にこ「もし弓道部のエースがドル研部室の前で一人スクールアイドルの雑誌を読んでいたら」【もしうみ】back ▼
にこ「もし弓道部のエースがドル研部室の前で一人スクールアイドルの雑誌を読んでいたら」【もしうみ】
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海未「はっきり言います。アイドルは無しです!」
穂乃果「…じゃあ、海未ちゃんは何か考えてるの?」
海未「えっ。…いえ、特には…」
穂乃果「もういいよ!海未ちゃんには頼まないからっ!」ダッ
ことり「あっ、穂乃果ちゃーん!」パタパタ
海未(…怒らせてしまったでしょうか…)
『みんなのハート撃ち抜くぞー!』
『ラブアローシュート!』
海未(…穂乃果があんなことを言い出すから…つい、アイドルになった自分を想像するようになってしまいました)
海未(…もし穂乃果の気持ちが変わらないのなら、私も…)
キーンコーンカーン…
ミカ「園田さん?…どうしたの?」
海未「穂乃果を見ませんでしたか?…まだ校内にいるようなのですが」
フミコ「穂乃果ちゃんなら、ことりちゃんと図書館へ行ったよ」
海未「えっ…図書館?」
【図書館】
海未「穂乃果、ことり。…何をしているんです?」
穂乃果「勉強」
海未「えっ。…穂乃果が、勉強?」
ことり「海未ちゃん。失礼だよ?」
海未「す、すみません。しかし…廃校の件は諦めたのですか?」
穂乃果「諦めてないよ。でもアイドル部の申請に行ったら、ダメだって言われたから」
海未「生徒会に止められたのですか?」
ことり「うん。だから私たち…」
穂乃果「生徒会に入ることにしたの」
海未「えっ」
穂乃果「まず、ことりちゃんと私で生徒会を乗っ取るでしょ。そしたら廃校阻止のためにいろいろやるんだ」
海未「そ、そんなこと…難しいのでは?」
ことり「今の生徒会長と副会長は三年生だから、秋までには後輩に引き継ぐことになるでしょ?」
穂乃果「それまでに準備をしておいて、時が来たら私たちで生徒会を乗っ取る。幸い、こっちには理事長の娘もいるし」
ことり「えへへ♪」
2:
海未「それで間に合うのですか?…スクールアイドルはどうするんです?」
穂乃果「それは私じゃなくてもいいかなって。流行ってることだし、そのうち誰かがやると思うよ」
ことり「そのとき、今の生徒会長じゃなく私たちが生徒会を掌握していれば、スクールアイドルにも協力してあげられるし♪」
海未(ことりも穂乃果も本気のようです…今更スクールアイドルをやってみたいとは言い出せなくなってしまいました…)
ことり「そういえば、昨日言ってた部活動の資料持ってきたよ」
穂乃果「ありがと、ことりちゃん」
ことり「でも、やっぱり目立った実績のある部はないみたい…」パタ
穂乃果「だよね…やっぱり生徒会しかないかなぁ」
海未(アーチェリー部、合気道部、アイドル研究部…いろいろあるんですね)ペラ
海未(…部員が一人だけで今はまともに活動していない部もあるようですが…)
海未「…ん?」
【アイドル研究部・部室前】
海未「ごめんください。いらっしゃいますか?」トントン
海未(…反応がありませんね。誰もいないのでしょうか)ガチャガチャ
海未(開きませんか…出直しましょう)
海未(…スクールアイドル)パラパラ←穂乃果が持ってた雑誌
「アイドルになりたい?」
海未「…興味はあります。…ですが、私がアイドルになれるかと言われると…」
「なれるわよ。あんたにはその資質があるわ!」
海未「えっ。…あ、あなたは…?」
「矢澤にこ。覚えておきなさい…いずれ宇宙ナンバーワンに君臨するアイドルの名前よ!」
パタン パチ
にこ「…なるほど。廃校を阻止するために、ねぇ」
海未「…無謀だと思いますか?」
にこ「A-RISEがその人気でUTXに生徒を集めたんだから、できなくはないでしょ。何も無限に増やそうってわけじゃなく、とりあえず廃校にならない程度に集まればいいんだから」
海未「それはそうですが…」
にこ「とにかく、もうあまり時間はないわ。早練習を始めましょ」
海未(アイドル研究部の部長、矢澤にこ先輩はスクールアイドル経験者だったようです)
海未「大和撫子…ですか?」
にこ「そう。あんた、いかにもって容姿でしょ。私も、この自慢のつやつや黒髪があるし。だから二人で大和撫子アイドル!…どうよ?」
6:
海未「ですが、それなら曲や衣装もそれらしくしないと…」
にこ「問題はそこよね。衣装は借りてきて間に合わせるとしても、和風アイドルっぽい曲ってのが…」
海未「にこ先輩、作曲は?」
にこ「できなくはないけど、方向性が違いすぎるから…あんたはどう?」
海未「作詞なら何とかなるかもしれませんが、曲のほうは全く…すみません」
にこ「んー。新たに作曲ができるメンバーを勧誘するしかないかしらね…」
ことり「海未ちゃんが…」
穂乃果「スクールアイドル!?」
海未「…はい」
海未(穂乃果にダメだと言っておきながら…軽蔑されても仕方ありません)
穂乃果「そっか。頑張ってね海未ちゃん!応援するよ♪」
海未「え…でも私、穂乃果に…」
穂乃果「私はダメでも、海未ちゃんならうまくいくかもしれないでしょ。どっちが廃校を阻止できるか競争だよっ」
ことり「最初は大変かもしれないけど、私たちが生徒会の実権を握ったら協力するからね♪」
海未「穂乃果、ことり…ありがとうございます」ウルウル
穂乃果「もー、大袈裟だなぁ…友達なんだから当たり前だよ♪」
ことり「…作曲?」
海未「ええ。二人は経験は…」
ことり「ううん」
穂乃果「ないよ」
海未「…ですよね」ハァ
穂乃果「あ…でも、できそうな人なら知ってる…かも」
海未「本当ですか!?」
【音楽室】
真姫「ふーん…」
海未「お願いできませんか…?」
真姫「…いいですよ」
にこ「本当!?…できるの?」
真姫「和風の曲ってちょっと興味あったのよ。どんな物になるか保証はできないけど…やってみるわ」
うみにこ「やった…!」
8:
海未「ありがとうございます!」
真姫「…まだお礼を言うのは早いですよ」カミノケクルクル
海未(これで曲の目処は立ちました。次は…)
海未「練習場所はどうします?…グラウンドも体育館も空きはないようですが…」
にこ「学校にこだわらなければどうにでもなるわよ。二人しかいないんだし」
海未「それなら──」
「…あなたたち」
にこ「…げ」
海未「…生徒会長」
にこ「何の用?」
絵里「スクールアイドルが今まで無かったこの学校で、やってみたけどやっぱりダメでしたとなったら…みんなどう思うかしら」
にこ「無かったって…バカにしてんの?」
絵里「胸を張って“あった”と言える?…後輩たちは誰も知らないんじゃないかしら」
にこ「くっ…こ、この…」ギリッ
海未「落ち着いてください、にこ先輩…挑発に乗っては駄目です」
海未(…かつて、にこ先輩が挫折したように…また私たちが失敗するに違いないと生徒会長は考えているようですね)
にこ「絶対、あいつの思い通りになんてさせないわ!」
海未「ええ。そのためには──」
にこ「はぁ!?なにそれ…いつの時代のトレーニングよ!」
海未「体力をつけることは必要ですよ。にこ先輩、自信があるんですか?」
にこ「あ、あるに決まってんでしょ。私を誰だと思ってんの!」
海未「そうですか。自信があるなら、私と勝負してください」
にこ「ぅえ!?」
海未「にこ先輩が勝ったら、練習方法は先輩にお任せします。ただし私が勝ったら、今後練習メニューはすべて私が決めます」
にこ「い、いいわよ。やってやるわよ!」
ドタバタ
にこ「…も、もうダメ…」ヘロヘロ
海未「では、約束通り練習メニューは私に任せてください!」
にこ「うぅ…こんなはずじゃ…」ガクッ
海未(体力づくりとダンスや発声練習。毎日、地道に続けていれば…)
13:
海未「えっ。ライブ!?」
穂乃果「講堂を押さえておいたから。新入生歓迎会の日の放課後。どうかな?」
海未「ですが、まだライブができる段階では…」
穂乃果「そっか。…まあ、できなかったら直前キャンセルでも大丈夫だよ。まだスクールアイドルのライブをやるって言ったわけじゃないから、二人に迷惑はかけないよ」
海未(…私の想像を超えて、すでに穂乃果たちは生徒会長以外の役員を味方につけているようです)
にこ「…やるわ」
海未「えっ」
にこ「やるわよ。私たちのファーストライブ!」
海未(私たちは約一ヶ月後のライブ開催を目標に、準備に取り掛かることになりました)
海未「えっ。…穂乃果が?」
ミカ「うん。園田さんたちに協力してほしいって頼まれたんだ」
ヒデコ「音ノ木坂でスクールアイドルのライブができるなんて…楽しみ♪」
フミコ「生徒会も副会長と二年の三人は協力してくれるみたい。私たちも手伝うからね♪」
海未(…ここまでは信じられないほど順調ですね。あと問題があるとすれば…)
にこ「はぁ!?…あがり症? 今頃になって何言ってんのよ!」
海未「ひ、人前じゃなければ大丈夫だと思うんです。人前じゃなければ…」
にこ「…あんた、何か勘違いしてない?」
海未「はい?…何をですか?」
にこ「フェードアウトして長いブランクがある私と、素人のあんたで客が集まると本気で思ってんの?」
『胸を張って“あった”と言える?』
海未「そ、それは…」
にこ「そう。むしろ無人の客席に向かって歌う羽目になる心配をしたほうがいいくらいよ」
海未「人はいなくて当然…ですか」
にこ「まあね。それでも心配なら、慣れるように練習しときましょ」
海未(誰も来ないかもしれない…か。そう考えたら少し気持ちが楽に…)
海未(…いえ、それはそれで困るのですが)シクシク
ことり「描いてみたけど…どうかなぁ?」
海未(ことりが私たちのステージ衣装をデザインしてくれました)
にこ「いいわね。ありがと。これで作ってみるわ」
14:
ことり「私も手伝えればいいんだけど…ごめんね」
海未「いえ、充分ですよ。ありがとうございます」
海未(ことりも穂乃果も応援してくれている…皆の思いに応えなくては)
真姫「できたわよ。曲!」
海未(西木野さんが作ってくれた、私たちの曲…これでライブができます!)
にこ「あ、あんた…何者!?」
真姫「ん、何かマズかった?」
にこ(…この短期間で、このクオリティ…素人が作曲したとは思えないわね。これなら、いける…!)
海未「えっ。…私たちのグループ名ですか?」
ことり「うん。…ほら、ライブの告知とか載せるときに必要でしょ?」
海未「はあ…何でしたっけ?」
にこ「いや、それが…まだ決めてなかったわ」
ことり「えぇ…」
穂乃果「そんなことじゃないかと思って、募集箱置いてみたんだ♪」
海未「なるほど。一般公募ですか…」
にこ「募集はいいけど、集まるの?…私たちの知名度なんて皆無に等しいわよ」
穂乃果「でもほら、海未ちゃんは女の子にモテるし…あった!」カサ
ことり「あったね。一枚…」
にこ「…ま、無いよりマシね」
海未「えーと…μ's」
穂乃果「ああ、石鹸?」
海未「違います。…おそらく神話に出てくる女神からつけたのだと思います」
にこ「悪くないけど、大和撫子アイドルのイメージには合わないわね」
穂乃果「じゃあ、漢字にしてみたらどうかな? 薬用石鹸女神!」
ことり「石鹸から離れようよ…」
海未「なるほど…では、これならどうでしょう?」カキカキ
15:
『海渦(みうず)ファーストライブ!?五月女の宴?』
ミカ「うわぁ、和風っぽい…」
ヒデコ「何だろう、この厨二感…」
フミコ「みうず…」
生徒会A「さあ、あとはこれを…」
生徒会B「貼りまくって」
生徒会C「配りまくるよ!」
ヒフミABC「おーっ!!」
【新入生歓迎会・当日】
海未「皆さん、こんにちは!海渦の海こと、園田海未です!」
キャー! ウミセンパーイ!
にこ「にっこにっこにー!海渦の渦こと、矢澤にこでーす♪…って、なんで私が渦なのよ!?」
クスクス ライブマダー?
海未(なんだか偏った客層ですね…まあ、少しでも来てくれてよかったです)
にこ「じゃあいくわよ!海渦!」
うみにこ「ミュージック・スタート!」
オイデ オイデユウワクノダンサゲン♪
にこ「わたしはっ!あかい!薔薇の姫よー♪」
海未「やさしくさらわれーたいー♪」
コノキ セ キ ヲ コ イ ト! ヨーブノネー♪
海未(ライブは無事に終わりましたが…来てくれた人数は両手の指で足りる程度。とても廃校を防げるような注目を集めたとは言えませんね)
絵里「どうするつもり?」
にこ「フン…私たちがどうしようと、あんたには関係ないでしょ。自分から何もしようとしない…何もできないあんたにはね」
絵里「…」
【後日】
真姫「オコトワリシマス!」
海未(ファーストライブの結果も踏まえ、二人だけではインパクトに欠けると思い…新メンバーの獲得に乗り出したのですが)
にこ「歌も上手いしルックスもいいのに…もったいないわ!」
真姫「作曲はするからいいでしょ!…私はアイドルなんてやりたくないし」
海未(なかなか難しいですね…欲しい人材には事欠かないものの、実際に入ってくれる人となると…)
16:
海未「せめて他に、どなたか心当たりはありませんか?」
にこ「歌が上手い子とか、ダンスが上手い子とかいない?」
真姫「んー。いないこともないけど…」
凛「えぇ!?…り、凛が…アイドル?」
海未「はい。運動神経では誰も星空さんにかなわないと聞きました」
にこ「見た目も合格よ。スクールアイドル、やってみない?」
凛「そんなの無理ですよ…だって凛、可愛くないし…」
海未「そんなことはありません。それに私たちのライブにも来てくれたじゃないですか」
凛「あ、あれは偶々…凛は、かよちんを探してただけで…」
うみにこ「カヨチン?」
凛「とにかく、凛には無理ですから!」ダッ
にこ「あ、逃げた」
海未「いですね…噂どおりの素晴らしい能力です」
ビューン
真姫「かよちん?…ああ、小泉花陽ね」
海未「どんな方なんですか?」
真姫「メガネかけた、ちょっと地味めの子。アイドルって感じじゃないと思うけど…」
にこ「凛って子が言ってた通りなら、アイドルに興味があるのは間違いないわ」
海未「あとは資質の問題ですね…」
にこ「それと、本人のやる気ね」
【後日】
花陽「アイドルへの情熱は誰にも負けないつもりです!」
海未(小泉さんに続いて星空さん、西木野さんも加わり…海渦は五人になりました)
にこ「増えたのはいいけど、大和撫子のイメージが…」
凛「凛、髪も短いし…そういうキャラじゃないにゃ」
真姫「そんなのどうでもいいじゃない。それよりグループ名、何とかならないの?…海渦って」
凛「ちょっと寒くないかにゃー?」
花陽「あんまりアイドルっぽくはないよね…」
海未「そうですか…私が考えたんですが…そんなに駄目ですか」
真姫「ヴェぇ!?」
19:
穂乃果「ミューズはそのままで、実柚子(みゆず)ってどうかな? 爽やかな柑橘系のイメージ♪」
ことり「前のと大差ないような…」
真姫「…もう何でもいいわ」カミノケクルクル
にこ「よし。じゃあそれでいくわよ!今日から私たちは実柚子!」
海未(…大和撫子アイドルは一旦忘れて、五人で再出発です)
【室内プール】
バシャバシャ
ことり「穂乃果ちゃーん!」タタタ
ザバー
穂乃果「…ことりちゃん」
ことり「いよいよ選挙だね」
穂乃果「うん…」
ことり「どうしたの穂乃果ちゃん?…緊張してる?」
穂乃果「ちょっとね」
穂乃果(これで…よかったのかな)
凛「夏のかーおりオーレンジーすまい♪」
海未「静かなブルーシー♪」
ピッタンコーハドレダ♪
にこ「バッチリね!」
海未「そう…ですね」
花陽「海未先輩…?」
凛「どうしたんですかー?」
真姫「何か問題あるなら、はっきり言って」
海未「この曲…もう少し多い人数で歌ったほうが良いと思うんです…」
にこ「まだメンバー増やそうっての?」
凛「五人いれば充分だと思うけどにゃ」
海未(みんなよく頑張っています。完成度は申し分ないはず…私も、この五人で歌っていて楽しいですし)
海未(でも、なぜか…物足りない気がします…あるべきものがそこに無いような…)
ヒデコ「続いて新生徒会長、就任の挨拶。お願いします」
海未(各部活動の紹介ビデオを編集…その仕事を最後に、前生徒会長ならびに副会長は事実上の辞任となりました)
海未(オープンキャンパスという上半期を締めくくる一大イベントを待たず、異例の早さで引き継ぎ…何らかの不祥事があったのかもしれません)
20:
ことり「新生徒会長の南ことりです。よろしくお願いします」ペコ
穂乃果(これで、やっと…私たちも始められる)
絵里「…」スタスタ
絵里(私が…間違っていたの?)
【絢瀬家】
ナーニヲカナエヨーカナ ユメーアフーレダスー♪
絵里「…」ボー
コンコン
亜里沙「お姉ちゃん…起きてる?」
ガチャ
絵里「亜里沙…なに?」
亜里沙「お姉ちゃん…まだゲームしてたの?…ちゃんと寝ないと体に悪いよ?」
絵里「そうね…」ボー
亜里沙「お姉ちゃん…」
【音ノ木坂】
希(生徒会を辞めてから…エリちは脱け殻みたいになってしまった)
希(廃校を何とかしなきゃと焦って空回りしてたから…ひと休みして自分を見つめ直すいい機会だと思ってたけど…)
希(…廃校の件は南さんたちが何とかしてくれるかもしれない…けど、エリちは…)
にこ「オープンキャンパスのライブに、すべてが懸かってるわ。絶対に成功させるわよ!」
うみまきりんぱな「はい!!」
22:
にこ「な、なんですって!?」
希「エリちをμ'sに入れてあげてほしいんよ」
凛「実柚子だよー?」
真姫「それはいいから。…それより、あの生徒会長…いや、前会長が私たちの仲間になるとは思えないけど」
花陽「絢瀬先輩、私たちのこと…」
凛「嫌ってるよねー絶対!」
希「でも今のエリちには、もうそれしか…」
にこ「…いいんじゃない?」
うみまきりんぱな「えっ」
にこ「あいつに断られたって、こっちは痛くもかゆくもないし。誘うだけ誘ってみましょ」
海未「にこ先輩…でも、あの人は…」
『スクールアイドルが今まで無かった、この学校──』
海未(私をスクールアイドルに導いてくれた、にこ先輩の…苦労も努力も全部踏みにじるようなことを)
『一番実力があるというA-RISEも…素人にしか見えない』
にこ「言われた分くらいは言い返したつもりよ」
『関係ないでしょ。自分から何もしようとしない…何もできないあんたには』
にこ「それに…面白いじゃない?」
真姫「何が面白いっていうのよ」
にこ「散々バカにしたスクールアイドルに、あいつがちゃっかり加わったりしたら…最高に笑えるでしょ?」
希「…にこっち」
【三年教室】
絵里「…おしまいね」
真姫「は?」
絵里「あなたたちに同情されるなんて」フッ
にこ「フン…おあいにくさま。あんたなんかにかける情けは持ち合わせてないわよ」
希「ちょ、にこっち…」
にこ「私は面白いことをしたいだけ。…それができるのがアイドルよ」
絵里「面白いこと…」
希「生徒会じゃなくても、できることがあると思うんや」
海未「ええ。私たちはそう信じて、今までやってきましたから」
にこ「A-RISEが素人ですって?…だったら見せてみなさいよ。そう言えるだけの実力を」
23:
穂乃果「…で、そのあと剣道部でしょ。演舞が終わったら、すぐプールに移動して…」
ことり「穂乃果ちゃん、詰め込みすぎだよ…生徒会の仕事もあるんだから」
穂乃果「ことりちゃんが頼りです♪」
ことり「もう…わかったよ。こっちは任せて」
【屋上】
凛「痛いにゃぁー!><」
絵里「これくらい、できて当たり前!」
【オープンキャンパス当日】
穂乃果「…」ソワソワ
ことり「穂乃果ちゃん。…座ったら?」
穂乃果「う、うん…」ガタ
穂乃果「海未ちゃんたち…大丈夫かなぁ」
ことり「大丈夫だよ。希先輩たちも一緒なんだから」
穂乃果「でも、海未ちゃんすごく緊張」
ことり「もう!穂乃果ちゃん、海未ちゃんのことばっかり!」プクー
穂乃果「え」
ことり「一緒にいるのは私なのに…海未ちゃんのほうが良かった?」
穂乃果「そ、そんなことないよ。別に海未ちゃんだけじゃなくて──」チュッ
穂乃果「!?」
ことり「んっ…もう、海未ちゃんって言ったらキスするからね?」
穂乃果「だ、ダメだよ…ことりちゃん。こんなことしてる場合じゃ…今頃、海未ちゃんたち頑張って」チュッ
\♪ワタシタチノネーバエーンディンステーージ/
亜里沙「お姉ちゃん…よかった」ウルウル
海未(絵里先輩と希先輩が加わり、七人になった私たち…μ's)
凛「もう漢字は使わないのー? 凛は日本語のほうがいいと思うけどにゃ」
真姫「いや…海渦や実柚子とか、なんかダサいし…」
希「μ'sでいいやん?…センスあふれるいい名前やろ?」
にこ「よく言うわ…神話だか何かからパクってきただけでしょ」
希「パクりやないよ。インスパイア…いや、スピリチュアルやね」
花陽「スピリチュアルって何ですか?」
絵里「さあ…?」
26:
海未(絵里先輩の指導によって練習の質が飛躍的に向上し、最高のパフォーマンスを発揮した私たちは…)
花陽「オープンキャンパスのアンケートの結果、廃校の決定はもう少し様子を見てから…となったそうです」
絵里「直ちに廃校ってことだけはなくなったわね…でも」
海未(最終的に入学希望者が必要数集まらなければ、廃校の可能性はまだありますからね…)
穂乃果「…」ズーン
海未「穂乃果。よかったですね…穂乃果?」
穂乃果「海未ちゃん…どうしよう…」グス
海未「え」
穂乃果「守れないよ…ことりちゃんがいない音ノ木坂なんて…」ポロポロ
海未「ど、どうしたんです穂乃果?…ことりがいないってどういう…」
穂乃果「ことりちゃん…海外、行くって…」シクシク
海未「えぇ!?」
海未(新生徒会長になったばかりなのに、ことりは海外へ留学するとか…)
穂乃果「ことりちゃんは…私なんていらないんだ…」ポロポロ
海未「穂乃果…」
海未(生徒会を乗っ取ると言い出した頃は、あんなに張り切っていたのに…ことりがいないとダメみたいですね)
海未「穂乃果。聞いてください」ギュ
穂乃果「海未ちゃん…なに?」
海未「私、ずっと思っていたことがあるんです…」
27:
ことり「だって…穂乃果ちゃん最近、海未ちゃん海未ちゃんって…そればっかり」プクー
海未「そ、そんな理由で!?」
ことり「他人事みたいに言わないで。…ずるいよ海未ちゃんは」
海未「ことり…それを言うなら、私だって同じですよ」クス
ことり「えっ」
『はっきり言います。アイドルは無しです!』
海未「…あのとき、私があんなことを言わずに…穂乃果とスクールアイドルをやりたいと言っていたら。穂乃果の隣にいたのは私だったかもしれないって…そう思っていました」
ことり「海未ちゃん…」
海未「でも…穂乃果には、ことりが必要なんです。…ことりだって本当はわかっているはずです」
ことり「…」
海未「それに…穂乃果」チラ
穂乃果「…」ガチャ
ことり「…穂乃果ちゃん」
穂乃果「ことりちゃん…行かないで」ポロポロ
ことり「穂乃果ちゃん…」ギュ
海未「私、スクールアイドルをやってきたこと…後悔していません。おかげで廃校も阻止できたし、かけがえのない仲間もできました」
『アイドルになりたい?』
『…まだお礼を言うのは早いですよ』
『実柚子だよー?』
『アイドルへの情熱は誰にも負けないつもりです!』
『生徒会じゃなくても、できることがあると思うんや』
『面白いこと…』
海未「ことりや穂乃果も、何度も私たちを助けてくれて…この三ヶ月余り、本当に楽しかった。…だけど」
ことほの「?」
海未「違うんです。あのとき…私は、ただアイドルになりたかったわけじゃない。…穂乃果と一緒にやりたかったんです」
『もういいよ!海未ちゃんには頼まないからっ!』
穂乃果「海未ちゃん…」
ことり「…」ムー
海未「私、穂乃果が好きです。…そして同じくらい、ことりのことも好きなんです」
ことり「え」
海未「だから…私は、好きな人と好きなことをしていたい。…いけませんか?」ギュ
ことり「わ」
穂乃果「…海未ちゃん///」
28:
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