男「金を出せ!」 女「そんなことより誘拐してください!」back ▼
男「金を出せ!」 女「そんなことより誘拐してください!」
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1:
男「え?」
女「はい?」
2:
男「金を出せって言ってんだよ、聞こえねーのか」
女「誘拐してくださいって言ってるんですよ、聞こえないんですか」
男「俺が誰だかわかってんのか?」
女「コンビニ強盗をするような人が誰かなんてわかるわけないでしょう」
男「そう、コンビニ強盗なんだよ……」
3:
男「いいから手を挙げろ!」
女「そしたら誘拐してくれますか?」
男「駄目だこいつ、挙げる気ねぇな」
5:
男「これがなにかわかるか?」
女「拳銃に見えます」
男「その通りだ、撃てば人が死ぬ」
女「もう少し生きたかった」
男「まだ殺すとは言っていない」
女「死ぬ前にせめて誘拐して欲しかった…………」
男「さっきからうるせえな」
6:
男「深夜だし店内には俺と店員のお前しかいねえ」
女「見ればわかります」
男「怖くねえのか?」
女「半分くらい」
男「なんの半分だ」
7:
男「金をよこせ、はやく」
女「わかりました」
男「はやくしろ」
女「お金を渡す代わりに私を誘拐してください」
男「もうじゃあそれでいいよ!」
8:
女「あんまりレジの中には入っていませんでした」
男「充分だ、よし行くぞ」
女「監視カメラ壊さないと!」
男「お、おう、そうだな」
バキューン グシャン
女「しっかりしてください」
9:
女「どこへ行くんですか?」
男「とりあえずひたすら車を走らせる」
女「無計画ですね」
男「計画が狂った一番の要素はお前を誘拐したことだ」
10:
女「なんで強盗をしようと思ったんですか?」
男「会社をリストラされてな、借金が山のようにできて、
家族からも見放されて、死のうと思ってたんだ」
女「死ななかったんですか」
男「いざとなったら死ねばいいやと思ったら何でもできそうな気がした」
女「あ、それわかります」
11:
男「お前はなんで俺に誘拐されようと思ったんだ」
女「なにもかも嫌になっていたんです」
男「どういうことだよ」
女「最近不幸続きでいっそのこと、
私の人生なんてもっとめちゃくちゃになっちゃえって思っていました」
男「そんなところに俺が来たと」
女「はいそうです」
男「ふーん」
キキーッ
12:
女「車を止めていいんですか」
男「別に目的地があったわけじゃねえ」
女「なんで止まったんですか」
男「お前に降りてもらうためだ」
女「嫌です」
14:
男「お前みたいなやつが一番いらいらするんだよ」
女「なにかいらいらさせましたか?」
男「最近不幸続きで人生がめちゃくちゃになればいいと思った??」
女「はい、思いました」
男「ふざけんじゃねえ、自分だけが不幸だと思うな
最近の若いやつはすぐに悲劇の主人公を気取りやがる」
女「まず、唯一の家族である姉が殺されました」
男「!?」
15:
女「両親を幼い頃に亡くしていた私にとって
年が離れた姉だけが頼りになる家族でした」
男「……」
女「そんな姉が婚約者を紹介してくれました」
男「それでお姉さんは」
女「相手が結婚詐欺師だったんです」
男「……」
女「姉が騙された後、ショックから自殺をしました」
16:
女「この後もしばらく私に不幸が続きますが
とりあえずやめておきます
悲劇の主人公を気取ってすいませんでした」
男「いや、悪かった」
女「信じてもらえたようで嬉しいです」
男「乗れ」
女「目的地は決まっていないんですよね?」
男「いや、その結婚詐欺師を殺しに行こう」
18:
女「え?殺してくれるんですか」
男「話をきいてムカついた、殺そう」
女「強盗とは違って殺人ですよ?」
男「罪が重いな」
女「捕まったらやばいですよ」
男「いざとなったら死ねばいいんだ」
女「なるほど、なんでもできる」
20:
男「その結婚詐欺師はどこにいるんだ?」
女「普通に社会で生活をしています」
男「本当に結婚詐欺師なのか?」
女「はい、姉と結婚をする気が微塵もないことはわかっています」
男「というと?」
女「既に結婚していたんです」
男「不倫か」
女「そんなやつは死刑です」
21:
男「まかせろ、殺してやる」
女「住所はわかっています、案内しましょう」
男「助かる」
女「どういたしまして」
22:
男「そいつから謝罪とかはあったのか?」
女「いえ、姉との結婚の約束は知らないのいってんばりです」
男「元々知り合いだったのか?」
女「大学が同じだったそうです」
男「それで実は結婚していたわけだな」
女「調べたらブスの奥さんがいました」
男「お姉さんは可愛いのか?」
女「はい、私と同じく」
男「おーけー、ますますそいつがムカついたぜ」
24:
男「ここで合ってるか?」
女「はい、前に調べました」
男「いろいろ調べたんだな」
女「探偵みたいでしょ」
男「おう」
女「犯人はこの中にいる!」
男「さっき聞いた」
26:
男「さすが深夜なだけあって静かだ」
女「当然のように鍵がかかっていますね」
男「窓ガラスを叩き割ろう」
女「あ、それいいですね」
28:
男「くらえ、石!」
ボゴーン
女「跳ね返って落ちました」
男「割れないな」
女「最近の窓ガラスは頑丈ですね」
男「めんどくさいな」
バキューン ガシャーーン
女「すごい!すごい!」
29:
男「今ので中の人が起きただろう」
女「ですね」
男「すぐにすませるから車に乗っていてくれお嬢様」
女「私もついてく」
男「いいから待ってろ」
30:
男「お邪魔しまーす!」
夫「なんだお前は!」
男「これから死ぬってのに俺が誰かなんてどうでもいいだろ」
夫「ひい、銃!」
31:
男「お前が結婚詐欺師か」
夫「結婚……お前誰の差し金だ、ユミか?チカか?」
男「常習犯かよ」
夫「すまなかった、だから許してくれ!」
男「駄目だ、さらば!」
バキューン
32:
男「よし、とっとと戻ろう」
妻「ひいいいいいい!!!」
男「うわっ、ほんとにブスだ」
妻「次は私を襲う気なの!?」
男「は?」
妻「やめてっ!お金ならいくらでも渡すから!!」
男「いらねえよ、コンビニ強盗の帰りだ」
妻「どうか!どうか体だけはやめて!!」
男「うるせえんだよブス!さっきから騒ぎやがって
自分の顔を見てから言えや、顔面土砂崩れ!」
妻「ひいいいいいい」
バタッ
男「気絶しやがった」
33:
男「お待たせ」
女「やったんですか?」
男「あんなブスと誰がヤるか」
女「はい?」
男「結婚詐欺師は殺したよ」
女「ありがとうございます」
男「とりあえずここから離れよう」
女「銃声、結構響いてましたよ」
男「急がねば」
34:
男「このくらい移動すれば大丈夫か」
女「本当に殺してくれたんですね」
男「不満か?」
女「いえ」
男「今の気分は?」
女「最高にハッピーです」
男「俺もだ」
35:
男「不幸は続いたと言っていたな」
女「はい」
男「他の不幸もききたい」
女「そうですね、次は私の彼氏のことなんですが」
男「えっ、彼氏いたの」
女「私、18ですよ」
男「青春してやがる」
37:
女「そんなにいいものじゃないですよ」
男「不幸の話だったな」
女「昔から好きだった人に告白されて付き合うことにしたんです」
男「幸せじゃないか」
女「いえ、彼は罰ゲームで私に告白をしただけでした」
男「うわ、最悪」
女「私、学校で嫌われていたんです」
38:
男「ええ、そんなに可愛いのに?」
女「私は可愛いですが、それは関係ありません」
男「むしろ可愛いからひがまれたのかな」
女「そうかもしれませんね」
39:
女「考えてみると私を嫌っていた人達はみんなブスです」
男「あぁ、性格が悪いやつはブスに見えるよな」
女「わかります」
男「逆に性格がいいやつは自然と可愛く見えてくる」
女「内面と外面って実は同じようなものですよね」
男「俺はそういう意味をひっくるめて可愛い子が大好きだ」
41:
女「そのブス達と彼氏がグルだったんです」
男「ひどいな」
女「本当にひどいですよ、私のラブメールの内容がコピーされて
全校に貼り紙がはられまくりました」
男「えっ、どういうことだよ」
女「もういじめですよね」
男「先生たちは?」
女「少し全体に向けて怒りましたが、基本は見てみぬふりです」
男「一体何人殺せばいいんだ」
42:
女「学校はここから40分くらいでしょうか」
男「わかった」
女「こっちの方向じゃないですよ」
男「疲れたし、また明日にしよう」
女「私を家に連れ込む気ですか」
男「誘拐してくれって言ったのお前だろうが」
43:
男「安心しろ、家へは帰らない」
女「そういえば強盗のあとですしね」
男「殺人もしたし呑気に家にいられない」
女「ではどこへ?」
男「眺めが良い場所へ」
女「……おお、海ですか」
45:
男「ちょうど日の出だ」
女「おおおおおおおお、すごい!」
男「こういうの見るの初めてか」
女「はい!本当に太陽ってのぼってくるんですね」
男「何言ってんだお前は」
46:
男「こんな時間だが寝て回復をしよう」
女「車の中でですか」
男「狭くて悪いな」
女「恋人みたいですね」
男「お前には彼氏がいるんだろう?」
女「今は死ねばいいと思ってますよ」
男「安心しろ、殺してやる」
女「やった」
47:
――――――――
男「おい、起きろ」
女「んぇあ、あ、そっか、そうだった」
男「何言ってんだ、そろそろ行くぞ」
女「んん、はぃ、いきまひょう」
男「寝ぼけてやがる」
48:
女「当然ですけど平日なので学校に人がたくさんいますね」
男「お前は生徒なんだから堂々と入ればいい」
女「制服着てませんけど」
男「じゃあ二人で不審者しよう」
女「是非」
49:
女「標的は主犯格のブス子A、ブス子B、ブス子C、それと私の彼氏です」
男「今回はお前がいないと誰が誰かわからないな」
女「授業中は無理がありますよね」
男「昼休みまで待とうか」
50:
女「そんなこともあろうかとお弁当を作ってきました」
男「いやいや、作るひまなかっただろ」
女「言ってみたかっただけです」
男「わけがわからん」
女「嘘ってことですよ」
男「わかってるよ」
51:
男「昼休みになった突撃」
女「どうも、不審者です!」
男「玄関から堂々と入ると案外気づかれないもんだな」
女「拳銃はしっかり隠しておいてくださいね」
53:
男「ん?この張り紙は」
女「あっ!だめ」
男「いつも好きって言ってくれてありがとう、私も大好きだよ愛してる」
女「読むな!」
男「こんな私ですがいつまでも一緒にいてください」
女「だから読むな!」
54:
女「決めました、まずは彼氏から殺します」
男「わかった」
女「私が連れてくるのでそこのトイレの中で待っていてください」
男「女子トイレは勘弁してくれ、捕まっちまう」
女「強盗殺人犯がいまさら何言ってんですか」
55:
男「頼む、誰もこないでくれよ!」
彼氏「え、話ってなに?まだ彼女づらしてんの?」
男「おっ、きたきた……」
女「すぐにすみますので」
彼氏「え、ここ女子トイレじゃん、なに?なに?なにすんの?」
女「個室に入ってください」
彼氏「なんだよ?」
ギィ
男「よう」
56:
彼氏「えっ、お前誰だよ」
男「髪型がクワガタみたいだな、お前趣味悪いぞ」
女「昔はかっこよく見えたんです」
彼氏「えっ、それ拳銃じゃん、なんだよお前!」
女「さようなら私の恋!!!!!!!!!!!!!!!」
バキューン
58:
男「まずは一人」
女「次が厄介です」
男「ブス子三人組だったな」
女「あいつらは昼休み中は教室から動きません」
男「何をしてるんだ」
女「つまらない話をしながらげらげらと下品な笑い声をあげてます」
男「あー、いるいるそういうやつ」
59:
男「よし、教室に行こう」
女「それしかないですね、あっちの階段ならあまりみんなが使いません」
男「わかった、案内してくれ」
担任「おい、女!今日は休んでるんじゃないのか!
制服も着ないで校内で何をやっている!」
男「やっぱり制服じゃないと目立つんだな」
女「彼氏はアホだから疑問に思わなかったみたいなんですけどね」
男「さて、どう切り抜けるか」
60:
担任「お前はルールも守れんのか!そんなんだからいじめられるんだ!」
女「いじめに気づいたなら担任としてそこは何かしましょうよ」
男「なんだ、こいつも屑か」
担任「なんだ、隣にいるお前は」
男「いじめだめ!絶対!」
バキューン
女「殺人犯が言うと説得力に欠けますね」
61:
生徒A「きゃーきゃー!」
生徒B「銃声!?!?」
男「まずい、急ぐぞ!」
女「はい、こっちです!」
男「やっぱ目立っちゃったな」
女「あの!」
男「なんだ」
女「校舎内を走っていると青春っぽいですね!」
男「こんな青春おくってるやつ、他にいないぜ」
女「青春さいこーーーーー!!」
63:
放送「たった今、えっと、不審者が校舎内に侵入した模様です!
生徒の皆さんは早急に先生の指示に従って、えー、非難を!」
男「対応がいな」
女「むっ、この声は学校の評判のために
いじめ問題をもみ消すことで有名な教頭」
男「放送室ってあそこじゃないか?」
女「あ、そうですそうです」
男「ちょっと放送室ジャックしてくる」
64:
教頭「なっ、なんだお前は!!!」
男「名前を名乗ってもどうしようもなかろう」
教頭「そうか、担任先生を撃ったのはお前か……」
男「ああ、死んでると思う」
65:
教頭「こんなことをして許されると思っているのか」
男「思っていないし、許さなくていい」
教頭「くずめ……」
男「お互い様だ」
バキューン
66:
男「放送ってここをいじればいいのかな」
放送「聞こえてますかあああああああああ!!!」
女「聞こえてますよー」
放送「どうも、不審者です」
67:
放送「屑を殺しにきました!関係ない人は逃げてください!以上!」
ブツッ
女「大丈夫なんですか?あんなこと言って」
男「大丈夫じゃない、急がねば」
70:
女「みんな避難を始めていますね」
男「どいつもこいつもこっち見んじゃねーよ、殺すぞ!」
女「あ、三人がいました!」
男「あれか!あの際立ってブスな三人で間違いないな?」
女「はい!あの特別ブスな三人で間違いありません!!」
バキューン
ブス子B「ブス子A??っ!」
ブス子C「きゃああああああああああ!!!!!!!」
熱血先生「みなさん!落ち着いて!」
73:
熱血先生「やめろ殺人犯!人の命は平等なんだぞ!」
男「命が平等だと?」
女「ちゃんちゃらおかしいですね」
男「めちゃくちゃ努力をして幸せを掴もうと頑張っている人の命と
お前らみたいな他人をいじめて楽しんでいるような屑の命が
平等なわけねーだろ、アホか」
74:
熱血先生「地獄に堕ちるぞ!!」
男「お前らは天国に行けるってのか」
熱血先生「いけるさ!!!」
男「死んだ後にお前ら屑と違う場所に行けるのは喜ばしいな」
バキューン
男「天国に送ってあげたぜ」
75:
ブス子B「誰かあああああああああ」
バキューン
ブス子C「助けてえええええええええええええ」
バキューン
男「ブスは死ぬと喋らなくなるぶんマシになるな」
76:
女「そろそろ学校から脱出しましょう」
男「そうだな」
女「サイレンの音がきこえます、パトカーが向かっているようです!」
男「やべ」
79:
男「もう車には戻れなさそうだな」
女「そうですね、危険ですね」
男「裏から走って逃げよう」
女「私、いですよ」
男「おっさんにあわせてくれよ」
80:
女「えー、おっさん何歳だよ」
男「23歳だ」
女「若いじゃないですか、許容範囲です」
男「なにが?」
女「付き合えるってこと」
男「好きだぜ」
女「突然の告白ですね」
81:
男「お前のためなら誰だって殺しちゃうくらい好きだ」
女「こんな人、他にいませんね」
男「こんな中で好きなるってのも変な話だ」
女「返事は逃げ切ってからしますね」
男「これは捕まるわけにはいかないな」
83:
女「しまった!行き止まりじゃないですかここ!」
男「川か」
女「飛び込みましょう!」
男「俺もそれしかないと思ってた」
87:
女「はぁはぁ、ようやく渡りきった」
男「……お前、泳ぐのも上手いんだ、な……」
女「疲れました、警察からは逃げ切れたでしょうか」
男「そう信じよう」
女「疲れたーーーーー!!!!!」
男「びしょ濡れだな」
女「びしょ濡れです」
89:
男「風邪をひいてしまう」
女「一緒にひきましょう」
男「生憎俺はバカだから風邪をひかないんだ」
女「奇遇ですね、私もそれです」
男「ばーか」
女「ばーか」
91:
男「お前の不幸はこれで終わりか?」
女「ついでなので最後にもう一つだけ」
男「とことん付き合おう」
96:
女「あと一人、どうしても殺してほしい人がいるんです」
男「誰だ」
女「私です」
99:
男「なんだと?」
女「私の一番の不幸は結論から言うと生まれてきたことなんです」
男「……」
女「人生を振り返ってみて良い事と悪い事のバランスが
不釣り合いなことにはすぐ気がつきました」
男「……」
女「少し散歩をしましょうか」
101:
女「ここの公園で話しましょう」
男「俺小さい頃からブランコが好きなんだ」
女「地面から離れて動いている感覚が開放的で私も好きでした」
男「こうやって……靴を飛ばして遊んだりしなかったか?えいっ」
女「自分で取ってきてくださいね」
男「なんだ冷たいな」
104:
男「もう夕方か」
女「すごい一日でしたね」
男「そういえばコンビニに俺が強盗しにいったのが始まりだったんだよなぁ」
女「ふふ、そのことなんですけど」
男「どうした」
女「ふふふ、すいません、コンビニ強盗っておかしくて」
男「コンビニ強盗にツボってるやつ初めてみた」
女「あ、だめだ、あはは」
105:
女「私がおかしくて笑っているのはわけがあるんです」
男「ん?」
女「強盗をしにコンビニに先に入っていたのは私なんですよ」
男「どういうことだ……?」
108:
女「私はコンビニの店員でもなんでもありません」
男「じゃあ本当の店員は」
女「お爺ちゃんの店員さんがレジの奥で私に縛られて転がっていましたよ」
男「なんてこった」
113:
女「果物ナイフで無謀なコンビニ強盗をしていたらあなたが来たんです」
男「なんでそんなことを?」
女「いざとなったら死ねばいいやと思ったらなんでもできると思った」
男「……」
女「そうあなたが言ったときに私、わかりますって言いましたよね」
男「本当にお前もそう思っていたのか」
女「一番の奇跡は同じことを考えていた二人が同じコンビニに強盗に入ったことですね」
115:
女「ていうか、コンビニの店員なら服装とか違うでしょ」
男「焦っていて気がつかなかったんだ」
女「私だって焦っていました」
男「強盗って焦っちゃうよね」
女「ふふ、それわかります」
116:
女「焦りながら強盗をしていたら人がきたのでもう駄目だと思いました」
男「俺か」
女「まさか別のコンビニ強盗だとは思いませんでしたけどね」
男「俺もまさか店員じゃなくて別のコンビニ強盗だとは思わなかった」
女「もう、おかしくっておかしくって、あはは」
117:
男「それでとっさに誘拐してくれなんて言ったのか」
女「はい、どうにでもなれと思いました」
男「まあ俺はお前に会えてよかったと思ってるよ」
女「私もです」
男「じゃあ自分を殺してほしいってのはどういうことだ」
118:
女「今はこうして逃げているけれどいつかは捕まると思います」
男「わからないだろ」
女「そうなる前に死にたいんです
もともといざとなれば死ねばいいと思っていろいろやってきましたから」
男「……」
女「そういえば告白の返事がまだでしたね」
男「……ああ」
女「私も、好き」
男「……」
女「あなたに殺されたいくらい大好き」
120:
男「お前は殺せない」
女「私のためなら誰だって殺しちゃうくらい好きなんじゃないんですか」
男「あいにく弾切れなんだ」
女「……都合のいい拳銃ですね」
122:
女「大体拳銃なんてどこで入手したんですか」
男「インターネットで簡単に手に入った」
女「恐ろしい時代ですね」
男「犯罪が絶えないわけだ」
女「同じ日に強盗がコンビニ被りしちゃうくらい」
124:
男「さて、どうするか」
警察「そこの男!妙な動きをするな!!」
男「しまった」
女「だから死んでおけばよかったのにー」
警察「この公園は完全に包囲されている」
126:
警察「そこの男!近くの高校の大量殺人犯だな!」
女「あれっ、私は関係ないのか」
男「そりゃ実際に殺してたの俺だし」
警察「昨夜、民家で起こった拳銃による殺人との関連もありそうだ
おとなしく捕まってもらおう」
128:
女「ここまでのようですね……って何をするんですか」
男「この子を撃ち殺されたくなかったら道をあけろーーーっ!!」
警察「なにっ、一般市民がいたのか」
女「あれれ、その拳銃、弾がないんじゃないんですか?」ボソボソ
男「都合のいい拳銃なんだ」
130:
男「いいか、よく聞け、俺はこの子を人質として誘拐する」
警察「なんだと……!」
男「後を追ったり背後から撃とうとしたら即、この子を撃ち殺す」
女「私としては撃ち殺されたいんですけどね」
警察「わかった、その子に危害はくわえるな!」
132:
女「はぁはぁ、これでいいんですか?」
男「誘拐してくれって最初に言ったのはお前だからな」
女「むー」
男「いつかまたマジでやばそうになったらその時は殺してやるさ」
女「やったー!」
133:
女「どこへ行きましょうか」
男「どこへだって行けるさ」
女「楽しみですね」
男「いざとなったら死ねばいいからな」
女「あ、結局拳銃の中に弾は残っているんですか?」
男「さあな」
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