「『大涌谷』という火山地帯が扶桑にあるんだ。そこの地熱を利用してたまごを茹でると、真っ黒になってな」
リーネ「へぇ……そうなの? 芳佳ちゃん」
芳佳「うーん、聞いたことないけど……」
坂本「整備の行き届いていない立ち入り禁止区域だからな。近隣のウィッチの間で密かに流行っている、危険行為だ」
ミーナ「わざわざ危険地帯でたまごを暖めるなんて、扶桑のウィッチはどうしてそんなことをするのかしら」
坂本「まあ、一種の遊び心だろう。だが、これがなかなかうまいんだぞ? そうだ、今度茹でてきてやろう。はっはっは!」
芳佳「たまごかぁ……もしかして、あれもネウロイのたまごだったりして」
リーネ「えぇっ? ネウロイってたまごで増えるのかなぁ……?」
芳佳「ネウロイの生態ってまだよく分かってないんだよね。もしかしたら、そうかもしれないよ」
ペリーヌ「なにをおバカなことを」
               
          
61:
ミーナ「そろそろ、本部から解析班が到着する時間ね。食堂を一時明け渡すので、そのつもりで」
芳佳「あ、じゃあ急いで片づけないと」
シャーリー「おっかしいなぁ。ルッキーニのやつ、こなかったぞ」
エーリカ「一晩中虫を追っかけまわしてたんだろうし、まだ爆睡してるんじゃないかな」
エーリカ「私も眠い……ふぁ〜あ。ひと眠りしよっと」
バルクホルン「ハルトマン。お前は私と一緒に周囲の見回りだ」
エーリカ「えぇ!?」
バルクホルン「基地内にネウロイが侵入したんだ。辺りに異変が無いか確認しておかねばなるまい」
バルクホルン「ほら、行くぞ」
エーリカ「ねむい〜……」
シャーリー「あたしもルッキーニを探してくるかな」
ペリーヌ「宮藤さん、リーネさん。後片付けが済んだら、すぐに訓練ですわよ」
芳佳・リーネ「「 はーい 」」
               
          
64:
〜基地周辺〜
バルクホルン「異常無し。よし、次だ」
エーリカ「私の眠気が異常だよ〜。トゥルーデー」
バルクホルン「お前はどれだけ眠れば気が済むんだ……」
エーリカ「満足するまで」
バルクホルン「まったく……おい、そっちじゃない。こっちだ」
エーリカ「ええ? あんな方も見るの? 普段誰も近寄らないじゃん」
バルクホルン「だからこそだ」
エーリカ「物好きだなぁ」
バルクホルン「アドリア海の沿岸部は複雑な地形が多いと聞いたことがある。現に、細部を見落としがちだろう」
バルクホルン「こういう機会に、きちんと確認しておくべきだ」
エーリカ「はいはい」
               
          
66:
シャーリー「おーい! ルッキーニ! もうとっくに朝だぞー! おーい!」
シャーリー「変だな……いつもなら、そろそろ見つかってもいいはずなんだけど」
シャーリー「ルッキーニー! 返事しろー!」
バルクホルン「む? こんなところに洞窟があったのか」
エーリカ「うえ……なんか出てきそう」
バルクホルン「下り坂になっているな……方向からして、基地の下へ通じているようだが」
シャーリー「ルッキーニー!」
エーリカ「あ、シャーリーだ」
シャーリー「あれ? なんだよ、見つけたのはカールスラントのおふたりさんか」
バルクホルン「ルッキーニはまだ見つからないのか?」
シャーリー「まあね。目ぼしいとこは全部見たんだけど、空振りだった」
エーリカ「この中にいたりして」
シャーリー「この中って……洞窟か? こんなのあったんだな。でも、ここにはいないと思うよ」
シャーリー「ルッキーニは好奇心旺盛だけど、こういう閉鎖的な暗がりはあんま好きじゃないからさ」
エーリカ「まあ、好きな人はいないよね」
バルクホルン「よし、中を探索してみよう」
エーリカ「ええ〜! やめようよー」
               
          
68:
バルクホルン「この様子だと、まだ誰も中を検めていないだろう。我々が確認しないでどうする」
エーリカ「だって暗いし、ジメジメしてるしさー」
バルクホルン「そのくらいなんだ。さあ、行こう」
ズリッ
バルクホルン「ぬあっ」
ドテン
エーリカ「わあ! トゥルーデ大丈夫!?」
バルクホルン「だ、大丈夫だ……」
シャーリー「おいおい、見事な滑りっぷりだったな」
ヌメヌメ
シャーリー「ははぁ、こりゃコケだ。下手に足を踏み入れたら危なそうだし……引き返したほうがいいよ」
バルクホルン「くっ……足を捻ってしまった……不甲斐ないが、撤退だ……」
エーリカ「ほら、おんぶしたげるよ」
バルクホルン「すまない……」
               
          
71:
エーリカ「宮藤ー」
芳佳「あれ、どうしたんですか? バルクホルンさん、おんぶなんてしてもらって」
バルクホルン「こ、これはだな……」
エーリカ「足捻っちゃったんだ。ちょっと見てくれる?」
芳佳「えっ、大変! 見せてください!」
ペリーヌ「それは災難でしたわね」
シャーリー「ルッキーニは見つからないし、困ったもんさ」
芳佳「どうですか?」
バルクホルン「ああ、すっかり良くなった。ありがとう」
芳佳「えへへ」
ミーナ「あら、みんな揃ってどうかしたの?」
エーリカ「それがさ、トゥルーデがステーンって!」
バルクホルン「な、なんでもないんだ! ミーナこそ、どうしたんだ? 何か用があって来たんだろう?」
ミーナ「用というほどではないのよ。解析班が引き上げたことを伝えにきただけだから」
バルクホルン「そうか、調査は終了したんだな」
リーネ「でも……まだ食堂にはネウロイがいるんですよね?」
ミーナ「ええ」
               
          
72:
芳佳「なにか分かったんですか? その、解決策とか……」
ミーナ「どうかしら……正直、期待はできないでしょうね。そもそも、ネウロイに関しては分からないことが多過ぎるの」
リーネ「コアを破壊すると、全部消えちゃうから……」
芳佳「そっか。生きてる状態で捕まえてみないことには、詳しく調べられないんだね」
シャーリー「つっても、あんな危ないのを生け捕りなんてできっこないし」
ミーナ「ええ。だからこそ、今回の件を上層部は貴重な機会だと考えているらしいの」
バルクホルン「研究材料、というわけか」
ミーナ「しばらくは本部の人員が行き来することになるでしょうね」
ペリーヌ「その間、ネウロイは放置……ということですか?」
ミーナ「ええ」
バルクホルン「くそ……敵と同じ屋根の下で過ごし続けろというのか……!」
リーネ「あの、今夜の見張りはどうするんですか?」
エーリカ「私はヤダ! 絶対ヤダ!」
ミーナ「そうね。そこは私も賛成よ」
エーリカ「やったね!」
バルクホルン「誇らしげにするな!」
               
          
73:
〜夜〜
エイラ「ハァ〜……なんでツンツン眼鏡と……サーニャが良かったのにナー……」
ペリーヌ「仕方ありませんでしょう! サーニャさんは哨戒任務があるんですから!」
ペリーヌ「だいたい、わたくしだって坂本少佐と……はぁ、くじ運がありませんわね……」
エイラ「なあ、見張りはお前に任せるからサ。私はサーニャを追っかけてもいいか?」
ペリーヌ「駄目に決まっているでしょう! そんなことをしたら、即刻、中佐に言いつけますわよ」
エイラ「うぇ! じょ、冗談ダロ? 本気にすんなよナー。まったく……」
ペリーヌ「冗談に聞こえませんでしたわ」
エイラ「……」
ペリーヌ「……」
エイラ「……退屈ダナー」
ペリーヌ「…………ふぁ」
エイラ「オイ! ネルナー!」
ペリーヌ「きゃあ! な、なんですの!? 急に大声を出さないでくださいまし!」
エイラ「おまえが寝ようとしてたからダロ!」
ペリーヌ「わ、わたくしが!? 御冗談を! 任務を放棄して眠りこけるだなんて、そのようなこと、絶対にありえませんわ!」
エイラ「ホントかー? 時々サーニャの哨戒に付き合ってる私は慣れてるけど、そっちは不慣れなんじゃないか?」
ペリーヌ「なんてことありませんわ」
               
          
74:
ペリーヌ「Zzz」
エイラ「寝てんじゃねえカー!!!」
ペリーヌ「ひゃあ!?」
エイラ「寝るナヨー!」
ペリーヌ「や、やだ、わたくしとしたことが……!」
エイラ「しっかりしろよナー。もー」
ペリーヌ「ふぁ……ダメですわね……ただ丸っこい物を眺めているだけというのは、どうにも」
エイラ「そうやって中尉たちは失敗したんダ」
ペリーヌ「え、ええ。そうですわね。少佐の期待を裏切らないためにも、しっかりしないと……!」
ウネウネ
エイラ「あん?」
ペリーヌ「? どうかしまして?」
エイラ「いや……ネウロイにあんなモン、生えてたか?」
ペリーヌ「あんなもの……?」
エイラ「ほら。上の方に、なんかニョロっとしたのが生えてないか?」
ペリーヌ「ん〜……? たしかに……なにか、生えているようですわね」
               
          
75:
エイラ「さっきまでは生えてなかったはずだよナ? よし、近くで見てみるか」
ペリーヌ「ちょ、ちょっとエイラさん! 近づいたら危ないでしょう!」
エイラ「でも気になるダロー?」
ペリーヌ「それはたしかに、そうですけど……」
ウネウネウネ
エイラ「触手か……?」
ペリーヌ「ええ……でも、ネウロイからあのようなものが生えたなんて、聞いたことありませんわ」
エイラ「ヨシ、つっついてみよう」
ペリーヌ「なぁっ! おやめなさい!」
エイラ「ナンダヨー。ビビってんのかー?」
ペリーヌ「び、ビビってなんて! どうってことありませんわよ! このくらい!」
エイラ「だったらいいダロー? 私の未来予測によると、悪い予感は無いからサ」
ペリーヌ「それ、当てになるんですの?」
エイラ「ナンダヨー。疑ってんのかー? いいから棒切れでも探せっテ」
               
          
80:
エイラ「ヨシ。このモップでイイナ」
ペリーヌ「あ、あまり刺激しないように……」
エイラ「ダイジョブだって。ホーレ」
ツンツン
パカッ
エイラ「オ」
ペリーヌ「あら」
「ォォォォォォン」
パックン
エイラ「オオ」
ペリーヌ「あらあら」
               
          
81:
エイラ「……」
ペリーヌ「……」
エイラ「口みたいに開いたナ」
ペリーヌ「ええ。パックリと、開きましたわ」
エイラ「……」
ペリーヌ「……」
エイラ「モップを奪われたナ」
ペリーヌ「ええ。食べられてしまいましたわ」
エイラ「……」
ペリーヌ「……」
エイラ「モップが食われたアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」
ペリーヌ「いやああああああああああああああああっ!!!!!」
               
          
84:
ミーナ「Zzz」
ウワアアアア キャアアアア モップガクワレタアアアアア
ミーナ「……んん? なにかしら……」
バタンッ
エイラ「ミーナ中佐ァー!!!」
ペリーヌ「中佐!!! た、大変ですわ! 大変! 一大事ですわぁ!!!」
エイラ「ウワアアアアアアアア!!!!」
ペリーヌ「おぞましぃぃぃぃ!!!!」
ミーナ「ど、どうしたの!? ふたりとも落ち着いて!!!」
エイラ「じ、実は、ソノ……」
ペリーヌ「ね、ネウロイが、大きな口を開けて……!」
ミーナ「ネウロイが……? エイラさん、ペリーヌさん。冷静に、何が起きたかを説明して」
エイラ「そ、その……そう! モップが喰われたんダ!!! ニョロニョロしてたからつっついて、そしたら……!」
ペリーヌ「パクリと! ひと口ですわ! ……まるでハエトリグサのように……!」
ミーナ「ニョロニョロ……? ハエトリグサ……?」
エイラ「いいからきてくれ!」
ペリーヌ「こっちですわ! さあ!」
               
          
86:
シャーリー「おいおい、騒がしいから来てみれば、いったいなんだ?」
坂本「どうした?」
バルクホルン「ネウロイに何か変化があったのか?」
芳佳「ふあぁ……あれ、でも昨日と何も変わってないように見えるけど……」
リーネ「うん……」
サーニャ「どうしたの、エイラ」
エイラ「聞いてくれよサーニャ〜! ネウロイがモップを喰ったんダァ〜!」
シャーリー「よく分かんないんだけど」
坂本「説明してくれ。ペリーヌ」
ペリーヌ「は、はい。えっと……ネウロイの頭部に、触手のようなものが見えませんか?」
ミーナ「触手……?」
ウネウネ
坂本「あれは……! あんなもの、生えていたか?」
ペリーヌ「わたしくたちも、さきほど気がつきました」
芳佳「へぇ〜、なんだろうアレ」
リーネ「なんだか気味が悪いね、芳佳ちゃん」
               
          
88:
バルクホルン「解析班から報告は受けていないのか?」
ミーナ「ええ。昼間は生えていなかったんじゃないかしら」
エーリカ「で? あのウニウニって何なの?」
ペリーヌ「それが……」
エイラ「まあ見ててくれヨ。オーイ、誰か長い棒を貸してくれー」
坂本「ん? ではこの烈風丸を」
ペリーヌ「しょ、少佐! いけません!」
エイラ「いや、それは流石にやめておいた方が……」
芳佳「あっ、ここに箒がありますよ。どうぞ」
エイラ「ヨシ。じゃあ見てろヨ。すごいかんナ」
ツンツン
パカッ
「ォォォォォォン」
パックン
リーネ「えっ……」
坂本「こ、これは……! 箒を喰ったのか……?」
               
          
90:
バルクホルン「あのニョロニョロを刺激すると口が開き、対象を捕食するようになっている……ということか」
リーネ「ひぇ〜」
芳佳「なんか、こ、怖いね……」
サーニャ「ええ……すごく、怖い……」
エイラ「っ! サ、サーニャ、大丈夫だかんナ! サーニャは私が守ってやる!」
エーリカ「ネウロイって口があったんだー」
坂本「ふむ……あの触手は、獲物を誘い出す餌のようなものかもしれんな」
シャーリー「あの、さ」
坂本「ん? どうした、シャーリー」
シャーリー「すっご〜く、嫌な予感がするんだけど……」
バルクホルン「嫌な予感?」
シャーリー「実はさ……まだ、ルッキーニが帰ってこないんだよ」
芳佳「え? そ、そうなんですか!?」
シャーリー「今も、外を探してたんだけど……見つからないんだ。さっぱり」
シャーリー「で、今の捕食シーンだろ……? これって、つまりさ……」
エーリカ「……えっ」
坂本「まさか……!」
ミーナ「そんな……!」
リーネ「それって……つまり……」
芳佳「ルッキーニちゃん、食べられちゃったかもしれないってこと……?」
               
          
92:
シャーリー「は、ははは……いやー、まさかそんな……」
シャーリー「……な、なあ、ルッキーニが……食われたなんてさ……」
シャーリー「ルッキーニ……ルッキーニ……! そ、そこにいるのか……?」
シャーリー「おい! ルッキーニ!!!!!!!!!」
ガシッ
ダンダンダンッ
シャーリー「ルッキーニぃ!!!! 返事しろぉ!!!!!」
ミーナ「シャーリーさん!!!」
坂本「危険だ!!! やめろシャーリー!!!」
バルクホルン「冷静になれ!!!」
シャーリー「冷静でいられるか!!! ルッキーニがこいつに食われちまったかもしれないんだぞ!?」
シャーリー「くそっ!!! ルッキーニィ!!! こいつ!!! 吐き出せぇ!!!!」
坂本「シャーリーをネウロイから引き離せっ!」
芳佳「シャーリーさん!」
リーネ「危険です〜!」
               
          
93:
シャーリー「悪かった……少しパニックになってたよ……」
バルクホルン「いや、無理もないだろう……皆、同じ気持ちだ……」
芳佳「ルッキーニちゃん……」
坂本「仮にルッキーニがネウロイに取り込まれたとして、コアと一緒に地下へ運ばれたと考えるのが妥当だろうな」
ミーナ「そうね……」
リーネ「いったい何が目的なんでしょう」
坂本「食事の目的と言ったら、エネルギー補給だろうが……」
シャーリー「……!」
ミーナ「ちょっと、美緒っ」
坂本「あ、いや、すまない……」
シャーリー「ルッキーニ……」
芳佳「た、助けに行きましょう! 仲間のピンチです!!! 私、このままじっとしているなんて、嫌です!!!」
ペリーヌ「宮藤さん……まったく、あなたという人は。相変わらずですわね」
坂本「……ああ。そうだな、宮藤。当然だ」
バルクホルン「元々、私は敵を目前にして放置という現状が気に食わなかったんだ。撃破する意向に異議などあるはずがない」
リーネ「絶対にルッキーニちゃんを助けようね!」
芳佳「うん!」
ペリーヌ「ですけど、いったいどうやって……敵のコアは地中にあるのでしょう?」
エーリカ「掘っていけばいいじゃん」
バルクホルン「無茶を言うな。ここ一帯の地盤は硬い。単なる穴掘りとはわけが違うぞ」
               
          
94:
シャーリー「……! そうだ……あの洞窟……!」
坂本「ん? なにか心当たりでもあるのか?」
バルクホルン「洞窟? そうか……!」
エーリカ「あっ、たしかにあそこなら」
ミーナ「いったい何のことかしら」
シャーリー「実は昨日、この基地の近くで洞窟を見つけたんです」
バルクホルン「穴の伸びる方向からして、この基地の真下へ続いている可能性が高い」
バルクホルン「その洞窟を探索すれば、ネウロイのコアに近づけるかもしれないということだ」
芳佳「行きましょう!!!」
エイラ「今からか? こんな時間だし、外はすっごく暗いぞ。まして洞窟じゃ……」
ミーナ「そうね……けど、事態は一刻を争うわ。捕食シーンを観測したことで、間違いなく危険度も増した。放置はできません」
坂本「よし! そうと決まればすぐに向かうぞ!」
「「「 了解! 」」」
               
          
95:
〜洞窟〜
エーリカ「うわぁ〜、真っ暗……」
バルクホルン「月明かりが木々に遮られているからな。ほぼ見えん」
坂本「私の魔眼である程度は見えるが」
サーニャ「あの……私も、サポートします」
坂本「お! さすがナイトウィッチだ、心強いな! はっはっは! では、先頭はサーニャに任せよう!」
ミーナ「お願いできるかしら、サーニャさん」
サーニャ「はい」
エイラ「お、お、サーニャ、大丈夫か? 無理スンナ? 怖くなったら私に言えよ? すぐに――」
ズルッ
エイラ「ヌアアアアアアッ」
ドテン
サーニャ「エイラ……!」
エイラ「イテテ……クソ、滑った……」
ペリーヌ「まったく、何をしてらっしゃいますの」
エイラ「すごく暗いんだからしかたないだろ……。お前が周りを照らせよ。電気使えんだからサ」
ペリーヌ「無茶をおっしゃらないでください」
バルクホルン「足元がすべりやすくなっているから気をつけろ!」
エーリカ「やらかした本人が言うんだから説得力あるよね」
バルクホルン「ぐっ……宮藤、気をつけろよ」
芳佳「は、はい!」
               
          
96:
サーニャ「大きな段差があります、気を付けてください」
坂本「うむ」
芳佳「へー、すごいねサーニャちゃん。こんな暗闇なのに、周りがハッキリ見えてるみたい」
サーニャ「見えてはいないの。短波の跳ね返りで予測してるだけで」
リーネ「凄い……! コウモリみたい……!」
エイラ「オイ、それって褒めてるのかー?」
坂本「はっはっは! コウモリは音波で周囲の状況を確認するらしいからな。たしかに似ている!」
シャーリー「待ってろよ、ルッキーニ……」
バルクホルン「ぬおっ」
ズリッ
シャーリー「うおっと、あっぶねー。気をつけろよ、バルクホルン」
バルクホルン「す、すまない」
エーリカ「トゥルーデは普段から胸張って勢いよく歩くから滑るんだよ」
バルクホルン「なっ! わ、私は慎重に歩いているつもりだ……!」
シャーリー「ほら、不安ならあたしの肩に手を置くか? 転びそうになった時、踏ん張ってやるからさ」
バルクホルン「ひ、必要ない!」
シャーリー「あっそ。素直じゃないなー」
               
          
97:
サーニャ「……!」
坂本「どうした、サーニャ」
サーニャ「前方に、ひらけた空間があります」
エイラ「出口か?」
サーニャ「ううん、外に通じてるわけじゃないみたい」
芳佳「あれ……なんだか、赤い光が……」
リーネ「ほんとだ……!」
ペリーヌ「あの光は……坂本少佐!」
坂本「うむ。どうやら、当たりだ」
ミーナ「……みんな、注意して」
               
          
100:
ペリーヌ「やっと辺りの状況が分かるようになりましたわ」
芳佳「でも、なんか嫌だな……この光」
エーリカ「うわー、眼に悪そうっ」
バルクホルン「この赤い発光は間違いない、ネウロイだ」
ミーナ「発光体はあの先にあるようね……」
坂本「ああ、十中八九、食堂に居座っているネウロイの本体だろう。少し見てくる」
ミーナ「気を付けて」
芳佳「うう〜、緊張してきちゃった」
ペリーヌ「なにをおっしゃってるんですの。あれだけ啖呵を切っておきながら」
芳佳「た、啖呵なんか切ってないよ……!」
坂本「……」チラッ
バルクホルン「どうだ、少佐」
坂本「……何か、あるな……コアも確認できる。だが……なんだあれは、ぼた餅か?」
ミーナ「美緒……たぶん、扶桑の食べ物なんでしょうけど、例えられても分からないわ」
坂本「だが……あれはぼた餅だ。宮藤ちょっとこい」
芳佳「あ、はい」
坂本「あれをどう思う」
芳佳「わー、ぼた餅だ。おっき〜」
坂本「ミーナ。巨大なぼた餅型のネウロイだ」
ミーナ「いいわ。皆で見ましょう。行っても大丈夫なのよね?」
坂本「ああ、こちらを警戒している様子は無い」
               
          
101:
バルクホルン「あれが、ネウロイなのか?」
エーリカ「やわっこそー。あれならすぐに倒せるんじゃない?」
坂本「だといいがな……。接近してみよう。全員、いつでもバリアを張れるように警戒しろ」
―――
エーリカ「近くまできたけど……」
ブヨブヨ
エイラ「ウエー、ナンダコレ。ブヨブヨしてんぞ……本当にこんなんがネウロイなのかー?」
サーニャ「触ると気持ちいい……」
ブヨブヨ
エイラ「お、オイ、サーニャ。ばっちぃからあんま触んナ」
モミモミモミ
芳佳「……」
リーネ「芳佳ちゃん……?」
芳佳「近い」
リーネ「何に?」
芳佳「え? あ、ううん。柔らかさが近いかなぁと思って」
リーネ「何の柔らかさに近いの……?」
芳佳「いやー、あはは」
               
          
103:
坂本「この中にルッキーニがいるはずなんだが……」
シャーリー「入ろう! すぐに!」
バルクホルン「落ち着け。何が待ち受けているのか分からないんだぞ?」
シャーリー「ルッキーニが待ってるのは分かってるんだ! ミーナ隊長!」
ミーナ「……そうね。坂本少佐」
坂本「うむ。切開してみよう」
ギラリッ
坂本「ていっ」
ズバッ
ペリーヌ「開いた……! さすが少佐!」
エイラ「誰が斬ったって開くだろ」
ペリーヌ「おだまりっ」
ミーナ「第一目標はルッキーニさんです。コアは後回しで構いません」
坂本「よし、行くぞ……!」
               
          
104:
〜ぼた餅内部〜
エーリカ「うえー。ネウロイの中ってもっとガチガチしてる思ってたんだけど……」
バルクホルン「これほど有機的とはな……まるで生き物の体内だ」
リーネ「ひえっ! よ、芳佳ちゃん! なんか、動いてる……!」
ドクンドクン
芳佳「うわっ! 本当だ……! 血管……ではないみたいだけど」
サーニャ「……」
エイラ「サーニャ、大丈夫か? 気分悪くないか?」
サーニャ「ちょっと怖いけど……大丈夫。それより、ルッキーニちゃんを探しましょう」
エイラ「あ、ああ。ダナ」
シャーリー「ルッキーニー!!! どこだー!!!」
ペリーヌ「なんだか……広いわりに、音が反響しませんわね」
坂本「ああ、湿度が高いのか……妙な感覚だ」
エーリカ「ルッキーニやーい! 出ておいでー!」
バルクホルン「ルッキーニ少尉ー!!!」
ミーナ「ルッキーニさーん!!!」
               
          
106:
サーニャ「ルッキーニちゃーん!」
エイラ「オーイ! ルッキーニー!」
グニュ
エイラ「ン? なんか踏んだような……」
エイラ「ヌアアアアアアアアアアアっ!?」
サーニャ「ど、どうしたの、エイラ」
バルクホルン「どうしたぁ!」
シャーリー「ルッキーニが見つかったのか!?」
エイラ「あ、いや……なんかきもちわりいモンを踏んづけて……」
エーリカ「なーんだ」
ペリーヌ「まったく人騒がせな……」
エイラ「だって見ろよ。コレ……なんかモジャっとしてて不気味じゃないか」
サーニャ「……それ、モップじゃない?」
エイラ「エッ」
ペリーヌ「あら……たしかに、見覚えがありますわ」
ミーナ「エイラさんが言っていた『食べられたモップ』ってこれのことじゃないかしら」
エイラ「なっ、ナンダー。そうか、あの時のモップかー」
芳佳「あ! こっちには箒が落ちてますよ!」
坂本「ということは……ルッキーニも近いかもしれないな」
               
          
107:
バルクホルン「これは……! な、なんだ……?」
エーリカ「んー? トゥルーデも変なの踏んづけたの? ってうわー! なんだコレー!」
坂本「これは……巨大な寒天か!?」
リーネ「寒天というよりかは、ゼリーのような……」
エイラ「ウヘェ……ブヨブヨの中にプヨプヨがいたのか……」
芳佳「どうしてぼた餅の中に寒天が……?」
ペリーヌ「いちいち食べ物に例えるのはおよしなさい! もう……」
ペリーヌ「いったい、何なんですの……? この、ゲル状の塊は……」
サーニャ「……」
エイラ「ン? おいサーニャ。何見てるんだよ」
サーニャ「上……管みたいなのが、何本も伸びてるから……」
エイラ「あー、ホントだ……なんだ、アレ」
キュオォォォォォオオォオ
坂本「!? 何の音だ!?」
ドボンッ
エーリカ「管から何か出てきたよー!」
ミーナ「あれは……鳥?」
坂本「他にも、魚や……石に木の破片か……。管から寒天へ送り込まれているようだが……」
シャーリー「まさか……この管、全部あの球体につながってるんじゃないか……?」
芳佳「えっ?」
バルクホルン「食堂にあったアレの他に、別の個体があるのかもしれないな」
               
          
108:
芳佳「あの丸いのが、他にもたくさんあるってことですか?」
バルクホルン「ああ。あの球体は、餌を捕食するための罠だろう」
バルクホルン「そいつを各所に配置し、獲物がかかるのを待ち構えていたというわけだ」
坂本「ふむ……その罠で捕らえた餌を、この寒天へ投入しているのか」
ミーナ「このゲル状の塊は、人体で言う所の胃ってわけね」
芳佳「じゃあ、あの球体は口で、柱の部分は……食道!」
エイラ「食堂の食道……」
サーニャ「エイラ……」
エイラ「ち、違う! 別にシャレを言ったわけじゃなくてダナ……!」
シャーリー「何にせよ、ルッキーニはここにいる可能性が高いんだな! もっとよく探そう!」
芳佳「は、はい!」
               
          
111:
ミーナ「あの夜に取り込まれたとして……もう丸一日経ってしまっている……」
ミーナ「一刻も早く見つけないと……もしこれが胃なのだとしたら……」
ミーナ「!?」
ミーナ「……こ、これは……!」
―――
ミーナ「皆、集まって」
坂本「どうした、ミーナ」
シャーリー「ルッキーニが見つかったんですか!?」
ミーナ「いいえ。ルッキーニさん本人は……もう」
芳佳「え?」
リーネ「あの、それって、どういう……」
ミーナ「これが……これだけが見つかったわ」
シャーリー「そ、それは……! ルッキーニの上着とズボン……!」
坂本「まさか……」
シャーリー「う、嘘だよな……そんな……」
ミーナ「おそらく……ルッキーニさんは……」
シャーリー「し、信じない……ルッキーニが消化されちまったなんて……そんな話、あってたまるか……!」
               
          
112:
バルクホルン「シャーリー……」
シャーリー「くそ……あたしが……守ってやれなくて……」ガクッ
芳佳「ルッキーニちゃん……」
リーネ「うぅ……グスン」
坂本「くっ……!」
ミーナ「……」
<待てー! 虫ぃ〜!
シャーリー「ハハ……ハハハ」
バルクホルン「おい! しっかりしろ! シャーリー!」
シャーリー「情けないよ……笑ってくれ。今でもさ……あいつの声が聞こえる気がするんだ……縋ってるんだよ、あたしは……」
<待て待て〜っ!
エーリカ「私も聞こえる……うぅ、ルッキーニ……」
ペリーヌ「不思議ですわね、わたくしも……」
<うにゃ〜!
エイラ「……つーかコレ、本当に聞こえてないか?」
芳佳「は、はい。すごくハッキリと……」
               
          
113:
ルッキーニ「あにゃ? あーっ!!! みんな!!!」
シャーリー「ルッキーニ!?!? おまっ、なんで全裸で……! ぶ、無事だったのか!?」
ルッキーニ「シャーリー!!!」
シャーリー「ルッキーニ!!!」
ガシッ
ルッキーニ「うえぇぇぇ! さびしかったぁ〜!」
シャーリー「あたしもだ! いやぁ、おまえ心配させんなよ〜! ルッキーニが死んじゃったと思って、泣いちゃったんだからな?」
ルッキーニ「ごめんね。はやく帰りたかったんだけど、ここがどこだか分からなくて……」
芳佳「良かったぁ! ルッキーニちゃん!」
サーニャ「ふふ、おかえりなさい」
エイラ「ヤレヤレ、一件落着ダナ」
ペリーヌ「まったくもう、人騒がせなんですから」
バルクホルン「しかしなんで全裸なんだ。しっかりと服ぐらい着んか!」
エーリカ「いいじゃんそんなこと。あー、よかったよかった」
               
          
114:
ミーナ「ルッキーニさん、ここで何があったか、教えてもらえるかしら」
ルッキーニ「んとねー、丸っこいネウロイからうにょうにょしたのが生えててー」
ルッキーニ「それを弄ってたら、急に食べられちゃってー」
ルッキーニ「そんでそこのプリプリしたのに落っこちて……そこにいると力が抜けちゃって……」
坂本「力が抜ける……?」
ルッキーニ「そだよ。だから頑張って抜け出して、プリプリがくっついちゃったズボンとか脱いでおいたの」
坂本「ふむ……どうやら、あの寒天に触れていると、魔法力が吸い取られるらしいな」
ペリーヌ「まあ……!」
芳佳「じゃあ胃というよりも、腸に近いのかも」
坂本「何はともあれ、第一目標であるルッキーニの奪還は成った」
エイラ「じゃあ帰るか」
エーリカ「うえーい」
ミーナ「帰れるわけないでしょう」
エーリカ「ええぇ? なんで?」
バルクホルン「当たり前だ! こいつはネウロイなんだぞ! 放置しておけるわけがない!」
ルッキーニ「えぇー、もう疲れたよー」
シャーリー「ほら、ルッキーニはあたしの背中で休んでな」
ルッキーニ「ん! あんがと!」
ペリーヌ「あの、坂本少佐。コアの位置は特定できているのですよね?」
坂本「それなんだがな……」
ペリーヌ「? どうかされました?」
坂本「まあ、とりあえず行ってみよう。あっちだ」
               
          
115:
坂本「あそこだ。天井からぶら下がっているだろう」
ミーナ「……!」
シャーリー「おいおい……」
バルクホルン「コアが……たくさんあるな」
芳佳「えーっと、あれは……そうだ! 葡萄! 葡萄みたいだね!」
リーネ「う、うん。でも、コアはネウロイ一機にひとつだけのはずじゃ……」
坂本「複数のコアを持つネウロイの確認情報もないことはない、だがそれにしたって数が多過ぎる」
ミーナ「あのコアの集合体にも管が繋がっているのね」
坂本「ああ。おそらく、先ほどの寒天から伸びているのだろうな」
ペリーヌ「餌から吸収したエネルギーを、コアへ供給しているということでしょうか」
坂本「これは推測だが、ここはコアの製造所だろう。宮藤の『ネウロイのたまご』という表現も、あながち間違いではなかったらしい」
芳佳「えええええええええええっ」
バルクホルン「なっ、そ、それはまるっきり……ネウロイの巣じゃないか!?」
エーリカ「っていうか、そうなんじゃない?」
エイラ「ナンダヨ……基地の真下にネウロイの巣をつくられたなんて、冗談じゃないぞ」
ミーナ「おそらく、まだまだ未完成の状態ね……。コアを纏う装甲は量産されていないようだし……」
坂本「ああ。この段階で発見できたのは不幸中の幸いだ。すぐに駆除しよう」
               
          
116:
坂本「武器を構えろ!」
エーリカ「えっ」
バルクホルン「……そ、そう言われてもな」
エイラ「武器なんて持ってきてないぞー」
ペリーヌ「え、ええ。わたくし、レイピア一本しか……」
芳佳「洞窟内は身軽なほうがいいって、ミーナさんと坂本さんが言ったんですよ」
坂本「そ、そうだったな……弱った。コアがあの高さでは銃器でないと話にならん」
ミーナ「一度戻って、装備を整える他なさそうね」
坂本「よし! いったん戻ろう!」
               
          
118:
坂本「ん? ……出口が塞がれているな」
芳佳「あ、本当だ……入る時に斬ったのに」
坂本「しかたない。もう一度斬るか」
坂本「でやっ」
ズバッ
ズリュリュリュリュ
坂本「!?」
バルクホルン「さ、再生した!?」
坂本「斬ったそばからこれか……ふむ、まいった」
リーネ「で、でも、入る時は斬ってもすぐには修復されませんでしたよね!?」
坂本「どうも……様子が変だな。烈風丸にうまく魔法力が纏えない」
ミーナ「まさか…………ペリーヌさん、壁への電撃を試してもらえるかしら」
ペリーヌ「は、はい」
バチ バチバチッ
ペリーヌ「トネール!!!」
バチン
ペリーヌ「あ、あら?」
シャーリー「おいペリーヌ。遠慮しないで、もっと威勢よくやってくれよ」
エイラ「ケチケチすんなよなー」
ペリーヌ「わ、わたくしは全力で撃ちましたわ!!!」
               
          
121:
ミーナ「やはり……この内部にいるだけで、魔法力を吸い取られるようね」
芳佳「ええええぇ!?」
シャーリー「魔法力が弱まって壁が破れないのか……ん? ってことは……」
エーリカ「と、閉じ込められた〜! もうだめだ〜!」
リーネ「あの……明日もまた、本部の方がいらっしゃるんですよね? その時、捜索してくれるんじゃ……」
エーリカ「あ、そっか。じゃあ大丈夫だね」
坂本「それまで我々はもつだろうが……ルッキーニはどうだ。丸一日、ここにいたはずだ」
ルッキーニ「あ、あたしは大丈夫!」
シャーリー「いや、もうヘロヘロじゃないか。無理だよ、それまでに魔法力が尽きる」
エイラ「サーニャだって危ないぞ! 哨戒任務の途中だったんだからナ!」
バルクホルン「くそ! なんとしてもこの壁をつきやぶるしか……!」
ミーナ「いえ、美緒の斬撃でも突破できないのよ。体力を消耗するだけだわ」
ミーナ「ここからの脱出よりも、コアの殲滅を目標に据えたほうがいいようね」
坂本「だな。だが……あの高さだ。手が届くかどうか」
               
          
122:
坂本「ていっ」
スカッ
坂本「やはり届かなかったか」
エイラ「そりゃそうだろ。あんな高いところにあるんだから」
坂本「やるだけやっておきたかった」
エーリカ「しゅとぅるむ〜!」
シュルルルルル
バルクホルン「つむじ風程度か! もっと気を張れ! ハルトマン!」
エーリカ「ん〜! 無理だよぉ! そもそもユニットありきの能力なんだぞ〜! 遠くに飛ばすなんて芸当は……!」
ペリーヌ「とねーる! とねーっる!」
パチッ パチチッ
サーニャ「ピリッとする」
エイラ「おい! こっちに静電気飛ばすなよ!」
ペリーヌ「し、しかたありませんでしょう!」
芳佳「頑張って! ペリーヌさん!」
               
          
124:
〜数十分後〜
坂本「だめか……」
シャーリー「普段空を飛び回ってるあたしらが、ちょっと高い場所にあるコアに手が届かないなんて……」
バルクホルン「おのれ……」
ペリーヌ「も、もう限界ですわ……」
エーリカ「私も……無理……」
リーネ「ペリーヌさん! ハルトマンさん!」
坂本「まずいな……消耗する一方だ……」
サーニャ「ペリーヌさんのレイピアを投げたら、コアを倒せるかも……」
エイラ「ソウカ! やり投げの要領だな……! 借りるぞ! ペリーヌ!」
ペリーヌ「え、ええ」
エイラ「トリャー!!!」
ヒュン
カンッ
エイラ「当たった!!!」
芳佳「すごい! エイラさん!!!」
ミーナ「当たったけど……」
坂本「当たっただけだな。傷一つ負ってないように見えるぞ」
エイラ「ペリーヌ……お前の家宝のレイピア、ダメだったナ……」
ペリーヌ「どうしてそういうことになりますの!!!」
               
          
125:
バルクホルン「刀だろうとレイピアだろうと、コアに渾身の力で振り下ろさんことには意味が無い」
坂本「崖のぼりの要領で壁を伝い、コアまで行けないか? 幸い、とっかかりは多いようだが」
ミーナ「無理よ。固い岩場ならまだしも、ブヨブヨとした肉の壁じゃ……」
バルクホルン「だが、他に良い方法は思いつかないんだ。私が試してみよう」
ガシッ
バルクホルン「ぐぐぐっ」
ズリッ
バルクホルン「おわっ」
ドテン
バルクホルン「あぐっ……」
エーリカ「トゥルーデ、大丈夫?」
バルクホルン「くそ……ミーナの言った通りだ。壁全体が柔らかくて、掴もうにも力の加減が難しい。足の踏ん張りも効かない……」
シャーリー「ルッキーニを助け出したってのに……ここまでなのか……!?」
ルッキーニ「シャーリー……」
坂本「もはやこれまでか……!」
芳佳「私にやらせてください!!!!!!!!!!!!!!!」
               
          
126:
坂本「宮藤……!」
バルクホルン「宮藤……いや、やめるんだ。危険すぎる……いくら地面が柔らかいとはいえ、落ちて怪我をしたら――」
芳佳「諦めたくないんです!!!」
バルクホルン「……!」
リーネ「芳佳ちゃん……!」
坂本「宮藤……よく言った! それでこそ、私が見込んだウィッチだ!」
シャーリー「できるのか、宮藤?」
芳佳「はいっ。あのフィーリングに間違いがなければ……!」
ペリーヌ「フィーリング……?」
芳佳「……」
モミモミ
芳佳「近い」
リーネ「えっ」
芳佳(やっぱり……この柔らかさ、弾力……おっぱいに限りなく近いんだ……!)
芳佳「いけます」
坂本「よし! お前に烈風丸を預けるぞ!!!」
               
          
127:
バルクホルン「宮藤、下を見るなよ。怖くなるからな。万が一落ちても、私が受け止めるから安心しろ」
芳佳「はいっ」
バルクホルン「……しっかりな。肩の力を抜くんだぞ。り、リラックスしてだな」
エーリカ「なんでトゥルーデが緊張してるんだよー」
バルクホルン「緊張などしていない!!!」
芳佳「……ふぅー、ぺっぺっ」
パンパン
芳佳「ふんっ」
ガシッ
芳佳「せいっ」
ガシッ
芳佳「あらよっ」
ガシッ
グッグッグッグッ
サーニャ「わぁ……!」
シャーリー「凄い……凄いじゃないか! ははは! 宮藤のやつ、どんどん登っていくぞ……!」
エイラ「見直したぞ、ミヤフジ…!」
ルッキーニ「よしかー! がんばれー!」
ペリーヌ「あの子……クライマーの素質があったということ……?」
               
          
128:
芳佳「……」ブツブツ
芳佳(あのおっぱいに右手をかけて……左足をあのおっぱいに……そして左手を――)
芳佳「……よっ。ほっ」
芳佳「……ふぅ、ちょっと右手が疲れちゃった。揉もう」
モミモミ
芳佳「よし、これで右手の疲労は回復した……急がないと……!」
ミーナ「もうあんなところに……!」
坂本「宮藤……まさかこんな特技を隠し持っていたとはな……!」
芳佳「やった! 一心不乱に登ったら、コアがあんなに近く!」
坂本「やれぇ! 宮藤ぃ!」
リーネ「芳佳ちゃん!」
芳佳「でやああああああああああああああああああああああああっ」
ブスッ
芳佳「やあああ!!!!! このぉおおおお!!!!」
ザクッ ズバッ
バリーン
               
          
129:
バルクホルン「やったか!?」
エーリカ「今度こそ、やったみたいだね」
ゴゴゴゴゴゴ
ペリーヌ「きゃっ」
シャーリー「なんだ? 地震か?」
坂本「いや違う……コアを破壊したことで、崩壊を始めているらしい」
ミーナ「みんな逃げるわよ!」
芳佳「わっ! ちょっと、待って! 急には降りれな――」
ズルッ
ヒュー
芳佳「わーっ!!!!!」
バルクホルン「宮藤ぃ!!!」
ガシッ
芳佳「ふわー! び、びっくりしたぁ……ありがとうございます、バルクホルンさん!」
バルクホルン「な、なに、これくらいは」
エーリカ「照れてる場合じゃないよ! 早く逃げないと!」
バルクホルン「なっ! 照れてなど……!」
エーリカ「逃げろー!」
バルクホルン「あ、おい待て! 宮藤、しっかり捕まっていろ!」
芳佳「はいっ」
タッタッタッタッタッタ
               
          
130:
〜翌日〜
ミーナ「改めて、皆さんお疲れ様。ネウロイの巣を初期段階で潰すことができたのは大きな功績です」
バルクホルン「これで乗っ取られていたら、全世界から笑いものにされていたがな……」
シャーリー「その点はルッキーニを褒めてほしいなー。ルッキーニが食われなけりゃ、アレを放置してたわけだろ?」
シャーリー「ネウロイの巣だって気づかないまま、手遅れになってたかもしれない」
ルッキーニ「そうだそうだ! 褒めてー!」
芳佳「すごーい、ルッキーニちゃん」
バルクホルン「また屁理屈を……元はと言えば、リベリアン! お前が窓を開けっぱなしにしたからだな」
シャーリー「うっわ、まだそれを持ち出すのかよ。はいはい、すいませんでしたー」
坂本「まあ大事に至らなくて良かった! これで本当に一件落着だな! はっはっは!」
ペリーヌ「はぁ、坂本少佐がそうおっしゃると全て丸く収まりますわね。流石ですわ」
リーネ「かなりの大事だった気がするけど……」
ミーナ「しばらくはネウロイの襲撃も無さそうなので、今日はゆっくり休んでください。以上です」
シャーリー「ふぅー! やりぃ!」
エイラ「サーニャ、どうだ? 一緒にサウナでも」
サーニャ「ごめんなさい、エイラ。私、すごく眠いから……」
エイラ「そ、そうか……」
リーネ「芳佳ちゃん。私たちはどうする?」
芳佳「……」
リーネ「芳佳ちゃん……?」
芳佳「あの感覚、忘れないうちに形にしておきたいんだ」
リーネ「え?」
               
          
131:
坂本「ん? 宮藤は崖にしがみついて何をしているんだ? 今日は訓練はしないはずだろう」
リーネ「それが……」
ペリーヌ「新たなクライミングのスタイルを確立できそうだ、とおっしゃってましたわ」
坂本「クライミングの……?」
ペリーヌ「ええ。先ほど、シリコンの塊を掌につけていました。邪魔なだけでしょうに、いったい何の効果があるのかしら」
芳佳「胸を揉みこむように、やさしく、大胆に、かつコンパクトに……」
ガシッ
芳佳「愛を忘れず……丁寧に、しつこく……!」
ガシッ
坂本「ほう……登山の訓練は何度か受けてきたが、やはりあのような登り方は見たことが無い。まるで崖と戯れているようだ」
リーネ「すごい芳佳ちゃん……いつのまにあんな登り方を……!」
ペリーヌ「意外な才能が開花しましたわね。何がきっかけかは知りませんけど」
芳佳「この登り方はイイ……疲れるどころか、幸福感を感じるなんて……これをオッパインスタイルと名付けよう……!」
アルパインスタイルと双璧を成す、オッパインスタイル誕生の瞬間であった――
END
               
          
137:
読み終わった…
OVAをまるまるみられたような満足感
1ありがとう
               
          
140:
右手が疲れちゃった揉もう
がやばい
これは7話のドタバタ感あってすごく良かった
               
          
14

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