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種の垣根を越えて移動する遺伝子があるという説が、進化の常識に一石を投じる(オーストラリア研究)


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種の垣根を越えて移動する遺伝子があるという説が、進化の常識に一石を投じる(オーストラリア研究)
2018年07月28日 ι コメント(20) ι 知る ι 動物・鳥類 ι #
 あなたは遺伝子をどこから手に入れただろうか?
 
 明確な答えは両親だ。卵子と精子の結合が、あなたを作る遺伝子のユニークな組み合わせをもたらした。
 だが、最新の研究はこの常識に一石を投じる。人体に存在する遺伝物質のかなりの部分が、かつて他の種から飛び込んできたものだというのだ。
 これはカモノハシからヒトまで、動物の進化の重要な推進力なのかもしれない。
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DNAの水平移動という説
 『Genome Biology』に研究論文を掲載したオーストラリア・アデレード大学ポスドク課程のアトマ・イヴァンチェビッチ氏によれば、相当な量のDNAが水平移動するという説は、ヒトや動物の由来の理解を変えてしまう可能性があるという。
 
 最初から解説しよう。まず、跳躍する遺伝子は本当の遺伝子ではない。それは遺伝子の間にある非コード遺伝物質である転移遺伝因子だ。
 人間にはこれが大量にあるが(ゲノムの半分以上が、転移因子で構成される)、その役割の多くは謎とされている。「その1つの役割が、できる限り自己を複製することのようです」とイヴァンチェビッチ氏は話す。
転移因子BovB(Bovine-B)とL1
 彼女のスーパーバイザーで、研究論文の共著者でもあるデビッド・アデルソン氏は以前、BovB(Bovine-B)という転移因子が、サイ、トカゲ、カモノハシといった異なる種の間を飛び跳ねていることを発見していた。
 これを詳しく調べるために、すでにゲノム解析が完了している759種の動植物や菌類を対象に、BovBとやはり転移因子であるL1があるかどうか探してみた。
 BovBが異種間を移動できることはあらかじめ分かっていたので、まずこちらの追跡を始めた。その結果、一部のBovBが少なくとも2度はカエルとコウモリの間を転移していたことが判明した。
 またイヴァンチェビッチ氏によれば、ヘビ由来のBovBがウシとヒツジのゲノムの25パーセント以上を構成していたという。
 さらにヒトゲノムの約17パーセントを構成し、BovBよりもおそらくずっと古いL1を追跡した結果、これもまた水平移動するらしいことが初めて確認された。
 こちらは数多くの動植物種に存在し、今回調査した哺乳類の中ではカモノハシとハリモグラ(単孔類。現存する哺乳類として唯一卵を産むグループ)を除く、すべてで確認された。
 この結果から、この転移因子は単孔類には存在しない可能性が高く、1億6000万年から1億9100万年前のどこかの時点で共通の祖先に転移したと結論づけられた。
転移因子は寄生虫などを媒介して様々な生物のDNAに侵入した可能性
 イヴァンチェビッチ氏には、そのメカニズムに関する仮説もある。
 決定的なのは、BovBがトコジラミやヒルのような害虫、L1が環節動物やカキのような水棲寄生虫にも発見されたことだ。
 このことから、転移因子は寄生虫あるいはノミや蚊のような吸血生物を媒介して様々な生物のDNAに侵入したのではと推測されている。
 コウモリもまた役割を果たしている可能性がある。
 転移因子は多くのオオコウモリ種で機能しておらず、それはその餌となる昆虫のために水平的な遺伝子伝達が特に起こりやすいことが原因かもしれない。
 つまり、コウモリは自分の体内にあるこれらの因子を抑制する能力を発達させたように思われるのである。そして、同時に、それを他の種に伝達する宿主として振舞っている。
 
転移因子のメリットとデメリット
 こうした転移因子のすべてが本質的に悪いわけではない。
 イヴァンチェビッチ氏は、L1がガンや統合失調症のような神経疾患と関連している可能性がある一方で、他の転移因子が胎盤の形成や免疫系を助けている可能性も指摘する。
 彼女は「それが偶然にもメリットとデメリットの両方の作用を発揮していることを示す証拠があります」と説明しつつ、人間のL1もまた機能していないことを付け加えた。
 「まるでゲノムはそれを利用しようとしているか、その機能を黙らせているかのようです」
遺伝子の平行移動
 英プリマス大学のキアラ・ボスケッティ氏(今回の研究には参加してない)によると、こうした研究は、これまで”がらくた”と考えられてきた因子も、遺伝子の機能や制御に関連する重要な役割を果たしている可能性があることを示しているという。
 いくつかの事例では、これがDNAの分離や複製、さらには染色体の機能にまで影響を与えている可能性すら窺えるようだ。
 細菌の間では遺伝物質が水平的に移動することはかねてから知られていた。
 これは細菌が抗生物質への耐性を素早く身につけられる理由でもある。しかしもっと複雑な生物でもこれを行なっていることが判明した現在、この知見はますます重要なものとなるだろう。
 このメカニズムがあらゆる生命にランダムでダイナミックな因子を与えているのだ。
References:genomebiology / pnas/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント



1


1. 匿名処理班


- 2018年07月28日 09:42
- ID:JeA0Tgbk0 #





うん
難しくてわからん







2


2. 匿名処理班


- 2018年07月28日 09:46
- ID:rr7QuXCN0 #





レトロウイルス






3


3. 匿名処理班


- 2018年07月28日 09:55
- ID:QHetHIUl0 #





持病の状態で見てみるとなぜかペルシャ猫や血縁まで
さかのぼることができる
サルはともかく猫の遺伝子って何じゃい。猫耳なんて
生えちゃいねえぞw







4


4. 匿名処理班


- 2018年07月28日 10:05
- ID:4.3FZtSU0 #





動物の目のロドプシン遺伝子は植物プランクトン由来だと言うしね.
プラスミドなんかも核外DNAを伝染させる事が出来るそうだし,
遺伝子が異種生物間で紛れ込むような事は例外的だけど
珍しくはない現象なんでしょうね.






5


5. 匿名処理班


- 2018年07月28日 10:09
- ID:upzzqOUf0 #





まあ、DNA って極論すると、記述用のプログラム言語だと個人的には理解している。だから他の種族でも問題なく動作する条件さえ満たせば、キチンと動作させられるんじゃないの?後の問題は『異なった種族間で、どうやって DNA が移動しているのか?』だけだと思うけれどね。






6


6. 匿名処理班


- 2018年07月28日 10:10
- ID:1wTqCNNb0 #





え、なんなのこれは
とりあえずみんな昆虫食はやめて?






7


7. 匿名処理班


- 2018年07月28日 10:15
- ID:H7x9oqGu0 #





ウイルスが媒介するっていう話もあったね






8


8. 護国防人


- 2018年07月28日 10:21
- ID:9MzLQ6w.0 #





他の動物から突如、飛び込んでくる遺伝子って受けとる側にとって遺伝子じゃ無いんじゃ・・・・・・全く分からん!






9


9. 匿名処理班


- 2018年07月28日 10:39
- ID:RlQPoC3u0 #





ウイルスによる水平伝搬なんて普通にだいぶ前から生物系のとかに載ってる話では?






10


10. 匿名処理班


- 2018年07月28日 10:39
- ID:upzzqOUf0 #





※3
はいはい。人間がネコの事を好む人が多いのも、『ネコの事を好むのじゃ〜!好むのじゃ〜!』という内容が描き込まれたネコ由来の DNA を NNN が人間向けに拡散させ続けている結果なのかもよ?






11


11. 匿名処理班


- 2018年07月28日 10:49
- ID:upzzqOUf0 #





※6
そんな事を言うと、じゃあ植物はどうする?て事にならない?
生で食べる事さえ有るんだけど?






12


12. 匿名処理班


- 2018年07月28日 10:50
- ID:LZe1SPyb0 #





これ凄いな。
食べたり感染したりした親が妊娠すると子供が変化するのか?
それとも生きてる間に他の遺伝子を取り込む事が有るのか?
もし完全解析出来たならヤバイ利用法が確立され・・・
興味は尽きない。






13


13. 匿名処理班


- 2018年07月28日 11:23
- ID:IEuZ8oS70 #





自然淘汰と突然変異が進化の鍵と言われるが後者は謎が多すぎる
異種間で生まれた生物は生殖能力がないと言うし
ウイルスや放射能による遺伝子の変異が原因とも聞いたことがあるが…
しかし吸血生物を媒介してDNAの水平移動ってもう漫画の世界だな…






14


14. 匿名処理班


- 2018年07月28日 11:27
- ID:jmmZJFkk0 #





つまり俺でもスパイディになれる可能性があるってことか?
鉄十字キラー始まったな






15


15. 匿名処理班


- 2018年07月28日 11:29
- ID:5VfpOU3B0 #





こわい(小並)






16


16. 匿名処理班


- 2018年07月28日 11:31
- ID:.YlKqI.Y0 #





※9
きちんと読むのだ。ウィルスでそれが起こるのは知られていたが、それ以外の高等生物もそれを行ってる可能性があるという記事やねんで






17


17. 匿名処理班


- 2018年07月28日 12:14
- ID:sX8JFtz70 #





ちょっとよく分からんが
ネコぉぉぉ!こっちに来い!!






18


18. 匿名処理班


- 2018年07月28日 12:23
- ID:x.LSflJN0 #





収斂進化なんかも、これで説明できるかもなー






19


19. 匿名処理班


- 2018年07月28日 12:35
- ID:WVdgVbkW0 #





ワニみたいな頭部に見えるユカタンビワハゴロモという虫もこれで説明つくのかな






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