祥鳳「私が轟沈・・・?」 剣崎「ウゾダドンドコドーン!!」back

祥鳳「私が轟沈・・・?」 剣崎「ウゾダドンドコドーン!!」


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1:
初めに
このSSは祥鳳提督のために書いた、アニメ版艦これ7話の補完SSです。
アニメがお好きな方にとっては不快な記述が含まれる可能性があるので、閲覧の際にはくれぐれもご注意ください。
書き溜めたものを投下していきます。
2:
その日も、何時ものように出撃した。
あの日のことはよく覚えていない。
唯一はっきり覚えているのは、いつものように出撃に向かう時の、あの子との挨拶。
「気をつけてね、祥鳳・・・」
不安げに見つめる少女の頭を優しく撫で、私は仲間と共に出撃した。
特に不安はなかった。演習通りやれば問題ない。そう信じていた。
でも、現実はそんなに甘くなかった。
その日は、突然の奇襲を受けた。予想だにしてなかった敵襲に私は孤立してしまい、集中攻撃を受けてしまった。
「危ない!!」
誰かの声が聞こえた気がした。でも、もう手遅れだった。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
敵の砲撃を受け、私の身体は炎に包まれた。
熱を帯びた身体に気付いたときには、既に諦めかけていた。
周りは油に引火した炎に包まれていた。損傷も大きすぎる。もう助けが来てもどうにもならないだろう。
(もう、ダメだ・・・)
私は早々と自分の運命を受け入れてしまい、目を閉じてしまった。
ふと、あの子のことが頭に浮かんだ。
瑞鳳。
小さい身体なのに大人びた、大切な、かけがえのないかわいい妹。
卵焼き作りが上手な、軽空母の妹。
(みんなごめんね・・・。瑞鳳・・・。貴方は、生き残って・・・)
最後に目に浮かんだのは、妹の笑顔。
そして、身体のバランスが崩れ、私は海へと沈んでいった・・・。
水が身体を覆う瞬間、何処からか力強い鷲の鳴き声が聞こえた。
(あぁ、死神の声ってこんな声なのね・・・)
それから、私の意識は途切れた。
3:
「おい大丈夫か!? しっかりしろ! おい!」
誰かが私を呼ぶ声で意識が戻った。
暑苦しい男性の声とゴツゴツした岩の感触。
私を呼んでいるのが艦娘でないことも、自分が生きてることも、すぐに分かった。
目を開くと、眩しい太陽の光を背にした若い男の顔が映った。
(だ、だれ・・・?)
頭に疑問が浮かんだ瞬間、突如胸が苦しくなった。恐らく水を多量に飲んでしまっていたのだろう。
咳き込んで、水を吐き出した。
「おい、大丈夫か!?」
苦しい。苦しい。
それでも肺に溜まっていたものを排水できたのは不幸中の幸いだった。まだ、自分にも生きる機能が備わっていた。
何とか呼吸が整った頃には自分の置かれた状況が理解できた。
沈んだと思っていた自分は、ゴツゴツした岩の上にびしょ濡れでいたことが。そして、自分の隣にいた若い男もまたずぶ濡れだったことが。
4:
苦しい息が漸く収まると、なんとか言葉が出るくらいには回復した。
「あ、貴方は・・・? 鎮守府所属の方ですか・・・?」
「真珠?」
「・・・鎮守府です」
この人は鎮守府を知らない。ということは、軍の関係者ではないとすぐに分かった。
「俺は剣崎一真。訳あって、旅をしている」
「けんざき・・・さんですか? ・・・『剣(つるぎ)』に『埼』と書くんですか?」
指で手のひらをなぞり、漢字を書いてみる。
「そうそう、だいたいそんな漢字」と剣崎さん。
「そうなんですか・・・」
なんとなく親近感が湧いた。かつて自分も剣埼という名前だったような記憶があった。何処からかその記憶が来ているのかわからないけど、なんとなくそんな気がする。
とにかく、お礼を言わなきゃ。
「はじめまして、祥鳳と申します。この度は助けていただき、ありがとうございました」
「艦娘・・・? なんだそりゃ?」
剣崎さんは不思議そうな顔をした。そうか、一般の人に走らされてないのか。
「艦娘とは、深海棲艦という怪物と戦う女の子を指します」
「最近人を襲う怪物が海に出るって聞いてさ。襲われてる人がいないか調べてたんだ。そしたら、爆炎が上がっていたから、君を助けに行ったんだ」
「そうでしたか・・・、改めましてお礼申し上げます」
頭を深々と下げた。
「よせよ、照れるだろ・・・」と剣崎さん。それでも彼の目線はどこか奇妙にずれていた。
・・・一体どうしてなんだろう?
5:
その後、剣崎さんが女性用下着や食糧を20km先の衣類店で買ってくるまで、私はずっと一人で岩場のすぐ先の公園にいた。
人気のない海岸の公園で夕日をじっと見つめていた。
ベンチに座ると、色々と考えが頭に浮かんでは消える。
深海棲艦に負けてしまったこと。
妹のこと。
そしてこれからのこと。
「これから、どうしようか・・・」
瑞鳳は心配しているだろうか。仲間達は今頃どうしてるだろうか。
そもそも、鎮守府に戻れるんだろうか。
そう考えていると、バイクの轟音が聞こえた。剣崎さんだ。不思議な形をしたバイクには、いくつかスーパーのビニール袋が下げられていた。
赤面しながら、剣崎さんが袋を渡してくれた。
「ほら、早く着替えな。風邪引くぞ」
ちょっとぶっきらぼうに渡された袋を開けると、女性用の下着とかわいい絵柄のTシャツ、それにタオルが入っていた。私はすぐに草むらに隠れ、すぐさまボロボロだった服を着替えた。
幸い、サイズはなんとか合っていた。胸だけは少し苦しかったけど。
6:
「あぁ・・・、これでまた財布の中身が27円だけになるのか・・・」
と剣崎さんがぼやくのが聞こえた。それを聞いてなんとなく悪い気がして、
「すっ、すみませんっ! 私なんかのために!」
謝ってしまった。でも剣崎さんはそれを聞いて、
「何言ってんだよ。キミの命に比べたら、俺の金なんて安いもんさ」
と、爽やかな言葉を笑顔でかけてくれた。
「はっ、はい・・・!」
「あとコレ、こんなもんしかなかったけど・・・、食べなよ」
剣崎さんが袋を渡してくれた。その中にはたい焼きがはいっていた。すごく温かい。そう言えばすごくお腹も減っていた。夢中になってたい焼きにかじりついた。甘くて温かい味が口のなかに広がった。
「そう言えば、君はその深海棲艦とかいう怪物と戦ってるんだって?」
「はい・・。私だけじゃなく、私の妹や他の艦娘達も」
「大変だな、君達みたいなかわいい女の子が戦うなんて・・・」と剣崎さん。
「へっ!? わっ、私が・・・?」
また顔が赤くなってしまった。
かわいいだなんて、言われたことがなかった。まして、こんなカッコいい男の人に言われることなんて初めてだった。
「そっ、そんなっ・・・。私なんかよりかわいくて人気の子なんて大勢いますよ・・・」
「何言ってんだよ、十分可愛いだろ」
「・・・・・・」
私は顔を赤くしたまま、黙ってたい焼きにかぶりついた。
「とにかく、食べたら俺の寝袋貸すから、そこで暫く寝といてくれ・・・。しばらくしたら、その・・・、真珠なんとかってとこまで送るよ・・・。住所は分かる?」
8:
「それが・・・、私も詳しい場所はよくわからなくて・・・」
「きみ、もしかして記憶喪失なのか?」と剣崎さん。
「私達、記憶がはっきりしてなくて・・・。よくわからないんです」
そう言えば私たちはどうやって生まれてきたのだろう。瑞鳳が妹なのに、私には彼女と過ごした幼い日の記憶がない。
なぜなのかはよくわからない。これまでは特に気にしてなかったが、なぜなのだろう。
「まぁいいっか。明日警察に行って、相談しよう・・・。今夜は俺が見張っててやるから、もう休みな」
「は、はい・・・。おやすみなさい・・・」
彼の言葉に素直に従い、私は男っぽい匂いがする寝袋の中に入る。
そのまま、疲れた身体を横にして、眠りに就いた。
考えてみると男の人が隣にいる経験さえ初めてだった。にもかかわらず、私は安心して眠ってしまった。
彼の笑顔がとても穏やかで優しかったから、何も不安がなかったのかも・・・。
7:
話は面白いですけど、行間開けた方がいいですよ
9:
>>7
承知しました、これ以降は読みやすいように行間空けときます。こんな感じで宜しいですか?
次の日、私は弓も矢もなくしていたことに気付き、剣崎さんに相談していた。
「艦爆がないと、戦えません・・・。どうしたら・・・?」
「艦爆?」
「私たちが遣ってる武器です。弓から矢を放つと、矢が戦闘機になるんです」
大真面目に答えたつもりだったけど、剣崎さんには不思議な顔をされた。
「・・・どっちにしろ、金属なら何とかなるか・・・」
「何か方法があるんですか?」
「まぁ見てなって」
そう言うと、剣崎さんは懐から奇妙な道具を取り出した。小さな箱のように見える。彼がそれを腰に構えると、カードのようなものが飛び出て腰にまとわりついた。そして、不思議な―でもかっこいい―ポーズを取り、彼はこう叫んだ。
「ヘンシン!」
彼は叫ぶと同時に箱を操作する。その瞬間、青い畳のようなものが彼の前に出現する。そのまま青い『畳』に向かって突進した彼は、不思議な姿へと変貌していた。甲冑の鎧と昆虫のような仮面を被った、奇妙な姿に。
「今の俺は仮面ライダーブレイド。これは怪物と戦うための装備なんだけど、こんな使い方もあるんだ」
ブレイドとなった剣崎さんは小さな剣を構え、その中に収納されていたカードホルダーを開いた。その中には奇妙な動物の絵が描かれたカードが収まっていた。そして、磁石のような角を持つ牛のカードを手に取り、剣に読み込ませた。
『MAGNET』
その瞬間、剣から奇妙な光のようなものが発せられ、海に沈んでいた凡ゆる金属が引き寄せられてゆく。錆びた自転車や朽ち果てた鍋など、海の藻屑となった金属が次々と剣崎さんの周りに集まっていった。
このカードって、龍驤さん達の式神みたいなものなのかな。そう思っていると、私の弓矢も磁力に引き寄せられて剣崎さんの手元に来た。
「やったぁぁぁっ!! 私嬉しいですっ!」
弓矢を無事取り戻せたのが嬉しくて、思わず飛び上がって叫んでしまった。
「何かあった時のために、橘さんにベルト送ってもらって助かったよ・・・」
剣崎さんが呟いた。
10:
不思議なカードの力で弓矢を取り戻した後、剣崎さんのバイクに乗せられて、近くの駐在所がありそうな街まで辿り着いた。だけど、
「なんてことだ・・・!」
「ひどい・・・!」
その小さな街は、何者かによって蹂躙され、無人の街になっていた。
民家は焦土となり、あらゆる建物がコンクリートの廃墟となっていた。そして、あちこちに焼死体が転がっていた。異臭が鼻を突き、ちょっと吐きそうになったけど何とか堪えた。
「これも、深海棲艦の仕業・・・!?」
「許せない・・・、こんな酷いことをするなんて・・・!」
剣崎さんは拳を握りしめ、怒りに震えてていた。私も同じ気持ちだった。
(こんな酷いことをするなんて、許せない・・・!)
暫く私達は怒りに震え、黙っていた。
11:
「ニガシタケイクウボ・・・ココカ・・・!」
その時、静寂を破るかのように深海棲艦が波しぶきを立てて現れた。私を倒したのと同じ個体だった。
「ケイクウボ・・・カクゴシロ・・・!」
どうやら私を追って来たらしい。上陸し、私めがけて歩いてきた。
「お前か・・・! 絶対に許さない!!」
怒りに燃える剣崎さんは、さっきのようにベルトを腰にやり、ポーズを構えた。
「変身!!」
剣崎さんはブレイドの姿になり、巨大な深海棲艦へ斬りかかっていった。
私も戦おう。
「それでは、参ります! 攻撃隊、出撃してください!」
弓を引き絞り、矢を放った。
だけど、
「!?」
弓矢が艦載機に変わることはなかった。ただの弓矢となり、敵の硬い装甲に命中するだけに過ぎなかった。
「う、うそ・・・!?」
先程の戦いで大破したから、艦娘としての力も失われてしまったのだろうか。入渠していれば、まだ回復した見込みもあったかもしれない。でも、こんなところに修復剤は存在しない。羅針盤もない。鎮守府が何処にあったか、詳しい情報さえも教えられてなかった。
「ウソ、ウソよこんなの・・・」
私が呆然としている間にも、剣崎さんは戦っていた。流麗に剣を振り、深海棲艦の巨体から繰り出される攻撃を次々にかわしてゆく。
やがて、一瞬の隙ができた時、剣崎さんは二枚のカードを剣に読み込ませた。
『Slash,Thunder, Rightningslash』
二枚のカードを剣に読み込ませると、剣が雷を帯び、光輝いてゆく。
ブレイドは剣を振り放ち、額に斬撃を浴びせた。
「はぁぁぁ・・・、ウェイッ!!」
ズバッ・・・。そんな音が聞こえたきがした。
「シビレル・・・、イダイ・・・カラダハボロボロダ・・・!!! 」
そして雷の斬撃を受けた深海棲艦は、一時的に何処かへ逃げ出してしまった。
とりあえず、なんとか危機は去って行った。
12:
だけど、私は命が助かった安心感よりも絶望感のほうが強かった。
(もう、戦えない・・・、私は艦娘じゃない・・・)
「大丈夫、怪我はない?」
優しく、剣崎さんはブレイドの姿のまま声をかけてくれた。でも、私にはそれさえも辛かった。
「うわぁぁぁぁぁん!!!」
「おい、待てよ祥鳳ちゃん!」
恥ずかしくて、悔しくて、悲しくて、情けなくて、どこかへと走り出してしまった。
「はぁ、はぁ・・・」
気がつくと、私は海岸にいた。このまま、海に沈もうかな・・・。
そう考えていると、息を荒げた剣崎さんが追いついてきた。
「どうしたんだよ祥鳳ちゃん・・・?」
「もう私、戦えないんです・・・。艦娘としての力を失ってました・・・」
「気にすんなって。アイツは必ず俺が倒すから」
彼の言葉も私の耳には届いていなかった。
もう、戦えない。私なんか、役立たずだ。
「いいんです・・・。私なんか、あそこで沈んだほうが良かったんです・・・」
「バカなこと言うな・・・」剣崎さんが言った。
「運命に、身を任せたほうが良かったのかも・・・」
「そんな悲しいこと言うなよ!」
剣崎さんが声を荒げた。思わず私はびくりと震えた。
「・・・ごめん。でも、もっと自分を大切にしろよ。祥鳳ちゃん」
「でも、もう戦えない私なんか生きてたってしょうがないんです・・・。生きてたって辛いだけです・・・」
もう艦娘としては戦えない。みんなの役に立てない。そんな私に何の価値があるって言うの・・・?
「だったら・・・、その痛みを生き抜いてやるって言うバネに変えろ・・・。俺たちはそうやって、生きていくしかないんだ・・・」
でも剣崎さんは真剣な眼差で言ってくれた。思わず、その眼差しに言葉を失う。
「俺さ・・・、火事の中から両親助けられなくてっさ・・・。すごく悔しかったんだ・・・。でも俺は、それをバネに生きてきた・・・だからキミも・・・」
「でも、艦娘でなくなった私なんて・・・。戦えなくなった艦娘は沈んでくのが・・・」
「それが君の運命だって言うのか?」と、剣崎さん。
私は黙ったままだった。
「もし運命なんてものがあるんなら、その運命と戦うことだってできるんじゃないかな? 少なくとも、俺はそう信じてる」
「剣崎さん・・・」
しばらく、私たちの間に沈黙が流れた。
(運命と戦う・・・。私なんかに、できるのかな・・・?)
13:
その時だった。
「オノレ、カブトムシ・・・!!」
さっき撤退したはずの深海棲艦が再び現れ、私に襲いかかった。
「祥鳳ちゃん、危ない!!」
私を庇った剣崎さんが深海棲艦に弾き飛ばされ、数十メートル吹き飛ばされる。
「ぐはぁぁっ!!」
「ケイクウボ・・・、コロス!!」
攻撃をなんとかかわした。でも、ここは陸の上。
逃げて逃げて逃げ回るが、巨大な怪物は私なんかの足ではすぐに追いついてしまう。
やがて、深海棲艦は私に狙いを定め、砲撃を放った。
「ケイクウボ・・・、ムッコロス!!」
猛スピードで飛んでくる砲弾。ダメ、避けきれない。
「きゃあぁぁ・・・・!?」
やっぱり、ダメか・・・。こんな私なんかじゃ、運命に勝てないんだ・・・。
諦めかけた瞬間、
「マズい・・・!」
剣崎さんが「変身!」と叫び、次いで急いで一枚のカードを取り出したのが見えた。
時計を背負ったスカラベのカードだった。
『Time』
その音が耳に届いた瞬間、時が止まったような気がした。そしてその直後、
「うぐわぁぁぁぁっ!!」
剣崎さんが何時の間にか私の前に立っていた。
私を庇い、砲撃をその身で受け止め、仁王立ちしていた。
鎧はあちこちが吹き飛ばされ、ボロボロになっていた。内部の機械構造や配線が見えてしまい、傷ついた皮膚まで見える。
14:
「剣崎さんっ!?」
惨状を見て、私は悲鳴をあげた。
いくら強固な鎧を着ているとは言え、どう見ても普通の人間が耐えられるようなモノではない。
それでも、彼は体から煙を上げ、力強く立ち続けていた。
「大丈夫・・・! キミは必ず俺が守ってみせる・・・! だから生きろ! 生きて、運命と戦い続けるんだ!」
「剣崎さん・・・!」
「俺は負けない・・・! 運命に負けはしない! 全ての人を、この手で守ってみせる!!」
彼の力強い言葉に、私の胸も勇気づけられた。
「マズハオマエカラダ・・・カブトムシ・・・」
深海棲艦はブレイドをその巨体で掴み取る。
「ぐわぁぁぁぁっ!!」剣崎さんが苦痛に呻く。
(運命と、戦う・・・!)
そうだ。私は甘えてた。たとえ艦娘として戦えなくたって、人間としてなら戦える。
「私やります・・・! 私だって、元艦娘です!」
艦載機に変化させられない以上、ただの弓矢に過ぎない。けど、射たずにはいられなかった。
私だって戦える。剣崎さんの力になれる。そして運命とだって戦えるんだ!
矢は深海棲艦の額に命中した。さっき剣崎さんが切り裂いた、斬撃の傷跡だった。さすがに傷口を射たれたら動揺したのか、のたうちまわり、剣崎さんを手から離してしまった。
15:
「祥鳳ちゃん・・・!」
「剣崎さん、今ですっ!」
その隙を逃さずに、剣崎さんはカブトムシが描かれたカードを取り出し、左腕に装着された機械に読み取らせた。
『ABSORB QUEEN』
『EVOLUTION KING』
黄金の光がブレイドの身体を覆ってゆく。
あっという間に黄金の光は傷ついた鎧を修復し、輝かしい黄金の鎧へと進化させてゆく。
そして飛び出た13枚のカードが黄金の装甲へと変化してゆく。鷲やカブトムシ、牛やトカゲなど、様々な動物の模様が装甲になってゆく。
やがて、ブレイドは神々しい光を放つ最強形態へと姿を変えていた。
「きれい・・・」
思わず私はその輝きに見とれてしまった。
「オノレ、カブトムシメ・・・!」
深海棲艦は沢山の砲弾を放った。でも、金色のブレイドには傷一つつかなかった。
そして、剣崎さんは5枚のカードを手に取り、大剣に装填した。
『Spade10,Jack,Queen,King,Ace...RoyalStraightFlash!!』
大剣が黄金の光を宿すと、5枚のカードが深海棲艦の前に立ち塞がった。
狼狽える巨大な海魔に向け、金色の剣士が飛び上がり、大剣を振り下ろした。
「はぁぁぁ・・・、ウェェェェーイィッッッ!!」
黄金の一閃が深海棲艦を真っ二つに一刀両断した。
次の瞬間、断末魔の雄叫びをあげて深海棲艦は爆散した。
「ウゾダ・・・ドンドコドーン!!」
煙を天に吹きあげて、物凄い爆音と光を巻き上げ、怪物は吹き飛び、海へと沈んでいった。
16:
「す、凄い・・・」
私は驚愕し、戻ってきた剣崎さんを出迎えた。
「ま、またも助けてくださって、ありがとうございます!!」
私は頭を下げながらまたお礼を言った。だけど、変身を解いた剣崎さんの身体を見て、私は驚愕した。
その体からは、緑色の血が流れていたから。
「け、剣崎さん・・・?」
そう、剣崎さんもまた、人ならざるものだったのだ。
驚いた私の顔を見て、剣崎さんは傷ついた腕を押さえてしばらくじっと私を見つめた。
その後、カバンの中を探り、黙って名刺みたいな小紙を渡した。
「もう君を追ってた怪物は倒した・・・。後はもういいだろう・・・」
「剣崎さん・・・?」
バイクのハンドルを手に取った剣崎さんを見て、嫌な予感がした。彼がこれからなんと言うのか、想像が付いてしまった。
「俺にはもう一つやらなきゃならないことがある・・・。もう、一緒にはいられない」
「嫌です・・・! 私も剣崎さんと一緒に・・・! 一緒にいたい・・・!」
もう一人ぼっちは嫌だった。私は力の限り必死で叫び、呼び止めた。でも、
「来るな!」厳しい怒声をあげられ、私は怯んだ。
17:
「君にはやることがあるはずだ。艦娘とかじゃなく、人間として、自分の運命と戦い続けろ。そして勝つんだ・・・!」
「剣崎さん・・・」
「君は、人間たちの中で生き続けろ・・・!」
さっきとは打って変わって、穏やかで優しい表情で剣崎さんは言った。
「剣崎さん・・・」
私は潤んだ瞳で頷くことしかできなかった。
もう彼は何も言わなかった。
静かに此方に微笑みかけたあと、バイクのエンジンに火を点け、何処かへ走り去って行った。
緑色の血を垂らし、静かに、何処かへ・・・
18:
それから、私はとある喫茶店で住み込みで働くことになった。
剣崎さんに教えられた、ハカランダと言うお店だ。ここに暫く身を寄せてもうらことにした。
そこには若い男性と母娘がいた。
剣崎さんから紹介されたという話をすると、みんな暖かく迎えてくれた。
「それで、剣崎はなんて言ってたんだ・・・?」
若い男性はしきりに剣崎さんのことを聞きたがった。剣崎さんの友達なのかな。
「人間たちの中で生き続けろ、運命と戦い続けろ、って言ってました」
「アイツらしいな・・・」
男性は微笑んだ。どこか懐かしそうに、そして悲しそうに。
「剣崎さん・・・」
艦娘だった私が、どこまで人の社会で生きてゆけるかどうかはわからない。
でも、剣崎さんもきっと、緑色の血を流して、誰かを守るためにどこかで必死に闘っているはずだ。
あるいは、どこかの砂浜をバイクで走り続けているのかもしれない。
だから、私も運命と戦ってみようと思う。
彼がくれた輝くような勇気を、この胸に確かに閉じ込めて。

22:
いくつかレスが付いたので、おまけを書きます。
※シリアス崩壊注意。
たそがれ
今日は鎮守府の慰霊祭。
提督がこれまでの苦労を労うため、そして轟沈した艦娘達を弔うため、特別に開いてくれたのだという。
『あの日』が過ぎてから、私の日常はまるっきり変わってしまった。
祥鳳に同行してた天龍さんは、泣きながら「すまねぇ・・・」と私に土下座して謝りに来た。
伊勢さん達もすごく優しくしてくれた。
みんなが気遣ってくれた。私もそれに答えようと、必死で頑張ってる。
なんとか、祥鳳がいなくなった現実を受け止めようとしている。
それが辛かった。
本当は泣きたかった。泣いて泣いて何もかも枯れ果てるまで泣き続けたかった。
でも泣けない。みんなに弱さを見せるのが恥ずかしかったし、泣いたら祥鳳がいなくなったことを認めることになるから。
23:
「祥鳳・・・」
祥鳳に会いたかった。
姉妹としてろくに接する時間もなかったから、もっと甘えたかった。
艦爆の脚についてお酒を飲みながら語り合いたかったし、特製の卵焼きも食べて欲しかった。
何より、ちゃんと「お姉ちゃん」って呼びたかった。多分、あの人もずっとそう呼んでほしかったんだと思う。
ふと、窓に映った自分の顔を見ると、自分が暗い表情をしてることに気付く。
(いけない、また皆に心配かけちゃう・・・)
頬を叩いて無理やり笑顔を作り、明るい人ごみへとまぎれた。
今からステージで何かイベントがあるらしい。
24:
「鎮守府の皆様、お待たせいたしました! 
これよりいろはにほへと組による特別イベント、『アルティメットフォーム・超スペシャルターボでたいやきたこ焼き作ります』が開催いたします! 
青葉も一押しですっ! ところでアルティメットフォームってなんでしょう?」
特設ステージの上に、司会担当の青葉がいた。ハイテンションなのは相変わらずみたい。
その隣には二人のアロハシャツを着た男女がいた。
ふたりはたい焼きとタコ焼きを焼いていた。
「いやぁぁぁ、相川さんから紹介してもらった娘、えろぅべっぴんさんやな! ここの女の子も美人さんばっかやけど! 
ほれそこのお嬢ちゃん、たこ焼きサービスしとくわ!」
「ありがとうございますっ! 青葉感激ですっ!」
「コラァァ!!了、なに鼻の下伸ばしとんねんボケェ!!」
「ぎゃぁぁぁぁっ!!イタい痛いやめてぇぇぇぇ!!」
妙に楽しそうに夫婦喧嘩をしている、ちょっと老けた男女がいた。30代くらいかな。
「と、仲睦まじい夫婦漫才を魅せてくれました三上夫妻でございますぅ! 青葉感激ですっ!」
ホントに夫婦だったらしい。
なんとも明るく楽しそうな夫婦だな。少しだけ心が晴れた気がした。
25:
「え?、みなさんはたい焼きとタコ焼きを食うたことはありますか?」
「あるで?!」と龍驤さん。
「でも、たい焼きとタコ焼きって実は、作るのケッコー時間かかるんです! 
せやから、ウチのいろはにほへと組ではお客さんを待たせないためのスペシャルな装置があるんです! 
今回は名人の手による、そのスペシャルな装置をお見せしたいと思います! それじゃ、お願いしまーす!」
何が出るんだろう。ちょっと期待に胸を膨らませながらステージの奥に視線を集中させた。
そこから、私はこれまで見たこともないものを、そして二重の意味で忘れられないものを見てしまった。
「え・・・?」
「わ、わぁぁぁぁ、かっこいいぃっっ!! 青葉もチョー感激ですぅぅ!!!」
それを見た私を含む大多数の観客が言葉を失った。
ステージの上には、黒い重厚な鎧を身に纏った女性がいた。
鯛と蛸を模した絵が肩のパーツに描かれ、その両腕にはたこ焼き器とたい焼き器が装備されていた。
正直、私達の艤装よりはるかに重そうだった。
顔はフルフェイスヘルメットで見えなかったが、はみ出た長い髪から見るに凄く美人なんだろう。
だけど、あまりにもへんちくりんだった。へんちくりんすぎて、声を失うほかなかった。
「これがウチの名物、たい焼き&たこ焼き名人アルティメットフォームマークツー改でぇぇすっ!!」
26:
そんな重い装備にも関わらず、その女性は悠然と軽やかに歩き出した。
よく見ると脚もしなやかな筋肉質でカッコよかった。しかも、出るところはキッチリと出てて・・・。
「それでは、スペシャルターボを披露してくださいな、名人様! スペシャルターボ、オン!!」
「ア、アルティメットフォーム・・・! ス、スペシャルターボ!!」
恥ずかしそうに名人は叫び、装置に備えられていた変なボタンをおした。
その直後、物凄いスピードでたい焼きとたこ焼きを焼き始め、30秒も経たないうちにたこ焼きとたい焼きの山ができちゃった。
・・・でも、腕の装備はなんの意味があるんだろう?
「おぉぉっ!! 青葉こんなたこ焼き名人初めてです! 味もベリーグーです!」
青葉が早たこ焼きを試食して言った。係によって鯛焼きと蛸焼きが会場の艦娘達にも配られた。
私も配られたたい焼きとたこ焼きを、さっそく口にしてみる。
「・・・おいしい」
会場から、次々に「おいしい」と言う声が上がる。
「おぉぉっ!! 会場からも賞賛の声が、声が続々上がっております!! 
それでは、美味しいたいやきとたこ焼きを披露してくださった、たい焼きたこ焼き名人アルティメットフォームマークツー改さんに、皆さん大きな拍手ぅ!!!」
青葉に従い、観客たちが拍手を捧げた。私も素直にそれに混じった。
「あっ、ありがとうございますっ!! こんなに褒めていただけて、私嬉しいです!!」
歓声と拍手が上がり、たい焼きたこ焼き名人はまるで子供のようにピョンピョンとはねる。凛々しい容姿はどこへやら。
でも、そんな名人が可愛く見えた。
27:
が、そう思っていたのも束の間だった。
「あっ・・・、ふあぁぁぁっ!?」
名人は飛び跳ねているうちに誤ってバランスを崩し、転んでしまったのだ。
大きな音を立て、ヘルメットが転がる音が会場に鳴り響く。
「いったたた・・・」
名人は倒れてしまい、装備が其の辺に散らばる。その素顔も露わにされてしまった。
そして、その顔を見たとき、私は信じられない気持ちでいっぱいになった。
28:
「・・・し、祥鳳?」
そこに、命を落としたと思っていた姉がいた。
大人びた容姿の割にちょっと子供っぽい、でも優しくて素敵な姉が。
「あはは・・・。瑞鳳、また恥ずかしいところ見せちゃったね・・・」
照れくさそうに俯いて姉は言う。でも、そんなことどうでもよかった。
私は人目も憚らず、ステージの上へと駆け出して行った。
「祥鳳・・・、祥鳳・・・、うわぁぁぁぁぁん!!」
祥鳳に抱きついた瞬間、嬉しくて嬉しくて、今まで我慢できなかった涙が爆発した。
生きててくれた・・・。生きててくれた・・・!
「ず、瑞鳳・・・!? そ、そんなに泣かないでよぉ・・・!」
そう言いながらも、祥鳳も泣きだしていた。
「バカバカバカ! もっと早く帰ってきてよぉ・・・! 祥鳳のバカ・・・!」
自分で言うのもなんだけど、まるで子供みたいだった。
「よかった・・・! ホントによかったよぉ・・・!」
「グジュ・・・。ヨ゛ガッダナ゛ァ゛・・・ズイ゛ヴォ゛ウ゛・・・!」
くしゃくしゃな声で天龍さんや龍田さんたちも祝福してくれた。
「えがったなぁ・・・! 姉妹仲良ぅせぇよ・・・!」
「アンタら、幸せにならんと、ウチが許さんからなぁ!」
三上夫妻も、暖かく祝福してくれた。
「グスッ・・・、今大会最後にして最高のサプライズ・・・。祥鳳と瑞鳳、姉妹の感動の再会ですぅぅ!! 青葉もぉっ、グジュ・・・感激です・・・!!」
鼻を啜りながら青葉が涙声で司会を続ける。私たち二人に、みんなが暖かい拍手をくれた。
拍手の後、私は同じく涙でクシャクシャになった姉を見つめて言った。
今まで、ずっと言えなかったことを。
ずっと言いたかったことを。
「おかえりなさい・・・、祥鳳お姉ちゃん!」
たそがれ 完
2

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