歩鳥と巨人の世界【それ町×進撃】back

歩鳥と巨人の世界【それ町×進撃】


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それでも町は廻っている×進撃の巨人 クロスSS
―亀井堂―
歩鳥「ねーちゃん、昔から気になってる事があるんだけどさ」
静「なんだ?」
歩鳥「この昔から置いてある丸い金属に四本足の変な顔ついた奴なに?」
静「あー、リドルの事?それね〜私も困ってんだよ〜〜〜使い道がわかんなくてさ〜。今なら安くてお買い得のオススメ商品だよ」
歩鳥「使い道のわからんもんオススメ商品にすんのかよこの店は」
静「これ昔からずっと売れ残ってんのよね〜」
歩鳥「うん、使い道わからんもんね」
静「でもさ〜何か手放したくないんだよね、これ。なんでかはわからないけどさ」
歩鳥「へー?これが?そんなにいいものなのかなぁ…」ジー
静「…で、買うの?」
歩鳥「買わんわ!!」
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2: 以下、
―喫茶シーサイド―
歩鳥「んー………」
ウキ「何考えこんでんだい?あの子は」
辰野「変な四本足の金属見つめて…いつも以上に変だわ」
紺「おい、何してんだお前?」
歩鳥「むう、これが何なのかさっぱりわからんのだよ」
リドル「…」
紺「このヘンテコな奴か?」
静「私の店に置いてあったものだよ〜〜」
歩鳥「そうそう」
ウキ「あー、どっかで見たことあると思ったら…」
辰野「あんたまさかこれ買ったの!?」
歩鳥「買ってねーよ!?調べる為に拝借してきただけだよ!!」
静「お買い上げありがと〜ございま〜す」
ウキ「ついに変なもんに金かけるようになっちまったかい…」
歩鳥「だから買っては無いってば!!」
3: 以下、
歩鳥「そう言えば、静ねーちゃんは何でこれをリドルって名付けたの?」
静「それ、裏っ側に文字のようなものが刻んであってさ〜。古いから全部はハッキリ見えないけど」
歩鳥「へー。あ、本当だ」
静「そんでいくつかだけはっきり見える部分があって、それらを逆さまから読むと片仮名の『ル』『トリ』に見えるんだよ」
歩鳥「ほほー、確かに見えない事もない」
静「なので、それらの文字から適当にリドルと名付けました〜〜」
歩鳥「本当に適当だな」
カランカラン
真田「お、何やってんだ嵐山」
辰野「真田くん!いらっしゃい!!」
歩鳥「おや、真田ではないか。いいところにきた」
紺「真田、お前これ何だと思う?」
リドル「…」
真田「あ、これ亀井堂さんとこのじゃねぇか。まさか嵐山買ったのか!?」
歩鳥「だから買ってねーっての!!」
4: 以下、
ウキ「しかし、本当に何なんだろうねそれ。不気味だよ」
辰野「処分すればいいのに…」
静「でもなー。なんかよ〜、捨てたく無いんだよな〜それ」
辰野「えー…これがですか?」
歩鳥「むう…確かに、ねーちゃんの言ってること分かるかも。なんか…見てると不思議な気分になるというか…」
真田「はあ?」
歩鳥「なんか懐かしい気持ちになるような…」
紺「…んー…確かに何か引っ掛かる気はする。なんというか、どっかで見たか?」
歩鳥「そりゃあ、亀井堂に昔から置いてあるからね」
紺「そういう事じゃなくてな…」
辰野「二人とも何言ってんの。気のせいに決まってるでしょ、そんなの。他の人が何か感じるから自分もそう感じるって錯覚してるだけよ」
真田「…いや、言われてみりゃ、俺もなんか変な感じがしないでもない…」
辰野「うん、真田くんが言うならそうかも知れない!ほら歩鳥、私にも見せなさい!!」
歩鳥「なんてメガネなんだこやつは」
5: 以下、
辰野「…」ジー
歩鳥「どう?」
辰野「…んん、確かに、何かを感じる気がしないでも無いわ」
紺「おー!やっぱりこいつには何かあるんだ!!」
真田「なんか嫌な気分では無いんだよな」
歩鳥「そうそう、むしろ何故か懐かしい感じ」
静「私も〜」
辰野「私はなんか懐かしい気持ちとちょっと嫌な気分が混じってんだけど…」
歩鳥「それはタッツンがひねくれてるからだよ」
辰野「ひねくれてないわよ!本当にそんな感じがするのよ!」
静「むう…四人は同じく懐かしい気持ちになるのに対し、タッちゃんだけはそれに嫌な気分も混じってると…この違いにも何か意味がある気がするな」
辰野「タッちゃんじゃなくてタッツンです。いや、辰野です」
6: 以下、
ウキ「…もう一度裏っ側に書いてあるっていう文字でも解読してみたらどうだい?何かわかるかも知れないよ」
歩鳥「うん、そうだね」クルッ
紺「これか」
辰野「確かに消えかかってて読めないわね」
静「…」
歩鳥「むー…」
真田「読めそうか?」
歩鳥「む、逆さまから読むと……『ホトリ・アラシヤマ』?」
紺「は?」
歩鳥「あらやだ、私の名前が書いてある!?」
辰野「真面目に読みなさいよ」グイッ
歩鳥「待て待てタッツン!真面目に読んだら本当にそう見えたんだよ!」
静「どれどれ〜?見せてみな」
歩鳥「あ、他にも逆さまから読めそうな部分があった」
真田「ん?」
歩鳥「ル………ノ…」
歩鳥「タミ?」
静「確かにそう見えないこともない」
紺「だが、何の事かさっぱりだな」
7: 以下、
歩鳥「…あれ…」フラッ
真田「!」
ドサッ!
静「!!」
ウキ「歩鳥!?」ダッ
歩鳥「うわ、うわ…なんだこれ、頭グワングワンする…!」ヨロッ
紺「おい、どうしたんだよ!?」
真田「嵐山!!」
辰野「ちょっ…待ちなさい歩鳥、気分悪いなら無理に動いちゃ駄目よ」
歩鳥「ううう…」ズキッ
ズキッ
辰野「!」
紺「うわっ!」ズキッ
真田「なんだ…!?」フラッ
静「…私もか…」クラッ
ウキ「!?おい、どうしたんだいあんた達!!」
辰野「な、なにこれ…意識が、どこかに飛ばされ…」
ウキ「え!?」
ドサッ
歩鳥「ば、ばーちゃん…」クラッ
ウキ「歩鳥!!!」
リドル「………」
ゴオオオオオオオ………
歩鳥「…だれ…?私にだれかが話かけてくる…」
???「ありがとう………ずっと忘れない」
歩鳥「あ、あはは…思い出した……あなたは…あなた達は………」
カアアアアアアッ!!!
8: 以下、
―――――――
―――――
―――
パカラッパカラッパカラッパカラッパカラッパカラッ!!!
エルヴィン「奇行種だ!総員立体機動に移れ!!」
ミケ「はっ!!」バシュッ
奇行種「…」ズシンッズシンッ
リヴァイ「あんまり動き回るんじゃねぇ…綺麗に削げねぇだろうが」バシュッ
ズバッ!!!
848
巨人の出現により追い詰められた人類は、広大な壁を築き、その中で100年の間、巨人からの攻撃を防ぎながらくらしていた。
しかし、今より三年前、超大型巨人の出現により壁の扉部分が破壊され、大量の巨人の侵入を許してしまう。
人類はウォール・マリアを放棄、3分の1の領土と2割の人口を失った。
9: 以下、
―ウォール・ローゼ―
訓練兵団施設
サシャ「今日から訓練兵も二年目ですね〜」
コニー「二年目も頑張っていこうな」
ジャン(順調に成績は上がっている…このまま行きゃ憲兵団も夢じゃねぇ)
アルミン「………だから、どう考えたっておかしいんだよ。何でたった100年前の歴史を誰も知らないのか」
エレン「そうだよな。書物どころか話でも残って無いのは変だよな」
ミカサ「私、昔…両親に歴史の事を聞こうとしたらはぐらかされた事がある」
エレン「…タブーって事か?」
ミカサ「私にもよくわからない」
アルミン「………王政にとって不都合だから隠したいとしても…ただ誰も喋らないだけで本当に歴史を隠し通せるものなのだろうか」
ミーナ「みんな、ちょっとちょっと!」
ジャン「ん、ミーナか。どうした?」
ミーナ「クリスタが馬小屋でコソコソしてたからさ…何かと思ってちょっと覗いてみたら……見たことない人が五人くらい隠れてたみたいなの!!」
ジャン「なんだって?」
ミーナ「これ、教官に言った方がいいのかな…もし強盗とかだったらクリスタが危ないよ」
11: 以下、
馬小屋
歩鳥「な、な、なんなんだよここは……周り高い壁に囲まれてるしし外国人ばっかりだし」
辰野「しかもなんか少し古い雰囲気だし…なんなの?何が起きたのよ?」ガタガタ
真田(なんだこれ…夢か?夢なのか?)
紺「………」ハラハラワクワク
静「おやおや、一名不可解な状況にハラハラしながらもワクワクしてるね〜〜」
歩鳥「先輩オカルトみたいなの好きですもんね…」
紺「だって、こんな奇妙な出来事に巻き込まれたらワクワクしちまうだろ!?」
辰野「そりゃ紺先輩が特別なんです…私は怖くて仕方ありません」
静「ユニコーンの描かれた軍服を着た連中に何故か追いかけられたしな〜」
辰野「どうすんのよ。またそいつらに見つかったら私達どうなるの?」ガタガタ
真田「でも、事情話してここに匿ってくれたクリスタって人は優しかったし…話せばちゃんと聞いてくれる人もいるんだよ」
静「うーん、いい人もいるのはそりゃそーだろ。問題なのは、ここは何なのか。何故私達はユニコーンの描かれた軍服を着た連中に追われたのか…」
歩鳥「何か、大きな秘密が隠されている気がするね」
歩鳥(しかし…この世界に来る前に何か夢を見た気がするけど……思い出せないな)
12: 以下、
「…ここか?」
「待ってよ、あの人達は…」
「お前はお人好し過ぎるから逆に信用ならん。本当に大丈夫な奴かどうか確かめなきゃならん」
「でも…」
「ユミルの言うことも最もだ。教官にはまだ言わないからまず僕らにも会わせてくれ」
「うん…」
真田「外から話声が…」
歩鳥「なにやら私達の事を話しているのかな?」
紺「何が来るんだ…まさか宇宙人!?」
歩鳥「さすがにそれはないっすよ先輩」
ガチャッ
ユミル「…」ギイッ
アルミン「…」チラッ
歩鳥「めいどっ!」ビッ
アルミン「え!!?」ビクッ
辰野「なにやってんだお前は!!」ベシッ
歩鳥「ごめんなさい!シーサイドの癖で!」
ユミル「…」
13: 以下、
アルミン「あ、あの…君たちは…」
辰野「だいたいあんたはいっつも緊張感が無さすぎんのよ!!」
歩鳥「な、緊張感くらいあるわ!変な世界飛ばされて心臓バクバクしてるわ!!」
辰野「じゃあ、さっきの『めいどっ!』は何よちょうちんまんじゅう!」
歩鳥「訳のわからん悪口言うなタッツンメガネ!!」
紺「そのまんまじゃねぇかそれ」
真田「お前らよせって…」
アルミン「…」
ユミル「…」
クリスタ「あの…」オロオロ
静「やー、ごめんなさいね。この子達まだ子供だから」ザッ
アルミン「あ、はい」
ユミル「…あんたらは何だ?どこから来た?」
静「そりゃ私達も聞きたい事だ〜」
ザッザッ
ジャン「騒がしいな…噂の変な奴等ってのはここか?」チラッ
歩鳥「あ、また1人増えた」
ジャン「なんだ、タヌキみてぇな奴だな」
歩鳥「た、た、タヌキィ!?初対面に失礼だぞ馬面ああ!!」
ジャン「んな!?誰が馬面だコラア!?」
紺「どっちもどっちだな」
辰野「家に帰りたい…」ズーン
真田「つーか、本当なんだよこの状況」
15: 以下、
予想外すぎるクロス
16: 以下、
ユミル「…クリスタ、アルミン、ジャン。ちょっとお前らは出ててくれ、私1人で話聞くから」
アルミン「え?」
ユミル「…もしかしたら指名手配されてる人間かも知れないから調べてこい」
ジャン「命令口調かよ…まあ、調べてやる」
クリスタ「悪い人ではないと思うけど」
ユミル「いいから行けって」
アルミン「わかったよ、調べてみる」
歩鳥「ちょっと待ったー!私達ゃ指名手配なんかされてないよ!!」
ユミル「わかってるよ、あいつらをここから離すために適当に言ったんだ」
歩鳥「へ?」
ユミル「…まず、あんたらはどこから来た?壁の外から来たのか?」
紺「壁の外?」
静「どこからってそりゃあ、日本からだけど〜〜」
ユミル「………どうやって来たんだ?」
真田「気付いたらここに…」
ユミル「気付いたら?」
静「私達もパニックになってんだよ。訳のわからない内に気付いたらこんな場所にいて」
ユミル「…嘘ついてる感じではなさそうだな」
ユミル「まあ、とりあえずこの世界の人間で無いのは見れば一発でわかる。服装がこの時代のものではない」
歩鳥「は!確かにこの世界の人ってちょっと服装古いよね!!」
静(…『この時代』…気になる言い方だな)
17: 以下、
歩鳥「そういえば、私達馬の絵の軍服来たオッサンどもに追いかけられたんだよ!!」
ユミル「憲兵か。なんか悪さでもしたのか?」
辰野「何もしてないです…急に追いかけられて……」
ユミル「…そりゃあ、中央第一憲兵かもな」
歩鳥「安全第一先生?」
真田「嵐山、今はちょっと静かにしててくれ」
ユミル「この壁の世界を裏から操ってる奴等の一部さ。お前らが明らかにこの世界の服装ではないから、壁の外から来たとでも思われて追いかけられたんだろ」
紺「なんだそりゃ…」
18: 以下、
真田「え…じゃあ、もし捕まってたらどうなってたんだ?」
ユミル「まあ、拷問受けながら質問攻めでもされただろうな」
歩鳥「ひえっ」ブルッ
紺「拷も…」ゾーッ
辰野「あーもーやだ!!何でこんな事になっちゃったのよー!!」
歩鳥「落ち着けタッツン!私だって泣き叫びたい気分だ!!」
真田「だが俺も急に恐ろしさが倍増したよ…」
静「うむ…だが、こういう状況だからこそ冷静さを保たなければならない。焦りは思考を鈍らせ、思考が鈍れば命も危うくなる」
辰野「でもどうすればいいんですか…」
ユミル「…」ハァ
ユミル「仕方ねぇな、何かわかるまでこの訓練所に身を隠せばどうだ」
静「ん?」
ユミル「とりあえず見た目をちょっと変えときゃ大丈夫だろ、そいつらはお前らの服装に反応してきたんだからな。そんで暫くはここにいたらいいんじゃないか?確か途中からでも入団できたはずだしな」
歩鳥「そ…それはありがたい!!」
19: 以下、
紺「でもよ…信用していいのかな?」
歩鳥「え?」
辰野「そうよ、もしかしたらこの人も私達を騙してる可能性だって…」
歩鳥「う、疑うのかよ〜!?」
真田「疑いたくはないけど…わからないしな…」
静「この子達の言う通り、あなたとは初対面だし、いきなり信用していいかどうかはわからないよ」
歩鳥「ねーちゃんまで…」
ユミル「まあ疑うのは当然だわな」
静「でも、私達は何もわからない状況だし…頼れそうな誰かに頼るしか無い」
歩鳥「私は信じるよ!!」
ユミル「…」
真田「あ、やっぱ俺も信じる!!」
辰野「!!!私も信じます!!!」バッ
ユミル「え!?」
紺(この二人意見コロッと変えやがった)
静「あらら、信じる派が一気に増えちゃったね〜」
ユミル「…」
紺「…まあ、あんたも嘘ついてるようには見えないし」
静「じゃあ、私もあなたを信じるとしよう」
ユミル「そうかい」ハァ
20: 以下、
――――――
シャーディス「…新しい入団希望者?」
アルミン「はい、こちらの五名です」
シャーディス「ふむ…年齢は?」
歩鳥「はい!」ザッ
ユミル(年齢は14〜16くらいで答えとけ)
歩鳥「ピッチピチの15歳です!」
辰野「15歳です」
真田「15です!」
紺「16…です」
静「16歳であります」
歩鳥(厳しい!!さすがに16歳は厳しいよ姉ちゃん!!)
辰野(聞いてる方が恥ずかしいわ…)
キース「ふむ…1人年齢相応には見えんな」
静「!!」
歩鳥(やっぱりダメだったかー!!?)
シャーディス「お前」ポンッ
歩鳥「へ、私?」
シャーディス「12歳くらいではないのか?」
歩鳥「!?!?!?!?!?!?」
辰野「ぷぷっ…っ」
紺「くっ…ふふ…」
真田(すまん、嵐山…吹き出しそうだった)プルプル
歩鳥「な…な…っ」プルプル
静「ドンマイドンマイ」ポンッ
21: 以下、
シャーディス「…で、どこから来たのだ?」
静「巨人の襲撃によりウォール・マリアを追われ開拓地に過ごしていました……。最初は巨人への恐怖から兵士になることをためらっていたのです。しかし、色々と考えた結果、何か人類の役に立ちたいと思いここへ来ました。我々五名、心臓を捧げる覚悟は出来ております」バッ
真田(ユミルさんから聞いたこの世界の基本的な話だけでよくこんな長い台詞がスラスラ言えるもんだ)
歩鳥(さすが姉ちゃんだな)
シャーディス「ふむ、まだ教えてもいないのに敬礼も綺麗にできている。名前は?」
静「亀井堂……いや、シズカ・カメイドウであります」
シャーディス「ふむ、他の者は?」
静「こちらの丸いっこい子がホトリ・アラシヤマ」
歩鳥「まるっ…!?」
静「その隣の金髪の猫みたいな子がフタバ・コン」
紺「…」コクッ
静「可愛い顔した男の子がヒロユキ・サナダ」
真田「か、可愛いだなんてそんな…」
辰野(そうよ、真田くんはイケメンで可愛いのよ!わかってるじゃない静さん!)
静「で、こちらの眼鏡の子がタッちゃん」
辰野「え!?」
22: 以下、
辰野「ちょっ…待って」
歩鳥「そうだよ、待ってよ姉ちゃん!」
辰野「歩鳥!」
静「ん?」
歩鳥「タッちゃんじゃなくてタッツンだよ!!」
辰野「おいコラ!!!」
静「あ、ごめんごめん〜〜〜。タッツンね」
辰野「いや、ちが…っ」
シャーディス「了解した。シズカ・カメイドウ、ホトリ・アラシヤマ、フタバ・コン、ヒロユキ・サナダ…と、タッツンだな」
辰野「んなああっ!!?」
静「よろしくお願いします」
歩鳥「なんかワクワクしちゃうね!!」
辰野「ほ〜〜と〜〜り〜〜〜っ!!!」ギロッ
歩鳥「うわ!ちょっと、怖いよタッツン!!」
辰野「あんたが余計な事言うせいでしょうが!!!」
紺「ドンマイ」ポンッ
24: 以下、
―――――――
―――
「…憎い…」
「……人間は、どうしようもない…愚か者だ…」
「禁断の領域まで足を踏み入れ………そして……」
「………フェアリー………」
「人類は、罪を………」
「…滅ぶべき…」
――――――
ガバッ!!!
エレン「はあ!はあ!………うっ…」
アルミン「エレン」
エレン「!」
アルミン「何かうなされていたみたいだけど…どうしたの?」
エレン「…何か夢を見ていたはずなんだが…忘れちまった」
25: 以下、
――――――
チュン チュン
サシャ「今日もいい天気ですね」
ミカサ「ええ」
ザッザッザッ
アルミン「あ、ミカサ。おはよう」
エレン「よっ」
ミカサ「エレン、アルミン、おはよう」
サシャ「おはようございます!」
ミカサ「…!エレン、顔色があまりよくないみたいだけど…」
エレン「ああ…思い出せねぇけど、嫌な夢を見ていた気がするから…そのせいかも知れねぇ」
ミカサ「大丈夫?熱はない?」ペタッ
エレン「大丈夫だっての!ベタベタしなくていいって!」
アルミン「相変わらず仲のよろしいことで」
ミカサ「…べちこ焼を作って元気づけてあげたいところだけど、私は作り方を知らないから作れない…残念」
エレン「お前たまに言うよな、べちこ焼。そんな美味いもんなのか?」
ミカサ「ええ、お母さんが昔作ってくれていた……でも、お母さん以外の人はそんなお菓子は知らないらしい。何故だろう」
アルミン「お母さんのオリジナルのお菓子とかではないの?」
ミカサ「違うと思う……『大昔はべちこ焼は平和の味と言われていた』ってお母さんから話を聞いたことがあるし」
エレン「つまり昔からあるもんなのか」
ミカサ「そのはず」
アルミン「不思議な話だね…」
26: 以下、
―訓練兵団食堂―
歩鳥「んー!うまーい!」バクバク
紺「いっつもパンとスープばっかりだろ…」
歩鳥「美味いもんは美味いんですよ!私はね、食べ物こそ世界に平和を導く存在だと思っているんです!何故なら美味しいもんは美味しいんですから!」
紺「よくわからんがまあ、言わんとしていることはわかる」
真田「でもさすがに飽きてくるな…」
歩鳥「じゃあ貰うよ」
真田「いや、貰うなよ!?」
辰野「サシャみたいねあんた…全てが」
歩鳥「全てがってどういう事だ!?」
静「はいはい、食事は静かにね〜」
歩鳥「ほい」
辰野「すみません」
真田「しかし、もう入団してから3ヶ月たったんだな」
歩鳥「いい人が多くて良かったよ〜」
静「フタバちゃん何か訓練の上達具合が凄いよね〜〜〜」
紺「そ…そうっすか?」
歩鳥「本当に凄いですよ先輩は、教官からも『確実に上位十名に入る』って言われてるぐらいじゃないですか!」
辰野「前からなんでも出来ますよね、紺先輩は」
27: 以下、
静「真田くんとタッちゃんもなかなかだし…でも、歩鳥はもう少し頑張った方がいいね」
歩鳥「いや〜、お恥ずかしい」エヘヘ
紺「お恥ずかしいじゃねぇよ、このままじゃ巨人の餌になるって教官に言われてたろうが」
歩鳥「ま、まあ…別に巨人と戦うつもりはないし〜?そもそも私、探偵志望だし?もっと言えば私ゃ指揮官向きみたいな?」
辰野「あんたが指揮官の部隊なんて絶対に入りたくないわ…」
歩鳥「失敬な!」プンプン
真田「ははは」
静「ま、安心して過ごせる場所で良かったじゃないか〜〜〜」
歩鳥「戻る方法がわからない以外には特に不満はないね!」
辰野「…そう…私は、すごーく納得いかないことがあるんだけど………」
歩鳥「ほう?なんぞや?」
ザッザッ…
エレン「お、お前達ももう来てたのか。おはよう、サナダ、ホトリ…タッツン」
ミカサ「おはようタッツン」
辰野「………おはよう」ニコッ
ジャン「お、タッツンじゃねぇか」
ライナー「よう、タッツン!」
サシャ「タッツン!パンをください!」
コニー「おい、タッツンツンのパン取るなよサシャ」
クリスタ「タッツン、おはよう」
ベルトルト「おはよう、タツノ」
アニ「タッツン」
マルコ「タッツン」
シャーディス「タッツン」
辰野「なんでこんな『タッツン』が浸透してんのよ!?しかも1人タッツンツンって呼んでるやついないか!?」
歩鳥「わ、私に言われても困るよ!?」
紺「1人ちゃんと名前呼んでね?」
辰野「え?誰が?」
30: 以下、
静「まー、それは別に重要な事じゃないからさておき…」
辰野「な!重要です!私にとったら!」
紺「落ち着けよ、辰野。私は辰野って呼んでるだろ」ポンッ
真田「そう怒るなって。俺はタッツンってアダ名いいと思うぞ?」
辰野「!!!」ズキューンッ
タッツンってアダ名いいと思うぞ→タッツンってアダ名可愛くて好きだぞ→タッツン好きだ
辰野「た、タッツンでいいよ、もう…むしろ呼んで……」
歩鳥「こいつ今とんでもない脳内変換しなかったか?」
ジャン「相変わらず騒がしい奴等だな、お前らは」ザッ
歩鳥「よ、おはようジャンホース」
ジャン「…今おれ馬鹿にされた気がしたが」
真田「悪い、あいつに悪気は無いんだ……たぶん」
ジャン「サナダ、お前あんな奴のどこに惚れたんだよ」ボソッ
真田「いいだろ別に!お前なんて敵いっこ無い奴相手に惚れてるじゃねぇか」コソコソ
歩鳥「なにコソコソ話てんだ君たち」
真田「な、何でもないよ」
マルコ「二人とも片想い同士仲いいね…」
ジャン「うるせぇよ!」
31: 以下、
紺「…」ボー
サシャ「コンセンパイ、パンいらないくださいよ。えへへ…」ヌッ
紺「わっ!?」ビクッ
静「双葉ちゃん、朝食くわなきゃ力出んぞ〜」
紺「腹へって無いですし…」
歩鳥「ダメだよ、サシャ。紺先輩のパンだからね」
サシャ「はい、すみません…」
紺「いいよ、別に」
歩鳥「よぐねー!」
サシャ「じゃあコンセンパイ、昼飯はちょっとでいいですから…ちょっとで!」ハアハア
歩鳥「あんたも食い意地めちゃくちゃ張ってるね」
紺「つーか、コンセンパイじゃなくてコンかフタバって呼べよ。センパイはつけなくていいよ」
辰野(きっとコンセンパイで1つの名前だと思ってるんだろうな)
エレン「だから、巨人がまたいつ来るかもわからねぇのにそんなお花畑みたいな考えでいいのかよ!」
ジャン「あー、うるせぇな!人がどう生きようが勝手だろうが、誰しもお前みたいに死に急ぎじゃあねぇんだよ!」
ミカサ「…」
紺「またやってるよ、あの二人…」
アルミン「すみません、いつも見苦しいところを…」
静「どっちの言い分もまあ、わかるかね…両方極端な気もするが」
真田「でも、確かに巨人がまたいつ来るかはわからないんすよね…」
静「私はまだまだ大丈夫だと思うけどね〜…あと二年くらいは」
歩鳥「そういや姉ちゃん少し前からそんなこと言ってるけど、どういう根拠があるの?」
アルミン「…シズカさんの言うことも何となくわかります。何か人為的な…計画的なものを感じるというか…」
歩鳥「へえ?」
静「ま、あまりデカイ声じゃ言えんな…どこに誰がいるか分からんし。自分で推理したまえ、歩鳥」
32: 以下、
―座学―
教官「…で、巨人はこのうなじの部分を弱点とし。立体機動による攻撃が最も…」
エレン「…」
アルミン「…」
真田「…」
コニー「できた、教官の似顔絵!」
サシャ「見てください、私も描けましたよ!」
歩鳥「眼鏡しか似てねー!」ウヒヒ
コニー「お、お前は巨人の絵を描いたのか、ホトリ!」
歩鳥「私も教官の似顔絵だよ」
マルコ「三人とも、真面目に受けなよ」
歩鳥「申し訳ありません…」
静「歩鳥、座学は真面目に受けろ。この世界の事がわかる私達には一番大事なことだぞ」
歩鳥「申し訳ありません…」
紺「…」シャキッ
静「見ろ、あの双葉ちゃんが真面目に受けてるんだぞ」
歩鳥「本当だ!」
静「あの子も真面目に聞いてこの世界の仕組みを理解し正体を推理しようと…」
歩鳥「いや、単に異世界とかの類いが好きなだけだと思うけどね、先輩は」
教官「さて、何か質問はあるか?」
真田「あのー…巨人ってうなじ以外に弱点は無いんですか?」
教官「うむ、それ以外に弱点は今のところ発見されていない…」
辰野「前から思ってるんですけど、飛行機とか作らないんですか?空を飛べたら便利だと思うんですけど」
教官「…」
ライナー「…」ジロッ
辰野「あれ?空を飛ぶ乗り物とか無いんですか?立体機動装置なんてものがあるなら…」
教官「ヒコーキなどというものは聞いた事が無いが…空を飛べるような乗り物などこの世には無い。全く、何年生きてきたんだ?お前は」
辰野(え、空を飛ぶ乗り物存在しないんだ)
静「…」
ライナー「…」ヒソヒソ
ベルトルト「…」
アニ「…」
33: 以下、
――――――
辰野「はあ…なんか少し恥かいたわ。この世界に空を飛ぶような技術なんてなかったのね…」
静「いや、いい質問だったよ。この世界の真実に一歩近づいた気がするね〜」
歩鳥「いや〜、でもタッツンが先生からアホな子みたいに言われるの初めて見たよ!」
辰野「あんた少し嬉しそうじゃない?」ギロ
歩鳥「失敬な!?そんなことは無いぞ!?」
アニ「ねえ…あんた」
辰野「え、あ、私?」
アニ「ちょっと来てほしいんだけど」
辰野「え?まあ、いいけど」
歩鳥「あり?友達?」
辰野「いや、話すのも初めてだけど…まあ行ってくるわ」
34: 以下、
ザッザッザッ
アニ「…」
辰野「あのー…話ってなに?なんか結構遠くまで歩いてるけど」
ザッ ザッ
辰野「!!」
ライナー「…」ジロッ
ベルトルト「…」
辰野「え、いつの間にあんた達も…!」
ライナー「大声は出すなよ」グイッ
辰野「!?」
アニ「ごめんなさい…タッツン」
辰野「え、な…なに!?なに!?」
ベルトルト「大丈夫だ、タツノ。おとなしくしていれば命は奪わない…」
辰野「え…ちょっ、どういうこと…?何なの、あんた達……」
ライナー「タッツン、俺の質問に正直に答えろ……座学の時に、『飛行機』と言ったな?」
辰野「!!」
ライナー「なぜ飛行機なんてものを知っている?この壁の中にそんなものはないはずだ…」
辰野(わ、私…もしかして、ヤバい事言っちゃったの!?)
ライナー「お前は何者だ?」
辰野(うそ、なにこれ、マジでヤバいんじゃないの?)ガクガク
35: 以下、
辰野「う、うう…」ジワッ
ライナー「!!あ、おい待て、泣くなタッツン…」
アニ「ライナー…焦るのはわかるけど抑えて。タッツン、怯えてるから…」
ライナー「す、すまん…」
ベルトルト「…」
辰野「な、なによ…何なのよ、三人とも…」ガクガク
ベルトルト「…まずはこっちの質問に答えてくれ」
辰野「わ、私だってわかんないのよ!気づいたらここにいて!!」
ライナー「…?」
アニ「どういうこと?」
ベルトルト「君はどこから来たんだ?」
辰野「…たぶんこことは違う世界だと思うけど…あんた達に言ってわかるか知らないけど、日本にいて…訳のわからないうちにここに…」
ライナー「ニホンだと?」
アニ「…」
ベルトルト「どうする?ライナー…本当に何もわかっていなさそうだが」
ライナー「…もう少し監視して様子をみておこうか」
アニ「…」
辰野「監視って…別に何もしないわよ…私…」
アニ「あんたが本当の事を言ってるのか嘘をついているのかわからないし、私達も命がけでやってるんだ…悪いけど、危険分子になりそうなものを簡単に見逃す訳にはいかないんだよ…タッツン」
36: 以下、
辰野「あ、あんた達こそ何者なの?」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」
ライナー「俺達は、この壁に攻撃を仕掛けた張本人だ…」
辰野「え…?」
ライナー「俺が鎧の巨人で、このベルトルトが超大型巨人だ」
ベルトルト「…」
辰野「な!!?」
アニ「嘘に聞こえるかも知れないけど、本当だよ」
ライナー「なぜこんなことを教えたかわかるか?タッツン」
ベルトルト「…もし、僕達の事を誰かに話し、僕達に不利な事をやらかせば……いつでも巨人になり君たちを潰せるということだよ」
辰野(つまりとんでもない脅迫かよ!!)
ライナー「最後に1つ…よく一緒にいる他の四人は仲間か?」
辰野「!!」
辰野「ち…違うわよ。たまたま息が合っただけで赤の他人、私とは無関係よ。だから手を出す必要なんて無いわ」
ライナー「…」
ベルトルト「そうか…」
アニ「まあ、身を守りたいなら無駄な発言はしないこただよ、タッツン」
辰野(…はあ……なんで、なんでこんなことに………)
辰野(そして…)
辰野(明らかに緊迫感漂う展開のはずなのにどっか間抜けに感じるのは何でだろう)
※タッツン呼びされてるからです。
37: 以下、
――――――
歩鳥「おーい、タッツンツンツーン!」
辰野「はあ…」
歩鳥「………」
歩鳥「ツンツーン……フューチャーメガネ」
辰野「…はあ…っ」
歩鳥「おい、どうしたんだよ!タッツン!?いつもみたいに突っ込み入れてよ!?」ガシッ
紺「なんだ、真田にフラれたのか?」ニヤニヤ
辰野「……」
紺「…おい、マジでどうしたんだ」
辰野「ごめん、今は1人にして…」
歩鳥「な、なんだよ〜本当にどうしたんだよ〜〜」
辰野「1人にしてって言ってるでしょ、ちょうちんフグ!!」
歩鳥「ちょうちんフグ!?二回目の暴言だ!!辰野め〜、私は本気で心配して…」
辰野「うん…ごめん…」
歩鳥「…え、あり?」
紺「…今は1人にしといてやろう、何があったかは知らないけど…」
歩鳥「うん………」
辰野「…」
静「………人には言えない悩みでもあるのかい〜?」
辰野「すみません…誰にも言えないです……」
静「…了解〜」
静(人には言えない悩み……トシ子ちゃんの様子がおかしいのは座学のあと、アニちゃんに呼ばれた後から…)
静(見た感じ外傷はないとなれば………ふむ………)
静(やはりいるな〜……スパイの子供が…)
38: 以下、
―――――
翌日
―男子寮―
ライナー「おい、お前ら起きろ。朝だぞ」
真田「んー…今日は休みだしいいじゃないか…」
アルミン「ダメだよ、生活のリズムが狂うから…エレンも起きなよ」
エレン「おう…」ガバッ
ジャン「今日こそ…今日こそミカサをデートに誘う…」
マルコ「うん…頑張りなよ…」
真田「ふふ、俺こそ今日は嵐山とデートに…」
コニー「サナダ、サッカーしようぜ」
真田「すまん、コニー…今日こそは嵐山とデートすると誓ったんだ!」
コニー「お、おお…よくわかんねぇけど頑張れよ」
39: 以下、
―女子寮―
歩鳥「こーんせーんトッ!起きてください!」
紺「…」スー スー
歩鳥「むう…起きんな…」
サシャ「さすがは超低血圧ですね」
歩鳥「おい、起きろ先輩!紺双葉!金髪ネコ!パンツ脱がすぞ!」
静「後でぼこぼこにされても知らんぞ、歩鳥」
紺「んう…ほとり…いまたすけに…いく…」
歩鳥「また寝ぼけてるよこの人は…」
紺「バキュウウウンじゃねぇよこの野郎…」フラッ
辰野「いつもの事じゃない。そのうち目覚めるからほっときなよ」
歩鳥「あ、タッツン!今日は大丈夫!?」
辰野「まあ、昨日よりは…」
40: 以下、
クリスタ「ホトリ…いる?」
歩鳥「あ、クリスタ!どうしたん?」
クリスタ「さっき教官から私とユミルとホトリで食料の買い出しを頼まれたんだけど…」
歩鳥「いいよ!この少女探偵にお任せあれ!」
ミカサ「探偵は関係ないと思うけど」
歩鳥「じゃあ、ちょっくら行って来るよ」
静「おー」
辰野「気を付けんのよ」
紺「さるつええ…」フラッ
43: 以下、
歩鳥「さーて、お出掛けの準備はいいかな?」
クリスタ「うん」
ユミル「…」
歩鳥「ユミル、返事!」
ユミル「ヘイヘイ」
ユミル(こういう奴苦手なんだよなぁ…私…)
歩鳥「で、何を買いに行くの?」
クリスタ「え、教官から聞いたじゃん!」
歩鳥「ありゃ?なんだっけ…」
ユミル「ああもう、物覚えの悪い奴だ」
クリスタ「えっと…」
ユミル「…」
歩鳥「ああ、そうだった!クリスタは賢いねー」
クリスタ「賢いって…おつかいくらいちゃんと出来なきゃ…」
歩鳥「あはははは」
クリスタ「はははっ」
ユミル(しかし…なんか…)
ユミル(普段、誰も気づいちゃいないが…私以外には自分を表に出さず表情作ってるクリスタが……)
ユミル(あのホトリ相手には少し心開きかけてないか?)
歩鳥「よーし、馬を持ってこい!」
クリスタ「ダメだよ、馬乗って町に出ちゃ〜」
ユミル(…顔も性格もガキみたいなとこがクリスタに無意識の内に安心感を与えていやがるのか…?)
歩鳥「てかさー、クリスタ」
クリスタ「どうしたの?」
歩鳥「なんか他の人と話すときは表情作って無理してる感じあるけど、もっと普段から私といる時みたいにしなよ?」
クリスタ「え!?そ、そんな…ことは…」オロオロ
歩鳥「ま、いいけどさ」
ユミル(しかも変なとこだけ勘が鋭いなこいつ!?)
44: 以下、
紺「ふああ………ん?なにしてんだ、歩鳥」ボリボリ
歩鳥「あ、やっと起きたんですね、先輩!これから買い出しに行くんです。一緒に行きますか?」
紺「うん…いいよ。暇だし」
ユミル「人数無駄に増やすなよ…」
クリスタ「まあ、いいじゃん。ユミル」
歩鳥「双葉ちんは強いからボディーガードとしても最適だなんよ」
サシャ「では私もついて行きましょう」ヌッ
紺「うわ!?いつの間に!?」
クリスタ「うん、いいよサシャ」
サシャ「け、決して買った食料をちょっとつまみ食いしようなんて考えていませんからね…?決して!」ハアハア
ユミル「考えてるなこりゃ」
歩鳥「よーし、出発だーい!」
45: 以下、
―――――
コニー「サナダ…やるんだな?今、ここで!」
真田「ああ、勝負は今、ここで決める!!」
エレン「なに言ってんだ、お前らは」
真田「…嵐山!!」バンッ
静「ん?どーした魚屋のヒロユキくん」
辰野「あ、真田くん!」
真田「…あれ、嵐山は…?」
静「食料の買い出しに出たよ〜〜」
真田「………」ガクッ
辰野「さ、真田くん…あの、私と…」
アニ「ねえ、タッツン」
辰野「」ビクウッ
アニ「いや、怯えないでよ…」
辰野「な、なんでしょう…」
アニ「ちょっと来て」
辰野「うん…」
静「…」
静(ま、今はまだ様子を見ていようか)
ジャン「サナダは不戦敗で撃沈したか…ならば次は俺だ!」ダッ
ミカサ「…」
ジャン「ミカサ!!」
ミカサ「あ、エレン!」ガタッ
ゴンッ!
ジャン「ごふっ!!」←ミカサが立ち上がったと同時にミカサ頭突き直撃
ミカサ「エレン、おはよう…今日も素晴らしい天気ね」
エレン「おう、そうだな…いや、今日ちょっと曇ってるぞ」
アルミン「…」
ジャン「がはっ…」ガクッ
マルコ「ジャン…君って奴は…」
真田「でもちょっと嬉しそうだな、お前」
ジャン(ミカサの髪の毛なかなかいい匂いだったぜ…)
46: 以下、
静「…ライナーくんとベルトルトくんは?」
エレン「あれ?どこ行ったんだあいつら」
ミカサ「さっき外に出ていったのが見えたけど」
アルミン「何しに行ったんだろう」
静「…ふんふん…なるほどね……ま、いいや」
静「ちょうどここにいるメンバーは訓練兵団の中でも信頼出来そうな人間ばっかだし…ちょっと話してみようかね」
真田「?どうしたんすか、亀井堂さん」
静「ちょっと面白い話を聞かせてやろう。この世界についての…私の推理をね」
静「ま、ただの推理だから本当の事かはわからんが……もしかしたらこの世界の住人である君たちの役に立つかも知らんし…聞くかい〜?」
アルミン「興味あります、聞かせてください!」
静「君なら興味を持つと思ったよ。じゃ、話そうか。まず、この世界は色々と不自然なんだよな〜…」
真田「…」
47: 以下、
―――――――
歩鳥「えーと、あとは芋を…うわ、こんな買わなきゃいかんの?」
クリスタ「まあ、訓練兵団に使う食料だからね…」
サシャ「え?私なら1人で食べきれ…」
紺「食べきるなよ」ゴチンッ
ユミル「さっさと終わらせて帰ろうぜ…」
カランカラン
店主「毎度〜、いつもありがとね」
「おう、この飯屋はうめぇからな。また来るぜ」ザッ
「…ん?」
クリスタ「だから〜…」
歩鳥「えー?」
(ありゃ…クリスタか?まあ、今は別に関係ねぇな)ザッ
歩鳥「あ!」ボトッ
ゴロゴロ!
ユミル「ばっ!何落としてんだお前!」
紺「しっかりしろよ、あほとり!」
歩鳥「すみません!すみません!」ガッガッ
クリスタ「二人ともそこまで言わなくても…落としちゃったのは仕方ないし…」
「…お嬢ちゃん、ここまで転がって来たぜ」ザッザッ
歩鳥「あ、誰だか知らないけどありがとー!オッチャン!」
ケニー「もっと気をつけて歩けよ」
48: 以下、
――――――
辰野「…あの……どこまで行くの?町抜けて平原まで来たけど…」
アニ「人気の全くない場所までさ」
ベルトルト「…この辺りなら誰にも見られないな」
ライナー「よし、壁の上に行くぞ。こっそり立体機動装置を持って来た…掴まれ」
バシュッ!!!
ザッ
ライナー「…もうすぐかな…」
辰野「へー…壁の上からの景色初めて見た…」
アニ「綺麗でしょ?」
辰野「うん…」
辰野「って、私の心境は今それどころじゃないわ!!」
ベルトルト「心配しなくていいよ、ちょっと会わせたい人がいるだけだから」
辰野「え?」
ライナー「俺達だけで状況を判断するには難しいからな…」
ライナー「ジーク戦士長に会ってもらう」
辰野「せ…戦士長?」
49: 以下、
四足巨人「…」ザッザッザッ
辰野「あれ、壁の下に何か来たよ?」
四足巨人「…もうすぐ戦士長が来られます」
辰野「ひい!!?喋った!!?」
ベルトルト「わかった、お疲れ様」
辰野「な、な、あんな化け物と知り合いなのあんたら!?」
ライナー「化け物とは失礼だな…」
アニ「まあ、否定はできないけど…」
ライナー「む、来たぞ」
獣の巨人「…」ズシッズシッズシッ
辰野「で、ででで……デカイ猿……」ガクガクガクガク
アニ「へえ、猿も知ってるんだ」
ガシッ!!!
獣の巨人「…」ガシッ!ガシッ!
辰野「ちょっ!登ってきた!!登ってきたよ!!?」ビクウッ
ライナー「大丈夫だって」
アニ「理由なけりゃ何もしないよ」
辰野「り、理由があれば何かするの…!?」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」
辰野「三人して無言になるなよ!更にこえーよ!?」
獣の巨人「騒がしい女の子がいるな〜〜…」ズシッ
辰野「ギャアアア!!?こいつも喋ったあああああ!!?」
バシュウウウウウ………
ジーク「ふう…」ザッ
ライナー「お久しぶりです、ジーク戦士長!」
ジーク「ん、いいよ…楽にして」
辰野「な、中から…オッサン出てきた…」ベタッ
ジーク「その子?問題の子は」
ベルトルト「はい」
50: 以下、
ジーク「へえ…」ジロッ
辰野「ひっ!?」ビクッ
ジーク「…日本人で………平成辺りの子かな?」
辰野「!!?な、なんで…」
ジーク「正解だった?平成ねぇ…その時代はまだタイムマシンとかの技術も発達してないはずだよなぁ……おかしいなぁ」
辰野「???」
ジーク「あ、固まってないでいいよ。座って楽にして」
辰野「は…はい…」ガクッ
ライナー「…何かわかりましたか?」
ジーク「残念ながらわからないなぁ…どうやってここに来たのか…君にもわからないんでしょ?」
辰野「…はい…」
ジーク「ふーん…」
ジーク「そうだな、全く違う時代から来た人間をころすのも…あれだな」
辰野(ころすって…何か物騒なこと言ってるし……)
ジーク「…俺にもわからないんだよな…」
辰野「え?」
ジーク「自分達のやっていることが正しいのか、間違っているのか…そもそもこの世に正しいものなんてのが本当にあるのか?」
辰野「?????」
ジーク「…タッチャンだっけ?」
辰野「タッチャンじゃなくてタッツンです。じゃなくてタツノです」
ジーク「…君…」
ジーク「この世界の行く末の見届け人にならないか?」
辰野「…へ?」
54: 以下、
辰野「ど、どういうことっすか…?」
ジーク「ん…ま、いずれ詳しい話をするさ。まだ早いからな」
辰野「…?」
ジーク「そうそう、最後に1つ。ここに来る前の状況とかは…どんな感じだったの?」
辰野「えっと…丸くて四足で変な顔のついた置物を見てて……」
ジーク「色は?」
辰野「『白』でした」
ジーク「…どっかで聞いたことあるような、無いような…たぶん無いかも」
辰野(なんか変な人だなこのオッサン)
ジーク「ま、いいや。ライナー、ベルトルト、アニ、この子と訓練兵団に戻っていいよ」
ライナー「はっ」
55: 以下、
――――――――
ユミル「…もう少しだ。あとは量少ないから手分けして買いに行こう」
クリスタ「そうだね」
歩鳥「じゃあ、じゃんけんでわかれよー!」
ユミル「いや、ホトリとフタバはこっち来い」
歩鳥「勝手に決めなすっちゃったよこの人!」
紺「私は別なんでもいいけど…」
ユミル「クリスタ、サシャ、そっちは任せたぞ」
クリスタ「うん」
サシャ「行きましょう、神様!」
ザッザッザッ…
ユミル「………さて、ちょっと話があるんだが…」
紺「…なに?」
歩鳥「双葉ちん、人によって態度変えすぎだよ〜」
紺「だって別にユミルとは仲良くないし…」ボソッ
歩鳥「ほー。紺先輩、ユミルと仲良くなりたいってさ!!」
紺「そこまでは言ってねえよ!!」
ユミル「…漫才はいいから聞きたいことがあるんだ」
歩鳥「へい」
56: 以下、
ユミル「ここに来るとき、変な置物を見ていたとか言ってたな?」
歩鳥「うん」
ユミル「どんな置物だ?」
歩鳥「えっとー、姉ちゃんがリドルって名付けてたんだけど…見た目は巨人みたいな変な顔がついてて、四足で丸い形」
ユミル「…色は?」
紺「『白』」
歩鳥「うん、『白』だった!」
ユミル「…!!!」
ユミル(…まさか……こいつら………)
57: 以下、
――――――
その頃…
世界は戻り、丸子商店街
―病院―
歩鳥「…」
辰野「…」
真田「…」
紺「…」
静「…」
医者「…検査してみたところ…五人は今まで見たことの無い状態になっていました……」
ウキ「…!!どういう事ですか!?命は大丈夫なんですか!?」
医者「はい、命に別状はありません…むしろ健康で……しかし、脳に少し変わった事が起きていまして」
ウキ「…!?まさか、脳に異常が…」
医者「異常…というか、ものすごい勢いで脳が活発に働いている、というか…」
ウキ「は、はあ?ど、どういう事ですか…?」
医者「わ、私にもさっぱり…」
ウキ「医者がさっぱりとか言うんじゃねー!!!」
医者「すみません!!」
医者「あの…この五人の親御さんが来る前にもう一度状況を説明してもらいたいのですが…」
ウキ「私にも突然の事で訳がわからなかったんだ………ただ」
ウキ「この、リドルとかいう…奇妙な顔の付いてて四足で丸くて…色は」
ウキ「『黒』の置物をみていたら、こうなっちまったんだ」
58: 以下、
――――――――
ユミル「………」
歩鳥「ん?どうしたの?ユミル」
ユミル「いや、何でもねえ………」
紺「何だよ…」
ユミル「………ちょっとトイレ行って来るわ」ザッザッ
歩鳥「私もついていこーかえ?」
ユミル「来んでいいわ!!?」
歩鳥「はい」
紺「あいつが戻って来る前に残りの買い出し終わらせておこう」
歩鳥「そうっすね!」
ユミル「………」
ユミル「まさかな…そんなバカな事は……」
59: 以下、
歩鳥「そーいやさ…ずっと気になってるんだけど…」
紺「どうした?」
歩鳥「この壁ってどうやって作ったんだろうね?」
紺「どうやってって、まあ……地道に作って行ったんじゃね?」
歩鳥「えー?おかしいよ?」
紺「ああ?」
歩鳥「外には巨人いるのに…こんなデカイ壁なんか作る余裕なんてあるのかな?」
紺「…あぁ…言われてみりゃ、確かに…」
歩鳥「………なにか…匂うぞ…」
紺「屁でもしたのか?」
歩鳥「ちゃうわ!!」ベシッ
クリスタ「あ、二人とも終わった?」ザッザッ
歩鳥「あ、雑談してたら忘れてた」
クリスタ「はは…」
サシャ「ユミルは?」
紺「トイレだってよ」
歩鳥「…二人に聞きたいんだけどさ…」
サシャ「なんですかー?」
歩鳥「この壁の製造方法とかって知ってるの?」
サシャ「え?あー…いや、知らないですねぇ…」
クリスタ「ごめん、私も聞いたこと無い…」
歩鳥「つまり、訓練兵団ですら建造方法を教えない?……ええ?」
紺「…技術の悪用を防ぐために製造方法を伏せているとかいう可能性は?」
歩鳥「それはわかんないな…でも……」
歩鳥「………ん………?」ピクッ
歩鳥「そういえば…壁教とかいう宗教があるらしいね……?」
60: 以下、
―――――――
真田「ついにこの世界の正体が…!?」
静「いや、すまんがまだそこまでは行ってない。とりあえず一部に関する推理だが…」
静「この世界には色々と変な部分がある…そう思うところはないかな?君たち」
アルミン「王政は壁の外へ興味を持つことをタブーとし…外の世界に関する書物を所持していると憲兵に取り上げられるとおじいちゃんから聞いたことがあります」
エレン「なんでそこまでして壁の外に興味を持たせたがらないんだろうな…巨人がこえーからか?」
アルミン「……それだけなんだろうか…」
エレン「あと、この兵団のシステムだ…巨人に対抗できる力をつけた人間ほど巨人から遠ざかる事ができる仕組み…」
ジャン「そりゃ仕組みじゃなくて個人の問題だろ。憲兵に入れるような奴でも巨人と戦いたけりゃ調査兵にでもなるだろうし……俺は闘いたくねぇから憲兵だがな」
エレン「だから…皆がそんなんじゃ…」
真田「わかったわかった、今は抑えて」
エレン「すまん…」
静「…そこはジャンくんの言うことも一理あるだろうな…仕組みとか関係なく個人の意識の問題でもあるだろう。ただ…」
静「意図的なものも感じるがなぁ…」
マルコ「…巨人と戦う人間を憲兵に行かせることで意図的に人類側の兵力を抑えているということですか?」
ミカサ「…そんなことをしても人類側にメリットはないと思うのだけれど…」
静「うん。普通に考えればねぇ…ただ、私は…」
静「王政側は意図的に人類が発達しないようにさせてる風に見えるね〜」
61: 以下、
アルミン「僕も薄々それは気づいていました…何かを隠しているように…」
静「とりあえず…ここで私の考えを話そうか」
静「王政側は外の世界に感心を向けさせないようにしている、そして昨日のタッツンの質問…『空を飛ぶ技術』……100年もいて空を飛ぶ技術を発展させようと思わなかったのか?巨人の脅威にさらされず安全に外を偵察できる手段だと思うんだがな……」
アルミン「…」
静「そして、エレンくんとアルミンくんとミカサちゃんから聞いた、シガンシナ区に現れた『超大型巨人』『鎧の巨人』と呼ばれる特殊な巨人」
アルミン「あの2体は恐らく…知性を持っています…無知性にはできない計画的な行動でした」
静「そう、知性持ち……そもそも巨人ってなんだろうな〜?」
コニー「デカくて強い奴だ」
静「うん。まあ、そうなんだけど…そういう事じゃなくてね」
静「この巨人の生態もおかしいと思ってるんだ。無知性巨人は、人間以外は食わず…そもそも食事自体を必要とせず、生殖器を持たない…」
静「更に巨人の出現した詳しい理由は教えられていない…なぜ、どこから急にこんな奴等が出現したんだ?」
ジャン「…」
静「おかしいよな〜……私は、巨人は自然な生き物ではなく人為的に生み出された何かだと思うんだよ」
アルミン「…」
静「そしてシガンシナ区に現れた知性を持つ巨人………」
静「壁の外の情報を隠したがる王政………壁の外には不都合な事があるとしたら………」
真田「…」
静「例えば………壁の外には別の人間が暮らしていて…その人間が、知性を持った巨人の正体で、何らかの恨みを持って攻撃しに来たとかな」
62: 以下、
エレン「そ、そんな無茶苦茶な…」
静「でもさ〜、こう考えた方が辻褄が合う気もするんだよね〜…」
静「この数年、全く超大型巨人と鎧の巨人が現れないのは何故だ?いつでも攻撃し簡単に滅ぼす事だってできるだろうに…」
アルミン「……目的がよくわかりませんね…」
コニー「巨人だから気まぐれにやってるんじゃないのか?」
静「コニーくん。忘れないで欲しいのは…鎧も超大型も知性を持っているという点だ」
静「知性を持ち計画的な行動のできる奴等が気まぐれだけで攻撃なんかしないだろう…理由があって攻めてこないんだ」
ミカサ「…壁の中に潜伏している可能性も?」
真田「でも、そんなデカイ奴等がどうやって潜伏なんか…」
エレン「だが、あいつらは急に姿を消したりも出来た…」
静「それだ。それは本当に『姿を消した』のかな?」
静「前の私の仮説に戻ろう…知性を持った巨人の正体が人間と仮定した場合…」
アルミン「…!そうか!」
アルミン「原理はわからないけど…もし、人間の手で巨人になったり、人間体に戻ったりする技術があり…それが可能なら」
アルミン「あれは消えたのではなく、巨人になっていた人間が人間体に戻り…その後壁内に潜伏した!?」
エレン「!」
静「おー、私の言いたいことを見事に言ってくれたね〜」
ジャン「なるほどな…それなら攻撃してこないのもわかる……何かを探る為に潜伏しているのか?」
アルミン「少なくとも確実に二人は…まだいるかも知れない」
静「…ま…犯人探しは今はよそう」
エレン「え、でも、本当にいるなら早く見つけた方が…」
静「焦らない、焦らない」
アルミン(…シズカさんの仮説の前提でいけば…外から来た人間が壁内に潜伏している…もし、潜伏するとしたらどこが一番都合がいい……)
アルミン(情報を集められ、知らない世界でも生活に困らず比較的安全に身を隠せる場所…)
アルミン(…訓練兵団…?)
63: 以下、
静「あと1つ…身近にあって必要不可欠なもので謎の満ち溢れたものが無いか?」
ミカサ「壁」
静「お、ミカサちゃん即答〜!」
真田「確かに壁って建造方法とか…どうなってるんですかね。そもそも巨人がいる状況でどうやって…」
エレン「あるのが当たり前だからそこまで考えてなかったな…」
アルミン「普通に作ったにして不自然ですね」
静「と、言うわけで私は1ヶ月前、歩鳥と共に壁教に接触を試みた訳であります」
ジャン「マジっすか!?」
マルコ「なかなか勇気ありますね…」
―回想―
静「すみませーん」
ニック「なんだね、君たちは?」
歩鳥「壁についてお聞きしたいことがあるのですが…」
ニック「神聖なる壁がどうしたのかね?」
静「どうやって作ったんですか?あれ」
ニック「あれは天より与えられし壁…人智の及ばぬ神の手による産物だ」
歩鳥「はあ?なに言ってんだこのオッサン」
静「…」
静「壁掘って中調べていいっすか〜?」
ニック「貴様!神聖な壁に傷をつけるなど…神への冒涜だぞ!!「
静「あはは、冗談ですよ〜〜」
歩鳥「ねーちゃん、この人変だよ!逃げよう!」
静「…」
―――――――
静「…で…その後壁の材質が気になりこっそり削ろうと思ったのだが…」
ミカサ「聞いてる方が怖い…」
静「壁が固すぎて傷すらつかんかったよ」
アルミン「本当、勇気ありますね…」
エレン「あの壁教とかいうのは昔から言ってることがおかしいんだ…」
静「…果たしてそうかな?」
エレン「え?」
64: 以下、
――――――
歩鳥「前に壁教のオッサンと接触したとき…何だか意味不明な事を言っていた」
紺「ああ…言ってたなそんな話。ただの変なオッサンだったんだろ?」
歩鳥「いや…やっぱり考え直してみよう……外観で人を判断するやつは探偵失格であります」
『人智の及ばぬ神の手による産物』
歩鳥「………作ったのは…人間じゃない………?」
紺「はあ?」
歩鳥「でかくて…頑丈で………いっぱい………」
歩鳥「!!!」ピキリイイイインッ
歩鳥「クリスタ!!シガンシナ区に来たっていう特殊な巨人…なんだっけ!?」
クリスタ「え!?えっと…」
―――――――
静「端から見りゃただの頭おかしい奴等だろう…だが、私には何かを必死に隠してるように見えたね、都合の悪いものを」
アルミン「都合の悪いもの?」
エレン「でも…人間を守るために作られた壁なのに、何で都合が悪いんだ?」
真田「だよなぁ…」
静「だが、壁の製造方法を誰も知らない…そして壁教と呼ばれる過剰なまでに壁を崇める宗教……つーか宗教がこれくらいしか存在しないのも臭いな」
アルミン「…」
静「で、私なりに考えてみた…壁の正体。一般人に知られたら都合の悪い材料で……固くてデカくてたくさんあるもの、な〜〜んだ?」
アルミン「…固くてデカイ…?」
静「超大型巨人と鎧の巨人の特性は?」
アルミン「超大型巨人は壁と同じくらいの大きさがあり……鎧の巨人は頑丈な皮膚を………」
アルミン「…!!!」
真田「あ!」
ジャン「まさか…」
静「私の仮説前提で、人間が巨人になれる技術があり………そして、超大型巨人と鎧の巨人の特性を合わせた巨人を複数生み出せたとしたら?」
――――――
歩鳥「そう!超大型巨人はめちゃくちゃデカイ…鎧の巨人は固い!!もしもこの2つの特性を持った巨人がいたとしたら…!!」
歩鳥『人智の及ばぬ神の力!!』
65: 以下、
歩鳥「壁って巨人で出来てんじゃね!!?」
66: 以下、
面白い
67: 以下、
クリスタ「え…ど、どういうこと…?」
サシャ「壁が巨人って……ど、どこが巨人なんですか!?あれの!!」
歩鳥「んー…私にもよくわからんのだけど」
紺「結局よくわからんのかい!」
歩鳥「ただ…」
「その話…詳しく聞かせてくれないかな?」ザッザッザッ
クリスタ「!」
歩鳥「だれだ!?」バッ
サネス「壁がなんだって…?」ザッ
68: 以下、
――――――――
ザッザッザッ…
辰野「………」
アニ「…ごめんね、変なことに巻き込んで…」
辰野「…ごめんねって言われても、私どうすればいいのよ」
アニ「…ごめん」
辰野「…」
ベルトルト「…」
ライナー「アニ…あまり同情するのはやめておけ」
アニ「…わかってるよ…」
辰野「…あなた達は、普段なにを考えているの?皆を騙して平気なの!?」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」
辰野「ライナー、普段の楽しそうにヘラヘラしてる姿も演技だっての!?」
ライナー「……好きに思えばいい…勝手にしろ」
辰野「な!」
ベルトルト「…今まで平和に暮らしていた君にはわからないよ…」
辰野「はあ!?」
ベルトルト「罪を犯して………自分を保ち続けるのは、簡単な事じゃないんだ」
辰野「…?」
アニ「…」
アニ「…ライナーもベルトルトも、本心では平気な訳じゃないんだよ」ボソッ
辰野「!」
69: 以下、
―――――――
アルミン「…壁が巨人で出来ているかも、知れない…」
ミカサ「……まさか、そんな…」
静「まあ、私もただの推理だから本当かはわかんないよ」
コニー「でも、あんなまっ平らな壁のどこに巨人が使われてるんだよ!?」
アルミン「…中にぎっしり詰まっているとか…?」
ジャン「こえーよ…」ゾーッ
真田「でも、それなら確かに壁教が過剰になるのもわかるかも……」ブルッ
エレン「…」
ミカサ「!エレン、どうしたの?」
エレン「いや、なんか…頭が……」ズキッ
アルミン「大丈夫?」
エレン「……う……うう……」ズキッ
ミカサ「エレン!?」
ジャン「おい、どうしたお前…」
エレン「…」ドサッ
真田「え!?」
静「エレンくん、どうした!?」
エレン「………」ガバッ
ミカサ「エレン、どうしたの?」
エレン「…」ユラッ
アルミン「…?」
ザッ ザッ ザッ
コニー「おい、エレンの様子が変だぞ」
エレン「………」ザッザッ
静「!な、なになに…私に近づいて。どうした〜…?」
エレン「…」スウ
グイッ!!
静「!!?」
真田「おい!?」
アルミン「エレン!?」
エレン「オマエハ…危険ナ存在ダ………キエロ……」グググググッ
静「かはっ!?」
ミカサ「なにをしているのエレン!?」ガバッ
アルミン「やめろ!!」バッ
70: 以下、
辰野「…ただいま…って、ええ!!?」
ベルトルト「な、なんだあれ!?」
辰野「エレンが何で静さんの首しめてんの!!?」
ジャン「あ、お前ら!エレンがおかしいんだ!!」
ライナー「おい、エレン!!」
エレン「キエロ…」グググググッ
静「ぐう…っ!」
ミカサ「やめなさいエレン!!」ガバッ
エレン「…ジャマヲ…スルナ…」
アルミン(どうしたんだ?目付きがおかしい!?)
ライナー「エレン、なにしてんだ馬鹿が!!」グイッ
エレン「…」
ライナー「!!!」
ライナー(目付きがいつもと違う!?この目は…まさか…戦士長から聞いた)
ライナー(座標を持つものの目!?)
静「ごほっ!ごほっ!」ガクッ
真田「亀井堂さん!!」
辰野「大丈夫ですか!?」
静「あ、ああ…大丈夫だよ…ごほっ」
71: 以下、
エレン「…!!?」ハッ
ミカサ「エレン…!?」
エレン「あれ、俺いま…何を…」
アルミン「…」
コニー「…」
ジャン「…」
ライナー「お前は、さっき…」
静「ごほっ」
エレン「ごめんなさい!な、なんで今、俺は…」
エレン「本当にごめんなさい!ごめんなさい!!」
静「いい、気にするな…エレンくんは普段から口は悪いが仲間想いのいいやつなのは知ってる……」
真田「…エレン、どうしたんだよ?」
エレン「ごめんなさい…でも、俺にも何故か……」
静「…君がシガンシナにいて巨人の被害に遭って…巨人への憎しみが強いのを知ってる」
静「それなのに私が楽しそうに巨人についての推理を語っちゃったからね……色々な感情が混ざって不安定になっちゃったかも知れない。こちらこそごめんな」
エレン「いや、シズカさんは悪くないです…」
ジャン「…ま、昨日の訓練は激しかった上にお前はまだ訓練するとか言って徹夜してたからな…疲れてんだろ…」
コニー「そ、そうだなきっと。エレンはあんなことするやつじゃないからな」
静「気にするな。誰でも疲れることはあるさ」ポンッ
アルミン(…本当にそれだけだろうか…目付きがいつもとは明らかに別人だった…エレン、君は……)
静(…どう見たって普通ではなかったな…もちろんエレンくん自信はいい子なのは知ってる)
静(…エレンくん自身が知らない何かが彼の中にあるのか?)
73: 以下、
ユミル「………」ザッザッザッ
ジャン「お、ユミル…」
コニー「あれ!?お前…その怪我どうしたんだ!?」
ユミル「…すまん」ガクッ
エレン「おい、何があったんだ!?」
ユミル「クリスタ、サシャ、ホトリ、フタバが………憲兵に連れていかれた」
アルミン「!?」
真田「ええ!?」ガタッ
ユミル「私も追いかけたんだが…返り討ちにあっちまった…」
ユミル(ケニーとか言う奴がめちゃくちゃ強かったな…くそっ。あいつさえいなけりゃ…)
ミカサ「どういうこと?」
静「次から次へと…なんなの?」
ユミル「…ホトリがいらねぇ事叫んじまったらしい…」
コニー「もしかして壁に巨人がいるって話か?」
ライナー「!?」ビクッ
ユミル「は!?なに言ってんだお前!?」
コニー「いや…さっきまでそういう話してたからよ…推理で」
ユミル「…その話したのあんたか?」
静「あはは〜…」
ユミル「…さすがあんたの弟子だな…」
ユミル「全く同じ事を街中で叫んで憲兵に見つかったんだ」
真田「!!?」
アルミン(え…じゃあ、推理当たってたの…?)
静「あ…あいつは〜」
静「街中でそういう事叫んじゃ駄目だろ〜〜………。たまに勘は鋭いのにどっかぬけてるんだよなぁ、もう………」ガクッ
74: 以下、
教官「…」ザッザッザッ
教官「エレンくん、ちょっといいかい?」
エレン「!」
ユミル「!」
ミカサ「あ…ウルクリン教官」
ウルクリン教官「…さっき窓の外で見えてたけど…」
エレン「…あ!」
静「もしかして…あ、気にしなくていいですよ。私が悪かったんですから…」
ウルクリン「いや、でもね…ああいうのを見たら教官として話をしなくてはならないんだよ」
エレン「…シズカさん、おれ行きますよ。やっぱりおれが悪いし」
静「そうか〜………叱るだけで許してあげてください……」
ウルクリン「わかったよ。来いエレン」
エレン「はい…」
ザッザッザッザッザッ…
ウルクリン「…」
ウルクリン(ついに見つけたよ………座標の持ち主)
76: 以下、
ベルトルト(………え!?エレンが!?)
ライナー(ああ…恐らく、座標を持っているのはエレンだ)
アニ(…今まで近くにいて、気が付かなかったなんて…)
ライナー(…)
ポンッ
辰野「!」
ライナー「すまんが…今晩も戦士長に会いに行く……ついてこい……」ボソッ
辰野「はいはい…」ボソッ
77: 以下、
――――――――
ケニー「………」
女隊員「どうしました?隊長」
ケニー「ああ、今日捕まえてきた奴等に…二人ほど気になるのがいてな」
女隊員「…」
ケニー「前回ちょっと後半が適当ぽくて酷かったから詳しく回想するぜ」
女隊員「は?」
ケニー「まあ聞けよ」
78: 以下、
―――――――
サネス「壁がどうしたって?君」
歩鳥「オッサンも聞くかい!?私の名推理!壁の…」
紺「馬鹿!!待て待て待て!!!」
歩鳥「へ?」
サネス「…詳しく話を聞かせてもらおうか」
歩鳥「け…けけ、憲兵……」
歩鳥(やべ、もしかして…まずいこと言ったかな)ダラダラダラ
クリスタ「あの、憲兵さん。ただの遊びですからそんな必死にならなくても…」
サシャ「なんでそんな食い付くんですかね…」
紺(ぐっ…ユミルから聞いた話だとこいつら憲兵は裏で都合の悪い事を操作している、もし今の歩鳥の推理が当たっているのだとしたら…)
憲兵「あ、サネスさん。この二人…」
サネス「ん?」
憲兵「突如現れた謎の5人組のうちの二人に顔が似ている気がします」
サネス「む…確かに体格も似ているな」
歩鳥「あ、あの…何を話しているのでしょ…人違いですよ、私達は悪いことしてませ……」ダラダラ
サネス「ちょっと聞いてもらおうか」ズイッ
紺「くそっ!!逃げるぞ歩鳥!!」グイッ
歩鳥「ぐえっ!!」
サネス「…お前たち二人も奴等と仲間か?」
クリスタ「え!?」
サシャ「はい!?」
歩鳥「クリスタとサシャも逃げろぉ!!」
サシャ「え!えっ…と、逃げましょうクリスタ!!」
クリスタ「う、うん!!」ダッ
サネス「皆さん、その四人を捕まえてください!若くして泥棒に手を染めた哀れな犯罪者です!!」
紺「はああ!?」
歩鳥「あんにゃろー!探偵の私を泥棒扱いしやがって!!」
紺「探偵のフリしてるだけだろお前は!!」
歩鳥「でも憲兵に絡まれたって事は私の推理当たってたじゃん!私凄いじゃん!」
紺「今それを自慢する状況じゃねぇ!!」ゴチンッ
歩鳥「ごめんなさいっ!」
79: 以下、
ユミル「…!!おい、どうしたお前ら!?」
紺「ユミル!」
歩鳥「壁は巨人で出来ているという推理を語ってたら…憲兵に聞かれてた!!」
ユミル「バカかお前は!!」
歩鳥「ごめんなさい!」
ユミル「一緒にいたクリスタとサシャも疑われちまう…クリスタ、サシャもさっさと逃げるぞ!」
サシャ「はい!」
クリスタ「な、なんであんなに憲兵の人は必死なの!?」
ユミル「理由なんかお前は知らなくていい!」
サネス「ちっ、逃げられる!!」
ケニー「全部聞いてたぜ…俺に任せな」ザッ
サネス「!!」
ギュンッ!!!
ユミル「!!」
ケニー「待ちな、お前らは逃げられねぇぜ」ザッ
ユミル(こいつ、はえぇ…いつの間に回り込まれた!?)
歩鳥「あ、あんたは!?」
ケニー「悪いね、俺は憲兵なんだ…ま、仕事だから悪く思うな」
ケニー「あんたは眠っててもらうぜ」ドフッ
ユミル「かはっ!?」ガクッ
ドサッ!!
クリスタ「ユミル!!」
歩鳥「お前…!」
ケニー「気絶してるだけだ、安心しな」
サネス「よし、囲いこんだ…もう逃げられんぞ」
サシャ「ひいっ!?」
紺「くそ…!!」ギリッ
ケニー「さて、どうするんだい?サネスさんよ」
サネス「そこの女二名と仲間の疑いのあるそこの二名を連れていく」
歩鳥「…うそぉ…」ガクッ
紺「…」
クリスタ「…」
サシャ「え…え?」
ケニー「よし、大人しくついてきな」
歩鳥「うわあああん!なんてことになっちまったんだあああ!!」
80: 以下、
―――――――
そして連れ去られ中央憲兵本部
歩鳥「だから…私にもわからないんだってば!!」
サネス「御託はいい…どこから来たのか、何の目的で来たのかを喋れ」
歩鳥「だから、突然この世界に飛ばされてて…目的なんかもないし、私にも何が何やらさっぱりなんだよ!!」
サネス「嘘をつくな!!!」バアンッ
歩鳥「ひい!?理不尽!?」ビクッ
サネス「次は脅しでなく本当に殴るぞ?」
歩鳥「だ、だ、だから…本当に、知らないんだってぇ………」
サネス「ふん、まあいい…明日まで待ってやるから頭を冷やせ。明日も吐かなければ…」
サネス「拷問だ」
歩鳥「ひえっ…」ブルッ
バタンッ!!ガチャッ
歩鳥「な、な、な、なんで…こんなことになっちゃったんだよぉ……」
歩鳥「拷問なんて嫌だよぉ…」
歩鳥「紺先輩…クリスタ、サシャ…みんな別の部屋に連れてかれちゃったし………大丈夫かなぁ、みんな………」
歩鳥「………静ねえちゃん、タッツン、真田………ごめんよぉ…私また迷惑かけちゃった………」
歩鳥「……うう………っ」グスッ
歩鳥「お父さん、お母さん…タケル、ユキ子、ジョセフィーヌ………ばあちゃん…針原さん…みんな………」
歩鳥「また会いたいよ……死にたくないよぉ………」ボロボロ
歩鳥「…」グスッ
歩鳥「ダメだ、ダメだダメだ!」グイッ
歩鳥「静ねえちゃんが前に言ってた!どんな状況でも思考を止めたらダメだって………すぐに諦め思考を止める奴は探偵失格であります!」
歩鳥(思考を止めるな…脱出し、皆を助ける方法を考えろ!!)
81: 以下、
ガチャッ
歩鳥「!!」
ケニー「よぉ…」ザッ
歩鳥「オッサン!!」
ケニー「へえ、まだ諦めてねぇ顔だな」
歩鳥「当たり前だの前田だよ」
ケニー「…お前、この壁の外から来たんだって?」
歩鳥「壁の外というか…全く別の世界から…」
ケニー「はあ?」
歩鳥「やっぱ分かんないか…」
ケニー「……どんな場所から来たんだ?」
歩鳥「へ?」
ケニー「単純に俺の個人的な興味だ。お前のいた世界の話を聞かせてくれ」
歩鳥「ま、いいけど…」
82: 以下、
――――――
歩鳥「………でね、もう…便利な世の中でね。空を移動したりとか、離れてる人とも簡単に話したりもできるんだよ」
ケニー「はあ…作り話みてぇな世界だな」
歩鳥「私から見りゃここも作り話みてぇな世界だけどね」
ケニー「ははっ!」
歩鳥「…はぁ……みんなは、無事かなぁ…」
ケニー「…」
歩鳥「クリスタもサシャも…元からこの世界の人だから色々調べたら潔白なのはわかるだろうから大丈夫だと思うけど…」
歩鳥「私と紺先輩は…絶対ヤバいよなぁ……」
歩鳥「双葉ちんはオカルト好きだけど怖いの苦手だからなぁ…今頃泣いたりしてないかなぁ……心配だなぁ」ハァ
ケニー「………」
歩鳥「…おっちゃんはさ、何で中央憲兵に入ったの?何か他の中央憲兵とは雰囲気が違う気がするんだけど」
ケニー「…何でだと思う?」
歩鳥「わからないから聞いてるんだよ」
ケニー「この世界を…ひっくり返す為だ」
83: 以下、
歩鳥「ひっくり返す?」
―歩鳥の想像―
ケニー「そりゃ!」ググッ
歩鳥「地面がひっくり返ったー!!」
ズテーンッ
――――――
ケニー「あー、たぶんお前が想像してるのは違う」
歩鳥「やっぱり?」
ケニー「……ま、いいや」ガタッ
歩鳥「いっちゃうのー?」
ケニー「いつまでも相手してられねぇからな……あ、そうだ」
ケニー「あと一時間くらいしたら『夕飯の時間』だ」
歩鳥「へ?」
ケニー「憲兵1人がお前にも飯を持ってくる」
ケニー「スープが熱いから気を付けろよ?」
歩鳥「はぁ…うん、わかった」
ガチャンッ!
歩鳥「………?」
女隊員「…どうでした?」
ケニー「やっぱり興味あるな。あいつをあのまま中央憲兵の豚どもに渡すのはもったいねぇ」
女隊員2「助けてあげましょうよ…子供が拷問を受けるのは見たくありません…」
ケニー「大丈夫だ……ヒントならやったからな」
ケニー「自称探偵なら…こんな推理くらいは簡単だろう?お嬢ちゃん」ニヤッ
84: 以下、
―――――――
真田「嵐山…嵐山……くそぉ!!」バンッ
静「…はぁ……本当に、参ったな……」
アルミン「…まさか……こんなえらいことになるなんてね…」
ミカサ「…」
コニー「なあ、教官とかにも話して憲兵に説得するとかは…」
ジャン「バカ野郎、どう説明するんだよ………」
マルコ「下手な事を言えばその教官まで危ない目にあうんだよ…」
アルミン「それに、憲兵が裏で情報操作等をしているのは昔から噂されていたことだ…何か犯罪をおかしたとかをでっち上げられるかも…」
真田「力づくでも取り返しに行くしかない!!」
静「やめなさい!気持ちは痛いくらい分かるけど…下手すれば余計事態が悪化するだけだ!」
真田「…わかってますよ…そんなことしたら余計に悪くなるのは…でも…」
アルミン「…」
静(クリスタとサシャは元からこの世界の人間だから調べたら大丈夫だと思うが……歩鳥と双葉ちゃんは違う)
静(考えろ……どうすれば助けられる…!?)
ガチャッ
ミーナ「みんな、ちょっと聞いて!」
ジャン「…なんだよ?」
ミーナ「エレンとウルクリン教官が…いなくなったらしいんだけど!!」
ミカサ「!?」
アルミン「え!?」
静「…今度はなんだよ〜〜…」
85: 以下、
―――――――――
ザッザッザッ…
辰野「…」
アニ「…」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…ごめんね…友達が大変な目に遭ってる時に…」
辰野「あんた、謝ってばっかりね」
アニ「…」
辰野「…知らないわよ、歩鳥なんか………いっつも迷惑かけてばっかりで、いつもバカな事やって…私に変なアダ名つけて………」
辰野「………」ピタッ
辰野「……でも……あいつ…本当は、いいやつなんだよ……」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
辰野「………」グスッ
ライナー「…こんな時に呼び出したのは悪いと思っている。だが、今お前は俺達と関わってしまった…もう逃げられん」
ベルトルト「…せめて、友達が無事な事を祈るんだ」
辰野「…」グイッ
アニ「…」ポンッ
辰野「………早くあの猿呼びなさいよ。話があるんでしょ?」
ジーク「ん?いるけど?」
辰野「うわあ!いつの間に!?」ビクッ
ライナー「ビッ…クリした……」
ベルトルト「もう来てたなら言ってくださいよ…」
ジーク「いや、だってさ…さすがにタッツンが泣いてる時に割り込んだら空気壊れるじゃん?」
アニ「…」
辰野「…わかったからさっさと話済ませてください…」
86: 以下、
ジーク「………座標が見つかった…?」
ライナー「はい、確定までは行ってませんが…ほぼ間違いないかと」
ベルトルト「エレンという名で…訓練兵団の中にいました」
ジーク「へえ…」
ザッザッザッ…
男「戦士長…報告があります」
辰野「あれ?あなた…確か訓練兵団の近くのパン屋じゃない?」
男「私ですよ、四足の」
辰野「あれか!?あの巨人もすぐ近くにいたのかよ!?」
ライナー「彼には俺達と戦士長のメッセージを渡す役をしてもらっているんだ」
ジーク「…で、どうした?」
男「座標を持っていると思われたエレンという男はどこかへ姿を消したようです」
アニ「え!?」
ライナー「何だと!?」
辰野「…?てか、なんでエレンの名前が出てくるの?」
ジーク「…ふーん、もしかしたら、別の勢力に見つかったのかなぁ…?」
ベルトルト「…壁内の王政側の仕業でしょうか?」
ジーク「…かもねぇ…調べて見る価値はありそうだな」
87: 以下、
ライナー「…タッツン」
辰野「何?」
ライナー「もしかしたら…歩鳥達を助けられるかも知れんぞ?」
辰野「え?」
ジーク「これから俺達は王政に出向いてみようと思う………タッツンにももちろん協力してもらう」
辰野「………」
アニ「そこには中央憲兵の本部もあるはずだね」
ベルトルト「ついでに助けられるかも知れないよ」
辰野「え!?」
ジーク「ま、俺達は関係ないから知らんけどね、助けたければタッツンが好きにすればいいよ。ただし俺達の仕事もちゃんと手伝う事」
辰野「…」
アニ「どうするの?」
辰野「行くわよ…行けばいいんでしょ?」
88: 以下、
ライナー「決まりだな」
ジーク「ま、いったん休憩しよう……夜明け前…明るくなる前に行く」
ベルトルト「はい」
男「ご飯を用意しておきました」ザッ
辰野「…」
アニ「…」
辰野「ねえ…あなた達は、何が目的なの?そもそも何なの?」
アニ「え?」
ジーク「…ん……そうだな………」
ジーク「タッツンには話しておこうか…俺達の事を………」
92: 以下、
その頃、歩鳥は…
歩鳥「はあ………はあ………うぅ………」
汗をかき息切れしそうになりながらも必死に抗っていた
歩鳥「あ……く、ふう…ふう……っ!」
グーーーギュルルルルル……
…空腹に
歩鳥「はあ…はあ……、こんな状況だというのに、お腹がすいてしまった…!」グー
歩鳥「朝から何も食べてないしなぁ……」ギュルルルルル
歩鳥「…ご飯と言えばケニーのおっちゃんが言ってた…もうすぐ夕飯だけど」
歩鳥「なんかやけに引っ掛かる言い方だったような………」
歩鳥「おっちゃんは何を私に伝えようとしたんだ?」
ギュルルルルルグーーー グーーー
歩鳥「ぐうう!私のお腹よ!まだ耐えてくれ!答えが導き出されるまで!!」
93: 以下、
歩鳥「…夕飯の時間……その時に憲兵が1人ご飯を持ってくる。その隙にをついて牢屋から脱出しろってこと?」
歩鳥「いやいや、ここは中央憲兵団の本部。ご飯渡しに来た1人から上手く逃げられたとしても、他にも憲兵はウジャウジャいるわけだし…牢屋から脱出してもすぐに捕まりそうだよ」
歩鳥「ん〜………」
『夕飯の時間』
歩鳥「…ん?」ピクッ
歩鳥「誰の夕飯の時間だ?」
歩鳥「…私は勝手に自分のご飯の時間だと思っていたけど……」
歩鳥「中央憲兵全体のご飯の時間って事か!?」
歩鳥「そうか!だとすれば…その時間帯は憲兵みんな夕飯に行ってるから警備もほとんどないはず……私にご飯を渡しに来る憲兵1人さえどうにかすれば」
歩鳥「いける!脱出できる!!」
94: 以下、
憲兵「おい、なに一人言ペラペラ喋っている」
歩鳥「あ、ははは…寂しくて自分と会話しておりまして」
憲兵「頭大丈夫か?」
歩鳥「」カチーンッ
歩鳥(こんにゃろおぉぉ〜っっっ)
ガチャッ
憲兵「飯だ、食え」ザッ
歩鳥(夕飯のメニューはパン、熱いスープ、そして…みかん!!こいつはラッキー武器が!!)
憲兵「置いとくぞ」カチャッ
歩鳥「あ、あの…ちょっとお聞きしたいことが…」
憲兵「なんだ?」
歩鳥「私が頭おかしい奴に見えたのか、こんにゃろおぉぉ〜っ!!!」バシャアアアッ
憲兵「ぐわっ!!あっつ!?」
歩鳥「大声出すなっ!!」ガボッ
憲兵「むごっ!!?」
歩鳥「パンを口に突っ込み声を抑えさせ……そして!!」パッ
歩鳥「みかん汁ビーム!!!」ブシュッ
憲兵「ふごごごごー!!!」(目が染みるー!!!)
歩鳥「よし、今の内に脱出!!」
憲兵「ふごー!ひげはへは!!」(くそー!逃げられた!!)
歩鳥「わああ…みかん素手で潰したから手が……」タッタッタ
歩鳥「そうだ、謝らなきゃ!」
歩鳥「パンさん、スープさん、みかんさん、食べ物を粗末にしてごめんなさい!!」
95: 以下、
タッタッタ…
歩鳥「私の推理通り…他に憲兵はいない…やはり憲兵全体のご飯の時間だったのだ!!」
歩鳥「…でも…1つ大きな問題が………」
歩鳥「どこに行きゃいいんだよ!!?」
ザッザッ…
歩鳥「!!」
ケニー「よぉ、成功したようだな」
歩鳥「おっちゃん!!」
ケニー「とりあえず、こっち来な。この部屋が俺の担当する対人制圧部隊の部屋だ」ガチャッ
歩鳥「わかった、とりあえずお邪魔する!」タッタッ
96: 以下、
―――対人制圧部隊集会所(食事中)
ガチャッ
ケニー「戻ったぜ」
歩鳥「お食事中失礼しまーす」
隊員「お、若い女の子だ」
隊員「隊長が女の子連れてきたぞ」
女隊員「その子ですか?」
ケニー「ああ」
歩鳥「うわ…結構いるね人……」
歩鳥(1人じゃどうにも出来なさそうだったから思わずついてきちゃったけど…本当に信用しても大丈夫だよね?)
ザッザッ
女隊員2「はじめまして。ここにいる人達は普通の中央憲兵とは考え方も行動理由も違うから安心して」
歩鳥「あ、どうもはじめまして」
歩鳥(優しそうなお姉さんだな)
女隊員「…別の世界から来た人間か…にわかには信じられないが…」
歩鳥「えへへ…よく言われます」
ケニー「ま、とりあえず座れや…ゆっくり話そうぜ」
歩鳥「いや、その前に!紺先輩とクリスタとサシャを助けなきゃダメなんですよ!!」
歩鳥「その三人の居場所が私は知りたいんだ!!」
グーーーギュルルルルル………
ケニー「………」
女隊員「………」
歩鳥「…たはは…失礼しました…」
ケニー「とりあえずまずは何か食っとけよ、腹へってんだろ」
歩鳥「いや、まずは助けに行きます!!」ギュルルルルル
ケニー「は!面白い奴だなお前は!!」
女隊員(また癖強そうなのが来たなぁ…)
97: 以下、
――――――
紺「…」クンクン
紺(ご飯持って来られたけど…大丈夫かな、毒とか入ってないかな)
紺(そもそも明日は拷問なんて言われたら食欲なんかわかないよ…)
紺「…」グスッ
紺「パパ…ママ…怖いよ………」グスッ
グーーー グーーー
紺「え、お腹の音!?私の!?いや、そんなはずは…」
ザッ
歩鳥「大丈夫ですよ先輩!私と一緒に脱出してパパとママのいる元の世界へ帰りましょう!」グーーー
紺「…」
歩鳥「助けに来たよ」ニコニコ
紺「お前聞いてたのか今の!?おい!?」ガチャッガチャッ
歩鳥「ちょっ!先輩、静かに!!」
紺「つーか、何でそんなとこにいるんだよアホ鳥!!」
98: 以下、
紺「………なるほど、それでケニーとかいうオッサンが手助けしてくれたと?」
歩鳥「はい、更にケニーおじさんから牢屋の合鍵も貰いまして」チャリッ
紺「なんでそいつは合鍵なんか持ってたんだと突っ込みたいが……その前に」
紺「そのケニーとかいうオッサンは本当に信用出来る奴なのか?」
歩鳥「あー、どうでしょうね。私は大丈夫だと思ったんですけど。実はこれも全部中央憲兵の罠で結局ケニーおじさんも敵でしたーとかいうオチだったらシャレになりませんね」アハハ
紺「ニコニコしながら嫌な事言ってんじゃねぇよ!!」
歩鳥「まあ…普通の中央憲兵よりは信用出来ると思いますよ」
紺「仮に私達を助けるのが本気だとしても…どうせ私達を利用しようとか考えてんじゃねぇのか?」
歩鳥「あー、たぶんそれは合ってます」
紺「んなあっさり言うなよ!中央憲兵とは違うだけで結局狙われてるのは一緒じゃねぇか!!」
歩鳥「だ、大丈夫だって双葉ちゃん…拷問よりマシじゃん」
99: 以下、
歩鳥「まあ、今はそんなことより……あとはサシャとクリスタのとこにも行かなきゃ!憲兵の夕飯はだいたい30分程で終わるらしいから」
紺「場所はわかるのか?」
歩鳥「ケニーのおっちゃんに教えてもらった!このすぐ近く…」
紺「!!憲兵だ、隠れろ!」バッ
歩鳥「へっ!?」
憲兵「…」ザッザッザッ
歩鳥「そんな…まだ夕飯の時間のはず…」
紺「やっぱり全員が飯食ってる訳じゃねぇんだろ…1人くらいは見回り役がいるんじゃねぇか?」
歩鳥「むう…すぐ目の前がサシャのいる牢屋なのに」
ガチャン
歩鳥「あ、サシャのいる牢屋に入っちゃった!」
紺「ちっ…」
―――その頃、サシャのいる牢屋
憲兵「…他の奴の飯が終わるまではまだ少し時間がある…」
サシャ「な、なんですか……?」
憲兵「こんな可愛い女の子がいるのに…拷問して話聞き出すだけなんて味気ないよなぁ…」ジー
サシャ「あ、あの…何チャック開けてるんですか…?」
憲兵「おじちゃんが凄く美味しいものを教えてあげるよ…サシャちゃん」ハアハア
サシャ「ひっ!!?」
歩鳥「なぁに、さらしとんじゃワレエェェ!!!」ボガアアアッ
憲兵「ごへえっ!!?」
紺「こんの変態が!!」グイッ
憲兵「いでで!」
歩鳥「注意書に【エロ注意】を追加させる気かこのやろう!!全年齢対象だよボケ!!!」
サシャ「ホトリ!コンセンパイ!」
紺「無事か!?」
歩鳥「危機一髪だったね…」
100: 以下、
憲兵「いだい…」チーン
紺「とりあえず、その辺にあったロープで縛っといた」
サシャ「コンセンパイは身体能力高いから頼りになりますねー」
歩鳥「全く、男は危険でエロスだ!!男は信用ならん!!」
紺「なに言ってんだ」
サシャ「二人ともどうやって脱け出したんですか!?」
歩鳥「うん、ケニーっていう信頼できるおっちゃんの手助けでね…」
紺「…」
紺双葉は何かを突っ込もうとしたが、まあ歩鳥だしな、と突っ込みを入れるのをやめた。
歩鳥「よし、あとはクリスタだね!!」グーーーギュルルルルル
紺「おい、お前また腹鳴ってるぞ」
サシャ「お腹空いてるんですね…」
歩鳥「いやいや、食事よりクリスタ助けるのが最優先だ!!」
101: 以下、
ザッザッ
サシャ「!足音が近づいて来ますよ!!」
女隊員2「…ホトリ」ザッ
紺「誰だ!?」
歩鳥「あ、あのお姉さんは大丈夫だよ!どうしたんですか?」
女隊員2「実はケニー隊長からさっき報告があって…」
女隊員2「クリスタは別の所に連れていかれて今はここにいないって」
サシャ「え!?」
歩鳥「どういう事!?」
女隊員2「いったん私達の部屋に戻ってきて…詳しい話はそこでするから」
102: 以下、
――――――――
ジーク「…さて……そろそろ行くかい、君たち」ザッ
ベルトルト「はい」
ライナー「了解」
アニ「ふう…」ザッ
ジーク「で、タッツンも予定通り任せるよ…わからない事は四足君に聞いて」
辰野「はい…」
四足巨人「…」
辰野「…」
四足巨人「…タツノさん」
辰野「なに?」
四足巨人「てっきり辰野さんは私と行動するのを気味悪がるかと思ってましたが…」
辰野「………」
辰野「さっき聞かされた話………」
辰野「あんな話聞かされちゃ…巨人に対して気持ち悪いとか言えないよ」
四足巨人「…」
103: 以下、
――――――――
真田「…タッツンやライナーもいない!?」
コニー「ベルトルトとアニもいないぞ!」
真田「なんで急に…嵐山も心配だし…なんなんだ!!」
ジャン「くそ、一体何が起こってんだよ…」
ミカサ「………どうしよう………」ソワソワ
アルミン「………」
アルミン(教官はエレンの様子を窓から見ていた……そして今エレンと教官が消え………ライナー達がいなくなったのも、あのエレンの様子がおかしくなってからだ…まさか…)
静(これらは繋がっているのか?エレン君を中心に何かが動いている…?)
静(…それにしても…何か、一度に色々起こり始めたな………あまりにも都合が良すぎやしないか?)
静(歩鳥と私が同じ推理をしたと同時に様々なものが動き出した気がする………)
静(ずっと気になっていた、私達がこの世界へ来た理由………まさかそれと何か関係が?)
真田「亀井堂さん…どうしましょう…何か、一気に大変な事が重なって…」
静「……もしかしたら…私達は、やはり何かの意思で来たのかも知れないね……」
真田「え?」
ユミル「…シズカ、サナダ、お前らにちょっと話がある」
静「なんだい?」
ユミル「とりあえずまずは歩鳥達が気になるだろ…?私に提案がある」
真田「!!歩鳥を助けられるんですか!?」
ユミル「たぶんな…まあ聞け」
104: 以下、
ユミル「…他の奴等には聞かれたくないから小声で話すぞ…私もクリスタは助けたいと思っている」
静「そんな、クリスタ助けたいって事を他の皆に聞かれたくないなんて恥ずかしがらなくていいのに〜」
ユミル「『他の奴等に聞かれたくない話』はそこじゃねぇ!!」
静「ごめん」
ユミル「まあ…お前らも何となく察しているだろうが……私は他の奴等と違ってこの世界の事を色々知っている」
真田「うん。なんかあるんだろうなとは気づいてたけど、いい人だと思ってたから特に触れなかった」
静「…君も壁外から来た子かい?」
ユミル「ご名答。ついでに巨人になる力も持っている」
真田「!!?」
静「あらま〜…マジか」
真田(じゃ、じゃあ…静さんの推理の巨人=人間は……当たってるのか?)
静(…我ながら当たり過ぎて怖いな……何かあるんじゃないのか?やっぱ)
ユミル「…で、だ。ホトリやクリスタ達が連れて行かれたのは憲兵団の本部だろう……」
静「…ちょっといいかい?エレンくんや、タッツンやライナーくん達の事も何か分かる?」
ユミル「ああ。お前らから聞いた話から察するに…もしかしたらエレンはとんでもないものを持っているかも知れない」
真田「な、なにそれ??」
ユミル「まあ、その話はいずれやる。すまんがライナー達の事はわからんが…タイミング的に何か臭いな」
静「…もしかしたら、ライナーくん、ベルトルトくん、アニちゃんの三人も…壁外から来た敵なのかも知れない」
ユミル「なに!?」
真田「え!?な、何でですか!?」
静「タッツンが前に座学の時、飛行機発言しただろう?その後…アニちゃんに呼ばれてから少し様子が変わって、ライナーくんやベルトルトくんと一緒にいる場面を見るようになったんだ」
真田「そう言えば確かに…タッツンの元気がなくなっていた…」
ユミル「なるほどな…そしてこのタイミング。壁外から来た奴等かもな」
静「私は、タッツンは外傷を受けてる訳でもなく、予想だけで確実な証拠はまだ無かったから様子見で留めていたが…こんなことになるならもっと早めに問い詰めておいた方が良かったかな…」
真田「いや、仕方ないですよ…これは」
105: 以下、
ユミル「…エレンもたぶん中央憲兵の場所か近辺にいる…」
真田「な、なんで!?」
ユミル「話せば長くなるから簡単に言えば、壁外勢力と王政側両方が探しているものを持っているのが…恐らくエレンだ」
真田「な、なんか…何を言ってるのか訳がわからない…」
静「…まあ細かい話は置いといて、その一緒に消えた教官が王政側の人間だった?」
ユミル「たぶんな」
真田「…それで、嵐山達を取り戻す方法は…」
ユミル「お前らが行けば面倒くさい事になるからな。だから…私の巨人の力を利用する」
真田「巨人の力を?」
ユミル「まず姿がバレないように侵入し…ホトリやクリスタを見つけたら巨人になり、捕まっている奴等を助け逃げる…」
ユミル「私の正体さえバレなけりゃ、『謎の巨人に誘拐されて行方不明になった』で終わらせられるさ」
静「なるほどね…それなら私達まで憲兵に狙われるような事もないか…」
106: 以下、
ユミル「だから…私が行くからお前達は待ってろ」
真田「…いや、俺も行かせてくれ!!」
ユミル「ああ?」
真田「嵐山がどうなってるかわからないのに…大人しく待ってるなんて出来ない。手伝わせてくれ!!」
静「私もだ……弟子のピンチに何もしないなんて駄目じゃないか〜。足手まといにはならないようにするから行かせておくれよ」
アルミン「それに…ユミルだけで行くなんて危険だよ」
ユミル「ちっ…」
ユミル「って、え!?お前聞こえてたのか!?」
アルミン「いや、ミカサが聞こえてたみたいで…『エレンやホトリを助けに行く』という話をしてたんでしょ?」
ミカサ「助けに行くなら私も行かせて欲しい…いや、行く」
ユミル「…ミカサ。どこからどこまで聞いてた…?」
ミカサ「いや、エレンとホトリを助けに行くという部分とユミルが1人で行くという部分だけ聞こえた。あとは小声で聞き取れなかったけど」
ユミル(良かった…バレたくねぇ部分は聞こえてなかったようだな)
アルミン「何か策があるの?」
ユミル「…ああ…私がとっておきの作戦を考えてやった。お前らには内緒だがな」
コニー「なんでだよ!?」
静「まあまあ、敵を騙すにはまず味方からと言うじゃないか〜…」
ユミル「…お前ら、本当に来る気か?」
アルミン「うん。親友を無視なんて出来ない」
コニー「当たり前だろ」
ジャン「仕方ねぇな…俺も行ってやるよ」
真田「ジャン…やっぱりお前はいいやつだ!!」
107: 以下、
――――――対人制圧部隊集会所
歩鳥「え………エレンが、神の力を持っているってーーー!!?」
紺「なんだってーーー!!?」
サシャ「神様ですか!!?」
ケニー「ああ…そういう訳だ」
紺「いや、そういう訳だって全く意味がわからないっすけど」
歩鳥「うん。とりあえずノリで驚いてみたけど何を言ってるのかさっぱりだよ」
女隊員「隊長…説明が下手くそです。もう少し分かりやすく話すべきかと」
ケニー「すまねぇ」
ケニー「つまりだな…まず、エレンがここに拐われてきた」
歩鳥「エレンまで拐われてきたなんて………」
ケニー「で、エレンは神の力を持っている…だから拐われてきたんだ」
紺「いや、その神の力ってなんなんすか?だから」
サシャ「パンをくれるんですか?」
ケニー「まあ、そこは今はいい…お前らにゃ関係ねぇ」
歩鳥「いやいや、気になるよ!!」
紺「実はあんたもあまりわかって無いんじゃないんすか?」
ケニー「…はは…」
紺「え、図星!?」
ケニー「…で、話を進めるぞ。そのエレンが拐われた先は『レイス家』と呼ばれている貴族…」
ケニー「いや、貴族になりすまし陰に隠れている真の王家だ」
歩鳥「真の王家!?」
紺「真の王家…よくわからないけどワクワクする響きだ」ドキドキ
ケニー「そして…クリスタは、偽名を使って暮らしていたレイス家の娘なんだ」
サシャ「え、クリスタがですか!?」
紺「へえ…あいつ身分隠してたんだ…」
歩鳥(…クリスタの普段自分を隠してる感じは…やっぱり何かあったのか)
ケニー「今…クリスタはそのレイス家の元へ連れて行かれたのだろう」
ケニー「エレンの中にある力を引き継がせる為にな」
108: 以下、
歩鳥「な、なんか…一気に色々な情報を与えられて頭がパンクしそうだけど……」
紺「…クリスタは…なんで偽名を使って生きていたんですか?」
ケニー「…妾の娘だったんだよ、あいつは」
サシャ「え?」
ケニー「母親からも周りの人間からも邪魔者扱いされ…愛されず育ち」
ケニー「更には王家の汚点だと母親を殺され、自分も殺されかけ……親父にレイス家から追放された哀れな奴さ」
サシャ「そんな…クリスタ、そんなことが…」
紺「ひでぇ…あいつ壮絶な人生歩んでたんだ……胸糞悪い話だな……」
歩鳥「…」プルプル
紺「…歩鳥?」
歩鳥「んなひでぇ話があるか!!周りから迫害を受ける娘を放置し母親見殺しにし更には追い出しておいて、今更連れ戻すだと!?なんて都合のいいクソ親父なんだ!!!」
紺「歩鳥…落ち着けよ、ムカつくのは分かるけどよ」
歩鳥「何をやらせる気かはわからないけど…クリスタもエレンも助けるよ!!居場所を教えておっちゃん!!!」
ケニー(……そうだな、エレンを奴等から奪い返しちまえばこっちが好都合だ…)ニヤッ
ケニー「いいぜ、教えてやる…」
紺(…何か企んでるな、このオッサン…)
109: 以下、
ケニー「ただし、警備は厳重だ…俺達もサポートしてやるよ」
歩鳥「うん、ありがとう!」
サシャ「絶対に助け出しましょうね!!」
紺(今は私達だけじゃ何も出来ないから仕方ないけど…警戒しておいた方がいいな、あのオッサン)
歩鳥「よし、さっそく行くよ!!」
紺「さっそくか」
ケニー「おいおい、ちったぁ休憩すりゃいいのによ」
サシャ「そうですよ!それにホトリ、まだご飯食べてないんじゃないですか!?」
歩鳥「いや…前に本で読んだ事があるんだ……クリスタみたいな育ちの子の心理状態!!」
歩鳥「クリスタとクソ親父を一緒に居させちゃいけない!!一刻も早く行かないと!!!」
110: 以下、
―――――――
憲兵「…」ザッザッザッ
ガサッ
憲兵「!誰だ!?」
バシイッ!!
憲兵「ぐえっ!?」ドサッ
ライナー「悪いな…」ザッ
アニ「大声出しちゃ駄目だよ」
ジーク「目も塞いでおいて」
ベルトルト「はい」
憲兵「な、なんだ…何をするんだ!?」
ジーク「まあまあ、質問に答えてくれりゃ解放してやるよ…と、その前に」
四足巨人「どうですか、タツノさん。周りに他の憲兵は?」
辰野「…」パッ
ジーク「うん、周りには誰もいないみたいだな」
憲兵「い、い、命だけは………」
ジーク「ああ、話聞きたいだけだから命は大丈夫だよ。俺達の顔も見てないしね、君」
ジーク「…エレン・イェーガーはどこだ?」
憲兵「わ、わからない…連れてこられたのは知っているが、場所までは…上の人間しか詳しい場所は知らないんだ」
ジーク「そう。じゃ…やっぱり本部に突撃するしか無いみたいだなぁ」
憲兵「!?」
ジーク「ありがとね。三人ももういいよ」
ライナー「はい」
ザッザッザッ…
憲兵(怖かった…なんだ、今の……)
四足巨人「あとは手筈通り」
辰野「…通行人のふりして私があの人を解放すればいいんでしょ?」
四足巨人「はい」
111: 以下、
ジーク「…いやぁ、タッツンがいてくれて良かったね今の。タッツンいなけりゃ[ピーーー]しか無かったからねあの憲兵」
ベルトルト「…」
ジーク「縛るのに使った紐や布から指紋採取されて君たちがやったとバレちゃ大変な事になるからね。でもタッツンが後から通行人のふりして憲兵を助け紐や布を処分すれば証拠はなくなる」
ジーク「…君たちもなるべく人殺しはやりたくないよな?わかるよ」
アニ「…」
ジーク「だが、心を悪魔にしなければならない時がある。それが俺達戦士だ。例え全人類から恨まれようとな…」
ライナー「…はい」
辰野「…大丈夫ですか?」ザッ
憲兵「すまん…君。さっき怪しい人物を見なかったか?」
辰野「いえ…すみません、見てないです」
辰野(後はこの使った紐や布を処分する…)
辰野「なにしてんだろ、私………………真田くん…どうしてるかなぁ…はぁ…」
辰野「…ま、まずはアホ鳥を助けなきゃね……」
112: 以下、
―――――――
ウルクリン「……連れてきたよ、父さん」
ロッド「うむ、よくやった」
エレン「んー!!んー!!!」ギシッギシッ
ロッド「元気のいいやつだな」
ウルクリン「…これで力を取り返せるね」
ロッド「ああ」
エレン「ふう…ふう…」
エレン(なんだ…これ)
エレン(なんでウルクリン教官が…なんでこんなとこに俺は連れてこられたんだ!?)
サネス「…連れてきました」ガチャ
ロッド「うむ」
エレン「!!」
クリスタ「…え?」
エレン(クリスタ!?)
――――――――
歩鳥「クリスタ!エレン!いま行くぞー!!!」ザッザッザッ
114: 以下、

確かケニーの女部下って名前出てたよな
作中で明かされたわけじゃないから使わないのかな?
115: 以下、
>>114
あ、そうでしたね、すみません普通に忘れてました。
次から名前はトラウテとします。
116: 以下、
時はいったん2ヶ月前に戻る………
訓練兵団
サシャ「コンセンパイ!!どうしたらあんなく走れるんですか!?」
紺「え!?えっと…」オロオロ
コニー「教えてくれよ!!」
サシャ「あの素晴らしき走りをもう一度見せてください!!」
紺「わ、わかった!わかったから落ち着けって………えっと…」
コニー「コンセンパイから走りを習って俺もライナーみたいに…」
紺「…つーか…センパイの部分は名前じゃないから……」
歩鳥「おやおや、紺くんも友達が出来てるみたいだね。良かった良かった」
辰野「まだ、友達っていうか一方的に絡まれてる感じだけどね」
真田「サシャとコニーは誰とでも仲良くなれるな。まるで嵐山みたいだ」
歩鳥「いやいや、そんな誉めなすって…」
辰野「アホなとこもね」
歩鳥「おま!!」カチーン
117: 以下、
―――書庫
ガラガラッ
歩鳥「よーし、今日もいっぱい本読むぞー!」
クリスタ「…」パラッ
静「よう、歩鳥」
歩鳥「あ、静ねーちゃん!読書中?」
静「うん…ここの本も面白いよ〜〜〜。持って帰りたいくらいだ」パラッ
歩鳥「勝手に持って帰っちゃダメだよ」
真田「俺の読み途中だったのどこだっけ…」
辰野「…てかさ、この世界の文字って日本語の逆バージョンよね。覚えやすくて助かるけど」
歩鳥「そう、日本語の逆バージョンという所にも何かしらありそうな気がしないでもない………流石いいとこに目をつけるね、プレミアムメガネ!」
辰野「誰がプレミアムメガネか!!」バシッ
歩鳥「誉めてんじゃん!」
辰野「どこがだ!!」
静「君たち〜〜。図書館ではお静かに〜〜〜」
118: 以下、
ガヤガヤ
歩鳥「む、静ねーちゃんが『静かに』と言った途端ガヤガヤと騒がしいぞ!」チラッ
訓練兵男「クリスタ、本なんか読んで無いで俺と遊びに行こうぜ」
クリスタ「え、え!?」ビクッ
訓練兵男2「てめっ!俺と、俺と遊び行こうぜクリスタ!」
クリスタ「………」
訓練兵男3「この本なんかオススメだよ、クリスタ」
クリスタ「あはは…」ニコ
真田「クリスタか…相変わらず人気だな」
辰野「全く、男どもは可愛いってだけで群がって…」
辰野(その点、顔に惑わされない真田くん!やっぱりイケメン!!)
訓練兵男「それでよー…」
クリスタ「…」ニコニコ
歩鳥「………」
辰野「しかし、クリスタも毎回ニコニコしてばっかりね…」
ガヤガヤ
歩鳥「…おい、君たち」ザッザッ
訓練兵男「あ?誰だ?」
訓練兵男2「この前入った歩鳥って奴だろ」
歩鳥「あんま群がってガヤガヤすんのやめろよ。クリスタ困ってんじゃん」
クリスタ「!」
訓練兵男「はあ?何言ってんの?」
訓練兵男2「クリスタ普通にニコニコ笑ってるじゃん。どこが困ってるんだよ」
歩鳥「はあ?君たちにはこの娘の顔が笑顔に見えるの?」
クリスタ「…」
119: 以下、
歩鳥「いいか?これは愛想笑いと言って『笑顔』ではない。つまり、『笑った顔見せてやるからさっさとどっか行けウルセェんだよこんちくしょー、あーウゼ』という気持ちが込もってんだよ!!」
クリスタ「いや、そこまでは…」
訓練兵男「なんだよこいつ変な奴だな」
訓練兵男2「モテないから嫉妬してんだろ」
歩鳥「んな!私だって商店街の皆から可愛い可愛い言われながら育っ…」
訓練兵男3「タヌキみたいな顔してるもんな」
歩鳥「」グサッ
クリスタ「ちょっと、やめなって!」
真田「お前ら、嵐山をいじめんな!!」
辰野「そうよ!面食い男!!」
静「…」
訓練兵男「ちっ、ウゼーな…帰ろうぜ」
ザッザッザッ
クリスタ「あの…ホトリ…」
歩鳥「………はは………そうだよ……どうせ私の言われてた『可愛い』は美少女的な『可愛い』じゃなくてタヌキ的な『可愛い』だよ………」ズーンッ
真田「いや、そ、そんなことねーよ!嵐山!」
辰野「そ…そうそう、饅頭みたいに丸っこいくて可愛いし…」
歩鳥「なあ、辰野。それ慰めてんの?馬鹿にしてんの?」
辰野「ゴメン、本当に悪気はなかった」
静「元気出せって、どっちの意味でも可愛いは可愛いだろ〜」
120: 以下、
クリスタ「あ、あの……ありがとう…」
歩鳥「ん?うん。でもクリスタもちゃんと困ったなら表に出さなきゃダメだよ」
ガラガラ
ユミル「なんだ、クリスタまた本読んでたのか」
クリスタ「うん」
歩鳥「あ、ユミルだ。ちゃんとクリスタの教育はしっかり頼むよ!!」
ユミル「は!?」
歩鳥「男どもに群がられて愛想笑いしか出来なかったのさ…もっと反抗することも覚えるべきだと思う」
ユミル「…そうかい」
歩鳥「なんかクリスタの笑顔って見たことないよねー……見てみたいのに」ザッザッ
辰野「え?よくニコニコしてない?」
真田「ああ、クリスタの笑顔は女神スマイルと言われてるぞ」
歩鳥「ええ?真田とタッツンもあれが笑顔に見えるの??」
辰野「?」
真田「?」
歩鳥「ありゃ…?なに?私が変なの?」
静「いや〜……まあ、歩鳥の言う通りあの娘の笑顔は『作り物』って感じがあるね…」
歩鳥「ねーちゃんも!?まあ、作り物かどうかはわかんないけど…私も何か違和感を感じて仕方ないんだよね」
静「…ま、人それぞれ事情はあるから、むやみやたらに首突っ込むのもやめときなよ〜〜」
121: 以下、
歩鳥「うーん………なあ、真田」
真田「ん?」
歩鳥「真田はさ…クリスタのことどう思うん?」
真田「え!!?」ビクッ
真田(ま、まさか………『私とクリスタどっちが好きなの?』という意味の質問!?)
真田(確かに、クリスタは可愛い………でも)
真田(俺にとったら………嵐山の方が……)
真田「100倍可愛い……と、思っておる…」
歩鳥「はあ?まあ確かにクリスタは普通の人の100倍可愛いかも知れんけどさ」
122: 以下、
――――――――
―――
レイス卿領地
ザッザッザッ
ケニー「俺はレイス卿に護衛を頼まれたからここまでしか案内してやれねぇ…ま、俺の部下がついてるから安心しな」
歩鳥「いや、ここまで連れてきてくれただけでもありがたい」
紺「…」
ケニー「なんだ、お前。信用してねぇって顔だな…安心しろ、俺は初めから自分の目的の為にレイス卿や中央憲兵に尻尾振ってるだけだ……そして俺にとっちゃお前らも貴重な存在だからな」
紺(…私達に何かする訳じゃなくても…やっぱり何か企んでる気がする…)
歩鳥「そう!私は貴重な存在…天才女子高生探偵なのだよ!!」
サシャ「さすがホトリですね!!」
紺「お前ら何でそんなに緊張感ないの」
123: 以下、
女憲兵2は女憲兵と表記します。
124: 以下、
トラウテ「さて…隊長に頼まれたから途中までは一緒にいてあげる。けど、私も自分の立場を危なくしたくないから目立つような事までは出来ないよ」
歩鳥「いやいや、居てくれるだけでありがたいっす姉さん!」
眼鏡隊員「トラウテにそのつもりが無くてもこいつは何かやらかしそうだな…」
歩鳥「な!失礼ですぞ!」
女憲兵「まあまあ、早く行きましょう」
ガサガサ
憲兵「…」
サシャ(見張りがいますよ…)
紺(参ったな…いきなりか)
トラウテ(大丈夫だ、問題ない)
女憲兵「…あの」ザッザッ
憲兵「ん、君は対人制圧部隊の…どうした?」
女憲兵「さっき向こうに怪しい人影が…ついてきてくださいませんか?」
憲兵「なんだと?どこだ」ザッ
ザッザッザッ…
歩鳥(おお、憲兵の仲間が味方にいるのは便利だね)
トラウテ(私達は王政に忠実なように振る舞っているからね…中央からの信頼は厚いんだよ。今のうちにレイス卿の屋敷に侵入するぞ)
紺「…」キョロキョロ
トラウテ(そんなキョロキョロしなくても大丈夫だよ)
紺(あ、はい)
125: 以下、
―――レイス卿の屋敷
歩鳥「ほあ〜…広っ」
サシャ「このデカイ屋敷のどこかにエレンとクリスタが…」
眼鏡隊員「たぶんな」
トラウテ「とりあえず、まずはレイス卿の部屋まで行ってみよう…周りに注意にするんだよ」
歩鳥「ふふ、探偵の誰からも見つからない侵入術を披露してやるよ」コソコソ
紺「泥棒みてぇだな」
126: 以下、
サシャ「…!どこからか少しいい匂いがします」
トラウテ「え?」
眼鏡隊員「何も匂わないが…」クンクン
紺「サシャは鼻がいいからな」
歩鳥「いい匂い…つまり、誰かご飯を食べている?」ジュルッ
トラウテ「なるほど…匂いが本当ならそうかもね」
紺「つか歩鳥、今のジュルッってなんだ」
サシャ「そういえばまだ何も食べてないですね、ホトリ…空腹大丈夫でしょうか…」
歩鳥「クリスタとエレンがここに連れ去られているとなると…エレンはわからないけど、娘であるクリスタには自分を信頼させるために悪い扱いはしないはずだ」
歩鳥「つまりレイス卿とクリスタがご飯を食べている可能性が高い。サシャの感じている匂いを辿れば少なくともクリスタの居場所には辿り着けるかも知れない!」
トラウテ「ほう…なかなか冴えてるね」
紺「じゃあ、サシャ。このまま匂いのする方向へ案内してくれ」
サシャ「お任せください!」クンクン
127: 以下、
ザッザッザッ…
憲兵「…」ウロウロ
ゴチンッ!
憲兵「いたい!」ドサッ
眼鏡隊員「…よし、気絶したな」
歩鳥「さっすが眼鏡さんだね」
紺「サシャ、まだなのか?」
サシャ「はい、もう少し先です」クンクン
トラウテ「…ん、ここは」
歩鳥「どしたの?」
トラウテ「レイス卿の部屋だ」
歩鳥「お!!」
紺「ボスの部屋か!!」
サシャ「でも、中に誰かいる感じは無いですね…」
トラウテ「ちょうどいい。入ってみるかい?」
歩鳥「うん、入ってみたい!」ガチャッ
紺「何かあるかも知れないしな」
128: 以下、
ザッザッ…
サシャ「へえ…本ばっかりですね」
紺「面白味のねぇ部屋だ…がっかり」
眼鏡隊員「何を期待したんだ」
歩鳥「タンスの中を拝見しまーす」ガチャッ
歩鳥「…ああっ!!」
紺「どうした、何かあったのか!?」
歩鳥「そうか…なるほど、何だかんだでクリスタの親だもんね……なるほど……これは…」
トラウテ「どうした?何かあったのかい?」ザッ
歩鳥「見てください、レイス卿の服!」バッ
歩鳥「サイズが小さい………つまり、レイス卿はチビなんです!!」
紺「どうでもいいことで騒ぐな!!」ゴチンッ
歩鳥「いでっ!!」
トラウテ「…」ハア
サシャ「あ、お菓子の食べ掛け発見」
129: 以下、
歩鳥「…ん?」
紺「今度は何だ?」
歩鳥「タンスの奥に…何か隠すように大きなケースが…」ガサガサ
トラウテ「また下らないものじゃないだろうね…」
歩鳥「いや、次は…下らないものではなさそうです」グイッ
サシャ「何でしょうね、このケース…」
眼鏡隊員「開けてみるか?」
歩鳥「うん」
カパッ
紺「な、なんだこれ!?」
歩鳥「注射器!?」
サシャ「薬みたいなのもありますよ!!」
トラウテ「なぜ注射器なんかが入っているんだ?」
紺「なんだこれ………あ、危ない薬じゃないよな………?」
歩鳥「………」ジー
歩鳥(何か怪しい気がする…わざわざ隠すように置いてるなんて、バレたり無くしたりしたら困るもの…?)
歩鳥(薬のような瓶…注射器…)
ポロッ
歩鳥「あ、しまっ…!」
紺「あ!」
パリイイイイインッ
130: 以下、
サシャ「あ…注射器が……」
紺「…割れちゃった…」
歩鳥「あ、あわわ…っ」
トラウテ「…もう少し気をつけて持ちなさい…全く」
歩鳥「…」
歩鳥「………」
ガッ!!
サシャ「!」
歩鳥「…」ズカズカズカ
紺「割れた注射器持ってどこ行くんだ?」
歩鳥「…」ガラガラッ
眼鏡隊員(窓を開けた?)
歩鳥「証拠………」ググッ
歩鳥「隠滅!!!」ブンッ
トラウテ「何やってんだあああ!!?」
紺「壊れた注射器ぶん投げて証拠隠滅しやがった!!!」
カチャーン…
131: 以下、
歩鳥「あはは…何やってんだって……証拠隠滅だよ」
サシャ「意味がわかりません!!」
紺「何でそんなことする必要があるんだよ…」
歩鳥「いや…なんか、大事そうに閉まってあったし……レイス卿にバレたら怒られるかなぁ…って……」
トラウテ「子供かお前は…」ガクッ
歩鳥「まあ、変な薬の入った瓶は無傷だから回収したし、それで収穫は良しとしましょう!」
紺「何に使うんだよそんな薬」
歩鳥「いや〜、もしかしたら何かわかった時に役立つかも知れないじゃないですか?」
トラウテ「…まあいい。そろそろ行くよ」
134: 以下、
―――――
中央憲兵本部前
ザッザッザッ…
ジーク「さ〜て、憲兵の本部はここで合ってるかい?」
男(四足巨人)「はい、ここです」
ライナー「…」
ベルトルト「…」
アニ「…」
辰野「………」
辰野(あれ、もしかしてこれ……このまま行ったら………)ピタッ
辰野(憲兵の人達、殺されるんじゃないの…?)
ジーク「ん?どうかしたか、タッツン」
アニ「…」
辰野「あの………」
辰野「実は、その…今まで関係ないって言ってたけど……私の友達も、私と同じ世界から来たの」
ベルトルト「ああ、わかってるよ」
辰野「え!わかってたの!?」
ライナー「当たり前だ。お前の気持ちを汲んで気付かないフリをしてやってただけだ」
アニ「うん」
辰野「マジかよ…」
ジーク「…で、タッツン。それがどうかしたの?」
辰野「あ、だから、その………その前に1つ聞きたいんですけど……やっぱり、こ…ころし…とか、するんですか?」
ジーク「最初はバレないように侵入するけどバレたら殺すよ」
辰野(ハッキリ言うなぁ、このオッサン…)
辰野「あの……私の友達、馬鹿で変なやつだけど発想力は凄い奴で……もしかしたら脱走するために憲兵に変装してたりするかも知れないから……」
ライナー「…」
辰野「だから、あの…なるべく憲兵を殺すのは……控えて、欲しいです……」
ベルトルト「…」
ジーク「んー…そうだね〜。君と同じ世界から来たなら確かに殺さずこちらに引き入れたいねぇ」
アニ「…私もタッツンの言う通りだと思う。あいつ馬鹿だから何するかわからないし…」
辰野「!!」
辰野(え…気を使ってくれたの?)
ライナー「…憲兵はなるべく殺さずにしておきましょう。タッツンの仲間も紛れているかも知れない」
ベルトルト「…僕もそう思う」
ジーク「…そうだね。じゃあ、そうしよう」
135: 以下、
辰野「…」
アニ「…」
辰野「あの…どうも、ありがと。アニ」
アニ「いいよ、お礼なんて」
アニ「私はただ…逃げてるだけだから」
辰野「?」
アニ(手を汚す事から逃げている……もう今さら遅いのに)
137: 以下、
中央憲兵本部内部
ザッザッザッ!
憲兵「捕らえていた三人が脱走した模様!!この施設からは簡単に出られんはずだ、探せ!」
憲兵「全ての出入り口を固めろ!!」
サネス「くそ…こんなときに対人制圧部隊はレイス卿の護衛か…!とにかく探せ!!」
ジーク「あーらら、何だか中が騒がしい事になってるみたいだよ」
ライナー「会話から察するに、どうやらタッツンの仲間が脱走したらしいですね」
辰野(歩鳥のやつ、本当に脱走するとは…やるじゃないの)
ベルトルト「でも、こんなに憲兵がたくさんいちゃ脱走しても逃げられないのでは?」
アニ「早く見つけなきゃ先に憲兵に手を出されるかも…」
ジーク「それは困るね。まあ、状況は好都合…」
ジーク「タッツンの仲間も座標も一気に回収してやろうじゃないか」ザッ
辰野「…」
ジーク「あ、タッツンは安全なとこにいればいいからね。戦えない奴が近くにいても足手まといなだけだし」
辰野(気ぃ使われてんのか馬鹿にされてんのか…)
ジーク「それに、言った通り殺しはしないから安心しなよ…」
ジーク(まあでも、結局近いうちに壁内人類は全て…)
138: 以下、
憲兵「侵入者発見!奴等の仲間か!?」
憲兵「動くな!!撃つぞ!!」
ジーク「どうぞどうぞ」ザッザッザッ
憲兵「く、撃て!!」
パンッ パンッパンッ
ジーク「…ふう…やっぱり痛いもんは痛いなぁ…」ザッ
ジーク「こちらもお返しだ」シュウウウ
憲兵「な、な…っ」
憲兵「傷が…再生して……」
憲兵「何者だあ!?」パンッ
ジーク「化け物だよ」メキッググッ
ブンッ!!!
憲兵「ぐはっ!?」
憲兵「ぎゃっ!!」
憲兵「ぐえっ!!」
ドサドサドサッ
辰野「な………なに今の………床剥がして丸めてボールにして投げた………!?」
アニ「巨人体ならもっと凄いこと出来るよ」
ライナー「戦士長、まだまだ来ます」
ザッザッザッ
憲兵「なんだあいつらは!!何をしている!!」
ベルトルト「数が多い…!」
ジーク「ま、大丈夫大丈夫。弱いのがいくら群がったところで俺達にゃ勝てないからさ」
139: 以下、
ジーク「あの群がって来たのは俺一人で充分だから、ライナー、アニ、ベルトルトはタッツンと一緒に目的のやつ探してきて」
ベルトルト「わかりました!」
ライナー「行くぞ、タッツン!」グイッ
辰野「あ、うん!」
憲兵「止まれ!!」ガチャッ
アニ「邪魔だよ!!」ゲシッ
憲兵「いたっ!!」グルンッ
ジーク「さーて…そんだけの数でいいのかな?君たち」
憲兵「な、こちらは約30人だぞ!」
憲兵「逃げられると思うな!!」
ジーク「君たちこそ逃げる準備した方がいいんじゃないの…?」シュウウウ
140: 以下、
ザッザッザッザッザッ
辰野(歩鳥達はまだ憲兵に見つかってないよね?どこいるんだろう…)
ベルトルト「このっ!」ビシッ
ライナー「はあ!!」ドガアッ
憲兵「ぐふっ!!」ドサッ
アニ「はあ…さすがに疲れてきたよ…」
辰野「…大丈夫?」
ライナー「…おい」
憲兵「な、なんだ…」
ライナー「脱走した人間とエレンはどこだ?」
憲兵「脱走した奴等はまだ知らねぇよ…見つけてない…」
ベルトルト「エレンは?」
憲兵「さあ…何の話かな…」
ライナー「答えろ」
憲兵「ひっ!待て!こ、ここにはいない!」
ライナー「なんだと…?」
憲兵「エレンは……レイス卿の屋敷に連れていかれた………だから、見逃してくれ…」
ベルトルト「レイス卿の屋敷?」
ライナー「場所はどこだ?」
辰野「…え?ここには居ないってこと?」
アニ「たぶん…」
141: 以下、
―――その頃、外…中央憲兵本部前
ミカサ「エレンはどこにいるの!?吐きなさい!!」
憲兵「わかった!言うから叩かないで!!」
ユミル「…憲兵本部の中がやけに騒がしくないか?」
憲兵「捕まえていたうちの三人は脱走して…行方がわからなくなった。そして…エレンとクリスタは、レイス卿の屋敷だ…」
アルミン「レイス?貴族家の!?なんで貴族家に…」
真田「え?嵐山もエレン達もここにはいないって事か…?」
ジャン「そういう事だろうな」
静「じゃあ、今やけに本部の中が騒がしいのは何故だ?」
憲兵「脱走者を探していたら…謎の侵入者が現れたんだよ……」
静「侵入者?」
コニー「どういう事だよ…」
アルミン「そっちも気になるけど…まずはエレンや皆を助けるのを優先しよう」
静「そうだね。何か引っ掛かるけど、よくわからんもんを相手にする余裕はない」
ミカサ「…じゃあ、急いでレイス家の場所へ行こう」
142: 以下、
レイス卿屋敷前
ユミル「あれがレイスの屋敷か…」
アルミン「うん、確かこの辺りで合ってるはず…」
ジャン「よく知ってるな」
アルミン「昔、壁内の地図の本を見るのが好きで…その時の記憶だよ」
静「凄い記憶力だね〜〜〜アルミンくん」
ミカサ「そう…アルミンの頭脳は昔からイケメンだった」
真田(頭脳がイケメン?)
コニー「ん?そこに何か落ちてないか?」
マルコ「え?あ…本当だ」ザッ
アルミン「何かの…破片?」
静「ん〜?」
ジャン「これ、壊れた注射器じゃねぇか?」
アルミン「本当だ…なんでこんなところに落ちてるんだ?」カラッ
ユミル「!!」
ユミル(あの注射器は…!?)
静「…」
静「何か知ってそうだね、ユミル」
ユミル「あ!?いや…さぁな」
真田「明らかに反応が怪しいっすよ」
ユミル「まあ、たぶん私が思ってるのとは違う…こんな場所に落ちてる訳がねぇ」
アルミン「……何で注射器が…謎だ………」
静「…1つ思い付いた事がある…」
真田「!」
ユミル「なんだ?」
静「例えば…憲兵本部から脱走した歩鳥がこの屋敷に侵入していると考えて…」
143: 以下、
―――静ねーちゃんの推理
歩鳥「よーし!レイス屋敷へ侵入だ!!」
歩鳥「むむ!何か発見したぞ!?注射器!?なんじゃこりゃ!!」
歩鳥「うーん、うーん」
注射器ポロッ
歩鳥「あ」
パリーンッ
歩鳥「…」
歩鳥(持ち主に見つかったら怒られる!!)
歩鳥「証拠隠滅!!!」ブンッ
―――――――
静「なーんてこと…」
アルミン「あははは、さすがにそれは…」
静・真田「…あり得る」
アルミン「あり得るの!!?」
144: 以下、
―――――――
ケニー「…」
ウルクリン「………」
クリスタ「………」
ウルクリン「…と、言うわけだ。はじめまして、クリスタ………いや、ヒストリア」
クリスタ「………腹違いの、お兄さん?」
ウルクリン「うん。俺と父さん以外はもう…いないけどね」
クリスタ「…父は…今どこに…」
ウルクリン「エレンから色々と話を聞き出そうとしているところさ。もう少し待っていれば来るよ」
クリスタ「………何で、今さら………」
ウルクリン「いま、君が必要になんだ」
クリスタ(…私が…必要……)
ケニー「…」
ザッザッザッ…
ケニー「!」
ケニー「部屋の外から足音がする…ちょっと見てくるぜ」
ウルクリン「ああ」
クリスタ「…」
ウルクリン「遠慮せずに食べな、ヒストリア。今日から俺達は家族だ」
クリスタ(家族………)
146: 以下、
ガチャッ
ケニー「…」チラッ
歩鳥「!!あ、おっちゃん」
ケニー「…よう、よく来たな」
紺「…」
サシャ「まさか、その部屋に…クリスタが」
ケニー「ああ、いるぜ」
紺「どうする?歩鳥」
歩鳥「…いま誰といるの?クリスタは」
ケニー「兄貴とだ…」
紺「様子見て行くか?」
ケニー「ああ。また合図するからそれまで隠れて…」
歩鳥「それじゃ駄目だ!!」ダッ
サシャ「え!?」
紺「おい待て!!」
ケニー「馬鹿!早まるんじゃねぇ!!」
歩鳥「好きなだけ馬鹿と言え!!私の勘が『放っておくな』と言っている!!」
歩鳥「クリスタの心を縛らせず解放させろと!!」ダッ
サシャ「どういう事ですか!?」
歩鳥「クリスタアアアアア!!!」ガチャッ
クリスタ「!?え、歩鳥!?」ビクッ
ウルクリン「な、誰だ君は!?」
歩鳥「お前が誰だあああ!!!」
ウルクリン「君こそ誰だ!!!」
147: 以下、
クリスタ「待って…兄さん…あの娘は…」
ウルクリン「…いや、駄目だ。君が信じるべきは家族である俺…」
歩鳥「…クリスタにぃ…!」ザッ
ウルクリン「え?」
歩鳥「呪いの言葉を吐くんじゃ!!」ザッ
ウルクリン「ま、待て…」
歩鳥「ないよおぉぉ!!!」ドカッ
ウルクリン「あふっ!!!」ゴチンッ
クリスタ「あ!!」
紺「…あー…」
サシャ「…ホトリ……」
歩鳥「………」
ウルクリン「」チーン←気絶中
歩鳥「………」
ケニー「……………」
歩鳥「もう少しで大変な事になるとこだった」
ケニー「もう大変な事なってるっつーのバカ野郎!!!」
148: 以下、
歩鳥「いや…ちょっと小突いて軽く気絶してるだけだし…そんな騒がなくても………」
ケニー「あのなぁ!怪我の程度の問題じゃねぇんだ!物事には順序ってもんがあるだろ!?もっと慎重に行動するべきだろ!!?」
歩鳥「ご、ごめん…思ったまま突っ走るの僕の悪い癖……」
クリスタ「もう…ホトリは相変わらずおっちょこちょい何だから……兄さん大して怪我も無いし良かったけど」
歩鳥「ごめんね、クリスタ…えへへ…」
紺「…何か私も心配になってきた……手ぇ出しちまってこのあとヤバいんじゃねぇか?」
サシャ「…でも、歩鳥と喋ってるクリスタって普段と雰囲気違いますよね」
歩鳥「クリスタ、こんなと居ないで訓練兵団に戻ろう!」
クリスタ「…でも…せめて父さんから話を聞いてからでも…」
歩鳥「駄目!!」
クリスタ「そうかなぁ…」
150: 以下、
ケニー(しかし、クリスタのやつもっとホトリに怒りを向けるかと思ったがそうでもないな……それだけ普段からホトリはアホな行動を取っているということか……)
ガバッ
ウルクリン「き、君は…何をするんだいきなり……父さんにもぶたれたこと無いのに……」
歩鳥「げっ!もう立ち上がった!!」
ウルクリン「当たり前だ。さっきは流れのノリで気絶したが君みたいな普通の女の子のどつきで気絶するわけないだろう」
歩鳥「えへへ…そりゃごもっともで…」
紺「ごもっともじゃねぇよ!どうすんだアホ鳥!!」
サシャ「憲兵呼ばれたら……」
ケニー「………」
ケニー「ウルクリン!この変な丸いガキは俺が始末しとくからお前はクリスタをさっさと親父のとこつれてけ!!」
ウルクリン「わかった。任せたよケニー」
クリスタ「待って、三人には何もしないで!!」
ウルクリン「大丈夫。あの三人は後でちょっと話を聞くだけだ」
歩鳥「ああ、クリスタ!」
ケニー「いいから今はついてこい!!こうするしかねぇだろ!!」グイッ
紺「…なんでそんな必死になってまでクリスタを親父に会わせたくないんだよ」
歩鳥「や、だって普通に考えてよ!生まれた時から邪魔者扱いされて家族からも見放されていた子供が……ある日突然その家族が謝罪してきて温かく迎える(フリ)してきたらどうなるよ!?」
ケニー「んなこと言ったってな。やれることには限度ってもんがあるぞ…特にお前みたいなただのガキにはな」
歩鳥「うう…ぐうの音も出ない…」
歩鳥(こんなとき…ユミルがいれば……)
151: 以下、
―――――――――
―――――
レイス屋敷地下牢
ロッド「…」
エレン「はあ…はあ…」ギシッ
ロッド「無駄だ、お前はここからは出られない。まだ巨人の力もコントロール出来ていないようだしな」
エレン「…は?巨人の力?なに言ってんだ…!」
ロッド「そうか…本当に何も知らないのか。いや、記憶はあるはずだが、思い出しかたがわからないのだな」
エレン「…!?なに!?」
ロッド「グリシャも酷い男だな…詳しい話も伝えず自らの息子に受け継がせるとは」
エレン「な…何を言ってんだ!?なんで父さんの名前を知ってんだ!!お前は何者だ!!!」
ロッド「…」
ガチャッ
ウルクリン「父さん、クリスタを連れてきた」
クリスタ「…」
エレン「!?」
クリスタ「え、エレン!?」
ロッド「…ヒストリア…」ザッ
クリスタ「!」
ロッド「今まですまなかった」ギュ
クリスタ「え……っ」
ロッド・レイスは自分の計画は完璧に進められていると思っていた………
しかし、彼は知らない…一見アホにしか見えない1人のイレギュラーの存在を………
152: 以下、
――――――
憲兵「」チーン
憲兵「」チーン
ミカサ「見張りは見つからないよう背後から高で峰打ちしておいた…20分は寝てると思う」
真田「すげぇ…ミカサ」
ジャン「どうだ、すげぇだろ!ミカサはすげぇだろ!!」
アルミン「なんでジャンがそんな自慢気なの」
静「んー…しかし、皆はどこにいるのかね〜」
ユミル「…」
コニー「なあ、おい。ここの部屋扉でかくて怪しくね?」
マルコ「そこは書庫だよ、書いてあるじゃないか」
コニー「あ、本当だ」
真田「…いっぱい本ありそうだな」
静「…」
静「道を全く知らん屋敷の中を適当に動き回っていてもあれだ。少し入ってみない?」
アルミン「え、でも…」
静「何か情報あるかも知れないじゃ〜ん?それにこの屋敷の設計図みたいなのでも出てくりゃどこに行けばいいかもわかるしさ」
ユミル「そうだな。少し入ってみるか」
153: 以下、
―――書庫
ガサゴソ
アルミン「あっ!」ガサ
ジャン「なんか見つけたのか?」
アルミン「この屋敷の内部の図面だ…」
ミカサ「なんと!」
真田「やったな、アルミン!それがありゃ…」
ユミル「よし、行くか」
静「そうだね〜……ん?」
静「…んん?」ジーッ
ユミル「なんだ?」
静「この本変じゃない?」ガッ
ユミル「は?」
静「タイトルは『作られた兵隊 中編』だけど…前編と後編がどこにもない」
コニー「へ??」
ジャン「それがどうかしたのか?」
静「横には隙間もなく他の本がびっしりだったから誰かが前編後編を持ち出した訳ではない……つまり初めから中編しかなかった。アルミンくん、君は本の前編を読まず中編をいきなり読むかい?」
アルミン「いや、読まないですけど…」
静「そんなものが本棚に混じっている。おかしいと思わないかい?この本…何かあるんじゃないのかな〜?」ペラッ
ユミル「…」
チャリンッ
静「!!」
アルミン「え!?」
真田「本の隙間から鍵が落ちてきた…」
静「なんだこれ〜…すげー気になる……ごめんユミル、3分ほどだけ観察していい?」
ユミル「すぐ終わらせろよ」
154: 以下、
静「ん〜……」
コニー「あれ?さっき本抜いた奥に穴がないか?」
静「え?」
アルミン「本当だ、鍵穴だ!!まさか…」
静「…ちょっと鍵突っ込んでみようか〜」
ガチャン!
ゴゴゴゴゴ…
ジャン「本棚が動いた!!」
静「マジかよ…」
真田「……奥にまた本がたくさんある部屋が出てきましたよ……」
155: 以下、
ジャン「なんだこりゃ……」
ミカサ「早くエレンを助けたいけれど…こんなものを見たら少し気になってしまう……悔しい…」
アルミン「…でも、知らない文字の本ばっかりだ」
ユミル「…」
真田「知らない文字じゃ読めないですね…静さん、やっぱ行きましょうか」
静「いや、少し待て少年…」ザッ
静「一冊だけ…日本語で書かれた本があるぞ〜?」パッ
真田「本当だ!!」
ユミル「!」
静「…でも時間もないし、適当に開いた一ページだけ読んで行くぞ」ペラッ
静「…」
真田「…」
静「コードネーム・タイタン」
静「戦争用に作られた………フェアリー」
157: 以下、
―――――――
エレン「………」
ウルクリン「…エレンの様子はどうだ?」
ケニー「ぐっすり眠っているよ。運ぶなら今のうちだ」
ウルクリン「いま、父さんが例のものを取りに行っている。そうしたら早行こう…礼拝堂へ」
ケニー「ヘイヘイ」
ザッザッザッザッザッ…
ロッド「…」
クリスタ「…」
クリスタ「お父さん…あの、エレンは……」
ロッド「大丈夫。エレンには少し話を聞くだけだから心配ない」
クリスタ「…うん…」
ロッド(さて…注射器と…)ガサゴソ
ロッド「………………」
ガサゴソガサゴソ
ロッド(………あれ!!?)
ロッド(注射器が…ない!?薬もない!?)ガサゴソガサゴソ
クリスタ「…?なにしてるの?」
ロッド「い、いや…なんでもないよ、ヒストリア」
ロッド(おっかしいなぁ…ここに置いていた筈なんだが…)
ロッド「ちょっと用事があるからウルクリン兄さんと先に馬車へ行ってなさい」
クリスタ「うん」
158: 以下、
―――馬車
エレン「…」
ウルクリン「…」
ケニー「…」
ケニー(いいぞ…俺の計画も順調に進んでいる。このまま隙をついて…エレンと注射器を……)
エレン「…」
ケニー(ククク…)
???「………」ガサッ
159: 以下、
エレン「…」
―――――――
―――
エレンの夢の中
エレン「…う…」
エレン「……ここは?」
ザッザッザッ…
エレン「!」
リドル「…」
エレン「なんだ…こりゃ?」
学者「…なんということだ……」
エレン「!」
学者「私は…とんでもないものを作ってしまったのか…?」
エレン(誰だ…あれ?)
学者「だが、もう…ここまで来たら、引き返すことは出来ない…」
エレン「あの…あんた、誰ですか?」
学者「…」
学者「私は……この世界に絶望したもの…」
エレン「え?」
学者「………」
学者「そして…姉弟を解放するために……」
エレン「な、なんのことですか!?」
学者「君と話せるのはここまでだ」
カアアアアアッ…
「……ホトリ…アラシヤマ・ホトリ………」
「…タ……ス……ケ……」
160: 以下、
―――――――
トラウテ「…と、いうわけで…ケニー隊長はいったんロッド・レイスの護衛として一緒に礼拝堂へ向かう」
トラウテ「その後、私達も時間差で向かい…隙をつき、ケニー隊長と共にエレンを奪う。いいな」
隊員「はっ!!」
紺「…なあ…なんであんた達もエレンを取り返そうとするんだ?明らかに変だし怪しいぞ」
サシャ「ですよね…」
トラウテ「…君たちは知る必要はない。とりあえず隊長に、君たちも大事な人間だから守れと言われている」
紺(…あのオッサン…やっぱうさんくせぇ…なに考えてやがる)
トラウテ「とりあえず君たちはここで待っておきなよ」
サシャ「いや、同期が拐われているのに何もしないなんて嫌です!」
紺「まあ…そうだな…おい、歩鳥」
シーン………
紺「…あれ?」
サシャ「あれ?ホトリは?」
トラウテ「どうした?…ホトリがいないの?」
紺「い、いない…歩鳥!?」
サシャ「あなた、何かしましたか!?」
トラウテ「いや、私達は何もしてないよ!?これは本当だ!!」
紺「…ん?」
サシャ「どうしました?」
紺「知らないうちにポケットに手紙みたいなのが入ってた」ガサ
ピラッ
『私、こっそり馬車に乗り込み先に礼拝堂へ行ってきます。ふふふ…女子高生探偵は伊達じゃないんだよ!!!じゃーね!!!byホトリ・アラシヤマ』
紺「…あ…」
サシャ「…あ…」
紺・サシャ「あんのアホ鳥いいいぃぃぃ!!!!!!」
162: 以下、
――――――
礼拝堂
カッカッカッ…
ロッド(ふう…屋敷に注射器なくて焦ったけど礼拝堂にも置いてて良かった…)
クリスタ「お父さん!エレンをこんなとこに連れてきてどうする気なの!?」
ロッド「大丈夫。エレンを傷つけるようなことはしないよ」
ウルクリン「安心するんだ」ポンッ
クリスタ「うん…」
ケニー(あちゃ〜…この嬢ちゃん段々思考が停止してきてるな。まあ、仕方ないが…)
エレン「…」
ロッド「よし、エレンを鎖で繋いでおく」
ケニー「了解」カチャカチャ
ウルクリン「…一応口も塞いどく?」
ロッド「いや、大丈夫だろう…自分の力も知らないみたいだしな」
クリスタ「…やっぱり…」
ウルクリン「大丈夫だから」
クリスタ「うん…」
ロッド「よし、クリスタ。ちょっと着替えよう…」
クリスタ「え?」
ウルクリン「大事な儀式をやるから」
クリスタ「ぎ、儀式…?」
ロッド「いいから。服を置いてある場所まで案内してあげよう」
ウルクリン「こっちだ」
クリスタ「…」ザッザッ
ロッド「ケニーも念のため護衛としてついてこい」
ケニー「ヘイヘイ」
コソコソ…
ケニー「!!」バッ
シーン………
ケニー(…気のせいか)
ザッザッザッ………
歩鳥(あっぶね〜、バレるかと思った…まあ、ケニーのおっちゃんにならバレても大丈夫だろうけど、また怒られるだろうしな)コソコソ
163: 以下、
歩鳥(ふふふ…私、ケニーのおっちゃんや皆に内緒でこっそりレイス卿達の馬車に乗り込んでしまいました)
歩鳥(そしていざというときの護身用に木の枝と石ころも拾ってきた…完璧だね)
歩鳥(きっと今頃、紺先輩やサシャも私を「すごい!探偵!カッコいい!」と称えているだろうね…むふふ)
歩鳥「さてさて、それはそれとして…なんと私」ザッ
歩鳥「鎖で繋れたエレンを発見してしまいました!!」
エレン「…」
歩鳥「しかも半裸!半裸!?何故に!?露出イェーガー!!」
エレン「…」
歩鳥「…しかも無反応…寝てるみたいだ…」
歩鳥「タッツンがいたら良いツッコミ入れてくれただろうな…」
164: 以下、
カッカッカッ…
エレン「…」
歩鳥「エ〜レ〜〜ン!起きな!」
エレン(半裸)「…」
歩鳥「!」ドキッ
エレン(半裸)「…」
歩鳥「ゴクリ…」ドキドキ
エレン「…」
歩鳥「…」ジーッ←顔近付ける
ドキドキドキドキ
エレン「…」
歩鳥「…」ジーッ
ドキドキドキドキドキドキ
エレン「…ん…」
ドキドキドキドキドキドキ
歩鳥「ゴクリ…」コチョコチョ←木の枝の先っちょで鼻こちょこちょ
エレン「ふあ…っ」
エレン「ふあっくしょん!!!…あ、あっ!?」
歩鳥「グッモーニン、エレン」ニコニコ
エレン「…」
歩鳥「大変なことなってるね」
エレン「お前、今!何してたおい!?」
歩鳥「いや、声かけても起きなかったから…ちょっと鼻をこちょこちょ…」
エレン「アホかお前は!?つーか何でお前がここにいるんだ!!?だいたいここどこだ!!?」
歩鳥「ま、待って待って落ち着いて!」
165: 以下、
歩鳥「とりあえず私もよくは分かんないんだけど、エレンはレイス卿達に馬車で礼拝堂の地下へ運ばれたようだよ」
エレン「…なんか、壁や柱がキラキラしてるな」
歩鳥「そう、ファンタジックで不思議な光景だよ」
エレン「つーかよ…んなふざけてる暇あるなら鎖外すなりしてくれりゃいいのによ…」
歩鳥「あのね〜…私はこれでも自称探偵だよ?観察力ならそこらの人達よりはあると自負したい気持ちでいる」
エレン「はあ…だから何だよ」
歩鳥「エレンの繋がれている鎖を見てごらん…こりゃ専用の鍵が無きゃ外せない構造だよ。それに、私の力じゃ無理やり鎖外すのも無理…つまり」
歩鳥「私じゃ鎖外すの無理だからとりあえずエレンを起こすという結論に至ったたのだよ」
エレン「そうか…そこまで瞬時にして頭が回ったのは凄いと思うがどっか腑に落ちないのは何故だろうな…」
歩鳥「多分レイス卿が持ってると思うんだけど…どうするか」
エレン「…はあ…なんでこんなことになっちまったんだろうな…」
歩鳥「大丈夫、私がいるじゃないか!」ポンッ
エレン「この状態で仲間がいるのは嬉しい状況のはずなのに何処か不安が拭えない…」
166: 以下、
―――――――
ジーク「…ふむ……それで?」
ライナー「はい…憲兵から聞き出した話なら、エレンはレイス卿の屋敷に連れていかれたあと、近くの礼拝堂へ行くらしいです」
ジーク「ふむ、じゃ…礼拝堂へ行ってみようか。地図ちょうだい」
ベルトルト「どうぞ」ペラッ
アニ「…ホトリ達も居るかはわからないけど…とりあえずまず礼拝堂に行くからね」
辰野「うん…」
ジーク「ふむ…結構近いな」
辰野「…あの…」
ジーク「なんだい?」
辰野「…」
辰野「本当に…壁の中を、滅ぼすしか無いんですか?」
ジーク「そうだね。この呪われた繰り返される歴史を止めるには…力づくしか無いのさ」
辰野「…」
ジーク「ま、俺だって別に自分の考えが一番正しいと思ってる訳じゃない」
ジーク「だが…いつまでも『二人』のワガママの為に世界を好き勝手されちゃたまらんだろ」
辰野「…私、考えてたんですけど…」
ジーク「ん?」
辰野「私達がここに来たのってやっぱり…その『二人』と関係があるんじゃ……」
ジーク「さあね、そりゃ分からんさ」
ライナー「準備できました」
ジーク「OK。よし、行くかね」ザッ
辰野「…」
168: 以下、
――――――
歩鳥「ところでだね、エレンくん」
エレン「なんだよ?」
歩鳥「実は私ちょっと前にレイス卿の部屋に不法侵入して勝手にタンスとか漁ってたんだけど…」
エレン「探偵つーか泥棒だな」
歩鳥「こんな薬の瓶を二本見つけて来たのだよ」サッ
エレン「何の薬だそりゃ?」
歩鳥「この私にもわからない……女子高生美少女探偵の名に懸けてこの謎は解明しなければ」
エレン(美少女と言い切りやがったぞ)
エレン「…瓶になんか文字が書いてあるみたいだが?」
歩鳥「そうなのだぜ」
歩鳥「それぞれ『ヨロイ』、『サイキョウノキョジン』と書かれているだけど………何のことだかさっぱりだね」
エレン「訳のわからん薬だな……間違っても飲むなよ」
歩鳥「飲まんわ!」
169: 以下、
エレン「…ん?」ピクッ
エレン(いや、待てよ…こんな薬…どっかで見たような気が…)
エレン「う、頭が…」ズキッ
歩鳥「どうした!?大丈夫?」
エレン「ああ、大丈夫だ…何でもない」
ザッザッザッ…
エレン「!向こうから誰か帰って来るぞ!!ホトリ、隠れてろ!!」
歩鳥「マジで!?まだ見つかるのはマズイ!!避難だ!!」サッ
ケニー「…おや、お目覚めのようだな」ザッ
ロッド「…」
クリスタ「エレン、起きたの!?大丈夫だからもう少し辛抱してね!」
エレン「!?クリスタ!?なんで…!」
歩鳥(あの子!そんなとこいちゃダメでしょ!!)
ロッド「さて…邪魔者もいない…始めようか」
エレン(歩鳥はまだ見つかってないな…だが…)
歩鳥「…」コソコソ
エレン(なんでよりによって俺の背中の真後ろに隠れるんだよ!あいつらが後ろに来たらバレちゃうだろ!?)
171: 以下、
エレン「…あんた達は何が目的で俺をこんなとこまで連れてきた!?クリスタ!おめぇも何でそんなジジイと一緒にいるんだ!!」
クリスタ「お、お父さんなの!エレン、大丈夫だから落ち着いて話を聞いて!」
エレン「落ち着いてられるか!鎖で繋がれてんだぞこっちは!!」
歩鳥(いや、エレン…ここは落ち着いて話を聞こう。まずは向こうの言い分や目的も聞かなきゃこっちもどうしていいかわからないよ……力づくで脱出するのはぶっちゃけ不可能だし)ヒソヒソ
エレン(………そうだな、わかったよ…お前の言う通りだ。今はいったん大人しくしてやる)ヒソヒソ
エレン「…とりあえず、あんた達の事も詳しく聞かせてくれなきゃ…こっちも訳がわかんねぇだろ」
クリスタ「お父さん…早く話をしてあげて」
ロッド「…君は今は思い出せないだろうが……我々レイス家が代々受け継いで来た力を君の父親が奪った」
エレン「!?父さん!?」
ロッド「巨人の力だ…、更にその中でも頂点にたつ…神に等しい力。その巨人の力が今、お前の中にある」
クリスタ「…!?」
エレン「!!?はあ!?巨人の力!?なに言ってんだ!!?」
ロッド「人間を巨人に変える力がこの世界には存在するのだ…壁が破壊された時に現れた超大型巨人、鎧の巨人もその類だろう」
ロッド「…君の持つ力は君では使いこなせない……だから我々に返してもらう、それだけだ。何も恐れなくていい。力がレイス家に戻れば、再び危機にある人類を救うことができる………」
クリスタ「…よ、よくわからないけど…」
エレン「な、なに言ってやがんだ、お前は…!?」
歩鳥(いま…さらっととんでもねぇ情報が入った……鎧の巨人や超大型巨人は、巨人になる力を持った人間!?)
歩鳥(エレンもそれを持っている…!?しかも、神に等しい力って……)
172: 以下、
歩鳥(とりあえず、何とか把握できる部分だけで推理してみよう)
歩鳥(たぶんあのオッサンが言ってる事は嘘じゃない………エレンの父親が力を奪った…)
歩鳥(その力を取り返す……レイス家に…)
歩鳥(力を取り返すってどういう事だ?)
歩鳥(………)
『巨人は人間を食べる』
『食べる』
歩鳥「………っ!!!」ピキィィィンッ
歩鳥(ま、まさか………エレンを……)
歩鳥(エレンを食べさせる気なのか!!?)
歩鳥(待てよ、それならばあの薬の中身は……『ヨロイ』『サイキョウノキョジン』という名前…人間を巨人にする力…)
歩鳥(巨人の力を与える薬!?)
173: 以下、
歩鳥(おっそろしい結論に至っちまった!!どうしよう!!このままここにいちゃヤバい!!!)
歩鳥(………ん?)
歩鳥(うあ!ヤバい!!私もヤバい!!しまった、色々あって忘れてたよ!!)
歩鳥(だめ!今は抑えて!!今はまだ…!!)グググッ
ロッド「…さて、まずはエレンに父親の記憶を思い出して戻して貰おうか」ザッ
クリスタ「え?」
エレン「…!!?」
ケニー「…」
ググ…
グウウウウウウウウ…
エレン「……………」
ロッド「…」
ケニー「……………」
クリスタ「………え?なに今の音?」
エレン「………」
エレン(俺の真後ろから聞こえたから音の正体はわかっちまった……)
エレン(ホトリ………お前って奴は………)
歩鳥(すいません…すいません…私のお腹が鳴りました…)
歩鳥(だって!!朝からずっと何も食べてないんだもの!!!)
ロッド「まさか…エレンの中に眠る巨人の力が目覚めようとしている音か…?」
エレン「!?」
歩鳥「!?」
174: 以下、
クリスタ「え!?」
ロッド「今のような音がこんな場所で聞こえるのは不自然だ……私も巨人の力には詳しく無いのだが、もしかしたらエレンの中にある巨人の力を関係があるのかも知れん」
クリスタ「巨人の…力…」
ケニー「確かに、エレンの方から音が聞こえたしな」
エレン「いや、俺に振らないでくれ!!!」
ロッド「まずいな、巨人の力が目覚める前に済ませるぞ」
エレン「ええ!?」
歩鳥(まあ、私のお腹の音なんですけどね)フッ
歩鳥(待てよ…これ、いい状況なんじゃね?)ピクッ
歩鳥(私はか弱い乙女でエレンは囚われの身…力の勝負では敵わない…だが……よし、いけるぞ!!たぶん!!)
歩鳥(エレン!安心してここは私に任せて!知恵比べと行き当たりばったりで私の右に出るものはいないよ!!)ヒソヒソ
エレン(『行き当たりばったり』とかいう聞きたくない単語が混じっていたが気にしないようにしよう)ヒソヒソ
175: 以下、
ロッド「ついてこい、ヒストリア」
クリスタ「あ、うん」
???「待てい!!!」
ケニー「ああ!?」
ロッド「む、誰の声だ!!?」
「巨人の力が目覚める音…ふふ、惜しいですなぁ……レイス興」
クリスタ(あれ、この声って…)
エレン「…」
???「そう、あれは巨人の力の音だ………しかし、残念ながらエレンのではない。私の中に潜む凶悪な巨人の力だよ…」
ケニー「はあ?」
ロッド「くっ!どこから喋っている!目的を話せ!!!」
???「私の目的もあなたと同じエレンの力です。しかし、私の持つ巨人の力に勝てますかな?レイス興」
ケニー(この声…)
クリスタ(まさか…)
エレン「…」
ロッド「貴様は何者だ!?正体を現せ!!」
ザッ!!!
???「人は私をこう呼ぶ………天才、人類最高の頭脳…女子高生メイド探偵……」ザッ
歩鳥「嵐山ディテクティブ………名探偵ホトリ・アラシヤマとね!!!」バアアアアアアアアンッ
クリスタ「またホトリ!!?」
ケニー「やーーーっぱり、お前かい!!!」
177: 以下、
エレン(こいつ…ここぞとばかりにとんでもねぇ事ぬかしてやがる……)
歩鳥「ふふふ…レイス卿……エレンは私がもらい受けますよ」ポンッ
エレン「…」
歩鳥(こら、エレン!そこは助けを求めて!)ヒソヒソ
エレン(え!?)
歩鳥(私もエレンの力を利用しようと拐おうとしてるって設定なんだから抵抗しなきゃ不自然でしょ!!)ヒソヒソ
エレン(そ、そうか…)ヒソヒソ
エレン「ちくしょー!!!変 な や つ に狙われて大変なことになっちまってるよ!!!ミカサ、アルミン、助けてくれー!!!変 な や つ が…」
歩鳥(こいつ、ここぞとばかりに『変なやつ』を強調してやがる…)ピクッ
ケニー(なに考えてんだホトリの奴は…)
178: 以下、
ロッド「くっ…エレンを拐われる訳には……しかし巨人の力を持っていると言っている。うかつに近づくのも危険だ…っ!」
ケニー(しかも信じちゃってるよこの人…)
クリスタ「ホトリ、何してるの!?」
歩鳥「クリスタこそなにしてんの!?」
ロッド「む、知り合いか?ヒストリア」
クリスタ「え、あ…」
歩鳥「よく聞けレイス卿!!私はクリスタも拐おうとしてるんじゃーい!!!」
クリスタ「!?」
ケニー「…」
ロッド「くっ!ヒストリアまで狙っていたとは…貴様、本当に何者なのだ?壁の外から来たのか?」
歩鳥「………キッサ・シーサイドと呼ばれる秘境の地さ………人の少なさが特徴の地だよ」
―――――――
次元を越えて
ウキ「客が少ないっつったか!?ええ!?」
嵐山母「え!?」ビクッ
ウキ「あ、や…ごめん……なんか今、歩鳥が変なこと言った気がしてね…」
179: 以下、
ロッド「なるほど…やはり壁の外から来たのか…だが、力を貴様に渡すわけにはいかん」
ロッド「ケニー…戦えるか?」
ケニー「いやぁ、俺、昔ウーリの巨人に負けてから巨人恐怖症で…」
ロッド「…」ギロ
ケニー「ははは、ご命令とあらば戦いますよ」
歩鳥「では…ここは1つ、話し合いはいかがですか?」
ロッド「なんだと?」
歩鳥「どちらがエレンを受けとるかの話し合いです」
ロッド(…奴の持つ巨人の力がどのようなものなのかは未知数だ…下手に手を出すより話し合いが懸命か)
歩鳥(…と、いう風に考えてくれたら助かるね)
ロッド「いいだろう」
歩鳥(よしきた!!)
ケニー(なるほどな…戦う力はねぇから嘘ついて話し合いにさせようとしたって訳か?)
歩鳥「ではまず私から…1つレイス卿に尋ねたい事が…」
ロッド「なんだね?」
歩鳥「レイス卿は何を目的として、エレンを…」
エレン(ん?俺が連れてこられた理由なら聞かなかったか?もう少し詳しく聞くってか?)
歩鳥「何の為にエレンを半裸にさせたのか!?」ビシッ
エレン「いや、そっちかよ!?」
180: 以下、
ケニー(…やっぱりただのアホなのか?あいつは)
エレン「…」
歩鳥「さあ、答えなさい!レイス卿!まさか趣味かね!?」
ロッド「…お前に答える必要はない」
歩鳥「んな、半裸の理由勿体ぶられたって誰も喜ばねぇよ!!!つーかどうでもいいよ!!!」ビシッ
クリスタ「じゃあ初めから聞かなくていいじゃん!!?」ビシッ
ケニー「ナイスツッコミだ、ヒストリア」
ロッド(何を言ってるんだ奴は…こちらを油断させる為の作戦か?)
ケニー(ったく、アホすぎてヒストリアみてぇにツッコミ入れたくなる……)
ケニー(………ん………?ツッコミ?)
ケニー(あのヒストリアがツッコミだと!!?)
クリスタ「も〜…ホトリは変なことばっかり言うんだから」ハァ
ケニー(…さっきまで父親の操り人形みたいになってたあいつが人間らしい表情に人間らしい行動をしていやがる…)
歩鳥「てかさ、本名ヒストリアなの?」
クリスタ「え?あ、うん」
歩鳥「じゃあ、ヒストリアって呼んでいい?」ニコニコ
ヒストリア「…いいよ」ニコ
ケニー(しかも自然な笑顔まで!!)
エレン「へえ…お前そんな表情できるんだな、クリスタ。ずっと作ったような顔で気持ち悪いと思ってたけど」
ヒストリア「え!?」ビクッ
エレン「でも、今の表情は良かったぞ」
ヒストリア「そ、そうかな…」エヘヘ
歩鳥「エレン、気持ち悪いは失礼だぞ」ビシッ
エレン「悪い悪い」
ロッド「待て、何を雑談している。話し合いの途中だろう?」
歩鳥「おっと、そうでしたね、レイス卿」
181: 以下、
ケニー(…なんてぇこったい……)
ケニー(気付いたら、ホトリが現れてからこの場の重い空気がガラッと変わりやがった……)
ケニー(ホトリ・アラシヤマ………あいつ…ひょっとして……)
歩鳥「エレンは私のものザマスヨ〜」ホッホッホ
ケニー(アホだが……実はすげぇ奴なんじゃねぇか…?)
ヒストリア「…」
ケニー(しかもいつの間にか、さらっとヒストリアの名前表記変わってるし…)
186: 以下、
歩鳥(…エレン…他に何か聞きたいことある?)ヒソヒソ
エレン(……父さんについてだな…)ヒソヒソ
歩鳥(………私の予感だと、聞いてもいいことならない気がするんだけど…それでも聞く?)
エレン(ああ、自分の父さんの事を知らないのは嫌だ)
歩鳥(ま、そうだよね)
ロッド「…」
歩鳥「では、レイス卿…あなた方から力を奪ったエレンの父親とは何者なのですかな?先ほどから引っ掛かっていたのですが…」
ロッド「…私にも詳しい事はわからない…だが、壁の外から来た人間だろう。彼は巨人の力を持つものだった」
エレン「…!!」
歩鳥「…」
ロッド「そして、壁が破壊された日の夜…この礼拝堂まで、その時レイス家の巨人の力を受け継いでいた長女フリーダ・レイスと交戦し………」
ロッド「フリーダは力を上手くつかいこなせなかったのか…グリシャ・イェーガーに敗北し、その力は奪われてしまったのだ」
ヒストリア(……フリーダ…?どこかで聞いたことあるような……)ズキッ
ロッド「そして、その力は今…エレンの中にある。その力こそが人類の希望………レイス家でなければ使いこなせない神の力だ」
エレン(なんだって!?つまり、親父は人類に必要な力を奪って…俺に渡しちまったってのか!?)
歩鳥「………」
歩鳥(今の話…どっかおかしくないか…?)
187: 以下、
エレン「…父さんは、何故そんなことを…」
歩鳥「…その他の家族はどうなったのですか?」
ロッド「…妻は去年、病気で死に…私の子供はフリーダとヒストリアだけだ」
ヒストリア「え、ウルクリン兄さんは?」
ロッド「彼は妻の年の離れた弟だ」
エレン(父さんが…ヒストリアの家族のフリーダさんをころした…?)
歩鳥「エレン、父さんのやったことに疑問抱いてるだろうけど気にしちゃダメだよ…てか、何かおかしい」
エレン「え?」
ロッド「…昔からフリーダは変なことを言っていてな……『子供はたくさん作る必要はない』『繰り返されてきた歴史が変わる』と……」
歩鳥(フリーダって人…まさか…)
歩鳥(わざと負けた?)
188: 以下、
ヒストリア「繰り返されてきた歴史…って…?」
ロッド「私も詳しい事は知らないが…人類は始まりと終わりの歴史を幾度となく繰り返してきたらしい…」
エレン(始まりと終わり?)
ロッド「そして、レイス初代王は完璧な人類を作りいつか平和な世界を生み出すこと……」
ヒストリア「…」
ロッド「そして、姉弟の神を解放することだった」
歩鳥「完璧な人類?姉弟の神?なにいってんだこのオッサンは…」
ロッド「姉弟の神は、は何度も繰り返されてきた歴史に…人類に絶望し…そして…」
「神だと?馬鹿なこと言ってんじゃねえ」
ロッド「!!」
歩鳥「あ!」
ユミル「その『姉弟』は神様なんかじゃねえよ………」ザッ
ヒストリア「ユミル!?」
ユミル「その二人も…ただ馬鹿な奴等から勝手に神として崇められてる被害者にすぎない」ザッ
189: 以下、
訂正
×初代王の〜
○初代王の思想は〜
190: 以下、
ヒストリア「ユミル、なんでこんなとこに…危ないよ!」
ユミル「お前こそ何してんだよ、ったく」
ロッド「…なんだね、君は。どこから来た」
ユミル「どこでもいいだろ」
真田「嵐山!!」ザッザッ
静「お、良かった〜…まだみんな無事のようだな」
歩鳥「真田!静ねーちゃん!みんなも…」
コニー「おい、なんでエレンが鎖で繋がれてんだ!?」
ジャン「一体なにしてんだ!?」
ミカサ「エレン!助けなきゃ…っ」ザッ
エレン「待てミカサ!まだ来るな!」
ミカサ「!?」
アルミン「なんで!?何が起きてるんだ!?」
エレン「今…そこのオッサンから話を聞いているんだ。もう少し手を出さず待っててくれ」
アルミン「…ミカサ…」
ミカサ「…わかった…」グッ
静「…ユミル…その姉弟ってのは何なの?それが黒幕なの?」
ユミル「違う。そいつらはただ巻き込まれただけさ…馬鹿な人間のせいでな」
ユミル「とっくに死んでいる姉弟を勝手に自分達の神として祭り上げ…過剰なまでに崇めて人類を憎んでいたいた狂信者……そいつらのリーダーが…」
ユミル「お前らレイスの先祖だろ?」
ヒストリア「ど…どういうこと?」
ロッド「…そんなは話は私も知らない…何者だ貴様!?」
ケニー(ちっ…何かややこしい事態になってきたな…)
歩鳥「ゆ、ユミル!あんた何を知ってるの!?もっと話してよ!!」
ユミル「別にいいけど…今はそれどころじゃねえだろ?」
「おやおや…先客がたくさんいるな〜…」
歩鳥「!!」
エレン「また誰か来た!?」
ロッド「誰だ!?」
ジーク「さて…どうすっかな〜…」ザッ
191: 以下、
歩鳥「だ、誰だオッサン!!」
ジーク「おや…日本人の顔つきだ。タッツンの仲間はあれだね」
ライナー「ええ、あれとそこの二人もタッツンと同じ世界から来たのだと思われます」
ベルトルト「そして、あの鎖に繋がれているのが…座標の持ち主です」
エレン「…!?ライナー!ベルトルト!なにしてんだ!?」
ジャン「!?」
コニー「お前ら、何やってんだ!?」
真田「あいつら…なんで…」
静「あの眼鏡のオッサン…私達を見て『日本人』と言ったよ」
アニ「ジーク戦士長!」ザッ
ジーク「お、来たね。アニちゃんにタッツン。座標も日本人もここにいたよ」
辰野「!!」
歩鳥「タッツン!?なにしてんだお前!?」
辰野「歩鳥!?真田くんにみんなも!!」
192: 以下、
ロッド「くっ…次から次へと!いかんな…こうなれば」ザッ
ヒストリア「!」
ロッド「ヒストリア…この注射を打て」スッ
ヒストリア「え…えっ?」ビクッ
ロッド「そして、エレンを…」
ユミル「クリスタ!そいつを打つな!!」
ヒストリア「!!」
歩鳥「それは駄目だ!!」
ユミル「お前ら、もう待たなくていい!止めろ!」ザッ
カアアアアッ!!!
ユミル「!!光!?」
真田「う…!ライナー達のいる方から!!」
ズシイイインッ
アルミン「…な…っ!」
コニー「は…はあ…?」
ジャン「冗談だろ…?」
ミカサ「見ていた…ライナーとアニと眼鏡の男が………」
ズシイイインッ
獣の巨人「…」
鎧の巨人「…」
女型の巨人「…」
辰野「ほ、本当に…巨人になった……」
静「くそっ、えらいこった〜!」
ベルトルト「エレン、悪いけど…僕達と来てもらうよ」
エレン「な…なんだ、なんなんだよ突然!?なんなんだお前らはぁ!!?」
歩鳥「あいつら…巨人だったのかよ…!!?」
193: 以下、
「待った」ザッ
ユミル「!!」
ウルクリン「父さんの邪魔はさせないよ…」ザッ
ウルクリン「父さんは、身寄りのなくなった僕を息子同然に迎え入れてくれたんだ…この巨人の力をもらってね」ガリッ
ヒストリア「え!?」
カアアアアッ!!!
ウルクリン巨人「グオオオッ!!!」ズシイイインッ
ライナー(ちっ、向こうにも巨人がいたか…)
獣の巨人「邪魔するなら容赦はしないよ…」パキパキ
ミカサ「くそ、エレンのところに行かせろ!!」バッ
ロッド「さあ、今のうちに注射を打つんだ!!」
ヒストリア「えっ!?」
ロッド「エレンの持つ力は、レイス家の血を引く者にしか扱えない…だから、ヒストリア。お前がやるしかない」
ヒストリア「な…なに…」
ケニー「…なんだと…?」
ロッド「!」
ケニー「その力ってのは…レイス家の人間じゃねえと使えねぇのか?」
ロッド「そうだ」
ケニー「ふ、ふざけんじゃねえ!!」
歩鳥「おっちゃん、こんなときになに言ってんだよ!?ヒストリア!注射は打っちゃ駄目!!」
エレン「くそ…こんなときに、動けやしねぇなんて…っ!!」
ケニー(じゃあ…俺は、今まで…何のために!!!)
194: 以下、
ヒストリア「…お父さん…私、ずっとここにいて…フリーダって名前を聞いてから…少しずつ思い出せそうなの…」
ロッド「!」
ヒストリア「はっきりとは思い出せないけど…私には、優しくしてくれたお姉さんが一人いた…気がする」
ロッド「…」
ヒストリア「フリーダって、まさか…そのお姉さん?」
ロッド「………そうだな、あの娘は優しかった。お前を気にかけ会いに行っていたのだろう」
ヒストリア「!!」
エレン「…!!」
エレン(なんだそれ…ヒストリアに優しくしてくれた姉さんを…俺の父さんが…)
ヒストリア「じゃあ…姉さんは……」
ロッド「グリシャ・イェーガーに殺された…」
ヒストリア「…」
ロッド「だが、姉さんはまだエレンの中に生きている。だから、エレンを食い、姉さんとレイス家の力を取り戻すんだ」
ヒストリア「………」
ユミル「おい、惑わされるな!!」
ヒストリア「!!」
ユミル「レイスの力は確かにレイスの人間しか扱えない…だが、力を受け継いだら初代王の亡霊に洗脳されちまうんだ!!」
ヒストリア「…え!?」
ロッド「…だが、人類の為にはそれしかない……姉さんの無念も晴らしたくないのか?」
歩鳥「駄目だ、ヒストリア!!たぶんフリーダさんは何か考えがあった…あんたがエレンを食ったらフリーダさんの考えが無駄になる!!」
ヒストリア「え…!?」
ロッド「ヒストリア!注射を打て!!」
ヒストリア(どうするのがいいの…何が一番正しいの!?)
195: 以下、
ウルクリン「…」ズシイイインッ
ユミル「くそ!邪魔だ、こいつ!!」サッ
ヒストリア「あ!ユミル!!」
ユミル「……なあ、クリスタ…お前の生き方に口出しする権利は私には私にはない…」
ヒストリア「え!?」
ユミル「だから、最終的な判断はお前の好きにしろ…だがな、いつまでも自分の無いまま周りに流されるのだけはやめてくれ」
ヒストリア「…」
ユミル「何が一番正しいのかなんて誰にもわからねぇよ…だがな…これだけは…聞いてくれ」
ユミル「胸はって生きろよ」
ヒストリア「………」
歩鳥「くそ!巨人大パニックなのに丸腰で何もできない!!」
エレン「ちくしょう!鎖が外れねぇ!!」
ヒストリア「……!!!」
ロッド「打て!!!」
ヒストリア「やだっ!!」ブンッ
パリーンッ
ロッド「え!!?」
196: 以下、
ロッド「ああ!注射器があ!?」
ヒストリア「何が神の力だ!!そんなの私の知った事じゃない!!」バッ
ロッド「!!おい、鞄を返せ!!」
ケニー「もういいだろ」ザッ
ロッド「いた!!足踏むな!!」
歩鳥「ヒストリア!!」
エレン「お前…!」
ヒストリア「エレン!お父さんから聞いた話は気にしないで!!いま助ける!!ガチャ
歩鳥「よっしゃ、私も手伝うよ!!」
ヒストリア「ごめん…私のせいで。早くこの場からみんな逃げなきゃ」
エレン「いや、お前は悪くねぇだろ…」
歩鳥(だが…巨人数体に対しこっちは訓練兵ばっか…どうすんだよ…!考えなきゃ!!)
197: 以下、
ユミル「よし…あっちは何とかなったみたいだな…」
静「うん。だけど…」
ウルクリン巨人「グオオオッ」ブンッ
鎧の巨人「!!!」ザザザッ
獣の巨人「へえ、ライナーの巨人をぶっ飛ばすたぁ、やるじゃん…」
ミカサ「くそ!この巨人ども…エレンから離れろ!!」ビュン
女型の巨人「!!」ビクッ
鎧の巨人「…」
ライナー(ちっ…やはりミカサは違うな…俺達が巨人になっても恐ろしい強さだ)
ミカサ「ライナー…アニ…何故…」ジャキッ
アルミン「くそっ!どうすればいい、どうすればいいんだ!?」
静「落ち着くんだ、アルミンくん!パニックになれば余計追い詰められる!!」
コニー「おい、ライナー!何の冗談だよ!?」
ジャン「くそ…やるしかねぇのか。サナダ、お前も持って来てた立体機動装置装備しろ」
真田「え!?」
ジャン「パニックになったって何もならねぇ…今できる最善のことをやらなきゃ…」
真田「…そうだな……あ!」
辰野「何よ、これ…私どうすりゃいいのよ…っ」ヘナッ
真田「タッツン、無事か!?」ザッ
辰野「!真田くん!!」
真田「…えらいことになったな…まさか、あいつらが………」
辰野「…うん…」
獣の巨人「ま、俺達も遊んでられないからね…俺もそろそろ動くか」
ズシイ
198: 以下、
ヒストリア「よし、外れた!」ガチャ
歩鳥「エレン解放!!」
エレン「すまねぇ…ああくそ、頭がこんがらがってやがる…っ」
歩鳥「考え事は後だよ…今は…」
ザッ
ベルトルト「…」ザッ
エレン「!!ベルトルト!!」
歩鳥「…あんた達…本当に、壁の外から来た奴等なの!?」
ベルトルト「そうだよ。エレンとホトリ…そしてホトリの仲間の四人には僕らと来てもらう」
歩鳥「ええい…色々な人達から狙われちゃうね、私達…」
ビュンッ
ベルトルト「!!」
ミカサ「ベルトルト!」ギュンッ
ベルトルト「くっ、ミカサか!」ザッ
ビュンッ!
ベルトルト「!」
真田「はあ、はあ…ベルトルト、嵐山も連れていかせやしないぞ」ザッ
ベルトルト「サナダ…」
歩鳥「真田!!」
真田「……なんでだよ…」
ベルトルト「…」
真田「ライナーもお前も、訓練兵団で楽しそうだったじゃないか!なのに、どうして…っ」
ベルトルト「仕方ないんだ…誰かがやらなきゃ、終わらせなきゃダメなんだよ」
199: 以下、
ウルクリン巨人「グオオオッ!!」
獣の巨人「…なかなか強いけど、うん。俺には勝てないぜ?」パキパキ
獣の巨人「ふんっ!!!」ドゴオッ
ウルクリン巨人「…!!!」ドオオッ
獣の巨人「ライナー、アニ、後は任せたよ」ザッ
鎧の巨人「…」コクッ
獣の巨人「俺は…座標と日本人を頂こう」ズシッ
エレン「!!く、来るんじゃねぇ!!」
歩鳥「なんかデカイ猿が来たよ!?」
「バキュウウウウウンッ!!!」バキュウウウウウンッ
獣の巨人「!!なんだなんだ?」シュウウウ
ケニー「待てや毛むくじゃら…俺は今、機嫌が悪いんだ……」ガチャ
歩鳥「おっちゃん!!」
200: 以下、
ケニー「レイスの力を乗っ取るのは失敗したが…おめぇが貴重な存在なのは変わらずだ。さっさとこっから離れとけ」
ミカサ「ベルトルトは私が止める。早く行って!!」
エレン「す、すまねぇ、ミカサ」
歩鳥「ありがとう!ほれ行くよ!!」
ヒストリア「うん!」
真田「だが、巨人ばっかの中を逃げるのも難儀だぞ!!」
ケニー「喋るデケェ獣たぁ…冗談もほどほどにしやがれってんだ!!」バキュウウウウウンッ
獣の巨人「…お前…なかなか腕がありそうだな…」シュウウウ
ベルトルト「ミカサ、どいてくれ!」
ミカサ「あなた達こそ近づくな!!」
201: 以下、
ウルクリン巨人「ガアアアアッ!!」ドオオオッ
鎧の巨人「…」ドオオオッ
コニー「おい、ライナー!俺達は無視かよ、何か答えろよ!!」
アルミン「コニー!近づいちゃダメだ、危ないから!!」
ジャン「…気持ちは分かるが、もうあいつらは俺達の仲間じゃねぇ…」
コニー「突然過ぎてそんなの受け入れられっかよ!!何がなんだか訳わかんねぇよ!!」
ジャン「俺だってまだ受け入れられねぇよ!でもただパニック起こしてるだけじゃ何にもならねぇだろ!!」
静「君たち、落ち着きなさい……こういう時こそ冷静になるべきだよ」
アルミン「コニー…気持ちは分かるけど…もう、どうにもならない」
静「辛いし頭もパニック起こしてるだろうが…とにかく今はこっから脱出しないと…」
ズシイイイイインッ!!!
女型の巨人「…」
ジャン「ちくしょう!アニ…っ!!」
アルミン「僕達を……いや…」
アルミン「少し前の会話から察するに、エレンを逃がさないように道を邪魔する気だ…」
コニー「ちくしょう!アニもベルトルトも!何がしてぇんだよ!」
静(やはり同期が突然敵だと明かされても簡単には受け入れられないよな………)
静(恐らく奴等は私達も狙っている…さて、どうするか…)
202: 以下、
ヒストリア「ユミル!!」
ユミル「クリスタ!こっち来い!!」
歩鳥「あ、クリスタじゃなくて今度からはヒストリアと呼んで…」
ユミル「あ!?今はそれどころじゃない!後で聞く!!」
ヒストリア「ねえ…」
ユミル「なんだ?ヒストリア」
歩鳥「ちゃんと聞いてるじゃん」
ヒストリア「ごめん…みんな、私がずっと流されてたから、こんなとこまで…みんなまで来ちゃって、こんなことに…」
ユミル「…気にすんな。別にお前があの巨人どもを呼んだ訳じゃねぇだろ」
歩鳥「そうそう、何でも自分のせいにするのはダメだぞ!」
エレン「…俺こそ、父さんが変なことしなけりゃ…」
ヒストリア「だから気にしなくていいって!」
歩鳥「そうだ、まだ詳しい事わかって無いんだから!」
真田「…ってか、どう脱出すればいいんだ…こんな状況で…」
ユミル「…」
ユミル(私の巨人ならこの空間は有利で素早い動きができる…本来なら脱出は簡単だろ。だが…今はあの巨人どももいる。私が巨人だと知りゃ狙ってくるだろう…そうなりゃ脱出できる可能性も低くなる…)
ユミル(どっかで隙をついて巨人化し…素早く全員を乗せ脱出しなければならない……が、そんな隙をどうやって作る…!?)
203: 以下、
歩鳥「そうだ、おい!タッツン!」
辰野「歩鳥…」
歩鳥「何してんだよ、何であいつらと一緒だったの!?」
辰野「話せば長くなるけど……」
辰野「うう…」ガクッ
歩鳥「どうした!?」
辰野「ごめん…私、あんな危ない奴等連れてきちゃって…」
歩鳥「いや、タッツン!心配しなくても「連れてきた」じゃなく、むしろ「連れてこられた」にしか見えなかったから!!だから泣くなって!!」ポンポン
真田「…タッツンが無事で良かったよ」
辰野「うん…」
真田「…ライナーやベルトルトは…なんで………っ」
辰野「…」
歩鳥「…!タッツン、もしかして…何か聞いたの?」
辰野「…うん…」
静「おい、危ない!そこ避けろ!!」
歩鳥「え!?」ビクッ
グオッ!!!
真田「!!」
真田「嵐山!辰野!危ない!!!」ガバッ
歩鳥「ぎゃっ!?」
辰野「きゃっ!?」
ズドオオオオオンッ!!!!!

シュウウウ…
歩鳥「い、岩が飛んできた…」ガクッ
真田「危なかった…」
辰野「ごめん、ありがとう…真田くん」
204: 以下、
ケニー「おっと、すまねぇ!獣野郎の投石避けたらそっち行った!!」
歩鳥「投石って何だよ…こえーよ…」
獣の巨人「驚かしちゃってごめんな〜。まあ、今の避けなくても外れてたんだけどな、ちゃんとタッツンの仲間には当たらないよう気い使って投げてるし」
歩鳥「知らんわ!岩が飛んできたら怖いわ!!つーかお前が喋れるという事実が一番怖いわ!!!」
静「歩鳥、今はツッコミしてる場合じゃないぞ」
辰野「そうよ、あいつら私達狙ってるのよ…ふざけてる状況ないのよ、ちょうちん」
歩鳥「誰がちょうちんだトシ子メガネ!!」
辰野「ふざけてる状況ないっつってんだろ!!」ビシッ
ユミル「おい、お前ら何ふざけてんだコラ…」ブチッ
真田「まあ、でも…二人ともなんだかんだで再会できて嬉しそうっすね。タッツンもまた元気になったし」
206: 以下、
エレン「くそ…こんなときに俺は丸腰だなんて…」
ヒストリア「どうしよう…」
コニー「ライナーもアニも話かけても答えてくれやしねぇ…」ザッ
ジャン「説得は諦めしかねぇよ…」
アルミン「出口の方はアニの巨人がいて迂闊に通れない…僕らはの逃げ道は塞がれている」
静「…そうだ、歩鳥!双葉ちゃんとサシャちゃんは!?」
歩鳥「あの二人なら大丈夫だよ!ここには私1人で(勝手に)来たから」
静「そうか…無事なら良かったが…」
真田「何か脱出する方法はないだろうか…」
アルミン「…」
208: 以下、
静「とりあえず、状況を整理する…」
獣の巨人「ふんっ!!」ブオッ
ケニー「バキュウウウウウンッ!!」
静「あのリーダー格と思われる獣の姿をした巨人は………………なんか知らんオッサンが相手にしている」
歩鳥「ケニーのおっちゃんだよ」
真田「へえ…知り合いなのか?」
静「そして…ベルトルトくんはミカサちゃん1人で相手をしている。が…」
ミカサ「ふんっ!!はあっ!!!」ビュンッビュンッ
ベルトルト「ま、待ってくれ!ちょっと話し合おう!!」ビクッ
静「…あっちは特に心配はいらんな」
歩鳥「むしろベルトルトの方が心配だよ」
ウルクリン巨人「…」シュウウウ
鎧の巨人「…」ズシンズシンズシン!!
静「ライナーくんの巨人は………………なんかよく分からん巨人と戦っている」
歩鳥「うん」
辰野「もうちょい何かコメントしてあげようよ」
静「そして、アニちゃんの巨人は出口への道に立ち塞がっている」
女型の巨人「…」
歩鳥「すっげー構えて待ち構えてるね…」
静「とりあえず、隙を突くなら今の乱戦状態が一番都合がいいのだが………」
アルミン「問題がアニの巨人……あと、獣型の巨人がさっきみたいに投石して邪魔をする可能性も」
静「ふむ、有り得るな」
209: 以下、
ロッド「…ウルクリンの巨人も押されている…状況は絶望的だ…」フラッ
ヒストリア「あ、お父さん!何か滅茶苦茶顔色悪いけど大丈夫!?」
エレン「顔色悪いのはお前が注射器割ったからじゃないかな。いや、あれでいいんだけど」
静「あの小さいオッサンは誰〜?」
歩鳥「誘拐犯。そして私が誘拐事件を解決した名探偵…」
静「そうかそうか、私達がいない間に変なこと言ったんだな」ポンポン
歩鳥「ひゃへ!?」ビクッ
エレン(見抜かれてやがる…)
ロッド「そうだ、君…嵐山ディテクティブと言ったか?」
歩鳥「はい!?あ、私!?」
真田「本当俺たちがいない間になに喋ってたんだ、お前」
ロッド「君…巨人の力を持っていると言ったな?今その力を使えないのか!?」
歩鳥「まだそのネタ引っ張る気かい、このオッサン!?」
210: 以下、
真田「なあ、嵐山…もしかしてお前…自分を名探偵とか巨人になれるとか言ったのか…?」
歩鳥「え?あ、それは〜…あはは〜〜………まさか、その……倒置法」
まさかその
↓倒置法
そのまさか
辰野「やっぱり言ったんじゃないの!!アホじゃないの!?」
歩鳥「そげに怒らいでも…」
ヒストリア「いや、でも…あのときホトリが居なかったら…もしかしたら私あのまま流されていいように使われてたかも知れないし…」
エレン「あと…皆が来てくれるまでの時間稼ぎになったな」
静「へ〜〜、そうなんだ〜。やるじゃん歩鳥」
歩鳥「えへへへ、ほら見なよ!私やっぱり凄い!」
静「…で、脱出方法を考えなければならない訳だが…」
歩鳥「話逸らされた!?」
真田「いや、違うぞ嵐山。脱出方法の話が主題だったのに途中から嵐山の話に逸れてた方だぞ」
歩鳥「はい、そうでした。すみません…」
辰野「あとで聞いてやるから」ポンポン
211: 以下、
ユミル「…とりあえず…どっかで隙が出来りゃ私が全員まとめて脱出させられるんだが…」
ジャン「!何か考えがあるのか?」
ユミル「ああ」
ミカサ「…でも…相手は巨人で、アニはとても素早い…隙を作るのは簡単な事ではない…」
アルミン「獣の巨人の投石も心配だしね」
エレン「あれ、ミカサはベルトルトの相手してなかったか?」
ミカサ「アニの方に行った」
ベルトルト「はあ…はあ…怖かった」
女型の巨人「…」
真田「本当だ、いつの間にかベルトルトあっちにいる…」
ミカサ「あの獣型の巨人に『アニの方に行っとけ』と命令されていた…」
静「むう…逃げ道の方にまた1人増えてしまったな…」
212: 以下、
ヒストリア「何とかしなきゃ…もし、獣の巨人や鎧の巨人まで私達に向かって来たら…」
ユミル「もう逃げ場は無いな」
コニー「くそ…何か手は無いのかよ!」
ジャン「…ベルトルトも、同期の中じゃミカサ、ライナーに並ぶ実力者だ。こっちは正直ミカサ以外は大した戦力にはなれねぇ…」
ミカサ「…」
エレン(くそ……どうすればいいんだ!俺だって戦いたいのに…!)ギリッ
真田「アルミン……どうしよう…」
アルミン「僕もいま考えてる………何か、向こうの気を逸らせるもの………」
歩鳥(なにか無いか……脱出する手段…)
辰野「………」
女型の巨人「…」
――――――
アニ「…タッツン…あんた、前に言ったね。私達は壁を壊して何とも思ってないのかって…」
アニ「…私は…本当は、誰も殺したくない…殺されたくもない……。本当は、平和に、普通に暮らしたいんだ………なのに…私は戦わなきゃいけない……本当は嫌なのに…」
アニ「…故郷に…家に帰りたい………お父さんに会いたい………」
――――――
辰野「………」
歩鳥「!タッツン?どした?」
辰野「え、あ!なんでもないよ!?」
真田「こんなときにボーッとするなよ」
静「…」
静(タッツン……何か心配だな…)
213: 以下、

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