仁奈「中に入れたらなんでも仁奈のものになる靴下でごぜーますか!」back ▼
仁奈「中に入れたらなんでも仁奈のものになる靴下でごぜーますか!」
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デレマスSS。キスとか出てくるけどえっちでも下品でもないので全年齢。
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2: 以下、
仁奈「……『入れたものがなんでも仁奈ちゃんのものになる靴下』」
仁奈「そんなのがあるわけねーですよ」
仁奈「バカにしねーでくだせー」
仁奈「今日の日付はいつですか?1月9日ですよ?」
仁奈「もうクリスマスも終わって正月すら終わったですよ。一般的な""まつのーち""もおとといでおわりやがりました」
仁奈「もう世の中ひな祭りムードでごぜーます。スルーされてる節分やバレンタインデーの気持ちになるですよ」
仁奈「……」
3: 以下、
仁奈「……」
仁奈「ほんとでごぜーますか……?」
仁奈「ほんとーに、なんでも仁奈のものになるですか……?」
仁奈「……」わくわく
仁奈「履いて使えるですかね?」
4: 以下、
仁奈「……履くにしても仁奈の足20cmぐらいですからこの靴下はデカすぎですね」
仁奈「……うわぁ。一足に両足が入りやがるです。40cmの足の人なんて大人でもいねーと思うですよ。二足もいらねーですよこんなの」
仁奈「あっ」
仁奈「いま仁奈の足が入ったですから、仁奈の足は仁奈のものになったですね!」
仁奈「わーい!」
仁奈「わーいじゃねーよ」
5: 以下、
仁奈「仁奈の足はもともと仁奈のものですよ。何言ってるですか」
仁奈「……なんなんですかこれは。ちょーむなしーですね。とても悲しくなってきやがりました」
仁奈「はぁ」
仁奈「……」
6: 以下、
仁奈「……」
仁奈「靴下を食べる靴下の気持ちになるですよ!」
仁奈「うおー!靴下に靴下が入ったでごぜーます!」
左足『ぐへへへへー食っちまうぞーうまうまー』
右足『きゃーやめてー 誰かー 誰か助けてー』
左足『おえーっ、筋肉がないから飲み込めねえ!』
右足『あっ、あっ、同じく筋肉がないから逃げられない!』
左足(死)『グエー窒息したンゴ』
右足『すまんな』
左足(死)『ええんやで』
右足(死)『逃げられないから死んだンゴ』
左足(死)『すまんな』
右足(死)『ええんやで』
仁奈「飽きた」
7: 以下、
ありす「市原さんなにやってるんですか」
仁奈「み゛ゃっ!?」
ありす「『み゛ゃっ』じゃないですよ」
仁奈「あ、ありすちゃん、いつから居たですか……」
ありす「『そんなのがあるわけねーですよ』から居ました」
仁奈「最初からじゃねーですかー!やだー!////」ゴロンゴロン
ありす「一人遊びは夢中になりますからね。わかりますよ」にやにや
仁奈「うー!にやにやしねーでくだせー!」
ありす「ふふふ……」にこにこ
仁奈「うぅ……///」
ありす(かわいい)
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ありす「……そういえば、この靴下は?」
仁奈「起きたらここにあったですよ。入れたものが仁奈のものになるらしーです」
ありす「季節外れの上に胡散臭さ満点ですね。しかも黒靴下って……」
仁奈「もしかしてありすちゃんが仕込んだですか?」
ありす「まさか。こんな大きい靴下、商品として存在してることすら知りませんでしたよ」
仁奈「プロデューサーですかね……」
ありす「違うと思いますよ。プロデューサーさんの足のサイズでも30cmほどですから」
仁奈「ひゃー、それでもでけーですね」
ありす「あの人身長もありますからね」
仁奈「足だけでも仁奈の1.5倍ですよ……」
ありす「市原さん、20cmなんですか」
仁奈「そーですよ!ありすちゃん、くらべっこしましょー!」
ありす「ふふっ、いいですよ」
10: 以下、
ぴた
ありす(わ、仁奈ちゃん、あったかい)
仁奈「きゃー、やっぱり6年生はでけーです……」
ありす「ふふふ……24.5cmです」どや
仁奈「えぇぇでけぇ……!」
ありす「うふふ……ふふふふ……」
仁奈「ぐぬぬ……仁奈もありすちゃんみたいにおっきくなりてーです!」
ありす「3年もすれば、大きくなりますよ」
仁奈「3年もかかるですか……」
ありす「長いようで早いですよ、3年って」
仁奈「そーですか?仁奈、2年生から4年生まで、すげーかかった気がするですよ……」
ありす「2年生から4年生よりも、4年生から6年生の方が早く感じますよ」
仁奈「そんなものですか……」
ありす「そんなものです」
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ありす「この靴下ですが、入れたものが市原さんのものになると?」
仁奈「らしーですよ。何も入れてねーのでわかんねーですけど」
ありす「じゃあこのタブレットを入れてみますか」
仁奈「いいんですか……?」
ありす「ふふ、どうせ何も変わりっこないですから」
ありす「よい、しょっ、と……」すぽん
仁奈「靴下がはちきれそーになってやがりますよ」
ありす「12.9インチなんですけどね」※長辺30cm短辺22cmカバー込み質量1kg程度
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ありす「で、取り出すと市原さんのものに……!?」
仁奈「あれ……?タブレットのカバー、青色じゃなかったですか?」
ありす「そのはずです……」
仁奈「オレンジ色になってやがるです……」
ありす「ロック画面の画像も動物の画像になってます……」
ありす「ロックコードも……」****
タブレット「だめやで」
ありす「通らない……!」
仁奈「や、やべー……」
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ありす「……!そうだ、仁奈ちゃん、右手貸してください」
仁奈「? いーですけど」
ありす「親指……だめ。薬指……だめ……!」
仁奈「仁奈、利き手左ですよ」
ありす「左手親指……通った!」
ありす「……本当に市原さんのものになってますよこれ。カバー外したら後ろの刻印もAlice TachibanaからNina Ichiharaに変わってます」
ありす「設定→一般→情報→名前もTatciPadからNinaPadに変わってます……」
仁奈「ほんとだー……でも、仁奈、タブレットなんて使いこなせねーですよ……」
ありす「靴下、本物みたいですね……驚きました」
仁奈「びっくりですよ……」
仁奈(仁奈の足はもともと仁奈の足だからなんの変化もなかったってだけですね)
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ありす「ふむ……興味深い……」
仁奈(ありすちゃんのタブレットを入れたら、ほんとーに仁奈のものになっちまいやがりました。あっちょんぶりけでごぜーます)
仁奈(靴下は本物でした)
仁奈(でも効果があるのはタブレットだけかもしれねーです。他にも試さねーと、本物かどうかはまだわからねーですよ)
仁奈(ありすちゃんをこの中に入れたら、もしかして、ありすちゃんは仁奈だけのものになるですか……!?)
仁奈(ティンときたですよ!)
ありす「むむむ……」
仁奈(そろーり……)
仁奈「それーっ!靴下こうげきー!」がばぁ
ありす「もふっ!?!?んんんー!!!」じたばたじたばた
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仁奈「へへへ、ありすちゃん、もーはなさねーです!仁奈のものになるですよー!!」BE MY BABY……
ありす「んー!ん、んんーー!!」ばしばしばしばし
仁奈「ちょ、いてーですよ、あばれねーでくだせー」ぎゅぅぅ
ありす「あ……!!が…………!っ……………」ばた……ばた……
仁奈「ありすちゃん、とっても力がつえーです……仁奈の全体重をかけるですよ!」ぐいぃぃぃ
ありす「あが、か、かふっ」
仁奈「うおおおおおお!!!」
ありす「……」シーン……
仁奈「んぃぃぃいいいい!!」
ありす「……」シーン……
仁奈「んにぃぃいいい!……あれ、ありすちゃんどうしたですか?」
ありす「……」シーン……
仁奈「ねえ、ありすちゃん……?」ゆさゆさ
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ありす「……」シーン……
仁奈「うぁ、ぁ、ぁ、や、やべーです……」
ありす「……」シーン……
仁奈「ありすちゃんごめんなさい!ありすちゃん起きてください!ありすちゃん!!」ゆさゆさゆさゆさ
ありす「」むくり
仁奈「ひぇ!?」びくぅ
ありす「……」靴下ポイー
仁奈「ひっ……!」
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仁奈(うぁぁぁああ!!目が全く笑ってねーです……ぜってーものすげー怒ってるです……!!!)
仁奈「ありすちゃん、ごめんなさ」
ありす「」ぶっちゅうううう
仁奈「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛????!?!?!?!?」
仁奈(な、何が起きやがりました!?これはなんですか!?)
ありす「ちゅ……れろ……むっちゅ……」
仁奈(これ、チューですか!?仁奈、ありすちゃんとチューしちゃってるです!!)
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ありす「ぷは。しちゃいましたね、キス」
仁奈「ふぁ……」
ありす「私はもう仁奈のものです。あなたから離れません」ぎゅぅ
仁奈「へ……?」
ありす「ずっと、ずっと、ずっと、このままです。離れません。離しません」
仁奈「ありすちゃん、どーしちまったですか……」
ありす「ありすです」
仁奈「えっ「ありすって呼んでください」あ、ありす……」
仁奈(なんか、思ってたのとぜんぜんちげーです……仁奈のものになってるけど、こういうことじゃねーですよ……)
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ありす「仁奈」
仁奈「は、はい……」
ありす「ふふ、呼んだだけです」にこ
仁奈「そうですか……」
ありす「うふふふふ……」ぎゅぅ
仁奈「ありす、くるしーですよ……はなしてほしーです……」
ありす「それはできません。私はあなたから離れることはできませんから」
仁奈「なんでですか……」
ありす「運命であり、宿命だからです。これからの全ての人生は仁奈、あなたと共にあります」
仁奈「難しくてよくわかんねーですよ……」
ありす「仁奈、キスしましょう」むちゅっ
仁奈「んんんん?????!?!?!?!?」
仁奈(なんで!?)
20: 以下、
瑞樹「あらあら^?」
仁奈「んむぅぅぅ??!?!?!?」ばたばたばた
仁奈「ぷは!はぁっ、はぁ、はっ……」
仁奈「瑞樹おねーさん……!たすけt」
瑞樹「続けて?」
仁奈「」
ありす「言われなくとも」むっちゅぅぅぅぅ
仁奈「んんんんんん?????!!!!!」じたばた
瑞樹「あら^?」テカテカ
仁奈「っっぷは!はぁ、はぁ、はぁ……!いき、息が続かねーです……!」
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瑞樹「あら?これは……靴下?」
仁奈「それは……あ、あぶねーですから触らねーでくだせー!」
仁奈(多分靴下はマジで本物です!だから誰にも触らねーで欲しいですよ……!!たぶんもっとやべーことになりやがります!!)
瑞樹「えっ……あっ(察し)」
瑞樹「なるほどね?……わかるわ^?……」
仁奈(多分なんもわかってねーと思うんですよ(名推理))
瑞樹(やだ……最近の小学生ってとんでもないわね……ありすちゃんは、まあ、わかるわ?6年生ですものね。わかるわかる。でも、仁奈ちゃんも9歳なのに……そっか、早生まれだから4年生なのね!わかったわ。
それにしても……第三者の男の使用済み靴下を嗅ぎながら?それともアレをアレに見立てて?擬似3P?巻くの?それとも目隠し?はっ、乾布摩擦……!?服の上から!?着衣で!?世界を超え得るわ……ハイレベルすぎる……!!)
瑞樹「負けたわ。降参よ……」
仁奈「何に!?!?」
仁奈(瑞樹おねーさんの気持ちがまったくわからねーですよ!!)
22: 以下、
瑞樹「2人の気持ちになりたいから、私もこれ、使わせてもらうわ」
仁奈「何考えてるんですか!?」
瑞樹「装・着☆」びしぃ
仁奈「両腕に靴下をはめてる!?」
瑞樹「」バタン
仁奈「わああああああ!!!!!!瑞樹おねーさん!!!!!!!」
ありす「大変ですねぇ」
瑞樹「」ムクリ
仁奈「ひぃ!嫌な予感しかしねー!」
仁奈「ありす!はなしてくだせー!」
ありす「ダメです、どこにもいかないでください」ぎゅぅぅぅ
仁奈「んぎぎぎぎぎぎぎ……!!」
ありす「……」ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅ
仁奈(はなれねー……)
23: 以下、
瑞樹「」靴下ポイー
仁奈「あっ、これくる、くる、ぜってーくる!」
瑞樹「」ぶっっちゅううううううう
仁奈「んんんんんんんんんんんん??????????!!!!!!!!」
仁奈(やっぱりきたぁぁぁぁ!!!!)
瑞樹「んっ、んちゅ、ちゅ、じゅるっ」
仁奈「ん、んんっ!ん??!!」
仁奈(く、食われてる……!ありすちゃんのチュー以上に仁奈の中身が吸われてるような気がするですよ……!!)
仁奈(メスライオンに口から食われるシマウマの気持ちになるですよ……)
24: 以下、
瑞樹「んっ……」ぬりゅっ
仁奈「んはぁぇっ!?」ビクンッ
仁奈(な、なんでやがりますか今の!?前歯の裏側、口の天井のあたりを舐められて、変なかんじだったですよ……)
瑞樹「んむ、りゅぅぁぇ、あむ、むちゅっ」れろ、れろっ
仁奈「んん!?」
仁奈(く、くすぐったいのに、気持ちいい……へんな感じでやがります……)
仁奈(あ、だめ、なんかくる、きちゃう……)
仁奈「???っ!!!」ビクンッビクンッ
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瑞樹「……」ちゅぽん
瑞樹「イっちゃったのよね。わかるわ」
ありす「な、な、なんてことを……!」わなわな
ありす「瑞樹さん!」
瑞樹「なあに?」
ありす「わ、わたしの仁奈を、取らないでください!」
瑞樹「いいえ?仁奈はもう私のものよ。ねえ?仁奈」
ありす「わたしのです!」
瑞樹「私のよ」
ありす「わたしのです!」
瑞樹「わた」
仁奈「ふたりとも……けんかしねーでくだせー……」
ありす瑞樹「「はい」」
仁奈「……」
ありす「……」
瑞樹「……」
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仁奈「……」
ありす「……」
瑞樹「……」
仁奈「……」
ありす「……」
瑞樹「……」
仁奈「……」
ありす「……」
瑞樹「……」
仁奈(……あのへんな感じが抜けてきたです)
瑞樹「……」ぎゅぅ
ありす「……」ぎゅぅぅ
仁奈(2人とも力が強くていてーですよ……)
27: 以下、
きらり「わぁ、仁奈ちゃんとありすちゃんに、瑞樹さんだぁ☆おっすおっす☆」
ありす「……」
瑞樹「……」
仁奈「もが?」
杏「右から真顔、苦悶、真顔だね」
きらり「むぇ?(´・ω・`)」しょも
杏「二人ともどうしたの、仁奈にそんな抱きついて」
ありす「……」
瑞樹「……」
杏「頑なに無視するね」
仁奈「もが?……」
杏「何言ってんのかわからん」
きらり「きっと仲がいいんだにぃ!」
杏「ゼロ距離密着だよ?仲がいいってレベルじゃないよ」
きらり「両手に華ってやつ?」
杏「そっかー、モテモテだなぁ仁奈は。年上ばっかり、お姉さんキラーだねぇ。杏たちも混ざっていーい?」
きらり「ちょっとぉ、杏ちゃん!」
杏「じょーだん」
28: 以下、
仁奈「ぷは!違うです!その靴下のせいで……!」
杏「靴下?ああこれ?」
仁奈「その中にありすちゃんと瑞樹おねーさんが入ったら仁奈から離れなくなったですよ!」
杏「何それヤバい。離れなくなったのもそうだけどこの靴下に2人を入れたという過程と状況がヤバい。想像できない」
きらり「冗談を……言ってるようには見えないにぃ。3人とも、そんな冗談を言うタイプじゃないもん」
杏「ガチでそんなことになってるならこれは事件だよ」
きらり「ゆっこちゃんとか、呼んでくゆ?」
杏「状況を悪化させそうだからナシで」
きらり「むぇ?ゆっこちゃんかわいそう……(´・ω・`)」
杏「ユッコは悪くない。どっちかって言うと状況が悪い。こうなる前に呼びたかった」
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杏「なるほど、内側か。内側といえば……ねえきらり、こんな話があるんだけどさ」
きらり「ん??」
杏「社会学者、物理学者、そして数学者が、同じ長さの閉じたロープで最大の面積を持つ領域を囲む方法を考えている」
きらり「なんか今までの流れガン無視してるにぃ」
杏「社会学者は正方形の囲いを作った。物理学者は円の面積が、同じ長さの周の正方形よりも大きいことを知っていたため円形で囲いを作った。そして数学者に『あなたには……もりくぼのこれより大きい領域を、囲めるもんなら囲んでみてほしいんですけど……』と問うた」
きらり「あーっ、それ知ってゆ?☆数学者はぁ、円の中に立って『今ボクが立っているところを外側と定義するよ』って、言ったんだよにぃ☆」
杏「おぉ、さすが。きらりは数学が得意だもんね」
きらり「えへへ☆」
30: 以下、
杏「だからこの靴下を裏返すと」
きらり「ちょっ、杏ちゃん」
杏「こうすると杏たちが、この事務所が、日本が、世界が、宇宙が仁奈のものになる?!」
きらり「……」
仁奈「heeeeeeeyyyyyyyyyy..............」
杏「おっと、やっちまったな★」てへ
きらり「もう☆杏ちゃんのうっかりさん☆」こつん
杏「よしっ!」
杏きらり「「折・衷・案!」」
きらり「きらっ☆」
仁奈「何も折衷してねーです!!」
杏きらり「「」」バタン
仁奈(ああああああああ!!!!!!)
31: 以下、
そのときとても不思議なことが起こった。市原仁奈のいる控え室の調度品、備品、問題の靴下すら含む部屋の物という物の一切が一斉に、しかしゆっくりと市原仁奈の体へと吸い寄せられ始めた。
双葉杏と諸星きらりはゆらりと立ち上がり、それら調度品と共に市原仁奈の元へと近づいて、ついには前から後ろから、固めるかのように市原仁奈を抱きしめたのである。
やがて部屋の外が騒がしくなったかと思うと、扉を開け放った日野茜が、彼女に着いてきた鷺沢文香が、通りかかった片桐早苗が、天井を突き破って専務が、床を蹴破って中野有香が、その他多くのプロダクションの仲間たちが部屋の入り口で倒れ、壁にもたれかかり、天井から溢れ、やがては起き上がり、のろのろと市原仁奈の元へ殺到した。
双葉杏や橘ありすらがそばにいるのを気にも留めず、皆が皆、市原仁奈だけを目指していた。
当の双葉杏や橘ありす、川島瑞樹、諸星きらりもまた、殺到してくる同僚たちが自分の体を踏みつけにするのも意に介さず、力の残る限り市原仁奈を抱きしめ続けた。
市原仁奈が最後に見た光景は光を失った無数の同僚たちの目と、その後ろからとんでもない勢いで迫ってきた部屋内の調度品たちだった。
やがて鈍い音とともに目が潰れ、しかし声も出ず、激烈な痛みと苦しみの中、息を吸えぬまま、全ての光を見、全ての音を聞いて市原仁奈の意識は終わった。
この時点ではまだ膨張の過程にあった宇宙は、市原仁奈をその中心として急激に収縮を始めた……
32: 以下、
かつて市原仁奈であったものとその周りの何某かが直径1m程の完全な球体の塊になったかと思うと、今度は部屋の建材を引き寄せにかかった。
部屋の内外だけではない。人間が一切いなくなったビルから外を望めば、あらゆる飛翔体が、あらゆる地を這うものどもが、みな一様にこちらを目指しているではないか。
ゆえに東京の渋谷は悲しいことになった。スクランブル交差点を歩く人間たちが、交差点の信号が、ゴミをついばむカラスどもが、立ち並ぶビル群は、それらを支えていた地面のアスファルトは、ああなんと無残な。なんと残酷な。
全てを分けていた境界が今は無く、舞い上がっては人が人を裂き、ゴミがカラスをミックスし、そして砕けたアスファルトが空に舞う全てを名前のつけられない何かへと昇華していった。
全てが全てと混ざり合い、再び一つだけの境界を持つようになり、粒度が限りなく低くなったそれらは、人間が生きていればさぞ舌に嬉しいスムージーであったろう。
渋谷が渋谷でなくなったのと同じように、日本は日本でなくなった。地球の裏側では全ての存在が地面に貼り付けになり、ブラジルの高い建造物は一枚の板になった。やがて地球はより小さい市原仁奈の球体に吸い込まれ、市原仁奈はもう4回りも8回りも大きいただ一つの完全な球体になった。
かつての地球を飲み込み、重力の他にも得体の知れない引力を持つその球体はまた急激に収縮を始めた。球体は再び6mほどに縮んだ。
一般的に、地球をブラックホールにするには直径9mm以下にする必要があると知られている。しかし市原仁奈という未知の引力の主体があるこの球体はこの大きさにして重力崩壊を引き起こした。
ここからは加度的であった。太陽系は太陽ではなく、市原仁奈を中心に回り始めた。4年ほどの月日が経ち、やがて太陽やその他の惑星たちは回ることなく市原仁奈を飲み込みにかかった。否、飲み込まれにかかった。
太陽系を飲み込んだ市原仁奈は銀河系を飲み込み、周辺の銀河団を飲み込んだ。収縮を続ける宇宙の直径と市原仁奈の直径が一致したその時、全てが市原仁奈になった。
33: 以下、
宇宙になった市原仁奈は収縮を続けるのみとなり、那由多の時間をかけ、元の市原仁奈の形を取り戻した。
無に漂う市原仁奈はまさしく全てであった。全てが市原仁奈であり、市原仁奈こそが全てであった。
市原仁奈は目を開いた。自分自身の中に全ての過去と全ての未来、その全てを見て、今自分が置かれている状況をすぐに察知した。自分のやるべきことはただ一つと確信した。
友達に会うため、大切な人に会うため、全てを始めるため。やることは、できることは、ただ一つだった。
「ばーん!」
その一言があった。やがて爆発した。そのようになった。これが世に言うビッグばーん!である。
原初は光があった。光は熱と共にあり、そしてまた急激に膨らむと空間と時間を広げていった。
光が弱まり、熱が冷めてくると細かい粒が塊になり、膨れ上がって星を生んだ。星が生まれる時に余った粒が星の周りを回るようになった。星の周りを回る粒たちは星よりも小さいながら大きな塊となった。星の名前は太陽。その太陽の周りを太陽に近い方から3番目を回る塊。これが今私たちの住む地球である。そして数十億年の歳月が経ち、現在の我々がここにいるのだ。
34: 以下、
2017年1月9日 都内某所
仁奈「中に入れたらなんでも仁奈のものになる靴下でごぜーますか!」
仁奈「……『入れたものがなんでも仁奈ちゃんのものになる靴下』」
仁奈「そんなのがあるわけねーですよ」
仁奈「バカにしねーでくだせー」
仁奈「今日の日付はいつですか?1月9日ですよ?」
仁奈「もうクリスマスも終わって正月すら終わったですよ。一般的な""まつのーち""も……」
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