探偵「容疑者を全員倒せば、事件は解決する」back

探偵「容疑者を全員倒せば、事件は解決する」


続き・詳細・画像をみる

1:
ある洋館にて――
屋敷の主人である白衣をまとった老人が、ベッドの上で倒れているのが発見された。
刑事「なんということだ……!」
助手「せ、先生……!」
探偵「うむ、これは殺人事件にちがいない」
3:
屋敷にいた人間、すなわち容疑者は以下の五名。
メイド「そんな……ご主人様が……」
庭師「旦那様ぁっ! ううっ、どうして……!」
武術家「くっ、なんということだ!」
シェフ「ああ……もう旦那様に私の料理を食べていただけないのですね……」
貴族「こんな形で親友を失ってしまうとは、無念だ……」
5:
助手「先生、なにか分かりましたか?」
探偵「君は分からないのかね、ワトソン君」
助手「ボクはワトソンじゃありませんよ」
探偵「おっと、失敬。私には一つだけ、分かったことがある」
助手「なんですか、いったい?」
6:
探偵「今ここで話すより、皆の前で話した方が手っ取り早いだろう」
探偵「刑事君、あの五名を全員、この大広間に集めてくれたまえ」
刑事「分かった!」タタタッ
7:
メイド「探偵様、なんでも事件の真相が分かったとか……」
庭師「旦那様はどうして亡くなったんでえ!?」
武術家「こんなに早く解決しただと? ふん、信じられんな」
シェフ「さすが、名探偵……スピード解決ですなぁ……」
貴族「君にはナイトの称号を授けよう」
探偵「全員揃ったようだね。では、申し上げよう」
探偵「犯人はこの中にいる!」ビシッ
五人「!!!」
8:
メイド「犯人が……この中に!?」
庭師「マジかい!?」
武術家「なにをバカなことを……」
シェフ「私ではありませんよ!」
貴族「ほう……これは意外な展開となったね」
刑事「探偵君、犯人は誰なんだ!?」
助手「先生、誰なんです!?」
探偵「それは分からない」
刑事&助手「へ?」
探偵「……が、容疑者を全員倒せば、事件は解決する」
9:
武術家「フッ、ハハハハッ! こいつは笑わせてくれる!」
武術家「犯人が分からないから、全員倒す? こんなバカな推理があるか!」
武術家「もういい! すぐに屋敷からつまみ出してくれる!」
探偵「…………」
ドゴォッ!!!
探偵のジャブが、武術家を十数メートルふっ飛ばした。
ドチャッ……
10:
刑事「やった! いきなり武術家を倒した!」
刑事「残る四人は大したことなさそうだし、これで探偵君の勝利は決まったな!」
探偵「やれやれ、そんなことだから君はいつまでたっても平刑事なのだよ」
刑事「え……!?」
探偵「君ならば分かるだろう?」
助手「はい……本番はここからです」
探偵「だいぶ観察力がついてきたね、ワトソン君」
助手「だからボク、ワトソンなんて名前じゃないです!」
12:
庭師「へっ、少しはやるようだな、名探偵!」
庭師「なら……まずはオイラからいかせてもらうぜ!」チャキーン
巨大な植木バサミを構える庭師。
庭師「といっても……オイラで終わらせるつもりだがな」
庭師「名探偵のはく製を庭に飾るってのも悪くねぇ!」チョキチョキ
探偵「きたまえ」
13:
庭師「シェアアアッ! シャアアッ!」
ブオンッ! ブオオンッ! ブンブンッ!
植木バサミを、目にも止まらぬスピードで振り回す。
助手「いッ!」
刑事「なんてスピードだ! 彼が動くたびに風が巻き起こる!」
しかし――
バキィッ!
探偵の右ストレートが、庭師にクリーンヒットした。
庭師「ぐぬ……っ! オイラの動きをあっさり見切るとは……!」ヨロッ…
探偵「探偵の観察眼を、甘く見ないでくれたまえ」
14:
庭師「さすが名探偵。どうやら、“能力”を使わざるをえないようだ……」ゴゴゴ…
探偵「む?」
庭師「串刺しになっちまいなァ!」ゴゴゴ…
ズゴォッ! ボゴォッ! ドゴォォォン!
鋭利な形状で盛り上がった大地が、探偵に突き刺さらんと襲いかかる。
探偵「これは、大地を操る能力、か」
ズガァンッ!
庭師「そのとおりよ! この大地は全てオイラの“庭”よォ!」
庭師「最大出力マグニチュード100でケリつけてやるぜェ!」ゴゴゴゴゴ…
15:
探偵「残念ながら、それは不可能だ」
庭師「どうしてだ!?」
探偵「なぜなら……ここは“密室”だからだ!」
庭師「!」ビクッ
庭師「あ、あれ!? 技が出せねえ!? ――なんでだァ!?」
助手「決まった! 探偵七つ奥義の一つ“密室認定”!」
刑事「“密室認定”!? ――なんだね、それは!?」
助手「刑事さん、あなたは“密室”という単語から、どんな光景を思い浮かべますか?」
刑事「えぇと……四方を壁に囲まれた、書斎のような狭い部屋を想像するかな」
助手「それでは、“庭”は?」
刑事「えぇと……広い狭いはあるが、緑があって土があって……」
助手「そのとおりです。つまり――」
17:
助手「先生が“密室認定”した以上、もはや庭師である彼に“能力”は使えないのです!」
刑事「なるほど!」
庭師「ちくしょう、オイラの“能力”が封じられちまうとはッ!」
庭師「ならば!」シュバッ
庭師「庭には二羽、ニワトリがいる!」コケェェェッ
庭師は鶏を模倣した拳法で格闘戦を挑むが――
ドゴォッ!!!
探偵の左ストレートによって倒された。
探偵「チッチッチッ……臆病者(チキン)では、探偵には勝てんよ」
18:
探偵「さて、次は誰がくるかね?」
メイド「私が参りましょう」
探偵「いっておくが、私は女性だからといって手加減はしないよ」
メイド「望むところですわ」
メイドは倒れている庭師に目をやった。
メイド「私はあんな能力頼みの人とは違いますわ」
メイド「探偵様、あなたもご主人様のいる――冥土に送ってさし上げましょう」
ギュオッ!!!
探偵(は、いッ!)
19:
バキィッ!
メイドのミドルキックがヒット。
上、中、下段。変幻自在の蹴りのコンビネーションが、探偵を追い詰める。
ドガガッ! バキィ! ドゴォッ!
探偵「ずいぶんと足癖が悪いようですな、お嬢さん」
メイド「ええ、私の武器は、この広いお屋敷を走り回って培った健脚……」
メイド「さらにカンガルー仕込みのこの足技……あなた、死にますわよ!」
パシィッ!
足払いで探偵が転ばされる。その顔面に、メイドの右足が迫る。
メイド「ごきげんよう、探偵様……」
ズドンッ!!!
21:
メイドの踏みつけを、探偵は間一髪かわしていた。
探偵「危ないところだった。今のを喰らっていたら、おそらく死んでいただろう」
メイド「ちいっ……!」
メイド「ならば、今度は動けないようにしてから、踏みつけてあげますわ!」
メイドが探偵の足を狙ってローキックを放つ。
すると、同じく探偵もローキックを放った。
ローキック同士の激突!
メキィッ……!
メイド「いっ……」
メイド「いぎゃぁぁぁぁぁっ!」メキメキ…
探偵「足が商売道具なのは探偵も一緒さ。ねえ、ワトソン君?」
助手「だからボク、ワトソンじゃないですってば!」
22:
探偵「勝負あったようだね。片足が折れては、もう戦えまい」
メイド「あぐっ……! ここまでのようですわね……!」
探偵「さて、君には容疑者として、この世から消えてもらおう」
メイド「――なんちゃって! 熱いお紅茶はいかがですかァ!?」チャプッ
バシャァッ!
メイドは1000℃に達する紅茶を、探偵の両目に浴びせた。
探偵「ぐあああああっ……!」ジュゥゥゥ…
メイド「ふ、ふふふ……ホーッホッホッホッホ!」
メイド「先ほどのお言葉をお返ししますわ! 両目が潰れてはもう戦えないでしょう!」
探偵「あなたの凶器によって、ですか?」
メイド「そう、私の紅茶であなたの両目は潰れたのよ!」
23:
探偵「おやおや……?」
メイド「――え?」
探偵「私がいつ“凶器は紅茶”と言ったかね? そんなこと一言もいってないよ」
探偵「そう、あなたが私に浴びせたのは、ただの冷たい水だったのだ!」ビシッ
メイド「な、なんですってぇぇぇっ!」
いつの間にか、探偵が浴びせられたのは“冷たい水”だったということになった。
刑事「あれ? たしかにさっき、探偵君は紅茶を浴びたはずだが……」
助手「先生の探偵七つ奥義の一つ“不言誘導”が決まったんですよ」
刑事「“不言誘導”!?」
助手「この技で、先生は自分が浴びせられたものを紅茶から水へと“誘導”したのです!」
助手「本来は、喋らないことで相手の失言を引き出すためのテクニックなのですが――」
助手「こんな使い方もできるなんて! さすが先生だ!」
刑事「ううむ……。よく分からんが、すごい!」
25:
メイド「まだ……! まだ終わってはいませんわ!」バッ
探偵「今のあなたはもはや、決定的な証拠を突きつけられた犯人も同然!」バッ
ガゴォッ!!!
両者、飛び上がって、互いの顔面に蹴りをぶつけた。
しかし、片足が折れているメイドでは勝負にならなかった。
メイド「探偵様……お見事、ですわ……」ドサッ…
探偵「これで残る容疑者は……あと二人」
26:
シェフ「ならば、この私がお相手しましょう」
シェフ「今晩の食材は名探偵、あなたです!」ジャキーン
光り輝くほどに磨かれた、鋭い包丁を構えるシェフ。
シェフ「クッキングスタート!」
ヒュアッ! ビュオッ! シュバァッ!
庭師、メイド以上のスピードで、包丁で斬りかかるシェフ。
シェフ「この世でもっとも刃物の扱いに長けたエキスパートは誰か、教えてあげましょう」
シェフ「それは、剣術の達人でもなければ、軍人でもありません」
シェフ「――料理人なんだよォ!!!」
ザシィッ!
27:
探偵の頬に傷がついた。
探偵「どうやら、その包丁をどうにかせねば、勝ち目はないようだ」
シェフ「ククク、どうにかできると思うかね?」
探偵「“謎は全て溶けた”」
シェフ「ん!?」ドロッ…
シェフ「何ィィィィィ!?」ドロドロ…
探偵が発した一言で、包丁がどろりと溶けてしまった。
助手「あれは……探偵七つ奥義の一つ“疑問溶解”!」
助手「どんなものでも跡形もなく溶かす、恐ろしい奥義です!」
刑事「おおっ! よかった、これは分かりやすい!」
28:
シェフ「包丁を無力化したからといって、勝った気になるなよォ!」
シェフ「かくなる上は“究極の料理”でキサマを葬り去ってくれる!」
突然、シェフはなんらかの種を鍋で煮詰め始めた。
グツグツ……
探偵「…………」クンクン…
探偵(この匂い……まさか! アーモンド臭!)
シェフ「気づいたようだな……」
シェフ「そう、アーモンドは煮詰めると、青酸カリに変化(かわ)るのだッ!」
シェフ「毒殺では食材にはできんが、そうもいっておれまい……喰らえッ!」ビュオッ
シェフは完成した料理(青酸カリ)を、探偵めがけて投げつけた。
29:
バクンッ!
シェフ「は……?」
探偵は飛んできた青酸カリを、丸呑みにしてしまった。
探偵「ペロッ、これは青酸カリ……ってところかな」ゴクンッ
シェフ「バカな……! あれだけの量の青酸カリを食して、死なないだと!?」
探偵「あいにく、私は青酸カリは舐め飽きている」
探偵「私を毒殺したいのであれば、もっとすごい毒物を用意したまえ」
助手「あれは……探偵七つ奥義の一つ“猛毒無効”!」
刑事「やった! これで形勢逆転だ!」
30:
探偵「さぁ、自首(自分で自分の首をハネること)か、私に倒されるか、選びたまえ」
シェフ「ぐ、ぬぬ……」
シェフ「うおおおおおおおっ!」
包丁も料理も失ったシェフ。
ヤケクソで、突撃するが――
探偵「食後のワインも出さないとは、君はいささかサービス精神が足りないようだ」
ガゴォッ!!!
シェフ「私が料理されて、しまうとは……」ガクッ
探偵のアッパーカットによって、倒された。
31:
助手「先生、青酸カリすら効かないなんて、さすがです!」
探偵「昔はトリカブトが限界だったが、これも訓練のたまものというやつさ」
探偵「探偵たる者、どんな毒も舐めて判別しなければならないからね」
探偵「君も精進したまえ、ワトソン君」
助手「だからワトソンじゃないっての!」
刑事(これが名探偵……! 私とは次元が違いすぎる!)
探偵「さてと……いよいよあなたが最後の容疑者だ!」ビシッ
貴族「ふっふっふ……」
32:
貴族「念のためいっておくが、吾輩は貴族だ。それも伯爵だ」
貴族「もし、吾輩に指一本でも触れれば、君は社会的に――」
ボゴォッ!!!
探偵のボディブローが、貴族の腹にめり込んだ。
貴族「げぼぉぉぉ……っ!」
探偵「私は地位で人を差別しない」
探偵「たとえ相手が貧民だろうと、善人ならば必ず救い出す」
探偵「たとえ相手が皇帝であろうと、容疑者であれば容赦なく叩き潰す」
貴族「なるほど……“権力”など、君相手では盾にもならんか……」
貴族「よかろう、本気で相手をしてやろう」
貴族「グオォォォッ!!!」メキメキメキィ…
貴族の肉体が、みるみるうちに巨大化していく。
33:
貴族は、なんと“鬼”へと変貌を遂げた。
鬼「貴族とは、すなわち“鬼族(きぞく)”! ――いざ参る!」
探偵「これは……さすがの私にも推理できなかった……!」
鬼「ブルジョアァァァッ!!!」
高貴な雄叫びを上げながら、貴族が突進する。
ドゴォッ!!!
探偵「ぐはぁっ……!」
鬼「どうした名探偵!? この程度か!? 吾輩を逮捕するんじゃなかったのか!?」
ドゴォッ! ベキィッ! ドゴォンッ!
鬼と化した貴族の圧倒的パワーに、探偵は手も足も出ない。
34:
鬼「ぐはははははっ!」ガシィッ
鬼「探偵よ、認めるがいい! 吾輩こそが“最強”だとな!」グググッ…
探偵「うぐぐ、ぐ……!」メキメキ…
両手で首を絞められ、探偵の顔が青白くなっていく。
刑事「くっ……探偵君もここまでか! 香典を用意せねば……!」
助手「先生ぇぇぇっ!」
鬼「名探偵といえどしょせん人間! 吾輩に勝てるはずがないのだ!」グググッ…
探偵「あ、ぐう……」メキメキ…
探偵「じょ、助手君……なにか言ってくれたまえ……」メキメキ…
助手「!」ハッ
35:
助手「そういえば、鬼ごっこってタッチされると鬼が交代するよなぁ」ボソッ
探偵「――そうか!」ピコーン
鬼「え?」
探偵「そういうことだったのか!」
鬼探偵「ガアアアアアアアッ!!!」メキメキ…
貴族「あれえええっ……!?」シュゥゥゥ…
助手の一言によって、探偵は鬼と化し、貴族は人間に戻ってしまった。
なぜなら――貴族は探偵に“タッチ”していたから。
刑事「助手君……今、いったい何が起こったのだね!?」
助手「探偵七つ奥義の一つ“一言好機”です!」
助手「誰かがぽつりとつぶやいた一言をきっかけに、事件を解決するという奥義です!」
刑事「あんな何気ない一言を手がかりにするとは、さすがは名探偵だ!」
36:
貴族「し、しまった……! 人間に戻ってしまったぁ……!」シュゥゥ…
鬼探偵「ホォォォォォムズ!!!」
名探偵な雄叫びを上げながら、探偵が突進する。
ドゴォンッ!!!
鬼と化した探偵によって、貴族は洋館の外まで殴り飛ばされた。
貴族「鬼退治……されてしまったか……」ガクッ
探偵「退治させてもらったよ……。犯罪者という“鬼”をね」シュゥゥ…
再び貴族に“タッチ”したことで、探偵も人間の姿に戻った。
38:
ついに、全ての容疑者を倒した探偵。
探偵「これで……容疑者は全員この世からいなくなった」
探偵「事件解決だ」
助手「やりましたね、先生!」
刑事「やれやれ……探偵君、また君に助けられてしまったな」
ところが、事件はまだ終わっていなかった。
39:
ベッドの上で横たわっていた被害者が――
老人「ふああ……よく寝た」ムクッ
探偵「!?」
老人「そこのお若いの、今何時かな?」
探偵「な、なんだと!? バカな……ッ! あなたは死んだはず!」
老人「なにをいっとるんじゃ? ワシは眠っていただけじゃよ」
探偵(しまった……! そういえば、本当に死んでいるか、確認を怠っていた!)
なんと、被害者である老人は死んではいなかった。探偵の早とちりだったのだ。
40:
探偵「これは……まずいことになった」
探偵「被害者は眠っていただけ。これが真相ということならば――」
探偵「私は無実の人間を、五人も亡き者にしてしまったことになる」
助手「大問題ですね……」
探偵「こうなれば、私が進むべき道はただ一つだけだ、ワトソン君」
助手「だからワトソンじゃねえって!」
探偵「“殺人事件”だったことにするために、この老人を……葬る」
老人「ふぉっふぉっふぉ、面白い」
刑事(なんか、とんでもないことになってきたな……)
41:
老人「ゆくぞ、名探偵!」
白衣をひるがえし、老人は小さな刃物を無数に投げ飛ばす。
ヒュバババババッ!
助手「まっ、まずい!」
刑事「なぜだ? あんな飛び道具、さっきみたいに溶かしてしまえば……」
助手「探偵七つ奥義は、一つの事件につき一回ずつしか使えないんです!」
助手「まだこの事件は解決していないので、“疑問溶解”は使えません!」
刑事「なんだと!?」
探偵(ならば、目には目を、歯には歯を、刃物には刃物、だ!)
キィンッ!
42:
老人「む!? ワシの攻撃が弾かれた!? なぜじゃ!?」
探偵「あなたの凶器を弾いたのは、これだ」ジャキッ
探偵が取り出したのは、半透明な刃物であった。
助手「あれは……探偵七つ奥義の一つ“消失凶器”!」
刑事「“消失凶器”!? いったいなんだね、それは!?」
助手「ようするに、氷でできたナイフです」
助手「そして、“消える凶器”ということであれば、その逆もしかり!」
助手「先生の手にかかれば“いつでも出現させること”ができるのです!」
刑事「おおっ!」
探偵「今ので分かった。あなたはさほど強くない」
探偵「単純な刃物さばきなら、先ほどのシェフの方がずっと上だ」
老人「ほざけ、若造っ!」シュバッ
44:
ザンッ……!
老人「うぐぅ……!」ガクッ
探偵「無駄だ……あなたの技はもう見切っている」
助手「さすが先生! 一気に被害者を追い詰めるなんて!」
探偵「じっくり観察すれば、どんな技も怖くはないということだよ、ワトソン君」
助手「ワトソンじゃねえんだよ、オレは!」
老人「ワシも老いたもんじゃ……こうなれば、最後の手段じゃ」
探偵「ほう? まだあがくつもりかね」
45:
老人「これより、ワシは自害する」
老人「もし、ワシが自ら死ぬと、ワシの体からウイルスが噴出する仕組みになっておる」
老人「そのウイルスは屋敷中に蔓延し、君たちをも滅ぼすことになるじゃろう……」
探偵「なんだと!?」
助手「そんな……!」
刑事「貴様、なぜそんなことをする!?」
老人「年寄りの最後っ屁というやつじゃな。勝てぬのならば、引き分け狙いじゃ」
老人「ふぉっふぉっふぉ……では、さらばじゃ」スッ
刃物で自害しようとする老人。
46:
探偵「死んでどうする」
老人「ぬ……!」
探偵「死んで、いったいなんになるというのだね?」
老人「う、うるさい……!」
探偵「生きて罪を償うんだ……! あなたには未来がある……!」
老人「ワシはもう90歳じゃぞ! 未来なんかあるわけが――」
探偵「あるさ……。人間、100歳からでもやり直せる!」
老人「うっ、うおおおおっ……!」ガクッ
老人は涙を流し、うなだれた。
刑事「よかった……自殺を思いとどまったようだ!」
助手「炸裂しましたね……」
助手「探偵七つ奥義のラスト、その場凌ぎの説得で自殺を食い止める“自殺阻止”が!」
47:
探偵「しかし、弱ったな……」
老人「なにがじゃ?」
探偵「被害者の自殺こそ食い止められたが、このままでは私の立場が危うい」
探偵「なにしろ、五人もの尊い命を奪ってしまったのだ」
探偵「刑事君、どうすればいいと思う?」
刑事「自首してはいかがだろうか」
探偵「それはイヤだ」
刑事「…………」
老人「ふぉっふぉっふぉ、安心するがいい」
老人「今までワシが使っていた刃物は、メスなのじゃよ。つまり……」
助手「あっ! あなたの職業、まさか……!」
老人「そう、ワシは医者じゃ! しかも、ブラックジャック級のな!」
老人「すぐさま、死んだ五人を蘇生させよう!」バサァッ
老人はここぞとばかりに、白衣をひるがえした。
48:
……
…………
………………
老人は探偵に倒された五人を、全員蘇生させた。
老人「これでよし、と」
庭師「ううっ、オイラは……」
武術家「くぅぅ……頭が……」
メイド「私は死んだはず、では……?」
シェフ「……ん。ここは……」
貴族「吾輩は……退治されたはずなのに……」
49:
メイド「あら? ご主人様が生きていらっしゃる!」
シェフ「結局、事件はどうなったのですか!?」
探偵「事件は全て解決したよ」
庭師「探偵さん、もしよかったら事件の真相を教えてくれねえか!?」
探偵「あいにく、この事件は闇が深すぎる。話すことはできない……」
貴族「そうか……あなたがそうおっしゃるのなら、仕方あるまい」
刑事「…………」
助手「先生、お疲れさまでした!」
探偵「うむ……帰るぞ、ワトソン君」
51:
助手「だから、ワトソンじゃねーっつってんだろがァァァ!!!」
ガゴォッ!!!
助手の裏拳が、探偵を一撃でダウンさせた。
探偵「あ、がが……」ピクピク…
助手「あっ、先生! すみません、つい……!」
刑事「どうやら、誰が“最強”か、決まったようだな」
5

続き・詳細・画像をみる


「RX」復活か…マツダ、スポーツコンセプト 初公開へ

【悲報】10月から変わる日本の暮らし クソ過ぎワロタwwwwww ワロタ…

【報告社がry】テーマパークに行くのに私より子供優先の友人。預ければいいのに!

『プリズマ イリヤ ツヴァイ ヘルツ!』10話(最終回)感想 OPバックの戦闘熱いしイリヤたち可愛かった!ドライも楽しみ!

【画像あり】ついにジャンプの人気漫画家が単行本でイベチケ商法wwwwwwww

敵ロボットで一番かっこいいのってやっぱり

前に妹が野良猫拾ってきたってスレ立てした者だが

LUNA SEA真矢がギャラ事情告白!!

武内P「なにをしているんですか?」

二郎ってそんなにうまいか?

【衝撃】根暗の俺が失恋の勢いで過激すぎる3Pに挑戦した結果wwww

「ゲームがない」「回転寿司は100円」子ども心に「ウチって貧乏なの?」と思ってしまった瞬間

back 過去ログ 削除依頼&連絡先