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提督「赤城が飯を食わなくなった!?」
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これはもう、拒食症待ったなし
53: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 21:54:44.24 ID:cfzSYl6P0
カチャ…
赤城「いただきます……」
加賀「なっ! あ、赤城さん!? たった、それだけですか!?」
赤城「えぇ……」
加賀「そ、それでは体力が……」
赤城「大丈夫です……はい、大丈夫ですから……」パキッ
赤城「……」モグ…モグ…
加賀「……」
54: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:02:26.75 ID:cfzSYl6P0
<提督執務室>
ドタドタドタ!!
バタンッ!!
鳳翔「提督っ!! 赤城さんが……赤城さんが!!」
提督「今度は鳳翔さんか! 最近何なんだ、もぅ……」
鳳翔「睦月姉妹用の定食を、一膳だけしか食べずに……」
提督「なにぃ!?」
鳳翔「あれのボリュームは高消費空母用の約半分なので……」
提督「いつも三杯おかわりしてるって事は……普段の15%くらいか!?」
鳳翔「既にちょっとした騒ぎになっています! 『いくらなんでも食べなさすぎる』と」
提督「うーん……何か悪化して行ってる様な……」
ドタドタドタ!!
バタンッ!!
加賀「提督!!」
提督「赤城だな!?」
加賀「は、はい」
提督「一緒に行こう! 直接訊くんだ!」
56: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:05:52.43 ID:cfzSYl6P0
<弓道場>
赤城「……」ギリギリ
ヒュン!
妖精「少しハズれたね」ストンッ
赤城(流石に、少し辛い……でも)
霧島『一航戦のww誇りww』
金剛『むしろ埃デースww』
赤城「黙りなさい!」
赤城(私は……)ギリギリ
ヒュン!
妖精「ど真ん中。お見事」ストンッ
赤城(煩悩には負けない!)
57: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:10:47.37 ID:cfzSYl6P0
提督「赤城」
赤城「あ、提督。それに加賀さんに鳳翔さんも」
提督「すまんな練習中に」
赤城「いえ。しかしどうしたんですか?」
提督「……最近、食ってないらしいが」
赤城「燃費が良いに越したことはないはずです」
鳳翔「それはそうですが……」
加賀「あの量ではかなり辛いはずですが」
赤城「問題ありません。今日も快調です」
提督「いや、そんな筈はないだろう。空母が駆逐艦と同じ燃費で動ける訳がない」
赤城「現に今、私は問題なく稼働しています」
鳳翔「今は問題なくても、いずれ出てくるかもしれませんよ」
赤城「失礼します。長良さん達と走り込みの約束があるので」
提督「お、おい……」
スタスタ……
加賀「赤城さん……」
58: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:15:50.92 ID:cfzSYl6P0
<夜・提督執務室>
提督「結局、詳しい事は分からず終いか」
鳳翔「後でまた聞いてみても、『そうする事にした』という事しか……」
提督「取り付く島も無いな……」
加賀「食事量もそうですが……最近の赤城さんは、様子も変です」
提督「様子?」
加賀「赤城さんは、いつも心の底から幸せそうに食事をします」
加賀「今は幸せどころか……」
加賀「何かに、怯えていた様な……?」
61: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:21:16.96 ID:cfzSYl6P0
<二日後・昼前・鎮守府内グラウンド>
赤城「ほっほっ……」タッタッタッ
長良「赤城、さん」タッタッタッ
赤城「どう、しました?」タッタッタッ
五十鈴「最近、食事をあまり摂ってないと、聞きます」タッタッタッ
名取「大丈夫、なんですか?」タッタッタッ
赤城「平気、ですよ」タッタッタッ
赤城「消費を絞れれば、鎮守府も楽になりますから」タッタッタッ
62: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:25:58.29 ID:cfzSYl6P0
<シャワー室>
ジャァァァァ……
高雄「それはそうかもしれませんが……」
摩耶「幾らなんでも、無理があるんじゃあ……」
赤城「空母は、ただでさえ補給の難しいボーキサイトを大量に消耗します」
赤城「そちらはどうにもなりませんが、他なら締めようもあります」
鳥海「いきなり無理な事をすると、体に障りますよ?」
愛宕「そんなにも絞る必要がある様には見えませんし……」
63: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:31:05.12 ID:cfzSYl6P0
<更衣室>
赤城「私は、情けない姿を晒したくはないんです」
加賀『バカは貴女です』
飛龍『何でこんな事に……』
蒼龍『こんなのが私達のリーダーだなんて……』
鏡(赤城ビジョン)「まだ肥満体赤城」
赤城「誰にも、もう二度と……」
四人「……」
鏡「痩せ気味赤城」
68: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:36:13.33 ID:cfzSYl6P0
<更に数日後・昼・食堂の行列>
赤城「……」フラー
赤城(……お腹が……いや、こんなところで、諦める訳には……)
金剛「ヘーイ赤城!」
赤城「金剛、さん……」
比叡「たまには、お昼ご一緒しませんか?」
赤城「……良いですね。ぜひ」
榛名「少し、やつれて見えますが……」
赤城「そう、ですか?」
霧島「えぇ。本当に平気なんですか?」
赤城「はい。赤城は大丈夫です! なんて……」
70: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:41:05.15 ID:cfzSYl6P0
鳳翔「次の方?……あっ、赤城さん……」
赤城「……空母盛り大、中華……ハッ!?」
赤城「っあっ!! ぅあっ!!」アタマブンブンブンブン!!
柱「ガンガンガンガンガン!!」
周囲「!?」ビクッ!
赤城「煩悩なんかに……煩悩なんかに!!」ブンブンブン
金剛「ちょ、ちょっと! 落ち着くデース! どうしたんデスか!?」
赤城「……はっ……な、何でも、ないですよ……」ニコォ
周囲「!!?」ゾクゥ
赤城「……駆逐盛り小で中華Bセットを……」ヨロヨロ
鳳翔「は、はひぃぃぃ……」ナミダメ
72: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:45:30.52 ID:cfzSYl6P0
<提督執務室>
ドタドタドタ!!
バタンッ!!
金剛「テートクー!!!」ナミダメ
比叡「ひぇぇっ!! ひぇぇぇぇええっ!!」ガチナキ
榛名「大丈夫じゃないです! 絶対大丈夫じゃないです!!」ナミダメ
霧島「今すぐ! 今すぐ何とかしないと!!」ナミダメ
提督「待て待て待て!! 何事だ!」
???霧島説明中???
比叡「明らかに尋常じゃなかったです……」
金剛「もう怖くて怖くて……テートクゥ、どうにかならないんデスカー……?」
提督「こっちとしてもどうにかしてやりたいんだが、本人が頑なにあの姿勢を曲げようとしなくてな……」
比叡「もう無理矢理にでも食べさせるしかないんじゃあ……?」
提督「そうするしかないか。できれば避けたかったが……今どこにいる?」
霧島「今日は……今、演習中のはずです!」
提督「今からでも中止させるぞ! 指令室へ行く!」
75: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:51:19.42 ID:cfzSYl6P0
<鎮守府前海域・演習場>
扶桑「赤城、本当に大丈夫なの?」
山城「何だかフラフラしてるけど……」
赤城「そう? 気のせい、ですよ」ヨロヨロ
扶桑「もう今にも深海棲艦化しそうな勢いよ……?」
加賀「やっぱり、戻って食事を摂った方が……」
吹雪「やっぱり空母が駆逐艦のご飯だけなんて無茶ですよ」
叢雲「もう不気味な位痩せてきてるわ。ダイエットならもう十分でしょ」
赤城「そんな訳……まだ、まだまだ……」
赤城「あれ……わた……し……」フラッ
ドシャッ
76: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 22:55:24.64 ID:cfzSYl6P0
加賀「赤城さんっ!?」
扶桑「赤城!?」
吹雪「いやぁぁぁぁああっ!!!」
叢雲「ちょっと!! しっかりしなさいよ!!」
提督『演習中の艦隊、聞こえるか!? 今すぐ中止して帰還しろ! そして赤城を食堂へ連行するんだ!』
吹雪「司令官!? 今赤城さんが倒れて……扶桑さんが曳航を!」
提督『クソッ、遅かったか!!』
提督『じゃあ一号ドックを解放する! すぐにそっちへ運び込め!』
扶桑「了解!」
加賀「…………」
77: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:01:17.53 ID:cfzSYl6P0
<ドック>
明石「人間で言う、栄養失調に近い状態ですね」
吹雪「赤城さん……」
提督「よもやこんな事になるとは……」
明石「こんなの、初めて見ます……って、加賀さん!?」
加賀「あぁっ! がぁっ!」アタマブンブンブン!!
柱「ガンガンガン!!」
扶桑「ちょっと! やめなさい!」ガシッ
山城「落ち着いて!」グイッ
加賀「もっと……もっと早く気付いていれば……」
加賀「機会は、幾らでも、あったのに!!」
叢雲「それを言ったら私達全員もよ! 明らかに異常だったのに見過ごしてたんだから!」
明石「とにかく、起きたら食事を摂らせましょう」
明石「幸い、本当に最悪な事態には至っていません。食べれば数日で良くなる筈です」
80: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:04:55.45 ID:cfzSYl6P0
<夕飯時過ぎ・ドック>
赤城「……え……あれ、ここは……?」
加賀「気が付いた!? 提督!」
提督「わかってる! 明石!! 明石来てくれ!!」
明石「はいっ!! 赤城さん、気が付いたんですね!」
赤城「どうして……こんな所に……確か演習中に……」
明石「倒れて運ばれて来たんですよ。原因は急激かつ無茶な食事制限です」
加賀「幸いまだ手遅れの一歩手前で済んでいます。今すぐ食事を!」
提督「いや、先に何でこんな無茶をやったか、理由を言って貰おう」
赤城「は、はい……」
81: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:08:37.85 ID:cfzSYl6P0
???赤城説明中???
赤城「……と、いう訳です……」
提督「そうか……みんな、手、離すなよ」
蒼龍「分かってます!」ガシッ
飛龍「落ち着いてってば!」ガシッ
加賀「行かせて……行かせて! 何としても、思い知らせてやらねば……!!」グググ
飛龍「駄目です!」
蒼龍「艦娘が一般人に暴力振るったなんて知られたら、ただじゃ済みませんよ!」
加賀「暴力では、ないわ! 赤城さんと同じ苦しみを、味わわせるだけよ!」
飛龍「それが暴力なんですって!」
提督「念のために呼んでおいて良かった……」
赤城「申し訳、ありません……グスッ……ご心配を……ヒグッ」
提督「良いんだ。本当に最悪な事態だけは避けられたし……さぁ!」
スッ
提督「飯だ! 空母盛り大カレーライス! 食え! 今はそれだけだ!」
赤城「ありがとう、ございます……パクッ」
赤城「……うぐっ!」
ゲホッ! ゴホッ! オェッ……
86: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:11:16.79 ID:cfzSYl6P0
赤城「す、すみません……モグッ……ぐほっ!?」
赤城「オェッ……そんな、どうして……」
明石「まさか……拒食症……!?」
提督「そんな馬鹿な! 艦娘が拒食症なんて聞いた事ないぞ!!」
明石「相手が艦娘なので厳密には似た様な別物でしょうけど、でも症状はまさに……」
提督「何という、事だ……」
赤城「うっ……うぅっ……」
89: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:17:14.61 ID:cfzSYl6P0
<数日後・昼時・赤城の部屋>
赤城(……カプセル三粒。これが、今の私の食事……)
赤城(変に格好を付けようとして、その挙句がこの様……)
赤城「……いただきます」
ゴクッ
赤城「……ご馳走様……」
赤城「……………………」
92: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:19:17.63 ID:cfzSYl6P0
?
??
???
加賀『赤城さんはオムライスですか? 珍しいですね』
赤城『たまにはこういうのも、と思って。一口食べますか?』
加賀『お言葉に甘えて。ではこちらからも……肉じゃがのじゃがいもです』
赤城『ありがとうございます!』
赤城『んん??、上品な甘み……♪』トローン
蒼龍『あははっ、だらしない顔』
飛龍『まぁ、”これ”は特別だからね。そういう自分も、あんな顔になってるよ、時々』
加賀『気分が、高揚します……』トローン
蒼龍『嘘ぉ!? 恐るべし、間宮アイス……』
鳳翔『いかがですか? 少し味付けを変えてみたのですが……』
赤城『……とっても美味しいです! こっちの方が私好みですね』
鳳翔『ありがとうございます! そう言って頂けると、頑張って調整した甲斐がありました』
赤城『えっ?』
鳳翔『実はこれ、赤城さん専用の献立なんです。いつも美味しそうに食べてくれるので、せめてそのお礼にと……』
赤城『……』ブワッ
鳳翔『えええっ!?』
赤城『ありがとうございます……ありがとうございます!』
鳳翔『そ、そんな! あぁっ、泣かないで!』
???
??
?
94: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:22:04.88 ID:cfzSYl6P0
赤城「……………………」
赤城「……っ……ぁぅっ……」
赤城(この間までは……食べなくても動けていた。少なくともそう思えた)
赤城(今では、全く力が出ない……実戦どころか、演習すらロクに出来ない始末)
赤城(あの時、誰かに相談していれば……この事態は避けられたかもしれなかった……?)
赤城(こんな、無様な事に、ならないで済んだかも、しれなかった……なのに……)
赤城「……グスッ」
赤城「ぁっ……うぁっ……」ポロポロ
赤城「うぁぁっ……ぁぁぁぁぁっ…………」
BAD END
96: 以下、
おい
おい
101: 以下、
ハッピーエンドはよ
108: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:27:10.77 ID:cfzSYl6P0
<提督執務室>
提督「改善の兆し無し、か……」
提督「今は栄養カプセルだっけ?」
明石「えぇ。あれなら吐き出さずに飲める、と。食べ物の形でないからでしょう」
提督「……見たか? 今の赤城を」
明石「えぇ……まるで死人でした」
提督「まさか、あんなに急激に痩せ細るとは……”艦娘”、まだ分からない事だらけだ……」
提督「早く何か考えないとな。どうにかして赤城の体に飯を受け入れさせる方法……」
明石「それなんですが、一つだけ案があります」
提督「何? そんなのが……」
ビーーーーッ!!! ビーーーーッ!!!
二人「「警報!?」」
111: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:28:53.87 ID:cfzSYl6P0
<指令室>
提督「状況!」
妖精1「鎮守府前海域に多数の深海棲艦!! 数、10個艦隊以上!!」
妖精2「その中にタ級フラッグ、ル級フラッグ、ヲ級フラッグそれぞれ四ずつを確認!! かなりの精鋭と推測!!」
妖精3「新たに……レ級一を確認! 最であと30分で射程圏内に入られます!!」
提督「くっそ、何故もっと早く気付かなかった!!」
妖精4「電探には今さっきまで何も映ってなかったんです!」
妖精5「ジャミングか、或は……」
提督「まぁそんな事は今はどうでもいい!!」マイクオン
提督『待機中及び鎮守府周辺航行中の全艦娘へ!! 緊急事態だ!』
提督『鎮守府が攻撃を受けている!! 全力で帰って来て防衛に当たれ!』
提督『非戦闘員及び低練度の者は陸で避難誘導!』
114: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:30:55.59 ID:cfzSYl6P0
提督『これは演習ではない! 繰り返す、これは演習ではない!!』
提督「なぁ妖精さん。今の鎮守府に連中とやり合える戦力、どれだけ残ってたっけ?」マイクオフ
妖精1「ほとんど出払ってますから……扶桑姉妹、千歳、隼鷹、高雄姉妹だけです」
妖精2「軽巡と駆逐艦は付近で哨戒中ですが、帰還には早くても40分はかかります」
妖精1「あ、あと赤城さんが残っていました」
妖精2「でも今は……」
提督「……」
116: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:33:27.83 ID:cfzSYl6P0
<赤城の自室>
赤城(今の警報……鎮守府が攻撃されている!?)
赤城「行かないと……」ヨロッ
赤城「あぁっ!」ドサッ
赤城(力が入らない……上手く立てない……でも!!)
赤城(今、行かないと! 鎮守府が! みんなの帰る場所が!!)
ガチャ
赤城「提督……?」
提督「何処へ行こうとしている?」
赤城「もちろん、戦場へ!」
提督「そんな骨と皮みたいな体でか?」
赤城「関係ありません! 私は空母赤城です! 皆を、守らないといけないんです!」
提督「…………なら来い」
117: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:34:22.69 ID:cfzSYl6P0
<食堂>
ドアバンッ!!
提督「ちょっと待ってろ!」
赤城「提督!? どうして食堂に……」
提督「っと。よし、できてるな…………空母盛り大カツ丼お待ち!」
提督「さぁ、食べるんだ」
赤城「で、でも、私は……」
提督「大丈夫。明石の仮説が正しければ、今のお前なら食べられるはずだ。信じろ」
赤城「……はい」
赤城「いただきます……」
赤城「……」パクッ
赤城「……?」モグモグ
赤城「……!」モグモグ
赤城「……っ」ポロポロ
118: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:36:38.95 ID:cfzSYl6P0
赤城「美味しい……美味しいです……!」ポロポロ
提督「しばらく食べてなかった分、飯はたんまりある」
提督「たんと食え!」
赤城「はい……はい!」
赤城「次はチキンカレーと牛丼、それぞれ空母盛り特大でお願いします!!」
提督「心得た! 妖精さん、聞いたな!」
妖精ズ「サー!!」
提督「良いか赤城。食べながらでいいからよく聞いてくれ」
赤城「……ふぁい」
119: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:39:45.71 ID:cfzSYl6P0
提督「まず……苦しんでいる事にすぐ気付けなくて、すまん」
赤城「ゴクン……いえ……」
提督「そして僅かでも、燃費を改善しようとした事。醜い姿を晒すまいとした事」
提督「……あー、手放しでは褒められんが、努力は認めよう」
提督「だが、お前は空母だ」
提督「明石曰く、空母艦娘の基礎代謝は、常人を遥かに上回るらしい」
提督「つまりあの食事量は、暴食どころか自然だったんだ」
提督「人間は蟻より遥かに多く食うが、それを”暴飲暴食”と気にするか? そういう事だよ」
赤城「……!」
提督「赤城の燃費は悪い。だが、この鎮守府で屈指の活躍をしてくれている」
提督「幾千の敵を倒し、幾万の人々を救っている」
提督「誇れ、というのも何だが……ただの食い過ぎではないという自負くらい持っててもバチは当たるまい」
提督「……んしょ、チキンカレーに牛丼、お待ち!」ドン!
提督「まぁ、俺も、変に色気づいて食わなすぎる女よりは、食べる娘の方が、アレだ。好きだ」
提督「限度はあるがな」
赤城「……っ!!///」カァァッ
提督「後は妖精さんに任せろ。俺は向こうへ戻る。……頼むぞ」
赤城「……はいっ!」
120: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:40:41.63 ID:cfzSYl6P0
<港近く・避難所>
ドォン… ドォン…
青年1「まったく、何でこんなところまで攻められてるんだ……」
青年2「なんのための艦娘なんだか……」
青年1「ん? お、おいアレ!」
青年2「…………こっち向いてる!?」
パウパウ…
青年2「発砲煙……マズイこっち来る!!」
青年1「逃げないと!」
青年2「間に合わな……う、うわぁぁぁぁああああ!!!」
ドカァァアアアン!!
123: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:42:55.54 ID:cfzSYl6P0
パラパラ……
青年1「…………あ、あれ? 生きてる……」
青年2「どうして……ハッ!?」
赤城「……大丈夫ですか?」
青年1「空母級艦娘、赤城……」
青年2「俺達を、庇って……」
赤城「安心してください。すぐに片付けますから」スイーッ!
青年1「すぐにって……あぁっ、一人で六隻同時に相手なんて無茶だ!」
青年2「いや、もしかして……」
126: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:44:38.78 ID:cfzSYl6P0
赤城「前方にイ級エリート2、ホ級エリート3、チ級フラッグ1……」ギリギリ
赤城「10秒で殲滅しなさい」ヒョッ!
???
青年2「前、赤城にはいくつか噂があるって言ったよな?」
青年1「あ、あぁ」
青年2「それによると、あの鎮守府の赤城は、鎮守府設置当初からの最古参で……」
???
ドガガガガガガァァァン!!!
烈風妖精「何秒でした?」
赤城「8秒です。また腕を上げましたね」
流星妖精「いやぁ、赤城さんの指揮が良いんですよぉ」テレテレ
彩雲妖精「11時の方向にもう一個艦隊!」
128: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:47:09.48 ID:cfzSYl6P0
赤城「ル級フラッグ1、リ級フラッグ3、ロ級フラッグ2……」ギリギリ
赤城「では今度は30秒です」ヒョッ!
???
青年2「たった一人で空母10隻を撃沈した直後に、そのまま戦艦をもう10隻ミンチにしたとか」
青年2「遠征の行きがけの駄賃で、敵艦隊12個を単独で全滅させたとか」
青年2「一晩で敵泊地を4つ潰したとか、赤城の攻撃した跡には草木一本残らないとか……」
青年1「じゃあ、あの敵艦隊も……」
青年2「あぁ、すぐにやってくれるさ!」
青年1「す、すげぇ……」
135: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:52:47.50 ID:cfzSYl6P0
赤城「34秒。うーん、ちょっと遅かったですね」
流星妖精「す、すみません!」
赤城「いえいえ。私も病み上がりで本調子ではないですし」
扶桑「赤城!?」ザァァァ
扶桑「もう動けるの!? しばらく実戦は無理だと聞いていたけれど……というか、体形が元に戻ってる!?」
赤城「扶桑さん。しばらくご迷惑おかけしました」
赤城「もう大丈夫です。丁度、準備運動もできました」
赤城「ここからが本番です」
赤城「全機へ。遅れを取り戻します。残り全て、180秒で沈めなさい」
妖精ズ「ラジャー!!」
136: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:55:25.77 ID:cfzSYl6P0
レ級『何だ、何が起こっているんだ!?』
ル級『どうした! どうして空母一隻如きにここまでやられている!?』
チ級『敵空母、こちらに接近!』
タ級『うぇっ……わ、笑ってる……』
リ級『撃て撃てぇーっ!!』
ドカァン!! ドカァン!!
ル級『何故! 何故当たらない!? ……ぎゃぁっ!!』
レ級『ちっ……仕切り直しだ、撤退すっぞ!』
ホ級『逃げろー!』
リ級『逃げ……ぐあぁぁっ!!』
137: ◆pysihcVNJQ 2015/02/05(木) 23:58:18.44 ID:cfzSYl6P0
タ級『撤退中の艦まで……』
ヲ級『あ、危ない!』
タ級『えっ……ぎゃぁぁぁああっ!!』
赤城「……感謝します。あなた方に」
ヲ級『な、こいつ何を……』
赤城「あなた方のお蔭で、立ち直る事ができました」
赤城「……あなた方の役目も終わりです」
赤城「沈みなさい」
レ級『ひっ……ば、化け物……』
ドガァン!! ドガァン!!
ドガァァァァン!!
ギャァァァァァァァァ!!
139: ◆pysihcVNJQ 2015/02/06(金) 00:02:58.93 ID:SrvIggsZ0
<指令室>
妖精1「し、侵攻艦隊の、全滅を、確認……」ガクガク
妖精2「八割方、赤城さん一人で沈めてしまいました」ガタガタ
妖精3「赤城さん……恐ろしい人……」ブルブル
提督「よし、警報解除」
提督「哨戒中の艦娘には、半分は念の為鎮守府に帰投命令。遠征中の艦娘に任務に戻る様に連絡を」
妖精4「りょ、了解」
妖精5「み、味方で良かった……」
141: ◆pysihcVNJQ 2015/02/06(金) 00:05:49.55 ID:SrvIggsZ0
<港>
青年1「お、来た!」
青年2「赤城―、いや赤城さーん!!」
赤城「おや、あなた方……」
青年1「ありがとうございましたー!!」
青年2「このご恩は、一生忘れません!!」
赤城「良いのです。あれが私達の任務ですから」
赤城「でも、噂話は程々にお願いしますね」
青年1「はっ、はい!」
青年2「肝に命じます!!」
赤城「あ、そうだ。私に関する噂に訂正をお願いします」
青年2「はい、なんでしょう!」
142: ◆pysihcVNJQ 2015/02/06(金) 00:06:40.22 ID:SrvIggsZ0
赤城「私が潰した泊地は3つです。一晩で4つ潰したのは加賀さんです」
青年1・2「」
赤城「あ、後! ご飯絡みは全部ウソですから! そんなには無理ですから!」スィーッ……
青年1「は、はーい……」
青年2「わかり、ましたー……」
青年1「……あんなのがもう一人いるのか……」
青年2「俺、もう二度と艦娘バカにしない」
青年1「俺もだ……」
148: ◆pysihcVNJQ 2015/02/06(金) 00:14:38.39 ID:SrvIggsZ0
<提督執務室>
明石「成功しましたか!」
提督「あぁ。しっかり食べてくれた」
提督「今回の騒ぎでわかった事は、纏めると『艦娘の体はメンタルに左右されやすい』って事か」
明石「ですね。赤城さんの体が急激に痩せて行った事も、あの拒食症も」
明石「『食べてはならぬ』という強い意志に体が引っ張られ過ぎた事によると推測します」
明石「直前まで動けていたのは、文字通り気力で支えていたのでしょう」
提督「そこへ『食べても良いよ』なんて言ったから折れちまったって訳か」
提督「で、より強い『食べねばならぬ』という意志で上書きする事で解決、と」
提督「……『人の形をした船の魂故に』、ねぇ……」
提督「これからはメンタルケアにも気を遣わんとな……」
明石「因みに……いっぱい食べる娘が好きって、その……本心ですか?」
提督「え? まぁ、見てて気持ち良くはある。食べる為に食べてるタレントみたいなのはアレだがな」
提督「その点赤城は、本気で味わっている。美味しそうにものを食べる様は良い物だ」
提督「それだけだ。深い意味はない」
明石「はぁ……そうですか……」
明石(メンタルに気を遣う、なんて……そう思うんなら、そんな思わせ振りな事言わないであげて……)
149: ◆pysihcVNJQ 2015/02/06(金) 00:18:17.77 ID:SrvIggsZ0
<夜・食堂>
鳳翔「次の方?、あっ、赤城、さん……な、何に、しまっ、しますか……?」ビクビク
赤城「空母盛り大の海鮮丼でお願いします」
鳳翔「……はっ、はい!」
鳳翔「良かった……いつもの赤城さんに……」グス
鳳翔「お待ちどおさま! 空母盛り大海鮮丼です!」
赤城「ありがとうございます!」
・
・
・
赤城「……♪」モキュモキュ!←三杯目
赤城「あ、加賀さんすみません。お醤油を」
加賀「……どうぞ」
赤城「ありがとうございます」
赤城「……♪」モキュモキュ!
加賀(元に……)ホロッ
蒼龍・飛龍(戻ってる!!)ホロホロッ
150: ◆pysihcVNJQ 2015/02/06(金) 00:21:14.44 ID:SrvIggsZ0
トテトテ
電「あ、赤城さん。元気になって良かったのです」
雷「四人とも、相変わらず凄い量ねー」
赤城(……っ)
響「私達も、なれるかな。赤城さん達みたいな、強くて綺麗な女性に」
暁「なれるわよきっと! その為にはまず、あの四人みたいにたくさん食べて大きくならなきゃ!」
電「なのです!」
赤城(…………)ウルッ
加賀「む、どうかしましたか」
赤城「いえ、何でもありません」モグモグ
赤城「……美味しい♪」ニッコリ
HAPPY END
155: ◆pysihcVNJQ 2015/02/06(金) 00:26:24.48 ID:SrvIggsZ0
結局何が言いたかったかって言うと、『妖怪食っちゃ寝』ネタは用法用量に気を付けましょうって事。
そして赤城は入手難度・時期の割にかなり強いから、二次の印象でネタ扱いしたり、まして沈めたりしたら後悔すっぞという事。
ただの大飯喰らいの無能みたいに書くのはやめたげて。
ついでに、過度なダイエットは身を滅ぼすって事も。
十代の女の子諸氏! 君たちは成長期だ! かっこつけてダイエットなんかしたら大きくなれないぞ!
読んでくれた皆さんありがとうございました。
158: 以下、
乙!
恰好可愛い赤城さんが見れて大満足でした!
160: 以下、
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