提督「深海棲艦、元艦娘説ってあるじゃん」back

提督「深海棲艦、元艦娘説ってあるじゃん」


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1:
提督「アレってさ、実際どうなの」
提督「深海のヤツらが怨念的な存在ってのはわかるし、艦娘のヤツらに船の魂みたいなのが宿ってるのもわかる」
提督「ようはオーバーソウルみたいなもんでいいのかなとは思うけど」
提督「けど、実際の正体は一切不明なままだし」
提督「その辺、詳しく教えてもらえませんか」
離島棲鬼「……」ぷいっ
提督「ですよねー」
2:
北上「今日もダメだったかー」
提督「うん。一言も口きかない。目も合わせてくれんし」
北上「上の方々も無茶言うねぇ」
提督「偶然捕虜にできた離島棲鬼から話を聞き出せってなぁ」
北上「深海側の情報ってほっとんど不明だしねぇ……」
提督「ゴーモン……は論外だよなぁ。みんな絶対反対するし」
北上「私もドン引き」
提督「あー……とりあえず、散歩して気分変えてくる」
北上「あいよー」
4:
提督(つーわけで、その辺ぶらぶらしてるけど……あー、さっぱりだわ)
提督「懐柔……するにも何が好きなんかわからん」
提督「脅したりするのもなぁ……バレたらみんなとギクシャクするし……」
雷「司令官、悩みごと?」
提督「ん、まぁそうなんだが……って」
雷「?」
提督「お前、たったさっき遠征から帰ってきたばっかだろ。部屋で休まなくていいのか?」
雷「うん、さっきまで寝てたんだけど……司令官が困ってる気がしたら目が覚めちゃって」
提督「え」
5:
雷「それでね、何となく司令官がこの辺にいる気がしたの」
提督「……ん、んん。まぁ、そういうことならちょっとだけ相談してみようか」
雷「うん!」
提督「あー……気難しい女の子の心を開く為には、どうすればいいと思う?」
雷「……しれーかん?」
提督「あ、いや、ナンパとかそんなんじゃないんだけど。ホラ、この前捕虜にしたアレのことでさ」
雷「……あぁ」
提督(……急に据わった目付きにならんでくれよ)
7:
提督「上からは何としても話を聞き出せって言われてるからさ」
雷「そう……なら、しょーがないのね」
提督「うん。しょーがない」
雷「んー……やっぱり、美味しいお菓子とかが一番だと思うの!」
提督「お菓子、ねぇ……」
提督(そういや、艦娘って基本的に間宮さんのアイス大好きだしな)
提督(あの説が本当なら……試してみる価値ありか?)
提督「ありがとう雷、とりあえず試してみるわ」
雷「えへへ、困ったらまたきてね!」
9:
提督「というわけでどうでしょう、間宮特製アイスクリーム」
離島棲鬼「……」ちらっ
提督(効果あり、か?)
離島棲鬼「……」じー
提督「……」
離島棲鬼「……」じー
提督「……」
離島棲鬼「……」ぷいっ
提督「ありゃ、駄目か」
10:
提督(うーん……どうしたらいいのやら)
離島棲鬼「……」
提督(相変わらず、そっぽ向いたままこっち向いてくれん)
提督「……ま、とりあえずコレは俺が食べちゃおう。もったいないし」パクッ
離島棲鬼「……?」
提督「ん?」
離島棲鬼「……アナタ……」
提督「お、なんだなんだ」
離島棲鬼「……ドク……ヘイキナノ……?」
提督「へ?」
12:
提督(ドク……って毒のことだよな)
提督(毒とか効くのか? 深海棲艦って……いや、それよりも)
離島棲鬼「……」じー
提督「平気じゃないけど、コレには毒なんて入ってないよ」
離島棲鬼「……」
提督「ホントホント。それに、今更毒盛る意味とかないだろ?」
離島棲鬼「……フン」
提督「まじ美味いからさ、このアイス。騙されたと思って一口だけでも」すっ
離島棲鬼「……」
離島棲鬼「……」ぱくっ
離島棲鬼「……」ごくん
離島棲鬼「……」
離島棲鬼「……」ぱくぱくぱくっ
提督「お気に召したようで何より」
13:
離島棲鬼「……フゥ」
提督「あっちゅーまに平らげたな。冷たいのに」
離島棲鬼「フン」
提督(ようやくそれっぽいコミュニケーションが取れた……が)
提督「ほっぺた、アイス付いてるぞ。ほらハンカチ」
離島棲鬼「……」ごしごし
提督(こっから、どうしたもんかなぁ)
離島棲鬼「ネェ」
提督「ん、なんだ?」
離島棲鬼「オカワリ、モラッテアゲテモイイワヨ」
提督「……意外といやしんぼだな」
離島棲鬼「……フン」
14:
提督「というわけで。一歩前進」
北上「ついに物で釣ったか」
提督「ゴーモンとかジンモンとかよりよっぽどいいさ」
北上「だねぇ」
提督「で、次はどうしようかなって」
北上「またアイスじゃ駄目?」
提督「ずっと同じ手ってのもな」
北上「うーん……あ、そだ」
提督「ん?」
北上「アイツお姫様っぽい格好してるし。アイスとか普通に気に入ったんだし案外まともな感性してそうだから……」
提督「ふんふん」
北上「少女漫画とかどーよ」
提督「うん?」
北上「まぁまぁ、モノは試しでさ」
15:
提督「そんなこんなで。アイスと漫画をセットで持ってきたわけだが」
離島棲鬼「……」もくもく
提督「凄い食い付き。アイス微妙に溶けてるし」
離島棲鬼「……」
提督「あ。スプーンから漫画にアイス垂れてら」
提督(アレ、大井のだけど大丈夫かな。大丈夫か)
離島棲鬼「ツヅキハ?」
提督「また明日な」
16:
北上「結構チョロそうだね。話聞く限りだと」
提督「チョロいとか言うなし」
北上「アイテム使うと楽勝ってあたりまた」
提督「アイテム……確かにそうだけどさぁ」
提督「……まぁ、雷様様って感じかな」
北上「雷?」
提督「女の子にはお菓子ってアイツが言ってたから」
北上「ふーん?」
提督「なんだよ」
北上「いや……別に?」
17:
提督「おーい、いるかー?」コンコン
雷「なに?」がちゃっ
電「ご用ですか?」
提督「うん。ちょっとお前らの好きな漫画とか本とか貸して欲しくて」
電「え……っ」カァッ
提督「健全なもので頼むわ」
雷「……また、アレのところに行くの?」
提督「そういうお仕事だからね」
雷「……」
18:
提督「絵本漫画ゲームお菓子etc……と、艦娘たちから色々かき集めてきたけど」
離島棲鬼「……」パァッ
提督「無表情を装おっているがワクワクが隠しきれない、そんな顔だな」
離島棲鬼「……」チラッチラッ
提督「まぁ……うん、とりあえず適当に好きなのから手ぇ出してみたらいいと思う」
離島棲鬼「フフ……♪」
提督(読んでるのは……子ども向けの絵本か)
提督(意外と幼い……いや、意外でもないか?)
提督(見た目は小さい女の子だからなぁ、ちょっと肌がアレだけど)
離島棲鬼「?♪」
提督「わお、鼻歌」
19:
北上「また貢ぎに行くのー?」
提督「貢ぐとか言うでない」
北上「みんな噂してるよ。提督がロリコンになったって」
提督「オイオイ」
北上「秘書艦の私としてもさー、不安になるわけですよ。当初の目的忘れてない?」
提督「……」
北上「提督?」
提督「うん。大丈夫。うん」
北上「ふーん」
北上「……まぁ、提督よか不安なのもいるけどさぁ」
20:
提督(その、次の日)
提督(北上が、沈んだ)
21:
提督(北上を沈めた相手は不明。酷い混戦の中で沈んでいった)
提督(北上は、何だかんだで長い付き合いだった)
提督(ケッコンカッコカリすら、見えていたのに――)
離島棲鬼「ネェ」
提督「うん?」
離島棲鬼「シズカ……ネ」
提督「……うん」
提督(ぼーっとフラフラしてたら、いつの間にか)
提督(俺は、ここに来ていた)
23:
提督「なぁ、離島棲鬼」
離島棲鬼「ナニカシラ?」
提督「もし、さ。深海棲艦、元艦娘説が本当なら――」
雷「司令官、いる?」ガチャッ
提督「雷か」
雷「雷か、じゃないの。たくさんお仕事溜まってるんだから」
提督「あー……ごめん」
雷「北上さんのことで辛いのはわかるけど……でも、司令官にしか出来ないこともたくさんあるから……」
提督「……あぁ。わかった、今行くよ」
離島棲鬼「……」
24:
提督(北上が沈んだあとの鎮守府で)
提督(雷は、本当によく俺を支えてくれた)
提督(戦闘でも、秘書艦としても)
雷「もーっと、私に頼っていいのよ?」
提督「……雷、この書類。三行目、誤字が三箇所」
雷「えっ!?」
提督(……まぁ、ちょっと頼りないところもあるけど)
提督「ふー……」
雷「司令官? お出かけするの?」
提督「まぁ、ちょっとな」
雷「なら私も」
提督「いや、一人で行きたいんだ」
雷「……そう」
25:
提督(司令室と寝室、そしてこの部屋)
提督(俺が行き来する場所といえば、もうこのくらいだ)ガチャッ
離島棲鬼「……ン」
提督「……なんとまぁ、無防備な寝顔で」
提督(上には、定期的に適当な資料をでっちあげてる)
提督(いつバレるかは知らんが、その時はその時だろう……)
提督「に、しても……」
離島棲鬼「……」すー……すー……
提督「こうして寝顔を見てると、ホントに人形さんみたいだなぁ」
26:
提督(黒い……ゴスロリ? 服の名前は、よくわからんけど)
提督(白い肌。ほっそい手足。髪は……)
提督「うん、やっぱ綺麗だ」
離島棲鬼「……」
提督(……なんだろう)
離島棲鬼(……)
提督「もっと。さわってみたいな」
27:
提督(このほっぺは冷たいのか。あったかいのか)
提督(わからないけど、もしかしたら――)
雷「司令官?」
提督「っ!?」
雷「なにしてるの。こんなところで」
提督「……捕虜の、観察かな」
雷「……手紙、きてるわよ。開けていい?」
提督「ダメに決まってるだろ」
離島棲鬼「……」
29:
提督(その日から、雷は今まで以上の活躍を見せた)
提督(戦闘でも、秘書としても)
提督(もーっと私に頼っていいのよ、とか言ったけど)
雷「司令官、大丈夫? 顔色悪いわ」
提督「ん……ああ、寝不足かな」
雷「ならちゃんと休まなきゃ! このお仕事は私に任せて!」
提督「……ああ」
提督(本当に。全部任せちゃいそうになる)
30:
離島棲鬼「キョウハ、オソカッタノネ」
提督「仕事が長引いてなぁ……」
離島棲鬼「……ソゥ」
離島棲鬼「ナラ」
提督「ん?」
離島棲鬼「……コレ、シテアゲル」
31:
提督(そう言って、離島棲鬼は正座をして俺に膝を向けた)
提督(その指が指すものはとある少女漫画の一ページ)
提督「膝枕?」
離島棲鬼「トクベツ、ヨ。ヤスラグッテ、カイテアルカラ」
提督「……ははっ」
提督(普通なら、捕虜を相手にあり得ない)
提督(罠かもしれない。何かしてくるかもしれない)
提督(でも――)
提督「あぁ……よろしく、頼むわ」
32:
雷「……司令官?」
提督「雷か、どうした?」
雷「肩。髪の毛ついてるわ」
提督「え……あ、マジだ」
雷「……」
提督「どうした?」
雷「長い、髪ね」
提督「……あぁ」
雷「ふふ」
34:
提督(仕事をする時は、雷と)
提督(休むときは、離島棲鬼と)
提督(そんな風に生活をしているうちに――)
離島棲鬼「ナニ、ソレ」
提督「え?」
離島棲鬼「ポケットノ、フクラミ」
提督「ああ、これは……」
提督「ケッコンカッコカリに、必要なものだよ」
提督(――雷のレベルが、99になった)
35:
離島棲鬼「ケッコン……」
提督「カリ、だけどな」
離島棲鬼「……」
離島棲鬼「スエナガク、オネガイスルワ」
提督「は?」
38:
雷「司令官? またこんなところにいたの?」
提督「悪い、すぐに行く」
離島棲鬼「……」
提督「じゃあ、またな」
離島棲鬼「……」
雷「くすっ」
離島棲鬼「ッ」
39:
提督(そして俺は、雷とケッコン――カッコカリを、した)
提督(北上が見たら笑うだろうか。ロリコンだと)
提督(……まぁ、それも無理はないな)
雷「ねぇ司令官? 私なしじゃ艦隊は成り立たないでしょ? ね? ね?」
提督「ああ、そうだなぁ……」
提督(こんな小さな子に、頼りっきりなんだから)
40:
提督(そして、ケッコンカッコカリ初夜)
提督(俺たちの鎮守府は、壊滅した)
42:
提督(真夜中の襲撃)
提督(それは別段、珍しいことじゃない)
提督(奇襲に対する訓練もやっていた)
提督(なのに、ここまで被害が出たのは――)
チ級「……」
提督「……くっそ」
提督(目の前にいる、イレギュラー)
提督(たった一人の、雷巡チ級に全てを狂わされたからだ)
44:
提督(コイツの動きは、明らかに俺の指揮のクセを知り尽くしていた)
提督(長年で培った俺の経験。その更に裏をかく行動)
提督(深海棲艦の連中には――あり得ない、ことの筈だ)
チ級「……」
提督「……?」
提督(母港も工廠も、コイツらのせいで滅茶苦茶だ)
提督(長門や加賀のような古株ですら、やられてしまった)
提督(なのに)
チ級「ゥ、ア、ァア……?」
提督「なんで、お前は俺を殺さない……?」
47:
提督(躊躇う……いや、我慢している……?)
提督(……わからん。が……)
チ級「ゥ、ァ……アッ」
提督「……どのみち、どうしようもねぇ……」
提督(周りは深海だらけ。俺も負傷……逃げられない)
提督(あー……)
チ級「――ッ!!」
提督(そして)
提督(ついに、コイツの砲身が俺に向けられ――)
48:
「ソレハ――ワタシノモノヨ」
49:
提督(何度も聞いた声と、間近で轟く爆音)
提督(音やら熱やら破片やらで、俺は腕で体を庇いながら目を閉じて)
離島棲鬼「……フフ……」
提督(目を開けたら)
提督(そこには既にチ級の姿はなく――離島棲鬼が、立っていた)
提督(その両隣に、化物のような浮翌遊砲台を携えて)
50:
離島棲鬼「フフッ♪」
提督「ああ……そっか」
提督(混乱に紛れて――高修復材や、燃料を補給したのか」
離島棲鬼「トテモ……イイ……キモチ……」
提督「……はは」
提督(浮遊砲台と、離島棲鬼の笑顔がこっちを向いた)
提督(……そして俺は、頭がおかしくなったらしい)
提督(この状況で、俺は絶望ではなく――)
離島棲鬼「♪」
提督(こいつに殺されるならいいや、と思ってしまった)
51:
雷「司令官っ!!」
提督「っ!? 雷、駄目だ!!」
離島棲鬼「……ジャマ、ネ」
雷「司令官から、離れて……!!」
離島棲鬼「ムダ、ヨ」
提督(雷は既に中破状態、燃料も弾もない!)
提督(相手は万全の離島棲鬼、勝てるわけが――)
離島棲鬼「シズミナサイ」
52:
雷「し、しれ――」
離島棲鬼「ダマリナサイ」
提督「雷……っ!!」
離島棲鬼「フフ……デモ」
離島棲鬼「『コレ』ハ、モラッテアゲル」すっ
雷「あ……だめ……っ!」
離島棲鬼「クチクカンゴトキ、ニハ」
離島棲鬼「モッタイナイ、ワ」
雷「それは、私の……!」
離島棲鬼「サヨナラ」
53:
提督(砲撃の音と、水柱の音)
提督(最後に、冷たい何かに全身を包まれるような感覚がして――俺は、意識を失った)
54:
離島棲鬼「オハヨウ……アサゴハン、ネ」
55:
提督「……夢。じゃないんだよなぁ……」
提督(目が覚めた時、俺は見知らぬ廃墟にいた)
提督(波の音が聞こえるから、すぐ近くに海があるんだろうが……)
離島棲鬼「デキタ、ワ」
提督(……逃げることは、できない)
58:
提督(手足を鎖で縛られ)
離島棲鬼「フフ……メシアガ、レ」
提督「……」
離島棲鬼「ン……ッ」
提督(まるで、俺は雛のように)
提督(離島棲鬼の口の中でドロドロになった何かを、流し込まれる)
提督(それが、ここでの俺の食事だ)
60:
離島棲鬼「キョウハ、ナニヲシヨウカシラ」
提督「……」
離島棲鬼「ソウネ……ホンヲ、ヨミマショウ」
提督(かつての俺がそうしたように)
提督(離島棲鬼は、どこからか色んな本や漫画をどこからか持ってきて、読み聞かせをしてくる)
提督(他の深海棲艦は、どう思っているのかは知らないが……)
離島棲鬼「フフ……ッ♪」
提督(離島棲鬼は、幸せのようだ)
61:
提督(食事の時も。本を読む時も)
離島棲鬼「スコヤカナルトキモ。ヤメルトキモ」
提督(何をする時も)
離島棲鬼「イツイカナルトキモ」
提督(きっと)
離島棲鬼「ズット」
「死が二人を、分かつまで」
62:
提督(今日も俺は、離島棲鬼に抱かれながら眠りにつく)
提督(その左手の薬指)
提督(傷だらけになった、銀色の指輪を見つめながら)
離島棲鬼「……」すー……すー……
提督「……死が二人を分かつまで、か」
提督(深海棲艦、元艦娘説)
提督(それが正しいのなら――海で死んだ人間は、どうなるんだろうか)
提督(そんなことを考えながら、俺は目を閉じた)
63:
――しれーかん。
波の音に混じって、聞き馴染みのある声が、聞こえたような気がした。
おしまい
64:
オマケ、というかIF
65:
提督「ん……朝、か……ん?」
提督「鎖が。外れてる……」
提督「離島棲鬼も……いない?」
提督「出かけているのか……?」
提督「……」
提督「……探索、してみるか」
66:
提督「本も漫画も、新しいものだった」
提督「飯だって……俺が、食えてるわけだし……」
提督「つまり、どっかから調達してきてる筈だが……」キョロキョロ
提督「……お」
提督「小さな……船が、ある」
提督「……」
提督「……ちょっと。ボロいけど」
提督「もしか、したら」
67:
提督(……動いた)
提督(無線も、ある)
提督「……」
提督「……」
提督「……」
提督「うん」
提督「もうちょっとだけ、頑張ってみよう」
68:
提督「……離島棲鬼」
提督「……雷」
提督「……」
提督「ごめん」
69:
提督(食料や雑貨の類を詰め込んで、俺は船を発進させた)
提督(この先に、何が待っているのか)
提督(誰と会うにしても――せめて、味方であることを祈って)
提督「……天気、荒れそうだなぁ」
提督(見上げた空は今にも崩れ出しそうだが、抜け出すには今しかない)
提督(それはまるで未来を暗示しているようで――俺は、ため息を吐いた)
7

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