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穂乃果「お、オナニーが出来ない……!」


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1:
授業中
穂乃果「……」
穂乃果(オナニーがしたい)
穂乃果(特にムラムラしているわけでもないし、良いオカズを発見したわけでもない)
穂乃果(なのに何故か、とてつもなくオナニーがしたい)
穂乃果(それもこれも、授業が退屈なせいなのだろう)
3:
穂乃果(退屈な時、人は暇潰しの方法へと思いを馳せる)
穂乃果(普段からこっそりスマートフォンを触ったり、こっそり本を読んだりして暇を潰しているんだけど)
穂乃果(私の脳が何をトチ狂ったのか、暇潰しとオナニーを繋げてしまったようだ)
穂乃果(家ならば、まだ分かる)
穂乃果(家でのオナニーは気が紛れるし、暇を潰せる)
穂乃果(しかし、学校の……尚且つ授業中にそんなこと出来るわけないよ)
6:
穂乃果(授業が終わるまでは、後数分)
穂乃果(よし、この授業が終わり次第トイレに行こう)
穂乃果(実習棟のトイレなら、使う人もほとんどいない)
穂乃果(声を出そうが音が大きかろうが自由だ)
穂乃果(オカズは……適当にエロサイトでも廻ろう)
穂乃果(流石に学校に18禁本は持ってきてないしね)
10:
キーンコーンカーンコーン
穂乃果(授業が終わった)
穂乃果(さっさと行ってさっさとイって、戻ってこよう)
穂乃果(休み時間は十五分、余裕はあまり無いんだから)
海未「穂乃果、ちょっといいですか?」
穂乃果「ん、どうしたの?」
穂乃果(海未ちゃんだ。頼れる幼馴染なんだけど、こういう空気の読めないところがある)
穂乃果(人のオナニー邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえ。そんな言葉もあるくらい、オナニーとは神聖な行為だ)
穂乃果(邪魔するなど言語道断。お話にもならない)
12:
海未「? どうしたのです、潰れた般若のような顔をして……」
穂乃果「ううん、何でもないよ! 何かあったの?」
穂乃果(何でもないわけがないだろう。私が授業終わってすぐに中腰になったことは海未ちゃんも見ている筈だ)
穂乃果(さっさと本題に入り、私を解放してほしい。それだけなのだ)
海未「次のライブなのですが、開幕輝夜で行こうと思うのですが」
穂乃果「えー、開幕輝夜? 輝夜は中?後半くらいに入れたほうが盛り上がると思うよ」
海未「いえ、最初から盛り上げて、トップを維持したままガンガン行こうかと」
穂乃果「それならむしろ僕今で始めて……」
14:
穂乃果「そこで冬がくれた予感をどーんと」
キーンコーンカーンコーン
穂乃果「はっ!?」
海未「おや、休み時間が終わってしまいましたね」
穂乃果「そ、そうだね……」
海未「有意義な話し合いが出来て良かったです。穂乃果の意見、参考にさせてもらいますね」
穂乃果(授業が始まる? 後一時間以上もオナニーが出来ない?)
穂乃果(ふざけるな……! 海未ちゃんも澄ました顔をして……誰のせいだと思っているんだ)
穂乃果(触りたい……存分に触りたい!)
15:
穂乃果(どうする? これから……この場面をどう切り抜ける?)
穂乃果(現状を再確認する――私は物凄くオナニーがしたい)
穂乃果(しかし休憩時間は終わり、今や授業が始まらんとしている)
穂乃果(詰んでいる……! ロマサガ3のアビス後セーブの気分だ)
穂乃果(いや、よく考えたらあれには抜け道がある。外に出る方法があって……)
穂乃果(外に、出る?)
16:
穂乃果(瞬間、脳内に閃いたものがあった)
穂乃果(授業とは、先生が来た瞬間から始まるものである)
穂乃果(つまり、先生が来るまではこの教室は休み時間だ)
穂乃果(休み時間に教室外に出ることの、何が悪い?)
穂乃果(いいや、悪いことなどない。ある筈がないじゃあないか!)
穂乃果(ふっ、私としたことが焦ってしまった。後は威風堂々と教室を出て、トイレに行くだけ――)
教師「授業始めるぞー」
穂乃果(来てるよ)
穂乃果(考えてた間に、来てたよ)
24:
穂乃果(まずいなあ、また耐えなければならない)
穂乃果(一時間、一時間か。一時間もの生殺し)
穂乃果(小便や大便とは訳が違うよ、この何とも言えない感じ)
穂乃果(痛みは無いけれど、感覚的に……)
穂乃果(耐えようもないもじもじとした感触がある)
穂乃果(授業にも集中できる筈ないね。先生には悪いけれど、オナニー前に教室に来るほうが悪いんだ)
穂乃果(話を聞いていないくらい、勘弁してもらおう)
26:
キーンコーンカーンコーン
穂乃果(ふむ、授業終了のチャイムがキンコン)
穂乃果(ノートすら広げていない手前、教師からの目が痛かったけれど、そこは許してもらおう)
穂乃果(よくよく考えてみれば、これが最終授業か)
穂乃果(普通なら早めに帰れるっていうのに、私には練習がある)
穂乃果(練習前にトイレに行ってオナニー。それしかないな)
穂乃果(こんなむずむずした状況で練習など出来る筈も無いのだから)
27:
穂乃果(さて……)
ことり「穂乃果ちゃ」
穂乃果「ごめん、ちょっと急いでるんだ。後で聞くよ」
ことり「うん……」
穂乃果(危なかった。海未ちゃんが来たからことりちゃんも来るだろうとは思ってたけど)
穂乃果(案の定だ。ことりちゃんは押しが弱いから、断ることが出来て良かった)
穂乃果(これで邪魔するものは何もない。一年生組と三年生組に会いさえしなければ、このオナニー……)
穂乃果(私の勝ちだ……!)
28:
穂乃果(トイレに行きさえすれば……)
絵里「はぁ……はぁ……!」
穂乃果「あれ、息せききって絵里ちゃんが走ってくる」
穂乃果「まさか私に用事とかじゃないよね、違うよね」
穂乃果(まあ用事があろうとなかろうと、私は断るだけだよ)
絵里「あぁ、穂乃果! 探してたのよ!」
穂乃果(やっぱり)
穂乃果「何、絵里ちゃん。私ちょっと急いで……」
絵里「に、にこが屋上から飛び降りようとしてるのよ!」
穂乃果「えぇ!?」
31:
屋上
にこ「近付かないで! 近付いたら飛び降りるわ」
絵里「にこ、落ち着きなさい! 自殺なんて!」
にこ「もう全部全部嫌になったのよ! こんな世界なんて!」
穂乃果(何でだ、何故にこちゃんが自殺なんて)
穂乃果(しかもよりによって今日! この日! このタイミングで!)
穂乃果「にこちゃん、何があったの!? 相談にものるから、落ち着いてよ!」
にこ「うう、わ、私……私は……」
32:
にこ「……言われてみれば、なんで飛び降りようとしていたのかしら」
にこ「訳分かんないわね、よいしょ」
絵里「なんだ、驚かせないでよ……本当に自殺するかと思ったじゃない」
穂乃果「良かったよぉ、にこちゃんが死なないで」
穂乃果(……悪戯だったの? いや、にこちゃんの目は本気だった)
にこ「さあ、そろそろ皆来るだろうし先に練習始めとくわよー」
33:
穂乃果(結局そのまま練習が始まり――)
穂乃果「わ、私ちょっとトイレに」
凛「あー! あそこ火事だにゃ!」
花陽「わ、私の家の近くだ……」ヘナヘナ
穂乃果「ええっ!?」
穂乃果(ことごとく邪魔が入り――)
穂乃果「ちょっとトイレに」
希「ああっ! 校庭にカニクイザルが1000匹も入ってきてるやん!」
絵里「動物園から脱走したのね、動くと何があるか分からないし屋上に隠れてましょ」
35:
穂乃果(結局私は――)
穂乃果「カニクイザルも保護されたし、トイレに」
真姫「あら、トイレならさっき謎の爆発が起こって全面使用禁止になってたわよ」
穂乃果「……へえ、怖いねえ」
穂乃果(オナニーをすることが出来なかった)
穂乃果「……」
ことり「今日の穂乃果ちゃん、なんだか凄く怖い顔してるね」
海未「大会が近いから、練習に身が入っているのですよ。私も見習わなければ」
ことり「心ここに有らず、って感じだけどなあ」
36:
穂乃果「や、やっと練習終わった……」
花陽「練習キツかったねー」
凛「ねー、大会近いからね、しょうがないね」
真姫「さっさと帰ってシャワーでも浴びましょ」
穂乃果(私も家に帰ってシャワーでも浴びながらオナニーしよう)
穂乃果(帰り道のトイレでも出来るかもしれないけれど、こうなったら家でゆっくりとやりたい)
穂乃果「私、先に帰るね。ばいばい」
希「穂乃果ちゃん疲れ切ってるみたいやなあ」
にこ「穂乃果は若いんだから、明日には回復してるわよ」
絵里「年齢ほとんど変わらないでしょ」
37:
穂乃果(もはや頭の中にはオナニーしかない)
穂乃果(いや、最初からオナニーしかなかったのだ)
穂乃果(それはもう暇潰しというだけではない)
穂乃果(そもそも、何故オナニーを人前でしてはいけないのだろう)
穂乃果(人間の三大欲求を考えてみろ。睡眠欲、食欲、性欲――)
穂乃果(食事、睡眠は人前でしてもいいというのに、性欲の解消)
穂乃果(つまるところ、セックスやオナニーを人前でしてはいけないというのは何故なのだ)
39:
穂乃果(人前で陰部を露出するのは確かに恥ずかしい)
穂乃果(しかし恥ずかしいのは私だけである。私の責任でオナニーをするのだ)
穂乃果(誰に迷惑をかけるというのだろうか)
穂乃果(臭いがする? ならば食事はどうなるのだ)
穂乃果(電車やバスなどでファーストフードを食らう馬鹿共も捕まえるべきだ)
穂乃果(それをしないのであれば、オナニーを解禁するべきである)
穂乃果(汁はポケットティッシュで拭けるしさあ)
41:
穂乃果(そんなよしなし事を考えている間に、もう家だ)
穂乃果「ただいまー!」
母「あら、今日は早かったのね」
穂乃果「練習でくたくただったから、何処にも寄らずに帰ってきたんだ」
穂乃果「シャワー浴びていい? もう汗だくで……」
母「ええ、いいわよ。入ってきなさい」
穂乃果(流石にもう邪魔は入らないだろう、家でまで邪魔をされては敵わん)
42:
穂乃果「ふふーん」ヌギヌギ
穂乃果「さーて、ゆっくりと汗を……」ガラッ
父「……」
穂乃果「……」
父「……」
穂乃果「お邪魔します」
父「……!?」
43:
穂乃果「……」シャアアア
父「……」
穂乃果「お風呂、入ってたんだね」
父「……」
穂乃果「今日の分、作り終わったの?」
父「……」コクリ
穂乃果「ふうん……」
父「……」
45:
穂乃果「湯船、入っていい?」
父「……」
穂乃果「ありがとう」
父「……最近、どうだ」
穂乃果「ぼちぼちやってるよ。アイドル活動も順調」
父「そうか」
穂乃果「……」
父「……」
48:
父「いい湯だな」
穂乃果「うん」
父「……」
穂乃果「……」
父「園田さんと南さんとこの娘さんとは、仲良くやってるか」
穂乃果「うん、仲良くしてるよ」
父「うむ……」
50:
穂乃果「……」
父「……」
穂乃果「お父さんは、最近どうなの」
父「……」
父「仕込みをして、菓子を作って、寝ている」
穂乃果「大変だね」
父「そうでもない……」
穂乃果「……」
父「……」
51:
穂乃果「もう出るよ」
父「うむ」
穂乃果「部屋でごろごろしてるね」
父「勉強もしっかりするんだぞ」
穂乃果「うん」
父「……」
父「……」
父「……」
父「久々にあんなに長く喋ったな……」
52:
父「あの穂乃果がアイドルか」
父「少し前まではただの子供だと思っていたのに」
父「……」
父「成長したな……」
父「しかし不思議だ……」
父「女子高生の裸なんて見たら普通ならギンギンになるというのに」
父「……」フニャア
父「娘というだけでピクリとも反応せん」
53:
穂乃果「まさかお父さんが入ってるなんて」
穂乃果「久しぶりに、お父さんと喋ったな……気まずかった……」
穂乃果(しかし、ここまで来るとちょっと変だな)
穂乃果(私がオナニーをしようとする度に、何らかの邪魔が入る)
穂乃果(これは偶然? それとも……)
穂乃果(試してみよう)スルッ
雪穂「お姉ちゃーん、帰ってきてるの?」
54:
穂乃果「ど、どうしたの雪穂!?」
雪穂「へ、いや……借りてた漫画返そうと思って」
穂乃果「ああ、そこに置いておいて」
穂乃果(ズボンを脱ごうとした瞬間、雪穂が来た)
穂乃果(これは間違いない。何らかの意思が、抗いようもない強い意志が)
穂乃果(私のオナニーを邪魔している……!)
56:
雪穂「お姉ちゃん、どうしたのさ。そんな怖い顔して」
穂乃果「何でもないよ……」
雪穂「ならいいけどさ。漫画、ここに置いとくね」
穂乃果(オナニーが出来ない、それがどんな意味を持つか)
穂乃果(人生に及ぼす影響の度合いはいかなるものか、言うまでもないだろう)
穂乃果(何故、こんなことに!? 私はただ、オナニーがしたいだけなのに!)
57:
希家
希「話は分かった」
希「オナニーなんて恥ずかしいやろうに、よく相談してくれたね」
穂乃果「もう一週間もオナニー出来てないんだ……毎回、何らかの邪魔が入って」
穂乃果「そんなのオカルト以外有り得ないでしょ? だったら希ちゃんかな、って思って」
希「けど、オナニーが出来ない現象なんてウチも聞いたことないなあ」
希「ウチが辺り見張っとくから、ここでオナニーしてく? もう限界近いやろ?」
穂乃果「ほ、本当!? いいの!?」
希「事情が事情だけにしゃーないよ。ティッシュは用意してあるから」
穂乃果「ありがとう、ありがとう希ちゃん……!」
61:
穂乃果「……」スルッ
穂乃果「……」キョロキョロ
穂乃果(ズボンとパンツを脱いだのに、邪魔が入っていない……)
穂乃果「希ちゃん、何も起こってない?」
希「何も起こってないで。一応盛り塩とお札は貼ってあるから、霊的な物なら防げるはずや」
穂乃果「ありがとう!」
穂乃果(久しぶりに触れる……久しぶりのオナニーだ!)
62:
カタカタ
希「むっ」
穂乃果「な、何!?」
希「家具が……ううん、部屋が揺れてる!?」
希「低級霊やない、ってことか!? ここまで強い反応は……!」
ビリッ
希「札が破れたっ!」
穂乃果「お、オォンッ! 見てっ、盛り塩が真っ黒になっているッ!」
希「なんや……穂乃果ちゃん、一体何に憑りつかれているんや!?」
65:
バツン
希「部屋の電気が……消えた?」
穂乃果「な、何なの……?」
希「静かに、何か聞こえる……」
メロ……ヤメ……
希「……」
穂乃果「ひっ……」
ナニ……ヤメロ……
希「これは……」
オ ナ ニ ー を や め ろ 
穂乃果「ひいっ……な、何……今の声!?」
68:
希「霊、いや違う……」
希「この気配、まるでパワースポットに行った時のような神聖なこの気配」
希「まさか、まさか穂乃果ちゃんに憑りついている……いや、守護しているのは!」
穂乃果「神様、なの……?」
希「……非常に言いにくいんやけど、そうみたいや」
穂乃果「なんで神様が? いやそれ以前に……神様が私のオナニーを止める理由は何なの!?」
希「神は穢れなき存在を好む」
希「セックスはおろか、自慰なんて穢れた行為はしてほしくないんやろうな」
穂乃果「そんな、そんなのおかしいよ! じゃあ何で人間に性的欲求なんて植えつけたのさ!」
70:
希「ウチに聞かれても困る! 相手が神な以上、ウチに出来ることはないよ……」
希「神への叛逆、世界の誰も成しえなかったこと」
希「そんなことウチには無理や……穂乃果ちゃんにも、無理やと思う」
穂乃果「じゃあ、じゃあ私は……」
希「オナニーが出来へん、一生な」
穂乃果(突きつけられたその言葉が、私には死刑宣告のように聞こえた――)
72:
穂乃果「そんな、そんなの……酷いよ、あんまりだよ……」
希「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「オナニーが出来ないなんて、セックスも出来ないかもしれないなんて!」
穂乃果「そんな人生、死んでいるのと変わらないよ!」
希「……ん? そう言えば穂乃果ちゃん、お風呂でマンコを洗ってる時には邪魔が入ったりした?」
穂乃果「ううん、その時は何も……だから身体を洗う時くらいしか触れなかったんだ……」
希「穂乃果ちゃん、それや!」
穂乃果「へっ!?」
希「まだオナニー出来る道は残されとるんや!」
74:
希家の風呂場
穂乃果「……」
穂乃果(希ちゃんの言葉……それが本当なら、出来る筈)
希『身体を洗う時やおしっこをして拭く時に触る、その時に問題はないんやろ?』
希『ってことは、その時にそういうフリをしながらオナニーすればいいんや』
希『さも身体を洗ってますよ、って風にな』
希『神を騙せ、身体を洗う自分を騙せ』
希『マタ・サワル・シオフクゥ』
希『特に意味はない』
穂乃果(私に残された最後のチャンス……行くよ!)
76:
穂乃果「ふーふんふー」
穂乃果(泡立てて、ゆっくりと上半身から……)
穂乃果(ゆっくりと、ゆっくりと、下半身に移行していく)
穂乃果(……)
穂乃果(今だ!)
クチュ
穂乃果「ッ!」
穂乃果(脳に痺れるような快感――ちゃんと、オナニーの時のように触れた!)
80:
穂乃果(脳内再生――随分前に見たエロ動画っ!)
穂乃果(……くっ! 思い出せない!)
穂乃果(どうする!? オカズがなければ、いくら快感があってもジリ貧だ)
穂乃果(何か、何かないのか!? 私のオナニー、それを飾る物!)
穂乃果(神に気付かれず、かつエロい物っ!)
穂乃果「……あ、そうだ」
穂乃果(一つだけ、思いついたものがあった)
穂乃果(脱衣所で見かけたもの。最近雨が多かったから、洗えなかったであろう洗濯物の中)
穂乃果(山の中から顔を出した、パンツ……! しかし、いいのだろうか)
穂乃果(私は同性愛者では無い。頼れる友人のパンツでオナニーなんかしてしまったら、修羅道に落ちること間違いない)
83:
穂乃果(そもそもイケないかもしれない)
穂乃果(同性のパンツを見ても、ただの穢れた布にしか見えないかもしれない)
穂乃果(しかし、神を騙せている今、オカズはこれしかない)
穂乃果(希ちゃん、力を貸して……!)
穂乃果「シャンプーハット借りないと……脱衣所にあるかなあ」
穂乃果「これかな、頭に被ろうっと」
穂乃果(よし、自然にパンツを顔に被ることが出来た……!)
85:
穂乃果(むせかえるような雌の匂い)
穂乃果(僅かに香るおしっこの匂い、普段なら顔を顰める筈のそんな匂いが)
穂乃果(高級アロマのように感じられる……!)
穂乃果(イケる……!)
穂乃果「不思議だね、今の気持ち」
穂乃果(呟いて、くすりと笑う)
穂乃果(本当に不思議だ。不思議で不思議でしょうがない)
穂乃果(けれど、その全てが私の力になる……!)
86:
穂乃果(気付かれないように、感付かれないように)
クチュクチュ
穂乃果(一秒ごとに性感帯を超えて)
クチュクチュ
穂乃果(凄い、気持ちいい。この世で一番、気持ちいい……)
クチュクチュ
穂乃果(わ、笑いが漏れそうだ……神を騙すなんて、簡単じゃない)
「お い」
87:
穂乃果「????ッ!?」
穂乃果(今の声……いや、後ろに誰かいる!?)
穂乃果(希ちゃんの声じゃない、低い男の声)
穂乃果(さっきの神……? 何故、ここに? オナニーをしていると気付かれた?)
穂乃果(カモフラージュは完璧だった筈なのに……!)
穂乃果「……」
「お ま え オ ナ ニ ー し て た な ?」
89:
穂乃果「……」
「やめないと、殺す。この場で、殺す」
穂乃果「……」
「私が手をちょいと横薙ぎすれば、お前の首と胴は永遠に別れることになる」
「魂は未来永劫、暗く寒い場所を彷徨う……嫌だろう?」
「優しい穂乃果よ。お前は修道女のように、穢れた行為を嫌ってくれ……」
穂乃果「……」
「そう、それでい、い……?」
クチュクチュ
「何ィ! 貴様、話を聞いていなかったのか!?」
91:
「まさか、オナニーのために死ぬつもりか!?」
穂乃果「へっ、そんなカッコイイもんじゃないよ。私だってできたら死にたかない」
穂乃果「で……でもさ。私にだってプライドってもんがあるんだよ」
穂乃果「仲間が折角方法を考えてくれたのに、オナニーをせずに生き延びるなんて」スクッ
穂乃果「死ぬよりカッコ悪りィやって……そう思っただけだよ……!」
クチュクチュ
「ぐ……」
92:
「そっちがそのつもりなら、望み通り……」
穂乃果「……一手、遅かったよ」
「!」
穂乃果「アンッ……もう、終わった」
プシャアアアア
「潮……イッたのか」
「ふ、ふふふ……ははははは!」
「もういい、お前なんかいらない」
穂乃果「……消えた、の?」
穂乃果「神様がいた場所、冷たくなってる……」
穂乃果(さよならなのだ、そんな言葉が聞こえた気がした)
94:
穂乃果(それから――)
穂乃果(私はオナニーを邪魔されることはなくなった)
穂乃果「希ちゃーん」
希「ほ、穂乃果ちゃん……ウチ急いでるから!」
穂乃果(風呂場でパンツを被っているのを見られたせいか、希ちゃんには少し避けられてる)
穂乃果(後は、今迄右肩上がりしていたアイドルランキングの順位が急に停滞した)
穂乃果(これも神の加護が切れた弊害なのだろうけど、そんなことはどうでもいい)
穂乃果(神の力なんて借りずとも、私達は実力で一位になるんだから)
96:
海未「穂乃果、最近優しくなりましたね」
穂乃果「そうかなあ」
海未「ええ、何というか冷静に物事を見つめている気がします」
穂乃果「反動で、暇があればやってるからかなあ」
海未「? 何をですか?」
穂乃果「ううん、こっちの話」
穂乃果「世界が輝いて見えるんだ。少し非日常に触れただけで、日常の素晴らしさが再確認出来る」
 私は守っていきたい、この美しい地球を――。

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