【Elona】勇者「ノースティリス?」back

【Elona】勇者「ノースティリス?」


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2:
ザアアアアア……
天候は雷雨、海辺にて。遠目からは水死体としか思えないようなものが、雨に打たれていた。
???「う…ぐ……魔王め……」
???「戦士、何があった……魔法使い、状況は?……」
???「……どこだ、俺の……俺の大切な…………」
男の目は、開かれていなかった。まるで男は何かを掴むように手を伸ばす。
当然の事ながら、手の先には何もない。そして…
…ガクッ
力尽きた。
この世界にこの男の存在は完全な異物であった。
しかし何故異なる世界から、似て非なるこの世界へ男が飛ばされたのか。
まだ誰にもわからない。
3:
どんな超人でも油断するとタヒる世界じゃねーかww
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4:
雷雨が勢いを増して、いよいよ男の命が消えそうな時、とある二人組が現れた。
男「雨がひどいな……あそこに洞窟がある。そこでひとまず休もう」
女「ちょっとまって、人が……」
男「また、水死体だろう。最近どこかの船が沈没したらしいからな。」
女「……」タッ
男「おい?」
二人組の女の方が、倒れている男に近づいた。
女「この人生きてるわよ!」
男「……早く洞窟へ避難するぞ」
男はそんな彼女を見て、これ以上面倒事を増やすな、と思ったがすぐに別の案が浮かんだ。
5:
ー洞窟ー
???「……う」
男「もう意識が戻ったのか?驚いたな。てっきりこのまま衰弱死すると思っていたんだが。」
???「……」
目は完全に開き、ゆっくりと体を起こす。
男「君は重傷を負い海辺に倒れていた。この雷雨で君の命が吹き消される前に、癒し手の力を持つ我々に発見されたのは全くよくできた偶然だ。」
???「……癒し手…魔法使い?」
男「そうだ。我々に拾われた幸運を素直に喜ぶべきだな。瀕死の君を回復させることは、ここにいるラーネイレ以外の何者も不可能だったろう。彼女はエレアの…」
ラーネイレ「ロミアス、喋りすぎよ。たとえ意識の朦朧とした怪我人が相手だとしても。」
ロミアス「…そうだな。私の悪い癖だ、わかってはいる……」
介抱された男が一番最初に得た情報は、男の名前がロミアス、女の名前がラーネイレだという事だけだった。
ロミアス「さて……君の名前は?」
???「俺…は……」
6:
???「勇者だ」
ロミアス「……それはユウシャという名前なのか、勇者という職業でもあるのか」
???「…わからない。それ以外何も思い出せない……」
ロミアス「……仕方ない、これから君の事は勇者と呼ぶ。」
勇者「ああ、構わない。……多分ずっとそう呼ばれていた…気がする。」
ロミアス「まあいい。勇者、見たところ君はノースティリスの人間ではないようだ。余計な世話でなければ、雷雨が止む前にこの土地での生活の知恵を授ける程度の時間は割けるのだが。」
勇者「ノースティリス?」
ロミアス「……どうやら重度の記憶障害のようだ。」
ラーネイレ「この世界の事を話せば思い出すんじゃないかしら?」
ロミアス「ううむ面倒だが……どうせ旅はまだ再開できない。いいだろう」
勇者「すまない、ありがとう」
ロミアス「ふん……」
8:

さぁ、チュートリアル終わったらダルフィで核を買おうか
9:
お兄ちゃ〜ん♪
お兄ちゃん?
お兄ちゃーん!
11:
常人ならチュートリアルで心を折られる危険性があるな
いや緑髪は何の肉とは言ってないからセーフ……なのか……?
15:
勇者はロミアスから、以下の事を聞いた。
数年前、一ヶ月の間降り注いだ雨が止んだ後、東の大陸では人の住めない異形の森が急にその範囲を拡大するという現象が起きていた。
東の大陸から、ここノースティリスと呼ばれる大陸へと難民が続々と流れ着く中、西の大陸のとある国の王子は、この異変は10番目の文明、レム・イドを滅ぼした災厄によるものだと主張し、異形の森とそこに住む民を根絶するべきだと言う。
異形の森は正式名称をヴィンデールの森といい、そこに住まう民はエレアと呼ばれているが、
エレアが人の住む土地から離れても対立の溝は埋まらず、人類によるヴィンデール掃討は目前へと迫っている。
勇者「つまりまとめると、前の文明…レム・イド?…が滅んだ災厄が、その異形の森のせいで今世界に降りかかろうとしている」
勇者「西の大陸の国はその異形の森とそこに住む民を根絶しようとしている。」
勇者「異形の森…ヴィンデールの森の民エレアは、それまでは普通に人と暮らしていたのに、その話によって逃げるしか無くなった……」
勇者「そして話は進み、人類はその森と、その民を掃討しようとしている…」
ロミアス「私達は本当にその異形の森のせいなのか、エレアは掃討されなければならないのか。それを調べて伝える旅に出ているのだ」
ラーネイレ「ロミアス……」
勇者は、ラーネイレが何故ロミアスの名を呼んだのか、気にも留めなかった。
16:
勇者「なるほど?」
ロミアス「そこでだ、君にも手伝ってほしい。真実を得るために。」
勇者「……わかった、あんたがたは命の恩人だからな、やれることはやってみよう。」
ロミアス「頼んだ……それと、君が倒れていた所にあったものがアレだ。記憶にあるかどうか分からないが一応確認しておいてくれ」
勇者は立ち上がり荷物を確認する。しかし案の定、その荷物が本当に自分の物なのかさっぱりわからないままだった。
勇者「何から何まですまないな…ん?この鞘だけってなんだ?剣は?」
ロミアス「残念だがその中身は最初から無かったぞ。」
勇者「うーん……何か大事な物だったような気がする……一応持っておくか」
勇者は記憶の微かな欠片を拾った。
17:
ロミアス「そうだ、君は冒険者のような格好をしているが……ああ、記憶が無いんだったな」
勇者「ああ、すまない」
ロミアス「…戦う事はできそうだ……」ゴソッ
ロミアスはモンスターボールを取り出した。
ロミアス「今からモンスターを召喚する。実力を知りたい。倒してくれないか?」
勇者「おいおい、武器ないぞ」
ロミアス「大丈夫だ、弱い敵だからな。素手でも勝てる。が、私はどう戦うのか知りたい。君も、自分がどう戦っていたか思い出したくはないか?」
勇者「……そうだな…わかった」
勇者がそう言うと、ロミアスは勇者の足元にモンスターボールを投げた。
割れたモンスターボールからは、プチが現れた。
18:
プチを見た勇者は無意識に、言葉を発した。
勇者「……スライムみたいだな」
ロミアス「スライム?そいつはプチというモンスターだ。あの厄介なヤツと一緒にするな」
勇者「……?」
勇者は自分でも自分が発した言葉にひっかかった。勇者は少し記憶を取り戻した。
この世界にも、スライムと呼ばれるモンスターはいる。この世界のスライムは酸を分泌し、武器や防具を傷つけるのだという。
*ぷちゅ*
ラーネイレ「やるじゃない」
勇者「なあ、弱すぎないか?」
ロミアス「……そうだな」
話にならないほどに瞬殺だった。しかしプチとはいえ素手で瞬殺できるという事は、やはりこの男、相当に実力を持っているようだとロミアスは悟った。
…しかしこの後二人組はさらに驚愕することになる。
19:
ラーネイレ「雨、止んだみたいよ」
ロミアス「よし、最後にノースティリスの地理について少し説明しよう。シエラ・テールには幾多の国が存在するが、ノースティリスはどの国の支配も受けておらず、《ネフィア》と呼ばれる迷宮群が存在する特殊な場所だ。この地では、地殻変動とともに新しい迷宮がしばしば作成される。」
ロミアス「迷宮の主を倒すと貴重な物資や財宝が手に入るため、冒険者にとっては格好の収入源になるわけだ。」
ロミアス「最初は南の方角にあるヴェルニースを訪れるといい。ネフィアの迷宮群を巡るのも、戦いで自分の記憶を取り戻す貴重な経験になるだろう。」
勇者「わかった。……ここに落ちてあるものはとっていいのか?」
ロミアス「ああ、しばらくはここが君の家だ。家を建てるのもいいが、権利書が無いとダメだからな」
勇者「ふんふんなるほど」
ロミアス「私達も、そろそろ出発する。今のうちに分からない事は聞いてくれよ?」
勇者「そうだな……この折れた剣は武器として使えないのか?」
ロミアス「君は倒せない武器で敵に挑むのか?まだその辺りの棒を使った方がマシだぞ」
勇者「この杖は?」
20:
ラーネイレ「さあ?もともとこの洞窟に落ちていたものだから、誰かが落としていったか、置き忘れたかじゃない?」
ロミアス「そうだ、拾ったばかりで鑑定の済んでないものは何が起こるかわからないから安易に……」
勇者「……ふーん」ブン
使わない方が良い、と言おうとした……が遅かった。
ロミアス「おっおい!?」
ラーネイレ「ちょっ……と!!」
勇者が振った杖はサモンモンスターの杖だった!
ランダムでモンスターを呼ぶ、場合によっては恐ろしい事になりかねない杖だ!
……そして今、その恐ろしい事になっている。
ロミアス「……厄介な事をしてくれたね……」
現れたモンスターは、カミカゼイーク・ファイアハウンド・ファイアドラゴンだった!
21:
ラーネイレ「私はファイアハウンドを倒すから、ロミアスはイークをすぐに!」
ロミアス「わかった!!」
二人は慌てて武器を取りに行こうとした……が。
ファイアドラゴン「ゴアッ!!」
ボオオオウッ!!!
ファイアドラゴンの放った炎の壁に遮られてしまった!
ラーネイレ「嘘でしょ!?」
勇者「すまん、召喚の杖だったか。俺が招いた事だ。俺が片付けよう」
二人は目の前に居るファイアドラゴンの強さを知っている。だから勇者が言ったのんきな言葉など微塵も聞いていなかった。
が。
勇者は身体に染みついた戦闘能力を思い出しながら無意識に動いた。
22:
そうだな この世界で生きていくならドラゴン程度素手で倒せないとな・・・
25:
勇者の魔法ですけど、「メラ」系のドラクエ基準と、Elona基準と、オリジナルの魔法どれがいいですか?
一応僕はドラクエやったことないのでドラクエだと呪文調べて使わせます。Elona基準は……別世界から来たのに勇者が使うと違和感が。
そしてオリジナル魔法は「獄炎!」とか「超氷結呪!」とか、そういうの。
26:
ドラクエでもFFなんでもいいよ
ただちゃんと"燃えて"くれればね
28:
ロミアス「おい無茶だ!一度外に……」
勇者「火炎呪!」ボオオオッ!
ファイアドラゴン「ガアアッ!!」ボォオウ!!
ヒョイッ!
勇者「あーそうか……」
だんだん思い出すモンスターとの戦い方。呪文。
勇者「超氷結呪!!」ヒュウウウ!!
ファイアドラゴン「ガ…ガ…」パキパキパキ……
ファイアドラゴンは一瞬で氷漬けになった。
二人は勇者の戦いに見惚れ、言葉を忘れた。
しかし次から次へと行う勇者の行動に、すぐに言葉を思い出す。
ファイアハウンド「ガルァッ!」ボボオウッ!
ロミアス・ラーネイレ「っあぶな…!!」
勇者「この程度の炎……」ダッ!
勇者はファイアハウンドの吐く炎ブレスに正面から突っ込んだ!
29:
ヒュッ!
ファイアハウンド「ガルァ!?」
勇者「ハッ!!」ザンッ!!
勇者はファイアハウンドを一薙ぎして瞬殺した……折れた剣で。
カミカゼイーク「ケキャーーーッ!!」
しかしこの隙にイークに近づかれていた!
このイークは自爆する危険なイーク。しかしそんなものとは勇者は知らない。
ドォオン!!!
勇者は爆発をもろに食らった。
勇者「悪いな、今度から注意するよ」
ように見えないほどにピンピンしていた……
30:
ロミアス「……私達は、とんでもないヤツを介抱したらしい」
ラーネイレ「ええ……そうね……でも」
ロミアス「ああ……"敵"になってしまう前で良かった……」
二人は心の底から安堵する。こんなのがエレア掃討戦の人類側であったなら、一瞬で決着が着いてしまうだろう。
しかし二人は勇者の命の恩人である。だから…
エレアである二人に敵対することは無いだろう。
ロミアス「君、あまり本気を出さない方が良いかもしれない。」
勇者「どうして?」
ロミアス「おそらく、利用される。国に。」
国。勇者は記憶の欠片を拾った気がした。
(……を倒しにいくのじゃ……)
勇者「……?」
ロミアス「どうした?」
勇者「ああ……わかった。気を付ける」
32:
勇者「本当にありがとう。この恩はいつか必ず返すよ。」
ロミアス「ああ、必ず返してくれ。」
ラーネイレ「……仇で返さないでね。」
勇者「なんでだよっ!俺はちゃんと普通に返すよ!?」
ロミアス「はは、…そうだな。念のためだ。」
勇者「ちぇ、信用されてないなあ」
ラーネイレ「私達にも事情があるのよ。」
勇者「そっか……」
二人はやらなければならない用事がある事を伝えると、洞窟を出た。
勇者はお供しようかと言ったが、やんわりと断られた。
ロミアス「君は…まだ、巻き込むわけにはいかない」
ラーネイレ「その時が来たら、私達を選んで欲しい。けれど、結局はあなたの意志ね。」
勇者は何のことかさっぱりわからない。
けれど、恩を返すという意志は固くなった。
34:
*スタスタ*
ラーネイレ「私達……エレアの、味方をしてくれるかしらね」
ロミアス「きっと味方になってくれるさ……」
ラーネイレ「だといいわね……」
ロミアス「それより、アイツ折れた剣で攻撃してたぞ?常識というものも忘れてしまったのか?」
ラーネイレ「前代未聞ね、ふふっ」
ロミアス「コレ、食べさせなくて良かった」
ラーネイレ「……そうね、そんなもの渡したら敵対は必至ね」
ロミアスは……乞食の死体を捨てた。
この世界では、食人をしてもあまり咎められない。むしろ好んで食べる者も居る。
どこかにはエレアの肉を好む為、エレアの民を見つけては惨殺する輩もいるらしい。
人殺し……国に仕えていない者や国民でない者、乞食等を殺しても……一般論としては咎められる事だが、この世界の法的には関係ない。
……勇者も、今まで生きてきた世界とこの世界の格差を思い知る事になる。
35:
勇者「え、と。南のヴェルニースだっけか」
二人が出発した1時間後、勇者は南へと向かった。
…真南へ。
勇者「腹……減った……」
行けども行けども街は見えず、森は深くなり、最初こそ弱い敵だったが、だんだん強くなってきた。
――それでも、瞬殺できるレベルであったが。
起きてから何も食べていなかった。
そして襲撃。
普段なら一瞬で倒せる敵も、腹が減っては戦ができぬ。
勇者「途中途中薬草っぽいの見つけて食ってきたが……限界だ……」
勇者はモンスターに囲まれ、死を覚悟した……
その時。
???「やあっ!」ザン!
???「はあっ!」ドン!
薄れかけた意識の中で、甲高い声が近づいてくる。
37:
???「あらら死んじゃってる」
勇者は助かった……と思っていた。しかし。
???「んー………ふふ〜ん♪」ゴソッ
勇者(何ぃいいい!!!???)
なんと彼女は、勇者の所持品を漁り始めた!
???「見たところ飢えとモンスターのダメージだね、お気の毒ぅ〜♪」
???「あれ?お肉あるじゃん。なんで食べなかったのこの人」
勝手がわからない勇者にとって、わけのわからないものを食べる、使うというのは、洞窟で反省したばかりだった。
???「あ!これプチのお肉じゃん!ラッキー!」
…彼女は、瀕死の勇者よりも、勇者が持っていたプチの肉に興味を示した。
プチの肉は肌がつるつるになる効果があるからだ。
38:
???「持っててよかった携帯調理道具♪」
彼女はその場で肉を調理し始めた。
勇者(こ、この……)
いい匂いがたちこめる。この匂いが、勇者に最後の力を振り絞らせた。
勇者「こ、の、女あああああ!!!」ガバアッ!
???「ぎゃあああああ!!!」
彼女はびっくりして装備品を落としてしまった!
???「ああっ!?ちょっ待ってっ!」
勇者「待つかああああ返せ肉ぅう!」
???「あ、え?」
彼女はてっきり殺される事しか考えて無かったが、よくよく考えれば飢えで倒れていたんだから優先順位は肉だった。
40:
勇者「食えるんだなコレ!?食えるんだな!?」
???「あ、うん…食べれる…よ……?」
勇者「うおおおお!!」ガツガツガツ!
???「…………」
勇者の間抜けな姿に唖然と眺めるしかなかった。
勇者「…ふう〜〜〜なんとか生き延びた……」ツルツル
プチに肉の効果で肌が若干つるつるになった勇者を尻目に、
???「……餓死しなくてよかったねっ!じゃ、私はこれでっ!」
勇者「まあ待てや」ガシッ
???「……」ダラダラダラ
彼女から冷や汗が一気に流れ出す。
41:
勇者「死体漁りってさ……盗賊とかがするもんじゃない?」
この世界の事を知らなくても死体漁りが道徳的に悪い事はわかっていた。
???「ぁぁ……はい……」
勇者「で、君は盗賊なわけ?立派な紋章つけて立派な防具持っててさあ。」
???「あ、いや、あの……」
勇者「見たところ正規に雇われてる戦士かなー?」
???「…………」
勇者「さあて!ちょっくら街に案内してくれないか!ね!?犯罪者じゃなければいいだろ!?」
???「あ、あの………」
勇者「んん?」ニコォ
???「すみませんでしたーーーっ!!」
土下座した。
43:
しかし少女の内心は。
???(なーんてっ!隙を見せた瞬間に逃げてやるもんねーっ!)
なんとも思っていなかった。
が。
勇者「このくらいの木がいいかな、よいしょ」
ズバッ!ズシーン!
???「……ぇえ?」
勇者は近くに生えていたそれなりに幹が太い木を、真っ二つにして切り株を作った。
……折れた剣で。
勇者「ほい、土下座はいいからそこに腰かけてよ。」
???「はいっ!!!」シュバッ
スクッ!
勇者「早いな」
少女は心の中で土下座していた。
45:
勇者「じゃあ、ヴェルニースはとっくに過ぎてるの…?」
???「はい……ここからだと北東です」
勇者「なんだよもーあの二人め……案内してくれない?」
???「えっ!あの!その……」
勇者「ん?」
???「そのぉ……今回の……」
勇者「ああ死体漁りの件か。俺の言うとおりにしてくれたら言わないから」
???「……わ、わかりました……」
勇者「そだ、君の名前は?」
???「クレアです」
勇者「んじゃ、クレア。よろしく」
少女のクレアが仲間に加わった!
46:
クレア「あなたの名前は…?」
勇者「俺は……勇者と呼んでくれ」
クレア「ぷっ!!」
勇者「何で笑った!」
クレア「わひゃあごめんなさいぃ!!」
既に脊髄反射で土下座していた。
クレア「その、昔読んだ本にそういう登場人物いたなーって」
勇者「気になるな」
クレア「あ、でも今はもう無いですよ?」
勇者「……残念だ…内容は覚えてるか?」
47:
クレア「うーん……登場人物に勇者と魔王が出てきたくらいしか」
ピタッ
クレア「勇者さん?」
"魔王"。この言葉に思わず勇者は立ち止まった。
勇者「………魔王……」
クレア「……?」
少女は不思議そうな顔で覗き込む。
勇者「ダメだ、まだ何も思い出せない……でも…魔王…引っかかる…覚えておこう」
勇者は記憶の欠片を少し得た。……まだ足りない。
48:
――ある雪原の中の村。ある子どもは母親に甘えていた。
「おかあさん、またあのご本読んで〜」
「はいはい、パエルはあの本好きねぇ」
「早く早く〜!」
 ……
「勇者は魔王を倒し、平和を取り戻しましたとさ。めでたしめでたし……あら」
「…すぅ…すぅ……」
「ふふっパエルったらいつも途中で寝ちゃうんだから……」
微笑ましい家庭。母親はその例に漏れず優しい笑顔で子どもをなでた。
ただ……
普通は布団の中の子供に聞かせるが、この母娘だけは違った。
母親が布団の中で、子供が布団の上に乗っていた……
「うっ…うっ……」
笑顔なはずの母親の目からはいつの間にか涙が……
3本、軌跡を残していた。
49:
*保存*
ここまでっす
52:
おつおつ
みんな大好きかわいい妹ちゃんの登場が楽しみ
59:
ヴェルニースまで、あと12マイルの地点。
クレア「あのー」
勇者「なんだ?」
少女はずっと気になっていた事を聞いた。
クレア「なんで折れた剣で戦ってるんですか?」
勇者「ああ、拾ったからだよ」
クレア「……それ武器とはいえない物なんですけど……」
勇者「だってこれしか無いし……呪われた武器とかつけたくないしさ」
クレア「えー…拾ったものもいつかは自然鑑定できるでしょう……」
偶然にも、"呪い"の知識は勇者の世界とこの世界、同じ意味を持っていた。
クレア「というか!その折れた剣だって呪われてる場合もあるんですからね!」
勇者「え」
クレア「まったく……それでもノースティリスの……あ」
クレア「……本当にノースティリスの人間ですか…?」
60:
ようやく少女は気づいた。ヴェルニースの場所を知らない。プチの肉の効果も知らない。武器では無い物を武器として使う。
エレアだったらどうしようとも思ったが、先に思った通り、基本がなってないのだ。エレアどころか全く異質な地から来たのでは無いかと少女は感じていた。
勇者「実は……」
勇者は包み隠さず今までの出来事を話した。
クレア「いわゆる記憶喪失ってやつですか?」
勇者「そうだな。自分が勇者だって事くらいしかわからないんだ」
クレア「うーん…"勇者だ"…ということは、ユウシャという名前ではなく職業か異名ですかね」
勇者「異名?」
聞きなれない言葉に聞き返す。いや、勇者にとってはほとんどが聞きなれない言葉なのだが。
62:
クレア「はい。二つ名とも言いますね。私の知ってる人だと……"歌の純白"ニレイさんとか」
勇者「おー」
クレア「"幻の剣闘士"アルギスさんとか」
勇者「おおカッコいいな、有名なのか??」
クレア「はい。名声が高い、とも言いますね。強い主がいるネフィアを攻略したり、難しい依頼をこなしたり。」
勇者「となると、やっぱ強いのか」
クレア「ですね。アルギスさんは名声ランキング2位で、かなり強いです。」
勇者「ほほー、じゃあその、ニレイって人も?」
クレア「ニレイさんは職業がピアニストで、パーティー会場で盛り上げる依頼をこなして名声が高いんです。」
勇者「ああ、職業によるのか……じゃあ強くはないって事だな」
クレア「……」
勇者「ん?」
64:
急に黙った少女に勇者は、何か間違ったかな、と記憶を辿ろうとしたとき。
少女は話し始めた。
少女「私が、漁業と音楽の盛んな街ルミエストにいた時の話です。」
少女「ある日パーティー会場で、そのニレイさんの演奏に出くわしたんですよ!」
勇者「ほう」
少女「いや〜あれはすごかったなあ……」ポワーン
勇者「それは良かったなぁ」
少女「……」
勇者「……」
少女「……」
勇者「えっ終わり!!??」
少女「ハッ!」
勇者は別世界に行ってしまった少女を呼び戻した。
65:
勇者「君が話し始めたんだから最後まで話してくれよ…?」
少女「すいません、つい……続けます。」
勇者「ん。」
少女「次の仕事に向かうためにニレイさんが街を出たんですね。私はちょっとサインが欲しくて追いかけたんです。」
勇者「その場でもらえばよかったのに」
少女「書くものが無かったんですよっ!!あっごめんなさい!」
思わず怒鳴ってしまった。それに対し思わず謝ってしまった。
勇者「おう……いいから続けて?」
少女「はっはいぃ!」
勇者は脅し過ぎたかな、と反省した。
67:
なぜか急に少女になってる……すまん
68:
少女でもよくね?
俺らElonaプレイヤーにとってはそっちの方がなじみ深いし
70:
少女「で、あれだけ目立っておいて護衛もつけず次の街へ向かったわけですよ。」
勇者「護衛付いてないの!?なんとなく予想つくなあ。」
少女「はい、盗賊団に襲われました。」
勇者「ああ……大丈夫だったのか?」
少女「……結論から言うと、瀕死の重傷を負いました……」
やっぱり、と勇者が言おうとしたら。
少女「盗賊団が。」
勇者「……はっ?」
……少女は遠い目をして語り始めた。
少女「やっぱり、それなりに有名だとそれに応じて盗賊団も強いのが襲ってくるんですよ。」
少女「私はもう少しでニレイさんに追いつく所だったんですけど、既に盗賊団に囲まれてて……」
少女「一応助けようと思ったんですけど……その……お恥ずかしながら、武器は色紙とペンでした……」
勇者「……くっ」プルプル
勇者は我慢強くなった!
72:
少女「まあ、助けを呼びに戻ってもとても間に合わなかったので、ハラハラしながら見てたんですが……」
少女「ニレイさん、会場に居るときはバイオリン持ってたのに、いつのまにかピアノを"持って"たんですよ。」
勇者「ちょっとまっておかしい」
少女「そして次の瞬間には……見るも無残な……盗賊達の山が……」
少女は、勇者に植え付けられたものとはまた別の恐怖を思い出していた。
勇者「……」
少女「ニレイさんは笑って叫んでました……」
少女「『私が護衛付けない理由がわかるぅ!?てめぇらみたいなバカが売れるものを持ってきてくれるからさ!!ハッハァー!!』」
勇者「……」
少女「私は無心で街へ戻って、宿で真っ白な色紙を眺めながら小一時間固まってました……」
75:
少女「とまあ、ニレイさんの本当の姿を見れたという話です」
勇者「ドン引きだな」
少女「はい……演奏は素晴らしいんですけどね……ああ一応、他のぼちぼち有名なピアニストさんは基本護衛付けて移動してますよ。」
少女「よく掲示板に護衛の依頼として書かれてますからね。私の生活費を稼ぐ手段の一つでもあります。」
少女は現実離れした例外がいるだけであって、皆が皆そうではないと注釈する。
勇者「……なるほど、個人によるのか」
少女「……そうですね」
勇者「ピアノを振り回すとか……」
少女(あなたも大概ですけどね。)
少女にとって勇者も十分例外な存在だった。
76:
*保存*
ここまでなんだけどまだヴェルニース着いてないな…('A`)
77:
乙だ
ヴェルニースの酒場では安心してピアノを弾くといい(ニヤリ
85:
勇者「ここがヴェルニースか」
少女「じゃっそれでは!」
勇者「ん?」
少女「ヴェルニースまでの案内でしたよね!」
勇者「何言ってるんだ君は」ガシッ
少女「ええーーっ!もういいじゃないですかーー!!」
勇者「みなさーんこの子は倒れてる人の装備品を漁るムグッ」
あわてて少女は勇者の口をふさぐ。
少女「ごめんなさいついていきます勇者様ぁ!」
条件反射土下座。
勇者「よろしい」
87:
と、コントをやっている所へ兵士が近づく。
ザッザッザッ
兵士「おい!!」
勇者「…ん?」
兵士「そうだお前らだ!」
少女「はあ」
兵士「貴様らはエレアか!?」
勇者「エレア…たしかヴィンデールの?」
少女「違いますよ!あんなのと一緒にしないでください!」
勇者「……」
…勇者は、エレアと聞いて一変した少女に驚いた。
兵士「〜〜〜」
少女「〜〜〜!」
兵士「わかったもういい……」
兵士は様々な尋問をしたが、少女の剣幕に負かされた。
少女「ふんっ!」
勇者「なんでこんな質問するんです?」
勇者は怪訝な目で兵士を見た。
89:
兵士「……今はザナンの皇子、サイモア様がはるばるヴェルニースに遊説に来られている。」
兵士「不審な人物を近づけさせぬよう警戒しているのだ。……貴様らも早く遊説を聞きに行くがよい」
勇者「はぁ…」
少女「なぁんだそうだったんですか!行きましょう勇者さん!」グイッ
勇者「あ、ああ……」
勇者(……)
勇者の、少女に対する何とも言い表せぬ感情が膨らんでいた。
90:
そういえばこのゲームってストーリーあったんだね
ストーリーそっちのけで遊んでたからどんな話だか覚えてないやwwwwww
102:
ー広場ー
ザナンの皇子サイモアは、貧弱な体ゆえに側近に支えてもらいながら、演説を行っていた。
サイモア「戦争…シエラ・テールを襲うかつてない危機に、血と炎に身を染めた国々は気づかないのだろうか?災いの風が我らの森をむしばみ、今このときにも多くの同胞が命を落とし、その土地を奪われているというのに。異形の森と異端の民エレアが、レム・イドの悪夢の残骸《メシェーラ》を呼び覚まそうとしているのに。」
サイモア「イルヴァに遣わされた大いなる試練は、同時に結束の機会である。もし我々が互いに争うことをやめ、他者を理解することを学び、共に手をとり立ち向かうならば、腐った森と異端児をこの地から一掃し、災厄に打ち勝つことも可能なのだ。」
サイモア「今日のザナンに大国を動かすかつての影響力はない。然るに、私が成せる事は、諸君に知ってもらうだけだ。二大国に迎合せず確固たる地位を築いたパルミア、そしてその忠実な民の決意こそが、シエラ・テールの希望であることを。」
イルヴァ:この地。地球に値する名称。
ザナン:西の大陸に存在する国家の一つ。
皇子サイモア:亡き兄・クレイン皇子のあとを継いだ。
二大国:魔法大国エウダーナと、新王国機械文明イェルス。戦争を行っていたが、今は停戦状態。
シエラ・テール:時代の名前。十一紀「シエラ・テール」。前の十紀が「レム・イド」。
サイモアは、
「イルヴァの大国、「エウダーナ」国と「イェルス」国の休戦からの傷もいえぬまま、
異形の森とエレアが、先文明を滅ぼせしめた《メシェーラ》という災いを呼び起こそうとしている。
これまでは、大国同士でいがみ合っていたが、今は手を組み、
人類存亡の脅威である異形の森とエレアを一掃すべきであり、二大国のどちらにも属しておらず、
中立姿勢を保っている大国、ここパルミア国民の支持を得る事が必要不可欠なのだ」と説く。
103:
ワアアアアアアア………
勇者「む?」
少女「ありゃ」
勇者と少女が広場についた時、既に演説は終わっていた。
皇子サイモアは観衆を見渡し、その貧弱な体で側近の手を借りながら護衛の元へ行く…予定だったが……
サイモア「……」
勇者「……」
一秒にも満たなかったのか、あるいは数秒だったのか。
目が合った二人は、互いの内に存在する何かを感じ取った。
少女「ゆーしゃさん!」
勇者「はっ!?」
少女「どうしたんです?」
勇者「あ、いや……」チラ
皇子は既に護衛を周りにつけ、どこかに用意してあるだろう宿へと向かっていた。
104:
少女「んー、演説聞けなかったなあ……そうだ、これからどうするんです?」
勇者「そうだな……」
……
ー子犬の洞窟ー
少女「まってぇぇぇぇええ!!」
子犬「わんわん!」タタタッ
勇者「……」
勇者は洞窟の隅で少女と子犬の微笑ましい追いかけっこを眺めていた。
少女「あれっ!?どこに……」
子犬「わんっ!」
少女「そこかっ!うおりゃーーー!」ダッ
子犬「わんわんっ♪」タタッ
少女は完全に弄ばれていた。
105:
勇者「ふぁ……寝るか」ゴロン
少女「はあっはあっ……て、手伝ってくださいよ!!!!」
勇者「やだよ、君の受けた仕事だろ?」
少女「うう…そうなんですけどぉ……すばしっこくて……」
勇者「はぁ……なんでこんな事になってるんだか……」
少女「……すみませぇん……」
106:
*保存*
107:
〜回想〜
少女「んー、演説聞けなかったなあ……そうだ、これからどうするんです?」
勇者「そうだな……」
勇者「とりあえず、依頼をこなしてみよう。どんなのがあるんだ?」
さっそくネフィアを潜るのも良いかと考えたが、この町にお世話になるだろうと思い、掲示板の依頼というものをこなしてみようと考えた。
少女「それではこの街の掲示板を見てみましょう。こっちです」

ガード「どうもこんにちは、お名前を聞かせてもらえますか?」
ガード。この町を守る兵士であり案内役でもある。
様々な年齢層が働いているが、重要な役に付いているガードほど実力が高い。
勇者「え?」
少女「ああ、名声に合った依頼を選んでくれるんです」
少女「名声が低いと依頼主の不信感から断られたり、実力もないのに高度な依頼を受けて命を落としたりしますからね」
勇者「なるほど?……あー」
少女「……二つ名だけでも確かいけます…よね?」
ガード「ええ大丈夫ですよ♪」
108:
勇者はまだ自分の名前は思い出していない。二つ名だけでも大丈夫ということに安堵した。
勇者「じゃあえっと、"勇者"で」
ガード「了解しました、勇者様ですね。ええと……」
ぱらぱらと、名簿のようなものをめくっていた。
ガード「んー…一覧に無い……ので新規ですね。ではこちらの依頼をどうぞ」
勇者「どーも、なになに……収穫依頼に…料理に……研究として動物の骨……しょ、しょぼい……」
少女「あは!そんなもんですよ!たぶん今の勇者さんは高度な依頼受けても、依頼主さんに断られちゃいます!」
勇者「むぅ……じゃあこの、動物の骨で」
ガード「かしこまりました。ではガードのエロレーの所へ行って依頼を受けてきてください。」
勇者「あ、ガードの人も依頼するんだ……」
ガード「はい、一応この町の住人ですからね。」
勇者「ああえっと、エロレーさんはどこにいるんです?」
ガード「私です」
少女「ぶっ!」
勇者「……」
109:
ガード「期限はここにある通り4日後です!お願いしますねっ♪」
二人は完全に意表を突かれた。目の前にいるのが依頼主だと誰が気づけようか。
勇者「……あの、動物の骨なんて何に使うんです?」
勇者はなんとなく聞いてみた。
ガード「…知りたいですか?♪」
勇者「あ、やっぱいいです」
ガード「そうですか♪」
なんとなく聞いてはいけない気がした。
110:
???「あっお姉ちゃん!!」
勇者達が依頼を受け終わると、9歳くらいの女の子が走ってきた。
少女「んっ?」
勇者「……妹いたのか」
少女「いや、いないですけど……あれ?この子どっかで……」
少女は何か大事なことを忘れていたような気がして、必死に記憶を辿る。
勇者「君、名前は?」
リリアン「あっえーと、リリアンって言います!」
少女「んー……リリアン……?」
111:
……少女はだんだん、自分がやってはいけない事をやっている事に気づく。
勇者「どうしたんだい?」
少女「あっ!!!」
リリアン「お姉ちゃん、ポピーまだ〜?」
少女「………」ダラダラダラ
少女はあろうことか依頼をすっぽかしていた。
勇者「……んーと…詳しく聞かせて?」
要約すると少女は、子犬さがしの依頼を受けているのにも関わらず、その依頼を忘れて冒険、勇者と出会うに至るということだった。
112:
〜そして今に戻る〜
勇者「なんで忘れたんだよ」
少女「だって宝の地図が出たんですよ!?行くしかないじゃないですか!」
勇者「……宝なんてあるのか?」
少女「ええそれはもうスゴイレアな武器や防具がわんさかですよ!」
勇者「そんな物持ってないように見えるが?」
少女「……」
勇者「お前まさか宝の地図に釣られて依頼をすっぽかした挙句、結局見つからないっつー……」
少女「ええそうですよ悪いですか!うわーん!!」ブワッ
少女は泣きだした。
113:
勇者「……まあなんだ、期限のない依頼で良かったな。もし期限あったら名声下がるんだろ?」
少女「ぐすっ……まあそうですけど……」
勇者「はぁ……もう帰るぞ。動物の骨あったし、これ以上は暇だ」
少女「わー!せめて子犬捕まえてからでお願いしますよーーー!!」
勇者「だから、帰るぞ」ダキッ
勇者は、少女がいくら頑張っても捕えられなかったものを持っていた。
子犬「くぅん♪」
少女「えー……」 
勇者「バカだろお前、追いかけたら逃げるんだから追いかけずに餌やりゃいいだけだろ」
少女「がはっ……」orz
少女の精神は痛恨のダメージを負った!
114:
*保存*
115:
お疲れさん
宝の地図はいいよな!一面雪と思われる真っ白な地図が出てきたときは呆然としたけど
116:

宝の地図から固定アーティファクト並の装備が出たときはマジで嬉しかったな…
>>115みたいな真っ白な地図から必死になって手に入れたのがマイナス効果ばっかりの呪われたアーティファクトってこともよくあるけど、たまに報われるから宝の地図はやめられない
124:
ー同刻・ヴェルニースの酒場ー
下級兵士「〜……あぁダメだ、酒がまずくなってるなあ」チラッ
ザナン軍の下級兵士はわざとらしくつぶやく。
下級兵士「つうかよ〜、ここはちゃんとした服も着れない貧乏人が来るところじゃねーんだよなあ〜」
下級兵士「……てめぇの事だよ!!」ガタンッ!
???「……」
下級兵士「おい!聞いてるのか!?」バン!
ゴトッドボドボドボ……
兵士がボロ布をまとった男のテーブルを強くたたいた。酒の入った瓶が倒れ、中身が零れた。
125:
バーテンダー「ちょいとロイターさんよ、ああいうのは困るんだが……」
ロイター「……」グビッ
ガタッ
部下の騒ぎに赤髪の仕官、"ザナンの紅血"ロイターは手元の酒を飲み干すと、静かに席を立った。
下級兵士「こういう布はなあ!テーブルを拭くのに使うんだよ!!」ガッ!
兵士がボロ布をまとった男の頭を掴んで水浸しになっているテーブルに押さえつけようとした。
しかし。
ヒュッ
下級兵士「あ!?」
ガタンッ!
下級兵士「いでぇっ!?」
バーテンダー「おおっやるな兄ちゃん!」
からまれた男は素早く、かつ無駄のない動きで逆に兵士をテーブルに叩き付けた。
126:
下級兵士「てめぇええ!!」バッ!
逆上した兵士が剣を抜こうとしたその時、
ロイター「何事だ」
下級兵士「!!!」
兵士は我に返り、剣を抜こうとする手を離して上官に向き直った。
ロイター「……お前は……」
ロイターはボロ布をまとった男の正体を知っていた。
下級兵士「隊長!なんでもありません、ただこのボロ布をまとった男が我々の酒をまずくしているのは事実!少し痛い目に合わせて追い返しましょう!」
ロイター「やめておけ」
下級兵士「しかし隊長、そうしておけば物乞い箔がつくってもんです」
下級兵士は既に、みっともない姿をさらけ出してしまった事に対して仕返しがしたいだけであった。
ロイター「誰のために言ったと思っている?ザナンの白き鷹、それがお前の目の前にいる男だ。…しばし二人だけにさせてもらう。」
127:
ロイター「こんな所に居たのか……そのなりはなんだ、世捨て人にでもなったつもりか?」
???「……」
ロイター「国中の誰もが認めたその才能を、功績を脱ぎ捨ててこんな小汚い酒場の隅で死人の目をしている」
ロイター「これが俺の好敵手であった"ザナンの白き鷹"ヴェセル・ランフォードか?」
ロイターが話しかけているのは、かつて"ザナンの紅血"ロイターと対をなすライバル・"ザナンの白き鷹"ヴェセルであった。
しかし国を捨てたヴェセルに、昔ほどのオーラはなく、代わりにぼろ布をまとっているばかりで、ロイターは酷く落胆した。
ロイター「……そうして欲望を捨て、罪人のように暮らす事があの娘の供養になるとでも?」
ヴェセル「その話は聞きたくない。」
ロイターの昔話に、初めてヴェセルは反応を示した。
144:
金貨千枚一万枚持ち歩くとかちょっとおかしいので、千円、一万円みたいな感じで十金貨、五十金貨、百金貨、五百金貨、千金貨、五千金貨、一万金貨があるものとします。
147:
ヴェセルは素直に拘束された。
同刻、勇者と少女は依頼の品と子犬を届けにヴェルニースに戻ってきた。
リリアン「おかえりポピー♪えへへ」
犬好きの少女リリアンはやっと帰ってきた子犬を抱きしめて撫でる。
リリアン「おねえちゃんありがとー!あっこれ依頼料です!」チャリ
差し出したのは千金貨2枚と百金貨5枚、それにプラチナ硬貨2枚。
少女「はーいどういたしましてー」
勇者「待て」
少女「はう!」
勇者が間に入った。
勇者「今回お前捕まえてないだろ」
少女「……」
……
148:
少女「もぉおおお!!依頼なんですからもらってもいいでしょう!!??」
勇者「ダメだ。自分でやって初めて依頼完了だ」
少女「く……クーラーボックスはもらっておいて……」
リリアンは無料で依頼をしてもらうのは母に怒られると言い、かわりにクーラーボックスを渡してきたのだ。
勇者「コレは俺の報酬だ。俺が捕まえたんだから当然だろ?それに旅には欠かせないからな」
少女「この……自分で持っててくださいよ!!私持ちませんからね!!」
勇者「?…ああそのつもりだが」
少女「……シャーーー!!!」
少女は威嚇して感情をあらわにしたが勇者は気にも留めていなかった。
勇者「腹減ったな。飯はどうするんだ?」
少女「知りませーん!餓死すればいいじゃないですかー!」ベー
勇者「死体漁…」ボソ
少女「ご案内しまーす」
149:
少女ちゃんかわいい
150:
主人公に主導権握られて良いように使われてる所とか特に
151:
ーヴェルニース・酒場ー
ヴェセルの拘束で少し兵士は減ったものの、まだロイターや残りの兵士は酒盛りを続けていた。
*がやがや*
勇者「あれ?あっちにパン屋があったが違うのか?」
少女「あっちはどっちかというと旅用の食糧、って感じですね」
少女「それに売ってるものは小麦粉や生麺で、自分が調理しないといけませんし」
勇者「ふーん」
少女「まあ、宿屋でも食事はありますけど、まだそんな時間でもありませんから」
太陽は傾きかけているが、まだ高い。
少女「このへんで適当に頼みましょう。すいませーん!」
???「はぁーい」
兵士「……」ジロジロ
勇者「……?」
勇者達は空いているテーブルに座った。心なしか周りからの視線が集まる。
152:
少女「あっシーナさんだ!ラッキー♪」
勇者「ラッキーなのか?」
少女「はい♪看板娘さんですから、中々人気で応対してくれないんですよー♪」
さっきまでの不機嫌だった少女は一遍して上機嫌になった。
勇者「なるほど、どうりで……」
勇者は数々の視線は自分たちではなく、看板娘シーナに向けられているものだとわかった。
153:
シーナ「ご注文お伺いします♪」
少女「えーと、目玉焼きとー、ピリ辛炒めとー…勇者さんは?」
勇者「んあー、適当でいいよ。腹がふくれたら」
少女「そうですか、それじゃー……あ、二つずつで!」
シーナ「はいかしこまりました〜♪」ニコ
スタスタスタ……
少女「あーかわいいいいいー!!」
勇者「……」
大興奮する少女。
勇者「そんなにか?」
少女「いやかわいいでしょ!!そう思いません!?」
勇者「いい尻してんなとは思ったけど」
少女「…………」
159:

少女「っぷはー!食ったぜぃー!」
勇者「ちょっくら酒飲もうかな、酒場だし。すいませーん!」
シーナ「はぁーい」
勇者「酒って何があるんです?」
シーナ「あ……お酒は……その」チラ
勇者「?」
シーナが恐る恐る見た方向には、豪遊するザナンの兵士達。
勇者「……ああ」
シーナ「申し訳ございません……」
少女「まったく、ああいう権力に物言わせてる人は嫌いです」
シーナ「普段はもっとあるんですけどね……」
160:
下級兵士「聞こえちゃったなぁ〜」
少女「!!」
少女の言葉を、偶然下級兵士が耳にしていた。
下級兵士「権力にもの言わせてるだあ?俺らはなあ!ちゃーんと働いて!ちゃーんと金払ってんだ!悪いかコラ!」
少女「……酔っ払いが」
下級兵士「ああ!?」
勇者「まあまあ!!お前も煽るなって!」
少女「……」プイ
少女は反省もなくそっぽを向いたまま動かない。
162:
シーナ「ひぇぇ……やめてくださいー……なんて……ああ……」
下級兵士「あんたこいつの彼氏か?つまんねー女に引っかかったもんだなあ!」
少女「ななっ!彼氏ぃ!?」
勇者「はは、そんなんじゃないよ」
少女「む…」
なんとなく少女はイラっとした。
真面目兵士「おい待てって!またロイターさんに叱られるぞ!!」
様子を見ていた真面目な兵士が止めに入る。
下級兵士「ぐ……わかったよ……覚えとけクソアマ」
少女「べ〜っ!!」
勇者「……」バシン!
少女「あだあ!!!」
勇者は、少女がこんなに嫌悪の感情を出すのは何か理由があるのかと思い、言及するのはやめて引っぱたくだけにしておいた。
163:
勇者「勘定するか……すいませんね」
シーナ「いえいえ…えーとお会計は8000金貨になります」
少女「えっ」
勇者「どうした?」
少女「いやぁー……はは……どうしてそんなに高いのかなーなんて……」ダラダラ
ゲリラ豪汗。
シーナ「えと、本日は特別に祝福された肉と卵を使用しておりまして……」
シーナ「一応外の看板とこちらのメニューに注意書きがございますが……」
少女「あっあぁ〜確かに……どうりでいつもよりおいしかったわけだーあははー……」
勇者「お前まさか……」
少女「……」ダラダラダラ
シーナ「あのーぅ……」
勇者「……」
少女「……」
164:
少女「勇者さんがあの時報酬受け取ってれば足りてたんですよおおおお!!」
勇者「知るか!お前がちゃんと確認せず適当に注文したのがいけないんだろ!!」
少女「勇者さんだってなんでもいいって言ったじゃないですかー!!」
勇者「なんでもいいとは言ったけど限度があるだろ!!」
シーナ「あの、もしかしてお勘定……」
勇者・少女「ええと……」
勇者・少女「何か依頼はございませんか?☆」
下級兵士「あはははははは!!なんだアイツ等ヴェルニース初めてか!?良いザマだ!!」
下級兵士はうまくなった酒を呑む。
165:
下級兵士「…………そうだ」ニヤリ
真面目兵士「…どうした?」
下級兵士「へへっ……いやあ……ロイターさん直々に成敗してくれるように仕向けりゃいいんだ」
真面目兵士「お前まさか…!」
下級兵士は勇者達の元に行った。
下級兵士「へいお前ら!金無いんだって!ざまあみろ!!」
少女「くっ!!」ギリギリ
勇者「はぁ……災難だ……」
下級兵士「俺が依頼してやろう」
勇者「え」
166:
下級兵士「なーに簡単だ。そこにグランドピアノがある、ちょっくらこの場を盛り上げてくれよ」
下級兵士「も・し!好評で盛り上がったなら足りない金を出してやろう……良いだろう?」
少女「……何企んでるんですかっ……」ジロ
下級兵士「あーやっぱ依頼やめようかな!そうしたら……あんたらは食い逃げとなるわけだ」
少女「この」
勇者「ありがとう。その依頼受けさせて頂こう」
下級兵士「彼氏はものわかり良いな!ははっ!」ニヤ
少女「勇者さん!絶対コレ罠で…」
勇者「まーまー、どのみち金無いんだから。」
少女「……わかりました…」
下級兵士「あ!そうそう演奏するのは女な!男に演奏してもらっても盛り上がらねぇよ!!」
少女「……いいでしょう……私の演奏スキルがどれほどか見せてあげます。これでも副業としてたまに演奏してるんですから!」
勇者「ほぉ」
169:
シーナ「あのあの、やめたほうが……」
少女「だいじょーぶ!結構上手いから!そこらの吟遊詩人にも負けないよー!」
シーナの言葉の、本当の意味に気づかず少女は腕をまくってグランドピアノの前に座った。
シーナ「どうしよう……そうだ!彼氏さんに言えば……」
「シーナちゃんお酒おかわりー!!」
「こっちもー!」
シーナ「ああ……」
下級兵士の計画は順調だった。
ロイター「ほう、ピアノか……」
少女は、ヴェルニースという町は知っているがロイターという人物は知らなかった。
"ザナンの紅血"ロイターは演奏にうるさく、この酒場でいい加減な演奏をしようものなら容赦なく石や瓶を投げて重傷を負わせていた。
170:
少女「よっし!」
ポロン♪
ポロロン♪
勇者「へぇ、なかなかじゃないか」
他の客「………」
下級兵士「……ふ、ふん……これで……」
誰もが少女の演奏に聞き惚れていた……が、声には出せない。何故なら……
シーナ(あああ……一般人なら好評でも……うう……)
少女の演奏は、ロイターが認める演奏には及んでいなかった。
ロイター「なんだこの演奏は…!!」ガタッ
下級兵士「きた!」
他兵士「あーあかわいそーに」
兵士達は心配する声を出しておきながら、心の中ではニヤリとこの後の展開を楽しみにしていた。
172:
勇者「………そういう事か……まったく、世話の焼ける……あ、そこどいてくれる?」
シーナ「え?は、はい」サッ
座って頬杖をついている勇者は気づく。そして、ルートを確保する。
ロイターはテーブルの上の空き瓶を容赦なく少女に向かって投げようと振りかぶったその時!
ロイター「下手くそ!!」バッ!
勇者「魔弾」ボッ!
パリィイイン!!
ロイター「!!!」
空き瓶はロイターの手を離れる前に破壊された。
173:
この一瞬の出来事は、勇者以外に二人だけが理解していた。
シーナ「な……」
一人目は、シーナ。勇者に声をかけられて勇者の方に目を向けていた。
ロイター「………!!」バッ!
二人目は、ロイター。視界のギリギリ端から雷のようなスピードで、かつ威力を最小限に抑えた魔弾を捉えていた。
すぐに発射元を見たが特定はできなかった。なぜならヴェセルを無意識に探してしまっていたからだ。
自分に対抗できるのはヴェセルだけ……しかしヴェセルは拘束して別室にいる……
しかも放たれた魔弾は、明らかに自分やヴェセルより上の精度とスピードを誇っていた。
ロイター(…………………)
ロイターはこの魔弾一つで、格上の存在を身に刻んだ。
174:
勇者「いいぞー!」
何もわからなかった他の客は、思考停止したロイターがこの娘を認めたと思い、勇者の掛け声もあって……
客A「いいぞいいぞ!」
客B「へいへい♪」
酒場はふつうに盛り上がった。
175:
*保存*
176:

それにしてもこの勇者、強すぎである
177:
乙!
勇者のステが見てみたいww
混沌三神くらいなら軽く捻れそうだな
180:
しかし大丈夫か勇者?
レベル高すぎると税金がががが・・・・
182:
なんとか食い逃げを阻止した二人は、酒場を後にした。
勇者「普通にうめーのな」
少女「ふふん、見くびらないでくださいよ!ほら、おひねりもらえました!」
勇者「どれどれ」
演奏をしていると、たまにお金の代わりにおひねりをもらえる事がある。
少女「マントとブーツですね!早鑑定しに行きましょう!」
勇者「鑑定って無料なのか?」
少女「あ」
勇者「……全く、なんで演奏することになったか覚えてないのか……」
まずはお金を集める事だと勇者が次の依頼を見に行こうとした時。
シーナ「待ってください!」
勇者・少女「え?」
二人は慌てて追いかけてきた看板娘シーナに呼び止められた。
シーナ「助けてください!」
183:
勇者「要するに、ヴェルニースを拠点としている盗賊団が酒樽を盗んでいる、と」
シーナ「はい……」
少女「なんで掲示板に書き込まないの?」
勇者「盗賊団がここを拠点にしてるっつーことは、掲示板に書くとバレちまって依頼主が危ないだろ」
少女「あ、なるほど」
シーナ「そうなんです……軍の人はそもそも護衛の為にいるだけですから依頼は受けてくれませんし……」
勇者「で、俺たちに依頼か」
シーナ「はい……かなり強い方みたいですし……」チラッ
シーナは勇者を見て言った。
勇者「ああそうか君は見てたのか……わかった。受けよう」
シーナ「ホントですか!?」
勇者「ただし!」
勇者「やるのはコイツだ」
勇者の指は少女に向いていた。
184:
少女「……はいぃ!?いや、受けるのはいいんですけど、私一人でですか!?」
勇者「大丈夫、危なくなったらサポートするから」
シーナ(なるほど、この子に経験させてあげようとしているのですね!素晴らしいです!)
シーナ「……あの、お名前お伺いしていいですか…?」
勇者「俺?」
シーナ「はい!」
勇者「勇者だ。わけあって二つ名しか言えないんだ。すまん」
シーナ「いえいいです!……勇者さんかぁ……」
少女「ふふん、私の名は…」
シーナ「ありがとうございます!では店に戻りますね!良い報告お待ちしておりまーす!」タタタ…
少女「…………」
185:
勇者「…そういえばアジト聞いてねえな……」
少女「あの、勇者さん」
勇者「ん?」
少女「まさか今から行動ですか…?」
勇者「あたりまえだろ?善は急げ、思い立ったが吉日だ」
少女「ちょ、ちょっと休憩欲しいんですけど……演奏ってスタミナ使うんですよ?」
それほど疲れているようには見えないが、疲れているのだろう。
勇者「あーそうか。んじゃ適当に座って休憩しようか」
少女「それじゃあ宿屋に行きましょう。あそこに椅子が置いてあったはずです。」
少女「あ、ついでにその隣のパン屋も行きましょう。動けばお腹減りますから、買いだめしておくのも大事です……まぁ、そのお金で鑑定できるんですけど」
勇者「おーけーおーけー」
186:
ーヴェルニース・宿屋ー
*がやがや*
勇者「むお」
少女「あれーー?なんでこんなに人いるんだろ」
宿屋は基本寝泊りと食糧調達以外に人は来ない。それゆえに初めての混雑で店主はあたふたしていた。
宿屋の店主「あっごめんなさい混雑してて!」
少女「あ、いえ……大人気ですね?」
宿屋の店主「そうなんですよ!何故かここ最近になって"いい夢が見れる宿屋"で噂が立っちゃって!」
勇者「へぇ、良かったじゃないですか」
宿屋の店主「ふふ、ありがとう。もしかして今日泊まるのかな?」
勇者「あー……たぶんそうですね。」
宿屋の店主「なら予約しておきますね!ふふっ」チラッ
店主は意味深な笑顔を少女に向けた。
少女「……???」
187:
勇者「ここが空いてる、座ろう」
ドサッ
少女は荷物を降ろして椅子に座った。
少女「ふぅ〜やっと休める〜…それにしてもいい夢が見れる、ねぇ」
勇者「それだけでこんなに繁盛するもんか?」
少女「んー、夢ってのは結構大事でですね、夢で見た事が現実になってることってしょっちゅうあるんですよ。」
勇者「……まじで!?」
そう、この世界は夢と現実が結びつくことがよくあるのだ。だからいいベッドを求める人が後を絶たない。
188:
少女「……あ、黒猫だ」
少女はふと、黒猫が入ってくるのが見えた。
黒猫「みゃ♪」
この店が繁盛する理由。
黒猫「うみみゃ♪」
なぜ居ついたのかはわからない。
黒猫「うみみゃあ♪」
全身真っ黒の猫。ただこの猫の存在が、この店の繁盛する理由だった。
196:
黒猫「みゃ♪」タッ
少女「あ、こっちきた」
黒猫「みゃっ!?」
黒猫は勇者の姿を見ると、
黒猫「みゃぁ……」
がっくりして引き返した。
勇者「なぜっ!?何かしたか俺!?」
少女「あはは!たぶんその席が黒猫ちゃんの特等席なんじゃないですか?ほら、日が当たってるから」
勇者「ああそういえば。んしょ」ガタッ
勇者「ほれ、座るか?」
黒猫「みゃ!?」ピクッ
黒猫「うみみゃあ♪」タタッ
勇者に席を譲ってもらった黒猫は丸まって心地よい眠りにつき始めた。
197:
勇者「よっこいせ」
少女「ななっ!?」
勇者「仕方ないだろ、猫に席をゆずったら俺が座るとこ無いじゃん」
少女「むぅ……」
少女の隣に勇者が強引に座り、小さめの円形テーブル、二つあるイスの内の一つは黒猫が、もう一つに二人が半分ずつ座る形になった。
勇者「そういえばその荷物の中は何が入ってるんだ?」
少女「え?そりゃあ……拾った巻物とかポーションとか……そうだ、勇者さんも何か武器持ったほうがいいですよ?」
勇者「うーん……適当でいいよ」
少女「適当て…じゃあ余ってる武器使います?ええと…鎌はどうですか?」
勇者「怖ぇよ」
少女「たまに首ちょん切れますよ?」
勇者「怖えよ!!グロい!嫌だよ!」
少女「えー?……じゃあどれがいいです?」ガラガラッ
少女は鞄の中から色んな武器をテーブルの上にぶちまけた。
198:
勇者「うーん鎌に短剣に刀に……うわ、拳銃がある」
少女「弾が無いんですよ」
勇者「ふぅん……つかこれだけ持ってて重くないのか?」
少女「だいじょぶです!重量挙げを習いましたから!」
勇者「習って持てるようになるもんなのか……」
少女「まあ、効率ですね!どこを持てば持ちやすいとか……あとは普通に筋力ですかね」
勇者「そらそうだろうな……あ、気になってたんだけどその背負ってるのは?」
勇者は少女が背負っている大剣に目をやった。
少女「ああこれですか。これは私の……」
客A「ふざけんなてめえ!」
客B「ああ!?てめえこそふざけんな!
少女が言いかけた時、近くにいた客が騒ぎ始めた。
199:
客A「俺が先に予約とってただろうが!なんでてめえが割り込んで来るんだよ!」
客B「お前が予約通りに来ないから俺が使っただけだろうが!遅いのが悪いんだよ!」
客A「はあ?ふざけんなてめっ」ガシッ
客B「やんのかコラ!!!」ガシィ!
勇者「あーあー」
少女「はぁ……人が多いとこういうのも増えますよね……」
客A「オラア!!」
バキッ!がっしゃあああん!!!!
勇者「うおっ!」
少女「きゃっ!」
黒猫「みゃっ!?」
店主「ちょっとお客様!?」
殴られて体勢を崩した客Bが二人と一匹が座るテーブルに突っ込んできた。
200:
客B「ぐ……くそがあ!!」ススッ
勇者「……」ピクッ
この客Bの行動を、勇者は見逃さない。
客A「ハッ!バァーカ!」タタッ
客B「待てコラァ!!」ダッ
店主「ああ……大丈夫ですか…?」
少女「あはは…びっくりしましたけど大丈夫ですっ」
勇者「……」
黒猫「シャー!!」タタッ
少女「ああっ猫ちゃんっ!」
黒猫は寝ている所を起こされて不機嫌になり、どこかへ行ってしまった。
201:
勇者「さて、行こうか」
少女「え?どこへです?」
勇者「盗賊団のアジトだよ」
少女「え、でもそのアジトの場所が………」
勇者「だから、聞きに行くんだよ」スタスタ
少女「????……あ、待ってくださーい!!」がちゃがちゃ
タタッ
少女は急いで床に落ちた武器や荷物をまとめて勇者を追いかけた。
202:
客B「うーんしょぼいな。3千金貨しかねー」
客A「他には?」
客B「短剣」
客A「うわ、売れなさそー」
客B「まあいいじゃん、ノルマは達成できそうだし」
客A「うーん……とりあえずはいいか」
客B「はーあ、ハズレだったかー」
客A「でもお前の演技めちゃうまいよなー」
客B「ははっ!まーな!お前も殴ったふりうめーよ!俺殴られてないのに音鳴ってるじゃん。どうやってんだ?」
客A「んーそれは企業秘密だ」
客B「気になる」
客A「まぁまぁ、次行こうぜ」
勇者「喧嘩するほど仲がいいとはよく言うが、赤の他人だったのにずいぶん親しげだな」
客A・B「!!!!」
208:
少女「……え、と……どういう事です?」
なんとか勇者の後をついてきた少女が尋ねる。
勇者「どーもこーも、ありゃ演技だよ。さあ、盗った短剣と3千金貨を返してもらおうか」
少女「え?…あ!無い!」ゴソッ
客B「っ!!」
少女はここで初めて物が無くなっていることに気づいた。
客A「くそっ逃げるぞ!」ダッ
客B「ああ!」ダッ
勇者「尾行できるか?」
少女「……え、私ですか!?」
勇者「ここからはお前だよ。俺はもう手伝わないからな?」
少女「う……」
勇者「ほら、早く尾行しないと見失うぞ」
少女「わ、わかりましたよっ!!」タタッ
209:
勇者「さて、お手並み拝見といこうかな?見た感じ相手は見習い盗賊といったところか……」
勇者は相手の細かな動き、姿勢、魔力量を感じて相手の強さを測っていた。
相手の強さを測るということは前に居た世界では必要不可欠であったからだ。
勇者「さてと」
少女をさらに"尾行"しはじめた勇者の足元に……
黒猫「みゃー」
先ほどの黒猫が現れた。
勇者「…よっ、さっきはお互い災難だったな」
黒猫「みゃー」
勇者「すまんが俺は取り込み中だ。餌が欲しいのならよそを当たってくれ。おっと見失う……」タッ
黒猫「うみみゃ」タタッ
黒猫は勇者を、勇者は少女を、少女は盗人を追いかける。
210:

ここはヴェルニースの端にある墓場。墓参りをしに来る人以外は特に来る必要が無いが…
ある二人には墓参りとは別の用があった。
客B「撒いたか!?」
客A「ああ!」
客B「くそっ俺の盗みスキルを見破るとは…」
客A「いいから見られないうちに入るぞ!」ゴンゴン!
大きめの墓の裏、ある程度墓参者が居ても気づかないような場所で、客Aは一見何もない地面を叩いた。
返ってきた音は地面を叩いたとは思えない音だった。
???「41642173」
客A「……37」
ガチャッ
合言葉を交わすと、鍵が外れる音がした。
211:
すると地面が観音開きのように開き…
???「早かったな」
客A「ああ……」
客B「ひでぇ目にあったぜ」
???「15354085」
客B「ん?」
???「15354085」
客A「一人一人だぜ」
客B「あーはいはい、えーと……1535が……15で……」カリカリ
客A「暗算しろよ」
客B「うっせー!よし!55!」
???「ん、入れ」
客B「この暗号やめません?」
???「却下」
客B「ちぇ」
合言葉…というより何かの暗号化と複合化である。それを無事クリアした二人は中へ入る。
パタン…ガチャ
そしてまた殺風景な墓場に戻るのだった。
212:
……ガサッ
少女「うーん、暗号かあ……」
尾行は成功していた。強い敵から逃れるための隠密スキルがここに来て効果を発揮していた。
しかし中へ入るための合言葉がわからないと入れない。
少女「ええとたしか…41642173が、37で」カリカリ
少女「15354085が、55と」
少女「……なんのこっちゃ!!!!」
とりあえず地面にメモってみたものの、わけもわからず叫んだ。
勇者(…あの程度の暗号……解読できないか…?)
さらに離れた場所で少女を見守る勇者。耳が怪しく光り、魔法により聴力を大幅に上げていた。
213:
少女「うーん……」
――客B「あーはいはい、えーと……1535が……15で……」
少女「あ、分けるのか……つまり1535と4085を分けて考えて……」
――客A「暗算しろよ」
少女「何かの計算……暗算てことは、計算の鍵さえわかれば簡単なはず……」
勇者(そうそう)
少女「足し算か掛け算か……全部足すのか特定のものだけ計算するのか……」
少女「答えが55で……たしか1535が15って言ってたから……」
少女「……分かった!!」
勇者(よし!)
214:
少女は大きな墓の前に立ち、地面を叩く。
少女(私の計算が合っていれば……)
???「12345678」
少女「……68」
ガチャッ
215:
勇者「さて、見学見学……お?」
タタタッ!!
勇者が無事暗号をパスし中に入った少女を見届けると同時に、黒い物体が盗賊団隠れ家に向かって走って行くのが見えた。
盗賊団暗号担当「うわっ誰ぐあああっ!!」
盗賊団首領「なんだ!?」
少女「……なんだかんだと聞かれたら!」バッ!
少女「答えてあげるのが世の情け!」ビシィッ!
盗賊団員「「………」」
盗賊団員全員が不思議そうな、あるいは残念そうな顔で少女を見つめる。
少女「世界の破壊を防ぐため!」バッ!
少女「世界の平和を守るた」
盗賊団首領「やれ」
盗賊団員「「ハッ!!」
少女「わああ!やらせてよ!子供の頃見た本のセリフ言うの夢だったんだから!」
216:
勇者「……ついて来るなと言ったのに。危ないぞ黒猫ちゃんよ」
黒猫「みゃ」
勇者は中に入ろうとする黒猫を抱きかかえ、空いてしまっている入口から中の様子を眺めるのだった。
盗賊団員A「あってめーは!!」
盗賊団員B「あっ!!!」
少女「はろー♪ご案内ありがとねー♪」
盗賊団首領「……てめぇら…つけられてたな……」
盗賊団員A「ひいいすいません!!」
盗賊団員B「うああ……おいやるぞ!!」
盗賊団員A「わかってる!」チャキ
盗賊団員Aは短剣を構える。が、それを見た少女は激昂する。
少女「それはっ!!!わたしんだろがーーー!!」ジャキン!
少女は背負っていた大剣を鞘から抜き取り両手で持つ。
217:
勇者「両手持ちか……」
盗賊団員A「っこのぉ!」バッ!
少女「痺れろっ!!」ザン!
盗賊団員A「ぐはっ!!」
盗賊団員B「おい大丈夫か!」
盗賊団員A「これしき……ぐあああああああ!!!」バチバチバチバチ!
勇者「……なるほど、あの武器に雷攻撃がついてるのか……いいね」
冷静に少女の動きを見て正確な実力を測る。
黒猫「みゃぁぁ……」
勇者「…ん?」
しかしここで、黒猫の雰囲気が変わったのに気が付いた。
218:
黒猫「うみみゃあ!」キッ!
盗賊団員B「うわっしまった!!」グラッ
少女(!!相手がバランスを崩した!ここだっ!!)ザンッ!
盗賊団員B「ぐはぁっ!!!」
勇者「……へぇ………」
ここで勇者は、この黒猫がただの猫では無い事とここに来た理由を理解した。
黒猫「みゃぁ…」
勇者「待ったストップ!」
黒猫「……みゃあ?」ギロ
勇者「……居眠りを邪魔されて怒るのはわかるが邪魔しないでやってくれ。アイツの手柄にしたいんだ。」
黒猫「…みゃー?」
勇者「頼むよ」
黒猫「…………みゃっ♪」
勇者「いい子だ」なでなで
226:
太陽がかすかに赤みを帯びてきた頃、シーナはぽっかり開いた入口から中を覗く。
少女が解決の一報をシーナに報告したのは、盗賊団首領が情けなく逃走、それを見た盗賊団員も慌てふためいて首領を追いかけ、最後の一人がヴェルニースから見えなくなって30分後の事だった。
シーナ「こんな所に隠れ家があったんですね……ほんとに、あなたが?」
少女「本当ですよう!暗号解くのも頑張ったんですから!」
シーナ「暗号?」
勇者「隠れ家に入るための合言葉みたいなもんだな。よく解けたな?」
少女「ふふん、まあ天才たる私が本気出せばちょちょいの……」
勇者「結構悩んでたっぽいが?」
少女「……見てたんですか」
勇者「うん」
少女「ぐぬ……」
シーナ「と、とにかく!追い払ってくれてありがとうございました!これ、お礼です!」
少女「やった!」
シーナ「鑑定の杖にモンスターボール、4500金貨とプラチナ硬貨2枚です」
勇者「……お、鑑定の杖って」
少女「ラッキーですね!これで手持ちのいくつかを鑑定することができます!」
少女は喜々として貰ったアイテムを鞄の中に詰め込んだ。
鑑定は基本街に住む鑑定士に金貨を払って鑑定してもらうものだが、鑑定の杖を使うと自分で鑑定することができる。鑑定の費用が浮くのだ。
227:
シーナ「ではまた酒場にいらしてくださいね!今度は特上のクリムエールやビアを出せると思いますので!」
勇者「ああ、また行くよ。」
少女「またねー!」
晴れ晴れとした笑顔で酒場に戻ろうと一歩踏み出した時…
シーナ「あ、そうそう」
笑顔が消えた顔で勇者達の方へ振り返り―
勇者・少女「はい?」
シーナ「…来月は9月です。気を付けて」
少女「……はい、ありがとうございます」
勇者「?」
真剣な眼差しで何かの注意を施し、少女はそれを深々と受け止める。
228:
勇者「……何の話なんだ?」
少女「エーテルの風です」
勇者「エーテル?」
少女「はい。3か月毎の月初めに、決まってエーテルの風が吹くんです。」
勇者「……どうなるんだ?」
少女はエーテルについて語りだした。
エーテルの風は異形の森から発生する、光る気体状の物質であること。
これに触れ続けると体内にエーテルが溜まり、ある一定を超えるとエーテル病を発症するということ。
エーテル病になると足が蹄になったり、背中に羽が生えたり、顔がただれたり、目が増えたりすること。
エーテル病が悪化すると必ず死に至る病であるということ。
そして……
少女「お父さんは、エーテル病で死にました」
勇者「……」
229:
少女は盗賊団隠れ家を隠していた、フェイクであろう墓石に体重を任せ、自分の過去を勇者にこぼし始めた。
「わたしと父と母の三人で、決して裕福な暮らしではありませんでしたが、そこには確かに幸せはありました」
〜〜〜〜〜
幼少女『まだー!?』
少女母『はいはい、それじゃ行きましょうか』
少女父『おう』
幼少女『わーい!!!』
数々の荷物を荷車に乗せ、引っ越しの準備が完了……否、
最後に少女の父が大剣を担ぎ、これで準備が完了した。
少女母『持った?』
少女父『ああ、もちろんだ。この辺りのモンスターなら俺でも倒せる』
少女母『……長年住んできたノイエルともお別れね』
少女父『仕方ないさ。俺の実力じゃここの依頼は受けられるのが少ない。ヴェルニースやパルミアなら、色んな依頼を受けられるからな。』
少女母『私も、昔お義母さんから教えてもらったせっかくの高効率の栽培法……そもそもここじゃ栽培はしてないしね』
少女父『親父が生きてれば……いや、俺がもっと強ければここでずっと暮らせたんだがな……すまない』
少女母『いいのよ、色んな所に住むのもまた楽しいわ』
230:
少女の父の父……少女の祖父は、強かった。名声も高く、高度な依頼をこなしていた。
しかし少女という孫娘が生まれ、出稼ぎにパルミアでますます依頼をこなしていた時……
よくある魔法の失敗か、意図的な召喚か…何者かが街に放ったモンスターが、依頼をし終わったばかりで疲れていた祖父の命を奪った。
街中のガードや滞在していた冒険者によりモンスターは討伐されたが…
少女の父の元へ帰ってきたのは、既に冷たくなった祖父と、祖父が装備していた大剣だった。
少女父『行ってきます。親父』
少女母『行って参ります、お義父さん』
幼少女『いってきまーす!』
ノイエルのはずれに作った簡素な墓の前で、3人は手を合わせた。
231:
幼少女『ごーごー!!』
少女父『こらこら、疲れてもないのに荷車に乗るんじゃありません』
荷車を引いてノイエルを後にしようとしたとき、前からもまた、荷車を引く二人が現れた。
???『こんにちは』
少女母『あ、もしかしてリリィさん?』
リリィ『……てことは、あなたがたが家を貸してくださる……』
少女母『ええ、初めまして。』
少女の母は荷車を引き続けて疲労困憊の男性にも挨拶する。
『……どうも』
リリィ『あなたったらまた無愛想な……ごめんなさいね』
少女母『いえいえ、長旅ご足労様です。奥さんの体を労わる優しい人だということが分かりますから』
リリィのお腹には、これからこの世で育つであろう命が大きく芽生えていた。
232:
身重である妻に荷車を引かせるなど言語道断であると、男性の疲れ方から見てわかる。
幼少女『ねーねー、ここに赤ちゃんいるの?』
いつの間にか荷車を降りた少女は、リリィのお腹に興味津々だった。
少女母『あ、こらっ』
リリィ『ふふっ構わないですよ。……触ってみる?』
幼少女『うんっ!』
少女はおそるおそるリリィのお腹に手をあてた。
幼少女『わぁ……あっ!今動いたかな!?』
リリィ『動いたねー!』
233:
少し話をしてから、はやく休ませてくれと言わんばかりの男性の目が少女の父に届き、少女の父は話を切り上げた。
リリィ『では家、お借りしますね』
少女父『ええ。多分帰省することはあってもまた住む事は無いと思いますんで、ゆったりとお過ごしください』
リリィ『ありがとうございます!帰省した際にはこの子の顔をお見せできると思いますので是非。』
少女母『はい、期待してます』
幼少女『ばいばーい!』
リリィ『ばいばい、またね』
これにて、少女達はノイエルを出発した。
〜〜〜〜〜〜〜〜
勇者「エーテルの話は?」
少女「まーまーこれからですから」
勇者「そういえばノイエルってどんなとこなんだ?」
少女「そうですね、年中雪が降ってますね。行こうとすると雪のせいで荷車を引くのが大変なんですよ。」
勇者「ふーん……話どのくらい続くんだ?太陽沈んだんだが」
少女「あ」
話すのに夢中だった少女は、辺りがすっかり真っ赤に染まっていることに初めて気づいた。
234:
宿屋の店主「あ、予約してたお二人さんね?」
勇者「はい」
宿屋で予約してたはずだと勇者が思い出し、とりあえず部屋で話そうと切り出したのだった。
宿屋の店主「こちらの部屋です。どうぞ ご ゆ っ く り 」ニコォ
勇者「はーい」ガチャ
少女「どうもありが……んっ!?」
店主の笑みの意味に少女は気づいた。
少女「あのあの!!部屋もう一つ空いてませんか!!??」
店主「すみませぇんただ今満室でぇ」
少女「いや!!隣り空いてるようにしか見えないんですけど!?」
店主「そこはVIP部屋ですね。10万金貨頂きます」
少女「ばかな!!!!」
勇者「おーい早く入れー」
少女「お、お、あ……」
ドアの前で狼狽える少女。
235:
店主「すいません後がつかえてるので早くお入り頂けますか?」
少女「……はい」
バタン
一歩踏み出して部屋に入った瞬間、店主はすかさずドアを閉める。
が、すかさず―
ガチャ
店主「ゴムは二番目の引き出しです☆」
バタン
少女「………」
少女は店主の爆弾情報に硬直して、我に返るのはこの5分後の事であった。
236:
*保存*
237:
乙!店主ww
しかしぶっちゃけイルヴァの外から来た勇者にはあんまり関係ない話だよね、エーテル病
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