7年前だけど離れに女子高生が引っ越してきた話をするback

7年前だけど離れに女子高生が引っ越してきた話をする


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1:
7年前の話だが
2:
続けろ
11:
あれは俺が高校1年生の時だった
父さんの古くからの友人夫妻が別居し田舎へ帰ることになっていた
しかし長女は来年大学受験も控えているし
今更田舎の高校へ行く気にはなれないということで
一人東京に残ることに
けれど女子高生の一人暮らしは友人夫妻いわく危険と言うことで
長女の通う高校からも近い俺の家に2年間世話になる話になった
12:
今思えば友人夫妻が別居するまでに至る経緯の中で
父さんは何らかの関係を持っていたんだと思う
14:
その話を俺が聞いたのは女子高生が引っ越してくる前日だった
高校1年生の男子の家に女子高生が引っ越してくるだなんて
傍から聞けばこんな美味しい話はないが
当時の俺は怒り狂い家族の中でたった一人猛烈反対をしていた
15:
何故ならその女子高生が引っ越してくる場所が「離れ」だったからだ
父さんと母さんは離れなんて物置同然だし
家族の誰も使用していないんだから2年ぐらい
困ってる人に貸してあげてもいいじゃないなんて言っていたが
俺にとっては離れは物置同然の場所ではない
大量のエロ本やらAVが保管してある
いわば俺にとってのオアシスだった
16:
俺の部屋は姉貴との共同部屋だし
離れが俺にとっての唯一の解放区でもあった
しかも姉貴の存在だけでもウザイのに
また家に女が一人増えるだなんて俺には苦行でしかなかった
18:
とりあえず離れにその女子高生が引っ越してくるのは明日と聞いていたから
俺はその日の夜にとっととAVやらエロ本を回収し
スポーツバックに詰めてクローゼットに一時避難させようと
離れの扉に手をかけた時だった
「こんばんは」
「ヴェェェェエッ!!!!!!」
20:
背後から突然聞こえた声に俺は驚愕の声をあげた
そこにはポニーテールにゆわいた小柄の女と
40代くらいのショートカットでキレイな女性が
暗闇の中でポツンと突っ立っていたからだ
だ・・・誰だよ!!!!!!と言う俺の心のツッコミを無視して
40代くらいの女性は続けて俺に話しかける
「鈴木君家の息子さん?」
「へ・・・?」
「お父さんいるかな?」
「え、どちら様ですか・・・?」
「あれ、話聞いてないかな?明日からここで娘がお世話になるんだけど・・・」
「・・・あぁ!え、なんで今日・・・え、あ、父さん・・・とりあえず父呼んで来ます」
「ありがとう」
優しそうな女性の笑顔に
AV救出大作戦の予定が大幅に狂った俺は動揺しながらも
急ぎ足で自宅に戻り父の部屋へ向かった
22:
父に経緯を伝えると「あ、やっと来たか」みたいな反応が返ってきて
AVを救出大作戦が失敗に終わった俺は
なんで言ってくれなかったのかと大激怒したが
「これから学校でもないのにスポーツバッグなんか抱えてどうした?」と言う
父からの鋭い質問をされたため俺は静かに自分の部屋へクローズアウトした
27:
その日の夜は明日部活を早く切り上げて
AVを救出しなければと言うことで俺の頭の中はいっぱいだった
もしもコツコツ集めてきた大量のAVたちが
見つかって親に捨てられでもしたら俺は死んでしまう
ついでに親に見せる顔もなくなるだろう
こんな人生の一大危機ともいえる時に
ベッドで横になり明日を待つことしか出来ないなんて・・・
俺は自分の無力さに絶望しながら眠りについた
28:
今にして思えば掃除してくると言ってさっさと取りに行けば良いのに
32:
>>28
普段部屋の掃除すらしない俺が離れの掃除とか怪しすぎるだろ
30:
次の日
俺は祖母が緊急入院してしまい面会時間までにお見舞いに行きたいと言う
部活の顧問が反論できないであろう完璧な理由を作り上げ部活をサボった
そして家までの道のりを早足でかけていく
AV一つでここまで振り回される自分を情けなく思ったが
緊急事態なので仕方ない
俺は家の門を開けるなり自宅ではなく離れに向かった
その時の気持ちは囚われの姫(AV)を助ける
ヒーローそのもので喜びに満ち溢れた勢いで
離れの扉を開けるなりこう叫んだんだ
「俺が助けてやるぜ!!!!!!!!!」
34:
怪しまれても背に腹は代えられない時がある
俺は植えた梅の種を掘り返すと言う無茶苦茶な理由で怪しまれながら
庭を一生懸命掘ってエロ本を埋めて親戚達のお泊りから危機回避した事あるぜ
38:
>>34
クッソワロタ
35:
しかし俺はそのセリフを叫んだことをすぐ後悔した
扉を開けた目の前に昨日見た女子高生が
正座をしながら衣類をたたんでいる姿があったからだ
俺と彼女はバッチリと目があい
お互い状況が理解できずに固まった
「・・・」
「・・・」
「こんにちは」クスッ
「!!!!」
笑われた
俺は恥ずかしさで憤死しそうな気持ちを殺して扉を閉めた
そして自分の部屋まで猛ダッシュした
40:
もう会わせる顔がない
残されたAV
俺が助けてやるぜ!と言うキモイセリフ
この時ほど穴があったら入りたいと思ったことは無い
43:
そんなこんなで俺はその日の夕食をパスした
両親は別名バキュームとも言われる俺が夕食をパスするなんて
どこか具合が悪いんじゃないかと笑い話にしていたが
反抗する気力さえ傷だらけの俺にはなかった
次の日
俺は次の祭日に向けての離れのAV救出作戦を練っていた
早いとこ救出してやらないと本当に俺の身が危ない
一応部活の仲間にも相談を持ちかけてみたものの
爆笑のネタにされろくに相手もされなかったので
俺は再び心に深い傷を負いトボトボと家までの道のりを歩いた
46:
このままAVが見つかって家族から軽蔑の眼差しを向けられて
生活していかなきゃなんねーのかな・・・マズイな・・・
俺の焦りは日に日に募っていった
もうこうなったら強行突破しか残されていないのかもしれない・・・
いっそのこと女子高生にだけでも事情を説明して・・・って無理か
考えれば考えるほど非現実的なことばかりしか思いつかなくなっていたその時
柔らかな感触が俺の肩にそっと触れた
「ヴィッ!」
俺は思わず肩をすくませ驚きの奇声をあげる
するとその奇声につられてか細い声も一緒に聞こえた
「わっ!」
48:
振り向くとそこには真っ白い肌に
色素の薄い茶色がかったサラサラのストレートヘアーの
セーラー服姿の女の子が立っていた
「な・・・なんすか・・・」
身に覚えのない女子高生に俺は警戒する
しかしそんな俺の顔が面白かったのか女子高生は
一瞬驚くとふふっと笑い
「ごめん、驚かせてばかりだね」といった
50:
「??」
状況がつかめていない俺を見て更に女子高生はクスクスと笑う
「顔、面白い」
その一言に俺はカチンとくる
おいおい・・・初対面で人の顔をけなしてくるとはいい度胸じゃねえか!
大体名前も名乗りでないで一体この女なんだよ!と思っている時だった
「鈴木くん、鈴木次郎くん」
「?!」
突然フルネームを呼ばれて驚く
そして俺はそこで気付いた
あ、この女・・・・離れの女子高生!!
髪の毛をおろしていたから気付かなかったものの
よくよく見るとすごくかわいい
じっと見てるのが恥ずかしくなるくらいっていうか
うまくいえないけど目をそらしたくなる感じの女子だった
53:
あまりにも見つめてくるものだから
俺は恥ずかしさをごまかすためにムッとして自分の足元を見る
するとその女子高生はポツリと呟いた
「・・・やっぱり怒ってるんだね」
その言葉に驚いて俺は顔を上げた
するとさっきまでのイタズラな表情の彼女はそこにいなくて
困ったような笑顔で俺にこういった
「君の大切な場所とっちゃってごめん」
54:
ちょっと大事なものがあるから取らせてって言えば良かったのでは、と今更ながら
56:
>>54
離れって部屋が一つなんだよ
6畳くらいの部屋でクローゼット開くと丸見えなんだよないろいろ
59:
>>56
理解した
そんな部屋ならきっと…いや、過程と結末が知りたいから何も言わずに眺め続けることにする
55:
大切な場所?離れのことか?
まさかAVのことがバレて・・・いやそんなはずはない
俺は自分の中で何度も色んな自問自答を繰り返すが
明確な答えにはたどり着けず再び黙り込んでしまう
2人の間に広がる沈黙
打ち破ったのはもちろん彼女だった
「これお詫び」
「え」
「クッキー。私家庭部だからさっき作ってきて…って甘いのきらい?」
「いや嫌いじゃないけど」
「そっか良かった」
「・・・」
「夕食はちゃんと出てきてね?」
「!」
57:
バレてるだろ
58:
不意をつかれた俺は動揺する
やっぱり昨日の件・・・気まずかったな
彼女は「先家に帰ってるからね」と言い駆け足で去っていってしまった
家までの道のりを一緒に帰るのもなんというか気まずいし
先に帰ってくれて丁度良かったんだけど
家に帰れば夕食の時に顔を合わせることになるのかと思うと
俺はどうにもこうにも平常心でいることが出来なかった
60:
その日の夕食、俺はもちろん参加した
家族を囲んでその女子高生がいる
名前もまだ知らないけど両親達が「りーちゃん」と言っていたから
りから始まる名前なのだろう
俺はクッキーのお礼も兼ねてAVを救出することにした
結構は今夜
家族が寝静まる11時頃だ
63:
11時頃
俺は家族の目を盗んで離れに向かった
姉貴にどこ行くのと聞かれたがコンビニと言って適当にごまかした
スポーツバッグはサイズ的に無理なので黒いゴミ袋を持ち
忍び足で俺は離れへと急いだ
64:
離れのクローゼットは2重になっている
その角に身をひそめているのが俺のAVたちだ
しかしこのとき
AVを救出できるかどうかとはまた違う緊張感が俺にはあった
この緊張感がなんなのかはいまいちよく分からないが
離れの扉を2,3回軽くノックした
「はい」
中から彼女が扉へと歩いてくる足音が聞こえる
ドクンと強く俺の心臓が脈を打った
65:
扉を開けると彼女は驚いた表情で俺を見つめた
「鈴木くん・・・!」
「昼間はどうも」
たいした話もしてないのに昼間はどうもなんて意味の分からないセリフだが
彼女は一人で暇してたんだよー入ってく?なんて冗談交じりに
笑いかけてきたから俺はチャンスだ!と思い真顔で答えた
「入る」
「・・・え?」
「え?」
「あ・・ううん、なんか散らかってるけど・・・」
「かまわないよ」
「そっか」
妙な空気が流れた
66:
「鈴木くんって高校1年生なんだよね?私高校2年生なんだよー
最初見た時同い年くらいかと思ったから年下って聞いてびっくりだった」
「そうすか」
「身長も高いよね?いくつなの?」
「178cmっす」
「へーすごいー!クラスでも高いほうでしょ?私は158cmだから・・・あ、ちょうど20cm差だね」
「そうすね」
「・・・」
「・・・」
「鈴木くん何部だっけ?野球部?練習大変そうだね」
「そうすね」
俺は他愛もない会話など正直どうでもよかった
早くAVを救出したくて仕方なかったからだ
しかし彼女は沈黙を恐がるかのように会話を繰り広げてくる
67:
「今日は冷えるね・・・っていうか散らかってるねごめんね」
「大丈夫っす」
「鈴木君あの」
「あのすみません」
「!」ビクッ
俺が正座で彼女の目の前に座ると彼女は一瞬肩をすくませた
俺は真っ直ぐ彼女を見つめこぶしを両膝の上におく
「あのー・・・・・」
クロゼット開けてもいいですかの一言がどうしてもいえなかった
彼女の性格上きっと何が入ってるの?としつこく聞いてくることが
目に見えていたからだ
だけどここまできて逃げるのは男がすたる
俺は勇気をふりしぼって再び彼女の目を真っ直ぐ見つめた
「あの!・・・って、え」
俺は自分の目を疑った
そう彼女がポロポロと泣き始めたからだ
70:
「ごめん、ごめんね鈴木君・・・突然びっくりしちゃうよね」
「あ、ああのどうしたんですか?!なんか俺悪いこと・・・」
「鈴木君は悪くないよごめん。本当ごめんね」
「え、いや・・・あの・・・」
ひたすらポロポロと涙をこぼし泣く彼女
俺は本当にどうしていいか分からず帰ろうかと思い立ち上がったが
彼女がぐいっと俺のパーカーの腕の裾を無言で引っ張ったので
振り払うことも出来ず再び座りなおして彼女の頭をぽんぽんと撫でた
離れにいること1時間弱
彼女は
「引き止めてごめん、ありがとう」と俺に言い
解放された俺は自室に戻った
そしてAVは救出できずに終わった
72:
次の日の休日の朝
俺はというと部活が無くフリーだった
姉貴は出かけ母も友達と食事にと言って出かけ父は仕事で家には俺一人
離れには彼女一人で居間のテーブルの上には
俺の分と彼女の分の朝食がラップされて用意されていた
まだ食べてないんだ・・・
遅く起きた俺は時計を見ると
12時をまわっていてもはや昼食の時間でもおかしくはなかった
昨日のこともあったしな・・・
俺は自分の分の朝食と彼女の分の朝食を持ち離れへと向かった
73:
不安な気持ちを抱えながら俺は離れの扉をノックした
彼女が泣いていた理由は知らないけど心配でほっとおけなかったからだ
今日も泣いているんじゃないのか
そんなことを悶々と思いながら扉が開くのを待っていた時間は
彼女の気さくな態度によって打ち砕かれた
「はいはーい!今あけまーす・・ってあれ?鈴木くん?どしたの?おはよ!」
75:
まるで昨日のことが嘘のように彼女は明るく俺に接してきた
これじゃあなんだか心配していた俺がすごく恥ずかしい・・・
「あ、朝食・・・食べてなかったから、その」
「え?あ、もうそんな時間なんだー!きづかなかったよーあはは」
ニコニコと笑う彼女
やっぱり昨日のことは嘘なんじゃないかと俺は思った
76:
「わざわざもって来てくれたの?ありがとね」
「うん、じゃ・・・」
「え、まって一緒に食べようよ」
「は?」
「だってそれ、自分の分でしょ?違うの?」
「これは・・・」
「一緒に食べようよ??」
「・・・あー・・・まあいいけど」
「ヤッター!じゃあクッションもう一個だすね」
子供みたいにはしゃぐ彼女
俺よりもひとつ上なのに、だけど元気でよかった
俺はため息を適当について精一杯の照れ隠しをした
77:
本当に何もなかったかのように普通の会話を繰り広げる彼女
まだ出会って間もないのになんでこんな何年も一緒にいるみたいな
雰囲気を作り出せるんだろう
俺は素直に彼女がすごいと思った
そして俺の背中越しのクローゼットで眠ってるAVを取り出したいとも思った
78:
もうAV諦めろよ
79:
だけどあまりにも和やかな空気だから俺は口が滑って言ってしまった
「まあ元気そうで良かったよ」
「・・・」
「あ、ごめん」
「・・・」
「マジでごめん・・・」
「・・・」
「ごめんなさい・・・」
「・・・ふふ」
「?!」
80:
「やっぱ鈴木君、顔面白い」
「はぁ?!」
「面白いよ!その顔!すっごく面白い!」
「喧嘩売ってるだろ・・・」
「嫌なことも忘れちゃうくらい、面白い」
「!」
「だから好きだよ私は。その変な顔」
「嬉しくないわ・・・全然」
「あはは」
不意に言われた好きと言う言葉
俺の心臓は爆発寸前だった
82:
そんなん平気で言えちゃうこいつは男好きだわ
83:
気付けば俺と彼女は3時間くらいくだらない会話をしていた
「俺、そろそろ帰るわ」
「うん、楽しかったよ」
「俺の顔が変だから?」
「うん!」
「そこは否定しろよな・・・」
「ありがとね、ばいばい」
「うん」
扉を閉めるとき彼女はいつも嬉しそうにそして寂しそうな顔をする
だけどこの時考えもつかなかった
扉を閉めるときの俺はどんな顔をしていたのかなんて
85:
その日を境に俺と彼女は急激に距離が縮まった
彼女のことを俺はりーと呼ぶようになり
彼女も俺のことをジローくんと呼ぶようになった
携帯のアドレスも教えあって毎晩メールして
暇さえあれば離れに行って
すっかりAVのことなんて忘れている時だった
86:
季節は冬になり彼女の離れにはこたつが設置された
そのコタツの中でみかんを食べて他愛もない会話をしながら
ぬくぬくするのが俺の至福の時間になっている時だった
彼女もAVの存在に気付かないみたいだし
このままでもいいかなって思ってたんだ
87:
彼女があの時泣いていた理由をぽつり、ぽつりと話し始めてくれた
両親が離婚寸前なこと
本当は一人でこの先が不安だったこと
自分は両親にとって邪魔者なんじゃないかということ
90:
「でもね・・・じろーくんがいてくれたから寂しくなかったよ」
コタツに入りながら彼女は俺を見つめる
「・・・うん」
「ほんとだよ?」
「・・・うん」
「私のこと心配してくれてるときの顔がね、すごく好き」
「・・・変な顔のこと?」
「うん」
「そっかー・・・」
俺はぐーっと伸びをしてバタンッと床に寝転んだ
すると彼女は俺の隣にきて寝転びピッタリと俺にくっついてきた
91:
これは最終的に悲しくお別れするパターンか、
恵まれるパターンか、実はクソビッチだったかの3つか。
93:
「・・・その変な顔、他の女の子の前でしないでね」
「・・・いいよ」
「ふふふ」
「なんだよ」
「変な顔だなーと思って」
「うっせーよ」
「好きだよ」
「・・・うん」
彼女がまぶたを閉じた瞬間、それが俺のファーストキスだった
94:
人生で生まれて始めての彼女
生まれて始めてのキス
俺はその日離れから帰るとベッドにダイブし
奇声をあげながらベッドの上で転がりまくった
96:
これは男の落とし方をしってる奴だわ
97:
彼女と付き合い始めた冬の季節が一番幸せだった
どこ行こうかーとか計画を立てたり
休日はレンタルビデオ屋でDVD選んで借りてみたり
本当に幸せだった
102:
そんな幸せ絶頂期の時だった
彼女の部屋でコタツに入りながらみかんを食っていると
彼女がおもむろにクローゼットを開けた
「ねえねえ、ここのクローゼットって2重になってるって知ってた?」
彼女の口からその言葉が出たとき、俺はマズイと思った
「し、って、る」
俺が口の中にみかんを入れながらしどろもどろに答えると
彼女はなにそのしゃべりかたーと笑いながらクローゼットの扉を開け始めた
106:
マズイ!!!
俺は咄嗟に彼女の手を握りクローゼットを開けることを阻止した
彼女は驚いて俺を見上げる
「なに?どうしたの?」
「・・・ホコリっぽいからさ、ここ」
「?そんなことないよ、ちゃんと掃除してるもん」
「へ?!クローゼットの中を?!」
「2重になってるのは今日おばさんに聞いたの。だからあけてみようかなって」
「なんだ・・・」
「なんだってなに?なんで今ほっとしたの?」
「え、べつにほっとしてなんかないよ」
「うそ、今絶対ほっとしたよ」
108:
彼女が俺を疑いの眼差しでみつめる
大量のAVが隠してあるなんて口が裂けてもいえない
「ここあけないほうがいって、マジで」
「やましいものでも入ってるの?」
「違うけど」
「じゃあどいてて」
「でもさ、あの」
「どいて!」
「はい・・・」
終わった、そう思った瞬間だった
124:
「・・・・・・・・ぎゃっ!!!」
2重クローゼットを開けた瞬間
彼女がその大量のピンクの光景に思わず目を背ける
彼女の頬は見る見る内に真っ赤に染まっていき
彼女自身が一番あけたことに後悔しているようにも見えた
クローゼットから体ごと背けた彼女はぱっと顔を上げると
背後で棒立ちしている俺と目が合い
ハッとしてあわあわしたかと思えば瞳に涙を浮かべて俺をキッと睨んできた
125:
俺はてっきり彼女に失望されここから出て行ってぐらいのことを
言われる覚悟をしていたから
彼女のその挙動不審な態度に思わず笑ってしまった
「・・・だからやめとけって言ったのに・・・」
「なによこれ!」
「見てわかんない?」
「!」
どんどん顔を赤く染める彼女を本当に愛おしいと思った
後から聞いた話によると彼女は俺が元彼女と付き合っていた思い出とかが
入っていると想像していたらしくAVが保管されてるなんて
微塵も思っていなかったらしい
もちろん俺に元彼女など存在しないのだが・・・
128:
「・・・もう満足だろ閉めるぞ」
「シコシコ星人!!!」
「ブッ なんだよそれ!」
「だって!・・・変態だ」
「男はみんなそうだって」
「この数レンタルビデオ屋開けるよ」
「そんないっぱいないって」
俺はことが丸く収まったことに内心胸を下ろしつつ
クローゼットの扉を閉めようとすると彼女がくいっと
俺の腕の袖を掴んで俺の顔をじっ見つめる
129:
「・・・なんすか」
「・・・っか」
「え?」
蚊の鳴くような声で言った彼女の一言が俺は聞き取れずもう一度聞き返すと
彼女は俺が意地悪して聞き返したと勘違いしたらしく
真っ赤な顔を更に真っ赤にして俺の二の腕にぎゅっと抱きつき
コツン、と頭をくっつけてこう言った
「えっちなこと・・・する?」
俺は自分の耳を疑った
130:
ぱんつが焦げた
134:
「え、なに言って、んの」
「!」
彼女を責めるつもりはなかった
ドン引きとかしたわけじゃない
ただ嬉しすぎて動揺しててどういう態度をとっていいか分からなくて
「い、いやならいいもん言ってみただけだもん」
「いやなわけねえだろ!」
「!」
思わず上げてしまった大きい声に俺は恥ずかしくなる
「ごめん、声のトーン間違えた」
「・・・うん・・・」
140:
沈黙が流れる
彼女は空気に耐えられなくなったのか
くるりと後ろを向いて「さ、さむいねコタツに入ろっか!」なんて言いながら
話題をそらそうとした
え!せっかくのチャンスなのに!!!
キスする雰囲気を作ることすら困難なのに
せっかく彼女から作ってくれたヤれる雰囲気を壊すわけにはいかない!
「あ、待って!」
どうしていいか分からない俺はとりあえず彼女を後ろから抱きしめる
しかしこの後どうセックスまで持っていけばいいのか分からなかった
146:
再び流れる沈黙
セックスに持っていくのってこんなにも難しいんだ…とこの時痛感した
コンドームも持ってるわけでもないし
かと言ってテクニックなんて皆無だし
世の中の男達はどうやってヤるんだろうと悶々としていたときだった
「わたし・・・おっぱいそんなおっきくないからね」
「・・・うん」
「Bカップだよ」
「うん」
「期待しないでね」
「・・・うん」
これだ、と思った
俺はゆっくりと彼女の胸へと右手を移動し
がっついてるのがバレないように慎重に
彼女の服の中へ手を這うようにして入れていった
147:
「あっ」
俺は思わず声をあげる
何故なら触れた感触があまりにもふわふわで
なによりも生乳だったからだ
「ブラは・・・?」
「お風呂入った後で重ね着してて・・・」
「そうなんだ・・・」
「・・・してたほうがよかった?」
「いや、大丈夫だよ」
俺の股間は爆発寸前だった
今思えばぴったりくっついてる彼女にモロバレだったに違いない
191:
俺の手の中にすっぽりと収まる彼女の柔らかな胸
手のひらに感じる硬い小さな突起に触れたいのに
そこを重点的に触るのは俺の中の恥じらいが邪魔して
いつも見ていたAVみたいに揉みしだくことなんて出来なかった
「なんか・・・恥ずかしいね」
彼女が俺の手の上に自分の手を重ねて呟いた
「・・・うん」
192:
「今どんな顔してるの?」
「・・・変な顔」
「ふふふ」
いつも彼女に変な顔って言われて笑われてた俺だが
この時だけだと思う
自分から変な顔してるなんて言ったのは
194:
「見せて、変な顔」
「やだよ」
「私も今変な顔してると思う」
「・・・うん」
「おそろいだね」
「・・・うん」
彼女の一言一言が俺を嬉しくさせて同時に恥ずかしくもさせた
俺は無言で深いため息を彼女の首元ですると彼女は
くすぐったい?と言ってクスクスと笑う
217:
あまりにも彼女の反応が可愛くて少し意地悪したくなった俺は
右手の中指と薬指の間で彼女の固くなった突起を軽く挟む
すると彼女は突然襲ってきた刺激に驚いたのか
「ひゃっ」と声をあげ
カクンと膝を曲げて座り込んでしまった
「ちくびつままれた・・・」
「実況しなくていいから」
「恥ずかしい?」
「うん、俺もだよ」
別におかしいことは一つもないのに
お互い顔を見合わせて笑ってしまった
221:
沢山笑って赤面した顔で涙を拭いながら彼女は俺に話しかける
「今日はこのままエッチなことするんですか?」
「なんで敬語なんだよ」
「ボーダー柄なの、パンツ」
「何だよ、その報告」
「ガッカリさせちゃいけないと思って」
「関係ないよ柄なんて」
「そっか」
「そうだよ」
「うん・・・」
離れの部屋の中で俺達は再びキスをした
触れるか触れないかくらいの軽いキス
225:
見つめあって何度も軽くキスを交し合う
だけど心なしか、彼女の不安げな表情が垣間見えて
俺は「大丈夫、今日はしないから」とだけ告げた
なんで?と言わんばかりの顔をしていた彼女だったが
安心していることだけはしっかりと俺には伝わってきた
「ゴム準備してないし、ボーダー柄じゃちょっとなー」
「なにそれ!生意気ー!」
ぐーで俺の二の腕にパンチを入れる彼女
軽そうに見えて実は地味に痛かったりする
227:
お…の…れ…
229:
その時の時間は夜の11時くらいだったと思う
姉貴には毎回コンビニに行ってくるだとか友達と会って来るとか
適当な理由を言ってたけどもしかしたら離れに行ってたことを
知っていたかもしれない
230:
だけどあの時
もしも1,2分でも離れから出るタイミングが遅ければ
また俺は変わった人生を歩んでいたのかもしれない
234:
俺は離れから出るとき彼女と再びキスをして扉を閉めた
股間は彼女と談笑している間に元におさまって
前かがみで歩く必要はなくなっていた
235:
AVはそのままか´д` ;
237:
自宅へ戻ると居間には帰宅して間もない父さんがいた
「お帰りー」
俺は何気なく父さんに話しかけると父さんはそっけなく「あぁ・・・」とだけ返す
いつもなら「ただいまー」と機嫌よく返してくれるのに
今日は元気が無いな・・・なんかあったのかな
浮かれていた俺はその時父さんの態度だなんて気にとめることなど特に無かった
239:
まさか見られてた…!!?
気になるのう。
240:
離婚か?
241:
俺が居間からジュースを調達して部屋に戻ろうとしたとき
父さんは俺に深刻な面持ちで話しかけてきた
「次郎、お前最近やたらと離れに行っているそうじゃないか」
「え?」
「まさかとは思うが、あの女子高生と交際なんてしていないだろうな」
父さんからの質問に俺は驚いた
俺の男女交際なんて今まで一度も口出ししてこなかった父さんが
とうして急にそんなことを聞いてくるんだろう
馬鹿正直な俺は何も考えずにこう言ってしまった
「なに?なんかマズイことでもあんの?」
あの時の父さんの動揺した顔が今でも忘れられない
245:
言葉を失っている、
その表現がここまで一致することはないだろうという父さんの顔
「・・・・なに、父さんどしたの」
俺は父さんのただよらぬ雰囲気に耐えられなくて再び質問をした
「やめとけ、お前は幸せになれない」
「ハァ?!なんだよそれ!」
「いいか、離れにはもう近寄るな」
「何言ってんだよ意味わかんねえ理由は?」
「お前には関係の無いことだ」
「はぁ?!」
声を荒げる俺に心配した母さんが二階から降りてくる
父さんはなんでもないとだけ言い残し部屋へ戻ってしまった
その日、俺は苛立ちでなかなか寝付けなかった
247:
それからと言うものの俺と父さんの間で口数は減った
母さんと姉さんは早く仲直りしなさいよなんて言っていたが
俺は交際を突然理由もなく反対されて憤慨していた
多分父さんと仲が悪かったの期間は2ヶ月くらいだったと思う
それでも俺は懲りなく離れにも行ったし彼女とも交際を続けた
254:
父さんと冷戦状態が続いている中
俺は母さんに押入れの片付けを命じられて
ホコリまみれの押入れを掃除していたときだった
古いアルバムらしきものが見つかり俺はなにげなくそのアルバムをぱらぱらとめくる
そこにはりーの夫婦と父さんや母さんが肩を並べて写っている学生写真がたくさん出てきた
丁寧に日付まで書いてあってアルバムをめくればめくるほど
父さん達の沢山の思い出がそこにはつまっていた
255:
こ、これは・・・
256:
そしてページをめくっていると小さい俺を抱っこする女の子の写真があった
しかしそこで俺は自分の目を疑う光景を目にしてしまった
りーちゃん 3歳
じろー 0歳
258:
まてまて
3歳…?
259:
・・・は?
りーと俺は1つしか年齢が違わないのになんで3つも年が離れてるんだ?
母さん間違えて書いたのか?しかも小さい頃に会ってたなんて・・・あ、でも
昔からりーの親とうちの親は仲がいいんだからそれは不思議じゃないか・・・
でもなんだ?アルバムに書かれた年齢表記に俺は疑問でいっぱいになった
261:
思いつくことはりーの年齢詐称
しかしそんなことする必要があるか?したとしてもなんの為に?
俺はアルバムからその写真を抜き取り
夕食が終わったあと、父さんの部屋へ行くことを決意した
264:
りーを含めて囲む家族での夕食
俺は普段と変わらない態度でみんなに接した
266:
急展開だな
267:
父さんが俺とりーの交際を反対した理由の核心を突きたかった
絶対何かがあるに違いない
俺はその写真を見た時心のどこかで核心を得た
268:
あ、間違えた
確信な
272:
11時頃、俺は家族のみんなに目を避けるかのように父さんの部屋へと向かった
父さんは俺を見るなり「相変わらず離れに行っているようだな」と呆れた声で話す
俺が黙ってうなずくと
「諦めの悪いところは俺に似たのかな」と
ポツリと呟いた
275:
「父さん、俺この写真見つけたんだけど」
「どれ」
俺は例の写真を父さんに差し出す
俺とりーが3歳違いであることを証明する写真だ
「父さん、父さんの知ってること全部教えて。俺グレたりしないから」
「・・・」
「母さんにも姉さんにも言わない。もちろんりーにも。だから教えて」
「・・・」
「お願いだよ、父さん・・・」
父さんは黙って写真を見つめると「・・・分かった」と重たい口を開いて話し始めてくれた
何故りーと俺の交際が駄目なのか、俺はこの夜全てを知ることになった
279:
まず父さんとりーの母さんは学生時代交際をしていた
結婚まで考えていたらしいが母さんの存在が現れたことにより2人は破局
父さん曰く、りーの母さんへの気持ちは恋を通り越して愛情に変わっていたらしい
そして情が移り家族のような存在になっていた、と話してくれた
283:
それからお互い子供も出来て幸せな家庭を築いていた中
3年前、ある事件が起きた
その事件と言うのは、
りーが学校の教師との交際がバレて屋上から飛び降り自殺をしたということだった
しかし屋上と言っても3階建ての屋上からだったので
軽い外傷ですんだのだが
りーは精神的ショックの末に記憶喪失になってしまい
日常生活から少し離れたところでゆっくりと記憶と取り戻していったほうがいいと言うことで
我が家の離れで預かっているということだった
286:
記憶はもう戻らないかもしれないし、ある日急に戻る可能性もある
医者はそう言っているらしい
「彼女の記憶が戻れば間違いなくお前は捨てられる。だから今の内に諦めた方がお前のためなんだよ」
父さんは呆然と立ちすくむ俺に言い放った
288:
え、腹違いですらないだと!!!
あ、でも、ああ、交際するなってのは過去を気にしてなのか
290:
「記憶喪失って・・・なんだよ漫画かよ笑えるんだけど」
「次郎」
「あー、だから留年してるんだりーって。なるほどねそういうこと、はは」
「次郎」
「なるほどね、父さんも、もっと早く、言って、くれれ、ば」
「次郎」
「・・・・・・・」
俺は泣いた
父さんの前で子供みたいに泣きじゃくった
だって、記憶喪失ってなんだよそれ
現実に有り得る話なのかよ
今俺が恋愛してる相手は誰なんだよ
思考回路がぐちゃぐちゃになった
292:
その日の夜、俺は父さんの部屋で寝た
明日からりーにどんな態度で接すればいいのか分からなくて
りーからのメールも全部無視してしまった
293:
>>1になら掘られてもいい
296:
りーからの着信を無視して2日間
夕食も朝食も全部時間をずらして俺はりーを避けた
だけどこのままじゃ埒が明かないので俺はりーを近くの公園に呼び出して
話をつけることにした
298:
寒い冬の公園でりーは待ち合わせの時間よりずっと早くついていたらしく
俺は20分前に行ったのだが既にそこにりーはいた
鼻を赤く染めたりーは俺の姿を見つけては
優しく微笑み「ひさしぶり」なんて皮肉なほどかわいい顔して話しかけてきた
300:
「メール、何通も送っちゃってごめん」
「・・・」
「しつこかったね」
「・・・」
「でもね、好きだから気になったんだよ」
「・・・っ」
りーの口から出る好きの言葉に俺は胸が高鳴る
やっぱり別れを切り出すことなんて言えない
絶対無理だと思った
307:
「人の気持ちって変わるじゃんお父さんとお母さんもそう」
「・・・」
「昔はあんなに愛し合ってたのに・・・ね」
「・・・」
「洋二さんから聞いたんだね、全部」
りーのその一言に俺は驚愕した
310:
洋二とは俺の父さんだった
りーは全て知っていたということなのか?
じゃありーも俺を騙してたということか・・・
何がなんだか分からなくなって混乱状態の俺にりーはゆっくりと優しく話す
「最近お母さんから聞かされたの。記憶喪失のこと。だから最初から知ってたわけじゃないよ」
「あ、そう・・なんだ・・・」
「自分でもね、分からないの。記憶喪失になるまでの自分ってどんなだったんだろうって」
「・・・うん」
「もしも記憶が戻ったら今の私は消えちゃうのかな?とか思うと恐、くて・・・」
312:
「次郎君のことが好きな気持ちも消えたらどうしようって」
「・・・」
「前の私がどんな人だったかなんて全然知らない。興味はあるけど」
「・・・うん」
「でもすごいよね、教師と恋愛して自殺未遂だなんて、私のしたこととは思えない」
「・・・俺もだよ」
「・・・軽蔑した?」
りーの質問に俺は一瞬動揺した
その質問はあまりにも素直すぎて率直だったからだ
318:
「・・・りー、俺、はさ・・・」
「・・・で」
「え?」
「嫌いにならないで・・・」
「!」
「私は次郎くん以外の男の人なんて知らない、付き合ったこともない」
「それは・・・」
「初めて好きになった男の人も手を繋いだのもキスをしたのも全部次郎君が初めてだもん」
「・・・っ」
「記憶がなくなる前のことなんてなんにも知らない」
泣きながら話すりーに俺はひどく心が痛んだ
320:
だけど高校1年生の俺には
りーの全てを受け止める容量の広さを持ち合わせていなかった
なにも知らない
全てにおいて無知でどうしていいかなんて
答えが出るはずなどなかった
322:
「嫌いになんか、なれるわけがない・・・」
黙ってばかりいた俺はようやく口を開くことができた
冷たい風が舞う中、りーを抱きしめることすらできない
だけど本心だった
「りーの記憶が戻ったときが一番恐いのはりーだけじゃない」
326:
「りーのこと、すごく好き。だけどこれ以上一緒にいたらもっと好きになると思う」
「・・・」
「りーの記憶が戻ったとき、りーは俺を忘れて、俺はりーのことが大好きで、
それじゃりーに迷惑がかかる」
「・・・そんなこと分からないよ」
「分からないよ。だから今の内に気持ちに区切りをつけたほうがいいと思う」
「・・・やだ」
「りー」
「・・・・やだ、聞きたくない」
「もうやめよう」
「言わないで、お願い」
「別れよう、俺達」
涙でぐしゃぐしゃになる俺の前で泣き崩れるりー
かじかむ寒い冬の中、俺達は終わった
327:
(´;ω;`)
329:
いやぁぁぁぁぁぁ
332:
「・・・先に家に帰ってるよ」
俺はしゃがみこむりーに
ポケットの中に入れていたカイロを渡し公園を後にした
鼻をすすりながら歩くこと数分、
振り向くとりーが歩いてくる気配は無い
しもやけの出来る道
耳が痛くて鼓膜がキーンとする
俺はくるりと振り向き再び公園へと歩き始めた
345:
公園に着くとしゃがみこんだまんまのりーがいて
俺は駆け足で寄ることもなく、ゆっくりと静かに彼女に近づいた
「りー、帰ろう」
「・・・」
しゃがみこむりーから返事は無い
俺はりーの手を取り、冷たくなった彼女の手を自分のコートの
ポケットの中に入れて歩き出した
「風邪ひくよ、帰ろう」
俺がそう言うと彼女は俺の後をうつむきながら歩き始める
さっき渡したカイロを大事そうに握り締めながら歩くその姿に
俺の胸は引きちぎれるほど苦しく押しつぶされそうになった
351:
「しっかりストーブつけて、体冷やすなよ」
「・・・」
離れについて彼女を見送ると俺は自分の自室に戻り再び泣いた
姉貴が出かけていたのが幸いだったと思う
もうこんな思いをするくらいなら恋は一生しない
そう誓った
359:
次の日、
俺は朝食をパスした
もちろん、りーもパスしただろうと思っていた
俺は午後までベッドでゴロゴロしていると
突然部屋の扉が勢いよく開かれた
どうせ母さんが起こしにきたんだろう・・・・俺は
布団を頭まで被り狸寝入りを心みたときだった
361:
「いつまで寝てるんだー!起きろー!」
聞き覚えのある声に俺は飛び上がる
目の前には満面の笑みを浮かべたりーがいたからだ
「おはよ!ねぼすけくん」
「え・・・なん・・・」
「部屋に入るのはなんやかんやで初めてだね」
「?!」
りーのテンションに俺は戸惑いを隠せなかった
昨日のことがまるで夢のようで・・・って前にもこんなことがあった気がする
りーは俺の寝ているベッドに腰掛けるとじっと俺を見つめた
俺はその視線に懲りずにドキドキしてしまう
364:
うおおおお青春だなあーー
援護!!
366:
「わたし、引っ越さないからね」
「は?!」
「大学進学までは離れにいるから、よろしく」
「・・・え」
「だから朝食も夕食もパスしないで顔出してね」
「!」
「時々でいいから離れにも遊びにきなよ、友達として!」
友達として・・・
その言葉になんとなく引っかかったが俺は素直にうんとうなずいた
369:
それからりーとは友達のように接し
たまにキスとかしたくなったりしたけど必死にこらえて友達を続けた
そして大学進学と共に彼女は離れを出て
それ以来連絡も全くとっていない
372:
>>369
記憶戻ったとか気にならなんのかよ……
373:
その後俺は親父の後を継ぐ為に現在T大学の歯学部で勉強中です
彼女は歯科衛生士になったからいつか現場で
ばったり会えたりするんじゃないかなーとか思いながら
日々を過ごしています
おわり
374:
みんなここまでありがとな!!!!!!!!!
380:
いい話だった。おつ
384:
たまにこういう実は訳あり女でっていう話見るけど、それ知って一々別れるとか意味不明
寧ろワクワクすんだろ普通
387:
ついつい9時間付き合っちまったよ
途中までROMってたけど、落ちそうで・・・・
本当は仕事の残りやらなきゃならなかったのにできんかった。
純粋に楽しめたよ
39

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