兄貴の彼女を好きになった話wwwwback ▼
兄貴の彼女を好きになった話wwww
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1:
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4:
すぺっく
俺
当時中学2年生
名前 涼太
兄貴
当時高校2年生
名前 健太
兄貴の彼女
当時高校2年生
名前 歩美
7:
登場人物ABCじゃなくて名前つけてるのがなんか気持ち悪いな
RPGの主人公に真剣に考えて名前つけてそう
10:
>>7
名前はスマン。ABCだとわけわかんなくなるから同級生の名前借りたわ。
9:
俺が最初に歩美と出会ったのは、中学2年生になってすぐの4月だった。
その日は休日だったけどサッカー部の練習もなく、家の中で何をするでもなく下はジャージに上はTシャツっていう部屋着姿でいたんだ。
両親は共働きだし、兄貴の健太は朝からどっかに出掛けてて俺は一人でテレビ見ながらご飯食ってた。
13:
ご飯食べ終わってソファに座りながら携帯をいじってたら、いきなりピンポーンってインターホンが鳴ったんだ。
普段居留守使う俺だったが、その日は母親が宅急便来るから居留守使うなってメモを置いていた。
しょうがなく印鑑持って玄関の扉を開けると、そこには段ボールの代わりにコージーコーナーの箱を持った女が立っていた。
14:
当然俺は意味が分からないし、誰?不審者?とか思った。そこで戸惑っている俺を見て、満面の笑みを浮かべた女は口を開いた。
女「はじめまして!健太から聞いてるかな?」
俺「えっ?」
女「あれ?聞いてない?今日、健太の家に遊びに行くって言ってあったんだけど…涼太くんだよね?」
この時、俺は直ぐに目の前の女が兄貴の彼女だと気づいた。高校生になっても俺と同じサッカーをやっていた兄貴から、彼女なんて浮ついた話を聞いたことはなかったので驚いた。
15:
俺「あっ、聞いてないですけど兄貴今いないですよ?」
女「えー!ちゃんとメールしてあったんだけどな。どうしたんだろう?とりあえず、健太とお付き合いさせていただいてます。歩美です。」
見るからに年下だし、部屋着姿の俺へ深々と頭を下げた歩美。頭を上げた際に笑顔で手渡してきたコージーコーナーのケーキ。
俺はそれを「ありがとうございます」とか余裕ぶって貰ったけど、実際はその笑顔に見惚れてしまった。
16:
歩美は高校生ってだけあって、私服姿だったんだけどめちゃくちゃ可愛かった。髪が長かった頃のガッキーを想像してくれれば間違いない。
そんな歩美と俺は玄関で二人どうすればいいのか分からず、無言になってしまった。
兄貴がいないのに家に入れられないし、かといってケーキだけ貰って帰すのも悪い。
俺「あのー。兄貴に電話かメールしてみたらどうですか?」
歩美「あっ、そうだね!」
同じように気まずそうにしていた歩美が鞄から携帯を取り出そうとあたふたしていると、その背後から兄貴が走ってくるのが見えた。
17:
兄貴「歩美、ごめんな!来るって言ってたのに!」
歩美「よかったー。メールだったから伝わってないのかと思った」
一瞬にして歩美の顔が変わったのを、俺は見逃さなかった。なんていうか、俺と話してるときには見せなかった女らしさっていうの?それが兄貴の前だと出てたんだ。
ぶりっ子とか甘えてるわけじゃないんだけど、その時の二人は見るからに高校生カップルだったな。
兄貴「おっ、涼太もありがとうな。ちょっと康平のところにノート届けに行ってたんだ」
康平ってのは兄貴と同じサッカー部の同級生で、俺にとっては中学時代の先輩だった。
そのまま歩美を兄貴は家に入れ、俺も流れ的に兄貴達とリビングに向かった。
18:
リビングに三人で座って、俺は貰ったケーキと冷蔵庫にいつもある炭酸を用意してテーブルに持って行った。貰ったケーキの中身は家族の人数分である四つ入ってたんだが、その中に兄貴が好きなモンブランが入っていた。
俺はそれを見たときに、付き合ってるんだから自分の彼氏の好きなもの知ってて当たり前だよな。って、思ったのと同時に羨ましく感じた。
歩美「家族の人数分しかないから、私はいらないよ!」
健太「大丈夫、父親出張で明後日帰ってくるから食べちゃえよ」
歩美「じゃあ、私もいただくね」
それだけの会話だったが、兄貴が俺の知ってる兄貴じゃなかった。なんていうか男らしいんだよ。大切にしてるってのが凄い伝わってきた。
健太「改めて、こいつが俺の弟の涼太。中学二年生でサッカーやってるんだ」
歩美「さっきも言ったけど、歩美です。宜しくね」
俺「あっ、宜しくお願いします」
20:
中学二年生って年頃も関係してるのかは分からないが、とにかく俺は余裕ぶって歩美にかっこよく見せたかった。
本当は目の前の歩美を可愛いとか思ってるくせに、それがバレないようになんとかポーカーフェイスを決めていた。
兄貴「ケーキくれたのが歩美で、俺の彼女。一応1年の頃から付き合ってるんだ」
別に兄貴の恋愛をすべて知ってるわけじゃないが、中学時代から兄貴はモテた。同級生の女子も、「涼太くんのお兄さんかっこいいよね」とか言ってきたし。
兄貴は告白してきた子が可愛ければ付き合うような、女関係が適当な印象があった。だからこそ、今回連れてきた歩美を大事にしているのも本気なのも分かった。
21:
まだガキの俺は、すっかり歩美のその見た目に惚れてしまった。でも、そんなこと言えるわけもないし素ぶりも見せられない。
その日は俺が二階の自室に篭り、兄貴達はずっとリビングにいた。夕方帰ったらしいが、俺は部屋で寝ていて知らなかった。
これが、俺と歩美の出会い。なんの捻りもないしただ兄貴が彼女連れてきて弟に紹介しただけっていうものだった。
それでもこの一回で、俺は歩美の無邪気な笑顔を好きになってしまった。
22:
歩美を家に連れてきて親に紹介して以来、兄貴は今まで隠してきたのがなんだったのか分からないくらい歩美のことをオープンに話すようになった。
他の兄弟は知らないが、俺と兄貴は二人ともサッカーやってたこともあってか仲が良い。
それに本人には絶対言わないが、同じポジションでサッカーが上手い兄貴を尊敬していた。また、同時に劣等感というか兄貴がコンプレックスでもあった。
勉強も運動も出来て、顔も良ければ愛想も良い。そんな兄貴を持ったせいで、中学の先生にはよく兄貴の話を聞かされていた。
比べられるたびにムカついて、それでも心のどこかで兄貴には勝てないからしょうがないと諦めていた。
その時連れてきたのが歩美。俺は、どうしても完璧な兄貴から何か一つ奪ってやりたいと思ってしまったのだ。
24:
見てる
25:
それから二ヶ月間、俺は歩美に会うことは出来なかった。と言うか、兄貴が家に連れてこなかったのだ。
兄貴は自転車通学だが、どうやら歩美は電車通学らしい。だからあまり家に呼ぶと帰宅時間が遅くなるのが理由だった。
俺は是非また歩美に来て欲しかったが、そんなこと口が裂けても言えない。
だから遠回しに「別に俺がいても気にしないでいいからな」とか兄貴に言っていた。
兄貴と歩美がとっくにそういう関係なのは空いたゴムの箱を部屋で見つけて知っていた。でも俺の家でしてないから、多分歩美の家でしてたんだと思う。
乱れた歩美の姿を想像してたこともある。でも、妄想の中の歩美だけで現実では二ヶ月も会えてなかった。
26:
書くの遅くてスマン。見てくれてる奴はありがとう。
27:
ゆっくりでいいぞ。夜は長い
28:
そんなとき、俺が隠していた中間の壊滅的なテスト結果が見つかってしまった。
期末の二週間前だったんだが、あまりにも酷かったので俺は親に結果を見せろと言われてもはぐらかし続けていたのだ。
丸つけしてあるテストの答案用紙を捨てるのはダメだと思って、ベッドの下に置いたのがまずかった。兄貴からくすねたエロ本(ベッド下に隠した)と一緒に、母親が答案用紙を机の上に置きやがったんだ。
俺はキレたね。なぜ年頃の男の部屋に入るんだと、夕飯作ってる母親に怒鳴りつけた。どうやら俺が空の弁当を出し忘れたのを部屋に取りに行き、汚いからついでに軽く掃除をしようとして見つけたらしい。
その時、俺は遊びに行っていた。自業自得だと思ったが、なんかもうエロ本の恥ずかしさとテスト結果見られてやばいって感情が爆発して顔真っ赤だった。
29:
夕飯はカレーだったが、半狂乱になりながら母親に怒っている間に完成してしまった。
こういうとき男の子供持つ母親って凄いと思うんだが、俺がキレて怒鳴っても怖がることもなければ完全にシカト。
「はいはい。涼太が悪いんでしょー」って見事に俺の厨二病っぽい言い訳と屁理屈は流された。
母親「分かったから、この話は後で。お皿五枚持ってきて!」
俺「はっ?うちっていつから五人家族になったんだよ」
母親「あれ?今日は歩美ちゃん来るんだけど、ホワイトボード見てないの?」
そう言われて急いでリビングのテレビ横に置かれたホワイトボードを見る。そこには、「歩美ちゃん夕飯」と母親の字で書かれていた。
30:
俺の家は母親が100均で買ってきた小さいホワイトボードをテレビ横に置いてるんだが、そこに予定や連絡を書くことになっている。
俺は中学生だし別に用もないので見ないし使ってないが、兄貴は部活の遠征だったり弁当の有無だったりを律儀に母親のために書き込んでいる。
この時ほどホワイトボードを見なかったことを後悔したことはないね。朝から知ってたら、一日のテンションとやる気は倍くらい変わっていた。
母親にバレない程度に急いで洗面所行くと、顔洗って髪の毛を軽くセットした。俺なりに最初の部屋着にボサボサヘアーの印象を良くしたかったのだ。
32:
ついさっきまでエロ本やらテスト結果やらでキレてたくせに、珍しくカレーを盛る作業を手伝った。
母親はそんな俺を見て、怒られるのを回避するためのポイント稼ぎだと思ったみたい。それならそれで、勘違いしたままで良かった。
兄貴の彼女に会うのが楽しみだなんて誰が考える?普通なら罪悪感を感じるところだが、まだ若かった俺はそんな罪悪感なんて少しも感じずに歩美が来るのを待っていた。
そして7時を過ぎた頃。なぜか父親と兄貴達が三人仲良く帰ってきたのだ。
33:
どうやら帰り道に偶然会ったらしく、兄貴と歩美はニケツしていたがわざわざ自転車引いて父親と話しながら帰ってきたらしい。
その数十分の間に父親は歩美を気に入ったらしく、普段気難しくて無口なくせに歩美をめちゃくちゃ可愛がっていた。
息子二人はむさ苦しいだの、娘が欲しかっただの、食事のときに言いたい放題された。
テーブルはよく人が来るので六人用の大きいテーブルなんだが、なぜか歩美を真ん中にして両隣に俺と兄貴は座った。
歩美「この前はごめんね。気を使って部屋にいてくれたみたいで」
俺「えっ?」
歩美「あっ、この前じゃなくて二ヶ月も前になるのか。初めて来たとき、涼太くんジャージだったけど今日はちゃんと私服だね」
34:
たったそれだけの会話だったが、歩美が服装まで覚えていてくれたことが嬉しくて泣きそうだった。
俺「いや、あっ…はい」
何か上手いこと返したいし、会話を繋げたいのにテンパって言葉が出ない。するとなぜか母親が「私服」という歩美の言葉に反応した。
母親「そうなの、歩美ちゃん。聞いてよ、この子ったら私服で遊びに行くかジャージでサッカーするかで、勉強しないのよ!」
歩美「えっ、そうなんですか?」
俺「おい、ふざけんな。やめろ!」
母親「中間テストの結果、ベッドの下に隠してたの見つけたの!もうね、健太を見習って勉強してほしい」
最悪だった。本当に。なんでここでその話を出すんだよ!って、思いっきり母親を睨みつけた。
しかもちゃっかり自分の息子1人を生贄にしてもう1人の息子の株を上げやがった。すでに歩美は兄貴のものであるが、俺だって歩美に少しでも見てもらいたい。
それを台無しにして涼太くんはバカって印象を植え付けようとする母親を俺は一生許さない。と、心に誓った時だった。
35:
歩美「じゃあ、私が勉強見ますか?」
最初、その言葉の意味が全く理解できなかった。しかしそれを聞いた兄貴も賛成し出した。
兄貴「ああ、確かにそれいいな。涼太、歩美に勉強教えてもらえよ。期末いつ?」
俺「二週間後」
兄貴「じゃあ尚更いいじゃん、俺らテスト明後日で終わるから歩美に教われよ」
言ってなかったが、兄貴と歩美の通う高校は県内でもトップの進学校である。その中でも歩美は学年順位50番以内に毎回入る頭の良さを持っているらしい。
歩美「家庭教師ってわけじゃないけど、どうかな?私じゃ嫌だ?」
俺「嫌じゃないですけど、でも…」
この時すぐ返事をしなかったのは、マジで俺が頭が悪いからバレるのが恥ずかしかったから。
それともう一つ、歩美が純粋に俺を教えるために提案しているわけじゃないと分かっていたからだ。
36:
俺を教えるために家にくれば、兄貴がいる。俺を口実に家に入れるのは、そりゃあ彼女からしたら美味しい話に決まっている。家族と仲良くして損はないしな。
そんな捻くれた考えを一瞬で頭に浮かべた俺も性格悪いけど、素直に喜んでお願い出来ない自分がいた。
だが、そんな心の葛藤など関係ない。母親は俺に向けて意味深に笑って小さく頷いて来た。
あの威圧感は多分あの場所にいなきゃ分からなかったと思う。頷きながら浮かべた笑顔の中には、
「エロ本の話は健太にもお父さんにも言わないであげるから、家庭教師してもらって勉強しなさい」
という無言の圧力が含まれていた。その恐ろしさにやられ、俺は気がつけば冷や汗をかきながら歩美に「お願いします」と頭を下げていた。
37:
その二日後、歩美は期末テストを終えてそのまま俺の家に来た。部活動停止はテスト一週間前からなので、俺は放課後部活があった。
部活で疲れて夕方家に帰ると、リビングから「お帰りなさい」と顔を覗かせたのは歩美。
歩美が家庭教師することを忘れていた俺は、まさか兄貴達のテストが終わって直ぐにとは思わなかったので一気に疲れが吹き飛んでしまった。
歩美「じゃあ、早涼太くんの部屋でいいかな?先にご飯食べる?」
俺「あっ、30分くらいなら多分ご飯食わないでまだ平気です」
歩美「なら、勝手にテスト見せてもらったけど苦手みたいだから英語からやろうか」
俺「えっ、じゃあ先にご飯食べます!」
歩美「ダメだよ。そこのコンビニで買い食いしたでしょ?コロッケ。口に衣ついてるよ」
そう。俺は学校でも部活でも禁止されているが、たまに買い食いをして帰っている。不覚にも口に衣をつけたままでいたらしい。
39:
見てるぞ
49:
観念して二人で部屋に向かったが、俺の自室に入ってすぐの歩美の吐息交じりの感想は「健太と違うね」だった。
確かにシンプルな兄貴の部屋に比べたら、まだ中学生の俺は特に部屋にこだわりがあるわけでもなく使っていた。
兄貴の部屋を出入りする歩美からしたらそれは当たり前の感想なのかもしれないが、彼女に対して好意を抱く俺からしたら複雑な気持ちになる一言だ。
歩美「じゃあ、英語からやるよ。私が中学生のときに使ってた教科書とテキスト、問題集持ってきたからね」
俺「ありがとうございます」
50:
俺の勉強机を使って勉強しようと思ったが、狭いしやりにくいので却下。代わりにフローリングの上にカーペットと小さい折りたたみのテーブルを置いて勉強をした。
制服姿の歩美は俺の横に正座を崩して座ると、直ぐに期末テストの範囲表を見て勉強計画表を書き出した。
待つこと10分。その間俺は何を話すわけでもなくA4サイズの紙に書かれた歩美の可愛い字と鬼畜な計画表を眺めていた。
歩美「はい。これを効率よくきちんとやれば、中間テストの点数をカバーできると思う」
俺「ありがとうございます」
歩美「別に涼太くんそこまで勉強苦手ってわけじゃないみたいだし、ダメなのは英語と国語でしょ?理系科目はやっぱり健太と一緒で得意なんだね」
51:
兄貴は高校で理系コースを選んで選択授業を受けている。そして俺も真似するように数学や理科が得意だった。
兄貴を追いかけているうちに、理系科目が自然と出来るようになったのだ。
歩美「これならそこまで数学や理科を勉強しなくても苦手教科をやれば大丈夫だね」
俺「あっ、はい」
歩美「じゃあ、勉強しようか」
こうして、俺と歩美の期末テストまでの勉強会が始まった。
隣に好きな女がいて、しかも良い匂いがする。歩美はナチュラルメイクで香水をつけているわけではない。だが、甘い匂いがして不覚にも反応してしまいそうだった。
きっちり着た中学生の制服姿など比べものにならないくらい、第二ボタンまで空いたワイシャツは品があるのに色っぽい。
そこから見える綺麗な鎖骨。そして、兄貴とお揃いのネックレス。
俺はそれを盗み見て、一気に気持ちが沈んでいった。
52:
どんなに歩美に近づいても、兄貴みたいな距離までは迫れない。どれだけ心を許してもらっても、兄貴を好きだという気持ちを奪えるわけじゃない。
彼女自らが名乗り出た家庭教師という仕事も、その優しさも。結局最後に繋がるのは兄貴だった。
俺はそれを分かっていたからこそ、バカみたいに手放しで近くにいる歩美の存在に浮かれていられなかった。
このまま押し倒してキスをしてやりたい。でも、そんなこと出来るわけがない。夕飯までの30分という勉強時間はあっという間に終わった。
53:
この蛇の生殺しみたいなものがこれから二週間も続くと思うと嬉しい反面、いつ反応した下半身がバレるかと冷や冷やした。
リビングに歩美と向かうが、どうやら兄貴は帰っていたらしい。歩美は駆け足で兄貴の元へ行くと、ソファに座る兄貴の胸へダイブしたのだ。それをしっかり受け止めた兄貴は、歩美を膝の間に座らせていた。
歩美「お帰りなさい」
健太「ただいま。涼太の勉強見てくれてありがとうな」
歩美「ううん。涼太くん頑張ってくれるからやりがいある。涼太くん、絶対に良い点取ろうね!」
そう言ってこっちを見て笑う歩美。その良い点数は、一体誰のために取るのだろうか。俺はまた捻くれた考えが浮かんでいた。
成績を心配する母親のため?優秀な兄貴に負けないため?俺自身のため?
どれも違う気がした。結局俺のテストの点数はそのまま歩美の家庭教師としての評価に繋がるのだ。なら、俺は好きな女のために頑張るという選択しかない。
54:
目の前で仲良くし合う兄貴と歩美の姿を見ても別になんとも思わないというように余裕ぶって、本当はこの日以降ほぼ毎日来る歩美の姿に泣きそうだった。
勉強してる間は俺だけを見てくれている。そんな勘違いをしてしまいそうだったが、実際は兄貴のことしか歩美の心の中にはいない。
何がダメなんだろう。年齢?性格?身長?頭もサッカーも愛想も顔も、たしかに兄貴より劣っている。それでも好きなものはしょうがなかった。
55:
歩美との勉強会については、特に何かあったわけじゃないので割愛する。だが、一つだけこの勉強会で変わったことがあった。
それは歩美と敬語で話していたのが、呼び捨てタメ語になったこと。もう一つは、歩美も俺を呼び捨てするようになったのだ。
勉強会をする中でだんだんと他愛もない会話をして仲良くなり、流れでそうなっていた。まだ声変わりしたばかりの俺の声は、自分でも兄貴に似ていると思った。その声で歩美の名前を呼ぶと、たまに顔を赤くしていた。
胸元のネックレスを見なければ。また、兄貴と二人でいるときの歩美の甘い雰囲気から目をそらせば。俺はあまり辛いと思わないでいられた。
56:
そして、約束の二週間後。俺は期末テストで今までにない高得点を取ることが出来た。
担任にも褒められ、兄貴を知る部活の顧問には当時の兄貴より良い点数だと言われ、俺の気分は最高だった。始めて兄貴より優位に立てた。それだけで満足だった。
嬉しさを隠せず顔が緩んでしまっていたが、とにかく早く帰ってテスト結果を報告したかった。
嬉しいことに部活は運動部のグラウンド交換制により休みだ。俺は急いで帰り支度を済ませると、教室を出ようとした。
が、そこで「涼太!」と名前を呼ばれて教室へ振り返った。
60:
引き込まれる
61:
振り返った先にいたのは、幼稚園の頃から一緒の奈津という女だった。気が強くサバサバした性格のため、学年でも男子から人気のある女だ。
しかし俺からしたら男勝りで恋愛対象外の幼馴染みたいな存在だった。
奈津「同じクラスだけど、話すの久しぶりだね」
俺「ああ、そうだな」
奈津とは小学生時代まで二人で遊んだりする仲だったが、中学生になってからは妙に意識してしまいお互いに避けるようになっていた。別に嫌いになったわけじゃないし、またしばらくしたら普通になるだろうと放っておいた。
奈津「実は、涼太に相談があるんだけど。もし大丈夫ならこれから空いてない?」
俺「えっ?」
奈津「ダメならいいんだけど…」
63:
俺は困った。早く帰って歩美にテスト結果を報告したいが、珍しく話しかけてきた奈津に、また昔みたいな関係に戻れるかもという期待もしていた。
数分黙り込んで考えた俺は、良いことを思いついた。それは、奈津を家に連れて行くというものだった。
奈津なら家族全員知ってるし、昔はよく家に来ていた。それに、この時俺はバカなことを考えていたのだ。
もし奈津を連れて帰ったら、歩美は俺の彼女だと勘違いする。そしたら少しくらいは妬いてくれるかも…というものだった。今になって思えばあり得ないことなのに、俺は奈津を利用するために家に招いた。
そして結果的に、これは俺を苦しめることになる。
64:
家につくと、誰もいなかった。別に付き合ってるわけじゃないので、奈津は無防備なまま家の中へ「おじゃましまーす」と入って行く。
言わなくても俺の部屋が分かるので、勝手に部屋に向かう奈津。それを見送ると俺はキッチンに飲み物とお菓子を取りに行き、おぼんに乗せて持って行った。
部屋に入ると、奈津は歩美との勉強会で使っていたテーブルの前に座っていた。昔来たときは勝手に部屋を漁っていたくせに、よく見ると前髪を直したりスカートの裾を引っ張ったりと女らしくなっていて吃驚した。
奈津「なんか、涼太の部屋って全然変わってないね」
俺「そう?」
奈津「うん。ベッドの上の目覚まし時計も、本棚に置いてあるサッカーボールも、あと壁の国旗も変わってない。どこの国だっけ?」
俺「ブラジル」
奈津「あっ、そうだ。ブラジル。なんでブラジル?」
俺「知らない。兄貴がいらないって部屋に持って来たやつだから」
兄貴という単語を吐いた瞬間、鈍感な俺でも分かるくらいに奈津は反応した。思わず「えっ?」と聞いてしまうくらいだった。
65:
みてるぞぉ!
66:
俺「えっ?何、なんでそんな反応した?」
ここで気づかない振りをするのが当たり前の状況だったが、俺は空気が読めなかった。兄貴という単語に反応したことには触れず、じわじわと奈津を責めていった。
奈津「いや、別に…」
俺「なんだよ、言えよ。俺に相談があるんだろ?」
約1年ぶりにまともな会話をしたくせに、そんな期間がなかったかのようにすぐ元通りの俺達に戻る。
俺はこの時すでに嫌な予感がしていた。珍しく相談があると言った時点で、少なからず俺の周りの男へ恋してるんだろうとは思っていた。その協力要請だと。
しかし、現実はそううまくいかない。奈津はうつむいてもじもじし出すと、ゆっくりだが言葉を吐いた。
奈津「実は、ね。その…」
俺「なんだよ。お前らしくないからハッキリ言っちゃえ」
奈津「私、涼太のお兄さんの、健太くんが…えっと、その…あれなんだ」
俺「はっ?」
奈津「だから、健太くんのことが好きなの!」
ようやく顔を上げた奈津は泣きそうで、ちょっといじめ過ぎたかな?と思った。だけどそれよりも、兄貴を好きという事実に驚きを隠せなかった。
67:
俺「冗談?ガチ?」
奈津「なんでそんなこと言うの?」
俺「だって、お前今までそんな素振りも見せなかっただろ」
奈津がなぜこのタイミングで俺に兄貴が好きなことを話したのか訳があった。どうやら奈津は駅前にある塾の帰りなどに、兄貴を見かけていたらしい。
奈津「健太くん、たしか自転車通学だよね?だから頻繁に駅にいるのおかしいと思ってたんだ」
運が良いのか悪いのか、奈津は歩美の存在を知らなかった。ふと時計に目をやると、夕方の5時を過ぎていた。そろそろ、部活がない兄貴達が帰ってくる時間だ。
このまま帰せば、奈津は歩美の存在を知らないままでいられる。でも、それでいいのか?俺はどうするのが最善なのか考えても分からなかった。
そんな風に悩んでいると、外から女の笑い声が聞こえて来た。窓から見なくても分かる。歩美だ。
70:
その笑い声が聞こえたのか、奈津の表情が固まって行く。さっきまでの笑顔は消え、絶望的な顔だった。縋るように俺を見つめ、この部屋の空気だけが一気に冷えた。
「ただいまー」と言うふざけた歩美の笑い声が聞こえたかと思うと、奈津の靴に気づいたらしく「健太!可愛いローファーがある!」と玄関で叫んでいた。
俺らは何もしなくてよかった。ただ、待っているだけで残酷な現実はやって来る。
歩美「涼太!彼女連れてきたでしょ!」
ノックもせずに勢いよく部屋のドアを開けたのは、暑くなってきたのでセーターを腰に巻いた歩美だった。
72:
もう、ね。この時ほど奈津に対して悪いと思ったことはなかった。頼むから、言わないでくれ。俺は、そう願っていたと思う。
歩美「はじめまして。涼太の彼女さん!健太って涼太の兄と付き合ってます、歩美です」
でも、そんな願いは叶わず、歩美は笑顔で名乗ってしまった。その笑顔には、見覚えがあった。初めて歩美にあったときと同じ無邪気な笑顔だった。
遅かれ早かれ、兄貴に歩美という彼女がいることは奈津にも伝わる。でも、別にそれが今日じゃなくてもよかったはずだ。
兄貴「あれ?なっちゃん?久しぶりだね!」
遅れて登場した兄貴が、身長の低い歩美の頭の上に自分の顎を乗せて俺の部屋を覗き込む。
昔よく連れてきた奈津を、兄貴は覚えていた。
74:
続きはよ
75:
歩美「えっ?知ってるの?」
健太「知ってるよ。涼太と同級生の可愛い俺の妹。久しぶりだね、元気だった?」
奈津「あっ、はい。お久しぶりです…」
健太「敬語じゃなくていいのに!昔は普通にタメ語使ってたじゃん」
奈津「そんな、先輩ですから!」
そんなどうでもいいやり取りを、俺は無理やり止める。
俺「兄貴!ちょっと出てって!あと歩美、別に彼女じゃなくてこいつとは委員会が一緒だから今から仕事するんだよ!」
歩美「えっ?そうなの?ごめんね、邪魔して。じゃあね、なっちゃん!」
嵐のように過ぎ去って行った兄貴と歩美。もちろん、委員会なんて嘘だ。
2人がいなくなった部屋のドアからゆっくりと視線を奈津に移す。そこには、まだ呆然とドアを見つめている無表情の奈津がいた。
76:
俺「あの、もう分かったと思うけど。今の、歩美ってやつが兄貴の彼女」
奈津「…うん、綺麗な人だね」
俺「あのさ、奈津」
奈津「なに?」
俺「…ごめん」
次の瞬間には、もう。奈津は隣の部屋にいる兄貴達に聞こえないように声を押し殺して泣いていた。
俺がわざと奈津を利用して歩美に妬くかわからないヤキモチを妬かせたいと思わなければ、こんなことにはならなかった。
そして俺自身も、何回も聞かなくていい「健太の彼女です」という自己紹介を聞かずに済んだはずだ。
泣いている奈津を見て、俺も泣いてしまいたかった。
77:
その後奈津とは何も話さないままだった。奈津は泣き止んですぐに帰って行った。
最後に玄関前で謝ったが、彼女は目を赤くしたまま笑うだけだった。
それからというもの、俺は歩美が家に来てもあまり話さなくなった。歩美の家庭教師はテストが終わったからもうなくなったし、兄貴の弟ってだけでそれ以上は別に何もない。
奈津の一件で気まずいってのもあったけど、それ以上にこれ以上好きになって傷つくのが嫌だった。
学校ではまた奈津と話さない日々が戻ってしまい、複雑な気持ちだった。本当はもう一度謝りたかったが、きっと何度も謝罪される方が奈津も辛いだろう。それに俺がごめんと言ったところで状況は変わらない。
そしてそのまま俺と兄貴の誕生日がある夏休みに突入した。
80:
俺と兄貴は三歳差だが、誕生日が八月で一日違いだ。誕生日は俺の方が一日だけ早い。
夏祭りって大体やる日と時期は毎年変わらないが、中2の夏休みは俺の誕生日が夏祭りと被っていた。
毎日の部活で疲れていたので、サッカー部の奴らと息抜きも兼ねて大人数で行くことになっていた。
正直人混みが苦手な俺はあまり楽しみではなかったが、サッカー部のノリの良さは校内の部活で1番と言われている。誕生日だから奢ってやるという皆の言葉に甘えて行くことにした。
夏祭り前日でもあり、俺の誕生日前日でもあるその日。歩美は家に遊びに来ていた。どうやら次の日の夏祭りに兄貴と行くらしく、母親が浴衣を着せてあげるから選んでもらうために呼んだらしい。
母親は三人姉妹の末っ子で、姉2人もうち同様に男の子しか生まなかった。そのためにいっぱいある浴衣の使い道がなくなり、なぜか俺の家に置いてあったのだ。
83:
浴衣のことはよく分からないし値段も知らない。でも家にある浴衣は高かったと思う。浴衣の数え方も知らないが、五着か六着はあった。
下駄とか巾着とか色々揃っていて、俺も兄貴もそんなものがあるとは知らなかったから歩美と一緒に珍しくて見ていた。
歩美「涼太も夏祭り行くの?」
俺「部活の奴らと」
歩美「何着てくの?」
俺「私服」
歩美「そっか。明日会ったら、声かけてね!私も声かけるから」
本当は家に男用の浴衣も甚平もあった。でも、別に俺は彼女と出かけるわけじゃないから着る必要はない。兄貴が明日着ることになっている。
それよりも、俺の誕生日が明日ということを歩美が知らない方が辛かった。素っ気ない返事しかしなかったのは、多分このときいじけていたんだと思う。
俺も歩美が好きなのに、歩美は兄貴のことしか興味がない。兄貴が彼氏なのだから、当たり前だと自分に言い聞かせて納得させようとするが無理だ。
せめて誕生日くらいは、歩美に一言で良いから祝って欲しい。
84:
遅くてすまないが飯食って来る。ついでに書き溜めて来る。
支援ありがとう。
85:
まってるぞ
88:
オチがまったく予想できない
91:
奈津とくっついたりして
116:
そんな願いを歩美が知るわけもなく、無情にも俺の誕生日がやって来た。
朝起きると最初に来ていたメールはサッカー部の奴で、後は奈津からも来ていた。他にも先輩である康平くんから来ていたりと、嬉しかったのを覚えている。
しかし、連絡先を交換していない歩美からメールが来ているわけがなかった。
当たり前だが、絶望的な気持ちになった。明日は兄貴の誕生日で、歩美はきっと可愛いデコレーションメールを送る。その差はなんなんだろうと朝から憂鬱になったのだ。
117:
でもそんな素振りを見せるわけにもいかず、俺は部活に行き、その後急いで帰って夏祭りへ行くためにサッカー部の奴らとの待ち合わせ場所に向かった。
家では歩美が母親に着付けをしてもらっていたが、俺は黙って自室で着替えを済ませて出て行った。
理由は分かると思うが、歩美に会いたくなかった。
兄貴のために可愛くなった歩美。俺の誕生日を知らずにいつも通りの他愛もない会話をすると考えるだけで嫌だった。だからそれを避けるために逃げたのだ。
友達「おい、涼太!」
俺「おう!遅れてごめん。皆揃ってる?」
友達「大丈夫。じゃあ、行くか」
118:
地元の神社で行われる夏祭りは意外と規模が大きかった。俺は小さい頃から行っていたが、何度行っても飽きない。
この夏祭りに歩美が参加するのは初めてだったと思う。地元の奴らが結構来るので、花火が上がる頃になると神社の境内に集合するのが決まりみたいになっていた。
だから今回も俺達サッカー部のメンバーはある程度屋台の料理を食べて満足すると、境内に向かった。
やはりそこには中学の友達が集まっていて、まるで学年集会だった。それくらい集まっていたのだ。
俺達サッカー部はお賽銭箱の前に座って買ってきた焼きそばやじゃがバタを食べながら花火を待った。
するとそこに、同じ学年の水口って女子がやって来た。
119:
夏祭りで騒ぐためにやって来た俺らと違い、水口はきちんと浴衣を着ていた。
水口ってのは当時吹奏楽部だったと思う。おしとやかで女の子らしく、奈津とは真逆のタイプだった。
そのために、よく男子の間で話題に上がっていた。そんな水口がサッカー部の集まる輪の中にやって来たので、一瞬全員が動きを止めて水口の行動を気にしていた。
すると水口は唯一視界に入れることなく焼きそばを食っていた俺の横に座って来た。それを俺はミシッて鳴った社の木の音で気づいたくらいだ。
水口など眼中になかった。
120:
水口「隣良いかな?」
俺「えっ?あっ、まあ…いいけど」
この時珍しく冷やかすことをしなかったサッカー部連中は本当に役立たずだった。というか、水口の堂々とした行動に、皆が冷やかしにくくて黙ってしまったのだ。
こうなると水口の思うツボだった。彼女は夏祭りの雰囲気も手伝ってか、めちゃくちゃ至近距離に来やがった。
もし歩美に出会う前の俺だったら惚れていたと思う。中学生のくせに、浴衣姿に色気があったのだ。
水口「涼太くんって、奈津ちゃんと付き合ってるの?」
隣に来た水口を無視して奢ってもらった料理をひたすら食べる俺だったが、その言葉に思わず食べてた焼きそばを吹きそうになった。
123:
俺「はっ?何それ、なんでそう思った?」
水口「だって、奈津ちゃんと小学校一緒だったんでしょ。仲良かったって聞いたよ」
女の情報というものはどこから仕入れて来るのか分からないが、それについて俺は全力で否定した。
俺「確かに小学校一緒だし幼馴染みたいなものだけど、別にあいつとは付き合ってないよ」
水口 「そうなんだ」
納得していない様子の水口だが、これ以上説明してあげるだけの仲でもない。話したのも多分これが初めてだった。
水口に奈津が好きなのは俺の兄貴だよと言ったところでどうなるわけでもない。だからまた黙ることにした。しかし、それを水口は許さない。
水口「あのね、実は私涼太くんが好きだったんだ」
周りには同級生…しかもサッカー部の奴らがいるのに、構わず爆弾を投下するこいつの口を、俺は塞いでやりたくなった。
124:
俺「冗談だよな?」
水口「冗談でこんなこと言うと思う?奈津ちゃんと涼太くんが仲いいって知って、ずっと焦ってたんだ」
俺と水口は一年の頃同じクラスになったわけでも、体育の授業が一緒なわけでもない。つまり、全く接点がなかった。
しかし、水口が俺を好きになった理由は簡単だった。吹奏楽部の練習する音楽室から、サッカー部の練習するグラウンドが見えるのだ。
彼女はそれを見て俺が気になり、廊下ですれ違ったりサッカー部の奴に会いに水口のクラスに遊びに行く俺を意識していた。
水口の存在は男子の話しを聞いて知っていたが、さすがに直ぐ返事をすることは出来なかった。
130:
また新キャラが出てきたw
133:
>>130
もう増えないから安心してくれて構わない。
126:
とりあえず夏祭りのその日は、水口と連絡先を交換して早めに帰宅することにした。サッカー部の奴らには色々言われたが、これ以上花火を見たりする気分にはならない。
だらだらと歩いて、夜の9時前には自宅に着いた。
どうせ親は明日も仕事だから寝室だろうと思い、黙って家に入る。しかしリビングには明かりが着いていて、玄関には歩美が履いて行ったであろう下駄が置いてあった。
意味が分からずに急いでリビングのドアを開ける。すると次の瞬間、大きな音が俺に向かって鳴った。
128:
歩美・兄貴「誕生日おめでとう!」
大きな音がクラッカーだと理解するのに、充分な時間が必要だった。
何が起きたのか分からずに呆然とする俺に向かって、今度は歩美が「涼太、誕生日おめでとう!」と改めて言ってくれた。
期待せずにいじけていた自分が恥ずかしいくらい、本当に嬉しくて泣きそうだった。
俺「ありがとう…」
そう一言吐き出すので精一杯だった。少しでも気をゆるめたら泣いてしまう。見ないようにしていた歩美の浴衣姿が目の前にあって、しかも誕生日を祝うためだけにわざわざ早く帰って来てくれた。
それだけで俺には十分だった。
歩美「これ、誕生日プレゼントのスパイク。私と健太から。後はお祭りでお腹いっぱいだと思うけど、涼太のためにケーキ作りました!」
そう言われてテーブルに視線を移す。するとそこには、俺が好きなチョコレートケーキが置かれていた。
129:
追いついた!いいとこ!!
132:
初めて会ったときに買って来てくれたケーキの中に、チョコレートケーキはなかった。代わりに入っていた兄貴の好きなモンブランに嫉妬したのを覚えている。
それが今回は、なぜか言っていないのに俺の好きなチョコレートケーキがあったのだ。もうダメだった。俺の涙腺は崩壊した。
俺「ありがとう、本当に嬉しい。ありがとう」
泣いてる顔を見られたくなくて慌てて目を擦る。でも、そんなもの意味がなくて涙は止まらない。恥ずかしくて仕方なかった。
兄貴「おい、泣くなよ。どんだけ嬉しいんだよ!」
俺「うるさい!疲れてるから情緒不安定なんだ!」
意味不明な言い訳をして、俺は歩美の作ったケーキを食べた。甘くて本当に美味しかった。
兄貴が食べさせろと言ったが、拒否してワンホール全部食べた。
夏祭りでお腹いっぱいだったから、次の日食べるためにラップにくるんでおいた。
そうやって三人でリビングにいると、歩美が突然思い出したように慌てて口を開いた。
歩美「涼太、告白されたでしょ!」
135:
これは面白い
141:
歩美が何を言ったのか、俺は意味がわからなかった。ついさっきの出来事なのに、なぜ歩美が知ってるのか情報が早すぎる。
俺「なんで知ってるの?」
流して知らないふりすればいいものを、俺はバカなので食いついてしまった。これが間違いだった。一気に現実に突き落とされたのだ。
歩美「あの時、私達も境内にいたんだけど…気づかなかった?」
暗い境内の中で唯一頼りになるのは花火と屋台の明かりだけ。俺は、広い境内に溜まるのが中学生だけじゃないことを忘れていた。
あの時少し離れた場所で高校生である兄貴たちも集まっていたのだ。
俺「気づかなかった」
歩美「そっか。ちゃんとは聞こえなかったけど雰囲気的に告白だねって見てたんだ」
俺「……」
歩美「どうするの?付き合うの?」
147:
奈津を連れて来たときもそうだったが、歩美はさすが女子高生というか…恋愛への食いつきがめちゃくちゃ凄い。
この時も水口と俺が付き合うのかどうなのかをとても楽しそうに聞いて来た。
俺「付き合わない、かな」
歩美「なんで?可愛い子だったのに」
俺「なんでって、そんなの俺の勝手だろ」
楽しい雰囲気が、俺のきつい口調で一変する。
だが、そんな変化に気を使うなど歩美は俺の機嫌をとるようなことはしない。
歩美「ふーん。付き合えばいいのに」
まるで、独り言のような口ぶりだった。思ったことをただ口にしただけのなんの意味もない言葉。
でも、俺はその一言に反応してしまった。
151:
俺が好きなのは今目の前にいる歩美で、その歩美に「付き合えばいいのに」って言われるこの情けない気持ちが分かるか?
兄貴と付き合う歩美には、一生分からないだろう。この情けなくて惨めな気持ちも、やるせない思いも。一方通行の好きはどうやったって届かない。
だから俺は、もうどうにでもなれと思った。もう、歩美を好きでいるのも小さなことに振り回されて一喜一憂するのにも疲れた。
俺「ああ、じゃあ付き合うよ」
言ってからの行動は早かった。兄貴が止めるのを無視して部屋に走って行くと、直ぐに携帯を取り出す。そしてそのまま登録したばかりの水口に電話をした。
153:
まだか
160:
部屋の電気もつけないで水口に電話をかけたが、三回コールしただけで直ぐに出た。
水口「もしもし!」
神社の境内では余裕ぶってたくせに、電話に出た水口の声は必死な感じだった。多分、こんなに早く電話が来ると思わなかったんだろう。
俺「俺だけど、分かる?」
水口「分かるよ…電話ありがとう」
俺「あのさ、さっきの返事だけど」
水口「…うん、言って」
俺「付き合おう」
言った瞬間、もう俺はこの先後戻りは出来ないと思った。
水口「本当にいいの?」
俺「ああ、よろしくな」
163:
それから軽く話して、三分ほどの短い時間で電話を切った。
酷い後悔と絶望感で、涙が溢れた。ついさっきまで歩美に誕生日を祝ってもらった幸せで泣いていたのに、今は違う。
初めての告白も、初めての彼女も、叶うのなら歩美がよかった。それなのに現実は違うんだ。
俺は泣いた。投げやりになって起こした行動の重さに、心が押しつぶされそうだった。
好きの2文字さえ言えない俺は、いつになったら報われるのだろう。
もう、疲れた。歩美を嫌いになってしまいたい。でも、部屋に持ってきた誕生日プレゼントのスパイクを見ると、どうしても嫌いになれなかった。
161:
水口は芸能人でいうと誰似?
164:
>>161
久本
165:
>>164
想像したらわろた
久本がwwww浴衣でwww色気wwwwwwwwwww
167:
>>161
誰だろう。俺、あまり芸能人詳しくないんだよ。
歩美=ガッキー(髪長くて清楚なところが似てる)
奈津=橋本愛(気の強そうなところとあのつり目が似てる)
水口=目は似てないが口はトリドリルれいな?だっけ?って、モデルに似てる。
169:
トリドリルwwwww
170:
ワロタwwww
168:
スマン。ドリルなんてそんな危ないものじゃない。トリンドル玲奈だった。
171:
再開する。
次の日の誕生日、俺は兄貴の誕生日と分かっていながら友達の家に泊まりに行った。理由は歩美に会いたくなかったから。
夏休みはそのまま歩美を避けるようにして毎日を過ごし、ほとんどサッカー部の奴らと一緒にいた。
この頃から俺は、家に頻繁に来る歩美に会わないようにしていたのだ。しかし、歩美はどんどん両親と仲良くなっていき、それもまた複雑だった。
そして夏休みが明け、俺は自分に彼女が出来たことを思い知らされた。
174:
夏休みの間はメールでやりとりをしていたが、休み明けで直ぐに水口が教室にやってきたのだ。
水口「涼太くんいる?」
しかも俺がいるのを分かっていながら、たまたま教室の入り口に立っていた奈津にわざわざ聞いていた。
多分、水口は奈津をライバル視していたのだ。おしとやかだと思っていたが、実際は気が強いタイプらしい。
そんなこと知るはずもない奈津は「あそこにいるよー」なんてお気楽に答えていた。
175:
若いなあ・・・
176:
水口「夏祭りぶりだね、涼太くん!元気だった?」
そう言って俺に笑顔を向ける水口。でも、この笑顔が見たいんじゃないと思ってしまった。それがバレないように、「うん」って単語で返したが素っ気なかった。
でもしょうがなかったんだ。メールでやりとりはしていたが、俺と水口は今まで一切話したことがない。距離感やどう接すればいいのかわからなかった。
正直、付き合うなら奈津の方がまだよかった。
昔から知っているし、女扱いする必要がない。冗談も言えるしくだらない話も出来る。しかし水口はそんなタイプじゃない。
水口「なんか、変な感じだね。メールしかしてなかったから。これからはいっぱい話そう」
俺「そうだな」
元々愛想が悪く、口数が多くない俺。これは父親に似てしまった。対してよく喋るのが母親に似た兄貴だ。
水口からしたら、どんどん俺を知るたびに理想と現実に戸惑うだろう。付き合わない方がよかったのかもしれない。
177:
集会があるから整列のために自分のクラスに戻った水口だったが、この後が大変だった。
その時クラスにいた男子が、全員俺の周りに集まってきたのだ。奴らが聞きたいことは一つ。今の水口と俺のやりとりについてだ。
友達「付き合ってるのか?」
俺「うん、まあ…」
ハッキリ答えられなかったのは、頭の中にやっぱり歩美がいたから。それに、好きじゃないのに付き合った罪悪感からきちんと言えないでいた。
180:
それからというもの、水口は事あるごとに俺のクラスに遊びに来た。ただ会いに来るときもあれば、教科書を借りに来ることもあった。
そのたびに俺はきちんと話したし教科書も貸した。でも、そんな光景を見て違和感を感じていた奴がいた。奈津だ。
水口と付き合ってちょうど一ヶ月経った頃、俺は珍しく奈津に呼び出しをされた。というか、メールで放課後公園に呼ばれた。
学校だと水口が見てるかも知れないので、しょうがなく安全な放課後の公園で会うことにしたのだ。
部活が終わって急いで行くと、すでに奈津は一度家に帰って私服に着替えてから、ブランコを漕いで待っていた。
遅れたことを謝ると、ジュース奢れとか言うからしょうがなく自販機のファンタ奢ってやった。
181:
しばらくブランコに2人で乗っていたが、無言で1人はファンタ飲んでるし、もう1人はジャージでブランコ本気の立ち漕ぎしてるしで遠くから見たら凄いシュールだったと思う。
ようやく俺がブランコに飽きて(酔って)落ち着いて座ると、奈津は単刀直入に切り出した。
奈津「水口さんに、涼太くんが好きなの?って聞かれたんだけど」
奈津が言うにはこうだ。どうやら奈津はクラスによく来る水口が気になって見ていた。それは奈津本人も水口を見ていたと認めている。しかし、水口は俺を好きだから見ていると勘違いしたのだ。
俺「笑えない冗談だな」
奈津「自分の彼女でしょ!正直に話すけど、水口さんクラスであまり女子に良い印象持たれてないよ。涼太にべったりだし、人のクラスに来るなって言われてる」
この事は、俺もサッカー部の奴に言われて知っていた。水口は男子受けはよくても女子受けの悪い典型的なタイプだった。
182:
奈津「涼太の恋愛にあまり口出しする気はないけど、ハッキリ言うと迷惑。私、結構涼太のことで水口さんに嫌味言われてんの」
俺「えっ?なにそれ。なんで言わなかったんだよ」
奈津「だって女子同士のいざこざ男子に話したくないし。でも限界。私を巻き込まないでくれるかな。涼太のこと好きじゃないし、取るわけないじゃん」
幼稚園から一緒だが、奈津が女子の愚痴をこぼすのを聞いたのはこれが初めてだった。それくらい奈津はサバサバした良い性格をしている。
水口が奈津に対してよっぽど酷い嫌がらせをしたのだろうと、直ぐに分かった。それに、俺は奈津が誰を好きか知っている。だから、余計に罪悪感が生まれた。
俺「ごめんな」
奈津「別に怒ってないよ。涼太が悪いわけじゃないし。ただ、一つ言わせて欲しいんだけど、涼太水口さんを好きじゃないよね?」
俺「えっ?」
奈津「私が今日呼び出したのはそれをきちんと聞きたかったから。涼太、私の勘が違ったらごめん。もしかして、健太くんの彼女が好き?」
186:
面白い展開!!
190:
その問いにすぐ答えられるほど、簡単じゃなかった。ここで好きだと言ってどうにかなるのか?って、自問自答する。
でもやっぱり、誰にも相談出来ない辛さで俺はどうにかなりそうだった。
本当は歩美が好きだと言いたい。兄貴から奪ってやりたい。けど、そんなことを誰に話せる?頭がおかしいと思われるか、笑われてしまう。
たかが中学生の恋愛だと言われれば、それまでなのかも知れない。でも当時の俺は俺なりに本気で歩美を好きだった。だから空回りしてばかりいた。
歩美という現実から逃げて、水口を利用したようなものだ。
192:
俺「どうして分かったんだ?」
奈津「見てれば分かるよ。涼太って基本的に女子と絡まないし、私が家に行った日あったでしょ?あの時涼太、健太くんの彼女を見て泣きそうな顔してた」
たったそれだけの分かるか分からないかの小さな俺のサイン。歩美を好きだって気持ちを隠しきれなかったその表情一つで、奈津は気づいたのだ。
俺「女って怖いな」
奈津「うん、怖いよ。恋愛に関しては多分男より勘が働くし、必死になるからね」
どうして、俺たちは選ばれないのだろう。いくら考えても答えなど出なかった。
奈津「涼太は、健太くんの彼女が好きなのに水口さんを利用した。今この瞬間も付き合ってるっていうこと自体が、傷つけてるんだよ」
俺「分かってる。でも、どうしようもなかったんだ」
193:
何をしたって意味がない。歩美が発する言葉一つに振り回されて、バカみたいだ。
あの時歩美が付き合えばいいのにって言ったのは、別に深い意味があったわけじゃない。それを俺が勝手に捻くれた受け取り方をしただけだ。
奈津を連れて家に帰っても、水口と付き合っても、歩美を避けて会わないようにしても、少しも歩美が傷つくことはない。
奈津「涼太は何も分かってない。傷ついてるのは、水口さんだけじゃない」
俺「……」
奈津「涼太は、水口さんと好きじゃないのに付き合うことで後ろめたくなるでしょ。涼太も傷ついてるんだよ」
俺「……」
奈津「なんでもっと早く私に言わなかったの?別に誰にも言わないよ。ごめんね、涼太。気づいてあげられなくて」
194:
そう言うと、奈津は泣いた。俺が泣きたいのになぜか奈津は声を出して号泣したのだ。
俺たち2人はまだ中学生だから、なんでも出来るって思ってた。縛られないで生きている。何不自由なく手に入る。そう錯覚していた。
でも今、初めて頑張っても報われない現実に直面している。頭のどこかでは分かっていた。この恋愛が叶うわけないと。
それから15分ほど奈津は泣き続け、俺は何もせずに黙って横にいた。ここで頭を撫でたり抱き締める勇気もなければ、そんなことされても奈津は嬉しくないと思った。
奈津「泣いてごめんね」
俺「大丈夫」
奈津「ありがとう」
195:
この時の奈津の泣いて目の潤んだ笑顔を見て、俺は気づかされた。今こうして水口と付き合ってる時点で、俺には歩美を好きでいる資格はない。
一途に逃げることなく好きでいた奈津とは違うのだ。
もう一度、歩美だけを好きな日々に戻りたい。そう思った。
196:
次の日。俺は朝早く家を出た。
前日に奈津と別れてから、直ぐに水口に明日の朝話があるとメールを入れておいた。
水口はいつもの可愛いメールと違い、何かを感じ取ったのか「分かった」と絵文字もない返信をしてきた。
自分の教室に行ってエナメルを置くと、直ぐに水口の教室に向かう。すると既に来ていて、静かに座って待っていた。
俺「水口?」
水口「あっ、おはよう」
いつもの元気な水口がそこにはいなかった。当たり前だよな。普段素っ気ないメールしか返さないくせに、初めて俺からしたメールが話があるって内容だ。もう、分かっていたんだろう。
201:
エナメルwww
197:
俺「あのさ水口、別れよう」
まだ誰もいない教室で、俺はその言葉だけをハッキリと口にした。躊躇いはなかった。
水口「どうして?」
俺「ごめん」
水口「奈津ちゃんが好きだから?」
やっぱり奈津が言っていたとおり、水口は俺と奈津の仲を勘違いしていた。
俺「違う。あいつは男友達みたいな感覚だから、恋愛の好きじゃない」
水口「じゃあ、どうして?」
俺「他に好きな奴がいる」
水口「私の知ってる人?」
俺「いや、知らない人」
水口の目に、みるみるうちに涙が溜まっていく。傷つけない振り方を誰か教えてくれって本気で願った。
水口「涼太くんが好きなの、別れたくない」
俺「ごめん」
俺は歩美のことを言うつもりはなかったから、これ以上は謝ることしか出来なかった。
198:
話したこともなかった俺と水口。それなのに水口は泣くほど俺を好きでいてくれた。それについては感謝の気持ちでいっぱいだった。
ひたすら謝っていた俺が何も言わなくなる頃には、もう教室に生徒がやって来た。俺達の雰囲気を察したのか入って来るのを躊躇っているみたいだったので、俺は無理やり水口との話を終わらせた。
俺「じゃあ、俺は教室に戻るな」
それに対して水口は止めることもせず、うつむいて何も言わなかった。
199:
俺と水口が付き合ったのは、たった一ヶ月半。
その間に俺から水口へしたメールはたったの一回。電話に関しては最初の告白の返事の時だけだった。
水口が納得してくれたのかは分からない。でも、水口は酷い振り方をした俺の悪口を誰にも言わないでいてくれた。
もしかしたら女子の間に噂が広まって色々言われるかもと思ったが、なぜ別れたのかくらいしか周りの奴に聞かれなかった。
それについては、本当に水口に感謝しているし良い子だったと言わざるを得ない。
200:
水口と別れてから数日後。俺はちゃんと奈津に別れたことを報告したが、歩美には話していなかった。
言おうと思ってはいるが、思うだけで歩美が最近家に来ることがなかったのだ。兄貴に聞いたら別に喧嘩しているわけではなく、歩美の家に行くことが増えたらしい。
そんなある日。
10月に入ってすぐの日だった。5時間目を過ぎた辺りから突然雨が降り出した。
202:
天気予報は大外れで、誰も傘を持っていないと思ったら、まさかの皆折り畳み傘を持っているらしい。
グラウンドが使えなくなったので部活は中止。仕方なく放課後俺は雨に濡れて帰ろうと諦めていた。
放課後になって強まった雨に萎えながら帰り支度をしていると、隠して持って来ている携帯に兄貴からメールが来ていた。
バレないようにエナメルの中でいじると、なぜか件名が歩美になっていた。
件名「歩美だよ!」
本文「健太から携帯借りてメールしました。雨降ってるけど傘ある?今日は健太の家にお邪魔するから、雨に濡れないように一緒に帰ろう。校門の前で待ってるね」
後で知った話だが、歩美は俺が避けていることに気づいていた。
雨なのに傘を持っていかなかった俺の話を兄貴から聞き、話をするチャンスだと思ったらしい。
205:
続きに期待
206:
急いで校門に向かうと、本当に歩美がいた。下駄箱から見えるが、強い雨で景色が霞んでいる。でも確かに、それは歩美だった。
校門まで向かうと濡れてしまうので、その時近くにいたクラスメートの奴に頼んで校門まで傘に入れてもらう。
俺「歩美!」
まだ距離があるにも関わらず、嬉しくて大きい声で歩美の名前を呼んでしまった。するとあっちも気づいて、すぐに駆け寄って来てくれた。
俺は友達にお礼をして、そのまま歩美の傘に入った。
208:
俺「なんで来たんだよ。いや、でも本当に助かったありがとう」
歩美「大丈夫。涼太のことだから傘持ってってないと思ったんだ」
そう話している間にも、中2で身長が170超えをしている俺のために小さい歩美が腕を伸ばして傘にいれてくれていた。
俺「持つよ」
歩美「ごめん。ありがとう」
それは借りてきたという兄貴が使っている男用の大きな傘だったが、2人入るととても狭かった。こんな至近距離に歩美がいるのは、初めてだ。
心臓はバクバク鳴っているし、良い匂いがするし、肩が当たるし…俺はもう緊張で倒れてしまいそうだった。
俺「家でいいんだよな?」
歩美「うん。おじゃまします」
209:
兄貴はどこいった?
人生初おっぱぶ行ってきた結果wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
212:
>>209
この時部屋の片付けするために先に自転車乗って雨に濡れながら帰ったらしい。
210:
兄か歩美が死ぬのか
211:
兄貴と歩美が通う高校の帰り道、たしかに俺の中学校前を通る。中学校から家までは大体歩いて15分ほどの距離だ。
15分もの時間をどう歩美と過ごせばいいのか、俺は頭がパンクしていた。それでも一つ絶対に言いたいことがあった。それは、水口と別れた報告だ。
しばらくは無言で歩いたが、少しすると歩美が先に口を開いた。
歩美「彼女と、うまくいってる?」
俺「えっ?」
歩美「涼太の誕生日(夏祭りの日)に付き合い出したんだよね?」
その話をするタイミングを見計らっていた俺としては、突然過ぎてなんて言えばいいのか分からずパニクってしまった。
でも、歩美が切り出してくれたおかげで話しやすくなった。
214:
俺「別れたよ、俺。彼女と」
歩美「えっ?そうなの?」
俺「うん。別れた、だからもう彼女いない」
だからこれからは歩美だけを好きでいる。そう繋げてしまいたかった。まあ、そんなこと言えるだけの自信も勇気もなかったけど。
歩美「そっか、別れたんだね」
俺の言い方で、俺が彼女を振ったってのは多分伝わっていた。だからそれ以上は水口とのことを聞こうとはしてこなかった。
俺「そういう歩美は兄貴とどうなんだよ」
どうにか話題を変えようとして口をついて出たのは、まさかのそれだった。今1番聞きたくない話だ。
言ってからの後悔が尋常じゃなかった。
216:
でも、聞いてしまったならしょうがない。俺は黙って歩美の答えを待った。
歩美「うーん。仲良いよ、健太と」
健太大好き!とか、超仲良しだよ!とか、そういう返事をされると構えていただけに、その意味深な言い方に俺は拍子抜けだった。
俺「何その言い方。うまくいってないの?」
歩美「えー。内緒だよ」
そう言って笑うが、横目でちらっと見た歩美はちゃんと笑えていない。
俺「兄貴と喧嘩した?」
歩美「しないよ。健太は私と違って大人だしね」
俺「同い年だろ」
歩美「でも、全然違うよ健太は。サッカー部の部長だし、クラス委員もやってるし」
歩美が何を言いたいのか俺には分からなかった。サッカー部の部長が兄貴なのは知っていたし、クラス委員を押し付けられたと文句を言っていたのも記憶に新しい。
でもそれが、イコールして大人にはならないし、付き合いに影響するとは思えなかった。
217:
こうやって弱ってる歩美を、俺は待っていたんだと思う。そうすればつけいる隙が出来るんじゃないかって、考えたこともあった。
でも実際は違った。優しい言葉吐いてやろうとか思えなかった。兄貴に対しての怒りが湧き上がったのだ。
なんで歩美がこんな不安な顔してんだよ。弱ってる歩美を慰める役目は彼氏の兄貴だろ。って、ムカついていた。
それと同時に、俺まで切なくなった。
この時歩美が何を考えて、悩んでいたのかは分からない。でも一年以上付き合って、兄貴がサッカー部の部長になって…目まぐるしく変わる状況に歩美はついていけなかったんだろう。
俺「兄貴が好き?」
歩美「好き」
俺「兄貴のどこが好き?」
歩美「全部」
聞いていて、バカらしかった。最初からどこにも、俺がつけいる隙なんてなかった。
219:
本当に俺は若かった。子供だった。誰かも言ってたけど叶わない恋をする自分に酔っていた。
他とは違う恋愛だ。お前らの恋愛とは違う。って、心の何処かで周りの同級生の恋愛を否定して見ていた。
だから罰が当たった。一途に歩美を見ていても結ばれることはないが、それでも何か変わったかも知れないのに。
俺「なあ、歩美」
近道するために通った公園は、いつか奈津と待ち合わせして話しをした公園だった。傘を持っている俺が急に止まったため、歩美は傘から少し出て濡れてしまった。
歩美「いきなり止まらないでよ。どうしたの?」
221:
雨に濡れた歩美は、慌てて制服の袖で顔を拭う。俺は、どうしたの?って見つめて来る歩美にもう気持ちを隠すなんて我慢が出来なかった。
俺「俺なら、兄貴と違って歩美を傷つけない」
歩美「えっ?」
俺「確かにまだ中2でガキだし、バイトも出来ないし、義務教育受けてるよ。でも、傷つけない自信がある」
歩美「涼太何言ってるの?」
俺「分からない?」
歩美「分からない」
俺「分からないフリだろ。なあ、兄貴じゃなきゃダメなの?俺は、歩美にとって恋愛対象外?」
好きと言わないことだけが、唯一の強がりだった。それを言って断られてしまえば、すべて否定される気がして怖かったのだ。
223:
歩美「ちょっと待って、意味が分からない…だって涼太は健太の弟だよ?私は健太と付き合ってて、そんな風に見れないよ」
本気で困った様子の歩美は、そっと傘から抜ける。雨に濡れることも構わず、「ごめん」とだけ言い残して走り出したのだ。
俺「おい!」
走る方向は俺の家だったが、ドロが跳ねるのも気にせず全力疾走で歩美は去って行った。
公園に一人残された俺は、自分が今何を言ったのか少しずつ冷静になっていく頭で考えて血の気が引いた。
とうとう、気持ちを言ってしまったのだ。
224:
まあガキだし、仕方ないなw
225:
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか...
226:
全く先がよめないw
228:
まるで安っぽいドラマみたいだった。好きな女には彼氏がいて、その相手が俺の兄貴で。告白したけど逃げられて。
どうせ振られるなら、なんでちゃんと好きって言葉にしなかったのだろう。恋愛対象外?なんて聞き方じゃなくて、きちんと「歩美が好きだ」って言いたかった。
俺は泣いたね。今まで歩美と出会って何度か辛くて泣いたが、この時が1番泣いたと思う。
自分がどうしたいのか分からなかったし、これからどう歩美と接して行けばいいのかも分からなくなってしまった。
帰るに帰れなくなったので、俺は友達に連絡して皆集まってると言われたマックで8時近くまでポテトのLとコーラのLで粘った。
229:
今大人になったから言えるが、あのとき公園でハッキリ告白して無理やりキスでもしてやれば良かったと思ってる。だから本当に俺はガキだったんだよ。
意気がってるくせに実際にやれと言われれば出来ないチキンだしな。でも中学生なんてそんなもんだろ。
帰ってから兄貴に歩美が濡れて帰ってきた件をなぜか聞かれるかと思ったが、何も言われなかった。
逆に「傘ww」とか言って笑われた。意味がわからなかったが変に聞いて面倒なことになりたくなかったので、一緒になって「傘ww」って笑っておいた。
多分、歩美が機転をきかせて何か言ったんだろう。別に、俺に告白されたって言ってもよかったのに。
この時から俺は、絶対に勝てない兄貴に対して本気でライバル視していた。
231:
その一件からしばらく、俺の周りで特に変わったことはなかった。いつ兄貴に告白がバレるか気にしてはいたが、そんなことはなかった。
歩美も避けてるのか家に来ることはなかったし、俺自身も兄貴に歩美のことを聞かなかった。
11月も近づいて肌寒くなって来た頃だったと思う。兄貴の様子がおかしい日があった。俺を避けるような態度で、ご飯のときも上の空って感じだった。
俺「兄貴どうしたの?」
兄貴「いや、別になんでもない」
俺「俺なにかした?」
兄貴「お前は関係ないから大丈夫」
その返事に違和感があったが、それ以上聞かないで学校に向かう。すると同じ日に、登校して来た奈津の様子がおかしかった。
明らかに泣き腫らした目をしていて、いつもうるさいくせに静かに教室で過ごしていたのだ。
233:
朝の兄貴の態度と、静かに過ごす奈津をイコールづけるなんてこと、鈍感な俺にはできなかった。
しかし昼休み、俺は奈津に呼ばれて屋上に繋がる階段に向かった。人が来ないので都合がよかったのだろう。
弁当を食べてからクラスの奴らが気づかない程度に時間をあけて、奈津は後から階段にやって来た。
奈津「呼び出してごめんね」
俺「別にいいよ」
近づいて顔を見てみると、やっぱり目は赤くなっていた。朝より大分マシになってはいたが、それでも泣いたことがわかるくらいには腫れている。
俺「お前泣いた?」
奈津「うん。呼んだのはその話がしたかったから。私、健太くんに昨日告白したよ」
234:
じわじわとまた目に涙を溜める奈津に、俺が泣かせてる気分だった。慌ててハンカチか何かを渡そうとブレザーのポケットを漁るが、中からは飴かゴミしか出てこない。
とりあえず飴をあげたら、ハッキリいらないと断られた。
奈津「実は昨日、塾の帰りに健太くんに会ったんだ。あっちが気づいて声かけてくれたんだけど、遅いからって家まで自転車の後ろに乗せてくれたの」
俺「知らなかった」
奈津「言ってないから当たり前だよ。でね、その時に告白したんだ。でも、振られちゃった」
奈津はきちんと兄貴が昔から好きだったと伝えたらしい。それに対して兄貴も誠意を持って返事をくれたと奈津は言った。
235:
奈津「まだ好きだけど、私は気持ちを伝えてすっきりしたからもう健太くんは諦める」
俺「マジで言ってるの?」
奈津「うん。だって、彼女の歩美さんには勝てないよ。健太くんが昨日、歩美さんとどれだけ真剣に付き合ってるか、 話してくれたんだ」
俺「……」
奈津「それにね、俺と歩美を見守っててって言ってたの。ひどいよね、好きな人の恋愛なんて応援したくないよ」
兄貴らしいと思った。
奈津に諦めてとかごめんって言わないで、きちんと自分達を認めてもらおうとするところがあいつらしい。
俺「辛くないのかよ」
奈津「辛いに決まってるじゃん。でも、好きだから…ずっと好きだったから、幸せになってほしいんだもん」
兄貴は奈津に言ったらしい。歩美とこのまま結婚したいと思ってるって。だから親にも紹介したし、皆に認めてほしいのだ。それは奈津も例外じゃない。
俺「そっか…」
納得したフリして、俺は奈津のその考えを頭の中で否定していた。
236:
歩美は兄貴とじゃなきゃ幸せになれないのか?俺だって幸せに出来るかも知れない。
俺にとって歩美は初恋だった。初恋は叶わないと言うけれど、叶う初恋があってもいいだろ。
俺「でも、俺は歩美を諦めたくない」
奈津「涼太は歩美さんと健太くんを認めないってこと?」
俺「違う。でもお前にこの気持ちは分からないと思う。もう引けないところまで来てるし、ここで諦めたら今まで我慢して来た意味がない」
筋の通らない言い分に、奈津は呆れていたと思う。でも「頑張って」とだけ言ってくれた。
兄貴が朝俺を避けていた理由も、これでなんとなく分かった。奈津のことで気まずかったんだろう。
237:
この後の授業は国語だった。俺は勉強する気になれず、奈津と別れてからそのまま保健室に向かった。
どうせグラウンド使えないから部活はピロティーでの筋トレだし、明日は土曜日で休みだ。そう思って初めての仮病を使って早退することにした。
教室にエナメルを取りに行って先生に一言言うと、まっすぐ帰宅した。
親は仕事でいないはずだし、持っていた鍵で玄関を開けてみるとまさかの鍵があいていた。
最後に家を出た人が閉め忘れたのかと思って不用心だと思い入ると、なぜか兄貴のローファーがあった。
俺「ただいま…って、なんでいるの?」
兄貴「いや、それこっちの台詞なんだけど。お前まだ学校だろ?」
俺「えっ?自主早退」
兄貴「それを世間ではサボりっていうんだよ」
238:
朝の気まずい雰囲気はなくなり、いつもの兄貴に戻っていて一先ず安心した。
兄貴は俺と違って風邪を引いて早退して来たらしく、病院で貰った薬の袋がテーブルに置かれていた。寝るつもりだったらしく、冷えピタを貼ってパジャマに着替えてある。
俺「大丈夫?」
兄貴「大丈夫。後で歩美来るらしいし」
俺「えっ?」
兄貴「嘘だよ」
239:
そう言って俺を見る兄貴の目は、今まで見たことがないくらい冷たいものだった。
俺は一気に血の気が引き、心臓はバクバクと音を立てた。
249:
バイトまで軽く書き溜めて来るから待っててくれ。あまりこのときの兄貴とのやり取りは思い出したくないのが本音なんだ。
252:
いやあ、面白いね。
「ありがちだわぁ。」とか思ってた自分が浅はかだったわ。展開全然読めん。
277:
遅れてすまなかった。バイトでまかない食べて今帰った。書き溜めもないので亀ペースだが付き合ってくれ。
支援や期待の言葉、本当に嬉しい。多分あと少しで終わると思うがよろしく頼むな。
280:
兄貴「涼太、俺に何か言うことないか?」
俺「別にないけど」
兄貴「歩美のことで、言わなきゃいけないことがあるだろ?」
まさか、確信をつかれるとは思ってなかった。俺は嘘をつくのが昔から下手で、そのまま言い返せずに黙ってしまった。
それを兄貴は肯定と受け取った。
兄貴「俺からは言わない。お前が俺にちゃんと言えよ」
俺「だから何を?」
兄貴「とぼけるな。歩美のことだ、それで分かるだろう?」
歩美が自分の彼女だからって強気な態度で突っかかって来た兄貴に俺は本気でムカついた。
俺「なんだよ、兄貴だって奈津に告白されたんだろ!隠してんじゃねえよ!」
281:
奈津の恋をこんな風に喧嘩のネタに使いたくなった。それに、それを言ったところで俺が優勢になるわけがない。
兄貴「だからなんだよ、お前に関係ないだろ」
部屋に持って行こうとして手に持っていた2リットルのポカリを、兄貴は床に落とす。それが合図のように、兄貴は俺に怒鳴りつけて来た。
兄貴「お前、歩美が俺の女って分かってるよな!?分かってて好きなのかよ!?」
俺「だからなんだよ!俺が誰を好きだろうが関係ないだろ!自分だって奈津を振ったくせに!」
兄貴「なっちゃんの告白は今関係ない!話に出すな!」
俺「奈津は昔から知ってる大切な奴だから関係ある!傷つけてんじゃねぇよ!」
話は平行線のまま。お互いに一歩も引かなかった。それどころかヒートアップしていた。
282:
普段怒らない温厚な兄貴が、この時ばかりは本気でキレていた。今まで見たことないくらい眉間にシワを寄せ、聞いたことないくらい低い声で威嚇してきた。
でも、俺もここで引けなかった。歩美が好きだから、それを兄貴に認めさせたかったんだ。
俺「奈津をあんなに傷つけたくせに、俺に威張るな!」
兄貴「それはもうなっちゃんと話して解決したことだし納得してもらってる!ガキのくせに恋だの愛だの大人の真似してんじゃねぇ!」
次の瞬間、俺は兄貴に殴りかかっていた。自分でも止められないくらい本気で拳を向けたのだ。
286:
大人の真似してんじゃねぇって言ってるが
正直どっちも子供だよな
288:
>>286
俺もそれ思ったんだよ。だからブチ切れてしまった(笑)
287:
普段の兄貴なら避けれたかも知れないが、初めて向けた拳は綺麗に兄貴の顔にぶつかった。殴った衝撃で俺の手は痛いし、何より骨と骨のぶつかる感覚が気持ち悪かった。
でも、そんなこと言ってられなかった。倒れた兄貴はそのまましばらく動かないでいたかと思うと、起き上がって同じように拳を俺の顔面に叩き込んできたのだ。
初めて殴られた感想を述べるとしたら、脳が揺れる感じ。何が起きたのか分からず、状況理解に時間がかかった。
でも、これでお互いに引く必要がなくなった。
兄貴はそのまま倒れた俺に馬乗りになると、本当に具合悪いのか疑いたくなるくらいに殴ってきたのだ。
291:
でも、一発目に比べて威力がないことから兄貴の体力が風邪のせいで奪われてると分かった。
なら、こっちも反撃する隙はある。兄貴の拳が弱まった一瞬を逃さなかった俺は、思いっきり身体を起こして形成逆転してみせた。
俺「兄貴だってまだ高校生だろ!それなのに歩美と結婚したいとか夢みたいなこと言ってんなよ!」
顔が痛いし、身体も痛い。兄貴に殴られた場所が痛さで熱くなっている感じだった。
泣きながら怒鳴る俺は子供が駄々をこねるようなもので、何言ってるのか自分でもわからなかった。
兄貴「お前だって、俺を殴ってどうするんだよ!殴ったら歩美を諦めるのか?!そんなつもりないくせに、ふざけんじゃねえ!」
俺「うるさい!!うるさい!!うるさい!!」
殴る手が痛くなったので胸ぐらを掴んで揺らすが、兄貴は顔を真っ赤にして尚も俺を怒鳴りつけた。
馬乗りになっている俺の涙が兄貴の顔に落ちていたが、兄貴はそれを気にしていなかった。
292:
これは1には悪いが兄貴側だわ
293:
兄貴「お前がどれだけ俺を殴っても、俺は歩美を渡さないからな!」
それが最後の言葉。兄貴は「うっ!」って喉を鳴らすと盛大に吐いた。まさかのゲロに俺は飛ぶようにして乗っていた兄貴から退いた。
よく考えれば具合悪い人間を殴って腹の上に乗ったら、吐くに決まってるよな。
俺「おい兄貴?!大丈夫か!?」
急いで近くにあったゴミ箱を兄貴に渡すと、兄貴はその中に三回は吐いた。
なんかもう、怒りが冷めてそんなになってまで歩美を守ろうとする兄貴がかっこよく見えてしまった。
兄貴「ごめん、涼太…タオルと水とってきて」
俺「分かった!」
喧嘩してたのが嘘みたいに、俺と兄貴はいつも通りに戻っていた。さすがにこんなになってまで話を続ける気はない。
リビングにぶちまけたゲロを兄貴が具合悪そうにしている横で急いで片付ける。兄貴は申し訳なさそうに謝っていた。
294:
いきなり仲良くなってワロタwww
295:
ゲロGJ!
296:
喧嘩してゲロは枯れたらビビるわ
298:
完全にダウンしてしまった兄貴に肩を貸しながら、俺は部屋まで連れて行ってやった。顔は殴ったせいで腫れていて、ようやく冷静さを取り戻す。俺は罪悪感でいっぱいだった。
俺「殴ってごめん…」
まだ泣いたままの俺はしゃくり上げながら謝罪する。吐いたモノを掃除したのも、兄貴がぶっ倒れるのを見るのもこれが初めてだった。
兄貴「いいよもう、俺も言いすぎた…」
ベッドに横になる兄貴は顔を腕で覆って隠していたが、相当気分が悪そうだった。
俺「救急車呼ぶ?」
兄貴「寝れば治るから呼ぶな」
俺「ごめん、本当にごめん」
兄貴「もういいから、泣くな」
そう言う兄貴の声も少しだけ震えていた。顔を隠しているのは気分が悪いのもそうだが、泣いていたのかも知れない。
302:
部屋から出ると、俺は自室に篭って泣いた。
自分があまりにもダメすぎて、この片思いのせいでどれだけの人を傷つけ振り回してきたのか考えると情けなかった。
子供だからとか、中学生だからじゃすまされないくらいに皆を巻き込んでいたのだ。
兄貴がなぜ俺の歩美への片思いに気づいたか知るのは、もう少し後だった。兄貴は俺のせいで4日間も寝込んでしまったのだ。
親には腫れた顔で兄弟喧嘩がバレ、元気な俺が怒られた。父親は兄弟だから殴り合いくらいするだろうと何も言わなかったが、母親がうるさかった。
なぜ喧嘩したのか聞かれたが、俺も兄貴も絶対それは言わなかった。
303:
横恋慕するのと、女を振るのは全然違うよ
兄貴に非はない
まあ、叶わない恋に悩む俺かっけえみたいなもんなんだろうけど
304:
歩美への片思いを兄貴が知ったきっかけは、奈津だった。告げ口をしたのかと思ったがそうじゃなく、奈津が言った言葉に違和感を覚えたらしい。
兄貴が歩美と結婚したいと奈津に話した際に、奈津が「涼太はどう思ってるんですか?」って聞いていたのだ。
そのときは意味がわからなかったから「喜んでくれると思う」って話したが、後になって考えると言葉の意味と雰囲気的におかしいと気づいたらしい。
俺の今までの態度や、歩美への視線。そのすべてを思い出した結果、一つの仮説が生まれた。
決定的になったのが、具合悪いから歩美が来ると言ったときの俺の反応。その反応に兄貴は何かあったと察したらしい。
306:
それからズルズルと、俺は歩美への恋を引きずった。
兄貴に殴ったことを謝ったとき「歩美に告白するくらいは許してやる」と言われた。
もうそのときに分かってしまった。俺は兄貴には勝てない。兄貴は最初から、俺など恋敵として相手にしていなかった。
一年以上付き合ってれば喧嘩だってするだろう。歩美が俺に見せた一瞬の弱みも、俺が思っているより軽い痴話喧嘩の一つだった。
お互いに思いあってる自信と揺らぐことのない信頼があるから、兄貴は俺に告白しろと言ってきたのだ。
殴り合いする前にそれを言われたら確実にキレていたが、もう何も思わなかった。
告白しろってのはバカにして言ってるわけじゃなく、俺が本気で歩美を好きだと分かっていたからこそ、後ろめたくならないようにとの兄貴の優しさだった。
305:
>>304
兄貴すげーな
男ってそういうのに鈍感なハズだがwww
308:
>>305
俺が歩美にタメ口呼び捨てだったり、気づかないうちに歩美来ないの?とか聞いてたみたいなんだ。だから多分、日々の積み重ねで分かってしまったんだと思う。
サッカー部の部長やるくらいには周り見れる兄貴だしな。まあ、それは関係ないか(笑)
多分同じ状況になったら気づくのかもな。
312:
兄貴に告白しろと言われてからしばらくは、本当に悩んだ。一度それっぽいことを言っていたし、それから避けられていたわけだからな。
奈津にも相談した。喧嘩して顔が腫れたので理由を聞かれ、そのときに兄貴にバレたことを教えたのだ。
奈津は自分なら伝えないと言っていた。理由は一度言っているし、2人の邪魔をしたくないかららしい。
前に奈津が好きな人の幸せを願うとか言っていたとき、大人ぶってるただの綺麗事だと思ったがこのときようやくその気持ちが分かった。
うまく言えないけど、絶対って自信が俺にはなかった。兄貴は歩美のためならなんだってするだろうけど、俺にはできない。
幸せにする自信があるとか、傷つけないとか口ではどうとでも言えるが、兄貴みたいに吐いてまで歩美のために一歩も引かないなんて無理だろう。
313:
これは、結局兄貴から奪えない感じか?
315:
俺は12月の初めまでだらだらと悩んでいた。その間に歩美が家に来たが、歩美は顔を合わせても別に普通だった。
歩美もきっと悩んだと思う。彼氏の弟に恋愛対象にならない?なんて聞かれて悩まないはずがないよな。
そんなある日、俺は康平くんからメールで家に来いと呼び出しをされた。
康平くんって最初の方にも書いていたが、俺のサッカー部の先輩であり兄貴の同級生である。
316:
康平くんは俺を弟みたいに可愛がってくれていて、大抵の悪いことや中学校のサボりスポットなど全部康平くんから教わった。
兄貴があまり涼太に変なこと教えるなって言うくらい、康平くんはなんでも知ってるし面白い先輩だった。
そんな康平くんからの改まった呼び出しに若干不安になりながら家に行くと、珍しく康平くんが出迎えてくれた。
いつもなら勝手に上がって来い。ついでに冷蔵庫から飲み物とって来い。ぐらいのこと言うくせに、優しい態度の康平くんが正直気持ち悪かった。
321:
なんかやな予感
322:
康平「わざわざ呼び出してごめんな。涼太今日部活だっただろ」
土曜日に呼び出しされたので、俺は部活の休日練が終わってそのまま駆けつけた。
俺「あっ、部活でしたけど大丈夫っす!」
康平「なんだよ敬語使って気持ち悪いな。小学生の頃は俺を呼び捨てするくらい調子乗ってたくせに!」
そう言って笑い合うと、しばらく部活の話をした。練習内容が前と変わったことや、試合の結果。顧問の愚痴やメンバーのことなど先輩である康平くんに色々聞いてもらった。
そのすべてを康平くんは聞いてくれて、本当に頼れる兄貴って感じだった。
話をして1時間経った頃。ようやく話が落ち着き、俺は康平くんに気になっていたことを聞いた。
俺「なんで今日、康平くんって俺を家に呼んだの?」
すっかり昔通りのタメ口に戻っていた。が、その問いに対して康平くんは真剣な表情になった。
康平「実は、歩美ちゃんのこと。涼太にちゃんと聞きたかったんだ」
323:
それを聞いて、俺は逃げ出したくなった。
確かに歩美と兄貴が付き合ってることは康平くんも知っている。でも、俺が歩美を好きなことは知らないはずだ。
俺「誰に聞いたの?って、兄貴しかいないか」
康平「うん、健太から聞いた。俺だとちゃんと本音言えないだろうから聞いてやって欲しいった頼まれたんだ」
康平くんの面倒見の良い性格とハッキリ言うところは尊敬するし、隠されたりはぐらかされるよりマシだ。
でも、今回ばかりは康平くんに関与されるのが嫌だった。
俺「別に。俺は話す気ないから」
康平「ならいいよ、俺の話だけ聞いて帰れ」
超B型の自分勝手な康平くんらしい返事だった。自己中心的なところは相変わらずで、俺も黙って聞くことにした。
333:
康平「まず最初に言わせてもらうけど、涼太は健太と自分を比べ過ぎだ。お前は健太じゃねえし、性格も全く違うだろ。それなのに、健太みたいになろうとするな」
俺「……」
康平「年も近いし同じサッカーやっててしかもポジション同じだから、比べたくなるのも分かる。でも、お前の場合少し違うだろ?健太になろうとするな」
何を言ってるのか分からない。なんて、そんな逃げるみたいなこと言えなかった。
康平くんの言うこと全部が当たっていたから、言い返せなかったのだ。
康平「誰かお前に健太みたいになれって言ったか?言ってないだろ。勝手にお前がライバル視して健太を追いかけてるだけだ。そういうの、ブラコンって言うんだぞ?」
俺「…うるさい」
弱々しい反論に、康平くんは笑った。でもバカにした感じゃなくて俺を哀れんでいるみたいだった。
338:
康平「だからこそ、俺は言わせてもらうな。違ったらごめん。そのときは謝る。お前は、本当に歩美ちゃんが好きなのか?」
俺「はっ?」
康平「もう一度聞く。歩美ちゃんが好きか?」
質問の意味が分からない。好きだ、好きに決まっている。俺は歩美を好きだからこんなに苦しいんだ。じゃなきゃおかしいだろ。
康平「お前が歩美ちゃんを欲しいと思ったのは、何でも持ってる健太から何か一つでも奪いたかったんじゃないのか?」
俺「……」
康平「涼太、お前の歩美ちゃんへの恋心って、年上に対する憧れとは違うのか?」
うつむいていた俺の頭の上に康平くんは手を乗せると、そのままぐりぐりと撫で回して来た。
康平「頑張ったな、涼太。健太ばかりいつも褒められるし好かれるし。あいつ完璧主義だよな、むかつくよな!でも、涼太が気づかないだけで、お前だって良いところいっぱいあるんだぞ」
340:
なんかすげえ良い奴
341:
心の中が、ストンって軽くなる感じがした。今まで叶わない恋だの愛だのって騒いでいたのが嘘みたいに、消えて行くみたいだった。
ああ、そうか。俺は兄貴を尊敬するのと同時に、兄貴になれない自分に失望していたんだ。
俺「俺、兄貴みたいになりたかったんだ。ずっと、兄貴になりたかった。歩美が俺のモノなったら、俺も兄貴になれる気がした」
康平「それは間違いだな。最初は純粋に好きだったのかも知れない。でも、途中からお前は意地になってたんだろ?頑固な涼太らしいな」
歩美への恋は恋じゃなく憧れだった。自分の気持ちに気づけないほど、俺は歩美と兄貴に執着していたのだ。
342:
兄貴なんぞより康平さんの方がかっこええやん!
344:
康平「実はお前に言ってなかったけど、健太今回の件で珍しく焦ってたんだぞ?」
俺「えっ?」
康平「もしかしたら、涼太に歩美を取られるかも知れないってこの前相談して来た。お前はどう思うかわかんないけど、それって健太がお前を一人の男として認めてるってことだ」
そんなところ俺には見せなかったし、兄貴は余裕ぶっていたはずだ。でも、本当は俺が歩美を奪うかもと気が気じゃなかったらしい。
自分の本当の気持ちが分かった今、俺はもう一度ちゃんと兄貴と歩美に会いたかった。
康平くんにお礼を言ってすぐ帰ると、歩美がいた…なんて、上手い展開はなく、兄貴が部活を終えて帰って来ていた。
俺「兄貴、今康平くんの家で話して来た。正直、勝手なことするなって思った」
兄貴「悪かった。でも、どうせお前本当に言いたいこと俺には言わないだろ。だから康平に頼んだんだ」
俺「それも聞いた。あのさ、ごめんな。今までずっと。俺が歩美を好きだと思っていたのは、多分違ってた。憧れだった」
343:
康平さんかっこいいけど
マンガの読み過ぎのような気がしてしまうのはおれの心が腐っているのか
345:
康平くんはなー。面倒見いい皆のお兄ちゃんなんだよ。五人兄弟の長男だからな(笑)
348:
兄貴は俺のその言葉に驚いていた。
兄貴「えっ?康平と何話したの?」
俺「いろいろ」
兄貴「なんだよそれ、凄い気になる。でも、よかった。これで涼太にも俺と歩美を認めてもらえるな」
俺「うん、そうだな」
それから次に歩美が家に来たのはクリスマスだった。俺の家で歩美の家族も呼んでクリスマス会をしたのだ。
歩美の両親と俺の両親は意気投合していたし、酔っ払って両親達は2人の結婚がどーのこーのって盛り上がっていた。
兄貴達は恥ずかしそうにしていたな。
クリスマスのとき、歩美が俺に手紙をくれたんだがそれは今でも大切にしてある。全文は載せないでおくが、そこにはこう書かれていた。
「涼太の彼女にはなれないけど、健太を通して家族になりたいです」と。
352:
これ映画化でよくね
ドラマ化でもいいけど
353:
これで俺の話は終わりです。長くなったし書き溜めないのに書いてごめんな。読んでくれて本当にありがとう。
ここからは後日談といきます。
まあ、スレタイで分かると思うがもしも歩美を兄貴から奪えていたら「兄貴から彼女を奪った話」とかにしていた。
現実ってのはそう簡単に行かないし、俺も高校生になったときは色々考えさせられたな。
中学生相手に、付き合えるわけなかったんだよ。あれは恋愛対象外だ。
そんなガキの俺に真剣に向き合ってくれた歩美や兄貴、奈津。傷つけてしまった水口にも本当に感謝している。
康平くんには特に感謝しているし、あの時話をして救われた。
359:
全員の進路だが、奈津は兄貴や歩美と同じ高校に進学した。確か水口は女子校だったと思う。
兄貴とは三歳差だから、同じく大学に進学したが歩美は頭が良いのに美容師になりたかったらしく専門に行った。兄貴は普通の四年生に行った。
今回、なぜこの話を書こうと思ったのか。まあ、当たり前だがきっかけがあった。
実は去年、俺と歩美は本当に兄貴を通して家族になった。そして、今年の冬に第一子が生まれる。
その連絡が一週間前くらいに来て、思わず兄貴達の家に行って祝いだー!って酒飲んだんだ。ちなみに歩美は飲んでないぞ。
で、懐かしい話になってこのときのことを笑って「そんなこともあったな」って話したんだ。
363:
思い出話として話せるくらいに時間が経ってしまった。兄貴と歩美に子供ができるし、俺も年をとるわけだ。
兄貴は就活のときに一発で本命に受かった強者だ。2人は大学と専門学校生の頃に同棲をし出したんだが、就職先が決まってすぐ23歳で結婚した。
つまり俺は現在21歳。大学生で今日もバイト頑張ってきてそのまま寝ないで書きました。
何度か質問も来ていたが、奈津とは高校と大学が違うが今も連絡はとっているしたまに飲みに行く。俺達が幹事で合コンやったことも二回くらいあるかな。
奈津には大学の先輩で今は社会人の彼氏がいるらしく、一応俺にも高校から付き合っている彼女がいる。
兄貴達みたいに…とは言えないが、まあそこそこ仲良くやっているし結婚の話もチラホラと出ているかな。
365:
1おつかれ
いい話だった
367:
とりあえずこれで俺の話は以上です。質問があれば返すが、前の質問は拾えるのだけ拾って答えます。
先ほど言ったように奈津とは付き合いませんでした。あいつと恋愛なんて想像出来ないです。
フェイクですが、とりあえず名前は友達から借りてきました。それ以外はあまりフェイク入れてない。フェイク入れようか悩んだが、自分の話をするのに嘘いれるのは気が引けたんでな。
368:
なんか感動した
375:
水口…
384:
>>375
スマン。水口の進学が女子校ってところまででそれ以降は成人式のクラス会も他クラスだったからいなかったし、今どうなのか分からない。
376:
いい話なんだが、今も>>229を思ってるってことは吹っ切れてないのか?
229:
今大人になったから言えるが、あのとき公園でハッキリ告白して無理やりキスでもしてやれば良かったと思ってる。だから本当に俺はガキだったんだよ。
意気がってるくせに実際にやれと言われれば出来ないチキンだしな。でも中学生なんてそんなもんだろ。
383:
>>376
いや、もう何も思ってないよ。振り返ったときにどうせ結ばれなかったんだしそういうことしときゃよかったって感じかな。
380:
おつ
最近の1の恋愛がどぉなってるのか気になるわ。
385:
>>380
後日談に載せたが、今は高校のときに出会った女の子と付き合ってる。タイプで言ったら多分奈津みたいなサバサバした子だ。
まだ学生だし結婚はあまり考えてないしちょっと話をするくらい。
けど兄貴達への憧れもあったから、俺も高校時代(今もだけど)よく家に呼んでる。
392:
21日の夜中から書いてきたこの話。
皆読んでくれて本当に嬉しかったし、支援や期待。先が読めないと言って待っててくれたのは励みになった。
なのでここで本当の話をする。
「兄貴の彼女を好きになった話」
実はこれ、俺の創作でした!!!
騙して悪かった。今まで2ちゃんで読んだのは途中で創作って分かるものばかりだったから、俺はひたすらリアルを追求しました。
393:
>>392
いやー文才あるよw
小説家目指せばw
何を元ネタてか参考にした?
ちなみに>>1の本当のスペックが知りたいなw
395:
>>393
怒らないでくれてありがとう!
実は元ネタもなにもなくて、夜中突然思い立って書いた!
あっ、でも。ネタと言っても中学時代にこんな恋愛あったら面白いなあと思って自分で考えたのが元ネタになってるな。
394:
ちくしょう
396:
>>394
本当にすまない!とにかくリアルな話を書こうとしたらあり得そうになってしまったんだ!
読んでくれてありがとうな!
398:
とりあえず本当に書こうと思ったきっかけを話そうと思う。
最近伝説になるような創作がないから誰か書けよー。みたいなスレがあったんだ。
俺もそれを見てたんだけど、それ見てたら書きたくなったんだよ。伝説になりたいとは思わなかったが、自分が考えた話をぜひ読んでもらいたかった。
400:
正直、最近は釣りでも良いのに完走してくれないスレばっかりだから楽しかった。
完走しただけでも良しとしよう
402:
>>400
ありがとう!正直途中でバイトがあったりで疲れたし何度かやめようと思った。
そのたびにレスを読んで頑張れた。皆が作ってくれたんだ。ありがとう。
405:
あと、もう一つ。
何度も聞かれて答えなかった俺のすぺっくですが、ここで公表します!
412:
早くしろ
413:
実は、これを書いたのは18歳の高校卒業して時間のあるガキでした!
21歳ってのは創作内の年齢設定だったのでゆるしてください!
それと、女でした!
414:
本当にごめんなさい!口調とかなんかもう全然わかんないし、女の話だとうpとか言われて書き上げられないかな?って思って男にしたんです!
私の拙い文章読んでくださった方、ありがとうございました!
415:
うp
416:
>>415
うpしたら今まで書いたの台無しになるのでなしでお願いします。
419:
進学先は決まってるのか?
420:
>>419
それは大丈夫です!決まってバイトして勉強して…という毎日だったので、良い刺激になりました。
読んでくださり、本当にありがとうございました!
421:
自分は歩美と奈津と水口、誰に近い?
423:
>>421
顔はなしとして、多分水口かなーって思います。恋愛の仕方は完全に奈津です。身を引くタイプです(笑)
奈津みたいにサバサバしてないので!水口にします。女の子には自分の性格の要素を少しずつ入れました。
歩美に関してはちょっと空気読めない感じが私です(笑)
430:
面白かった!
書いてるのが女とは思わなんだw
すっかりだまされたが、眠い目をこすりながら読んだだけの価値はあったよ
おつかれさん
新社会人、頑張れよ!
431:
>>430
書きためもしないし本当に0からのスタートでしたが、書いてる間騙してる感じで罪悪感すごかったです(笑)
女でした!でも、眠い中読んでくださりありがとうございました!
434:
なんか>>1っていい奴そうだな
435:
創作にしても才能があると思うよ!
まあ、作家とか目指すとかなるとまた次元がかなり変わるけどもねー。
趣味として創作ならめっちゃかっこええやん〜。
437:
>>435
こう言った台詞書きみたいな文章書いたのは初めてだったので右往左往してました。
趣味程度でまたいつかスレ立てて書けたらいいなあとか密かに思ってます。
438:
主、いい娘なんだね、ありがとう。
443:
今見てきたらまとめサイトに載ってました。
賛否両論あると思うし、つまらないし釣りだから読まないって人もいるでしょう。
それでもここで書かせてもらって、リアルタイムでコメントを貰えて嬉しかったです。
私はこれからも暇なときにびっぷら来てちょこちょこ何処かのスレにレスすると思います。
この話を読んでくださった方、またレスしてくださった方。
つまらないと言った方も含めて皆に感謝しています。ありがとうございました!
448:
ここで最後に1から話をしたいと思います。
誰にも話したことのない私の夢です。せっかくなので書いて終わりにしたいと思います!
私の夢は文学史を覆すことです。古典文学が好きなんですが、現在私は一つの仮説を立てています。それを実証することができれば、多分今までの古典文学の見方が変わるでしょう。
そんな簡単にいかないですし、私なんかが出来るとは思ってません。でも、必ず実証してみせます。
現在は下済みのようなもので、平安時代の文学を研究する方などと話をする機会をいただく日々です。
まったく前レスと関係ない話ですが、どこかに決意を書きたいと思っていたのでここに残しておきます。
大学生になっても頑張ります!
ありがとうございました。
>>1より
452:
すごい面白かった!
また面白いの書いてや^ ^
454:
完全に釣られたがおもしろかった
474:
べ、べつに釣られてあげただけなんだからっ///
39
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