神谷奈緒「なんで土下座してんの…?」back

神谷奈緒「なんで土下座してんの…?」


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1:
金は命よりも重い・・・・!
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2:
P「お願いします、お願いしますからお金をくださいお願いします」
奈緒「…」
P「返すんで、必ず返すんでお金をくださいお願いします」
比奈「…」
P「お願いします、一生のお願いですからお願いします」
比奈奈緒「「……」」
3:
奈緒「あのさぁ…とりあえず土下座やめようよ」
P「靴だろうと床だろうと何でも舐めるんでお金ください」
奈緒「土下座やめろって」
比奈「なんで急に歳下の担当アイドル二人に土下座をしてんスか」
P「お金が欲しいからです」
奈緒「人としての誇りとか無いのか」
4:
奈緒「とりあえず口調直して!土下座やめて顔上げて!」
P「ああ…」スクッ
奈緒「一体何なんだよ…」
P「見苦しいところを見せちまったな…」
比奈「…で、何があったんスか?お金がどうこう言って」
P「給料日は昨日だったんだが…トラブルで金が無くなっちまってな…」
奈緒「もしかして、財布落としたとか?」
P「いや…そうじゃないんだが…」
奈緒「…何か深い事情でもあるの?」
P「…」
比奈「とりあえず、何があったのかを聞かせてほしいっス。アタシらも出来るなら力になりたいんで」
P「ありがとう…ああ、実はな…」
5:
P「昨日貰った給料を全部クレーンゲームにつぎ込んだ」
比奈「何やってんスか!」
奈緒「ただの自業自得じゃねえか!」
P「いやーすごいよねアレ、金をスルンスルン呑んでいきやがる」
奈緒「真面目に聞いて損したよ!」
P「何だよ!二人だって経験あるだろ!!」
奈緒「何で逆ギレしてんだよ!」
比奈「もういやこの大人」
6:
P「二人とも経験あるだろ!クレーンゲームでどうしても欲しい景品のために金をつぎ込んじゃうの!」
奈緒「あー…いや、確かに全くそういうことがないってワケじゃないけどさぁ…」
比奈「さすがに給料全部はないっス」
奈緒「私は一応限度額とか、引き際とかは鑑みてクレーンゲームはやるし…」
比奈「アタシも似たようなモンっスね」
P「嘘だろ…二人とも仙人か何かなのか…」
奈緒「いや給料全額つぎ込むPさんサイドがおかしいんだと思うけど…」
7:
比奈「でも一体、何を取るために給料を全てつぎ込んだんスか?」
奈緒「確かに気になる、よっぽどのレアものとか?」
P「かわいくて胸がおっきい女の子の柔らかいマウスパッド」
奈緒「ダメだこいつ」
比奈「救いようが無さすぎるっス」
奈緒「元からかわいそうじゃ無かったのがよりいっそう輪をかけてかわいそうじゃ無くなった」
P「オイオイオイオイ辛辣だなオイ」
比奈「辛辣にならざるを得ないっスよこれは…」
8:
P「俺もな…『これで最後、これで最後』って思いながらプレイしてたんだよ…」
P「でも…やめたらそこまでつぎ込んだのが全部無駄になるんじゃないかって…」
P「そう考えると…退くに退けなくなって…金をアレヨアレヨと投入しちまって…」
P「気づいたら…給料袋が空っぽだったんだ…」
奈緒「同情の余地が一切無い」
比奈「自業自得の極みっスよ」
P「というわけでお金を」
奈緒「やるわけ無いだろ」
9:
P「この通りだ!頼む!必ず返す!」
奈緒「いやだ!マウスパッドに給料全額つぎ込むような社会人に貸す金なんて私は持ってない!」
比奈「あのー…話の腰を折るようなんスけど…銀行で貯金とか卸したりしたらこの問題解決するんじゃ…」
P「ああ俺口座凍結されてるから、だから給料袋手渡しだし」
奈緒「何でだ!何で凍結されてんだ!」
比奈「そっちの方がなんか闇が深い!」
P「人生っていろいろあるよねー」
奈緒「絶対に『いろいろ』ですむような問題じゃ無いだろ!」
10:
P「お願いだ!必ず色をつけて返す!このままだと俺は今月霞を食って生きていくしかねえ!」
比奈「いやー…口座凍結の件とかは事情が飲み込めないんスけど…」
奈緒「自業自得で擁護のしようも無いし…」
二人「「無理」」
P「そこをなんとか!ね!」
比奈「ならないっス」
P「二人は、誰かに笑顔を届けることの出来る存在なんだ!誰かに手をさしのべて、道しるべとなれる存在なんだ!」
P「二人は、そんなアイドルだろ!?」
奈緒「金の説得のために『アイドル』って言葉を使うなよ!」
P「こちとら今際の際だ、なりふり構ってる場合じゃないんだよ」
比奈「もうダメだこの人」
11:
事務室―…
千川ちひろ「…で、私に相談をしにきたんですね」
奈緒「うん…」
比奈「お願いしますちひろさん、あの人今も仕事せずに親の仇かってくらいに土下座をし続けてるんスよ…」
奈緒「こっちの心がもう保ちません…」
ちひろ「…わかりました、なんとかします」
奈緒「あ、ありがとうございます!」
25:
Pの部屋前―…
ちひろ「それじゃあこれから説得をしますね」
比奈「頼んどいてアレなんスけど、大丈夫っスか?」
ちひろ「ええ、安心して任せてください」ニコッ
奈緒「…?」
奈緒(デジャヴかな…今の目をどこかで見たことがある気が…)
ちひろ「それでは」ガチャ
バタン
ちひろ『プロデューサーさん、ちょっとお話が…』
P『お金をください』
ちひろ『出会い頭にそれですか』
比奈「ここは任せるしかないっスね…」
奈緒(何だっけ…どこで見たんだっけ…?)
26:
五分後…
奈緒(思い出した!暗殺教室に出てくる理事長の目にそっくりなんだ!)
ガチャ
ちひろ「終わりましたよ」
奈緒「理事長!」
ちひろ「理事長?」
比奈「あの…その…」
ちひろ「安心してください、もうちゃんとなってますから」
比奈「よ、良かったっス…」
奈緒「ありがとうございます!」
ちひろ「いえいえ、あの人がちゃんと仕事をしないと私も困りますから」
27:
ガチャ
奈緒「Pさん!もう大じょ、う…」
P「生まれてきてごめんなさい…生きててごめんなさい…ちひろさんごめんなさい…」シクシクシクシク
奈緒「ぶ…」
比奈「ちひろさん…プロデューサーさんに一体何が…」
ちひろ「私はただちょっとした雑談とお金の大切さの話をしただけですよ」
P「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」メソメソメソメソ
奈緒「壊れたおもちゃみたいに『ごめんなさい』を繰り返してるんだけど…」
28:
P「ごめんなさい…ありがとうございます…このお金は何があろうと必ず返します…」シクシク
比奈「お金渡したんスか?」
ちひろ「でないと根本的な解決にはならないと思ったので…ちゃんと金利はとりますよ」
奈緒「あー…確かに、その方が良いかも」
比奈「じゃあこれにて、一件落着ってことで」
P「ありがとうございます…ありがとうございますちひろさん…本当に本当に…ありがとうございます…」
奈緒「落着とは言い難い気もするけど…」
ちひろ「少しやり過ぎちゃいましたね」
40:
翌朝―…
奈緒「結局昨日のは何だったんだろう」
比奈「普段はあんな人(クズ)じゃないのに、いろいろとおかしかったっスよね」
奈緒「変なモノでも拾って食べたとか?」ハハハ
比奈「かもしれないっスねえ」フフフ
奈緒「まああの後はちゃんと仕事もしてたみたいだしもう大丈夫でしょ」
比奈「ずっと涙目だったっスけどね」
41:
ガチャ
奈緒「おはようございまーす」
P「おう、おはよう」
比奈「ちゃんとなってるっスね」
P「はは、昨日は迷惑かけてすまんな」
奈緒「もう何が起きたかと思ったよ」
P「すまんすまん、もう大丈夫だから安心してくれ」
42:
P「ああそうだ、今日の予定を言う前にちょっとした話があるんだが…」
比奈「?、何っスか?」
P「いやいや、これは身勝手な提案なんだが…」
P「二人もちひろさんの元に下らないか?」
奈緒「……は?」
43:
P「ちひろさんはどん底の俺に手を差し伸べてくれたメサイアのような存在なんだ、あの方に従えば輝かしい未来が広がっているに違いない」
比奈「一体何を…?」
P「あの方は今の世を変える救世主の器をもつお方なんだ」
奈緒「言っているんだ…?」
P「だから二人もちひろさんの言うことを絶対として…」
奈緒(比奈さん!なんだよこれ!全然大丈夫じゃ無いよなんだよこれ!)ヒソヒソ
比奈(これちひろさんに洗脳かなんかされてるんじゃ…)ヒソヒソ
奈緒(洗脳!?)ヒソヒソ
P「おーい、ちゃんと聞いてるか?」
奈緒「き、聞いてる聞いてる!」
比奈(とりあえずちひろさんのとこに…)ヒソヒソ
奈緒(だな…)ヒソヒソ
44:
・・・
・・

ちひろ「…何かご用ですか?」
奈緒「ちひろさん!正直に言って!昨日何をした!?」
ちひろ「何って…あの後、半年後に10パーセント上乗せして完済してもらえるような契約書を作ったりとかしてませんけど…」
比奈「そのときにプロデューサーさんを洗脳したりしませんでしたか?」
ちひろ「洗脳!?」
奈緒「正直に…全てを話して欲しいです」
ちひろ「いえ、その、話が全く見えないんですけど…」
比奈「…なら、現場に着いてきてくださいっス」
ちひろ「は、はあ…よくわかりませんが…」
45:
・・・
・・

P「ちひろさん!ようこそおいでくださいました!」
ちひろ「あの」
P「ちひろ様!何か飲み物はどうですか!?ドクダミ茶からルイボスティーまで何でも用意しています!」
ちひろ「その」
P「ちひろ総統!この私めに何なりと申しつけください!」
ちひろ「話を」
P「ちひろ国家元首のためならばたとえ火の中水の中草の中森の中土の中雲の中!」
ちひろ「話を!」
奈緒「これを見ても洗脳してないって言えますか?」
ちひろ「してませんよ!なんで洗脳なんてする必要があるんですか!」
比奈「じゃあ何でプロデューサーさんがこんなイかれきった狂徒になってるんスか!」
ちひろ「私が聞きたいくらいですよ!」
46:
奈緒「Pさんは洗脳されてるんだ!目を覚まして!」
P「洗脳?何が洗脳だ!巫山戯たことを言うな!あの方が神となり、我らの理想郷を作り上げるのだ!!」
比奈「ダメだもう人として戻ってこられないところまで行ってるっス!」
奈緒「ちひろさん!Pさんを元に戻して!」
ちひろ「だからどうして私が関係しているんですか!」
48:
ちひろ「プロデューサーさんも!なんですかこれ!なんで私が私の知り得ないところで神になってたりするんですか!?」
P「ハハちひろ神は面白いことをおっしゃる、神が神であるのに理由が必要なのですか?」
ちひろ「話が一切通じない!」
奈緒「こんな狂人通り越した何かに変えたのはちひろさんでしょう!?」
ちひろ「私がこんなことするわけないです!」
比奈「じゃあ誰がやったんスか!」
P「我らが創世主ちひろ大権現」
奈緒「ほらやっぱりちひろさんじゃん!」
ちひろ「プロデューサーさんも勝手なこと言わないでください!」
49:
ワーワーギャーギャー!
???「ここがそうなのか….」
??「そうでしてー」
51:
P「さあみんなで共に新たな世界を歩もうぞ!」ガサゴソ
奈緒「ちょなんで服を脱ぎ出してんの!?」
P「これがあなたの指し示した道でしたよね!」
ちひろ「ちょなんで私に向かってサムズアップを!?」
比奈「もうやだ…だれか助け…」
バターン!!
真奈美「想像以上の惨状だな…」
芳乃「申し訳ありませぬー」
奈緒「木場さん…?芳乃…?」
52:
P「おお!まさか二人もサウザンドリバーの国民になりたいとか!?」
奈緒「いま『も』って言ったか『も』って」
比奈「勝手にアタシらを変な帝国の国民にしないで欲しいっス」
真奈美「…本当にやっていいのかい?」
芳乃「ええ、お願いしますー」
真奈美「じゃあ…」
P「まずはサウザンドリバーの説明からしますけど…」
真奈美「フッ!」ビシュ!
P「サラダバー!」ガコッ!
奈緒「あごに的確に拳をぶち込んだ!?」
真奈美「私はこれで、担当を待たすわけにはいかないんだ」スタスタ
芳乃「ありがとうございますー」
ちひろ「…えっと…何ですかこれ?」
奈緒「いや私に聞かれても…」
53:
比奈「プロデューサーさん気を失ってるんスけど…」
芳乃「ここからは私にお任せくださいましー…」トコトコトコ
芳乃「…」ボソボソボソ
P「………」ビクッ!ビクビクビク!ビクン!
ちひろ「プロデューサーさんの耳元で何かを囁いている…?」
奈緒「Pさん死に抗う魚みたいに跳ねてんだけど…」
芳乃「…ふぅー」
比奈「あ、終わってみたいっスよ」
54:
芳乃「ご迷惑をおかけしましたー」
奈緒「いや…何が起きたのかさっぱりわからないんだけど…」
芳乃「ならばー説明をいたしましょうかー?」
比奈「あ、ハイ、お願いするっス」
芳乃「あの方にはー悪しき気が集まっておりましたー」
ちひろ「悪しき気…?」
芳乃「ええーなかなかに大きなモノがー」
55:
芳乃「ですがーもう払いました故、ご安心をー」
比奈「悪しき気がなんなのかよくわかんないんだけど…」
芳乃「悪しき気はー悪しき気なのでしてー」
比奈「あ、ハイ」
奈緒「そういうもんだってことなんだな」
ちひろ「なんだか超常的なモノって事はわかりました…」
56:
奈緒「でも何で…Pさんにその、悪しき気?ってやつが集まってたんだ?」
芳乃「季節の変わり目故にー」
比奈「はい?」
芳乃「ですから季節の変わり目故にー」
ちひろ「季節の変わり目が原因なんですか!?」
芳乃「そうでしてー」
奈緒「嘘だろ!?」
58:
奈緒「人間の何がどう狂えば季節の変わり目にああなっちゃうんだよ!?」
芳乃「大元の原因はー悪しき気ですー」
比奈「悪しき気は体調不調の権化か何かなんスか!?」
芳乃「そしてこの方はー今までの季節の変わり目にもこうなっておりましたー」
奈緒「今までも!?」
芳乃「はいー」
59:
芳乃「この方は何故か季節の変わり目に悪しき気を集めてしまうのですー」
芳乃「なのでその都度払っておりましたー」
比奈「まさかの常習犯っスか…」
奈緒「私たちの知らないところでいままでなにがあったんだ…」
芳乃「ですが今回は私の仕事の都合もありー大きくなりすぎた故、協力を頼んだのでしてー」
奈緒「ああ、だから木場さんが」
60:
比奈「…じゃあプロデューサーさんがクレーンゲームに給料全額突っ込んだのも」
奈緒「歳下の私らに土下座してお金を借りようとしていたのも」
ちひろ「私を勝手に神にしてあがめてたのも」
比奈「全部…悪しき気ってやつのせいなんスか...?」
芳乃「その通りでしてー」
奈緒「…よ、よかった?…Pさんがおかしくなったわけじゃ無いんだ…」
比奈「アタシ内心ドラッグかなんかキメてんのかと思ってたっス…」
ちひろ「もうちょっとで黄色い救急車を呼びそうでしたよ…」
芳乃「ではこれにて失礼しますー」
奈緒「ああ…ありがとう…」
比奈「またこんなになったらお願いするっス…」
芳乃「それはもちろんー」
61:
数分後―
P「うぅ…ん…ここは事務所?Pは誰?」
奈緒「!!、目を覚ました!」
比奈「だ、大丈夫っスかプロデューサーさん?」
P「いや…比奈?それに奈緒も…?何?俺なんでここに…?」
奈緒「うう…うわああん!!」
P「奈緒!?なんで泣いて」
比奈「うう…ぐすっ…」
P「比奈も!?」
ちひろ「良かった…良かった…」
P「ちひろさん!?ちょ、何が!?何が!?」
こうして、今回の事件は終わった。
だが、全てが終わったわけでは無い。
62:
三ヶ月後―
P「徳川埋蔵金を堀りに行こうぜ!!これで一生ウッハウッハだ!」
比奈「また悪しき気が集まってるっス!」
P「というわけで重機のレンタル代を貸してください!のしつけて返すんで!!」
奈緒「ふざけんなよ季節の変わり目ぇ!」
彼ら彼女らの苦難は続く…
?完?
63:
これにておしまいです、お付き合いいただきありがとうございました。
季節の変わり目には体調を崩しやすいので、皆さんも気をつけてくださいね。
64:
前作→
双葉杏「おとなしく寝てろ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1487509281/
時間とお暇があれば
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