いつでも宇宙はあこがれだった。古代から近代にかけて描かれた11の美しい星図back

いつでも宇宙はあこがれだった。古代から近代にかけて描かれた11の美しい星図


続き・詳細・画像をみる

1. 古代の天文学(BC2000〜1600年)
 1999年、ドイツ、ザクセン=アンハルト州で盗掘されたネブラ・ディスクは人類最古の天文盤であり、かつ最古の天体図である。直径約32cm、光沢ある金をあしらった青緑色の青銅盤には、三日月と満月(あるいは太陽)の間にプレアデスと思わしき7つの星が並んでいる。円盤の縁には2つのバンド(1本は紛失)があり、発見地の緯度の冬至と夏至の日没に対応する形で80度回転する。
2. 飛び出す星図(AD1121年)
 中世の百科事典『花の書』から見つかった折りたたまれた地図。地球の周りには惑星の軌道が描かれているが、これが移動する惑星の動きを表したグラフに差し掛かる(直角の赤い斜線)。下部では、金星、太陽、月がそれぞれの範囲からグラフの中に移動する。
 花の書は、1090〜1120年にフランス北部サントメールのベネディクト会士ランベールによって記されたもので、天文、聖書、地理、博物学など様々なテーマを扱っている。地球の地図の上には中世の考えに従い、インドとアジアが見られる。本書は中世盛期初の百科事典で、オリジナルの写本からのものだ。
3. 月の地図(AD1600年頃)
 肉眼で観察した月の最古の地図。作者は英国の医師で物理学者のウィリアム・ギルバートであるが、これが記載されている『月下界についての新哲学』は、彼の死後1651年になってようやく出版された。
 ギルバートは月の明るく見える部分は海、暗い部分は陸であると考えていたが、これは当時の一般的な考えとは真逆の考えであった。ここでは我々が未だに”海”と呼ぶ部分に陸が描かれている。もちろん月に海はない。
4. 太陽の黒点(AD1613年)
 太陽の表面には黒点という黒い斑点がある。これは磁力線が収斂する位置で、わずか3000〜4000度という周囲(5000度以上)よりも低温の領域を作り出す。黒点は2000年以上前から観測されてきてたが、17世紀になると、ヘリオスコープという望遠鏡に基づいた投射装置など、新しい観察方法が開発された。
 ガリレオの1613年の『太陽黒点論』に掲載されていたこのエッチングは、投影した太陽の像を直接なぞって制作したもので、実質的に写真と言えるほど正確である。
5. 宇宙の地図(AD1660年)
 この地球中心の天動説の宇宙は、地図製作者アンドレアス・セラリウスの『大宇宙の調和』からのもので、17世紀に描かれた星図の傑作の1つである。中央にある大きな地球を周回する惑星は星型に描かれ、それぞれを伝統的なシンボルによって特定することができる。天測経度30度の12区画に分けられた黄道帯は、星座を通過する太陽の見かけの軌道を定義する。
 世界軸は地極によって定義され、外側へ投影された赤道が天の赤道となる。右下の崩壊するアレクサンドリアに描かれた人物の中には、天動説を主張したプトレミーもいる。コペルニクスの革命的発見の後、天動説の衰退した事実のシンボルになったのだろう。
6. 煙に包まれた地球(AD1660年)
 こちらもアンドレアス・セラリウスの『大宇宙の調和』からだ。月は時間を刻むために利用されてきた。種植えと収穫の時期を知らせる有史以前からの手法だ。ここにおいて、地球から見たときの太陽との方向関係が変化することによって起こる、月の満ち欠けをセラリウスは描いている。
 太陽の見かけの軌道は、地球を取り囲む煙のようなものの周囲に描かれた輪によって定義される。この煙は、あらゆる元素は月の位相に囲まれており、その先の天上界は不変の第五元素から成るというアリストテレス学派の考えを表している。側面にある2つの小さめの図解は、天文学者ヘヴェリウスの『月面誌』をそっくり真似したもので、当時は一般的な習慣だった。
7. 炎の脈(AD1664年)
 ドイツ・イエズス会の博学者アタナシウス・キルヒャーの著作『地下世界』にある、地下の溶岩ネットワークを描いたもの。1638年にヴィスヴィオ火山の火口へ潜ったとも言われるキルヒャーは、アリストテレス的方法論と同時に、観察や実験も重視した点で、中世と近世をつないだ学者と言われている。地球の中心に向かって水と火の複雑な導管が伸びているという理論を提唱した。
 キルヒャーは、地球の地下構造と、それが表面の様子を変える仕組みを解き明かすことで、”惑星”意識を提唱した人物とも言えるかもしれない。これは地球が巨大な自己調整システムであるとするガイア仮説が生まれる3世紀も前のことだ。
. 惑星バルカン(AD1846年)
 ホール・コルビー作の太陽系図は、あるはずのものがなく、ないはずのものがあることで有名だ。コルビーの地図には、天王星とその5つの衛星が描かれているが、これは特筆すべきことではない。というのも、天王星は65年前にイギリスの天文学者ジョン・ハーシェルによって発見済みだったからだ。
 面白いのは、火星と木星の間に、ベスタ、ジュノー、ケレス、パラスという4つの“惑星”があることだ。いずれも19世紀の最初の10年間で発見されたが、1860年代までは惑星と考えられていた。しかし、同じ軌道上に小さな天体がいくつも発見されたことから、単なる小惑星へと降格された(なお、現在ケレスは準惑星とされている)。
 
 他の注目すべき点は、水星の軌道内に描かれた惑星バルカンだ。映画『スタートレック』に登場しそうなバルカンは、1859年にフランスの天文学者ユルバン・ルヴェリエがその存在を予言したことから有名になった。その後、バルカンを発見しようという試みは数十年も続いたが、一般相対性理論によってその存在は否定されている。
 また、海王星が抜けていることも面白い。皮肉にも海王星は、地図出版のわずか数ヶ月後、1846年12月24日に発見された。しかも、ルヴェリエの予言によって発見されたというのだから、事実は小説より奇なりだ。
9. 地球平面説(AD1893年)
 オーランド・ファーガソン教授が球体説に反論するために使ったこの大判印刷では、4つの角を持つ地図の代わりに、ルーレット盤のような地図が作られた。太陽、月、北極星が極から伸びたボールでぶら下げられていることに注目だ。ちなみに、ファーガソン説はあまり受け入れられなかったようだ。
10. 美麗な月(AD1979年)
 月の南極側の地図だ。左側に広がる東の海に関連する領域は青で示される。中央付近にある不規則につぶれたデニム状の楕円の領域は、地図が作られた時点で未調査の地域である。
 その斜め右下にある黄褐色の部分はシュレディンガー・クレーターであり、月において比較的最近の噴火活動の痕跡が残る数少ない領域だ。クレーター中心の薄水色内部にある褐色の部分は、火口の周りに広がる火砕堆積物であることが確認されている。
 月の丁度南極に位置する(かつ、対角線が掛かる領域)小さなオリーブグリーンで塗られた部分は、シャクルトン・クレーターだ。光が届かないことから氷が存在すると考えられている。月に移住するにあたっては非常に重要な資源となる。
11. 黒点シミュレーション(AD2009年)
 スーパーコンピューターで黒点をシミュレートしたもの。研究者マティアス・ランペルらが作成したもので、黒点の暗い中心部と外側に向かう明るい領域に、無数の複雑な筋が走っている。この磁力のシミュレーションは、アメリカ大気研究センターにある毎秒76兆回の演算が可能なIBM製スーパーコンピューターが実施した。
 黒点は、磁気活動領域に関連するフレアとコロナ質量放出が見られる、太陽のプロミネンスの位置にできることが多い。この画像は、史上初となる太陽黒点の包括的3Dモデルから得たものである。
via:discovermagazine・原文翻訳:hiroching
▼あわせて読みたい
宇宙人は地球と接触したのか?宇宙人の痕跡を感じさせる世界8ヶ所の海底の謎
インドの密林でUFOと宇宙人が描かれた古代壁画が発見される
NASAが撮影した赤い火星をカラー化すると古代都市のようなものが存在していた!?
オーパーツなのか?宇宙飛行士が古代に?サラマンカの宇宙飛行士の大聖堂の謎
生まれてきた時代が違っていたらと思うとぞっとする、中世の奇妙な10の医療行為
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
シェアするこの記事をシェア : -->
スポンサードリンク
- twitter公式アカウント
- facebook公式ページ
- Google+公式ページ
- カラパイア全記事一覧
「画像」カテゴリの最新記事
「自然・廃墟・宇宙」カテゴリの最新記事
「自然・廃墟・宇宙」カテゴリをもっと見る
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位
5333 points
8羽の小鳥と1匹のハムスター、1匹の犬が仲良く暮らすスペシャルやさしい世界
2015年7月8日
190933541159
2位
4849 points
【祝報】ジャポニカ学習帳に昆虫が復活!人気投票で上位を総なめ
2015年7月8日
2703198517144
3位
2287 points
AK-74の弾丸を止めるにはiPhoneが何台必要なのか?やってみた。
2015年7月6日
1904305870
4位
2128 points
難病で入院中の子どもたちにジャック・スパロウが突然のサプライズ訪問!子供たちは大喜び(オーストラリア)
2015年7月10日
5641472488
5位
1818 points
フライパンで簡単にできる!極上のプリンテイストを楽しめるファーブルトンの作り方【ネトメシ】
2015年7月9日
9857485233
もっと読む
----------------------------------------------------------------------------
スポンサードリンク
Facebook
コメント



1


1. 匿名処理班


- 2015年07月19日 23:15
- ID:eQrZVtyA0 #





中国の水運儀象台あたりは取り扱ってほしかったけど、ヨーロッパ以外は眼中に無かったんだろうかねぇ






2


2. 匿名処理班


- 2015年07月19日 23:24
- ID:AyDbXezR0 #





キトラ古墳がにゃい






3


3. 匿名処理班


- 2015年07月19日 23:37
- ID:2LTDr7XE0 #





>惑星バルカン(AD1846年)
え!!??
これキン肉マンの作者がでっち上げたもんだと思ってた!






4


4. 匿名処理班


- 2015年07月19日 23:43
- ID:aK.HGMjT0 #





宇宙開発が未発達で自分たちじゃ宇宙にいけない時代の人たちはきっと、今私たちが死後の世界に対して抱いているような気持ちで夜空を見上げていたんじゃないだろうか。






5


5. 匿名処理班


- 2015年07月20日 00:26
- ID:.zAaDupp0 #





月にウサギがいないことを知ってしまった
もう知らなかったあの頃には戻れない






6


6. 匿名処理班


- 2015年07月20日 00:31
- ID:D9r3gheM0 #





内容はさておき、昔の星図や地図のデザインセンスって半端なくかっこいい。






7


7. 匿名処理班


- 2015年07月20日 03:49
- ID:9ol4WvsZ0 #





多分1000年後には
こんな3次元宇宙想像してるよ過去人w
ってなってる






8


8. 匿名処理班


- 2015年07月20日 07:41
- ID:jWIv1xLl0 #





ヨーロッパの古い地図や宇宙図は装飾が美しくて
美術的観点からも楽しめる






9


9. 匿名処理班


- 2015年07月20日 10:44
- ID:b7762aY30 #





何の教授か知らないが
19世紀も終わりになってからの
地球平面説は笑われただろうな
絵としては綺麗だけど






10


10. 匿名処理班


- 2015年07月20日 10:58
- ID:N59y7oIa0 #





今後の天球図や宇宙モデルは2D(絵図)、3D(3Dモデル、模型)に変わる新しい表現方法が必要だと思うの






11


11.


- 2015年07月20日 11:05
- ID:zxmoBKeO0 #











12


12. 匿名処理班


- 2015年07月20日 12:25
- ID:foGDyvL.0 #





月の地図があるんなら、ローウェルの火星地図(運河が描かれている)も取り上げて欲しかった。
ローウェルがいなかったら、今のSF(スターウォーズやアバターなど)はなかったんだから






13


1

続き・詳細・画像をみる


サイバーパンクな最狂のデス・マシーン映画3機が再起動ッ!

【画像】高校野球大阪大会2回戦でこの客の入りワロタ 大阪桐蔭 - 履正社

食用色素「青色1号」で神経炎症が緩和されることが判明。ただし副作用として体が青くなる

JC「電車の中で花火やった!」動画を自慢→非難殺到で炎上→「アニオタ爆笑 吐きそう」

合気柔術の達人、1R15秒でKO負け

【フルボッコ】異常なほど距離を詰めたがる嫁と俺母の相性が悪すぎる件

女はみんなナンパされた経験あるってマジ?

【画像】黒人アイドル「『黒人ですが可愛い』これが言わないでください。絶対きもい。誰も「白人ですがかわいい」言わないですから」

発売4年目でも販売トップ・・・トヨタ「アクア」の人気が全く衰えない理由

自分の車の『いらねえええぇ』『使わねえええぇ』っていう装備、機能を書いてけ

【ファフニール】イリス「最近みんながあたしに隠し事してるみたい……」

【動画】サーフィンの大会でサーファーがサメに襲われて水の中から出てこない…

back 過去ログ 削除依頼&連絡先