デーモン閣下「シンデレラプロジェクト?」【前半】back

デーモン閣下「シンデレラプロジェクト?」【前半】


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2:
第1話 Who is in the devil carriage?
?地獄?
ダミアン浜田陛下「うむ、それが聖飢魔IIに続く地球征服チームの名前だ、正式には『真泥霊羅プロジェクト』」
閣下「なるほど、ですが陛下、地球を征服するならまた聖飢魔IIを招集すればよいのでは?」
陛下「いや、今度の地球は聖飢魔IIが征服したものとは別の世界のものだからなあ、1からの布教も大変だし」
陛下「何より今回お前に行ってもらう地球では空前のアイドルブームらしい」
閣下「ふむ…」
陛下「何より、そんな世界でお前みたいなただの相撲好きのおじさんが流行るとも思えん」
閣下「」
陛下「なので今回はお前にはプロデューサーとして影の首謀者、恐怖の黒幕になってもらう」
陛下「やってくれるな?」
閣下「やだ、もう絶対やらない、我輩NHKの仕事で忙しいからやらない」
陛下「紅白のコラボ枠にも呼んでもらえなかった奴が何を言ってる」
閣下「あーあー聞こえない」
陛下「まあいい、此度の地球征服作戦はお前に一任する」
陛下「作戦名は『真泥霊羅プロジェクト』」
陛下「お前は地上の346プロダクションに潜入し、14人の少女を恐ろしい魔女に育て上げるのだ」
閣下「14人、これはまさか…」
陛下「そう、かつて地球を征服した聖飢魔IIの構成員に更に一人足した数」
陛下「これはグループは聖飢魔IIを超える可能性を意味したものだ」
閣下「なるほど…」
4:
陛下「既に11人は私が選抜しておいた、表向きはアイドルオーディションということになっているがな」
陛下「デーモン閣下よ、残りの3人はお前がその目で選ぶのだ」
閣下「全く、陛下はいつも急な話をされる…」
閣下「だが陛下直々の御命令であれば仕方ない、この悪魔教教祖デーモン閣下、我が悪名をかけて必ずや、地上を恐怖のどん底に陥れて見せましょう」
陛下「うむ、既に346プロダクションにはお前の侍従を用意しておいた」
閣下「侍従?どこの悪魔を?」
陛下「いや、彼女はただの人間だ、だが…」
閣下「だが?」
陛下「ある意味、我々以上に極悪非道だ」
閣下「そんな素晴らしい魔材、いや、人材が地球に?」
陛下「ああ、実際に調査へ赴いたエース長官は有り金を全て巻き上げられた」
閣下「なるほど…」
陛下「ともかく、他の聖飢魔IIの構成員も手が飽き次第そちらに送る、頼んだぞ」
閣下「了解しました」
陛下「では行けデーモン!地球の人間たちに我ら悪魔の恐ろしさを知らしめるのだ!」
閣下「はっ!」
6:
?地上?
閣下「なるほど、陛下から渡されたメモによればとりあえずは346プロダクションに行って今後の説明を受けろとのこと…」
閣下「そして噂の346プロに着いたわけだが、随分と広いな…」
閣下「受付にいけば話は通っているということだし…」
閣下「あの、本日付けでこちらのお世話になるデーモンという者ですが、千川氏はいらっしゃるでしょうか?」
受付嬢「……きゅぅ」バタン
閣下「……しまった、世を忍ぶ仮の姿に変身するのを忘れていた」
閣下「あー、どうしようか」
?「あの……」
閣下「ん?ああ、ちょうどよかった、このプロダクションの者か?」
?「!? は、はい…」
閣下「いやいや危害を加えるつもりはない、誰か人を呼んでこの女性を医務室まで運んではくれないかね」
?「わ、わかりました…あの、もしかしてシンデレラプロジェクトの関係者の方ですか?」
閣下「いかにもその通りだ、だが何故そう思った?」
?「いえ、ちひろさんからプロデューサーの方は少し変わった見た目だと伺っていたものですから」
閣下「なるほど、そういう君はここのアイドルなのか?」
高垣楓「はい、申し遅れました、346プロでアイドルをやっている、高垣楓と申します」
7:
閣下「我輩はデーモンである、以後よろしく頼む」
閣下「だけど、あれだねえ、君はあんまり我輩を見ても怖がらないねえ」
楓「悪い人では、なさそうでしたので」
閣下「なかなか肝の据わった娘だな」
閣下「だが、一つだけ訂正するなら我輩は人ではない、悪魔だ、覚えておくといい」
楓「……ふふっ」
閣下「…信じられないだろうが、本当だからな」
楓「い、いえ、すみません、冗談だと思ったのではなくて……ふふっ」
閣下「じゃあ何がおかしい?」
楓「……あくまで、悪魔なんですね、ふふっ」
閣下「……本当に変わった娘である」
?シンデレラプロジェクトルーム?
ちひろ「はじめましてデーモン閣下!今日から閣下のアシスタントを務めさせていただく千川ちひろです!」
閣下「君が陛下が直々に推薦なさった千川さんか、よろしく頼む」
ちひろ「そんな大した者ではありません、あと私のことはもっと気安くちひろと呼んで下さい」
閣下「そう?じゃあちひろ君、改めてよろしく頼むよ、お近づきの印にこれ、聖飢魔IIの大経典」
ちひろ「わあ、ありがとうございます!」
8:
閣下「これからは我々は力を合わせ、陛下が選ばれた少女達を世にも恐ろしい魔女へt」
ちひろ「閣下!」
閣下「うん?なんだね?」
ちひろ「女の子達を魔女なんて呼んではいけません!みんなとっても可愛い、未来のトップアイドルなんですから!」
閣下「いや、でも我々の使命は…」
ちひろ「いいですか?閣下のお仕事は、プロデューサーとしてシンデレラプロジェクトの皆を輝かせることなんです!」
閣下「恐怖の…」
ちひろ「恐怖?とんでもありません、陛下も閣下も彼女達をなんだと思ってるんですか?」
閣下「しかし、彼女達を魔女にしなければ地球征服が…」
ちひろ「いえ、地球征服はしていただきます」
閣下「ええ…?」
ちひろ「あくまでアイドルのプロデューサーとして、閣下には布教活動をしていただければと思います」
閣下「なんで陛下はこんな娘を…少女達を思い我輩に歯向かうなど聖人のようではないか…」
ちひろ「いいですよね、布教。知っていますか閣下?宗教法人って非課税なんですよ?」
閣下「なるほど、さすがは陛下が選ばれただけのことはある」
ちひろ「みんなをアイドルとして輝かせながら裏で布教をして、ゆくゆくは346プロを閣下をトップとした悪魔教本部として宗教法人化、CDやグッズなどの売り上げは全てお布施として管理します」
閣下「そういえば、長官は有り金を全て巻き上げられたと言っていたが……」
ちひろ「そんなことしてません!ただ、長官はこのドリンクの定期購入をなさっているだけですよ」
閣下「? 栄養ドリンクか?」
ちひろ「私が作っているスタミナドリンクというものです、よければお一ついかがですか?」
閣下「む、では……おお!飲んだそばから力が湧いてくるようだ!」
ちひろ「お疲れの時は、いつでも仰ってくださいね!」
閣下「うむ!」
ちひろ「では、今のスタミナドリンク1本で100モバコインになります!」
閣下「この分も金を取るのか!?」
ちひろ「嫌ですね閣下、私、差し上げるなんて一言もいってないですよ?」
閣下「」
9:
閣下「地上に来て早々に金を巻き上げられるとは思わなかった……そうか、長官はいつもこんな気分なのか……」
ちひろ「あ、そうです閣下!初日からで申し訳ないんですが、早シンデレラプロジェクトの残りのメンバーを選んでください!」
閣下「ああ、そういえばそんな話だったな」
ちひろ「ひとまずは、陛下が行ったオーディションの映像を見ていただいて、そこでティンと来る子がいればその子を、いなければスカウトや再オーディションで決めていきましょう」
閣下「うむ」
?アイドル候補生レッスン室?
候補生トレーナー「この間のオーディション、惜しかったわね」
候補生トレ「同期の子も、みんなどんどん辞めていっちゃって…」
卯月「…私、これからもっと頑張ります!」
コンコン
候補生トレ「はーい」
卯月「? 誰でしょうか?」
閣下「レッスン中のところ申し訳ないですが、島村卯月のレッスン室はこちらでしょうか?」
候補生トレ「はい、そうですが…卯月ちゃん、ちょっと待っててね?」テクテク
閣下「我輩、346プロのデーモン小暮という者だ、本日は島村さんにご相談がありまして伺った次第である」ドアゴシ
候補生トレ「はい、ではお入りくださ…」ガチャ
閣下「うむ!では失礼する!」
候補生トレ「」バタンキュー
閣下「ああ…またやってしまった…」
閣下「仕方ない、失礼する!」
卯月「ひっ…!」
閣下「君が島村卯月だね?」
卯月「ま……ま…」
閣下「ま?」
卯月「ママーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
10:
?応接室?
卯月「346プロダクション、シンデレラプロジェクトプロデューサー、デーモン閣下…?」
閣下「うむ、気軽に閣下と呼んでくれ」
卯月「ぷ、プロデューサーさんなんですか!?」
閣下「ああ、そして今日は君をシンデレラプロジェクトの構成員として勧誘に来た」
卯月「構成員?」
閣下「シンデレラプロジェクトの一員、つまりアイドルということだね」
卯月「それって…デビューできるってことですか?」
閣下「ああ」
卯月「私…ついに!アイドルに!」
閣下「我輩と共に来てくれるか」
卯月「もちろんです!島村卯月、頑張ります!」
閣下「フハハハハ、いい返事だ!ではアイドル島村卯月よ、貴様に最初の任務を授ける!」
卯月「はい!なんでしょう!」
閣下「レッスン!」
卯月「はい!……え?」
閣下「いやね、大変申し訳無いんだけど、まだ残り2人が決まってないんだよ」
閣下「だからもうしばらく自分を磨いて待っていてくれないか」
卯月「な、なるほど!わかりました!島村卯月、レッスン頑張ります!」
11:
閣下「何か聞きたいことはあるか?」
卯月「CDはいつ出せますか!?」
閣下「わからん!」
卯月「テレビには出られるんでしょうか!?」
閣下「未定!」
卯月「ライブとか出来るんでしょうか!?」
閣下「検討中!」
卯月「そ、そうですか…」
閣下「すまんが、我輩も配属されたばかりでな、だが…」
卯月「だが?」
閣下「我輩が貴様をプロデュースする以上、ゆくゆくはテレビには引っ張りだこ、ミサは超満員、教典は即完売なのは間違いない!」
卯月「ミサ…教典……?」
閣下「ああ、ライブとかCDのことね」
卯月「なるほど!わかりました、よろしくお願いします!」
閣下「他に質問はあるかな?」
卯月「えっと、じゃあ、あの…」
閣下「なんでも聞くが良い」
卯月「なんで、私が選ばれたんでしょうか…?」
閣下「なぜ、というと?」
卯月「私、このオーディションに一度落ちているので…」
閣下「ふむ、そういえばそうだったな…」
卯月「今回の選考理由とか、聞かせてもらえたらなって…」
閣下「我輩が君を選んだ最大の理由は、笑顔だ」
20:
卯月「笑顔…?」
閣下「うむ、オーディションの映像を見ていて君の笑顔が最も強いパワーを持っていた」
閣下「人々を魅了し、力を与える凄まじいパワーを、な」
卯月「そ、そんな…」
閣下「悪魔の目は、人間の持つパワーを見分けることができるのだ」
卯月「へ?悪魔?」
閣下「うむ、我輩、悪魔なのだ」
卯月「えーっと、どういう…」
閣下「だから悪魔だよ悪魔、デビル、空も飛べるし火もふける、ホラ」フワフワ
卯月「」
閣下「そんな我輩の目が君の秘めたる力を感じ取ったのだ」
閣下「君の素晴らしい笑顔、それ以上の理由がいるかな?」
閣下(まあ陛下が見落とすわけもないし、きっとわざと残しておいたのであろうが)
卯月「いえ、私、笑顔だけは自信があります!ぶいっ!」ピース!
閣下「いい笑顔だ、これからよろしく頼むよ」
卯月「はい!ありがとうございます!」
21:
?渋谷?
閣下「ああ、もしもしちひろ君?我輩、我輩だけど、今さっき島村さんに会ったから」
閣下「うん、やってくれるって、いい子だったよ」
閣下「我輩はこのまま勧誘に行くから何かあったら電話して、うん、渋谷にいる、じゃあまた」プチッ
閣下「やはり渋谷は落ち着くな、我輩の発生地にも似てるし」
警官「ちょっと、そこの君、何やってるの!」
閣下「む?長官が絡まれているのか?」
凛「別に、何もしてないよ」
子供「ぐすっ…うえぇえぇん」
警官「何もないってことはないでしょう」
閣下「ふむ、全く…」
凛「だから、私は何もしてないったら…」
警官「じゃあなんでこの子はこんなに怯えてるんだ?」
閣下「あー、ちょっと失礼、そこのお巡りさん」
凛「知らないってば!」
閣下「君もね、ちょっと落ち着いて」
警官「知らないって、さっきから君ねえ!」
閣下「だからお巡りさんも話を聞いてあげようよ」
凛「ホントに知らないんだってば!!」
閣下「……」
警官「もういい!こっちに来なさい!」
閣下「二人とも……いい加減にしろ!!!」
23:
凛「誰…?って、えええ!?」
警官「うわっ、なんだよいきなり…って不審者!?」
閣下「む、捕まるのは不味いな、洗脳音波!」ミューン
閣下「先程から聞かせてもらったが、まず警官!」
警官「はい…」グルグル
閣下「仕事熱心なのはいいが、まずはゆっくり事情を聞いてやれ」
警官「はい…」グルグル
閣下「そして娘も」
凛「ダメだ、このお巡りさんは当てにならない…男の子を逃して110番…男の子を逃して110番…」ブツブツ
閣下「通報の計画を立てるんじゃない!君も、理解して欲しければちゃんと事情を話すことだ」
凛「そんなこと、言われなくたって…」
閣下「ならば次からはそうするんだな」
閣下「この場は我輩が預かろう、少年よ、どうしたのだ?」
閣下「見れば、その壊れたロボットがどうかしたのか?」
子供「うん、パーツが取れちゃって踏んじゃうといけないから、止まってもらってたの……」
閣下「そういうことか?」
凛「うん」
子供「でも、全然見つからなくて……っ…」グスッ
閣下「あーあーもう、男の子が無くんじゃないの」
閣下「ほら、我輩がもっとカッコいいのあげるから」
子供「?」
閣下「これこそ、ゼノン石川和尚(元博士)お手製魔形『ぞっど君』だ!」
凛「何この妙に暑苦しくて禍々しい人形…妙にリアルだし…」
閣下「人形ではない、魔形である」
子供「うわあ…」キラキラ
凛「あ、喜ぶんだ」
24:
閣下「ちなみにこちらのぞっど君、背中のボタンを押すと喋る」ゾッドダー
凛「スピーカーの安っぽさが悲しい…」
子供「ほわあ…」キラキラ
凛「あ、喜ぶんだ」
閣下「このぞっど君を授けるからもう泣くのは終わりだ」ブッコロスゾー
閣下「今なら特別に、取り換え用のサソリ型ベースパーツもつけてやろう」ゾゾゾゾッドダー
子供「うん、ありがとうオジちゃん!」ブッコロスゾー
凛「音声、2種類しかないんだね」
閣下「フハハハハ、では少年、気をつけて帰るのだぞ!また会おう!」
子供「お姉ちゃんも、ありがとう!!」ブッコロスゾー
凛「うん、じゃあね」
閣下「……ふう、すまないな、時間を取らせてしまって」
凛「いや、私こそ巻き込んじゃって…」
閣下「困ったときは、お互い様だ」
凛「というか、アンタもそんな格好してたら、次はアンタが警察に声かけられるよ?」
閣下「フハハハハ!我輩なら心配ない、その時はまた洗脳音波を使うまでだ!」
凛「そ、そういえばさっきも…アンタ、何者なの…?」
閣下「我輩はデーモン、元副大魔王、悪魔教教祖にして今は346プロダクションのプロデューサーである!」
凛「え、えっと…つまり?」
閣下「悪魔のプロデューサーだ!」
凛「何それ、意味わかんない…ふふっ」
閣下「……ふむ、貴様、アイドルに興味はないか?」
凛「……何それ、どういうこと」
閣下「我輩と共に、世界を征服する気はないか?」
凛「――ない」
凛「なんだ、それが狙いで声かけたの?」
閣下「いや、そういうわけではないが…」
凛「悪いけど、アイドルなんてわけわからないもの、興味ないから」
凛「かばってくれたのは助かったよ、じゃあ」
閣下「……ふむ」
25:
?翌日 通学路?
閣下「お急ぎのところ大変申し訳ないのですが、アイドルに興味はありませんか?」
凛「……ない」
閣下「つれないなあ」
凛「というか、なんでいるの?」
閣下「今朝方からこの辺りに使い魔をはなっておいたのだ」
凛「どういうこと…」
閣下「あの後色々と考えたんだが、やはり君はアイドルの素質があると思ってな」
凛「私、昨日興味ないって言わなかったっけ?」
閣下「まあまあせめて話だけでもね、ほら、我輩の教典もあげるからさ」
凛「……はあ」スタスタ
閣下「む……」
?数日後 学校?
教師「??で、?年??が?を発布した」
凛「…………はあ」
凛(あれ以来、アイツ毎日来てたのに今日は来なかったな…)
凛(もう、諦めたのかな…それとも、他にいい子が見つかったとか…)
教師?「そして魔暦元年12月31日、聖飢魔IIは東京ベイNKホールにて最後の大黒ミサを行い地球征服を完了した」
凛(って、それじゃあ私が気にしてるみたいじゃん!違う違う……って、あれ?今なんか変な)
教師?「じゃあ、渋谷、次に聖飢魔IIが再集結したのは魔暦何年か言ってみろ」
凛「っ!? は、はい……ま、魔暦…?」
教師?「なんだ、そんなこともわからんのか、それくらいのこともわからないなら…」
閣下「お前も蝋人形にしてやろうか?」
凛「アンタ、なんでここに!?」
閣下「フハハハハハハハ!本物の先生には少し早めの昼休みをとってもらった!」
閣下「いやあ、結構楽しいね教師、陛下が世を忍ぶ仮の職業に選ばれたのも納得だよ」
凛「??????!!」
閣下「ああ、そうだそうだ、娘よ、アイドルに興味はないか?」
凛「――から…」
閣下「なんだ?聞こえないな」
凛「ないからもう出ていってええええ!!」
26:
?翌日 通学路?
閣下「お急ぎのところ大変申し訳ないのですが、アイドルに興味はありませんか?」
凛「……ない」
閣下「つれないなあ」
凛「というか、なんでいるの?」
閣下「今朝方からこの辺りに使い魔をはなっておいたのだ」
凛「どういうこと…」
閣下「あの後色々と考えたんだが、やはり君はアイドルの素質があると思ってな」
凛「私、昨日興味ないって言わなかったっけ?」
閣下「まあまあせめて話だけでもね、ほら、我輩の教典もあげるからさ」
凛「……はあ」スタスタ
閣下「む……」
?数日後 学校?
教師「??で、?年??が?を発布した」
凛「…………はあ」
凛(あれ以来、アイツ毎日来てたのに今日は来なかったな…)
凛(もう、諦めたのかな…それとも、他にいい子が見つかったとか…)
教師?「そして魔暦元年12月31日、聖飢魔IIは東京ベイNKホールにて最後の大黒ミサを行い地球征服を完了した」
凛(って、それじゃあ私が気にしてるみたいじゃん!違う違う……って、あれ?今なんか変な)
教師?「じゃあ、渋谷、次に聖飢魔IIが再集結したのは魔暦何年か言ってみろ」
凛「っ!? は、はい……ま、魔暦…?」
教師?「なんだ、そんなこともわからんのか、それくらいのこともわからないなら…」
閣下「お前も蝋人形にしてやろうか?」
凛「アンタ、なんでここに!?」
閣下「フハハハハハハハ!本物の先生には少し早めの昼休みをとってもらった!」
閣下「いやあ、結構楽しいね教師、陛下が世を忍ぶ仮の職業に選ばれたのも納得だよ」
凛「??????!!」
閣下「ああ、そうだそうだ、娘よ、アイドルに興味はないか?」
凛「――から…」
閣下「なんだ?聞こえないな」
凛「ないからもう出ていってええええ!!」
28:
?さらに数日後 通学路?
凛「もうなんでいるのかは聞かない」
閣下「いさぎが良くて大変結構だな」
凛「ただ一つ聞きたいのは…」
閣下「うむ、なんでも聞いてみろ」
凛「なんでその格好で馴染んでるわけ!?」
奥様A「あら、小暮さん、おはようございます」
閣下「ああ、ご婦人、主婦の皆さんは早くから大変ですね」
サラリーマン「俺もデーモンさんみたいに空を飛んで通勤できたらなあ」
閣下「いやいや、これが地獄だとみんな空を飛ぶから交通規制も厳しいんだよ」
老人「なあなあ伝衛門くん、今日の取り組みの見どころはどこだい?」
閣下「これはご老体、もしよろしければ我輩が解説するのでこの後一緒に見ようではありませんか!」
少年「閣下だー」ゾッドダー
少女「閣下ー」ブッコロスゾー
凛「ぞっど君まで流行ってるの!?」
閣下「うむ、今や原宿でも空前のブームを巻き起こしているぞ」
凛「頭痛い…」
閣下「そして娘よ、アイドルに興味はないか?」
凛「わかった…もう話でもなんでも聞くから……追い回すのはこれで最後にして……」
閣下「フハハハハ!ようやく観念したか!」
29:
?喫茶店?
店員「いらっしゃいませー何名様ですかー」
閣下「2人だ」
店員「あ、閣下だ!おはようございます!」
閣下「うむ、悪しき朝だな!フハハハハ!」
凛「ホントに馴染んでるね…」
凛「――それで?大体、私のどこを見てアイドルなんかに向いてると思ったわけ?」
閣下「そうだな、一つだけあげるとすれば、貴様のその眼差しだ」
凛「? どういうこと」
閣下「強い真っ直ぐな瞳、人間が持つ意志の力が秘められた貴様の眼は、悪魔である我輩が見惚れるほどに美しい」
凛「そ、そんなこと…」
閣下「いや、ある」
閣下「だが、貴様の瞳の輝きは今、酷く燻っている」
凛「そんなこと…」
閣下「娘よ、貴様には泣きたい時に泣き、笑いたい時に笑える場所はあるか?」
凛「……」
閣下「我輩には、お前が今、そんな場所を探し求めているように見える」
閣下「お前は言ったな、アイドルなんてわけわからないもの、と」
閣下「わけがわからないものとは、それほど忌み嫌うものか?」
閣下「お前は今、わけがわかるものの中で燻っている」
閣下「何も変わらないことに苛立ちを覚えているように見える」
閣下「なればこそ、何かが変わるきっかけはわけがわからないものの中にこそあるのではないか?」
凛「私がどう思っていようと、アンタには関係ない」
凛「話は終わり?じゃあ、行くから」
閣下「――今日、学校が終わった後もう一度だけ会いに行く」
凛「これで最後にするって、言ったのに」
閣下「我輩は悪魔だからな、嘘もつくさ」
閣下「部活の希望欄は空白にしておけよ、凛」
凛「……」
30:
?候補生レッスン室?
閣下「お疲れ様である!」バーン
候補生トレ「あ、閣下さんお疲れ様です」
卯月「閣下さん!見てください、このステップできるようになりました!」
閣下「おお、目覚ましい進歩だな!フハハハハ!」
卯月「はい!島村卯月、まだまだ頑張ります!」
閣下「頑張るのもいいが、今日はお前に一緒に来てもらう」
卯月「? どこに行くんですか?」
閣下「新メンバーのところだ」
卯月「じゃあ、ついに決まったんですね!」
閣下「ああ、年も近いし気が合うだろう」
候補生トレ「閣下さんから見たら、人間の年なんて全部同い年みたいなものじゃないですか」
閣下「おお、これは一本取られたな」
閣下・卯月・候補生トレ「「「あっはっはっはっは」」」
?フラワーショップシブヤ?
閣下「失礼する!」バーン
凛「……いらっしゃい」
閣下「フハハハハ!今朝方ぶりだな、今日はもう一人連れてきたぞ」
卯月「ああ、あなたが新しい!」
凛「あれ?この前の…」
閣下「なんだ、面識があるのか?」
卯月「はい、前に一度お花を買いに来たことがあって」
閣下「ほお、何の花を買ったの?」
凛「アネモネ、だったよね」
卯月「そうです!えっと、たしか花言葉は…」
閣下「白のアネモネは『期待』、『希望』などだな」
卯月「閣下さん、詳しいんですね!」
凛「……意外」
閣下「大したことはない、だがそうか、アネモネか」
閣下「ならば我輩はこれをお前に贈ろう」
卯月「これも、アネモネですか?」
閣下「ああ、色違いのな、紫のアネモネの花言葉は、わかるな?」
凛「…………さあね」
31:
?公園?
卯月「改めまして、島村卯月です!」
凛「…凛、渋谷凛」
閣下「デーモンである!」
凛「知ってるよ」
卯月「これから一緒に、アイドル頑張りましょうね、凛ちゃん!」
凛「……え?」
卯月「……あれ?」
凛「いや、私、アイドルをやるつもりなんて…」
卯月「……ええええええええええええええええ!!??」
凛「あの、なんかごめん」
卯月「だ、だって閣下さんが新メンバーって」
凛「…どういうこと?」ギロ
閣下「そうなんだよ、まだアイドルやるって言わないんだよ」
凛「どうして、今日は卯月まで連れてきたの?嘘をついてまで」
閣下「それはだな、卯月がお前に足りないものを持っているからだ」
卯月「そ、そうなんでしょうか…」
閣下「正直に言うと、卯月はまだアイドルではない」
卯月「うう……」
凛「そうなの?」
卯月「はい、今はまだアイドルの候補生です…」
閣下「卯月は我輩が率いるシンデレラプロジェクトのメンバーに決まってはいるが、まだ346プロに登録されてすらいない」
卯月「待機中なんです、残りのメンバーが決まるまで」
閣下「今は候補生としてレッスン漬けの毎日だ」
閣下「凛よ、今朝に我輩が言ったことを覚えているな」
32:
閣下「お前は何も変わらないことに苛立ちを覚えている」
閣下「全てが変わるきっかけを心の何処かで求めている」
凛「……」
閣下「沈黙は肯定とみなすぞ、だがそれは卯月もずっと一緒だったのだ」
卯月「私が、ですか?」
閣下「ああ、卯月にとってはアイドルこそがそのきっかけだったのだろう」
閣下「しかし、よく聞け、初めて卯月と会ってから今まで我輩は、卯月がトレーナー以外とレッスンをしている姿を見たことがない」
凛「どういうこと?」
閣下「聞けば、卯月と同期の候補生達は一人残らず辞めてしまったという」
卯月「…………」
閣下「無論、その候補生達を責めることはできないが、結果として卯月は一人になった」
閣下「そして我輩と出会うまでたった一人で孤独と闘いながら歩いてきたのだ」
閣下「凛よ、お前に足りないもの、それは進むべき道、そして歩くための力だ」
凛「道……」
閣下「卯月にはアイドルという道があり、どんな時も笑顔で頑張る力があった」
閣下「だからこそ、我輩は卯月を選んだ」
閣下「幸せは、歩いてこない」
閣下「だから歩いていくのだ」
閣下「だが、お前達が幸せを求め迷っている横から、我々悪魔が『ほれ不幸せ』『ほれ不幸せ』と災いを投げつけていく」
閣下「幸せは、いつだって目の前にぶら下がっている」
閣下「進むべき道は我輩が示そう、歩くための力も我輩が送ろう、後は一歩を踏み出すお前の意志だけだ」
閣下「さあ、早くゆけ、早くゆけ、今お前の目の前にぶら下がっている幸せを見失わないうちに!」
凛「………私、は」
閣下「明日は約束通り我輩から会いに行くことはしない」
閣下「今朝の喫茶店で待っているぞ」
33:
?翌日 喫茶店?
卯月「うう?、凛ちゃん来てくれるでしょうか?」
閣下「まあまあ落ち着きなさいよ、焦ってもどうにもならないんだから」
卯月「なんで閣下さんは昨日はあんなに真面目だったのに今はこんなに緩いんですかあ」
閣下「そりゃあねえ、説法をする時は真面目に喋るよ、ほら、お茶のおかわりいる?」
卯月「クスン、いただきます?」
閣下「……むむ、来たな」
卯月「え?それって…」
店員「いらっしゃいませー」カランコロン
卯月「なんで閣下さん、入ってくる前に…」
閣下「フハハハハ!デビルイヤーは地獄耳なのだ!」
閣下「――それで?」
凛「……渋谷凛、15才…よろしくお願いします」
卯月「凛ちゃん!」
凛「改めてよろしくね、卯月」
卯月「はい、こちらこそ!」
凛「――それで?アンタが私のプロデューサー?」
閣下「いかにも我輩こそが元副大魔王にして悪魔教教祖、そして今日からお前のプロデューサーとなるデーモンである!フハハハハ!」
凛「ふーん、ま、悪くないかな」
閣下「歩き出す決意は着いたのだな?」
凛「歩く?私はそんなことしないよ」
閣下「む?」
凛「アンタ達悪魔が、幸せに向かって歩いている横から災いを投げつけるって言うなら」
凛「私は走るよ、だからしっかりついて来てね、プロデューサー」
?翌日 再選考オーディション?
未央「本田未央です!よろしくお願いします!」
閣下「ふむ……、フハハハハ!元気が良くて大変結構!」
第1話 Who is in the devil carriage? 終
35:
第2話 I never seen such a frightening castle
?346プロ シンデレラプロジェクトルーム?
ちひろ「おはようございます閣下!今日も一日頑張りましょうね!」
閣下「フハハハハ!うむ、今日も様々な悪事を「閣下?」う、うむ…」
ちひろ「今日はシンデレラプロジェクトのみんなが集まる記念すべき日なんですから、変なこと言ったらダメですからね?」
閣下「なんだか我輩、ちひろ君といると型なしだよ」
ちひろ「もうすぐ、最後の3人がここに来る予定で、一度3人にはレッスンを行って体力などの簡単な測定をしてもらいます」
閣下「その後に顔合わせと宣材写真の撮影ですので、それまでに一度陛下が選んだ子たちに会っておきましょうか」
閣下「そうだね、しかし陛下が直々に選抜された構成員とは、一体どれほどの者なのだろうか…」
ちひろ「みんなとっても素直ないい子たちですよ!」
「失礼しまーす!」ガチャ!
閣下「おお、来たか」
卯月「閣下さん!おはようございます!」
凛「おはよう」
閣下「うむ、おはよう、ちゃんと時間通りに来たな、関心関心」
卯月「えへへ、昨日は楽しみで中々眠れませんでした」
凛「他のメンバーはまだ来てないの?」
ちひろ「残りの方は、午後から合流する予定です」
凛「ふーん」
卯月「えっと、こちらの方は…?」
ちひろ「申し遅れました、私は当プロジェクトのアシスタントを務める千川ちひろと申します」
ちひろ「こちらはお近づきの印です、これから一緒に頑張りましょうね!」つエナドリ
卯月「ありがとうございます!頑張ります!」
閣下「ち、ちひろ君、まさかとは思うが君こんな子供から金を…」
ちひろ「大丈夫ですよ、彼女たちの分は閣下のお給料から頂いてますから!」
閣下「悪魔か貴様は」
36:
未央「失礼しまーす!」
ちひろ「あ、最後のメンバーが来ましたよ」
閣下「スルーか」
ちひろ「これで3人集まりましたね!」
閣下「うむ、まずは一人ずつ紹介していこう」
閣下「こちら島村卯月さん、頑張り屋さんである」
卯月「はい、島村卯月、頑張ります!」
閣下「続いてこちらは渋谷凛さん、花屋さんである」
凛「私の家が、ね」
閣下「最後にこちら、本田未央さん、飯屋さんである」
未央「飯屋?」
閣下「失礼、違う世界に言及してしまった、ほら我輩悪魔だから」
未央「なら仕方ないか!本田未央、高校1年、よろしくね!」
未央「ねえねえ、ところでモンチー!」
閣下「も、モンチー?」
未央「私が考えた閣下のアダ名だよ、デーモン閣下だから、モンチー!」
卯月「とっても可愛いですね!」
閣下「う、ううむ…」
未央「それでさモンチー、この未央ちゃんが最後のメンバーに選ばれたのってなんでなのかな?」
閣下「呼び方のことは後にして、そうだな、お前の選考理由はズバリ、その身から溢れ出んばかりのエネルギーだ」
未央「おお!!エネルギー!!そっかー、やっぱり未央ちゃんからはアイドルオーラが溢れ出ちゃってますかー」
38:
閣下「アイドルオーラというと少し違うかもしれんが、そういうことだな」
閣下「お前の内にある、この2人に優るとも劣らぬ情熱のパワーを我輩は見たということだ」
未央「なるほど!よーし、未央ちゃん、頑張っちゃうよ―!」
卯月「みんなで一緒に、頑張りましょう!」
凛「うん、そうだね」
閣下「フハハハハ!仲が良くて結構!では、お前達にアイドルとして最初の試練を与える!」
卯月「はい、なんでしょう!」
未央「なんでもドーンと来い!」
凛「……」
閣下「最初の試練……それは…」
卯月「それは……?」
未央「ゴクリ……」
凛「……」
閣下「レッスン!!」
卯月「レッ……」
未央「スン……?」
凛「ま、ジャージとか着替えとか持って来いって言われてたしね」
ちひろ「皆さんには、これから簡単な運動能力の測定をしてもらいます」
閣下「アイドル道はここから始まる、全力でやってこい!」
「「「はい!」」」
39:
ちひろ「では閣下、これから他のアイドル達と顔合わせをしていただきます」
閣下「我輩はここで待っていればいいんだね?」
ちひろ「はい!では一人ずつ呼んできますね!」
閣下「柄にもなく緊張してしまうな…」
「失礼しますにゃ!」コンコン
閣下「はいどうぞー……にゃ?」
みく「はじめまして!前川みくですにゃ!これからよろしくお願いしますにゃ!」ガチャ!
閣下「……猫又?」
みく「へ?」
閣下「なるほど、構成員には妖怪もいるのかさすがは陛下…」
みく「妖怪って…」
閣下「君、発生地はどこ?あれかな、まだ若い妖怪だからちゃんと世を忍ぶ仮の姿に変身できないのかな?」
みく「えっと、出身は大阪です…にゃ」
閣下「あー、地獄のBig Slopeねー、じゃあ長官とか割りと地元近いんだねえ」
みく「あ、あの、みくは妖怪じゃないよ…?」
閣下「え?そうなの?」
みく「当たり前にゃ!みくは人間……じゃなくて可愛いネコちゃんにゃ!」
閣下「あ、キャラ作りなのね、それ」
みく「むしろ妖怪だと思われるとは思わなかったにゃ…」
みく「大体、デーちゃんだってアイドルでもないのにキャラ作りしてるでしょ!」
閣下「我輩はキャラ作りなどしておらん!」
みく「いやいや、だってそんなメイクだってして…」
閣下「メイクではない、これは地肌だ」
みく「そんな格好して…」
閣下「これは我輩の戦闘服、サラリーマンのスーツみたいなものだ」
みく「なるほど、キャラ付けするならここまで徹底的にやらないとダメなのかな…」
閣下「お前とは後々ゆっくり話をする必要がありそうだな」
みく「うん、みくもこれから頑張るからよろしくね!デーちゃん!」
40:
閣下「一人目から中々に個性的な…」
「失礼します」
閣下「はいどうぞー」
かな子「三村かな子です、よろしくお願いします!」
閣下「おお、今度は最初から人間だな」
かな子「人間…?」
閣下「いやこっちの話、これからよろしくね」
かな子「は、はい!」
閣下「じゃあそうだねえ、君は何か好きなコトとかあるの?」
かな子「好きなこと、休みの日はお菓子作りするのが好きです!」
閣下「ほお、女の子らしくていいじゃない」
かな子「でも、その分食べるのも好きで…」
閣下「ああ、わかるよ、おいしいとついつい食べちゃうよねえ」
かな子「そうなんです…私、アイドルとしてもっと痩せた方がいいんでしょうか…?」
閣下「いや、今も特に太ってるわけでもないしいいんじゃない?むしろ健康的で」
かな子「でも、油断してるといっぱい食べちゃうし…」
閣下「そうだねえ、我輩の知り合いに雷神の息子がいるんだけど」
かな子「ら、雷神?」
閣下「彼は燃費が悪くてすぐ食べるんだよ、カツ丼とカルボナーラを同時に食べたり」
かな子「それは…」ゴクリ
閣下「でも、彼は体脂肪率10%くらいしかないんだよねえ」
かな子「!?」
閣下「よかったら、彼もいってる地獄のスポーツジムを紹介しようか?今なら紹介特典もつくし」
かな子「ぜひ!ぜひお願いします!」
閣下「じゃあ話しておこう、だがアイドルの方も頑張ってくれよ?」
かな子「はい!ありがとうございます!」
41:
閣下「はい、じゃあ次の人?」
「あ!莉嘉ちゃんの番だよ!」「一緒にいこうよ!」
ちひろ「あ、みりあちゃん!」
莉嘉「やっほー!城ヶ崎莉嘉だよー!」
みりあ「赤城みりあです!」
閣下「おお!元気のいいのが揃ってきたな!」
ちひろ「すみません閣下…ほら、みりあちゃん、順番だから…」
閣下「ああ、2人一緒でいいよ」
みりあ「ねえねえおじさん!」
莉嘉「おじさんが悪魔ってホント!?」
閣下「いかにも、地獄の副大魔王をやっていたこともあるぞ」
みりあ「そうなんだ!すごーい!」
閣下「あと我輩のことは閣下と呼ぶように」
みりあ「かっか、ってどういう意味?」
閣下「すごく偉い悪魔ということだ」
みりあ「そっかあ!じゃあかっか、これからよろしくね!」
莉嘉「えー、なんかオシャレじゃないよー」
閣下「ふむ、じゃあ好きなように呼ぶといい」
莉嘉「うん!よろしくね、デーくん!」
42:
閣下「ふむ、まあ陛下は世を忍ぶ仮の教師生活を送るだけあってやはり元気な子供には惹かれるのだろうか」
「失礼、します」
閣下「はーい」
アーニャ「Меня зовут Анастасия、えっと、アナスタシアです、アーニャと呼んでください」
閣下「ふむ、ロシア人か」
アーニャ「あなたの、お名前は?」
閣下「我輩はデーモン、気軽に閣下と呼ぶがいい、よろしく頼むぞ」
アーニャ「わが、はい?」
閣下「Я、私ということだな」
アーニャ「そうですか、あー、カッカは、ロシア語喋れますか?」
閣下「いや、さすがの我輩もロシア語はわからん」
アーニャ「でも、今の発音とても、свободно…キレイでした」
閣下「ロシアの言葉はフランス語などに比べれば発音自体は簡単だからな」
閣下「だがしかし、お前もまだ日本語に迷いがあるようだな?」
アーニャ「はい、日本語、難しいです」
閣下「ふむ、ではアーニャよ、我輩はこれからロシア語を覚えよう」
閣下「お前が日本語をマスターするのと我輩がロシア語を話せるようになるの、どちらが早いか競争しようではないか!」
アーニャ「! はい、私、アイドルも日本語も、стараюсь…がんばります!」
閣下「フハハハハ!お互いがんばろう!」
43:
閣下「はい、じゃあ次の方ー」
李衣菜「多田李衣菜、ロックなアイドル目指してます、よろしく」
閣下「ほう!ロックか、いいではないか!」
李衣菜「え?そ、そうですかね…?」
閣下「うむ!我輩がいた聖飢魔IIはメタルバンドの姿をした宗教団体だったがな」
李衣菜「え!?プロデューサー、バンドやってたんですか!?」
閣下「ああ、これでもそれなりに鳴らしたものだ、あと我輩のことは閣下と呼ぶがいい」
李衣菜「う、ウッヒョー!閣下、これからよろしくお願いします!」
閣下「それにしてもロックか、天国への階段をオマージュしたこともあったな」
李衣菜「天国への…?」
閣下「うむ、あのツェッペリンの」
李衣菜「テペ…?」
閣下「……レッド・ツェッペリン、知らないか?」
李衣菜「ももももちろん知ってますよ!あ、あれですよね…あの……赤い…」
閣下「音楽についてはこれから勉強だな…」
李衣菜「うう?、はい…」
閣下「まずは我輩の地球デビュー記念大教典、『悪魔が来たりてヘヴィメタる』を授けよう」
李衣菜「ありがとうございます!なんかこの衣装、ロックですね!」
閣下「違う!これはメタル!」
李衣菜「はい!」
44:
閣下「どんなロッカーも最初は新米、これからどう育っていくか見ものだな」
「失礼します」
閣下「どうぞー」
美波「新田美波です。よろしくお願いします」
閣下「うむ、よろしく頼む」
閣下「君は唯一の大学生か」
美波「はい、他のみんなよりも少しだけお姉さんですね」
閣下「我輩からしたら、みんな子供と同じだがな」
美波「それもそうですね、ふふっ」
閣下「君は、どうしてアイドルに?」
美波「私、何かに挑戦するのが好きで、ラクロスとか資格をとるのが好きなんですけど」
美波「アイドルになれば、新しい何かが見つかるんじゃないかなって思って」
閣下「資格取得が趣味とは、若いのにしっかりしてるねえ」
美波「そんな、大したことはないですよ」
閣下「小学生もいるこのプロジェクト、君の力を借りることも多いと思う、よろしく頼むぞ」
美波「はい、美波、頑張ります!」
美波「でも、悪魔さんと一緒にお仕事なんて、イケないことしてるみたいですね、ふふっ」
45:
閣下「はいじゃあ次の方ー」
「…………」
閣下「……次の方ー?」
「…………」
閣下「……何かあったのだろうか」
「…………し、失礼します」ガチャ
閣下「おお、ようやく来たか、さあ入って入って」
智恵理「ひっ……お、緒方智絵里、です」
閣下「うむ、緒方智絵里くん、三重県出身で趣味は四葉のクローバー集め、よいではないか」
智恵理「あ、あの…」
閣下「なんだね?」
智恵理「が、がんばります……ので……見捨てないでくれると……その……うれしい……です」
閣下「うーん、そりゃあ我輩は君を陛下から託されているからな、万が一にもそんなことはありえんが…」
閣下「智恵理よ」
智恵理「は、はい……」
閣下「そう怯えなくていい、我々は今日から同じ場所を目指す同志なのだからな」
閣下「お前は地獄の大魔王サタン45世に選ばれし者なのだ、もっと胸を張るがいい」
智恵理「でも、私……」
閣下「不安か、では我輩が一つだけ約束してやろう」
智恵理「?」
閣下「お前を必ずやトップアイドルにし、不安を覚える暇もなくなるほどに忙しい毎日を遅らせてやることを!」
閣下「お前の日常を全て破壊し尽くしてやろう!フハハハハ!」
閣下「呑気にクローバー集めができるのも今だけだと思うが良い!」
智恵理「え、えっと……クローバー集めができなくなるのは、ちょっと嫌ですけど…」
智恵理「でも、よろしく、お願いします……えへへっ」
46:
閣下「ようやっと終盤戦か……しかし中々に個性的な構成員だらけだな、さすがは陛下…」
閣下「しかしこれまでの面々を見る限り、そうそうあれら以上の者もいまい」
閣下「よし、では次の方ー」
ちひろ「あの、申し訳ありません閣下、次の子も二人同時でいいでしょうか?」
閣下「うん?別に構わんが」
ちひろ「すみません、ではよろしk」
「おにゃーしゃー!!」バーン!!
閣下「! ゼウスの襲撃か!?」
きらり「にゃっほーい!きらりだよー☆よろしくにぃ☆」
杏「うぅ、降ろせ―、杏は帰宅を希望するー」
閣下「oh...」
きらり「あーーーー!!!」
閣下「な、なんだ」
杏「ちょっときらり…肩に担いだ状態で大声出さないで…」
きらり「あなたが、閣下さんだにぃ?おっすおっす、おにゃーしゃー!!」
閣下「う、うむ、よろしく頼む」
きらり「うっきゃー!本物の閣下さん、ワイルドでとってもかっくぃー☆」
きらり「きらり、アイドルになってみんなをいーっぱい、ハッピハッピさせるから、一緒にファイトーーー、オーーー!!!」
閣下「ふ、フハハハハ!なんだ、良い娘ではないか!それにしてもこの溢れ出るパワー、対ゼウス用の戦闘員として勧誘したいくらいだな…」
47:
閣下「そして、きらりに担がれてぐったりしてる小さいのは誰だ?」
杏「……双葉杏、もう自己紹介したし帰っていい?」
閣下「…和尚だってもう少し働くぞ」
杏「和尚って誰さ、杏は印税生活をするためにアイドルになったんだから、頑張って杏に楽させてよね」
閣下「いっそ清々しいだらけっぷりだな」
閣下(しかし、きらりもそうだが、この杏という娘も相当な力を秘めているな……)
杏「というか、閣下って悪魔なんでしょ?杏、契約でもなんでもするから不労所得が欲しい」
閣下「あれは下級悪魔が行う外回りの営業みたいなものだ、我輩のような高位の悪魔の仕事ではない」
杏「ちぇー、じゃあいいや」
きらり「ほら杏ちゃん、きらりと一緒に、アイドルがんばろう!」
杏「あー、がんばるがんばる」
きらり「うっきゃー!じゃあ、他の子達を待ってる間、一緒にレッスンしよっか!」
杏「……え?」
きらり「それじゃあ?、レッスン室まで?位置についての?」
杏「ちょ、ちょっと待ってよきらり、杏はレッスンとか疲れるのは…」
きらり「きらり????ん」
杏「か、閣下も止めてよ!面談中でしょ!」
閣下「きらり!Go Ahead!」
きらり「ダァーーーーーーーーーーーーッシュ!!!!!!」
杏「私は働かないぞおおおおおおおおおおおおおお………!!!!!!」
48:
閣下「今世紀始まって以来の断末魔だったな…」
閣下「とはいえ次が最後の一人か……入るが良い!」
「闇に、飲まれよ!!」バーン!!
閣下「うむ、闇に飲まれよ!!」
蘭子「ククク、我が名は神崎蘭子、地獄を総べし悪魔の王よ、盟約の時は来た!」
閣下「いや、我輩は元副大魔王であって大魔王じゃないよ、大魔王になれるのはルシファーの一族だけで我輩はデーモン一族だから」
蘭子「え?あ、いやあの…これは……」
閣下「君は人間だよね?しゃべり方が地獄のBear Bookの訛りに似てるけど知り合いに悪魔でもいるの?」
蘭子「えっと……ククク、我が言霊は全て内なる魔力より零れでたマナの発現…」
閣下「魔力……黒魔術にも造形があるということか、みくは妖怪ではなかったが、なるほど陛下が用意していたのは魔女だったのか」
蘭子「いや、そうじゃなくて……」
閣下「む、違うのか?」
蘭子「あの……わ、私の言ノ葉は禁忌の術書より抽出せし神言!いかなる魔導も至ることは出来ないわ!」
閣下「その年で魔術書の解読に成功したというのか!?これは恐ろしい才能の持ち主だ!」
閣下「ちひろ君に振り回されてばかりだったが、君と我輩がいれば地球征服もすぐそこだな!」
蘭子「えっと…違うんです、そういうことじゃ…」
閣下「素晴らしい!共に地上を恐怖に陥れようではないか、フハハハハ!」
蘭子「うぅ…」
ちひろ「お疲れ様でした閣下、いかがでしたか?」
閣下「うむ、皆素晴らしい素質を持っているな、これだけの構成員を集めるとはさすが陛下だ」
ちひろ「今、残りの3人には休憩してもらっています。受付まで来るように伝えてありますので、お迎えに行ってもらえないでしょうか?」
閣下「わかった、ではその間に顔合わせと撮影の準備を頼むよ」
ちひろ「はい、おまかせください!」
49:
?346プロ 受付?
閣下「――遅い!」
閣下「一体やつらはどこにいるのだ…」
「あら、閣下、お疲れ様です」
閣下「む、君は……」
楓「あの時以来ですね、閣下」
閣下「フハハハハ!そうだな、同じ会社でもこれほど広ければなかなか会うのも難しい」
閣下「ましてや君のような人気のアイドルでは尚更だろう、楓よ」
楓「いえ、私なんてそんな…」
楓「閣下の方も、今日からようやくシンデレラプロジェクトが始動するようですね。おめでとうございます」
閣下「うむ、今思えば、君もあの時に勧誘しておくべきだったか」
楓「私はもう新人ではありませんし、シンデレラというほど、若くもありませんから」
閣下「10万年の時を生きる悪魔からすれば、人間の女などみんな若々しい少女と同じだ」
閣下「君も、我輩から見れば凄まじいまでに若く美しい」
楓「ふふっ、ありがとうございます、やっぱり長生きしていらっしゃるから言葉がお上手ですね」
閣下「フハハハハ!お世辞などではない!全て我輩の本心だ!」
楓「あら、悪魔の本音なんて、ちょっと怖いですね」
閣下「フハハハハ!やはり誘わなかったことは間違いだったようだ!」
楓「そうです閣下、一つお願いがあるのですが…」
閣下「む、なんだね?」
楓「笑い方を、少し変えてみてはいただけないでしょうか」
楓「カッカッカッ、って」
閣下「…誘わなかったことは間違いではなかったかもしれんな」
楓「ふふっ、冗談です、では閣下、私はこれで失礼しますね」
閣下「うむ、また会おう!」
50:
閣下「それで?どこに行っていたのだ?」
卯月「遅れてごめんなさい閣下さん!」
凛「ちょっと迷っちゃって…」
未央「それよりモンチー!今、高垣楓と喋ってた!?知り合いなの!?」
閣下「時間は厳守だ、約束は守らなければならん」
卯月「すみません…」
閣下「それと未央、事務所の大先輩なのだから呼び捨ては厳禁、いいな?」
未央「あ、そっか…」
閣下「以後は気をつけるように、ちなみに楓は我輩が初めてここに来た時に少し世話になったのだ」
未央「へー!そうなんだー!」
閣下「では行こうか、シンデレラプロジェクトの皆がお前達を待っているからな」
卯月「ついに、他の人達ともあえるんですね!」
凛「どんな人達なの?」
閣下「お前達に優るとも劣らない個性的な面々だ、楽しみにしているがいい」
?撮影スタジオ?
未央「うわ?!ここがスタジオなんだ!」
閣下「ああ、顔合わせをした後にそのまま宣材写真の撮影をしてもらう」
卯月「なんか、アイドルって感じで緊張しちゃいますね…」
閣下「これからしばらく使うアー写になる、ビシッと決めるのだぞ」
閣下「とはいえ、まずはこっちだ、ついてきなさい」
51:
?控え室?
閣下「我輩、我輩だけど、入っても大丈夫?」コンコン
凛「悪魔でもちゃんとノックとかするんだ…」
閣下「我輩は人間の娘の体を見たところでなんとも思わんが、中にいるのは年頃の娘だからな、当然の配慮だ」
美波「は?い、今開けますね」ガチャ
莉嘉「あー!もしかして、シンデレラプロジェクトの新メンバー!?」
みりあ「これで全員集合だね!うれしいな!」
閣下「まあまあ落ち着きなさい、座って座って」
閣下「諸君、大変長らく待たせてしまったな」
閣下「もうおわかりの通り、ここにいる14名が『真泥霊羅プロジェクト』の構成員だ」
閣下「これから先、諸君らはこの面々と力を合わせて進んでいくことになる」
閣下「その前に、一つだけ我輩から諸君らに説法をさせてもらいたい」
閣下「みりあや莉嘉には少し難しいかもしれんが、聞いて欲しい」
一同「…………」
閣下「諸君、諸君らはWinner…勝利者になりたいのか?」
閣下「それとも、敗者に、お甘んじるか?」
閣下「長いものに巻かれていれば、敗者にはならずに済むかもしれない」
閣下「だが、勝利者にも、なれないがな」
閣下「どうやら、諸君達には戦う意志が残っていると思われるが……どうかな?」
一同「…………」コクン
52:
閣下「ふむ……だが、戦いに行く時は、いつでも孤独だ」
閣下「どこかで、後押しが欲しくなるものだ」
閣下「『これは絶対に自分は正しい!』そう思っていても、行動に移すこと、言葉に出すこと、いや、考えることすら躊躇させられてしまうこの社会の中で」
閣下「歯車の一つにいつの間にかさせられているのではないか?」
閣下「そして使い良いように定期的にピカピカに磨かれて」
閣下「楽しい時に笑い、怒った時に吠え、悲しい時に涙することの出来る場所が、コンサートホールや演劇会場、スポーツ競技場、そして…」
閣下「ウェブの電脳社会の中だけだったとしたら、いい加減、社会の病も行き着くところまでいったもんだ」
閣下「我輩は諸君らを、歯車などにするつもりは決してない」
閣下「むしろ諸君らは、歯車の一つに成り下がったアンドロイド達に魂を与える、そんな存在になるのだ」
閣下「歯車になればそれは楽なのだろう、誰かに流されるままに生きるのは幸福なのだろう」
閣下「だが!我輩は悪魔だ!諸君らにそんな幸福は与えん!」
閣下「今こそ自らの牙で、鎖を解き放つ時が来たのだ、既に戦いは始まっている」
閣下「武器を取れ!そして戦え!」
閣下「自らの命を、守るために」
閣下「我輩からこの曲を送ろう、昨日が諸君らの聖飢魔IIであり、今日諸君らは生まれ変わったのだ」
「GO AHEAD」
53:
卯月「……すごい」
李衣菜「め、めちゃくちゃ上手いじゃん……」
凛「…………」
閣下「まあ、こんなものか」
「ちょ、ちょっと今の歌、何!?」ガチャ!
閣下「む、誰だ貴様は」
莉嘉「あ!お姉ちゃん!」
美嘉「莉嘉!そっか、今日はシンデレラプロジェクトのアー写撮影だっけ…」
美嘉「ってことは…」
閣下「娘よ、ミーティング中の部屋に入る時はノックしてから入るのが礼儀ではないか?」
美嘉「ヒィッ!そっか、これが噂の…」
閣下「で、貴様は何者なのだ?見たところ莉嘉の姉のようだが」
美嘉「アハハ、ごめんね、いきなりあんな歌が聞こえてきたからびっくりしちゃって…」
美嘉「アタシは城ヶ崎美嘉、よろしくね★」
閣下「うむ!我輩はデーモンである、よろしく頼む!」
未央「城ヶ崎……って、カリスマJKモデルの!?」
美嘉「はーい★」
閣下「JK……我輩、むやみに略称をつける風潮はどうも好きになれんな」
莉嘉「もー、デーくんってばオジさん臭いよー」
美嘉「それにしても、今の歌、本当にすごかったね!」
閣下「フハハハハ!それほどのことはある!」
美嘉「こんなスゴいプロデューサーがついてるなら、莉嘉も安心かな」
莉嘉「もうお姉ちゃん心配しすぎ!」
美嘉「ちゃんとプロデューサーの言うこと聞くんだよ?」
莉嘉「大丈夫だってばー!」
「シンデレラプロジェクトの皆さん、スタンバイお願いしますー!」
閣下「おお、では諸君!これより真泥霊羅プロジェクトを始動する!」
一同「はい!」
54:
?スタジオ?
閣下「ふむ、皆それぞれ個性を見せているな」
杏「ふわぁ?」
閣下「ただ立っているだけで個性が出るというのも実力の内なのだろうか…」
閣下「しかし……」
「島村さん!笑って!」
「渋谷さん、視線こっちでー!」
「本田さん、もっと普通に!」
閣下「我輩が選んだ3人は、少しばかり個性を発揮できていないようだが…」
閣下「我輩も、まだまだ陛下には及ばないということだろうか」
閣下「仕方ない…」
閣下「そこの3人、集合!」
卯月「うぅ、なかなか上手くできません…」
凛「いざカメラを前にすると、意識しちゃって」
未央「普通って何…?」
閣下「フハハハハ!最初はそんなものだ!」
閣下「どれ、我輩がお前達の緊張をほぐすためにも一曲歌ってやろう!」
アーニャ「カッカ、また歌、歌いますか?」
莉嘉「えー、ズルい!私も聞きたい!」
閣下「フハハハハ!では皆も集まれ!」
「BLACK BASS」
55:
閣下「ふう……どうだ?」
卯月「……ぷっ」
未央「あははははっ、何その曲、変なの?!!」
凛「??????っ!大体、さっきもどこからBGMを流してるの、っ」
閣下「それは無論、我輩の魔通力だ」
未央「そんなすごいことを、こんなムダ使いっ、あはははっ!」
閣下「せっかくの撮影だ、自分を飾るのもいい」
閣下「だが、それで自分を縛っては意味がないのだ」
卯月「閣下さん…」
閣下「お前達には既にあり余る魅力がある、それをただ見せればいい」
閣下「できるな?」
「「「はい!」」」
閣下「フハハハハ!では行ってこい!」
未央「終わった?!」
卯月「私、ちゃんと出来てたでしょうか?」
凛「大丈夫だよ」
莉嘉「ねえねえ、みんなで撮ろうよ!」
みりあ「撮りたーい!」
美波「閣下さんも、一緒にどうですか?」
閣下「む、我輩もか」
きらり「ほらほら、みんなで撮ったらハッピハッピすぅよ?」
閣下「フハハハハ!では仕方ない、地球デビューからずっとカメラに写り続けてきた我輩がアピールの手本を見せてやろう!」
閣下「では諸君!1+1は!?」フワフワ
一同「2?!」
凛「一人だけ浮くって、そりゃ目立つでしょ……」
閣下「フハハハハハハハ!!」
56:
?シンデレラプロジェクト執務室?
未央「ええ!?私達がライブに…?」
美嘉「そう!ちょうどこんな感じの子たちを探してたんだ?」
ちひろ「担当の方から許可はおりていますが、どうしますか?」
閣下「う?ん、そうだねえ…」
「いいんじゃないか?遅かれ早かれ、この子たちもステージに立つんだ」
未央「誰…?」
卯月「どこかで見た覚えが…」
美嘉「ほらほら閣下、部長さんもああ言ってることだし?」
「「「部長!?」」」
部長?「うんうん」
閣下「はあ、全く遊びが過ぎませんかな?」
部長?「何をそこまで心配する、デーモン」
閣下「貴方がそこまで薦めることがですよ、陛下」
陛下「なんだ、バレていたのか」
未央「へ、変身したああああ!?」
凛「というか、陛下って…」
閣下「一応お前達にも紹介しておこう、この方こそ地獄の頂点に君臨する大魔王サタン45世、ダミアン浜田陛下だ」
陛下「よろしく」
卯月「え、ええええええええええ!?」
美嘉「どういうこと……?」
閣下「突然の来訪、どういった事情ですか?」
陛下「聖飢魔II構成員たちが少しずつこちらに来る目処が立ったのでな、それを知らせるついでに様子を見に来たのだ」
陛下「そしたら面白そうだったので世を忍ぶ仮の346プロダクションの部長の姿でちょっかいを出しに来た」
閣下「全く……」
凛「この人が大魔王…」
未央「ひょっとして私達、今すごいものを目撃しているんじゃ…」
陛下「デーモンよ、この3人を恐怖のバックダンサーチームにし、見事黒ミサを成功させるのだ」
美嘉「あの、ミサじゃなくてライブなんだけど…」
57:
閣下「仕方ない、ではちひろ君、黒ミサの資料を早急に集めてくれ」
ちひろ「はい、かしこまりました」
美嘉「だから黒ミサじゃないって……でも、それじゃあ」
陛下「娘よ、我が構成員をよろしく頼むぞ」
美嘉「は、はい!みんな、楽しもうね!」
「「「は、はい」」」
莉嘉「ズルい!アタシもライブやるー!」バーン!!
美嘉「アンタはまた今度ね★」
莉嘉「え?、なんで?!」
蘭子「だ、大魔王が降臨したという予言は真か!?」
陛下「どうも」
蘭子「………………か、かっこいい」
みく「え…」
陛下「おいデーモン、この娘見る目あるな、さすがは私が選んだ構成員」
美波「私が選んだって……」
ちひろ「陛下は世を忍ぶ仮の姿でオーディション会場にいたんですよ」
みりあ「おじさん、変身できるの!?」
陛下「うむ」
李衣菜「世を忍ぶ仮の姿……なんかロックかも…」
凛「ライブって、こんな簡単に決まっていいのかな…」
未央「だいじょぶだいじょぶ!私、本番に強いタイプだから、意外といけちゃうって!」
卯月「ライブ……楽しみです!」
閣下「陛下が3人を見て推薦するか……何事も無ければいいが」
第2話 I never seen such a frightening castle 終
63:
第3話 A ball is sinister,noisy,and...
?346プロ シンデレラプロジェクト執務室?
ちひろ「閣下!大変です!」
閣下「ああ、おはようちひろ君」
ちひろ「呑気にスポーツ新聞なんて読んでる場合じゃありませんよ、大変なんです!」
閣下「むう、どうしたんだね!」
ちひろ「みくちゃんがバックダンサーの件で納得出来ないと3人のところへ…!」
閣下「ふむ…」
?レッスン室?
みく「遅れてきた新入りが先にステージにあがるのは納得できないにゃ!」
みく「みくとどっちが相応しいか、勝負にゃ!」
智恵理「み、みくちゃん、ケンカはダメだよ…」
凛「大体、勝負って言ったって何を…」
未央「その勝負、乗った!!」
卯月「未央ちゃん、ダメですよ?」
かな子「ほら、みくちゃん、あんまりワガママ言ってると閣下さんに怒られるよ?」
みく「デーちゃんは関係ないにゃ!これはみくと3人の意地をかけた勝負なのにゃ!」
未央「おお!なんだか熱い展開だね!」
凛「あの、関係ないとか言ってると…」
「――悪魔の森の奥深く」
かな子「な、なに…?」
凛「ほら来た…」
64:
「一見、何の変哲もない古い屋敷」
卯月「な、なんだか不気味な声が…」
凛「いや、不気味も何も…」
「だが、その一室からは、毎夜、毎晩…」
みく「だ、誰にゃ!姿を現すにゃ!」
凛「だから誰も何もないでしょ」
「少女の悲鳴にも似た叫び声が、聞こえるとか、聞こえないとか…」
未央「聞こえるのか、聞こえないのかどっちだー!出てこーい!」
凛「未央、誰が言ってるかわかってるでしょ」
「お前も、蝋人形にしてやろうか?」
智恵理「ひっ…やめてください…」
凛「怖がる必要ないから…」
閣下「お前も蝋人形にしてやろうかァ!」
みく「…………」
未央「…………」
凛「…………」
かな子「…………」
智恵理「…………」
卯月「あ、閣下さん、おはようございます!」
閣下「フハハハハ!うむ、おはよう!」
凛「普通に出てこれないの?」
閣下「悪魔は登場時の演出一つにまで気を配るのだ!」
65:
閣下「それで諸君、これは何の騒ぎだね?」
かな子「みくちゃんが、今度のライブに自分も出たいって…」
みく「そ、そうにゃ!なんでこの3人は出れてみくは出れないのにゃ!」
智恵理「それで……どっちが相応しいか勝負する、って…」
閣下「ふむ、なるほどな……」
閣下「まあ今回のミサについては陛下と美嘉の推薦により急遽決まったもの、不満が出るのもわかる」
みく「でしょ!?みくだって、ライブに出たいにゃ!」
閣下「だが、チャンスとは他人から奪うものではない、自ら掴み取るものだ」
閣下「お前達がこの『真泥霊羅プロジェクト』に選ばれたようにな」
みく「で、でも…」
閣下「誰かが座っている玉座などなんの意味もない、お前達は自身の手で玉座を作り、磨き上げなければならん」
閣下「我輩の言っている意味がわかるな?」
みく「……はい」
閣下「そして未央よ、お前もこんな勝負に面白がって乗るものじゃない」
未央「はーい」
閣下「お前達がバックダンサーを務めることが出来るのは、陛下と美嘉の期待があってのことだ」
閣下「バックダンサーの座をかけての勝負ということは、2人の信頼を賭けに出すのと同じ」
閣下「信頼とは得難く脆いもの、気安く扱ってはいけない」
未央「…ごめんなさい」
閣下「二人ともわかればいい、以後は気をつけるように」
かな子「すごい、2人を簡単に諌めちゃった…」
閣下「今回の件は、みくと未央、両者に同じだけの責任がある」
閣下「バックダンサーの座を賭けた戦いは我輩が預かる、みくは今回のミサには出せん」
閣下「しかし未央が勝負を受けたのもまた事実、よって未央は、みくが納得するまで勝負を受け、自らの実力を示すこと」
閣下「これにてこの沙汰、喧嘩両成敗とする!」
卯月「おお?!」パチパチ
智恵理「大岡越前みたいです…」パチパチ
66:
かな子「あ、そうだ!私、みんながステージに出るお祝いにお菓子焼いてきたんです!」
閣下「ほう!ではいただくとしよう、ほらお前達も」
かな子「いっぱい作ってきたから、たくさん食べてね!」
凛「ありがとう…………おいしい」
かな子「それじゃあ、私も一つ……」
「こら、三村!」
トレ「お前もアイドルなんだから、体重のことも少しは気にしろ!」
かな子「すみません…」
トレ「閣下も、三村にあまり食べ物を与えないでくださいね」
閣下「す、すまん」
かな子「で、でも閣下さんが地獄のジムを紹介してくれるって!」
トレ「ほほう、そんなにやる気があるなら、まずは私の地獄のレッスンを味わってみるか?」
かな子「それは……うぅ」
「おっはよー★」
未央「城ヶ崎美嘉!」
閣下「美嘉?」
未央「……さん」
閣下「うむ、だがせっかく来たことだし、我輩も少々見学させてもらおう」
卯月「閣下さん、見ていってくださるんですか!?」
閣下「ああ、部外者がいて集中力が乱されるというなら出て行くから安心するが良い」
凛「なんだか、別の意味で集中力が乱れそうだけど……」
美嘉「ライブに出たらもっと多くのお客さんが来てるんだから、閣下に乱されてるようじゃダメだよ★」
閣下「なかなか頼もしいことを言うではないか、フハハハハ!」
閣下「では美嘉、トレーナーよ、よろしく頼むぞ」
美嘉「まっかせてよ★」
67:
美嘉「1,2,3,4,5,6,7,8!」
美嘉「この時、ビシッと止まってると、カッコいいよ!」
卯月「はあ、はあ…」
未央「き、キツい…」
凛「…………っ」
トレ「閣下の目から見て、いかがですか?」
閣下「我輩はダンスには明るくないがやはり、3人とも今の段階ではほとんど素人だな」
閣下「美嘉の方は、さすがカリスマというべきか練習とはいえ目を惹かれるものがある」
閣下「だが3人も始めたばかりで出来ないのは当然のこと、これから我々が育て上げればいい、頼めるか?」
トレ「はい、それが仕事ですからね、おまかせ下さい」
凛「あの、少しわからないところがあるんだけど…」
美嘉「どこー?」
凛「えっと、トキメキどこまでもエスカレート?♪サイダーみたいにはじける恋モード♪ってとこ…」
「「「…………」」」
凛「……な、何?どこか変だった?」
美嘉「へー!アンタ歌もイケるじゃん!」
未央「しぶりんやる?!」
卯月「凛ちゃんスゴイです!」
閣下「…………ほう」
トレ「なんだか、楽しそうな顔をしていますね、閣下?」
閣下「フハハハハ!これは今後が楽しみだ!これ以上レッスンの邪魔をしてはいかん、我輩はそろそろお暇しよう」
卯月「ええ、閣下さん、もう行っちゃうんですか?」
未央「もっと見てってよ?」
閣下「部外者が練習場に長居するものではない、では諸君、また会おう!フハハハハ!」
68:
閣下「新たな発見もあったし、非常に有意義な時間であった」
閣下「でも、それにしても広いプロダクションだねえ、今の他にもこれほどたくさんのレッスン室があるとは」
閣下「どうやら、他の部屋も賑わっているようだし、本当に大きな事務所なのだな…」
「そうなんだよ?、地獄ではもう散々でさ?」
閣下「…………地獄?しかも今の妙に聞き覚えのある声は……」
?レッスンルーム?
エース清水長官「給料も低いし、上司は仕事しない癖に偉そうだしさ?!」
輝子「あ、悪魔もなかなか……世知辛い……フヒッ」
小梅「上司さん、どんな人だったの…?」
長官「いっつも怒ってばっかりでさ?、こっちが文句言うとすぐ蝋人形だし」
長官「だいたい、俺の方が年上だってのに、なんで階級は俺の方が下なんだよ、おかしいだろ!」
幸子「ふふーん!でも清水さんもこんなにカワイイボクと出会えたんですから、これまでの不幸も帳消しでしょう!」
長官「ホント、地獄にいた時より346プロの方が待遇いいし、俺もうこっちで働こうかな?!」
小梅「でも、私もちょっと…地獄、行ってみたい…ゾンビとか、いる?」
長官「いるいる?!ゾンビよりもーっと恐ろしいマザコン悪魔もいるよ!」
輝子「母親と仲がいいのは、いいことじゃないのか…?」
長官「みんなみたいに可愛い女の子だったらいいけどねー、10万歳のおっさんがママに甘える絵と言ったらwwwwwww」
幸子「ふふん!カワイイボクは、お母さんと並んでも絵になってしまいますからね!」
小梅「そういえば、さっきから…清水さんの後ろに……」
長官「え、ちょっと何々小梅ちゃん!背後霊でもいる??なんだよ?俺のファンか??」
閣下「…………久しぶりだな、長官よ」
長官「」
69:
閣下「うむうむ、驚きはせんぞ、陛下からお前達が来ることは聞かされていた」
長官「」
閣下「それにしてもボーカルトレーナーか、なるほどさすが聖飢魔IIでは過去にキーボードも務めていた男だ」
長官「」
閣下「Face to Aceでは世を忍ぶ仮の姿でボーカルも務めているしこれ以上の適任はあるまい」
長官「……あの、閣下、聞いてました?」
閣下「相変わらずの話し上手っぷりで娘達にもすぐ溶け込む、我輩も見習いたいものだ」
長官「……あ、これ怒ってる時の閣下だ」
閣下「さすがは聖飢魔IIの赤い風とまで呼ばれた男……だが、長官よ」
長官「はい」
閣下「我輩は貴様が地獄でそんな思いをしながら働いているとは露ほども思わなかった、済まないことをしたな」
長官「いえ、そんな、ことは」
閣下「もはや我輩に貴様を引き止める権利などない、だがせめて、貴様の次の就職口くらいは見つけさせて欲しい」
長官「あ、これは…」
閣下「長官よ」
長官「はい」
閣下「前置きはこれくらいでいいな?」
長官「はい」
閣下「覚悟はできたな?」
長官「…はい」
閣下「よろしい、では…」
閣下「このうつけ者めがああああああああああ!!!!!」ロウニンギョー!
70:
長官「」カチンコチン
幸子「ちょ、ちょっと!どうしたんですか!?」
小梅「すごい……」キラキラ
輝子「これも一つの…芸術……フヒッ」
幸子「かかか感心してる場合じゃないでしょう!あ、あなた、ボクたちのトレーナーさんに何をするんですか!いい、い、いくらボクがカ、カワイくても怒りますよ!」
閣下「心配せずとも、すぐに会話くらいはできるようになる」
長官「」カチンコチン
小梅「喋る蝋人形……」パシャパシャ
幸子「小梅さん!写真を撮らないでください!」
長官「」カチンコチン
小梅「え、エヘヘ、後で、涼さんに見せてあげようと、思って…」
閣下「ほう、ならば蝋人形ビームを撃つところから録画するか?」
輝子「近頃の悪魔は……サービス精神が…旺盛なんだな…」
幸子「どんなサービス精神ですか!ほら小梅さん!サービスならボクのカワイイ姿をいくらでも見せてあげますから!」
長官「……あ、…うう……」
小梅「! す、すごい…本物のうめき声…!」
輝子「さっきから…テンション、急上昇だね……フヒヒ」
閣下「ようやく起きたか、まったく」
長官「まったくじゃないですよ!いきなり蝋人形にするなんてヒドイじゃないですか!」
閣下「全て貴様の自業自得だろう」
71:
閣下「それで?貴様がここにいるということは…」
長官「もう他の奴らも地上に来て346プロに潜り込んでますよ」
閣下「なるほどな、他の構成員はどこにいる?」
長官「教えてあげないよwwwwwじゃんっwww」
閣下「ふんっ!」ロウニンギョー
長官「潜伏先は個悪魔個悪魔で好きに決めたのでわかりません」カチンコチン
閣下「ならば最初からそう言えと言うのだ」
閣下「だが、そうなると一度会っておく必要があるな…」
閣下「諸君、レッスンの邪魔をして悪かったな」
幸子「ほ、ホントです!ボクのあり余るカワイさがなければ許されませんでしたよ!」
小梅「楽しかったです…」ヒラヒラ
輝子「また、いつでも来るといい…」ヒラヒラ
幸子「だから、なんで2人はそんなに歓迎ムードなんですか!」
閣下「では諸君、また会おう!」
長官「いえ、もう来なくても…」ボソッ
閣下「ふんっ!」ロウニンギョー
長官「」
閣下「しかし、構成員と会うといっても一体どこから探したものか…」
閣下「よし、まずは一階の受付にて聞いてみるか、何か情報が掴めるかもしれん」
?346プロ 受付?
閣下「と、思っていた矢先に…」
ゼノン石川和尚「あ、閣下だ、いえ?い」
72:
閣下「和尚、そこで何をしている…」
和尚「何って、見ての通り受付悪魔だよ?」
和尚「陛下にはカメラマンとか薦められたんだけど、ここが一番動かなくていいかなあって思ったから」
閣下「相変わらず動かざること山の如しだな、いや、変わりないようでむしろ安心した」
和尚「受付自体は動かなくていいんだけどね?、ここに来てから、前に作ったぞっど君についてすごい聞かれるんだよ?」
閣下「ああ、今地上に一大ブームを巻き起こしているからな」
和尚「でもオリジナルのぞっど君は今の人間の技術じゃ作れないからね、簡易版の作り方を教えてあげたよ」
閣下「あれのさらに簡易版があるのか…」
和尚「あるよ?、あと千川さんって人にすごいお礼を言われたよ」
和尚「なんでも、『コンプガチャに匹敵するにおいがする』って言ってたかな」
和尚「まあ僕、人間のお金に興味ないからね?著作権とかはあげちゃった」
閣下「我々はもしかしてとんでもないものを奴に与えてしまったのか…?」
和尚「あの子すごいね、人間にしておくのが惜しいくらい」
閣下「悪魔の侍従を嬉々として務める人間だからな、さもありなん」
和尚「エースが地上に来た時、真っ先に土下座してたもんね」
閣下「仮にも人間相手に何をやっているのだ…」
和尚「エースと言えば閣下、残りの2人のとこにいかなくていいの?」
閣下「おお、そうだった!せっかくだ、和尚の千里眼で他の構成員がどこにいるか調べてくれ」
和尚「ん?、あっちに一人いるね?」
閣下「ものすごくざっくりした情報だな…」
和尚「あと閣下、1つだけ伝えておくよ?」
閣下「む、なんだ?」
和尚「僕ら悪魔は人間の心の闇を覗いたりすることができるけど、逆に希望に満ち溢れた心は読めないじゃない」
和尚「結構苦労するかもよ?」
閣下「…何か視えたのか?」
和尚「ん?、わかんない、ここは希望を疑わずに進んでる子や、とても大きな闇を抱える子があまりにも混ざりすぎてるから」
和尚「子供って、悪魔の格好の獲物でもあるけど、同時に最大の天敵でもあるんだよね」
閣下「今ひとつパッとせんが、和尚のいうことだ、肝に銘じよう」
和尚「ホントに僕の力が必要になったらいつでも言ってね、あんまり動きたくはないけど」
和尚「僕を動かせるのは、10万年前から聖飢魔IIだけだからね」
閣下「うむ、頼りにしているぞ!では、また会おう!」
和尚「いえ?い」
73:
閣下「和尚が言っていた言葉、陛下の勅命である以上ただでは済むまいと思っていたが気がかりだな…」
閣下「とはいえ今は構成員探しだ、ここはレストランか…?」
『恐怖のレストラン』
閣下「これはいる、絶対いる」
閣下「まあ腹も減ったことだし入るとするか、今日のシェフのおすすめは目玉の串焼きか…」
閣下「失礼する!怪奇植物のサラダと目玉の串焼き、あとはピンクの恐竜のソテーを頼む!」
「はいよ!カツ丼とナポリタン、カレーライスお待ち!」
閣下「…なるほど、ここにいるのは貴様であったか、あと我輩はそんなに食べられん」
ライデン湯沢殿下「おお!なんだ閣下か、ぶっひょ!」
閣下「まあ、出されたからには食べるがな…」
閣下「それにしても意外だったな、殿下は食べる専門だと思っていたが」
殿下「僕もね、最初は清掃員をやろうかと思ってたんだけど陛下に『公家である雷神の息子に清掃員などさせては獄際問題になる』って止められてね」
閣下「いやホントだよ、雷神が地上のビルの窓拭きとかどんな絵面だよ」
殿下「これだけデカいビルなら窓も拭くかいがありそうだよね、でもまあ止められて」
殿下「で、ここなら腹が減った時にいつでも肉が食えるということで」
閣下「そう言われるとなんだか納得してしまうな」
殿下「ちなみに、表の看板のオススメ地獄料理はまだほとんどオーダーが入ってないんだよ」
閣下「そうなの?目玉の串焼き美味しいのにねえ」
殿下「あと、レコーディングのアイドルにカツレツを出してたらどんどん客足が遠のくんだけどどうしたらいいかな」
閣下「そりゃあそうだよ、我輩だってさすがに重いよ」
殿下「気合はいるんだけどな?」
閣下「あれじゃない?カツレツもそうだけど殿下の地獄料理は年頃の女の子にはカロリー高いんじゃない?」
殿下「あ?、アダムの林檎パイとかはらわたの塩漬けとか」
閣下「そういうのじゃなくってもっとヘルシーなのにしなさいよ」
殿下「でも、少しはオーダーがあるんだよ、この前も女の子が来てさ、『この野獣のハンバーグとってもおいしいです!でもドーナツを乗せて食べたらきっともっと美味しいですね!』って」
閣下「胸焼けしそうな発想だな…」
殿下「あとは『これが世界レベルを超えた味……地獄レベル!』って言ってた子もいたっけなあ」
閣下「よくわからんな…」
殿下「あの2人は間違いなく悪魔よりの味覚の持ち主だったね」
74:
殿下「閣下のプロジェクトの子も来てるよ、ほら」
かな子「アダムの林檎パイ、癖になりそう…」
智恵理「かな子ちゃん…またトレーナーさんに怒られるよ?」
かな子「美味しいから大丈夫だよ!」
智恵理「……あっ、か、かな子ちゃん…」
閣下「……」
かな子「ほら、智恵理ちゃんも食べなよ!もう一個頼もっか!」
智恵理「い、いや、私は……その…」
閣下「あれだけ言われたのに、まだわからんのかああああああああ!!!」
殿下「はい、アダムの林檎パイお待ち!」
かな子「かかかかか閣下さん!!どうして!?」
閣下「かな子よ、美味しいものをたくさん食べるのは良い、だがものには限度というものがあるだろう!」
かな子「で、でも美味しいし…」モグモグ
殿下「わかるよー」
閣下「デモもストもない!」
かな子「そ、それに殿下さんが雷神式エクササイズも教えてくれるって…」
殿下「いいよー」
閣下「ほう、いいのだな…?」
智恵理「かな子ちゃん、なんだかやめた方がいいんじゃ…」
閣下「では殿下よ!早急にかな子に雷神式エクササイズを伝授するが良い!」
殿下「よしきた!――まず用意しますのはこちらのライデン式ドラムセットです、本日は僕の分と合わせて2セット用意しました」
かな子「え…?」
殿下「はーい座ってねー、では最初は地獄の皇太子を1.5倍で3セット、行ってみよう!」
かな子「えええ!?そ、そんなの無理ですよ!って体が勝手にいいぃぃぃいい!!」ドコドコ
智恵理「か、かな子ちゃんが大変なことに……」
閣下「以後、アダムの林檎パイ一個につき殿下の特別レッスンとする」
智恵理「そんな!かな子ちゃんの体がもちません!」
かな子「無理ですうううううう!!!」ドコドコ
閣下「これもかな子のためである、智恵理よ、お前がかな子の良き友であるのならわかってやれ」
智恵理「…………はいっ」
かな子「智恵理ちゃん、納得しないでええええええ!!」ドコドコ
殿下「ようし!このまま倍FIRE AFTER FIREだ!」ドコドコ
かな子「い、いやあああああああああああああああああ!!!!!」ドコドコ
閣下「さて、長官、和尚、殿下ときて、最終構成員はあと一人…」
閣下「まさかトリを飾るのが奴になろうとは、嵐の予感しかせんな」
75:
「ヤダ?!!もうみんなスッゴイカワイイ!!花マルあげちゃう!!」
閣下「はあ……もう間違いない、仕方ない、覗いてみるか…」
?戦闘服部屋?
ルーク篁参謀「ホントみんなスタイル抜群だから何着ても似合っちゃうね?!!」
凛「そ、そうかな…」
卯月「2人とも、ホントに似合ってますよ!」
未央「しまむーだって、一気にアイドルっぽくなった感じ!?」
卯月「でも、こういうお洋服ってどうやって洗えばいいんでしょう…」
未央「しまむー、発言が全然アイドルっぽくないよ…」
参謀「基本的には手洗いで大丈夫!でも、手が荒れないように弱めの手洗い用の洗剤を使うこと!」
卯月「そうなんですか!ありがとうございます!」
凛「というか、アンタも悪魔なの?」
参謀「そう!かつては聖飢魔IIのステージ下手でギターを奏でる美しき青き稲妻と呼ばれてたんだよー!」
凛「蒼き…稲妻……」
閣下「こらこら、此奴にだけは影響されてはいかん」
参謀「あ!閣下?!閣下じゃないですか?!どうしたんですかこんなところで!」
閣下「聖飢魔II一のお調子者はこちらの地上でも健在のようだな」
参謀「またまたそんなこと言って?、2人でコンビ組んでラジオ界の頂点を取った中じゃないですか?!」
未央「ええ!?そうなの!?」
卯月「すごいです!」
参謀「ああん、もっと言って!」
閣下「ところで参謀は何故こんなところに?」
参謀「いや、最初は俺もお笑いの部署のタレントを志望したんですがね?陛下に一応仕事だからと止められまして」
閣下「殿下といいお前達、趣味出しすぎだろう」
参謀「で、悩んでいたところにちひろちゃんから誘われまして」
閣下「何?ちひろ君に?」
参謀「いや?、戦闘服担当とは、俺もまだまだ美しき青き稲妻ってことですかね?」
凛「……蒼?」
閣下「だからいかんと言っておろうに」
76:
閣下「参謀よ、つかぬことを聞くがちひろ君に何か言われなかったか?」
参謀「え?う?んそうっすね?、聖飢魔IIの侵略活動で作った洗剤兵器についてすごい聞かれましたねえ」
閣下「間違いなくそれだな…」
参謀「ちひろちゃん、『これがあれば洗剤業界も牛耳れる』って大喜びしてました!」
未央「これは346プロに洗剤開発部門が出来る日も近い…?」
閣下「やめろ、あまりに恐ろしい」
卯月「そんなにすごい洗剤なんですか?」
参謀「そうだよ?、服でも食器でもどんな頑固な汚れも簡単に落とせて女の子の手も荒れないっていう」
卯月「すごいです!ママにもあげたいなあ…」
参謀「ヤダ……閣下、聞きました!?この子なんていい子なんでしょう!」
参謀「卯月ちゃん!あげる!いっぱいあげるからママにプレゼントしてあげて!」
卯月「いいんですか!?ありがとうございます!」
凛「悪魔としてどうなの、これ?」
閣下「これも全て偽善活動、侵略の一貫だ、問題ない」
未央「酷く平和的な侵略だね…」
閣下「参謀の発生日には近所の繁華街の掃除などもしたが、全て偽善活動だ」
凛「もう素直にボランティアって言ったら?」
閣下「断じて違う!」
閣下「ところでお前達は今度のミサの戦闘服合わせか?」
卯月「戦闘服?」
閣下「衣装のことね」
凛「うん、サイズとかの確認だって」
参謀「もうみんなバッチリ!」
閣下「どうだ?戦闘服に着替えるといよいよミサの実感も湧いてくるだろう?」
卯月「はい、楽しみです!」
未央「ついに未央ちゃんが世間の注目の的になる日が来る、感慨もひとしおですなあ?」
凛「私は、まだちょっとわかんないかな…」
参謀「みんな初々しいね?、俺が悪魔事異動で聖飢魔IIに加入した時もこんな感じだったっけな?」
閣下「いや、全然こんな感じじゃなかったぞ」
閣下「しかし、今お前達が着ているその戦闘服こそ、お前達の最初のミサを飾る一張羅だ」
閣下「立派な戦闘服に見合うよう、精一杯練習するのだぞ?」
「「「はい!」」」
参謀「おお!閣下ったらもう女の子達と心を通わせちゃってますね?!」
閣下「……貴様がいると本当にしまらんな」
77:
?数日後 黒ミサ前日?
トレ「……ま、ギリギリ及第点といったところだな」
未央「! やったね!」
卯月「はい!」
凛「……ほっ」
美嘉「ま、いくつか怪しいところもあったけどね★」
閣下「この短期間でよくぞここまできたものだ……だが」
長官「おめでとおおおおおおおお!!」
参謀「みんなホントに頑張ってたもんねえ!」
和尚「よかったねえ」
殿下「うむ、ナイスファイトだ!」
閣下「何故お前達がここにいるのだ…」
長官「いやあ、今日がみんなの最終テストだって聞いたら居ても立ってもいられなくってww」
閣下「自分の仕事は大丈夫なんだろうな?」
殿下「そこはさすがに大丈夫!」
美波「みんな、お疲れ様!ほら、アーニャちゃん」
アーニャ「…Поздравляю、あ……おめでとう、皆さん、とても頑張りました」
アーニャ「明日のステージ、きっとステキですね……日本語、あってますか?」
凛「……うん!」
卯月「うんうん!」
未央「ありがとう!」
78:
キャッキャ キャッキャ
参謀「女の子達の友情、安らぐねえ?」
和尚「でもみんなスゴイよね、僕あんなに動けないもん」
参謀「翼があっても飛ばなかったもんな…」
閣下「……3人とも、集合!」
卯月「! は、はい!」
閣下「諸君、これまで本当によく頑張ってきた」
凛「…………」
閣下「此度のミサは、諸君らにとっては与えられた機会であった」
閣下「だかその機会はたった今終わりを迎えた」
閣下「与えられたのではなく、諸君らはついに自ら勝ち取ったのだ、胸を張れ」
未央「モンチー……」
閣下「ミサに臨む諸君らに我々聖飢魔IIからパワーを贈る」
閣下「どんなゼウスの妨害をもはねのける呪いを授けよう、これは悪魔にとって最大の栄誉だ、誇りに思うがいい」
閣下「準備はよいか?」
長官「よっしゃあ!」
参謀「任せろ!」
和尚「いえ?い」
殿下「1,2,3,4!」
「真昼の月 ?MOON AT MID DAY?」
閣下「決戦は明日!さあ、早くゆけ!早くゆけ!目の前の幸せを、見失わないうちに!」
79:
?黒ミサ当日?
閣下「フハハハハ!おはよう諸君!」
未央「お、おはよう」
卯月「昨日はちっとも眠れませんでした…」
凛「…………」
閣下「外には早くも多くの参拝者が集まっている、そんなことでは今からもたんぞ?」
卯月「うぅ?」
閣下「さあ、他の者も既に楽屋に入っている、我々も行くとしよう」
?楽屋?
閣下「バックダンサー到着しました?、入ってもよろしいでしょうか?」コンコン
閣下「ほら、入れ、こういう時は若手が先に挨拶をするものだ」
未央「……え?あ、うん…」
卯月「え、えっと……」
凛「……バックダンサーをさせていただく渋谷凛です、今日はよろしくお願いします」
卯月「し、島村卯月です!よろしくお願いします!」
未央「本田未央です!よろしくお願いします!」
閣下「この者達のプロデューサーを務めるデーモンである、よろしく頼む」
瑞樹「あら、この間の……今日はよろしくね」
閣下「む、既に面識があるのか?」
瑞樹「プロデューサーは初めてでしたね、お話は伺っています、今日はよろしくお願いします」
閣下「うむ、我輩のことは皆、気軽に閣下と呼んでくれればいい」
美穂「皆さん、今日が初めてのステージなんですよね?わからないことがあったらなんでも聞いてください!」
茜「はじめまして!日野茜です!今日のステージ、熱く燃えましょう!!」
まゆ「初ステージ、素敵ですねえ」
「「「は、はい、よろしくお願いします!」」」
美嘉「おっはよーございまーす★」
閣下「来たか、うむ、調子はよさそうだな」
美嘉「当然!」
80:
瑞樹「ふふ……あら、おはようございます」
陛下「おはよう諸君、今日は期待している」
瑞樹「はい、本日はよろしくお願いします」
「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」
陛下「うむ、デーモンよ、そっちの仕上がりはどうだ?」
閣下「全ては、見ていただけるばわかるかと」
陛下「そうか、では楽しみにしているぞ」スタスタ
?リハ?
閣下「確認するぞ、客席から見て下手はどっちだ?」
卯月「えっと…み、右ですか?」
閣下「……違う、左が下手だ」
未央「え?……あ、ホントだ」
スタッフ「じゃあ、通しでいきまーす!」
閣下「…まだリハだ、気負うことはない」
凛「うん……」
卯月「あ、あの!もう一回やらせてください!」
スタッフ「これ以上は厳しいですね…」
閣下「タイムスケジュールは分刻みで作られている、仕方ない」
卯月「どうしましょうか…」
凛「せめて、ダンスだけでも合わせようか」
閣下「そうだな、あちらに使えそうなスペースがある、そこでやるといい」
凛「わかった…………未央?」
未央「…………え、あ、うん」
閣下「…………」
81:
?関係者席?
みりあ「あ、ここだ!」
莉嘉「え?、もっと近くがよかった?!」
参謀「お、みんな?!」
長官「全員揃ってきたな??」
きらり「悪魔さんたち、おっすおっす☆」
悪魔s「「「「おっすおっす☆」」」」
かな子「皆さんも見に来られたんですね」
和尚「陛下に席とってもらったんだよ?」
殿下「少し遠いけど、ここからならステージ全部が見渡せるな」
美波「それにしても、こんなに大きなところだと人もいっぱい入りそうですね…」
アーニャ「…………」
和尚「心配?」
アーニャ「はい…」
殿下「君たちが客席からできることは二つ!なんだかわかるか?」
李衣菜「え、えっと…」
長官「演者を信じること!」
参謀「そして誰よりも盛り上がり応援することだ!」
蘭子「……戦場へ赴く騎士達の背に、涙は不要ということね」
殿下「君たちにこれをあげよう」
杏「何?飴くれるの?」
殿下「飴じゃない、悪魔棒『災リウム』だ!」
和尚「この日の為に作ったんだよ、これ、折ると光るんだ」
みく「それって、ただのサイリウムじゃ…」
智恵理「…………ぷっ」
「「「「「あははははっ!」」」」」
莉嘉「あ!はじまるみたいだよ!」
82:
?控え室?
閣下「入るぞ」コンコン
卯月「閣下さん…」
閣下「……なんとも、予想通りの有り様だな」
凛「予想通りって…」
閣下「初舞台がこれほど大きな会場だ、我輩もかつてはステージに身をおいていたからな、想像に難くない」
未央「……な、なんかさ」
閣下「なんだ?」
未央「昨日までは、ううん、ここに来るまでは、楽しみだったんだよ?」
未央「でもさ、いざ他のアイドルの顔を見て、ステージで練習したら全然うまくいかなくて…」
閣下「恐ろしくなったか?」
未央「…………」
閣下「初めて出る舞台が、初めて会う聴衆が、初めて向けられる期待が」
閣下「それでいいのだ、未央よ」
凛「プロデューサー…」
閣下「我輩は数え切れないほどのミサを行ってきた、だがそんな我輩も一度だって恐れを抱かなかったことがあろうか?」
閣下「いや、ない」
閣下「ステージの上で自分を出す時、それはいつだって孤独だ、怖くないはずがない」
閣下「恐れながら、カッコつけ、いつだって震えながら歩いて行くのだ」
閣下「そして、お前が歩き出す為に足りない分のパワーを我輩は昨日確かに与えたはずだ」
閣下「お前に出来ないはずがない、何故ならお前達は、このデーモンの仲魔なのだから」
閣下「さあ、行くぞ、準備はいいな?」
未央「…うん……うん!」
卯月「そうです!大丈夫です!」
凛「うん、きっと本番はうまくいく!」
83:
?舞台裏?
美嘉「よ?し、じゃあ行こっか!」
「「「はい!」」」
閣下「美嘉よ、3人を頼んだぞ」
美嘉「まっかせてよ!」
茜「みなさ?ん!どうですか?元気ですか!?」
美穂「出るときの掛け声は、もう決まってますか?」
卯月「か、掛け声、ですか?」
美穂「あったほうがいいですよ!」
茜「好きな食べ物とかどうです!?」
未央「え、えっと…」
閣下「……フハハハハ!では、我輩がお前達に悪魔式の血の気も凍る掛け声を授けよう!」
凛「え?……でも、そんなので…」
未央「ううん、いいじゃん!」
卯月「はい!これなら頑張れそうです!」
美嘉「それじゃあ、楽しく行こうね?!!」タッタッタ
閣下「……そうだそれでいい、さあ、早くゆけ、早くゆけ、見失わないうちに」
凛「卯月、未央、準備はいい?」
卯月「はい!」
未央「じゃあ、いっくよ?!」
凛「お前も!」卯月「蝋人形に!」未央「して!」
「「「やろうか!!!」」」
84:
?黒ミサ終了後 楽屋?
長官「びえええええええええん!!みんな、がんばったなああああ!!!」ボロボロ
美波「ち、長官さん…」
参謀「よかったああああああああ!!!すっごいよかったああああああああ!!!!」ビエエエ
杏「出た本人が泣いてないのに泣いてどうすんのさ」
和尚「悪魔もね、年をとると涙もろくなるんだよ」
殿下「だが本当に素晴らしかったぞ!」
卯月「あの、閣下さん!」
未央「私達、どうだった!?」
凛「失敗して、なかったかな…」
閣下「初めてのミサ出演にしては、上出来といったところか」
長官「そんなこと言ってえwwwホントはみんながステージに出てる間に号泣してたくせにwwww」
閣下「……ふんっ!」ロウニンギョー
長官「」カチンコチン
未央「モンチー…?」
凛「そうなんだ…」
閣下「……掛け値なしに、素晴らしいミサであった」
卯月「っ!今日は、ステージに立たせてくださって、ありがとうございました!」
未央「全部がキラキラしてて…っ…私っ」
凛「未央…成功したのに、泣いちゃ、ダメだってば……っ」
卯月「そうですよね!私達のステージ…っ……成功したんですよね…!」
長官「びえええええええええん!!」
参謀「うえええええええええん!!」
閣下「今日は3人共、本当にご苦労であった」
閣下「この経験を胸にしかと刻みつけるのだぞ」
「「「はい!」」」
長官「びええええええええええええええん!!!!」
参謀「うええええええええええええええん!!!!」
85:
陛下「やっているな」
閣下「これは陛下、いかがでしたか?」
長官「最高でしたよねえ!?」
参謀「感動でしたよねえ!?」
陛下「うむ、実に素晴らしいミサだったぞ」
陛下「ささやかではあるがお呪いに食事を用意した、時間のある者は来るがいい」
卯月「いいんですか!?」
陛下「うむ、遠慮することはない」
未央「やったね!しぶりん!
凛「あ、ありがとうございます!」
蘭子「大魔王の夜宴……、胸が高鳴るわ!」
長官「はい陛下!」
参謀「質問です!」
殿下「酒はありますか!?」
和尚「いえ?い」
陛下「未成年は22時には帰宅、その後は…わかるな?」
「「「「よっしゃあああああああああ!!!!」」」」
かな子「未成年って…、私達みんな未成年なんですけど…」
みく「ようはおっさん達が呑みたいだけにゃ」
閣下「フハハハハ!では諸君、打ち上げ会場まで『真泥霊羅プロジェクト』総進撃である!!」
第3話 A ball is sinister,noisy,and...  終
86:
第4話 Everyday life, really full of scream!
――今から10万年前、宇宙は神々によって支配され、平和な世の中であった
――そんなある日、闇を貫く来校と共に世にも恐ろしい悪魔の軍団『デーモン一族』が現れた
――彼らは破壊、殺戮、略奪の限りを尽くし、天上天下の万物を粉砕し、神さえも処刑した
――その世にも恐ろしい光景を目の当たりにし激怒した全知全能の神ゼウスは彼らを闇と静寂の国『ヨッツンハイム』に閉じ込めたのである
――地球に再び平和な日々が訪れた
――しかし、遥かな時を経過した20世紀末
――ゼウスの全知全能の力に陰りが見え始め、あのヨッツンハイムに10万年間閉じ込められ眠っていたデーモン一族が目を覚ましたのである
――地球は悪魔の支配する地獄と化し、人類は滅亡する
――今再び、10万年前の悪夢が蘇ろうとしている……
88:
凛「……………………………何これ」
閣下「今日はこんな感じの自己紹介映像を諸君らに撮ってきてもらう」
凛「これ自己紹介なの!?」
未央「ホラー映画のCMじゃないんだ…」
閣下「うむ、地獄映写機が捉えたドキュメンタリーである」
卯月「じゃあ今の、10万年前の映像なんですか?」
閣下「無論だ、フィクションややらせは一切ない」
未央「おお!もしや、すごい歴史的な価値が…!?」
凛「いや、どう考えてもないでしょ」
未央「ああ?ん、しぶりんったら冷た?い!」
閣下「ともかく、お前達にはこれから真泥霊羅プロジェクト構成員の元を回ってそのありのままの姿を撮ってきてもらう」
凛「私達がカメラマンなの?」
閣下「最初は和尚がカメラマンをするという話も出ていたのだが、動きまわらなければいけないということで却下になった」
未央「どういうことなの…」
閣下「それならば仕方ないということでお前達に白羽の矢が立ったのだ」
閣下「まあ、お前達は真泥霊羅プロジェクト初のミサ出演を果たしたからな、妥当な人選だろう」
閣下「あくまで自然体の構成員をうつせとの陛下の仰せだ、レクリエーションだと思って気軽にやるがいい」
「「「は?い」」」
89:
?346プロ 作戦会議室?
陛下「遅かったな、デーモンよ」
閣下「申し訳ありません、それで陛下、何やら我らに話があるとか…」
陛下「うむ、だがまず、先刻話したものは手に入ったか?」
閣下「はっ、こちらに……」
陛下「なるほどな、これが今地上の人間達を悩ませる魔の書か……」
閣下「はい、数名のものは手に入りませんでしたが、資料として数は十分かと」
陛下「うむ、これだけあれば十分だ、ククククク…」
閣下「おや陛下、悪い顔をしておられますな?」
陛下「お前もな、デーモンよ」
閣下「いえいえ大魔王様ほどでは…」
陛下「ククククク…」
閣下「フハハハハ!」
ちひろ「大の悪魔が、女の子達の成績表を広げて何をやってるんですか?」
閣下「おお、ちひろ君か、いや陛下が真泥霊羅プロジェクトの学生としての成績状況を把握しておきたいと仰られてな」
陛下「うむ、構成員たるもの学業も疎かにしてはならんからな、成績不振の者には我々が自ら教鞭を取る」
閣下「しかし、最近の高校生は意外と真面目なんですな」
陛下「ああ、だが本田くんは少し数学が苦手なようだな」
閣下「ではそちらは陛下の担当ですな」
陛下「しかし莉嘉くんは社会科目が苦手か、こっちはお前だな」
閣下「お任せください」
ちひろ「私、なんで呼び出されたんでしたっけ…?」
90:
陛下「おお、そうだったそうだった、今日は報告があってな」
陛下「真泥霊羅プロジェクトの教典デビューが決まった、よろしくな」
ちひろ「ええ!?そんな急に、何も聞いてないですよ!?」
陛下「さっき決まったからな、私の中で」
閣下「単なる思いつきですか……」
陛下「当初の計画通り、少人数のユニットを組み活動をさせる」
陛下「第一弾は新田くんとアナスタシアくんの2人、そして島村くん、渋谷くん、本田くんの3人の2組を同時にデビューさせる」
閣下「いきなり2組とは、勝負に出ましたな」
陛下「はじめは新田くんとアナスタシアくんだけのつもりだったが、先日のミサで気が変わった」
陛下「曲ももう決めてある」
閣下「ほう、どんな曲を?」
陛下「――野獣」
閣下「却下です」
陛下「何故だ」
閣下「いや、さすがに野獣はいかがなものかと…」
陛下「でも私はアニマルプリントが好きなのだ」
閣下「なんの理由にもなってませんよ」
陛下「ちなみに前川くんをプロジェクトに入れたのはアニマル枠だ」
閣下「これは大変な秘密ができてしまった…!」
陛下「冗談だ、曲はデーモン、お前に任せる」
陛下「聖飢魔IIが発布した教典から彼女たちにあうものを使うといい」
閣下「……ですが閣下、聖飢魔IIはヘヴィメタルバンド、アイドルである彼女たちには…」
陛下「そこについても考えておいた」
「閣下??!!閣下????!!」
閣下「む!?この声は……」
怪人マツザキ様「陛下、閣下!!遅れて大変申し訳ありません!!」
閣下「おお!怪人マツザキ様ではないか!!」
松崎「閣下が私の力を必要としていると聞き、飛んで参った次第です」
閣下「ということは…」
陛下「そうだ、マツザキ様には聖飢魔IIの教典をアイドル用に編曲しなおしてもらう」
松崎「お任せください」
91:
閣下「マツザキ様がいれば100人、いや、100悪魔力だ!」
松崎「必ずや、アイドルの皆様にご納得いただける教典にしてみせましょう」
陛下「デーモンよ、曲はどうする?」
閣下「……実は、陛下が先ほどの2組をあげた時、我輩の中で思いついたものがあるのです」
松崎「どちらの教典でございますか?」
閣下「うむ、???だ」
松崎「それは素晴らしい!早とりかかります」
陛下「頼んだぞ、マツザキ様」
陛下「あと、レコーディングブースも使えるようにしておいたから、演奏は聖飢魔II構成員にやってもらう」
閣下「かしこまりました」
閣下「ちひろ君は、さっきから何も喋ってないがいいのか?」
ちひろ「いえ、急にCDデビューということで予算などを考えていたんですが…」
ちひろ「作詞作曲編曲と録音まで全て構成員で賄うなら、人件費もタダですし、別にいいかなって♪」
閣下「……陛下、やはりこの娘は…」コソコソ
陛下「悪魔の侍従としては最適の人材だろう?」
閣下「いや、ちょっと最適すぎて…」
ちひろ「なんのお話をされているんですか?」
閣下「なんでもない!」
ちひろ「ならいいんです♪ではマツザキ様、レコーディングブームへご案内いたします♪」
松崎「ああ、ありがとうございます」
ちひろ「いえいえ、いいんですよ!どうか、素敵な曲を作ってくださいね!」
ちひろ「彼女たちの為にも…………私の為にも」ボソッ
松崎「? 今何か仰られましたか?」
ちひろ「いえいえ!なんでもありませんよ♪」
スタスタ
閣下「陛下、あの娘、やはり実はどこかの名のある悪魔なのでは……」
陛下「今一度、長官に背後関係を調べさせるべきだろうか」
ちひろ「何か仰られましたか?」ガチャ
陛下&閣下「なんでもない!」
92:
?346プロ 喫茶店?
閣下「陛下の急なはからいも困ったものだ、だがデビューか…」
閣下「我々悪魔がプロデュースする以上、ゼウスの妨害があるやもしれん、気を引き締めていかねば…」
「あ、あの、もしかして、ででで、デーモン、か、かかかか、閣下、ですか……?」
閣下「む?いかにも、我輩がデーモン閣下であるが……お前は?」
菜々「キャー!ほ,本物の閣下だ!私、ずっと聖飢魔IIの信者だったんです!」
菜々「あ、すみません、ナナはここで声優アイドルをやっています、安部菜々です、キャハッ!」
閣下「おお!信者のものであったか!」
菜々「はい!地上デビューされた時からずっとです!」
菜々「あ、あの、握手してもらってもいいですか…?」
閣下「もちろんだとも」
菜々「キャー!あ、憧れの御魔直手触の儀がついに…」
閣下「フハハハハ!まさかこんなところに信者がいたとはな!……いや待てよ?」
閣下「聖飢魔IIは、この地球では活動していないはずだ…」
菜々「……え?」
閣下「聖飢魔IIが征服したのは別の地球のはず……貴様、何者だ?」
菜々「え、えっと……ナナは普通のJKで…永遠の17才で……」
閣下「永遠の、17才……?」
閣下「聞いたことがあるぞ、この地球から1000ウサミン光年彼方の星には、肉体年齢が17才から年をとらなくなる種族がいるとか…」
菜々「ギクッ!」
閣下「確かその者達の名は……ウサミン星人!」
菜々「……フフフ、バレてしまっては仕方ありません」
菜々「ある時は現役JK!ある時は声優アイドル!しかしてその実態は!」
菜々「夢と希望を両耳にひっさげやってきたウサミン星人、安部菜々です!」
閣下「なるほど、ウサミン星人は我々悪魔も知らない力があると聞く、それで聖飢魔IIの活動を知っていたのか」
菜々「はい!ウサミンパワーで閣下達のミサを一目見た時から、ナナは悪魔教信者でした…」
菜々「そして一度でも直に参拝したいと地球にやって来たんですが、そこは聖飢魔IIのいない地球…」
菜々「失意のウサミン……そんな時に出会ったのが、アイドルだったんです!」
菜々「声優活動もしていた閣下のようになりたいと思い、ナナは声優アイドルを目指すことにしたんです!」
閣下「なるほど、なかなかの苦労があったのだな…」
93:
菜々「でも、こんなところで本物の閣下にお会いできるとは思いませんでした!」
菜々「346プロに悪魔のプロデューサーが来たと噂には聞いていたんですが、まさか…」
閣下「うむ、今回はダミアン浜田陛下直々の命でこの地球に参ったのだ」
菜々「じゃあ、もしかして陛下も地上に!?」
閣下「今は世を忍ぶ仮の姿で潜伏しておられる」
菜々「キャー!ナナのうさ耳は、ウサミン星人と陛下のアニマルプリントを混ぜて考えたものなんです!」
閣下「フハハハハ!本当に敬虔な信者のようだな!ではお前にこれを授けよう」
菜々「これは……まさか…」
閣下「我輩が実際のミサで使ったギロチンだ」
菜々「あの、何人もの神を信じる不届き者を処刑してきたという……」
閣下「これからも、この世に悪をしらしめるのだ、菜々よ」
菜々「あ、ありがとうございます!……でも、これは受け取れません」
閣下「む?どういうことだ、まさか、貴様、神を……!?」
菜々「違います!こんなにすごいものをいただけるのは、すごく嬉しいんですけど……」
菜々「ナナはもう、普通のJKアイドルですから、アイドルのステージに、処刑道具は、いりませんから…」
閣下「菜々……」
菜々「閣下からのプレゼントを断っておいて、もう悪魔教信者を名乗ることは出来ませんね!」
菜々「ナナは、普通の女の子に戻ります!」
閣下「……確かに、教祖たる我輩に背いた以上、もう貴様はただの信者ではいられない」
菜々「…………」
閣下「お前は今、我輩の、聖飢魔IIの力を必要とすることなく、自らの足で一歩を踏み出したのだ、奈々よ」
菜々「…………閣下?」
閣下「安部菜々よ、貴様に我輩から洗礼名を授ける!」
閣下「今日からは我輩直々に洗礼を与えられた信者として一層の悪魔的活動に勤しむのだ!」
閣下「貴様にはアイドル活動を通して世の人間どもを洗脳する任務を与える!よいな、ウサミン安倍洗脳員よ!」
菜々「…………は、はい!」
閣下「フハハハハ!ウサミンよ、地球征服は近い!共に黄金の都を築きあげようではないか!!」
菜々「閣下、ありがとうございます!」
閣下「フハハハハ!フハハハハハハハ!」
95:
?翌日 346プロ シンデレラプロジェクトルーム?
閣下「諸君、昨日は紹介映像の撮影、ご苦労であった」
閣下「今後の悪魔的活動に大いに有効活用させてもらう」
閣下「そして、今日は諸君らに重大な発表がある」
みく「もしかして、お仕事が来たにゃ!?」
李衣菜「私のロックが、早くも認められちゃったかな」
凛「でも、昨日の今日で早すぎない?」
未央「それもそっか…」
閣下「美波とアーニャ」
美波「は、はい!」
アーニャ「……?」
閣下「そして、卯月と未央、凛」
卯月「わ、私ですか!?」
凛「ん…」
未央「?」
閣下「今の2組でそれぞれ教典を発布することが決定した」
美波「CD……」
凛「デビュー……?」
閣下「ああ」
未央「ど、ど、どうしよう!しぶりん、しまむー!CDだよ!?」
卯月「…………ゆ、夢みたいです!」
かな子「おめでとう!」
みりあ「すごーい!!CDデビューだ!」
李衣菜「うおお……」
美波「どうしよう…いきなり過ぎて……!」
「ずるい!私は!?私もCD出したい!」
第4話 Everyday life, really full of scream! 終
96:
第5話 I don't want to become a wax doll
蘭子「あ……」
きらり「莉嘉ちゃん……」
莉嘉「ずるい!私は!?なんで私じゃないの!?」
みく「そ、そうにゃ!みく達はどうなるにゃ!?」
閣下「……今回の5名は、陛下が御自ら選抜された」
閣下「不満が出るのもわかるが我輩からは、何も言えん」
みく「そんな……」
閣下「呼ばれた5名は執務室まで、他の者はレッスンだ、いいな」
?執務室?
閣下「先にいっておくがさっきの莉嘉とみくのことは気にするな」
美波「でも…」
閣下「わかっている、大丈夫だ、お前達が一番手というだけでゆくゆくは全ての構成員をデビューさせる準備はちゃんとできている」
閣下「さっきは事態の混乱化を防ぐために切り上げただけのこと、心配する必要はない」
アーニャ「ほっ……」
閣下「では、教典デビューに先立って紹介しておこう、お前達の曲のアレンジを務める怪人マツザキ様だ」
松崎「よろしくお願いいたします」
凛「怪人……?」
閣下「お前達には、聖飢魔IIが発布した教典をマツザキ様にアイドル用に直してもらったものを歌ってもらう」
卯月「閣下さん達の歌を私達が歌うんですか?」
未央「じゃあ、曲はもう出来てるの!?」
松崎「いえ、私も何分昨日こちらに来たものですから」
閣下「マツザキ様の力は我々悪魔も認める程のもの、期待しているといい」
97:
アーニャ「私達の歌、楽しみです」
松崎「ありがとうございます、期待にそえられるよう尽力いたします」
閣下「うむ、頼んだぞ」
閣下「そして、今日からお前達にもボーカルレッスンをしてもらう」
凛「ボーカルレッスン…」
未央「なんか、本格的にデビューって感じ!」
美波「……あ、もしかして、閣下さんが直々に見てくださるんですか?」
卯月「ええ!?そうなんですか!?」
アーニャ「カッカ、歌、すごく上手でした」
閣下「我輩としてもそうしたいのは山々だが、他の者のプロデュースもありずっとは見てやれん」
閣下「なので、お前達のボーカルレッスンはマツザキ様と、もう一名のトレーナーに入ってもらう」
凛「? いつものトレーナーさんじゃないの?」
閣下「いや、直すとはいえ元は聖飢魔IIの歌だからな、入るが良い」
長官「どうも、フェスティバル村岡です」キリッ
卯月「長官さん!」
未央「エーちゃんが私達のトレーナー!?」
長官「みんな教典デビューおめでとー!これからバッシバシ鍛えてくからよろしくね!」
卯月「はい!頑張ります!」
凛「でも、エースさんってギタリストなんでしょ?歌のコーチなんてできるの?」
閣下「長官は現在は自らのバンドのボーカルをやっているだけでなく、構成員の中でも音楽理論についてもとりわけ造詣が深い」
松崎「それに初期の聖飢魔IIにおいてはドラムやキーボードまで演奏していた構成員随一の多彩さを持つ方です」
アーニャ「Молодец……すごい、ですね!」
長官「いやあ、そうなんだよ?、俺ってマルチプレイヤーっていうか万能っていうかね?ほら、聖飢魔IIでもクール担当だったし?」
美波「さ、最後のは関係ないんじゃ…」
閣下「このように少し調子に乗りやすいのが玉に瑕だが、我輩と聖飢魔IIの楽曲でツインボーカルをした経験もある、コーチには最適だろう」
長官「調子に乗りやすいってひどいっすよ?wwwwあ、あれですか?みんなが俺に惚れちゃうかも知れなくて心配なんすか??」
閣下「……ふんっ!」ロウニンギョー
長官「」カチンコチン
閣下「すまん、間違えた、結構アホだが実力はまあ、ある」
卯月「ち、長官さぁ?ん!!」
凛「ちょっと!大丈夫なの、これ!」
閣下「まあよくあることだ、心配ない」
98:
閣下「教典デビューにあたり、もちろん黒ミサも順次行っていく、よってお前達には長官の元で恐怖の強化訓練を受けてもらう」
未央「ライブ!?またライブに出られるの!?」
閣下「無論だ、お前達ももうアイドル、黒ミサの1つや2つで喜んでいるようではこの先身が持たんぞ?フハハハハ!」
アーニャ「концерт、コンサート楽しみですね、美波」
美波「うん、がんばろうね、アーニャちゃん!」
卯月「私達も頑張りましょうね!凛ちゃん!」
凛「うん、そうだね」
閣下「フハハハハ!その意気やよし!では早、恐怖の特訓に入ってもらう……その前に、だ」
未央「も?、まだ何かあるの??」
未央「もう未央ちゃんの体は、特訓に向けてウズウズしちゃってるんだけどー」
閣下「そうか、お前達に贈る歌を聞かせてやろうと思ったが仕方ない、今回は遠慮しておこう」
未央「わーわー!ごめんモンチー!聞かせて!お願いします!」
閣下「聞きたいか?」
未央「すっっっっっっごく、聞きたい!!」
アーニャ「私も聞きたいです」
閣下「フハハハハ!では仕方ない!」
凛「でも、私達の曲は作ってる途中だってさっき…」
閣下「今から聞かせるのは聖飢魔IIの教典、お前達が歌う曲の元となるものだ」
閣下「お前達が追いつき、そして追い越さなければならないライバルだと思え」
閣下「今日より我輩が、聖飢魔IIという偉大なグループこそがお前達の最大の好敵手となるのだ」
美波「…………」
閣下「では、まずは美波とアーニャ、お前達に託す歌だ」
「ARCADIA」
99:
アーニャ「красиво…」
美波「これが、私達の歌に……」
閣下「陛下よりお前達2人のユニットの話が出た時、この曲が最初に浮かんだ」
閣下「受け取ってくれるな?」
美波「はい、もちろんです!」
アーニャ「カッカ、ありがとう!」
閣下「うむ、では次に、卯月、凛、未央、お前達に授ける曲だ」
卯月「私達の……どんな曲なんでしょう…」
未央「かっこいい曲?それとも、アイドルらしいかわいいのかな!」
凛「メタルバンドなんでしょ?あんまりかわいいのはないと思うけど」
卯月「か、閣下さん!もう私、待ちきれないです!」
閣下「フハハハハ!では心して聞くが良い」
「SAVE YOUR SOUL ?美しきクリシェに背を向けて?」
凛「……すごい」
未央「すごい!すごいよ!こんなカッコいい曲を歌えるなんて!」
未央「がんばろうね、しまむー!しぶりん!」
卯月「はい!私、精いっぱい頑張ります!」
閣下「さあお前達、美波とアーニャも、それぞれの歌を胸に携えていくのだ」
閣下「永遠のドアを開いて夢を探しに、早くゆけ、早くゆけ、見失わないうちに!」
「「「「「はい!!」」」」」
100:
閣下「で、アイドル達は行ったがお前はいつまでそうしておるのだ」
長官「」カチンコチン
?346プロ ロビー?
みく「――つ、ついに、勝ったにゃ……」プルプル
みりあ「やったやった!」
莉嘉「エヘヘー!」
未央「な………なっ!」
凛「なんで私まで…」
卯月「うぅ?、もっと頑張ります…」
閣下「長官が元に戻ったから来てみれば…何をやっているのだ……」
長官「お、黒ひげ懐かしー」
みく「デーちゃん、勝負に勝ったから、みくをCDデビューさせて欲しいにゃ!」
莉嘉「私も私もー!」
みりあ「カワイイ歌、いーっぱい歌いたい!」
閣下「未央達の代わりに、と言わなくなったあたり少しは成長したと思うべきか…」
「あれだけ言ったのに、まだわからんのか前川ァ!」
みく「こ、この声は…」
トレ「休憩はもう終わりの時間だが、何をやっているのだ?」
みく「うぅ、最近トレちゃんがデーちゃんみたいになってきたにゃ……」
トレ「誰が悪魔か!」
みく「うぅ?、覚えてろにゃ!」
莉嘉「勝ったのに?!」
みりあ「まったね?」
未央「くっ……今度は勝つ!」
閣下「いや、もういいから早くレッスンルームにいきなさいよ」
101:
?レッスンルーム?
長官「卯月ちゃん、ピッチズレてるよ!」
卯月「えぅ…」
長官「凛ちゃん、ただ音程合わせてるだけじゃ歌にはならない!」
凛「……はい!」
長官「未央ちゃんは勢いで音を取らない!音符を意識して!」
未央「は、はい!」
長官「美波ちゃん、音程を意識しすぎない!声に表情がなくなってる!」
美波「わかりました!」
長官「アーニャちゃんは棒読み気味だから後で美波ちゃんに歌詞の意味を教えてもらうこと!」
アーニャ「日本語、難しいです……」
長官「はい、じゃあ休憩!終わったら今度は全員で最初の基礎からやってくからね!」
美波「よ、ようやく休憩……」ヘタヘタ
卯月「疲れましたぁ……」
未央「エーちゃん、いつもと全然違ったね……」
凛「うん、悪魔みたいな厳しさだった……」
アーニャ「あれでも悪魔ですよ、リン」
未央「あれでもって…アーニャん意外と辛口…」
美波「これがずっとって、思ってたよりハードかも…」
アーニャ「歌うの、すごく疲れました」
凛「養成所でもこんな感じだったの?」
卯月「いえ、養成所の先生とは比べ物にならないです…」
凛「そっか、でも、プロとしてデビューするって、そういうことなのかもね」
アーニャ「リンは、なんだか楽しそう、ですね?」
凛「……そうかな?」
未央「お?これはもしかして、エーちゃんに特別な思いを…?」
卯月「ええ!?だ、ダメですよ凛ちゃん!私達はアイドルで、その!」
凛「そんなわけないでしょ」
美波「あ、そうだ!もう一回私達の歌を聞いてみない?」
未央「おお!いいね!」
102:
?執務室?
閣下「レッスンの調子はどうだ?」
長官「みんなもうヘトヘトでしたよ?」
閣下「授業以外でまともに歌うのは初めてだろうからな、まあ当然だろう」
長官「流れる汗、荒れる吐息、これがもうがエロいのなんのでwwwww」
閣下「……ふんっ!」ロウニンギョー
長官「」
閣下「で、一人ひとりを見てどう思った?」
長官「え、ええ、まず、美波ちゃんは真面目な子ですねー」
閣下「あの娘は自ら他の構成員の手本となろうとしている節が見受けられるほどだからな」
長官「レッスンに真面目に取り組むのは他の子も一緒なんですが、美波ちゃんは他の子以上に失敗してはいけないっていう緊張があります」
長官「声も大人びていてキレイなんですが、どうしても硬くなって持ち味を潰してます」
閣下「おいおい、その辺もなんとかせねばならんな」
長官「次にアーニャちゃんは、歌詞の意味が掴めていないのはこれからなんとかするとして…」
長官「美波ちゃんの緊張を感じているのか、常に隣を気にしているところがありますね」
閣下「美波もアーニャも、周りに気が利く上に素直な今時できた娘だからなあ」
長官「で、アーニャちゃんもまだ当然周りに気をやれるほどの余裕はないのでミスる、そうすると…」
閣下「美波の自分に対するプレッシャーが高まり、それを見たアーニャが更に美波を心配する、か」
長官「いい子達だからこその弊害ですねー」
103:
長官「で、一方の仲良し3人組はというと、逆に他所の心配をしているヒマもなし、って感じで」
長官「卯月ちゃんは、音程がズレると気づけるんですが焦って直そうとして次がズレる」
長官「凛ちゃんは音程はほぼ正確なんですが抑揚にかける」
長官「未央ちゃんはノリは一番いいんですが、逆に正確さに欠ける」
長官「と言った感じで、どうにか3人の仲の良さでギリギリチームとして成り立っているってとこです」
閣下「ふむ……個々の技量に問題あり、か」
閣下「ちなみに、つかぬことを聞くが、長官の悪魔センサーが一番反応したのは誰だ?」
長官「いや、これでも一応コーチですから、誰か一人を贔屓するわけには…」
閣下「……長官、いつもそんな感じならもっと給料も上がるんじゃない?」
長官「え!?マジっすか!?あ、そうだ、強いていうなら……」
閣下「ほう、誰かいるのか?言ってみろ」
長官「美波ちゃんはエロい!」キリッ
閣下「ふんっ!」ロウニンギョー
長官「う、嘘です……凛ちゃんです…」カチンコチン
閣下「その心は?」
長官「なんていうか、まだ花開くには掛かりそうですけど、なかなか良いモノ持ってるじゃないと…」
閣下「…………そうか」
長官「あ、いいモノって言ってもおっぱいの話じゃないっすよ?wwwww」
閣下「ふんっ!」ロウニンギョー
長官「」
104:
?レッスンルーム?
未央「2人の曲も、かっこいいね!」
卯月「はい!」
美波「こんなにカッコいい曲がもらえると思ってなかったから、びっくりしちゃった」
アーニャ「この曲に出てくる銀河、私、大好きです」
アーニャ「この曲も、銀河みたいにとってもキレイ…」
凛「銀河、か……うん、そんな感じ」
美波「閣下さんも、アーニャちゃんが星を見るのが好きだからこの曲にしてくれたのかもしれないね」
アーニャ「だったら、とってもうれしいです」
みく「たのもー、にゃ!」バーン!
莉嘉&みりあ「にゃ!」
未央「出たなみくにゃん!返り討ち……に…」
かな子「おじゃましま?す」
李衣菜「どうもー」
智恵理「えっと、休憩中…?」
みく「ふっふっふ?、今日は美波ちゃんとアーニャちゃんに、交渉に来たにゃ!」
美波&アーニャ「……?」
105:
閣下「入るぞ」コンコン
長官「みんな?、休憩終わりだ………よ……」ガチャ
美波「え、えっと……好きに…ぷにぷに、するにゃ?///」ニャン
アーニャ「にくきゅ?、気持ちいい、ニャン?」ニャン
長官「閣下……大変です…………こんなところに――黄金郷が!!!!!!」
閣下「また何を馬鹿なことをやっておるのだお前達は……」
長官「正確にはどこまで……どこまでぷにぷにしていいんでしょうか!!??あと、肉球って具体的には人体のどの部位でしょうか!!!???」
美波「///」プシュー
アーニャ「?」
長官「…………」スッ
美波「……な、なんですか?」
長官「――お前を揉み殺す」
美波「え、えええ!!???」///
長官「だって!美波ちゃんが!しろって!言ったから!」ルパンダーイブ
閣下「落ち着け長官」ロウニンギョー
長官「」カチンコチン
未央「おお、ダイブの姿勢のまま蝋人形に」
凛「っていうか、悪魔は人間の娘の体を見てもなんとも思わないんじゃなかったの?」
閣下「そこについては、美波とアーニャが悪魔をも惑わせる魅力の持ち主であるか、単純に長官がアホであるかのどちらかだ」
長官「」
閣下「我輩としては、我輩の精神衛生的にも是非とも前者であってほしいところだな」
閣下「で?なんの集まりなのだ、これは」
みく「どうどう?ニャンニャンユニット、カワイイでしょ!」
かな子「美波さん達のユニットに、もう一人入れるんじゃないかって」
智恵理「みくちゃんが……」
閣下「なるほどな、それで…」
長官「個人的にはニャンニャンも李衣菜ちゃんのロックも捨てがたいけど莉嘉ちゃんの案に賛成です!」
凛「後者なんじゃない、これ」
閣下「やめろ、頭痛が酷くなる……」
莉嘉「あ、アタシまだなんにも言ってないんだけど…」
李衣菜「わ、私のロックが迸っちゃったかなー」
106:
みりあ「卯月ちゃん達は3人だけど、美波ちゃん達はまだ2人だから、もう一人入ったらピッタリだよね!」ギュッ
みりあ「アーニャちゃん、私ね、楽しいユニットがいいなあ!」
アーニャ「アー、いいと思います、とても…………ですが」チラ
美波「あの……」
閣下「――美波とアーニャは、2人のユニットだ、増員はない」
閣下「すまんが、曲の準備も進んでいる」
みく「そ、そんにゃ……」
アーニャ「ごめんなさい、みりあ、残念です……」
美波「ごめんね?」
みりあ「……ううん、エヘヘっ」
アーニャ「あ……」
みく「っ…………」
長官「…………さあ!美波ちゃん達はレッスン再会するよ!」
長官「他の子達はもう今日のレッスンも終わってるよね?さっきライデンが、もうすぐアダムの林檎パイが焼きあがるって言ってたぞ??」
長官「アダムの林檎パイは焼きたてに限る!みんなも食べておいで!」
長官「早くいかないと、腹ペコライデンが全部食っちまうぞ??」
かな子「焼きたて……」
智恵理「い、行こっか、かな子ちゃん!」
かな子「うん!ほら、みんなも!アダムの林檎パイ、とってもおいしいよ!」
アーニャ「…………」
長官「おお?アーニャちゃんも食べたいのか?ライデンにみんなの分も焼いておくように言っておくから大丈夫!」
長官「さあ!始めるよ?!」
凛「…………」
107:
?レッスン後 シンデレラプロジェクトルーム?
閣下「???、以上が発布黒ミサまでの布教活動のスケジュールだ」
閣下「そして、お前達に宿題を与える!」
未央「ええ?、宿題??やだー!」
閣下「フハハハハ!悪魔はお前達人間が嫌がることをするのが生きがいなのだ!」
凛「宿題って何?」
閣下「うむ!お前達にはこのユニットの団体名を考えてもらう」
卯月「わ、私達のですか!?」
未央「めっちゃ重要じゃん!」
卯月「あの、どういう名前がいいとか…」
閣下「そうだねえ、まず、悪そうな名前」
凛「一つ目から却下」
閣下「不気味な名前」
凛「却下」
閣下「怖い名前」
凛「却下」
閣下「凛、貴様、我輩に何か文句でもあるのか」
凛「全部アイドルって感じじゃないでしょ、もう……」
凛「こういうのって、覚えやすいとか、私達らしいとか、そういうのじゃないの?」
閣下「おお、じゃあ、そんな感じの名前で」
凛「はあ……」
卯月「凛ちゃん、すごいです!」
未央「とっさにフォローを入れる姿勢、しぶりんとモンチーもなかなかの名コンビに育ってきましたな!」
凛「茶化さないで」
凛「あと、さ」
凛「聞きたいことあるんだけど、いいかな」
閣下「なんだ?」
凛「――どうして、私達3人なの?」
卯月「あっ……」
未央「……しぶり?ん、私達じゃいや??」
凛「そうじゃない、みく達じゃなくて、私達を選んだのはなんで?」
閣下「ダミアン浜田陛下がお前達をご覧になって御自ら選抜なされたのだ」
凛「ん……よく、わかんない」
未央「歌とかダンスとか、度胸とか?」
閣下「我輩にもわからん、だが陛下には我らにはわからない深いお考えがあるのだろう」
閣下「実際、我輩から見てもお前達はいいチームだと思うぞ」
未央「ほっほ?、嬉しいことをいってくれるじゃん!」
卯月「私、もっと頑張ります!」
凛「……ふーん」
108:
?数日後 シンデレラプロジェクトルーム?
殿下「恐怖のレストランでーす、出前に来たぞー」
未央「あ、ライライ!」
殿下「お、ユニット名の会議ちゃんとやってるな、関心関心」
卯月「でも、なかなか決まらなくって」
凛「色々案を出してみても、これっていうのがないっていうか」
殿下「これからずっと使う名前だからな、いっぱい悩むといい」
未央「そうだ!ライライはなんかいい案ない?」
殿下「ダウ」
卯月「ダウ?」
殿下「ダウ」
凛「何この会話…」
殿下「それか、ぶっひょライジングサンダーだな」
未央「おお!なんか強そう!」
殿下「ぶっひょ!」
卯月「え、ええっと、ぶっひょ!」
殿下「うむ!いいぞ!」
卯月「えへへ、褒められちゃいました!」
凛「だから何なのこれ…」
未央「ねえねえ、聖飢魔IIってどういう風につけたの?」
殿下「ん?聖飢魔IIは我輩が加入した時にはついていた名前だから当時のことは知らないが」
殿下「陛下や閣下は10万年間のゼウスの封印から解き放たれて、地球に征服に来たわけだ」
未央「ふむふむ」
殿下「だから、『聖なるものに飢えている悪魔がIIび蘇る』これを略して聖飢魔IIとなったわけだな」
卯月「な、なるほど、なんだかすごいですね!」
凛「卯月、よくわかってないでしょ」
未央「そっかあ、でもそれだと私達にはちょっと参考にならないねー」
殿下「他の聖飢魔IIの構成員にも聞いてみたらどうだ?」
卯月「他の悪魔さんにも、ですか?」
殿下「うむ、みんな人間とは違う感性の持ち主だ、面白い案が出てくるかもしれないぞ?」
未央「よし!じゃあ、調査に行ってみよっか!」
凛「なんか、あんまりアテにならない気が…」
109:
?受付?
未央「おーい、イッシー!」
和尚「あ、みんな、いえ?い」
卯月「はい!いえ?い、です!」
和尚「急にどうしたの?」
凛「実は、私達のユニット名を考えてるんだけど、なかなか決まらなくって」
卯月「それで、いいアイデアがないか探してるんです」
和尚「なるほど」
未央「ではイッシー、私達にふさわしいユニット名を、3、2、1、はい!」
和尚「動かざること山の如しバンド『いえ?い』!」
卯月「う、うご…?」
未央「う?ん、なんだかなー」
和尚「ダメかー」
凛「まず私達バンドじゃないし」
和尚「じゃあ、飛べない翼、とか?」
未央「なんかそれすっごいネガティブじゃん!」
和尚「う?ん、難しいねえ」
凛「それ以前の問題じゃ…」
?戦闘服部屋?
参謀「え!?何々?ユニット名!?」
未央「そう!ルールーのセンス、ここで見せてくれ!」
参謀「そっかー、どうしようかなー、そうだ!」
卯月「何か思いついたんですか!?」
参謀「スーパーチャリンコユニット、ビューティフルブルーサンダー!」
凛「ブルー…」
未央「しぶりん…?」
参謀「どう!どう!?」
卯月「えっと、却下です!」
参謀「oh...」
未央「しまむー、なにげにバッサリ…」
凛(ブルーサンダーのとこはちょっといいかもなんて言えない…)
?執務室?
陛下「『ほ、ほ、ほ、ほ、本田さんバンド』」
凛「却下」
110:
?シンデレラプロジェクトルーム?
閣下「む、どうしたのだお前達」
未央「もう…無理……」グデー
卯月「何も出てこないです……」
閣下「まあ、まだ時間はあるからのんびり考えることだ」
凛「よかったら、プロデューサーも考えてくれない?」
卯月「お願いします?」
閣下「うむ、では考えておこう」
未央「よろしくー…」
閣下「そうだ、聖飢魔IIの構成員に一度相談してみたらどうだ?」
「「「そ、それはもう……勘弁して…」」」
閣下「?」
松崎「失礼いたします」コンコン
美波「3人共、どうしたの?」ガチャ
アーニャ「? みんな、疲れてますか?」
閣下「おお、来たな」
閣下「諸君、待たせたな、美波達が歌う曲のアレンジが先ほど完成した」
未央「ホント!?」バッ
卯月「私も聞きたいです!」
松崎「私のベストを尽くさせていただきました、自信作でございます」
アーニャ「楽しみです…」
松崎「では、今から発表する前に、1つだけ、よろしいでしょうか」
凛「? 何?」
松崎「皆様もご存知の通り、これからお聞かせする歌は聖飢魔IIの教典から作った曲」
松崎「聖飢魔IIという偉大なグループが、多くの仲魔や信者の皆様と時代を生きた証ともいうべき教典でございます」
松崎「その歌を歌われるにあたり、皆様にはそのことを、よく知っておいて頂きたいのです」
松崎「重責を感じろというわけではありません、ただ、そのことを強く強く誇りに思っていただけたら幸いです」
松崎「……余計な話をしました、閣下、申し訳ありません」
閣下「いや、マツザキ様、ありがとう」
閣下「今マツザキ様が言った通りだ、お前達は名誉とともにデビューを果たすのだ、誇りに思うがいい」
閣下「そしてマツザキ様の思いを決して裏切ってはならない、いいな?」
「「「「「はい!」」」」」
松崎「ありがとうございます」
松崎「では、早聞いていただきましょう」
アーニャ「これが…」
美波「私達の……」
111:
?数日後?
みりあ「今日、美波ちゃんたちレコーディングなんだって!」
莉嘉「いいな?アタシも歌いた?い」
莉嘉「よーし、デーくんに許可欲しいって言いに行くぞ?!」
みく「言っても、ダメって言われるのがオチにゃ」
莉嘉「じゃあ、どうするの??」
みく「…………あ」
みく「……ふふ?ん」
莉嘉&みりあ「?」
?レコーディングルーム?
美波「傷つけあう?♪相手も知れずに?♪」
卯月「美波さん、キレイでカッコいいです!」
アーニャ「ミナミ、たくさん練習してました」
長官「はい、美波ちゃんOK!」
松崎「大変いい流れですので、このまま一度続きも録ってしまいましょうか」
美波「はい!よろしくお願いします!」
未央「ねえねえ、このLOVE LAIKAっていうのが2人のユニット名?」
アーニャ「はい…ちょっと、恥ずかしいです…」
凛「ライカって……どういう意味?」
閣下「ライカは、史上初めて宇宙船に乗り地球軌道を周回した犬の名前だな」
アーニャ「да、はい、そうです」
凛「そうなんだ、いい名前だね」
アーニャ「ありがとうございます」
?更衣室?
卯月「そういえばライブ、一緒にやるんですよね!」
美波「うん…一緒でよかった、私達だけだったら、ね」
アーニャ「うん…」
未央「えー!?ミナミん達なら問題ないでしょ、お客さんも盛り上がってくれるって!」
凛「なにか、あるの?」
美波「ううん、何も、何もないから心配なのかな…」
凛「それは、自信とかそういう…」
美波「うん、私達には閣下さん達がくれたステキな曲と、衣装しかないでしょう?」
美波「まだステージに立ったこと一度もないし…」
アーニャ「ミナミ……」ギュ
美波「っ!し、しっかりしなきゃね!選ばれたんだから、頑張らなきゃ!」
凛「…………」
112:
?シンデレラプロジェクトルーム?
閣下「む、どうしたのだお前達みんな集まって」ガチャ
みく「あ!デーちゃん、聞いて聞いて!」
閣下「なんだ、随分と楽しそうじゃあないか」
みく「みく達が考えた、渾身のデビュー案にゃ!」
閣下「何?……武道館ゲリラ黒ミサ?なんだこれは」
李衣菜「いや、黒ミサじゃなくってゲリラライブなんだけど…」
莉嘉「そもそも会場抑えてる時点でゲリラじゃないし」
閣下「ふむ、だがわかった、陛下にお渡ししておこう」
みりあ「ホント!?」
閣下「ああ、だが、採用される保証はないと思っておくように」
みく「そんな…」
長官「あれ?みんな集まってどうしたの?」
参謀「何これ、渋谷でゲリラ黒ミサ、いいね?!」
莉嘉「でしょでしょ?!!さっすがルーくんわかってる?☆」
智恵理「みんなで、私達のデビュー案を考えてたんです」
蘭子「我がグリモワールの封印は解かれ、禁じられし術が放たれたわ!」
和尚「そっかー、楽しそうだねー」
みく「でも、デーちゃんは採用できないって言ってたにゃ……」
きらり「残念だったにぃ…」
殿下「まあ、閣下にも色々考えがあるんだろう」
かな子「そうですよね!いっぱい練習すれば、私達もきっと…」
参謀「うんうん」
みく「でも、みくはもう辛抱ならんにゃ…」
智恵理「みくちゃん?」
みく「こうなったら、デーちゃんにストライキにゃ!」
杏「ストライキ!?」
長官「閣下にストライキ!?」
113:
和尚「でも、閣下はみんなのことちゃんと考えてると思うよ?」
みく「だって、みくがいくら頼んでもデビューさせてくれないし…」
みく「きっと、ワガママなみくが嫌いなんだにゃ…」
殿下「ただ順番があって、今回はそれが君じゃなかっただけだろう」
参謀「それに、閣下はみくちゃんみたいに自分の意見を言える子は大好きだと思うよ?」
和尚「この前も酒の席で言ってたよ、プロジェクトのみんな、自分がトップアイドルにするんだって」
参謀「身内にどこまでも甘い悪魔だからね?wwホントはみくちゃんやみんなのこと、早くデビューさせたくって仕方がないんだよ」
「それに、毎日のように他の構成員のデビューはいつか聞いてくるくらいだからな、全くあの悪魔は」
殿下「お、陛下、お疲れ様です!」
みく「ダミちゃん、今の話、ホント…?」
陛下「ああ、本当だ……む、みりあくんのレッサーパンダに囲まれての黒ミサはいいな、将来的に採用しよう」
みりあ「ホント!?」
陛下「ああ、私はアニマルプリントが好きだからな」
きらり「やっぱりデーちゃんは、きらり達のことちゃあんと考えてくれてたんだにぃ☆」
陛下「おそらく、地球上でもっとも君達を思っている悪魔だろうな」
智恵理「みくちゃん、だからストライキなんてやめよ?」
みく「う、うn「そんなことでどうする!」
「「「「「「…………え?」」」」」」
長官「みくちゃん、君は閣下に一言もの申したいんだろう!?そんなに簡単に折れてどうする!!」
みく「いや、みくは、デーちゃんがみく達のこと考えてくれてるならそれで…」
長官「いいや、君は!あの悪魔にちゃんと言うべきだ!この相撲バカ!マザコン!給料あげろって!」
みく「あ、あの……」
長官「心細いなら俺も共に行こう……他に一緒に来る者はいるか!?」
杏「はい!杏は働きたくありません!」
長官「よし!ならば共に行こう!」
和尚「また怒られるよ??」
長官「今まではそうだった……だが今日こそは、あのマザコン関取悪魔に黒星の味を思い知らせてやる!!」
長官「さあ行くぞみくちゃん杏ちゃん、やられたらやり返せ…………ストライキだ!!!!!」
114:
?喫茶店前?
閣下「………………………………………で、こうなったわけだな?」
かな子「み、みくちゃんは!みくちゃんはストライキなんてやめようと思ってたんですよ!?」
智恵理「で、でも、あの人が……」チラ
長官「我々は、権力には断固として屈しない!!マザコン相撲バカにはもっと屈しない!!」
杏「杏は週休8日を希望する!!」
長官「そうだそうだ!給料上げろ!」
みく「え…これ、みく関係ないんじゃ……」
閣下「…………概ね事態は把握した」
きらり「杏ちゃん!こんなことしちゃ、めっ、だよ!みんな困ってるよ?!」
楓「なんだか、賑やかになってますね」ヒョコ
閣下「恥ずかしい限りだ……」
楓「でもどうするんですか?ストライキをあんまり無視すーと、来季まで続いちゃいますよ、ふふっ」
閣下「まあ、地獄ではあの程度日常茶飯事だからな…」
未央「無駄な抵抗はやめて投降しろー!君たちは完全に包囲されているー!」
莉嘉「そうだそうだー!」
みりあ「そうだー!」
長官「我々に説得など無意味!我々は、最後の一人になっても戦う覚悟を決めている!!」
みく「みくもう投降していい…?」
長官「ダメだ!!」
長官「君たちのデビューを、あの悪魔の口から確約させるまで絶対に諦めるな!!」
杏「え!?デビュー!?……じゃあ杏は降りるよ…」
長官「あのわからず屋の頭でっかちの悪魔に、君の口からちゃんと伝えるんだ!」
長官「お前のはっきりしない態度のせいで、こっちはいい迷惑だって言ってやれ!!」
長官「お前も、黙ってみてないでこっちに来い!!」
閣下「…………」スッ
みく「で、デーちゃん…」
閣下「このストライキは、我輩に向けてのもので間違いないな?」
長官「そうだ!」
長官「ほら、みくちゃん、言ってやれ」
みく「でも……」
閣下「みく、お前の要求を全て聞かせてくれ」
115:
みく「…………なんで、なんでみくが何度頼んでも、デビューさせてくれないの?」
閣下「…………」
みく「みく達も頑張ってるのになんで……」
閣下「…………」
みく「シンデレラプロジェクトのオーディション受かって、すごく嬉しかった!」
閣下「…………」
みく「小さいお仕事も頑張ってやったら、いつかデビューできるって信じてた!」
閣下「…………それで?」
みく「でも、どんどん置いてかれて、放っておかれて……何が違うの?」
閣下「…………それで?」
みく「もっと頑張ればいいの?もっとってどれくらい!?みく全然わかんない!!」
閣下「…………それで?」
みく「このままはいや……みくもアイドルになりたい!!デビューしたい!!!」
閣下「…………それが、お前の要求だな?」
みく「…………」
閣下「お前も、他の全ての構成員も、デビューの準備は進んでいる」
みく「……ホント?」
閣下「ああ、今回が第一弾、その後のユニットも既にいくつかは決定している」
みく「……ホント?」
閣下「我輩は、誰一人として疎かにはせん」
閣下「お前達は、全員トップアイドルになるのだ」
閣下「我輩はお前の要求を受け入れよう、時間はかかるが、必ずやお前をデビューさせ、頂点まで連れ去ろう」
みく「デーちゃん……」
みく「ホントだった…、ちゃんとみく達のこと考えてくれてるって、ホントだった…」
みく「もお、だったらちゃんと、言ってにゃあ……っ」
閣下「心配をかけて済まなかった」
凛「ホントだよ……」
未央「でも、これで万事解決だね!!」
きらり「ほら、みくちゃんも、杏ちゃんも、お片づけしよ!」
みく「うん……うん!!」
閣下「――清水さん、ご迷惑、おかけしました」
長官「……別にいいよ」
116:
?翌日 執務室?
   
長官「いや、違うんですよ閣下、あれはみくちゃんを奮い立たせるために…」
閣下「ほお、それで我輩にあんな罵倒を?」
長官「俺だって本当はいいたくなかったんですよ!わかってくださいよ!」
ちひろ「そういえば清水さん、お給料にも文句があるとか?」
長官「いやいや!!それは346プロじゃなくて地獄の!!」
閣下「地獄の給金に文句が!?それは申し訳ないことをした……」
長官「あー!間違えた!俺は一切職場に対して不平不満はなかった!常日頃から最大限の感謝を持って働かせて頂いていたんだった!」
閣下「だが、我輩には不満があると?」
長官「いやいや滅相も!」
閣下「……そろそろ覚悟はできたか?」
長官「あの…毎回こういうオチって、飽きられるしどうかと……」
閣下「そうか、では次回は何か考えておこう」
長官「ああ、やっぱり……」
閣下「お前も蝋人形にしてやろうかあああああああああ!!!!!」ロウニンギョー!!
長官「蝋人形にはなりたくなあああああああああああああああああああああいいいいいいい!!!!!」
117:
?シンデレラプロジェクトルーム?
未央「おお!これが私達の曲!?」
凛「やっぱり、かっこいい…」
卯月「あ、あの…長官さんはどうしたんですか……?」
長官「」カチンコチン
閣下「新しい就職先がオブジェになってな、予行練習だ」
卯月「そうなんですか!あと、このnew generationsっていう名前は?」
閣下「我輩が考案したお前達のユニット名だ」
未央「おお!」
凛「なんて意味?」
閣下「直訳すれば”新世代”」
閣下「これまでの常識や慣習を破り、新たな世界を自らの手で切り開いて欲しいという我輩の願い」
閣下「そして、聖飢魔IIに続く者達としての名として『新たな世紀を悪魔に代わり支配する』という意味を込めた」
未央「へえ!」
卯月「かっこいいです!」
凛「うん、いいんじゃない」
閣下「フハハハハ!では、お前達は今日からnew generetionsだ!」
閣下「ちなみに、他の案としては『非力河童人間』というのもあったがどうだ?」
凛「そっちは却下で、もう、わかって言ってるでしょ…」
閣下「フハハハハ!フハハハハハハハ!」
長官「」カチンコチン
第5話 I don't want to become a wax doll 終
124:
第6話 Finally,our bad day has come!
?レコーディングルーム?
凛「退屈な時間なら 砂にうずめたい?♪」
閣下「うむ、凛も問題なさそうだな」
未央「そりゃあ私達は、あのエーちゃんのシゴキに耐えてきたんだからね!」
長官「シゴキって、そんな厳しくなかったでしょ?」
卯月「私、何度泣いたかわからないです…」
未央「今レコーディング中のしぶりんも、実は影で涙していたとか…」
長官「……え、そうなの?」
凛「未央、泣いてないから」
未央「まったまた?、このちゃんみおは知ってるよ??」
未央「しぶりんが、『ごめん、卯月、未央、今日は先に帰って』って言う時は毎回一人でレッスンルームにこもって…」
凛「もう!うるさい!」
未央「レッスンの時のエーちゃんは悪魔だからね!」
長官「いや、いつでも悪魔だから」
閣下「だが、そんなこと言っているが、長官だって毎回レッスンが終わると泣いてたんだぞ?」
卯月「そうなんですか!?」
閣下「ああ、『あんな可愛い子達を泣かせるなんて、俺はなんて酷い悪魔なんだ!』って自棄酒煽りながら」
未央「泣く位ならもっと優しく教えてくれればいいのに?」
閣下「だが、その涙の日々があったからこそ、今日のレコーディングがあるのだ」
未央「うんうん、最後はモンチーもコーチに加わって、いつも優しいモンチーの厳しい姿にまたしぶりんは…」
凛「ちょっと、未央、ホントに怒るよ!!」
125:
善澤「それじゃあ、一人ずつCDデビューに向けてのコメントを貰えますか?」
卯月「は、はい!島村卯月です!あの、とにかく頑張ります!」
凛「渋谷凛です、えっと、まだ実感ないけど、頑張ります」
未央「リーダーの本田未央です!みんなに私達のCD聞いて欲しいです!」
閣下「教祖のデーモンである、この教典発布に伴い更なる信者の拡大を期待している!」
凛「なんでプロデューサーまで答えてるの」
善澤「は、ははは、ユニークなプロデューサーさんだね」
善澤「せっかくだし、プロデューサーさんからも、彼女たちについて一言いただけますか?」
閣下「うむ、この記事を読んでいる人間共よ、喜べ、諸君達は今の地上でもっとも不幸だ」
閣下「これからアイドル活動を通して地上を支配する3人の少女達、その発生して最初のインタビューを読む事ができるのだからな」
閣下「ニュージェネレーションはただのアイドルグループではない、悪魔に選ばれし史上最悪の『真泥霊羅プロジェクト』の一番槍なのだからな!!」
善澤「史上最悪の?最高じゃあなくて?」
閣下「最悪とは、悪魔にとって素晴らしい褒め言葉なのだ!フハハハハ!」
善澤「ふむ、これは面白い記事が書けそうだ…」
閣下「せいぜい悪い記事を頼むぞ?フハハハハハハハ!」
126:
?シンデレラプロジェクトルーム?
卯月「はあ、緊張した?…」
凛「でも、最後の方はプロデューサーのインタビューになってなかった?」
未央「私だって、もっといっぱい喋りたかったのにー!」
閣下「フハハハハ!すまんすまん」
卯月「でも、未央ちゃん頼もしかったです!」
未央「私がリーダーだからね、頑張らなきゃ!」
未央「それにしても、インタビューって案外地味なんだね、もっと大きな記者会見とかじゃないんだ…」
閣下「心配せずとも、お前達がより大きくなれば向こうから記者が詰めかけてくる」
未央「そっかー、うん、そうだよね!!」
凛「プロデューサー、随分慣れてたけど…」
閣下「聖飢魔II時代はミサやTVやラジオはもちろん、CMにゲームと引っ張りだこだったからな」
卯月「そうなんですか、閣下さんはやっぱりすごい人なんですね…」
閣下「フハハハハ!もちろんだ、だが一つ訂正するならば、我輩はすごい人ではなくすごい悪魔だ」
卯月「そうでした、エヘヘ」
未央「でもでも、私達だってすぐにそんな風にお仕事いっぱいくるんだよね!?」
凛「うん、そうなるといいね」
美波「あら、未央ちゃん達もインタビュー終わったのね」ガチャ
未央「お、ラブライカの2人だ」
未央「聞いてるよ??すっごい堂々とインタビューに答えてたんだって?」
卯月「大人の記者さんの前で、スゴイです!」
美波「えへへ、実は、ずっと緊張して足が震えてたの…」
アーニャ「すごく、ドキドキでした…」
閣下「記者の男も、立派だと褒めていたぞ」
美波「そうなんですか?…嬉しい」
アーニャ「いっぱい、練習しました」
卯月「練習って、インタビューのですか?」
美波「うん、こんなことを聞かれたらこう答えようって、ちゃんと私達の気持ちを伝えたかったから」
凛「私達もやればよかったかな?」
未央「終わったことを言っても仕方ない!その分はミニライブでがんばろう!」
卯月「うん!」
127:
?レッスンルーム?
長官「凛ちゃん!もっと声を前に飛ばすイメージ!」
長官「卯月ちゃんはいつも同じセクションで音が飛んでる!」
長官「未央ちゃん、一人だけで歌わない!」
長官「この曲はハーモニーが命!完成しないならライブは見送るからな!」
「「「は、はい!!!」」」
卯月「今日も、いっぱい怒られちゃいました…」
凛「レコーディングが終わっても、スパルタは変わらないんだね」
未央「でも、ライブでは大勢のお客さんの前で歌うんだもん、頑張らなきゃね!」
?戦闘服部屋?
参謀「みんなすっごい可愛い!!天使!いや、悪魔!!小悪魔だよ!!」
凛「悪魔って……それ、褒めてるの?」
参謀「もちろん!!」
参謀「ちなみに、今回の戦闘服はネットに入れればご家庭の洗濯機でもザバザバ洗える仕様になっております」
卯月「じゃあ、ママも簡単にお洗濯できますね!」
凛「そもそも、衣装って家じゃ洗わないでしょ」
未央「でも、今度はこの衣装でまたあの時みたいなライブができるんだよね…」
凛「……うん」
卯月「しかも、今度は3人で!」
美波「失礼します」ガチャ
アーニャ「хорошо…」
閣下「うむ、よく似合っている」
参謀「美波ちゃんとアーニャちゃんの戦闘服もあるから、はやく!」
128:
未央「お?!!」
卯月「すごくキレイです!!」
参謀「閣下……」
閣下「なんだ」
参謀「この2人が天使だと言うのなら、悪魔を裏切り神の側についたジードを、俺は責めることができません…」
閣下「あ、そうですか」
美波「ち、ちょっと恥ずかしいな…」
参謀「恥じらう姿もまたよし!」グッ
アーニャ「私、大丈夫ですか?」
参謀「もうぜんっぜん大丈夫!むしろ俺が大丈夫じゃない!!」
凛「うん、すごく似合ってると思うよ」
アーニャ「спасибо!」
未央「これでニュージェネレーションズもラブライカも、ライブの準備はバッチリだね!」
未央「みんなのトップバッターとして、ガツンとかましてこようね!」
美波「うん!」
129:
?ラジオ局?
藍子「高森藍子の、ゆるふわタイム!」
藍子「今日のゲストはCDデビューも間近のニュージェネレーションズの皆さん………と……」
未央「せーのっ」
「「「こんにちは!ニュージェネレーションズです!」」」
和尚「いえ?い」
藍子「え、えっと……346プロダクションの受付悪魔で元、魔界文化局長、ゼノン石川和尚さん、です……?」
和尚「ラジオの前のみなさん、ゼノン石川です、よろしく」
藍子「ぜ、ゼノンさんは、普段はただの受付悪魔ですが、今回はニュージェネレーションズのCDジャケットを担当されたそうです」
和尚「担当しちゃいました」
和尚「今日はニュージェネレーションズのみんなが動かない仕事ということで、それならば、と思い参加させてもらうことになりました」
藍子「は、はあ」
未央「私達のプロデューサーが冗談で聞いてみたら『動かないなら』って快諾してくれたんだよね!」
未央「で、シンデレラプロジェクトの部長さんも面白そうだからってGOを出して」
藍子「うちのディレクターさんも悪魔がゲストは面白いからOKって言ってました…」
凛「お互い、苦労しますね…」
藍子「あ、あははは」
藍子「皆さん、これからデビューということで、もちろんこのラジオは初めてですよね、少し質問させてもらっちゃいます!」
未央「はい!なんでも聞いてください!」
和尚「でもちょっと恥ずかしいな」
藍子「じゃあ、みんな休日はどんな風に過ごしていますか?まずはリーダーの未央ちゃんから!」
未央「はい!皆さん、はじめまして!ニュージェネレーションズのリーダー、本田未央です!」
未央「休みの日は、友達とショッピングに行くことが多いかなー、あ!でも最近はライブに備えて色々なアイドルのライブの映像を見て勉強したりもするかな!」
藍子「未央ちゃんは勉強熱心なんですね!」
未央「えへへー、やっぱりたくさんのお客さんをみんな楽しませたいから!」
藍子「お友達とショッピングっていうのも、楽しそうだね」
未央「私、いろんな人と仲良くなりたくってアイドルになったんです!で、仲良くなると、すぐに遊びに誘っちゃうって感じで」
藍子「そうなんだ、じゃあ、私も仲良くなったら誘ってもらえるのかな?」
未央「誘っていいんですか!?」
藍子「うん!私ものんびりお散歩するの大好きだから誘ってほしいな」
130:
未央「誘っていいんですか!?」
藍子「うん!私ものんびりお散歩するの大好きだから誘ってほしいな」
凛「未央、ホントによく誘いに来るよね」
卯月「最近はライブの自主トレをみんなでするついでに事務所の近くにお出かけしたりもしました!」
藍子「楽しそうですね?、じゃあ、みんなの事務所の近くを歩いてたら、もしかしたらニュージェネレーションズに会えるかもしれないんですね」
未央「あ、でも、私達に会いたいからってあんまりウロウロしてると、悪魔に捕まっちゃうかもしれないよ?!」
藍子「それはちょっと怖いかも……」
凛「でも、悪魔って言ってもこんな感じですから」
和尚「どうも、悪魔です」
藍子「あはは、こんな悪魔さんなら怖くないですねっ」
和尚「ホントは怖いんだぞー?」
藍子「では続いて、卯月ちゃん!」
卯月「は、はい!はじめまして、島村卯月です!」
卯月「えっと、私、お友達と電話するのが好きでお休みの日はついつい長電話しちゃいます」
藍子「あ、ちょっとわかるかも、お友達とお喋りって楽しいよね?」
卯月「はい!最初はちょっとだけ、って思うんですけど気がつくと長くなっちゃってて…」
藍子「わかるわかる!私もお昼から話してて、気がつくと夜になってるってことがよくあって…」
凛「それはさすがに…」
未央「このラジオ、気がついたら放送時間オーバーしてたりしないですよね…?」
藍子「だ、大丈夫!そこはさすがに、たまにしか…」
凛「たまにはあるんだ…」
藍子「え、えっと、じゃあニュージェネレーションズのみんなで長電話することもあるの?」
卯月「はい!未央ちゃんとはよくしますね、凛ちゃんはあんまり長々電話でお喋りするの、好きじゃないみたいで」
凛「なんていうか、電話で話すより実際に会って話せばいいんじゃないかって思っちゃって…」
卯月「あとは、ニュージェネレーションズの3人で電話でお喋りすることもありますね!」
藍子「そういえば、ゼノンさん、悪魔も長電話をすることってあるんですか?」
和尚「まず、地獄には電話がありません」
卯月「え!?そうなんですか?」
和尚「悪魔は念話をすることができるから人間のように電話という機械を使う必要がありません」
未央「なるほどー」
和尚「つまり、僕がぼーっとしている時も、実は重要な会議をしている可能性もあるわけですね」
凛「絶対にそんなことしてないでしょ」
和尚「ちなみに、地上では普通に電話をします、長電話も悪魔によってはします」
藍子「やっぱりそこはするんですね…」
131:
藍子「じゃあ、次は凛ちゃんお願いします」
凛「はい、はじめまして、渋谷凛です」
凛「私は、休みの日は犬の散歩とか家の手伝いをしてるかな」
藍子「凛ちゃんは犬を飼ってるんですね」
凛「はい、うちが花屋だから、ハナコって名前の子が」
卯月「ハナコちゃん、可愛いですよね!」
未央「小さくってモフモフで、ニュージェネレーションズの影のアイドルだよね!」
藍子「へえ?、私も見てみたいなあ!」
凛「よかったら、収録後に写真をお見せしますね」
藍子「ホント?ありがとう!」
卯月「ハナコちゃん、ホントにいい子で、私達もよく一緒にお散歩させてもらうんですけど」
未央「人懐っこくって、素直になれないご主人様の代わりに甘え上手に育って…」
凛「ち、ちょっと未央!ラジオでそういうこと言わないで!」
藍子「あはは、ゼノンさん、ちなみに地獄にはワンちゃんはいるんですか?」
和尚「もちろんいます、有名なのは地獄の番犬ケルベロスです」
未央「あの頭が3つっていう奴?」
和尚「その通り」
藍子「ちょっと怖いですね…」
和尚「陛下が地上から戻られてからはたべっこどうぶつが大好物みたいです」
卯月「肉食、なんでしょうか…?」
凛「地獄って、なんで素直に怖くなれないの?」
和尚「ペット愛好悪魔はたくさんいますが、最近はサタン45世、ダミアン浜田陛下が無類のアニマルプリント好きということもあり数千年ぶりのペットブームが来ています」
藍子「数千年……地獄はブームも桁が違いますね…」
藍子「ちなみに、ゼノンさんはお休みの日はどうしていますか?」
和尚「僕は近所を散歩しながら写真を撮るのが好きですね」
未央「とても悪魔とは思えないのどかな休日……」
132:
藍子「そうなんですか!私も近所をカメラを持ってお散歩するのが好きなんです!」
和尚「そうなんですか、では、今度のお休みはぜひ一緒に撮影の旅に出かけませんかお嬢さん」
藍子「楽しそうですね?」
凛「アイドルとして、いいの?」
藍子「アイドルは恋愛禁止ですけど、ゼノンさんはそもそも悪魔ですから、そういう枠には入らないんじゃないかな」
和尚「何気に酷いことをいいますねお嬢さん」
藍子「そういえば、皆さんは今度デビュー曲の発売イベントでミニライブがあるということですが」
藍子「はじめてファンの人達の前で歌う気持ちはどうでしょう?」
未央「はい!すっごく楽しみです!お客さんみんなに元気パワーをズドドドーって届けたいです!」
藍子「ズドドドーって、なんだかスゴそうですねっ、凛ちゃんはどうですか?」
凛「え、えっと、楽しみにしてます…」
未央「しぶり?ん、もっとテンション上げてこうよ!ほら、イッシーみたいに!」
和尚「いえ?い」
卯月「いえ?い!」
未央「ほらほら、しぶりんも!」
凛「ええ……い、いえ?い…って何なのこれ!」
藍子「あははっ、凛ちゃんのいえ?いは、可愛らしいですねっ」
藍子「卯月ちゃんはどうです?」
卯月「はい!頑張ります!」
藍子「はい、がんばってくださいね!」
藍子「ゼノンさんは以前はご自身もステージに立たれていたとのことですが、何かみんなにアドバイスはありますか?」
和尚「僕は基本的に動かないポジションだったので、ダンスをしながら歌うのは大変だと思いますががんばってください」
未央「ちょっと、イッシー何それ?!」アハハ
133:
?数日後 執務室?
和尚「石川で?す、入りますよ?」
閣下「おお、和尚、すまんな、急にラジオ出演を頼んで」
和尚「久々の布教活動だったから緊張しちゃいましたよ」
閣下「ちっともそんな風には見えなかったが…」
陛下「で、ゼノンよ、数日過ごしてみて彼女たちの心の様子はどうだった?」
ちひろ「みんな、やっぱり不安が募ってるんでしょうか…」
和尚「はい、それぞれ心の陰りはありますけど、でもなんとかなるレベルですね」
和尚「ラブライカの2人はまだちょっと不安の心が大きいけど互いに力を合わせれば大丈夫だって気持ちでがんばってます」
ちひろ「よかった……」ホッ
閣下「うむ、やはり和尚に調査を頼んだのは正解だったようだ」
和尚「ただ閣下、一個だけ気がかりなことがありまして…」
閣下「……なんだ?」
和尚「未央ちゃんだけ、全然心が読めないんですよね」
陛下「我々悪魔が負の感情しか読めん、それは千里眼を持つゼノンも同じだな」
和尚「はい、つまり、5人のうちで未央ちゃんだけが」
閣下「心に不安や迷いをほとんど抱いていない、ということか」
ちひろ「でも、それはいいことなのでは?リーダーとして心強いじゃないですか!」
陛下「これがベテランのグループであれば、そうも言えたがな」
和尚「はい、あの子達は初舞台ですから、まずありえないことかと思います」
陛下「デーモン、どう思う?」
閣下「……まだ奴らはデビュー前、我々に対するゼウスの妨害ということは考えにくいでしょう」
閣下「単純にミサを前に興奮しているのだと思いたいところですな」
陛下「うむ、だが、最悪のケースが来てくれるとは限らん」
陛下「デーモンよ、常に最善の場合を想定し警戒を怠るな」
閣下「畏まりました、和尚よ、明日はミサの会場に呼べる聖飢魔IIの構成員を全て集めゼウスの警戒にあたってくれ」
和尚「わかりました」
閣下「明日は我らが征服活動の魁となる記念すべき日、なんとしても最悪の結果で終わらせるのだ!!」
134:
?黒ミサ当日 サンセットシティ舞台裏?
閣下「フハハハハ!フハハハハハハハ!集まったな諸君、今日はこの悪しき日を存分に楽しもうではないか!」
卯月「は、はい!」
美波「まず、私達がやって、その後にニュージェネレーションズになるんですよね?」
閣下「うむ!先鋒は戦の花形、存分に暴れまわるが良い!」
アーニャ「カッカ、暴れたら、危ないですよ?」
閣下「思いっきり楽しめ、ということだ!」
閣下「まずはリハーサル、黒ミサの計はリハーサルにあり、さあ行け!」
「「「「「はい!!」」」」」
スタッフ「はいオッケーです、じゃあ本番もよろしくお願いしまーす」
「「「よろしくお願いします!」」」
閣下「皆、ご苦労であった、ひとまず楽屋で休むといい」
卯月「うう、やっぱり緊張します…」
アーニャ「はい、ドキドキ、ですね…」
閣下「……ここまでは、問題なさそうだな」
未央「ねえねえ、モンチー」テクテク
閣下「む、どうした?」
未央「ステージ、こんな感じで大丈夫かな?」
閣下「フハハハハ!どうした、今更怖気づいたか?」
未央「そうじゃなくって!お客さんがいっぱい集まったら、お店とか通る人の邪魔になりそうだよねー」
未央「私、結構友達に声かけちゃったけど、大丈夫かな?」
閣下「なるほど、むしろ自信だったか、これは心強い、フハハハハ!」
閣下「大丈夫、お前達はステージの心配だけしていればよい」
閣下「たとえゼウスにもお前達のミサの邪魔はさせん!」
未央「? そう?モンチーがそういうなら、いいんだけど…」テクテク
閣下「……なるほど、和尚が言った通りだな」
135:
?楽屋?
参謀「よ?し、それじゃあ、みんな可愛くメーキャップしちゃうからね?!」
卯月「はい!よろしくお願いします!」
参謀「まっかせて!」
参謀「ああ…相変わらず凛ちゃんの髪すごいサラサラ……」
凛「そ、そうかな…」
参謀「いいなー、地獄のパーマ液は強いからすぐに髪が傷んじゃうんだよね?」
凛「人間のじゃダメなの?」
参謀「それだと悪魔の髪には弱すぎてさあ」
参謀「でも、髪を傷めるのは『神を痛める』に繋がるとされてて、地獄ではどんどん髪をキシキシにするのが流行っててさ」
参謀「サラサラの方がいいのにね?」
未央「もしもし、なっちゃん?あと少しで開演だから早く来てよ?場所なくなっちゃうよ?」
未央「うん、うん、じゃあまたね」プチ
参謀「お友達?」
未央「うん、クラスの友達全員に声かけてて…」
卯月「す、すごいです…」
未央「でももっと早く来てって言っておけばよかった、早くこないと後ろからだと見えなくなっちゃうかもしれないし…」
凛「二階からも見えるみたいだし大丈夫じゃない?」
未央「でも…」
参謀「ああ、人間は飛べないからね?」
長官「お?い、みんな応援に来てくれたぞ!」ガチャ!
かな子「差し入れ持って来たよ?」
きらり「おっすおっす☆」
美波「みんな、ありがとう!」
かな子「はい、マカロン!」ドーン
美波「あ、ありがとう…」
未央「って、こんなに食べたら衣装入らなくなるってー!」
かな子「えー!?美味しいから大丈夫だよ!」
参謀「え、どういうこと…?」
長官「悪魔にもわからない謎理論だ…!」
136:
智絵里「そうだ、あのね、みくちゃんとみりあちゃん、莉嘉ちゃんはお仕事で来られないけど、ムービーメールをもらってきました!」ピッピ
みく『ライバルとして応援してやるにゃ!ヘマしないように頑張れにゃ!』
みりあ&莉嘉『がんばれ!にゃあ?!』
未央「おお!」
美波「ふふっ」
卯月「うれしいです!」
長官「みくにゃん……っ…!」
李衣菜「なんでエースさんが感極まってるのさ…」
きらり「じゃじゃ??ん!!きらりも、杏ちゃんからメッセージもらってきたよ?!」
杏『…………がんばれ……おみやげは甘い飴で、よろしく……」
参謀「杏ちゃん……っ…!」
凛「今のに、感動する要素なかったでしょ」
蘭子「フフフ、狂乱の宴の準備は、整ったようだな」
凛「う、うん」
李衣菜「私的には、もっとロックな衣装の方が好きだけど、それもなかなかいいじゃん?」
凛「ありがと」
美嘉「お、みんな来てるね?★」ガチャ
閣下「そこでたまたま会ってな」
未央「美嘉姉!」
美嘉「袖でしっかり見てるからさ!ぶちかましちゃいなよ★」
未央「オッケー!」
卯月「が、頑張ります!」
美波&アーニャ「…………」コクン
凛「……うん」
閣下「では、まもなく黒ミサの開演だ、スタンバイを頼む」
閣下「長官は我輩と共に来い、参謀は打ち合わせ通りに」
「「「「「はい!」」」」」
137:
?舞台裏?
閣下「諸君、今宵は我々が目指す黄金の都への第一歩を踏み出す日だ、各々全力を尽くすように」
美波「……はい」
未央「そ、それだけ?」
閣下「ああ」
卯月「が、頑張ります!」
アーニャ「はい!」
凛「うん」
閣下「よし、では行こう!」
?舞台袖?
美波「……っ」
アーニャ「ミナミ?」
美波「……っ!な、何?」
アーニャ「рукопожатие、握手、しましょう」
美波「あ、……ええ」
アーニャ「私もさっきから、手、震えてます」
美波「アーニャちゃん……」
閣下「準備は、できたか?」
美波「はい」
閣下「不安か?」
アーニャ「……はい」
閣下「アーニャよ、初めて会った時を覚えているか?」
アーニャ「……?」
閣下「Желаю удачи, Минами」
アーニャ「! か、カッカ……」
美波「今の、ロシア語ですか…?」
閣下「うむ、アーニャよ、我輩はお前との約束通りロシア語を猛特訓で覚えている」
閣下「我輩のロシア語はどうだった?」
アーニャ「Хорошо、とっても上手でした…」
閣下「ありがとう、だが我輩は知っているぞ?我輩が仕事の合間に勉強するよりも、お前達の方がずっと今日のミサに向けて練習を重ねてきたことを」
閣下「恐れることはない、お前達ならきっと大丈夫だ」
アーニャ「カッカ、ありがとう、ございます」
美波「私達のこと、見ててくださいね」
閣下「もちろんだ、さあ、早くゆけ、早くゆけ」
「「はい!」」
「「はじめまして、ラブライカです!聞いてください、『ARCADIA』!」」
閣下「そうだ、それでいい、お前達が強く願うならきっと、どこへだって2人でたどり着けるのだから…」
138:
閣下「さあ、ラブライカは行ったぞ、次はお前達の番だな」
卯月「はい!」
凛「……うん」
未央「まっかせてよ!」
閣下「さあ、お前達も行って来い!」
「「「はい!」」」
和尚『閣下、聞こえますかー、ここまでゼウスの妨害はありませんでしたー』
閣下「うむ!」
参謀『もう大丈夫だとは思うけど、引き続き警備を続けますねー』
閣下「頼むぞ」
アーニャ「カッカ、カッカ!」ギュ!
美波「私、私…!」
閣下「戻ったな、お前達」ナデ
アーニャ「カッカ、私達、ちゃんとできましたか?」
美波「お客さん、喜んでくれたでしょうか?」
閣下「お前達が素晴らしいミサを行ったことは、お前達の歌を聞いた聴衆の拍手が全て物語っていた」
閣下「無論、客の数は少なかったかもしれん、だが我輩の耳には、彼らの拍手が割れんばかりの大喝采に聞こえたぞ」
閣下「お前達はどうだ?」
美波「はい!頑張って、本当によかったです…っ!」
アーニャ「カッカ、本当にありがとう!」
美波「ありがとう、っ、ございます!」
美波「ごめんなさい、安心して、嬉しくて、私…っ……」
閣下「フハハハハ、泣くが良い、感情のままに、喜びのままに涙を流すお前は、誰より美しい」ナデナデ
参謀『閣下、大変です…』
閣下「! ゼウスの妨害か…!?」
閣下「いや、あれは……!」
139:
?舞台裏?
未央「…………」
アーニャ「未央、お疲れ様、でした……未央?」
未央「…………」
卯月「未央ちゃん、待って!」
美嘉「おっつかれー!みんな、よかったよー★」
未央「…………」
美嘉「って、あれ…?」
未央「…………」
閣下「――どこへ行く、未央」
未央「…………」
閣下「我輩は、大恩ある先輩の労いを無視していいなどと教えた覚えはないぞ」
閣下「それに、先ほどのミサの有り様はなんだ」
閣下「言い訳があるなら聞こう」
未央「…………なんで」
閣下「…………」
未央「お客さん!!めちゃくちゃ少ないじゃん!!なんで!?」
未央「前のライブと全然違うじゃん!!!」
閣下「それが、あの醜態の理由か」
長官「…………」
閣下「観客が少ないから、自分の身勝手な空想に現実がついて来なかったから、やる気をなくしたのか」
未央「すっごいライブやるからって、早くこないといい場所取れないからって友達に言ったのに……私、バカみたいじゃん!」
卯月「未央ちゃん……」
未央「もっともっと、前のステージみたいに盛り上がると思ったのに……」
美嘉「それって、私の時の……」
閣下「そんなわけがないだろう!!」
未央「っ!」
140:
閣下「あのステージは、美嘉がこれまでのアイドルとして駆けてきた人生の結果、お前が誇るべきものではない」
閣下「お前は観客が少ないこと、盛り上がらないことに失望したと言ったな」
閣下「それはつまり、お前は自身の観客に対して失望したと言ったのだ!」
閣下「『お前達がもっとたくさん集まれば私は友達に恥をかくことはなかった』、『お前達がもっと盛り上がらないから私の期待は破られた』と、お前はそう言ったのだ!!」
閣下「自分が言ったことが、お前がやったことがどういうことか、よく考えることだ」
未央「……そんな」
長官「……未央ちゃん」
未央「エーちゃん……」
長官「君は、ステージに立つ者が、最もやってはならないことをした」
未央「っ! そんな……」
閣下「今日の結果は、お前に向けられた当然の結果だ」
未央「当然の……結果…?」
未央「こんな、私が……リーダー、だったから…?」
閣下「――その通りだ」
美嘉「! ちょ、ちょっと!」
卯月「閣下さん!」
未央「…………もう、もういいよ…!」
未央「――私、アイドル辞める!!」
141:
卯月「未央ちゃん!!」
未央「……っ!」ダッ
凛「アンタ…っ!未央、待って!」
美嘉「い、いくらなんでも、あそこまでいうことは…」
閣下「いや、奴はそれだけのことをした、我輩は悪魔だ、人が言わないなら我輩こそ言わねばならん」
長官「それに、美嘉ちゃんならわかるだろう?未央ちゃんのしたことの重みが」
美嘉「でも…」
閣下「皆、今日はもう帰るがいい、明日仕事のあるものもいるだろう」
長官「閣下……」
閣下「そうか、そうだったのだな」
閣下「ゼウスの妨害などでは断じてなかったのだ」
閣下「ただ、未央には希望を疑う理由がなかった、奴の中でぶくぶくと風船のように膨らむ期待に、誰も気が付かなかったのだ」
閣下「夢とは、常に泡沫のようなもの」
閣下「幾千年の夢もシンデレラの魔法と同じ、一夜の内に消えるもの、か」
第6話 Finally,our bad day has come! 終
143:
第7話 I wonder where I find the dark I shine...
?346プロ シンデレラプロジェクトルーム?
閣下「おはよう、2人とも」ガチャ
卯月「閣下さん…」
凛「ねえ、未央、今日も来てないよ」
閣下「そのようだな」
凛「それだけ…?」
卯月「あ、あの、私、未央ちゃんの家に行ってみようと思うんですけど…」
凛「未央の家、教えて」
閣下「奴のことは我輩に任せておけ」
卯月「でも…」
閣下「お前達はレッスンがあるだろう、長官も待っているぞ」
凛「…………」
?恐怖のレストラン?
かな子「未央ちゃん、来てなかったね…」
智絵里「ミニライブの疲れ、とか…」
李衣菜「凛ちゃんも卯月ちゃんも、最近調子悪いしね」
みりあ「未央ちゃん、やめちゃうの?」
莉嘉「ニュージェネレーションズも、解散!?」
李衣菜「この間デビューしたばっかりなのに…」
みく「そんなの、プロ失格にゃ!」
殿下「アダムの林檎パイ・ライデンスペシャルお待ち!」ドン!
李衣菜「え、私達、こんなの頼んでないけど…」
智絵里「それにいつもよりずっと大きい…」
かな子「わあ…」キラキラ
みりあ「すごーい!」
殿下「気分が落ち込んでる時は、うまいものをいっぱい食べるのが一番!」
殿下「未央くんの方は閣下が動いてくれてるから大丈夫!それより君たち!」
殿下「君たちもこれから続々とデビューしていくのだ、その時に腹が減っていてはいけないぞ!」
莉嘉「だ、だからってこんなには食べられないって」
殿下「うまいから大丈夫!そうだな!?」
かな子「はい!」
殿下「さあ、このパイを食べて、閣下を信じて、君たちは元気よくレッスンに励むんだ、いいな?」
みく「……なんか、強引にゃ」パク
144:
?未央のマンション?
未央『……帰って、会いたくない』
閣下「今日も、話をしてはくれんか」
未央『毎日毎日、家にまで来ないでって言ってるじゃん』
閣下「我輩はお前が本当に辞めたいと言うならば止めはせん」
未央『…………』
閣下「だが、その言葉は無機質なスピーカーではなく、お前の口から聞かねばならんのだ」
未央『……帰って』
閣下「卯月も凛も、お前を待っている」
未央『もう帰って!!』
閣下「……ここのところ、まともに外にも出ていないようだな」
閣下「籠ってばかりでは体に障る、たまには外の空気を吸え、また会おう」
?346プロ レッスンルーム?
長官「俺の……せいかな……」ズーン
参謀「いつまで落ち込んでんだよー」
長官「だって!俺があんなことを言ったから…」
きらり「エースちゃん、大丈夫だよ、未央ちゃんにもエースちゃんの気持ち、ちゃ?んと届いてるはずだにぃ」
杏「大の悪魔が泣いてどうすんのさ?」
参謀「エースは音楽に対しては妥協ができない悪魔だからなー」
長官「やっぱり言い過ぎたかな……」
杏「エースは、自分が言ったことが間違ってたって思ってんの?」
長官「そんなことはないんだけど、何もあそこまで言うことはなかったんじゃないかって…」
長官「あの時の未央ちゃんの顔が毎夜俺を責め立てるんだよお!」
きらり「泣いちゃダメだよ!未央ちゃんが戻ってきた時、エースちゃんが泣いてたら未央ちゃんも悲しんじゃうよ??」
長官「あんないい子に、初めてのミサだったのに……」グス
参謀「また泣いちゃったよ、ごめんねー、杏ちゃんきらりちゃん、毎回つきあわせちゃって」
きらり「きらりは、だいじょ?ぶ!エースちゃんに、い?っぱい、きらりんパワーをわけてあげゆ!」
杏「いつまでもヘコんでられても面倒だしね?」
参謀「そうだよ、それに閣下がなんとかしてくれるって」
長官「2人とも……なんていい子なんだ…いい子……?」
長官「未央ちゃんも、いい子だったのに……!」ブワッ
参謀「ああもう!面倒なやつだな!」
145:
?346プロ 受付?
和尚「あ、蘭子ちゃん、おかえりー」
和尚「お仕事から一回戻ってきたの?」
蘭子「ここは我が翼を休める聖なる泉、堕天使にもつかの間の休息は必要ということね」
和尚「そっかー、みんなに会いに戻ってきたんだー」
蘭子「して、新たな時を刻みし時計、その3針は今宵揃ったか?」
和尚「それが、まだ未央ちゃん戻ってきてないんだよねー」
蘭子「そう…」
和尚「でも、閣下が毎日様子を見に行ってるから、きっと大丈夫だよ」
蘭子「……かの悪魔の魔力を持ってしても固く閉ざされた岩戸の封印は解けないと聞いているわ」
和尚「閣下もあまり強引にはしたくないみたいだね」
蘭子「流星は、気づいた時には姿をくらます泡沫の輝き…」
和尚「そうだねえ」
蘭子「……未央ちゃん、大丈夫でしょうか…」
和尚「どうかなあ、でも」
和尚「蘭子ちゃんは閣下と未央ちゃんを信じてるんでしょ?」
蘭子「……はい」
和尚「なら、きっと大丈夫だよ」
蘭子「そうでしょうか…」
和尚「そうだ、おじさんが蘭子ちゃんに元気の出る呪文を教えてあげよう」
蘭子「! く、黒魔法の術式を我に!?」
和尚「うん」
蘭子「い、いかな悪しき理を…」ワクワク
和尚「いえ?い!」
蘭子「い、いえ?い…?」
和尚「うん、元気の出る呪文、いえ?い」
蘭子「悪魔の言霊は、人類には未知の領域ということ…?」
和尚「蘭子ちゃんほどじゃないよ?」
146:
?346プロ前?
卯月「あ、閣下さん!」
凛「未央は?」
閣下「今日も門前払いだ」
凛「追い返されたの…?」
閣下「諸葛孔明も3度会えば門を開いたというのに、あれはその上をいくじゃじゃ馬のようだ」
凛「ふざけてる場合じゃないでしょ!」
卯月「やっぱり、私、未央ちゃんの家に…」
凛「住所、教えて」
閣下「それはならん」
凛「どうして!」
閣下「奴が出てこないのは、我輩に会いたくないのもあろうが、迷惑をかけたお前達に合わせる顔がないからだろう」
凛「だからって!」
閣下「未央のことを思うなら、奴の意思も汲んでやれ」スタスタ
凛「あ、ちょっと!!」
?翌日 執務室?
凛「……未央も、卯月も来てないんだけど」ガチャ
閣下「先ほど連絡があった、卯月は風邪で今日は休むそうだ」
凛「未央は?」
閣下「いつもどおりだ」
凛「いつもどおりじゃない!全然、いつもどおりなんかじゃない!」
閣下「…………」
凛「ねえ、このまま未央が来なかったら、私達どうなるの?」
閣下「構成員が抜ければ、新たな者が加わる、それだけのことだ」
凛「……なに、それ」
閣下「グループである以上、構成員が変わる可能性はいつだってある」
閣下「このまま未央が来なければ、それが今なのだろう」
147:
凛「アンタは、それでいいの…?」
閣下「未央自身が決めることだ、我輩が口を出せることではない」
閣下「なに、万が一未央が抜け新しい者が入っても、きっと上手くやれる」
凛「やめて!!」
閣下「…………」
凛「何それ、わかんない、全然わかんないよ…」
閣下「お前には、まだそういった経験がないだけだ」
凛「そうじゃない!アンタが、どうしたいのか全然わかんない!」
凛「適当な理由をつけて、達観したフリをして、未央から逃げてるだけじゃん!」
凛「アンタ言ったよね、進むべき道はアンタが示してくれるって、踏み出す力をくれるって」
凛「幸せは歩いてこない、だから歩いてゆくんだって」
凛「目の前にある幸せを見失わないように歩いてゆくんだって」
凛「アイドルになって、私、道がみえた気がした、目の前の幸せに気づける気がした」
凛「でも、今は真っ暗で、何も見えないよ…」
凛「ねえ、これが、アンタ達が投げつける災いなの?」
凛「最初から、これが狙いだったの?」
閣下「それは違……っ」
凛「――信じてもいいと、思ったのに」
閣下「凛……!」
凛「っ!」ダッ
閣下「…………クソ」
閣下「何をやっているのだ、我輩は…!」
148:
?翌日 シンデレラプロジェクトルーム?
ちひろ「以上が、次回のイベントの概要となります」
閣下「何か質問はあるか?」
美波「…………」
アーニャ「…………」
閣下「そうか、では、我輩から一つ聞かせて欲しいことがある」
アーニャ「……?」
美波「なんでしょうか…?」
閣下「先日行われたミサ、お前達はどう感じた?」
美波「……えっと、ステージの最中は、歌うことで精いっぱいでした」
美波「自分がどんな風に歌ったか、全然覚えてないくらいで、気づけば歌が終わっていました」
閣下「……そうか」
アーニャ「でも、歌い終わって、拍手、もらいました」
美波「ここが私達の第一歩なんだって思えて、嬉しくて」
アーニャ「その後、カッカにも、たくさん褒めてもらいました」
美波「はじめて頭を撫でてもらって、とっても嬉しかったです」
美波「でも、今はこんな状況で……」
アーニャ「どうしていいのか……」
閣下「そうか、ありがとう、下がってくれ……」
アーニャ「……カッカ」
美波「……失礼、します」バタン
閣下「我輩は、はじめて地上でミサを行った時どうだっただろうか…」
閣下「……そうだ、卯月の様子も見に行かねばな」
149:
?卯月の家?
卯月「凛ちゃんに、心配かけちゃったかな……」
卯月ママ「卯月、具合はどう?」コンコン
卯月「? さっき熱はかったばかりでしょ?」
卯月ママ?「あら、そうだったわね、ところで卯月、ドアを開けてくれない?」
卯月「自分で開けてよ?」
卯月ママ?「両手が塞がってるのよ、お願い」
卯月「もう、仕方ないなあ」
卯月ママ?「あ、ちょっと待って」
卯月「どうしたの?」
卯月ママ?「大丈夫だとは思うけど、はしたない格好で開けないでね?あなたも女の子なんだから」
卯月「ちゃんとパジャマ着てるから大丈夫だよー、変なママ」
卯月「というか、なんでそんなこと聞くの?」
卯月ママ?「だってそれはもちろん…」ガチャ
閣下「扉の向こうにいるのが実はママではなく悪魔かもしれんからだ!フハハハハ!」
卯月「」
卯月ママ「あの、閣下さん、悪魔とはいえ病人を脅かすようなことは…」
閣下「いや、本当にすまなかった、まさか気絶するとは…」
卯月「い、いいんですよ閣下さん!」
卯月「でも、お見舞いなんて、ありがとうございます!」
卯月ママ「こんなにたくさんの品まで持ってきて頂いて…」
閣下「知り合いの悪魔に渡されたので、仕方なくな」
卯月「あ、このお菓子は参謀さんですか?」
閣下「ああ、参謀おすすめの健康食品兵器だ」
卯月ママ「このCDは?」
閣下「そっちは長官から、ヒーリング効果のあるクラシックのCDだそうだ」
閣下「隣の画集は和尚のオススメで、ゲームは寝たきりではヒマだろうと殿下からだ」
卯月ママ「すみません、気を使わせてしまったみたいで…」
卯月「私、別にただの風邪なんですけど…」
閣下「ただの風邪と侮ってはならん、アイドルは体力勝負、しっかりと休むのだ」
卯月ママ「でも、悪魔の方々も健康に気を使われるんですねえ」
閣下「無論だ、我々悪魔は人々に病をもたらすが、その我々が病に倒れてはまさしくミイラ取りがミイラだからな」
卯月ママ「はあ、案外悪魔も職務に熱心なんですね…」
150:
卯月ママ「それより閣下さん、この子、ちゃんとアイドルやれてますか?」
閣下「当然だ、長官も、ユニット1の努力家と言っていたぞ?」
卯月ママ「そうなんですか、この子、帰ってきてもずっと練習してて…」
閣下「立派なことだ!フハハハハ!」
卯月「ち、ちょっとママ、もういいからあ!」
卯月ママ「あら、そう?」
卯月ママ「じゃあ閣下さん、ゆっくりしていってくださいね」
閣下「ああ、食事前には帰る、急に来て申し訳ない」
卯月「もう、ママったら…」
卯月「すみません閣下さん、ママ、話し好きで…」
閣下「卯月の明るさは母譲りのものなのだな、それに卯月に似てとても美しい」
卯月「そ、そうですか……って、美しい!?」
卯月「え、えとえと……」
閣下「…………」
卯月「……閣下さん?」
閣下「……ん?ああ、すまない」
卯月「どうしたんですか?」
閣下「……あれは、全てニュージェネレーションズのCDか?」
卯月「あ、はい、ママとパパがいろんな人に配るからって、ちょっと恥ずかしいですね…」
閣下「いや、よい家族だ……なあ、卯月よ」
卯月「なんですか?」
閣下「卯月は、この先どんなことをやりたい?」
卯月「そうですね、憧れだったライブもできたし、CDも出せて、ラジオ出演も出来ましたから…」
卯月「あ!次は、テレビ出演できたらいいなって思います!」
閣下「そうか……そういえば、最初に会った時も、そう言っていたな」
卯月「はい!えへへ……」
卯月「……あの、この前のミニイベントのことなんですけど…」
卯月「ちょっと、心残りがあって……」
閣下「…………」
卯月「せっかくのステージなのに私、最後まで笑顔でやりきることができなくて…」
閣下「………何?」
卯月「だから、次はちゃんと、笑顔でステージに立ちたいなって…」
卯月「――凛ちゃんと、未央ちゃんと一緒に!」
閣下「…………そうか」
卯月「明日には、風邪も治ると思いますから、」
卯月「明日からまた、プロデュースよろしくお願いします!」
151:
?未央の家?
未央「モンチー、今日は、来ないのかな……」
未央「もう、私なんてどうでもいいのかな…」
未央ママ「未央?、ちょっと、牛乳買ってきてくれない?」コンコン
未央「……自分で行ってよ」
未央ママ「今、料理してて手が放せないのよ」
未央「…………は?い」
?コンビニ?
店員「ありがとうございました?」
未央「……そういえば、久々に外に出たな…」
未央「しまむーもしぶりんも、心配してるかな…」
「あれ?お前は閣下のところの……」
未央「……閣下?」
ゾッド星島親分「やっぱりそうだ、ニュージェネレーションズの!」
未央「」
ゾッド「ん?どうした?」
未央「………ぞ、」
ゾッド「ぞ?」
未央「ぞっど君だああああああああああああああああああ!!!!!!!」
?未央の家の近所の公園?
未央「え!?じゃあ、あの日ホッシーもあそこにいたの!?」
ゾッド「ああ、世を忍ぶ仮の姿でゼウスの妨害の警備をしてた」
未央「そっか、じゃああのステージ、みたんだ……」
ゾッド「ああ、お前らみんな頑張ってたな、さすがは閣下の選んだ構成員だ」
未央「そんなこと、ない……」
未央「しぶりんも、しまむーも、ラブライカの2人も頑張ってたよ?」
未央「でも、私はそんな風に言ってもらう資格なんてない…!」
ゾッド「……?」
ゾッド「何かあったのか?」
152:
ゾッド「そうか、そんなことがなあ……」
ゾッド「それで?未央はホントに、アイドルを辞めたいのか?」
未央「……うん」
ゾッド「……それは嘘だな」
未央「っ! そんなこと!」
ゾッド「吾輩はな、地獄で地獄最高審問官って仕事をやってるんだ、お前ら人間でもわかるように言えば閻魔だな」
未央「閻魔って、あの、舌を抜いちゃう?」
ゾッド「そう、吾輩は人間の嘘が手に取るようにわかる」
ゾッド「だから未央、お前が、本当はアイドルを辞めたくないっていうのもわかる」
未央「…………」
ゾッド「戻れないのか?」
未央「…………」
未央「だって、私がリーダーだったから、あんなステージになっちゃった…」
未央「今だって、しぶりんやしまむーにいっぱい迷惑かけてる!今更戻るなんてできない!」
ゾッド「そんなこと…」
未央「そんなことあるんだよ!」
未央「それに、モンチー、閣下にもいっぱい迷惑かけちゃった…」
未央「きっと、閣下も、こんな足を引っ張る私なんて辞めたほうがいいと思ってるに決まってる!」
ゾッド「――そんなことはない!!!!」
未央「っ!!」
ゾッド「閣下が!お前らの一人でも欠けていいなんて思ってるわけがねえ!!!」
ゾッド「次同じこと言ってみろ!!ぶっ殺してやる!!!!」
未央「っ………」
ゾッド「……悪い」
ゾッド「でも、閣下がそんなこと思ってるわけがねえんだよ」
未央「……なんで、そんな風にいえるの?」
ゾッド「それは吾輩が、聖飢魔IIを辞めたからだ」
未央「え?」
ゾッド「聖飢魔IIが地上デビューして、吾輩は自信をなくしちまった」
ゾッド「周りの構成員はみんなすげえ実力がある奴ばっかで、吾輩一人が下手くそでよお」
ゾッド「吾輩がいるせいで、みんなの足を引っ張っちまうって不安でよお」
未央「…………」
ゾッド「未央は閣下の歌を聞いたことあるか?」
未央「う、うん」
ゾッド「すげえよなあ、地獄一、いや違う、天国にも地上にも、あんな歌を歌えるのは閣下だけだ」
ゾッド「でもなあ、そんな閣下がいる聖飢魔IIも、地上の雑誌のデビューで0点って言われたことがある」
未央「………え?」
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