比叡「お待たせしましたー!」金剛「待ってたデース!」back

比叡「お待たせしましたー!」金剛「待ってたデース!」


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1:
──食堂
金剛「では、早頂きますネー!」
比叡「はい!どうぞ!」
榛名「ングング……お、美味しいですね…比叡姉様」
霧島「えぇ……美味しい…ですね」
比叡「本当ですか!?ありがとうございます!私も早!」
比叡「ング…ング…」
比叡(ん?……やっぱり…食べれない訳じゃないですが…美味しくない…)
比叡「あの…これ──」
金剛「ングング……美味しいデス!比叡!」
比叡「そ、そうですか!?嬉しいです!お姉様!」
比叡(私の味覚が変なんだろうか…皆さんは美味しいと言って…うーん…)
比叡(いや…喜んでくれているのだし…きっと大丈夫…うん!)
***************
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2:
──自室
比叡(ん?…本日も疲れました!ちょっと小腹が空きました)
比叡(あまり良くないですが昼に作った残りを少し…)
比叡「あれ?」
比叡(ない……あれれ?)
比叡(あ…!食堂に置きっぱなしのままでした!取りに行かなきゃ…)

──食堂前通路
比叡「ひえ?…」ブルブル
比叡(うぅ…夜は冷え込みますね…早く取って…おや?)
比叡(食堂に明かりが…まだ誰か居るんでしょうか…?)ソーッ
??「ダハハ!それでよ?!」
??「なんだよー!うぜーな!まだ続くのかよ!」
比叡(ん…あれは…天龍さんと摩耶さんですか…)
天龍「そう言うなって!まだまだ続くぜ?……でもその前に…」
摩耶「なんだよ?」
天龍「…腹空かねーか?」
摩耶「ん?…ああ…まぁ確かに、少しな」
天龍「ここ食堂だし何かあるだろ?見てくる」
摩耶「程々にしとけよ?」
3:
天龍「お?…なぁ見てみろよこれ」
摩耶「なんだ??」
天龍「煮物っぽいのがあるぜ?出来上がってるしコレでも食べるか?」
摩耶「食えりゃ何でもいいって」
天龍「んじゃちょっと煮る」
比叡(あ?!それは私の!)
比叡(………でもちょっと…どんな反応するか見たいですね…)

天龍「っし!出来たぜ!」
摩耶「お?」
天龍「どれどれ…ちょっと味見を…」パクッ
比叡(…)ドキドキ
天龍「ング……ング…」
摩耶「美味いか??」
天龍「…!?おえっ!ペッ!ペッ!」
比叡(えっ……)
摩耶「おいおい汚ねーな…」
天龍「な、なんだこれ…クッソ不味いぞ…!」
比叡(……!!!)
6:
摩耶「まじか?そんなに?」
天龍「食ってみろって、マジでヤバイ!」
摩耶「そんな反応見て誰が食うんだっつの!」
比叡(やっぱり…そうだったんだ…私の味覚がおかしいんだ…!!)ダダダ
摩耶「…!誰だ!!」クルッ
天龍「うおっ!?…急に大声あげんなよ…誰か居たのか?」
摩耶「…う?ん…?足音がしたような…気のせいかな?」
天龍「気のせいだろ?この時間食堂の方に来る奴なんて滅多に居ないし」
摩耶「そりゃぁそうか…そうだな」
摩耶「んで、腹ごしらえは結局どうする?」
天龍「さっきのでやられた…オレはもういい…」ウップ
摩耶「アタシは何も…まぁいいけどさ…大丈夫か」サスサス
***************
──数日後
金剛「ヘーイ!今日の当番は比叡ネー!今日も頼みますネー!」
比叡「……あの、金剛お姉様…」
金剛「ン?どうしましたデス?」
比叡「あの…料理当番何ですけど…もう私、辞めさせて下さい…」
金剛「!?…ど、どうしたんデスカ?急に…」
比叡「皆さんに…悪い事をしたなって…無理してあんなの食べてもらって…」
金剛「そ、そんな事ないデス!比叡の料理は…!……美味しい…デス」
比叡「ありがとうございます…でも、しばらくは…もう…」
金剛「比叡…」
7:
金剛「ワカリマシタ…」
比叡「ありがとう…ございます…」スタスタ
金剛「比叡…」
***************
──旧調理室
比叡「ここが…旧調理室…ですか」
─ガラガラ
比叡(今は全く使われなくなってるみたいですが…水も電気もガスも使えるんですね)
比叡「荷物は…この辺に置いておいても大丈夫そうですね…」
比叡「……よし」パンッパンッ
比叡(不味いと言われてそのままにする私ではありません!)
比叡(確かにショックで落ち込んでしまいましたけど…)
比叡(ただ…それならば美味しい料理を作れるようになるだけです!)
比叡(比叡!気合!入れて!行きます!!)
──2日目
比叡「んー?これは美味しいんでしょうか…?」
比叡「次はこれも混ぜて…」
──6日目
比叡「んー…食べれない訳じゃないですが…やっぱり美味しくない…」
──2週間
比叡「あ、あれ…?」
比叡「おかしいですね…何も味が…」
8:
比叡「し、塩…」
─ペロ
比叡「あれ…味が…」
比叡「味がない…?」
比叡「う、嘘だ…」
比叡「どうして…胡椒は…!」
─ペロ
比叡「…!!そ、そんな…!?」
比叡「どうして……なんで…」ペタン
比叡「…これじゃ…こんなんじゃ…」
比叡「どうやって…うっ…うぅ…」ポロポロ
比叡「────!!!」
***************
9:
──演習場・裏
天龍「っはぁ…。今日も待機かよ?…」
摩耶「そう言うなよ、提督の命令なら仕方ないだろ?」
天龍「戦いてぇんだよオレはー!」
摩耶「戦闘狂が」
──ザッザッ
摩耶「ん?」チラッ
日向「やあ、お前達」
摩耶「あ、姉御!」
天龍「ぬぉ!?…ども!!」
日向「だから姉御はやめてくれ…恥ずかしいだろう」
天龍「呼ばせてくれ!オレ等は姉御の腕っぷしに惚れ込んだんだ!」
摩耶「あそこまで完封されたのは初めてだったよ」
日向「もう忘れてくれ、昔の事だ…ところでお前達に話があるんだが…」
天龍「お!何だ何だ!?シメてほしい奴でも居るのか!?」
日向「そんな物騒な話じゃないよ、残念だったな」
天龍「ぐ…そうか…」
摩耶「お前あからさま過ぎな」
天龍「うっせ!」
日向「…それでな、最近提督が私に目を掛けてくれていてな」
日向「そのお礼と言っては何だが…お返しがしたいんだ」
摩耶「ほ?ぉ…」
日向「手料理…なんてのを思いついたんだが…どう思う?」
10:
天龍「良いと思うぜ!」
摩耶「アタシもそれが良いと思うな」
日向「ほ、本当か?」
天龍「ああ!姉御の手料理オレも食いたいぜ!」
日向「恥ずかしながら…今まで料理なんてした事が無くてな…」
摩耶「姉御のなら大丈夫っしょ!いけるいける!」
日向「そ、そうか…安心したぞ…。ありがとうな…お前達」
摩耶「お安い御用!姉御の手料理を先に食える提督が羨ましいぜ!」
日向「お前達の分も作るさ、楽しみにしていてくれ」
天龍「やったぜ!」
日向「それじゃあな、助かったよ」
摩耶「楽しみにしてるぜー!」
***************
──金剛の部屋
─ガチャ
金剛(…マタ……デスカ…)
金剛(ここ最近比叡が夜中に出歩いてる事が多いデスネ……毎度毎度となるとWCではなさそうデス…)
金剛(…正直あまり後を付けたりはしたくないデスガ……)
金剛(気になりマス…)
金剛(Sorry…許して下さいネ…比叡…)タッタッタッ

金剛(ここは…旧調理室…デスカ)
金剛(一体此処で比叡は何をシテ…?)ソーッ
11:
比叡「やっぱり駄目だ…」ハァ
比叡「どうして味がわからなくなったんだろう…」
比叡「……これじゃあ…いつまで経っても出来ないままじゃないですか…」
金剛(何か言ってるみたいデスガ…聞き取れないデース!)
比叡「…はぁぁ…」トボトボ
金剛(あぁ…!別の出口から出て行ってしまったデス…追わないと…!)ガラッ
金剛(ん…?)ピタッ
金剛(これは…日記…デスカ…)
金剛(一体何を…)パラパラ
金剛(……)
金剛(コレは…)
金剛(もしかシテ…あの日から毎日…?)
金剛(毎日…自分の料理を食べていた…みたいデスネ…)パラパラ
金剛(え…?)パラ
金剛(味覚が……ナイ!?)
***************
12:
──食堂
提督「?♪」
摩耶「何だよ提督、今日はヤケに機嫌良いじゃんか」
提督「おう!そう見えるか?ちょっとな?」
天龍「今日は姉御が手料理作ってきたみたいだぜ!」
摩耶「マジでか!たんおしみだなぁ?!」
天龍「それな?!」
提督「何だ何だ、お前等食べる気なの?」
摩耶「良いじゃん!少しくらいわけろよな!」
天龍「そうだそうだ!こういう運びになったのはオレ達のおかげなんだからな!」
提督「え?マジ?そうなの?」
摩耶「うんうん」
提督「そっかぁ?そんなら仕方ねぇな──」
─スッ
日向「待たせた」
提督「待ってましたぁ!」
天龍「ヒュー!」
日向「初めて作ってみたんだ…口に合えば良いが…」コトン
提督「へぇ?!肉じゃがか!美味そうじゃないか!」
摩耶「美味そう!」
提督「どれどれ…早…」
13:
提督「……」モグモグ
日向「どうだ?」
提督「うん」
提督(おええええええええええええ!!!吐きそうううううぇぇ!!)
提督「美味しいよ」涙目
日向「それは良かった!」
摩耶「何で泣いてんの?泣くほど美味いって事?」
提督「摩耶…口開けろ…」
摩耶「は?──ングッ!?」
摩耶「……」
摩耶「……!?!?」
日向「摩耶も、美味いか?」
摩耶「うん」
摩耶「美味しいです…」死魚目
日向「そうかそうか!」
天龍(……いや…明らかにヤバイだろ…!!)
天龍(一体どんな味がしてるっていうんだよ!?)
提督「天龍…」
天龍「ヒッ!」
提督「ほら…お前も食いたかったんだろ…?」
天龍「い、いや!オレは…!」
天龍「あ?!!そういえばさっき飯食ったんだったわ?!」
天龍「だから腹一杯だわ?!!残念だな?!!!」
14:
提督「嘘つけ!!お前だけ逃げようたってそうはさせねぇからな!」ガシッ
天龍「は、離せ!」
提督「おめーが逃げようとしてるからだろォ!?」
日向「……」
提督「…ハッ」
日向「その、なんだ。無理して食べなくても良いぞ?」シュン
提督「!!」ギロッ
─眼力で会話─
提督『おい!!天龍食え!!!』
天龍『馬鹿野郎!俺に死ねって言いたいのか!?』
提督『そう簡単に艦娘は死なねぇ!!』
天龍『ってか提督の為に作ってきたんだろ!?責任持って食えって!!』
提督『ぐぬぬぬぬ…!!!!』
─僅か1秒─
提督「そんな事無いさ!ちゃんと頂くよ!」バクバク
天龍「提督…!」
提督「あー!!!美味かった!!!美味かったぞ!!日向!!」ゲップ
日向「そうか、それは良かった」
提督「また…頼む…ぐふっ…」バタン
日向「て、提督?」
天龍「心配すんな姉御!あまりに美味くてすぐに寝ちまっただけだから!」アセアセ
日向「そうなのか?」
天龍「そうだぜ!美味いもん食った後ってちょっと眠くなるだろ?姉御の料理はそこまで美味かったって事よ!」アセアセ
日向「ふむ…そうだったか」
天龍「そうそう!俺も食いたかったなぁ!提督の奴平らげやがって!」アセアセ
日向「ふふ。そうか、じゃあまた今度天龍の為に作ってきてやろう」
天龍「えっ…!!?…いや…あ…あぁ…楽しみに…してる…」
15:
日向「それじゃあな、また今度」スタスタ
天龍「…ウッス!」
天龍「…」
天龍「提督…提督の勇姿…しかと見届けたぜ!」
天龍「…っと、そうだ摩耶…ってぇ!?」
天龍「おい大丈夫か!?生きてるかー!?」パンパンパン
摩耶「ブツブツ……美味しいです…」
天龍「ダメだこりゃ…」
***************
16:
─同刻・食堂別席
比叡「いただきまーす!」
比叡「私ここのパスタ好きなんですよー!」ズルズル
金剛「ン?!やっぱりここのウドンは美味しいデース!」ズルズル
榛名「ですね。私は蕎麦ですが、これも美味しいですよ」チュルチュル
霧島「皆さん麺ばかり…私の天丼だけ浮いてちゃってますね」
金剛「そんな事ないデース!天丼も──」
比叡「ごちそうさまです!」
3人「─!?」
霧島「は、早いですね…」
榛名「あっという間に…」
比叡「ちょっとお腹が空いちゃってて!急いで食べ過ぎちゃいましたね!」
金剛(……)
榛名「もう…比叡姉様ったら…」
霧島「もっとゆっくり食べましょう?味を楽しまないと」
比叡「あー確かに!失敗してしまいました!」
金剛「比叡、ちょっと待ってるデース」
比叡「はい?どうしました?金剛お姉様?」
金剛「それだけじゃ足りないデショ?もう一つ持ってきてあげマース」
比叡「いえいえそんな!もう十分ですよ!」
金剛「大丈夫デス、残ったら私達が食べますカラ」
榛名・霧島「!?」
比叡「金剛お姉様…?」

間宮「はい、パスタ出来上がりましたよ」
金剛「アリガトウゴザイマース!……あとタバスコありマスカ?」
17:
間宮「はい、どうぞ」
金剛「イェス!」
金剛(…ゴメンネ…比叡……)
─ドバドバドバ
間宮「あらあら…え…?」
間宮「新しいのを開けたのだけど…全部入れてしまって…大丈夫ですか?」
金剛「大丈夫デース!」

金剛「お待たせデス」コトン
比叡「わざわざ有難う御座います!…ん?」クンクン
比叡「もしかしてタバスコ入ってます?」
金剛「辛いと食が進むって言いマス!」
金剛「ちょっと入れ過ぎちゃったかもデスガ…」
比叡「い、いえ!大丈夫です!全部食べます!」
霧島(あれで…少し入れ過ぎ…?)
榛名(あれは流石に…食べれないですよね…?)
比叡「……」ズルズル
金剛「……」
比叡「んー!少し辛いですが美味しいですね!有難う御座います!」
榛名・霧島「!?」
金剛「そう…デスカ…」
***************
20:
──演習場・裏
日向「ふむ…」
天龍「どうしたんだ姉御?」
日向「いや、もっと美味しく料理を作るにはどうしたら良いかなと思ってな」
摩耶「え!?い、いや…姉御はもう十分だと思うけど…?」
日向「そうなのか?私としてはもう少し手を加えたいんだが…」
天龍(あれ以上加えられたら生死に関わる…!)
天龍「そ、そんなに無理に手を加えなくても良いと思うぜ!?」
摩耶「そうそう!シンプルにレシピ通り作るのが一番だと思うんだよね!」
日向「それだと少しつまらなくないか?」
摩耶(姉御は料理に何を求めてるんだよ!?)
天龍「いやいや!シンプルってのが一番良いと思うんだ!下手に手を加えると失敗しやすいしな!」
摩耶「だよな!金剛さんとこの比叡さんもそれですっげーもん作ってたからな!」
日向「比叡?」
摩耶「そう!比叡さんアレンジを加えすぎてゲテモノばっかり作っちゃうんだよ!」
日向「料理が下手なのか」
天龍「今では入渠送りはなくなったけど、当時は試食した奴何人運ばれたか…」
日向「もしかして、かなり前に大勢運ばれてたのって、ソレか」
摩耶(実際姉御の料理は比叡さんの越えてるけどな…)
摩耶「まぁ…そんなとこだね」
日向「比叡は…今は料理をしていないのかな?」
天龍「どうなんだろうな…金剛さんトコも大分慣れたみたいだし…」
摩耶「慣れってマジでこえー…」
日向「そうか…」
天龍「あ、比叡さん言えば…昨日の深夜なんだけど」
日向「ん?」
21:
天龍「摩耶と話してたんだけど、その時ふっ と人影が通ってさ」
天龍「誰だ?と思って見たら旧棟の方に行ってたんだ」
摩耶「ちょっと不気味で近づけなかったよな」
日向「それで?」
天龍「いや、それだけなんだけど…何してたんだろうなーってさ」
日向「そうか…」
日向(あそこには旧調理室があるが…まさかな…)
***************
──旧調理室
─グツグツ
比叡「……」
比叡(ただ…ただただ…料理を作っているだけ…)
比叡(これに意味はあるのだろうか…)
比叡(味のわからない私には…もう…)
比叡「……」ズズ
比叡(まただ…また…また…!)
比叡(何も!!変わらない!!わからない!!!)
22:
──ガンッ!!
比叡「ハァ…ハァ…もう…嫌っ!」
──ガンッガンッガンッ
比叡「味が!味がっ!!わからない!!!」
──ガンッガンッガンッ
比叡「パスタも!カレーも!!塩も胡椒も!!何も!!!」
──ガーンッ
比叡「くっ……!」
比叡「……うっ…うぅ…っ!」ペタン
比叡「もう…嫌です……嫌ですよぉ……」ポロポロ
日向「随分と派手に暴れてるな」
比叡「!?!?」
日向「やあ、こんばんは」
比叡「日向…さん…?」
日向「すまないね、急にお邪魔しちゃって」
比叡「い、いえ…そんな事は…」
日向「いつも五月蠅いくらいに元気な貴女が涙なんて、似合わないよ」フキフキ
比叡「ご、ごめんなさい…」
日向「別に謝る事はないさ」
日向「良かったら聞かせてくれるか?」
──
日向「そうか、味覚がね…」
比叡「はい…それで少し取り乱してしまいました…」
25:
日向「うーん…」
日向「そうだ、ちょっとこれを食べてみてくれないか?」スッ
比叡「はい?…これは…肉じゃがですか?」
日向「ああ、そうだよ。最近料理を始めてね、ちょっと作ってみたんだ」
比叡「そう…ですか…」
比叡「でも…今の私には…味が…」
日向「いいから、ほら。あーん」
比叡「は、はい…」アーン
──パク
比叡「……」モグモグ
比叡「…!?うぅぇっ!!」
比叡「げほっ…!!げほっ…!」
日向「自分で言うのも何だけど、想像を絶するくらい不味いだろう」
比叡「げほ…!」
日向「最初は皆が美味い美味い言うから信じてしまってたけどね」
日向「そしたら味見をしてない事に気付いたんだ」
日向「…驚いたよ、あまりの不味さに」
比叡「それをわかってて…酷いです!そんな物を食べさせるなんて!」
日向「ああ、すまない。だが……味覚は戻ったみたいだね」ニコ
比叡「あっ……」
26:
比叡「ほんどだ…」
日向「良かった、やってみるもんだね」
比叡「戻った…」ポロポロ
日向「あらあら」
比叡「ありがとう…ございます…!」ポロポロ
比叡「ありがとうございます…!」ポロポロ
日向「良いって事さ」
──
日向「落ち着いた?」
比叡「はい、大分…」
日向「そっか…。ところで貴女の料理も食べさせて貰っていいかな?」
比叡「え…美味しく…ないですよ…?」
日向「知ってるさ、噂らしいからね」
比叡「うっ!うぅ…恥ずかしい…」シュン
日向「…っと。これかな? どれどれ…」パク
日向「……」モグモグ
日向「…うん、確かに美味しくはないね」
比叡「ですよね…」
日向「だけど、私より全然マシかな。やっぱり料理を作っている量の差って事か」
比叡「私って元々が味覚ズレてたみたいで…自分の料理不味く感じないんですよ…美味しくも感じないですが…」
日向「そうなのか?」
比叡「美味しくもなく、不味くもなく…だから皆さんに食べさせてる味が本当はどんな物か…」
日向「ふーん…」
27:
日向「……勝手だが、私の料理の不味さは貴女以上と自負していてね」
比叡「は…?」
日向「そこでだ、味覚が壊れてるなら、もう一度壊してみようと思ったんだ」
比叡「それで…」
日向「大分賭けだったけどね、上手くいって良かったよ」
比叡「有難う御座います」
日向「味覚は元に戻ったんじゃない、更に壊した事で新しくなった訳だと思ってるんだけど」
比叡「はい…?」
日向「ちょっと自分の料理食べてみな」
比叡「え…はい」パク
比叡「…」モグ…
比叡「うえっ!っぺ!っぺ!!」
日向「ほらね」
比叡「凄い…不味いです…」
日向「だろうね」
比叡「…でも、日向さんよりはマシですね」
日向「フフ…言ってくれるじゃないか」
比叡「日向さん…改めて、有難う御座います」
日向「気にするな………それで貴女は」
日向「まだ…作るかい?」
比叡「勿論です……この比叡…最後まで諦めません。皆さんに美味しいと言って貰うまで!」
***************
──旧調理室前
金剛(……何だが私の出番は無さそうデース…)
金剛(久しぶりに笑っている比叡を見れマシタ…)
金剛(良かったデス…本当に…)
金剛(感謝しマス…日向…)
***************
28:
──3日後
比叡「どうですか!このコロッケ!」
日向「うん!不味い!!」
──1週間後
日向「出来た、シチューだ!」
比叡「オェェェェ!!」
──3週間後
比叡「まずは基本に戻りますか」
日向「そうだな」
──1ヵ月後

比叡「で…出来た!このカレー結構美味しいと思うんですけど!」
日向「こちらも…今回のシチューは上手くいったと思うんだ」
比叡「お互いの食してみましょうか!」
日向「わかった」
比叡「…あ!美味しい!美味しいですよ!日向さん!」
日向「それは良かった…比叡のも美味しいぞ」
比叡「良かったぁ!…私達の味覚壊れてませんよね!?」
日向「…多分な」
比叡「基本に戻る…こんなに大事だなんて…」
日向「だな…下手なアレンジは失敗の素というのが痛い程わかる」
比叡「…そうだ……これ…早皆さんに食べてもらいませんか?」
日向「そう…だね。折角作ったんだから食べてもらいたいね」
29:
***************
──食堂
提督「日向に呼ばれた訳だが…」
天龍「オレも…」
摩耶「嫌な予感しかしない…」

金剛「楽しみデース!」
榛名「どうしたんでしょうか…急に」
霧島「呼び出された場所からして…そういう事でしょう」

日向「待たせたな」
提督「お、おう…!楽しみにしてたぜ…!?」
天龍「おう!楽しみ過ぎて暴れる所だったぜ!?」
摩耶「さ、さぁ!早く食わしてくれよ!」
日向「そう力むな、安心しろ」
提督「お、おう…?」
日向「今回は自信作だ、さぁ食べてくれ」コトン
天龍「シチュー…か」
摩耶「一見凄い美味そうだけど…」
提督「うむ…」
日向「毒は入ってないぞ」
提督(前の肉じゃがは毒よりも危険だったけどな…)
提督(だが…今回は自信があるみたいだし…臆しすぎるのも失礼か?)
提督「どれどれ」ズズ
30:
提督「お…おぉ…?」
天龍「どうした!?」
摩耶「大丈夫か!?」
提督「いや……これ普通に美味いぞ」
天龍「え…」
摩耶「マジか!?」バク
摩耶「んまい!!姉御!マジで美味いっすよ!」
天龍「お、オレも!」バク
天龍「ンオオオオ!うめええええ!!流石姉御だぜ!」
日向「……良かった」
提督「美味いぞ、日向」
日向「あなたにそう言って貰いたくて頑張ったんだ」
日向「その、何だ。また…作っても良いか?」
提督「ああ、頼むよ」
日向「そうか…!」
31:
──
比叡「お待たせしましたー!」
金剛「イェース!待ってたデース!」
榛名「それは…カレーですか?」
霧島「比叡姉様の…得意料理ですね」
比叡「はい!今度はちゃんと…。 美味しい カレーを作りましたから!」
榛名「……比叡姉様…?」
霧島(あら…わかってしまったのですね…)
比叡「ささっ!どうぞどうぞ!」サッサッ
金剛「ンー!美味しソウネー!」
比叡「はい!…実はですね……当番を外れてからずっと秘密の練習してたんですよ!」
榛名「えっ!そうだったんですか!?」
霧島「どうして黙って…」
金剛「エー!(棒)」
比叡「えと…その……皆さんに美味しい料理を食べてもらいたくて…」
比叡「もしバレてたら…今までみたいに皆さんは、私を傷つけないように美味しいって言うと思ったんです…」
比叡「隠してて…ごめんなさい!」ペコ
「Hey!比叡!頭を上げるデス!」
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