【SS】彼女達との思い出(後編)back

【SS】彼女達との思い出(後編)


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出したいだけの時があるよな
313: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/10(火) 01:18:45.51 ID:rFf0XKu30
エリカが着替えて出てくるや否や、僕はシャワーを浴びた。
あの匂いを取りたかった。
関係を持ってしまったという達成感と、何とも言えない虚無感。
ああ、またやってしまった。
自分の欲のためだけに、ネットの繋がりにまで手を出してしまった。
シャワーを浴びている間、2人は何を話していたのかは知らない。
ただ、僕のことを話はしないだろう。漠然とそう思っていた。
そんな淡い期待は、一瞬ではじけ飛んだ。
エリカ・ユミ「竜也さーん、入りますね!」「失礼しまーす!」
僕「え?ちょっと?は?」
シャワーで髪を洗っている最中、良く見えない状態で、何と2人が入ってきた。
僕「何やってんの?!待って待って!」
ユミ「待ちませんよ!2人で仕返しすることにしました!」
エリカ「逆襲ですw観念してくださいw」
急いでシャワーヘッドをセットし、顔をぬぐう。
目の前には、何も着ていないユミとエリカ。
そんなに広くない浴室に、全裸の男女が3人。異様な光景だった。
男1女2の3Pに憧れる男子も多いだろう。
断言しよう。それはただの幻想だ。
1対1でもろくに女を満足させられないのに、2人の女を同時に相手などできるわけがない。
3人同時に気持ちよくなるなんて、よっぽど男がテクニシャンで絶倫じゃなければ成立しない。
僕はそれを十分に理解していたし、苦い思い出もある。
エリカ「あ!竜也さん!3Pとか思ったんでしょ!変態!違いますからね!」
僕「いや無理だし!もうさっきので体力ないし!・・って・・あ・・・」
エリカ「・・・ふーん、やっぱり、さっきユミと最後までしたんだ・・ユミは言葉を濁してたけど・・」
ユミ「エリカにもちょっかい出したんでしょ?!竜也さんにいいようにやられて悔しいんですー!仕返し仕返し!」
僕「な、何すんのさ・・」
ユミは僕を羽交い絞めにする。エリカの手には、洗面台に隠してあったローション。
エリカ「こんなの持ってたんですねー。うふふ。」
僕「え?ちょっと、どこから見つけてきたの?うそでしょ??」
何の躊躇いもなく、僕の体にドバドバと振りかける。ご褒美なのか拷問なのか。
もう一方の手には、洗面台に置いてあったバブルバス。
浴槽に蓋をして、それをドボドボと流し込んで、お湯をザバーっと出した。
エリカ「一度、泡風呂に入ってみたかったんですよねー」
僕「それはいいけど、ローションは関係ないだろ!」
エリカ「うわー、竜也さんヌルヌルwくすぐっちゃおうw」
ユミとエリカは、僕のヌルヌルの体をくすぐり始めた。
僕「ギャーやめてやめてwあっ・・・そこ気持ちいい・・ってちょっと、そんなとこさわっちゃ駄目だって・・・」
ユミ「さっき、私、舐められましたけど?女の子2人にアソコをヌルヌルされて、どんな気持ちですか?ん?でももうヤラせませんからね!」
エリカ「わー、変態!アソコ2人に撫でまわされて、気持ちよさそうにしてるww」
314: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/10(火) 01:24:29.66 ID:rFf0XKu30
僕「いや、そりゃ気持ちいいけど!ちょっと静かに・・」
エリカ「抵抗するならもっと大声出しますよ!警察きたらどう思うんでしょうね!」
僕「わかった!わかったから落ち着いてああん・・・そこおしり・・指で撫でないで・・・変な声出る・・・」
ユミがその声を塞ごうと、僕にキスをする。無理な体勢になったのか、足を滑らせる。
ユミ「きゃっ!痛ったい・・・!」
僕「だ、大丈夫?!いったん落ち着こう。あのね、ローションこんなに塗りたくったら。滑って危ないから。ちょっと洗い流そう。」
エリカ「はい・・・竜也さん、流しますけど、仕返しは続行ですよ?」
僕「お、おう。2人して恥ずかしくないのかねぇ・・・」
エリカ「どっちかっていうと、見られてる恥ずかしさより、そのギンギンなアソコのを見せつけられてる方が恥ずかしいですよw」
ジャアアアアア・・・・
洗い流している間も、2人の仕返し?は続く。
2人して、両側の耳をかじる。
僕「ちょ・・あっやめ・・・んっ・・」
ユミ「情けない声www」
エリカ「アソコビクビクしてるwwウケルwww」
僕「いやああああ見ないでええええ」
そうこうしてると、浴槽に泡風呂ができあがってきていた。
エリカ「お、いい感じ。さ、竜也さんは外で。私たち2人は中に入るので、私たちをそのスポンジで洗ってください。」
僕「ええ・・・なんでそんなこと」
ユミ「あー。泡泡できもちいい?、竜也さんできないんですか?さっき私にあんなことしておいて」
僕「あーあーわかりました分かりました!やればいいんでしょやれば!はい二人とも!腕出して!」
僕はしょうがなく二人の腕をゴシゴシする。
こうなったらヤケだ。やりかえしてやる。
僕「あの、寒いので、交代で入らない?3人は流石に入れないから・・」
どさくさに紛れていい思いさせてもらおう。
エリカ「・・まあそうですね。じゃあ、私が先に出ます。って、ジロジロみないでください・・・」
僕「いいじゃん・・・今更隠すなって。」
ユミ「達也さん、入るなら入ってください!」
僕「はーい。じゃあ、全身くまなくゴシゴシさせていただきます!」
ユミ「うわぁ変態・・・んっ・・ちょっと・・揉まないで・・・」
僕のささやかな抵抗が始まった。
315: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/10(火) 01:30:22.27 ID:rFf0XKu30
>>312
そういうときは風俗に行ってたなぁ。で、やっぱりイけずに、その記憶を持ち帰って自己処理してた。
今日はここまでおやすみ。
318: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/10(火) 23:45:23.91 ID:rFf0XKu30
浴槽から出たエリカは、急に恥ずかしくなったのか、浴室の明かりを消した。
僕「暗い!よく見えない!」
ユミ「んっ・・・くすぐったい・・・」
スベスベのおなか周りを撫で回す。薄暗い、しかも泡風呂の中までは見えない。見えない興奮。
僕「お客さん!気持ちいいですか!」
ユミ「ちょっと!そこまでやっちゃだめ・・・んっ・・やだ・・はぁ・・やんっ・・」
僕は、左手でユミの柔らかで弾力のある胸を。右手で華奢な首筋をなぞった。
エリカ「はいーアウト!それじゃ仕返しにならないでしょ!」
エリカのシルエットが近づき、僕の手を剥がす。
僕はそのエリカの腕を捕まえ、引き寄せてその指を舐めた。
エリカ「やっ・・ちょっと…くすぐったい・・・」
僕「じゃあユミとエリカ交代。」
ユミ「えー、もっと洗って!」
エリカ「ユミちゃんwエロいよw」
ユミ「だって気持ちいいし!暗いとなんか平気だしw」
エリカは有無を言わさず、ユミを引っ張り出す。
僕の上に、後ろ向きに乗っかるエリカ
ユミ「エリカちゃんw竜也さんとイチャイチャしたいだけでしょw」
僕「イチャイチャしませーん。手出ししませーん!」
エリカのチョップが飛んでくる
僕「痛いw」
エリカ「はい!ちゃんと奉仕する!さっき私にしたことを謝る!」
僕「はいはい。どうもすみませんでした。お背中ゴシゴシするので許してください!」
エリカ「素直でよろしい!・・・んっ・・・あ・・あれ・・?」
ユミ「エリカちゃん?何?」
エリカ「・・・大丈夫。竜也さんちゃんと・・んっゴシゴシ背中・・・あっ・・・」
エリカは無言になった。
僕は、右手を背中に乗せ、スポンジでゴシゴシした。
左手は・・・
背中を触り、そのまま、つーっと尾?骨を優しく撫で、その下の、お尻の割れ目を通り、その穴周辺をなぞった。
僕「エリカさーん、気分はいかがですかー?」
エリカ「・・・」
僕の指は、お尻の穴から、さらに進み、アソコ周辺を、執拗に、グリグリと、弄りまくる。
エリカ「だ、大丈夫です・・・」
ユミ「何、大丈夫ってw」
僕「エリカさーん?どうしたの?」
わざとらしく聞く。
僕の左手は、エリカの左手を捕まえ、その手を、僕のアレに誘導する。
僕「もう少し続けますか―?」
エリカ「え・・あ、うん・・はい。」
ユミ「エリカちゃん?」
エリカの左手は、僕のアレをぎこちなく握りしめていた。
僕の左手は、エリカの乳房を包む。ギュッと揉み上げて、エリカを浮かす。
エリカ「あんっ・・優しく・・」
僕「こんな感じですか?」
浮かしたエリカのアソコを、左手で広げる。そして、僕のアレを、あてがった。
エリカは何が起こってるのか考えようとし、硬直していた。
その両脚を少し広げ、一気に挿入し、エリカの両肩を抑え、エリカを沈ませる。
ヌルン、と、根元まで入った。
319: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/10(火) 23:47:10.28 ID:rFf0XKu30
エリカ「えっ・・・え?んんんっ・・・あっ・・・」
僕「・・・どうしました?ん?」
エリカの異変に、ユミも気づいていた。
ユミ「エリカちゃん?あ!竜也さん!ちょっと、何やってるんですか!離れて!」
エリカ「・・・っ!ん・・・あんっ・・・」
ぐりっぐりっっと、エリカを沈める。エリカは身をよじらせると、また少し隙間が生まれる。それをまた、僕が沈めて、根元まで入れる。
ユミが近づいてきたので、ユミのほうを向いて、顔をユミ近づける。
ユミは魅せられたように、目を閉じる。ユミとキスする。
ユミ「んっ・・・」
僕はそうしてる間、エリカのク○トリスをギュッと押さえつける。
エリカ「んんんん!!・・いやっ!」
何かの波が来そうになり、逃れようとするエリカを逃さず、挿入したまま両手でその周辺を弄りまくり、最後に乳首をギュッとつまんでみた。
エリカは硬直し、アソコもギュッと縮んで一瞬ガクガクっとした。僕のアレははじき出された。
エリカ「・・・・はぁっ・・・んっ・・・もうやだ・・・」
ユミ「んはっ・・エリカ・・・」
ユミは、エリカが逝ったのに気付いたのだろう。それ以上は追及しなかった。
僕「えと・・・僕、ユミとさっきした時に出しちゃってるので、もう逝けないからその・・」
ユミ「それ何のいいわけですか・・」
エリカ「・・・竜也さんのエッチ・・・エッチ・・やだよもう・・はいもう竜也さん出てください!」
なんだか疲れた。
僕「もう疲れた・・・先に出るね・・」
ユミ「変態」
エリカ「変態」
僕「変態どもめ」
なんだろう。
浴室から上がった三人は、その後も飲みながら、キスしたり、おもちゃにされたり、したり。
非日常の出会いのせいか、いったん外れたタガが戻ることはなく、もう挿入は不可能な状態・雰囲気だったが、入り乱れながら、変な空気のまま、朝を迎えてしまった。
僕「眠い・・・寝るから、適当に帰ってね・・」
エリカ「そうします・・・早めに帰らないと・・」
ユミ「着替えなきゃ・・・ああ・・この格好楽だったのに着替えるの面倒・・」
2人は、身支度を整え、帰って行った。
その後、僕は、エリカと連絡を取ることはなかった。
エリカも、連絡をしてくることはなかった。
エリカは、ネトゲにINする機会が減っていき、いつのまにか、INしなくなった。
それが、彼女なりの結論なのだろう。
彼女はその後、別の地方に就職が決まり、普通に働いていると風の便りに聞いた。
320: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/10(火) 23:48:07.96 ID:rFf0XKu30
一方のユミであるが・・・
ユミ「こんにちは。」
僕「ああ。いらっしゃい。」
最初は週1回。うちでネトゲをして帰って行った。
気が付くと、うちで宿泊して行った。
2か月経つと、キャリーバッグでやってきた。
ユミ「しばらく住みます。」
僕「ええ・・バイトは?」
ユミ「辞めたので、こっちで探します。バイトか正規が決まるまで住まわせてください。」
僕「思い切ったね・・・」
ユミ「ダメですか?」
僕「ダメとは言わないけど・・・」
彼女は、我が家に転がり込んできた。
条件だけは付けた。
毎日、就職活動すること。
自分のことは自分ですること。
僕の私生活に文句を言わないこと。
働き口が見つかったら、いったん出ていくこと。
貯金ができたら、それまでの経費を払うこと。
もちろんお金は受け取った後に返す気だったが、まあ、けじめを付けさせたかった。
彼女は、派遣会社に登録していた。
また、ハローワークにも通った。
フリーペーパーともにらめっこしていた。
人とあまり会話せず、しかもそれなりのやりがいのある仕事。そんなものはなかなかない。
それでも、自分の生活費だけでもと、交通量調査やイベントの設営、事務作業の応援などの短期バイトをこなしていた。
前から言っているが、基本的に、頑張っている女性は魅力的である。
彼女は、頑張っていた。
ユミ「おかえりなさい。」
僕「ただいま。お、カレー?」
ユミ「うん。これなら失敗しないから。」
僕「いただきます。」
ユミ「いただきます。」
誰かと採る食事ほど美味しいものはない。
僕「今日はどうだった?」
ユミ「寒かった・・でも、5000円貰えたよ!」
僕「お、頑張ったね。そのバイトは今日だけ?」
ユミ「明日まで。また次探さなきゃ。」
僕「・・・がんばれ。ユミ」
ユミ「うん・・がんばる。ご飯食べたら狩りしようよ」
僕「ああ。息抜きしよう。」
彼女は、たまに体を求めてくる。
僕は、できる限りこたえてやる。
でも、どうしても、挿入はできなかった。
理由はわかってる。
生なんてもうできないし、正直、あのユミの匂いには慣れることができなかった。
もし、あの匂いに慣れることができたら。
もし、もっと打ち解けて、朋美の時のように、全てを受け入れあって、生きることができるって、確信できたら、
もし、自分が、何の抵抗もなく挿入できるようになって、果てるとこができたら。
その時は、僕は彼女に、こう言おうと決めていた。
『これからも一緒に暮らそう。結婚しよう』
321: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/10(火) 23:49:00.88 ID:rFf0XKu30
時間の経過というのは、良くも悪くもすべてを洗い流す。
洗い流すだけではない。次から次へと、何かを堆積させていく。
堆積物は、次第に増えていき、いつか、決壊する。
お互いの理想。お互いの願望が必ずしも叶えられるわけではない。
同棲すれば、衝突はどうしても発生する。
問題は、それを乗り越えられるだけの、双方の努力が維持できるかどうかだ。
残念ながら、僕には、そんな気持ちはもう、残っていなかった。
ユミ「・・なんで、最後まで、してくれないの?」
僕「んー、疲れてるからかな。もう寝よう」
ユミ「私のこと、飽きたの?」
僕「ん?そんなことないよ?」
ユミ「・・・・竜也さんは優しいし、ステキだと思うよ?でも、なんだろう、私のこと、信用してないよね?」
僕「・・・」
ユミ「一緒に暮らすって、こういうことなの?一緒にいて、楽しい?」
僕「・・・悪いけど、説教なんて聞きたくないんだ。一緒にいて気楽にいられないなら、帰ればいいと思うよ。」
ユミ「・・・それでいいの?」
僕「え?いいよ?」
良くないよ。
僕は、ユミのいい所、いっぱい知ってるよ。
コミュニケーション取るのが下手だけど、相手のことをしっかり見ようとする所も、
相手のいいところを、一生懸命探そうとすることも。
料理だって、一つ一つ丁寧に作ってることも。少ないバイト代をコツコツ貯めていることも。
妹思いなことも。人間関係に挫折して高校を中退しちゃって引き籠ってたけれど、とても優しくて頭がいいことも。
朝起きて、おはようを言う相手がいる。
ただいまが言える。
寝る前に、お休みが言える。
こんな幸せが、他にあるとでも?
ユミ「・・・わかった。来週、帰るね。」
僕「そうか。楽しかったよ。また気が向いたら遊びにいらっしゃい。あと、経費とかもういらないから。」
ユミ「そういう所、優しさは禁物だよ?こんな時まで優しくしないでよ。」
僕「・・・荷物まとめるのは手伝うから。あ、好きなもん持ってっていいよ」
ユミは、出て行った。
不思議なことに、ユミは出て行ったが、その後もネトゲでは普通に話をするし、同棲する前の2人と特に変わらないように接してくれた。
静寂に包まれる僕の部屋。
今まで気にもしなかった時計の音だけがこだまする。
ああ、また僕は、一人になったんだな。
こんな生活、意味があるんだろうか?
その冬、僕は、むなしさを抱きながら、過ごした。
323: 以下、

324: 以下、
忙しいのかな?
325: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 00:40:02.22 ID:Kl5WxO9/0
昨日は泊まり込みでした。
宿泊先で少し書きましたが、眠くて消しました・・
ちょっと番外編というか、時系列から離した話題をひとつ。
326: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 00:54:42.34 ID:Kl5WxO9/0
僕としほ(SHIHO似)の話をしようと思う。
最初の出会いは、僕が社会人になりたての時代にまで遡る。
当時、僕は、まったく新しい土地で、0からのスタートを切ることになっていた。
希望と野望の塊だった。
ただ、不安もあった。
僕は、社会人として、ちゃんと生活できるんだろうか。
友人もできるだろうか。
遠距離恋愛に、耐えられるだろか。
初めての一人暮らし、最初に買ったのは、ラップトップのPCだった。
仕事は忙しかったが、帰宅後の少ない時間でPCを立ち上げ、ネットの世界に飛び込むことは楽しみの一つだった。
当時はSNSなんて一般的じゃない。
友達とのやりとりはもっぱらPCメールだった。
また、当時は出会い系のサイトが豊富にあり、サクラもそれほどいなかったと記憶している。
僕は、新しい出会いを求めて、出会い系に登録した。
当時でいう、メル友探しをした。
当時は、たくさんのメル友がいた。
主婦、年上、学生さん、男性、とにかく、様々な人とやり取りしていた。
そのうち、僕は、近所で会える人限定でメル友を募集しだした。
ひょっとして、いい思いができるかもしれない。
まあ、多分に下心があったが、とにかく、会社と学生時代の繋がり以外で、まったく別の出会いがほしかったのだと思う。
昔、栞里に言われた「あなたは変化を求める」というのが一番しっくりくる。
こうして、就職先の近所で、「すぐにでも会える人募集」とうたって募集し、応募してきたのが、しほだった。
327: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 01:22:31.70 ID:Kl5WxO9/0
彼女は、同い年と言っていた。後々、本当に同い年だと判明するが、そのエピソードは後術する。
何度かメールをやり取りして、じゃあ、今度お会いしましょうという話になった。
携帯の電話番号を教えあい、初めて電話をする。
僕「こんにちは。なんか電話も緊張しますね!」
しほ「そうですか?思ったよりも落ち着いた声なので、安心しました。」
僕「渋い声だって、よく言われます。」
しほ「ダンディーですねw」
僕「じゃあ、駅前のあのシンボルの前で待ち合わせですね。」
しほ「はい。宜しくお願いします。」
僕「こちらこそ、宜しくお願いしますね。」
僕は、できる限りおしゃれをして出かけた。
待ち合わせ場所に、定刻に現れたのは、白いジャケットにピンクのブラウス、白のスカートという、清楚な女性だった。
きっと、この日のために用意したんだろうなという衣装。髪の毛もサラサラで、綺麗な髪だなという印象が残っている。
しほ「あ、藤原さんですか?背高いですね!」
僕「しほさん?想像と違ってびっくりしました。」
しほ「くすっ。どんな想像してたんですか?」
僕「声のトーンから、可愛い系の子が来るのかと。」
しほ「あら。期待外れでゴメンナサイ・・」
僕「代わりに、綺麗な人が来ました(笑)」
しほ「えっ・・え?・・・あ、えー・・・あ、ありがとうございます・・」
僕「立ち話もあれなんで、どこか入ろう。」
しほ「そうですね。コーヒーでいいですか?」
僕「同い年だし、タメ口でいいよ?」
しほ「うん。そうね。よろしくね、藤原君。」
僕「あー、しほちゃんでいい?僕は竜也で。」
しほ「OKじゃあ、竜也君、いきましょうか。」
僕「はいー。」
彼女は、不思議な子だった。
自己主張を、一切言わない。
ただ、静かに、僕の話を聞いてくれる子だった。
僕が聞けば、答えてくれる。でも、自分からは話さない。
彼女は、バイオリニストだった。
音楽教室の先生をしていて、たまにリサイタルもしているとのことだった。
しほ「普段は子供たちとそのお父さんお母さんとくらいしか話さないので、出会いってなかなかないんだ。」
僕「なるほどねぇ。僕は音楽の才能はないから、憧れちゃうなぁ。」
しほ「小さい頃から演奏してるから、ただの惰性だよ。」
僕「僕は続けていることなんて持ってないから、やっぱり凄いことだよね。あ、今度観てみたいな。演奏してるとこ。」
しほ「え?いいよ?今度、あそこのホールでリサイタルだから、招待するよ。」
普通に生活していたら、絶対に接点のない彼女。
数字が支配する社会に生きている僕が、感性だけで生活している彼女から得るものは多かった。
328: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 01:54:52.71 ID:Kl5WxO9/0
僕は暇な時期、よく彼女と会った。
僕は当時、お客さんからいろいろなお土産を貰っていたが、食べきれなかったり使い切れないものは彼女にあげたり、家に招いて料理を振る舞ったりもしていた。
懇意にさせてもらっていたが、これといって、男女の仲になることもなかった。
よくわからないが、少なくとも、彼女からそういう性を臭わすような行動はなかったはずだ。僕もまた、彼女にそういった行動をした記憶がない。
お互いが暇な時に、お互いがしたいことが一致したら、同じ時間を共有する。そんな関係だった。
ドライブに行ったり、飲みに行ったり、うちに呼んで飲んだり、料理作ったり、リサイタルに顔出したり、花火を見に行ったり。
孤独を感じた時、長電話に付き合ってもらったこともある。
ある意味、心のよりどころでもあったと思う。
そんな彼女であったが、涼子と付き合い始めた頃から1年ほど、連絡がつかなくなった。
その頃、僕の仕事も充実していたため、しほのことまで頭に回らなかったが・・・
ただ、沢村さんが辞めてからの数ヶ月、僕が殺人的なスケジュールだった頃、しほに会いたかったのは事実だ。
誰でもいい。癒してほしい。そんな時、しほはいなかった。
菜々子さんが距離を縮めてきていた頃、しほとのやりとりは再開した。
僕「しばらくぶり。どうしてたの?」
しほ「んー、まあ、いろいろあったのさ。」
僕「ふーん。ま、いろいろあるよね。」
深くは聞かなかった。
僕が会社を去ることになり、最後に会ったのもしほだった。
しほ「これで会うのも最後なのかな?」
僕「うん。そうなるね。いままでありがろう。」
しほ「こちらこそ。楽しかったよ。ありがとう。」
僕「・・・」
しほ「・・・」
僕「そろそろ行こうかな。」
しほ「あ、待って。最後に、見てほしいものがあるの。・・・・言おうかどうか悩んだけど、すっきりしたいから言うね。」
しほは、連絡がつかなかった1年について、話し出した。
彼女は、1冊のアルバムを取り出した。
そこには、しほと、涼子が写っていた。
329: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 02:10:32.55 ID:Kl5WxO9/0
僕「・・・へ?あれ?しほと、・・・涼子?」
涼子としほは、確かに同い年だ。どういうことだ?
え?まさか・・・え?
しほ「えっとね・・・涼子ちゃんと私は、中学時代からの友達なの。」
僕「え・・・そんなことってあるんだ・・ってことは・・・え?」
しほ「竜也君と私って、メル友募集で知り合ったでしょ?で、涼子ちゃんは、竜也君にナンパされたんだよね?出会いはナンパだって聞いたよ。」
僕「あー・・あはは・・・正確に言うと、僕の友達が、涼子の友達をナンパしたんだけどね・・・」
しほ「そっかwまあ、とにかく、私は涼子ちゃんから『彼氏が出来た』って話を聞いたの。で、その相手が竜也君って聞いて、心臓が止まるかと思った。こんな偶然ってあるんだって。」
僕「じゃあ、それを気にして、しほは、僕と連絡を取らなかったんだね。納得。」
しほ「うん。その、私との関係は、誰にもバレたくないんだろうし、ほとぼりが冷めるまで・・・ね。」
僕「・・・涼子には、悪いことをしたと思ってる。恨まれるだろう。しほも、それを知ってて会ってくれてありがとう。」
しほ「え?涼子ちゃんと別れたのは聞いてたけど、理由までは聞いてないよ?『私が悪かった』って言ってたよ。」
涼子らしいや。
僕には、もったいない女だったなぁ。
とにもかくにも、しほとのやり取りは、ここで一旦終了した。
まさか、その後の繋がりがあるなんて、僕が地元に戻って来た頃は想像もしていなかった。
332: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 12:35:38.38 ID:oJFYbA1J0
しほ「来月、そっちでリサイタルがあるんだけれど、良かったらオススメのスポットや格安の宿なんかも教えてくれないかな?」
彼女からの連絡は、唐突だった。
数年ぶり。30に差し掛かろうとしている頃、唐突に連絡が来た。
僕「しほちゃん?!お久しぶり。んー、そうだね。いいよ。いつ来るの?」
しほ「来月の〇日。」
僕「・・・OK。予定開くから、会おうよ。久しぶりに話そう。」
しほ「いいの?」
僕「え?いいよ?」
彼女と、会うことになった。
僕は、地元では名の通った有名店に案内した。
しほ「あ、ここ知ってる!〇〇の元祖のお店だ!」
僕「お、良く知ってるね。高くないし、人気のお店だよ。こんちはー」
店員「あ、藤原君いらっしゃいー。お連れさんとだなんて珍しいわね、お二人様ご案内しまーす。」
しほ「馴染みなんだね。」
僕「昔ながらのお店って、通うと名前覚えてくれるから好き。」
しほ「長いんだね。常連さんってカッコイイw」
僕「まあ、学生時代から知ってるお店だから。」
名物が運ばれてくる。僕は、ウーロン茶で乾杯した。
彼女も僕も、飲むのは好きだ。でも、彼女は車で来ていたし、相手が飲まないなら僕も飲まない主義だ。
しほ「ビールでもいいのに。飲まないの?」
僕「しほが飲めないのに、僕だけ飲めないよw」
しほ「相変わらず律儀だね。」
僕「いいんだよ。飲むために来たんじゃないし。」
しほは、少し大人びた。昔はストレートの黒髪だった。
今は、明るい色に染め、すこしウェーブがかかったようなヘアスタイルだった。
僕は、逆に黒髪に戻していた。
昔のような服装でもない。柄物はもう着ない。白いシャツに青のジャケット。シンプルな格好になっていった。
しほ「相変わらずの着こなしだね。昔からそうだったね。」
僕「何が?」
しほ「竜也君て、昔から、写真とか見せてもらっても、すぐ見つけられる。一人だけ着こなしが違うんだ。」
僕「そう?背が高くてひょろっとしてるから見つけやすいんじゃ?」
しほ「そうじゃなくて、立ち位置とか、ワンポイントの色使いとか。」
僕「そんなもんかな。」
僕たちは、この数年間の穴を埋めるように、いろんな話をした。
彼女のご両親が亡くなったこと。
生徒さんたちのこと。
今の生活ぶり。
しほ「今日は楽しかった。ありがとうね。」
僕「こちらこそ。また来ることがあったら、会おう。」
しほ「うん。来年になりそうだけど、ちょくちょく来る機会がありそうなんだ。」
僕「そうか。嬉しいな、そうやって昔からの友人がきてくれるのは。」
しほ「そう言ってもらってうれしい。遅くなるといけないから、そろそろ帰るね。」
僕「ああ。またね。」
翌週、一人でまた、その店に行った
店員「あの綺麗な子、彼女?」
僕「ん?違うよ。昔からの友達。」
店員「あらいやだ。じゃあ、その前に連れて来た子が彼女?相変わらずやるわねぇ2股?」
僕「おばさんw人聞き悪い!前の子とは、すぐ別れちゃったんだ。」
店員「若いわねぇ。その前の、すっごい綺麗な子、私好きだったのに。。どうして結婚しなかったのよ?」
僕「ははは・・・いろいろあるんだよ。ねえ、おばさん。わかってると思うけど、誰かと一緒に来ても、『前の人は?』とか言わないでよ!」
店員「分かってるわよw商売柄、そういうことはよくあるんだから!」
店員のおばさんは、他のお客さんにばれないように、こっそりまかないをサービスで出してくれた。
それをつまみながら、ビールを飲む。
僕「・・・ふぅ。思い出の味、ねぇ。」
この広い、皆が一生懸命生きてる世の中で、僕のことを覚えていてくれる人がいる。
僕はそんな人がいることを確かめるために、常連客になるのかもしれない。
僕「おばさん、生おかわり」
店員「あいー。カウンターさん、生お願いしまーす!」
333: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 14:08:14.83 ID:oJFYbA1J0
次に彼女に会ったのは、僕がクレームで海外に拘束され、戻ってきてからだった。
しほ「大変だったね!」
僕「大変だったよ!おかげで、現地語いつくか覚えちゃったよ!」
しほ「どんなの覚えたの?」
僕「大丈夫です、ありがとう、メニューが見たい、いくらですか、タクシー呼んでください、ビール2本、愛してます」
しほ「最後w」
僕「実際さ、相手を口説くのって大変なわけじゃない?ビジネスは大丈夫。買いたい人と売りたい人が話をするから、多少不自由な言語でも成立するんだ。」
しほ「ああ、確かに。お買いものならまあ、言葉が通じなくても、身振り手振りでもなんとかなるもの。」
僕「そうそう。でもさ、現地の子を口説くのって大変よ?意味が通じないと、それで終わり。」
しほ「恋愛と戦争は、世の中の技術を向上させるのねw」
僕「そう!結局世の中を突き動かすのは欲望よ。」
僕は、彼女と家の近くのお寿司屋さんに来ていた。
大将「あと、何握る?」
僕「ああ、おつまみ。適当で。」
大将「あいよ。飲み物は焼酎でいい?」
僕「うん。この子にも。」
しほ「お湯4のお湯割りで」
大将「お、行ける口だね。竜也ちゃんのお連れさんだし、サービスしちゃうよ!」
女将「自分が一緒に飲みたいだけでしょ!まったく・・ごめんなさいね、この人、綺麗な女の人に弱いんです。」
このお寿司屋さんは、引っ越してから頻繁に通っている。
僕が引越し先に求める条件はいくつかある。
?歩ける範囲に、コーヒー屋さんがある。
?歩ける範囲に、カレー屋さんがある。
?歩ける範囲に、お酒のおいしいお店が2件以上ある。
?ファストフード店が近くにある。
?歩ける範囲に、レンタルビデオショップがある。
?15分以内に、どこかの高のインターがある。
?間取りが奇抜である。
僕が引越しを決めた理由の一つが、ここのお寿司屋さんだった。
大将「ほいっ。ヒラメのカルパッチョ。このあと、ホッケで面白い料理出してあげるから。」
しほ「ここお寿司屋さんですよね?ステキ!」
大将「このご時世、寿司だけ握っててもお客さんなんて来やしないよ。竜也ちゃんだって殆どお寿司注文しないじゃない。」
僕「だって大将の料理美味しいもの。調理方法も教えてくれるし、お酒は美味しいし、言うことないよ。」
常連1「お、竜也ちゃん、今日は綺麗な子連れてるねぇ。」
僕「はいはい。酔っ払いはあっちへどうぞ。今度また一緒に飲もうね。」
常連1「連れないなおいw女ができると、こうも違うもんかねぇ?」
僕「分かったから、ほら、あっちに行きなよ。」
しほ「いいの?常連さん、適当にあしらってるけど。」
僕「いいよ?あれ、あんな適当なおっさんに見えるけど、ここの地区の市会議員w」
しほ「ええwただの酔っ払いじゃんw」
常連1「聞こえてるぞw」
僕「ほら、先生!もうすぐ取り巻きが来るよ!今のうちにその大量のビール瓶隠しときなって!」
常連1「おお、もうそんな時間か!おいお前の瓶もよこせ。払っておくから!」
僕「うわワイロだ。」
常連1「お前はここの選挙権持ってないだろ!友人としての奢りだよ!」
334: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 14:08:44.67 ID:oJFYbA1J0
僕「さ、飲んだし帰ろうか。」
しほ「うん。ご馳走様でした。」
僕「ご馳走様でした。」
しほ「でもいいの本当に?」
僕「え?いいよ?」
しほ「竜也君の家に泊まることになるとは・・迷惑じゃないよね?」
僕「全然?安上がりだろ。」
彼女は、最初はどこかに泊まるつもりだったけれど、時期的に安い宿がなく、困っていた。
なので、うちで泊まってもらうことにした。
しほ「うわ!お店みたい!」
僕「片づけ、大変だったんだから!」
当時の僕の家には、スロット台、ダーツ、チェス、家庭用ゲーム機、PC、カラオケの機器もあった。
飲み物専用の冷蔵庫や、ワインセラー、コーヒーミル、エスプレッソマシンまで用意していた。ほぼ、自己満足で、快適な居住空間を求めたらこうなってしまった。
しほ「ここにいると、ダメ人間になるよこれw」
僕「はーい、ダメ人間がここにいます!」
しほ「・・・いいな、竜也君は、自由で。」
僕「そうかな。自由がすべてじゃないよ。ない物ねだりだと思うよ。」
しほ「私は、竜也君ほど収入もないし、この先への不安だって、いっぱいあるよ。」
僕「・・・」
彼女に、冷蔵庫から適当な飲み物を取ってやる。
それを、ごくり、ごくりと飲み干す。
しほ「・・・ふぅ。美味しい。」
僕「相変わらずの飲みっぷり。」
おもむろに、僕に、寄りかかってくる。
僕「・・・しほ?どうした?」
しほ「・・・」
僕はそっと、抱きしめた。
彼女は、目を閉じた。
僕と、彼女の唇が、重なった。
336: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 14:55:13.05 ID:oJFYbA1J0
彼女と出会って8年。
キスをしてしまった。
しほ「あのね。」
僕「ん?」
しほ「ここに来る前に、その、彼と別れて来たんだ。」
僕「なぜ別れたの?」
聞いても意味がない。理由など、分かっている。
しほ「・・・彼、私のことを好きって言ってくれる。結婚したいって言ってくれる。でも、何か違うっていつも思ってた。」
僕「・・・彼に不満でも?」
しほ「彼、収入は低いし、子供っぽいし、すぐ怒る。竜也君と大違い。」
僕「そういうもんかねぇ。」
しほ「分かってるよ。竜也君が、私のことを女性としてみてないことくらい。昔から知ってる。」
僕「んー、うん。まあ、そうなんだろうね。」
しほ「それでも、やっぱり、私は、昔から、あなたのことが好き。」
マリッジブルーかな?
いざ、結婚が具体的になると、急に不安に駆られる子は多い。
女性は、ひとつの恋に、すべてを放り出して突き進むことがある。
そこにつけこむ男もいる。
僕「驚いたな。そんな風に思ってたなんて。」
しほ「鈍すぎるんだよ・・好きじゃなかったら、部屋に泊まりに行くなんてこと絶対ないよ?好きじゃない人のために、わざわざ何回も呼び出されたりしないよ?」
僕「まあ、そうなんだろうけれど。んー、実感がわかない。」
しほ「竜也君は、私のこと、どう思ってる?どんな印象?」
どんな印象か。
難しい質問だった。
たしかに、悪い気はしない。好意を寄せてくれる人がいるっていうのは、生きる上での活力になる。
でも。。んー、結婚したいって言ってくれる人がいて、そこまで愛されている彼氏がいるのに、それを放ってノコノコ県外までやってくる子のことを好きかと言われると、それはない。
僕「答えは難しいんだけど、当然、僕だって、嫌いな子のために時間を割いたりはしないよ?僕にとって、しほはとてもまぶしい存在だったんだ。」
しほ「え?そうなの?」
僕「数字に生きてきた僕が、感性に生きてるしほと出会ってから、刺激を受けることは多かった。」
しほ「・・・うん」
僕「もちろん、しほのことは好きだよ。大切にしたい。でも、きっと、しほのいう『好き』と、僕のいう『好き』は違うと思う」
彼女は、ぎゅっと、しがみついてきた。
僕は、それを、受け止めることしかできない。
しほ「・・・それでも、抱きしめては、くれるんだ。」
僕「それはまあ、男ですから・・・w」
しほ「えへへ・・あったかい。」
僕「いい匂い。・・・あ、ダメなヤツだこれ。自制が効くうちに、離れて」
しほ「無理。ヤダ。あったかいもの。イヤなら拒絶してよ。」
こういう時、女性はズルい。
女性特有の、あたたかな感触・弾力。
ふわりと香る、柔らかな匂い。
僕「良くないよ、そういうの。情に流されても、たとえ今日、僕が誘惑に負けても、やっぱり僕の気持ちが変わることってないと思うんだ。大切にしてくれる子がいるんでしょ?裏切ることなんてないよ。」
しほ「なら、拒絶して。できないんでしょ?竜也君は、そういう人だもの。」
僕「ズルいな、しほ。女はずるいよ。」
しほ「今日くらい・・・甘えさせてよ。今日くらい・・・」
彼女が止まることは、ないようだ。
スルスルっと、服が擦れる音がして、彼女の上着が床に落ちる。僕は、せめてもの優しさで、明かりを落とした。
かすかなBGMだけが、聞こえる。
僕「せめて、シャワーだけでも浴びようよ。」
しほ「あ、逃げるんだ。」
僕「そうは言ってないだろう。・・・はぁ・・・」
本当にいいんだろうか。
悩んでいる間にも、彼女は一つ一つ、服を脱いでいく。
寒い季節だ。彼女の腕に触れると、寒いのか、少し鳥肌が立っている。
僕は、優しく抱きしめ、ベッドに横たえ、毛布をかけた。
僕は上着だね脱ぎ、その中に入った。
戸惑ったが、結局、彼女の誘惑と決意に、動かされた。
335: 以下、
俺も数えきれない程女を抱いたが>>1もいい人生を過ごしてるなぁ
337: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 15:01:51.55 ID:oJFYbA1J0
>>335
いい人生かどうかはなかなか決めつけられないけれど、恵まれているとは思うよ。
まあ、ED発症しなけりゃ、もっといい思いができてたのかもなぁ。過ぎたことを言っても始まらないが。
338: 以下、
>>337
女にモテない男は魅力のない男と俺は思ってる
自己満足だけどね
全てを投げ出してでも助けてくれるのは女だしな
339: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 15:29:06.03 ID:oJFYbA1J0
毛布の中で、スカートとジーンズを脱がす。
彼女は、下着だけになった。
僕も、トランクスだけになった。
肌を重ねる。
しほ「・・・あったかい。」
僕「すべすべ。きもちいい。」
しほ「んっ・・・くすぐったい・・・んっ・・・ちゅっ。」
しばらく、抱き合いながら、キスした。
彼女は体制を入れ替え、僕の上に乗った。
肌をぴったりと付け、僕にキスし、両手で僕の頭をはさむ。
その足は、僕の足に絡んでくる。すべすべとした感触。柔らかで暖かな感触。すぐにそれが、じっとりと汗ばんでくる。
僕は、ブラを外す。ベージュの、清楚なものだった。
着やせというのだろうか。想像より大きな乳房が露わになる。
僕は、優しく触れた。
しほ「んっ・・好きなの?」
僕「男はみんな好きなんじゃないの?」
彼女は、その先端を、僕の顔の上に乗せる。
僕は揉みながら、舌を這わせる。
しほ「あ!・・ん・・・んっ・・・」
しばらく、僕はその胸を味わった。濃いめのピンクで、柔らかい乳首だった。
僕はそのまま、パンティをおろす。彼女も、トランクスを脱がせてくれた。
彼女は、毛布をかぶったまま、下の方へ移動していった。
柔らかな感触が、僕のアレ周辺を包む。
彼女は、自分の乳房で、僕のアレを包んだ。
340: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 16:01:11.55 ID:oJFYbA1J0
最初は、片方の乳房で、僕のアレにグリグリと押し付けてきた。
反応して大きくなったら、アレを少し咥えた。すっぽりと咥え、唾液で濡らし、口から離す。
一瞬、ひんやりとした。が、次の瞬間、双丘か僕のアレを挟む。
くちゅっ。くちゅっ。
少しだけイヤらしい音とともに、彼女は、その両乳房で、僕のアレを愛撫しだした。
久々の、柔らかい感触。それで逝くことはないが、気持ち良かった。
きっと、こうやっていても、僕は最後まではイかないだろう。
多少の罪悪感。
僕「・・・一緒に、シャワー浴びよう。」
しほ「え・・・?あ、うん。わかった。」
浴室へ行く。
僕「これ、試してみない?興味本位で買ったけど、使ったことないんだ。」
しほ「これ、何?」
僕「・・・ローションw」
しほ「一般に買えるんだw匂いってあるの?w」
僕「これは、ココナッツミルクの味らしいよw」
素っ裸のアラサー2人が、ローション片手にはしゃぐ姿は、今思えば滑稽である。
僕は、それを彼女に塗りたくる。
彼女も僕に塗りたくった。躊躇なく僕のアレを咥える。
僕「あ。ちょっs・・・んっあっ・・・」
しほ「んはっ・・・はぁ・・はぁ・・・甘い味がするw」
そういうと、手でヌルヌルなあれを手早くストロークさせた。気持ち良かった。
僕は背後にまわり、その豊満な胸を、ヌルヌルと揉みしだいた。
しほ「ん・・・くすぐったい・・ちょっと・・・ああん・・・あっ・・・・あああん・・・」
全身を使って、ねっとりと。
風俗嬢が、僕にするように、彼女にしてみた。
アソコにも遠慮なく、指を突っ込んだ。ヌルヌルとして、気持ち良かった。
シャワーは出しっぱなし。じゃないと、床が滑る。
しほ「あああああ・・・・あああっ・・あっ・・・きもち・・・あんっ・・・」
今まで感じたことのないヌルヌルに、彼女も興奮しているようだった。
僕は、その場の勢いに流され、興奮している彼女のアソコに、ヌルヌルになった僕のアレを入れてみた。
縮んだが、柔らかいまま、奥まですんなり入った。
しほ「ああん・・・え?ん?・・・あっ・・あっ・・あっ・・・あっあっあっ・・・んっんっんっ・・・」
柔らかなままだったが、背後から、彼女を突いた。
片手で彼女の腰をつかみ、もう片手で彼女のク〇トリスを責める。
しほ「ちょっと・・・待って・・・・あっあっあっ・・待ってって!あっあっんっんっ・・・あああん・・・逝っちゃうから・・止めて・・んんんっ・・・ああ!!!待って!ああああああああっ・・・・」
ビクンっ。ガクガク・・・あっけなかった。ギューっと子宮が収縮する。僕のアレは、子宮内にとどまったままだ。
しほ「待ってって言ったのに・・・」
僕「・・・気持ちいいんだから、しょうがないだろ。」
ガクガクする脚を、ヌルヌルと刺激する。
しほ「ん・・あんっ・・意地悪っ・・・んっ・・エッチ触らないで・・んっ」
執拗に、胸を揉む。そして、抜いて、シャワーをかける。
彼女は、こっちを向かない。
僕「怒ってるの?」
しほ「・・ううん・・私、何してるんだろう。自分勝手に逝っちゃって。」
僕「その・・僕、お酒飲んでるから勃たないし、逝かないから、こんなもんだよ?」
彼女はヨタヨタと僕に抱き着き、シャワーを浴び続けた。
そして、浴室から同時に出て、タオルで拭き、そのまま裸でベッドに入った。
僕「もう寝よう。」
しほ「・・・うん。おやすみなさい。」
目の前には、しほの豊満な胸と、その端正な唇。
しして、すべすべの肢体。
眠れるかな・・・
彼女は、僕を抱きしめてくれた。
そんな暖かな体に包まれて、僕は、眠りについた。
341: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/13(金) 17:21:34.93 ID:oJFYbA1J0
僕「おはよう。」
しほ「・・・おはよう。・・・早いんだね。」
僕「そう?コーヒー淹れる?」
しほ「・・・いい。」
彼女は、まだ起きず、裸のまま毛布にくるまってゴロゴロしていた。
僕は、その毛布をちょっとだけ剥す。
彼女の白い裸体が、すこしだけ垣間見える。
その艶やかな胸元に、視線がいく。
しほ「ダメ。・・これ以上は、もうダメ。」
僕「・・・そっか。わかったよ。」
僕は踵を返し、自分の珈琲を入れる。
トースターにパンを入れる。
しほ「・・・ねぇ。」
僕「ん?」
しほ「・・・私のこと、好き?」
僕「・・・ごめん。僕は、嘘だけはつけない。僕がどんなにひどい人間でも、やっぱり、誰かをだましたりはできない。」
しほ「あーあ。酷い男。私、魅力的だと思うんだけどなぁ。」
僕「うん。魅力的だと思うよ。でも僕は遠距離恋愛なんてこりごりだし、それに、正直、ここまで来ると、理想的な子が現れるまで、誰とも付き合いたくない。」
しほ「もったいないよ?私に限らず、出来るチャンスがあるのに、それでいいの?」
それでいいの?
いいわけがない。
でも、僕のアレは、回復の兆しがない。相手傷つけるだけじゃなく、自分が傷つくのはもう嫌だ。
だから、軽い関係でいたい。
僕「うん。乗り気じゃない。」
しほ「・・・しようって言ってくれれば、するよ?私。あなたが好きだから。この毛布を、今すぐ取って、あなたを受け入れるわよ?私。何の見返りも、あなたが望まないなら、何の見返りも求めないよ?」
僕「そうやって、自分を粗末にしないでほしい。帰ってくれ。」
帰ってくれ。
帰って。
これ以上、僕を苦しめないで。
僕は、もう、ギラギラした世界に行きたくない。
もう、傷つきたくない。
そりゃあ、酔っ払ったら、やっぱり、いろいろ欲も湧くけど。
今はもう、一人でいたい。
彼女は帰った。
それから、彼女からの連絡には返事をしなかった。
「今でも好き。」
「また会いたい。」
半年もすると、それも来なくなった。
それから1年。久々に連絡が来た。
結婚することにしたらしい。
前の彼氏と、ヨリを戻したそうだ。
それでいい。
今はもう、彼女と連絡を取る手段はない。
でもきっと、彼女は幸せに暮らしていると思う。
343: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/14(土) 22:52:33.07 ID:ietNf+Dm0
少し前から覚悟していた。
その日はやってきた。
重役の市村さんが、亡くなった。
体調を崩していたのは知っていたし、市村さんが会社を休んでいるときは僕が代役をしていた。
でも、亡くなる直前まで、やっぱり市村さんは会社に戻ってくると思っていた。
だから、実感は沸かなかった。
市村さんが亡くなっても、会社はなくならない。
誰かがその役割をする必要がある。
当然のように、僕がその後釜にされた。
実務的なものは僕がやっていたので、特に問題はない。
しかし、偏屈だったとはいえ、市村さんと僕では信用度が違う。
幸い、客先は僕でも問題ないと言ってくれた。
顧客「実質、君がやってたようなものじゃないか。引き続き、藤原君がやってくれればそれでいいよ」
うちの社長「そうですよね。了解いたしました。藤原、頼んだぞ」
僕「ご要望でしたら、そうさせていただきます。今後ともよろしくお願い申し上げます。」
葬儀は、斎場を貸し切って行われた。
何百という方が、別れを惜しんできてくれた。
にこやかな表情だった。
社長「給与は増やすから、市村さんのあとを頼むよ。」
僕「他の社員さんのこともありますが、私でいいんでしょうか。」
社長「正直、あの役割をほかの社員が引き受けるわけないよ。打診したけど拒否されたよw」
僕「ですよねぇ。私で務まりますかね?」
社長「君しか務まらないよ。勤務体制は定時は設けないから。必要がなければ、出社しない日もあっていい。携帯だけはつながるようにしていてくれ。」
僕「わかりました。まあ、顧客のほとんどは私の携帯にかけてきますので、確かに会社にいなくてもいいですが。」
社長「それでいいよ。負担をかけるが、その分給料は弾むから。これからも頼んだよ。」
僕「・・・はい。」
市村さん、あなたは、最後まで自由人でした。
僕が受けた影響は、少なくなかった。
反感を持ったこともあります。
それでも、あなたは、尊敬に値する、立派な方でした。
合掌。
顧客の方々は、僕を可愛がってくれた。
納期調整や新規の案件、トラブル、あいさつ回り、立上りの品質確認、市村さんがしていたことは多岐にわたる。
いつも僕が傍らにいたので、基本的には問題ない。
市村さんなら、きっとこう言うだろうな。
顧客「はっはっは。」
僕「どうされました?」
顧客「いや、市村さんと同じことを言うなと思って」
僕「そりゃそうですよ。僕に仕事を教えてくれたのは、市村さんですから。」
顧客「厄介な奴だなw若くて賢い市村さんか。怖い怖いw」
僕「そういわず、これからもごひいきにw」
僕が何かをしても、何もしなくても、時間は過ぎる。
そして、物事は進んでいく。
このままでいいのかな。
いけない。
それはわかってる。
栞里は結婚した。
優子は転職し、違う事業をしている。
祐希は順調にキャリアを積んでいる。
菜々子さんも結婚して退職したらしい。
結衣も一児の母だ。
絵里奈と玲奈は2人目を身籠っている。
僕は?
悶々と生きる。
悶々と過ぎる毎日。
そんな毎日の中、2011年、3月11日を迎えた。
344: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/14(土) 23:26:48.67 ID:ietNf+Dm0
僕はその日、東北地方にいた。
週末をそこで過ごし、日曜の便で帰るつもりだった。
とあるショッピングセンター。
そこで買い物をしていた。
今までに感じたことのない揺れだった。
すぐに停電した。
係員に誘導され、外に出る。
街には、たくさんの人がいた。皆、混乱していた。
歩いて、ホテルに帰った。
フロントも混乱していた。
とりあえず、部屋には入れた。
その時点では、携帯はつながらなかったが、ネットにはつなげた。
余震が続く。
怖くて、ツイッターを呟き続ける。
「また余震なう」
堅「大丈夫?」
京介「こっちも停電」
停電してるから、携帯の充電がもったいない。
予備電池も持っていたが、いざという時のために確保しておきたい。
それとは関係なく、夜になるとネットにもつながらなくなった。
ホテルはそんなに人もいなく、夜食も持っていたのでそれでしのいだ。
隣に泊まっていた人が、カセットコンロをなぜか持っていた。
ホテルにはミネラルウォーターと即席麺が確保してあり、宿泊客に配ってくれた。
しかし、電源がなく、お湯が沸かせないという。
隣の部屋の人が、なぜか持っていたカセットコンロでお湯を沸かし、皆にお湯を入れてあげていた。
暗い中、続く停電と余震。
当然、飛行機も飛ばないだろう。
隣の人「どうしましょうね」
僕「地元に帰りたいけれど・・道も通れないみたいだし、電車も飛行機もダメ。困ったなぁ。」
2人で話し合い、通ることのできるルートを考えた。
その人は、車で来ていた。
そして、僕の地元の近くに住んでいた。
ここから関東地方を通って帰るのは絶望的だ。
じゃあ思い切って山を通って日本海側に抜けて、大回りして北陸を通って帰ろうということになった。
僕「じゃあ、僕も乗せていってもらえるってことですか?」
隣の人「ええ。僕も一人だと心細いですし、運転交代しながら帰りましょう。早く帰りたいです。」
僕「わかりました。なにはともあれ、体力は大事です。しっかり寝てから、明日出ましょう。」
耳を塞ぎたくなるようなニュースが聞こえる車内。
お互いが仮眠を取りながら、安全な道を探し、1日かけて、帰省した。
特急のとまる駅まで送ってくれた人、本当にありがとうございました。
345: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/15(日) 01:12:16.90 ID:55n5oBot0
震災の出来事は、僕の価値観を変えるものだった。
僕「ネトゲをもうやめようと思う。」
ユミ「私も。これから資格を取って、働く。」
僕「やりたいことが出来たんだね。」
ユミ「私のおばあちゃん、被災したんだ。何もしてやれなかった。だから・・・介護職を目指す。」
僕「そうか。頑張って」
ユミ「私は、竜也さんのおかげで変われた。今までありがとうございました。もう、会えないけど、忘れない。」
僕は思いを断ち切るように、PCごと処分した。
ユミとはこの日を境に、連絡を取っていない。
家族が欲しい。あたたかな家庭を築きたい。
誰かと一緒にいたい。
子供が欲しい。
当時、婚活がブームだった。
僕は、婚活をするようになった。
いざ始めると、出会いというものは生まれるものだ。
取引先の同年代とともに、コンパが月1?2回行われるようになった。
ジムにもまた通いだした。
元々好きだった料理も、教室に通いだした。
今までしていなかった貯金もしだした。
良く通っているバーに顔を出す。
(山口智子似、以下智子)
智子「結局、うまく行かなかったの?」
僕「うん。楽しかったんだけど、なんかこう、違うんだよね。」
智子「相手に、求めすぎだよ。それと、今の言葉、女の子に絶対言ってはいけない言葉だよ。」
僕「わかってるんだけどさ。相手に嘘つきたくないし。」
智子「・・・なぜ、今、韓流ドラマが流行ると思う?」
僕「ドラマは見ないから、よくわからないよ。」
智子「女子はね、夢が見たいのよ。すべてを投げ打って燃えるような恋がしたいの。複雑な事情なんて知らないの。ただ、純粋な純愛がしたいの。」
そんなものなのかな。
僕「あ、そうだ。これ。」
智子「・・・覚えてくれていたんだ。」
僕「もちろん。お誕生日おめでとう。」
智子は、そのバーの女性店員だ。
マスターの通うお店の常連さんで、マスターが目をつけて、新規に立ち上げるバーに引き抜いた。
竹を割ったような性格で、智子目当てで通う常連客もいる。
僕はそうでもなかったが、まあ、いつも話し相手になってくれるし、感謝の気持ちでワインを用意した。
智子の誕生年のビンテージワイン。
香り高く、熟成具合も申し分ない。まさに飲み頃のものだった。
マスター「お、いいワインだね。」
僕「智子ちゃんの誕生日だからね。持ち込んだ。一緒に乾杯しよう。」
智子「嬉しい・・・ありがとう。」
マスター「待って。グラスとアラカルト用意するから。」
早めに看板を下ろし、3人で乾杯する。
スモークサーモンとクリームチーズ、簡単なホットサンド。フリッター。
僕「いつもありがとう。乾杯」
マスター「美味い。ビンテージは久しぶりだ。まろやかに熟成されてるね。」
智子「初めての味。飲みやすい。・・・ありがとう。竜也さん、嬉しい。」
マスター「これめったに入らないヤツだから、ラベルだけでも取っておきな」
智子「うん。瓶が空いたら、水につけてラベル剥がしてラミネートする。」
僕「大げさだよ。」
智子「大切にしたいの。・・・こんなにうれしい誕生日、久しぶり。」
マスター「なあ、竜也。」
僕「どうしたの?」
マスター「結婚相手、智子じゃだめなのか?」
僕「んー、そりゃあ、マスターから見れば、いい子に見えるんだろうけど、僕から見る智子ちゃんはそうじゃないしなぁ。あくまで店員さんだから。」
マスター「智子、よく言ってるよ。お前から、店員としか見られてないって。それ以外の表情を見てみたいって。」
僕「・・・」
それから少しした後、智子から正式にお礼がしたいと連絡があった。
346: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/15(日) 01:27:47.40 ID:55n5oBot0
そのバーがお休みの日、僕と智子は、ドライブに出かけた。
智子は、終始上機嫌だった。
子供のように、はしゃいでいた。
僕の車には、堅や絵里奈の子供が乗った時に退屈しないよう、ぬいぐるみが隠してあるが、それを見つけ出し、パペットのように操っていた。
もし、自分が家庭を持って、子供が生まれたら、こんな風に、奥さんがあやしてくれたりするのかな。
その先にる、奥さんは、智子なのか?
違う。直感的に思う。
やっぱり、僕にとって、彼女はお気に入りのバーの店員さんであり、僕は彼女が好きなんじゃなく、そのバーの店員さんが好きなのだ。
帰り際、地元に戻って、車を僕の駐車場に止める。そのまま、タクシーで近くの焼肉屋さんへ。
僕「乾杯!やっぱビールだね!」
智子「あー!一杯目がおいしい!」
2人で、焼き肉を奪い合う。
楽しい。美味しい。
子供が生まれて、みんなで焼き肉に行って、こうやって肉を奪い合って、はしゃぐ。
その時に、僕の向かい側に座っているのは、智子なのか?
やっぱり、ちがう。
智子「ごちそうさまでした。」
僕「ごちそうさまでした。」
街を、少し歩いた。
腕が絡んでくる。
智子「・・・ねえ。」
僕「うん?」
智子「このマンション。」
僕「うん。どうしたの?」
智子「私、ここに住んでるの。・・・・上がっていってよ」
僕「・・・ああ。わかった。」
僕はまた、一人、女性を傷つけた。
348: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/15(日) 19:19:49.86 ID:55n5oBot0
僕は、HPに書いてあった場所に行く。
保険証を出し、アンケートを書く。
続いて問診。
僕は、決意をもって、その場所に来ていた。
ED治療。
僕は、もういやだった。
自分に自信がない。
行為のことで悩みたくない。
家庭が欲しいし、なにより自信がほしい。
常「達也君よ、男は愛人の一人や二人いないとダメだよ!」
寿司屋の大将「この前、その愛人に『役立たず』って言われたろうがw」
常「だからさ、バイアグラ買ったんだよ。中国製だけど!」
大将「やめとけって偽物はヤバイぞ!」
僕「」
恥ずかしい。
でも、恥ずかしいことなのかな?
いざ、一歩を踏み出すと、怖くはなかった。
医師「パートナーはいませんか?一緒に治療を受けることを強くお勧め致しますが。」
僕「特定のパートナーがいないから悩んでるんです・・」
医師は、淡々と治療方針を説明してくれた。
349: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/15(日) 19:39:18.01 ID:55n5oBot0
まず、体の病気なのか、心の病気なのか。
そのあたりを正確に把握するために、体の検査を受けた。
糖尿病や高血圧、つまるところ生活習慣病のチェック。
それから、アレ自体に不形成や不全がないか。触診もあった。
ED治療は、基本的に保険が効かない。
それでも、通うだけの価値があったのだろう。
機能的には何の問題もない。
つまり、心理的な要因によるEDであると結論付けられた。
医師「過労が発端の方も多いですよ。うまく体がコントロールできずに一回失敗して、以後、うまくいかない。そんな人は多いです。」
思い当たる節があった。
最初に失敗した時、僕は明らかに過労だった。
EDになったのは、体が発した危険信号だったのかもしれない。
医師「一般的な治療薬で、改善することが多いです。一度試してみてはいかがですか?現状、かなり重度のEDですよあなた。」
僕「自覚はあったんですが・・・いざ来るとなると、勇気が出なくて。」
医師「でも、あなたはその勇気を出した。だから、治療できる。EDは病気です。治療できるんです。改善する可能性は十分にあるんです。」
僕「・・・はい。勇気を出してよかったです。」
ごくごく知られている治療薬を処方してもらう。
高価なものだったが、それで僕の自信が取り戻せるなら。
僕は薬を懐に入れ、風俗店に行った。
350: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/15(日) 20:19:51.77 ID:55n5oBot0
ED治療。
以前から興味を持っていた。
正直、病院の前をウロウロしたこともある。
でも、一歩が踏み出せなかった。
いざ踏み出した一歩。
その1週間後には、僕は治療薬を手に入れている。
あっけないものだった。
嬢「いらっしゃいませ。よろしくお願いしますね。」
僕「あ、よろしくお願いします。うわ当たりだ顔小さい」
嬢「うふふ。さあどうぞ。」
嬢に手を引かれ。薄暗い階段を歩く。
僕「あのね、僕、ずっとEDだったんだ。今日、初めて薬を飲むの。今から飲んでもいい?」
嬢「まずお部屋にご案内して、そこでお水出しますから。それまで待ってくださいね。」
嬢「お薬を飲まれる方も多いですから。何かあってもすぐ救急車呼びますから大丈夫ですよ。」
僕「大丈夫なのかなそれって・・」
嬢「滅多なことはありませんよ。それだけ一般的に使われてる治療薬ってことです。」
お水をもらい、薬を飲む。少し談笑する。
おもむろに、嬢がアソコ刺激し、ズボンを下ろす。
僕のアレははちきれんばかりに反応する。
そして、いきなりそれを口に含む。
僕「んんん・・・ガチガチだ。」
嬢「ふふふ・・・元気だね。今日は、楽しめそうね!」
僕「ああ。最初から全開で!」
その日、僕は、久々に風俗で逝った。
嬢「はぁ・・・はぁ・・・激しかった・・・ね」
僕「ごめんね・・強引すぎたかな・・・」
嬢「ううん・・・はぁ・・はぁ・・・気持ちよかったなら・・・嬉しいです・・」
僕は、こうして、治療薬を手に入れた。
そして、薬と付き合うことで、EDに向き合うことができた。
353: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/15(日) 21:48:55.70 ID:55n5oBot0
よく晴れた日だった。
僕は、商店街を車で走っていた。
信号が赤になり、停車する。
ふと、少女に目が留まる。
歩道で、自転車を倒して、泣いていた。
周りには歩いている人もいるが、誰も声をかけない。
僕は交差点を通り越し、車をハザードを点けて停車する。
車を降り、少女に話しかける。
僕「どうしたの?」
少女「ヒック・・・うえーん・・・自転車が・・・動かない・・・」
見ると、チェーンが外れていた。
僕「あらら、おじさんが直してあげるね。ちょっと待って。」
車からタオルを持ち出す。
自転車は少し錆びていて、チェーンも固かった。
僕「ったく、親はちゃんとメンテナンスしてるのかな・・・よっと。」
チェーンに棒を差し込み、タオルで引っ張り、ペダルを回転させてはめ直す。
少女「・・・ありがとう!」
僕「ああ。ちょっと待ってな。今、オイルも入れてあげるから。あと、少しだけきれいに磨こうか。」
少女「うん!」
少し話をしながら、オイルでメンテナンスする。錆も、タオルで拭いておいた。
多少見栄えもよくなった。
タオルを片付け、少女にもう一回声をかけようとしたところで、背後から呼び止められた。
「おたく、何やってるの?」
呼び止めたのは、警官だった。
354: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/15(日) 23:23:17.48 ID:55n5oBot0
僕「え?え?何やってって、この子に」
警官「おたく、さっきからその子に話しかけてた?ちょっと通報があってね。どうしたの?お嬢ちゃん、この人、知り合い?」
少女「(ブンブンと首を振る)知らない人・・」
僕「ええ、確かに知らない子ですよ。でもあの」
警官「どんな事情か知らないけどね、そういうことをやめてもらえないかな。世の中、勘違いしちゃう人もいるからね?」
本当に嫌な世の中だ。
理不尽極まりない。
僕「警官が勘違いしたら、世も末ですよ。あなたたち、市民の味方でしょう?偏見を持たないでほしい。」
警官「まあ、怒りたいかもしれないけど、僕たちも通報が来たら動かないといけないからね?」
僕「それはそうでしょうね。ご苦労様、もう帰ってもいいですか?」
警官「一応、決まりなので、調べないといけないんですよ。身分を証明できるものないですか?」
本当にイライラする。
子供が助けを求めても、誰も見向きもしない。
そのくせ、誰かが手を差し伸べると、あっという間に取り囲まれる。
僕「は?僕が何かしました?その子、泣いてたんですよ?誰も助けないで放置されてたんですよ?声かけて助けたら通報?いい加減にしてください。」
警官「いいから、身分を証明できるものを。」
僕「その前に、この子、放置でいいの?」
警官「まあまあ、とにかく身分証明・・・」
僕「いい加減にしなさい!この子、どうしていいかわからずにオロオロしてるでしょ?まず開放させてあげてください。」
警官「あのねぇ、こっちも仕事なの。まずあなたが怪しくないことを確認するだけだから。ね?身分証出して?」
僕「拒否します。あなたと話す気になれない。」
少女「・・・(泣きそうにオロオロ)」
押し問答を続けることになってしまった。
女性「○○ちゃん!どうしたの!!」
少女「あ!おかあさん!!」
騒ぎになってしまい、それを見た通行人の誰かが、この少女のことを知っていたらしい。母親を連れてきた。
この少女は、近くの子のようだ。
とにかく、少女は安全になったわけだ。
僕「あ、お母さんですか、よかっ」
警官「あなたは話しかけないで!この子のお母さんですか?よかった。ちょっとこの男性に声をかけられてましてね!職務質問中ですので、あちらに下がっててください!」
もういい。
もういいや。
僕「その子が安泰ならもういいですよ。身分証出します。特にやましいことしてませんから。」
少女「ねえ、おかあさん、あのおじさん、助けてくれたんだけど・・・」
母親「あんたは黙ってなさい!、すみません、すぐ戻ります。この子を家に帰してきていいですか?すぐ近くですから!」
僕「あー、いい加減にしてほしいよ・・・自転車直しただけで、何でここまで大ごとにならなきゃならんのだ・・・」
警官「そういう話はいいから、ちょっと質問に答えて!」
人だかり。
さっきまで無関心だった輩が、攻撃対象を見つけ、集まる。
355: 以下、
確かにこんな事あるよな
歩道で自転車に乗ったおばあさんが転び起こして怪我を見てあげてたら通報
たまらん
357: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/16(月) 09:16:21.76 ID:tVDj7JSq0
騒ぎの中、女性がおずおずと警官に声をかけてきた。
女性「あの・・・」
警官「はい?どうされました?」
女性「私、この目の前の喫茶店にいたんですけれど、こちらの男性は、自転車が壊れて泣いていた女の子をなだめて、自転車を直していましたよ?」
警官「それを見たの?間違いない?」
女性「ええ。間違いないです。何かあったら証言もしますよ?女の子泣いてたのに、誰も助けないで・・・かわいそうでしたから。私はちょうどその時手が離せなくて・・ですから、その男性が自転車を直しているのを見て、ホッとしてたんです。」
この女性、僕の行為を見ていたようだ。
よかった。目撃者がいるなら心強い。
警官「なるほど。我々も、疑ってかかってるわけじゃないんですよ?ただ、通報があると、ちゃんと調べないといけないわけで・・」
女性「分かってますけれど、あまりにその男性が不憫で・・・。あこの喫茶店に防犯カメラがありますから、ほらあそこ。あれに映ってるんじゃないですか?」
僕「あ、本当ですね。僕もここまで疑われて気分もよくないので、しっかり調べてほしいです。」
警官「いやいや。そこまでしなくても。わかりました。目撃者さんもいますので、簡単な聴取だけでいいですから。」
母親「・・・なんだかすみません・・せっかく助けていただいたみたいなのに、早とちりと言いますか・・・」
僕「いえ、お母さんはそれでいいと思います。世の中、確かに不安なことばかりですから。ただ・・」
母親「はい・・?」
僕「自転車、ちゃんとメンテナンスしないと、壊れちゃいますよ?お子さんを守る大事な乗り物ですから、たまにはチェックしてやってくださいね。旦那さんに言っておいてください。」
少女「おじさん、ありがとうね。」
少女は、ほっとしたようにそう言った。
母親の、お礼をしたいのでという誘いを断り、僕はその親子に帰ってもらった。
僕を助けてくれた女性と、警官2人、僕の4人で簡単な調書を取る。
女性「何かあるといけませんから!」
その女性と、連絡先を交換した。
警官「では、これで解散。お手間を取らせました。」
僕「いいえ。警察がしっかり仕事をすることが確認できてよかった。」
女性「では、さようなら。」
僕は車に乗り、その町を後にした。
まあ、みんな納得できたんだし、これでいいか。
あの女性、綺麗な人だったな。
また会いたい。
でも、連絡するのもなんだか下心丸見えだよなぁ。
358: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/16(月) 09:43:13.11 ID:tVDj7JSq0
次の週、同じ曜日、僕はまたその町を通った。
ああ、この場所だ。
僕は、近くのコインパーキングに駐車し、喫茶店に入った。
店員「いらっしゃいませ。お好きな席にどうぞ。」
僕は、店内を見渡す。
窓際に、見覚えのある女性がいた。
ああ、あの人だ。今週もいたんだ。
ひょっとしているかな?と思って、何気なく寄った喫茶店。
本当に会えるとは思わなかった。
僕「あ、こんにちは。」
女性「・・はい?あ、先週のwこんにちはw」
女性(永作博美似、以下博美)
僕「永作さん?でしたか。先日はありがとうございました。あ、ご一緒しても?」
博美「ええ。どうぞ。」
僕「知人がいたのでこの席にします。ホット1つ。」
店員「かしこまりました。」
僕は博美の斜め向かいに座り、かばんを横に置いた。
僕「近くを通ったので、休憩に寄りました。ひょっとして永作さんがいらっしゃらないかなと思いまして。本当にいてびっくりしました。」
博美「私、けっこうこの喫茶店にいますよ。営業をしておりまして、休憩したり、資料整理したり、電話したり。。あ、失礼。」
博美はそう言うと、スマホにかかってきた電話に応対した。
僕もその時間を利用して、客先と電話でやり取りする。
博美「すみません。あ、先週も、ちょうどお客さんと電話してたんです。女の子が泣いてて、声をかけようかと思ったんですけど、ちょっと電話したり折り返したりで。」
僕「そうだったんですね。でも自転車のチェーン直すとか、汚れちゃいますしね。躊躇しちゃいますよね。」
博美「それはいいわけですよ。現に、えっと、」
僕「藤原ですw」
博美「ああ、そうでしたね。藤原さんは、助けてたわけだし。」
博美は、このあたりで働く営業マンだった。
年齢を聞くのは野暮だったが、僕の数歳年下ということだった。
僕「あ、もう行かなきゃ。先日は本当に助かりました。ここの支払い、奢りますから!」
博美「いいんですか?じゃあ、遠慮なく。これで貸し借りなしってことで!」
僕「ははっ。了解です。あ、今度、良かったらお昼ご一緒しません?この近くならよく通りますから。」
博美「私、基本一人でご飯食べてるので、時間が合えばいいですよー。」
僕「じゃあ決まりね。アドレス交換しても?」
博美「はい。」
出会いだけはちょっとだけ特殊だったが、こうして、ランチを伴にし、気づけば、普段の出来事をメールでやり取りし、またランチを一緒に行き。
今度はディナーを一緒に食べ、会う回数が増え。
そうやって、何か月かが過ぎ、いつしか、2人でいることが当たり前になっていった。
359: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/16(月) 10:23:10.18 ID:tVDj7JSq0
博美は、不思議な人だった。
普段は食事なんてコンビニやおひとり様でラーメン。夜もだった。
博美「だから、藤原さんと一緒だと一人ではいけないところに行けて嬉しいんです。」
僕「全く同じ意見だよ。僕も一人暮らしが長いから、いつか行きたい・・・ってお店ばかり増えて。こうやって永作さんが付き合ってくれて嬉しい。」
永作「あの・・今度のお休み、もし、お暇でしたら・・〇〇に行きたいんですけれど・・一緒に行きませんか?」
僕「え?温泉地の?僕温泉大好きだから、行きたい。連れてくよ。」
永作「私も温泉大好きです。で、その近くに美味しいお店があるんです。」
僕「んー、あ・・えっと、ひょっとして、△△かな?フレンチの。」
永作「そうです!チェックしてたんですけど機会がなくて!」
僕「いいね。僕も行きたかったんだ。」
波長というんだろうか。
思考回路が似ている。いや、違う似ているんじゃない。全く同じだった。
僕「ねえ、永作さん。」
博美「はい。」
僕「僕達、こうやって一緒に食事をしたり、出かけたりすることが当たり前になってきましたが。」
博美「・・・はい。そうですね。」
博美の顔が真っ赤になった。
僕「正式に、お付き合いしませんか?」
博美「・・・私でいいんですか?」
僕「逆に聞きますけど、これだけ会っておいて、お付き合いしたくない理由ってなんですかね?」
博美「確かにそうですよね。えっと、私、最近仕事ばかりしてまして・・・その・・しばらく誰かとお付き合いしていなくて・・・こんな私でいいんですか?」
正直、モテる子なんだと思う。
不思議な子だった。十分魅力的で、女子力も高いのに、女子力を気にする子。
僕「だって、食の好みは全く同じで、行きたいところも同じで、生活レベルも同じで、感覚も同じで、生活帯も同じで、迷う余地すらないんですが。」
博美「それが不思議すぎて・・・藤原さん、無理してません?私は全く無理してませんが。」
僕「それが・・・全くの素なんですよね・・・」
僕は予感した。
この子と付き合う。
いや、この子と、結婚する。
博美「こ、こんな私でいいんでしたら・・・その・・よろしくお願いします・・」
ここはとある料亭。
仲居「・・・あの、次の料理をお出ししても?w」
僕「あ、すみません、お待たせしちゃいましたね。」
仲居「まあまあ、お二人さん、ご夫婦かと思ってましたわ。これも何かのご縁ですわ。お幸せにw」
博美「バッチリ聞かれてましたねw」
仲居「おほほ。おばちゃん、久々にドキドキしちゃいましたよw」
なんだかんだで、正式にお付き合いをすることになった。
360: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/16(月) 10:45:58.45 ID:tVDj7JSq0
僕「例えばさ、今、僕は、この道路を博美と歩いている。」
博美「うん。」
僕「今、向こうから、女性が歩いてきてる。そうすると、どうなる?」
博美「意味が分からない。何の話?」
向こうから歩いてきた女性は、特に何もなく、僕たちの横を通り過ぎていく。
僕「今、横を通り過ぎて行った。実は、これは当たり前じゃないんだ。」
博美「どういうことかしら。」
僕「僕が今、一人で歩いていたら、あの女性は、もっと端を歩いていた。」
博美「ああ、そういうことね。女性だから仕方ないね。」
僕「だからきっと僕は、もっと端を歩いて、あの女性が端を歩かなくても済むように気を使うんだ。」
博美「うんうん。竜也君ならそうしそうだね。」
あの日、少女の自転車を直した。
実は勇気のいる行動だった。
僕は男性で、痩せているが180cmある。街を歩くときは、端を通る。
目の前から一人の女性が来れば、道を変えたりもする。
子供連れやご年配の方が通る時も同じだ。
案の定、あの時も警察を呼ばれた。
夜間、普通に歩いていただけで、それなりに感覚の空いた距離にいた女性が走って逃げて行ったこともある。
僕は、それなりに気を使って生活をしていた。
電車だってそうだ。一人で乗る時は、女性の近くを避ける。
僕「だから、博美に感謝。僕は今、普通に道を歩ける。それだけでもうれしい。」
博美「そういう苦労もあるのね。生き辛い世の中だねw」
博美に、特別な恋愛感情は生まれなかった。まさに、同志という感じだ。
一緒にいて居心地がいい。
綺麗な顔立ち。颯爽とした立ち振る舞い。
スラリとした脚。割と大き目な胸。
僕「ねえ、明日お休みだよね?」
博美「・・・うん。」
僕「じゃあ、食事が終わったら、帰らなくてもいいよね?」
博美「ええ。大丈夫。一緒にいましょうか。」
博美が僕の腕をつかむ。
この日、僕と博美は、繁華街近くのホテルに泊まった。
361: 以下、
ウキウキだな
362: 以下、
楽しそうで何より
363: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/17(火) 00:34:13.35 ID:kjZlAAES0
博美との行為は、スキンシップに近かった。
愛情表現の延長上とは少し違う。
会話をするように、行為をする。
お互い、恥ずかしがったりもしない。初めての夜も、そうだった。
彼女は、惜しげもなくその裸体を見せた。
博美「んー、気持ちいい。」
僕「触られるの、好きなんだね。」
博美「うん。あったかい。」
そのヒンヤリとした手で、僕のアレを優しく包む。
口をすぼめながら、先端にキスをしてくれる。
すこしずつ、根本まで包み込む。
ゆっくりとしたストロークだった。
いったん口から出し、片手で優しく愛撫する。
その口は、玉を片方ずつ、丁寧に口に入れ、舌で弄ぶ。
僕「丁寧なんだね。気持ちいい」
博美「ここ?このあたりがいいの?」
彼女の体は、弾力あるものだった。
運動をしっかりとし、代謝のよい子は、引き締まっていて弾力がある。
形良い乳房。張りのある肌。
優子や朋美、奈々子さんも、弾力ある体だった。
逆に、涼子や絵里奈、ユミなんかは柔らかな体だった。
そんなことを考えながら、彼女を愛撫した。
全身を舐め、また、全身を舐められた。
宿泊したホテルはその地域では最上級のところで、夜景も楽しめた。
博美「うわー。きれいな夜景んっあっ・・・だねっんっんっ。」
彼女は窓ガラスに手をつき、夜景を見ながら、僕をバックから受け入れた。
アソコは小さめで、根本まで入れるのは少しだけ苦労した。
治療薬というのは凄い。行為の間中、しっかりと効果があった。
僕は、そのまま果てた。
彼女は、ゴムをはずし、液体にまみれた僕のアレを、丁寧に口でふき取ってくれた。
博美「うふふ。歯磨きしようか。」
僕「ああ。もう一回シャワーも一緒に浴びよう。」
博美「結構汗かいたねー。何か飲みたい。」
僕「たしかシャンパンが備え付けであった気がする。」
シャワーを浴び、シャンパンを注いで、談笑する。
博美「明日、どこ行こうか?」
僕「んー、のんびりできるところがいい。」
博美「じゃあ、□高原行きたい。ちょっと遠いかな?」
僕「いいよ。ちかくにワイナリーがあるはず。ついでに仕入れよう。」
ああ、この感じだ。
僕が子供を連れて、どこかに出かける。
きっと、はしゃぎすぎて寝ちゃう。
そんな子供を車に寝かせ、助手席の彼女にささやく。
お疲れさん。今日は楽しかった?そう。良かった。また出かけようね。
助手席にいるのは、博美の気がする。
365: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/17(火) 11:20:38.36 ID:gqeJi9QR0
博美は、休みの日には僕に会いに来た。
そして僕の家に泊まる。
自宅で料理を作って持ってきてくれる日もあれば、僕が作る日もある。
彼女が来るようになって、僕の部屋の環境は変わって行った。
彼女は、暑がりで寒がり。なので、基本的に僕の家は冷房・暖房が常にかかる。
また、加湿器も部屋中に置かれた。空気清浄器もだ。
僕は食器に無頓着だったが、彼女はこだわりがあった。
気づけば、僕の家の食器棚は、彼女が持ち込んだ食器になった。
彼女と僕はこだわる個所がずれていた。
だから、お互いのこだわりには干渉しないことにした。
料理のスキルは同じくらいだ。
彼女は洋食が得意で、僕は和食が得意。
彼女の洋食は出が込んでいた。逆に、和食は簡単に作れるものが多い。
僕は洋食は手早く作れるものだけ。和食は手をかける。
博美「コンソメの基本は、この工程をじっくりと行うことなの。味が濁るから。」
僕「和の基本はこの工程。焦らないこと。じっくり行うこと。味が入らない。」
お互いがお互いを補っていた。
彼女と、本屋に出かけた。
雑誌を立ち読みする。
ふと、お互いの視線が、とある雑誌に注がれる。
結婚情報誌。
ああ、そうだよなぁ。
博美「これ買う?」
僕「そだね。」
博美は、目をキラキラさせ指輪の特集を見ていた。
僕「指輪が欲しいの?サイズいくつ?」
博美「うん?え?あー、じゃあ、今度一緒に行きましょうよ。私、自分で選びたい。気に入ったものが欲しいし。」
僕「いいよ。どこ行く?」
博美「いろいろ調べてからにするね。」
僕「なるほど。いろんなお店があるしね。」
今思えば、誰がどう見ても、博美はエンゲージリングの話をしている。
僕は、純粋に、博美は普通に指輪が欲しいのかと思っていた。だから、普通のジュエリーショップで、博美の好きなデザインの指輪を買うつもりでいた。
翌週
博美「でね。お母さんとも相談したんだけど、やっぱり単石のダイヤだと、〇〇とか、△△のブランドがオーソドックスだし・・・」
僕「あ、ああ、えー。うんうん。なるほどね。そうだよねぇ。そうか。そういうことか。有名どころだと、□□もいいんじゃない?ショールームも近いし。」
博美「え?ああ、最近できたみたいだね。行ってみましょうよ。」
僕は、最初の会話だけで悟った。
ああ、先週の話題、エンゲージリングのことだこれ。まあ、それならそれでもいいか。
ここから数か月、指輪探しが続いた。
並行して、式場選びが始まった。
366: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/17(火) 11:42:04.44 ID:gqeJi9QR0
とある夜。電話が鳴った。
登録されていない番号。
僕「はい。藤原です。」
朋美「お久しぶりです。朋美です。」
僕「え・・・え?ああ、朋美?ごめんごめん。過去にアドレスを整理しちゃってて、登録消えてたみたい。びっくりした。どうしたの?」
朋美「そんなもんだよ。過去の女の事なんてw」
久々に、朋美から連絡が来た。
朋美は、長くない時間ではあったけれど、情熱的に、お互いを求めあった、元彼女だ。
数年ぶりの連絡だ。
今の仕事のこと、当時のこと。話が弾んだ。
朋美「でね。来週、久々に地元に帰省するんだ。もしよかったら、食事でもいかが?」
僕「んー、食事くらいなら、いいよ。昔よく行った、あのフレンチにでも行く?」
朋美「懐かしい。いいよ。じゃあ、〇月〇日、19時くらいかな?例のフレンチで。予約はおまかせしてもいい?」
僕「了解。楽しみにしているよ。」
久々に会った朋美は、年齢を重ねて、深みが増した。
笑顔は、当時のままだった。
お互い、不健康ネタには事欠かない。
僕「もうさ、あの頃にスグ落ちた体脂肪が、今は1%も落ちないの。」
朋美「わかる!私もとうとう〇〇%超えちゃって!」
僕「限りなくアウトじゃんw」
話は弾み、あっという間に食事の時間が終わる。
僕「あ、結構な時間だね。」
朋美「そうね。・・・ねえ、もし時間があるなら、ファミレスでいいから時間つぶししない?」
僕「ん?いいよ。行こうか。」
僕は彼女を車に乗せ、ファミレスに向かった。
僕「あ、そうだ。貰ってほしいものがあるんだ。助手席の前の小物入れに入ってる。」
朋美「あら?この、ブランドの包みに入ってるもの?開けてもいいの?」
僕「うん。どうぞ。」
朋美「・・・これは?どうして?こんな高級な物、受け取れないよ。」
その包みの中には、とあるブランドの指輪が入っていた。
僕「ちがうんだ。その指輪は、僕らが付き合った頃、買ってあった。渡しそびれてたんだ。踏ん切りがつかなくて。」
朋美「・・・どういう意味?・・・私を、待ってくれていたの?」
僕「え?いやいや、ごめんそうじゃない。本当に、当時渡しそびれてたものを、本来の持ち主に返したいだけさ。」
指輪。小指にはめる、ピンキーリング。
朋美「・・・そっか。カワイイ。貰っていいなら、貰うね。」
ファミレスで、朋美が、いろんな話をしてくれた。
367: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/17(火) 12:05:52.44 ID:gqeJi9QR0
彼女は、会社を辞め、向こうで知り合ったパートナーと事業を起こしていた。
そして、事業は成功したものの、パートナーの裏切りに会い、別れた。事業は別のパートナーとしているそうだ。
この数年の間に、両親も他界。この日は、身辺整理も兼ねて帰省していたようだった。
朋美「結局、男運だけは皆無なのよね・・」
僕「あはは。理想が高いからな、朋美は。」
朋美「竜也は?最近どうなの?」
僕「んー、将来を見据えてる人はいるよ。このままいけば結婚だろうね。」
朋美「そっかぁ。いいなぁ。自分で離した男とはいえ、もったいないことしたなぁw」
僕「何言ってるんだか。きっと、僕は、別のタイミングで捨てられてただろうさ。朋美は、そういう子だよ。」
朋美「否定できない自分が悲しいw」
彼女は、少し沈黙し、切り出した。
朋美「・・・私、朝まで漫喫かどこかで時間つぶすから。もう帰ってくれていいよ?」
僕「え?宿とってないの?実家は?」
朋美「実家に、私の居る場所なんてもうないよ。宿も確保してない。明日の〇時の新幹線で帰るつもりだから、特に用意もしてないんだ。」
僕「もう、そういうことは早くいいなよ。もう深夜だよ?さすがに放っておけないよ。」
朋美「寝る場所だけでも、どこかで確保したいな。あ!でも、あなたの家には絶対上がらないから。」
僕「相変わらずの意味不明な主張だな。うちにおいで。ベッド貸してあげる。僕はソファで寝るから。」
朋美「独身の男の家なんて、危なくて泊まれません!」
僕「もう、そういう建前いいから。車に乗りな。行くよ?行かないなら、ここで置いてくからね。」
朋美「じゃあ置いて行って。」
僕「はいはい。相変わらずだね。会計はするから。好きにしなさい。じゃあね。」
僕は会計をし、車で帰る。
10分後、彼女から電話が入った。
朋美「ちょっと!本当に帰ることないでしょ!」
僕「え?帰るって言ったじゃん僕・・・」
朋美「薄情者!私、女だよ?」
僕「うるさい!じゃあ、最後にもう一回だけ言うよ?うちに泊まりな。泊まらないなら勝手に探せ。返事は?」
朋美「・・・意地張ってごめんなさい。お願いします・・・」
僕「最初からそういえばいいんだよ。そういうところ、直した方がいいよ。」
朋美「じゃあ、待ってます。。」
きっと、彼女は寂しかったのだろう。
女性が一人きりで生きていくには、今の都会は窮屈で、とても寂しいところだから。
368: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/17(火) 12:59:06.83 ID:gqeJi9QR0
朋美「絶対、覗かないでよ!」
僕「覗かないよ・・」
彼女は、僕の家でシャワーを浴びた。
僕は、その間、ブランデーをシングルでチビチビと飲みながら、冷蔵庫にあった残り物をつまみにする。
朋美「シャワー借りました。さっぱりした。ありがとう。」
僕「いいよ。あ、下着が気になるなら、洗濯機使っていいから。」
朋美「お借りします。ごめんね、突然来て、しかも気を使ってもらって。」
僕「今回だけね。次回はないからね。」
朋美「分かってますよーだ。」
僕はグラスに残ったブランデーを飲み干す。
朋美「竜也もシャワー浴びる?」
僕「ああ。そうする。適当に寛いでて。もう遅いから寝ててもいいよ。」
朋美「はーい。」
シャアアアアア
なんでこんなことになったんだろう。
中途半端な優しさは、相手を傷つける。
あれから、お互いに時間が経った。戻ることはない。
現に、戸惑っている自分がいる。もう他人なんだから、面倒を見なくてもよかった?
いやいや、女性を放っては置けない。
いやしかし。
でも、
うーん。
少し、長めのシャワー。
キュッ
ふぅ。
タオル片手に浴室から出る。
トランクス・Tシャツ・ジャージを身に纏い、リビングに戻る。
彼女は既に、僕のベッドに入ってスマホのチェックをしていた。
僕「あの」
朋美「なに?」
僕「なんで服着てないの?」
朋美「だって洗濯してるし、男の人の服なんて着れないし。お布団、気持ちいいよ?」
僕「なんだそれ・・・電気消すよ。僕はこのソファでで寝るから。」
朋美「竜也、起きてる?」
僕「うん。」
裸の女性が、僕のベッドで、寝ている。
時折、ベッドのシーツが擦れる音がする。少し大きめの息遣い。
それで寝ろという方が酷だ。
朋美「ごめんね。眠れないの。」
僕「そうか。せめて、静かにしていてくれ。」
朋美「ねえ・・安心させて・・・キスしてくれたら、寝るから。」
僕「あのね?僕も男なの。わかってるでしょ?裸で寝ておいて、キスしてっておねだりして、我慢しなさいって無理だから。早く寝てください。」
朋美「・・・わかってるよ・・でも、お願い。今日だけでいいから・・・甘えさせて。・・寂しい・・お願いだから。」
そう言うと、彼女は、何も着ていない姿のまま、僕の所に来て、その身を預けてきた。
有無を言わさず、僕のジャージをおろす。
僕の脚に、彼女の脚が絡まる。
ひんやりとした、濡れた感触。
彼女のアソコは濡れ、太ももにまで垂れていた。
369: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/17(火) 13:01:43.88 ID:gqeJi9QR0
僕「え・・ちょっと・・んっ・・・それは卑怯でしょ・・・」
朋美「久しぶりに甘えられるかもって想像しちゃったら・・・もう、我慢できない・・ごめん、ベッドもう汚しちゃってる・・・」
彼女を抱きかかえ、ベッドに移動。布団を捲ると。
シーツにはすでに大きなシミがあった。
彼女は、ベッドで、ずっと悶々としていたのだ。
僕「・・・いいの?」
朋美「そうじゃないの。してもいいよ?違うの!お願い・・・してください。」
全部脱がされた。
ねっとりと、舐めまわされた。アレは、グチョグチョになるまで吸われた。ゴムを用意しようとしたら、捨てられた。
朋美「要らないよ。全部中に出して。」
僕「いやさすがに」
朋美「良いって言ってるでしょ!その後なんて気にしないで!」
彼女の舌が、僕の口に入ってくる。呼吸ができない。
馬乗りになり、僕のアレを求める。ドロドロのアソコは何の抵抗もなく奥までずっぽり入ってしまう。
朋美「んっ!んっ!んっ!もっと!もっと!もっと!」
めちゃくちゃだった。
果ててもお構いなしだった。
彼女自身が逝っても、関係なかった。
ただ、お互いの液体だけが、シーツを汚す。
僕は、治療薬を途中で飲んだ。
最後にもう一回だけ、バックで果てた。
彼女は、明け方になり、予約してある新幹線の時間ぎりぎりになるまで、僕のアレを口に含んで離さなかった。
彼女と直接会ったのは、これが最後だった。
ふとしたきっかけで、今はSNSで繋がっている。
もう会うことはない。たまに連絡が来たりするが、ご機嫌伺い程度だ。
僕は、彼女が僕にそうであるように、彼女が幸せになることを心から願っている。
博美「あれ?シーツの柄変わった?」
僕「うん。前のは捨てた。」
博美「季節も変わるし、模様替えしない?って聞こうと思ってたから、変わっててびっくりしたw」
僕の心は、少しだけ痛かった。
370: 以下、
あぁ…
372: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/17(火) 22:11:16.34 ID:M03eAZLE0
まあ、結納前で、正式に婚約してた頃じゃないのでという言い訳を。
もうちょっとお話を進めると、、言い訳の効かないこともしでかしてますが・・
373: 以下、
他の女と旅行に行ってたら隣の女と変わってとホテルに電話があった時は笑った
あの時は参ったよ
まあね
色々あるから楽しい
374: 以下、
もっとやばい事か…すごい楽しみ
375: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 00:57:58.52 ID:au4lEnu60
とはいっても、もう主要な登場人物は殆ど増えない予定なんですよね・・・
このSSも最終章。
どうして書こうと思ったのか。
きっかけはありました。
過去を振り返るきっかけがあって、もう一度過去と向き合ってみた。
そんなSS。
もちろん、時系列が実際と違う人もいる。
セリフも、実は他の人と入れ替わったり。エピソードもシャッフルしていたり。相手のいることなので、特定を避けるため。
実際と微妙に内容を変えたエピソードもあります。
僕が書きたかったのは、彼女達のおかげで僕が成長できたということと、彼女達への感謝。
そして、自分への戒め。
完結まで残りわずか。
少ない時間ですが、最後まで読んでいってください。
今日はお休みなさい。どうやってSSを完結に向けて進めていこうか少し悩み中。
なんだよフェイクがあるなら創作じゃないかと思われる方は、創作のSSだと割り切って読んでください。
僕もそのほうが気楽です。
それでは。
376: 以下、
楽しんでるよ
377: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 10:57:10.27 ID:itApp5of0
僕はキリスト教じゃないし、チャペルでウェディングというのに興味がなかった。
僕は地元で生まれ、七五三も元服も地元の神社で祝った。初詣も地元の神社だ。
それなら、結婚式も地元の神社でしたい。
ささやかだったが、地元の神社で式を挙げた。
式には、京介・堅・絵里奈・玲奈・沢村さん・鈴木さん・淳・未來も駆けつけてくれた。
地元の神社だ。噂を聞きつけて、小・中学校時代の同級生達もやじ馬に来ていた。
皆に祝福されて、神社内を歩く。博美は、白無垢で綺麗だった。
僕は、紋付き袴。
口上を述べる。
巫女さんに促されの三々九度。
準備に半年以上。でもあっという間に終わった。
二次会は、とある会場を貸し切った。200人以上という大きなものになっていた。
僕と博美は、これだけ多くの人に囲まれ、祝福されていた。
僕は一人だ。そう思っていた時期もあったけれど、僕は一人じゃなかった。
感謝。感謝。
優子「久しぶりね。」
僕「お、優子か。元気?二次会来てくれてたんだ。ありがとう。」
優子「当たり前でしょ。おめでとう。」
僕「ありがとう。あ、去年結婚したんだよね?おめでとう」
優子「ありがとうw」
優子も、昔の面影もあるが、年相応の落ち着きをはなっていた。
時代は遷る。
絵里奈「あーあ。結婚しちゃったかー。お兄ちゃんがとられちゃう!」
博美「ふふ。この前は楽しかったですね。いつでも遊んでやってくださいね。」
堅「そう言ってもらえると嬉しいです。また一緒に遊びましょう。」
僕「いや・・過去の黒歴史をばらすのだけはもう勘弁・・・」
淳「お前も結婚か。俺くらいだな、未婚なの。」
僕「趣味が多すぎるんだよ淳は。またこっちに用事がある時は、遊びに来いよ。」
淳「今までは気楽にこれたけれど、奥さんいるなら行きづらいよ。」
博美「全然気にしませんよ?いつでもどうぞ!あ、この前のお酒、美味しくいただきましたよ!」
沢村「おめでとう。また遊びに行くからな。」
僕「ありがとうございます。僕も用事ができたら、そちらに伺いますから。」
博美「あ、噂の沢村さんですね。お噂はかねがねw」
沢村「お前、何を吹き込んだんだ?あ、僕は普通の人だからね!」
博美は、二次会の後、友達と3次会に。
僕は、大学時代の友達・後輩と3次会・4次会。
ホテルに帰ったのは深夜だった。
博美「楽しかったね!」
僕「ああ。祝福されるのも、悪くない。」
博美「・・・今日から、よろしくお願いします。」
僕「こちらこそ、よろしくお願いします。」
僕と博美は、結婚した。
378: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 11:48:15.51 ID:itApp5of0
新居は、地元近くに構えた。
内装のわりに、割安な物件だった。僕たち2人の収入であれば、十分に満喫でき、かつ貯金もしっかりできる。
お互いの仕事が落ち着くのは半年後くらいだったから、新婚旅行はそれから行った。
博美「子羊って苦手なんだけれど、この国のは美味しいね。」
僕「そりゃあ、ちょっと違う。この国だから美味しいんじゃない。この店だから美味しいんだよ。」
その国でも有数のレストラン。
世界には、選りすぐりのお店がたくさんある。
そこには、最高級の食材が集まる。
どの国の料理でも、最高級のものを使えば、だいたい美味い。
日本人、とくにハネムーンの客はどこに行っても重宝される。
そのツアーにも、他の新婚さんもいた。
添乗員「これから、この国最大のリゾート地までご案内致します。レジャーは少ないですが、有数の自然と、最高級の食事をご堪能ください。」
僕「いいね。のんびりできる。」
博美「あ、セスナ機に乗れるんだって。これ乗ってここ行って、ここで買い物して・・・」
添乗員「このツアーはいかがですか?」
僕「自由時間も多いし、オプショナルも充実してるし、無理な要望もできる限りこたえてくれるし、いいツアーですよ。」
添乗員「今回のお客様は、皆良い人ばかりなので、当たりでございますよ。楽ですw」
博美「あーあ。帰りたくないなぁ。帰ったら仕事か・・・」
僕「そうやって働いて、またお金を貯めて、また来よう。」
博美「そうね。また来ることを夢見て、働きますか。」
世の中には、ハネムーンベイビーという言葉がある。
この旅行中に、僕たちの間に、新たな命が宿った。
博美「竜也君、あのね・・・」
僕が帰宅すると、先に帰宅していた博美が、検査薬を見せてきた。
予感はあった。
僕「お、そんな気はしてた。最近、ぼーっとしたり、熱っぽそうだったから。」
博美「パパになった気分は?」
僕「んー、父性は生まれてこないと湧いてこないって言うしなぁ。そっか・・僕がパパかぁ。パパねぇ・・・とりあえず、やってほしいことは全部言ってね。男は言われないとわからない生き物だから。」
379: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 12:09:10.37 ID:itApp5of0
博美は両親と仲が良く、また新居からもそう遠くない位置に実家があったため、よく帰省する。
週末は実家でゆっくりしたいということで、だいたい帰省していた。妊婦だし、家事をさせるのも気が引けていたので好都合だった。
もともと、僕は一人暮らしが長いので、基本的に家事も問題ない。
週末はお互い、気ままに過ごすというのが当時の僕たちのルールだ。
実家への送り迎えは基本的の僕だ。
義父「竜也君、いつも悪いね。」
僕「いいえ?また今度一緒に釣りに行きましょ」
義父「いいねぇ。この前の魚、美味かったよなぁ。」
義母「本当、竜也君が旦那さんで良かった。うちの子、これからもよろしくね。」
博美のご両親との関係も良好だ。
彼女を迎えに行く時は、晩御飯を一緒に食べる。僕は自分の両親とあまり関係が良くないので、嬉しかった。
これが、家庭を持つってことなのかなぁ。
ぼんやりと、そう思った。
380: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 12:58:26.92 ID:itApp5of0
同窓会があった。
中学時代の同窓会だ。
なんでも、神社での僕の結婚式に何人かやじ馬で来ていて、それがきっかけで久しぶりに集まろうという話になったらしい。
声をかければそれなりに集まるもので、50人くらい集まった。恩師も来ていた。
僕「僕、今でも覚えてますよ。先生、僕のノートを見て『きったねぇノートだな!これじゃ読めない!』ってみんなの前で言われたんです。」
恩師「え、そんなに失礼なこと言ったんねすね。申し訳ない。」
僕「とんでもないですよ。それがきっかけで、僕は丁寧に書くことを意識するようになったんです。」
恩師は今、別の中学で校長先生をしているという。
時代はどんどん遷りゆく。
そんな中、見つけてしまった。
(高田万由子似、以下万由子)
万由子「藤原君、お久しぶりです。高田です。覚えていらっしゃいますか?」
僕「ああ、覚えてますよもちろん!成人式以来ですね。たしか京都の方の大学へ行かれたんですよね。今は?」
万由子「今は地元に戻って、結婚して、2児の母です。もう小 学生ですよ。」
僕「そうでしたか、高田さん、あ、マユちゃん。マユちゃんももうお母さんか。」
万由子は、いわゆる初恋の子だった。
知的で、物静かで、小学校の頃から綺麗な子だった。
たまたま、隣の席になって、万由子が忘れ物をしたときに何かを貸してあげたんだと思う。
それ以来、仲良くしていた記憶がある。
小 学生特有の、男の子と女の子が話しているとからかわれたりということもなく。
中学一年まで、同じクラスだった。
だから、当然のように、万由子のことを好きになっていった。
淡い恋心。
彼女は、中二の時、当時の番長と同じクラスになった。
そこで番長にイジメを受けた。
僕は怖くて、それをやめさせるようなこともできなかった。
中二・中三の彼女の苛められぶりは、可哀そうとしか言いようがなかった。
女子たちとはそれなりに上手くやっていた。でも、番長からは苛められていた。
きっと、番長は万由子のことが好きだったんだと思う。
助けられない。でも、自分が標的にされたくない。僕のトラウマの一因はこれだ。
僕は自己嫌悪に陥り、食事を摂れなくなった。それが僕の摂食障害の始まりだった。
彼女は、頑張って勉強し、有数の進学校へ行った。
卒業後、街で見かけた。
万由子「藤原君、お久しぶり。卒業式以来だね。」
僕「うん。マユちゃん、少し雰囲気変わったね。良かった。元気そうで。」
万由子「あ、そうそう。その・・・卒業式、誰かに・・・ボタンあげたの?」
僕「貰ってくれる人なんていないよwあ、知ってる、〇〇、ボタン20個用意して、全部持ってかれたってw」
万由子「私・・・待ってたのになぁ。藤原君が来るの。」
僕「・・え・・ちょっと・・」
万由子「なんてねー。またね。バイバイ。」
万由子「藤原君。久しぶりやなぁ!成人式で戻ってきてよかったわぁ!」
僕「マユちゃん?綺麗になったねぇw振袖似合ってるよ。でもなぜ関西弁w」
万由子「うち、今、京都なん。しゃべり方が、写ってしまって(笑)」
僕「あー、こんなに綺麗になるなら、中学時代に戻って、玉砕覚悟で告白しておけばよかった!ワンチャンあったかもなぁw」
万由子「あはは。藤原君とは無理やったわぁ。もっと身近で、もっと大切な人やったし。。。w」
そっと、万由子の手を握った。万由子はニコニコしていた。
万由子「・・・思い出は、思い出のままがええよ。」
僕「どんどん美化されていっちゃうよ。」
万由子は、手をぎゅっと握り返し、そっと離した。
万由子「覚えていてくれて、ありがとうね。」
僕「忘れるもんか。僕の淡い時代の思い出なんだから。」
万由子「藤原君?」
僕「あー、ごめんごめん。マユちゃんの思い出にふけっていたよw」
万由子「えー、ありがとうwそうだね。今だから言えるけど、藤原君、私の初恋だったな。」
僕「僕もだよw当時勇気を出してたら、違う道もあったのかな?w」
楽しく飲んだ。
万由子だけでなく、皆と連絡先を交換した。
僕は、万由子と連絡を取り始めていた。
381: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 13:37:25.56 ID:itApp5of0
とある週末。
僕は万由子と会った。
万由子「まだ新婚さんなんでしょ?いいの?私なんかと会ってて。」
僕「じゃあ、なぜ僕と会ったの?」
分かってる。分かってるんだ頭の中では。
万由子は、僕の淡い記憶で美化されている。
今、彼女は主婦で、2児の母として平和に暮らしている。
僕は、これから父親になる。
分かってる。
僕「・・・なんだろうな。過去の清算?んー、別に過去にマユちゃんと付き合ってたわけじゃないけど、んー、変な感じ。」
万由子「私は今の生活に不満はないよ?だから、口説きたいなら他をあたってね。今日はたまたま用事がなかったから来たけれど。」
嘘だ。
それならもともと誘いを受けない。
僕「口説きたい?んー、そりゃあ、口説きたいけど、そこまで家庭を蔑ろにしないし、ホイホイとついてくる子なら、むしろ軽蔑するよ。」
万由子「そう、良かった。でも久しぶりね。二人で話すなんて。」
僕「あの頃は、時間なんて無限にあったからなぁ。」
僕は、懺悔したかった。
許されるわけでもないし、許してもらったらどうなるものでもない。
苛められているのを知っていたこと。
助けられなかったこと。
万由子「覚えてないんだ。じゃあ。」
僕「ん?」
万由子「藤原君は、ちゃんと助けてくれていたよ?」
僕「え。いや。助けられなかった記憶しかないよ・・・」
万由子「図書室で待っててくれたでしょ?一緒に勉強してくれた。」
僕「・・・」
万由子「帰り道、偶然を装って待っててくれた。」
僕「・・・」
万由子「だから、私は頑張れたんだよ?」
僕「そっか・・・よかった・・・よかった・・」
万由子「泣くことないでしょうw」
僕「歳とると涙腺が弱くなるんだよ!」
僕は、万由子を救ったんじゃない。
万由子が、僕を救ってくれたんだ。
本当の意味で、過去の呪縛から、解放された。
そんな気分だった。
僕「マユちゃん、今、幸せ?僕は幸せだよ。」
万由子「物足りないと思う日も、正直あるよ。でも・・・うん。幸せだと思う。」
僕「たまにでいいんだ。こうやって、お互い自由な時間の時に、お茶をする時間を共有するってのは、迷惑かな?」
万由子「何、誘ってるの?w私、もうおばさんだよ?w」
僕「僕もおっさんだよw家庭に干渉したり、自分の家庭を蔑ろにしたりはしない。そこはわきまえるよ。2人が危険だと思うなら、プチ同窓会でもいいよ。他の子も呼ぶから。」
万由子「そこまでされる時が引けるから。いいよ。たまにお茶するくらいなら。でも、その・・・あまり期待しないでね?」
僕「あれ僕そんなにがっついてる?そんなつもりもないんだけれど・・」
万由子「もう、おばさんをあまりからかっちゃだめよ?ふふ。」
382: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 14:24:22.79 ID:itApp5of0
万由子は、その言葉と裏腹に、僕と会いたがった。その頻度が増していく。
僕「ちょっと話があるんだ。」
万由子「わかってる。何が言いたいか。今の私は、どうかしてると思う。」
僕「分かってるなら話が早い。この時間をもてることは嬉しいし楽しいけれど、家庭を大事にしないなら別だ。もう会うのはやめよう。」
万由子「元々は、藤原君が誘ったのよ?私は、今までの生活で不満がなかった。なのに・・」
僕「人のせいにするのは簡単だよ。ただのきっかけに過ぎないよ。きっと、僕じゃなくても、いつか、こうなるんじゃないかな?」
万由子「・・・この前の同窓会後、実は、他の人からも連絡があった。だから、否定できない。」
僕「マユちゃん、綺麗だからね。しょうがないよ。」
万由子「その言い方だよ。主人はもう、そういうことを言ってくれない。私はもう、母なの。女として見られて、嬉しくないわけないじゃない・・・」
僕「罪悪感もあるでしょ?」
万由子「毎日、申し訳ない気持ちでいっぱいだよ。でも会いたい。」
僕「関係を持つことは簡単だよ。でも、それを断ち切るのって大変。僕が断っても、次を探すようになっちゃうよ。僕はそういう人をたくさん知ってる。マユちゃんには、そんな子になってほしくない。」
万由子「藤原君・・・他にも手を出してるんだ・・・」
僕「え?まさかw僕の先輩の相手の話だよ。」
万由子「じゃあ、思い出を頂戴。それでもう一切会わない。」
僕「会わないとして、他の子を探すの?」
万由子「わからない。でも、この苦しさから解放されたい。」
僕「じゃあ、その後、ラインも消すけどいい?」
万由子「良くないけど・・・消す。いい機会だとおもう。」
その日の午後、とある休憩室。
2時間という限られた時間。
僕と彼女は、体を重ねた。
万由子「恥ずかしい・・・私の体型・・・おばさんだよね・・・」
僕「主婦として、頑張ってるんだなと思えるよ。いい手だ。」
洗い物も頑張ってるんだな。
自分の体を労わる時間なんて、そんなに取れないんだろうな。
僕は、彼女の体を労わった。
僕「マユちゃん、声を上げるべきだよ、旦那に。私を見てって。」
万由子「怖いよ・・・もう、母親として見てないよ。」
僕「それの何が怖いんだ?今の体型に恥じることなんてないさ。育児を頑張ってる証拠さ。」
万由子「んっ・・・・あったかい・・・あっ・・・あっ・・・」
僕は、全身をマッサージした。少し強めに揉んだ。
きっとしばらく刺激されていない部分を、愛撫しつづけた。
万由子「んっ・・んんんっ・・・主人は・・・あっあっあっ・・・私を見てくれるかな・・・んっいやっやだ・・・やめて・・・あんっ・・・」
意外にも、僕のアレはすんなり入った。挿れながら、ク〇トリスを責める。
僕「あったかい。きもちいい。」
万由子「やめっ・・・・あんっ・・・あんっあんっ・・・んんん・・・」
彼女は、仰け反って逃げようとする。それを押さえつける。
背徳感。それだけが僕を支配する。
僕「そら、どうよ?旦那に申し訳ないか?申し訳ないけど、気持ちいいのか?んっ・・ああっ・・」
万由子「ごめんなさい!ごめんなさい!もうやめて!もう会わないから!あんっ・・やだっ・・やだっ・・・んっ。んっ!!!」
後ろ向きになったとこで背後から突く。
肩をつかみ、押し当てる。そのままベッドに倒す。グイグイと突く。
万由子「いやっ!!んっ!!んっ!!ああっ!!」
そのおしりを両手でつかみ、根元までアレを入れる。ゴム付きのまま、中で果てる。
僕「・・ふぅっ・・・はぁっ・・はぁっ・・・んっ・・・」
万由子「・・・んっ・・・はぁっ・・・」
僕「もう会わない。それでいい?」
万由子「うん。もう会わない。気づいた。やっぱり、私には、主人が一番。藤原君には申し訳ないけど、主人の方が気持ち良かった。」
僕「悪かったなw下手でw」
万由子「そうじゃないよw気持ち良かったんだけど、やっぱり、主人とがいい。もう一度女として見てもらえるように頑張る。」
僕「そっか。僕がヤリ得しちゃった感じがあるけど・・・」
万由子「こんなおばさんを口説いてもしょうがないよw藤原君、お父さんになるんだから、もうこういうの止めなさいよ?私が言えた義理じゃないけれど・・・」
分かってるよ。
僕は父親になる。
不安なんだよ。
父親になるのが。
383: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 14:57:55.23 ID:itApp5of0
博美「よいしょっと。ふぅ。ありがとう。」
僕「腰いたい?大丈夫?」
博美「なんとか・・・もう会社に行くのも無理・・産まれるまで暫く実家暮らしでもいい?」
僕「いいけど・・・僕ってやっぱり頼りないのかな・・・」
博美「まさかwいつもこうやって助けてくれるし、ご飯も作ってくれるし、お洗濯もしてくれるし。私は本当に恵まれてると思うよ。本当にいい旦那さんだよ。」
心が痛い。
僕「それでもやっぱり実家の方がいいかー。楽だものねぇ。」
博美「違うの・・・竜也君に負担をかけたくないの・・・最近、竜也君、明らかに無理してる。そんなに頑張ってパパになろうとしなくてもいいよ。」
僕「無理・・してるのかな。」
博美「うん。無理してる。少し、羽伸ばしなよ。産まれたらもう、羽を伸ばす時間も無くなるよ。竜也君はそういう人だから。」
博美は、実家でしばらく安静にすることになった。
予定日まであと3か月もある。
完全な安産というわけではなく、すぐに病院にいけるようにしていないといけない。
緊急入院も視野に入れての帰省だった。
それでも週に数回は義実家で食事に行った。もちろん、仕事もそれなりにやった。
でも、夜になると、不安になる。
これから、激変する生活についていけるのかな。
そんな不安を消そうとするかのように、僕は夜の街へ出る。
様変わりした。
この10年で、知っている店もほとんど消えた。
また、新規の店を探す。
その店がなくなる。そんな繰り返しの10年以上。
ふと、とあるお店が目に留まった。
入ったことのないお店。
今日は、ここにしよう。
新規のお店に、一人ではいるのは勇気がいる。
開いていない時もある。
常連さんばかりで、肩身の狭い時もある。
雰囲気の悪い店の時もある。
もちろん、いい店もある。
今日は、どんなお店かな。
カラン。
「いらっしゃ・・・あ?あれ?え?・・・竜也さん?」
僕「え?・・・あ!?え?うわ。お久しぶり!元気だった?偶然だね!」
そこには、僕が地元に帰ってきたころによく通っていたお店のママ、優香がいた。
384: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 15:25:36.54 ID:itApp5of0
優香「竜也さん、お久しぶり・・・お元気そうで。少し太りましたね。ふふふ。」
僕「人の事言えないでしょ。優香ちゃん、前よりぽっちゃりしてるし。」
優香は、苦労したのだろうか。
昔より華のない感じだった。
優香「あ、これ、覚えてますか?」
僕「あ、僕のボトルだ。どうしてここにあるの?」
優香「前のお店を出る時、常連さんの殆どには声をかけたんですけれど。竜也さんには会えなくて。それで、もし次に会えた時のためにって、取っておいたんです。」
僕「そうだったんだ。うわ。懐かしいな。今はここで一人?」
優香「あはは、そうじゃないんです。」
彼女は、別のお店を経営していた。
足を運んだことはないが、僕も知っているお店だった。人気店だ。
優香「経営も順調。このお店は、私が息抜きでやっている、隠れ家みたいなもんなんです。はい、ロック。お通しはサービスですよ。」
僕「ああ、その笑顔。さっき入ってきた時は疲れてるように見えたんだ。良かった。昔の笑顔のままだ。」
優香と知り合って15年近く経っていた。お互い、おじさんとおばさんになったものだ。
昔話に花が咲く。
優香「最近ちょっとイヤなことが多かったんですけど、久しぶりにいい気分です!そっか・・・竜也さんに会えた。嬉しい。」
僕「そう言ってくれてうれしいよ。また来るよ。」
優香「はい。お待ちしてます。あ、ここ、曜日限定ですからね!」
僕「ホント趣味の店なんだね。優香ちゃんひとりでやってるの?」
優香「若い子もいるから!でも紹介しない!竜也さんが来たら若い子には帰ってもらいますから!」
僕「むちゃくちゃだな。またねー。」
僕はもう一本ボトルキープをし、帰った。
久々に、晴れやかな夜だった。
時代は遷る。
いいこともあれば、そうじゃないこともある。
前を向いていこう。
僕は、父親になるんだから。
385: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 16:25:23.66 ID:itApp5of0
カラン。
優香「あらいらっしゃい。」
僕「ロックで」
こじんまりとしたお店だ。
前の店ほど充実していないが、落ち着いたいい店だった。
常連客「あら、若い子が来たな。」
僕「失礼します。これからたまに顔を出すので、よろしくお願いします。」
常連客「礼儀正しいな。こちらこそ。ママ、知り合い?」
優香「知り合いも何も、前のお店でお世話になってた方で、もう15年の付き合いですよー。」
常連客「うわぁ凄い。僕の方が新参だ。よろしくお願いしますね!」
僕「いやいや・・・僕ここ2回目ですから・・いろいろ教えてください。」
常連客「じゃあ、僕は先に帰るから。またよろしく。」
優香「もう帰っちゃうの?あ、10時ですものね。いつものお時間。今日もありがとう。また来てくださいね。」
僕「いい店にはいい客が入るね。」
優香「そうですね。いいお客さんばかり。あ、一杯戴いても?」
僕「どうぞ。」
彼女は、一気に飲み干した。ストレートを。
せき込む彼女。
僕「ちょっとw大丈夫?」
優香「竜也さん強いの飲んでるんですね!げほっ!げほっ!」
むせながら、外の明かりを消す。
優香「ふっふっふ。今日は帰しませんよ!」
僕「ええ・・・」
優香「以前、介抱したことありましたよね?その逆です。」
僕「ああ、あったなぁ。」
彼女は、この10年を語りだした。
前のお店のオーナーは、旦那さんだったらしい。
この旦那さん、お店を出したものの働かない。愛想を尽かして別れたと。
今はやりたかったことをやれてる。
従業員さんも何人かいて、気楽らしい。
優香「ひっく・・・あの当時、本当につらかった・・・」
僕「そっかそっか。優香ちゃん、頑張ってたものね。でもお客さんがいなくて。」
優香「竜也さん達がよく来てくれて、本当にうれしかった。あの頃、ちょくちょくお店を空けてたでしょ?」
僕「ああ、10分だけお店見ててとかよく言われてたね。」
優香「あの当時はね、竜也さんにお支払いするお釣りもなくて・・カードで借金しに行ってた・・・」
僕「そう言ってくれれば、お釣りなんて要らなかったよ。苦労したんだね。」
優香「そんな失礼なことできない!絶対頑張るんだってプライドだけで仕事してた。」
彼女は、僕の隣に座った。肩に頭を預けてくる。
僕「お店、繁盛して良かった。」
優香「うん。竜也さん達が入口で飲んでくれたから。お店だって知ってくれた人が入ってくれるようになったのよ。」
僕「知名度だけだったから、足りなかったのは。」
ふと、彼女は立とうとした。
ヨロヨロとし、倒れこんだ。
386: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 16:27:32.47 ID:itApp5of0
僕「ちょっと・・飲み過ぎじゃない?立てる?」
優香「だってー。嬉しかったんだもんー。他の常連客なんて最初だけ来て今は誰も来ないしー。」
僕「酔っ払いめ・・ママが酔ってどうするんだよ・・・」
抱き着かれる。
優香「私ねー。旦那と別れてから、娘を育てて切り盛りするのに精いっぱいでー。こうやって会えてうれしくてー。ちゅっ・・気持ちいいー。」
僕「・・・頑張ったね。優香ちゃん。頑張ったよ。よしよし。」
優香「奥さんに内緒でいいからー。今日だけでいいからー。起きたら忘れてもいいからー。わたしもー・・忘れるからさー。ね?」
こじんまりしたお店の隅にあるボックス。そこに押し倒される。
のしかかり、キスされる。
おぼつかない手つきで、僕のズボンを引きはがす。
僕「優香ちゃんwちょっとwん・・・ちょっ・・・」
一心不乱に、僕のアレを貪る。
優香「先っぽだけね?ね?」
僕「盛りのついた高校生か!あっ・・・」
彼女は、乱れた。
いざという時の薬を忍ばせている自分が悲しい。
一回きり。
一回だけ、果てた。
その後、優香と関係を持っていない。
僕はお店に顔を出すが、優香に迫ったことも、優香が迫ってきたこともない。
「忘れていいから。」
今思えば、彼女なりの営業だったのかもしれない。
真偽は不明だ。
僕はこの記憶を、忘れることにした。
ここに書いて、もう、どこにもしゃべらないし、書かない。
387: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 16:37:08.45 ID:itApp5of0
カラン
(西内まりや似、以下まりや)
まりや「いらっしゃいませ。」
僕「あれ?ママさんは?今日、顔出すよってライン入れておいたのに。」
まりや「あ、ママは今日、どうしても外せない用事があるみたいで、本当は、このお店を開けないつもりだったみたいですよ。」
僕「そうだったんだ。悪いことしたな。そう言ってくれればいいのに。」
若い子だった。
綺麗だな。色白いな。
まりや「今日、私、初めてここに立ってます。ピンチヒッターですw」
僕「さらに申し訳ない。ごめんねわざわざ。」
まりや「いえいえ。竜也さんだけ相手にすればいいって言われてますから、気楽ですよ。」
まりやは、慣れない手つきでお酒を用意してくれた。
そして、外の電気を消す。
まりや「ゆっくりしてってくださいねー」
僕「え?貸切?そこまでしなくてもw」
まりや「・・・えっと、私が誰か、分かりませんか?」
僕「ええ・・・知り合い?え?いや?若い子に知り合いはいないよ?」
まりやは、クスクスと笑って、改めて自己紹介してくれた。
まりや「10年以上ぶりですものね。わかりませんよね。私、ママの娘ですよ!」
388: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/18(水) 17:01:03.12 ID:itApp5of0
僕「・・・・?え?あー、そういえば、昔、お店に、たまに小っちゃい子がいたね・・・そうだよなぁ。ママが自分の娘だって言ってた。」
まりや「そういう私も、当時の記憶ってほとんどないですw」
僕「朧げだけど、あんな小っちゃい子が、こんなに大きくなるんだ・・・当たり前だけど・・・」
まりや「ですから、今日、竜也さんとお話ししたくて。ママの了解済みで貸切ですw」
まりやは、中学時代に荒れたらしい。学校にも行かず、警察に補導されては優香に迎えに来てもらっていた。
僕「寂しかったのかな?思春期だねぇ。」
まりや「母には、感謝しかないの。今は大学で勉強です。将来の夢もあるんですよ。」
いい子だな。
僕「悪かったね。突き合わせちゃって。ほぼ知らない男と2人なんて、若い子にはつらいよねw」
まりや「え?全然?むしろ、同級生の男には興味がないですwみんな子供ですよ。思春期にお父さんがいなかったからかな。竜也さんくらいの人が好みですものw」
僕「まりやちゃんに手出したら、ママに殺されるw」
まりや「竜也さん、いい人ですね。新婚さんって聞いてます。そんな人にアタックできないですよw」
僕「まあね。うーん、あれだよ?学生は青春を謳歌しなきゃ。学生の彼氏を見つけることだね。」
まりや「出来るといいですけど・・・あ、私、たまにお店にお客として顔出しますから。・・・また会ってください。」
色白の、若い肌。普段は着ないであろう、夜のお店用の洋服からは、少しだけ大胆にカットされた胸元から、まぶしい膨らみが垣間見えてしまう。
僕「よせ。胸元が眩しい。期待しちゃうからヤメテw」
まりや「え?あ・・・エッチw年上の男の人って、ほんとギラギラしてますよね。今の若い人に見習ってほしいです。何ですか?若い子の胸が見たいんですか?w」
僕「コラコラwちょ・・・見たいwでも見ちゃいけないw」
僕「と、とにかく、今日はありがとう。またね。おやすみ!」
まりや「はいー。おやすみなさい。あ、ライン交換!」
世の中年男性は若い子が好き。
そう言われる理由が少しだけわかった。
391: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 11:40:08.01 ID:P1Y30mfH0
予定日きっかりに、娘が生まれた。
博美「もう無理。もうダメ。もう死ぬ。」
僕「よくやった・・・・よく頑張った・・・」
博美「え?なに?もう産まれたの?」
不思議な感覚だった。
さっきまで母親の胎内にいた一部が、自発的に呼吸していた。
本当に、赤ちゃんが生まれた。
ひとしきり泣き叫んだあと、娘は博美の胸元でスヤスヤと寝た。
助産師「おめでとうございます。元気な赤ちゃんですね!」
名前の候補はいくつか考えていた。
産まれてみて、娘の顔を見て、その候補の中から選ぼうという話だった。
顔を見た瞬間、一つの名前が浮かんだ。
その名前で命名した。
産前、産後の女性は手負いの野生動物だと思えという教えは本当だ。
何をしても文句を言われる。
それでも、僕なりに一生懸命頑張った。
それでも、いつも文句を言われた。
娘の面倒を見ていれば、なぜ家事を手伝わないのかと言われ、家事を手伝えば、ちゃんと娘を見ていてくれなきゃ困ると言われ。
たまには息抜きしてきていいよと言われて出かければ、1時間もすれば「いつまで遊んでるんだ」と言われた。
これが家庭を持つことなのかな。
とにかく、休まる時間が全くなかった。
博美も、休まる時間がなかった。
お互い、いわゆる高齢出産だったため、何をするにも体力が足りなかったのだろう。
つい先日、お互いに飲みながら、当時の話をした。
博美「んー、産後はイライラしてたなぁ」
僕「いっつも文句言われてたよ・・」
博美「え?そうだっけ?いっぱいいっぱいで、文句を言ってた記憶もないよ・・・」
僕「そういうもんかねぇ」
博美「それに、私は何の不満も持ってないよ?ママ友も、昔からの友達も、旦那さんの愚痴ばっかり言ってるけど、私一切そういうのないよ?」
僕「そうなんだ。不思議。僕何も手伝わないのに・・」
博美「娘ちゃんと毎日お風呂に入ってくれるし、いつも早く帰ってきてくれるし、しっかり稼いでくれるし、好きなことさせてくれるし、ご飯作りたくない時は作ってくれるし、休みの日はちゃんと娘ちゃんの面倒見てくれるじゃない。イクメンだよ?」
僕「それはイクメンじゃないよ、ただの「父親」だよ。」
僕が社会人として模範的かどうかはわからない。
少なくとも、この家庭において、僕は父親として必要とされているようだ。
393: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 13:41:04.10 ID:P1Y30mfH0
僕「出張ですか?」
社長「うん。基本取引契約の締結だけだから。判子その場で押していいからね。」
僕「流石に、持ち帰って中身を吟味しないと。」
社長「いいよいいよ。事前に貰って内容確認してるから。」
僕「その内容を確認して、照らし合わせたいので、資料いただけますか。」
社長「相変わらず固いね。わかったよ。」
博美「珍しいね、出張なんて。」
僕「結婚前は、海外に拘束されたりいろいろで結構あったんだけれどね。最近はなくなってたな。」
博美「今回の出張が国内なだけマシなのねw」
僕「そうだね。あ、前働いてた会社の近くだから、淳にも会おうかと思ってるんだ。今から行って企業の案内を受けて顔合わせして、夜淳に会って、翌日の午前中に会議があって、そのまま帰ってくるからね」
僕は、前の会社の近くにある企業へ出張に行った。
以前は頻繁に出張があったが、最近は滅多にない。
まあ、出張の殆どはわざわざ行く必要がなかったし、市村さんが遊びに行きたかったから同行していただけだ。
久々に訪れる、前の会社のある地域。
駅に向かい、かつて通い慣れたホームから新幹線に乗る。
あの頃は自由席だった。
今は、グリーンの指定席。
移動時間を利用し、資料に目を通す。
要点はここだな。
後は内容確認。まあ一般的な契約書だ。問題ない。
時間は・・・
まだまだあるな。ちょっと一休みしよう。
全ての事には繋がりがある。
僕はこの後に起こる再会を全く予期していなかった。
394: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 14:46:40.45 ID:P1Y30mfH0
約束の時間までは、まだ少しある。
この駅も、よく使ったな。
15年も経てば、駅も様変わりする。
目に映るものの中で、ホームと改札以外、何一つ面影がない。
かつてあった売店もなくなり、コンビニとカフェに変わっている。
僕はコーヒーを飲みながら時間をつぶした。
駅からタクシーでその企業へ出向く。
守衛さんに、取り次いでもらう。
守衛「はい。藤原さんという方が、△△さんへ面会のお約束です。あ、はい。了解いたしました。」
守衛「お待たせしました。案内係を寄こすそうです。少々お待ちください。」
僕「ありがとうございます。」
守衛「それが仕事ですので。しかしめっきり寒くなりましたね。」
僕「本当ですね。着込んで来て正解でした。今年の冬は、寒そうですね。温暖化ってなんなんでしょうね。」
守衛「まあ、式を感じることも大切ですからね。あ。これ来客者様用のバッジです。」
僕「はい。つけておきます。」
「お待たせしました。・・・あら?藤原さんって本当に藤原さんだったんですね。ご無沙汰してます。」
僕はその声を聴いて、振り返った。
そこには、涼子がいた。
395: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 15:51:10.63 ID:P1Y30mfH0
僕「あ・・・ご無沙汰してます。本日はよろしくお願いします。」
涼子「相変わらず、動じない人ですね。ご案内します。」
僕「あなたも、相変わらずですね。」
淡々と進む会話。
スタスタと歩く涼子。涼子はかつての恋人。僕のエゴで、一方的に振った女だ。今、彼女はどんな気持ちでいるのだろう。
そして、なぜこの会社にいるのか。
疑問はたくさんあるが、とにかくビジネスが先だ。
スラリとした体型。
同い年なのだから、アラフォーだよなぁ。
もちろん、年齢を重ねているのだから、それなりの深みはあるけれど。
それでもやはり、美人だった。
涼子「どうかしましたか?」
僕「いいえ。ご案内感謝します。こちらの会議室ですか?」
涼子「はい。あ、私も同席しますので。」
僕「そうでしたか。」
客先部長「お世話になります。本日はご足労いただきありがとうございます。」
僕「いえ。こちらこそお時間をいただきありがとうございます。」
客先部長「どうぞ、お掛け下さい。本日は顔合わせだけですが、よろしくお願いします。」
何人かと顔合わせ。
涼子は、難関と言われる国家資格の肩書がついていた。
そして、苗字も変わっていた。
そういうことか。資格を取って転職したのか。結婚もしたんだな。良かった。
でもまさか、ここで繋がるとは思わなかった。
396: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 16:05:05.93 ID:P1Y30mfH0
涼子「まさか、再会できるとは思っていませんでした。」
帰り際、表情を変えることなく、彼女はそう言った。
歩きながらの、短い会話。
僕「同じことを思ってましたよ。苗字、変わってるんですね。お子さんは?」
涼子「一人、います。・・・藤原さんは?」
僕「先日、一人目が生まれました。毎日、腰痛との戦いです。」
涼子「そうでしたか。子育てって大変ですものね。頑張ってくださいね。」
涼子「今日はこちらに泊まるんですか。」
僕「そのつもりです。」
涼子「あまり時間は取れませんが、どこかで軽く飲みませんか。」
僕「・・・・えー。そうですね・・・主婦には厳しいですが、21時くらいなら。先約がありまして。」
涼子「22時くらいに帰ってもいいのでしたら大丈夫ですよ。仕事柄、遅くなることはあります。そこは大丈夫ですよ。」
その夜、淳と食事をした。
淳「マジか。元カノとこれから会うの?元カノって涼子ちゃんでしょ?根性あるなぁ。まあ美人だったし、会いたい気持ちもわかる。」
僕「そんなんじゃないよ。」
淳「でもあれだろ?今夜は一緒にいるつもりなんだろ?人妻かぁ・・いいなぁ。」
僕「お前の頭の中を覗いてやりたいよ。どういう思考回路してるんだ。」
約束の時間。21時。
僕はスーツのまま。
彼女もまた、スーツでやってきた。
397: 以下、
本当に偶然てあるよな
398: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 16:27:50.82 ID:P1Y30mfH0
涼子「竜也さん!ここですここ!」
ブンブンと手を振ってやってくる彼女。こちらが恥ずかしくなる。
にこやかな表情だった。上手く笑えるようになったんだな。
僕「恥ずかしいから!ったく。日中の涼子はなんだったんだよ。」
涼子「仕事中だったから!竜也さんだって、無表情だったじゃない!でもお久しぶり!びっくりしたよ!」
僕「こっちもびっくりしたよ!相変わらずの美人で、おっさんになった自分が恥ずかしいw」
涼子「そう?まあ確かに多少ふっくらしたけど、男はそれくらいじゃないと。」
近くのお店に入る。
涼子「先約は大丈夫だったの?」
僕「うん。さっき会ってきた。前の会社の同期。隣に住んでたヤツ。覚えてる?」
涼子「朧げだけどwあのマンションがしばらくトラウマだったから、記憶に封印されちゃったかなw」
僕「・・・その節は、本当に申し訳なかった。謝ることさえ、許されないと思ってた。今日も、許されようと思ってるわけじゃない。」
僕は、深々と頭を下げた。
彼女はすこしぽかんとして、笑った。
涼子「えw何言ってるのよ。そんな昔のこと、とっくに忘れちゃったよ。今となっては、いい思い出なだけだよw」
僕「ま、そうだよな。男性は別名で保存。女性は上書き保存っていうものね。」
時間。
時間だけが、僕たちの溝を埋めていた。
涼子「私ね。竜也さんと別れて、ずっと考えてたの。」
僕「何を?」
涼子「きっと、私は、誤解されやすいの。嫌われたくない。気持ちの変化を読み取られたくない。そんな風に付き合ってた。」
僕「・・・そうだね。正直、何を考えてるのか分からなかった。」
涼子「あの頃、もっと楽しそうに笑ってたら、もっと怒ってたら、もっと泣いてたら、別れなかった?」
僕「どうかな。たらればっていうのはない。でも、付き合い方は変わっただろうね。」
僕は、グラスの中身を飲み干す。
ドライマティーニを頼む。
涼子「暫くは何も手がつかなかったけれど、私は立ち直った。で、もっと感情を出せるように頑張った。そうやって頑張った結果が、今の私よ。」
僕「そうか。こんな最低な僕でも、役に立ったんだね。」
涼子「もちろん。あと、最低じゃないよ。私が、愛した、素晴らしい人、だよ。」
回り道をしたけれど、幸せになった。
僕は?
僕「ああ。ありがとう。じゃあ、今は幸せなんだね。」
涼子「ええ。時々、会社が嫌になる程度よw」
僕「これから取引する相手の会社の人に愚痴らないでw」
399: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 16:33:44.10 ID:P1Y30mfH0
>>397
本編から外れるから敢えて書かなかったけれど、作中の優子にあたる子とも偶然の再開をしてる。
胸クソ悪いから書かないけど。
あ、作中の菜々子さんとも別件で再会してる。軽くホラーなのでこれも書かない。
作中の涼子との再会は、きっと、過去の自分と向き合うチャンスを貰えたんだと思ってる。あんまりそういうのは信じてないんだけれどね。
今回のSSを書くきっかけは、涼子との再会だった。
400: 以下、
(書いて欲しいなぁ)ボソッ
401: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 16:54:41.43 ID:P1Y30mfH0
僕の、涼子への贖罪は、一生かかってもできないだろう。
現に、今も治療薬がないと行為はできない。
ただ、僕のわだかまりの根底にあった万由子・涼子に会えたことで、僕は救われた。
また、2人だけではない。
今までお付き合いした彼女達全てが、今の僕を作り上げている。
きっと、僕の半生は、多少特殊なこともあるけれど、ごくごく一般的な物なんだろうと思う。
誰しもが、いろんな人と関わって、その人が作り上げられていく。
今という時間は、過去の積み重ねで作られる。
ならば、未来ももう決まっているのでは?たまに、そう錯覚することもある。
きっと、そんなことはない。
彼女達との付き合いだけに限らず、僕は過去に何回も後悔している。
その選択肢一つ違っただけでも、きっと、今の僕にはたどり着いていない。
僕の人生は、まだまだ続く。
きっとこれからも、たくさん後悔する。そうやって生きていくんだろう。
でも、まりやを見ていると、自分の娘を見ていると、友達の子達を見ていると、そして、今まで出会った彼女達・その家族達を見ていると、僕の人生と同じように、皆が頑張って自分の人生を歩み、これから作り上げていくんだろうな。と感じる。
しみじみと感慨にふけった。
そして、SSを書きたくなった。
自分の半生を振り返ってみようかな。
ここに書き込んでも、何か変わるわけじゃないけど。
面白おかしく転載する人もいるかも。
なら、多少時系列を変えたりエピソードを変えたりしないとなぁ。
そんなことを考えながら、なんとなくSSを書き始めた。
ここまで長編にするつもりもなかったんだけれどね。
あー、きっと、これ書いて批判する人もいるんだろうなぁ。
でも、書いてすっきりした。
また明日から頑張ろう。
もうすぐラスト。
402: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 17:07:55.17 ID:P1Y30mfH0
契約書を確認する。
僕「・・・はい。確認しました。この場でサインします。」
客先部長「持ち帰っていただいても結構ですよ?」
僕「いえ、社長の了解済みですし、前回の資料と内容は全く同じですので。」
涼子「では、こちらもサインと割り印を押します。片方はお持ち帰りください。」
僕「いいんですか?即決で。」
涼子「個人的な事情で申し訳ありませんが、あなたを信用しておりますので。」
客先部長「なになに?どういうことですか?w」
僕「・・・コホン(コラ!w)。」
涼子「・・・ふふふ。実は、藤原さんは旧知の仲なんです。信用できる方ですので。」
客先部長「そうか。君が言うなら間違いないな。」
こうして、新たに取引が始まる。
僕の会社は、入社してから売り上げが2倍以上になっていた。
「あなたは、あなたの場所で、輝いていて。」
そんなことを、誰かが言った。
僕は、これからも、自分の場所で、輝く。
さあ、頑張ろう。
僕「ただいま!」
娘「パパー!ただいまー!」
僕「だーかーら、パパがただいまって言ったら、おかえり、でしょ!」
SS【彼女達との思い出】
?完?
403: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/19(木) 17:13:06.04 ID:P1Y30mfH0
とりあえずこれで終了します。
皆様、お付き合いいただき、ありがとうございました。
途中、「乙」の一言だけでも、とても励みになりました。
気が向いたら、登場人物の短編スピンオフ(多少改ざん・入れ替え等しますが)を書きたいと思います。
需要があればですが。。。
ではこれで。
404: 以下、
今までお疲れ様。
リアリティあって面白い話だったし人の人生が見れた感じがして良かった
短編も期待してるよ
405: 以下、
お疲れ様
最初は俺しか見てないのかなと思ったけど良かった
あの子と結婚してたらどんな人生になってたのかなと思う事はよくあるよね
でも女房が1番いいと思う
これからも奥さんと子供と仲良くね
同じく続編あれば頼むよ
406: 以下、

なんか過去の自分を見てるようだった
スピンオフに期待
407: 以下、
お疲れ様、一気に全部読んでしまったww
すごい良くて言葉にできない感情だよ
個人的には涼子さんが一番好みだったなぁ
というわけで涼子さんの話を知りたい!
408: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/21(土) 08:12:43.11 ID:El+0XpZT0
反響があり嬉しいです。
自分と重ねあわしておられる方も多いんですね。
奥さんが一番。そうかもしれないですね。
奥さんには、感謝しかないです。
前半で仕事のパートに時間をかけてしまいました。
本来の「彼女達との関わり合い」という趣旨から外れているなと感じ、後半は仕事の話を簡略化しました。
そのことが「後半は少し読みごたえがない」という感想を出してしまったようです。
今後注意していきたいです。
>>400
短編ですが、優子との再会編をこれから載せたいと思います。
>>404-406
ありがとうございます。何かの形で書いていきたいと思います。
ただ、Rで書きながら、性的要素がほとんどなくなるであろうことをあらかじめ宣言しておきます。。
>>407
涼子との思い出・・・昨晩考えていたんですが、付き合う前後のエピソードを思い出しました。
ある程度準備ができたら、書いていきたいと思います。
409: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/21(土) 08:15:58.32 ID:El+0XpZT0
短編
【優子との再会】
優子との再会編
思い出すだけでも胸クソ悪い・・・
でもまあ、書くだけ書くか。
突然、優子からメールが来た。
優子は、大学時代から前の会社に入って1年くらいまで付き合っていた彼女だ。
僕が会社を辞めて、地元の会社に転職。数年経った頃の出来事だった。
優子「お久しぶりです。藤原さんって、○○という会社にいるんですか。」
僕はこのメールを無視した。
数日後、またメールが来た。
優子「このアドレス、生きてますか?実は、私の大学時代の友達が、先週、藤原さんと会話をしたらしいんです。○○という会社で。気になったのでメールをしました。」
僕は、少し気になり、返信した。
僕「ご無沙汰しています。確かに、僕は今、その会社にいます。でも、その友達には記憶がありません。友達って誰ですか?」
僕の職場には、基本的に若い人はいない。
また、基本、知り合いしか来ない会社だ。全く記憶がなかった。
優子「学生時代から知っている人ですよ?覚えてないんですか?」
こんな始まりだった。
結局、その時、誰かは教えてくれなかった。
数日後、会社での出来事。
先週から調子の悪かったPC数台。予測通り、先週から導入したソフトが原因だった。
事務機屋さんから派遣されたスタッフさんのおかげで、なんとか復旧し、問題は解決された。
スタッフ「その他、気になることはありますか?」
僕「いえ。もう特にないです。原因が分かって良かったです。助かりました。」
スタッフ「では、ここにサインを。」
僕「はい。これでやっと仕事が再開できます。」
スタッフさんは、少し間を開けて、こちらの様子を伺っている。
スタッフ「あの・・・私のこと、覚えていらっしゃいませんか?」
僕「え?さあ・・・・」
その時、優子のメールがフラッシュバックする。
僕「あ!あ・・えっと・・・先日、私の知り合いが、僕をこの会社で見たっていう人がいるってメールをくれたんですが、ひょっとしてあなたですか?」
確かに、そのスタッフさんは若い女性だ。
気にも留めていなかった。
確かに、先週も多少はお話ししたけれど・・・
410: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/21(土) 08:16:50.74 ID:El+0XpZT0
スタッフ「そうです!私です。でも、覚えていらっしゃらないんですね・・・私、藤原さんと同じサークルにいた後輩なんですけど・・・」
僕「え?そうだったの?・・・ごめん、よく覚えてないなぁ。それで優子ちゃんのこと知ってたんだ。」
スタッフ「はい。当時、お二人はお付き合いしてらっしゃいましたよね?」
僕「うん。まあ、そうだね。」
スタッフ「確か県外に行っちゃったって聞いてたので、何かの間違いかなと思って、優子ちゃんに確認してみたんです。先週。そうしたら、聞いてみるねって。」
僕「そっかそっか。僕ね、数年前に転職して地元に帰ってきたんだ。彼女とは別れてるから特に伝えてなかったんだ。」
帰宅後、優子にメールを返した。
僕「優子ちゃんがが言ってた人、誰かわかったよ。記憶にはなかったけれど・・・相手もよく覚えていてくれたものだね。」
優子「そうでしたか。良かったです。その職場、私の今の職場からも近いんですよ。」
僕「そうなんだ。あ、じゃあ、今度ランチでも一緒に行く?近況くらい教えてよ。」
優子「いいですよ。私も当時のこと、すこしお話したいことがあったので。」
僕は知っていた。
優子は、僕との遠距離恋愛中に、妻帯者と不倫関係にあった。
それは優子の弟から聞いていたが、その後のことは、別の友人から聞いた。
彼女、相手を振り回し、とうとう、相手は離婚。
その後、会社にばれて、懲戒解雇された。相手はストーカー化。警察に処罰された。
とんでもない女だ。
411: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/21(土) 08:17:54.21 ID:El+0XpZT0
僕「久しぶり。元気そうで何よりです。」
優子「戻ってきてくれてたんだね。教えてくれてもよかったのに。」
僕「いろいろ燃え尽きてね。今はただのサラリーマンさ。」
優子「昔もサラリーマンでしょ。」
彼女は、当時のことを懐かしそうに話した。
優子「本当に、当時は申し訳ないことしたなぁ。あの頃、周りはみんな恋愛を成就して行って。私は遠距離で。」
僕「うん。それなりに納得してたと思ってたからなぁ。僕も。」
優子「そんな時だった。私の友達が、毎朝、毎晩、違う会社なのに、送り迎えしてくれた。」
お前の上司だろう。知ってるんだよ。こっちは。
だいたい、その送り迎えをしてもらってる時点でアウトだろ・・・
僕「そうだったんだ。身近にいる、君のことを考えてくれる人と、遠くにいて何もしない僕だったら、身近な方を取るよね。」
優子「うん。結婚の約束までしたのに。私はあなたを待てなかった。その人が運命の人だって信じた。」
僕は嫌味ということにした。
僕「じゃあ、今は幸せなんだね。その人と。」
優子「うん。でも・・・・」
白々しい。
僕「でも、何?」
優子「あなたは、こう言った。「5年待って。5年間は今の会社で頑張る。そして、帰ってくる。」って。本当に、あなたは、帰ってきた。」
恐ろしいくらいに自己満足な解釈だった。
僕「・・・なるほど。確かに、5年で帰ってきたな。地元に。・・・それで、何が言いたいの?」
優子「え?あなたから私に言うことがあるでしょう?」
マジかこいつ。頭の中腐ってるんじゃないか?本気で、僕が優子のことを忘れられずに帰ってきたと勘違いしてるのか?いや、まさか・・・
優子「勇気がないなら、私が助け船を出してあげる。私は、あなたにさんざん嫌な思いをされた。今でも当時のことを思うと、気分が悪くなる。」
僕「はぁ・・・うん。それで・・?」
優子「もしあなたが当時のことを悔やんでいて、今後私に尽くします。だから当時のことを水に流してくださいとお願いするなら。また付き合ってやらないこともないよ。あなたの努力次第だよ。」
僕「ええ・・・疑問点が大量にあるんだけれど・・」
優子「私を口説き直そうっていうなら、ハードル高いよ?それだけの勇気があなたにある?・・・あなたの本気を、私に見せて。」
412: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/21(土) 08:20:37.35 ID:El+0XpZT0
僕はこの時、初めて、優子を哀れに思った。
何が優子をこんなひねくれた、自己中心的な、自己都合主義の子にさせてしまったのか。
僕「あ・・・えっと・・んー、あっ。もうお昼の時間が終わるね。もう行こうか。」
優子「まったく・・相変わらずエスコートが下手だね。こういう時は、さりげなくあらかじめお会計を済ませておくものでしょ?」
ファミレスのランチセットで何言ってるんだろう。
僕「ああ、ま、ランチくらいならおごるからいいよ。じゃあね。」
優子「そういうところから試験はもう始まってるのよ?そんことで今後大丈夫?不安だなぁ。」
不安なのは優子の今後だよ・・
僕は、この日以来、メールを返してない。
一方的に来るメールの頻度もった。その1年後くらいに、知らない番号から電話があった。
僕「はい。藤原です。」
優子「お久しぶりです。優子です。」
僕「あ?え。はい。お久しぶりです。どうしましたか?」
優子「藤原さんって、健康になるお水に興味はないですか?」
僕「・・・まじか・・・」
優子「え?興味があるんですか?あるんでしたら、一度お話を・・・」
僕「ごめんね。今会社で仕事中だから。」
優子「私も仕事中ですよ?何言ってるんですか。ビジネスの話ですよ?」
僕はそのまま電話を切り、着信拒否した。
それ以来、僕の結婚式で顔を見るまで、一切の交流はなかった。
そして、結婚式後も一切の交流はない。
短編
【優子との再会編】
終了
413: 以下、
中々の女だな(苦笑い)
414: 以下、
まさかこんな風になってしまうなんて…
415: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/22(日) 20:35:06.05 ID:NgMX7i490
ご要望があったので、涼子との思い出をもう少し掘り下げようと思います。
SSの都合上、「無口で何を考えているのか読み取れない女性」という像を植え付けてしまいましたが、もちろんそれだけではないです。
そんな、彼女の性格をうかがい知れるようなエピソードを。
※書き溜めていませんので、進行が遅くてもご容赦
417: 以下、
>>415
ありがとう!
楽しみww
418: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/23(月) 01:34:02.20 ID:+6bwensu0
僕「じゃあ、何だったら飼ってもいいんですか?」
管理会社「んー、・・・亀?」
僕は、携帯電話を切った。
話は社会人になって二年目、涼子と出会う前に遡る。
僕は優子と別れ、ほぼ仕事関係以外に趣味もなく、帰宅後にすることと言えばメールとネットくらいのものだった。
河村「こいつが、可愛いんだよ!」
河村さんは、自宅で飼っているウェルシュコーギーの魅力について熱く語る。
僕「でも動物飼うのって大変じゃないですか?」
河村「まあ、犬だと散歩もしなくちゃいけないし、一人暮らしでしかもマンションじゃあ難しいだろうな。だが、何かを飼うのは心を豊かにすると思うぞ。」
僕「僕には理解できない趣味ですね。」
言葉と裏腹に、僕は、ネットサーフィンでペットを検索する。
実家には猫がいる。いるというか、住み着いている。
人懐っこく、とてもかわいい。
賛否両論あるだろうが、下町である実家の地域には、いろいろな家に勝手に出入りする猫が数匹いた。
誰かが適当にえさをやり、どこかの家で適当に寝る。それが猫だった。
僕「ふむ・・猫は無理だな。この土地じゃあ家猫にするしかない。不憫だ。」
爬虫類・・・は、手入れが楽なようだけれど・・・何か違う。
熱帯魚には憧れるけれど、水の管理が大変そうだ。
ふと、とあるペットに目が留まる。
「ウサギ」
僕は、兎のペットというものに興味がわいた。
種類によっては、マンションでも問題なく飼えるレベルの大きさ・ニオイだという。
僕は数週間かけ、種類や飼育方法・実際飼育する際の初期投資や維持費などを計算した。
問題ない。飼育できる。
さらに、ホームセンターやブリーダーも検索。めぼしい個体も絞り込んでいた。
最終確認で、管理会社に兎の飼育許可を取ろうとした。
そして、拒否された。
僕「ペット不可の物件ではないですよね?」
管理会社「ええ。そうですが・・・基本的にはご遠慮願ってるんです。」
僕「それって矛盾してると思うのですが。ウサギですよ?ウサギというのは個体によってはマンションでも問題なく飼育できます。」
管理会社「そういわれましても。ウサギを飼育するという前例はありませんし・・・」
僕「じゃあ、何だったら飼ってもいいんですか?」
管理会社「んー、・・・亀?」
僕の兎飼育計画は挫折した。
419: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/23(月) 01:58:25.09 ID:+6bwensu0
正直、亀には申し訳ないけれど、亀を飼おうとは思わなかった。
においが少なく、しかも管理会社から文句の言われない小動物。
僕は、ハムスターを飼うことにした。
当時、ジャンガリアンハムスターという種類が爆発的な人気を博していた。
また、今ではもう馴染みもないであろうが、ML(メーリングリスト:一度にたくさんの人にメールを送受信するシステム)というものがあり、ハムスターを飼っている人達用のMLに登録し、広く意見を募った。
僕「初めてハムスターを飼います。よろしければ、初期投資としてどんなものが必要か教えてください。」
MLに登録している人達は基本的に主婦で、暇さえあれば様々なアドバイスを送ってくれた。
「ゲージの檻は縦じゃないとダメ。横だとハムが登ってしまい、落下した時に骨折することがある」
「インクのにおいが気にならなければ、新聞紙を細かく切って敷き詰めた方がいい。においが気になるなら木材チップなどがおすすめ」
「飼い始めは基本的に触っちゃいけない。迎え入れた数日は環境の変化に戸惑いエサも食べてくれない」
「におい対策としては、消臭効果のあるエサを食べさせる」
とても参考になった。
僕は、休みの日になると、MLで推薦されたショップに出歩いて、ハムスターを見て回った。
そして、パールホワイトの可愛さに惚れた。この子にしよう。
たかだか数百円?千円程度だったと思う。
安価に購入できた。
ゲージはそれほど大きくはなかったが、一匹で飼うには十分の広さだ。
床材には広葉樹のチップ。
エサは消臭効果のあるペレットを用意した。
実家でもゴールデンハムスターを飼っていたが、その頃の主食はヒマワリの種。
調べててみると、種は栄養価が高すぎてあまり上げてはいけないらしい。。
(ただ、種の殻をカリカリと割って食べる姿は愛らしかったので、たまにおやつとして挙げて記憶はある)
トイレを兼ねた砂場。
ハムは砂浴びが大好きらしい。砂の中にガサガサともぐりこむ。
隠れることができるような小屋。
エサを入れる容器。
それからヒーター。ハムにとって、低温は死に直結するらしい。
こうして、僕とハムとの共同生活が始まった。
420: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/23(月) 02:35:23.83 ID:+6bwensu0
やや消極的に買い始めたハムだったが、癒しの効果という意味では絶大なものがあった。
いきなり電気をつけるとびっくりしてしまうので、ゲージに布をかけてから電気をつける。
最初はおどおどしていたハムだったが、数日もすると落ち着きを取り戻し、カラカラと回し車をまわっていた。
ときおり、ゲージから出して、リビングに放ってやった。チョコチョコとリビングを走るハムは可愛かった。
ハムも、基本的に家にいない家主のおかげか、安心してゴロゴロしていたと思う。
朝、ハムのチェック。
深夜に帰宅。水・トイレ砂・床材の交換。ハムのチェックをしてPC立ち上げ。メールチェック。MLで報告。アドバイスを見る。
休日で特に予定のない日はハムをリビングに放して自分もゴロゴロする。たまにヒマワリの種をちらつかせ、ハムをおびき寄せる。
タカタカとこっちに寄ってきてカリカリと種を食べる。
淳「お前の休日の過ごし方が想像できない何やってるんだ?」
僕「んー、ドライブに行ったり、釣りをしたり、ボード行ったり、家でゴロゴロしたり。」
淳「お前の家、何にもないだろう。」
僕「だからゴロゴロできるんだろ。」
僕の家は基本的に何もない。
ハムにとって、危険な障害もなく、それも居心地が良かったのだと思う。
会社の人や地元の友達にはハムの話をしなかった。
どう考えても僕のイメージにはない。
だから、ハムの存在を知っている人は、誰もいなかった。
ハムの飼い方にもだんだん慣れて来た頃、とある女性と知り合った。
その女性は、物静かで、美人で、あまり表情のない人だった。
作中に出てきた女性。涼子だ。
僕「本当に近くに住んでるんだね。30分くらいで会えちゃうんだ。」
涼子「そうみたいですね。びっくりしました。」
涼子は、本当に美人だ。
その小さな口で、ポテトだけをつまんでいた。
僕「ポテトだけ食べるの?そっちのハンバーガーは残しちゃうの?」
涼子「うん。そんなにお腹が空かない人なんです。」
僕「さすが女子。ていうか、ハンバーガーもったいない・・」
涼子「ポテトだけ頼むのも、なんだか申し訳ないので。」
僕はその姿を見て、思わずにやけてしまった。
僕「そうやってポテトをかじるのが・・・なんかツボったw」
涼子「?え?どうしたんですか?」
僕「実はね、最近、ガラにもなくハムスターを飼い始めて・・・野菜のスティックをかじるハムスターと、ポテトをかじる涼子ちゃんがダブっちゃってw」
涼子「私、ハムスターほど小さくないですし、頬っぺたも膨らまないよ?・・・でも・・(カリカリカリカリ)確かにハムスターっぽいですね。」
僕「色も白いしね!僕の飼ってるハムスター真っ白なんだ。」
涼子「・・・・あの、」
僕「ん?どうしたの?」
涼子「もしよかったらなんですが・・・・見せてもらえませんか?」
僕「え・・?何を?」
涼子「ですから、その、ハムスターをです。」
僕「そりゃあ、いいけど・・・僕のうちに来る?今度。」
涼子「はい。興味が湧きました。」
僕「へぇ。いいよ。でも何もない部屋とはいえ、女性を部屋にあげるなら少し片付けしたいし来週とかでもいいかな?」
涼子「はい。来週末でしたら、時間が空きます。お部屋で少し滞在するのでしたら、手持無沙汰なのもあれですので、オススメの映画でも持参します。私、体を動かすことも嫌いではないですけれど、基本的にインドア派ですので。」
僕「映画、好きなんだね。」
涼子「はい。大学時代から、文学として興味があります。」
僕「エンターテイメント性は求めないんだね。」
涼子「どちらかというと、フランス映画のような作品が好きです。」
・・・
こうして、涼子は僕の部屋に来ることになった。
421: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/23(月) 02:38:35.93 ID:+6bwensu0
当時のことを少し思い出してしまい、あまり進みませんでした。
今日はここまで。
422: 以下、
俺はパイドを飼っていたよ
子供と一緒に世話してた
423: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/23(月) 13:04:56.45 ID:NbjXj4e50
>>422
パイドって色の種類かな
ハムはかわいいよねもう飼わないけど。
424: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/23(月) 13:27:18.51 ID:NbjXj4e50
涼子「おじゃまします。」
僕「どうぞ。多少の汚さは目を瞑ってね。」
涼子は翌週、本当にハムスターを見るためだけにやってきた。
マジマジとハムを見る彼女。
涼子「はい。似てますね、私と。」
僕「あれ。まだ気にしてたんだ。」
涼子「そういうわけではないです。」
僕「あ、急に近づいたり上から見下ろしたりすると怖がるから、なるべく低い目線で。ゆっくりと動いてね。」
涼子「分かりました。・・・かわいいですね。」
表情を変えずにそういう彼女。
この時は、社交辞令なのかなと感じた。
だから、手に乗せてみたいというとは思わなかった。
僕「んー、その前にこの洗剤で手をよく洗ってね。」
涼子「私も女性ですので、汚くはしていませんが・・・」
僕「あ、ごめんごめん、そうじゃないんだ。例えば手に香水の香りとかちょっとした匂いがついてると、ハムは差し出された手をエサと勘違いすることがあって。かみつかれちゃうかもだから。この洗剤で匂いを取っておいてほしいんだ。」
涼子「・・・なるほど!」
言われるがまま、ゴシゴシと手を洗う彼女。
いきなり手を出すと噛みつかれるかもしれないので、僕がまずハムを僕の手に乗せ、彼女の手へと歩かせた。
しげしげと眺める。
涼子「・・・軽いのに温かいですね。」
ハムは居心地が良かったのか、彼女の手にうずくまってじっとしていた。
僕「あら。涼子ちゃんの手が気に入ったのかな。」
涼子「類は友を呼ぶんでしょうか?こうすると愛着が湧くのも理解できます。」
彼女の表情は、和らいで見えた。
涼子「・・・檻の中で飼育するのは、少し可哀想でもありますね。」
僕「そうだね。ただ、この子にとってはゲージの中は、安全地帯でもあるよね。自然界だといつ狙われるのかはわからない。どっちが幸せなのかは不明だよ。」
涼子「それもそうですね。」
僕「ここにいれば、安全なエサが食べられる。それに、休みの日にはこうやってリビングを歩かせたりもする。なるべくストレスを感じさせないようにね。」
涼子「意外です。優しいんですね。」
僕「まあ、基本仕事しかしてないしほとんど家にいないから、せめてもの罪滅ぼしかなw」
彼女はそっと手を動かし、リビングにハムを解放した。
ハムはヨタヨタとリビングを闊歩し、クッションの隙間に潜り込んでいった。
涼子「あ、ゲージ?の中のエサ容器、ひっくり返ってますね。」
僕「そうなんだよねぇ。プラスチックのやつを適当に使ってるんだけど、すぐひっくり返すんだ。陶器でちょうどいいサイズのやつを探そうかなと思ってるんだけど、時間もないし、まあとりあえずこのまま様子を見ようかなと思ってる。」
彼女と少し雑談。
短編というフランス映画のビデオを持ってきていた。
ちょっと鑑賞。彼女は特に表情を変えることなく、ビデオを見ていた。とても綺麗だ。
ただ、美人だけれど・・・うーん。美人過ぎて恋愛対象にならないというか、客観的に見ている自分がいた。
僕は女性と一緒に笑ったり泣いたりはしゃいだり怒ったり。そういう付き合いをしてきた。
だから、静かな、(イメージ的には)背を伸ばした付き合いというものになれていなかった。
ただただ静かに流れる時間。
居心地がよかったが、窮屈な気もした。
425: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/23(月) 13:54:27.77 ID:NbjXj4e50
涼子「お忙しそうですが、少しだけお時間取れませんか?」
彼女から呼び出されたのは、それから10日ほど経ってからだった。
僕「あーっと、うん。ちょっと立て込んでるけれど、夕食くらいなら大丈夫だよ。」
涼子「ありがとうございます。」
僕「ふー。お疲れ様です。どうしたの?」
涼子「あ、お疲れ様です。お忙しそうですね。」
そういう彼女もスーツ姿だ。
それほどくない夕食。
デートではないものの、女性との食事の場としてはあまり上品ではない定食屋さんで落ち合った。
僕「ごめんね、こんなところで。職場に戻らないといけないし・・・あ、無理に出てきたわけじゃないからね?こういう場所で申し訳ないって意味だからね?」
涼子「私はどこでもいいですよ?この定食屋さん、美味しそうですね。・・・私、久々にかつ丼が食べたいです。」
僕「いいね。僕はアジフライ定食。どんぶり物って食べたくなる気持ちわかるな。」
涼子「一人ではちょっと頼みづらいですし、そんなにたくさん食べられないんです。」
僕「女性ならではの悩みだね。あ、じゃあ、残った分食べるよ。もったいないから。」
涼子「え・・・はい。そうですね。もったいないですものね。先に取り分けますね。」
僕「僕で良ければ、付き合うからね。料理シェアしていろいろ食べよう。」
涼子「・・・美味しいものを食べるのって、大事ですね。」
僕「そういうこと。」
定食屋のいいところは、美味しいだけじゃなく、頼んだらすぐに出てくるところだ。
涼子「・・・もう食べちゃったんですか?」
僕「・・・あはは・・・ごめんね。いつの間にか、あっという間に食べる癖が付いちゃった・・・ペースに合わせるよう努力するよ。残りのかつ丼はゆっくり食べるよ。」
涼子「いいえ?私は気にしませんよ。藤原さんが気にしないんでしたら。男性の食事って、豪快ですね。」
僕「ああ・・・あ、で、要件ってなんだっけ?食事したかっただけ?まあそれだけでも気にかけてくれて嬉しいけれど。」
彼女は、箸を起き、横に置いてあったバッグから、小さな包みを取り出した。
紙で包装されている、手のひらにすっぽりと入る程度の大きさのものだった。
僕「それは?」
涼子「もしよかったら、使ってください。」
僕「開けても?」
涼子「どうぞ。」
彼女はそういうと、食事を再開した。
不思議に思いながら、包装紙を開ける。
中には、小さな陶器のお皿が入っていた。
僕「これは?」
涼子「あ、ハムスター用のエサ皿のつもりだったんですが。もし使えそうにないんでしたら違うのに使うか処分してください。」
僕「わお、ありがとう。わざわざ買ってきてくれたの?お家に余ってたのかな?」
涼子「えと・・・すみません、私、陶芸が趣味で。作ったんです。なので、要らなかったら捨ててください。」
彼女は、僕のハムのために、手ごろなサイズのエサ皿を作ってきてくれたのだった。
430: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 19:51:55.99 ID:83hCJrvX0
当時はまだ携帯電話もカラーになるとかならないとかそんな時代。
だから、コンパクトサイズのデジカメが全盛の時代だ。
それでも、フィルムを現像しなくてもいいというのは画期的だった。
僕も仕事の関係でデジカメを持っていた。
ゲージの中にエサ皿を入れ、ペレットを入れておく。
ハムは一目散に駆け寄り、ペレットを口に詰め込む。
それをデジカメで撮影し、パソコンに取り込んで涼子にメールを送っておいた。
基本的に涼子とのやり取りはメール。
それも、一日おき、数日ぶり、その程度のやり取りだ。
僕「いただいたお皿、手ごろなサイズみたいです。ありがとう」
涼子「それは良かったです。使ってやってください。」
感情の読めない内容のメールだった。
僕「お礼しなくちゃね。ランチでもご一緒に」
涼子「いいですね。行きたかったお店があります。」
僕がどうして本編でハムスターの話をしなかったのか。
それには理由がある。
●●●
【閲覧注意下さい。グロテスクな表現が苦手な方は、読まないことをお勧めします】
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431: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 19:54:34.16 ID:83hCJrvX0
エサ皿をもらった翌週、金曜の夜だった。
金曜ということもあり、残業が長引く。
翌週月曜日の資料作りが少し残っていた。
1時を回り、デスクを片付ける。
誰もいないフロア。電気を切り、守衛さんに挨拶をして車に乗り込む。
2時まで営業しているカレー屋さんで夕食を取り、帰宅。
帰宅したのは深夜2時。
暗い中、シャワーを浴びる。
翌日は涼子とお昼ご飯を一緒に取る予定。お皿のお礼のつもりだった。そしてその後仕事に行くつもりだった。
ハムのチェック。
あれ?何か違和感。
明かりをつけて、確認する。
床に敷き詰めてあった木のチップが、赤くなっていた。
ゲージの中が、血だらけだったのだ。
ハムは、血だらけで、ぐったりとしていた。
僕「え・・・どういうことだ・・・」
どうしよう。どうしよう!
何が起こっているのかわからなかった。
ハムスターが死んでる。
そう思った。
ふらふらとした。ショックで倒れこむ。
気づくと、朝だった。
432: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 19:57:38.50 ID:83hCJrvX0
翌朝。ガサガサという音で我に返る。
ハムをもう一度見る。
ハムは生きていた。
血だらけで。
ヨタヨタと、ゲージ内を、歩いていた。
よく見ると、お尻が血だらけ。
そして、肛門から腸が飛び出していて、出血。お尻から腸を出したまま、血だらけで、ヨタヨタと歩いていた。
とても痛々しかった。
ハムはまだ、生きている!
助けなければいけない。
何としても。
自分が深夜まで仕事をしていたから。
そのまま朝まで寝てしまったから。
こんなことになってしまったんだ。
僕の、僕だけの責任で、小さな命が、絶たれようとしている。
MLで指示を仰ぐ。
すぐに大量の応援メールと、病院に連れて行けというメールが。
おすすめの獣医もたくさん紹介される。
朝7時。涼子にメールをする。
僕「ごめん。ハムが出血してて、すぐに獣医に連れて行かなくちゃいけなくなった。今日のランチキャンセルで。埋め合わせはします。」
すぐに返信があった。
涼子「獣医さんに心当たりはありますか。知人が獣医をしています。○○です。あてがないのでしたら、案内します。」
その獣医さんは、MLでおすすめされている所の一つだった。
僕は、涼子に案内をお願いした。8時には僕の家に車で来てくれた。
涼子「慌てていますと、事故に遭うかもしれませんから。」
僕「・・・あ、ああ。そうだね。ありがとう。女性に運転させるのは不本意なんだけれど・・・」
涼子「私は気にしませんよ?ずいぶん男女差別が激しいんですね。」
僕「女性をエスコートしたり、女性を守ろうとするのが差別だというのなら、差別でいいよ。・・・でも、今回は涼子ちゃんの言うとおりかもしれないね、お願いします。」
涼子「はい。了解いたしました。あ、アポは取っていませんので・・・」
僕「うん。ありがとう。番号もわかるし、自分で交渉するよ。」
僕は獣医さんに連絡を入れた。
症状を言う。
獣医「なるほどね。とにかく、連れてきてください。それからどうするか考えましょう。」
到着まで1時間。その1時間はとても長く感じられた。
433: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 20:00:48.34 ID:83hCJrvX0
獣医「ふむふむ。典型的なパターンですね。」
僕「どういう意味でしょうか。」
獣医「これは、ハムスターに寄生虫がいて、その寄生虫が原因の出血だと思います。」
なんでも、ハムには寄生虫がいることが多く、それによって内臓がダメージを受け、こうやって出血を伴う脱腸をすることがあるそうだ。
僕「僕のせいだ・・・僕がちゃんとしていれば。。。」
獣医「うーん。こればっかりはあなたのせいでもないと思いますけれど・・・ただ、知識があれば、最初から虫下しのようなものをあげるべきだったかもしれませんね。」
僕「現状、どうにもなりませんか。できるだけのことをしてやりたいんですが。」
獣医「飛び出した腸が、干からびてますよね。干からびる前なら、お尻の中に戻してやればまだチャンスはあるんですけどね。干からびちゃってるとその細胞が壊死してしまうので、お尻から戻してあげても厳しいと思います。ただ、可能性は0じゃないですが。」
僕「お願いします。やってください。」
獣医「下品で申し訳ないですが、お金かかりますよ?」
僕「そこは気にしません。いくらかかってもいいです。」
獣医さんは、ハムを預かってくれた。
僕は、涼子の車で会社近くまで送ってもらった。
帰りは適当に帰ろう。
僕「ありがとう。ランチごめんね。またの機会に。ちょっと仕事も残ってるし。せっかくの休日を無駄にしてしまって。」
涼子「いいえ。ハムちゃん、良くなるといいですね。」
ならないよ。
わかってる。気休めの言葉はいらない。
夜、獣医さんが電話をくれた。
折り返した。
獣医「お仕事中でしたか。大丈夫ですか」
僕「はい。どうなりましたか。」
獣医「一度、腸を戻してお尻の穴を塞ぎました。明日、ちょっと栄養剤と虫下しをあげてみます。」
僕「それから、どんな経過を辿るんでしょう。」
獣医「それから抜糸して、また腸が飛び出てきたらほぼ絶望的です。もう一回入れ直す手もありますが・・・」
僕「もし飛び出てきたら、もう一回入れ直してください。料金のことはいいです。取り急ぎ、明日も伺います。そこまでかかった費用と今後の費用の前金をお支払いします。」
獣医「わかりました。助かります。」
翌日、獣医さんのところへ向かった。
経過は絶望的だった。
獣医「やはり、飛び出てきました。難しいかもしれません。もう一度入れてみますが・・・」
僕「自己満足かもしれませんが、トライお願いします。」
獣医「わかりました。お預かりします。明日一日様子を見ます。火曜に引き取りしてほしいのですが大丈夫ですか。」
僕「・・・平日は基本的に22時くらいまでは仕事してますので・・・うーん。」
獣医「そうですか。まあ、どうするかは明日また考えましょうか。」
434: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 20:03:49.01 ID:83hCJrvX0
翌日。月曜日。涼子からメールがあった。
涼子「ハムちゃん、どうなりましたか。」
僕は経過を報告した。
涼子「それでしたら、私が一時的に預かりましょうか。職場の近くですから。22時くらいまででしたら藤原さんの家に届けます。」
僕は素直に甘えることにした。
夜。獣医さんに電話。
獣医「腸を入れ直して、お尻の穴を閉じて、今日抜糸したんですが、腸は出てこなかったです。いける可能性が少しだけあります。」
僕「本当ですか。」
獣医「これから、少しずつ栄養剤と虫下しを与えてください。食事は基本的にペレットで大丈夫です。お湯で柔らかくしたりしてあげてください。もし食べなくても、栄養剤と虫下しだけは毎日飲ませてあげてください。」
僕「はい。わかりました。」
獣医「ウンチが出たら、消化できてる証拠です。助かると思います。出なかったら、もうダメです。1週間で亡くなると思います。この1週間が勝負です。」
僕「明日、知人が引き取りに伺います。よろしくお願いします。」
獣医「そうでしたか。わかりました。」
翌日、仕事を終え、自宅で涼子を待つ。
自宅近くで引き渡してもらおうと思っていたが、薬のあげ方や治療費の立て替え清算などもあったので自宅にした。
僕「深夜にすみません。ありがとう。」
涼子「いえ。では、獣医さんに教えてもらった、薬のあげ方です。」
涼子はおもむろにハムを捕まえると、つかまえたままひっくり返し、あおむけ上にさせた。
そのまま、スポイトで薬を口元に突っ込み、器用に数滴分を口に入れた。ハムは舌をペロペロさせ、その薬をイヤがりながらも飲んだ。
涼子「こんな感じです。毎日お願いします。」
僕「鮮やか。」
涼子「いえ。」
清算も済ませ、涼子は帰って行った。
僕は敢えて言わなかった。
涼子の手、絆創膏が貼ってあった。
あれはきっと、ハムに噛まれた痕があったんだと思う。
涼子は、噛まれても怯むことなく、ハムに薬をあげる方法を僕に教えるために、練習したんだろう。
僕はこの日から、ハムとの闘病生活をスタートさせた。
ハムに朝から投薬。
スポイトで口に薬を流し込む。これがかなり大変だ。
涼子は簡単にやり遂げているように見えたが、まず捕まえるのに苦労する。ハムも何をされるのかわかるのだろうか、落ち着きなく隅の方へ逃げるのだ。
ハムは必死に抵抗する。噛まれることもある。
捕まえたら、ひっくり返して口にスポイトを入れる。ハムは死ぬほど抵抗する。
その小さな手で、スポイトを押し返してくるのだ。
こんな小さな命が、懸命に僕を拒絶する。
僕は、ハムにおびえられながら、投薬する。
ごめん。ごめんね。僕が悪いんだ。
せめて、看病だけは、させてくれ。
そんな毎日が3週間続いた。
そう、獣医さんからもらった3週間分の薬を使い切るまでの間、ハムは生き延びた。
僕は3週間、仕事とハムの看病に明け暮れた。
特に誰とも会おうとは思わなかった。
435: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 20:07:24.27 ID:83hCJrvX0
獣医「もうあれから3週間ですね。腸が壊死していれば、ここまで長生きすることはないと思います。」
検診を終え、獣医さんはそう言った。
僕は、少し肩の荷が下りた気がした。
僕「じゃあ、ハムは助かるんでしょうか?」
獣医「断定はできませんが、おそらく大丈夫でしょう。お薬はどうしますか?もう少し出しますか?」
僕「はい。お願いします。」
週末に獣医さんへ連れて行った。獣医さんは峠を越したと思っているようだった。
ただ、ハムはこの3週間、ほとんど何も食べていない。本当に大丈夫なんだろうか。不安だけが頭をよぎる。
実は、週明けから、沢村さんと出張に行かなくてはいけない。不安しかなかった。
二人だけの出張なら、まあ適当にごまかして、行かないという手もあったかもしれない。
しかし、出張先でお客さんに会わなくてはいけない。行くしかなかった。
大丈夫。きっと大丈夫。
一泊の出張じゃないか。
朝に様子を見て、翌日の夜に様子を見る。
いつもと1・2回分様子を見る回数が違うだけじゃないか。
僕は、エサと水を取り替えた。
月曜日。ハムの確認。いつものように、投薬する。
特にいつもと同じ。
出張の用意を済ませ、沢村さんの部屋に行く。
僕「(ピンポーン)沢村さん、用意できましたよ。お待たせです。」
沢村「お、そんな時間か。まだ用意できてないんだ。ちょっと待っててくれ。」
僕「はい。」
沢村「悪い悪い。待たせたな。」
僕「遅いですよ。早くいかないと電車に遅れちゃいますよ。」
沢村「しょうがないだろう。髭がうまく剃れなかったんだ。ああ、もう間に合わないかもしれないな。諦めよう」
僕「え?何言ってるんですか。お客さん待ってますよ?」
沢村「いや、そうじゃない。電車をあきらめよう。タクシーで空港まで行って飛行機で行くぞ。」
沢村「なんだお前。考え事か?」
僕「すみません。帰ったら確認したいことがありまして・・・」
沢村「・・・聞きたいんだが。」
僕「何でしょう。」
沢村「今悩むと、帰った時に確認することに何か影響するのか?」
僕「・・・しません。」
沢村「じゃあ、悩むことに意味はない。別のことに頭を働かせろ。」
僕「・・・そうですね。申し訳ないです。わかりました。」
沢村「じゃあ、今飛行機に乗っている間に、向こうについてからのプランを考える。この資料に目を通せ。」
そういって、沢村さんはカバンから資料を取り出す。
僕「・・・あの・・」
沢村「何だ?」
僕「これどう見ても風俗雑誌ですが。」
沢村「当たり前だろう。お前は現地に行って何をするつもりだ?」
僕「仕事です!」
436: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 20:09:23.18 ID:83hCJrvX0
沢村「さ、これでお前の言う仕事が終わったぞ。遊びに行くぞ。」
僕「はい・・・でもその・・そういう気にならないです。不安なことがあって。」
沢村「忘れろ忘れろ。飲みに行くぞ。」
この晩、沢村さんの意見に従った。遅くまで飲んだ。
僕は途中で帰った。
帰ってこない沢村さん。
僕は、その間、ハムのことを考えていた。大丈夫かな。
ちゃんと寝たかな。
・・・
ちゃんと、起きてくれるかな・・・
沢村さんはその夜、宿泊先に帰ってこなかった。
翌日、市場調査の再開。3か所目の展示会だ。
沢村さんは適当にぶらぶらと会場を歩き、展示ブースの資料をペラペラとめくり、興味なさそうにこっちを見た。
沢村「今日の場所は得るものがないな。もう帰るぞ。」
僕「はい。お疲れ様でした。」
まだ午前。これから帰れば夕方には自宅に戻れる。
沢村「帰りの電車内で報告書をまとめるか。時間がもったいない。」
僕「そうですね。あ、沢村さん昨日寝てないんじゃないですか。僕が書くので寝ててください。」
沢村「そうか。まあ連名になるんだし任せる。」
僕は報告書をまとめ上げた。
そして、帰宅。
17時。はやる気持ちを抑え、鍵を開けて中に入る。
祈るような気持ちで、リビングの扉を開ける。
ハムは、いた。
ハムは
冷たくなって動かなくなっていた。
437: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 20:12:50.18 ID:83hCJrvX0
僕「嘘だろ・・・」
うそだろ。うそだろ。
僕はそっと、ハムを手に乗せた。
眠っているかのようなハム。
僕はその日、深夜まで、あがいた。
温めても、マッサージしても、薬を飲ませようとしても、ペレットを顔の前に持ってきても、大好きだったヒマワリの種を持って行っても、何の反応もなかった。
ハムは、死んだのだ。
僕は、プランターの土の中に、ハムを入れた。
そして、後悔の念を抱いたまま、眠りについた。
翌朝、獣医さんに電話をした。
獣医「やはり、腸は壊死していたのかもしれませんね・・・残念です。」
僕「その場合、1週間ももたないのでは?」
獣医「いえ、おそらく、貴方の飼い方が良く、ハムにとって居心地いい環境だったんだと思います。寄生虫の対策だけあらかじめしていれば、長生きできたのかもしれませんね・・」
その週末、涼子と合った。以前、キャンセルしたランチの埋め合わせだ。
涼子「お疲れ様です。」
僕「お疲れ様です。何気に久しぶりになっちゃったね。」
涼子「そうですね。あ、何にしますか?このお店、タンドリーチキンのサンドがお勧めです。」
僕「ふー。そうだね。じゃあそれを。」
涼子「・・・何かありましたか?あまり美味しくないですか?」
僕「なぜ?」
涼子「いつもより美味しくなさそうな顔をしています。」
話すべきなんだろうか。
悩んだが、ハムのその後を話した。
涼子「そうだったんですね。しょうがないですね。藤原さんのせいではないですよ。じゃあお皿も無駄でしたね。」
僕「いやぁ、しょうがあるよ。僕は、ペットを飼っちゃあいけない人だったんだ。仕事のせいにして、ペットをないがしろにするような人間には。」
涼子「聞く限り、そうは思いませんけど?あ、亡骸ってどうしたんですか?」
僕「プランターに埋めてある。」
涼子「近くに河原があります。その木の下あたりに埋めてあげたらどうですか。土に帰してあげましょう。」
その午後、僕は涼子を連れて河原に向かった。
438: テスト ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 20:17:32.92 ID:83hCJrvX0
淡々と。
そう、淡々と、事務処理をするかのよう。
淡々と、優しく、僕のハムを労わってくれた。
僕は、最後は一人で土を掘り、ハムを弔った。
その間、涼子は僕の車で本を読んでいた。
今思えば、気を使ってくれたのだろう。
車に戻ってくると、本をたたみ、僕を見た。
涼子「これでお別れですか。」
僕「ああ。さようならだな。・・・さよう・・なら・・だ。」
僕「・・・ごめんなさい・・・ごめん・・ごめんね・・・ううっ・・僕が・・僕が・・」
涼子「・・・あの」
僕「あ・・あはは。ごめんね情けない泣けてきちゃった・・・w」
涼子「今日は飲みに行きましょうか。今日くらいなら、お付き合いしますよ。アルコールはあまり飲まない主義なんですが。」
僕「・・・お気遣いありがとう。大丈夫。そこまで気にかけてもらわなくても。今日はありがとう。」
涼子「・・・そうですか。じゃあ、帰りましょうか。夕食はどうしますか?」
僕「食欲ないや。今日はいらない。」
涼子「食べないと、夜寝れないですよ?」
僕「いや、そういうことじゃなくて。。。まあ、いいや。今日は帰るね。送っていくよ。」
涼子「そうですか。じゃあ、帰りましょう。」
涼子は、帰りの車中、特に何も話すことなく、本を読んでいた。
その沈黙が、僕を癒してくれた。
????
僕「ねえ、ちょっと思い出したんだけど、付き合う前に僕がハムスター飼ってたのって覚えてる?もう15年以上前の話だから覚えてないかw」
涼子「覚えてるよ。竜也君、しょげてたwあの日、慰めようとしたんだけど、拒否されて凹んだものwああ、竜也君は私に興味がないんだって・・・w」
再会の日、僕は久々にハムの話をした。
何しろ、ハムを飼っているのを知っていたのは獣医さんと涼子だけだ。
覚えていてくれたんだ。
僕「あー、どこに埋めたんだっけなぁ・・きっともうわからないな。」
涼子「私も。もうわからないな。」
僕「翌年、命日?に、花を置いたんだ。あれ以来、行ってない。」
涼子「・・・・置いてあった。」
僕「え?」
涼子「私も行ったもの。でも、当たり前よね。ハムちゃんが亡くなったのは、埋めに行った数日前。私は、埋めに行った当日が命日だって思い込んでたなぁ。だから、枯れたお花が置いてあったんだ。懐かしいw」
僕「そうだったんだ・・・・・・ありがとう。あはは・・当時の涼子は、僕が表情を読み取れなかっただけで、やっぱり素敵な人だったんだなぁ。」
涼子「あの頃、もっと楽しそうに笑ってたら、もっと怒ってたら、もっと泣いてたら、別れなかった?」
僕「どうかな。たらればっていうのはない。でも、付き合い方は変わっただろうね。」
・・・
涼子「あー、すっきりした。これからはまたお仕事でお話しすることが・・・ああもうないかもだけれど、もしその時はよろしくね!」
僕「ああ。確かに契約で取り交わししたらもう会う機会なんて限られるな。ま、あったらよろしく!」
いい夜だ。
ありがとう、涼子。
実は、その時の皿は、まだ、手元にある。
何となく、捨てられなかった。今でも、ちょっとした物を入れるために重宝している。
涼子編、終わり。
439: 以下、
お疲れ様、ありがとう
でも申し訳ないな・・・思い出したくないものを思い出させてしまって・・・
軽い気持ちでリクエストしてごめんね
440: ◆71vVbFpf.c 2017/01/25(水) 20:56:58.64 ID:iM5mUapYO
いや、気分を害する人がいるかもと思っただけで。
よくよく考えればR指定だから気にしなくて良かったなぁ。
リクエストありがとうね。
441: 以下、

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