ハルヒ「よろしくてよ」back

ハルヒ「よろしくてよ」


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1:
オオカミ少年という寓話を知ってる?
羊飼いの少年が退屈しのぎに狼が出たと嘘をついて騒ぎを起こし、
大人たちは騙されて武器を持って来るんだけど、
狼が出たというのは嘘なんだから、当然徒労に終わるの。
そうやって少年は繰り返し嘘を吐いたから、
本当に狼が現れた時は大人たちは信用しなくて、
誰も救援に行かなかったものだから、
村の羊は全て狼に食べられてしまうというお話。
人は嘘をつき続けるとたまに真実を言っても信じて貰えなくなるから、
必要な時に他人から信頼と助けを得ることが出来なくなるっていう一種の説教ね。
これは確かイソップ物語の中の寓話なんだけど、
中国の歴史にも似たような話が残されているってことを、
世界史の教師が授業中に言ってた。
実話かどうかはあたしの知り及ぶところではないけどね。
5:
異しことはさて置きつ。
完全に関係ない話ってわけでもないけどね。
学校から戻り、お風呂に入って、夕飯も食べ終わり、
宿題や予習復習なんて疾っくの昔に終わらせて、
自室のベッドでゴロゴロしながら、あたしがそんな話を思い出したのは、
昨日今日にあったことに少なからず影響されているのだと思う。
時間を遡ること36時間ほど前??
あたしは予報どおりの月曜日になんだか窮屈な気分になり、
いつも大して聞いているわけでもない授業を、
今日はいつにも増して上の空で聞いていた。
7:
どうせなら、予報なんて外れればいいのにと思うけど、
そんなことは滅多に起こらないことをあたしは経験的事実から知ってる。
SOS団を立ち上げてから、不思議なものは未だに見つからないけど、
少なくとも授業以外で退屈することはあんまりなかった。
でも、昨日まで休みで、今日の朝、目覚めると当然月曜が来ていて、
今日からまた退屈な授業を一週間聞き続けるのかと思うと、
何だか窮屈な気分になっちゃったの。
途中の休憩時間にキョンが、
「どうした、ハルヒ? 何かあったのか?」
なんて話しかけてきてくれたけど、あたしは邪険に追っ払ってしまった。
8:
「そうかい」
それなのに、キョンは気を悪くした様子もなく、
自分の席??といっても、目の前なんだけど??に戻ると、
次の時間の準備を始めてしまった。
キョンと話してるだけで少なくとも退屈はしないし、
ちょっと癪だけど楽しいとも思えるから、
自分でももったいないことをしたと思う。
でも、自分で邪険にしたのに、あたしの方から話しかけるのもおかしいので、
そのままあたしは空に浮かぶ雲が形を変えるのを眺めていた。
どうせ聞いていないなら、こんな退屈な授業を抜け出して、
河原とかで適当に時間を潰していても一緒だと思うけど、
そんなことをして補導されたら逆に時間がもったいないなんてことを考えながら、
あたしは退屈な授業の時間を一つずつ消化していった。
9:
上の空でいた時間が長かったからか、
午前中の授業はあっという間に終わり、
気付けば昼休みになっていた。
いつもなら、休み時間には学校内を見廻って何か不思議なものや人がないか探すんだけど、
何だか気が乗らず、あたしは机に突っ伏してじっとしていた。
ああ、つまんない。
教室を見回してみたけど、キョンの姿は見当たらない。
いつも役に立たないんだから、こんな時くらいいなさいよね。
……そう言えば、あたしが邪険にしたんだったっけ。
もしかして、避けられてる?
ああもう、むしゃくしゃする。
学食とかにも行く気にならないし、キョンのお弁当でももらおうかしら。
12:
思い立ったが吉日の善は急げ。
あたしはキョンの鞄からお弁当箱を取り出すと、再び自分の席に戻った。
重さから考えて、まだ食べてはいないようね。
いったいお昼も食べずにどこに行ったのかしら。
キョンの行きそうなところを考えながら弁当の包みを解いて、
お弁当箱の蓋を開けて箸を出そうとしたところで、キョンが帰ってきてしまった。
タイミングの悪いやつね。
どうせなら、手をつけた後に帰ってきなさいよ。
そうすれば、なんだかんだでお昼を確保できたのに。
14:
しかも、こんな時だけ行動が早くて、
あたしが持ってるお弁当に気付くや駆け寄ってきた。
「おい、こら。それは俺の弁当だろ」
解ってるわよ、あんたの鞄から出したんだから。
あたしだって知らない人のお弁当を無断で食べたりしないわよ。
「知ってるヤツのだからって勝手に食うなよ」
「まだ、食べてないわよ」
いつかも、こんなやり取りをしたわね。
そのときは、キョンのは食べかけで机の上に置いてあって、
あたしが食べ終わってからキョンは帰ってきたんだけど。
あのときのこいつの変な顔を思い出したらなんか腹立ってきた。
15:
「まだってことは本気で食うつもりだったのか。
 今日は学食に行かないのか?」
「今日は出遅れちゃったの。今から行ってもどうせ満員よ。
 ここの学食は利用者対座席数が合ってないの。
 しかも回転率も悪いから、出遅れると食いっ逸れるのよ」
これもどこかで言ったわね。
二年に上がってすぐの頃だったかしら。
あのときはキョンが生徒会に相談すべきだとか言ってたわよね。
今はなき生徒会長を思い出したら、ますます腹が立ってきた。
あ、今はなきって言っても、死んだわけじゃないわよ。
ただ任期を満了したってだけの話。
16:
あいつのことは生徒会長としか認識してなかったから、
その肩書きがなくなったら、あたしにとってはいないも同然よ。
それにしても、あたしはこういう同じ話題を繰り返すだけの会話って言うのは、
嫌いだったはずなんだけど、今ではそれも悪くはないと思ってる。
そんなことを考えて、少し腹の虫が治まってくると、
別の腹の虫が抗議の声を上げた。
そんなに大きな音は立ってなかったはずだし、
教室も騒がしいからキョンには聞こえなかったと思う。
「ところで、ここに購買のパンがあるんだが」
それなのに、キョンはこんなことを言ってきた。
17:
……聞こえてないわよね?
もし、聞こえていたのだとしたら、恥ずかしさで死ねるわ。
それは今は気にしないことにしておこう。
自分から聞いて、聞こえていなかったとしたらもっと恥ずかしいし。
「あんた、弁当があるのにパンも食べるの?」
「いや、お茶を忘れたんで購買に買いにいったんだが、そこで長門に会ってな。
 なんでもあいつも学食に入れなかったから、パンやらを買ったらしいんだが、
 買いすぎたらしくてな。余りそうな分を買い取ってきた。
 部活中にでもお茶請けとして食べようと思ったんだが、よかったらいるか?」
キョンがそんな説明をしながら、パンと飲み物を並べていった。
18:
緑茶、紅茶、コーヒー。
カレーパン、チーズパン、うぐいす餡パン、ゼリーパン。
見事に購買で最後まで残っているもののオンパレードね。
よく判らないで買い込んだ有希が、
一つ食べていらないものをキョンに押し付けただけじゃないかしら。
カレーパンはせめてもの情けってところね。
有希は頓着せずに食べそうでもあるから、
適当に選んでキョンに渡した可能性もあるけど。
そっちの方がまだ有り得そうね。
19:
「どうする? いらんなら、片付けるが」
キョンがそう言ってくるけど、イマイチどれも魅力に欠けるのよね。
そこであたしはパンのほかに机の上には選択肢があることに気が付いた。
「あんたがこのパンを食べて、あたしがそのお弁当を貰うってのはどう?」
「悪いが、それは譲れん」
何となく思い付いたことだったけど、結構魅力的ね。
栄養の偏りもないみたいだし、何としてでも手に入れたいわ。
「もう一品食べちゃったから、全部食べるのも変わらないわよ」
「嘘を吐くな。自分で詰めてるからなくなってるものがあれば判る」
20:
鎌掛けようたってそうはいかないわよ。
キョンがそんなことしてるようには到底思えないわね。
「お前に俺がどう見えるかは知らんが、本当だ。
 一人暮らしをするようになる前に栄養管理くらいは自分でできるようになれと、
 親から言われてやるようになったんだが意外と楽しいもんだな。
 そのうち、朝昼くらいは自分で作るようになるかもしれん。
 もちろん、弁当を詰めるだけと作るのとでは違うってのは解ってるがな」
そのキョンの発言にあたしは少し意表を衝かれた。
無精者だと思っていたこいつが料理をしようと言ったこともそうだけど、
それよりも、将来のことについての話が出るなんて思ってもみなかったから。
確かに、進路とかいろいろと考えなければいけない時期ではある。
就職とかまで見据えて大学に進もうってことはあたしも考えてる。
卒業が間近に迫ってきて、みくるちゃんが不安そうにしてた時、
卒業なんてただの通過点でしかないって笑い飛ばしたのはあたしなんだし。
22:
でも、大学に入ってからとかそれ以降の生活までは考えてなかった。
キョンは一人暮らしをするって言った。
つまり、少なくともこの街からは出て行き、
もしかしたら、遠くに行くかもしれない。
あたしも、ずっとこの街で暮らしていくとは思っていなかったし、
こんな狭い世界に閉じこもっているつもりもさらさらないから、
そのうち一人暮らしをするようになるだろうとは思っていた。
それをキョンの言葉で実感した時、
今朝からの窮屈な感じの正体がわかった気がした。
将来の夢だとか、そのための進路選択だとかが現実味を帯びてきて、
この街だとか授業だとかが急に狭苦しいものに感じ出したのだと思う。
23:
それは一種の期待感からだけど、それと同時にあたしは恐怖感も覚えた。
SOS団がバラバラになる恐怖だ。
絆なんて陳腐な言葉を使う気はないけど、
何となくSOS団のつながりは不滅のような気がしていた。
でも、学年が違うんだからみくるちゃんは一足先にいなくなるのは当たり前だし、
同じ学年のあたしや有希、古泉くんやキョンだって進路が全く同じなわけはない。
しばらくは連絡を取り合うだろうし、ちょくちょく会うかもしれない。
でも、そのうちたまにメールするだけになり、
もしかしたら、年賀状のやり取りだけの関係になるかもしれない。
今のあたしは小鳥のようなもの。
籠の中の鳥。籠の扉は空いている。自分が飛べることも知っている。
籠の外には何があるか判らないから、外に出るのが怖くて、
でも、そんな籠なんて壊してしまいたいとまで思っている。
そんな小鳥。
24:
なんて。
そんな考えはあたしには似合わない。
そこに大空があって、自分に翼があるんだったらあたしなら飛んでやるわよ。
後ろなんか振り向いてやらない。
大きな鳥が襲ってきたとしても、追っ払ってやるわ。
SOS団は永久不滅なの。
会わなくなるなんて、天と地が引っ繰り返ってもありえないわ。
誰かが欠けるとしたら、今生の別れの時くらいよ。
あたしは自分の中で結論を付ける。
26:
すっきりした気分であたしは箸を掴むと、キョンの弁当の唐揚げを口に入れた。
ちゃんと下味がついてて美味しい。隠し味は柚子コショウかしら。
「あっ! 黙ったと思ったら、急になにしやがるっ!」
キョンが文句を言っているが気にしない。
団長の決定は絶対だし、今のは鈍いこいつが悪いのよ。
あたしは唐揚げを嚥下すると、眉間に皺を寄せているキョンに言ってやった。
「これで一品食べちゃったわけだから、全部食べるのも変わらないわ。
 それとも、何? あたしが使った箸を使いたいの? この、エロキョンっ!」
「お前は教室で何てことを言うんだっ!」
そう言ってキョンは教室を振り返るけど、そこにはいつも通りの食事風景があるだけ。
中学生じゃないんだからそんなことで誰も騒がないわよ。
あ、この出汁巻きもおいしい。入ってる小口のネギもポイントが高いわ。
「キョン。今さらそれくらいのことで、
 このクラスの人間は驚かないし、何の反応も返しようがないぜ」
谷口が箸をキョンに向けて、もぐもぐしながらそう言った。
こいつは口に物を入れて喋るなって教わらなかったのかしら。
27:
「そうだよ。もはや、日常風景だしね」
名前が思い出せないし、何か釈然としないけど、
変に反応されるよりマシね。
ふむ、きんぴらごぼうに人参やレンコンは解るんだけど、
大根まで入ってるのははじめてだわ。皮を使ったのかしら。
鷹の爪が利いてて、やっぱりおいしいからいいけど。
「谷口、国木田……って、ハルヒっ!
 ドサクサに紛れてなに食い続けてんだよっ!」
そうそう、国木田。
よく一緒にいる谷口のキャラが濃すぎてイマイチ覚えられないのよね。
谷口とは腐れ縁としか言いようがないけど、
結構長いこと顔を合わせているわけだし。
28:
「ドサクサに紛れてなんてないわ。堂々と食べ続けてたのよ」
勝手にあたしから目を離したのはキョンの方だし。
「もう半分くらいしか残ってないじゃないか」
キョンはやれやれと肩を竦めて溜息を吐いた。
「仕方ないから、俺がパンを食べるよ。
 昼を抜いて午後の授業に挑むのは嫌だしな」
最初からそう言っとけば良いのよ。
それにお昼を食べないほうが、午後の授業に集中できるんじゃないの?
「まったく、盗人猛々しいぞ。
 あと、昼を抜けば六時限の体育で死ぬ思いをする。
 五時限の数学は眠くならんかもしれんがな」
せめて順番が逆ならなんて言いながら、
キョンはカレーパンの袋に手を掛ける。
それから、あたしはキョンのお弁当を、
キョンは購買のパンを胃に収めていきながら、
取りとめもない話をして珍しくずっと教室で過ごす休み時間は過ぎていった。
そして、最大のハズレであるゼリーパンを最後に口にして、
盛大に顔を顰めるキョンを見て、あたしは新しいゲームを思いついた。
32:
「新しいゲームを思いついたから、早明日やるわよっ!」
思い立ったが吉日って言うし、早、
あたしは昼休みに思いついたゲームをその日の放課後に提案した。
有希は本から顔を上げないし、
みくるちゃんはきょとんと古泉くんは微笑んでこっちを向いたけど何も言わない。
だから、必然的にキョンがまず質問を投げかけることになる。
いつもの構図ね。
「明日? 週末じゃないのか?」
「学校でやるからこそ、面白いゲームなの」
33:
「どんなゲームだ? まずはそこからだ」
まずはとキョンは言うけど、
結局ゲームをやることになるは最初から確定してるのよ。
なんだかんだ言いながら、キョンも納得して毎度参加するし、
最終的に楽しんでることの方が多いしね。
「無くて七癖っていうじゃない?
 人間誰しも癖じゃなくても、ついついやっちゃう習慣的なことってあると思うのよ。
 例えば、有希の読書とか、古泉くんの笑顔とか、キョンの眉間の皺とか。
 そういうのを意図的にやらないようにするってゲームよ。
 それだけじゃ面白くないから、他にも条件を付けて、
 最初に、その癖を出した人が負け。
 逆に、最後まで出さなかった人が勝ち」
34:
あたしの説明を聞いて、古泉くんはなるほどと頷いてくれているけど、
キョンの眉間の皺は深くなった。
有希はいつの間にかあたしの方を見ているけど無反応。
みくるちゃんはまだきょとんとしていたけど、
あたしが目を向けると思い出したようにお茶の準備を再開した。
「いいじゃないですか。おもしろそうです」
これまた、いつものように古泉くんが一番に賛同してくれる。
流石、副団長。どこかの雑用とは出来が違うわ。
「でしょっ! 有希とみくるちゃんは?」
「いい」
「ふぇ? ええと、よく分からないけど、面白そうですね」
35:
有希とみくるちゃんも賛成して、残るはキョンだけ。
こうなれば、キョンも乗ってくるっていうのが、いつもの流れ。
「それで、条件って言うのはどういうのだ?」
ほら。
「有希の場合で言えば、読書が習慣、つまり癖ね。
 で、条件は……そうね、明るくて活発な人間を演じるっていうのはどうかしら」
「…………」
自分で言ったんだけど、明るくて活発で読書をしていない有希は想像を絶するわね。
「僕の場合なら、笑顔が癖のようなものですかね。
 条件は……そうですね、不良を演じるといったところでしょうか」
36:
「それ採用!」
不良の古泉くんも確かに見てみたいけど、
キョンみたいに無気力な古泉くんでも良かったかも。
まあいいわ。無気力な人間って演じやすそうだし。
あんまり演じやすいのは面白くないからね。
流石古泉くん。理解が早いわね。
「恐縮です」
古泉くんがそう言ったところで、みくるちゃんがお茶をみんなに配っていく。
みくるちゃんはどうしようかしら。
お茶を飲んで一息吐きながら考える。
37:
メイド服……はいつも着てるわけじゃないし、
でも、みくるちゃんといえばこれっていう癖があんまり無いのよね。
敢えて無表情にさせるのは面白くない……そうだ。
「みくるちゃんはすぐ慌てちゃうのが癖ね」
「ふぇ?」
「それは癖なのか?」
キョン、五月蝿い。あたしが癖だと言ったらそうなるのよ。
「そうかい。で、条件とやらは?」
38:
「落ち着いたお姉さんみたいに振舞ってもらうわ」
みくるちゃんは中学生みたいな容姿をしてるから、
子どもが頑張って背伸びをしてるみたいになるかもしれないわね。
ギャップ萌えっていうのもあるくらいだし、
みくるちゃんにぴったりだわ。
「わたし、そういう人になれたら良いなって思ってたんです。
 だから、明日だけでもやってみますね」
お茶を配り終えたみくるちゃんが笑顔でそう言った。
条件が他の二人に比べると簡単そうだけど、
みくるちゃんのをあんまり難しいのにすると、
すぐに終わっちゃいそうだから、これくらいにしておきましょう。
39:
「残るはお二人ですか。
 涼宮さんの習慣は不思議なことやものを探すことですかね」
「それは、簡単すぎやしないか?」
古泉くんが意見を出すけど、キョンがすぐに却下する。
あたしとしても、不思議を探すのはやめたくない。
でも、キョンはさっきから口を挟むばかりで、
古泉くんみたいにアイデアを出してないじゃない。
異論を述べるんなら代案を用意してからにしなさい。
「そうだな……お前の癖は色々あるが、
 すぐに暴挙に出る、暴力に訴える、暴言を吐く。まとめるとそんな感じか。
 そんなのとは無縁なお淑やかなお嬢様でも演じるってのはどうだ?」
……言いたい放題言ってくれるじゃないの。
癖を言えとは言ったけど、難癖をつけろとは言ってないわよ。
40:
「あたしがいつそんなことしたのよ、このバカっ!」
あ、バカっていうのも暴言の内よね。
「ほらな。無くて七癖ってやつだ。なんなら、奇行蛮行でもいいぞ」
「いいわ。やってやろうじゃないの」
他の人より規制が厳しい気がしないでもないけど、何とかしてやるわ。
それよりキョンのはまだ決まってなかったわよね。
あたしに難癖つけた上に、ゲームの条件を厳しくしたんだから、
キョンの条件も厳しくしなきゃいけないわよね。
「あんたはいつもダウナーオーラを纏っていて、
 すぐに眉間に皺を寄せて溜息と愚痴を吐くから、
 凄い心の広い爽やかでつい人を手助けしてしまうお人よしの
 いつも笑顔で人の頼みが断れない真面目な好青年を演じなさい」
とりあえずいつものキョンと逆にさせてみようとしたんだけど
なんかいつもの古泉くんみたいね。
41:
「なんか俺だけ条件が厳しすぎやしないか?
 あと、俺は片っ端から人の頼みを断るほど心は狭くない」
「なによ。団長命令に逆らったことはあるじゃない」
「俺だって要求の内容を選ぶ権利はあるさ」
ふうん。まあいいわ。
これで全員の条件が決まったわね。
42:
「ちょっと待て。俺はまだやるとは言ってないぞ」
「ゲームの条件を決めたんだから、今更グダグダ言わないの。
 それとも、何? 負けるのが怖いの?」
今になってごねたって遅いのよ。どうせやることになるんだから。
「む。やってやろうじゃないか」
キョンって変なところで意外と激しやすいから、扱いやすいのよね。
「公平を期するために明日は予鈴の三十分前に校門前に集合。
 校門をくぐったところから、ゲームスタートね。
 遅刻は罰金。以上」
43:
「ちょっと待て」
あたしが説明終了を宣言したのに、キョンが水を差す。
何よ、集合時間が早いっていう文句は受け付けないわよ。
あんたもたまには早く学校に来てみなさい。
「それもあるが、勝負がつかなかった場合はどうするんだ?」
そういえば、確実に勝敗が一日でつくとは限らないわね。
だからといって、ダラダラとやり続けても面白くないし。
どうせキョンかみくるちゃんあたりが真っ先に落ちるだろうけど、
勝者を決める方法は決めておかなくちゃいけないわね。
44:
「そのときは、じゃんけんでもして順位を決めましょう」
「あと、俺とお前は同じクラスだから互いにルール違反が無いか監視できる。
 朝比奈さんも鶴屋さんに頼めば監視してくれるだろう。
 でも、古泉と長門は別のクラスだし、どうするんだ?」
確かに、そうね。
いつも鈍いくせにこんな時だけよく気がつくんだから。
でも、面白そうだから学校でやるってこととルールだけ決めて、
実行しようとしてたんだけど色々穴があるわね。
その穴を埋めてくれるのはいつも通り古泉くん。
流石、副団長ね。
「それならば、長門さんのクラスの知り合いに監視を頼みましょう。
 僕の分は……」
45:
「問題ない」
古泉くんの言にかぶせるように、珍しく有希が口を挟む。
いつの間にか、もう視線は本へと落ちている。
明日は読めないから、読み溜めかしら?
「わたしがやる」
自分でやるみたいに聞こえるけど、
有希のことだから言葉が足りないだけで、
多分、古泉くんと同じように知り合いに頼むってことよね。
これでルールの穴はもうないわね。
でも、一応聞いておくのが団長の務めよね。
「他に意見がある人は?
 ……鶴屋さんへの連絡はあたしからしておくわ。
 改めて、以上よ」
そこまで言い切ったところで、有希が本を閉じて音を合図に解散となった。
46:
この話の軸であるゲームの解説でした。
?裏話?
実はこの後、キョンと古泉は誰が先に落ちるか、
賭けています。
質問などあったらお願いします。
49:
「おはよう! 本当に早いわね」
翌日、校門前に着くとキョン以外の三人の姿が既にあった。
不思議探索の時もそうだけど、早いわね。
「おはよう、涼宮さん」
「よう、涼宮」
「おはようございます、涼宮さん」
三人は三者三様の挨拶を返してくれるけど、
有希と古泉くんはいつもの挨拶とは違う。
既に役になりきっているみたい。
50:
特に有希が笑顔で挨拶をしてきたのには驚いた。
いつもほぼ無表情の有希の笑顔はそれだけで希少価値があるわ。
でも、有希のまとう雰囲気は誰かに似てるのよね。
誰かは思い出せないけど。
誰だろう。記憶力には自信があるのに。
古泉くんは制服を着崩して、不機嫌そうな顔をしている。
これはこれで珍しいけど、古泉くんは顔が整っているだけに少し怖い。
そう思ったのが顔に出たのか、古泉くんはいつもの笑顔になった。
「やはりこちらの方が落ち着きますね。
 彼はまだ来ないようなので、もう少しいつも通りにしていましょうか」
そう言うと古泉くんはブレザーのポケットから小さなロリポップを取り出した。
その有名なメーカーの棒つきキャンディの包みを破き、口に入れる。
51:
古泉くんは自分以外の三人の不思議そうな顔に気付いたのか、
あたしたちの疑問に答えてくれた。
「テンプレートな不良を参考にしましたが、
 たばこを吸うわけにはいきませんからね。
 ですから、その代わりにこれです。お一つどうです?」
あたしは反射的に差し出されたロリポップを受け取る。
見てみるとイチゴミルク味だった。
これからお嬢様を演じなければならないのに、
ロリポップを咥えているわけにはいかないから、
受け取ったのをそのまま鞄に仕舞った。
「あたしも欲しいな」
有希のどうみても演技には見えない笑顔が古泉くんに向けられていた。
実はこっちが本当の有希の性格だって言われても違和感がないくらい。
こんな表情ができるなら、いつもしていればいいのに。
52:
古泉くんが有希にロリポップ渡し、
みくるちゃんにも勧めているとやっとキョンが現れた。
いつもより早起きしているからか、少し眠そう。
「遅い。罰金」
ギリギリ遅刻ではないけど、
団長であるあたしを待たせたんだから、
SOS団の規律に則って罰金よ。
今日じゃなくて、今度の不思議探索のときに一回奢りね。
53:
「すまないねっ! 今週末に喜んで奢らせてもらうよ。
 みんなを待たせてしまったわけだからね」
「ふぇ……」
みくるちゃんが呆然としている。
あたしも、あんた誰よって言いたくなるほどの豹変ぶり。
キョンがいつもの古泉くんみたいに爽やかな笑顔で、
文句の一つも垂れずに甘んじて罰金を受け入れるなんて。
54:
有希の豹変ぶりとは違った意味でショックだわ。
「よお、キョン」
「おはよう、古泉っ! みんなもおはよう!」
古泉くんが不機嫌そうでキョンが爽やかといういつもとは逆の光景。
古泉くんはちょっと怖いけど、まあいいの。
柔和な表情以外はあまり見たこと無かったから、
珍しいものを見れてラッキーとも思える。
でも正直に言って、キョンは……
「気持ち悪い」
55:
「ぷっ……アッハッハ!」
あたしの呟くと、誰かが噴き出して笑い始めた。
笑い声がするほうに目を向けると、有希が爆笑していた。
あたしの脳も視界に入ったものがうまく処理できなかったから、
事実を受け入れるために、もう一度言うわ。
有希が爆笑していた。
それはもう、抱腹絶倒といった感じで、
その場に机か何かがあったらバンバン叩く勢い。
咥えていたロリポップを持ったまま、本当にお腹を抱えて笑っている。
57:
そこでやっとキョンの表情が爽やかな笑顔から
驚いたような顔を経ていつも通りのダルそうな表情に戻った。
「折角、キャラを作ってきたのに『気持ち悪い』とは何だ。
 あと、長門。笑いすぎだ」
「ククッ……だって、気持ち悪いって……」
キョンの言葉に有希が途中途中に笑いを漏らしながら答える。
あたしの所為なの?
それにしても、ちょっと驚いた顔を見せただけで、
有希の豹変ぶりに対応するなんてキョンも意外とやるわね。
58:
「あなたがそこまで演技派だとは思いませんでした」
「参考になる人物が長いこと近くにいたもんでな。
 そいつの真似をしてアレンジを加えただけだ」
さっきとは逆の仕種で??というよりも互いに元の表情で??
話をしている古泉くんとキョン。
やっぱり、こっちの方がしっくりくるわね。
でも、ゲームはゲームで楽しまなくちゃ損よね。
59:
「そろそろ、校門をくぐりますよ。
 皆さん、準備はいいですか?」
あたしもなりきらなくちゃ。
「いいわよ」
楽しそうな表情で返事をしてくれる有希。
いつもほぼ無表情で読書ばかりしてるけど、
このゲームではどんな表情を見せてくれるのかしら。
本当に楽しんでくれたらいいけど。
「いいぜ」
ニヤリと悪そうな笑みを浮かべる古泉くん。
アナログゲームではキョンに負けてるけど、
こういうロールプレイは古泉くんの方が得意そうよね。
ロリポップの棒が本当にたばこに見えてくるくらい、
ガラも頭も悪そうに見えるわ。
61:
「いいですよ」
敬語のままだけど、
雰囲気がちょっと大人っぽいみくるちゃん。
同じ学年じゃないから、あんまり見れないだろうけど、
大人っぽい仕種も意外と似合ってるわね。
ギャップ萌えを狙ったんだけど、
これはこれで新しい発見ができてよかったわ。
鶴屋さんにあとでいろいろ聞こう。
「いいよっ!」
今日一日楽しませてもらうわよ、キョン。
62:
学校が始まってから、キョンは日直の黒板消しを手伝ったり、
お人よしとお節介の紙一重の行動を取っていた。
意外となりきっている。
あたしも負けじと普段はあまり加わらない女子の会話に加わる。
あたしの場合は普段どおりにして、表情を気にしているだけでもいいんだけど、
キョンがいつもやらないようなことをして動き回ってるのに、
あたしがいつも通りにしてるのは卑怯だしね。
最初は、一度SOS団に相談に来た阪中さんのグループに入ってたんだけど、
あたしの方から話しかけているのが珍しかったのか、
二時間目の終わりの休み時間にはいろんな人が集まってきて結構大きな集団で、
ガールズトークに花を咲かせていた。
でも、内容はどうでもいいもので、正直おもしろくない。
谷口や国木田くんから「気持ち悪い」とか、
「変なものでも食べたんじゃないの」とか言われているキョンを、
視界の端で観察しているほうがよっぽど面白い。
63:
そんなこんなで四時間目。
真面目な好青年を演じるためか、
三時間目までは少なくとも見かけ上、
ちゃんと授業を受けていたキョンが舟を漕ぎ始めた。
しばらくは耐えていて、自分で耐え切るかとも思っていたけど、
早起きが祟ったのか、最終的に睡魔に負けて寝入ってしまった。
授業中に居眠りなんて真面目な好青年にあるまじき行為ね。
ルール違反だわ。
やっぱりキョンが最初に脱落したわね。
でも、脱落させるにはまだ残り時間が長いし、
何よりこの気持ち悪いけど面白いキョンをもう少し見ていたい。
そういえば、今のキョンは頼み事は断れないのよね。
と言うことは、これを一つ貸しにして、
今のうちに頼めばキョンは断れない。
脅すみたいだけど、物腰さえ穏やかなら問題ないわよね。
頼みごとなんだから、暴挙ではないだろうし。
64:
よし、決めた。でも、すぐに起こすのは危険ね。
寝てないと言い張られるかもしれない。
でも、自分から目覚められても困るから、
授業が終わる直前くらいに起こそう。
あたしも少し眠くなってきたけど、
今ここで寝て、キョンが先に起きたら元も子もないわ。
仕方が無いから、少し真面目にこのつまらない授業でも聞こうかしら。
早く時間が経たないかな。
66:
意外と早く時間は経ち、授業終了目前。
教師がどうにか時間内に収めようと慌ててるけど、
あたしには関係のないことね。
「キョンくん。起きてください」
「んぁ……朝比奈さん?」
確かに、みくるちゃんの話し方には似てるかもしれないけど、
それでもあたしの声とみくるちゃんの声を聞き間違えるなんて、
どれだけ熟睡していたのかしら。
もしかしたら、眠りが浅いからこそ夢でも見ていたのかも。
「違います」
「げっ……ハルヒ、どうかしたのかいっ!」
67:
一瞬地が出て、ゲーム中なのを思い出したのかそれを必死に誤魔化してるけど、
さっきまで寝ていた時点でそれは無意味なのよ。
授業中にいきなり大きな声を出したので、教師に睨まれ、
クラスメイトからは笑われたキョンは教師に謝り、
クラスメイトに適当に言い訳をすると、席に座った。
「真面目な好青年さんが居眠りですか?」
「あの……ええと、これは……」
慌ててる、慌ててる。
キョンも意外と負けず嫌いなのね。
68:
「これは貸し一にしておきます。
 今週の日曜に買い物に行く予定なんですけれど、
 そのの荷物持ちをしてくだされば、なかったことにして差し上げますが。
 いかがでしょうか?」
自分で言っててなんだけど、
キョンに敬語を使うのはむず痒いというか、
気持ち悪いというか。
「……ああ、そうしてくれると助かるよ」
一瞬キョンは妙な表情をしたけど、
すぐに嘘くさい爽やかな笑みを浮かべて、そう言った。
そんなやり取りをしているうちに、授業終了を告げるチャイムが鳴った。
72:
昼休み、学食から教室に帰ってきたあたしは、
今日の日直の人に提出物を職員室まで持っていくように頼まれた。
キョンは今、教室にはいない。
どこに行ったのかしら。
昼休みには大抵、谷口たちと一緒にお弁当を食べて、
そのまま駄弁ってるのに。
そんなに親しくも無いのになんであたしにこんなこと頼むのか解らないし、
そんなに切羽詰った用事があるようにも思えない。
74:
でも、キョンが見てないからと言って、自分で決めたルールを破るのは卑怯だ。
お人よしという条件はキョンにしかついていないけど、
お淑やかなお嬢様ならこういうのは断れないかもしれない。
なら、受けるしかない。
「よろしくてよ」
「サンキュッ! じゃ、あたしは行くから」
今日の提出物が結構多くて、受けたことを少しだけ後悔した。
キョンがいたら半分くらい持たせるのに。
75:
職員室からの帰り、有希とキョンが話しているのを見つけた。
「キョンくん」
「涼宮さん」
「ハルヒか。どうしたんだいっ!」
キョンの喋り方がどんどん爽やかな好青年と言うよりも、
鶴屋さんに近くなっているような気がする。
下手に古泉くんの真似をして敬語で喋ると、
ボロが出るかもしれないからかしら。
76:
「教室にいないと思ったら、こんなところで何をなさっていたんですか?」
「そこで長門に会ったから、ゲームの調子を訊いてたのさっ」
この辺にいるってことは、有希は部室にでも行ってたんでしょうね。
そう言えば、部室に行かれると古泉くんの知り合いの監視から外れる。
もしかしたら、キョンはそれを見越して部室に顔を出したのかも。
「そうなんですか。わたしにも聞かせてくださる?」
「あたしも古泉くんもルール違反はしてないわよ。
 古泉くんが豹変して、クラスメイトは驚いてるみたい。
 彼みたいな人がいきなりグレたら、確かに驚くわよね。
 不良を演じてるから、結構怖がられてるみたいよ」
古泉くんの豹変も驚かれるだろうけど、
有希の豹変はもっと驚かれてると思うんだけど。
78:
いきなり有希がこんなに饒舌になったらあたしだって驚くわ。
その次に宇宙人に攫われて改造されたんじゃないかって期待するけど。
クラスメイトは遅い高校デビューくらいに思ってるのかしら。
「そうなんですか。脱落していなくて何よりです。
 どちらかが脱落ときは連絡をお願いします」
「そういえば、脱落者が出たときの対応は決めてなかったなっ!」
好青年っぷりを出してるけど、爽やかと言うよりは暑苦しい感じね。
もう少し、穏やかにできないかしら。
「こんな感じでしょうかっ?」
さっきまでは鶴屋さんと古泉くんが7:3くらいだったけど、
今度は割合を逆にした感じ。
とりあえず初夏から初秋くらいにはなったわね。
80:
それなら、谷口に気持ち悪いって言われる割合も減るんじゃないかしら。
「彼はクラスでも気持ち悪いとか言われているの?
 それだったら、ちょっと可哀想じゃない?」
「ゲームが終わった後のフォローはSOS団を挙げてやりますから、
 心配しないで下さい。残りの時間も頑張ってくださいね。
 あ、あと、校門を出るまでがゲームですから、
 古泉くんにもそう伝えておいてください」
「解った、ちゃんと伝えておくわ。そっちも頑張ってね」
そう言うと有希は手をヒラヒラと振りながら去っていった。
やっぱり有希のあの雰囲気はどこかで会っているような気がする。
思い出せないから、まあ、いいわ。
それよりもゲームに集中しよう。
みくるちゃんの様子も鶴屋さんに訊いておかなくちゃ。
81:
意外なことにみくるちゃんもボロを出していないらしく、
脱落者はあたしがキョンを見逃したことを除けばゼロ。
昼からの授業はキョンも気をつけ始めたのか、
居眠りをすることもなく、
教師の質問にもあたしの要望どおりに答えてくれて、
でも、文句は言っておらず、ルールは守っている。
もちろん、あたしがポカをするはずもなく、
他の人が脱落したという連絡も無い。
六時間目が終わった時点では、勝負は部室に持ち越しになるかに見えた。
84:
ホームルームも終わり、放課後。
あたしの班は掃除に当たっており、キョンに先に部室に行くように言うと、
とっとと掃除を終わらせるべく、掃除担当場所に向かった。
掃除担当場所の特別教室に着いたのはあたしが一番最初で、
先に掃除を始めておこうと掃除用具入れに手を掛けたところで、
教室の扉が開く音がした。
顔を向けると、扉から班員が顔だけ出している。
そんなところに突っ立ってないで、早く掃除に取り掛かりなさいよ。
あたしは早く部活に行きたいの。
85:
そう思って掃除用具入れの扉を開けて、ほうきを掴んだ。
班員は中々入ってこない。
今日は怒れないだから、あんまりイライラさせないでよね。
「ごめんけど、試合が近いから部活に行くわね」
「あたし、これからすぐバイトなんだ」
イライラしながらあたしがほうきを掃除用具入れから取り出したところで、
班員の女子が口々に掃除ができない理由を言って、
あたしの返事を待つことなく去って行った。
そもそも何かを言う暇すらなかった。
男子は元々顔を出しておらず、気付けば教室にはあたしだけが残された。
86:
流石に怒りが湧き上がってきたけど、暴言も暴力もルール違反。
そうなると、追いかけていって強引に掃除をさせるわけにもいかない。
先に行くように言った手前、キョンに助けを求めるわけにもいかないし、
そもそも、キョンにこんなイジメの典型みたいな現場に来て欲しくない。
ゲームを言い出したのはあたしだ。ルールを決めたのもあたし。
なら、とことんルールに従ってあげようじゃないの。
明日になれば仕返しでもなんでもしてやるわ。
陰険な手を使うやつには真っ向から向かってやればいいのよ。
あたしをコケにしたらどうなるか思い知らせてあげる。
そう決めると、あたしはほうきを動かし始めた。
87:
他の教室よりは広いけれど百人も入らない教室なのに、
一人で掃除するとなると結構広く形も少し複雑になっている。
普通の教室みたいに机は動かせないし。
普通なら掃除が疾っくに終わってる時間になっても、
まだ半分も掃除の終わっていない教室を見つめて、
あたしは途方にくれた。
掃き掃除が終わった後には、ごみ捨てにも行かなければいけない。
こんなことなら、素直にキョンに手伝ってもらえばよかった。
そもそもゲームになんて拘らず追いかけていって、
無理やりにでも掃除をさせればよかった。
88:
今からでもキョンには連絡できるだろう。
ルール上、今のキョンなら手伝ってくれるはずだ。
でも、それは何かが違う。
ゲームを利用して、自分が何かを得ようというのは何かが違うのよ。
ゲームに勝って、勝者として利益を得るならそれは正しいわ。
けど、ルールを利用して利益を得ようと思うほど、
あたしはエゴイスティックではないの。
四時間目のはルールを利用したのではなく一種の取引だし、
ゲームのルールを利用したわけじゃないからあたし的にはOKなのよ。
101:
そう、これはゲームよ。
この一人で掃除している状況もゲームの一部だと思えばなんてことは無い。
なんてことは無い、はずなんだけど。なんだか、自分が惨めになってきた。
キョンなら自業自得だって笑うかな。
そんなことを考えている余裕があったら、
とにかく手を動かして早く掃除を終わらせたほうがマシよ。
それで早く部活に行って、みくるちゃんのお茶を飲んで、
いつもとは逆の表情のキョンと古泉くんを見て笑って、
嫌なことはとりあえず忘れるの。
それで、明日になったら仕返しをしてやるわ。
そんな予定を立てながらほうきを動かしていたら、
また教室の扉が開く音がした。
あたしが惨めな気分になってるのを存分に笑ったから、
他の班員が帰ってきたのかしら。
そうだとしたら、ほうきで百叩きの刑に処してあげるわ。
そう決意しながら、あたしは振り返った。
誰がそこにいようと驚くことは無かっただろうけど、
実際にそこにいた人物と彼らの浮かべている表情を見て、
あたしはかなり意表を衝かれた。
102:
そこにいたのは、
「一人で何やってんだ、ハルヒ」
渋い表情をしたキョンと、
「こういうときに助け合ってこその仲間だと思うのですが」
困ったような笑みを浮かべた古泉くんと、
「ふえぇ……涼宮さん、こんな広い教室を一人で?」
なぜか涙を浮かべているみくるちゃんと、
「とりあえず、まだ掃除中みたいだから手伝うっさ!
 あたしはゴミを出してくるよっ!」
いつもの笑顔を浮かべた鶴屋さんだった。
103:
「キョン、遅いわよっ!
 団長のピンチには一番下っ端のあんたが真っ先に駆けつけないでどうすんのよっ!」
「仕方ないだろう。これでも急いだ方なんだ」
よく見ると、古泉くんのは元々だったけど、
キョンのブレザーも少し乱れている。
ここまで走ってきたのかもしれない。
あっ!
意表を衝かれて失念していたけど。
「ゲームはっ!?」
「こんなことになってて、続けてるわけが無いだろう?」
「とりあえず、掃除をやってしまいましょう?」
みくるちゃんの提案に従う形で、
キョンと古泉くんはほうきをだして、床を掃き始め、
みくるちゃん自身は黒板を消し、黒板消しをはたき始めた。
そうなると、あたしもじっとしているわけにもいかず、
どこか釈然としないものが残るものの、掃除を再開した。
一人でやっているときには終わりが見えなかった特別教室の掃除も、
五人がかりでやるとあっという間に終わった。
104:
「みんなありがとね」
「困ったときはお互いさまっさ!」
あたしの礼に鶴屋さんが答え、それに他の三人は同意するように頷いた。
「ところで有希は?」
あたしはさっきから気になってることについて訊ねた。
「あー……多分、部室にいるんじゃないか?」
あたしの問いに答えたのはキョンだったけど、どこか曖昧。
不信に思いながら問いを重ねる。
「誰も呼びにいかなかったの?」
「これだけいるんだから態々呼ぶ必要もないだろう」
それはそうだけど、有希だけ呼ばないなんて仲間はずれみたいじゃない。
「こういうのは仲間はずれじゃなくて、要領が良いって言うんだよ」
105:
有希は意外とSOS団としての仲間意識が強いほうだと思ってたんだけど。
「実は、長門さんには僕たちがゲームから脱落したことを伝えていないんです。
 部活中もゲームは続けるということになっていましたから、
 彼女の中ではまだゲームが続いていて、
 我々が部活に来るのを待っているのではないでしょうか?
 活発な性格を演じていますから、探している可能性もありますね」
古泉くんが要領を得ない答えをするキョンを補って解説をしてくれる。
こういうときの応答は古泉くんの方が適任ね。
その証拠に、古泉くんの推測通り有希が姿を現した。
「みんな、中々姿を見せないから捜しに来ちゃったわよ。
 それで、みんな揃ってるけど、どうかしたの?」
「なんでもないぞ、長門。
 あと、全員ルール違反でお前の勝ちだから、
 もういつも通りに戻してもいいぞ」
キョンが有希の問いに答え、ゲームの終了を告げた。
「そう」
有希は短く答えると、すぐにいつもの無表情に戻った。
少し、もったいない。写真を撮っておけばよかった。
106:
用事があるという鶴屋さんと別れ、あたしたちは部室に戻ってきた。
「それで、誰が一番最初にルール違反をしたの?」
「……俺だろうな」
「そうですね。おそらく、あなたでしょう」
キョンが名乗りを上げ、それに古泉くんが同意する。
何か引っかかるけど、それが何か判らない。
「キョンと古泉くんは一緒にいたの?」
「ええ。彼がお手洗いで愚痴っているのに出会いまして」
「そうだ。独り言として呟いてたら、タイミング悪くこいつが入ってきたんだ」
ふうん。なら、たぶんキョンが最初なんでしょうね。
「なら、有希。キョンに何か罰ゲーム。
 何でも言うことを聞かせていいわよ」
どんなイレギュラーがあっても、ゲームはゲーム。
ルールは守らないと。
そう言うと、キョンは意外にも素直に聞き入れた。
「今回は仕方ない。長門、お手柔らかに頼むぞ」
107:
「図書館」
有希はもう完全にいつもの喋り方に戻ってしまった。
昼間での饒舌で感情豊かな有希もまた見れたら見てみたいわね。
「図書館に連れてけと」
コクリと有希は頷き、そのまま続けた。
「日曜」
その言葉にあたしは固まった。
キョンは何かを思い出すように固まっている。
そのキョンを急かすように、有希は更に続ける。
「ダメ?」
「ダメじゃないぞ!」
108:
「え?」
キョンが承諾するとは思っていなくて、あたしは少なからずショックを受けた。
あたしの漏れ出てしまった声が聞こえたのか、キョンはこちらに目を向けると、
ハッとした表情になり、有希に向き直った。
「すまん、長門……」
キョンはそこまで言うが、あたしはそれ以上言わせない。
「キョン、図書館デート楽しんできなさいっ!」
「ハルヒ?」
「もしかして、お昼のやつ、本気にしたの?
 お生憎様。SOS団の団長は忙しいの。
 まさか、あたしと一緒に街を歩けると思ったの?
 ざんねんでした。いい夢は見れた?」
109:
「そうかよっ!」
捲し立てるように朝の有希のように笑いながら言ってやると、
キョンはイライラしたような声で答えた。
イラつかせるような言い方をしたのだから当然だ。
「長門、日曜に図書館な。集合場所はいつもの駅前でいいか?」
有希のほうは見ていなかったけど、微かに頷いたような気配がした。
その気配を肯定するように、有希の声が聞こえてくる。
「いい」
有希の返答を聞いて、キョンは一つ頷くといつもの席に着いた。
110:
あとはいつもと同じ光景。
いつもと逆の表情をした二人のアナログゲーム勝負が見られると思っていたから、
少し残念な気もする。
あたしは二人の将棋の準備が終わるくらいまでは、
ネットサーフィンをしていたが、どうも気分が乗らないため、
家に帰ることにして、帰り支度を始める。
「今日は帰るわ。有希、鍵よろしく」
有希が頷くのを視界の端で確認して、あたしは部室を後にした。
帰宅した後、宿題だとか、お風呂だとか、夕飯だとかをいつの間にか終わらせて、
あたしは冒頭の部分に悶々とした状態に至る。
111:
キョンに対して嘘を吐いてきた気はまったくない。
でも、素直になれないことを嘘だというのなら、
あたしは、嘘を吐き続けてきたことになる。
自分の気持ちに正直に行動できないあたしは、
今日みたいなあからさま嘘はあまりなくても、
自分にもキョンにも嘘を吐き続けてきたんだと思う。
そりゃ、キョンも怒るわよね。
でも、あたしは自分のために嘘をつかなければいけない。
幸せなのは夢の中だけで十分。
あたしはオオカミ少女。嘘を吐いてこその存在なのよ。
あたしはあたしであるために嘘を吐いて、
あたしはあたしを守るために夢を見るの。
これまでも、これからも。
114:
ハルヒ視点はここで終了です。
あとは、蛇足にしかなりません。
愚痴らないキョンと、大人しいハルヒと、
お喋りな長門という無茶苦茶な三題話でしたから。
蛇足が必要な方がいれば、続けます。
116:
ハルヒ視点でしたから、全員分の描写は入れられませんでした。
ハルヒ視点で書いてみるように言われたので書いただけです。
それで、ハルヒには痛い目見てもらおうとオチは始めから決まってました。
勢いで強引につなげました。
後悔だらけです。
123:
涼宮ハルヒが部室を去った後の会話。
「キョンくん。涼宮さんを追いかけなくていいんですか?」
そう言ったのはもちろん朝比奈みくるである。
しかし、キョンは渋面を作ったまま、首を横に振った。
「ハルヒが決めたことです。
 朝比奈さんもハルヒの頑固さは知っているでしょう?
 なら、俺が追いかけたところで逆効果ですよ」
「でもぉ……」
みくるはまだ言い募ろうとするものの、
ハルヒを頑固と評したキョン自身も結構な頑固者である。
124:
彼は日常では柔軟な対応をするものの、
ハルヒに関することには頑とした態度を取ることが少なくない。
SOS団最後の良心を自称することに由来しているのだが、
キョンの生来の性質でもあるのだろう。
「さて、どうしてこのようなことになったのか説明していただけますか?
 涼宮さんの発言から何となく察することはできますが」
キョンの説得を諦めたみくるが溜息を吐いたところで、
古泉一樹がいつもの笑みでそう切り出した。
古泉としてはキョンにハルヒを追いかけてもらいたいだろうが、
みくると同じく彼の態度を見て諦めたのだろう。
125:
古泉の問いかけに答えたのは無表情で窓際に座る長門有希だった。
彼女の膝の上には分厚い本が開かれているものの、
視線は彼女にしては珍しく本ではなくキョンに向けられている。
「彼と涼宮ハルヒは日曜日に出かける約束をしていた」
「いつのまにデートの約束を取り付けていたんですか。
 あなたも隅に置けませんね」
古泉はキョンに話を振る。
古泉の笑顔だけ見ると、状況を楽しんでいるように見えなくもないが、
その実、彼はキョンを言外に責めているのである。
そのような約束をしておいて、なぜこのようなことになっているのか、と。
「そんなんじゃない。ただの荷物持ちだよ」
しかし、キョンは古泉の意図に気付いていないのか、
または、気付いていない振りをしているのか、
古泉の発言にそう返した。
126:
古泉は少し大げさに肩を竦めると窓際の長門に視線を向ける。
その視線を受けて、長門は古泉の方に目線を向ける。
「長門さんはこのことを知っていたにも拘らず、あのような発言を?」
「知っていた。しかし、あのような発言をする気はなかった」
「なら、なんで……?」
長門の発言に問いを投げかけたのはみくるである。
しかし、みくるの疑問は古泉やキョンも抱いたものである。
彼女が無意識のうちに何かを為すということは、
非常に珍しいどころか、ほとんど無いと言えるものであるからだ。
「涼宮ハルヒの能力によるものだと思われる」
127:
「彼女がこのような状況を望んだということですか?
 それにしては、彼女の機嫌は決して良いようには見えませんでしたが」
その発言を受けて、疑問を投げかけたのはキョンである。
「そう言えば、古泉。閉鎖空間はできてないのか?」
「もちろん、できていますよ。
 小規模なものですから、僕は状況の把握を優先していますがね」
そこで古泉は一旦区切り、お茶を一口含んでから、再び続けた。
「彼女の精神は昨日の午前中の方が、余程不安定でしたよ。
 だからこそ、僕は疑問に思ったわけです。
 このような状況になって尚、彼女の精神はなぜ微妙なバランスとは言え、
 安定しているのかとね」
128:
「あいつの精神分析はお前の分野だろう?
 昨日に関して言えば、俺でもわかるがな。
 ただのブルー・マンデーだろう」
お茶を飲みながらキョンが言う。
彼の渋面は崩れないが、決してお茶が苦いわけではないだろう。
「僕もこの状況が把握できていないんです。だからこその、情報収集ですよ。
 長門さん、涼宮さんの能力と言うのは?」
古泉の方は笑みを崩さず、長門に目を向ける。
「わたしという個体が先ほど言ったような願望を持っていたのは事実。
 しかし、情報統合思念体はそれを言語情報として発することは許可しなかった」
「にも拘らず、長門さんは願望をそのまま口にしてしまった。
 ならば、そこには涼宮さんが介入しているでしょうね。
 情報統合思念体でも彼女がこのように介入するとは思ってもみなかったでしょうね」
130:
「……うかつ」
長門の発言に古泉は仕方ないといった風に肩を竦めた。
「……そんなことをする理由が解りません」
そこで口を開いたのはみくるだ。
ハルヒがこのような状況を作ったということは長門の言で判ったが、
その理由までは説明されていない。
長門は説明する気がないのか、口を開かず、
しかし、本を読み始めるわけでもなく、ただ、キョンを見ていた。
彼が知っているというように。
131:
「……罪悪感だと思います」
「罪悪感?」
キョンの発言を復唱したのはみくるだが、
古泉も興味深げな視線をキョンに投げかけている。
「俺は四時間目に居眠りをしてしまったんです。
 真面目な好青年を演じていたわけですから、ルール違反です。
 でも、ハルヒは俺を失格にせず、交換条件を持ち出してきたわけです」
「それが、日曜日の荷物持ちですか。
 罪には罰を、いかにも涼宮さんらしいですね」
「そういうことだろうよ」
古泉は納得したようだったが、
みくるはどこか釈然としない表情をしている。
132:
「でもぉ……そうだとしたら、涼宮さん、自分に厳しすぎです。
 あの掃除の件だけで、十分じゃないですか」
「……あれは、ハルヒの素行の問題ですよ。
 最近は打ち解けてきていますが、最初のほうは無視でしたから。
 それを気に食わないと思っているヤツは結構いますよ」
みくるの意見を、少しの間のあと、
キョンはハルヒの自己責任だと斬って捨てる。
「そう思っている割には、
 あのときのあなたは非常に憤っていたようにも思いますが。
 僕は不良を演じていた訳ですから、僕が出たほうが良かったのでは?」
「折角のゲームに水を差されれば、そりゃ怒るさ。
 確かに、役的にはお前が出た方が良かったんだろうが、
 彼女たちへのフォローは俺にはできなかったと思うぞ」
古泉の言葉に、キョンは肩を竦めながらそう言った。
133:
そのキョンを見て、古泉も肩を竦めて続ける。
「あの時にも言いましたが、あなたはもっと冷静な方だと思ってたんですが。
 鶴屋さんが来てくれなければ、あなたを止めれた気がしませんよ」
「あの時のキョンくん、ちょっと怖かったです」
みくるがその光景を思い出したのか、身を竦めて肩を震わせる。
それを見て、キョンが少しショックを受けた顔をする。
「俺もそう思ってたんだがな。
 鶴屋さんが来てくれなきゃ、手が出てただろうし、
 長門のおかげで大事にもならずに済んだだけだしな。
 長門、迷惑掛けた。すまんな」
「いい」
キョンの謝罪に長門が短く答えるのを見て、
古泉は一つ頷くと口を開いた。
134:
「そのことに関しては、結果的に何もなかったことになったのですから、
 良かったことにしましょう。問題は、これからのことです」
「やっぱり、キョンくんは涼宮さんに謝るべきだと思うです。
 涼宮さんはああ言ってましたけど、約束を破ってるんですから」
「日曜日は彼女といるべき」
三人から見つめられて、流石にキョンはたじろいだ
そして、そんな状況で自分の意思を貫けるほど、
彼は頑固というわけではない。
「……解りました。でも、ハルヒも頭を冷やす時間はいると思うんです。
 ですから、明日の朝にでも謝ろうと思うんですが、良いですか?」
「それで良いです。ちゃんと謝ってくださいね」
みくるが指を立ててお姉さんっぽくそう言うと、
キョンはええと頷いた。
135:
それを見て古泉も頷くと、席を立った。
「とりあえず、状況改善の目途は立ちましたから、
 僕はバイトに行きます」
ハルヒと古泉が帰ったことで、自然と部活は解散ということになった。
みくるが着替えるということで、鍵は彼女が返すことになり、
長門とキョンは並んで昇降口へ向かっていた。
そこで、長門が珍しく自分から口を開く。
136:
「罰ゲーム」
「ん?」
キョンがその声に反応して、長門に目を向けると、
彼女は彼にはギリギリ判るくらいに悪戯っぽく瞳を光らせた。
「改めて考える」
「そうかい」
「手加減はしない」
それを聞いてキョンは驚いたような表情をしていたが、
すぐにいつもの表情に戻り、やれやれと肩を竦めた。
137:
補足。
月曜日の昼休みにキョンがいなかったのは、
古泉に呼び出されたため。
キョンはハルヒと同じクラスであるため、
日直や掃除場所、その班員は知っている。
それで、彼女らの会話を聞いてキョンぶちギレ。
愚痴れないストレスもあって、まくし立てて、
手が出そうになったところを、鶴屋さんに殴られて、冷静になる。
鶴屋さんもキレないまでも忠告はしてます。
「泣くくらいならやんな」的な。
その場は古泉が収め、後で長門が情報操作。
家に帰った生徒もいたため、長門は帰ってくるのに時間が掛かった。
他に何かあればお願いします。
140:
キョンは意外に頭がいい上に、自分が動き、
各方面からのアプローチも受けますから、
舞台裏まで語ってしまいます。
陰謀のように故意に隠されない限りにおいてですが。
ハルヒは自分から動きますが、
隠されますので、描写に制限が掛かります。
出来得る限り裏の動きまで想像できるようには、
したかったんですが、無理でした。
別サイドのストーリーまで書こうとも思いましたが、
要求から外れるため、断念しました。
キョン他の動きは脳内補完でお願いします。
判ったこと
ハルヒ視点は制約が多い。
弱ったハルヒは可愛い。
しかし、長門はもっと可愛い。
141:
起きたら終わってた
激しく乙
面白かったよ
14

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