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【デレSS】裕美「エロ本…?」柚「エロ本!」


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・状況はデレぽに準じます。荒木家に関ちゃんと柚がアシをしにきたところです
・アイドルたちは至って健全ですが、一部R-18な描写があります。未成年はYahoo!でググれ
・ふたりとも思ったよりウブに仕上がりました。合わないと感じたら回れ右をお願いします
2:
「よし、おわりっ」
比奈さんはベッドで死んだように仮眠している。私は頼まれていたトーンを仕上げていた。
朝からだいぶ根を詰めてたし、私も休憩しようと、
大きく伸びをして、自分の紙コップにペットボトルのお茶を注ぐ。
「おつかれー」
漫画を読んでいた柚ちゃんが、こちらにゴロゴロと転がってきた。
柚ちゃんに割り振られた仕事は、多少はみ出てもなんとかなるベタなんかが主で、
自然、私より数も少なかったらしく、暇を持て余しているみたい。
でもその仕事ぶりを見る限り、比奈さんの采配は的確だと思わざるを得ない。
「気晴らしにどこか行こっか?」
「私はいいや、外暑いし。比奈さんも起こさないと、夜まで寝てるよ、きっと」
一応自分で目覚ましをかけてたけど、この眠り方だと気が付かないか、止めてまた寝そうな勢い。
「そだね。じゃあ探索でもするかー」
「探索?」
あまり家の中では聞かないワードに、私は目を丸くする。
「そう!」
----------------------------------------------------------------------------
3:
柚ちゃんは何故か講釈口調になる。
「アタシはあることに気が付きました。まずはこの本棚をみてほしい」
言われた通りに本棚を見る。ぎっしり本が詰まっている。1番多いのは漫画。
連載中の人気のやつもあれば、昔の名作もあるし、聞いたこともないのも沢山。
少ないけど小説や、大きな棚には画集なんかもある。
平積みしてあるのは、同人誌っていうんだっけ。
……特に、変わったところはないように見えるけど。
「べつに、普通の本棚じゃない?」
「そう!ごくごく普通の本棚」
「へ?」
どんな秘密があるのかなと構えていたから、その返しは予想外だった。
「時に裕美チャン。比奈サンは何歳?」
「……?20歳だよね」
「趣味は?」
「漫画?」
「であれば!」
どどんと、効果音が聞こえるくらいキッパリした勢いだった。
これがアニメなら後ろに紅白の模様が出てることだろう。
4:
「エッチな漫画のひとつやふたつあってもおかしくないと柚ちゃんは思う!」
しょうもなかった。真面目に聞いて損しちゃった。
「なのに!この本棚は至って健全!ということは、この部屋のどこかにお宝が眠っているに違いない!」
力説する柚ちゃんの目の輝きが、完全にクラスのお調子者男子のそれだったので、私はわざと真顔を作る。
「そ、そんな目でみなくても」
「私はどうせ目つきが悪いですようだ」
「言いすぎました」
「ふふっ、冗談だよ」
ちょっといじわるだったかな。私は意識して真顔を崩す。
いまのはズルいよー、と柚ちゃんは嘆いた。
5:
「でも……さ、そういうのはよくないと思うな……」
私たち、まだそういうのは見ちゃいけないことになってるわけだし。
「いやぁ、柚も年頃のオンナノコだしさ。キョーミがあるわけですよ。だから仕方ない」
「仕方なくはないと思うな」
「比奈さんも『その辺にあるの、なんでも自由に読んでいいっスよ?』って言ってたし」
「そういう意味じゃないと思うけど……」
「裕美チャンは、興味ないの?」
「それは、、その」
とっさに否定しようと思ったのに、歯切れの悪い感じになってしまった。
「べつに……」
ほんとはないわけじゃないけど、そういうことにしておく。
「むー、釣れないか。じゃあアタシ1人でやろう」
「そうしたら?」
止めるほどでもないけど、流石に付き合えない。
本棚から、さっきまで比奈さんが熱く語っていたタイトルをさがして、
座布団にぺたんと腰を下ろして、読む姿勢にはいる。
柚ちゃんは、同人誌の束をひとつひとつあらためたり、
本棚から本を出して裏を探したり、『捜索』を始めていた。
6:
「エウレカー!エウレカー!」
柚ちゃんの元気な声が、私を漫画の世界から引き戻しに来たのは、
漫画の1巻を8割ほど読み終わる頃だった。
「喜多見探索隊!目的のブツを発見しました!」
「もうちょっと、静かにやってほしいかな……」
「だいじょーぶ、比奈サン起きてないし」
「そうじゃなくてね?」
「それより関隊員、これを見てくださいよ」
入隊した覚えはないし、見るつもりもなかったのだけど、
柚ちゃんはご丁寧に棚からそれを取り出して、こちらに向けていた。自然と目に入ってしまう。
7:
「……わぁ」
それは同人誌の束で、1番上の本の表紙にはピンクを基調にした表紙に、
カップルであろう男女が描かれていた。……水着、じゃなくて、これは下着姿だ。
「本当にあったんだ…」
「いやぁ、まさか本棚じゃなく、収納棚にあるとはねー。でも柚ちゃんの目は誤魔化せない!」
確かに収納棚の一角に、部屋の色調からすれば浮き気味の布がかけてあった。
言われてみれば、ここにありますよと言ってるようなものである。
比奈さん、意外というか、やっぱりというか、ちょっとツメが甘いんじゃない?
「それでは!喜多見探索隊!ブツの検証に入ります!」
柚ちゃんは自然なムーブで同人誌をめくりにかかる。
あとから考えたら、顔を背けるくらいのことは出来たけど、
一緒になって覗き込んでしまったあたり、私は思ったより、悪い子みたい。
8:
漫画は、2人がホテルの部屋に入るとこから始まっていた。何かの漫画のキャラクターらしい。
どういう関係なのかはわからなかったけど、わからなくてもいいことのような気がした。
柚ちゃんはほう、とか、ふむ、とか言いながら、さながら学者気取りでページをめくっていく。
男の人が、女の人を、ベッドにやさしく押し倒して。
軽いキスをして、それだけではとどまらなくて、舌を絡めあっていく。
話に聞いたことはあったけど、ほんとうにするんだ……。
「ほう、大人のキス…」
「でぃーぷきす、っていうんだっけ」
「アタシはフレンチキスって聞いたよ。フレちゃんに」
「フランスの人は、みんなこうやってるの?」
「さすがにそんなことはないんじゃないカナ…」
9:
「裕美チャンも、なんだかんだ言って、結構イケますなぁ」
ばしんと強めに背中を叩かれた。
「べ、べつに……いいじゃんか」
否定するつもりだったのに、肯定になっちゃったけど、共犯の手前か、それ以上いじっては来なかった。
背中を叩いてきたのも、照れ隠しかな。
柚ちゃんも、声は余裕ぶってるけど、こころなしか顔が少し紅潮している。
なんとなく会話が途切れて、二人してなんとなく、本に視線を戻す。
「舌を絡めることに、どういう意味があるんだろう」
無言になったのがちょっときまずくて、思ったことを口に出してみる。
「さー。美味しいのかな。そんなことないと思うけどなー」
「でも、キスはレモンの味、っていうよね」
「じゃあ柚だったら柚味?」
「レモン味かどうかはわからないけど、柚味はしないとおもうな……」
「なんだー。ざんねん」
たしかに、海サンだったら海味になっちゃうもんね、と
変なふうに納得をして、柚ちゃんはページをめくっていく。
10:
2人は濃厚な大人のキスを終えて、おたがいに服を脱いで、表紙と同じ姿になると、
男の人が、女の人の胸を触り始めた。いっつも愛海ちゃんが企んでるやつ。
「登山だね……」
「ほう。ご経験が?」
「あるわけないでしょ……と言いたいところ、なんだけど」
「あるの!?」
「このまえ愛海ちゃんとお仕事した時にね、休憩時間にぼーっとしてたら、そのときに…… 」
「さすが愛海ちゃんだァ。おちおち休憩も出来ないや」
柚ちゃんは変なところに感心した。
「……どうだった?」
「どう、って……服の上からだったし、痛いとかはないけど。
 ふつう人に触られるところじゃないし、あんまりいい気はしないかな」
『お詫びにあたしのも登っていいから』と言われたけど、流石に断っておいた。
「そうなんだ……アタシも用心しておこ……」
「お付き合いとかしてるなら、また別なのかな……?」
「うーん、少なくとも、嫌だと思うんならやらないよね、この2人はラブラブなんだし」
「気持ちよくて、やってるのかな」
「だと思うナ、ラブラブなら。さっきのキスもそうだけど」
「ラブラブな2人が密かにやるようなことを、普通に仕掛けてくる愛海ちゃんって」
「それ以上いけない」
もし愛海ちゃんに登られたら、ファーストタッチにカウントするのかな、と呟く柚ちゃん。
……私は、ノーカウントってことにしておこう。
11:
柚ちゃんはまたページをめくっていく。
「ひゃっ」
「わぁ」
ふたりとも、下着を脱いで、生まれたままの姿になって。
女の人が、男の人の……「アレ」を、まるで食べ物のように口の中に入れている。
ふたりとも目がとろんとしているし……これも、気持ちよくてやってるんだろうな。
それにしても、すごい絵面……。大事なところは、黒い線で隠されてこそいるけど、
男の人のほうの描写はたぶん、とてもリアルで、ちょっとグロテスクでさえあった。
そんなものを、口に含むなんて。
「おちんちんぺろぺろだね」
ああもう。がんばって名前を考えないようにしてたのに。柚ちゃんたら。
「ちょっとっ。ストレートすぎるから」
「大丈夫大丈夫。だれも聞いてないし」
「…………私が恥ずかしいの」
「……ごめん」
「よろしい」
手を丸めただけの拳で、こつんと柚ちゃんの頭を叩く。
柚ちゃんはぐはーと大げさにリアクションを取って倒れた。
12:
起き上がりながら、でもさぁ、と続ける。
「これさ、舐めるほうは別に気持ちよくなくない?」
「……そう、だね」
言われてみれば、そうだ。
お山登りは、登るほう、登られるほう、両方が気持ちよくなれること、なんだとおもうけど。
これは、舐めるほうに、何か特別気持ちいいことがあるとは思えない。
さすがに、美味しいわけでは、ないんだろうし。
てことは、と柚ちゃん。
「女の人は男の人に喜んでもらうために、こういうことをやるんだよね……」
その柚ちゃんの何気ない一言が、大きな爆弾だった。
女の人が、男の人に喜んでもらうために、こういうことをする……
柚ちゃんの言葉は頭の中を駆け巡って、私の脳みそが勝手に、本当に勝手に、えっちな映像を作り始めて。
鼓動が早くなって、おなかのあたりに、もやもやしたわだかまりが存在感を増していく。
ラブラブな男女二人が、誰も見てないところで、二人きりで……
男の人は、女の人の胸を、女の人は、男の人の……
13:
「裕美ちゃん」
その声で、目の前に再生されていた映像は煙のように消えて、視界に部屋と柚ちゃんの顔が戻ってくる。
妄想に心をいざなわれていたことを、否応なしに実感する。
「な、なに?」
「なにを想像してたの?」
「べ、べつに、何も想像してなんか」
抵抗したけど、これじゃかえって図星ですって言ってるようなものだ。
「いまね、一瞬で顔が1段階赤くなった。ぽわって」
「………………」
どうやら逃げられないみたい。柚ちゃんは全部見抜いているに違いない。
口を開くとボロが出そうだったので、拒否権を発動することにしてうつむく。
普段ならとことん追撃されるところだから、何を言われても無言で押し通す姿勢をとったけど、
意外にも追撃はこなかった。
「ごめんね。意地悪した」
もう。人の気持ちをからかって。ちょっと膨れながら、そろそろと顔を上げる。
「……アタシも、たぶんおんなじこと考えたから。痛み分け。ね」
いつも明るくひょうきんな柚ちゃんの、オトメの声色だった。
柚ちゃんは、もじもじして、たぶん私と同じように、真っ赤になって笑っていた。
14:
なんだか変な雰囲気になっちゃったのをふっとばすように、柚ちゃんは勢いよくページをめくる。
でも、これは……。吹っ飛ばすどころか、むしろ加してしまいそう。
「わぁ……」
「ちょっと今のアタシたちには、刺激が強すぎるぜ…」
展開上、こうなるのはわかってたはずだけど、
それでも実際に目にすると、ヘンな気分が加していく。
女の人が、男の人のアレに、コンドームをかぶせる。
保健の授業では、子供を作るための行為だと習ったけど、
それならどうしてわざわざコンドームが必要なのか、その意味くらいわかる。
お互いに脱がせあって、触り合って、愛し合って、気分を高めあった二人は、
子供を作るためじゃなくて、おたがいに、最高に気持ちよくなるための行為。
セックスを、はじめていた。
15:
「これ、真剣ゼミでみたことある!」
柚ちゃんがおどけた口調で言う。
「そんなわけないでしょ」
「えへへ。ばれたかー」
「ほんとは、どこでみたの?」
「ほ、保健の教科書?」
「まぁ、そういうしかないもんね」
「せんせー。裕美チャンがいじめてきまーす」
「あれ。さっきまで柚ちゃんが何考えてたか、言ってあげよっか?」
「それ言ったら、裕美チャンも巻き添えで大ダメージを食らうと思うケドな」
「ユニットメンバーなら、死なばもろとも、一蓮托生、でしょ」
「いやいやいやいや!重いってば!」
「巴ちゃんが言ってたよ?」
「それはない!さすがに巴ちゃんでもそれはない!」
冗談を叩きあう。でもべつに、平気になったわけじゃなくて。
なんでもいいから会話をして、このシーンから気をそらしていないと、
脳みそがまた、えっちな妄想をはじめちゃうから。私も、きっと柚ちゃんも。
16:
柚ちゃんが早めのペースでめくる同人誌は、どんどんクライマックスに向かっていって、
きちんとは見てないけど、二人の行為も、どんどん激しさを増してるみたい。
何ページかめくったところで、柚ちゃんはふと手を止めて、
なんとなくそこで他愛もない会話が途切れて、なしくずしに本に視線を落とす。
ふたりの行為は絶頂に達していて、ふたりとも、とても気持ちよさそうにしていて。
忘れていたはずのおなかの中のもやもやが、強烈な存在感を放って戻ってくる。
このままだとあの映像も一緒に戻ってきそうで、
私はぶんぶんと、振り払うように首を横に振る。
「あー!もう!やめやめ!探索おわり!」
柚ちゃんはなにかをかき消すように叫んで、
開けちゃいけない箱を元通りに戻すかのように、同人誌を勢いよくばたん!と閉じた。
17:
「ううん。こんなに盛り上がるとは思ってなかった……」
「私も、がっつり参加しちゃった……」
同人誌はもう何冊かあったけど、一冊目でずいぶん消耗してしまった私たちは、
次のに行く気にもなれなくて、本の束を元通りにしまって、休憩していた。
「いつかあんなことをする日が来るんだよねー」
「その話はさ、もうやめにしようよ」
「……そうしよっか」
がんばって忘れようとしてたのに、これ以上フラッシュバックしちゃたまらない。
18:
紙コップにジュースを注いで一気にあおり、空のコップを机に勢いよく叩きつけて、
それにしても、と柚ちゃん。
「裕美チャンも、なかなかどうしてノリノリでしたなぁ」
「……事務所のみんなには、黙っておいてくれる?」
別に興味があるのが悪いことじゃないと思うし、たぶんみんな、そうなんだろうけど。
積極的に見てたってことを大っぴらに言われるのは、ちょっと後ろめたかった。
「えー。どうしようカナー?」
柚ちゃんはいたずらっぽく返してきた。
大丈夫と思うけど、釘をさしておかなくちゃ。
「……もし言いふらしたら、死なばもろとも、だからね」
「ひぃっ。わかりました。絶対言いません……」
「うん。おねがいね」
ここぞとばかり、にっこりと笑う。こんなことのために練習したんじゃないけど。
「裕美チャン、緩急つけるの、うまくなったよね……」
「ふふっ、ありがと」
私は、コップのお茶をぐいっと飲みほして、迷いを振り切るように立ち上がる。
「さて、そろそろ比奈さんを起こさなきゃ」
比奈さんは、私たちのことはつゆ知らず、相変わらず泥のように眠っていた。
19:
「比奈センセ、原稿の進捗どうだじぇ?」
「昨日裕美ちゃんと柚ちゃんが手伝いに来てくれたんで、だいぶ進んだっス?。
 このペースでいけばなんとか……」
「まーた事務所の子をアシ代わりに……」
「どっちかというと、向こうから来たんスよねぇ…。もちろん、アシ代にちゃんとご飯奢ったっスよ」
「裕美ちゃんは器用そうだけど、柚ちゃんはちょっと意外だじぇ」
「柚ちゃんは……うん……割り振れる仕事が少なかったスね……」
「やっぱり?部屋漁られたりしなかった?」
「フフフ……そこはバッチリっス。対策を立てたんスよ」
「というと」
「比較的マイルドなやつを囮にして、わざとわかりやすいとこに置いといて」
「うん?」
「ほんとに見せちゃヤバいやつは奥深くに隠しておいたんス。
 帰った後確認したけど、どうやら見つかってなかったぽいスね」
「その発想と手間を原稿に向けたらどうなんじぇ…」
20:
「ほう」
「うえっプロデューサー、聞いてたんスか」
「裕美と柚がなんか昨日からよそよそしいのはそのせいか?」
「知らないっスよぉ!」
「でも昨日はオフだから、お前の家でなんかあったとしか考えられん。ちょっと来い」
「R.I.P.だじぇ」
「心配するな。事と次第ではレッスンがマストレさんになるだけだ」
「アタシ昨日も満足に寝てないんスよぉぉぉ勘弁してくださいっスゥゥゥゥゥゥゥ」
21:
おしまいです。
お読みいただきありがとうございました。
なにぶん筆者に経験と知識がなさすぎるため、リアリティがないのが課題ですが、
そこは目をつぶっていただければと。
元スレ
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1538315824/
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