ヨウ「リーリエ・・・!?」アニポケリーリエ「・・・どなた様でしょうか?」back

ヨウ「リーリエ・・・!?」アニポケリーリエ「・・・どなた様でしょうか?」


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ヨウ達「「「……」」」
アニポケマーマネ「………く、来るのが…、遅いよ! 博士ぇ!!」
アニポケククイ「え?  な、何? …なんかあったのか?」
アニポケリーリエ「何か…あったって…、」
アニポケマーマネ「………あ…、あのヘンチクリンなポケモンがめちゃくちゃに暴れた跡を見てよ!
 アイツが暴えた跡が…、跡が…!!」
アニポケカキ「…な、なん…だ、これは……?」
アニポケスイレン「…きえ…、てる…!?」
アニポケマオ「あのポケモンが暴れて…壊されたところ、全部、元通りになってる…。 …なん、で…?」
ヨウ達「「「……!!?……」」」
アニポケククイ「どうしたんだ…?…お前たち…?本当に?
 …………ん? そういえば…君は見慣れない子だね…? ウチの生徒じゃないな。 ………あ、俺は…
ヨウ「……ククイ、博士…」
アニポケククイ「おお…!  知ってくれてるとは光栄だなぁ! そうだ。 俺がククイだぜ。よろしくな!
 もう聞いてるかもしれないが、この子たちの担任教師をしている」
45: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:01:53.90 ID:QgB+6NfI0
ヨウ(! ……ククイ博士が、…教師…? …なんか…本当に、何でもありだな…、…わ!?)
もぞもぞ…、ぎゅいーん!
ロトム図鑑「アローラー! …ヨウ!  ジガルデ・セル探しはいい加減もう終わったロトか?」
アニポケククイ「お!  そいつは…ロトム図鑑じゃないか? 
 どういう伝手で手に入れたかは知らないが入手、大変だったろ? …初めまして、ロトム。俺はククイだ」
ロトム図鑑「…? そんなこと知ってるロトよ、ククイ博士? つい先日、会ったばかりじゃないロトか?」
アニポケククイ「ははは! 面白い事言うな、お前。 …なぁ、君? ちょっとこの子見せてもらってもいいかな?」
ヨウ「………………。 ………ええ、どうぞ…」
ロトム図鑑「くすぐったいロ」
サトシ「………ヨウ、こんな時になんだけど、俺もロトム図鑑持ってるんだ…。
 でも今、アイツ、お気に入りの探偵ドラマ、観に帰っちゃってさ。 会わせてやれないのが残念だ」
ロトム図鑑「た、探偵ドラマにハマるロトム図鑑…! 一体、どんな顔してるか見てみたいロ……」
アニポケククイ「フフフ! キミとよく似た顔してるぜ! ……さぁ、どれどれ、図鑑の状況は…? ……」
アニポケククイ(……!!?)
46: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:02:25.33 ID:QgB+6NfI0
アニポケククイ(……アローラの土地神や…、伝説のポケモンの……と…、登録、データだと…! …!?
 そ、それから、図鑑本体の製造ナンバーが、俺がサトシにやったロトム図鑑と全く同じ…? …??
 …………な……、なんだ…、…これ……!!?)
ヨウ「………」
アニポケククイ「…………き、君は…、一体……!?」じっ
ヨウ「…ククイ博士…、聞いてほしい話があるんです…。 …少し、お時間をもらえませんか…」
―――――
―――

47: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:14:02.88 ID:QgB+6NfI0
―――――ククイ博士の研究所
アニポケククイ「…つまり君はこの世界とは異なるアローラ地方からやってきたパラレルワールドの人間で。
 サトシ達に絡んできたスカル団との闘いに巻き込まれたが、君はそれを撃退…。
 だがその直後、出現したウルトラビースト(以下UB)なるウルトラスペースというまたさらなる
 別世界に住むポケモンに襲われて、君は今持つ唯一の手持ちのポケモンを奪われてしまった…。
 …尚、UBが暴れた痕跡は一切消えた。…君にもその理由はわからない。
 ついでに言うと、君と君の世界の俺は知り合いで、君のロトム図鑑はその俺から貰ったものである。…と」
ヨウ「……滅茶苦茶な話をしているのは、わかっているつもりです…。 …とても信じられないと思います」
アニポケククイ「…いや…、………信じたいと……思ってる…」
ヨウ「……」
アニポケククイ「……」
ヨウ「……え…? な、なんで、信じてくれるんですか…?
 僕が言うのもおかしいですけど、すぐに受け入れられるような内容じゃないでしょう?」
アニポケククイ「…逆に質問するようで申し訳ないんだけど、
 君はどうして俺にはその話を打ち明けてくれる気になったんだろう?」
48: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:15:09.00 ID:QgB+6NfI0
ヨウ「……それは……… 僕にとってのククイ博士はポケモンのわざの研究家で、
 アローラにポケモンリーグを創ってくれた人で…、
 トレーナーとしては最初であり最強でもあった挑戦者でもある僕のライバルの一人で…、」
ヨウ「ロイヤルマスクで…、」ボソ
ヨウ「僕の旅に始まりをくれた人で……、いつだって…僕を導いてくれた僕の一番の恩人で…。
 ……ククイ博士ならきっとこんな状況でも力を貸してくれたに違いないと思ったんです…。」
ヨウ「…仮に、ククイ博士に信じてもらえないなら、多分、誰に話しても信じてもらえないって事だから…、
 僕にとっては、それはそれで諦めが付くというか、ある意味、開き直ることができるっていうか…。
 …そんな事情、こっちの博士には無関係なのに…、…勝手なことばっかり言って…、
 ……なんだか…すいません…」
アニポケククイ「…………。 …随分と… すげぇんだなぁ… 君の世界の俺は……」
ヨウ「…そうなんです。 本当にすごい方なんです、ククイ博士は…」ニコ
アニポケククイ「…………リーグ創設だとかなんてのは、正直ピンとこないけども…。 うん…。
 君の世界の俺はそんな素直な信頼に値する男なのかと考えたら、すげぇなぁと思って…さ…」
アニポケククイ「……………」
アニポケククイ「……………。 ………三つだ…!
 …まず、見せてもらった君のロトム図鑑について色々説明が付かないことがあるということ!
 …次に、実は俺としても校庭に出現したUBとやらに関して気になることがあるということ!
 …最後に…、…君がそこまで思ってくれているククイ博士への信頼を、
 この俺が裏切っちゃうってのは、どうも違うよな?」
49: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:16:25.16 ID:QgB+6NfI0
ヨウ「…………。」
アニポケククイ「……だから俺は、君を信じることにしたぜ…。……ヨウ…!」
ヨウ「…!」ぱぁっ!
ヨウ「…あ、ありがとうございます。 …やっぱりククイ博士はどこの世界でもククイ博士でした…!」
アニポケククイ「へへ!!  …じゃあ、早だが話の本題に移ろうか。
 実はだな、ちょっと前から校庭に、見えない妙な力場が発生していて、
 それが時間経過とともに少しづつ大きくなっていたのがわかっている。」
ヨウ「…力場?  そこからあのUBが出現したってことでしょうか?」
アニポケククイ「なんせ専門分野じゃないから断定はできないが…、俺はそうだと思う…。
 多分これは、…時空の歪み…、のようなものだったんじゃないかと考えている。
 ………現在、この歪みは、観測を始めた直後程度のサイズに戻ってしまったようだが…、」
アニポケククイ「………観測時とまったく同じスピードで、再び大きくなろうとしているみたいだ………」
ヨウ「…!? そこからUBがまた、出現する…という事でしょうか…!?」
アニポケククイ「可能性高いね。
 この歪み…これまで害は無いと判断していたから、観測程度しかしていなかったんだが、…抜かったぜ。
 …まさかそんなのが出てくるとは想像力が足りなかったよ…。 
 ……ヨウがいなかったら、俺の生徒が大変なことになっていたと聞いている。 教師のククイ博士として
 礼を言わせてくれ。 ありがとう…」
ヨウ「…いや、そんな…。 それで…、またUBが出てきそうな時間を割り出すことってできるんですか?」
50: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:17:44.82 ID:QgB+6NfI0
アニポケククイ「おう。 今日得た観測データから歪みのピークを規定して、
 そこから再出現の予想時間を逆算することは容易だ…。
 問題は、またその同じ個体のウツロイドとやら出てきてくれるかってことだが……。
 ………そうだ…、な…?  これは君の奪われたポケモンの入ったモンスターボールを辿って見るか。
 …待っててくれ、ヨウ。すぐに調べてみる。 ………………。
 ……ところでサトシ…、そろそろ入ってきなよ。盗み聞きは感心しないぜ?」にやり
ヨウ「…!?」くる
サトシ「…!?」びく!
サトシ「……あ…、ははは、は…、 バ、バレてた…!」のこのこ…
ピカチュウ「ぴか、…ちゅあ…」
ヨウ「えっ? き、君は、サトシ…? なんで、ククイ博士の家に…?」
サトシ「あー、俺、ここにイソーローさせてもらってんだ」
ヨウ「………居…候…?」
サトシ「………ねぇ、博士?
 俺らのアローラとヨウのアローラが違うパラレルナントカっていうのがよくわかんなかった。
 どういう意味です?」
ククイ「サトシにも解るように言うと…、…そうだな…? …あくまでたとえ話だが…、
 同じタイトルの作品なのに、ゲームとアニメでキャラクターの設定とかが全然違うみたいな感じかなー?」
サトシ「…ふーん。 わかったような? わかんないような?
 まぁ、とりあえずヨウは凄いところから来たってこといいんだよな…?」
51: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:18:36.56 ID:QgB+6NfI0
ヨウ「……サトシ…、君まで僕の話を…信じてくれるの…?  …なんで?」
サトシ「うん? なんでかって言われれば、ヨウが嘘つくようなヤツに見えないからかなぁ…。
 …あーん、俺にも、よくわかんないや!」にかっ
ヨウ(…やっぱり、いい子だ。この子。)くす
サトシ「………大体まー、よくある話じゃん。
 何か違う世界から来たとか行ったとか。 俺にもそんな経験何度かあった気がするもん」
ヨウ「…………は、はぁ…!?(…じ、冗談だよな…?)」
ヨウ「…………あ…、それにしても…、さっきは情けないところを助けてくれて本当にありがとう。
 ……サトシとピカチュウ、凄かった。  一体どれだけ一緒に闘えばあんな以心伝心の動きが…?」
サトシ「よせよぉ…。 照れるなぁー」
ヨウ「…………あの時の君は、はっきり言ってスクール通いするトレーナーのレベルじゃなかった……。
 ……例えば………、ポケモンリーグなんかに出てもかなりいい線行くレベルのはず………」
サトシ「あはは、大げさだな。褒めすぎだぜ? さっきは偶然、調子が良かったっていうか。
 ま、ホントいうとさ、なんか俺、実力が安定しなくて困ってんだよ。 …なー、ピカチュウ?」にこにこ
ヨウ「………? …そ、そうなの?(…そんなことありえるのか? でも本心で何か言ってるように感じる…)」
52: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:19:41.07 ID:QgB+6NfI0
アニポケククイ「おまたせ、ヨウ。 …今確認できた。
 …空間超えてまで反応を拾えるかは微妙なところだったが…。
 君のモンスターボールからは通常ではありえない膨大な量のエネルギーが発されているおかげで、
 難なく捉えることができたぜ」
ヨウ「! …それじゃあ?」
アニポケククイ「そのウツロイド…というUBはあの校庭からまったく動いちゃいない。
 ………まだ推論の域を脱せないが、ヤツは再びこっちの世界に出てくることを目的にしていて、
 時空の歪みがまた開くのをあの場で待機するつもりなんじゃないかと見受けられる。」
ヨウ「おかしい…。 …UBはウルトラホールの発生に巻き込まれて、
 止む無く別世界に迷い出てしまった存在のはずだ…。…自分から別世界に来ようとしているなんて…?」
アニポケククイ「…それと、君の話からすると、
 いくらUBといえど、戦闘の痕跡がまるっきり消えるなんて特徴はありえないって、話だったな…」
ヨウ「………………何か特別な能力を持ったUB………?
 …いや…、そもそも、あのウツロイドはウルトラホールから出現したわけじゃない……。
 僕の世界で呼ばれてるUBとはまた別種である可能性すらある…。 …だとしたら、厄介だぞ…」
サトシ「出てきたら出てきたで…ヨウが知ってるUBよりも強いかも知れないって事か…?」
アニポケククイ「…考えていたより…“だいばくはつ”並みにやばい事態だぜ…こいつは…。
 そのUBとやらが暴れた痕跡が跡形もなく消えちまったのが痛すぎる…
 すぐさま出現ってことはまずないにしてもだ…、それまでに協力者や対策が立てられるかどうか…」
53: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:20:48.68 ID:QgB+6NfI0
サトシ「…あ! あとヨウの盗られたボールがヤツらの世界の中で開かれちゃったら、どうなるんだ…!?」
アニポケククイ「………!? …た、確かに…! それも…何か考えないと…!」
ヨウ「……いえ、博士。 もしそうなったら、それはむしろ好都合です。
 ボールさえ開いてくれれば…、ほしぐもちゃんなら自力でこっちに戻ってこれるはず……」
サトシ「…一体どういうポケモン…? ヨウの相ぼ、…? ……!!」ぐ〜
ヨウ&アニポケククイ「「………」」
サトシ「ご、ごめん…/// なんか、難しい話してたら腹減って来ちゃった、俺…。
 ………自慢じゃないけど、俺はいつも腹が減ってる…!!」ぐ〜
ピカチュウ「…ぴかぴぃ…」アキレタ
アニポケククイ「…あっはっはっは…! …そうだな。ちょっと休憩にするか。 おーし!飯の支度だ!」
サトシ「さんせいー!」
ピカチュウ「ぴっかー!」
ヨウ「ふふ!」
サトシ「ヨウも食べてくだろ?…っていうかヨウ、今日泊まるところ無いんじゃないのか?
 俺からも頼むから、博士にお願いしてここに泊めてもらいなよ! 俺、ヨウとバトルの話とかしたいもん!」
ヨウ「…ああ…そ、そうか…。 えっと、いいでしょうか、博士?
 …本当にご迷惑ばかりで申し訳ないんですけど…。」
54: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:21:55.08 ID:QgB+6NfI0
アニポケククイ「もちろんいいとも! 歓迎するぜ!
 …寝床には、そこのロフト…は、ごめん、すでに使ってる子がいるからダメなんだよな…」
ヨウ「………!  この世界にもあのロフトはあるんですか。 …凄いな…! そこは一緒です」
アニポケククイ「おっと…“カウンター”の如く良い反応返って来たねぇ…。
 …しっかし、寝床は本当にどうすっか?  俺のベッドを…、
サトシ「いいよ博士。 ロフト、二人で使えばいいじゃん。
 スペースあるし。 ヨウもここのロフトに思い入れあるみたいだし」
アニポケククイ「…ん、そうか?  悪いな、サトシ…」
ヨウ「え?」
ヨウ「…だ、ダメですよ…!! そんなの! な、何言ってるんですか!?」
サトシ&アニポケククイ「「え?」」
サトシ「……俺と、ピカチュウ達は別に、構わないよ?ヨウ?」
ヨウ「…?…? サトシが、良くても…?…?」
「―――――あのっ!」
ヨウ・サトシ・アニポケククイ「「「!!!!」」」
アニポケリーリエ「………アローラ。  急にお邪魔してすいません。
 ここに昼間、わたくしを助けて下さった男の子がいると伺って来たのですが?」
ヨウ(……! …この世界の、リーリエ……)
55: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:22:40.29 ID:QgB+6NfI0
アニポケククイ「やぁ、リーリエ。アローラ。 ヨウなら確かにここに居るね。どうした?」
ヨウ「アローラ。 おかえり、なさい。リーリエ。」
アニポケリーリエ「…? …あのう?なぜ、わたくしがククイ博士のご自宅で『おかえりなさい』なんでしょう…?」
ヨウ「……え?」
アニポケリーリエ「………?」
ヨウ「…………」
ヨウ「……あー、そっか……。 サトシが居候してるんだもんな…。 …そういう意味か…。
 …成程…。 …納得した…。 じゃあロフトを使っても問題ないわけだ……」ボソボソ
アニポケリーリエ「………??」
ヨウ「あ、ごめんなさい、ただの冗談です」にこ
アニポケリーリエ「…………???」 
アニポケリーリエ「……あ、あの、ヨウさんと、おっしゃいましたね…?
 本日は危ないところを助けて下さって、本当にありがとうございました。 
 よろしければお礼に是非、わたくしのおうちでお夕食をごちそうさせてもらえませんか?
 ……すいません。お電話させていただいたんですが、博士の家に繋がらなくて。
 論理的な結論として、厚かましくも直接お誘いに参りました次第です」
56: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:23:18.48 ID:QgB+6NfI0
アニポケククイ「 電話、繋がらなかったかー…。 うん、そういえば…、昨日、サトシのモクローとイワンコが、
 電話機の周りで遊んで、電話機、ぶっ壊しちゃってたんだったなぁー……」遠い目
サトシ「あはははははははは!  ………すいません…」
モクロー「ほぉろ??」
イワンコ「わう??」ふりふり
アニポケリーリエ「……あ、もちろん、サトシも一緒にどうぞ?」
サトシ「まじ? やったぁ! ヨウ。リーリエの家、でっかいんだぜー! きっと凄いごちそうが出るよ!」
アニポケククイ「…ったく、調子の良い奴だなぁww
 しかし、サトシ?  …君は、明日までの課題は終わってんのかな?」
サトシ「………ゲッ…!」
ピカチュウ「ぴかぴっ…!」
アニポケククイ「……」にこ!
サトシ「……………。リーリエ。 今日は俺、辞めとく…。 残念だけど…」
アニポケリーリエ「いえ。 こちらこそ急に押しかけてしまって申し訳ありません」
サトシ「折角なのにごめんな。でも代わりにヨウは行くから」ぽん
ヨウ「……え…、(えー…?)」
57: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:24:11.83 ID:QgB+6NfI0
―――リーリエ宅のお屋敷・玄関前
ヨウ「……こ、この世界のリーリエは、ここに住んでるのか…」
ロトム図鑑「……確かに凄いお屋敷ロト…。 あ、ヨウ、…あの人はサトシくんと同様、初めて会う人ロト」
ジェイムズ「ははは!成程! 人間、誰しも最初は初対面ですな! …申し遅れました。
 私、リーリエお嬢様の執事でございます、ジェイムズと申します」
ヨウ「あ、今日はお招きありがとうございます。ヨウです」ペコ
ロトム図鑑「ありがロト!ボク、ロトム図鑑ロト!よロトしく!」ペコ
ジェイムズ「これはこれはご丁寧に……。
 ………しかし…ヨウ様……? …それが、大変申し上げにくいのですが…、
 この屋敷内はポケモン禁止となっておりまして、…ロトム様は中庭にてお待ち頂くことになるのですが?」
ロトム図鑑「ロ、ロトッ!?」
ヨウ「…え? …そうなんですか…? …そうとは知らず、すいません…。 ……でも、困ったな…」
アニポケリーリエ「良いのよ、ジェイムズ。 あなたには連絡が行ってなかったのかしら?
 以前、サトシが来た時と同様、ロトム図鑑さんもお客様です。 お入りいただいて構いません」
ジェイムズ「おお、そうでしたか…。 かしこまりました、リーリエ様。
 …ヨウ様、ロトム様、大変ご無礼を。 お許しください……」ふかぶか
アニポケリーリエ「執事が失礼致しました。 …こちらへどうぞ」
58: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:25:10.01 ID:QgB+6NfI0
―――リーリエ宅のお屋敷内・食後の食卓
ジェイムズ「食後にお飲み物は如何でしょうか?
 グランブルマウンテン、ロズレイティー、エネココア、モーモーミルク、ミックスオレ、パイルジュース。
 一通りのものはご用意できます」
アニポケリーリエ「わたくしはロズレイティーを。  …貴方はどうされますか?」
ヨウ「…。(わかってはいたけれど、この世界のリーリエと僕が知るリーリエは大分印象が違う。
 こっちの彼女は、一言で言えば『真面目な優等生のお嬢様』という雰囲気だ)」
アニポケリーリエ「…?  あの、ひょっとしてヤドンのしっぽ料理、お気に召しませんでしたでしょうか?」
ヨウ「! …あ!いや、とってもおいしかったです…。 …ごめん、ちょっと考え事しちゃって…」
アニポケリーリエ「…そうですか。 それならば良かったです。
 …ヨウはサトシよりアローラに詳しい様子でしたが、ご出身はどちらなんですか?」
ヨウ「……………ヨ…、ヨウ……?」
アニポケリーリエ「…………え……? あ、…ご、ごめんなさい。 呼び方…、馴れ馴れしかった、でしょうか…?」
ヨウ「…………あ、いや、そうじゃなくて…、何か……凄く新鮮な響きでびっくりしたというか……。
 (僕の方の世界のリーリエは人の名前を大体、敬称付けして呼んでたから)」
アニポケリーリエ「…?……??」
59: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:26:09.19 ID:QgB+6NfI0
―――リーリエ宅のお屋敷内・リーリエの部屋
ヨウ「…リーリエの本棚、凄い…。 難しそうなポケモンの本がこんなにいっぱい…」
アニポケリーリエ「…ふふふ! …あ、今、ヨウが見ている背表紙の本、とってもオススメなんですよ。
 ご存知ですか? アローラ地方ポニ島のはずれには、ナッシー・アイランドという無人島があるんです。
 その本は、その島に生息するポケモン達の生態について書かれた内容なのですが…」
ヨウ「……その名の通り…確かにナッシーが生息しているけれど、
 実際はナッシーの進化前のタマタマの方が頻繁に出現するし、
 条件さえ合えばポワルンやヌメイルみたいな珍しいポケモンも見ることができる。……みたいな?」
アニポケリーリエ「そ、そうなんです! …ひょっとして、ヨウもこの本をお読みに?
 ……嬉しいです。 この事でお話しできる方がいらっしゃるなんて…!」
ヨウ「…ううん…、そうじゃないんだ…。 本を読んだんじゃなくて、直接行ったことがあって…」
アニポケリーリエ「そちらの方が凄いではありませんか!
 …良いな、わたくしもその本を読んでから是非一度、現地に行ってみたいと思っているのです。
 ………ヨウはお一人で行かれたんですか?」
ヨウ「…いや…、…とても大切な友達と…、二人で……。
 途中で雨が降ってきたり、ちょっと急いでた用事があったりしたから、
 あんまり…じっくり回ったりはできなかったけれど」
アニポケリーリエ「お友達とですか。 二人きりで行かれるなんて余程、仲がよろしい間柄なのですね。
 …羨ましいです、そういうの!」
ヨウ(…………なんか、不思議な感じ……)
60: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:27:16.44 ID:QgB+6NfI0
シロン「こぉーーん…」とことこ
ヨウ(…リーリエのアローラロコン……)
アニポケリーリエ「?? どうしたの、シロン…? ………ひょっとして…、お腹すいちゃったの?
 ………もう…! ご飯の時間前に、寝ちゃうからですよ?」ぷくー
ヨウ(リーリエに、トレーナーとしての手持ちポケモンがいて、トレーナーとしてポケモンに接している…。
 ……凄い…。 僕の世界よりも先行して、その光景が見れた感じだ…。)…くすくす
 
アニポケリーリエ「…いつもと決まった時間以外にご飯を食べるのは良くないんだけど…、今日は特別よ?
 ……えっと…、……シロン用おやつは…、……あら…? 丁度切らしちゃってる…」
ヨウ「あ、ポケマメでよければ僕、持ってるよ。 ……よかったらどうぞ?」
アニポケリーリエ「いいんですか? すいません。 …何でしたらヨウがシロンに直接あげてみませんか?」にこ
ヨウ「! いいの…?」
アニポケリーリエ「ええ…、もちろんです…。 さっきからヨウ…、シロンを見て、ずっと笑顔ですから。
 ふふっ! …みなまで言わなくてもわかります。恐らくヨウはアローラのロコンがお好きなのでしょう?
 ならば、わたくし達は同好の士ですね!」ふんす
ヨウ「(こういうテンションは僕の世界のリーリエには無かったので面白い) …じゃあ遠慮なく」くす
シロン「こぅ〜ん、こぅ〜ん!」チョウダイチョウダイ
ヨウ「…待たせてごめんね… …はい、シロン。 にじいろポケマメだ」
シロン「! こーん〜♪」カリコリカリ…
61: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:28:52.70 ID:QgB+6NfI0
ヨウ「確かに、これはかわいいや…」にまにま
アニポケリーリエ「ふふふ…! 良かったね、シロン…」
ヨウ「…シロンっていう名前は、リーリエがつけたの?」
アニポケリーリエ「はい! …タマゴの時、白くてよくコロンコロンと動いていたから、シロン、です!
 ……お名前といえば…、ヨウのポケモンは、ほしぐもちゃん、っていうんでしたっけ…。
 何のポケモンかはわかりかねますが、とっても素敵なお名前です……」
ヨウ「………………。」
アニポケリーリエ「………ヨウ…?」
ヨウ「……ほしぐもちゃんっていうのは…、僕が、つけた名前じゃないんだけど…、
 君にその名前を…、素敵だって言ってもらえるのは………、何て言うか…、………感激……」
アニポケリーリエ「…っ…ふふふ…! …何だかヨウは、表現が…時々大げさというか不思議な時があります…
 おかしいですよ…。…感激だなんて! …うふふっ!」
ヨウ「……そうかもだね…、ごめん…」にこ
ヨウ(この世界のリーリエは、僕が初めて逢った時のリーリエに近い姿をしている。
 僕の知るこの頃のリーリエは、ちょっと難しい顔とか困った顔をしていることが多くて…、
 どこか浮かない雰囲気のあるお姉さん、みたいな感じだったように思う。
 この世界のリーリエは、よりお嬢様らしい物腰をしているけれど、
 接してみると結構表情豊かで比較的明るくて…、どこか幼いというかあどけないというか…、
 ……逆に、なんか……妹みたいだ…)
62: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:29:36.87 ID:QgB+6NfI0
ロトム図鑑「あ、あのー? 二人の親睦が深まっていくのはイイコトだと思うロが、
 ボクをないがしろにするのはヨクナイコトと思うロト! ボクのことも構うべきロト!!」
アニポケリーリエ「あ!…ごめんなさい…。ロトム」てれっ
ロトム図鑑「分かればよろしいロト! ……そうだロ! ボクに記録されている膨大な図鑑データから、
 算出した現バトル環境対応のアローラロコン育成論を今から講義してあげようかロト?」肩ポンポン
ヨウ「こらこら、調子に乗らな…
アニポケリーリエ「ひやぁあああああああ…!!!」
ヨウ&ロトム図鑑「「うわあ!!!」」
ロトム図鑑「ど、どうしたロ!何があったロト!リーリエ!」肩ユサユサ!
アニポケリーリエ「……ひ…っ…!」カチーン
ヨウ「リ、リーリエ?  …な! …ええっ…! …な、なんで固まってるの!?」
アニポケリーリエ「…………あ……、その、ですね……  じ…、実はわたく、し………」カチーン
ヨウ&ロトム図鑑「「シロン以外のポケモンに触れることができない……?」」
アニポケリーリエ「………………はい」ショボーン
ロトム図鑑「………リ、リーリエが…ロトか…?」
ヨウ(…………。 だから…、この屋敷内はポケモンが禁止なんだ……)
63: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:30:20.65 ID:QgB+6NfI0
アニポケリーリエ「か、勘違いしないでほしいのですが、わたくしはシロン以外のポケモンだって大好きです!!
 …今のところ、他のポケモンは…、学びの対象としてですが…」
ロトム図鑑「………。 ……本当は気にしてるロ? ポケモン、触られないロと?」
アニポケリーリエ「……………」
アニポケリーリエ「………………。」こくり
ヨウ「………………」
ヨウ「…シロンには触れられたんだから、他のポケモンだってきっと、あとちょっとだよ。
 今日出会ったばかりだけど、君がポケモンのこと凄く好きだってよくわかったもの。リーリエなら大丈夫」
アニポケリーリエ「……そうなの、でしょうか…?  みんな、そう言って励ましてくれるのですが…、
 ………本当はわたくし…、あまり自信が…、ないのです…。  ……一生このままだったら…どうしよう…」
ヨウ「………………」
アニポケリーリエ「……………」ショボーン
ヨウ「…………………」
64: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:30:57.38 ID:QgB+6NfI0
ヨウ「………………」
ヨウ「…………じゃあねリーリエ…、君がゼンリョクを出し切れるとっておきのおまじないを教えてあげる」
アニポケリーリエ「………………。  ………そんなものがあるのですか?」
ヨウ「……………今度、ポケモンに触れる練習をする時にこうつぶやくんだ……………」
アニポケリーリエ「…は、はい……」
ヨウ「『がんばリーリエ』」
アニポケリーリエ「…が、がんば…?」
ヨウ「『がんばリーリエ』」
アニポケリーリエ「…………ひょっとして…、ヨウはわたくしをからかっているのでしょうか…?」
ヨウ「…ふふふっ!」くす
アニポケリーリエ「……も、もう! わたくしは真剣ですのにー!」ぷんすか
ヨウ「……ごめんごめん。 ……でも、からかうつもりで言ったわけじゃないんだ」
ヨウ「…だから今の言葉…、覚えてたらでいいから、いつかやってみて。
…きっと効果はバツグンなはずだから」
アニポケリーリエ「……………。」
66: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:32:05.28 ID:QgB+6NfI0
―――ポッポー!ポッポ―!(時計の音)
ヨウ「…ああ、もうこんな時間なんだ…? 随分、話し込んじゃった。 ……そろそろ帰ろうかな…」
アニポケリーリエ「…そうで…すか…。 そ、その…、わたくし、凄く楽しかったです。
 ……なんだかあっという間の時間でした。 ……あら…?」
―――――┣¨┣¨┣¨┣¨ドド…!(土砂降りの音)
ヨウ「……知らない間に、外…、凄い雨が降ってる……」
アニポケリーリエ「予報には無かったです。 …こんな大雨…。
 ………あっ、帰りは車でお送りさせていただきますね。ヨウのお住まいはどちらですか?」
ヨウ「…おす、まい? …あっと…、えーっと…? (…ククイ博士の家とは、言いづらいな…)」
――――コン、コン
アニポケリーリエ「? …どうぞ。」
ジェイムズ「失礼いたします…」
アニポケリーリエ「あ、ちょうどいいところに来てくれたわ、ジェイムズ。
 ヨウがお帰りになります。 車を回してもらえる?」
ジェイムズ「それについてなのですが…、…大変申し訳ございません…!
 …先程、送迎車にエンジントラブルが発生致しまして…、車を発進させることが叶わず…。
 …タクシーを呼ぶことも考えましたが急な天候崩れの影響で、
 こちらに来られるのはかなり時間かかるという状況です…」
67: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:32:48.42 ID:QgB+6NfI0
ロトム図鑑「ありゃりゃロト〜」
アニポケリーリエ「…えぇ…、そんな…。…こんなことになるなんて…。 ごめんなさい、…ヨウ…。」
ヨウ「謝らないでよ。リーリエが悪いんじゃないんだから」にこ
アニポケリーリエ「……あの…ヨウ? …この大雨です。
 よろしければ今晩は、この屋敷にお泊りになってはどうですか?
 空いているお部屋はいくつもありますから。  ……駄目? ジェイムズ?」
ジェイムズ「不肖ジェイムズもそれを提案させていただこうと参じさせていただきました次第。
 さすがリーリエ様でございます。
 ヨウ様、ロトム様、よろしければ是非そうなさってくださいませ」
ヨウ「…………」
ヨウ「……却って、何だかすいません。 ……じゃあ、ありがたくお言葉に甘えさせてもらいます。
 (…ククイ博士に連絡しなきゃ、だな…)」ぺこ
68: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:33:25.28 ID:QgB+6NfI0
―――リーリエ宅のお屋敷内・リーリエの部屋 深夜
アニポケリーリエ(………ベッドに入るのすっかり遅くなってしまいました。…早く…眠らなきゃ…)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(………あの後もヨウとたくさんお喋りしました。…あんなに気が合う人、初めてかもしれない…)
―――“…リーリエ、大丈夫!?ケガしてない!!?”
アニポケリーリエ (………かっこ、良かったな……。 ! …な…、何考えてるんだろう …わたくし…!?)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(…………だめ…。 なんだか…、全然眠れません………)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(……………)
―――“……リーリエ…!? な、何でアローラに…?”
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(……………)
69: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:34:33.87 ID:QgB+6NfI0
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(……………眠れない……)
どき、どき、どき、どき…
アニポケリーリエ(…………心臓の、音が……………、……うるさい……)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(……///)
アニポケリーリエ(……………)
アニポケリーリエ(…………)むくり
シロン「くー…くー…」ZZZ
アニポケリーリエ「…………」なでなで
―――ガチャ
アニポケリーリエ(こんな夜遅くに…部屋の外なんかに出て、わたくしは一体何をしているんだろう…。
 …あら…?…ヨウが泊まっている部屋から物音がします…?)
70: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:35:55.41 ID:QgB+6NfI0
―――リーリエ宅のお屋敷内・ヨウが泊まっている部屋 深夜
ロトム図鑑「…ヨウ、集中力が低下しているロト…。今日は色々なことがありすぎたロト…。休息を提案…。
 スカル団との闘いでZワザを使ったのが結構響いているロト…。 もうヨウの体力は限界ロト…」ぼそぼそ
ヨウ「……まだ…、大丈夫……。 もう一回、ウツロイドの図鑑データを表示して……。
 ………もっと情報を集めなきゃ…。 ……ほしぐもちゃんを必ず取り戻すんだ…」ごにょごにょ
ロトム図鑑「………ヨウはほしぐもちゃんを心配するあまり頭が回ってないロ…!
 大体、ほしぐもちゃんしか手持ちのない状態でこの世界に来てしまったことがそもそもの失敗ロト!
 悔しいけどここは一度、元の世界に撤退して、手持ちを加えて直してから、
 万全の状態で改めて、そのウツロイドに挑むべきロト!」
ヨウ「………ロトムはほしぐもちゃんを心配するあまり頭が回ってないんだよ…。
 ほしぐもちゃんがいないと、そもそもあっちの世界に戻れないよ?」
ロトム図鑑「〜〜ロ、ロトッ!!///」
ヨウ「ふふっ! ……ありがとね、ロトム…。…ちょっと…リラックス…できた…」くらっ…
ロトム図鑑「……ヨ…ヨウ…? 大丈夫ロトか?
 …ヨウ? ひょっとして、我々は今、思っていた以上に大ピンチを迎えてるんじゃないロ…?」
ヨウ「………エーテル財団に、3人だけで乗り込めというより酷い状況があるなんて思わなかった…。
 …………ポケモンがいないと、こんなにも僕は無力だ………」
ロトム図鑑「…………。 ……きっと…、あっちのみんなも今頃、心配してるロね…」
ヨウ「……。………うん…。 ……だからこそ…今、できることを…できるかぎり…、頑張らなきゃ…!」
72: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:36:45.99 ID:QgB+6NfI0
ロトム図鑑「…気持ちはわかるけロ、落ち着くロ…。
 …今、ヨウにできる最善は休息を取ることだとボクは思うロ…」
―――ギィ…
アニポケリーリエ「……ヨウ…? ロトム…?」
ヨウ&ロトム図鑑「「!!?」」びく!
アニポケリーリエ「まだ……起きていらっしゃるんですか……?」
ヨウ「リ…、リーリエ…!?ど、どうしたの?」
アニポケリーリエ「…………」ちら
アニポケリーリエ「…………。 ……眠らない、おつもりなんですか…?」
ヨウ「…あ、いや、ちょっと、寝付けないだけで…」
アニポケリーリエ「…………」
アニポケリーリエ「…………ごめん…、…なさい……」
ヨウ「えっ?」
アニポケリーリエ「……ヨウが今日の誘いを受けてくれたのは…、わたくしを後ろめたくさせないため…。
 ヨウは、わたくしの前ではポケモンが奪われた事をずっと気にしてないふりをしてくれていましたね…?」
ヨウ(!)
73: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:37:50.74 ID:QgB+6NfI0
アニポケリーリエ「……自分のポケモンがあんなことになって、心配じゃないわけがないのに…!
 それ…なのに…! わたくしは…見っともなく…、…はしゃいじゃって…!!」うるうるっ
ヨウ「(しまった…!) …ち、違うよ! ほしぐもちゃんなら心配ないというのは本当だし! 僕はただ、
アニポケリーリエ「何が、わたくしを助けてくれたお礼、でしょう…!
 まず何よりもヨウに謝るべきだったんです…! ……最低です…!
 ………ヨウのほしぐもちゃんが奪われてしまったのはわたくしの所為です……!!」
ヨウ「…それは違う」
アニポケリーリエ「……………わたくしの…、所為です………」
ヨウ「絶対違う」
ロトム図鑑「…リーリエ…。 ヨウの言うとおりロト。
 リーリエの所為では無いロト。 …その証明にヨウはいまから寝るロ!」
ヨウ「ああ、そうさ…。  ……ん?」
ロトム図鑑「さぁ、リーリエ!こっちに!  ヨウが寝付くまで一緒に見張ロート!」グイ
アニポケリーリエ「ロ、ロトム! 触れるのは、あ、 …!?」カチーン
ロトム図鑑「さ、ヨウ。 リーリエにこれ以上、泣かれたくなかったら早く寝るロト…?」ぼそぼそ
ヨウ(……や、やられた…)
ロトム図鑑「〜♪」
74: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:39:03.48 ID:QgB+6NfI0
アニポケリーリエ「…」ショボーン
ヨウ(ぐ…。 …し、仕方がない…)
ロトム図鑑「…。」
アニポケリーリエ「…。」
ヨウ「…ん…」
ロトム図鑑「…。」
アニポケリーリエ「…。」
ヨウ「………くぅ……くぅ…」ZZZ…
アニポケリーリエ「……も、もう寝てしまいました…?」
ロトム図鑑「やっぱり無理してたロね…。
 …リーリエ、心配させてしまったようで悪かったロが、正直来てくれて助かったロ!
 …………やっぱり…ヨウにはリーリエが必要ロト。 ありがロト!」
アニポケリーリエ「…あ…、いえ…そんな…。元はと言えばわたくしが…」
ロトム図鑑「…まったく…、サポートする身にもなってほしいロ!
 ポケモンのためなら平気で無茶して、いーっつもリーリエの前だと背伸びして強がるんだロ!!」
ロトム図鑑「……………………」
ロトム図鑑「…………ヨウだって、ホントはいっぱいいっぱいのはずなロに…。
 ……だから……、こっちのリーリエ…? …どうかヨウを嫌いにならないであげてほしいロト…。
 …そんなところがボクのユーザーの良いところで、ボクはそんなヨウが大好きなんだロ…」にこ
75: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:39:46.16 ID:QgB+6NfI0
アニポケリーリエ「…………」
アニポケリーリエ「………嫌いになんて…、なるはずがありません…。…わたくしも…、 ……………?」
アニポケリーリエ(…『いつも』…? …『こっちのリーリエ』…??)
アニポケリーリエ「………あ、あの!ロトム? …ちょっと、聞きたいこ…とっ………?
ロトム図鑑「むにゃむにゃ…」ZZZ…
アニポケリーリエ「…………え?」
ロトム図鑑「…むにゅ…やっぱり、リーリエは、…いい子ロね…
 ポケモンにぃ、やさしい…、カワイコちゃんロト〜…、ふにゅ…」ZZZ…
アニポケリーリエ「…………えぇ…? ……ロトムも、寝て、しまっているのですか? …いつ…から…?」
ロトム図鑑「ふが。…ヨウ…。こうなったらボクがヤツとたたかうロ〜…!むにゃ…」ZZZ…
76: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:40:23.25 ID:QgB+6NfI0
アニポケリーリエ「………………」
アニポケリーリエ「…………ふふ、きっとロトムも気を張ってたのね…。 ……おやすみなさい。」くす
ヨウ「……………………リー…リエ…」ZZZ…
アニポケリーリエ「…!」びくっ
ヨウ「………リーリ、エ…。…ごめ…ん…………」ZZZ…
アニポケリーリエ「………寝言…、です…か……。
 謝らなきゃいけないのはわたくしの方なのに…。 何で…、何を…、あやまるのですか………?」
ヨウ「………くぅー……くぅ…………」ZZZ…
アニポケリーリエ(………彼の発する『リーリエ』という言葉には…、
 とてもたくさんの想いが込められていると感じる瞬間がある………)
アニポケリーリエ(………まるで魂が惹かれるみたいに、この人が気になってしまう…)
アニポケリーリエ「……………」
アニポケリーリエ「…………………不思議な人………」こてん
77: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:40:53.83 ID:QgB+6NfI0
―――ヨウの夢の中
ヨウ(気づいたら、カプ・コケコとほしぐもちゃんが邂逅した時に
 体感したような不思議な空間の中にいる。…ここは夢の中、なのか?)
ヨウ「……リーリエ…、ごめん…。 …僕は…ほしぐもちゃんを…、守れなかった。」
―――「がう〜♪」
ヨウ「…え!? 」くるっ
ほしぐもちゃん「がーう♪」
ヨウ「!! ほ、ほしぐもちゃん!? …夢か? あ、夢の中なんだろうけど…、ほしぐもちゃんは…本物?」
ほしぐもちゃん「が〜う〜♪」
ヨウ「…そうか、ほしぐもちゃんの力ならこういうことができたのか…。
 …ロトムの言う通りだ。大人しく寝るのが最善だったんだな…」
ほしぐもちゃん「…がう」
ヨウ「? …何か、伝えたいのか?ほしぐもちゃん?」
78: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:41:26.47 ID:QgB+6NfI0
―――――キュイン…
ヨウ(…イメージが、伝わってくる。 …ニ日後の午後、校庭にもう一度あのウツロイドが出現する…?)
ほしぐもちゃん「がう!」
ヨウ「…わかった。その時に必ず、きみを取り戻してみせる…。」
ほしぐもちゃん「がうがう〜♪」すりすり〜
ヨウ「ふふふ!心配だからそれまではこうやって夢の中で僕に話しかけてくれる?」なでなで〜
ほしぐもちゃん「がう〜♪」
ヨウ「うん! おやすみ、ほしぐもちゃん!」
79: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:42:01.34 ID:QgB+6NfI0
―――リーリエ宅のお屋敷内・ヨウが泊まっている部屋 朝
ぱち
ヨウ(…う…、ううん…。 …朝? ……。 ……リー、リエ? …リーリエだ…。 リーリエがいる…)
アニポケリーリエ「……すぅ……すぅ……」ZZZ…
ヨウ(…いや、リーリエじゃない…。 …この子は別世界のリーリエ…。 …。 …って!ええっ!!?)
アニポケリーリエ「………すぅ ……すぅ ……」ZZZ…
ヨウ(?!? …な…、なんで… 一緒に… ベッドで…、寝てるん…だ…!?)
アニポケリーリエ「………………………ん……、ぅ…」ぱち…り
ヨウ「…!?…」
アニポケリーリエ「……………ぅん…?」むく…り
ヨウ「…………」
アニポケリーリエ「………ぅぅ…」しょぼしょぼ…
ヨウ「……リーリエ…?」
アニポケリーリエ「………?」ぽけー…
ヨウ「…あ……、アロー、ラ…。…お、おはよう……。………起き、…た…?」
80: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:43:02.76 ID:QgB+6NfI0
アニポケリーリエ「……んぅ…? …、………。 ……へ…?」きょとん…
ヨウ「…………」
アニポケリーリエ「……、…え…? ……ええ…、………えええええ!!?///」あわあわ…!
ヨウ「………だ…大丈…夫…?」
アニポケリーリエ「…あ…、あああああ…わ、わたくし…?!……わた、くし…!!///////」ぼわっ!
―――バーーーーン!!!(ドアが開く音)
ジェイムズ「ご無礼を承知で失礼させていただきますヨウ様!!
 リ、リーリエ様がぁ、し、寝室にいらっしゃら、な………!!?」
ヨウ「…………」
アニポケリーリエ「…………」
ジェイムズ「…………。…… … …… …リー …リエ、さま…?」
アニポケリーリエ「……?………??(はっ!)……!?!?
 …あ、あのっ、ジェ、ジェイムズ!? こ…、これは、その…!…違うの…っ!!///」わたわたっ!
ジェイムズ「…こ、このジェイムズが、付いていながらッ…、このジェイムズ!不覚の極み!!
 …申し訳…ございませんっ…!…奥様ァ…!! ………はぐっ!」
――――ばたーんっ!
ヨウ「し、執事さん!!?」
アニポケリーリエ「いやー!ジェイムズー!」
81: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:43:58.15 ID:QgB+6NfI0
……………………………………
ジェイムズ「………はっ!!」バッ!
アニポケリーリエ「起きましたか?ジェイムズ。 …一体、どうしたんです…?
 ヨウの部屋の前であなたが気絶していて…、それはもうたいへんびっくりしましたよ」
ヨウ「びっくりしました!」
ロトム図鑑「びっくりだロ!」
ジェイムズ「り、リーリエ様…!?ヨウ様…!?ロトム様…!?
 ……き、気絶…? …私が、ですか? …た、確かリーリエ様が見当たらない気がして、
 屋敷内を捜そうとしていた辺りまでは記憶があるのですが…、 ………うっ…!
 …何故でしょう? 頭が思い出すことを拒否するかのように…その先の記憶が不鮮明です…」
アニポケリーリエ「それは良かった…!」
ジェイムズ「よ…、よかった…!?」
アニポケリーリエ「あ! いえ…、あなたが無事なようで良かった、という意味です…」
ジェイムズ「…さ、さようでございましたか…。 ……。
 …そういえば気絶中に…、何か恐ろしい夢を見たような…?」
アニポケリーリエ&ヨウ&ロトム図鑑「「「……!!…」」」たらたら…
82: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:45:13.05 ID:QgB+6NfI0
ヨウ「……あ、でも、倒れた時に頭とか打ってないようで、それは本当に安心しました…」
ジェイムズ「おお、ヨウ様…。…なんとお優しい言葉…。ご心配をお掛けし………、…?
 …むぅ…? …今のお言葉は、その…まるで…倒れた瞬間を、目撃していたかような言い方…ですな…?」
ヨウ(…。 …し、しまった……)
アニポケリーリエ「そそそ、そんなことよりジェイムズ! もう今日はすぐに帰宅して療養してください…!
 勤務中に倒れるなんて大変なことです…。 きっと働き過ぎですよ…!
 あなたはいつも懸命に働いてくれて、わたくし、本当に感謝しています!
 そんなあなたに何かあったら、わたくしは色々な意味で自分を許せなくなるでしょう…!
 だからあなたのためにも今日はもう何もかも忘れて寝てください。 わたくしからのお願いです…!」
ジェイムズ「リ、リーリエ、様…! こ…、こんなおいぼれめに!言葉もありません…!!
 うううう! こ、このジェイムズ! 謹んで本日はお休みさせていただきます…!!」ハハーッ!
アニポケリーリエ「い、いえ! どうぞ、ゆっくり…休んでくださいね! ……」ひくひく
アニポケリーリエ&ヨウ((……な、なんだか、心が…痛い…っ!!))ずきーん…!
ロトム図鑑(…な、なにやってるんだロ…二人とも……)アキレタ…
83: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:45:42.38 ID:QgB+6NfI0
―――――ポケモンスクール・正門前
運転手「いってらっしゃい、リーリエお嬢様。ヨウ様。」
アニポケリーリエ「ご苦労様でした。また帰りのお迎えお願いしますね。」
ヨウ「…いってきます。ありがとうございました。 ……車…、直って良かったですね…」
アニポケリーリエ「……。」てくてく ヨウ「……。」てくてく
アニポケリーリエ「……。」てくてく ヨウ「……。」てくてく
アニポケリーリエ「……」ぴた… ヨウ「……?」たじっ
アニポケリーリエ「……ご…、」
アニポケリーリエ「…ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!ごめんなさいーっ…!!//////」がばっ
ヨウ「!! …わ、わかったから…! も、もうちょっと、声を抑えて…!?」
サトシ「なんでそんな謝ってんの?」
ピカチュウ「ぴかちゅう?」
アニポケリーリエ&ヨウ「「ひっ!?」」
84: やまおとこのダイチ ◆hpfVx8RTHY 2017/04/27(木) 22:46:11.32 ID:QgB+6NfI0
サトシ「アローラ!リーリエ。ヨウ。 ……珍しいなぁ、リーリエ? もう遅刻寸前だぜ?」
アニポケリーリエ「…そ!そう!そうでした! 早く教室に急ぎましょう…!」せかせかっ!
サトシ「……昨日、添い寝したんだ」
アニポケリーリエ&ヨウ「「……!!!?」」こけっ!?
サトシ「……ピカチュウとモクロ―とイワンコと…。 …ど、どうしたんだよ、二人とも!?」
85: 以下、

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