キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」九冊目back

キモオタ「ティンカーベル殿!おとぎ話の世界に行きますぞwww」九冊目


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おっつー(・∀・)
『作者』編とな?ワクテカ
個人的に桃ライオンコンビの友情を楽しみにしてるでござるよwww
65: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:35:42 ID:mG5
キモオタ「三日後…いよいよ【不思議の国のアリス】の世界へ向かうのでござるな。遂にこの時が来ましたな…」
ティンカーベル「そうだね、シンデレラを助けるのが今回の目的だけど…アリス達と戦う事は避けられないだろうし、気合い入れなきゃだね!」
赤ずきん「そうね、私達がシンデレラの奪還に来る事はアリスも予想しているでしょうし…迎え撃つ準備は万端に整えているはずよ」
ドロシー「ですよね…【不思議の国のアリス】は結末を迎えてますからハートの女王様や帽子屋さん…三月ウサギさんももう自由に動けます…。
それに加えてシンデレラさんやいろんな世界の魔法具…うぅ、大丈夫かな…三日しか猶予が無いんじゃ…返り討ちになっちゃうかも」ビクビク
赤鬼「悪い方に考えたって仕方ねぇぞ。アリスは強いかもしれねぇけどオイラ達だって何もしてこなかったわけじゃねぇんだ。気持ちで負けてちゃいけねぇぞ」
桃太郎「その通りだ。『三日しかない』と言えばそれまでだが…大切なのは限られた時間で何を成すかだ。どんなに僅かな時間であろうとも鍛錬は己の力に怠慢は己の枷となる」
裸王「うむっ、流石は国一の侍…良い事を言うではないか!とはいえ筋肉は一日にして成らず…三日間では完璧とはいかぬがこの裸王に任せておけばある程度の筋肉を約束しよう!どうかねドロシーよ?」マッチョ
ドロシー「えっ、あのっ、その…裸王様のお気持ちは嬉しいんですけど、その…私は…筋肉は付けなくてもいいかなぁ…なんて、思っちゃったりして…」オドオド
ヘンゼル「なんでオドオドしてるのさ、ちゃんと断らないと筋肉質にされるよ?」
ラプンツェル「私は欲しいけどなー筋肉!だってもっと力があったら髪の毛で引っ張れる力も強くなるもんねっ!そしたらシンデレラ取り戻すのもあっという間だよっ!」フンス
裸王「ほう…友の為に強さを求めるお主の筋肉欲しかと受け止めたっ!この裸王が責任を持ってお主を立派な筋肉淑女にしてみせようっ!」ムキムキ
ゴーテル「ええい何を血迷った事言っておるんじゃい!ワシは許さんぞォォ!女の子はのぉ…ちょっとか弱いくらいが可愛いんじゃいぃぃ!」ガタッ
魔法使い「ゴーテルよ、今はその娘愛は抑えてくれんか。ラプンツェルももう大人なのだから本人の好きに…」
ゴーテル「いくつになろうと無垢な天使を護るのが親の務めじゃい!よいか裸の王、健康的な肉体美の女性と言うのも魅力的だがそれはラプンツェルの持つ愛らしさとは対極にある。
そもそも女の子の可愛さと言うのは庇護欲をかきたてるどこか弱い部分を残すことで――」クドクドクドクド
魔法使い「…まぁよい、限られた時間でどのような備えをするかはそれぞれの判断に任せる。ワシが下手に入れ知恵するよりもその方が良いじゃろ」
67: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:39:23 ID:mG5
魔法使い「とにかく…三日後に皆はこの屋敷に再び集まってもらう、それまでは各々で準備を進めとくれ。無論、アリス達との戦いを意識した備えをな…」
キモオタ「了解しましたぞwwwとはいえ限られた時間で何をすべきか悩みますなwww」コポォ
魔法使い「方針が定まらんと言うなら助言はするのでな、必要ならば個々に声をかけてくれればよい。さてゴーテルよ、裸の王への講釈はその程度にして例の物を皆に配ってくれんか」
ゴーテル「むぅ、これからじゃというのに…まぁよい。全員に一つずつこの時計を渡しておく、肌身離さず持っておくようにするのじゃぞ」スッ
ヘンゼル「懐中時計…魔女のあんたが渡してくるってことはただの時計じゃないんだよね?魔法具か何かなの?コレ」
ゴーテル「一応魔法は掛けておるがほとんどただの時計じゃ、魔法具と言うほど上等なもんじゃありゃあせん」
ゴーテル「お主等はこれから別々の世界へ向かうじゃろ?おとぎ話の世界には時の流れが通常と違う世界、場所が存在する…時間に影響を与える能力や魔法もな」
ヘンゼル「あぁ、確かにそうだね…アリスは時間を止める能力を持っているみたいだし。女王の書庫で呼んだおとぎ話にもそういう魔法が登場する作品がいくつかあったっけ」
赤鬼「魔法かなんかで時間の流れを変えられちまったりすりゃあ『三日後』に集まるってのが危うくなるもんな、時計を配ったのはそれを防ぐためか」
ゴーテル「そうじゃな、この時計は魔力によって【シンデレラ】の世界の時間の流れに沿って時を刻む。これさえあればどんな時間の流れの中に居ても同じ時の流れを共有できるというわけじゃ」
人魚姫の声『なるほどねー、海底の魔女と違ってゴーテル達はちょー優しいし準備が良いよね。っていうかあたしはそれよりも時間の流れが違う場所があるって方にワクワクしてるんですけどー!』
赤ずきん「例えば【浦島太郎】というおとぎ話にはね竜宮城という場所が存在するの、そこは体感は数日なのに実際には数百年の時が経過してるという様な特殊な時の流れの中にあるの」
人魚姫の声『へーっ、初めて聞いたよ。陸の上にはまだまだ不思議なものがいっぱいあるな〜』
赤ずきん「竜宮城は陸の上じゃなくて海底にあるのだけどね…でも随分と警戒しているのね?無用な備えだとは思わないけど…」
ゴーテル「まぁ用心するに越した事は無いじゃろ。アリスの襲撃はもとより、お主等が時の流れが異なる場所に赴いたり迷い込まないとも限らんじゃろ?」
魔法使い「【不思議の国のアリス】は完全にアリスの領域、そこに踏み込む以上は万全な状態でなければな。揃いの時計を手渡し足並みをそろえるのもその為の保険というわけだ」
69: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:42:37 ID:mG5
魔法使い「よいな?繰り返しになるが…決行は三日後じゃ。ワシ等の一手もその頃には形となるだろう」スッ
ラプンツェル「でもあれだよね!魔法使いやママが何か用意してくれてるんならもうシンデレラ助けたようなものだよね!なんたって私のママはすんごい魔女なわけだし!」フンス
ドロシー「そ、そうですよね…私が居た【オズの魔法使い】でも魔女さんはどの方も恐れられていましたし…わ、私みたいな足手まといが居ない方がずっと順調に事が運ぶんじゃ…」オドオド
ゴーテル「そんな事はありゃせんわい。魔女と言うても万能じゃありゃせんのじゃ、ワシら老いぼれに出来ることなど若者への助言と手助け程度じゃわい、のぉ?」
魔法使い「残念だがそうだな…。それぞれ予定や考えがあるだろう、ひとまずここで解散と言う事にしておく…が、最後にひとつだけ言わせてもらおう」
キモオタ「ほうwwwなんですかなwww」
魔法使い「お前達はシンデレラを救って欲しいというワシの頼みを迷うことなく引き受けてくれた。それには感謝してもしきれぬ程だ、だが…今回の試みが非常に危険だという事も事実」
魔法使い「本音を言えば…全員無傷というわけにはいかんと思っている。なにしろ相手はあのアリス…奴が抱える戦力は生半可な物ではなかろう。最悪、死者が出る事も覚悟した方が良い」
一同「……」
魔法使い「しかし、だ…お前達ならばこの厳しい戦いさえも乗り越えられるとワシは信じている。お前達は皆、おとぎ話の主人公…あらゆる逆境を乗り越えられる力を持った者達なのだからな」
キモオタ「あのwww我輩はwww我輩だけ違うのでござるけどwwwなんというか凄まじい場違い感がwww」コポォ
魔法使い「何を言っておる、異なるおとぎ話の主人公たちが集結するなど本来ならば考えられん事なのだぞ。だがお前達は出会い、友となり、シンデレラを救う為に心を一つにしておる…そのきっかけを作ったのは他でも無いお主じゃろう、キモオタよ」
キモオタ「いやいやwww我輩はティンカーベル殿と共におとぎ話を救う為に行動してただけですぞwwwこんなキモいオタクがきっかけとか無いでござるよwww」コポォ
魔法使い「何を言う、間違い無くきっかけはお前だ。確かにお前の容姿は醜悪で挙動も不審で端的に言えば気持ち悪い…だが不思議な魅力がある。だからこそこの様に多くの共に囲まれているのだ」
キモオタ「いやいやいや魅力とかあるわけないですぞwww我輩、現実世界に友人居ないでござるしwwwしかも周囲にキモがられてるでござるしwww
すれ違う人々は家畜を見るような眼で見るでござるしwwwことキモさにおいて右に出るものは居ないと自負しておりますぞwww」コポォ
魔法使い「それはそれで笑いごとじゃ無かろう。そうだな…例えるなら現実世界の大人には妖精の姿が見えない。
だからその存在を信じぬし気付けぬ…それと同じだ、お前の魅力は目には見えぬ、故にとても気付きにくい…。だが確かにそこにあるのだ、多くの大人に見えなくともティンカーベルが確かにそこに存在しているようにな」
キモオタ「買いかぶりすぎですぞwww我輩は単なる気持ちの悪いオタク、キモオタでござる。それ以上でも以下でも無いですぞwww」コポォ
71: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:45:31 ID:mG5
魔法使い「しかしだ、何の因果であろうともこうして集った仲間達が一人でも欠けてしまうというのは非常に悲しい事だ…まさに今そうであるようにな」
魔法使い「よいか?この戦いは皆にとって厳しく苦しいものになる。だがシンデレラを救いだして全てが終わったその時…」
魔法使い「もう一度、ここに皆で集まれる事をワシは切に願う。お前達もどうかその事を心に留め、決して己が身を犠牲にする様な事のないように…よいな?」
ティンカーベル「もちろんだよっ!絶対にみんな無事で帰って来るから安心しててよね!」
ラプンツェル「うんうんっ!シンデレラも絶対助けてみんなでまたお茶飲もっ!そしたら私、またお菓子作ってくるよ!」
赤鬼「そりゃあいいな、だったら茶を淹れるのはオイラに任せてもらおうか。とっておきの茶葉を使ってやるぞ」ガハハ
赤ずきん「ふふっ、あなた達は今からお茶の話なの?まぁ、なんにせよアリスには借りがあるものね…きっちり返させてもらうわ」
人魚姫の声『赤ずきんはなんかもう相変わらずなんですけど!まっ、今の私は空気の精霊なわけだし私にしかできない事もあるかもだしね、やっちゃうよ〜!』
桃太郎「うむ…友を救いだすは当然、己が身も戦友も全て護る。それほどの気概が無くては誇り高き日ノ本一の侍を名乗れぬ」
ドロシー「せ、せめて足手まといにならないように頑張ります…!頑張って、戦います…!」オドオド
ヘンゼル「君は別に戦う必要無いでしょ。【不思議の国のアリス】の地理に詳しいのは君だけなんだし、君の役目はそういうサポートでしょ」
裸王「そうだぞドロシーよ!筋肉は確かにすばらしいがそこに知識や絆が加われば筋肉は何倍も美しき輝きを放つ!それを忘れてはならんっ!」ムキムキ
キモオタ「裸王殿の言い回しが独特過ぎて全ッ然理解できませんぞwwwしかしまぁなんといいますか魔法使い殿wwwどれだけアリス殿が強敵であろうとも我々は負けるつもりなど微塵も無いでござるよwww」
魔法使い「強敵を前に鼓舞が必要と思ったが…杞憂じゃったな。キモオタよ、その言葉で安心した。シンデレラの事、お主等に任せるぞ」
72: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:46:46 ID:mG5
・・・
赤ずきん「さぁ、そうと決まれば時間が惜しいわ。赤鬼、人魚姫、私達はそろそろ失礼しましょう。魔法使い、色々とありがとうそれじゃあまた三日後に」スッ
魔法使い「あぁよろしく頼む…だが不安だ。赤ずきんはどうも毎度毎度無茶をしているという印象があるのでな…くれぐれも無謀な行動に出ぬようにな?」
赤ずきん「大丈夫よ、アリスとの戦いを前に怪我でもしたら馬鹿馬鹿しいもの。今の私はそこまで子供では無いわ」
赤鬼「まぁこいつが何かしでかしそうになったらオイラが止めるから安心してくれ!」ガハハ
魔法使い「くれぐれも頼むぞ、赤鬼に人魚姫。赤ずきんの性格はお主等の方が理解しているだろう、皆まで言わずとも解るじゃろうが…な」
人魚姫の声『オッケーオッケー!っていうか…あはははっ、赤ずきん絶対無茶するって思われてんじゃん!ちょーウケるんですけど』アハハ
赤ずきん「…何だか納得いかないわね。何だか私が聞きわけの無い子供のような扱いなんだけど…」ムスッ
キモオタ「何だかんだ言って赤ずきん殿はまだまだ子供でござるからなwwwその点赤鬼殿は心身ともに大人でござるからwww赤鬼殿の方が信頼されるのは当然でござるよwww」
赤ずきん「えぇそうね、大人なあなた達と違って私は子供。だから子供の癇癪に巻き込まれてもあなたは文句なんて言わないわよね?」ガチャッ
キモオタ「ぶひぃっ!?ジョークでござるよ!ジョークでござるよ!まったく赤ずきん殿をからかうのは命懸けですなwww」コポォ
ティンカーベル「だったらやらなきゃいいのに…ところでさ、赤ずきんはこの三日間で何するの?何か考えてたりする?銃の訓練?」
赤ずきん「そうね…赤鬼と人魚姫の意見も聞いてみないといけないけれど、私の個人的な想いとしては行っておきたいおとぎ話の世界があるのよ。そこの主人公に話を聞いてみたいの」
キモオタ「ほうwww赤ずきん殿が興味を持つとはきっと立派な方なのでござろうwwwそれはどのような人ですかなwww」
赤ずきん「確かに立派だけど…人ではないわ、非力で小さなただのネズミよ。ただとても義理堅くて強い心を持っている…立派な主人公よ」
73: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:47:50 ID:mG5
ヘンゼル「義理堅いネズミが主人公…あぁ、もしかしてイソップ寓話の?」
赤ずきん「あら、ヘンゼル随分と詳しいのね?」
ヘンゼル「おとぎ話は雪の女王の書庫で浴びるように読んだからね」
赤ずきん「ずいぶんと記憶力がいいじゃない、あの女王に一目置かれているだけはあるみたいね」フフッ
キモオタ「いやはやwwwお二人ともおとぎ話に関する知識が豊富ですなwwwちなみに我輩はそのおとぎ話の事全く知りませんぞwww」コポォ
ヘンゼル「…でも君はどうしてそのおとぎ話に行こうと思ったの?射撃の腕を磨いたり戦う為の力を手に入れたいのなら、もっと適したおとぎ話があるだろうに」
赤ずきん「そうでしょうね、ただとても興味深い事を知り合いから聞いたのよ」
キモオタ「ちょwww二人とも我輩をガン無視www近頃の少年少女はドライですなwww恐い怖いwww」コポォ
赤ずきん「元々はその知り合い…ブレーメンの音楽隊から別世界でライブをやりたいから是非力を貸してくれって言われてね。以前お世話になったからお礼も兼ねて協力したのよ」
赤ずきん「それで登場人物が動物ばかりのおとぎ話にいくつか案内したの。そしたらあるおとぎ話の世界で勇ましいライオンとちっぽけなネズミが仲良さそうにしている姿を見たらしいのよ」
ティンカーベル「へーっ、ライオンとネズミが仲良くしてるなんてそんなことあるんだねー」
赤ずきん「彼等の話だとただ仲が良いだけじゃないみたいなの。その二匹は息ぴったりに連携を取って狩りをしたり人間が森に仕掛けた罠を壊したりしていたそうよ」
キモオタ「ほうwww我輩、動物の知り合いは少ないでござるがwwwそれは凄いでござるなwww何倍も身体の大きさが違う相手とそのように連携が取れるとはwww」コポォ
赤ずきん「そうね。異種族間の共存は私の友達二人にとって最終目標でもあるし、それに私の武器はマスケット…大勢で戦うとなれば私の役目は必然的に後方支援になるわ」
赤ずきん「そうなれば仲間との連携は必要不可欠…赤鬼達との連携ならともかく、他の皆とは共闘の経験も少ないし正直不安は残るわ」
赤ずきん「だからこそ、種族の違いや身体の大きさの違いをものともせず素晴らしい連携を取れているという彼等に話を聞きたいのよ」
74: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:49:42 ID:mG5
人魚姫の声『赤ずきん、赤鬼と息ぴったりだと思うんですけどー?皆と連携とれなくても赤鬼と一緒に戦えばいいだけじゃね?』
赤ずきん「それじゃ混戦に持ち込まれたらお手上げになってしまうわ。味方を攻撃してしまう事を恐れて銃を撃つ事も出来ない、それじゃ私はマスケットを握りしめてるだけの置物よ、そんなのは嫌」
赤鬼「俺も興味があるな、言っちまえば食う側と食われる側の二匹が共存してるってのはやっぱり気になるしな。人魚姫さえいいってなら次の目的地はそのおとぎ話にするか?」
人魚姫の声『私はもちろんオッケー!ネズミもライオンも海底には居ないし人魚と人間の共存を考えるわたしとしては異種族で仲が良いってのはやっぱり気になるしー』
赤ずきん「それなら決まりね。時間は限られてる、行くからには必ず何か新しいものを掴んでこなければね」スッ
桃太郎「己の役目を理解し、最善の行動ができる為の努力を行う…。いつもの事ながらお主の向上心の強さには目を瞠るものがあるな」
赤ずきん「あら、それを言うならあなたも相当よ?日ノ本で英雄とまで呼ばれているのに更に西洋の剣術まで学びたいだなんて言ってくるんだから」
桃太郎「振るえる刃は多い方が良い。それに此度の修行で理解した、日ノ本と西洋の剣術…型や思想の違いあれど根底にあるものにさほどの違いは無いのだとな、これもハインリヒ殿の手厚い指導の賜物だ。彼を紹介してくれたお前にも感謝せねば」
赤ずきん「いいのよ、それであなたの英雄としての働きに磨きがかかるのならね」
赤鬼「てぇことは桃太郎はこのあとまた【蛙の王子】の世界に行くのか?その西洋の剣術とやらの修行の為に」
桃太郎「そうしたいのだがな…ここに来る前にハインリヒ殿に言われたのだ『西洋の剣術の基礎は叩き込んだ。後は実戦で己と技を磨くのみ、実戦に勝る成長の場など無いのだ』…とな」
赤ずきん「彼ならそう言うでしょうね。どうせ修行中も『真剣勝負の中でのみ、剣士としての腕は磨かれる』みたいな事言ってたでしょう?そういう人だから」
桃太郎「言ってた言ってた、なんかもう口癖でさぁ……もとい、そう言っていたな。彼の言葉は一理ある、しかし大きな戦を前に下手に実戦を行うというのも…悩ましいところだ」
75: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:52:25 ID:mG5
桃太郎「アリスとの戦いを控えている今、無暗に強者に挑む事は控えるべきだ。それで手負いになれば後の戦いに支障が出るのだからな」
ティンカーベル「とかなんとか言って本当は戦うのが恐いだけなんじゃないのー?桃太郎はヘタレだからなぁ〜」ニヤニヤ
桃太郎「拙者はヘタレに非ず。悪鬼を相手に大立ち回りを繰り広げた拙者が戦いを恐れているなど…笑えぬ冗談だなティンカーベルよ」
桃太郎「…というかティンクお前マジでやめろよそうやって茶化すの!みんな見てんだぞ!」ヒソヒソ
ティンカーベル「えーっ?でもぶっちゃけみんな知ってるって、気を使って知らないふりしてくれてるだけだよ。桃太郎最近皆の前でもちょいちょい素が出てるし…そもそも私達が教えたし」
桃太郎「何してんの!?もおぉぉー!実は皆に気を使われてたとかそんな事実知りたくなかったわ拙者!」ヒソヒソ
キモオタ「つまり成長の為には実戦に身を投じたいと考えるものの今そのリスクを背負うのはいかがなものかという事ですなwww」
桃太郎「そう言う事になるな…しかし実戦とは命の取り合い、命が危険に晒されぬ戦いなど存在しない」
キモオタ「強敵でありながらいい感じに手を抜いてくれるような敵が居ればいいでござるがwww」
桃太郎「手を抜いてくれる…というのは違うだろう。しかし、限りなく実戦で近い形で訓練をしたいというのは事実。しかしそんな都合のいい事が……」
魔法使い「…無いわけでもないぞ?」
桃太郎「えっ…そうなの?詳しく聞かせてはくれぬか?」
魔法使い「魔法で使役する魔獣や化物を相手に戦えばいいのだ。そういった者共は脅威から何かを護ったり、あるいは相手を脅かしたり殺す目的で生み出されている事も多い故、力量は十分」
魔法使い「ヘンゼルが持つ火打ち箱がその一つだ。なにしろ魔力で生み出された生物、相手にとって不足は無いだろうし…例えお前の命に危険が生じても魔法具の使用者が止めに入る事も可能」
桃太郎「それでいて使役されている怪物は手を抜く意思を持つわけではないからより実戦に近い戦いができるというわけか…!」
76: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:55:29 ID:mG5
ヘンゼル「でも、僕は協力できないよ?そうなれば桃太郎につきっきりになるでしょ、それは困る。僕自身も強くなりたいし…悪いけど」
桃太郎「むぅ、そうか…お主にも都合があるのは仕方の無い事。しかし、となると他にあては…」
赤ずきん「桃太郎、このおとぎ話に行ってみなさい」サラサラスッ
桃太郎「この紙切れは…?この世界に存在するというのか?火打ち箱のような強者を使役する魔法具が」
赤ずきん「えぇ、本来の用途は違うけれど…バケモノを呼び出す魔法具が存在する。その持ち主もあなたになら協力してくれるでしょう、同じ日ノ本のおとぎ話だしね」
桃太郎「おぉ…かたじけない!では拙者はこのおとぎ話に向かい、剣術に更なる磨きをかける…!」
赤ずきん「まぁ…怯えて逃げ出さないようにね。その魔法具、精神にも影響あるから」ボソッ
桃太郎「えっ…?あんまりよく聞こえなかったのだが…なにか言ったのか?」
赤ずきん「いいえ、その怪物と戦えばあなたはもっと強くなれるでしょうね。いい?メモにも書いたけど選ぶのは大きなつづらの方よ?」
桃太郎「うむ、必ずや新たなる力を身につけ…友を救いだして見せよう!」キリッ
ラプンツェル「うぅ〜っ!なんだかあれだよねっ!みんな強くなる為に頑張ってるってなんだかワクワクするねっ!私も頑張るよーっ!」フンス
キモオタ「ほうwwwいやしかしwwwあの、なんといいますかwwwゴーテル殿が反対するのでは…?」
ゴーテル「既に許可しておるわい。ラプンツェルがこの後向かう気は既に決まっておるし、向こうにも話がついておるしな」
ティンカーベル「よく許したね…私達にラプンツェル任せてあんな事になったからまた塔に幽閉するってのもありかと思ってた」ヒソヒソ
キモオタ「そうですなwwwしかしやぶへびになっては事なので黙っておきますぞwwwところで向かう先はなんというおとぎ話ですかなwww」
ラプンツェル「みんなも良く知ってる【アラビアンナイト】の世界だよっ!シェヘラザードがいろいろ教えてくれる事になってるんだよー」ニコニコ
77: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)00:58:23 ID:mG5
キモオタ「シェヘラザード殿の所でござったかwwwラプンツェル殿はあの後も彼女と付き合いあったようでござるし、確かに知り合いの所であればゴーテル殿も安心ですなwww」
ゴーテル「当然、それもある。じゃが娘可愛さだけで安全な場所を選んだわけでは無いぞ?」
ティンカーベル「あの娘大好きなゴーテルがまさかラプンツェルが戦う事を許すなんてねー、ちょっとびっくりだよ」
ラプンツェル「私もいっぱいお願いしたからね!だって私だけシンデレラ助けるお手伝いできないとか嫌だもん!」
ゴーテル「戦わせたくないというのが本音じゃが…娘の友を想う気持ちは無下には出来ん。となるとラプンツェルの武器はその長い髪の毛だ」
ティンカーベル「でも魔力が宿ってると言っても髪の毛じゃあなんとなく頼りないイメージだよね?そんなこと無いのは知ってるけど…」
ゴーテル「それは否定できんな。じゃがワシの天使の髪の毛は見ての通りとてもとても長い、そのうえ自在に操る事も可能じゃ刃物に弱いという欠点はあるが…重い物を掴んだとしても耐えきれずちぎれる事などありはせん」
ゴーテル「そうなればもう自在に操る事の出来る鎖を無数に持つ事となんら変わらん。武器を投げれば攻撃も出来、前方に束ねれば壁となる、相手を拘束する事も自由を奪う事も可能…手数の多さでは他に引けを取らんぞ?」
ラプンツェル「でもその為には色々とお勉強しなきゃなんだよ〜…どういう風に岩を投げたらどんな風に飛ぶとか、目的の場所に一番早く髪の毛を届けるにはどうやったらいいかとか…シェヘラザードは厳しいからお勉強も大変だよぉ〜」
キモオタ「シェヘラザード殿、なんというか委員長気質みたいなとこありますからなwww」コポォ
ラプンツェル「でもでも新しい事いっぱい知れるのは楽しいよ!それにシェヘラパパがね、お勉強するのが楽しくなるようにってコレをプレゼントしてくれたんだよぉ〜」ゴソゴソ
ゴーテル「むっ…大臣じゃな?何か貰ったなどワシは聞いておらんg」
スチャ
ラプンツェル「じゃじゃーん!だて眼鏡だよっ!どうどう?かしこく見えるでしょー?」フンスッ
ゴーテル「ふおぉぉっ…!?なんということじゃ…十六年近く共に過ごしていながら新たな魅力を見せつけられるとは!我が娘、その可愛さは底なしと言う事か…!」クッ…
キモオタ「ちょwwwゴーテルどのテンションおかしいでござろうwww」
78: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)01:00:21 ID:mG5
ラプンツェル「この眼鏡をかければぐーんとかしこい感じでしょ!普段の百万倍くらいっ!インテリラプンツェルだよっ!」フンス
キモオタ「その台詞がすでにもうかしこくないのでござるがwww」
ゴーテル「何を言うか!どっからどう見ても女教皇そのものじゃろうが!お主の目は節穴か!ワシがその曇った目玉を抉りだして洗ってやるわい!」
キモオタ「ちょwwwさらっと恐い事をwww誰かこのモンスターペアレントを止めてくだされwww」
裸王「うむ、しかし眼鏡と言うのは知性の象徴ともいえる。筋肉が力の象徴であるようにな」
ヘンゼル「裸王さんって何気なく話題を筋肉に関連付けるよね…」
ドロシー「で、でも私…裸王様の自分に自信がある所、凄いって思います。私、全然だから…」オドオド
ティンカーベル「裸王達は三人で【裸の王様】の世界に行くんだっけ?」
裸王「うむっ!ブリキのきこりとドロシーを再開させるという目的もある。それに、ヘンゼルの事もギリギリまで鍛えてやりたいのだ」マッチョ
ヘンゼル「火打ち箱があっても僕自身が何もしない理由にはならないしね。それに手に入るのなら何だってする、妹達を救う為の力…それはどれだけあっても得過ぎって事は無い」
ドロシー「ブリキ、私の為に無茶してたって聞いたから…私は大丈夫だよって所見せたいです…」
キモオタ「なるほどwww裸王殿の所ならばヘンゼル殿もドロシー殿も問題ないでござろうwww」
ティンカーベル「きっといい具合にしてくれるっていう確信があるよね。筋肉筋肉言ってるけど裸王って任せとけば大丈夫感あるよね」
キモオタ「あるあるwwwとりあえず何とかしてくれる感wwwさすがは王というところでござるなwww」
裸王「あまり褒めるな褒めるな!その様に褒めても筋肉しかでぬぞ?はーっはっはっはっ!」マッチョ
ドロシー(えっ、筋肉が出るってどういう…?)キョトン
79: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)01:02:36 ID:mG5
魔法使い「それぞれすべき事、行き先が大方決まったようじゃな」
赤ずきん「えぇ、それじゃあ私達はこれで。行きましょうか」
人魚姫の声『うんうん!よーしっ、頑張っちゃうかんねーっ!』
赤鬼「おう、じゃあ三日後に。お前達もあんまり無茶しねぇようにな?」
桃太郎「うむ、心得ている。だが次に出会う時はこの桃太郎の更なる力に括目する事になるだろう」
ラプンツェル「すんごく頭良くなってるラプンツェルにも期待してていいからねっ!」フンス
ゴーテル「うむ、ではひとまずワシは桃太郎とラプンツェルを送り届けてこようかの」
裸王「では我々も失礼して我が国へ戻るとしよう。頼めるかねヘンゼルよ?」
ヘンゼル「もちろん。でもその前に向かいたいところもあるんだよね…」
ドロシー「そ、それじゃあそこに行ってからにしましょう…ヘンゼル君の行きたいところに行ってからでも、私は大丈夫です」
ザワザワ… パタンッ
ティンカーベル「皆行っちゃったね〜…すごいよね、みんなちゃんとした目的持っててさ」
キモオタ「そうでござるなwww我々も負けておれませんなwww」
魔法使い「……で、なんなんじゃ?お主等」
ティンカーベル「えっ?何が?」
魔法使い「皆を送り出した後もこの場に残ったのはワシに聞きたい事があるからだろう?そうだな、キモオタよ」
キモオタ「ちょwwwお見通しでござったかwwwさすがは魔法使い殿www」
魔法使い「これでも魔法使いを名乗っておったのだからな…ワシに何を聞きたい?言ってみよ」
キモオタ「【かぐや姫】の世界で我輩はひとつ知ってしまった事があるのでござる…それはティンカーベル殿の弱点、運命と言う方が正しいのでござろうか」
キモオタ「ピーターパンの世界の妖精は…ティンカーベル殿は存在を否定されると消滅するようなのでござるが……それを防ぐ手立てを教えていただきたいでござる」
ティンカーベル「キモオタ……」
80: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/03/28(月)01:11:16 ID:mG5
今日はここまでです
大事な設定のおさらい
ティンカーベルを含む【ピーターパン】の世界の妖精は
赤ちゃんが生まれて初めて見せた笑顔とともに生まれ、妖精の存在を否定する言葉によって消滅する
無垢な心が失われたとき妖精も消えてしまうのである
>>70
失恋かどうかはさておきドロシーとしては障害が多すぎるよね、本人気がついてないけど
『作者』編 次回に続きます
97:
追い付いた!
ここ何年かで1、2を争う程のわくわくするお話で、終幕を見届けたい気持ちと寂しい気持ちがない交ぜになってる(´・ω・`)
更新の時に作者さんが書いてくれるこぼれ話(書類を持ってく雪の女王とか、寝相矯正赤ずきんとか)も好きー!
おかげでお絵かきが捗りますぞwww楽wwしwwwいww
作者さん、どうか無理せずに!
100:
>>97
さぁそのお絵かきとやらをうpするんだ
102:
>>97です(・ω・)
このお話のおかげで久々にお絵かき再開できたので、細やかながら支援になれば…!下手の横好きですが
弱さを晒け出したあの場面のイメージで…線画だけです。
画像うp初めてなので、不備があったらすみません。
104:
>>102
可愛いやん、可愛いやん!
一見子供組の方が一部の大人組よりしっかりしてるから忘れがちだけど赤ずきんもヘンゼルも弱いとこ見せないようにしてるだけで子供なんだよねぇ・・・
支援乙!
107: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:22:13 ID:iho
魔法使い「確か…【ピーターパン】の世界の妖精は赤子が見せた初めての笑顔から生まれるのだったな?」
ティンカーベル「うん、そうだよ。人間の赤ちゃんが笑うと新しい妖精がネバーランドに誕生するの。っていやいやそれよりさぁ…」
魔法使い「なるほど…無垢な心が生まれると同時に生を受け、そしてその心が失われた時…その命も潰える、か」
キモオタ「そのようなのでござる、存在を否定された程度で消滅するなど…なんと理不尽な事でござろうか!しかもこの事をアリス殿は既に知っているのでござる!」
キモオタ「あの者の気まぐれか何らかの策があっての事か…とにかく今はまだ無事でござるが、アリス殿がその気になればティンカーベル殿はすぐにでも消滅してしまう事に…!早急に手を打たねば取り返しのつかない事になりますぞ!」
ティンカーベル「ねぇねぇキモオタ、とりあえず落ち着いてよ。あのさ、ちょっと聞いてよ」
キモオタ「ティンカーベル殿だって恐ろしいでござろう?今にも自分の存在が消されてしまうのかもしれないのですぞ?」
ティンカーベル「えっ?いや、まぁ…そりゃあ消えるとなったら恐いっちゃ恐いけど…っていうかそれよりm」
キモオタ「それは我輩も一緒なのでござるよ、お主が消えるなど…想像したくも無いですな。故に魔法使い殿、ティンカーベル殿を消滅させない為なら我輩何でもしますぞ!是非力を貸していただきたい!」
ティンカーベル「いや、だからちょっと私の話を聞いてっt」
魔法使い「ふーむ…事情は解った。しかし…別世界の妖精の性質そのものを変えるとなると簡単な話ではない。少なくともワシが使える魔法では…どうにもできん」
キモオタ「…っ!魔法使い殿の魔法を持ってしても無理ですと!?クッ…何か他に方法は無いのでござるか?我輩、どこの世界にでも行くでござるし魔法使い殿の要求する物を持ってくるでござる!どうか、どうか頼むでござる!我輩の初めての友人を助k」
ティンカーベル「もうっ!聞けぇ!私の話をっ!」ヒュン
パチーン!
キモオタ「おぶっ…な、何故顔面を蹴飛ばすのでござるかティンカーベル殿!」
ティンカーベル「うっさい!落ち着け!私の話を聞けっつってんでしょ!なんでキモオタが取り乱してんの!いいからちょっと落ち着いてよね!」
108: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:23:02 ID:iho
キモオタ「し、しかし…ティンカーベル殿の命が危険に晒されているというのに落ち着くなど…」
ティンカーベル「しかしもお菓子もないんだよ!なに?じゃあキモオタが取り乱したら私は消えずに済むわけ?どうなの?ほら答えて!」ゲシゲシ
キモオタ「ちょ、ちょ!蹴るのはやめていただきたい!それを言ってしまえば…我輩が取り乱したところで何かが変わるというわけでもないでござるが…」
ティンカーベル「そうだよ!意味無いでしょ!だったら落ち着く事!わかった!?」
キモオタ「お主がそう言うのならば…。魔法使い殿も申し訳なかったでござる、無様な姿をお見せしましたな…」
魔法使い「いや、ワシは構わん。お主の気持ちはよくわかるでな」
ティンカーベル「まったく…こうなるってわかってたからキモオタには言えなかったっていうのもあるんだからね!」プンスカ
キモオタ「と…いいますと?」
ティンカーベル「だーかーらー!キモオタの事だからこの事知ったら今みたいに必死になって私が消えないですむ方法探そうとするでしょ?そんなのお見通しなの!」
キモオタ「いやいや、そりゃそうでござろう?友が危険に晒されているというのなら助けたいと思うのは至極当然でござるよ!」
ティンカーベル「そりゃ気持ちはすんごく嬉しいよ?でもアリスとの戦いを控えた大切な時に私の事で余計な心配して欲しくないって気持ちがこっちにはあるの!」
キモオタ「余計な心配って…そんなことないでござろう。ティンカーベル殿、今にも消滅させられるかもしれないのですぞ?何故その様に平気な顔で…」
ティンカーベル「別に平気なんかじゃないよ、消えちゃうのはまぁ正直恐いしさ…」
ティンカーベル「でも恐いのは恐いけどそれでも妖精にとってこれは当たり前の事なんだよ。なんていうのかな…人間だっていつかは死んじゃうでしょ?それと同じだよ」
109: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:24:00 ID:iho
ティンカーベル「キモオタだってそうだよ、いつかはお爺さんになるでしょ?そんで病気になったりとか寿命が来たりとかするでしょ?それで……孤独死するわけじゃん?」
キモオタ「お主、ジョークを飛ばしている場合では……まぁそれはさておき、確かに歳を取れば我輩も死ぬでござるな。しかしそれは…」
ティンカーベル「でしょ?でもそれは当たり前の事なんだよ、人間は年をとるし寿命だってあるんだから。でも妖精には寿命なんか無いの、その代わり存在を否定されると消えちゃう。ただそれだけの違いだよ」
ティンカーベル「ネバーランドの他の妖精だって同じように消えちゃってるの何度も見てるしね、私だけ特別不幸なわけじゃないの!歳とっちゃって死ぬのと同じでフツーの事なの!」
キモオタ「しかし…寿命で死ぬ人間と違いお主はいつ存在を消されるかわからないのでござる。それはつまり常に恐怖におびえる事に…」
ティンカーベル「そんな事言いだしたらキモオタだって今ここで死んじゃってもおかしくないでしょ!アリスが来るかもしれないしおはなしウォッチが爆発するかもしれないし」
キモオタ「それはそうかもしれんでござるが…しかし、やはり我輩はティンカーベル殿の事が心配d」
ティンカーベル「もーっ、この話はめんどいからおしまい!魔法使いも言ってたでしょ、どうにも出来ないって。だからこの話はおしまい!しゅーりょーっ!」バンッ
キモオタ「ティンカーベル殿、しかし…!」ガタッ
ティンカーベル「ダメダメ、この話題は一切受け付けません!そんなことより私達がこの後どうするか決める方が大事じゃん!ほらほら、早く決めようよ!」
キモオタ「……わかったでござる。……方針を固めなければ動きようが、ありませんからな」
魔法使い「……。あぁ、そういえば話は全然変わってしまうのだが…ティンカーベルに頼みがあるのをすっかり忘れていた」
ティンカーベル「私に頼み?なになに?魔法使いが私に頼みなんて珍しいじゃん、いつもお世話になってるし何でも聞いてあげるよっ!」
魔法使い「うむ、実は長年使っておった鍋にとうとう穴があいてしまってな…お前に直してもらいたいのだが、ティンカーベル頼めるか?」
110: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:26:03 ID:iho
ティンカーベル「そういうことね、もちろんいいよ!お鍋の修理は私の十八番だからね!」フンス
キモオタ「そう言えば以前その様な事を言っておりましたな。壊れた鍋やらを修理する能力に長けていると、そもそもティンカーベル殿は確か……何の妖精でござったっけ?」
魔法使い「『金物修理の妖精』だ。現実世界では壊れた鍋なんぞ捨てて新しい鍋を買うのだろうが、ワシ等は修理をしてもう一度使う。物は大切にせんといかん」
ティンカーベル「私は腕のいい職人だからね〜、なんたって鍋でもフライパンでも金属製のものだったらなんでも直せるからね!まさに究極のエコだよ!」ドヤァ
魔法使い「ワシは手になじんだ鍋を手放したくないだけだがな…では頼めるか?キッチンの勝手口に置いてあるのでな」
ティンカーベル「まっかせなさい!そんじゃあちゃちゃーっと直してくるからキモオタはここで待っててね?」
キモオタ「……承知しましたぞ」
ティンカーベル「お鍋見て見ないとどれくらい時間かかるかわかんないけど…ちょっとかかるかもだからキモオタは待ってる間この後どうするかちゃんと考えておいてね、約束だよ!」
キモオタ「…御意」
ピューッ パタン
魔法使い「自信満々で出て行きおったな、流石は『ティンカー・ベル』の名を冠するだけはある。余程金物修理の腕には自信があるようじゃな」
キモオタ「そうでござるな…。しかし…我輩は気が気でないですぞ……」
キモオタ「こうして僅かな時間離れている間にもティンカーベル殿は消え去り、もう二度と会えなくなるかも知れないというのに……」
魔法使い「まったく…なんという情けない顔をしておるんじゃ、ほれ元気を出さんかい。お前がそんなことでどうするんだ」
111: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:28:21 ID:iho
キモオタ「ティンカーベル殿や皆に心配をかけるわけにはいかない故、普段通りに振る舞ってはいたのでござるが…手立てが無いと聞いて動揺を隠せないというのが本音でござる」
キモオタ「しかしそれも魔法使い殿に相談するまでの辛抱だと…魔法使い殿に事情を話せば魔法で何とかしてくれると…そう思っていたのでござる。それだけに正直、ショックが大きいのでござる…」
魔法使い「それは悪い事をしたな。だが…人は魔法使いや魔女を万能のように言うがそんな事はない。出来んものは出来ん、ワシ等は神では無いのだからな」
キモオタ「…申し訳ない。そんなつもりはなかったのでござるが、なにやらお主を責めているような物言いでしたな。失言でござった…許していただきたい」
魔法使い「お前の言葉に傷ついたり腹を立てるようなワシではないわ。だがワシに手立てが無いという事は変わらん、そしてお前はどうするつもりだ?」
キモオタ「もちろん他の方法でティンカーベル殿を護りますぞ!魔法使い殿の魔法ではどうにもならないというのなら、他の者に頼むとか魔法具を貸してもらう等方法はいくらでもありますぞ」
魔法使い「方法はいくらでもある…か」スッ
キモオタ「魔法使い殿…?」
魔法使い「酷な事を言うようだがな、お前がやろうとしている事はお前が考えている以上に困難な事だ…三日間で成し遂げるなど到底不可能だ」
キモオタ「し、しかし…困難であろうとも方法が無いわけでは無いのでござろう?それならば…」
魔法使い「よいかキモオタ…人間は心臓が止まれば死ぬ。それは心臓が人間が生きる上でもっとも重要な臓器だからだ、それが機能しなければ生きてはいられない」
魔法使い「妖精にとって人間が持つ無垢な心は心臓も同然なのだ、妖精の存在を信じる心…それが妖精たちが生きるうえで最も重要な要素なのだ、理解できるな?」
キモオタ「…できますぞ。無垢な心こそがティンカーベル殿にとっての心臓…命の根幹、故にそれが失われるという事は我々で言う死と同義という事でござるな…」
魔法使い「その通り。つまり…その妖精の性質を覆そうというのは心臓の止まった人間を生きながらえさせようというのと同じなのだ…わかるな?キモオタよ」
112: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:29:14 ID:iho
キモオタ「…確かにそれは、困難な事ですな。所謂不老不死を求めるという事でござるからな…」
魔法使い「そうだ、確かにおとぎ話の世界には不老不死を与える魔法具も存在する、蘇生の奇跡が起きる物語もある。だがそれでも死者の蘇生や不老不死の力を扱える者はごくごく僅か…アリスの手によって多くの世界が消滅した今となっては更に限られた存在だけだ」
魔法使い「それこそ神の力を借りるか、【アラジンと魔法のランプ】の魔人を呼び出すランプのようにあらゆる願いを叶える魔法具にすがるしかあるまい」
キモオタ「……」
魔法使い「…神を探し協力を仰ぐなど雲を掴むような話だ。となると現実的なのはシェヘラザードに頼み、魔法のランプを借り受ける事だが…」
キモオタ「魔法使い殿はドSが過ぎますな…。それが不可能だという事は知っているはずでござろう、それとも我輩が先ほど失言を口にした事を…実は怒っているのでござるか?」
魔法使い「いいや、ワシは明確にしただけだ。お前が望んでいる事を成し遂げるのは限りなく不可能に近いという事をな」
キモオタ「……諦めるしかないというのでござるか」
魔法使い「お前が諦めきれないというのなら状況を変えられる魔法使いなり魔法具なり探せばいい事だ、それをワシが止めるという事はしない」
魔法使い「ただし、それはあまりにも勝率の低すぎる賭け…いいや賭けとすら呼べぬ代物だ。本音を言わせてもらうのならば…諦めた方が良い」
キモオタ「……」
魔法使い「……」
キモオタ「先ほど…ティンカーベル殿は我輩に気にするなと言ったでござる。真面目な話だと言うのに冗談を交えて煙にまいて…さも自分は消えても平気だと言うようにおどけて見せていたでござる」
キモオタ「しかし、この事実を【かぐや姫】の世界で知り…始めてこの事を我輩に告げる時、ティンカーベル殿は確かに影を背負っていたでござる」
キモオタ「彼女は確かに…死を恐れていたでござる。それなのに我輩が気に病まぬようにと…気丈に振る舞っていたのでござる」
113: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:30:46 ID:iho
キモオタ「あんな小さな妖精であるティンカーベル殿が死の恐怖を押さえつけて我輩のようなキモいオタクを気遣ってくれたのでござる。それだというのに我輩はティンカーベル殿の為に何もできず…!」
魔法使い「お前が気に病む事では無い。むしろそうならん為にティンクはあのように振舞ったのだぞ、それを理解しているのならその気持ちを汲んでやることだ」
キモオタ「ティンカーベル殿はずるいでござるなぁ…普段は我輩の事をキモいだの不細工だのアレだの散々な言いようでござるのに、真面目な時はこうして思いやってくれるのでござるから…」
キモオタ「あの者はいつもそうなんでござるよ…。普段は我輩がプリンを多く食べただの大きいほうのケンタッキーを食べただの言いがかりをつけてくるでござるし、暴言ばかり吐いてくるでござる。
好き勝手で自分勝手でその割を食う事も多いでござる、でも不思議と…ティンカーベル殿と過ごす時間に心の底から不満を感じた事など無いのでござるよ」
キモオタ「まぁそれは我輩が今までボッチだったからというのもあるでござるが…ただ単純に我輩はティンカーベル殿の事が好きなのでござろうな、大切な友として」
魔法使い「…だからこそ、ティンクの危機に何も出来ぬ自分が許せぬ…か?」
キモオタ「正直そうでござる。しかし我輩が僅かな可能性に賭けて彼女が消えない方法を探す事を…おそらくティンカーベル殿は喜ばないでござろう。悔いは残るでござるが…ここは諦めるでござる。
その代わり確実にアリス殿の企みを止めて【ピーターパン】の世界の復活につなげるでござる、おそらくそれが最善の策でござる」
魔法使い「うむ、それが良いだろう。ウジウジと悩んでいる姿などお前には似合わん、前を向いている方がお主等らしいわ」
キモオタ「ティンカーベル殿が恐怖を抑えて戦おうとしているのでござるから、我輩が気を入れなくてどうするって話でござるしな…無様な姿を見せて悪かったでござる。ここからは気持ち切り替えて行きますぞ!」フンッ
魔法使い「うむ、その意気だ。そもそもお前のように容姿が醜悪な男は笑っておる方が良い。顔が良ければ憂う表情もまた魅力的に映るが…お前の場合は苛立ちしかわかんのでな」クックックッ
キモオタ「ちょwwwそこまで言う必要は全くないでござろうwww」コポォ
魔法使い「そうと決まれば今後どうするか考えねばな、ティンクは腕のいい金物修理の妖精…もうじきドヤ顔で戻ってくるはずだr」
ピューッ バターンッ!!
ティンカーベル「魔法使いー!見て見てこれこれ!もうこれ新品以上の出来だよ!もう自分を褒めてあげたいくらいの修繕っぷりだよっ!まさに神業!」ドヤァァァァ!!
魔法使い「ふふっ、どうだキモオタ?言った通りだっただろう?」ククッ
キモオタ「ドゥフフwwwまったくその通りでしたなwww」コポォ
114: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:32:30 ID:iho
ティンカーベル「えっ、なになに?二人して何の話?あっ、それよりはいコレ、修繕したお鍋!これでいい?」ポイッ
魔法使い「…うむ、上等じゃ。ワシも魔法で穴をふさぐくらいは出来るが、やはり本職は違う…新品以上の出来じゃ」
ティンカーベル「まぁねっ!私、こういうの得意ですからっ!」ドヤァ
キモオタ「ティンカーベル殿wwwお主ドヤ顔が過ぎますぞwwwそんなに得意分野で活躍できたのが嬉しいのですかなwww」コポォ
ティンカーベル「そりゃあね?だって『金物修理の妖精』とかいってもさぁ…現実世界じゃ全然出番が無いしそもそもキモオタはそんなに料理しないしさー」
キモオタ「カップめんの湯を沸かす程度ですからなwww金属的なものが直せるのならスマホとかパソコンの調子悪い時に直していただきたいwww」
ティンカーベル「そういう精密機器は無理なの!金属で出来てるもっとあれだよ…アナログ的なものならいけるけどさ。っていうかそれより約束どおりちゃんと考えたの?このあと私達がどうするか!」
キモオタ「ところがどっこいwww全く違う話を魔法使い殿としてましてwww」コポォ
魔法使い「こやつ、今後の事など何も考えておらんぞ」
ティンカーベル「えーっ!?私が頑張ってお鍋直してる間に何してたの!?もーっ!そんなんじゃ困るよ!」プリプリ
キモオタ「面目ないwwwではティンカーベル殿の案をまず聞かせてもらうとしますかなwwwそうまでいうのなら何か考えてたのでござろうwww」
ティンカーベル「あのねぇ…金物修理は遊びじゃないんだよ?他の事考えてちゃダメなの、だって極限まで集中しなきゃお鍋の声が聞こえないでしょ?」
キモオタ「いやwww知らんでござるけどwww結局二人ともノープランと言うわけでござるかwww」コポォ
魔法使い「ところでティンカーベル…以前話したスリングショットの弾の話はどうなった?雪の女王から雪の結晶と鏡の破片…譲って貰えそうなのか?」
ティンカーベル「……あっ!」
魔法使い「なんじゃその忘れてたみたいな顔は…どうするんじゃ?今すぐにとは言わんが素材が手に入ったとしてあまりギリギリに渡されても間に合わんぞ?」
115: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:33:19 ID:iho
ティンカーベル「わ、忘れてたわけじゃないんだよ?なんていうか…ちょっと記憶から抜け落ちてただけで…」
キモオタ「それを人は忘れていたと言うのでござるけどwww」コポォ
ティンカーベル「違うよ!うっかりでしょこんなの!人のうっかりを責めるなんて良くないよ!えーっと、雪の女王に話だけはしてあるんだけど…催促するみたいでアレだけどちょっと聞きに行ってみる?」
キモオタ「構いませんぞwwwそれに雪の女王殿に助言をいただくと言うのも手ですなwwwヘンゼル殿の事も話してあげれば安心するでござろうwww」
ティンカーベル「うん、そうだね!もしかしたら氷の魔法を使ったいい感じの特訓とかしてくれるかも!」
キモオタ「ならばコートを持っていかねばwwwあの世界はめちゃくちゃ冷えますからなwww」
ティンカーベル「コート?そんなに脂肪があるなら無くても平気じゃない?」ヘラヘラ
キモオタ「ちょwww我輩の脂肪にそんな追加効果はありませんぞwww」コポォ
魔法使い「うむ、どうやら二人とも行く先が決まったようだな。雪の女王は若いが凄腕の魔女…ワシら老いぼれとは違った刺激を与えてくれることだろう」
キモオタ「そうと決まればさっそく行きますかなwwwティンカーベル殿www」コポォ
ティンカーベル「うんっ!じゃあ一度現実世界に戻ってコートをとって来てからだね!よーし、じゃあ早〜…!」
魔法使い「いや、ちょっと待て。なにやらゴーテルがお前達に話があるからすぐ帰るようだったら引き留めてくれと言われているのだ」
キモティン「……」ピタッ
魔法使い「…ん?どうかしたのか?目に見えて元気が無くなったが…」
キモオタ「おうふ…完ッ全に忘れてたでござるな…」
ティンカーベル「ホントだよ…うっかりしてた、私達に向けられた死へのカウントダウンは止まっていなかったよ…」
116: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:35:09 ID:iho
魔法使い「何を言って…死の?なんだって?お前らゴーテルに何かしたのか?」
ティンカーベル「私達はね…ゴーテルにとって絶対にしてはいけないことをしてしまったんだよ…」ガタガタ
キモオタ「ゴーテル殿の天使を危険な目に遭わせてしまったのでござるからな…」ブルブル
魔法使い「もしやお前たちラプンツェルが大怪我を負った事を言っているのか?」
キモオタ「そうでござる、ラプンツェル殿を守りきれなかった我々はゴーテル殿にとっては大罪人…故にゴーテル殿という処刑人からの死刑執行が待ちかまえているのでござる…」
魔法使い「何を大げさな…桃太郎が治癒しただろう、そもそもゴーテルは…」
ティンカーベル「そ、そうだ!私達には秘密兵器がいるんだった!ドロシーが一緒に謝ってくれれば流石のゴーテルもそこまで厳しく怒らないはz…あああぁーっ!ドロシーはもう裸王のとこじゃん!や、やばいよ!?」
キモオタ「恐らくドロシー殿も忘れてますな…我々は文句言えないでござるけどwww」
ティンカーベル「き、キモオタ!ここはゴーテルが帰ってくるまでにもう行こう!うっかり忘れてたってことにしてほとぼりが冷めるまで逃げよう!」
キモオタ「それが上策ですなwww三日間逃げ切れば流石に大丈夫でござr」
ガチャ
ゴーテル「なにやら楽しそうな相談をしておるな二人とも…?廊下まで丸聞こえじゃったぞ…?」
ゴゴゴゴゴ
117: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:41:23 ID:iho
・・・
ゴーテル「叱られるのが嫌で逃げ出そうなどと…子供かお前たちは!しかも無関係のドロシーを巻き込んで大目に見てもらおうなど…どうなっとんじゃいお前たちは!」ガミガミ
キモオタ「申し訳ござらん…つい死にたくない一心で……」
ティンカーベル「ごめんなさい…塵にはなりたくなかったから…」
ゴーテル「まったく…じゃがしかしワシが厳しく念押ししたせいでもあるのぉ。塵にするというのは少し言い過ぎたか…」
ティンカーベル「じゃ、じゃあ私達塵にされない!?」オドオド
ゴーテル「当たり前じゃろ!そんなもんお前たちを本気にさせるために言っただけじゃい。お前たちは娘の友人じゃしワシの恩人でもある、塵になんぞする訳ないじゃろ!」
キモオタ「それを聞いて安心しましたぞwww首の皮つながりましたなティンカーベル殿www」
ティンカーベル「そうだね!生きてるってこんなに嬉しいことなんだね…!」
ゴーテル「お前たち大げさすぎるじゃろ!ちょいと脅かした程度で人を極悪非道な魔女のように扱ってからに…ワシをなんだと思っておるんじゃ!」
ティンカーベル「何って…そりゃあ……」チラッ
キモオタ「娘煩悩なモンスターペアレンツだと思ってるでござるけどwww」コポォ
ゴーテル「親が子を愛するのは当然じゃろがい!人をバケモンのように言いおって…言っておくかがワシはキチンとラプンツェルも叱ったからの?むしろお前たちよりもキツく叱ったくらいじゃわい!」
キモオタ「ゴーテル殿がラプンツェル殿を…?またなんで…」
119: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/04(月)00:53:43 ID:iho
今日はここまでにさせてください
冒頭で書いたとおりパソコンが故障、タブレットで書きためて更新していますそのため誤字脱字は確認していますがもしもあればご容赦ください
なんとか更新は続けられそうなので頑張りますー
>>102
赤ずきん「とても有り難いけれどこの場面は私にとっては恥ずかしい場面だから複雑な気持ちね…涙を流した証拠になってしまうもの」フフッ
泣き顔の赤ずきん可愛い!イラスト支援ありがとう!
強そうに振る舞ってるけど心は弱い感じがピッタリです
『作者』編集 次回に続きます
140:
1さん乙です!誰もいない今のうちにこっそり支援(゚ω゚)
アッシェたんは偶然得た幸福に身を委ねていた象徴のドレスも嫌がるんじゃないかとおもいました(こなみry
141: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/08(金)01:06:24 ID:7pp
今日は遅いので更新予告だけ、明日更新予定です!
レス支援サンクス!イラスト支援も嬉しいです、明日改めてレスさせて貰いますー
147: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:27:52 ID:MN1
ゴーテル「そもそも、ワシが何を理由にお前たちを叱りつけるのか、わかっておるのか?」
キモオタ「…それは解りきっていることでござる。例の廃墟にて我々はラプンツェル殿を守りきることが出来なかった、それが理由でござるよね?」
ティンカーベル「うん、それしかないよね。私達は側にいたのにラプンツェルがアリスに挑むのを止められなかった。そのせいでお腹刺されちゃって大怪我しちゃったんだもんね…」
キモオタ「ラプンツェル殿はゴーテル殿にとって何よりも大切な愛娘、我々が傍にいながら守れなかったことに腹を立てているのでござろう?」
ゴーテル「そうではない。お前たちはどうも誤解しておるようじゃがワシがいくら子煩悩だといえども我が子可愛さに責任の所在を他人に押しつけたりはせんわい」
ゴーテル「アリスに戦いを挑んだのはラプンツェルの意志、ならばその結果大怪我を負うことになってもその責任はラプンツェル自身にあるんじゃ。お前たちを責めてどうする」
キモオタ「なん……ですと……!?」ガタッ
ティンカーベル「……ねぇねぇキモオタ、どう思う?ゴーテルがなんだかラプンツェルに厳しいよ?普段なら私達を糾弾してでもラプンツェルは悪くないとか言いそうなのに…」ヒソヒソ
キモオタ「我が輩も同意見ですぞ、我々を許すだけならまだしもラプンツェル殿に責任があると言うなどあの甘々モンペのゴーテル殿に限ってあり得んことでござる」ヒソヒソ
キモオタ「おそらく油断して同調したところでそれを理由に我々を葬るつもりなのでござろう…」ヒソヒソ
ティンカーベル「なるほど…私たちを誘い出すための罠だね…!」ヒソヒソ
ゴーテル「聞こえとるぞ!そういうことはもっと隠れて相談せんかい!」
148: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:32:28 ID:MN1
キモオタ「しかしwww娘命のゴーテル殿がラプンツェル殿を叱るなど考えられないのでござるよwwwにわかには信じがたいwww」コポォ
ティンカーベル「そうだよ!信じられないよ!なんかゴーテルってラプンツェルがなにしても許しそうなんだもん!」
ゴーテル「そんな訳ないじゃろうが!おい魔法使い、お前も何とか言ってやれ」
魔法使い「悪いがワシもキモオタ達と同じ意見だ、どうもお主は娘に甘い」
ゴーテル「なんじゃい!揃いも揃ってお前たちは!ラプンツェルはワシの娘、そりゃあかわいい娘…あぁ間違えた世界一かわいい娘じゃから少々甘くもなるが…」
ゴーテル「ラプンツェルが…我が子が間違ったことをしたなら当然叱る。それが親というもんじゃろ、むしろ娘を愛しているからこその叱責じゃい」
キモオタ「それはそうなのでござるがwwwやはりイメージ的に考えられないというかwww」
ティンカーベル「あー…でもそれならなんでゴーテルがラプンツェル叱ったのか解ったよ。あれだよね、大怪我したのにゴーテルに内緒にしてたから…だよね?」
ゴーテル「そうじゃ、あろう事かラプンツェルは大怪我をしたことをワシに隠して自分たちで何とかしようとした。ワシに心配をかけぬようにとな」
キモオタ「確かにラプンツェル殿はゴーテル殿には黙っていてほしいと言っていたでござるし我々もそれに同意したでござるよ?でもそれはゴーテル殿に心配をかけぬためで…」
ゴーテル「何を言っておるんじゃい。子が怪我をして苦しい思いをしておるのに自分に心配をかけぬように黙っておるなど…そんなことで喜ぶ親は一人もおらんわ」
149: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:34:16 ID:MN1
ティンカーベル「でも…ラプンツェルはさ、自分がすごく愛されてるのを知ってるからこそ言えなかったんだと思うよ?自分が戦うことを選んだらママが悲しむから…それはイヤだから黙ってたんだと思う」
ティンカーベル「ラプンツェルもゴーテルのこと大好きだから心配かけたくなかったんだよ。ゴーテルを悲しませたくなかったっていうラプンツェルの気持ちは汲んであげてよ」
ゴーテル「そうかもしれんがな…ワシだって覚悟を決めておるんじゃ、ラプンツェルの選択を受け入れる心の準備はしておる」
ゴーテル「友が戦っておるのを見て力になりたいと思うのは当然、アリスに立ち向かいたいのならそうすればよい。ワシは止めん…」
ゴーテル「その挙げ句怪我をしてしまっても…まぁよい、ワシ個人としては心配じゃしやめてほしいというのが本音じゃが…ラプンツェルがそう決めたのならば好きにすればよい、あやつももう子供じゃないんじゃ」
ゴーテル「自分で決めて…その結果困ったことになったり辛い思いをしても、それは人生において必要なことじゃ。ワシの方から手をさしのべたりはせんと…決めた。それがラプンツェルの為じゃ」
ゴーテル「じゃが…生死が関わっているとなれば別じゃ。腹を割かれるなど大事じゃのに心配をかけたくないからと黙っていられるのは…そりゃあ無念なことじゃぞ?」
ゴーテル「例えその結果ラプンツェルが死んでしまったとしてもワシはそのことを知ることさえできんのじゃからな。そんなことになればワシは自分を許せん」
キモオタ「確かに気を使われたあげく何もできないどころかなにも知らない間に大切なも者を失うなど…考えたくもありませんな」
ゴーテル「よいかキモオタ、ティンカーベル。これはお前たちにも言えることじゃぞ?」
ゴーテル「仲間同士何を遠慮することがある?何を気を使うことがある?困ったことがあるなら困ったと言えばいい、辛いなら辛いと叫べばいい。だってそうじゃろ?」
ゴーテル「親子なんじゃから仲間なんじゃから一緒に悩んで苦しめばいいじゃろ、自分だけで何とかしようとなんかしなくていいんじゃ」
150: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:37:49 ID:MN1
ゴーテル「…そうじゃろ?ティンカーベルよ」
ティンカーベル「えっ?」
ゴーテル「何も心配いらんぞ、お前にはキモオタもおる。それになにより世界一かわいい娘が仲間におるんじゃからな」ホッホッホ
ティンカーベル「…うん、わかった」
ゴーテル「わかっておるならええわい。ワシからの説教は以上じゃ」
キモオタ「なんというかあっさり終わりましたなwwwもっとネチネチと叱られ続けられるのかとwww」コポォ
ゴーテル「理解しているというのならそれで十分じゃわい。しかしお前がそういう説教を望むのならワシはそれでも一向にかまわんのじゃぞ?」
キモオタ「ちょwww望んでないですぞwww」コポォ
ゴーテル「ほれ、話が終わったなら行った行った。ほかの連中はもう動き始めておるんじゃぞ?お前たちもさっさと行かんかい!」
キモオタ「ちょwwwそう追い出さなくてもwwwしかしぼさっとしておる時間はありませんからなwwwではティンカーベル殿www我々も行くとしますかなwww」
ティンカーベル「うん、それじゃあまたね魔法使い!ゴーテル!」
ゴーテル「うむ、もうワシに説教なんぞされることがないように」
魔法使い「うむ、健闘を祈っておるぞ」
ヒュンッ
151: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:40:52 ID:MN1
・・・
ゴーテル「ふぅ、やはり老いぼれ二人だけとなると静かじゃな」
魔法使い「お主は…ラプンツェルのことばかり考えておる親バカだと思っておったが違うようじゃな」
ゴーテル「なんじゃいきなり、悪いが喧嘩を買うような元気はありゃあせんぞ?なんとか覚悟を決めはしたが…それでもラプンツェルの事を考えるともう心配で心配で…胸が張り裂けそうじゃわい」
魔法使い「その割にはティンカーベルの事を気遣っておったじゃないか、説教と見せかけて二人のために諭してやっていたように見えたが」
ゴーテル「お前にはお見通しというわけじゃな、まぁ…あの二人はお互いにズケズケとものを言い合っているように見えて案外気を使いあっておるからな、その解決になればと思ったんじゃよ」
魔法使い「ティンカーベルの…妖精の運命を知っておったんじゃな、お主」
ゴーテル「ワシはワシで色々と調べておるんじゃ、老いぼれにできるのは知恵袋の披露と相場が決まっておるし」
魔法使い「まぁそうだ、で…お主はどう思う?ティンカーベルが未だ生かされていることについて。小さくともあやつは世界移動も使えるし妖精の粉もある、早々に消しておいてアリス側に損はないはずだというのに」
ゴーテル「十中八九、キモオタを無力化するために生かしておるんじゃろうな。アリスにとってキモオタの能力影響力は未知数…となればいざという時、精神的に大打撃を与えるすべを用意しておきたい」
魔法使い「…それがティンカーベルの消滅。というわけだな、長い時をともに過ごし親しくなった友人を消されてはキモオタも平常心ではおれまい…」
ゴーテル「おそらくアリスはそれを狙い、能力の計り知れないキモオタへの最後の切り札としてティンカーベルをあえて生かしている…」
魔法使い「えげつない娘だ、などというのも今更な気もするがな」
ゴーテル「なんにせよもうワシ等にできることはありゃせん、突如別れがきた時にどうするか…それはあの二人次第じゃろ」
魔法使い「そうだな、心配しても仕方あるまい。ワシ等は今自分達にできることをするだけじゃな…」
152: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:45:07 ID:MN1
裸の王様の世界 裸王の城 地下牢
シーンッ……
ブリキ(……今、何時頃だろうか。ヘンゼルと約束を交わしてからどれ程の時間が流れたのだろう…数時間?数日?あるいは数ヶ月…?)ギシッ
ブリキ(時計も無く太陽の傾きも見えないこの地下牢では…俺に時を知るすべはない、時に流れすらもあやふやだ)
ブリキ(……あぁあいつ等と離れ離れになってどれくらいの時が流れただろうか。ドロシー…かかしやライオンは無事だろうか、辛い思いをしていないだろうか)
ブリキ(いいや…あいつ等は俺の自分勝手な行動に巻き込まれたんだ、辛い思いをしていないはずがない。俺のことを恨んでいるだろう)
ブリキ(だがせめて無事でいて欲しい。かかしはしっかりしてるから平気だろうが…ライオンとドロシーが心配だ。誰か親切な奴に出会えていればいいが…雨風はしのげているだろうか?食事はとれているだろうか?気が弱い連中だから良いように利用されてないだろうか?それと……)
ブリキ(……よそう、あまりに不毛だ。どれだけ不安に思おうと心配しようとこの牢から動けない俺には何一つできない、実に情けない話だ)
ブリキ(仲間のことを他人任せにするなど無責任だが…それでも今の俺にはそうするしかない。ヘンゼルの言葉を信じて今はただ待つことしかできない)
ブリキ(自業自得とはいえこの暗い地下牢で身動きがとれず、ただ思索に耽り自問自答する日々。思えばこの状況は…あの頃と似ている)
ブリキ(昔、森の中で突然大雨に降られ…間接が錆び付いて長い間動けなかった事があった。あの時も自分ではどうすることもできず自問自答を繰り返していた)
ブリキ(あの時錆び付いた俺に声をかけてくれたのが…偶然通りがかったドロシーだったな。ずいぶんと昔の話だが、あいつとの出会いは今でも鮮明に思い出せる)
153: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:47:00 ID:MN1
ずっと昔…
オズの魔法使いの世界 ブリキの木こりが暮らす森
ドロシー「あ、あのっ…お願いされたとおり小屋に行ってみたんですけどオイルの缶ってどれかわからなくて…すいません、こういうの詳しくなくて…すいません」オドオド
かかし「とりあえずそれっぽい缶を全部持って来たゾ、錆びに効くオイルってのはどれダ?」ガラガラ
錆びブリキ「すまない。その右から二番目の缶がそうだ、悪いが右腕の関節に差してくれるか?利き腕が動けば後は自分でやれる」
かかし「悪いけどドロシーがやってくレ。ただでさえ燃えやすい俺の体にオイルが染み込んだらもしもの時ヤバいからナ」
ドロシー「あっ、そうですよね…じゃあ私がオイルを差しますね、えーっと…右から二番目の缶…これですよね?」ヒョイッ
ツルッ ドバー
かかし「ぬわーッ!?」ビッシャ-
ドロシー「あぁーっ!すいませんすいません!言ったそばから…す、すぐに拭き取ります…!」バッ
かかし「お、おい!この辺オイルまみれなんだぞゾ!あんまり慌てて近寄るとお前…」
ズルッ
ドロシー「きゃあぁっ!?」ガシャーン
かかし「おいーッ!持ってきたオイルが全部…!お前ドロシーちょっと落ち着ケ!大惨事じゃねぇカ!」ベタベタ
ドロシー「あぁぁ…!すいませんすいません!」ドロドロ
錆びブリキ(……頼む相手を間違えた)
155: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:49:50 ID:MN1
チューッ キュッキュッ
ドロシー「…はいっ、これでどうでしょうか。右腕、動かせそうですか…?」
ブリキ「…ああ、問題なく動く。助かった、長い間動くことができずに参っていたんでな」グルングルン
ドロシー「あっ、それはよかったです…あのっこのまま別の関節にもオイルを差しましょうか?」ソッ
ブリキ「いや、自分でやれる。オイルの缶を渡してくれ……次は落とさないように頼む」
かかし「本当に気をつけて渡せヨ?これ以上オイルまみれになるのは御免だゾ」ベタベタ
ドロシー「うぅ…すいません」ショボーン
ブリキ(なんだか随分と頼りない娘だ。相当気も弱そうだ…見たところ旅の途中のようだがこんなんでよくやっていけるもんだな)ジーッ
ドロシー「あ、あの…私何かしちゃいましたか?」オドオド
ブリキ「いいや、この辺りを人が通るのは珍しいんでな。見たところ旅の途中のようだが…どこを目指している?」
ドロシー「えっと、あの、エメラルドの都です。大魔法使いのオズ様にお会いするためにかかしさんと二人…あっ、トトも入れたら3人ですね、3人で旅してて…」
トト「わうんわうんっ」
ブリキ「エメラルドの都…話に聞いた程度だがここからだとずいぶんと遠い。その魔法使いに何の用事があるのか知らないが過酷な旅になるぞ」
かかし「それでも俺達は行かなきゃなんねぇんだヨ。俺はオズに頼んで脳みそを貰うんダ、知恵さえありゃあ畑のカラスどもにバカにされねぇで済むしナ」
ドロシー「私は…オズ様にお願いして故郷のカンザスへ帰る方法を教えてもらうんです。エム叔母さんも心配してるだろうから早く帰らなくちゃ…」
156: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:53:16 ID:MN1
ブリキ「そうか、家族が待ってるなら帰らないとな」
ドロシー「は、はい…頑張りますっ!」
ブリキ(…この先には猛獣が出る森もある。妙なかかしが一緒だとしてもこの気弱な小娘が遠いエメラルドの都までたどり着けるとは思えない)
ブリキ(まぁ俺には関係のないことだ。こいつのドジに巻き込まれる前に礼を言って去ろう)
ドロシー「あ、あの…私も一つ聞いてもいいですか…?」
ブリキ「…なんだ?」
ドロシー「ブリキさんはその…どうしてブリキの体なんですか…?」
かかし「ン…?何言ってんダ?そいつはブリキの体だからブリキの体なんだろウ。ン?自分でもなに言ってるのかわかんなくなっちまっタ」
ドロシー「その、なんというか…かかしさんもですけど人間のように動けてお話もできるのにブリキの体だなんて初めて見たので…あっ失礼だったらごめんなさい」ペコペコ
ブリキ(常に謝ってるなこいつ…下手に言い渋れば無駄に謝られそうだな、それも面倒だ。素直に話してやった方が面倒も少ないか)
ブリキ「愉快な話ではないが助けて貰った礼に…聞きたいなら話そう。そもそも俺はブリキの木こりとして作り出された人形じゃない。昔は…元々は人間だった」
ドロシー「そ、そうなんですか…?なんだかすごいお話ですね、元々は人間だったのに今は全身をブリキで覆われているだなんて…いったい何でそんなことに…」
ブリキ「ある魔女の呪いを受けてな、その果てにこんな姿になっちまったというわけだ…話せば長くなるが」
157: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)00:57:58 ID:MN1
ブリキ「昔、俺がまだ生身の人間だった頃の話だ。俺はしがない木こりだったが…そんな俺を愛してくれた女がいた。そして俺もまた彼女のことを愛していたんだ」
ドロシー「相思相愛の恋人同士だったんですね…すてきなお話です…!」キラキラ
ブリキ「…俺達は愛し合っていてやがて結婚の話がでた、俺は結婚資金をためるためにそれまで以上に精を出して働いた。が、彼女の母親に結婚を反対されてしまった」
かかし「ほウ…?なんでまタ…人間は愛し合った男女で結婚するもんなんだろウ?なにを反対する理由があるんダ?」
ブリキ「彼女は母親と二人で暮らしていたが炊事やら洗濯やら娘任せだったようでな、家を出られてはそれらを全部自分ですることになる。それが面倒だったんだろう、ずいぶんと怠け者な母親だったらしいからな」
ドロシー「そ、そんな理由で結婚に反対するなんて…お、おかしいと思います…」
ブリキ「とにかくだ母親にとって俺は邪魔な存在になった。そこで魔女に依頼して俺に呪いをかけたんだ、斧を振るうと自らの身体を切りつけちまうそんな呪いをな」
かかし「おおゥ…そりゃあ木こりにとっちゃ致命的な呪いじゃねぇカ。頭がいい奴ってのはおかしな事を考えるもんだナ」
ブリキ「最初に切り落としたのは左足だったな、だが知り合いのブリキ職人に頼んでブリキ製の左足をあてがってもらった。だが呪いは消えちゃいない、次は右足で次いで両腕そして頭…俺は生身の部分を少しずつ失っていった。だが…それでもめげなかった」
ドロシー「……」
ブリキ「愛する彼女と結婚したかったからな、多少の困難は苦にならなかった。だがそんな日々が続き俺の斧は遂に胴体を切り裂いた。そして胴体をブリキ製にしたとき俺の身体から生身の部分は無くなってしまった…その時だ、あれほど愛していた彼女のことがどうでもよくなった」
かかし「そりゃあどうしてダ…?」
ブリキ「完全にブリキ製の体になってしまった俺は心を失ってしまった。生身の体と一緒に愛する心もなくしてしまったのさ」
158: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)01:01:31 ID:MN1
かかし「そりゃあ酷い話だナ…生身の体も心も失っテ、愛した女とも一緒になれねぇとハ…」
ブリキ「運がなかったのさ。それにこの身体もそれほど悪いもんじゃない、飯も食わずに済む眠らなくても済む。オイルを差さないと錆び付いてしまうのが難点だがな」
ブリキ「と、まぁ俺がブリキの体になった理由ってのはこんなもんだ。彼女は俺が心を失ったことを知らないだろうから今も俺のことを待っているかもしれないが…それすらもどうでもいいと思っている」
ブリキ「何しろ俺は心が無いブリキの木こりだからな。だがそれよりお前…大丈夫か?」
ドロシー「うぅっ…わだしのことはいいんでずよぉ…!ブリキざんは何もわるぐないのに…えっぐえっぐ…ひどいですよぉ…」ボロボロ
かかし「お、おウ…気持ちはわかるがお前の顔の方がひどいことになってんゾ…とりあえず涙拭けっテ…」
ドロシー「愛し合っていだのにどうでもよくなっちゃうなんて…ぞんなのあんまりでずよおぉぉ〜」ボロボロ
ブリキ「…何故お前がそこまで泣く?お前が辛い思いをしたわけじゃないだろう」
ドロシー「えっぐえっぐ…それはそうですけどぉ…悲しいじゃないですか…ブリキさんだって…本当は悲しいはずですよぉ…ぐすんぐすん」
ブリキ「……」
ブリキ(何故この娘がこうも悲しむ?いや、他人の不幸に悲しむ理由などないはずだ。これは同情あるいは哀れみ…そういった感情だ、そうでなければ他人のために涙する理由など…ありはしない)
ブリキ(俺にはこの娘が涙を流すのが理解できない。だが…俺に向けられている感情が同情や哀れみだというならば、何故俺は今…少し救われた気持ちになった?)
ブリキ(俺に心は無いはずなのに、何故この娘の涙をみると…空洞のはずの胸がざわつく…?)
159: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)01:04:31 ID:MN1
かかし「もういい加減泣き止めっテ、気持ちはわかるが逆にお前の方が心配になっちまう程だゾ」
ドロシー「ぐすんぐすん…う、うん…ごめんなさい…」
ブリキ「お前たちは……かかしはオズに脳みそを貰うと言っていたな?」
かかし「おウ、頭よくなるのが俺の夢なんでナ。オズは大魔法使いらしいからそれぐらいのことは容易いだろうヨ」
ブリキ「オズに頼めば…俺も心をもう一度手に入れられるだろうか?」
ブリキ(今更だ。もうあれから一年以上たっているというのに…今更なにをしても遅い、そんなことはわかっている)
ブリキ(だが…俺の境遇に涙するこの娘の姿を見ていると…)
ブリキ(名前も忘れてしまった彼女の泣き顔を思い出す。あいつもずいぶんなお人好しで、他人の不幸に涙を流せる女だった気がする)
ブリキ「お前たちに話したせいかな、今になって昔愛した女の事が気になっちまった。今更だが…一度は失った心ってものに興味が沸いて来ちまった」
ブリキ「俺もお前たちと共にエメラルドの都へ…オズの元へ向かう旅に同行してもかまわないか?」
ドロシー「ブリキさん…!大丈夫ですよ、きっと!きっとオズ様なら心を与えるなんて簡単です!一緒に行きましょうっ」パアァァ
かかし「おウ、旅の仲間は多い方がいいからナ!」
ブリキ「ならば俺もお前たちとともに向かおう、オズが住むエメラルドの都へ」
160: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/09(土)01:08:44 ID:MN1
今日はここまでです
近頃レス支援にイラスト支援もあってうれしい限りです
作者について触れるのは先になりそうだけどまずはオズ組とヘンゼル裸王チームの場面になるかな?
『作者』編 次回に続きます
162:
イッチ乙!
わぁブリキにそんな過去が…将来彼女とうまくいって欲しい…
そしてモンペが意外と(失礼)色々考えてるな…
163:
1さん乙です!
ブリキにそんな過去が(´;ω;`)
そしてドジっこドロシーのピュアさ可愛い…トトも出てきて嬉しかった!
老婆組も好きだー!!
181:
更新待ちきれない勢(゚ω゚)
人魚姫ちゃんも良いこだよね
ヒールも含めた登場人物みんな魅力的でつらい(゚ω゚)
182: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:22:32 ID:z8G
現在
裸の王様の世界 裸王の城 地下牢
ブリキ(懐かしい話だ、俺の旅はあそこから始まった)
ブリキ(あの日、見ず知らずの俺のために涙を流すドロシーを見なかったら…もう一度心を手に入れたいなんて考えなかっただろう)
ブリキ(森の奥で錆び付き動けず、朽ちるのを待つだけだった俺に目的を与えてくれたのはドロシーだ)
ブリキ(あいつの純粋な心に振れたからこそ、俺はかつて愛した女の事を思い出せた…もう一度会いたいと思えた。ブリキの身体になってなお生きる意味が見つかった)
ブリキ(俺はあいつに救われた、俺にとってはそれが全てだった。だからあいつがアリスに利用されていると知った時…俺は他の何を犠牲にしてでもあいつを守り、助けようと誓った。だが……)
ブリキ(その結果が…これだ)ギシッ
ブリキ(すべての世界を敵にまわした挙げ句、何一つ救えなかった。二人の友を巻き込んで大切な仲間を傷付けただけだ。おそらくドロシーはきっと今も世界のどこかで泣いているだろう…)
ブリキ(だがそれはあの日のような優しい涙じゃない。脅威に怯え、孤独を恐れ、苦痛に耐えきれずこぼした涙)
ブリキ(俺がもっとうまくしていればあいつはそんな悲しい涙を流す必要はなかった。それだというのに不甲斐ない、俺は、俺は……!)ギシッ
カツンッ
ブリキ「……誰だ?」ギシッ
裸王「私だっ!我こそがこの国を統べる筋肉の伝道師…裸王なりっ!」マッスルポーズ
183: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:25:03 ID:z8G
ブリキ「…誰も見ていないこんな場所でポーズをとる必要があるのか?」
裸王「無論っ!真のマッチョマンはその肉体美を披露するのに時や場所を選ばぬものなのだからな」マッチョ
ブリキ「…何用でここへ来た?王のお前が直々に出向いたという事はそれなりの用なのだろう?」
裸王「うむっ!その通りだ!だが本題に入る前にその拘束を解こうじゃないか、お前にはもう必要あるまいっ!」マッチョ
ガチャガチャ ギィッ
ブリキ「それは助かるが…構わないのか?俺はお前の兵を傷つけた悪党だ、王とはいえ独断で拘束を解くなど許されまい」
裸王「ハッハッハッ!裸王ノープロブレム!被害を受けた兵たちには了承を得ている、何かあれば私がすべての責任を負うと説得した
!さて何はともあれこの鎖を…ふんっ!」バキィッ
ブリキ「何故引きちぎった。ただ解けばいいだけだろうに」
裸王「ポージングで引き出される肉体美は素晴らしいものだ。だが筋肉の本質とは躍動によって輝く美しさ…そうは思わんかね?」ムキムキッ
ブリキ「…お前は筋肉の話をするために俺の元に来たのか?ならばあいにくだが俺には心も筋肉も無い、期待には応えられないぞ」
裸王「ハッハッハッ!生身の身体を持たぬお前と筋肉トークか!それは非常に心惹かれるがいい加減に本題に入らねばヘンゼルに渋い顔をされてしまいそうだなっ!さて…まずこれを渡しておこう」スッ
ブリキ「こいつは……錆止めオイルか?何故お前がこんなものを俺に…」
裸王「それは私からの贈り物ではないのだ。お前が地下牢に拘束されていると聞いて錆び付いていないかと心配した娘に渡すよう頼まれたものだ」
裸王「私の城で友と再会できることを待ち望んでいる、お前の友人にな」マッスルッ
184: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:28:08 ID:z8G
ブリキ「ドロシー…!ヘンゼルはもうドロシーを捜し出したっていうのか!?あいつに託したあの時からそれ程月日は経っていないはずだぞ!?」ガタッ
ブリキ「いいや、ドロシーに会えるのならそんなことはどうだって構わない!王よ、今すぐに俺をお前の城へ案内してくれ!すぐにでもあいつに会いたい、これからは側にいてあいつを守ってやらないといけないんだ俺は…!」バッ
裸王「うむ、気持ちはわかるが落ち着きたまえ!そのようなボロボロの体でドロシーの前に出てどうする、恐らく彼女はお前のことを案じて心痛めるだろうっ!」マッチョ
ブリキ「…確かにそうだ、俺のひしゃげた体を見れば優しいあいつは自分に事のように悲しむ。それは…俺も嫌だ」
裸王「不甲斐ないことにお前の体を今すぐに直せる職人は…魔法の力をもつ鍛冶屋はこの国にはいないのだ」
裸王「だがこのマントを羽織ればいくらかは誤魔化せるだろうっ!これは私からの贈り物だ、少なくともボロボロになったお前の体を覆い隠すことはできるっ!」バサッ
ブリキ「気を使わせてしまって悪いな、使わせて貰おう」バサッ
裸王「ハッハッハッ!そのマントは友好国から送られた品なのだが、私は筋肉を衣類で隠すのが嫌なのでな!代わりに使ってくれれば無駄にならずにすんで私としても助かるのだ!」マッスル
ブリキ「そうか…肌触りなんざ俺には解らないが上等な品なんだろう、礼を言う。しかしヘンゼルの姿が見えないな…ドロシーは既に城にいるのだろう?ならばあいつは何を…」
裸王「ヘンゼルはライオンとかかしの両名に城に来て欲しいと頼みに行くと言ってた。【アラビアンナイト】と【桃太郎】の世界にいるという情報をラプンツェルと桃太郎から得ていたのでな!」マッチョ
ブリキ「ま、待て待て!まさかあいつらの居場所まで突き止めたのか!?この短時間で一体…」
裸王「うむ、全て偶然と言ってしまえばそれまでなのだがな。私とヘンゼルは別件で【シンデレラ】の世界を訪れていた、そこには目的を同じくするラプンツェルや桃太郎も居たのだ」
裸王「キモオタ達が来るのを待っていた我等はその間軽く情報のやりとりをしていた、その際に聞いたのだ。彼ら彼女らが偶然かかしやライオンと出会い、行動を共にしていることをな」
裸王「折角居場所が分かっているのだ、お前とドロシーだけでなく四人揃って居た方がいいのではないかと思い…ヘンゼルは彼らに直接来てくれと頼みに行ったのだ」
裸王「過去が原因とは言え大人に対する態度は少々目に余る部分もある、だが心根は実に優しい少年だ。この裸王、感心しっぱなしだっ!」マッスルポーズ
185: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:33:57 ID:z8G
裸王「ライオンは【蛙の王子】の世界で桃太郎と出会い戦いに備え訓練をしていたらしい。かかしは【アラビアンナイト】の世界で勉学に励んでいるとラプンツェルが自信満々で言っておった、何故彼女が誇
らしげなのかはわからんがな?ハッハッハ」マッスル
ブリキ「それじゃあ何か…?アリスは俺たちを別々の世界へ無作為に飛ばした。そして偶然にもその先々で俺を含めて全員が、お前たちやキモオタの仲間とゆかりのある世界へ飛ばされたって言うのか!?」
裸王「ふむ、しかしそう驚くことでもあるまい。アリスはおとぎ話を消滅させて回っているのだからおとぎ話の数は極端に減っているはずだろう?」
ブリキ「それは間違いない、一時期と比べれば相当減っているはずだ。それには他でもない俺も関わっていたからな」
裸王「一方でキモオタ達はそれを防いで回っていた、故に今もなお残っているおとぎ話がキモオタ達とゆかりのある世界だという可能性は必然に高くなると言うわけだ!ハッハッハ」マッチョ
ブリキ「なんという偶然か巡り合わせか…いいや喜ばしいことに変わりはない、こうも早くあいつらに会えるんだからな」
裸王「うむ、ではそろそろ行こうではないか。おそらくヘンゼルも二人を連れて城に戻っているだろうからなっ!」マッスル
ブリキ「…あぁ、そうだな」ギシッ
裸王「むっ?どうかしたかね?」
ブリキ「あいつらに一刻も早く会いたい。その気持ちはあるのだが、この事態を招いたのは俺の責任…今になってどのような顔で会えばいいのかと考えてしまった」
裸王「ハッハッハ!ドロシーも言っていたが…お前に心が無いというのはどうも信じられんな!ハッハッハ!」
ブリキ「そういわれてもな、実際俺には心が無い。ブリキの体に心など存在しないのだからな」
裸王「ハッハッハ!心配せずとも仲間達もお前の考えや行動を汲むくらいの心は持ち合わせているだろう?」
裸王「それにドロシーもお前に会いたがっていたぞ、おそらくは仲間達もだ。あれこれと考えるまでに会いに行った方が早いぞっ!」
裸王「多くを語らずとも親しい仲間ならば、顔を合わせるだけで伝えられることもあるだろう?案ずるより生むが易し!私も付き添うぞ!さぁ案内しようではないか、我が城を!」ハッハッハ
186: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:36:36 ID:z8G
同じ頃・・・
おとぎ話【ライオンとねずみ】の世界 森の奥地
人魚姫の声『何これ何これ!右も左も木、木、木!あと花!うぅ〜見たこと無い光景にちょーテンション上がるんですけどぉー!』ウキウキ
赤ずきん「見慣れない風景にワクワクする気持ちは分かるけど少し落ち着いたら?あとでバテても知らないわよ?」フフッ
赤鬼「まぁいいじゃねぇか、俺達はそうでもねぇが人魚姫には珍しいんだろ。海の中に森はねぇからなぁ」ハッハッハ
人魚姫の声『そうそう!それにさ今の私は空気の精なわけじゃん?こういう空気のきれいな場所は過ごしやすいんだよねー」ヘラヘラ
赤ずきん「それは結構なことだけど、はしゃぎすぎて警戒を怠っては駄目よ?」
人魚姫の声『えー?警戒ー?こんなに静かで穏やかな森なのに何を警戒する必要があんのさー、海と違って凶暴な鮫も鯨もいないしさ〜余裕余裕ー』ヘラヘラ
赤ずきん「あなたが知らないだけで森は危険だらけなのよ。凶暴な野生生物だっているかも知れない、例えば狼とかね」
人魚姫の声『オオカミ…?なんか聞いたことがあるようなないような…』ハテー?
赤鬼「狼ってのは森に住む獣だ、鋭い牙を持っていて獰猛な性格の奴が多い。おとぎ話の筋書きの中じゃ大抵悪役として出てきて主人公を食っちまったりするなぁ」
人魚姫の声『へーっ、森にも鮫みたいな凶暴な生き物がいるんだねー。聞いた感じヤバそうだけど、もしかしてかなり警戒した方がいい系?』
赤ずきん「そうよ、この世界の狼がどうかは知らないけど…【赤ずきん】の狼は人語を理解する知能があったし、元々の筋書きでは私を確実に食べるために狡猾な作戦まで練る…恐ろしい獣よ」
赤ずきん「基本的に群で行動するらしいから囲まれでもしたら厄介よ。各々きちんと警戒しながら進みましょう」
187: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:43:32 ID:z8G
赤鬼「おう、それに森の中ではぐれちまったら厄介だ。特にお前は俺達からでさえ姿が見えないんだから、注意してくれよ?」
人魚姫の声『はいはーい!でもさぁ、森が危険なことも油断しちゃだめなこともわかったけどさぁ、だからってずっとピリピリしてるってのもつまんなくない?楽しくいこうよせっかくだしさぁー』ヘラヘラ
赤ずきん「警戒しろって言った側からあなたは……けれどまぁ気持ちは分からなくもないわ」
人魚姫の声『そうっしょ?なんか楽しい話でもしながら進んだ方が楽しいって!』ヘラヘラ
赤鬼「しかし楽しい話っつってもなぁ……それよりも赤ずきん、なんつぅか聞きそびれちまってたんだけどな。この世界が舞台の【ライオンとねずみ】っておとぎ話、どんな内容なのかまだ聞いてなかったよな?」
赤ずきん「あら、言ってなかったかしら?」
人魚姫の声『あっ、ホントだ。あたしもまだその話聞いてないや、ちょうど良いから教えてほしいんですけどー?』
赤ずきん「そうね、きっともう結末は迎えているんでしょうけど…このおとぎ話がどんな内容なのかは知っておいた方がいいわね。それじゃあ少し聞いて貰おうかしらr」
グオォォォォッ!
赤鬼「なんだぁ!?森の奥の方から獣のうなり声が聞こえたぞ!?」
赤ずきん「…この鳴き声!」バッ
人魚姫の声『ちょ、ちょっと!どーしたっての赤ずきん!?』
赤ずきん「間違いない…この鳴き声は狼のものよ!きっと誰かが狼に襲われてる!助けにいってくる、悪いけれど話の続きは後よ…!」タタッ
188: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:46:13 ID:z8G
狼「グオオオォォォッ!!」ガルルルッ
狩人のおっさん「ひ、ひえぇ…!お助けぉぉー!」ジタバタ
狼2「ガアァァッ!」グワーッ
狩人のおっさん「ひえぇぇっ!くっ、もう弾丸も切れちまってる…!こんな事になるなら欲を出して森の中に入ったりするんじゃなかった!」
狩人のおっさん「この森に大層立派なライオンが住むって聞いたから毛皮を剥ごうと思って狩りに来たってのに…畜生!金に目が眩まなけりゃこんな事にはぁぁ!!」
狼3「グルルッ…グオオォォォッ!!」ババッ
狩人のおっさん「クゥッ、万事休すか…!」
ズダーン ズダーン ズダーン
狼達「ガウゥ…!ガルアァァ…!」ジタバタ
狩人のおっさん「な、なんだぁっ!?誰か助けてくれたってのか!?」
スタッ
赤ずきん「…1、2、3匹。狼の群にしては少ないわ。かといってアイツのように一匹狼ってわけでもなさそうね」ガチャッ
狩人のおっさん「女の…子供!?今の攻撃はおめぇがやったのか!?子供だってのになんて的確な射撃だ…!」
赤ずきん「誉めてくれるのはありがたいけれど、今のうちに逃げなさい。狼共は引き受けてあげるけれど…あなたの命の保証まではしかねるから」スッ
189: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:48:33 ID:z8G
狩人のおっさん「そ、そういうことなら…嬢ちゃんすまねぇが後は頼むぞ!」ドタバタ
赤ずきん「…さぁ、私が相手になってあげるわ。一発の弾丸で倒れるようなヤワな体じゃないでしょう?ほら、さっさと掛かってきなさいな」フゥ
狼1「ググッ…グルルラァァ!」バッ
赤ずきん「あらあら、随分と怒っているみたいね。私が食事の邪魔をしてしまったからかしら?」ズダーン
狼1「グ、グオォ…」ドサッ
赤ずきん「あと2匹…。もう人を襲わないなら見逃してあげる、私は狼に因縁があるけど…逃げる相手を追撃したりしないわ」
狼2&3「…グルオォォォッ!」ババッ
赤ずきん「逃げるつもりは無し…それよりもあのおじさんの代わりに私を食べようって事?やめておきなさい。私なんか食べたら…」ガチャッ
ズダーン ズダーン
狼達「グルルァ…」ドサドサッ
赤ずきん「お腹を壊してしまうわよ?あぁ…腹痛という意味じゃなくて物理的に、ね」スタッ
190: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/16(土)00:51:46 ID:z8G
赤ずきん「見知らぬ相手でも狼に襲われているとなると他人事とは思えないわね…。早く赤鬼達のところに戻りましょうか、本格的にはぐれては面倒だものね」スタスタ
・・・
ネズミお嬢「今の光景…ご覧になりまして?ライオンおじ様?」ガサガサ
ライオンの王「あぁ、勿論だとも。この森は危険だという噂が広がり、近頃では足を踏み入れる者も減ったと思っていたが…愚かな人間共は後を絶たないようだ」ガサッ
ネズミお嬢「そうですわね…それにあの赤いずきんの娘、可愛いなりをしていながら狼を攻撃する時は確実に狩る側の目をしていましたわ…少女といえども油断なりませんわよ?」
ライオンの王「勿論だとも、どのような相手だろうと侮ってはならないことはお前との一件で学習したのだ。決して油断してはならぬ、少女といえど猟銃を構えるというのならば…それは狩人に他ならない」
ネズミお嬢「…相手が狩人だというのならば、私達がとる手段はひとつですわね」
ライオンの王「うむ、我々も狩りはするが…それは生きる為食う為だ。道楽や自分たちの利益のために必要以上の命を奪う奴等とは本質が違う。黙って見過ごしてはおけん」
ネズミお嬢「でしたらいつものように返り討ち、ですわね?」
ライオンの王「うむ、この森には戦う手段を持たぬ者も多い、平和を脅かす余所者は我々が駆逐せねばならん。戦う覚悟と力を持った者がな」
ネズミお嬢「もちろんですとも!でしたらおじ様!いつもの奴をやりましょう!」
ライオンの王「戦いの誓いだな?いいだろう、では…」スッ
ネズミお嬢「私はすばしっこい小さな体と鋭利な前歯を武器に…!」
ライオンの王「我は鋭い牙と雄々しき体躯を武器に…!力の限り戦い、必ずやこの森の平和を守り、皆のための安寧を手に入れよう」
ネズミお嬢「必ずや愚かな狩人の娘を捕らえて血祭りにあげてやりますわっ!それではおじ様と私のゴールデンコンビ…森の平和を守るために出動ですわよっ!」ハイターッチ!
ライオンの王「うむ、この森は我々の領域。欲に溺れ足を踏み入れた愚かな狩人共に目にものみせてやろうではないか」ハイターッチ!
196: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:20:34 ID:bKA
赤鬼「狼の鳴き声はこっちから聞こえたと思ったが…どこだ?赤ずきんの奴急に飛び出していくもんだから見失っちまったぞ…」キョロキョロ
人魚姫の声『空から探そうにもこんなに木が多くちゃなぁ…あっ、赤鬼!あの赤いのそうじゃね?赤ずきーん、こっちなんですけどぉー!』
赤ずきん「あら、ここに居たのね」スタスタ
人魚姫の声『「ここに居たのね」じゃないんですけどー!急に飛び出して行ったらびっくりすんじゃん!』
赤ずきん「それは悪いことをしたわね。でも一歩遅れていれば一人の狩人が狼の餌になっていた…それを防ぐことは出来たのだから大目に見て頂戴」
人魚姫の声『それはいい事したと思うけどさぁー、狼は危険な獣だって聞いてたしこっちは心配すんじゃん!赤鬼だってそうっしょー?』
赤鬼「まぁそうだが、無事だったからいいじゃねぇか。その様子じゃどこも怪我なんかしてねぇんだろ?」
赤ずきん「狼に遅れなんかとらないわ。それよりもこのおとぎ話の主人公達を探しましょう、時間は無いのだし」
人魚姫の声『了解了解ー。でもちょーっとだけその狼達も可哀想だよねー、誰か襲わなきゃご飯にありつけないわけだしさー。あっ、別に赤ずきんを責めてるわけじゃないかんね?』
赤鬼「まぁ言いたいことはわかるぞ、自然界じゃ弱肉強食が基本だ。襲われる方が悪いと言えばそれまでだが…やっぱりこっちとしちゃあどうしても人間の味方をしちまうよな」
赤ずきん「狼にとっても生きるために必要な行動なのはわかってるわ。だけどそれは黙って食べられる理由になんかならない、牙を剥くなら迎え撃つだけ」
赤ずきん「たとえ見ず知らずの他人でも、狼に襲われているのなら当然助けに入る…私は故郷の村を狼に襲われたから特にそう思うのでしょうね」
197: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:22:13 ID:bKA
人魚姫の声『うんうん、海中じゃあ人魚も鮫には困ってたしねー』
赤鬼「鮫ってぇと確か鋭い牙を持った肉食の魚だったか?」
人魚姫の声『そうそう!人魚も魚も基本的にはお互いを食べないから共生出来てたけどさ、鮫は別だったなー。赤ずきんみたいに鮫に家族を食べられて恨んでる人魚は結構居たしさ』
赤ずきん「海も陸も変わらないのねそのあたりは。けれど当然よ、家族や村の仲間を奪われたのなら…どんな理由があろうとも納得なんかできないもの」
赤鬼「だがそう考えるとおいら達鬼は熊を捕って食ったりもするわけだ、そりゃやっぱ熊からは恨まれてんだろうななぁ…」
赤ずきん「そうかもね。でも私も野ウサギはよく口にしていたし、それを言ってしまうと……ね」
赤鬼「鬼と人間と共存とか言って他の動物は食ってるじゃねぇかって言われると、反論できねぇな……」
赤ずきん「……人間を襲う狼は駄目でウサギを食べる私達は大丈夫、なんて都合良すぎるものね」
二人「……」
人魚姫の声『あははっ!今更そんな事気にしたってしょうがなくない?昔姉ちゃん言ってたよー?生きるために何かを食べるときはその命に感謝しなさいって、それで良いじゃん!気にすることないってー』ヘラヘラ
赤ずきん「…私はたとえ狼が感謝していたとしても、家族を食べられたことを納得できないけどね」ボソッ
赤鬼「お、お前この流れでそれ言っちまうとどうしようもねぇじゃねぇか…」
198: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:24:02 ID:bKA
ライオンの王「いいや、お前の言葉は正しい。赤き頭巾の狩人よ」ザッ
人魚姫の声「あれってライオンじゃね…!あれライオンだよね?もしかしなくてもあたし達が探してる奴なんじゃね?喋ってるし」
赤鬼「おそらくな…だがいつの間に、あれだけの巨体が動けばそれなりに気配がするもんだぞ?」
赤ずきん「…どちらでもいいじゃない、些細な問題よ。出向いてくれて助かったじゃない探す手間が省けたのだし」
ライオンの王「ほぅ、人語を操る我を見て驚かぬ人間は初めてだ。大抵驚愕するか、珍しさから躍起になって捕らえようとするものだが」
赤ずきん「あぁ…私達は普通の人間じゃないのよ。それよりも出会えて嬉しいわ、私達はあなたのことを探していたの」
ライオンの王「そうであろうな、この森に足を踏み入れる人間は全て同じ目的だ」ザッ
赤ずきん「それ…どういう事かしら?」
ライオンの王「狩人の目的など知れている。我等、森に住む者達の捕縛あるいは殺戮…お前の目的もまた同様のものだろう?」
赤ずきん「待って頂戴、それは違うわ。私達はあなたに危害を加えるつもりはない、それに私は狩人なんかじゃないわ」
ライオンの王「ほう、狩人では無い?解せんな、罠で我等を騙し捕らえるお前たちにしては随分と稚拙な嘘だ……」ビュッ
赤鬼「マズい!あのデカさでなんて素早さだ…!赤ずきん!」バッ
ガバッ
赤ずきん「くっ…!」ズサーッ
ライオンの王「狩人では無いならばそのマスケットは何だ?それは我等を殺す道具、貴様が狩人であり…我々の敵である証拠ではないか」グワッ
199: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:26:59 ID:bKA
人魚姫の声『ちょ、それは誤解だっての!…あぁ、あたしの声は届かないんだった!赤鬼!』
赤鬼「あぁ!そいつぁ誤解だ!そいつは確かにマスケットを持っちゃいるが狩人なんかじゃねぇんだ!放してやっちゃくれねぇか!?」
ライオンの王「それは無理な相談だ、お前たちを逃がせばこの森に住むもの達は蹂躙され殺される。王として我は見過ごすわけにはいかぬ」
赤ずきん「くっ…私達はあなたたちを襲った人間とは違うの!だからお願いよ、話を聞いて頂戴!」
ライオンの王「命乞いに耳を貸すつもりは無い。お前たち狩人は仲間達の無念の叫びに耳を傾けたことがあるか?あるはずなかろう、我と違い皆は人語を操れぬからな」
ライオンの王「報いを受けよ赤き狩人よ。その身体、我等の血肉となるべく捧げろ」グワァァ!
赤鬼「クソォ!そっちが聞く耳もたねぇってぇなら仕方ねぇ!うおおぉ!」バッ
ビュオンッ
ライオンの王「本性を現したか狩人の仲間よ。それで良い、敵意が無いフリなどまどろっこしいだけだ」スッ
赤鬼「お前たち森の連中が狩人に酷い扱い受けたってのは同情するが、こいつは本当に狩人じゃねぇ!そこは信じてやれねぇか!?」
ライオンの王「今更そんなことを議論する必要はあるまい。我は牙を剥き、お前はそれに応じた…あとはどちらかが餌食となるだけだ」ビュッ
赤鬼「うおぉっ!だから話を聞いてくれ!」ガキン
人魚姫の声『あいつ今度は赤鬼に!あぁもう、何も出来ないとか…悔しい!赤ずきん!あいつなんとかしてくんない!?』
赤ずきん「そうね…でもマスケットを使えば彼らの疑心は深まるばかりよ、何か別の手段を…!」
200: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:29:05 ID:bKA
ビュンッ ガキィンッ
赤鬼「ぐぅっ!なんて力だ!これじゃいつまでもつかわかんねぇぞ…!」
ガアァ ビュバッ
ライオンの王「防戦を演じれば我の隙を誘えるとでも思っているのか?無駄だ、防ぐばかりで押されているではないか」ズバッ
赤鬼「くっ…!赤ずきん!これじゃあ埒があかねぇぞ!残念だがもう諦めたほうがよくねぇか!?」ガシィッ
赤ずきん「誤解を残したまま逃げるのは心残りだけど、そんな事は言ってられないわね。残念だけどここは…」
ライオンの王「逃すはずがなかろう。男よ、貴様は随分と頑丈なようだが…これで終いだ」ググッ
ドガッ
赤鬼「突進…!だがそれなら受け止めちまえば……うおぉっ!?」ズサーッ
人魚姫の声『えぇっ!?赤鬼が消えたんですけど!?どゆこと!?』
赤ずきん「落とし穴…!赤鬼を攻撃しながらそっちへ誘導していたのね!?」クッ
ライオンの王「以前訪れた狩人が仕掛けた卑劣な罠だ。この森にはまだいくつも存在する、今の我にとってはお前たちを捕らえる道具でしかないがな」グルルッ
201: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:31:02 ID:bKA
赤鬼「くっ…なんて深く掘りやがったんだ、出られねぇことは無さそうだが容易くは無ぇぞ!」
ライオンの王「お前たち狩人が我々に向けた悪意の深さだ、容易くは出られまい」
赤ずきん「…人魚姫、私の側へ。赤鬼を連れてすぐに別世界へ逃げr」
ライオンの王「言ったはずだが?逃がさんとな」バッ
赤ずきん「…退きなさい。私は彼と共にこの場から去る」
ライオンの王「やってみせよ、だが我はそれを必ず阻止する。狩人は一人たりとも帰さん」
赤ずきん「私は狩人じゃないわ、けれどあなたが私の大切な友人を帰さないというのなら…」
ガチャッ
赤ずきん「なってやろうじゃないの、狩人に」
ライオンの王「ふん…ようやく狩人らしくなったではないか、赤き狩人よ」
赤ずきん「後悔なさい、私は素人だけどこのマスケットは…ただの猟銃じゃないわよ?」
202: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:36:33 ID:bKA
ライオンの王「御託はいい、引き金を引け赤き狩人。銃弾を浴びれば我は倒れ、そうでなければ貴様に食らいつく…ただそれだけだ」
赤ずきん(気は進まないけど…赤鬼を助けることが優先だもの、せめて急所は外して……)
赤ずきん「いいわ、あなたを倒さなければ彼を救えないのなら私はそうするだけよ。……っ!?」ビクッ
ズダーン スカッ
人魚姫の声『えぇーっ!?ちょ、盛大に外してるんですけど!?赤ずきん一体どうして…』
赤ずきん「やられたわ…!服の中に何か潜り込んd…ひゃぅ!」ビクッ
人魚姫の声『いやいや何かってなんなの!?…あっ、もしかしてあのライオンがこのおとぎ話の主人公っていうなら、その相棒の…!』
赤ずきん「くっ…!いつまでも人の服の中に潜んでないで出て行きなさこの…!」グッ
スサササッ ガジッ
ネズミお嬢「あらあら、私のくすぐりに耐えるなんて随分と我慢強い娘さんですこと!でも、これならどうでして?」スサササッ
赤ずきん「ひゃう…!…こんな事で無力化されるなんて屈辱だわ…!これじゃあ狙いを定めるなんて…」クッ
ネズミお嬢「あいにくですけどおじ様は私にとって大切な方なのですわ!狩人の餌食になど決してさせませんわよ?」
ネズミお嬢「おじ様は恩人であり私のパートナー!指一本弾丸一発振れさせませんわよ!」
203: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:39:54 ID:bKA
ライオンの王「さて、では仕上げといこうか。お嬢、構わんな」ググッ
ネズミお嬢「いいですとも!」スサササッ
赤ずきん「くっ…!」
人魚姫の声『赤鬼の時と同じ突進の構えじゃんあれ!うぅっ、赤鬼!どうすんの!?空気の精の私じゃなんにも…!』
赤鬼「落ち着け、お前は悪かねぇ!だがすぐに出られそうにないんだ、赤ずきんは何とか耐えられねぇか!」ヨジヨジ
赤ずきん「そうは言ってもね…このネズミがそうさせてくれないのよ…!」スサササッ
ライオンの王「では赤き狩人よ、終いにしよう」ドガッ
赤ずきん「…っ!」ドサッ ビュンッ
バサーッ!
人魚姫の声『あぁ…!赤ずきんがなんか網で吊し上げられた!』
赤ずきん「くっ、身動きがとれない…!」
ネズミお嬢「そうでしょうとも!これは獲物を網で捕らえて吊す罠!自分の体重が掛かることで縄が体に食い込んで身動きがとれない、そういう代物でしてよ!」
ライオンの王「かつて我を苦しめた罠と同様のものだ。これでようやく気がついたか、赤き狩人よ」
ライオンの王「この森は我等の領域、ここでお前たちは狩る側ではなく、狩られる側だと言うことにな」
204: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:43:06 ID:bKA
ネズミお嬢「男は落とし穴に、そして狩人は網の罠!私達の勝利ですわ!おじ様、やりましたわね!」ハイターッチ!
ライオンの王「うむ、人間共が仕掛けた罠で捕らえられるとはいい気味だなお嬢よ」ハイターッチ!
ネズミお嬢「全くですわね!捕らえられた皆の恨み、思い知れですわ!」プークスクス
赤ずきん「あなた達のやってることは狩人のそれと何が違うのよ、お互い様に見えるけれどね。私には」
ネズミお嬢「なんとでも言えですわ!マスケットがなければお前なんてただの人間の娘、おいしく頂いてやりますわ!」
ライオンの王「さて、どうしてくれよう。とりあえず息の根を止めて…先ほど無念に倒れた狼達の家族に分け与えようか」
ネズミお嬢「いいですわね!そういえば西に住んでるキツネの奥さん出産が近いみたいですわよ、娘の方はそのお祝いにいたしましょう!」
ライオンの王「良い考えだ。では早娘の方から息の根を…」
赤ずきん「…赤鬼、人魚姫。少し席を放すわ…悪いけれど待ってて頂戴、すぐに戻るから」
赤鬼「…あぁ、そういうことか。まかせろ!」
人魚姫「あっ、なーんだ、その手があったね普通に!オッケー、なんもできないけど待っとくー」ヘラヘラ
ネズミお嬢「余裕ぶるのも大概にするのですわ!その網の罠からは決して……」
赤ずきん「私が敵じゃないという証人を連れてくるわ。少し待っていて、彼に危害を加えたら…許さないわよ」ヒュンッ
バサッ
205: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:46:30 ID:bKA
ライオンの王「なんだと…赤き狩人が消えた!?」
ネズミお嬢「ど、どういうトリックですの!?」
赤鬼「別のおとぎ話の世界に行ったのさ、おそらく【ブレーメンの音楽隊】だろう」
ライオンの王「ぬぅ?お前たちもおとぎ話の世界の住人だったか…だが我等に仇なす狩人であることには変わりない」
ネズミお嬢「わざわざこのおとぎ話の世界へ来ておじ様を捕らえるつもりだったのですわよ!きっと!」
赤鬼「違うってのに…まぁもうじき信じるしかなくなると思うぞ、赤ずきんとブレーメンの音楽隊は顔見知りだ。実際…音楽隊の連中はこの世界に来たんだろ?」
ライオンの王「あの愉快な音楽隊なら我の仲間達を楽しませて満足そうに去っていったが…その手引きを赤き狩人がしたというのか?」
赤鬼「あぁ、以前世話になったお礼に演奏したがってるあいつらをこの世界へ送ったって言ってたからな」
ライオンの王「デマカセには聞こえんな…本当にあの音楽隊の仲間だというなら、狩人でないという言葉も…真実やもしれんぞ」ヒソヒソ
ネズミお嬢「そうですわね…でもまだそうと決まったわけではないですわよ!」ヒソヒソ
ライオンの王「うむ、もしも真実ならば我々がしたことは非常に無礼な振る舞い、謝罪が必要だ。だが…狡猾な嘘は人間の十八番、援軍を呼ぶための口実かもしれん、ここで下手に出るのは下策」ヒソヒソ
ネズミお嬢「ですわね、はっきりとした真実がわかるまで油断してはいけませんわ!よってまだ謝る必要もなし!ですわね!」
206: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/18(月)00:51:08 ID:bKA
・・・小一時間後
ライオンの王「まさかお主等が本当に狩人ではないとは…そうと知らずに申し訳ないことをした、すまない」ペコリ
ネズミお嬢「散々調子乗った事言って申し訳ありませんですわー!」ペコー
赤ずきん「いいのよ、わかってくれたなら。こうして赤鬼も解放してくれたんだし」
赤鬼「なりゆきとはいえ俺達も手を出しちまったしな…ここはひとつお互い様って事にしねぇか?恨みっこなしだ」
ライオンの王「おぉ、我々の勘違いで被害を被ったというのになんと懐の深い男だろうか…!」
ネズミお嬢「感謝感激ですわね!おじ様!」
赤鬼「いいってのに、それよりあんたたちに話が聞きたいんだ。どこか話ができそうな場所に案内しちゃくれないか?」
赤ずきん「……」フゥ
人魚姫の声『んー?ため息なんかついてどーしたわけ?大きな怪我もなくって皆無事で良かったじゃん!』ヘラヘラ
赤ずきん「また彼等に借りができてしまったと思ってね。ライオン達に説明して貰った後さっき元の世界へ送り届けたとき言われたわよ、また新しいライブの場を準備してくれって」
人魚姫の声『あははっ、足元見るねぇ』ヘラヘラ
赤ずきん「まぁいいんだけどね…世話になったのは事実だし」
人魚姫の声『そーいえば結局さ、この世界の【ライオンとネズミ】ってどんなおとぎ話なの?聞きそびれちゃってたしさ、教えてよ。あの二人があーなったのもそういう筋書きだからっしょ?』
赤ずきん「教えるのは良いけどもうこうなったら二人に直接聞いた方がいいんじゃないかしら?その方が詳しく聞けるでしょうし」
赤ずきん「【ライオンとネズミ】がどんなおとぎ話なのかをね」
229: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)00:47:05 ID:ruY
ライオンとねずみの世界 ライオン達の住処へ向かう道中
ライオンの王「ほう、我等のおとぎ話【ライオンとねずみ】の筋書きを聞きたいと?」ノシノシ
赤ずきん「えぇ。どうやら人魚姫が興味あるみたいなの、私が教えても良かったんだけど…本人がいるのだしどうせならあなた達に話して貰った方が良いと思ってね」スタスタ
ネズミお嬢「確か人魚姫っていう空気の精霊さんがその辺にふわふわしてるんでしたわね!私達のおとぎ話に興味を持ってもらえて嬉しいのですわ!」
人魚姫の声『おとぎ話自体にはそんな興味ある訳じゃないけどさー。まっ、人間と人魚が仲良くできるのを願う私としては気になっちゃうわけですよー、ライオン達の仲良しの秘密って奴がさー』ヘラヘラ
赤鬼「オイラからも頼む。是非お前たちのおとぎ話を聞かせてくれ、お前たちがあれほどの連携をこなせる秘訣って奴が気になるからな」
ライオンの王「うむ、よかろう。我等の住処まではもうしばらく歩くことになる、その道すがら話そうではないか」
ネズミお嬢「しっかし照れますわねー!このおとぎ話を語るということは必然的に私の活躍を語ることになりますもの!」
赤鬼「照れるなんて言ってる割には誇らしそうだな?」ガハハ
ネズミお嬢「もちろんですわ!照れはするものの誇らしいことに変わりはありませんもの!私の活躍に刮目せよ!」フフン
ライオンの王「さてどこから語るとするか…改めて思い起こせばもう随分昔の事のように感じるものだ。どちらにしろお嬢が今より多少は可愛げがあった頃の話になるだろうか」フフッ
ネズミお嬢「なっ!?今でも私は可愛らしいお嬢様でしてよ!?今も昔も変わりなく、ですわ!」ポカポカ
ライオンの王「ははっ、それは失礼。…と、今でこそ我等はこの様に冗談を言い合える仲だが…お互い初対面の印象が最悪だったことはよく覚えている、なぁお嬢?」
ネズミお嬢「えぇ!ぶっちゃけ殺されると思いましたわ!」
ライオンの王「あぁ、実際我はお嬢を殺すつもりだったのだ。見知らぬねずみの娘に眠りを妨げられたことに相当腹を立てていたからな」
赤鬼「おいおい、眠るのを邪魔されたくらいで…そりゃあやりすぎじゃねぇか?」
ライオンの王「あぁ、その通りだ。恥ずかしながらあの頃の我は未熟でな…そう思う事ができなかったのだ、自分自身がもっとも優れた王者だと思いこんでいたのでな…」
230: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)00:48:41 ID:ruY
随分と昔
ライオンとネズミの世界 森の中
ビュッ
ネズミ「うぐっ!」ガシッ
ライオンの王「百獣の王たる我の背を横切るとはいい度胸だ。当然、その命を置いていく覚悟あっての振る舞いであろうな…?」ギロリ
ネズミ「わーっ!すいません!ちょーっと慌ててて前をよく見てなかったんですぅ、悪気とかこれっぽっちもなかったんです!」
ライオンの王「故意かどうかなど我には関係の無いことだ。だが貴様のようなネズミ風情が王たる我の眠りを妨げたことは動かぬ事実…王者を軽んじるその行為、万死に値する」
ネズミ「いやだからうっかりなんですって!勘弁してくださいって!」
ライオンの王「貴様など喰らっても腹に足しにもならんが…我が尊厳に傷を付けた償いはして貰おう。その命、我が血肉となるべく捧げよ」グアッ
ネズミ「ちょ、ちょーっと待ってください!命だけは勘弁してください!あっ、そうだ!一つ提案させてください!」
ライオンの王「提案だと…?よかろう、言うだけ言ってみるがいい」
ネズミ「はい!私を逃がしてくれたら必ずライオン様に恩返しします!絶対です!」
ライオンの王「…恩返し?」
ネズミ「はい!私なんか食べでもすぐにお腹空くし意味ないですって!だからここは私を逃がして恩返しして貰う方がずっとお得ですよ!そうしましょう!ねっ?」
231: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)00:52:08 ID:ruY
ライオンの王「……ふっ」
ネズミ「?」
ライオンの王「フハハハッ!何を言うかと思えば恩返しだと?貴様のような小さなネズミの娘が!百獣の王である我に恩を返す?
ハッハッハッ!愉快なことを抜かす小娘よ!」
ネズミ「はい!それはもうバッチリ恩を返させてもr…うぐぅっ!」
ガッ
ライオンの王「この期に及んで我に舐めてかかる気概は認めてやろうだが…命惜しさに適当なことを抜かすなよ小娘?貴様に何ができる?我の爪の先ほどの身体しか持たぬちっぽけな貴様に」ギロリ
ネズミ「それは…今から考えます!」キリッ
ライオンの王「……愚か者が、冥界にて己の愚行を悔いていろ」グアァァ
ネズミ「うわー!すいませんでした本当すいませんでした!もう何でもするんで助けてください!まだ死にたくないんです!ご勘弁をご勘弁をー!うわー!誰かー!この哀れなネズミをお助けくださいー!ぎゃー!ぎゃー!おかーさーん!」ウワァァ
ライオンの王「……チッ、やかましい小娘が」ポイッ
ネズミ「べぶっ!ちょ、顔面打ちましたよ!?あっ、でも見逃してくれるって事ですよね?うわー、嬉しいです!ありがとうございます!」
ライオンの王「貴様の声は耳につく。ギャーギャーと怯えて喚く貴様の顔を見ているうちに食欲が失せた、それだけだ」フイッ
ネズミ「微妙に失礼な気がしますけど…でも助かりました!よっ!さすが王様!」
ライオンの王「次は無いと思え。王たる我に無礼を働いたことを悔い、その姿を二度と我の前に晒すな」ノシノシ
232: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)00:53:31 ID:ruY
それから数日後 同じく森の中
ギャーギャー
ライオンの王「フハハハッ!群れで挑めば適うとでも思ったか雑魚共ォ!」ズバーッ!
オオカミ1「グオオォォッ!なんて強さだ…手も足もでねぇ!」ズサーッ
オオカミ2「数の優位はこっちにあるってのに…!仕方ねぇ!撤退だテメェら!」ダダッ
ライオンの王「王者に刃向かっておきながら都合が悪くなれば引くなど…許されるはずなかろう」ヒュッ
オオカミ1「ま、回り込んだ!?あの距離を、この一瞬でだとぉ!?」ジリッ
オオカミ2「チィッ!散れ散れぇ!一カ所に固まってたら殺されちまうぞ!一匹でも多く縄張りまで戻れぇ!」ワオーン
ライオンの王「無駄だ、楯突く愚か者共を蹂躙できねば王など務まらん…さぁ覚悟を決めろ弱き者共よ」ガォォォ
ザシュッ
・・・
ライオンの王「…この辺りの狼は骨のある連中だと聞いていたが他愛もない。王たる我にかかれば稚児も同然よ」
ライオンの王「さてこの骸の山をどうするか、ひと暴れして空腹ではあるが…狼の肉は臭みが強く我好みでは無い。わざわざ我が口にせずともじきに朽ち果てるだろう」ノシノシ
ライオンの王「だがこの空腹感はいかんともしがたい。先の狼共との騒ぎで草を食う連中は遠くへ逃げただろう…が、狩りに出かけるのも面倒だ。近場に手頃な食料が転がっていないものか…ん?」ノシノシ
鹿の死体「」
ライオンの王「鹿の亡骸…か、脚を折って動けなくなったとみえる。丁度良い、どうやら先ほど死んだばかりでまだ新鮮だ、こいつを食らうとしよう」ノシノシ
ビュンッ
ライオンの王「ぬおぉっ!?何事か!?」バサーッ!
233: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)00:55:39 ID:ruY
ライオンの王「クッ…!我としたことが人間の仕掛けた罠にかかるなど…屈辱だ。空腹で思考が鈍ったか…」ブラーン
ライオンの王「だが案ずる必要など無い、我は王なのだ。この様な網など我が牙と爪をもってすれば……」ジタバタ
ライオンの王「なんたることだ…!網が体に食い込み身動きがとれん!爪も牙も届かぬ…!これでは罠から抜けられんではないか…!」ギリッ
ザッ
ライオンの王(何者かの足音…狩人か!?)
子狐「…あっ、うめき声が聞こえると思ったらライオンさんが人間の罠に!大丈夫ですか…?」トテトテ
ライオンの王「ぬぅ、無様なことこの上ないが…難儀している。貴様、この網を破ってはくれんか?我の爪は届きそうもないのだ」
子狐「うん、困ってるみたいだし助けてあg」
親狐「待ちなさい!目を離した隙にこんな所まで来て…余計なことをしては駄目よ!」タッタッタッ
子狐「えっ?どうして?ライオンさん困ってるしこのままじゃ狩人に…」
親狐「相手はライオンなのよ?きっと縄を解いた瞬間に私達に襲いかかってくるに違いないわよ、助けを求めていると見せかけてね」
ライオンの王「貴様…!我を愚弄するか!このライオン、そのような恥知らずな真似をする程落ちぶれておらぬわ!」グオォ!
親狐「ひ、ひぃぃ!ほらごらんなさい!早く逃げるわよ!」スタスタスタ
ライオンの王「ぐっ…しまった、助けを求めるはずが…!」
234: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)00:56:57 ID:ruY
数時間後
ライオンの王「……」ブラーン
ライオンの王(あれから誰も通らぬ…おそらくあの狐の親子が周囲に伝え回ったのだろう。奴等にとって我は天敵…仕方あるまい)
ザッザッ
コヨーテ後輩「ひょーっwww先輩ー!ライオンの奴マジで罠にかかってるッスわwww」マジウケル
コヨーテ先輩「狐が言って回ってたのはマジだって事かよwwwマジパネェwww」
ライオンの王「貴様らコヨーテの…我を笑い物にするために来たのか?暇な連中め」ギリッ
コヨーテ後輩「まぁそんな所ッスわwwwなんか狼の連中も死んでたし、これでようやく俺らの天下ッスね先輩www」
コヨーテ先輩「おうよwww長かったわー、王様ヅラしやがるライオンとクソ厄介な狼共が消えるまで長かったわーwww」
コヨーテ後輩「これからは先輩がこの森の支配者ッスよwwwキングッスよキングwww」
コヨーテ先輩「おいおいマジで?www俺マジで支配しちゃうよ?www」
アハハハハ スタスタ
ライオンの王「チンピラ共が…」チッ
ライオンの王(…だが当然か、我は今まで狐を食いコヨーテを虐げて生きてきた。当然恨みも買っている、我を救おうなどという酔狂な者などこの森には居はしない…皆、我が死す事で何らかの利があるのだからな)
ライオンの王「無様なものよ…王だ王だと言っておきながら危機を脱することもできず、この森には誰一人我の身を案ずるものなどいやしない…」
ライオンの王「この森の王だと思っていたのは我だけと言うわけか…」
235: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)01:01:05 ID:ruY
さらに数時間後
ホーホー…ホーホー…
ライオンの王(もう夜も更けた…だが以前状況は変わらぬまま…)
ライオンの王(おそらく夜が明け、陽が高くなれば狩人は罠の確認をするためにこの場に戻ってくる。その時が我の命尽きるときというわけか…)
ライオンの王(百獣の王が聞いて呆れる、あれだけ威張り散らして他の種族を見下し…その最期がこのような網の中なのだからな)
ライオンの王(我は…王などではなかった。ただの…狩人に捕らえられた無様な獣よ)
ライオンの王「だが…せめて散り際だけは威風堂々とあろう。無様に足掻いたりせず、不運に嘆いたりせず運命に身を任せ…素直に死を迎えよう」
ライオンの王「それだけが…今の我に出来る、王らしき振る舞いよ」
スタタタ
ネズミお嬢「諦めるのはまだ早いですわよ!ライオンのおじ様!」スタッ
ライオンの王「お前は…あの時、気まぐれで逃がしてやったネズミの娘か…?」
ネズミお嬢「そうですとも!遅くなって申し訳なかったですわ!少々町まで出かけてましたの。でも私が来たからにはもう大丈夫でしてよ!こんな網なんかカリカリかじってやりますわ!」
カリカリカリカリカリ ブチッ
ライオンの王「お前は…我を助けようというのか!?他の者共は我に見向きもしなかったというのに、何故だ…!」
ネズミお嬢「あら?もしかしておじ様お忘れですの?つい先日のことですのに」カリカリカリカリカリ ブチッ
ネズミお嬢「私、約束しましたわよ?必ずや恩返しをすると、今がまさにそのときなのですわ!」
236: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)01:04:27 ID:ruY
カリカリカリカリカリ カリカリカリカリカリ
ネズミお嬢「あーっ、アゴが疲れてきましたわ!でもこれで最後ですわよ!」カリカリカリカリカリ ブチッ
ドサッ
ライオンの王「…夢では無かろうか。もう絶望しかなかった、死を覚悟していたというのに…またこうして生きて大地の上に立つことができるとは…思わなかった!」スタッ
ネズミお嬢「それは良かったですわ!私もひとまず恩を返すことができて嬉しいのですわ!」フフン
ライオンの王「ネズミの娘よ…我はお前などとるに足らぬちっぽけな存在だと思っていた。お前を見逃し恩返しの約束をしたことすらも忘れていた、そんな事は不可能だと思っていたのでな…」
ライオンの王「だが…お前は我を救ってくれた。どうか礼を言わせてくれ、そして許してはくれんか…あの日お前を虐げたことを」ペコリ
ネズミお嬢「もう気にしてないのですわ!それより王様であるおじ様がペコペコしてちゃいけませんわよ!もっと威厳をこうガッと示して欲しいものですわ!」ガッ
ライオンの王「王…か、今となってはなんの意味もない言葉よ。我は王などではなかった、このような状況に陥ってようやくそのことに気づけたのだ」
ネズミお嬢「そうですの?」
ライオンの王「あぁ、我は自分がもっとも優れていると思っていたが…罠に捕らわれ何もできなかった。周囲の助けを得ることもできずに、王と呼ぶにはあまりにも無力だ」
ネズミお嬢「うーん、困りましたわね…私、そもそも恩返しをするためにおじ様の側近になろうと思っていたのですわ!そのためにわざわざ町の金持ちの家に行ってお嬢様言葉を学んできたのですわ!」
ネズミお嬢「なにしろ私、形からはいるタイプなのですわ」ドヤァ
ライオンの王「側近…か。気持ちはありがたいが我はもう恩を返して貰っている、それに何度もいうがもはや我は王では…」
ネズミお嬢「じゃあこうするのですわ!おじ様が王でないというのならば…いっそのこと本当に王様になっちゃいましょう!」
ライオンの王「王に…なるだと?この無様な我が、本当の意味での王に…?」
237: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/24(日)01:09:45 ID:ruY
ネズミお嬢「無様かどうかは知らないですけど、まぁそう言うことですわ!」
ネズミお嬢「私は全力でおじ様のサポートをしますわ!ですのでおじ様は全力で王になってくださいまし!全力で頑張れば何でもできる!ですわ!」
ライオンの王「……そうだな、今までの我は思い違いをしていた。だがそれに気づけた今、真の王者になることは可能か」
ネズミお嬢「そうですわ!おじ様がなりたい王様とはどんな姿なのかわかりませんけど、思い描く王様におじ様なら必ずなれますわ!」
ネズミお嬢「なにしろ私という側近がついているのですもの!」フフン
ライオンの王「一度は死を覚悟した身、死ぬ気で挑戦してみるのも一つの手か…だが、お前が我の側近になるというのは断らせて貰おう」
ネズミお嬢「ガーン!ここまで盛り上がっておきながら断るんですの!?」
ライオンの王「あぁ、側近は必要ない。ただ…お前さえよければ我が友として、王となる道を共に歩んではくれぬか?」
ネズミお嬢「もっちろん良いですとも!共にこの森の王様、目指しちゃいましょう!それでは誓いのハイターッチ!ですわ!」ハイターッチ
ライオンの王「うむ、よろしく頼むぞ小娘……いいや、お嬢よ」ハイターッチ
251: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)00:33:18 ID:WT7
・・・
ライオンの王「それからというもの、我は他の者を見下すのはやめた。体の大小や力の強弱は些細なこと、それに優劣を付けることなど愚かしいことだと悟った」
ライオンの王「とはいえ周囲から疎まれている我が本当の意味でこの森の王になるには長い時間と多くの苦労が必要だった…それでも森の皆の協力とお嬢の助力のおかげで我は名実ともに森の王になることができたのだ」
ネズミお嬢「そうですの!今となってはおじ様はこの森では誰もが認める王様でしてよ!」
ライオンの王「うむ、これが我々が経験してきた事柄。そしておとぎ話【ライオンとねずみ】の大まかな筋書きだ」
人魚の声『なるほどねぇ〜、小さなねずみでも大きなライオンを助ける力があるって事かぁ、いいおとぎ話じゃーん!』
ライオンの王「我にとっては気まぐれで与えたちっぽけな恩だったが…それは巡り巡って自分自身の命を救う結果になったのだ。それが我々のおとぎ話の教訓といったところか」
赤鬼「情けは人の為ならず…か。絶体絶命の危機から脱して更に信頼できる仲間に出会えて森を統治して…どこでどうなるかわかんねぇな」
赤ずきん「そうね。それにやっぱり本人に聞くと細かい心情や事情が知れて良いわね、私がおばあちゃんから聞いたおとぎ話では王様云々のくだりはなかったもの」
人魚姫の声『そーなんだ?おとぎ話の筋書きは私達の運命そのものだと思ってたけど、細かいところまで物語になってるわけじゃないのかねー?』
赤ずきん「推測だけど…おとぎ話の『物語』は私達登場人物の『運命の一部分』でしかないのでしょう。私の物語は『お使いの途中に狼に騙された一日』だけど、私の人生はその一日だけじゃないもの」
赤ずきん「おとぎ話の【赤ずきん】では触れられていないけれどそれまでだって私は村で生活していたわけだし、狼を退治した後だって私は村で暮らしていったでしょうしね。
おとぎ話として語られている部分が全てではないのよ」
ライオンの王「うむ、おとぎ話の世界という存在は我々もよく知らぬ。何故、現実世界で記された物語でしかない我々の世界が異世界という形で存在するのか?など…わからぬ事は多い」
赤ずきん「確かにそうね、現実世界でおとぎ話が忘れ去られればその世界は消える。逆になんらかの干渉でおとぎ話の世界が消えれば現実世界からその物語は消える…それも考えてみればおかしな話よ
二つの世界は互いにその影響を受けている、それなのにほとんどの人間は異世界の存在を知らない」
ライオンの王「おとぎ話の世界はどこから来て、なんのために存在し…そしてどこへ向かおうとしているのか?
我を含め、その事になんらかの答えを導き出している者は多くいるだろうが…その答えが正解かどうかは誰にも解らぬ、そもそも正解などというものがあるかどうかすらな…」
人魚姫の声『なるほど。あたしの頭じゃ理解しきれないってことはわかった』キリッ
ネズミお嬢「小難しい話はめんどくさくなるからやめて欲しいのですわ!」
ライオンの王「うむ…少々話がそれてしまったな。考え出せばキリがない話題だ、ここまでにしておこうか」
赤鬼「まぁあれだ、オイラも難しいことはよくわからねぇが…おとぎ話の世界と現実世界の関係って奴はまだまだわからねぇことがあるって事でいいじゃねぇか。それよりも…オイラは感動したぞ!ライオンにお嬢!」
252: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)00:37:33 ID:WT7
赤鬼「ライオンはこの森の誰もが認める王だってお嬢言ってたよな?」
ネズミお嬢「言いましたわ!以前は恐れられていたおじ様も今ではすっかり皆に愛される王様でしてよ!」
赤鬼「そこだ、お嬢が言う森に住む連中ってのは…肉を食う動物も草を食う動物もひっくるめてって事でいいんだよな?」
ライオンの王「うむ、この森では草食の者も肉食の者も協力して暮らしているのだ。この森の肉食獣…我もオオカミもコヨーテもこの森の草食獣を食うことは無くなった」
赤鬼「聞いたか赤ずきん!人魚姫!これってすごいことだぞ!?」バッ
赤鬼「本来野生じゃあ肉食獣は草食獣を食って生き延びる、食う側と食われる側の関係だ。だがこの森の奴等は違う!本来相容れることのない種族が協力して平和に暮らしてるんだ、すごいことだと思わねぇか?」
人魚姫の声『思う思う!つまりあれじゃん!あたしや赤鬼が目指してる異種族のキョーゾンって奴をさ、ライオンは既に実現させてるって事じゃね!?』
ライオンの王「君達も異なる種族の共存を目指しているのか?」
赤鬼「あぁそうだ!オイラは鬼と人間の、人魚姫は人魚と人間の共存を目指してるんだ。それは一筋縄じゃいかねぇって思ってたが…あんた達が草食獣と肉食獣の共存を果たしたってなら、オイラ達の夢にも希望がもてるってもんだ!」
人魚姫の声『そゆことそゆこと!ねぇ赤鬼、ライオンに詳しく話し聞けばさ、私達の夢をぱぱっと叶えちゃうヒントが見つかるんじゃね?』ヘラヘラ
赤鬼「おっ、そうだな!何しろライオンは異種族共存を成功させた言わばオイラ達にとっちゃ先人なわけだからな!色々と聞かせて貰うぞ!」ガハハ
ヘラヘラ ガハハ
ネズミお嬢「どうしますの?おじ様…なんだか盛り上がってますわよ?」
ライオンの王「うむ、妙な期待を持たせてしまっているな…悪いことをした」
赤ずきん「……」
253: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)00:40:20 ID:WT7
赤ずきん「赤鬼、水を差すようで悪いけど…喜ぶのは早いんじゃない?」
赤鬼「ん?どういうことだ?二人が嘘をついてるとは思えねぇし、事実だと俺は思うぞ!」
赤ずきん「だったらこの森の肉食獣は何を食べてるの?肉を食べないなら一体何を?」
赤鬼「そりゃあ肉を食わなくなったなら魚とか…木の実とかを食うようになったんじゃねぇのか?どうなんだ?」
ライオンの王「いや、魚はともかく我等は木の実を食って生きていくことはできん。赤鬼よ…少々誤解を与えてしまったようだが我々は今も変わらず肉は食うぞ」
赤鬼「いやいや、なんだそりゃ。草食獣は食わねぇってさっき言っただろ?」
ネズミお嬢「えぇ、食べませんわよ?『この森に住む草食獣』は…ですけど」
赤鬼「いやいや待て待て…その言い回しだと森の外の連中は食うって事にならねぇか?」
ネズミお嬢「えぇそうですわよ?丘向こうを餌場にしてるヤギの群れとか…あとは近くの村の家畜とかを襲って食料にしてますの。そういう狩り系はコヨーテ組の仕事ですわね、ちゃらいコヨーテが二匹いるんですの!」
ライオンの王「彼等は少々軽薄でゲンキンだが狩りの腕は信頼できる。あとは森を荒らす狩人を捕らえたときはそれも食らう。君達の目に我等は家畜や人を襲う害獣に映るかもしれんが…しかし我は王、皆を飢えさせるわけにはいかないのでな」
赤鬼「そ、そうか…そりゃそうだよな、食わなきゃ死んじまうんだからな…」
人魚姫の声『なーんだぬか喜びかー…やっぱりそう簡単じゃないんだなぁ…うん、少し先走っちゃったっぽいね、反省しよ』
ライオンの王「我は肉食獣と草食獣の共存に成功してはいるが…それはあくまでこの森の中だけでの話だ。すまないな赤鬼、君の期待を裏切ったようだ」
赤鬼「いや、オイラが勝手に舞い上がって勘違いしただけだ。こっちこそすまん」
ライオンの王「だが君の気持ちは分かる。我もお嬢に助けられてからというもの異なる種族が手を取り合うことの大切さに気が付いた。だがそれを実行するとなるとあまりに多くの壁が立ちふさがる。習慣の違いや食べるものの違い…等な」
赤鬼「そうだよな。赤ずきんと旅してるだけでも習慣の違いの多さに気がつくのに…多くの種族をまとめるとなるとそうなるよな…やっぱり容易い事じゃねぇんだなオイラ達の望みは」
254: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)00:41:47 ID:WT7
赤ずきん「そうよね、習慣の違い多いわよね。私はあなたが未だに平気で生肉を口にしてそれでいて体調を崩さないのが不思議でならないわ」
赤鬼「まだそれを言うか…いい加減慣れてくれねぇか?それを言うならお前だって頑なに着物を自分で洗おうとするじゃねぇか、まとめて洗っちまえば楽だってのに」
赤ずきん「それは種族云々よりデリカシーの問題よ」フイッ
ネズミお嬢「あんたらは年頃の娘と父親か!ですわ!」
ライオンの王「ふむ…赤鬼よ、我は君に少々興味が沸いた。我と同じく異種族が手を取り合うことを目指している君の事がだ。よければ話を聞かせて貰えないか?」
赤鬼「大した話は出来ねぇんだが…それでも良いならお安いご用だ。だがその後にあんたの話もきかせて欲しい。森の中だけとは言うが…それでも十分すごいことだと思うぞ」
ライオンの王「勿論、我の経験が君の夢を叶える糧となるのなら喜んで話そう」ノシノシ
赤ずきん「……ねぇお嬢、少し聞くけどこの森には近頃狩人は訪れるの?」
ネズミお嬢「めっきり減りましたわねー、私達が狩人を根絶やしにしたからかも知れませんわ!」
赤ずきん「ねぇ、あなた達が狩人を取り逃がした事って…あるのかしら?」
ネズミお嬢「そうですわねぇ…初めの頃はおじ様との連携がうまくいかず取り逃がしたりもしましたけど、息をピッタリあわせられるようになってからはそんな事も無くなりましたわね!」
ネズミお嬢「あんまり私達が狩人を殺すものだからこの森の動物達は危険だ!なんて言われてたくさんの人間が私達を殺しに来たこともありましたわねー…」
ネズミお嬢「まっ、森の皆で協力してそいつらも返り討ちにしてやりましたわ!」
赤ずきん「そう…強いのね、あなた達は」
・・・
255: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)00:45:27 ID:WT7
ライオンとねずみの世界 森の奥地 ライオン達の住処
ネズミお嬢「さーて到着ですわ!ようこそ私たちの住処へ!その辺のテキトーな所に腰掛けたらいいですわー」チョコン
人魚姫の声『へぇーっ、かなり奥まで進んだと思ったけど森の中には日が射す場所もあるんだねー。なかなかいい感じの場所じゃーん?』フワッ
赤鬼「そうだな、それにここなら狩人にだって簡単には見つけられないだろう。辺りには食べ物も豊富そうだし絶好の住処というわけだ」ドスッ
赤ずきん「まさに森の中の一等地ね。でもライオンは百獣の王…王様だもの、そう考えればこの素敵な住処も当然かしら?」ストッ
ライオンの王「我は住処などどこでも良いのだが…お嬢が妙なこだわりをもっていてな、ここにしろとうるさいのだ」
ネズミお嬢「おじ様はこの森を統べる王様ですのよ!それなりに立派な場所を住処にしていただかないと皆に示しがつきませんわ!」ペチペチ
ライオンの王「世間体を気にするなど人間のようだなお嬢は…王の価値はそのようなもので決まりはせぬと、我は思うが」
ネズミお嬢「だとしても!イメージってもんがありますわ!決まった寝床も持たずにあっちにふらふらこっちにふらふらしていては王の威厳もクソもありませんわよ!」
ライオンの王「それ程に拘る必要がある事とは思えんがな…まぁなんにせよ客人の前でする話ではあるまい。今は彼らの話を聞くことが先決だと我は思うが」
ネズミお嬢「うまく話をすり替えられた気がしますわね…でもまぁいいですわ!彼らの話を聞くためにここに案内したのですし!つっても道中でたらふく話した感ありますけど!」
人魚姫の声『あはは、お嬢はライオン相手に容赦なくものを言うんだねー。なんだかどんな相手にでもズケズケ言いたいこと言っちゃう感じが赤ずきんに似てるっぽくね?赤鬼もそう思うっしょ?』ヘラヘラ
赤鬼「いや、それはまさにお前だと思うが…。というか言いにくいことを平気で振ってくるんじゃねぇよ、後で大変なんだぞ」
赤ずきん「あら否定してくれないのね…それって赤鬼は私がズケズケものをいう空気読めない娘だと思ってるって事よね?」スッ
赤ずきん「そ、そんなことないぞ?ほらおかしな事言ってないでもう本題に入るぞ!ここに来るまでにいろいろ話したが、肝心なことは話せてねぇんだ。アリスのことや…シンデレラの事とかな」
256: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)00:48:32 ID:WT7
・・・
ネズミお嬢「なるほど!だいたい理解しましたわ!【不思議の国のアリス】というおとぎ話の主人公が他の世界に危害を加えていて、あなた方とそのお仲間はそれに立ち向かっているというわけですわね!」
ライオンの王「そして今、友を救うために敵の本拠地に赴こうとしている…という事だな。ならば我々に元に訪れたのは何らかの協力を願っての事か?」
赤鬼「おぉ、察しがいいんだな。ライオンの言うとおりだ」
ライオンの王「やはりそうか、それで…君達は我々にどのような協力を求める?先に言っておくが…この世界を離れてアリスとの戦いに参じてくれという頼みには応じられんぞ」
ネズミお嬢「おじ様の言うとおりですわね。その戦いが世界の命運をかけたものだとしても私達はこの森を離れるわけにはいきませんもの!」
ライオンの王「我はこの森の王。森に住む皆の平和を守る事こそが我々の願いであり責務なのだ、我もお嬢もここを離れることはできん…それでも問題のないというのなら、話を聞こう」
赤ずきん「えぇ、問題ないわ。私達は援軍を頼みに来たわけではないの。あなた達二人はどうしてそんなに息があっているのか、私はその秘密を教えて欲しい」
ライオンの王「…むぅ?どういうことだ?」
赤ずきん「以前、ブレーメンの音楽隊に聞いたの、あなた達二人はとても息の合っているコンビだと。そしてそれが真実だという事はさっきあなた達と戦って思い知ったわ」
赤ずきん「認めるには悔しいけれど…私達は何もできないまま捕らえられたものね。地の利も当然あったと思う、けれどそれ以上にあなた達の息のあった連携と作戦が勝敗を分けたのよ」
赤ずきん「今思えば…最初にライオンが私に飛びついたとき既にねずみのお嬢は私の鞄かポケットにでも潜んで機会を伺っていたんでしょう?私が攻勢に出たときにすぐに無効化できるように」
ネズミお嬢「お察しの通りですわ!おじ様は力強いですし戦いの流れを動かす力もあるのですけど…体が大きな分、猟銃や弓矢…遠距離武器相手だとちょっぴり弱いですの。だから私がくすぐって妨害しましたのよ!」
ライオンの王「うむ、遠距離武器をお嬢が封じ…その隙に我は力押しで戦いの流れをこちらに傾ける。だが赤ずきんよ、お主が思うほどこれは特別なことではないぞ?適材適所、各々の能力にあった役割を分担してこなしているだけだ」
257: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)00:49:49 ID:WT7
ライオンの王「体が大きく力の強い我が敵の注意を引き、力押しで優位を掴む。体が小さなお嬢は我が苦手とする遠距離攻撃を行う相手を妨害する、目立たぬ彼女ならば隠密行動もお手の物だ」
ライオンの王「森の皆も同様だ。コヨーテやオオカミは借りをするが草を食う者だって働いている。魚を穫れるものは魚を、住処を作るものが得意なものは住処を、進んで狩人の気を引く囮をかってでる猛者もいる」
ネズミお嬢「みんなが各々やれることをやって協力してるのですわ!」
人魚姫の声『なるほどねー、でもそれはそれにしてもさっきの戦いはすごかったと私も思うけどなー』
赤鬼「ああ、戦い慣れしてたな。罠への誘導なんか自然だったから気がつかなかった」
ネズミお嬢「いままで大勢の狩人と戦ってきて学んだノウハウですわね、けれどおじ様が言うように私達はとりたてて特別なことをしているわけでもないですわよ?」
赤ずきん「言葉にするのは簡単だけど、それを実際に戦いに取り入れて結果を出しているというのはやっぱりすごいとおもうわ」
赤ずきん「特別なことはしてない…なんて言うけれど、なんの努力もしていないというわけではないのでしょう?」
ライオンの王「うむ、まぁ…それはそうではあるが」
ネズミお嬢「この森を守るために戦い方をいろいろ研究したり特訓したりもしてますものね!いかに連携をうまくとって勝利を掴むか、なにしろ相手は動物殺しのプロですものね!」
赤ずきん「そのプロ…狩人達をあなた達は追い返し続けた。それで、お嬢が言うには今はもうそんなに狩人は姿を見せないのよね?」
ネズミお嬢「えぇ、そうですわね」
ライオンの王「我等を捕らえることはもはやあきらめたのであろうな」
赤ずきん「平然と言ってるけど…それって相当よ?だってそれは、あなたたちが村や町の人間達に恐れられているってことでしょう?」
258: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)00:55:19 ID:WT7
人魚姫の声『そーいうもんなの?陸の上のことはよくわからないけど』
赤ずきん「森へ踏み行った狩人が帰ってこなければ当然騒ぎになるわ、そしてそれが何度も何度も続けば…その森に恐ろしい獣がいるってなって、討伐する流れなるのよ。普通はね」
赤鬼「まぁ…そうだな。オイラが生まれた鬼の村でも近くの山に相当凶暴な熊が出たって時は大勢で熊狩りをしたもんだ、ほっとけば被害が大きくなる一方だからな」
ライオンの王「あぁ、確かに以前大勢の人間が押し寄せてきたことがあったな?お嬢」
ネズミお嬢「ですわね、そのことは赤ずきんに話しましたわよ!」
赤ずきん「そしてそれさえもあなた達は追い払った…為すすべがなくなった人間達はもう諦めてこの森に近づかない事にしたのね」
赤鬼「そりゃあ罠も銃もかわして逆に狩人を捕らえるような連中、相手にするってのもなぁ…逆に被害がでかくなっちゃしかたねぇし、さわらぬ神に祟りなし。適わないなら寄らないようにしたほうがいい」
ネズミお嬢「まぁこの結果は当然ですわ!私とおじ様は最強のパートナーですもの!狩人なんかドス!ドシャッ!ザクッ!もぐもぐ!ですわ!」
ライオンの王「我等が力を合わせて戦った結果、狩人達をあきらめさせることが出来たのならば、そこは誇らしく思っても良いのだろうな」
赤ずきん「こういう言い方は良くないかも知れないけど…やっぱり野生の動物たちよりも銃を持った人間の方が基本的には優位よ」
赤ずきん「でもそれをものともせず戦い、あなたたちが勝利を収めることが出来たのは…やはり戦術と息のあった連携」
ライオンの王「なるほど、我には君が何を求めているのかわかったぞ赤ずきんよ」
ネズミお嬢「私もですわ!」
赤ずきん「それなら話が早いわ。あなた達の見事な戦略、そして息のあった連携プレー…特にその立ち回り、それを私に教えて欲しい」
赤ずきん「あなた達二人の阿吽の呼吸の秘密を…いいえ、あなた達がそこまでの連携をとるためにどのような努力をしたのか教えて欲しいの」
赤ずきん「アリス達を打ち倒し、シンデレラを救うために…私に必要なのはそういった力よ」
259: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/04/27(水)01:00:17 ID:WT7
今日はここまで 『作者』編 次回へ続きます
短いスパンでこまめに更新できたら…いいなぁ(願望)
次回、赤ずきん達の場面は終わり舞台は裸王の城へ
仲間に久し振りに出会うドロシーの髪をとかすのは…お姉ちゃんっぽい妹のあの娘です。次回、お楽しみに
273: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)00:44:24 ID:2zx
ライオンの王「君が欲しているものは理解した。だが筋力や射撃の技術ではなく、敢えて連携を重要視する理由はなんなのだ?」
赤ずきん「知っての通り私の武器はマスケット。狩りに使うのならいざ知れず…戦いの場では銃口の先にいるのは敵だけではないのよ」
ライオンの王「ふむ、確かに…仲間と共闘するのならば銃を扱う君は必然的に後方支援の役割を担う。仲間と連携が取れねば援護射撃をしても十分な成果は得られぬだろう」
赤ずきん「成果を得られないならまだしも敵を狙った銃弾が仲間の背を貫くようなら…戦場に赴かない方がずっとマシよ、でもそういうわけにはいかない」
赤ずきん「私の仲間には力自慢の王様や日ノ本の侍のように接近戦を得意とする者が多いの、赤鬼もそう。だから遠距離から支援できる私がうまく立ち回れれば彼らはずっと優位に戦える」
赤ずきん「共闘の場だと私は自ら勝利を掴むよりも仲間の勝利を後押しする方が向いている。その役目を満足にこなすには筋力や技術よりも仲間との連携の方が必要だもの」
ライオンの王「うむ、いいだろう。君が自らの持ち味を理解し、それが最善だと考えるのならば我は君に力を貸s」
ネズミお嬢「ちぇぇーっい!!」バシッ
人魚姫の声『はぁっ!?お嬢がライオンの顔叩いた!?えっなに?どゆこと!?』
ライオンの王「ぬぅ、お嬢…いきなり何をするのだ」
ネズミお嬢「申し訳ないですけどちょっとだけ相談タイムを頂きますわよ!」
赤ずきん「えぇ、構わないわ。あなた達にも都合があるでしょうし」
ライオンの王「しかしお嬢、何も相談などする必要など…」
ネズミお嬢「何を気楽なことを!いいからちょっとあっちでお話ししますわよ!」
トテテテ
274: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)00:47:57 ID:2zx
・・・
ネズミお嬢「まったく!おじ様はこの森の王様ですのよ!?あんなふうに安請け合いされては困りますわ!」プンスカ
ライオンの王「何を言う、協力を求める者に手を貸すのに立場など関係あるまい。それに我には『所詮は少女の言うことだ』などと一蹴するなどできぬ、あの覚悟が宿った瞳を見ればな」
ネズミお嬢「御託はどーでもいいのですわ!私にだってあの子が本気だってことぐらいわかりましてよ!問題は何を優先するかですわ!」
ネズミお嬢「あの子達に協力するとなれば私達はそっちに手を取られますわ…そうなればこの森の防衛や家畜狩りが疎かになるのではなくて!?」
ライオンの王「その心配はあるまい。家畜狩りはコヨーテ達に任せて問題ないだろう、森の防衛もリスやウサギに見張りを強化して貰えば十分だ。それとも皆が信用できないと?」
ネズミお嬢「ぐぬぬ、おじ様はあくまであの子達に協力するつもりですのね!?」
ライオンの王「人間に心を許すつもりはないが、彼女等は我々と同様におとぎ話の主人公だ。協力する理由はそれで十分だろう、お嬢は…そうは思えないのか?」
ネズミお嬢「私の個人的な想いとしては…まぁ赤ずきんの気持ちはわかりますわ。私が非力なねずみであるように彼女も非力な女の子、それを覆すために努力をしている点は共通してますし…」
ネズミお嬢「本音を言えば協力はしたいですわ。けれど私が優先すべきはこの森の皆の幸せと安全な生活、彼女には悪いですけど皆を天秤に掛ければどちらが重いかなんて一目瞭然ですもの」
ライオンの王「それは我とて同じ。だが…思い出さんかお嬢?我とお前が協力して森を守ろうと決めた当初、それはもうひどい戦いぶりだったな。連携も何もあったものではなかった」フフッ
ネズミお嬢「あー…あの頃はお互い何度も死にかけましたわね。全ッ然息があわずに無駄に怪我とかしましたし、ぶっちゃけ『なんで私の考えわからねぇんですのこのおっさん!』とか思ってましたわ!まぁ多分お互い様ですけど」
ライオンの王「まぁ…否定はせぬ。だが今は違う、外の世界にまで評判が届くほど我等の息はあっているらしい」
ライオンの王「ならば手を貸そうではないか。彼等が歩む道は我々が歩んできた道だ、今の我等ならその手を引くことが出来るのだからな」
ライオンの王「我はこれまで多くの者に助けられ生きてきた。故に我が助ける立場に立ったとき、必ずや手を尽くすと決めているのだ。これはお前に助けられた経験で学んだことなのだ、お嬢よ」
ネズミお嬢「むぅ、まぁ…いいですわ!森の皆は守る、あの子達の協力もする…ちょっと大変そうですけどやってやりますわ!この私とおじ様のコンビに不可能などありませんもの!」
275: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)00:50:10 ID:2zx
・・・
ネズミお嬢「というわけで!協力して差し上げるということで意見がまとまりましたわ!」
赤ずきん「そう、断られたらどうしようかと思っていたわ。ありがとう、ライオンにお嬢」ニコッ
ネズミお嬢「今回は特別ですわ!本当は人間に手を貸したりなんかしないんですけど…おとぎ話の主人公のよしみですわ!感謝せよ!」
人魚姫の声『あはは、ドヤ顔じゃんお嬢ー。でもやったじゃん赤ずきん、これでシンデレラ救出に一歩近づいたくね?』ヘラヘラ
ライオンの王「ただし、誰とでも連携が取れるように…というのは難しい、時間が足りなすぎる。そもそも我等はそこまで器用ではない」
ライオンの王「故に赤ずきんと赤鬼、加えて人魚姫の連携を強化する事を重視する。それで構わないな?」
ネズミお嬢「つってもそこ完璧にしとけば赤鬼達以外の相手でもある程度の意志疎通は出来ると思うのですわ!」
赤ずきん「えぇ、異論はないわ。無理を言っているのはこっちだもの、それで十分よ」
赤鬼「となるとオイラも他人事じゃねぇなぁ。まぁハナからそのつもりではあったけどな」
ライオンの王「うむ、だが君にとって無駄なことではあるまい。人間との共存を望むのならば一人の人間とより深く付き合うというのは案外大切なことだと思うぞ」
赤鬼「あぁ、そいつぁ違いねぇ。よぉし、ひとつ気合い入れねぇとな!」
赤ずきん「えぇ、私は…私達は必ず新たな力を手にして戦いに臨む。時間は限られているけど、必ず結果を出してみせるわ」
人魚姫の声『ちょっと気負いすぎ気負いすぎー!まぁあたしに出来ることなんか知れてるけど、なんでもやってあげっからさ!あんま気負わずにいこーよ』ヘラヘラ
ネズミお嬢「そうと決まれば私のことは教官と呼んでいただきますわ!超絶スパルタでビシバシ鍛えてやるから覚悟しておけ!ですわ!」
276: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)00:52:28 ID:2zx
場面は変わり…
裸の王様の世界 裸王の城 客間
司書「うふふっ、ドロシーちゃんはとても髪の毛が綺麗だね。クシに絡まないし、お手入れが行き届いてるのかな」サラサラ スッスッ
ドロシー「そ、そんなことないです!本当に何もかも自己流ですし最近はちゃんとお手入れも出来てなかったしあの、その…!」アワアワ
グレーテル「……」ムシャムシャ ジーッ
司書「はいっ、出来上がり。こんな感じでどうかなドロシーちゃん?可愛く結えてると私は思うけど…どう?」スッ
ドロシー「じゅ、十分すぎるくらいです!カンザスを離れてから自分で結ってたけどうまくいかなくて…こんなに可愛く結って貰えて嬉しいですっ!」アワアワ
司書「うふふっ、それは良かった。久しぶりにお友達に会うんだからおしゃれしなきゃね、女の子だもの」フフッ
ドロシー「あわわ…あの、ごめんなさい、ヘンゼル君のお姉さんとは初対面なのに髪まで結って貰って…本当すいません」ペコペコ
グレーテル「……」モグモグ ジーッ
司書「もう、ドロシーちゃんは謝るようなことしてないんだから。申し訳なさそうにしてるより笑顔の方が優しいけど強い心を持った【オズの魔法使い】のドロシーちゃんらしいよ?」ウフフ
ドロシー「そ、そんな事無いです…!私なんかより、あの、お姉さんの方がずっと綺麗で…優しくて綺麗なお姉さんって憧れちゃいます!だから、あの、ヘンゼル君が羨ましいですっ!」
司書「なんだか照れるなぁ、でも私はヘンゼルのお姉ちゃんじゃ無いの。むしろ妹かな」クスクス
ドロシー「えっ、そ、そうなんですか…?でも、妹ってグレーテルちゃんだけじゃ…?」
グレーテル「……」パクパク ジーッ
司書「うふふっ、ちょっと複雑な事情があるというか…それよりグレーテルもこっちにおいで。髪の毛、可愛く結ってあげるから」
グレーテル「……私、いい。お千代ちゃんはその人の髪の毛弄ってればいいよ……」プイッ
277: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)00:56:16 ID:2zx
司書「もう、グレーテルったらどうして拗ねてるのー?」ウフフ
グレーテル「…拗ねてなんか無いよ…裸王様に貰ったお菓子食べるのが忙しいだけだよ…私のことなんかほっとけばいいんだよ…」サクサク
司書「もう、そんな事言って…もうすぐヘンゼルも帰ってくると思うよ?ご機嫌ななめのグレーテル見たらきっと心配すると思うけどなぁ?」
グレーテル「別に…少しは心配すればいいんだよ…。お兄ちゃんはもうちょっと私のことを気にするべきだよ…だからこれはやけ食いなんだよ…」プイッ モシャモシャ
司書(もぅ、兄妹の事になると強情になっちゃうのはヘンゼルと同じだなぁ…)
ドロシー「あ、あの…グレーテルちゃんなんだか機嫌悪いですね…わ、私のせいでしょうか…?」オドオド
司書「うーん…ドロシーちゃんが気にすること無いと思うなぁ、ちょっぴりやきもち焼いてるかもしれないけど」フフッ
ドロシー「わ、私がお姉さんに髪の毛を結って貰ったからですか?」
司書「それもあるかもだけど…ヘンゼルが自分に内緒で危ないことしようとしてることが原因の一つかもね…」
ドロシー「あっ…もしかしてヘンゼル君、アリスちゃんと戦うことをグレーテルちゃんに言ってなかったんですかね?」
司書「うん、私もグレーテルも…ヘンゼルがアリスちゃんと戦うってことは裸王様から聞いただけで、本人とは全然話せてないんだよ」
司書「何日か家を空けたと思ったら急に戻ってきて…それで半ば強引にこの世界へ一緒に来たけど、詳しいことは後で話すから待っていてって言ってまたすぐどこかへ行っちゃったし…」
ドロシー「あっ…それじゃお姉さんもグレーテルちゃんも心配ですよね、ヘンゼル君の事…」
司書「心配は心配だけど、ヘンゼルが自分で決めたことなら私はそれで良いと思ってる。自分を守るだけの魔力はあるし、どんな危険な戦いだとしても私達を残して死んじゃうような無茶は…しないと思うんだ」
ドロシー「そうなんですか…?」
司書「うん、ヘンゼルも知ってるから。死んでしまえば残された家族がどれだけ辛い思いをするかって事をね」
278: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)00:59:30 ID:2zx
司書「だから私は怒ったり不安になったりしないけど、グレーテルは特にお兄ちゃん子だからなぁ…」
司書「怒ってるっていうよりも、他の事ならともかくアリスちゃんと戦うなんてすごく重大なことなのにヘンゼルが自分に話してさえくれないっていうのが悲しいのかも。それと同時にお兄ちゃんの力になれない自分が許せないのかもね」
ドロシー「とってもお兄ちゃん想いなんですね…私よりも年下なのに立派だなぁ…」モゴモゴ
司書「うふふっ、でもいつもはここまでふてくされたりしないから…もしかしたらあんな風に拗ねてるのは他の原因かもしれないなぁ?」ウフフ
ドロシー「他の原因…ですか?」
司書「うん、大好きなお兄ちゃんが可愛いガールフレンドを連れてきたからやきもち妬いてるんだよ、きっとね」クスクス
ドロシー「えぇっ!?ち、違いますよ!私はヘンゼル君と知り合ったばかりで友達って呼べるほどでもないですし、あと可愛くもないですし!お姉さんが思ってるような感じじゃ…無いです!」アワアワ
司書「そうなの?ヘンゼルが女の子の友達連れてくるなんて今まで無かったから、私てっきりそういうことだと思っちゃったなぁ」ウフフ
ドロシー「あわわ…からかわないでくださいよぉ…!」
スタスタ
グレーテル「聞こえちゃったよ…お千代ちゃん…女王様みたいな事言ってるけど…そんな事あり得ないよ…」ゴゴゴゴ
司書「もぅ、グレーテルったら…ちょっとした冗談だよ。だからそんなに怖い顔しないで、ねっ?」
グレーテル「冗談にはね…言っていい冗談と駄目な冗談があるんだよ…」
グレーテル「その人がお兄ちゃんのガールフレンドだなんて…有り得ないよ。だからそれは…言っちゃ駄目な方の冗談だよ…」
279: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)01:01:25 ID:2zx
グレーテル「【オズの魔法使い】のドロシー…ちゃんだったっけ……?」
ドロシー「は、はいっ!そうです…!」ビクッ
グレーテル「今のお姉ちゃんの冗談……まさか本当だったり…しないよね…?」
ドロシー「し、しないよ!あ、あのね、グレーテルちゃん。私、ヘンゼル君とはそういうのじゃなくて…ただの仲間!仲間だよ!」
グレーテル「…知ってる。だってお兄ちゃんにガールフレンドなんか必要ないもん…」
グレーテル「…そんなのいらないんだよ…だってお兄ちゃんには私がいるもん。だからお兄ちゃんは私の側にいてくれればいいんだよ…友達なんか必要ないんだよ…」
ドロシー「あ、あの…えっと…」
グレーテル「絶対に…あり得ないことだけど……もしも私の大切なお兄ちゃんを奪うっていうなら…私は絶対にその人を許さないよ…?ドロシー…ちゃんもそうだよ?」
グレーテル「だから約束、してね?お兄ちゃんに手を出さないって…」
ドロシー「…う、うん。大丈夫…」
グレーテル「それならいいんだよ…でも、もし約束破ってお兄ちゃんのこと私から奪っちゃったりしたら……その時は」
グレーテル「かまど……だからね?」
280: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)01:02:45 ID:2zx
グレーテル「…言いたいことは…それだけだよ…」フイッ
スタスタ チョコン
グレーテル「……」モグモグ
司書「もう…ごめんねドロシーちゃん、ビックリしたよね。後でちゃんと話しておくから、グレーテルのこと嫌いにならないであげてね?」
ドロシー「だ、大丈夫です…ちょっとびっくりしましたけど…それだけお兄ちゃんに事好きって事ですから。あっ、でも…グレーテルちゃんが言ってた『かまど』ってどういう意味なんですか…?」
司書「……」スッ
ドロシー「えっ、えっ!?なんで目をそらすんですか!?そんなに恐ろしい意味があるんですか…?」
司書「……あのね、グレーテルがああいうときに使う『かまど』っていうのは…その、なんというか…言いにくいんだけど……『お前をかまどに押し込んで殺s」
コンコンッ
筋肉質兵士「失礼いたします!こちらにドロシー様はいらっしゃいますか?」マッチョ
ドロシー「あっ、はい!わ、私です!」
筋肉質兵士「ご友人が別室でお待ちです。準備が整い次第そちらへ向かって欲しいとの事!準備が整いましたら声をおかけください、私が部屋までご案内いたします!」マッチョ
ドロシー「あっ…そ、それならもうお願いします!準備できてますから!」アワアワ
筋肉質兵士「そうですか!ではこちらへどうぞ!」マッスル
ドロシー「あ、あのお姉さん!お話の途中なのにすいません!皆のこと気になっちゃって…すいません!それじゃあ…私、行ってきます!」ドタドタドタ
司書「うん、気にしないで。それじゃあまたね、ドロシーちゃん」ウフフ
281: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)01:07:12 ID:2zx
司書「…でもあんなに慌てて大丈夫かなドロシーちゃん、途中で転んだりしなきゃいいけど…。それより…」
スタスタ
司書「もう…グレーテル?あんな態度とっちゃ駄目でしょう?」
グレーテル「…知らない」プイッ
司書「こーらっ!いつまでも拗ねてないのっ!ほら、思ってること全部聞いてあげるよ。言ってみて?」ペチッ
グレーテル「…私はお兄ちゃんに側にいて欲しいだけなのにいっつも無茶してる…今回だって私に何も言ってくれないし…」
グレーテル「私は魔力もないし魔法使うと頭の中ふわふわしちゃうし…戦いに向いてないのはわかってるけど…話くらい聞けるのに、お兄ちゃんは私を頼ってくれない…それが悔しいよ」
グレーテル「お兄ちゃんが私のこと大切にしてくれてるの知ってる。でもそれは私だって同じなのに…私にはいっつも何もさせてくれない。私も一緒に戦う覚悟、出来てるのに…」
司書「うーん…私はどっちの気持ちも分かるからどっちかの味方はできないなぁ…」
司書「でもグレーテルがそう思ってるならヘンゼルに一度ちゃんと話そう?ヘンゼルが居ないところでいくら話しても伝わらないから」
グレーテル「そうする…いつもなんだかんだで私が思ってること、お兄ちゃんに伝えられてないから…」
司書「うん、ヘンゼルもきっとちゃんと話せば聞いてくれるよ。あとそれともう一つ……」
グレーテル「何かな…?」
司書「ヘンゼルのこと大好きなのはわかるけど、ドロシーちゃんちょっと怯えてたよ?もうあんな風に言っちゃ駄目っ!それにかまどっていうのも禁止!わかった?」
グレーテル「かまどはかまどだよ…私の大切なお兄ちゃんを奪う奴は誰であろうとかまどだよ…そこは譲れない…」
司書「もう…じゃあせめて口には出さないようにしよう?他の人は意味分からないと思うけど、私やヘンゼルからしたらただの殺意だってわかるんだからね?」
グレーテル「……一応、気をつける」フイッ
282: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/01(日)01:12:19 ID:2zx
裸王の城 応接間前の廊下
筋肉質兵士「ドロシー様、到着いたしました。ここでご友人がお待ちです」マッスル
ドロシー「あっ、ありがとうございました。案内していただいて」ペコペコ
筋肉質兵士「いいえ、任務ですから!では私はこれで!」マッスル
ドロシー「……スゥーハァー。うぅ、この扉の向こうに皆がいるのかな…どんな顔して会えばいいのかな?私のせいで皆離ればなれになっちゃったんだし…」
ドロシー「あぁ…どうしよう、何を話したらいいんだろう…まず謝って…かぐやさん達によくして貰ったから辛くなかったよって話して、不安がらせないようにしなきゃ、きっと心配してくれるから…」
ドロシー「それからえーっとえーっと…」オロオロ
ガチャッ
裸王「マーッスルッ!このようなところで何を悩んでいるのかね?ドロシーよ!」マッスル
ドロシー「あっ、裸王様…!あぁ、すいません!私ったらみんなを待たせてしまって…!」アタフタ
裸王「なぁに!気にすることはないぞ!声が聞こえたのでな、入りづらく思っているのではないかと心配して出向いただけだ!」ハッハッハ
ドロシー「うぅ…すいません、なんだかいざとなると勇気が出なくて…」
裸王「むぅ?おかしな事を言うのだなドロシーは?」マッスル
ドロシー「そ、そうですか?わ、わたし勇気無いから…」オドオド
裸王「そもそも友と会うのに勇気など必要あるまい!」
裸王「友に会うのに必要なのは笑顔だけだ!不安なら練習するかね?さぁ私に続いてドロシーもやって見たまえ!せーのっ、マッスルスマーイルッ!」ニカッ
ドロシー「は、はいっ!ま、まっするすまいるーっ…」ニコッ
裸王「うむ!良い笑顔だ!皆、君に会えるのを心待ちにしているぞ!さぁ行こうではないか!」
ガチャッ
314: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/09(月)00:43:31 ID:au0
裸の王様の世界 裸王の城 応接間
ライオン「うわあぁぁぁ!ドロシーちゃああぁぁん!」ガバッ
ドロシー「ひゃあっ!」ドテッ
ライオン「あぁ!ご、ごめん…!あんまり嬉しくてついつい飛び出しちゃった…そりゃ僕みたいに図体だけ無駄に大きな奴が突然出てきたらビックリするよね、ごめんね驚かせちゃって…大丈夫?」アセアセ
ドロシー「ううん。ちょっと驚いただけだから平気、それより元気そうで良かった…会いたかったよライオンっ!」ギューッ
ライオン「うん、うん…!僕もだよ、ドロシーちゃんにまた出会えて本当に良かったよぉ〜。もう皆には二度と会えないかと思ってたもん」スリスリ
ドロシー「私もだよ…でもこうしてまたライオン達に会えたのはヘンゼル君のおかげだよ。後でたくさんお礼をしなきゃだね」グスングスン
ライオン「そうだよ、そうだよねぇ。ヘンゼル君が手を貸してくれなかったら僕、ここに来る方法無かったもん。感謝してもしきれないくらいだよぉ〜、後で一緒に行こうね?」
かかし「おウ、ヘンゼルに礼をするってんなら俺もつきあうゾ。俺もあいつには世話になっちまったからナ」スタスタ
ドロシー「かかしっ!かかしも無事みたいで良かった…!」ウルッ
かかし「あァ、どうにかピンピンしてるゼ。お前こそ大きな怪我も無いみてぇだナ、まずは一安心ってところダ」
ドロシー「うぅ…良かった、良かったよぉ。実はかかしだけはもしかしたら無事でいられないかもって思ってて…」ボロボロ
かかし「泣くナ泣くナ!まぁブリキやライオンと違って俺は脆いからなァ、容易く壊せるし簡単に燃えちまウ。痛みも感じず疲れもしない身体だガ、実際は生身のドロシーよりもずっとずっと脆いからナ。なんたって俺はワラで出来たかかしダ」ハハハ
ドロシー「もぅ笑い事じゃないよ〜…」グスングスン
かかし「まぁいいじゃねぇカ、結局こうして無事でいられたんダ。確かに災難だったけが俺やライオンは飛ばされた先に恵まれてタ、さほど苦労も無かったしナ」
ライオン「そうだねぇ、でも…僕達は無事だったけど…ブリキはちょっと無事とは言えないよねボロボロだし…僕、仲間なのに何もしてあげられなかったよ…」ショボーン
かかし「仕方ねぇヨ、気の毒には思うが…ありゃあほとんど自業自得ダ。だがドロシー、早くあいつに元気な顔見せてやりナ。お前のことを一番心配してたのはあいつだろうしナ」
ライオン「うんうん、こっちに来ないのは今回のことが自分のせいだって思ってるからじゃないかなぁ?そんな事気にしなくて良いのに…ドロシーちゃん言ってあげてよ、気にしなくていいよって」
ドロシー「う、うん!私、行ってくる!」タッタッタッ
315: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/09(月)00:45:17 ID:au0
ドロシー「ブリキっ!」タッタッタッ
ブリキ「ドロシー…悪かった、苦労をかけてしまった」ギシッ
ドロシー「い、いいよそんなの!ブリキも大変だったみたいだし…」
ドロシー「あうぅ…ヘンゼル君から聞いてはいたけどひどい怪我…!こんなになるまで無理しちゃ駄目だよ!もう誰もブリキのこと直せないんだよ?魔法の靴は奪われちゃったし…」
ブリキ「…問題ない、自分の意志でやったことだ。それにこれは怪我じゃない、破損…そう呼ぶのが適切だ。俺の身体は生身じゃないから怪我なんて言い方は適切じゃあない」ギシッ
ドロシー「またそんな事言って…いくら痛くなくて血も出ないって言ってもこんなにボロボロだったらそれはもう怪我だよ!」
ドロシー「聞いたよ?ブリキはなんとかして別世界へ渡ろうとしてたんだよね。その手段を見つけるために街で大暴れして…それでそんな怪我をしちゃったんだよね?私達を助けるために…」
ブリキ「…その通りだが、この破損は自業自得だ。今思えば…裸の王にも迷惑をかけてしまった、だがお前たちが心を痛める心配など一切ありはしない、全ては俺の責任だ」ギギッ
ドロシー「そ、それは裸王様達にちゃんと償いしなきゃだけど…でも私達を助けるためにやってくれたって事は本当でしょ?そんな言い方は寂しいよ…」
ブリキ「…これは俺の身勝手な行動の結果だ。アリスに利用されることを選んだのも俺ならば、薬に侵されたお前を放置していたのも俺だ。お前を救おうとした結果、ひどく傷つけてしまったのも俺だ」
ドロシー「で、でも…」
ブリキ「その結果、かかしやライオンを裏切り…お前に容易く拭えないほどの大きな汚名を着せた。挙げ句、アリスに見限られて皆が別々の世界へ飛ばされた。仲間を傷付け離散させた責任は全て俺にある」
ドロシー「そんなことないよ!私だって何にも気づかずに悪い夢だと思ってたし…ブリキ一人のせいなんかじゃないよ!」
ブリキ「…お前の言葉はいつだって優しい。長く厳しい旅の途中、それに救われたことも奮い立った事も数えきれない程だ。だが…」
ブリキ「今回ばかりはお前の優しさに甘えることは許されない。今の俺はお前に優しくして貰う資格などありはしない」
316: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/09(月)00:46:26 ID:au0
ドロシー「そんなことないよ!仲間でしょ!ブリキはちょっと方法を間違えてただけだよ、かかしもライオンもそれに私だって気にしてないよ!運が悪かっただけ、そうでしょ?」
ブリキ「運は確かに悪かった。だが俺がもっとうまくやっていれば…こんな事にはならなかった。俺が選択を間違えなければ…お前を苦しめずに済んだはずだ」
ドロシー「誰が悪いとか悪くないとかじゃないよ…ブリキの悪いところはいっつもそうやって自分独りで抱えるところだよ!昔っからそうだもん…そりゃあ私はあんまり頼りになんないけど…」
ブリキ「そうじゃない。問題を解決するにあたって苦痛な出来事があったとしても心の無い俺なら無傷で済む、それだけの話だ」
スタスタ
かかし「なんか穏やかじゃねぇナと思って来てみりゃあ案の定かヨ…」
ライオン「心配した通りだよぉ…皆がこうして揃ったんだから素直に喜んじゃ駄目なのかなぁ?僕は喜んでいいと思うんだけど…」
ドロシー「かかし、ライオン…!二人も何か言ってあげてよ、ブリキは全部自分が悪いって言ってて…でもそんなことないよね?」
ライオン「もちろんだよぉ、誰が悪いとか話したって仕方n」
かかし「何言ってんだドロシー、今回の件は全部ブリキのやり方が悪かっタ。それは間違いねぇだロ」
ドロシー「ちょ、ちょっとかかし…私が言って欲しかったのはそういう事じゃなくて…もっとフォローして欲しくてあの…」アワアワ
かかし「なんだフォローっテ、傷の舐め合いに意味なんかねぇヨ。俺達にも非はあったけどヨ、基本こいつが独りで解決しようとして失敗したせいでこんな事になっちまっタ。それは揺るぎない事実だろうガ

ドロシー「で、でも…私達ずっと一緒に旅してきた仲間なんだよ?ブリキだけを責めるなんて冷たいよ…そんなの友達のすることじゃないよ…」
かかし「俺はそうは思わないゾ?仲間だからこそ悪い事は悪いって言うべきだろうガ、ブリキが言うようにもっとうまク…そうだナ、俺やライオンに相談してくれりゃあもっとマシな結果になったかも知れねぇだロ?」
ブリキ「…お前の言うとおりだ。相談すべきだったな」ギシッ
かかし「なぁブリキ、俺達はこれからも旅を続ける仲間なんだからよォ。また独りで突っ走ってそのたびにこっちが割を食うのはごめんだゼ?」
317: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/09(月)00:48:02 ID:au0
ライオン「うんうん、僕達はこれからも一緒だもんねぇ。僕臆病すぎてアレだけど、相談くらいには乗れない気がしないでもないから次はちゃんと話してくれても大丈夫だよ、多分…」
ブリキ「…解った、今後はそうしよう」
かかし「まぁ俺ももう昔みてぇな無能じゃねぇからナ、頭数にはなれるゼ」
ドロシー「でも私びっくりしちゃった、かかしがあんまり冷たい言い方するからブリキのこと許さないのかと思っちゃったよ…」オドオド
かかし「まぁ色々と言いたいことはあるがナ。そもそも俺達は普通じゃない集まりなんだからイザコザがあって当たり前くらいに考えてた方がいいんだヨ」
ライオン「そうだねぇ、ブリキの身体の木こり、喋って動けるかかし、魔法の靴の女の子…今はその靴ないけど。あとライオンの癖に勇気がなくて臆病で役に立たない僕、確かに珍しい組み合わせだよねぇ」
ドロシー「そ、そんなに卑下しなくてもいいのに…」
ブリキ「そうか…しかし、構わないのか?俺はあれだけのことをしでかした、それでもお前たちは俺を仲間だと言ってくれるのか…?」
かかし「だからそう言ってるじゃねぇカ、前となんも変わりぁしねぇヨ。その代わり俺がなんかしでかした時は大目に見てくれヨ?」ハハハ
ライオン「あ、僕も…!一番僕がやらかしそうだから…その時は目をつぶって欲しいなぁ…」チラッ
ブリキ「あぁ、解った。だが…ドロシー、お前はどうだ?なにしろお前が一番の被害者だ…今でも俺を仲間だと呼んでくれるか?」
ドロシー「もうっ、そんな当たり前のこと聞かれても困っちゃうよ。何があってもみんなは私の大切な仲間だよ、そんなの当然だよっ」ニコッ
ブリキ「そうか…ヘンゼルに頼んでお前たちと再会できることになったものの、俺には合わせる顔がなかったからな…もう仲間だと思われなくても仕方ないと覚悟していたが」
ブリキ「お前たちの気持ちを聞いて……正直、安心した。俺に非があるとわかっていても、縁を切られたらどうしようかと、内心恐れていた」
ブリキ「俺には心が無いはずなのに…仲間を失うことを恐れるなんておかしい話だがな」
318: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/09(月)00:49:59 ID:au0
かかし「出たゾ、ブリキの心無い心無い詐欺!もうそれお前の持ちネタなんじゃねぇかと思ってるからな俺ハ!」
ドロシー「あははっ、持ちネタは言い過ぎだよ〜。でもブリキにはもう絶対心あるよね」ウフフ
ライオン「だねぇ、実はそれ僕もずっと思ってた。じゃなきゃそもそも僕たちのためにあれこれしてくれたりしないもんね〜、優しい心あるよねぇ」
ブリキ「そんなわけ無いだろう。誰がなんと言おうと俺に心は無い」
かかし「まだ言うかお前!なんでそこで意地はるんだヨ!」
ブリキ「心を手に入れるのは俺の最終目標だ。オズが詐欺師だとわかった今、心を手に入れる方法のあてはない。下手に妥協しない為にも心が無いという事実はしっかり胸に留めておかないといけない」
かかし「こいツ…面倒くせぇナ…」
ライオン「何か証明する方法があるといいんだけどねぇ〜」
ドロシー「うーん…私には絶対ブリキには心あるって思うけど、そう言うってことはブリキは納得してないんだよね?」
ブリキ「当然だ、そもそも心なんて容易く手にはいるものじゃない。それを手にする方法すら知らない俺が手にしているはず等ないだろう」
ドロシー「じゃあさ、ブリキが納得するまで心を手に入れる旅…再開しようよ。前みたいに…心と知識と勇気、それを手に入れる旅にさっ」
かかし「そりゃあ構わないガ…それじゃあお前のカンザスへ帰るって願いが入ってねぇゾ?故郷へ帰るって目標はもういいのカ?」
ドロシー「うん、エムおばさんは心配してるかもだけど…カンザスへ帰るのはもうしばらく先でもいいかな…。その前に私にはやらなきゃいけないことがあるから、みんなと旅にでるのはその後になっちゃうけど…」
ブリキ「お前、前はあんなに故郷のカンザスへ帰りたがっていたのに。いいのか?」
ドロシー「うん。それにみんなともう少し一緒にいたいなっていうのは、ずっと前から思ってた…私の新しい願いなの。私、今はカンザスへ帰ることよりそっちの方を望んでるんだ」ニコッ
319: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/09(月)00:53:42 ID:au0
ワイワイガヤガヤ
裸王(ふむ、ドロシーは内気な面が目立ち、ブリキのあの様子だとせっかくの再会だというのに暗い雰囲気になってしまうのではないかと思っていたが…)
裸王(どうやら杞憂だったようだ。いざという時はこの裸王がマッスルジョークで場を沸かす事も視野に入れていたが…もう必要あるまい)スッ
裸王(さぁ、私も三日後に備えすべき事を…むっ?)
ヘンゼル「……あぁ、裸王さん。中に居たんだね」コソコソ
裸王「ヘンゼルではないか。部屋の前で何をしているのだ?」マッチョ
ヘンゼル「…別に大したことじゃないよ、ただかかしやライオンをここに連れてきたのは僕だ。最後まで見届けるのが筋かなって」スッ
裸王「気になって様子をうかがいに来たというわけだな。うむ、一時不安に思う場面もあったが…あの様子ならば問題なかろう!マッスルノープレブレム!」マッスル
ヘンゼル「そうなんだ。ドロシーは平気そうだった?なんだか彼女少し頼りないから、気になってね」
裸王「その点も心配あるまい。内気な普通の娘だと思っていたがやはりドロシーもおとぎ話の主人公。あの四人の中心となっているのは彼女なのだろう」マッスル
裸王「彼女には周囲を率い先導する手腕やリーダーシップがあるわけではないが…傍目に不揃いな集団である彼らの支柱となっているのは間違いなくドロシーだ。私の審美眼と上腕二頭筋がそう囁いているぞ!」ムキムキッ
ヘンゼル「そう、なんだか彼女…場の空気に流されそうな性格に見えてね。まぁ問題ないならいいんだけど」
裸王「ほう、随分と面倒見が良いのだなヘンゼルは。良い傾向だ、気配りの出来る男は男女問わず頼られるからなっ!」マッスル
ヘンゼル「なにそれ。僕は妹たちの面倒を見るのを優先したいから他人に頼られてもね…今回の事もあれだよ、気まぐれのようなものだよ」
裸王「うむ?そうなのか?それならば早々にグレーテルの所へ向かった方がいいのではないか?」
ヘンゼル「どうしてグレーテルの名前が出てくるの?」
裸王「君が別の世界へ飛んだ後、少しだけ妹君達と言葉を交わしたが…グレーテルは終始不機嫌そうだったぞ?あれはお主が原因なのではないか?お千代もそのようなことを口にしていたが…」
ヘンゼル「……」
裸王「今から君を誘って特訓を…と思ったが、どうするかね?」
ヘンゼル「……ごめん、先にグレーテルの所に行ってくる」スタスタ
321: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/09(月)01:01:35 ID:au0
しばらく後
裸の王様の世界 裸王の城 応接間
・・・
かかし「それで毎度毎度シンドバッドが邪魔しに来てなァ、そのたびにラプンツェルが城を抜け出して遊びに行くんダ。そんである時、シェヘラザードが遂にブチキレてなァ…」ハハハ
ライオン「ひぇぇ…シェヘラザードさんって【アラビアンナイト】で語られてるおとぎ話を作ったんだよね、たくさんのおとぎ話を作ったんだもん相当頭良いんだろうなぁ〜。僕の経験上、頭がいい人怒らせるととんでもないことになるよぉ」
ドロシー「でもちょっと遊びに行くくらいいいかなって思うけど…ラプンツェルさん、外の世界珍しいだろうし…」
ブリキ「そうは言うがラプンツェルはかかしと同様にシェヘラザードから知恵を授かろうと彼女の教えを受けていたのだろ?その途中で遊びに行くようなら叱られるのは当然だ」
かかし「おゥ、お前と同じでシェヘラザードも相当頭が堅いからナ。流石によその世界のラプンツェルに手は上げてなかったガ、シンドバッドは丸坊主にさせられてたゾ」
ブリキ「遊び人にそりゃあキツい仕置きだな。自業自得だが」
ドロシー「で、でも突然坊主頭って…物語に影響出たりしないのかな…」
かかし「平気だロ、あいつターバン巻いてるシ。本人は死にそうな顔してたけどナ」
ライオン「でもなんだか平和そうでいいなぁかかしのとこ。あっ、別にかかしが大変じゃなかったって意味じゃなくてね?」
ドロシー「ライオンは桃太郎さんと一緒に居たんだよね?」
ライオン「そうそう、桃太郎さんカッコ良くて憧れちゃうよぉ」
ブリキ「日ノ本一の侍と意気投合するとはな、お前とは何か共通点があるというわけでもないだろうに」
ライオン「ううん、共通点あったんだよ。桃太郎さんの意外n…あっ、いやなんでもない!」
かかし「途中で言うのやめるなヨ!気になるだろがイ!」
ドロシー「……(きっとあの事だけど黙っておこう、桃太郎さんの名誉のためにも)」
ドロシー「も、桃太郎さんカッコいいよね…!」アワアワ
かかし「なんか今、取って付けたように誉めたナ…」
322: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/09(月)01:10:17 ID:au0
ブリキ「しかし、俺が牢で時間を無為に過ごしている間もお前たちは研鑽を積んでいたわけか。我ながら自分が情けない」
ドロシー「二人は偉いけどブリキがそんな風に思わなくたって大丈夫だよ、それに威張る事じゃないけど…私も特に何か出来た訳じゃなかったし…」モニョモニョ
かかし「お前はかぐや姫に世話になったんだったナ。まぁ俺とライオンは自分の目標をかなえるための努力がしやすい場所にいたってだけダ。シェヘラザードのおかげで俺もいくらかは知恵を得たしナ」
ライオン「ぼ、僕も桃太郎さんと一緒にいて少しは強くなれた気がしないでもないよぉ」
ブリキ「そうは言っても…そう言えばドロシー、お前さっき言っていたな?やらないといけないことがあると」
ドロシー「あっ、うん…えーっと、そうだよ」
ブリキ「何をするつもりだ?詳しく教えてくれ、力になれることがあれば協力する」
ドロシー「あっ、えっと、その…ちょっとブリキには言いにくいんだけど…」
ブリキ「なんだもったいぶって。お前は俺を受け入れてくれたんだ、俺に何を遠慮しているか知らないがお前が決めたことに反対したりしない。言って見ろ」
ドロシー「……うん、あのね、反対されちゃうかも知れないけど決めたの」
ドロシー「…私、アリスちゃんと戦う事にした。キモオタさんやヘンゼル君と一緒に…【不思議の国のアリス】の世界へ行くの」
357: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)00:58:27 ID:Bjf
ブリキ「お前がアリスと戦うだと?」ギシッ
ドロシー「う、うん。正確にはアリスちゃんと戦うみんなをお手伝いする感じになるのかな…私、今は戦う為の力持ってないから…」
ブリキ「そんなものは些細な問題だ、どっちにしろ危険であることに違いはない。直接戦わなければ安全というわけでも無いだろう…相手はあのアリスだぞ?」
ドロシー「そうだけど…でもきっと平気だよっ!ヘンゼル君も一緒だしキモオタさんも居る、私一人じゃないから大丈夫だよっ。だから心配なんかしなくてもいいんだよ?」
ブリキ「一人じゃないから心配するなと言われて、それで納得しろと言うのは無理な話だ。アリスがどれほどの戦力を持っていて、それが及ぼす影響を知った上でお前はアリスと戦うなんて事を口にしているのか?」
ドロシー「あうぅ…そ、そう言われちゃうと…でもっ」
ブリキ「でも、じゃあない。よく考えてみろ、知っているはずだぞ?かつて一緒に居たからといってお前に手加減するような娘じゃあないぞあいつは」
ドロシー「うぅ…それは、そうだけどぉ…。…やっぱり、納得してくれない?」
ブリキ「そんなこと聞くまでもないだろう。お前がアリスと戦うなんて事、俺はもちろんかかしやライオンだって当然納得なんかしない、反対するに決まっている。おい、黙っていないでお前たちも何とか言ってやれ」
かかし「んッ?何か問題あるのカ?俺は別に反対するつもりねぇけド」
ブリキ「お前…何を言っている!?この臆病なドロシーがあのアリスと戦うことに賛成だっていうのか?」ガタッ
ライオン「あ、あのぉ…ブリキには悪いけど僕も賛成だなぁ。ヘンゼル君は優しいしキモオタさんたちは仲間を大切にしそうだから、ドロシーちゃんはきっと大丈夫だよぉ……なんて思ったり思わなかったり…モニョモニョ」
ブリキ「……っ!?お前たち正気か…!」ギシッ
358: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)01:04:24 ID:Bjf
ライオン「あの、その、それに…言うの遅くなっちゃったんだけど……えっと、その…モニョモニョ」
かかし「何をモニョモニョ言ってんダ!よく聞こえねェ、はっきり喋レ!」
ライオン「ご、ごめん…あの、あのねぇ…実は僕もアリスちゃんと戦う事に決めたんだ…。桃太郎さんと一緒にシンデレラさんを助け出すんだ、あんまし力になれないかもだけど…」ボソボソ
ブリキ「なん…だと…!」ギシッ
かかし「おいおイ、マジでかお前!そりゃまた随分と思い切ったなァ、お前!」バシバシ
ライオン「え、えへへ…内心ドキドキなんだけどね…。でもね【蛙の王子】の世界で桃太郎さんと修行したり獣退治したりしてさ、思ったんだ。僕は臆病だけど…でも戦うための力は一応あるでしょ…?」
ドロシー「一応なんて謙遜だよ〜、だってライオンは牙も爪もとても鋭いしさ。力もすっごく強いしとっても素早いし、実は力強いと私は思うよ?」
かかし「そうだよナ。まァ、臆病なせいでそれを全然生かせてねぇんだけどナ!」ハハハ
ライオン「う、うん…そうなんだよね…。で、でも臆病な気持ちをちょっと押さえ込んで…その力をアリスちゃんを止めたりシンデレラさんを助ける手助けに使えたらいいなって、僕は思ってて…」
ライオン「桃太郎さんは一緒にいるとき励ましてくれたりお世話になったし…。僕は臆病なライオンだけど…ちょっと頑張って見ようかなって…えへへ、でもこんなの僕らしくないよねぇ」
かかし「そうだそうダ!お前はもっとオドオドしてるイメージだからナ!…なんつっテ、でもいいんじゃねぇカ?よく決心したと思うゼ、頑張りナ」バシバシ
ライオン「え、えへへぇ…このあと桃太郎さんと合流して一緒に修行させて貰う事になってるんだ。確か【舌切り雀】の世界に行くって…僕、頑張るよぉ…!」フンス
ブリキ「……」
359: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)01:09:28 ID:Bjf
ドロシー「と言うことは、あれだねっ。私とライオンはアリスちゃんと戦うって決めた者同士かぁ…それじゃあ私達、おそろいだねっ」ニコニコ
かかし「おッ、そうだナ!ドロシーとおそろいたぁ羨ましいぞお前!コンチクショウ!プレイボーイ!」グイグイ
ライオン「そ、そうだねぇ…!なんだか嬉しいねぇ、僕達はよく臆病だー臆病だーってよく言われるけど、でも頑張るって決めたもんね。一緒に頑張ろうねドロシーちゃん!」
ドロシー「うんっ!ライオンは桃太郎さんと一緒、私は…きっと裸王さんやヘンゼル君と一緒に行動するからしばらくは別々だけど、頑張ろうねっ!」ニコニコ
かかし「くゥ〜!俺も出来ることならアリスに一泡吹かせてやりてぇ
ところだガ…!でも俺は仲間内じゃ一番戦闘に向いてないからよォ、疲労も痛みも感じねぇつっても…コレじゃあナ」ワサワサ
ライオン「そ、そっか…かかしは身体が藁で出来てるから脆いもんねぇ…勇気はあるのにもったいないねぇ…」
ドロシー「でも無理して【青ひげ】の世界の時みたいに真っ二つにされたりしたら困るよ。直すためにたくさん藁持って行かなきゃいけなくなるし…それはそれで大変だよ」アワアワ
かかし「あァ、無理して足手まといになっちまうのは避けてェ。残念だが俺は留守番だナ。アリスをとっちめるのはお前たちに任せらァ」
ライオン「かかしって知識が欲しいって言ってる割には結構的確な作戦とか考えてくれるし、一緒にいてくれたらこころつよかったんだけどなぁ…も、もちろん無理させようとか考えてないよ?大丈夫だよ?」
かかし「そう言ってくれるのは嬉しいけどナ、まぁこの後はシェヘラザードの所に戻ってまた色々教えて貰うかナ…アリスを倒す大役は俺達の主人公様に譲ってやるヨ」ハハハ
ドロシー「ちょ、ちょっとそれやめてよぉ…私は主人公とかそういう柄じゃないし…皆でまとめて主人公って事でいいよぉ〜」アワアワ
ライオン「で、でも【オズの魔法使い】の主人公は間違いなくドロシーちゃんなんだし…そこは自信持とうよぉ」
かかし「そうだゾ!前にアリスが言ってたじゃねぇカ、俺達のおとぎ話は現実世界じゃ本は勿論、舞台とかにもなってるんだロ?相当有名なおとぎ話だって話だぜェ?」
ドロシー「や、やめて…私の情けないエピソードが舞台で大勢の人に知られてるとか考えたら…う、うぅ…手先がふるえてくる…」オドオド
ライオン「ぼ、僕が言う事じゃないけどそれはさすがに気にしすぎだよぉ〜」
かかし「ハハハ、違いねェ!」ハハハ
アハハハハ
ブリキ「いや…待て!なんなんだこれは?状況を分かっているのかお前たちは!何を笑っているんだ…!」バンッ!!
360: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)01:12:16 ID:Bjf
ライオン「え、ええぇ…なんでって…そんな事言われても…悲しい顔しなきゃいけない理由もないし…」
かかし「別にいいじゃねぇカ!仲間同士が些細なことで笑いあってもヨぉ!むしろお前はなんでそんなにノリが悪いんだヨ!空気読めよこのKY!」
ドロシー「か、かかしは言い過ぎだよっ!ブリキもそんな風に怒鳴らないでおこうよ、久しぶりに会えたんだし…ねっ?」
ブリキ「…俺にこんなことを言う権利がないことは分かっているがあえて言わせて貰う。お前たちはアリスと戦うという事がどれほど危険なことか理解しているのか?」
ブリキ「あいつと一緒にいた俺達なら解るだろ、あいつの持つ戦力の充実ぶりを…!」
ライオン「ま、魔法具は数え切れないほど持っていたよねぇ…ドロシーちゃんの靴も奪われちゃったし…」
かかし「それもだがよォ、やっぱり仲間だナ。あの世界の連中はほぼ全てがアリスの味方。そして帽子屋にハートの女王…一筋縄じゃいかない奴も大勢いル」
ドロシー「それにアリスちゃんが狙ってる魔法のランプはどんな願いも叶えられるって聞くし…手に入れちゃったらマズいよね…」
ブリキ「そこまで分かっていてお前たちはどうしてそんなに気楽に構えていられるんだ。ライオンもドロシーも…下手すれば死ぬ。それを分かっているのか?」
ライオン「そ、そりゃ死ぬのは怖いけど…でも僕は桃太郎さんの力になりたいんだ、だって桃太郎さんが一緒にいてくれなかったら僕怖くて何もできなかったと思うし…」
ブリキ「それはそれだ…感謝はすべきだし礼は尽くすべきだ、だがそれは戦いの場に赴かなくても出来る。お前が危険に身をさらす必要はないんだ…ライオンだけじゃなくドロシー、お前もだ」
ドロシー「…でもっ」
ブリキ「アリスは危険すぎる、そんな奴の所に大切な仲間を向かわせるわけにはいかない」
ブリキ「俺は断固反対だ。キモオタ達がアリスを止めるというのなら…奴らに任せるべきだ、臆病なお前たち二人が行って出来ることなんか知れている。むしろ的を増やすようなものだ」
361: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)01:22:09 ID:Bjf
ドロシー・ライオン「……」ショボーン
かかし「ブリキお前!んな言い方ねぇだロ!考えても見ろヨ、臆病なこいつらが戦いを選んだんだゾ?軽い気持ちで言ってんじゃねぇのはお前にだってわかるだロ?」
ブリキ「…俺の愚かな行動のせいで二人に必要のない覚悟をさせたことは悪いと思っている。だが…だからこそ俺は止める、こいつらが戦う必要はない」
ブリキ「お前たちの代わりに俺がアリスのもとへ向かう。お前たちは傷つかず、キモオタ達へ恩を返す事も出来る…これが最上の策だ」
ライオン「えぇぇっ!?ブリキはそんなにボロボロなんだよぉ!?無理無理!無理だってぇ!」
ドロシー「そ、そうだよっ!アリスちゃんが強いって言ったのはブリキだよ!?そんな体で勝てるわけ無いよっ!」
ブリキ「それでもお前たち二人が向かうよりずっと役に立てると思うがな。そもそも場数が違う、そして何より死なないと言うのは戦いにおいて大きすぎるアドバンテージだ」
かかし「同じ不死の身体を持つ奴としテ、同意したいところだガ…今のお前は言っちゃ悪いがデカいスクラップだゼ…。満足に戦えないって事はお前自身がよく分かってるんじゃないのカ?」
ブリキ「なにもこのままの状態で戦うとは言っていない、奴等には優秀な『鋳掛け屋』が居るだろう?協力するとなれば俺の体を直してくれるだろうしな」
ドロシー「えっ?そんな人居たっけ…?あっ、魔法使いさんの事かな…?」
かかし「…いヤ、【ピーターパン】のティンカーベルの事ダ。あいつは金物修理の妖精だからな」
ライオン「えぇっ?ティンカーベルちゃんにそんな能力があったのぉ?」
ドロシー「わ、私も知らなかった…会ってお話までしたのに…」オドオド
ブリキ「俺の体を直せる奴は多くない、だから知っていた。あいつの名『ティンカーベル』は『鋳掛け屋のベル』という意味だ、金物修理の妖精なら魔力が宿った俺の身体を修繕することも容易いだろう」
かかし「確かにそうだナ…万全な状態のお前が戦えるのならそれが一番望ましいガ…」
ブリキ「そうだろう。決まりだ、奴等への協力は俺が請け負った、お前たちは留守番だ。いいな?」ギシッ
362: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)01:25:14 ID:Bjf
ライオン「確かに…そうかもしれないけど…けどけどぉ…」ボソボソ
かかし「ブリキの言うことは理に適ってル…だガ、うーム……」
ブリキ「もう前回のような不甲斐ない姿は見せない。次こそ俺はお前たちを守ってみせる…お前たちは心配なんかせず、ただ待っていればいい」
ドロシー「……」
ブリキ「いいな?ドロシー。お前がキモオタ達に世話になったのならその礼は俺がきちんと尽くす。お前は何も心配せずこの城d」
ドロシー「いっ…嫌っ!私が行かなきゃ…ダメだよっ!」ガタッ
ブリキ「…その話は終わった筈だ、お前よりも俺が適任。アリスの元へ向かうのがお前である必要はない」
ドロシー「ううん、ブリキがなんて言っても…絶対に私が行く…!」
ブリキ「…今の話を聞いていただろう?何故、そうなる?」
ドロシー「私…約束したんだ。かぐやさんと」
ドロシー「私はたくさん悪いことをしてきた。それは意図してやった訳じゃないけど…でも、でも償いはしなきゃならない。ううん、私が償いたいんだ。今までしてきたことを」
ブリキ「話を蒸し返すつもりか?責任の所在はお前には無い、償う必要など…」
ドロシー「ううん、私は…アリスちゃんと一緒にたくさんのおとぎ話を消しちゃったし…大勢の人を殺した…。数え切れないほど…みんなの未来を奪ったんだ」
ドロシー「確かに私がアリスちゃんの世界へ行くって決めたきっかけは頼まれたからだけど…流されて仕方なくやるんじゃないよ、これは私の意志で決めたことなの」
ブリキ「……」
ドロシー「これは償いの為の一歩なんだ。怖くないっていったら嘘になっちゃうし、足手まといになっちゃうかもしれない…」
ドロシー「でもかぐやさんは大丈夫だって言ってくれた、ティンクちゃんや赤ずきんちゃんは私の罪を責めないでくれた、ヘンゼル君は初対面の私に優しくしてくれた…。罪人の私を突き放すことなんか簡単なのに、そうしなかったよ」
ドロシー「私に優しくしてくれた人達は…私が罪を償えるって信じて接してくれたんだ、だから私は…逃げない。ブリキ達や皆…信じてくれた皆の側で笑っていられるように、頑張るって決めたんだよ」
363: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)01:29:47 ID:Bjf
かかし「少し離れてる間ニ…お前の内面にも変化があったみたいだナ。そういうのは好きだゼ、俺はお前の意見に賛成ダ」
ライオン「ぼ、僕も!僕もだよぉ!」
ブリキ「……ドロシー、お前は普段は流されやすい癖にこういうときは強情だな」
ドロシー「それは…うん、なんていうか…お互い様だよっ。ブリキだってそうだよ?」ウフフ
ブリキ「そうだな…で、考えを変える気は?」
ドロシー「ごめんね、これは譲りたくない」フルフル
ブリキ「……ライオン、かかし。どうにかならないか?こいつは意見を変えないらしいが…俺もそのつもりはない。このままじゃ平行線だ」
ライオン「う、うーん…どうもこうもないとおもうなぁ…」
かかし「つーかお前は解ってて聞いてるんだロ?ブリキ、お前が折れるしかねぇヨ」
ブリキ「……だが、な。こいつの気持ちは理解した、だが強い思いで何とかなるほど現実ってのは甘くないだろう。どんな覚悟をしても死ぬときは死ぬ」
かかし「……なぁお前ラ、俺とドロシーとブリキが旅をすることになってしばらくしテ…ライオンと初めてあったときの事覚えてるカ?」
ドロシー「うん、覚えてる。ライオンはトトを捕まえて食べようとしてたんだよね」
ブリキ「そうだったな。しかし結局、トトはオズの宮殿に置き去りにして来ちまったが…。それはさておき、初めてあったときのライオンは相当な迫力だったな」
ライオン「う、うわぁ…その話はやめて欲しいよぉ…。僕にとっては思い出したくない過去なんだよぉ…」
364: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)01:32:05 ID:Bjf
かかし「あの時、トトを食おうとしたライオンに向かっていったのは俺でもブリキでも無かっタ。他でもないドロシーだったんだゼ?」
ブリキ「そうだったな。俺のブリキ製の身体は牙なんか通さないが…それでも一瞬躊躇してしまった、初対面ではライオンの性格を知らなかったからな」
ライオン「ぼ、ぼくもあの時は必死だったんだよぉ…凶暴なライオンだっていうイメージを守らなきゃ森にいられなくなっちゃうし…」
ドロシー「わ、わたしだってあの時は必死だったよっ!私が守らなきゃトトが食べられちゃうと思ったし…」
ブリキ「だが…かかし、お前は何がいいたいんだ?思い出話に花を咲かせようってわけじゃないんだろう?」
かかし「まぁ聞けヨ。それから長い間旅をしテ…俺達がオズに騙されてると知らずに受けた魔女退治…俺達が役に立たなくなってる間に魔女を倒したのは誰だっタ?」
ブリキ「…ドロシーだ」
かかし「なァ?こいつは確かに臆病だしオドオドしてるけどよォ、いざってときはなかなかどうして強さを見せつけてくるゼ?」
かかし「なぁブリキ、守ってやらなきゃいけないほど弱い娘が猛獣に躊躇なく飛び出せるカ?一人で悪い魔女に立ち向かえるカ?」
ブリキ「…必要ないとは思わない。だがそうして考えてみれば、ドロシーは案外俺が思っているほど弱い娘でも無いのかもしれないな」
ライオン「つまり…僕たちの中で一番強いのは…ドロシーちゃん?」
ドロシー「そ、そんなことないよ!重いものもてないし、うっかりミス多いし…ライオンの時も悪い魔女の時もただただ必死でやってただけで何があったかよく覚えてないし…」オドオド
かかし「そりゃあぶっちゃけ心配だゼ、俺はこいつのこと好きだしナ。アリスの所へ送り出しても傷付いて帰ってくるかもしれねェ、最悪帰ってこないかもナ」
かかし「でもよォ、カンザスへ帰るって事だけが旅の目的だったドロシーに新しい目標が出来たんダ、叶えさせてやりたいって俺は思うんだなァ」
365: ◆oBwZbn5S8kKC 2016/05/28(土)01:35:16 ID:Bjf
ブリキ「……やれやれ、かかしはドロシーの味方か」ギシッ
かかし「そりゃあゴツいおっさんより可愛い女の子の味方するに決まってらァ」ハハハ
ライオン「ブリキはこう見えておじさんだからねぇ…あっ!違うよ!?あの、いい意味でおじさんって意味でね?でもドロシーちゃんが可愛いって意見には全面的に賛成だよぉ〜」
ドロシー「な、なんで突然そんな話に…!私、別に可愛くないよ」アワアワ
ブリキ「…三対一じゃあ勝ち目は無い、今回は俺が折れよう。ドロシーがやりたいようにやればいい」
ドロシー「ブリキ…!わかってくれて嬉しい!」ギュー
ブリキ「だが、約束だドロシー」
ドロシー「…?」
ブリキ「必ず俺たちの所へ帰ってこい。俺をあの森から連れ出したのはお前だ、どこかへ行ってそのまま帰ってこないなんてのは許さないぞ、俺は」
ドロシー「うん、約束する。みんなでもう一度旅に行くって決めたし、トトも…【オズの魔法使い】の世界もいつかは取り戻したいしね」ニコッ
ブリキ「約束できるならそれでいい、言いたいことは山ほどあるが…お前が帰ってくればそれでいい」
かかし「もちろン!生きて帰ってくるんだゾ?お前が死んだりしたら今度は蘇生の魔法を探す旅が始まっちまうゼ」ハハハ
ライオン「ぶ、ブラックジョークが過ぎるよぉ!で、でも、もちろん僕も一緒だから…改めて頑張ろうね、ドロシーちゃん!」
ドロシー「うん…!必ずアリスちゃんの企みを止めてみんなの所へ帰ってくるよ。そしていつかまた…あの頃みたいにそれぞれの夢を追って旅しよう、約束っ!」ニコッ
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