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ドラえもん「え!!3月11日に大震災が!?」
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1:
ジャイアン「何を言ってんだのび太」
スネ夫「エイプリルフールはまだまだ先だぜ」
ジャイアン「どうかしてるぜあいつ」
のび太「……!」
出木杉「あと三日後だって!?」
出木杉「うーん、のび太くんを疑ってるわけじゃないんだけど、いきなり言われても信じられないよ」
のび太「……!」
しずかちゃん「のび太さんって、そういう冗談を言う人だったのね」
のび太「……」
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4:
のび太「ただいまぁ……」
ドラえもん「どうだった?みんな信じてくれた?」
のび太「……信じてくれなかった」
ドラえもん「そりゃそうだよ、急に言われても信じられない」
のび太「う、う、うわーーん!」
のび太「今すぐみんなが信じる道具出してよ!!」
ドラえもん「あるにはあるけど、そんな理由で貸せないよ」
7:
ドラえもん「それじゃあ一緒に確かめてみよう」
ドラえもん「タイムテレビ〜」
ドラえもん「2011年3月11日……」カチャカチャ
のび太「あ、あれ!?」
ドラえもん「ほら、どこも揺れてないよ」
のび太「他の時間は!?他の場所は!?」
ドラえもん「朝も夜も昼も北も南もなにもないよ」カチャカチャ
のび太「そんな……」
ドラえもん「きっと疲れてるんだ」
のび太「少し……昼寝するよ……」
8:
のび太「ZZz……」
??「さい……ください!」
??「ご覧下さい!今、波が!とても早く、町を飲み込みました!!」
のび太「!!」
??「助けて!」
??「おかあさぁん!」
??「ワンワン!ワンワン!」
??「うう、痛い……痛い……」
のび太「そ、そんな……これは夢……僕は……誰」
??「死亡者の数は把握しきれません」
??「番組を中止して臨時ニュースを続けます」
9:
ドラえもん「のび太くん!のび太くん!」
のび太「……はっ!」
ドラえもん「どうしたの?ひどくうなされてたよ」
のび太「はーっ、はーっ」
のび太「か、海岸沿いに津波が、車が、家が、流されて!ド、ドラえもん!」
ドラえもん「大震災の夢でも見てたのか」
ドラえもん「気にしすぎなんだよ、夕飯まで時間もあるし、外で遊んできな」
13:
のび太「行ってきます……」
のび太「(空き地、まだみんないるかな……)」
スネ夫「のび太のやつ、一体どうしたんだろうな」
ジャイアン「さあ、変なもんでも広い食いしたんじゃないか?」
スネ夫「ジャイアンじゃあるまい」ボカッ
しずかちゃん「でも、この頃のび太さんの顔色、とても悪いわよ」
ジャイアン「そういやひどいクマが出来てるよな」
のび太「あ、みんなだ……」
のび太「(今行っても、バカにされそうだな……)」
14:
スネ夫「ジャイアンに叩かれ過ぎて頭が弱くなっちゃったんじゃない?」
ジャイアン「あいつの頭が弱いのはいつものことだろ」
のび太「ぼ!ぼぼぼ!」
スネ夫「!」
ジャイアン「のび太、いたのか!?」
のび太「ぼ、僕の頭はおかしくなってない!本当に来るんだ!地震が!波が!押し寄せてくるんだ!!」
のび太「後悔したって知らないからな!三日後だ!三日後に来るんだ!!うわぁぁぁぁ」
17:
ジャイアン「のび太!」
しずかちゃん「のび太さん!」
スネ夫「……行っちゃった」
ジャイアン「なんだったんだ、あいつ」
のび太「くそっ!くそっ!なんでみんな、信じてくれないんだ!」ガシャン
のび太「いててて、なんでこんなところにゴミ箱があるんだ!なんで……なんでみんな……」
のび太「ちくしょー!」ブンッ
コン
セワシ「いてっ」
20:
のび太「!」
のび太「く、空気がしゃべった!?」
セワシ「誰だ!缶なんか投げてきたのは!」バサッ
のび太「……セワシくん?」
セワシ「お、おじいちゃん!」
のび太「なんで透明マントなんかで、この時代に……?」
セワシ「えっと、それは、その」
セワシ「現代に影響を与えないように、透明マントで隠れながら……観光さ!」
のび太「観光?」
22:
ドラえもん「セワシく〜ん、どこだセワシく〜ん」
のび太「あれ、ドラえもん」
セワシ「あっちゃ〜」
ドラえもん「セワシくん、ここにいたのか」
ドラえもん「あ、のび太くんも……って、のび太くんに見つかっちゃったのかい!?」
セワシ「ご、ごめん、ついこの時代の風景を見たくて」
ドラえもん「もう!」
のび太「ドラえもん」
ドラえもん「のび太くん、ご飯だからもう帰ろ!」
ドラえもん「どこでもドア〜」
のび太「……あ、う、うん」
26:
セワシ「おじいちゃんの部屋、相変わらず汚いね」キョロキョロ
ドラえもん「セワシくん!」
セワシ「わ、わかったよ」
セワシ「じゃあ、僕もう帰るね、おじいちゃんバイバイ」
のび太「あ、うん」
ドラえもん「さ、のび太くん、ご飯だよ」
のび太「ねえ、ドラえもん」
のび太「なんでセワシくんはこの時代に来たの?」
ドラえもん「なにか買いたいものでもあったんじゃないかな」
のび太「……」
28:
のび太「(あの慌てよう……きっと、なにか二人で隠し事をしていたに違いない)」
のび太「(一体何を……?まさか、あの夢となにか関係が……?)」
のび太「ごちそうさま」
ママ「あら、のびちゃんおかわりは良いの?」
のび太「うん……もう寝るね」
ママ「そう」
ママ「最近ののびちゃん、様子がおかしくないかしら」
パパ「まあそういう年頃なのさ」
ドラえもん「のび太くん……」
34:
のび太「うう、朝か、また夢を見た」
ドラえもん「おはよ、のび太くん」
のび太「……うん」
ママ「あらのびちゃん、今日は早起きね」
のび太「行ってきます……」
ママ「え、朝ご飯は?」
ママ「……いないし」
先生「野比、また宿題忘れたのか」
先生「廊下に立ってなさい」
のび太「……はい」
ジャイアン「相変わらず元気ねーな」ヒソヒソ
スネ夫「やっぱりおかしくなってるよね」ヒソヒソ
出木杉「野比くん……」
36:
スネ夫「のび太のやつ、掃除しないでさっさと帰りやがった!」
ジャイアン「あのやろう、次会ったとき殴ってやる」
スネ夫「ん、出木杉のやつ、まだ残ってたのか」
ジャイアン「おう出木杉!のび太がいねーんだ、掃除手伝ってくれねえか」
出木杉「え、うん、良いよ(急いでたんだけど……まあいっか)」
出木杉「待って、野比くん!はあ、はあ、やっと追い付いた」
出木杉「一緒に帰っても良いかい?」
のび太「ああ……」
出木杉「このところ元気がないみたいだけど、悩みでもあるのかい?」
のび太「うん、いや、いい、言ってもどうせ意味ないんだ」
のび太「なんか用なの?」
出木杉「地震の話、僕なりに調べてみたんだ」
のび太「……もうその話はやめてくれ」
出木杉「いや野比くんに聞いてほしいんだ」
39:
出木杉「日本は四つの巨大なプレートの上にあるため、いつ地震が起きてもおかしくない状態なんだ」
出木杉「そして、地震というのは現に世界中のどこかで今も起きているほど、日常的に起きる現象だ」
のび太「……」
出木杉「予知夢を含める超能力というのは世界中で存在を確認されていて、軍隊やFBIはもちろん、先進国の各企業で取り入れる動きがあるんだ」
出木杉「研究結果として、慢性的にすぐ昼寝をすることができる人、レム・スリーパーが予知夢を見やすい傾向にあると発表されている」
のび太「……」
出木杉「僕は信じるよ」
のび太「……!」
40:
のび太「……ありがとう、出木杉」
のび太「僕、もう一回タイムテレビを確認してくるよ」
出木杉 「僕も一緒に行って良いかい?」
のび太「うん!」
のび太「確かここに、スペアポケットが……」モゾモゾ
のび太「あった、タイムテレビは……と」ゴソゴソ
のび太「あった」
出木杉「よし、早観てみよう」
43:
のび太「2011年3月11日……と」カチャカチャ
のび太「……」カチャカチャ
出木杉「……」
のび太「……ふふ」
のび太「やっぱり、なにもない……朝も、昼も、夜も、僕の頭がおかしいんだ」カチャカチャ
のび太「ごめんな、付き合わせちゃって」
出木杉「待って!」
のび太「!」
出木杉「野比くんの部屋に戻して、そこ、野比くんの机をアップで停止して」
のび太「う、うん」カチャカチャ
出木杉「のび太くんがやっているこの宿題、おかしいよ」
のび太「今は僕の宿題のこと気にしないでよ!」
出木杉「違う、これは、先月の範囲だ」
47:
のび太「え!?そうだっけ」
出木杉「そして光の入り具合、天気、明後日の天気は晴天のはずなのに、タイムテレビでは曇りだ」
出木杉「二日後、野比くんがやる予定のこの宿題が先月の範囲……この服装、髪の伸び具合……ということは」ブツブツ
のび太「……ゴクッ」
出木杉「2月11日に時間を戻してみて」
のび太「う、うん」カチャカチャ
のび太「!」
出木杉「……これは!」
のび太「同じ……映像……?」
48:
のび太「一体なんで?」
出木杉「……わからない」
出木杉「でも、もしやるとしたら、できるとしたら……」
のび太「……ドラえもん」
出木杉「でも、一体なんで」
のび太「そういえば昨日、僕がタイムテレビでこれを観たとき、そのあとすぐセワシくんに会ったんだ」
出木杉「セワシくん?」
のび太「僕の孫の孫でドラえもんを持ってきてくれた子で……とにかく、未来の僕の子孫がこの時代に来ていたんだ!」
出木杉「……すると、もしかしたらセワシくんが細工をしたのかもしれないね」
のび太「え!?セワシくんがタイムテレビに細工を!?」
55:
のび太「タイムマシンで二日後に行ってみよう!」ガラッ
のび太「あれ、このタイムマシンって」
出木杉「しっ!誰かが上がってくる」
ギシッ ギシッ ギシッ
のび太「ど、どうしよう」ボソボソ
出木杉「ここに隠れよう」 ボソボソ
ガチャ
ドラえもん「もう、セワシくんたらすぐに出掛けちゃうんだから……」
セワシ「ごめんごめん」
セワシ「地震で崩れる前にどうしても写真で撮っておきたくてさ」
のび太「(地震……!?)」
ドラえもん「ん、このタイムテレビ、セワシくんの?」
セワシ「いや、そんなことはないよ」
ドラえもん「……日付が2月の11日になってる!」
セワシ「まさか!」
ドラえもん「のび太くんがスペアポケットを勝手に使ったのかもしれない!」ガラッ
のび太「……!」
出木杉「……!」
セワシ「……!」
ドラえもん「……のび太くん、観たの?」
58:
のび太「ドラえもん……どうして」
セワシ「ドラえもんはおじいちゃんのことを思って細工をしようとしたんだ」
ドラえもん「ごめんね、のび太くん」
のび太「一体どうしてこんなことを?」
セワシ「ドラえもん、こうなったら」
ドラえもん「……うん」
ドラえもん「こっちが本当の映像だよ」カチャカチャ
出木杉「これは……!」
のび太「……!」
『報道「ご覧下さい!今、波が!とても早く、町を飲み込みました!!」
女性「助けて!」
子ども「おかあさぁん!」
イヌ「ワンワン!ワンワン!」
老人「うう、痛い……痛い……」
報道「死亡者の数は把握しきれません!」
キャスター「番組を中止して臨時ニュースを続けます」』
のび太「僕が見た夢の通りだ」
出木杉「こんなことが……」
62:
セワシ「このあと地震のせいで福島の原発が傷つき、放射線が露出するんだ」
出木杉「え!!原発の放射線が露出を!?」
のび太「原発?放射能?」
出木杉「核爆弾ってあるだろ?日本には、あの原理を利用した発電機が海岸沿いにたくさんあるんだ」
ドラえもん「未来ではもう制御ができてるんだけど、事故で傷ついてからしばらくは壊れたまんまなんだよ」
セワシ「この事故で漏れ出した放射線は僕の時代にも影響を及ぼしている」
セワシ「その他にも、地震と津波の影響でこの時代にはまだ問題になってない事件が今後色々と起きてしまうんだ」
のび太「そ、そんな!すぐに防ぎに行かないと!」
セワシ「やれやれ……おじいちゃんっぽいや」
ドラえもん「この事件は歴史的事実として尊重されていて、勝手に干渉してはいけないことになっているんだ」
セワシ「下手に干渉してもっと悪い状況になったらいけないからね」
のび太「じゃ、じゃあ!」
セワシ「なにもできない」
63:
ドラえもん「してはいけない」
のび太「そんな……そんな!そんな!!」
出木杉「の、野比くん!落ち着いて!」
ドラえもん「のび太くんがそうならないように、バレないようにしてたんだ」
セワシ「バレちゃったけどね」
ドラえもん「とにかくまあ、そんなわけで、のび太くん、出木杉くん、下手に行動しないでほしいんだよ」
セワシ「未来から何人もこの時代に来てるけど、この時代のその話題は民衆に教えてはいけないとタイムパトロールが厳しく監視している」
ドラえもん「もし、このことがこれ以上他の人に知られたら、僕たちは処罰されてしまう」
セワシ「ただでさえ、おじいちゃんが変な夢を言いふらしているせいで、僕たちは監視され始めてるんだ」
出木杉「わかったよ」
出木杉「のび太くん、ちょっと外で頭を冷やしてこよう」
のび太「うぅ……そんな……そんな……」
64:
出木杉「……」
のび太「……」
出木杉「……二日後、か」
ジャイアン「おぅいのび太〜!」
スネ夫「のび太〜」
ジャイアン「こんなところにいやがったか、てめぇさっき掃除をサボっただろ!」
スネ夫「サボっただろォ!」
出木杉「まあまあ、僕が手伝ったじゃないか、僕は気にしてないから、許してやってよ」
ジャイアン「でもよぉ」
のび太「……うるさい」ボソッ
スネ夫「はぁ?」
のび太「……うるさいっ!今は、今はそれどころじゃないんだ!!もうすぐ、もうすぐ……!」
ジャイアン「なんだぁ?」
出木杉「の、野比くん、落ち着いて!」
スネ夫「やっぱりジャイアン、こいつおかしいよ」
ジャイアン「そ、そうだな今はそっとしておくか」
のび太「もうすぐ地震で日本がメチャクチャになるんだァ!!!」
68:
スネ夫「!」
ジャイアン「……プッ」
スネ夫「ギャハハハハハハ」
ジャイアン「まだそんなこと言ってんのか!おまえは」
のび太「あああああああああああ!!!」
ジャイアン「おい、もう行こうぜ、スネ夫」ボソッ
スネ夫「う、うん、じゃーなーのび太〜」
出木杉「野比くん……」
のび太「フーッ!フーッ!」
男「君たち、これ以上は何も言うな」
出木杉「!(いつの間に後ろに……!?)」
男「僕の正体はわかるね?手荒なことはしたくない」
男「運が良いことに、あの子たちはこのことをあまり気にしていないようだが、これ以上広めると不測の事態が起こるかのうせがある」
のび太「フーッ、フーッ」
男「……その子が落ち着いたら同じ事を言っといてくれ」
出木杉「は、はい」
出木杉「!……いなくなった」
のび太「ごめん、出木杉、今日はもう帰って休むことにするよ」
出木杉「う、うん、気を大事にね」
70:
出木杉「……セワシくん、タイムテレビの映像、あの男」
出木杉「どうやら全部、本当のことみたいだ……」
出木杉「でも、なにもすることができない、してはいけない……」
出木杉「せめて、のび太くんの様子を見守ってあげよう」
出木杉「(あと、僕の宝物は壊れない場所に置いておこう)」
出木杉「あ、もしもししずかくん?明後日のことなんだけどさ、図書館じゃなくて、山のピクニックに変更しないかい?え、いや、なんとなくだよ」
出木杉「これでよし」
78:
のび太「うっ、うっ」
ドラえもん「のび太くん、のび太くん」
ドラえもん「また悪い夢を見ていたの」
のび太「うん、起こしてくれてありがとうドラえもん」
のび太「とうとう、明日……か」
ドラえもん「ごめんね、僕が隠し通せなかったから」
のび太「いや、ドラえもんは悪くないよ」
のび太「それにしても今日はなんかダルい、頭が痛い、熱があるのかな」
ママ「あら、今日も早いわね」
のび太「行ってきます」
ママ「ちょっと待って、顔色が悪いのに赤っぽいわ」
ママ「熱を測りましょう」
ピピッ
ママ「マァ大変!今日は学校休みなさい」
ママ「先生にはママから電話しておくから」
のび太「……うん、そうする」
のび太「(僕は無力なんだ……みんなに合わせる顔がないや)」
83:
のび太「今頃、被災地に住んでいる人たちは苦しんだり悲しんだり、楽しんだり喜んだり、前の僕と同じように普通の人生を送っている」
のび太「僕がこうして寝ていても」
のび太「人だけじゃない、イヌやネコ、虫や草だって、そこで生きている」
のび太「あとたったの24時間と少しで、それがなくなる」
のび太「なにも知らないで」
のび太「それも、多くの生命が」
のび太「ゲホッ!ゲホッ!」
のび太「(うう、気持ち悪い、トイレに行こう)」
ピーンポーン
しずか「のび太さーん」
のび太「あれ、しずかちゃんだ……もうこんな時間か」
のび太「ほっとけばママかドラえもんが出るだろう」
ピーンポーン
しずか「のび太さーん、いないのかしら」
のび太「あ、そういえばママもドラえもんも出掛けてるんだっけ……しょうがない」
ガチャ
しずか「あら、のび太さん?こんにちは、起こしちゃったかしら」
のび太「いや、ちょうど起きたところなんだ、どうしたの?」
しずか「お見舞いに来るついでに、はいこれ、プリント」
しずか「このところ元気がないようだったから、心配だったの……今もとても顔色が悪いし」
のび太「ありがとう、しずかちゃん」
のび太「……ウッ……オェ」ビチャー
87:
しずか「はい、お水」
のび太「ありがとう、しずかちゃん、ごめんね」
しずか「病人なんだからしょうがないわ」
しずか「下におかゆと作ってきたクッキー置いといたから、もし良かったら食べてね」
のび太「部屋に運んでもらった上に掃除も洗濯も料理もしてもらって……なにもお返しができないや」
しずか「うふふ、将来のび太さんのお嫁さんになる人は大変ね」
のび太「(ギクッ)あ、そそ 、そうだね」
しずか「吐いて少しはスッキリしたのかしら?」
のび太「うん!もうだいぶ良くなったよ!しずかちゃんのおかげで!」
しずか「そう、じゃあ私そろそろ行くわね」
のび太「え!」
しずか「出木杉さんとの約束があるの、急がなきゃ」
のび太「……そっか、じゃあね」
しずか「うん、じゃあ、お大事に」
97:
のび太「……………………」
のび太「……………」
のび太「………」
のび太「うう……う……うああ!」
しずか「のび太さん?のび太さん!」
のび太「はっ!」ガバッ
のび太「あれ……夕方?て、なんでしずかちゃんが!?出木杉くんとの約束はどうしたの!?」
しずか「出木杉さんとの約束を断って、のび太さんの様子を見に来たの」
しずか「しばらく落ち着いて寝てたんだけど、ひどくうなされ始めたから起こしちゃった……何の夢を見ていたの?」
のび太「そうなんだ、ありがとうしずかちゃん」
のび太「実は……、」
しずか「え!!津波が海岸沿いを襲う夢を!?」
のび太「うん、詳しくは言えないけど、しばらくその夢でうなされているんだ……」
しずか「そんなに大変だったのね……ごめんなさい、気がつかなくて」
ガチャ
ドラえもん「あれ、しずかちゃん」
99:
しずか「お邪魔してます」
のび太「ドラえもん、未来に行ってたの?」
ドラえもん「うん、少しセワシくんと話してたんだ」
ドラえもん「あとこれ、安眠カプセル〜」
のび太「なにこれ?」
ドラえもん「このところ、のび太くんは寝不足でしょ?……この桶は、余計な邪念を払ってくれる光線が出ていて、安眠ができるんだ」
のび太「なるほど!ありがとう、ドラえもん!」
のび太「これに入って、寝れば良いの?こう?」
ドラえもん「うん、じゃあ閉じるよ」プシュー
しずか「のび太さん、大丈夫なの?」
ドラえもん「しかたないから、ここしばらくの記憶を消すよ」カチャカチャ
しずか「そ、そんな!」
ドラえもん「かわいそうだけど、これしか方法がないんだ」ピッ
ウィーン ピピッ プシュ
101:
しずか「ド、ドラちゃん!それって、私のことや学校のことを忘れちゃったりはしないの?」
ドラえもん「記憶の表面、ここ三日間程度の記憶を簡単に消すだけだから、大事なことまでは忘れないよ」
ドラえもん「それに、脳みそは消した部分の記憶のパターンを他の記憶で補うように出来ているから、学校に行って勉強をして帰って寝る程度の記憶なら消えないんだ」
ドラえもん「というよりも、新しい記憶ができる」
ドラえもん「安全に記憶を消すまで時間がかかるから、ちょうど明日の朝まで眠ったまんまになるね」カチャカチャ
ドラえもん「よし、これで大丈夫……あとは僕が看るから、しずかちゃんは帰っても良いよ」
しずか「……そうなの、良かった」
ドラえもん「のび太くんを看病してくれてありがとうね」
しずか「うん、お邪魔しました」
ガチャ
ドラえもん「……さて」
ドラえもん「次は、出木杉くんか」
103:
―6時―
のび太「……うぅ、ん」
のび太「朝……か」
のび太「今日はなんだかやけに寝起きが良いなあ!」
のび太「太陽!おはよう!」
のび太「うーーん!良い天気!素敵な日になりそうだ!!」
のび太「ママ!おはよう!」
ママ「あら、すっかり元気よくなったわね」
ママ「朝ご飯はどうする?」
のび太「もちろん食べるよ!」
のび太「いただきまーす!」
のび太「ごちそうさまー!」
のび太「それじゃあ行ってきまーす!」
―8時―
のび太「けっこう早くに学校に着いちゃったな」
出木杉「やあ、野比くん」
107:
のび太「おはよう出木杉」
のび太「ねえ、僕って体調悪そうだったっけ?」
出木杉「え、どうだろう、あんまり覚えてないなぁ」
のび太「うーん」
スネ夫「お、のび太のくせに早いな」
のび太「おはようスネ夫」
スネ夫「なんだよ元気そうじゃんか」
スネ夫「大震災の話はどうなったんだ?」
のび太「大震災……?」ズキッ
のび太「うっ」ズキズキ
のび太「波……車……家……これは……一体……」ズキズキ
出木杉「どうしたんだい、野比くん」
のび太「夢を……はっ!」
のび太「男が……僕に……夢を……」
136:
のび太「出木杉!あの男を覚えているか!?」
出木杉「お、男?」
のび太「だめだ、はっきり思い出せない……おかしい、記憶の辻褄が合わないぞ……」ズキズキ
出木杉「!」
スネ夫「おい、のび太、どうしたんだよ」
出木杉「僕は野比くんを保健室に連れていく、スネ夫は先生に言っておいてくれ」
スネ夫「わ、わかった」
のび太「うう、う……ふう、ふう」
出木杉「大丈夫かい?」
のび太「うん、横になったら収まってきたよ、ありがとう」
出木杉「野比くん、僕は日記を付けているんだけど、ここしばらくの日記と記憶が少し違っているんだ……僕はそれについて、ずっと考えていた」
出木杉「僕の思い違いだと思っていたんだが、そう、さっき、野比くんが言った『辻褄が合わない』という言葉が、とてもしっくり来たんだ」
のび太「?」
出木杉「何者かに、記憶を操作されている可能性があるんだ」
のび太「え!!何者かに記憶を!?」
出木杉「そろそろ僕は教室に戻る……もし何か思い出したら、教えてくれ」
のび太「うん、わかった」
―9時―
ドラえもん「今日……か」
ドラえもん「さて、のび太の様子は大丈夫かな」
234:
ドラえもん「スパイ衛星の映像で確認してみよう」カチャカチャ
ドラえもん「んん、なんで保健室なんかにいるんだ……」
ドラえもん「なにがあったのかタイムテレビで確認してみよう」ドンッ
ドラえもん「……」カチャカチャ
タイムテレビ『何者かに、記憶を操作されている可能性があるんだ』
タイムテレビ『え!!何者かに記憶を!?』
ドラえもん「……!」
ドラえもん「まさか、記憶が戻った!?」
ドラえもん「一体、どうやって!?」
ドラえもん「そういえば、真実をのび太くんたちに話したあの日、出木杉くんとのび太くんは頭を冷やすと言って外に出た……」
ドラえもん「もし、その時に、誰かに震災の話をしてしまい、記憶を消したあとに震災の話を掘り返されたとしたら……」
ドラえもん「か、確認してみよう!」カチャカチャ
タイムテレビ『……うるさいっ!今は、今はそれどころじゃないんだ!!もうすぐ、もうすぐ……!』
タイムテレビ『もうすぐ地震で日本がメチャクチャになるんだァ!!!』
ドラえもん「……やっぱりだ!あんだけ説明したのに、ジャイアンとスネ夫に震災のことを話している!!」カチャカチャ
ドラえもん「万が一、これでのび太くんが消した記憶を思い出してしまうようなことがあれば……その時は……」
ドラえもん「……脳が錯覚を起こし、永久的な記憶喪失になってしまうかもしれない……!」
237:
ドラえもん「た、た、た、大変だ!いますぐ忘れさせに行かなきゃ!」
ドラえもん「どこでもドア〜」ドンッ
タイムテレビ『僕の正体はわかるね?手荒なことはしたくない』
ドラえもん「!?、誰だ……この男」
ドラえもん「すぐ後ろにタイムホールがあるということは、未来の人間だ!……まさか、タイムパトロールか?」
タイムテレビ『これ以上広めると、不測の事態が起こる可能性がある』
ドラえもん「……いや、タイムパトロールは、犯行前にわざわざ現れるようなことをしないはず……」
ドラえもん「そうだ!そんなことより、今はのび太くんの記憶を消すのが先だ!思い出してしまう前に!!」バタン
コンコン
しずか「失礼します」ガラガラ
養護教諭「あら、どうしたのかしら?」
しずか「野比のび太さんの様子を伺いに来ました」
養護教諭「どうぞ、そのカーテンの奥で寝てるわ」
しずか「ありがとうございます」シャーッ
のび太「あ、しずかちゃん、おはよう」
しずか「おはよう、のび太さん」シャーッ
しずか「具合悪くなったって聞いたけど、大丈夫?」
のび太「うん、もう大丈夫だよ」
しずか「……変ねぇ、まだ具合が良くならないの?」
しずか「ドラちゃんが記憶を消してくれたはずなのに……」
238:
のび太「え!!ドラえもんが僕の記憶を!?」
しずか「ええ、のび太さんがこの頃震災の夢を見てしまって具合が優れないからって、震災の夢の記憶を消していたのよ」
しずか「忘れちゃったの?のび太さん、震災の夢を見たって大騒ぎしてたのよ!ちょうど、今日起こるって言ってたわね」
のび太「震災の……?夢を……僕が……あ、波、あ、あ、今日!震災が!!津波が!!!」
のび太「あああああああああああ!!!」ズキズキズキズキ
しずか「大丈夫!?のび太さん!のび太さん!?しっかりして!」
のび太「あうっ、あぐっ、ウッ」ガクガク
しずか「先生!のび太さんが!!キャァーッ」
ガチャ
ガシッ!
バタン
養護教諭「一体どうしたの!!!」シャーッ
しずか「……」
しずか「……今……知らない男の人に……連れ去られました……」
養護教諭「え!!知らない男の人が野比のび太を!?」
のび太「うっ、あれ……」
男「野比のび太くん、だね?」
のび太「ええ、はい……ここは」ズキズキ
男「僕の部屋さ、無理に連れ出してすまない」
のび太「(不思議な部屋だ、変な機械がいっぱいある……)」
男「そうだ、これを飲むと良い」
男「頭痛が治まり、気が安定するはずだよ」
のび太「あ、ありがとうございます」ズキズキ
ゴクッ
バタッ
241:
男「……よし」
男「さっそく、昨日コイツが作動しなかった原因を調べよう……」
男「……」カチャカチャ
男「こ、これは」カチャカチャ
男「震災に関する情報が薄くなっている!?」
男「まさかあの監視ロボットめ、記憶消去を行ったのか……」カチャカチャ
男「道理で、コイツが作動しないわけだ」
男「……くそ、またイチからやり直しか」
男「……」ピピッ
男「脳の損傷が激しいな……さては、記憶消去が完全じゃないまま無理に思い出そうとしたな」
男「……待てよ」
男「この損傷具合を逆転させて反射回路を探知することができれば……特定部位の反応を読み取ることができる……!」カチャカチャ
男「どうか、死なないでくれよ」カチャカチャ
のび太『…………………』
のび太『……………』
のび太『………』
男「す、すごい……意識レベルがどんどん睡眠の域に達していく」
男「ありえない……奇跡だ……こいつ、奇跡を起こしたのか」
のび太『……これは夢……僕は……誰』
のび太『……なにか……大切なことを……』
男「ククク、レム・スリーパーはさすがだぜ」
のび太『……思い出したくない……でも、忘れられない……忘れてはいけない……大事なことを……僕は……』
男「よし、あとはこれを使えば――」
243:
ウィーン
タイムパトロールB「待て!!」
男「!」
男「タイムホールだと!?バカな!この区域は干渉妨害を設置していたはずだ!お前らどうやって!?」
タイムパトロールB「装置は解除した、お前が角野田伊辺だな?」
男「な、なぜ俺のことを!?」
タイムパトロールA「我々は、タイムパトロールだ」
男「!!」
タイムパトロールB「角野田さん、あなたに時間法違反の容疑が出ている……大人しく話を聞かせてもらおう」
タイムパトロールB「ちなみにここは完全に包囲した、無駄な抵抗は止めろ」
男「……くそ」ガクッ
男「うわあああああああ!!!」ダッ
バキュン
ビビビビビ
男「あ……あ……!」ビクンビクン
タイムパトロールB「12時46分、行動不能を確認、確保」
タイムパトロールA「ご苦労」
タイムパトロールA「この世界はそろそろ大規模の磁場乱が発生する、すぐに撤去、撤退を行おう」
タイムパトロールB「はい!」
タイムパトロールB「出木杉隊長、この少年はどうしますか」
タイムパトロールA「状態を正常に戻し、元の場所に置いてやりなさい、すぐに監視ロボットが行くはずだ」
タイムパトロールA「(間に合えよ、ドラえもん……!)」
245:
タイムパトロールB「おおよそ全てを元通りにできたみたいです」
タイムパトロールA「よし、時間を巻き戻してくれ、我々は撤退だ」
タイムパトロールB「はい」
ウィーン
養護教諭「野比のび太さんならここで寝ているじゃない」
しずか「えっ!?あ、本当だ……」
しずか「あれ?私、なにを騒いでたんだっけ?」
のび太「う、う〜ん、ここは」
しずか「のび太さん、目が覚めた?」
のび太「あれ、なんで僕、保健室に?」
しずか「えっと……さぁ?」
養護教諭「ホラホラ、元気になったなら教室に戻りなさい、授業始まるわよ」
のび太「?、……はぁい」
しずか「失礼しました」ガラガラ
ガチャ
ドラえもん「のび太くぅん!大丈夫!?」
しずか「ドラちゃん、慌ててどうしたの?」
ドラえもん「どうしたのって、のび太くんが大変なんだ!とにかく、頭をこれで看てみるよ!」カチャカチャ
ドラえもん「……あれ、どこにも異常がない」
のび太「ちょっと、くすぐったいよ、ドラえもん!どうしたのさ、みんなして」
ドラえもん「(ほっ、タイムパトロール隊が治すことまでしてくれたのか……)」
――
ドラえもん『そうだ!そんなことより、今はのび太くんの記憶を消すのが先だ!思い出してしまう前に!!』バタン
ドラえもん『あれ、どこでもドアが作動しない……故障はしてないはずなのに……』
ドラえもん『これは、干渉妨害装置の仕業か!?まさか、あの男がのび太くんを!』
ドラえもん『急いでタイムパトロールに通報だ!あれでもないこれでもない』ポイポイ
ドラえもん『あった!かけつけボタン〜』ポチ
――
333:
未来警察「角野田伊辺、28歳、時間機の無断使用に過去人への無免許接触、ひいては世界軸の違法改竄未遂、過去人に付いていた監視ロボットの通報により確保……か」
未来警察「これだけならよくある手口に思えますが、一つ、疑問がます……角野田さん、あなた何が目的だったんですか?」
男「……」
未来警察「この場で自供を行わない場合、角野田さんの人権は自主的に放棄されたものとなる」
未来警察「個人情報保護の規約もなくなり、こちらは角野田さんの思考情報を読み取ることができるようになりますが……角野田さんはそれで良いんですか?」
男「……」
男「……ククク」
未来警察「……現時点を以て人権の放棄を認めました、読み取り開始を頼みます」
未来鑑識「了解」カチャカチャ
未来鑑識「角野田の意識レベルを下げます」カチャカチャ
男「う……」ガクッ
未来鑑識「思考情報の読み取り完了しました、情報をそちらに転送します」
未来警察「……こ、これは!」
未来警察「いますぐ角野田を起こせ!こいつは夢を通じて、過去人との接触を謀っている……!」
未来鑑識「え!!夢を通じて過去人との接触を!?」
先生「え〜、で、あるからして……」
のび太「うう、急に……眠気が……」
先生「……!」ギロッ
のび太「寝たらダメなのに……意識が」
ガクッ
―11時―
335:
のび太「……………………」
のび太「……………」
のび太「………」
男「やあ、野比のび太くん、だね」
のび太「……こ、ここは!?僕の部屋……!?」
男「ここは君の夢の中、僕は、未来人だ」
のび太「僕の夢にどうやって」
男「コイツだ」ドンッ
のび太「なにこれ?タイムマシンのような機械……」
男「夢送り受け機……他人の夢を受信し、映像を送信できる未来の道具だ」
男「ちなみに君が見ているこの僕は、あらかじめ撮っておいた映像に加工をしたものだ」
のび太「今のあなたはどうしているんですか」
男「時間軸が違う上で今の僕を正確に言うのは難しいが」
男「警察に捕まっている」
のび太「な、なんで!?」
男「こうやって過去の人間に接触をするのは本来許可を得なければならないのだが、僕は無許可でやってしまった」
男「それに、勝手に都合の良いように世界軸を変えようとしてしまったんだ」
のび太「……」
男「そしてここからが本題だが」
男「僕はずっと、君を苦しませていた」
のび太「……?」
男「覚えていない、か」
男「僕から見ていた、ここ最近の君を見せよう」
ザザッ
337:
のび太『〜〜〜〜〜〜』
出木杉『〜〜〜』
のび太『〜〜!〜〜〜!』
ドラえもん『〜〜〜〜』
のび太「……」
のび太「僕の身にこんなことがあったなんて……」
男「(どうやら、タイムパトロールの機関が僕に関する記憶を完全に消したみたいだな……)」
男「本当に、君には申し訳ないことをした」
のび太「それでも一体なんで、どうしてこんなことを?」
男「レム・スリーパーというのを聞いたことあるかい?」
のび太「え……、と」
男「簡単に言えば、君のように昼寝が得意な人のことさ」
男「そして、レム・スリーパーの見た夢には非常に高い予知性があるんだ」
のび太「はぁ……」
男「君のこの特性を使って僕は」
男「僕は、僕の家族を救いたかったんだ」
341:
のび太「……」
男「もちろん、勝手な話だと言われるのはわかっている!今さら許してもらおうなどとは思っていない!」
男「ただ、素直に、君に、一言だけ謝りたかったんだ」
のび太「……話してください」
男「え?」
のび太「謝罪はいりません、ここまでして誰を救いたかったのか、話してみてください」
男「……(見ていた通りだ、本当にこの子は、優しい子なんだ)」
男「これを見てくれ」
ザザッ
『報道「ご覧下さい!今、波が!とても早く、町を飲み込みました!!」
女性「助けて!」
子ども「おかあさぁん!」
イヌ「ワンワン!ワンワン!」
老人「うう、痛い……痛い……」
報道「死亡者の数は把握しきれません!」
キャスター「番組を中止して臨時ニュースを続けます」』
のび太「……これは?」
男「これは、このあとに起こる事実だ」
のび太「こんなことが……」
男「途中の女性は僕の妻、子どもは僕の娘、イヌは愛犬のジョセ、老人は、彼女の育ての祖母なんだ」
のび太「!?」
のび太「あなた、自分のことを未来人って……」
男「僕で何人目なのかは知らないが、僕の血筋はかなり特殊でね……必ず決められた過去に戻り、決められた女性と結婚し、子どもを作らなければならないんだ」
男「そうしてできる子どもの子孫が、僕になる」
のび太「……?」
のび太「な、なにを言って……?」
男「つまり、僕の先祖の一人は未来から来た僕なんだ」
男「いつの世界軸の僕がやり始めたのかなんて知らないが、もうずっと繰り返しているみたいなんだ……わかるかい?」
のび太「……うん」
のび太「でも、本当にこんなことが……」
344:
男「この受け継ぎを繰り返す度に、少しずつ世界軸は変わってしまう……」
男「どうやら、今回の僕の時代では僕を除く家族みんなが、震災に巻き込まれてしまうみたいなんだ」
のび太「あなたが救いに行けば良いじゃない」
男「未来を知っている僕が直接助けることはタイムパトロールにバレてしまう」
のび太「……そこで、僕の夢を操ることにした、ってこと!?」
男「ああ、そうだ」
のび太「……」
男「時間だ……、警察にこれがバレてしまった」
男「僕は消える」
のび太「そんな!僕は一体どうすれば!」
男「小学生の君にこんなことを残していくのは本当に酷だと思う」
男「最初に一言だけ謝りたかったと言った言葉、あれは嘘なんだ」
のび太「な!」
男「……どうか、俺の家族を――」
先生「野比!野比!」
のび太「はっ!」ガバッ
先生「全く、そんなに具合が悪いなら今すぐ帰りなさい」
クスクス クスクス
しずか「のび太さん……」
347:
のび太「はい!帰ります!」
先生「……は?」
先生「お、おい、野比」
ガタッ
スタスタスタ
ガラガラ
ダダダッ
ジャイアン「……行っちまいやがった」
スネ夫「なんなんだあいつ」
しずか「でも彼、漢の顔をしていたわ……」
のび太「早く、早く帰って寝て、夢を見なきゃ!」
タイムパトロールA「待て!」
のび太「!」
のび太「あ、あなたは!?」
タイムパトロールA「簡単に言う、運命には逆らうことはできないんだ」
タイムパトロールA「さらばだ!」
ウィーン
のび太「先を急ごう!」
ダダダッ
349:
のび太「ただいまぁ!」
ママ「おかえりなさい、なに、早かったわね」
ママ「いないし……」
ダダダッ
ガチャ
のび太「ドラえもん!……はいないのか」
のび太「よし、さっそく寝よう!ZZz……」
―14時―
ガバッ
のび太「ダメだ……夢を見ることができない……」
のび太「さっき見せられたあの映像、あの瞬間に、家族が救われる夢を見れば救われる可能性が高くなる……」
のび太「それはわかった」
のび太「でも、そんな簡単に夢なんか見られないや……」
のび太「どうすれば……」
のび太「僕は、なにもできないのか」
ピーンポーン
ママ「あら、こんにちは」
ママ「野比ちゃんのお友達かしら」
出木杉「どうもこんにちは、野比くんに話があって来ました」
ママ「そう、あがりなさい」
出木杉「お邪魔します」
350:
ガチャ
のび太「で、出木杉!?」
出木杉「やあ野比くん、授業を途中で抜けちゃったりなんかして、一体どうしたんだ?」
出木杉「例の記憶操作と関係のある話かい?」
のび太「実は、その……」
のび太「信じられないかもしれないんだけど……」
出木杉「ダメ元でも良い、話してみてくれよ」
のび太「わかった――」
出木杉「――そうか、そんなことが」
のび太「信じられないかもしれないけど、本当なんだ」
出木杉「……のび太くんは、その家族を救いたいのかい?」
のび太「えっ?」
出木杉「話に出てきた震災は、多くの人の生命を奪う」
出木杉「でもそれは、ある種の必然性があると思うんだ」
のび太「な、なんで?」
出木杉「死んでも良い、ということを言いたいわけではないけど、もし救いたいからと言って救うとしたら、全員を救わなければならない」
出木杉「その男のドラマを聞いてしまったからその家族を救いたいと思うだけであって、全ての人間、全ての生物にドラマはあるんだ」
のび太「そんな……」
352:
出木杉「その家族以外にも、生きたいと思っている生物はたくさんいるはずなんだ……そしてこれは、震災に限った話じゃない」
出木杉「全ての生物に等しくドラマがあると今君が知ったとして、その全てを救うことはできないだろう?」
のび太「……」
出木杉「運命には逆らうことができないんだ」
出木杉「(それにしても、そのドラマを知ってしまった者だけがこんなにも苦しむだなんて……)」
のび太「じゃあ……僕は……どうすれば良いんだ……」
のび太「突然知らないやつにわけのわからない話をされて!救えと言われて!救うなと言われて!僕は!僕は……!」
出木杉「……くっ」
ドラえもん「(やれやれ、タイムパトロールの事情聴取がこんなに長いだなんて……あ、この時代だとそろそろ震災の時間だ)」
ドラえもん「のび太くん、大丈夫かな」
ガラッ
のび太「僕は!どうすれば良いんだ!教えてくれよ!なあ出木杉!!」
出木杉「ぐっ、うぐっ」
ドラえもん「の、のび太くん!どうしたどうした!出木杉くんになにをしてんだ!離せ」ドタバタ
ドラえもん「全く、僕が止めたから良かったものの、このままじゃ出木杉くんを絞め殺していたところだっんだぞ!」
ドラえもん「どうしてこんなことをしていたんだー!」
出木杉「ありがとうドラえもん、実は――」
ドラえもん「――なに!?あの男、最後の最後にそんなことしたのか!」
ドラえもん「のび太くぅん……大丈夫?」
のび太「……ドラえもん、僕は、無力なんだ」
ドラえもん「ああ、それはそうだよ」
のび太「……」
ドラえもん「そしてこの震災を機に、のび太くんは生きることへの渇望と、生命の重さを学ぶんだ」
ドラえもん「無力を恨み、努力をするようになるんだ」
354:
のび太「……そんな難しいこと言われてもわからないよ!」
ドラえもん「今はわからなくてもいい、そのために、僕が未来から来たんだから」
出木杉「……」
ドラえもん「その人たちはどうしても死んでしまう、今ののび太くんがどれほど足掻いても、これは揺るがないんだよ」
のび太「……」
のび太「……わかったよ、ドラえもん……ただ一つ、一つだけ……」
ドラえもん「何?」
のび太「その家族の最期を観たいんだ」
ドラえもん「……そっか」
ドラえもん「タイムテレビ〜」ドンッ
のび太「ありがとう」
出木杉「僕は帰るね」
ドラえもん「あと10分もしないで大きく揺れるから気を付けてね」
出木杉「ありがとう、じゃあ、また明日」
ガチャ
のび太「ドラえもん」
ドラえもん「うん?」
のび太「この人たち、とても楽しそうだね……」
ドラえもん「うん、そうだね」
のび太「あっ、来た」
完
356:
おつ
357:
なんだか複雑な気持ちになった
358:
しずか「出木杉さんたら、ピクニックに誘ってくれたのに全然来ないわ」
しずか「この山じゃないのかしら……」
しずか「……」
しずか「一緒に帰ろうと思ったのに先に帰っちゃうし、まったくもう、嫌になるわ」
しずか「一体、どうしたのかしら……」
しずか「……」
しずか「……あら、あそこの花、キレイね」
しずか「出木杉さんにあげたら、喜ぶかしら」
しずか「う〜ん、あと少しで……取れそうなのに……」グググ
グラッ
ゴゴゴゴゴゴ
しずか「キャアーッ」バンッ
のび太「え!!しずかちゃんが大ケガを!?」
ドラえもん「昨日の地震で山の崖から転落してしまったみたいなんだ……」
スネ夫「そんな!どうして!?」
ドラえもん「わからない……」
ドラえもん「このまま意識がない状態が続いたとしても、僕にはどうすることも……」
ジャイアン「未来の道具でどうにかできねえのかよ!?」
ドラえもん「無理だよ!僕のデータの範囲を越えているんだ……」
スネ夫「出木杉!お前なにも知らないのか!?」
出木杉「し、知らない!」
出木杉「(しずかくん、なんで一人で山なんかに……?)」
出木杉「タイムマシンを使ってでも、僕は……しずかくんを救おう……たとえ、それが犯罪だったとしても……!」
おしまい
364:
おつおつ
楽しかった
370:
タイムパトロールAの出木杉隊長は何だったの
371:
>>370
あれはそのまんま将来的に出木杉くんがタイムパトロールになるっていう暗示
ただ、未来とは違って現代の場合はしずかちゃんがケガをしたせいで逆の立場になってしまうって展開
37
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