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ヤムチャ「プーアル! プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」【中編】


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サガット「……ふむ」
バルログ「これは……」
バイソン「そうか……豪鬼さんをゲストに呼んだのか……」
ヤムチャ「おっ、なんだなんだ! 今回は俺が負け役じゃねぇじゃんっ! リュウさんに×印ついてるぞ、おいっ!」
サガット「……やはり、ザンギエフさんの身体の調子は」
バルログ「えぇ、早く……リュウ君の人気を上げなければ……」
バイソン「豪鬼さんも、3試合か4試合が限度だろ……うちの団体には、そんなに金はねぇからな……」
ヤムチャ「……ん、あれ? 皆さん、何の試合を見てるんですか? 自分の所を見ましょうよ」
元スレ
ヤムチャ「プーアル! プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」
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386:
サガット「おっ、それもそうだな。ヤムチャ君の言うとおりだ。今は目の前の試合に集中しよう」
ヤムチャ「今日は俺、負け役じゃないんですね!」
バルログ「……ヤムチャ君?」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「貴方は負け役ではありませんが……自分の役割を忘れないで下さいね?」
ヤムチャ「えっ、役割って……どういう事っすか?」
バイソン「実力ナンバー3のリュウは、実力ナンバー2のベガさんには勝てねぇだろ?」
ヤムチャ「はい」
バイソン「だから、今日の試合は、リュウが負け役で……ベガさんが勝ち役って訳だ」
ヤムチャ「そうっすね。リュウさんに×印ついていて、ベガさんに○印ついてますもんね」
バイソン「だけど、ヤムチャ君……自分の役割を忘れてはいけない……君は何の為にリュウ達とタッグを組んでいるんだ?」
ヤムチャ「……へ?」
387:
サガット「……今日の試合のヤムチャ君の役割を説明しよう」
ヤムチャ「あっ、はい。お願いします……」
サガット「今日の試合、リュウ君はベガさんに負ける……だが、ナンバー3がナンバー2に負けるだけの試合をする訳ではない」
ヤムチャ「……へ?」
サガット「君がリュウ君の足を引っ張り……そのせいで、リュウ君はベガさんに負けてしまうんだ」
ヤムチャ「えっ、それって……もしかして……」
サガット「お客さんに『ヤムチャ君がもっと、強かったら、リュウ君はもしかしたらベガさんに勝てたかもしれないんじゃないか?』と、思わせる事……」
ヤムチャ「……なんだよ、やっぱりそうなるのかよ」
サガット「それが、ヤムチャ君の今日の試合の課題だ」
388:
バイソン「まぁ、ジョバーってのは、そういうもんだ」
バルログ「これから、ドラマを作っていけばいいんです」
ヤムチャ「まぁ、結局の所……昨日みたいにやられてばいいんですね……」
サガット「まぁ、そうだな……コーナーで待機している時に攻撃を仕掛けたら、昨日の様にやられたふりをしていてくれ」
ヤムチャ「また、俺……なんにもしねぇのかよ……」
サガット「そうでもないぞ? 昨日と違い、ヤムチャ君には大きな仕事がある」
ヤムチャ「……えっ、何ですかそれ?」
サガット「今日の試合の先発はヤムチャ君で出てくれ。こっちはバルログが出る」
389:
ヤムチャ「えっ!? 俺が先発!?」
バルログ「えぇ、昨日はヤムチャ君自身が負けてしまいましたけど、今日はリュウ君の負けですからね」
ヤムチャ「……はい」
バルログ「何処かで、ヤムチャ君が足を引っ張る事になった原因を作っておく必要があります」
ヤムチャ「なるほど……」
バルログ「先発通しの戦いの後、スタミナ切れになってしまい、リュウ君達を助けに行けなかったという事にしましょう」
ヤムチャ「じゃあ、俺はバルログさんと戦った後、ずっと疲れた振りしておけばいいんですね?」
バルログ「そうですね。そうしたら、後はバイソンに仕掛けてもらいます」
ヤムチャ「……へ? バイソンさんに?」
390:
ヤムチャ「今日、バイソンさん、試合に出てませんよ?」
バイソン「あぁ、いやいや……俺はセコンドで出るからよぉ?」
ヤムチャ「……セコンド?」
バイソン「あぁ、俺達シャドルーは反則軍団だからよ」
ヤムチャ「……自分で言うのはどうかと思いますが」
バイソン「俺がセコンドにつけば、3対3の戦いが3対4になるって訳だ!」
ヤムチャ「……ふむ」
バイソン「俺が上手い事掻き回して、リュウ達は反則のせいで負けてしまったって理由を作るからよ? ヤムチャ君は俺達に任せてくれや」
ヤムチャ「わ、わかりました……」
バイソン「俺は、セコンドで荒らすのも仕事だからな! 今日も試合に出ずにお休みって訳じゃないんだぜ?」
391:
サガット「試合まで時間がある。とにかく、バルログとの攻防を今は徹底的に打ち合わせしよう」
バルログ「そうですね、25分の試合だから……最低、5分は私とヤムチャ君だけの時間が必要です」
ヤムチャ「5分間……俺がバルログさんと戦い続けるって事ですか?」
バルログ「えぇ。それだけではありませんよ? 5分間経った時に、ヤムチャ君はやられる寸前になっていなければいけません」
ヤムチャ「えっ……! ちょっと待って下さいよ! 難しくないですか、それ!?」
バイソン「慣れれば、アドリブで出来るんだけどな……まぁ、ヤムチャ君には、まだ早いかもな……」
サガット「とにかく、試合開始から5分間は二人で戦うんだ。その5分間をどうするか……今、ここで打ち合わせしよう」
ヤムチャ「……ちょっと、今日の試合、不安になってきたぞ」
バルログ「5分さえ耐えれば、後は私達がフォローします。 だから、この5分間の攻防の、パンチやキック……一発足りとも抜けないように、覚えて下さいね?」
ヤムチャ「う、うっす……! 頑張ります……!」
392:
そしてーー
ガイル「……サマーソルドキックっ!」
本田「ぬ、ぬわあああぁぁぁっ!」
実況「さぁ! これはカウンター気味に完全に決まったかっ!? ガイルのサマーソルドキックで本田を迎撃っ!」
ガイル「……レフェリー、フォールだ! カウントを!」
ダン「おうよっ! ワンっ……! ツーっ……! スリーっ!」
実況「決まったぁ! ここでスリーカウントっ! ナッシュ・ガイル組! ベルトを防衛しましたぁっ!」
プーアル「ヤムチャ様! ガイルさんがスリーカウントをとって、勝ちましたよ!」
ヤムチャ「え〜っと、俺がボディスラムをして……そしたら、バルログさんが……え〜っと、え〜っと……」ブツブツ
プーアル「……ヤムチャ様?」
ヤムチャ「バルログさんがロープに行ったら……俺はやられた振りをしておくんだったよな……」ブツブツ
プーアル「ヤムチャ様! 聞いてるんですか!?」
ヤムチャ「うるせぇっ! プーアル! 今、確認してるんだよ! ちょっとは集中させろっ!」
プーアル「もう、ヤムチャ様の試合ですよ!」
ヤムチャ「……えっ!? もう、俺達の試合の番、来ちゃったの!?」
393:
ヤムチャ「マジかよ、早ぇなぁ……というか、リュウさん達、まだ来てないのに……」
リュウ「危ね危ね……また、遅れちまったよ!」
ケン「まぁ、ギリギリ間に合ったんだから、いいじゃねぇか!」
プーアル「あっ、話をしてたら、来ましたよ」
ヤムチャ「……本当だ」
リュウ「おい、新入り……おめぇ、今日は大人しくしておけよ?」
ケン「おめぇ、また昨日の技やったら、殺すからな?」
ヤムチャ「あっ、はい……わかってます……」
394:
リュウ「……ったく、今日は俺が負け役かよ。面倒臭ぇなぁ」
ケン「おい、リュウ……じゃあ、こいつ、どうやって使うよ?」
リュウ「おい、ヤムチャ? お前、今日の試合、どうするんだ?」
ヤムチャ「あっ……サガットさん達に先発で出ろって言われました……」
リュウ「……あぁ、先発? おめぇ、またいい格好しようとしてんじゃねぇだろなぁ?」
ヤムチャ「いや、大丈夫っす……5分間でやられるようにって、みっちり打ち合わせしたんで」
リュウ「ふ〜ん……で、その後はどうするつもりなの?」
ヤムチャ「バイソンがなんとかしてくれるって、言ってましたけど……」
リュウ「あっ、そういう事ね……なぁ〜んだ、わかってるじゃん、お前」
ケン「踏み台は踏み台らしくしてりゃあ、いいんだよ! おめぇも勉強熱心みてぇだな!」
ヤムチャ「あっ……どうも……」
395:
ーーー
ダン「さぁ、試合は第五試合……空手軍団対シャドルー軍団……今日も波乱の一試合の幕開けでございますっ!」
ワー、ワーワー
ダン「女性の皆様、お待たせしましたっ! 我らがヒーロー、空手軍団っ……!」
キャー、キャーキャー
ダン「リュウ選手! ケン選手! ヤムチャ選手の入場ですっ!」
キャー、キャーキャー
リュウ「昨日の借りを必ず返してやるぞ、シャドルー軍団っ!」
ケン「今日は奴らの親玉が出るんだっ! ここで必ず、ぶっ倒すっ!」
ヤムチャ(……俺も、何か言った方がいいのかぁ?)
キャー、カッコイイ-!
396:
実況「さぁっ! 空手軍団の入場であります! いやぁ〜! 華やかな声援が羨ましいっ! 私もあんな声援をかけて頂きたいものですっ!」
リュウ「今日は必ず勝つ! 俺達の戦いを見ていてくれっ!」
実況「まずは、リュウ選手! 本日も気合十分でございますっ!」
ケン「ベガ……俺達の力を、見せてやるっ……!」
実況「そして、次にケン選手! いやぁ〜、打倒ベガに燃えているんでしょうかね? 私、何か瞳の奥にギラギラとした物を感じるような気がします!」
オーイ! ヤムチャー! キタイ、シテンゾー!
ヤムチャ「あっ……ども……」
実況「そしてそしてそして! 何と言っても、空手軍団の秘密兵器、ヤムチャ選手っ! 先日の試合では素晴らしい技を見せてくれました!」
ヤムチャ(5分間は、俺一人で、この人達に……格闘技とはまた違う……でも、盛り上がるような戦いをしなくちゃいけねぇのか……)
実況「さぁ! 今日こそはシャドルーを倒せ、空手軍団っ! 今、リングインしましたっ!」
ヤムチャ(やべぇ、大丈夫かな……? 不安になってきたぞ……)
397:
ダン「続きましては……プロレス界から世界征服を狙う……シャドルー軍団……」
ダン「ベガ選手! サガット選手! バルログ選手の入場ですっ!」
ベガ「……」
サガット「……」
バルログ「……」
バイソン「……」
ブー、ブーブー
実況「さぁ! 大ブーイングに包まれながら、シャドルー軍団の……おおっと! バイソンの姿があるぞ! 何故、バイソンの姿がここに!?」
398:
ーーー
実況「さぁ、いつものように、お客さんに噛みつきながら、シャドルー軍団がリングインしましたが……」
ダン「おい、バイソン? おめぇは今日、試合がねぇだろが? 何で、ここにいるんだよ?」
バイソン「セコンドだよ、セコンド! 別に試合には参加しねぇよ!」
ダン「お前ら、いつもそうやって、なんか仕掛けるだろ! とっとと帰れよ! これは3対3の試合なんだからよぉ!」
バイソン「だから、セコンドだって言ってんだろが! ボクシングのセコンドが何か邪魔してんのか!? ちゃんと、一対一の試合にしてんだろが!」
実況「いやぁ……レフェリーのダンに早何か、つっかかってますねぇ……」
バイソン「何もしねぇって言ってんだろがっ! それとも何か!? セコンド禁止ってルールがプロレスにはあんのか!?」
ダン「いや、まぁ、そういうルールはねぇけどよぉ……」
バイソン「だったら、いいだろが! ここで見てるだけって言ってんだろがっ!」
ダン「わかったわかったよ……セコンドにいてもいいけどよぉ……試合の邪魔だけは絶対にするんじゃねぇぞ!?」
バイソン「わかってるって! バイソンちゃん、ルールは守る子なんだから!」
399:
実況「さぁ、では解説の元さん、よろしくお願いします!」
元「はい、よろしくお願いします」
実況「いや〜、シャドルー軍団がセコンドにバイソンを引き連れてきたんですが……元さん、どう思われます?」
元「……う〜ん、難しい所だよね」
実況「……と、言いますと?」
元「彼らは反則ばかり使っているから、やっぱり何処かでバイソン君が動いてくるのかもしれないから、バイソン君の動き注意したいんだけど……」
実況「そうですよねぇ! 空手軍団はバイソンの動向にも、注意しなければなりません!」
元「でも、案外、何も仕掛けてこない……かも、しれない……」
実況「……ほう?」
元「バイソン君ばかりあまり気にしていると、試合の集中力が疎かになっちゃうからね」
実況「……なるほど」
元「そうやって、空手軍団の集中力を掻き乱してやろうという作戦なのかもしれない……」
実況「なる程!」
元「どっちにしろ……バイソン君があの場所に存在するという事は、一つ空手軍団に不利な状況になっちゃったかもね」
400:
ベガ「よし、バルログ……行け……」
バルログ「任せて下さい……私が美しく勝利手にしてみせましょう……」
実況「さぁ! シャドルー軍団の先発はバルログです!」
元「まぁ、あの三人の中なら、そうなりますね」
リュウ「……さっさと行って来い。ほれ」
ケン「……おめぇ、いい格好したらぶっ殺すからな? わかってんだろな?」
ヤムチャ「う、うっす……!」
実況「さて、対する空手軍団の先発はヤムチャだ!」
元「まぁ、三番弟子だしね。前回のリベンジ、見せてもらいたいものだね」
実況「さぁ! この試合、どういったものになってしまうのでしょうか!? 今……ゴングが鳴らされ、試合開始ですっ!」
407:
バルログ「さぁ、ヤムチャ君……いきますよ……」
ヤムチャ「くっ……来やがれっ……!」
実況「さぁ、 試合開始ですっ! 今、両者が間合いをじわりじわりと測っておりますっ!」
バルログ「……フッ」
ヤムチャ(蹴りだ……先ずは、蹴りが来る……だから、俺は……)
実況「さぁ! バルログはヤムチャを中心に円を描くような動きで慎重に間合いを測っております! さぁ、どう動くか!」
バルログ「……ヒャオっ!」シュッ
ヤムチャ(来たっ!)
実況「先に仕掛けたのはバルロク! バルロクが動いたぁ!」
409:
ヤムチャ(……くっ!)
元「おっ? 上手く、避けましたね?」
バルロク「次は足元ですっ! ヒャオっ!」シュッ
ヤムチャ(これは……ジャンプして、避けるっ……!)
実況「おぉ〜っと、バルロクはまだ仕掛けているぞ!?」
元「でも、上手く対応してますね? いいんじゃないですか?」
バルロク「ジャンプして避けるとは、なかなかやりますね……しかし、体勢が崩れてますよ?」
ヤムチャ「!?」
バルロク「次は投げ技ですっ! ヒャオっ!」
実況「おぉ〜っと! バルロクが強引に掴みかかったぞ!? これは投げ技か? 投げ技を見せるのか!?」
411:
ヤムチャ(バルログさんが掴みかかってきたら……俺は、そのまま後ろに下がって……)ヨロヨロ
バルログ「くっ……待ちなさいっ……!」
ヤムチャ(そのまま……もつれたままの状態で、ロープまで下がるっ……!)
実況「おぉ〜っと! ここで、ロープブレイクです! 投げられかけた所を、ヤムチャ、なんとかロープまで逃げました!」
バルログ「……チッ、ロープまで逃げましたか」
ヤムチャ「レフェリーさん……? これ、ロープブレイクでしょ? ほら、やめさせてよ、コイツ……」
ダン「おうっ! バルログ、ロープブレイクだ! 一旦、リングの中央に戻りやがれ!」
413:
実況「さぁ! ここで、一旦仕切り直しです! 両者、リングの中央に戻ります!」
バルログ「……チッ!」
ヤムチャ(よ、よしっ……! これで……いいんだよな……?)
パチパチ……パチパチ……
実況「さぁ! 両者のクリーンファイトに、お客さんから拍手が沸き起こります! いやぁ〜、こういうクリーンな試合はいいものですねぇ!? 元さん」
元「そうだね。シャドルーも、変な事せずに、こういう試合してたらいいのにね」
ダン「よしっ! 仕切り直して……試合スタートだっ! ファイっ!」
バルログ「フッ……来なさい……」
ヤムチャ(次は……確か、俺の番だったよな……?)
414:
実況「さぁ! 今、試合仕切り直され、再び両者が間合いを測っておりますっ!」
バルログ「……」
ヤムチャ「……」
実況「しかし、元さん……? 今のヤムチャの動きはいかがでしたでしょうか?」
元「あっ、うん。なかなかよかったと思うよ? バルログ君の動きに、見事に対応してたよね?」
実況「いやぁ〜、そうですよねぇ!? ハイキックがきたら、屈んで! 水面蹴りにはジャンプして! 私も素晴らしい対応だったと思います!」
元「やっぱり、空手スタイルだから、打撃攻撃への反応はいいのかね……?」
ヤムチャ(よ、よしっ……! 行くぞっ……!)
バルログ「!」
実況「おぉ〜っと! ここで、ヤムチャが仕掛けたぁ〜!」
416:
ヤムチャ「おらあっ!」シュッ
バルログ「……ヒャオっ!」
実況「先ずはヤムチャのハイキックっ!」
ヤムチャ「うるぁっ!」シュッ
バルログ「……甘いっ! ヒャオっ!」
実況「そして次は、水面蹴りぃっ!」
ヤムチャ「……体勢が崩れてるぞ、この野郎っ! おらぁ! ぶん投げてやるっ!」
バルログ「!」
実況「おっと! ここで体勢が崩れたバルログを掴みにかかったっ! ヤムチャがスープレックスを仕掛けにいったぞ!」
418:
バルログ「……くっ!」ヨロヨロ
ヤムチャ「逃げんじゃねぇよ! ぶん投げてやるって言ってんだろがっ!」
実況「おぉ〜っと! だがしかし、ここで、ロープブレイク! バルログ、なんとかロープまで逃げましたぁ!」
バルログ「……ヤムチャ君、ロープブレイクですよ? 離していただけると有り難いのですが」
ヤムチャ「……え、えっ?」
バルログ「ほら、レフェリー……早く彼を止めて下さい……反則攻撃なんて醜い試合を、私はしたくありませんからね……」
ダン「おいっ、ヤムチャ! ロープブレイクだっ! 離して、リングの中央に戻りやがれっ!」
420:
実況「さぁ! 今度はバルログが、ロープブレイクで逃れます!」
バルログ「……フッ」
ヤムチャ「……」
パチパチ……パチパチ……
実況「クリーンなファイトに、お客さんも拍手で応えます! しかし、元さん……今の攻防、なかなか見応えのあるものでしたねぇ!?」
元「そうだね」
実況「バルログが仕掛けた攻撃に対して……ヤムチャは、それくらいの攻撃は俺にだって出来るんだ! などと言わんばかりの勢いで攻撃をしていきます!」
元「やっぱり、空手スタイルだからね。蹴りとかは得意なんじゃない?」
実況「だがしかし! バルログもなんのその! 俺だって、それぐらいの反射神経はあるんだ! と言わんばかりの勢いを見せます!」
元「バルログ君は、身体能力高いからねぇ?」
実況「いやぁ〜、シャドルー軍団、珍しくクリーンな試合をしていますねぇ? 元さん」
元「う〜ん……まだ、始まったばかりだからね……」
ダン「よしっ! 仕切り直して、試合スタートだっ! ファイッ!」
421:
バルログ「……フッ、ヤムチャ君」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「なかなか、いいものを持っているみたいですね……貴方、美しいですよ?」
ヤムチャ「……へ?」
バルログ「私、貴方となら……美しい試合を出来るかもしれません……他の醜い連中では出来ないような試合をね?」
ヤムチャ「は、はぁ……?」
バルログ「今日は……よろしくお願いしますね……?」サッ
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「……どうしました? 握手ですよ。握手」
オー!オー!
実況「おぉ〜っと! これは、どういう事だ!? バルログが、ヤムチャ選手に握手を求めています!」
元「珍しい事もあるもんだね……本当に、シャドルーは、今日はクリーンで戦うのかねぇ?」
実況「今の攻防で、バルログはヤムチャの中に、認めるものがあったという事なんでしょうかねぇ? 元さん?」
元「う〜ん……まぁ、いい蹴りはしてたとは思うけどね……何か、怪しいね」
422:
バルログ「……どうしました? 握手ですよ、握手」
ヤムチャ「あっ……はい、わかりました……」スゥー
実況「さぁ、ヤムチャが、バルログに手を伸ばす……ここで両者の握手が……」
バルログ「……バカめっ!」
ヤムチャ「……んっ?」
バルログ「お前のような汚らわしい者に……この私が心許すとでも思ったかっ! ヒャオっ!」バチーンッ
実況「おぉ〜っと! やはり、これは罠だったかっ! 手を差し伸ばし、無防備になったヤムチャに、バルログの強烈な張り手が炸裂〜!」
元「……バルログ君が、あんなクリーンファイトするなんて、おかしいと思ってたんだよ。油断を誘う為のまき餌だったって訳だね」
ヤムチャ「おっ……おおっ……」クラクラ
バルログ「このカスがぁ! ヒャオっ!」
ヤムチャ「!」
423:
実況「決まったぁ! バルログのドロップキックです!」
バルログ「まだまだ、いきますよっ! ヒャオっ!」
ヤムチャ「……ガッ!」
実況「そして……ダウンしているヤムチャにフラッシングエルボー! 強烈な肘打ちをお見舞いだ!」
バルログ「このカスがっ! 醜いんだよ! 私を見習って美しくなるんだっ!」ガスガス
ヤムチャ「ぐっ……ぐぐっ……!」
実況「そして、ダウンしているヤムチャにストンピングの連打連打だっ! ヤムチャの身体を何度も何度も踏みつける!」
424:
リュウ「バルログ! 卑怯だぞ!」
ケン「てめぇ、汚ねぇ手段使ってんじゃねぇぞゴラ!」
バルログ「汚い……? 何を言っているんです……騙される方がマヌケなのです……」グリグリ
ヤムチャ「ぐっ……ぐぐっ……」
実況「おぉ〜っと、これはコーナーのリュウもケンも黙っていられないっ! か〜なり、ヒートアップしております!」
元「……まぁ、そりゃ、弟弟子があんな卑怯な事されちゃねぇ」
リュウ「……この野郎! バルログっ!」
ケン「てめぇ、もう勘弁ならねぇ……」
バルログ「おっと……! 試合権利のない人間はリングに上がっては、いけませんよ? そうですよねぇ、レフェリー?」
ダン「おう、そうだ! リュウ、ケン! お前らは試合権利ねぇんだから……リングインしたら、反則だからなっ!」
425:
リュウ「……くそっ!」
ケン「……この野郎」
バルログ「今、試合権利を持っているのは……この美しい私と……そして、このゴミですっ!」ガスガス
ヤムチャ「ぐっ……ぐぐっ……」
リュウ「……ちくしょう」
ケン「……クソが!」
バルログ「あなた方は……そこで、このゴミがやられているのを黙って見ていなさい……」ガスガス
ヤムチャ「ぐっ……ぐぐっ……!」
実況「先程のまでのクリーン試合は何処へ行ってしまったんだぁ! やはり、シャドルー軍団はシャドルー軍団! 卑怯な連中の集まりだったぁ!」
426:
ブー、ブーブー
実況「会場からはブーイングの嵐っ! 卑怯なバルログにブーイング浴びせられますっ!」
バルログ「フッ……本物美しさがわかっていない方ばかりですね……ヒャオっ!」ガスガス
ヤムチャ「……ぐっ!」
実況「だがしかし! バルログはそんな事などお構いなしだっ! ヤムチャストンピングの連打連打っ!」
バルログ「ヒャオっ! ヒャオっ!」
ヤムチャ「ぐっ……! ぐぐっ……!」
リュウ「くそっ! ヤムチャっ! しっかりしろ!」
ケン「おいっ! もっと、踏ん張れってっ! 立てよ、ヤムチャっ!」
427:
ヤ・ム・チャ! ヤ・ム・チャ!
ヤムチャ(……おっ?)
実況「さぁ! 場内からはヤムチャコールだっ! ここはなんとかヤムチャに踏ん張って欲しいっ!」
ヤムチャ(確か……バルログさんは、ヤムチャコールが沸き起こるまで、倒れておけって言ってたはず……)
バルログ「ヒャオっ……! ヒャオ……!」ガスッ
ヤムチャ(俺を踏みつけるのも……連続で踏みつけずに……間を開けて踏みつけてくれているよな……)
バルログ「ヒョォォッ……ヒャオっ……! ヒョォォッ……ヒャオっ……!」ガスッ
ヤムチャ(だから、これは……このタイミングで起き上がれって……指示してくれてるんだな!)
バルログ「フッ、そろそろくたばりましたかね……ヒャオっ!」ガスッ
ヤムチャ(……よしっ! なら、このタイミングで)ヨロヨロ
バルログ「……ん?」
430:
実況「おぉ〜っと、ヤムチャが、何とか立ち上がったぞっ!」
バルログ「……タフですねぇ。そういうゴミは、美しくありませんよ?」
ヤムチャ「……くっ!」
オー!ヤムチャー!
ヤムチャ(よしっ……! ここから、打ち合わせの攻防再開って訳だな)
バルログ「フン、来なさい……とどめをさしてあげましょう……」
ヤムチャ「……今度はこっちの番だっ! 行くぞっ! バルログっ!」
イケー! ヤムチャー! ヤッチマエー!
ヤムチャ(よしっ……! お客さんも俺の事、応援してくれてんだっ……! だったら、今日の練習の成果を見せてやるっ!)
バルログ「……来いっ!」
ヤムチャ「うおおおっ! 行くぞっ! バルログっ!」
438:
ヤムチャ「だああっ! その脳天にぶち当ててやるぜっ!」シュッ
バルログ「……甘いわっ! そんな攻撃など!」
実況「さぁ、ヤムチャのハイキックっ! だがしかし、これは上手く屈んで避けられますっ!」
ヤムチャ「……だったら、足元はどうだ! うおおぉぉっ!」シュッ
バルログ「……フンっ!」
実況「お次は水面蹴りっ! 体勢の崩れたバルログの足元を狙いますが、これも上手く飛んで避けられます!」
バルログ「……フン、そんな遅い攻撃など私には当たりませんよ?」
ヤムチャ「うおおおぉぉっ! もう一丁っ!」
バルログ「!」
実況「おおっと、吠えた! ヤムチャが吠えたぞ!?」
440:
ヤムチャ「もう一丁、ハイキックだっ!」
バルログ「……くっ!」ヨロッ
オー! イケー!
実況「一度でダメなら、もう一度! これはヤムチャの蹴りのコンビネーションだっ!」
元「いいですよ、いいですよ。バルログ君も、流石に体勢が崩れてきています」
ヤムチャ「次は水面蹴りだっ! おらおらっ! 避けてみろやっ!」
バルログ「……ぐっ! くそっ!」ヨロヨロ
イケー! オセー! ヤムチャー!
実況「次は水面蹴り! さぁ、バルログ、間一髪避けた! という所でしょうかね?」
元「いいですよ、いいですよ。バルログ君、結構慌ててますね」
441:
バルログ「……くそっ!」
ヤムチャ「よし、今度こそは……成功させてやるぜ……」
バルログ「……何?」
ヤムチャ「そんだけ、避けて体勢が崩れてるんだ……今度はロープブレイクで逃がしはしねぇぞ……?」
バルログ「……こいつ!」
ヤムチャ「うるぁっ! 今度はこそはぶん投げてやるっ!」ガシッ
バルログ「!」
実況「掴んだっ! ヤムチャがバルログを掴んだぞっ!?」
ヤムチャ「うおおぉぉっ! ボディスラムだああぁぁぁっ!」ググッ
442:
バルログ「……ぐっ!」
ヤムチャ「……」
実況「さぁ、ヤムチャが強引にバルログの身体を持ち上げて、落としていきました!」
元「まぁ、上手い具合にダウンをとれたね」
ヤムチャ(……あれ?)
実況「さぁ、ここから、ヤムチャっ! ここから、どう責めるっ!」
ヤムチャ(……あれ、おかしいなぁ? 打ち合わせでは、ここで盛り上がってるお客さんを煽れって言われたのに)
バルログ「……」
ヤムチャ(何で、お客さん、シーンとしてるの? 俺、派手な投げ技見せたじゃん? さっきまで、声援送ってくれてたのに、どうしたのかね?)
443:
ヤムチャ(あれ……? おかしいな……?)キョロキョロ
バルログ「くっ……くそっ、ヤムチャ……」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「……」パクパク
ヤムチャ(ん……? バルログさん、何か言ってる……?)
バルログ「つ……ぎ……の……こ……う……ぼ……う……」
ヤムチャ「……へ?」
バルログ「え……る……ぼ……し……か……け……て……」
ヤムチャ(あれっ、俺、勘違いしてる!? ひょっとして、打ち合わせの攻防間違った!?)
バルログ「は……や……く……!」
ヤムチャ「う、うっすっ……!」
445:
ヤムチャ「うおおぉっ! うるあぁっ!」ドシーンッ
バルログ「……ぐっ!」
実況「さぁ、ここでエルボードロップを落としていきます! 自分の体重を全て肘に乗せての攻撃だぁっ!」
ヤムチャ「レ、レフェリー……! カウントお願いしますっ!」
ダン「おうっ! ワン……! ツーっ……!」
実況「そして、そのまま体固めへと持ち込んだぁっ!」
バルログ「くっ……!」グッ
実況「だが、これはカウントツー! バルログ、余裕を持ってこれを返していきます!」
447:
ヤムチャ(えっと……やべぇ、テンパってきたぞ……俺、何か間違ったのかな?)
バルログ「……舐めやがって、この醜い男が」
実況「さぁ! バルログが立ち上がった!」
ヤムチャ(えっと……確か、この後はバルログさんがローリングソバットを仕掛けてくれるはず……だよな……?)
バルログ「このゴミめっ! ヒャオっ!」シュッ
ヤムチャ「おっ……ぐあっ!」
バルログ「このゴミが! ヒャオっ! ヒャオっ!」シュッ!
ヤムチャ(よかったよかった……あってる、あってる……それで、次はバルログさんがロープに走って……)
実況「さぁ! バルログのローリングソバットを、連続でヤムチャにぶち当てていきますっ!」
449:
バルログ「ヤムチャ君……寝たままでいて下さいね……」ボソッ
ヤムチャ「……へ?」
バルログ「……フンッ!」ググッ
ヤムチャ「うおぉっ……うおおっ……! 何だ、これ……聞いてねぇぞ……」
実況「さぁ、今度はバルログがヤムチャを掴んで……!」
バルログ「……ヒャオっ!」
ヤムチャ「……いでぇっ!」
オー! スゲー! ハエー!
実況「出たぁ〜! 高ボディスラムっ! そして、バルログはそのまま、コーナーポストへと登ったぁ!」
ヤムチャ(ちょっと待って、ちょっと待って……何が起きてるのコレ……? え〜っと、とにかく寝たままでいろって、言われたよなぁ?)
452:
バルログ「……フッ」
実況「さぁ、バルログがコーナーポストに登ったぞ! 来るのかっ! 来るのかっ!」
ヤムチャ(ちょっと待って、ちょっと待って……ひょっとしてバルログさん、あそこから、俺の上に飛んで来るの?)
バルログ「……ヒョォォッ!」
実況「さぁ! バルログが飛んだあぁぁっ!」
ヤムチャ(何か、ムーンサルト……なんとかって言ってたよなぁ? いくらなんでもさぁ……あんな所から来たら……)
バルログ「ヒャオッ!」ドンッ
ヤムチャ「……ガッ!」
実況「出たぁ〜! ローリングセントーン! コーナーポストからの強烈なダイビング攻撃っ!」
ヤムチャ(ぐえっ……そりゃ、あんな所から、大の男が落ちてきたら……い、痛ぇ……)
453:
バルログ「フッ、皆さん、私の美しい攻撃を見ましたか……?」
ブー、ブーブー
実況「おぉ〜っと! ナルシストのバルログっ! またも、格好をつけている! お客さんからは、大ブーイングだ!」
バルログ「いつまで経っても、わからない方々ですね……まぁ、いいでしょう……」
ヤムチャ(ぐえ……く、苦しい……息が……)
バルログ「私の美しい勝利を、その瞳に焼き付けておきなさい……」
ヤムチャ(何が、どうなってんだよ……あんな所から、飛び降りてくるなんて……絶対、打ち合わせにはなかったぞ!?)
バルログ「……2カウントで返してっ!」シュッ
ヤムチャ「……えっ?」
実況「さぁ、ここでバルログがフォールに入ったぁ!」
454:
ダン「ワン……! ツー……!」
ヤムチャ「……おおっとっ!」
バルログ「……そのまま、やられたふりで、交代して下さいっ!」
ヤムチャ「……えっ?」
実況「さぁ、カウントツーで、ヤムチャが返していきますっ!」
バルログ「ちょっと、ダンさん……カウント、遅くありませんでしたか?」
ダン「いやいや、そんな事ねぇよ……普通だよ」
バルログ「いやっ! 絶対、遅かったですっ! 今のカウントは遅かったです!」
実況「おぉ〜っと、バルログがレフェリーに突っかかっていますね?」
元「いや、でも今のは間違いなく2カウントでしょ?」
455:
リュウ「おい、ヤムチャ! 一度、下がれっ!」
ケン「こっちだ! 俺にタッチしろっ! 早く!」
ヤムチャ(お、おぉ……何かよくわかんねぇが……交代しろって言われたし……交代しておこっと……)
実況「さぁ、その隙をついて、空手軍団は選手交代! 試合権はヤムチャから、ケンへと移ります!」
ケン「よっしゃっ! 次は俺の出番だっ! 行くぞっ!」
バルログ「……ぬ?」
ケン「へへ 、そんな手負いの状態で大丈夫かい? あんたも、交代した方がいいんじゃねぇの?」
456:
バルログ「人がレフェリーと話している間に……卑怯な方ですね……」
ケン「なぁ〜に、言ってんだ、お前は」
バルログ「まぁ、私は……貴方のような醜い男に興味はありません……サガット、よろしくお願いします」
実況「さぁ、ここで、シャドルーも交代します! 試合権はサガットとへと移ります!」
サガット「フン、リュウじゃなくて、貴様がこの帝王と戦うのか……?」
ケン「リュウにはベガをやってもらわなきゃいけねぇからな……おめぇぐらい、俺一人で相手してやるよ」
サガット「フッ……自惚れの強い小僧だ……」
実況「さぁ! 試合はケン対サガットの戦いへとなりました! 両者、交代して、試合は一度、振り出しへと戻りますっ!」
458:
ケン「いくぞ! オラっ!」
サガット「……こいっ!」
ケン「……おらぁっ!」バスッ
実況「さぁ、先に仕掛けたのはケンっ! 逆水平チョップをサガットにお見舞いだぁ!」
ケン「オラオラっ! 連続で行くぜっ! オラオラオラっ!」バスバス
サガット「……フン」
実況「さぁ! 連続でお見舞いだぁっ! サガットの胸板に、容赦無くぶち込んでいくっ!」
サガット「ひ弱な体格で、よく頑張るな……小僧……?」
ケン「……あぁ?」
サガット「本物の、チョップを教えてやるよ……勉強するんだな……」
ケン「……えっ?」
459:
サガット「……うおおぉぉっ!」バシーンッ
ケン「……ぐあっ!」
実況「おぉ〜っと、ここでサガットの逆水平チョップ! 会場に凄い音が鳴り響きました!」
サガット「チョップとは、こうやって打つんだよ? 勉強になったかな……?」
ケン「ぐっ……くそっ……!」
サガット「ほれほれ……勉強の成果を見せてみろ……俺と同じような威力のチョップを打ってみろよ?」クイクイ
実況「おぉ〜っと! ここでサガットが不敵に挑発だ!」
ケン「くそっ、舐めやがって……おらぁっ!」バスッ
サガット「う〜ん……ケン君、違うよ……チョップの打ち方はそうじゃない……」
ケン「……ぐっ」
サガット「こうやって、打つんだよっ! うおおぉぉっ!」バシーンッ
ケン「……ガッ」
460:
サガット「どうした? もう、終わりか?」
ケン「……舐めんじゃねぇよ、クソが」
サガット「ほぅ、勉強熱心じゃないか……いい心がけだ……」
ケン「うるせっ! 舐めんじゃねぇっ! うおおぉぉっ!」バスッ
サガット「だから、そうじゃないって……こう打つんだって、言ってるじゃないか……うおおぉぉっ!」バシーンッ
ケン「……ぐあっ!」
実況「さぁ、両者のチョップ合戦ですっ! どちらが先に、相手に致命傷を与える事が出来るのか!?」
ケン「……くそっ! 舐めんじゃねぇっ! おらぁっ!」バスッ
サガット「違う違う……そうじゃない……うおおぉぉっ!」バシーンッ
ケン「う、うおっ……」ヨロッ
462:
実況「おっと……! 少し、ケンがよろけたか!?」
ケン「く、くそっ……! おらぁっ!」
サガット「……うおおぉぉっ!」
実況「少し、私にはケンが押されているように見えますっ! 元さんは、どう思われますか?」
元「……うん、やっぱり、ケン君が押されているよね」
実況「ほう!」
元「やっぱり、あれだけの体格差があるからね……サガット君は長身で、打ち下ろすような型にもなってるしね……」
実況「さぁ、ケンっ! この体格差を力で打ち砕く事が出来るのかっ!」
ケン「……うおおぉぉっ!」
サガット「フン、違う違う……そうじゃない……こうするんだっ!」バシーンッ
ケン「うおぉっ……おっ……おっ……」ヨロヨロ
464:
ケン「……く、くそっ」
サガット「ほれ、打ってこいよ? それとも、もうスタミナ切れか?」
ケン「くっ……舐めやがって……」
サガット「おやおや……もう、スタミナ切れか……ひ弱な小僧だな……」
ケン「……くそっ!」
サガット「では、勉強会はお開きにして……とどめを刺してやるとしようか!」
ケン「……えっ?」
サガット「……うおおおぉぉっ!」ググッ
ケン「何っ……! う、うわっ……! くそっ……!」
実況「おぉ〜っと! サガットが掴んだぞっ! そして高々とケンを持ち上げたぁ〜!」
466:
サガット「俺のボディスラムをくらえぇぇっ!」
ケン「ぐっ……! うっ……! くそっ!」
サガット「うおおおっ! 死ねえええぇぇっ!」ドシーンッ
ケン「ぐ、ぐあああっ!」
キャー!ケーン!
実況「出たぁ〜! サガットのハイアングル・ボディスラム! これはケンに大ダメージだっ!」
元「サガット君の場合、長身から叩きつけるボディスラムになりますからね。これは効くでしょう」
実況「会場から、女性の悲鳴が沸き起こるっ! サガット、容赦ありませんっ!」
サガット「フン……帝王に挑むのは、まだ早かったようだな……」
ケン「ぐっ……く、くそっ……!」
475:
サガット「おらぁっ! もう一丁っ!」
ケン「!」
実況「さぁ! ダウンしているケンに対してギロチンドロップっ! 巨体がケンの身体をおしつぶすっ!」
ケン「……ぐっ、くそっ」
サガット「フン、口程にもない小僧よ……これで、とどめにしてやるか……」
実況「さぁ、サガットはダウンしているケンを引きずり起こし……さぁ、何をしかけるかぁ!?」
サガット「……おらぁっ!」ブンッ
ケン「う、うおっ……」
実況「ここでケンをロープに振ったぁっ!」
477:
ケン「う、うおおっ……」
サガット「……よしっ! 決めてやるっ!」
ケン「!」
サガット「……うおおぉぉっ!」グイッ
実況「さぁっ! ロープから帰って来たケンをカウンターで、抱え上げ……そしてそしてそしてっ……!」
サガット「おらあぁぁぁっ!」ドシーンッ
ケン「……ぐあっ!」
実況「そのまま叩きつけるっ! カウンターのパワースラムっ! 会場にどでかい音が鳴り響きますっ!」
サガット「レフェリー、フォールだっ! カウントを取れっ!」
ダン「おうっ!」
実況「そして、そのままケンを体固めへ! カウントが数えられますっ!」
478:
ダン「よしっ……! ワンっ……!」
ケン「……舐めんじゃねぇっ!」グイッ
サガット「……何っ!?」
実況「おぉ〜っと、これは早いっ! なんと、ケン、カウントワンで返しましたっ!」
ケン「調子に乗ってんじゃねぇぞっ! この野郎っ!」
サガット「……こいつ」
実況「おぉっと! ここで、ケンが気合を入れたっ! まだ、スタミナは十分と言った所でしょうか!?」
元「そうだね。返すの早かったしね」
ケン「舐めてんじゃねぇぞ、この野郎っ! 行くぞ、サガットっ!」
サガット「このガキ……」
479:
ケン「おらぁっ!」シュッ
実況「さぁ! ここで、ケンの蹴りだぁ! 鋭い蹴りをサガットにお見舞いします!」
サガット「……さっきのチョップよりかはマシな蹴りだな。だが、甘い」
ケン「……」
サガット「よし、今度は蹴りの勉強会だ……本物の蹴りはこう打つんだよぉっ!」シュッ
ケン「……ぐっ!」
実況「さぁ! お返しと言わんばかりのサガットの蹴りがケンに炸裂しますっ!」
サガット「勉強になったかな……? ほれ、打ってきてもいいんだぞ?」
ケン「その余裕ぶった態度が……気に食わねぇな……おらぁっ!」シュッ
サガット「……ぐっ!」
ケン「おっと……今度は、ちょっとは効いたみたいだね……? 俺は、チョップより、蹴りの方が得意なのよ」
サガット「……チッ、舐めやがって」
482:
サガット「おらぁっ!」シュッ
ケン「ぐっ……くそっ、今度はこっちの番だっ!」シュッ
サガット「ぐぐっ……こいつ……オラァっ!」
ケン「ガッ……! くそっ……舐めんじゃねぇぞっ! オラァっ!」
実況「さぁ! 激しい激しい蹴りの打ち合いだぁっ! どちらが先に相手に致命傷を与える事が出来るのかぁっ!」
サガット「……オラっ!」
ケン「ぐぐっ……! くそっ…… 舐めんじゃねぇぞっ! オラァっ!」
サガット「……ガッ!」ヨロッ
ケン「へへ、どうしたの……? 次はあんたの番だぜ? それとも、スタミナ切れ……かな……?」
サガット「く、くそっ……! こいつ……」
実況「おぉ〜っと! サガットの動きが止まったかっ!?」
483:
ケン「よっしゃっ! 連続で行くぜっ! 決めちまうぞっ!」
サガット「……何っ!?」
イケー! ケーン!
ケン「オラオラオラっ! サガット、どうしたぁっ!」
サガット「ぐっ……くっ……! こ、こいつ……!」
実況「さぁ! ケンの連続の蹴りっ! 蹴り蹴り蹴りィ!」
元「……いいですよ。サガット君の怯んだ隙につけ込んじゃいましょう」
ケン「オラオラっ! まだまだ行くぜっ! オラっ!」
サガット「ぐっ! くそっ……」ヨロヨロ
実況「さぁ! 流石にこれだけ連続で喰らえば……サガットも耐えられはしないか!?」
元「ケン君は、体格差を数打つ事で埋めてますね。これはいいですよ」
ケン「これで……とどめだぁ……!」シュッ
サガット「しまった……! ぐあっ!」
485:
実況「さぁ! サガット、ダーウンっ! ケンの蹴りの前に倒れたぁっ!」
ケン「よっしゃっ! まだまだ行くぜっ!」
サガット「ぐっ……くそっ……!」
ケン「くたばれ、眼帯野郎ォっ!」
サガット「!」
実況「そして、ここで……エルボードロップっ! 強烈な肘を落としていく!」
ケン「今度は……おめぇがロープに行く番だ……ほれ、起きやがれ……」
サガット「……うっ」ヨロヨロ
ケン「ほれ……行って来い、おらぁっ!」
サガット「う、うおっ……!」
実況「さぁ! そして、ダウンしたサガットを引きずり起こし……ロープに振ったぁっ!」
486:
サガット「う、うおっ……!」
ケン「へへ、待ってたぜ……? サガットちゃんよ?」
実況「さぁ、ロープから帰ってきたサガットに……おっと! ケンのあの構えはっ……!」
元「……ケン君、狙ってますね」
ケン「行くぞっ! 昇竜拳っ!」ドゴォッ
サガット「……ガ、ガッ!」
実況「決まったぁ! ケンの昇竜拳っ! サガット、ダーウンっ!」
元「ロープから、返ってきた所にカウンターの昇竜拳ですからね……これは、ダメージ大きいでしょう」
ケン「よしっ! レフェリー! カウントだっ!
ダン「おうっ!」
実況「そして、ケンがフォールに入ったぁっ! ここで決まってしまうのかっ!?」
488:
ダン「よしっ! ワンっ……!」
サガット「……うおおおぉぉっ!」グイッ
ケン「な、なんだと……!?」
実況「おおっと、なんという事でしょう! これは驚きです! サガット、なんとカウントワンで返していきますっ!」
元「うわぁ、早いね……いいの決まった思ったのに……」
ケン「こいつ……」
サガット「小僧、舐めた真似をしやがって……この帝王を本気で怒らせたようだな……」ワナワナ
ケン「……こ、こいつ」
サガット「お前は今日ここで、必ず殺してやるぞっ!」
実況「おおっと! サガットが吠えたっ! なんという迫力だっ! これはサガット、キレたんでしょうかねぇっ!?」
489:
ヤムチャ「……あの、リュウさん?」
リュウ「……ん、どうしたの?」
ヤムチャ「リュウさんと、ケンさんって……サガットさん達と、いつ打ち合わせしたんですか?」
リュウ「……はぁ?」
ヤムチャ「今してる、ケンさんとサガットさんの、攻防も打ち合わせしてるんですよね? いつ、したんですか?」
リュウ「……んなもん、してねぇよ。ありゃ、アドリブだよ」
ヤムチャ「……えっ? あれ、アドリブなんですか!?」
リュウ「そりゃそうだよ。 打ち合わせなんかしたって……お客さんのノリが合わねぇ事だってあるんだからよ?」
ヤムチャ「……ノリ?」
リュウ「まぁ、でもおめぇは、まだアドリブできそうにねぇからな……打ち合わせして……その通りにやっておけや」
ヤムチャ「……はぁ」
リュウ「今日のは良かったんじゃねぇか? いい具合にケンにバトンを渡せたよ」
491:
ヤムチャ「……え〜っと、どういう事ですか?」
リュウ「バルログとの攻防……上手く盛り上がりきった所で、ケンに交代したじゃねぇか?」
ヤムチャ「え〜っと……あれ、最後の方、バルログさんが、打ち合わせにない事してたんですけどね?」
リュウ「……そうなの? じゃあ、バルログがアドリブ入れたんだ?」
ヤムチャ「……何で、そんな事したんでしょうかねぇ?」
リュウ「アドリブ入れなきゃ……盛り上がりないようなノリだったんだんじゃね? おめぇがヘマしたんじゃねぇの?」
ヤムチャ「あの……盛り上がりって、どういう事ですかね……?」
リュウ「……お前は何にも、わかってねぇんだな?」
ヤムチャ「す、すいません……」
492:
リュウ「ほれ……ケンとサガットの攻防を見てみろよ……」
ヤムチャ「……ん?」
サガット「うおおぉぉっ!」
ケン「ぐっ! う、うおっ!」
実況「さぁ!サガットがケンを高々と持ち上げて……!」
サガット「うおおおぉぉっ!」ドシーンッ
ケン「……ぐっ!」
実況「出たぁ〜! ブレーンバスターっ! ケンの身体容赦無くマットに叩きつけるっ!」
ケーン! ガンバッテー!
リュウ「ほら……ちょっとずつ、激しい攻防になってきてるだろ?」
ヤムチャ「……そ、そういえば」
494:
リュウ「いきなり、アレやっても、盛り上げらねぇよ。アレをやる為には……その前の攻防がいるからな」
ヤムチャ「えっと……蹴りとかの事ですよね……」
リュウ「そうそう、そうやって徐々に大きな攻防のやり取りを作って……お客さんのテンションが最高潮になった時に……」
ヤムチャ「……ふむ」
リュウ「次の選手にタッチして、少しクールダウンするわけだな」
ヤムチャ「……クールダウン」
リュウ「この試合のメインは俺とベガなんだからな? 一番ヘボのお前とバルログが、ケンとサガット為に試合を盛り上げて……」
ヤムチャ「……ヘ、ヘボ」
リュウ「ケンとサガットは……メインの俺とベガの為に、また盛り上げるんだよ」
ヤムチャ「……ふむ」
リュウ「俺とベガは、お互い無傷の状態で始まるけど……お客さんは、試合開始の時より、高いテンションで見てくれるわな?」
ヤムチャ「……なるほど」
495:
リュウ「アドリブ入れたって事は……交代ぎわに何か、お前盛り下がるような事、したんじゃねぇの?」
ヤムチャ「……え〜っと」
リュウ「おめぇはヘボだから、いいけどよぉ? 俺とケンの試合潰すんじゃねぇぞ? わかってんのか?」
ヤムチャ「す、すいません……」
リュウ「……ったく、ザンギエフの野郎、何でこんな奴、うちのチームに入れたんだよ」
ヤムチャ「……そりゃ、あんたが小さく纏まってるからだよ。俺だって、もっと違う人とやりたかったよ」ボソッ
リュウ「……あぁ? なんか、言ったか?」
ヤムチャ「い、いえっ……! 何も言ってませんよぉ〜!」
リュウ「?」
496:
サガット「……タイガーニー!」ドゴッ
ケン「ぐはっ……!」
実況「さぁ、タイガーニーが、ケンのどてっ腹に炸裂〜!」
サガット「よしっ……! 次はロープだっ! うおおぉぉっ!」
ケン「うおっ……」
実況「そして、ケンをロープに振ったぁ〜!」
サガット「よしっ! これで、決めてやるっ! うおおぉぉっ!」
ケン「!」
サガット「うおおおぉぉっ! ラリアットだぁっ!」
ケン「うっ……! おっとっ……!」
サガット「……何っ!?」
実況「おっと、サガットのラリアットをかわしたぁっ!」
498:
ケン「こっちが決めてやるよっ! おらぁっ!」ガスッ!
サガット「……ぐあっ!」
実況「無防備になったサガットの背後から、ケンのラリアットっ! サガット、ダーウンっ!」
ケン「よっしゃ、よっしゃ! いい感じだっ! このまま決めてやるからよぉ!」
実況「ここで、ケン! フィニッシュ宣言っ! 手を叩いてお客さんにアピールしますっ!」
ケン「とどめは、ミサイル竜巻旋風脚だっ! こいつは、蹴り技で仕留めるっ!」
ケ・ン! ケ・ン!
499:
ケン「よしっ! じゃあ、行くぞっ!」
実況「さぁ、ケンがコーナーポストに登って……ん……?」
バイソン「おいっ、ケンっ! おめぇ、ぶっ殺してやるっ!」
ケン「……バイソン」
実況「おおっと……バイソンだ! バイソンが何か、ケンに言っていますねぇ?」
元「う〜ん……ケン君、コーナーの上にいるからね……今、あんまり余計な事はしてほしくないんだけどね……」
バイソン「おめぇ、調子に乗ってんじゃねぇぞっ! ちょっと降りて来いっ! この野郎っ!」
ケン「……試合終わったら、相手してやるから、黙ってろよ」
500:
バイソン「何だと!? 舐めやがってっ! 今、ここでやるぞっ! とにかく降りてこいっ!」
ブー、ブーブー
ケン「……おめぇ、このブーイング聞こえねぇのか? おめぇは邪魔だから、引っ込んでろよ」
バイソン「……何だと、この野郎っ!?」
実況「さぁ、バイソンに大ブーイングっ! 一体、バイソンは何がしたいんですかねぇ?」
元「……危ないっ! サガット君が!」
実況「……ん?」
ケン「とにかく、お前は引っ込め、バイソン……おめぇは邪魔なんだよ……」
バイソン「へへ、じゃあ、下がってあげますよ……それより、おめぇ自分の心配した方がいいんじゃねぇか?」
ケン「……はぁ?」
501:
リュウ「ケンっ! バイソンは囮だっ! サガットを見ろっ!」
ケン「囮……? まさかっ……!?」クルッ
サガット「……コーナーポストで仲良くお喋りか? 呑気なものだな?」
ケン「……サガットっ!」
実況「おぉ〜っと! ケンがバイソンに気を取られていた隙に、サガットが起き上がり、ケンに近づいていたぁ!」
元「バイソン君は囮だったんだね……ケン君の気を引いて、サガット君が起き上がるまでの時間稼ぎをしてたってわけだ」
サガット「そこから、投げたら……痛そうだよなぁ……」
ケン「お、おいっ……」
サガット「でも、面白そうだよなぁ……お客さんの悲鳴とか聞こえそうだよなぁ……」
ケン「……て、てめぇ」
503:
サガット「……おらぁっ!」
ケン「……ぐっ!」
実況「さぁ、先ずはサガット……ボディブローでケンの動きを止めます……」
サガット「よ〜し、ケン君……じゃあ、ケン君、行きましょうか……?」
ケン「や、やめろっ……!」
実況「さぁ、サガットがケンを掴んで、セカンドロープ……いやっ! トップロープまで登ったっ!」
サガット「うおおおぉぉっ!」
ケン「う、うわああぁっ!」
実況「さぁ! トップロープからの雪崩式ブレーンバスター! これは、ケン、コーナーに昇った事が仇となってしまったか!?」
504:
ドーンッ
ケン「……ぐがっ!」
キャー! ケーン!
実況「さぁ! これはケンに大ダメージっ! 場内から悲鳴があがりますっ!」
サガット「フン……こりゃ、終わったな……」
ブー、ブーブー
実況「そして、悪ぶれるそぶりもないサガット対して、場内からは大ブーイングっ!」
ダン「おいっ、サガットっ! お前、卑怯な事をしてんじゃねぇよ!」
サガット「おいおい、ちょっと待てよ……俺は起きたら、コーナーでケンが何か動きが止まってたから、ラッキーだと思って、投げただけだよ」
ダン「おめぇはバイソン、仕掛けたんだろがっ!」
505:
サガット「俺は関係ねえってっ! そういう事はバイソンに言ってくれよ」
ダン「じゃあ、バイソンっ! お前、余計な事すんなって最初に言っただろが! あぁ!」
バイソン「違うんすよ……事情があったんっすよ……」
ダン「……あぁ!?」
バイソン「あいつが先に、コーナー昇った時、俺に向かって『お前の仲間もお前と同じように歯抜けにしてやる』って言ったんっすよ……」
ダン「……ケンが先に仕掛けたのか?」
バイソン「それで、俺……歯抜けの事、コンプレックスだから、ついカッとなって……すいませんでしたっ!」
サガット「ほら、ケンが先に仕掛けたんじゃねぇか? うちのバイソンは被害者じゃん?」
ダン「そ、そうなのかね……?」
リュウ「ケン、こっちだっ! 俺に代われっ!」
ケン「うっ……ううっ……リュウ……」
実況「さぁ! またも、シャドルーはレフェリーと揉めていますっ! ケン、この隙に交代できるか!?」
507:
バイソン「とにかく、これからは大人しくしておきます! 本当、すんませんでした!」
サガット「ほら、うちのバイソンも反省してるからさ? 勘弁してくれよ?」
ダン「……じゃあ、次はケンから仕掛けれても我慢しろよ!? 絶対だぞ!?」
バイソン「うっす! わかりましたっ!」
ケン「うぅ……リュウ……後は任せる……」
リュウ「レフェリー、こっちを見ろっ! タッチ成立したぞっ! 試合権は俺だっ!」
ダン「……おっ、本当だ」
実況「さぁ! ここでタッチが成立っ! 試合権はリュウへと移りましたっ!」
リュウ「サガット……今日こそはお前を倒してやるっ……!」
サガット「フッ……面白い……」
509:
ベガ「……サガット、私が出よう」
サガット「……ん?」
ザワ……ザワ……
実況「おぉ〜っと! ここで、ベガが動いたっ! 手を伸ばし、自分に交代しろとサガットにアピールしておりますっ!」
元「まぁ、サガット君はケン君との戦いでダメージも受けているし、ここはベガ君が出た方がいいね」
実況「会場がざわめいておりますっ! リュウ対ベガの対決だっ! ここでシャドルーのボスを仕留める事が出来るかぁ!?」
リュウ「……ベガ」
ベガ「サガット……交代だ……私が行く……」
サガット「……わかりました。ベガ様、お願いします」
実況「さぁ! ここでタッチして交代だぁっ! ついにベガが動きますっ!」
519:
リュウ「ベガ、 行くぞっ!」
実況「さぁ、 リュウが構えたっ! 気合十分だぁっ!」
ベガ「フン、雑魚め……来るがよい……」
実況「一方、ベガは余裕の表情っ! 腕組みをしたまま、構える事なくリュウに対しますっ!」
リュウ「……その余裕の表情がいつまで持つかな? いくぞ、うおおおぉぉっ!」ダッ
実況「さぁ、先に仕掛けたのはリュウ! ロープに走ったぁっ!」
ベガ「……来るがよいっ!」
実況「そして、ここでようやくベガも構えたっ! ロープの反動をつけて返ってくるリュウを迎え撃つ!」
リュウ「うおおぉぉっ! ショルダータックルだああぁぁっ!」ドスッ
ベガ「……ぬぅんっ!」
521:
実況「さぁ! ロープの反動をつけたリュウのショルダータックルっ! だが、ベガこれを耐えますっ!」
リュウ「タックル勝負だっ! ベガ、次は貴様が来いっ!」
ベガ「面白い……その勝負、受けてやろう……」
実況「さぁ、次はリュウがベガを誘いますっ! そして……ベガがロープに走ったぁっ!」
ベガ「行くぞ、リュウっ! うおおぉぉぉっ!」
リュウ「……来いっ!」
ベガ「ショルダータックルだああぁぁっ!」ドスッ
リュウ「……うるあぁっ!」
実況「さぁ、お次はベガのショルダータックルがリュウに炸裂っ! だが、リュウこれを耐えますっ!」
リュウ「そんなもんかぁっ! 全然効いてねぇぞっ!」
ベガ「……ほぅ」
リュウー! イケー!
522:
リュウ「ベガっ! 行くぞっ!」
ベガ「面白いっ! 受けてやろうっ!」
実況「おっと、ここで、今度は両者、ロープへと走ったっ!」
リュウ「うおおぉぉぉっ!」
ベガ「……ぬおおおぉぉぉっ!」
実況「そしてそしてそして……両者がロープの反動をつけての……!」
リュウ「おらあああぁぁぁっ!」ガシーンッ
ベガ「……うおおおぉぉぉっ!」ガシーンッ
実況「ショルダータックルのぶつかり合いだぁっ! リングの中央で両者が激しくぶつかり合うっ!」
524:
リュウ「全然効かねぇなっ! ベガっ!」
ベガ「それはこっちの台詞だ! 小童が!」
実況「さぁ、リュウが吠えるっ! ベガも吠えるっ! 両者が激しく火花を散らしているっ!」
ワー、ワーワー
リュウ「よし、ベガ……いくぞっ! 本番はこれからだっ!」
ベガ「受けてやる……来いっ……!」
実況「さぁ、ここで両者が組み合ったぁ! ここから、どういった攻防を見せるのか!?」
525:
リュウ「おらっ!」
ベガ「ぬんっ……! 甘いっ……!」クルッ
リュウ「……何っ!?」
実況「さぁ、ベガがリュウの背後をとったぞ!?」
ベガ「……よし、このまま」
リュウ「そうはさせるかっ……! おらぁっ!」クルッ
ベガ「……何っ?」
元「……いやリュウ君、冷静です。上手く切り返して、背後を取り返しましたね?」
実況「おっと、今度はリュウが、ベガの背後を取り返したっ!」
リュウ「このまま、投げてやるっ……! 行くぞっ!」
ベガ「……フン」
リュウ「……うおおおぉぉっ!」
実況「さぁ! リュウがバックドロップを仕掛けたぁっ!」
526:
ベガ「……ぬぅんっ!」クルッ
リュウ「……な、何だと!?」
実況「おぉ〜っと、これは驚きですっ! なんと、ベガがバク宙をして、リュウのバックドロップから逃れましたぁ!」
オー! ベガ、スゲー!
元「リュウ君の投げるタイミングに合わせて、自らバク宙をして逃れたんだね……やっぱり、あの人凄いね」
リュウ「な、なんて奴だ……」
ベガ「……いつまでも、地べたに這いずっているんじゃないよ」
リュウ「……何?」
ベガ「フンっ!」
527:
リュウ「……ぐっ!」
実況「おっと、ここで体勢が崩れているリュウに対して、スタンディングのスライディングキック!」
元「……バックドロップで体勢が崩れてたからね。あのタイミングであんな攻撃されちゃ、どうしようもないよ」
実況「さぁ、リュウにダメージを与え……次にベガは何を仕掛けるか!? んっ……?」
ブー、ブーブー
リュウ「ううっ、くそっ……んっ……?」
ベガ「……フフ」スゥー
実況「おぉ〜っと、ここでベガは挑発をしていますっ! ゆっくりと、首を掻っ切るポーズをして、リュウを挑発しておりますっ!」
元「あんな事しちゃダメだよ……いっぱい、お客さんもいるのに……」
実況「場内からは大ブーイングっ! ベガは完全に舐め切っていますっ!」
529:
リュウ「……舐めやがって」ワナワナ
ベガ「舐められるのは弱いからだ。 私が本気を出せば、お前など、ものの5秒で終わってしまうからな……」
リュウ「うおおぉぉっ! ふざけるなぁっ! ベガっ!」
ベガ「……んっ?」
実況「おっと、おっと! リュウが怒ったぁっ! ベガに仕掛けますっ!」
リュウ「空手軍団の力を見せてやるっ! はっ、たっ! でぇやぁっ!」
ベガ「ぬ……? おっと……ぐっ……!」
実況「さぁ、リュウの蹴り蹴り蹴りィ! リュウの怒りの蹴りが、ベガに襲いかかりますっ!」
元「ベガ君の挑発で、リュウ君、怒っちゃったみたいだね? 余計な事、しちゃったんじゃないかな?」
530:
リュウ「はぁっ!」
ベガ「お、おっとっ……!」
リュウ「だぁっ!」
ベガ「ぬ……ぐおっ……!」
リュウ「……だああぁぁぁっ!」
ベガ「……ぐ、ぐがっ!」
実況「さぁさぁ! リュウの蹴りがベガに突き刺さるっ!」
リュウ「よしっ! 行くぞっ!」
ベガ「……何っ!?」
リュウ「うおおおぉぉぉっ! 昇竜拳っ!」ドゴォッ
ベガ「……ぐがっ!」
実況「さぁ、決まったぁっ! 昇竜拳だぁっ! ベガ、ダーウンっ!」
元「いいの決まったと思いますよ? このまま決めちゃいましょう」
実況「お、おっと……ここで、ベガ場外へとエスケープしますっ!」
532:
ベガ「くそ……少し、遊びすぎたようだな……」ヨロヨロ
サガット「ベガ様、大丈夫ですかっ!?」
バルログ「あの醜い餓鬼め……私達のベガ様に……」
ベガ「いや、大丈夫だ……お前達はコーナーに待機しておいてよい……」
実況「さぁ、シャドルー軍団も慌てて、ベガの元へ駆け寄りますっ!」
リュウ「おいっ、 ベガっ! 何をしている!? とっととリングに上がって来いっ!」
ダン「……お〜い、そうだぞ。勝負はリングの上でしやがれ。リングの上でよぉ?」
ベガ「そう言うな……いいのをもらったんだ……少し、休ませろ……」ウロウロ
実況「おぉ〜っと、ベガ……ここで、少し長い間をとっていますねぇ?」
元「う〜ん、いいの入ったと思ったのに……勿体無いねぇ?」
533:
ベガ「……」ウロウロ
リュウ「おい、ベガっ! いつまで、休んでいる! とっととこっちに上がれっ!」
ベガ「……そういうな。もう少し、休憩だ」
リュウ「くそっ……こいつ、何やってやがる……」
ケン「おいっ! レフェリー! もう、場外カウントとっちまえよっ! あいつ、戻ってこねぇぞ!?」
ダン「おう、そうだな……よしっ! 1……! 2……!」
実況「さぁ、ここでなかなかリングに上がらないベガに対して、場外カウントが取られますっ! 20カウント以内に戻って来なければ、ベガは反則負けですっ!」
ベガ「……」ウロウロ
実況「おっと、だが、ベガ……焦る素ぶりすら見せていないっ! これはどうした事だ!?」
元「……何、考えているんでしょう?」
535:
ダン「3……! 4……!」
ベガ「……おい、バイソン」
バイソン「ベガ様、どうしましたか?」
実況「おっと、ここでベガが場外にいるバイソンに近づいたぞ!?」
元「……うわぁ、何かやってますね」
ベガ「……」ヒソヒソ
バイソン「あっ、はい……なるほど……そういう作戦ですね……」
実況「おっと、ここで、ベガがリュウを指差し、バイソンに何か指示しているっ! 指示をしているぞ!?」
元「……何する気なんだろうね。ちょっと、怖いね」
リュウ「……」
536:
ダン「6……! 7……!」
ベガ「……」ウロウロ
実況「さぁ、ここで、ベガはバイソンとは反対側のリングサイドに回ります!」
元「リュウ君から見たら……正面にベガ君……そして背後には、バイソン君がいる形になりますね……」
実況「これ、何か、狙っているんじゃありませんかねぇ?」
元「……そうかもねぇ?」
ケン「おい、レフェリー! 今、あいつ、バイソンに何か指示してやがったぞ! バイソンを止めろよ!?」
ダン「ちょ、ちょっと待てよ……今、場外カウントとってんだからよぉ!? 8……! 9……!」
537:
実況「さぁ、カウントが進んできましたが……」
リュウ「……くっ」チラッ
バイソン「へへ……」ニヤニヤ
実況「リュウは仕切りにバイソンを気にしている様子! 何時も振り返り、バイソンの動きも警戒します!」
元「……まぁ、そりゃ、今も仕掛けてきそうな雰囲気だからねぇ」
ダン「10……! 11……!」
ベガ「……フフ」
実況「おっと! 一方、場外にいるベガは、腕組みをして余裕の表情だっ!」
元「20カウント以内にリングインしないと負けになっちゃうのはベガ君だけど……ベガ君が動くタイミングで、恐らくバイソン君も動いてくるからね……」
実況「えぇ、そうでしょうね。なんせ先程、指示してましたからね……」
元「逆を言えば……20カウントに達する前の何処かで……必ず仕掛けてくるって事だよ……これじゃあ、どっちが不利なのかわからないね?」
538:
リュウ「……くっ!」チラッ
バイソン「……へへ」
リュウ「……くそっ!」チラッ
ベガ「……フフ」
実況「確かに! リュウはベガとバイソンの動きをかなり警戒しています! 交互に両者の動向を確認していますっ!」
元「……ああいうのって、結構神経使うんですよ」
ダン「12……! 13……!」
リュウ「……くっ!」チラッ
バイソン「……へへ」
リュウ「……くそっ!」チラッ
ベガ「……フフ」
実況「さぁ! ベガはまだ、戻らないっ! どのタイミングで仕掛けてくるのかっ!?」
539:
ダン「14……! 15……!」
リュウ「……くそっ」チラッ
バイソン「……へへ」
ベガ「……今だっ!」スッ
実況「おぉ〜っと、ベガが動いたっ! ベガが動いたっ! 素早い動きでリングインっ!」
元「危ないっ! リュウ君、バイソンの方、警戒してるよ!?」
ケン「おいっ、リュウ! 来たぞっ! ベガが動いたぞっ!」
リュウ「……何!?」
ベガ「フ、作戦勝ちだな……おらっ、ダブルニープレスっ!」ガスッ
リュウ「……ぐあっ!」
実況「おぉ〜っと、ここでベガの奇襲攻撃っ! 一瞬の隙をついてのダブルニープレスだっ! 早い早いっ!
540:
リュウ「……ぐっ!」
ベガ「バイソンに気を取られすぎたな……おらぁっ!」ドゴォッ
リュウ「……ぐああぁっ」
実況「さぁ、ここで、フットスタンプっ! 高い高いジャンプをしてからの踏みつけだぁ!」
ケン「くそっ……! レフェリーっ! だから、バイソン止めろって言っただろがっ!」
ダン「おいっ! そうだぞ、バイソン! おめぇ、余計な事すんなってさっき言ったよなぁ!?」
ベガ「よし……スリーパーホールドで、呼吸を止めてやろう……苦しむがいい……」ググッ
リュウ「ううっ……ぐっ……」
実況「そして、ベガのスリーパーホールド! リュウの喉元を締め付けますっ!」
541:
シャドルー軍団強いな
542:
バイソン「ダンさん、違うんっすよ! 俺は何もしてませんよ!?」
ダン「……あぁ!?」
バイソン「ベガ様は、俺に『会場内にトンボがいる』って教えてくれただけなんすよ!?」
ダン「おめぇ、なんか指示されてたよなぁ!? リュウに指示してたよなぁ!?」
バイソン「だから、リュウの近くにトンボがいたんですよ! 本当ですよ!」
ダン「……おめぇなぁ?」
ベガ「フン、リュウ……死ね……」ググッ
リュウ「ガッ……ガガッ……!」
実況「おっと、元さん? ベガのスリーパーホールド……ちょっとチョークの様な形じゃありませんかね?」
元「あっ! あれ、チョークだよ! 何やってんの、反則だよ!」
543:
ダン「おめぇ、さっき何もすんなって言ったよなっ!?」
バイソン「だから、何にもしてないですって!? 勝手にあいつが勘違いしてただけですって!」
ダン「おめぇはもう、退場にして……」
ケン「おい、レフェリーっ! そんなバカと話すんな! ベガがチョークしてるぞ!? あのスリーパー、チョークだおい!」
ダン「……えっ?」
ベガ「フフ……どうだ……? 苦しいかな……?」ググッ
リュウ「ガッ……ガガッ……」
ダン「おい、 ベガっ! 何やってやがるっ! それ、反則じゃねぇかっ! やめろおい!」
実況「おっと、ここでレフェリーが気づきました! ベガを必死に制してます」
ダン「や〜め〜ろって! 離せよ! オイっ!」グイグイ
ベガ「まだ、大丈夫だって……後、5秒……5秒だけ……」
リュウ「ガッ……ガガッ……」
544:
ダン「いい加減にしやがれっ!」
ベガ「……わかったよ。やめてやるよ、ホレ」
リュウ「……うっ、ううっ」
実況「さぁ、ここでようやく、ベガが技を解きます」
ダン「普通に試合をしろっ! 普通によぉ!?」
ベガ「そうだな……正々堂々と試合をしよう……ほら、リュウ君、立ちなよ……」
リュウ「……く、くそっ」ヨロッ
実況「さぁ、リュウも立ち上がりましたが……これは、少しキツそうですねぇ?」
元「そうだね……反則攻撃で随分、苦しめられたからねぇ」
548:
うん、ほんとプロレスの価値観が変わってきた
違う角度から見るとすげーのがわかる!プロレスっておもしれーな!!
552:
ケン「……おい、新入り?」
ヤムチャ「……はい?」
ケン「そろそろ、リュウ助けに行く準備しようか?」
ヤムチャ「えっと……どうしたら、いいんですか? 俺、もうずっとここに待機してろってバルログさん達に言われてるんですけど……」
ケン「……バーカ、別に何もしなくていいよ。 この試合は後は、リュウとベガに任せるから」
ヤムチャ「……へ?」
ケン「この試合はリュウが負けるんだけどよぉ? その間、俺達が何もせずに待機してるのは、おかしいだろ?」
ヤムチャ「……はい」
ケン「だから、リュウを助けに行こうとして……失敗した……なんて、やり取りを作っておく必要があるの」
ヤムチャ「え〜っと……難しそうですねぇ……?」
ケン「リングの中に入る振りだけでいいよ。後は何とかしてもらうから」
ヤムチャ「……へ?」
ケン「俺のタイミングに合わせて、ロープをまたいで……そこで止まれ。絶対に動くんじゃねぇぞ?」
ヤムチャ「あっ、はい……わかりました……」
553:
ベガ「フンっ! フンっ! はぁっ!」ガスガス
リュウ「うっ……!」
実況「さぁ、少しベガが押しているでしょうか? リュウ、防戦一方です」
元「やっぱり、さっきのスリーパーでスタミナ奪われちゃったからねぇ……」
実況「流石、ベガと言った所でしょうか? いやぁ〜、汚い手段が上手い上手いっ!」
ベガ「……ぬぅんっ!」
リュウ「……くっ!」
実況「おぉ〜っと! ベガが掴んだぞ!? 何を仕掛けるのかぁ!?」
554:
ベガ「……はぁっ!」ドーシンッ
リュウ「……ぐっ!」
実況「出たぁ〜! 高ブレーンバスターっ! 素早い動きで、リュウを投げますっ!」
ベガ「フッ……よし、貴様の足を壊してやろう……」
リュウ「……くっ」
実況「さぁ、そしてベガがリュウの足を掴んだぞっ! 何を仕掛けるのかぁ!?」
元「……おそらく、足4の字固めでしょうかね?」
ケン「よし、ここだっ! 行くぞっ!」
ヤムチャ「……は、はいっ!」
実況「おっと! ここで、ケンとヤムチャが動きました! そうはさせないと、リュウを救出に向かいます!」
元「リュウ君、今ピンチだからね……早め早めの行動の方がいいよね」
556:
バイソン「ヘイヘイっ! お前ら、何をしてんだよぉっ!」
ケン「……止まれっ!」
ヤムチャ「……んっ?」ピタッ
バイソン「おいおい! レフェリー、よく見てくれよっ! 試合権利のない奴がリングに入ろうとしてるぞオイっ!」
実況「おぉ〜っと、バイソンが何やら、レフェリーに言っている模様ですっ!」
バイソン「ヘイヘイっ! これ、反則じゃねぇのか!? レフェリー、ちゃんと仕事してくれよ!」
ダン「お、おぅ……確かにそうだな……ケン、ヤムチャ! そこで、止まれ! お前達は試合権を持ってねぇだろが!」
ケン「おいおい、待てよ! これはカットだよ! 何で、止めるんだよ!?」
実況「おぉ〜っと、ここでレフェリーが、ケンとヤムチャの二人を制します!」
557:
ダン「ケン……よく見ろ。まだ、ベガは技をかけていない……」
ケン「……あぁ?」
ベガ「……」ピタッ
リュウ「……ううっ」
実況「さぁ、ベガもコーナーの二人が気になっている様子……リュウの足を捉えたまま、動けませんっ!」
ダン「カットなら、大目に見てやるが……ベガはまだ、技をかけてはいない……ここでのリングインは、認められないぞ?」
ケン「もう、技かける直前じゃねぇかっ!? よく、見てみろよ、 アレ!」
ダン「……よく見るのはお前だ。ベガはリュウの足をとっているだけだ。まだ、技はかけていない」
ベガ「レフェリー……そいつらを、しっかり抑えておいてくれよ? 私も安心して、技に入れないからな……」
実況「さぁ、これではベガも動けないかっ!? なかなか、技に入る事ができませんっ!」
558:
ケン「ほら、自分で言っているじゃねぇか! 技、かけるってよぉ!?」
ダン「だったら、技がかかってから、入れ。 そうしたら、リングインを認めてやる」
ケン「かかってダメージ食らってからじゃ、遅ぇだろがっ! とっととリングインさせろっ!」
バイソン「ヘイヘイ! レフェリーさ〜んっ! こいつ、退場にしちゃった方がいいんじゃねぇの〜?」
ケン「うるせぇっ! バイソンっ! お前は黙ってろっ!」
バイソン「あぁっ!? 何だ、喧嘩売ってんのか!? よし、降りてこいっ! やってやるよ!」
ダン「バイソンっ! おめぇは余計な事を言うなっ! ケン、お前もだっ! 煽るな!」
実況「さぁさぁ……コーナーにいるケンが、少しヒートアップしているようです」
元「なぁ〜んか、バイソン君が煽ってるからね……」
ベガ「……フッ」スッ
リュウ「……うっ」
実況「おっと、ベガがリュウの足から、手を伸ばし素早く起こしたっ!」
元「あれ……? 4の字固めにいかなかったね?」
559:
実況「そして、そのまま、自軍コーナーの方に振り投げたぁっ!」
リュウ「……ぐっ!」
ベガ「……行くぞっ!」
実況「リュウを自軍コーナーに貼り付け……そして、そのままベガが走ってきたぁっ!」
リュウ「!」
ベガ「うおおおっ!」ゴスッ
リュウ「……ぐあっ!」
実況「出たぁ〜! セカンドロープを踏み台にしての、シャイニングウィザードっ! 強烈な膝をリュウの側頭部に叩きこむっ!」
560:
ベガ「サガット! バルログっ!」
サガット「……了解」グイッ
バルログ「フッ……わかりました……」グイッ
リュウ「……何っ!?」
実況「おっと、ここでサガットとバルログがリュウの腕と首を掴んだっ!」
元「あら……サガット君達がいる事を計算して、自軍コーナーの方に投げたんだね……」
ベガ「これはこれは……なかなか素敵なサンドバックの完成じゃないか……なぁ、リュウ?」
リュウ「……く、くそっ」
ベガ「何発耐えれるかな……? 行くぞっ! リュウっ!」
リュウ「!」
562:
バイソン「ケン、 降りてこいよっ! 勝負すんぞっ! おいっ!」
ダン「バイソンいい加減にしろぉ! お前は大人しくするって、さっき言っただろが!」
バイソン「こいつが喧嘩売ってきたんすよ!? 悪いのはこいつじゃないっすかっ!?」
ケン「喧嘩を売ってきたのはおめぇだろがっ! ん……?」
ダン「いいからいいから……とにかく、二人共落ち着けって……」
バイソン「いいや、収まりつかねぇっすよ! ダンさん、俺にこいつとやらせて下さいよっ!」
ケン「おい、レフェリーっ! こいつの事はもういいっ! それより、後ろだっ! 後ろを見ろっ!」
ダン「……んっ?」クルッ
564:
ベガ「ハハハっ! 素敵なサンドバッグだな、オイっ!」ガスガス
リュウ「ぐっ……ぐっ……」
サガット「ベガ様、次は俺にやらせて下さいよ。こいつ、なかなか蹴りがいがありそうです」
バルログ「サガットの次は私にやらせて下さい。私も痛めつけてみたいです」
ダン「な、何やってやがるんだ……あいつら……」
バイソン「ヘイヘイ、ダンさん! 俺にケンとやらせて下さいよ! ねぇねぇ、許可下さいよ?」
ダン「バイソン、おめぇ、しつけぇぞっ!
ケン「おいっ! こんな奴に構ってんじゃねぇよ! とにかく、あいつらを止めやがれっ!」
ダン「お、おう……そうだな……」
実況「さぁ! コーナーで、ケンとバイソンに気を取られていたレフェリーがようやく気づいたぁ! シャドルーの反則攻撃を止めに、対角線のコーナーへと向かいますっ!」
元「も〜う、チンタラチンタラ……レフェリー、もっと早く走りなさいっ!」
ダン「おいっ、お前ら何やってんだよ! 聞いてんのかっ! やめろってっ!」
565:
ベガ「ハハハ、どうだっ! もう、お終いか、リュウ!」ガスガス
リュウ「……ぐぐっ」
ダン「いい加減にしろぉっ!」グイッ
実況「さぁ、今レフェリーが、身体を張って、ベガとリュウの間に割って入り、制止します」
元「でも、レフェリーも大変だよねぇ? あんな、怖そうな人を止めなきゃいけないんだからさぁ?」
ダン「お前ら、いい加減にしろよっ! 反則負けにしてやろうか、あぁっ!?」
ベガ「わかったわかった……やめてやるから……反則負けは勘弁してくれ……」
ダン「だったら、ちゃんと試合をしろぉ! わかったなっ!?」
ベガ「まぁ、こいつはもう、虫の息だ……反則など使わなくても、もう十分だろう……」
リュウ「うっ……ううっ……」ヨロヨロ
ベガ「よし、とどめにするか……なぁ、リュウ?」
566:
実況「さぁ、ベガが……リュウをリングの中央運んで……ロープに振ったぁっ!」
リュウ「……ぐっ!」
ベガ「……とどめは、勿論この技だ」
実況「そして、ベガも反対側のロープへ走り……これは、来るのかぁ!?」
元「……サイコクラッシャーアタック狙ってますね」
ベガ「とどめだ、 死ねっ! サイコクラッシャーっ!」ゴオオォォォッ
実況「出たああぁぁぁっ! サイコクラッシャーアタックっ!」
リュウ「……やはり、決め技はそれでくるだろうと思ってたぞ。 読んでたぞ、ベガっ!」
元「いやっ……! リュウ君、何かしようとしてますよ!?」
567:
ベガ「……何っ!?」
リュウ「うおおおぉぉっ! 昇竜拳っ!」ガスッ
ベガ「ぐがっ……こいつ、何処にそんな力がまだ残っていたというのだ……」
実況「おぉっと! 昇竜拳だ、昇竜拳っ! リュウがサイコクラッシャーアタックと昇竜拳で返したっ!」
元「走り込んで、勢いつけてからの昇竜拳ですよ、昇竜拳。しかも、カウンター気味に決まりましたし……これ、いいですよ!?」
実況「さぁ、ベガ、ダーウンっ! リング上で大の字ですっ!」
リュウ「……うおおおぉぉっ! 空手軍団の力を見せてやるぞ、ベガっ!」
オー! リュウー! イケー!
実況「さぁ、リュウが吠えたっ! リュウはまだまだ死んではいないっ!」
568:
リュウ「よしっ……! 起きろ、ベガっ!」
ベガ「……ううっ」ヨロヨロ
実況「さぁ、リュウがベガを引き起こし……! どうするどうする!?」
リュウ「……うおおおぉっ」グイッ
ベガ「……ぬっ」
実況「そして、持ち上げたぁ! これはブレーンバスターだっ!」
リュウ「うおおおっ……おらああぁぁっ!」ドーンッ
ベガ「……ぐがっ!」
オー! イイゾー! リュウー!
実況「さぁ、長い長いタメ作っての……垂直落下式ブレーンバスターっ! ベガの脳天がマットへと突き刺さるっ!」
元「いいですよ、ここまま決めちゃいましょう」
569:
リュウ「次はミサイル竜巻旋風脚だっ! 行くぞっ!」
実況「おっと、これはミサイル竜巻旋風脚を狙っているのか!? リュウはコーナーポストへと昇ります」
サガット「……野郎、やらせるかっ!」
バルログ「えぇ! ベガ様を助けましょうっ!」
ケン「ヘイヘイ、レフェリーっ! あいつら、邪魔しようとしてるぞ!? あれ、ルール違反なんじゃねぇの!?」
サガット「……ケンっ!」
バルログ「余計な事を……」
ダン「サガット、バルログっ! お前ら試合権持ってないよなぁ!? だったら、タッチがされるまでは、そこで待機だ!」
サガット「ちょっと、待てよ……じゃあ、ここで黙ってベガ様がやられるのを見てって事か!?」
バルログ「ダンさんっ! ここまま黙って見てろって言うんですか!?」
ダン「フォールが入ったら、カットに行ってもいい。もしくは、関節技を仕掛けられたらだ! それまでは、そこで大人しくしておけっ!」
570:
実況「さぁ、シャドルー二人をレフェリーが抑えています。 そして、リュウはコーナーポストでじっと待ち……」
ベガ「うっ……ううっ……」ヨロヨロ
リュウ「……」
ベガ「くっ、少し、いいのをもらってしまったようだな……」
リュウ「……」
ベガ「くっ、それより、リュウは何処に行ったんだ……? リング上に……いないではないか……?」キョロキョロ
サガット「ベガ様、後ろですっ!」
バルログ「コーナーポストの上ですっ!」
ベガ「後ろ……コーナーポスト……? ま、まさか……!?」クルッ
リュウ「……うおおおぉぉっ!」
実況「さぁ! リュウが飛んだぁっ!」
リュウ「ミサイル竜巻旋風脚だあぁぁっ!」ズガッ
ベガ「……ぐ、ぐわあああぁぁっ!」
572:
リュウ「よし、フォールだっ! レフェリー行くぞっ!」
ダン「よし、きた!」
実況「さぁ、リュウがフォールに行こうとしますっ!」
サガット「させるか、この野郎っ!」
バルログ「ベガ様、今行きますっ……!」
実況「だが、ここでシャドルーの二人もリングインだっ! カットに走ります」
ケン「おい、リングに入れっ! 俺の真似してるだけでいいからよぉ」
ヤムチャ「えっ……あっ、はい……わかりました……」
実況「おっと、だがここでケンとヤムチャもリングインっ! カットさせないようにと、シャドルーを妨害します!」
573:
サガット「おい、ケンっ! そこをどけっ!」
ケン「うるせぇ、行かせるかよっ! ヤムチャ、お前はバルログを止めやがれっ!」
バルログ「くっ、ベガ様……今、行きますっ……!」
ヤムチャ「お、おっと……!」
実況「さぁ、空手軍団が、身体張ってシャドルーを止めますっ! そして、ここでカウントが入ったぁっ!」
ダン「ワンッ……!」
オー! イイゾー!カラテグンダンー!
ダン「ツー……!」
ソノママ、キメチマエー!
ダン「……スリ」
ベガ「……ぬ、ぬぅんっ!」グッ
574:
リュウ「……何っ!?」
ベガ「うっ……くっ、危なかったな……」
ダン「カウントはツーだっ! カウントツーだぞ、おいっ!」
実況「おぉ〜っと、カウントツー! 2.98でしょうかぁ!? 寸前の所で、ベガが返しましたっ!」
ザワ……ザワ……
実況「ベガの底力に、場内がザワついておりますっ!」
ベガ「よし……おい、サガット、バルログ……早く、下がれ。コーナー待機していろ……」
サガット「……しかし、ベガ様」
バルログ「大丈夫なのですか!?」
ベガ「そこに、お前達いたら交代出来んだろうが! すぐにコーナーに戻るから……交代の準備をしておけ……」ヨロヨロ
実況「しかし何とか、返したベガも、大ダメージを受けている模様! かなり、フラついております」
元「……ここを逃さず、リュウ君が仕留められるかでしょうね」
578:
乙!
カウント2.98でニヤッとしてしまった
580:
実況「さぁさぁ、両軍、コーナーに引き下がり……リング上には、リュウとベガの二人、ですがっ……!」
ベガ「くっ……ううっ……」フラフラ
リュウ「……ここがチャンスだ。交代させる隙を与えずに、ベガを仕留めるっ!」
実況「か〜なり、ベガはダメージを受けている模様っ! フラついておりますっ!」
元「リュウ君の大技ラッシュをくらってしまいましたからね……これ、ベガ君も危ういんじゃないですか?」
サガット「ベガ様、こっちですっ! 俺に交代して下さいっ!」
バルログ「私も出る準備は出来ていますっ! ベガ様っ!」
ベガ「よ、よし……サガット、お前に交代するとしよう……」フラフラ
581:
リュウ「……逃してたまるかっ! はぁっ!」
ベガ「……何っ!?」
リュウ「はぁっ! たぁっ! でぇやぁっ!」ガスガス
ベガ「ぬっ……くっ、くそっ……!」
実況「さぁさぁ、リュウの蹴りのラッシュだっ!」
元「ここで、サガット君達に交代されちゃマズいからね。一気に攻めちゃわないと」
リュウ「はぁっ! だあぁっ! うおおぉぉっ!」ガスガス
ベガ「くっ……サガット……! もう、少しだというのに……」
リュウ「……サガット達には近づけない! 吹っ飛ばしてやるっ!」
ベガ「……何っ!?」
リュウ「うおおぉぉっ! 竜巻旋風脚っ!」ズガアァァッ
ベガ「ぐ、ぐわああぁぁっ!」
実況「ここで竜巻旋風脚だぁぁっ! ベガを吹き飛ばすっ!」
583:
ベガ「……ぐっ!」
リュウ「起きろ、ベガっ! これでとどめにしてやるっ!」
ベガ「うっ、ううっ……」フラフラ
実況「さぁ、ダウンしたベガを引き起こし、リュウが背後をとったぁっ! ここで、決めてしまうのかっ!?」
元「……ドラゴンスープレックスですかね?」
ベガ「ぐっ、くそっ……! 投げられはせんっ……! 投げられはせんぞっ……!」
リュウ「しぶとい奴め……だが、これで終わりだっ……!」
ベガ「くっ……! ぬぅおぉぉっ……!」
実況「さぁ、ベガも必死に堪えますっ! 行け、リュウ! ドラゴンスープレックスを決めてしまえっ!」
585:
ベガ「このままでは、投げられてしまう……こうなったらっ……!」
リュウ「……うおおぉぉっ!」
ベガ「……ふんっ!」ガスッ
リュウ「!」
実況「おぉ〜っと、なんという事だぁっ! ここで急所蹴りです! 背後をとっているリュウの股間を、ベガが蹴り上げましたぁっ!」
元「リュウ君が投げる為に踏ん張れば、どうしても大股を開く事になるからね……でも、よく狙えたもんだね」
ベガ「くっ、手こずらせやがって……」
リュウ「うっ、ぐぐっ……ベガ……卑怯だぞ……」ブルブル
実況「さぁ、これは苦しいっ! 男としては苦しい攻撃だぁ! リュウもかなり苦しんでいますっ!」
587:
ダン「おい、ベガ……? お前、今リュウの股間を蹴ったよなぁ!?」
ベガ「知るかぁっ! 勝てばいいのだ、勝てばっ!」
ダン「おめぇ、開き直りかよ……あのなぁ!?」
ベガ「サガット、ここで決めるぞっ! 行けっ!」
サガット「わかりましたっ!」
ケン「……サガットが来るぞ? わかってんな?」
ヤムチャ「……了解です」
サガット「うおおおぉぉっ!」
実況「さぁ、ここで分担作戦ですっ! サガットが、コーナーにいる二人を襲い、場外へと落としますっ!」
588:
ダン「おぉ……えらく、派手に落ちたなぁ? お〜い、ケン大丈夫かぁ〜?」
ベガ「バイソン、お前もだっ! 私を助けてくれっ!」
バイソン「うっすっ!」
実況「おぉ〜っと、おぉ〜と! ここで、バイソンがコーナーポストに昇ったぁっ!」
元「やっぱり……バイソン君、動いてきたね……」
バイソン「へへ、よ〜し……今から、バイソン様のダイビングヘッドバッドでリュウの野郎を……」
リュウ「バイソン……お前、卑怯だぞ……」ブルブル
ブー、ブーブー
実況「場内からは大ブーイングだぁっ! 引っ込め、この歯抜け野郎引っ込んだ! なんて、お客さんの声が聞こえるような気がしますっ!」
589:
ダン「ブーイング……? って、おいっ! なんで、バイソンがそんな所にいるんだよぉ!」
バイソン「おらあぁぁっ! リュウ、死にやがれえぇぇっ!」ドーンッ
リュウ「……ぐっ!」
実況「なぁ〜んという事だっ! 試合に参加していないバイソンが、リュウにダイビングヘッドバッドを仕掛けましたぁ!」
バイソン「ベガ様っ! 俺は場外の二人を抑えておきますっ! だから、こいつを始末して下さいっ!」
ダン「おい、バイソンっ! おめぇ、何やって……」
バイソン「うおおぉぉっ! ケンもヤムチャも、ぶち殺してやるぜぇぇっ!」
実況「さぁ、バイソンはリング外に出て、大人しく……いや、違うっ……! 違うぞっ!」
元「うわっ……場外のケン君と、ヤムチャ君を襲いに行ったみたいだね……」
590:
ダン「おい、ベガっ! おめぇら、何やってやがる!?」
ベガ「すまない、レフェリー……間違えてしまった……」
ダン「……あぁ!?」
ベガ「私はバルログに、助けてくれと指示をするつもりだったのだが……間違えて、バイソンの名前を呼んでしまったようだ……」
ダン「……はぁ!?」
ベガ「ほら、バルログに……バイソン……お互い、頭文字が『バ』で似ている名前だとは、思わないかね?」
ダン「何でそんな間違いをしちまうんだよぉっ! おめぇはバカかっ!」
ベガ「今、バイソンは勘違いしている……申し訳ないが、バイソンを止めてきてもらいたい……」
ダン「……おめぇはなぁ!?」
ベガ「……ほら、ヤムチャが襲われているぞ? これは、大変な事態だ」
ダン「……あぁ?」
591:
バイソン「オラオラ、ヤムチャっ! こっちに来やがれっ……!」
ヤムチャ「痛ぇ、髪、引っ張んなって……! 何処連れて行く気なんだよ……」
バイソン「お客さんに……おめぇのやられっぷりを……見てもらうんだよ……」
ヤムチャ「……えっ?」
実況「さぁ、場外ではケン対サガット! そして、ヤムチャ対バイソン! ……おっと、バイソンがヤムチャを鉄柵の外に連れ出しているぞ?」
元「ちょっと、ちょっと……何処、連れて行く気なの……? お客さん、危ないよ?」
バイソン「……場外でボディスラムするから、大袈裟に痛がってね?」ボソッ
ヤムチャ「……へ?」
ダン「お、おいっ……! バイソン、何やってやがる……お客さんが、危ねえじゃねぇか、あんな所行ったら……」
ベガ「……レフェリー、悪いが行ってもらえないか? お客さんが怪我でもしたら、大変だ」
ダン「ちくしょうっ……! 何やってんだ、あのバカは……手間取らせやがって……!」
593:
バイソン「おら、 死ねっ! ヤムチャ!」グッ
ヤムチャ「う、うおぉぉっ!」
実況「おぉ〜っと! バイソンが、場外でヤムチャを担ぎ上げたぁっ! まさか、あそこで投げるのか!?」
元「ダメだよ、あそこで投げちゃ……マットも引いてないし……ただの硬い床だよ!?」
バイソン「おらああぁぁっ!」ゴスッ
ヤムチャ「……ガッ!」
ブー、ブーブー
バイソン「ハハハ! なぁ〜に、言ってやがる! お前ら、こんな目の前で、投げ技見れたんだぞ!? どうだ、迫力あっただろ!?」
ヤムチャー! ダイジョウブー?
ヤムチャ(ダ、ダメ……ここ、床が硬い……マジで、これ痛い……)
594:
バイソン「おいおいっ! ブーイングばかりだなぁ! シャドルーファンはいねぇのかぁ? どっかにいねぇのかよ?」
ブー、ブーブー
バイソン「おっ? なんだ、なんだ? シャドルーTシャツ着てるお客さんが目の前にいるじゃねぇか!? おめぇは、センスあるなぁ、おいっ!」
男「うっす! 自分はシャドルーファンっす!」
バイソン「よ〜し! じゃあ、兄ちゃんの為に……もう一発、レスラーの投げって奴を見せてやろうかな!?」
ヤムチャ(えっ……? 嘘っ……? もう一回、俺投げられるの!?)
男「うっすっ! 見たいっす! よろしくお願いします!」
バイソン「よ〜し! じゃあ、兄ちゃんのリクエストに応えて、もう一発投げをプレゼントだっ!」
ブー、ブーブー
ヤムチャ(ダメだよ、バイソンさん……! ここで、もう一発は絶対ダメだって!)
595:
ダン「おい、バイソンっ! おめぇ、何してんだよぉっ!」
オイ、ダン! ハヤク、コイツヲトメロ!
ヤムチャ(おっ……ダンさんが来たぞ……? こりゃ、天の助けかな?)
ダン「おめぇ、こんな所で暴れてんじゃねぇよ!」
バイソン「何、言ってんすか……お客さんリクエストっすよ。リクエスト」
ダン「やるなら、リングの中でやれやっ! そもそも、おめぇは今日の試合に参加してねぇだろっ!」
バイソン「いやぁ……それは、ベガ様から、指示があったから……」
ダン「あのなぁ……? どうやら、ベガは……」
オーイ! レフェリー! リングミロー!
ダン「……ん?」クルッ
596:
バルログ「ベガ様、パイプ椅子を持って来ましたよ……さぁ、これを使って、こいつをやってしまいましょう」
ベガ「御苦労……しかし、よく二つも持って来れたな……」
バルログ「えぇ、丁度目の前にシャドルーTシャツを着たカップルがいましたのでね……お借りさせていただきましたよ……」
ベガ「どうせ、強引にぶん取ってきたのだろう……まぁ、いい。ファンサービスってヤツだ……」
実況「おぉ〜っと、バルログがパイプ椅子をリング上に持ち込んでいるぞぉ!?」
元「ちょっとちょっと……あんなもの使っちゃ、危ないよ……」
バルログ「では……リュウ、覚悟はいいですか……?」
ベガ「……とどめを刺してやる」
リュウ「……くそっ
597:
バルログ「……ヒャオっ!」ガスッ
リュウ「……うっ!」
ベガ「……フンッ!」ゴスッ
リュウ「ガッ……!」
実況「さぁさぁ! リュウ上では、リュウがパイプ椅子攻撃で滅多打ちだっ!」
元「……酷い事するねぇ」
ベガ「……バルログっ! スイングDDTを仕掛けろっ! 狙いは勿論ここだっ!」コロン
バルログ「なるほど……よし、行きますよ……ヒャオッ!」ドーンッ
リュウ「……グッ!」
実況「さぁ、リングに上にパイプ椅子を敷いてのスイングDDT! リュウの頭が、硬い硬いパイプ椅子に突き刺さりますっ!」
ダン「あいつら……リングで何やってやがる……くそっ……!」
598:
ベガ「……フンッ!」グッ
リュウ「……ぐっ!」
実況「さぁ、そしてベガのフットスタンプ!」
元「ダウンしてるリュウ君の下にはパイプ椅子があるんでしょ? あれは痛いよ……」
実況「……おっと、ここでようやく、レフェリー戻ってきたか!?」
ダン「おいっ! 何してやがるっ! こんなもん、使うんじゃねぇよ!」
実況「今、レフェリーが、パイプ椅子をリングの外に、やってますねぇ……」
元「……あんなもの、リング上にあっちゃいけないからねぇ」
ベガ「ナイスタイミングで戻って来たな、レフェリーよ……これから、私の決め技でこいつにとどめを刺す……」
ダン「……あぁ?」
ベガ「……しっかり、カウントをとってくれよ?」
ダン「おめぇらなぁ……」
600:
バルログ「……ヒャオッ!」
リュウ「……グッ!」
ベガ「……フンっ!」
実況「さぁ、バルログがリュウをロープに振ったぁ! そして、ベガも走ったぁっ!」
ベガ「……とどめだ」
リュウ「く、くそっ……」
ベガ「うおおぉぉっ! サイコクラッシャーっ!」ゴオオオォォォ
リュウ「……ぐわあああぁぁっ!」
実況「決まったぁ〜! サイコクラッシャーアタックっ! そして、ベガがフォールに入りますっ!」
ベガ「どうした、レフェリー!? カウントだっ!」
ダン「……」
バルログ「何をしているのです!? カウントを取りなさい!」
601:
ダン「チッ……! ワンっ……!」
実況「そして、ここでレフェリーがカウントを取りますっ!」
サガット「おらおらっ!」
ケン「……ぐっ!」
ダン「……ツーっ!」
バルログ「オラオラァっ!」
ヤムチャ(痛ぇって……まだ、背中が痛いんだよ……)
実況「ケンとヤムチャは、場外でサガットとバイソンに捕まっている! これでは助けに行けませんっ!」
ダン「……スリーっ!」
実況「そして、ここでスリーカウントっ! 試合が決まってしまったぁっ!」
606:
ベガ「これで、私達の勝ちだ……」
ブー、ブーブー
実況「さぁ、勝利したのはシャドルー軍団のベガですが……場内からは大ブーイングでございますっ!」
元「……そりゃねぇ」
ベガ「フン、勝てばいいのだよ、勝てば……オイっ! サガット、バイソンっ!」
サガット「おっ、どうやらベガ様が勝ったみたいだな……じゃあ、ケン、そろそろ勘弁してやるよ……」
ケン「……ぐぐっ」
バイソン「おめぇも、助かったなぁ? えぇ?」
ヤムチャ(なんだよなんだよ……今日はマジで痛かったぞ、おい……)
608:
実況「さぁ! ここで、リング上に、シャドルーが大集結っ!」
ベガ「……フッ」
サガット「これがシャドルーの力だっ! 次はザンギエフをぶち殺してやるっ!」
バルログ「フッ……美しい我々を褒め称えなさい……」
バイソン「おらっ、 男ってのはなぁ! 顔が良けりゃあ、いいってもんなんじゃねぇんだよぉっ!」
ブー、ブーブー
実況「さぁ、だがしかし、大ブーイングだ! 大ブーイングっ! シャドルーの勝利にお客さんも納得のいかない様子です!」
ベガ「いつまで経ってもわからん客達だ……まぁ、いい。そろそろ退場するとしようか……」
609:
実況「さぁ! 今、大ブーイングの中、シャドルー軍団が退場しております!」
ブー、ブーブー
サガット「うるせぇ、おいっ! どっちが勝ったか、一目瞭然だろうが!?」
バルログ「うるさい方達ですねぇ……」
バイソン「おいっ! 何か、文句あんのか、この野郎っ! この試合は俺達の勝ちだ! 俺達のよぉ!」
ブー、ブーブー
ベガ「もうよい……行くぞ……」
リュウ「おい、待て! シャドルー!」
ベガ「……ん?」
実況「おぉ〜っと! ここでリュウがマイクを握ったぞ! リング上から、シャドルーに向かって吠えたぁ!」
610:
リュウ「……こんな物で、空手軍団が終わってと思うなよ?」
ベガ「……ふむ」
キャー!リュウー!
リュウ「汚い手段ばかり、使いやがって……」
ベガ「……騙される方が間抜けなのだ」
リュウ「お前……本当は、俺達が怖いんじゃないのか……?」
ベガ「……何?」
オー! リュウー!
リュウ「俺達と正々堂々と戦う事が怖いから……そんな、汚い手段ばかり、使っているんだろ? なぁ、ベガ?」
ベガ「……」
リュウ「正々堂々と来いよっ! まだ、俺は戦えるぞ、オイッ! ほら、もう一本勝負だ! こっちにこいよっ!」
実況「おぉ〜っと! ここで、リュウが誘っていますっ!」
611:
観客「おぉ〜い、 ベガ〜! 戦ってやれよ〜!」
ベガ「……ふむ」
リュウ「どうしたぁっ! ベガ、かかってこいよ!」
実況「さぁ、ベガっ……! どうする……!?」
ベガ「……フッ」スーゥ
リュウ「……ぬっ?」
実況「おぉ〜っと! ここで、ベガが首を掻っ切るポーズして……」
ベガ「フッ……サガット、バルログ、バイソン……退場するぞ……」
サガット「……そうですね」
バルログ「……フッ」
バイソン「負け犬の遠吠えなんかに付き合う程、こっちは暇じゃねぇんだっての!」
実況「おぉ〜っと! ここで、シャドルー軍団はリュウに構わず、退場しますっ! ベガはリュウの挑発をあっさり、受け流したぁ!」
613:
リュウ「……くそっ!」
ケン「気にするな、リュウ……次のチャンスを待てばいい……」
ヤムチャ(え〜っと……俺も何か言った方がいいのかねぇ……?)
実況「さぁ、ここでリング上に、ケンとヤムチャも合流! おっと……ケンがマイクを握ったか……?」
ケン「皆、聞いてくれっ!」
オー! オー、オー!
ケン「シャドルーのボスって言ってもよぉ……? なぁ〜んて事はねぇ、ただの反則野郎じゃねぇか!」
オー! ソウダソウダー!
ケン「あんな奴……次の試合では、必ずぶっ飛ばしてやるぜっ! だから、次の試合を待っててくれっ! 次は必ず、勝つ!」
オー! イイゾー!
ケン「俺達の力は皆が一番よく知ってるはずだっ! なぁ、そうだろ、皆!?」
ワー、ワーワー!
実況「さぁ、ここでケンのマイクアピール! シャドルーへのリベンジを、お客さんの前で、誓いましたっ!」
614:
ケン「よし、そろそろ、退場するぞ……」
ヤムチャ「……あっ、はい」
リュウ「……くそっ!」
実況「さぁ、ここで空手軍団も退場します!」
元「でも、リュウ君……ちょっと納得いってないみたいだねぇ……?」
実況「……ん?」
ケン「次は必ず勝つ! 約束するぜっ!」
ケーン! ガンバレー!
ヤムチャ「あっ……自分も頑張ります……」
オメェ、アノ、ヒッサツワザツカエヨー! ナニ、ヤッテンダー!
リュウ「くそっ……ベガの奴め……」
リュウ、ドンマーイ! キニシナイデネー!
実況「おっと、そうですね……やはり、かなりベガに苛立った物を感じているんでしょうか?」
元「……まぁ、そうかもしれないね」
実況「という事は……これからの、空手軍団とシャドルーの抗争から目が離せない事になりそうですね!? さぁ、という事で、第五試合の中継はこの辺りで、お別れしたいと思います!」
615:
ーーー
プーアル「ヤムチャ様、お疲れ様でした!」
ヤムチャ「おう……プーアル、今日は疲れたよ……」
プーアル「何、言ってるんですか? 働いたのは最初の5分だけでしょう?」
ヤムチャ「あのなぁ……? バイソンさんにやられて大変だったんだぞ? 見てなかったのかよ?」
プーアル「えぇ……? そんな所、ありましたっけ……?」
リュウ「……ったく、なんで俺が負け役なんだよ。こいつにやらせろよ、こいつに」
ケン「……まぁまぁ、いいじゃねぇか? これで、ベガとの因縁が出来ただろ。次、挑戦できるって」
リュウ「……くそっ、おいっ! 新入りっ!」
ヤムチャ「……ん?」
616:
リュウ「おめぇ、もっと足引っ張れよ!」
ヤムチャ「……えっ?」
リュウ「おめぇが足を引っ張らねぇと、俺が弱ぇ奴に思われんだろが、バカが!」
ヤムチャ「えっ……いや、俺……今日はちゃんとしたと思うんですけど……」
リュウ「生意気な事言ってんじゃねぇよ! おめぇは俺達の踏み台って事、わかってんのか!?」
ヤムチャ「えっと……なんか、すいません……」
リュウ「……こいつ、使えねぇよ。なんだよ、こいつ。もっと、足引っ張れっての」
ケン「まぁ、今日はあの技使わなかったし……まだ、マシだったんじゃねぇの?」
リュウ「当たり前だよっ! あの技、使ったら、ぶっ殺すに決まってんだろがっ!」
ケン「まぁまぁ……とりあえず、飲みに行こうぜ? 試合は終わったんだからよぉ?」
リュウ「そうだな……ったく、次からはもっと、足引っ張れ! このバカ!」
ヤムチャ「あっ……すんません……」
617:
プーアル「なぁ〜んか、あの二人……感じ悪いですよねぇ……?」
ヤムチャ「……そうだよねぇ」
プーアル「サガットさん達とは、大違いです」
ヤムチャ「……俺も、あっちのチームに入りたかったなぁ」
プーアル「あの人達、本当に人気あるんでしょうか?」
ヤムチャ「いや、でも……リング上では、キャーキャー言われてたよ?」
プーアル「ふ〜ん……おっ、ヤムチャ様? どうやら、第六試合が始まったみたいですよ?」
ヤムチャ「おっ……? そういや、豪鬼さんって人が出てるんだよな? 昨日の会話に、出てこなかった人だけど……どんな人なんだろ?」
618:
ーーー
ザンギエフ「……ぐおおぉぉっ!」
豪鬼「……ぬぅんっ!」
ザンギエフ「……何っ!? こいつ、早いっ!」
豪鬼「……殺っ!」
ザンギエフ「しまったっ……! ぐわああぁぁっ!」
ヤムチャ「うわっ……なんだ、あの動きっ……!?」
プーアル「片足立ちのまま、あんな移動できるもんなんですね!? どうなってるんでしょう?」
ヤムチャ「あれ、恰好いいなぁ……俺も、やってみようかなぁ……?」
プーアル「……格好つけたら、またあの二人に怒られますよ?」
ヤムチャ「大丈夫だって……試合ではやらないよ……よっと、こんな感じかな……?」スゥー
プーアル「あれ、あれっ……? ヤムチャ様、大丈夫ですか?」
ヤムチャ「うおおっ……やべぇ……あいたぁっ!」ドシーンッ
プーアル「……何やってるんですか。派手にこけちゃって」
619:
バルログ「おっと、ヤムチャ君……探しましたよ。こんな所で、ずっこけて何してるんですか?」
ヤムチャ「あいててて……あっ、バルログさん……」
プーアル「ヤムチャ様、馬鹿だから、あの豪鬼さんって人の片足移動真似しようとして、派手に転んだんですよ」
バルログ「あぁ、アレ格好いいんですよねぇ……真似しようとしたんですか?」
ヤムチャ「難しいっすね……?」
バルログ「でも、あれは豪鬼さんのオリジナルのムーブだから、真似したら怒られますよ?」
ヤムチャ「……ムーブ?」
バルログ「えぇ、あの片足移動は、豪鬼さんのオリジナルの技なんですよ。 攻撃を避ける専用の……オリジナルの技です」
ヤムチャ「……あれも、技なんですか?」
バルログ「プロレスってのは、動作を大きく見せないと盛り上がりませんからね……飲み会に誘おうとしたんですが……豪鬼さんの試合は勉強になりそうだし、ちょっと見ていきましょうか?」
ヤムチャ「……そうっすね」
620:
居酒屋ーー
サガット「遅ぇよ、 バルログっ! 何やってたんだよ!」
バイソン「ヤムチャ君、一人連れてくるのにどれだけかかってんだよぉ! 正座しろぉ! 全裸になって正座しろぉ!」
さくら「バルログさん……バイソンさん、もうボトル一本開けちゃいましたよ? こんなので反省会できるんっすか!?」
バルログ「申し訳ありません、ヤムチャ君と豪鬼さんの試合を見ていたもので……そのついでに、ダンさんの仕事が終わるのも待ってたんですよ」
ダン「おい、ついでって何だ! ついでって! 俺はキャリア長ぇんだぞぉっ!」
ヤムチャ「う〜ん……ザンギエフさんも、豪鬼さんも……凄い試合してましたねぇ……」
バルログ「……勉強になりましたか?」
ヤムチャ「あの投げ技、凄かったです! ファイナルアトミックなんとかってヤツ! あれ、俺もやってみたいっす!」
ダン「なぁ〜に、言ってんだ、新入り! おめぇは、ボディスラムをなんとかしろ! ボディスラムをよぉ!」
ヤムチャ「……へ?」
621:
サガット「……ダンさんの言う通りだ」
バイソン「その事で……なんとかしようって、さっきまで話し合ってたんだよ……」
さくら「ヤムチャさん、今日も反省会っすよ! まだまだ、プロレスの事を勉強してもらうっす!」
ヤムチャ「……俺、なんかやっちゃった臭いんですかね?」
バルログ「……試合中、何か変わった事はありませんでしたか?」
ヤムチャ「変わった事……? え〜っと……あっ! そうだ、そうだ!」
バルログ「……」
ヤムチャ「バルログさん、俺に打ち上わせになかった、攻撃したでしょ!? あれ、痛かったんっすよ!」
バルログ「……そうです」
ヤムチャ「なんであんな事、したんですか!? 俺、一瞬息が出来なくなったんですからね!」
バルログ「それでは……説明をしましょうか……」
625:
テレビ中継だとマイクパフォ削ったりするんだよなぁ
下手するとフィニッシュをダイジェストだったり
ドラマがあるのは分かるけど現場行かなきゃってのがあるとハードル高い
でも、ネット配信とかして客増やしてるみたいだし
またゴールデンでプロレスなんて時代が来るのかもな
629:
バルログ「試合には、順序というものがあります。今日の試合では、ベガさんが、リュウさんからフォールを奪いましたよね?」
ヤムチャ「そうっすね」
バルログ「しかし……いきなり、ベガさんのサイコクラッシャーアタックを出してはいけません」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「ウルトラマンが、スペシウム光線を始めに使いますか? 仮面ライダーは、ライダーキックを始めに使いますか?」
ヤムチャ「……使いませんね」
バルログ「そうです。あれは、とどめの一撃に使うからこその必殺技なのです。我々がプロレスでしている技も同じです」
ヤムチャ「……同じ?」
バルログ「ベガ様ならサイコクラッシャーアタック……リュウ君だったら、真・昇竜拳……それぞれ、オリジナルの必殺技を持っています」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「この技は、決まれば一撃で相手を仕留めるという意思を持って、我々は使っています。技を受ける方も、同じです。これが決まれば、もう立てないという意思を持って、攻撃を受けています」
ヤムチャ「試合前に……サガットさんが言ってましたね……」
バルログ「……ですから、この技を使う前には、この技を使う為の攻防が必要になってきます」
ヤムチャ「……ふむ」
630:
バルログ「ベガ様の場合は、ダブルニープレス……リュウ君の場合だったら、昇竜拳や竜巻旋風脚ですね」
ヤムチャ「……なんか、皆さん、色々な技を持ってるんですねぇ」
バルログ「この技は、相手を痛めつけるという意思を持っての攻撃です。攻撃を食らう方も、また同じです」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「一撃必殺技のサイコクラッシャーアタックを仕掛ける為に……ダブルニープレスなどの攻撃で、相手を体力を奪う……と、いう感じですかね?」
ヤムチャ「……ほうほう」
バルログ「しかし、この技も先程と同じように……いきなり、仕掛ける技ではありません」
ヤムチャ「……ほう」
バルログ「今日の試合だったら……リュウ君の場合は、ショルダータックルの打ち合い……ケン君の場合だったら、蹴りやチョップの打ち合い……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「そして、私とヤムチャ君の場合だったら……蹴りの避け合いという攻防がありましたよね?」
ヤムチャ「最初のヤツですね」
633:
バルログ「蹴りやチョップの攻防を見せて……お客さんの期待を煽って……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「ダブルニープレスや、昇竜拳などの攻防を見せて、お客さんをヒートアップさせて……」
ヤムチャ「……ふむふむ」
バルログ「お客さんの盛り上がりが最高潮に達した時に……必殺技を使って、試合を決めるのです」
ヤムチャ「……ほう」
バルログ「……ここまでは、わかりましたか?」
ヤムチャ「あっ、はい……強い技を使う為には、下準備がいるって事ですね?」
バルログ「そうです。最初にサイコクラッシャーアタックや、真・昇竜拳使ったら、すぐに試合が終わってしまいますからね」
ヤムチャ「はい」
634:
バルログ「さて、では試合の流れもわかった所で……今日の全体的な試合の流れを見て見ましょう」
ヤムチャ「……全体的?」
バルログ「最後に戦ったのは……ベガさんと、リュウ君ですよね?」
ヤムチャ「……そうっすね」
バルログ「この二人は……先程言った、流れの通りに試合をしていました」
ヤムチャ「え〜っと……どういう順番だったかな……?」
バルログ「ショルダータックルの攻防から始まり……ダブルニープレスや昇竜拳のやり取りがあって……」
ヤムチャ「あ〜、確かに……そうだったそうだった……」
バルログ「……ラストにサイコクラッシャーアタックで決着という訳です」
ヤムチャ「……ラストは俺、場外にいたから、あんまり覚えてないんですけどね」
バルログ「では、その前のサガットとケン君の攻防を思い出してみましょうか?」
ヤムチャ「……へ?」
635:
バルログ「サガットとケン君の攻防は、どんな感じで始まりましたか?」
ヤムチャ「え〜っと……あっ! チョップの打ち合いでした!」
バルログ「そうですね。 チョップや蹴りの打ち合いでした。では、その次は……?」
ヤムチャ「え〜っと……確か、あっ、そうだっ! 確か、サガットさんがコーナーの上からケンさんをぶん投げたんだ!」
バルログ「そうですね。相手を痛めつける為の攻防です。サガットは、ケンに雪崩式ブレーンバスターをしましたね」
ヤムチャ「あれも、痛めつける為の攻防なんですね。 じゃあ、サガットさんは、他に必殺技があるんだ」
バルログ「さて……では、その次のサガットとケンの攻防はどうでしたか?」
ヤムチャ「へ……? どうって……アレの後、タッチして交代しませんでしたっけ?」
636:
バルログ「そうです、ここがポイントです」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「サガット達は、必殺技の攻防をしていません」
ヤムチャ「……」
バルログ「何故、しなかったかというと、必殺技の攻防をすれば、試合が決まってしまうからです」
ヤムチャ「……ほう」
バルログ「そんな事をすれば、ベガさんとリュウ君は試合に出ないまま、試合が終わってしまいますからね」
ヤムチャ「ほ〜う……なるほど……」
バルログ「次に、必殺技を使えば、決まってしまう……という、ギリギリの状態で、交代する事によって……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「試合の決着をつけずに……ベガさんとリュウ君の、攻防に繋げたというわけですね」
ヤムチャ「あ〜、そういや……リュウさんが、言ってたなぁ……お客さんが高いテンションで見てくれるとか……」
637:
バルログ「では、私とヤムチャ君の攻防を振り返ってみましょう」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「私達も同じ様に、試合の決着をつけないように、サガット達の攻防に繋げないといけませんよね?」
ヤムチャ「……そうですね」
バルログ「相手を痛めつける攻防で、終わらせたまま、交代しなければいけません」
ヤムチャ「ふむ」
バルログ「まず、最初のやり取りは、どうでしたか?」
ヤムチャ「これは、覚えてますよ! 蹴りの避け合いです!」
バルログ「そうです。ヤムチャが君が蹴りを仕掛け、私が避け……私が蹴りを仕掛け、ヤムチャが避けましたよね?」
ヤムチャ「ここまでは、打ち合わせ通りでしたよ!」
バルログ「次は、相手を痛めつける為の攻防です。何が、ありましたか?」
ヤムチャ「え〜っと……」
638:
ヤムチャ「先ず、バルログさんが、俺に握手を求めてきて……ビンタして……」
バルログ「……」
ヤムチャ「それで……踏みつけまくったでしょ?」
バルログ「そうです。私はヤムチャ君を痛めつけてますね」
ヤムチャ「それで……俺が、起き上がって……え〜っと、バルログさんに蹴り仕掛けて……」
バルログ「……」
ヤムチャ「それで、俺が……ボディスラム仕掛けたら……」
バルログ「……そこです」
ヤムチャ「……ん?」
バルログ「そこで……問題が起きたんですよ……」
ヤムチャ「へ……? あれ、あそこボディスラムじゃなかったですっけ!?」
639:
バルログ「打ち合わせでは、ボディスラムでしたよ。ただ……」
ヤムチャ「……ただ?」
バルログ「ヤムチャ君、あの時のお客さんの反応、覚えています?」
ヤムチャ「えっ……? いや、ちょっと覚えてないっす……」
バルログ「ヤムチャ君が、私に蹴りを仕掛けた時……大声援が起きてましたよねぇ?」
ヤムチャ「え〜っと……」
バルログ「私にやられてピンチだった、ヤムチャ君が……反撃に出たんです。ヤムチャ君の蹴りが出る度、お客さんは、大きな声でヤムチャ君を応援してましたよ」
ヤムチャ「あっ、そうなんだ……そこまで、見てなかったなぁ……」
バルログ「そこで、私を痛めつける為に……ボディスラムを仕掛けるというのが、当初の予定だったんですが……」
ヤムチャ「そうですよねぇ!? やっぱり、ボディスラムで合ってますよねぇ!?」
バルログ「ヤムチャ君がボディスラムを仕掛けたら時……お客さんの声援がピタッと、止んだんですよ……」
ヤムチャ「……へ?」
640:
バルログ「あれでは、次の痛めつける攻防には、いけません……」
ヤムチャ「えっ、えっ……? どういう事っすか!?」
サガット「少し、あの時、焦ってなかったか? 俺には、随分雑なボディスラムに見えたが……」
バイソン「もっと、グイっと、上げなきゃダメだよ!? グイッと、グイグイッとっ!」
ヤムチャ「え〜っと……俺、ちゃんと投げましたよ!? 何が、いけなかったんですかね!?」
バルログ「……う〜ん」
サガット「……う〜ん」
バイソン「……う〜ん」
ヤムチャ「いや、ちょっと……皆さん……!? 俺、間違ってないんすよねぇ? 何が悪かったんですか?」
641:
ダン「おい、ヤムチャ?」
ヤムチャ「……ん?」
ダン「おめぇが、バルログにボディスラムを仕掛けた時……実況と解説の二人はなんて言ってたか知ってるか?」
ヤムチャ「……えっ、なんて言ってたんですか?」
ダン「ヤムチャが強引に持ち上げて……落とす……そう、言ったんだよ」
ヤムチャ「……えっ?」
ダン「おめぇは、ボディスラムを仕掛けてるつもりかも、しんねぇけど……名前すら、呼ばれてねぇんだ」
ヤムチャ「……えっ?」
ダン「ちなみに……サガットのボディスラムは、ハイアングル・ボディスラムなんて言われてたぞ?」
ヤムチャ「……」
ダン「バルログのは、高ボディスラムだ」
ヤムチャ「……」
ダン「実況や、元さんが、そう言うって事は……お客さんも、そう思ってるって事だよ」
ヤムチャ「……えっ?」
ダン「おめぇの、ボディスラムは、相手を痛めつけるレベルまで達してねぇんだよ」
642:
ヤムチャ「だから、お客さんの声援が止まったのかな……?」
ダン「お客さんの声援が止んだって事はよぉ?」
ヤムチャ「……ん?」
ダン「お客さんは、その後にバルログを痛めつける為の技するんじゃねぇかって、待ってたんじゃねぇかな?」
ヤムチャ「……そうなのかな?」
ダン「実際、俺はおめぇ達の打ち合わせに参加してねぇけど、そう思ったしな。ダウンしてるバルログに……何か、大技仕掛けると思って、準備してたよ」
ヤムチャ「……」
ダン「プロレスってのは、大技でも60点の見栄えじゃ、意味ねぇんだよ。 簡単そうな技でも、120点の見栄えにしねぇといけねぇんだ」
ヤムチャ「……はい」
ダン「持ち上げて落とす……で、完成じゃねぇ。持ち上げて落とすを、どう格好良く見せるかだよ。バイソンだって、それわかってるから、硬い床におめぇを持ち上げて落としたんだろが」
ヤムチャ「……」
ダン「あんなチンケな投げを見るために、お客さんは集まってくれてるんじゃねぇんだぞ?」
ヤムチャ「は、はい……」
643:
バルログ「……という訳で、相手を痛めつける攻防まで、いかないまま、ケン君とサガットに交代する事になりました」
ヤムチャ「……はい」
バルログ「知り切れ蜻蛉のような形で、二人に交代したら、お客さんも盛り上ってしまいますからね」
ヤムチャ「……だから、打ち合わせにない事をしたんですか」
バルログ「えぇ、あまり経験のないヤムチャ君を引っ張っても、ボロが出そうですし……幸い、私はルチャ系ですからね」
ヤムチャ「ボロって……まぁ、確かに出そうだけど……」
バルログ「素早く、華やかな技をして、盛り上げる事は得意です。私のコーナーポストからの攻撃で、お客さんを盛り上げた後……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「ケン君とサガットの二人に、試合を始めてもらったという事です」
ヤムチャ「……そういう、理由があったんですね」
644:
サガット「……こういう打ち合わせの内容が変わる事は日常茶飯事だからな」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「自分達の中では、盛り上がるはずだったが……思ってたより、会場は盛り上がらなかった……なんて事は、よくある話だ」
ヤムチャ「……はぁ?」
サガット「そういう時は、お客さんの反応を伺いながら、アドリブを入れる事だってある」
ヤムチャ「……なるほど」
サガット「今回は、何も知らないヤムチャ君が巻き込まれる形になってしまったな……悪かった……」
ヤムチャ「い、いや……そんな事……」
サガット「……だが、こういう事も、よくあるという事は覚えておいてほしい」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「プロレスとはお客さんとの戦いだ。なんせ、対戦相手との試合結果は始めに決まっているんだからな」
ヤムチャ「そうっすね……」
サガット「だからこそ……俺達は、お客さんが、一番盛り上がるような試合をしなければいけないんだ……」
ヤムチャ「……」
サガット「お客さんが求めているタイミングで、大技を仕掛け……お客さんが求めているタイミングで試合を決着して……お客さんの声は試合中でも耳を傾けていなければならない」
ヤムチャ「……」
サガット「まぁ、経験を積めば、アドリブも効くようになるんだがな……まぁ、しばらくは俺達がフォローしよう」
ヤムチャ「う、うっす……!」
649:
プーアル「そういや、僕最後の方、見てなかったんですけど、ヤムチャ様は最後の方、何をしてたんですか?」
ヤムチャ「……あのなぁ? 俺、頑張ってたんだぞ?」
プーアル「だって、リング上でベガさんとリュウさんが戦ってたんですよ? 普通、そっちを見ちゃいますよ」
ヤムチャ「プーアル謝れ! 俺と、バイソンに謝れっ! 俺達、頑張ってたんだぞ!」
バイソン「いやいや、ヤムチャ君……プーアル君の言う通りだよ。普通はリングで戦ってる人間を見ちまうもんだよ」
ヤムチャ「……えっ?」
バイソン「プーアル君、俺達は場外で戦ってたんだ。場外のお客さんの目の前でな」
プーアル「お客さん、危なくないんですか? 大丈夫なんですか?」
バイソン「まぁ、その辺は気を使ってやってるから大丈夫だよ。折角、会場に来てくれたお客さんだから、やっぱり迫力のあるもん見てもらいてぇしな」
ヤムチャ「……迫力って、どういう事ですか?」
650:
バイソン「まぁ、プロレスってのは、リングの上で戦うもんだ。だが、会場は広い」
ヤムチャ「……ふむ」
バイソン「最前列にいるお客さんならともかく……後ろの方にいるお客さんには、豆粒のような大きさにしか、見えねぇ事だってある」
プーアル「そうですね」
バイソン「だから、俺達は派手な技をするんだ。派手な投げをしたり……コーナーから、飛んで攻撃したり……」
ヤムチャ「……ほうほう」
バイソン「それだったら、後方にいるお客さんだって、一発ですげぇ技をしてるってわかるだろ?」
プーアル「そうですね」
バイソン「派手な技ってのは、そういうもんだ。一番後ろで見てるお客さんも、凄いと思うような見栄えの技にしなければいけねぇ」
ヤムチャ「……俺のボディスラム、もっと派手にしなきゃいけねぇのか」
バイソン「だが……アプローチの方法は他にもある。 後方のお客さんが遠くてわからねぇなら……こっちから近づけばいいんだよ」
653:
バイソン「俺はヤムチャ君を、鉄柵外に連れ出し、お客さんの目の前まで行って戦っただろ?」
ヤムチャ「はい」
バイソン「アレ、お客さんは、どう思ったかな?」
ヤムチャ「……えっ?」
バイソン「豆粒のような大きさにしか見えない、戦いだったのに……突然、目の前で俺とヤムチャ君が戦いを始めるんだ。僅か1メートルの距離でな?」
ヤムチャ「……ほうほう」
バイソン「リング上では、試合が決まりかけている……だが、目の前では、僅か1メートルの距離で大男が二人、戦っているんだ。こりゃ、パニックだよ」
ヤムチャ「……ほうほう」
バイソン「場外乱闘ってのは、そういう為に使うんだよ。お客さんにより近くで戦いを見てもらう為にな」
ヤムチャ「だから……あんな、遠くにまで連れ出したんですね」
バイソン「あぁ、戦うのはリングの上だけじゃねぇって事だ。まぁ、反則だけどね」
ダン「でも、そういう理由でやってるなら、俺は場外カウントゆ〜っくり、とってやるぞ! ヤムチャ、お前も見習えよ!」
ヤムチャ「あっ……はい……」
654:
サガット「俺達はヒール軍団で、反則技を使って、相手を苦しめる……という、設定だ」
ヤムチャ「……ほう」
サガット「勿論、ダンさんもその事はわかっている。だから、俺達の反則技が成立しやすい様に、協力してくれている」
ダン「おう、そうだぞ! 感謝しろよ、おめぇら!」
サガット「反則技で、相手を不利な状態にして、ダメージを与えて試合の流れを作ったり……場外に連れ出したりして、交代を妨害したりな……」
ヤムチャ「……ほう」
サガット「……だが、リュウ君達はどうだ?」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「彼らは、ベビーという縛りがある分、反則技は使えない……正義のヒーローが、反則技を使えば、それは正義のヒーローじゃないからな」
ヤムチャ「……ふむ」
サガット「クリーンなファイトでここまで人気が出たのはいいが……そのせいで、伸び悩んでいるんだと、俺は思う……」
655:
ーーー
ザンギエフ「……ベガ、明日はお前がメインだ」
ベガ「私と豪鬼さんの試合が、メインイベントですか」
ザンギエフ「あぁ、豪鬼となら、客入りも大丈夫だろう……」
ベガ「……リュウとの、抗争はどうするんですか?」
ザンギエフ「暫くはサガット達と試合を組んでおく……結局、試合を作ってたのは、お前やサガットだろう?」
ベガ「……そうですね」
ザンギエフ「お前に負けて、声援をもらってるようじゃ、まだまだだ……ブーイングを浴びるぐらいまでにならんとな」
ベガ「……確かに」
ザンギエフ「ヤムチャを加えたのに……奴らは、何も変わってはいないではないか……」
ベガ「しかし、明後日の試合はどうするのですか……? 豪鬼さんと戦うのは……リュウですか? それとも、サガットですか……?」
ザンギエフ「う〜む……サガットに組ませたいのだがなぁ……だが、やはりリュウだろうなぁ……」
656:
ヤムチャ「サガットさんと、リュウさんって、実際の所、どっちが強いんですか?」
サガット「ん……? それはだな……」
バイソン「ガチで強いのは、リュウだな! アイツは昔、空手で結構いい所まで行ってたらしいし!」
サガット「……くっ!」
バルログ「会場人気でも、リュウ君です。彼の方が華やかな技を持ってますしね」
サガット「……痛い所を」
ダン「だけど……上手いのは、サガットだな。リュウに足りないのはそこだよ」
ヤムチャ「……上手い?」
ダン「あぁ、今日はこういう流れで試合を作りましょうとか……試合の攻防をリードしていく能力だ」
ヤムチャ「……はぁ」
ダン「サガットは、技は地味だけど……試合の流れを左右する攻防を作るのが、上手ぇからな」
ヤムチャ「何か……よくわかんなくなってきたぞ……」
657:
サガット「まぁ、その辺は経験だな。ヤムチャ君にも、覚えてもらわなければいかん」
ヤムチャ「……また、勉強っすか?」
サガット「ヤムチャ君が今、使える技は、狼牙風風拳と、ボディスラムと、バックドロップの三つだけだろう?」
ヤムチャ「あっ、そうっすよね……三つだけって、何か寂しいですよね……何か、他にも技を教えて下さいよ!」
ダン「バーカ! 何、言ってんだ! ボディスラムもまともにできねぇ癖に!」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「あぁ、技のレパートリーを増やした所で、技を使いこなせなければ、意味がない」
ヤムチャ「……そうっすか」
サガット「ヤムチャ君には、この三種類の技と、パンチや蹴りだけで、試合を作る事を覚えてもらう」
ヤムチャ「……えぇ!?」
サガット「それが上手さだ。明日、道場で付き合おう。また、特訓だ」
ヤムチャ「ちょっと、待って下さいよ……俺、特訓はそんなに好きな方じゃないのに……」
プーアル「ヤムチャ様、文句を言わない!」
658:
プーアルで吹くwww
662:
翌日、道場ーー
サガット「さぁ、今日も特訓だ」
ヤムチャ「……う〜っす」
サガット「……バルログ、準備は出来ているな?」
バルログ「えぇ、準備オッケーですよ?」
ヤムチャ「ん……? バルログさん、何してるんですか?」
サガット「今から、ヤムチャ君には、俺と蹴りの打ち合いの攻防をしてもらう」
ヤムチャ「……ほぅ」
バルログ「それを遠くから、私がビデオカメラで撮ります」
ヤムチャ「……なんで、また?」
サガット「今、バルログがいる位置は、観客席の位置……つまり、お客さんの目線だ」
ヤムチャ「……ほう」
サガット「自分でやっている動きと、お客さんから見た時の動きの違い……それを見れば、自分の問題点がわかるんじゃないかな?」
ヤムチャ「……なるほど」
サガット「では、行くぞ……? お互い蹴りの打ち合いで、徐々にダメージが蓄積されていくという攻防だ。準備はいいな?」
ヤムチャ「う、うっす……!」
663:
サガット「……オラァっ!」
ヤムチャ「……くっ!」
サガット「ほら、次はヤムチャ君の番だ……こいよ……」
ヤムチャ「よしっ……! おらぁっ……!」
サガット「……ぐっ!」
ヤムチャ「よ、よしっ……! 次はサガットさんの番ですよ?」
サガット「よし、俺の番だな……オラアァっ!」
ヤムチャ「ぐっ……よ、よしっ……! 次は、俺の番だな……おらぁっ!」
サガット「ぐ、ぐっ……!」
バルログ「……」ジーッ
664:
ーーー
サガット「よし、じゃあ、今の攻防を映像で確認してみようか……」
ヤムチャ「結構、自分ではいい感じにやってたと思いますよ?」
バルログ「では、早見てみましょうか……はい、どうぞ……」
ヤムチャ「おっ、どれどれっと……んっ……?」
サガット「……」
バルログ「……」
ヤムチャ「アレ……? なんか、サガットさんに比べて……俺の動きが地味なような……」
サガット「……と、まぁこれがお客さんから見た、ヤムチャ君だ」
バルログ「……思ってたより、地味でしょう?」
ヤムチャ「あれ……? 何がいけねぇんだ、これ……?」
665:
バイソン「もっと、オーバーにやらなきゃいけねぇよ! オーバーによぉ!?」
ヤムチャ「そ、そうっすよね……」
サガット「……ヤムチャ君は、まだプロレスやる事に抵抗があるように見えるかな?」
ヤムチャ「……えっ?」
サガット「何処か、格闘技風の蹴りに見えるな……相手の急所を素早く仕留める……そんな蹴りに見えるよ」
ヤムチャ「そうかも……しれませんね……」
バルログ「格闘技でダメージを与える技なら、それで構いませんが……これは、プロレスです。大ダメージを与えるなら、より派手で大きな動きが必要とされます」
ヤムチャ「……ふむ」
バイソン「どうせ、俺達は避けねぇんだ! 動きを溜めれば溜める程、強そうに見えるからよ!」
ヤムチャ「……溜める?」
666:
バルログ「少し、お手本を見せましょうか……バイソン、よろしくお願いします」
バイソン「おう!」
バルログ「例えば……これはトラースキックという技ですが……」
ヤムチャ「……ふむ」
バルログ「相手を蹴る前に、少し体制を屈めて……」ググッ
ヤムチャ「……ふむふむ」
バルログ「そのまま、身体を伸ばす勢いで、相手の高い位置を蹴りますっ……!」スパーンッ
バイソン「……ぐ、ぐわっ」
ヤムチャ「……おぉ!」
バルログ「普通の蹴りより、強そうに見えるでしょう? この技は色々と応用が効きますよ?」
ヤムチャ「……応用?」
サガット「連続技の中に、仕込んだり……相手が起き上がるタイミングに合わせて、溜めを作ったりな……」
ヤムチャ「……ほうほう」
サガット「格闘技だったら、隙を与えず攻撃をする事が一番いいだろうが、これはプロレスだ。隙があったとしても、相手は待っていてくれる」
ヤムチャ「……ふむふむ」
サガット「意図的に技に入らない事で、同じ技でも見栄えが変わってくるという訳だ」
ヤムチャ「なるほどねぇ……」
668:
ヤムチャ「よし……溜めて……」ググッ
サガット「……うむ」
ヤムチャ「……蹴るっ!」スパーンッ
バルログ「おっ、いい感じじゃないですか?」
ヤムチャ「おっ、そうっすか?」
バイソン「ヤムチャ君、ボディスラムとはえらい違いじゃねぇか!? 打撃技はセンスあるんだね!」
ヤムチャ「……それ、投げ技にはセンスないみたいじゃないですか」
サガット「暫くは、トラースキックがヤムチャ君の必殺技だな。次は、トラースキックをもっと有効に使える場所を作ってみよう
ヤムチャ「……有効って、どういう事ですか?」
669:
バイソン「ヤムチャ君の今、使える技は、狼牙風風拳と、トラースキックと、ボディスラムとバックドロップだろ?」
ヤムチャ「はい」
バルログ「お客さんの目線から見た派手さでは、狼牙風風拳が一番……そして、二番目はトラースキックです」
ヤムチャ「……ふむふむ」
サガット「つまり、俺達に大ダメージを与えるには、狼牙風風拳か、トラースキックを使う必要がある……と、いう事だ」
ヤムチャ「……なるほど」
サガット「ヤムチャ君のトラースキックは派手だが……多用しすぎると、技に説得力がなくなるだろう」
ヤムチャ「……説得力?」
サガット「あぁ、強そうな技を使っても、相手に全くダメージがない……なんて事だったら、おかしい話だろ?」
ヤムチャ「……ふむ」
サガット「だから、その技は、相手を痛めつける攻防の、ここ一番という時に使う事にしよう」
670:
ヤムチャ「……って、事は」
サガット「……どうした?」
ヤムチャ「俺、昨日の試合で、ボディスラムやった後、何かするんじゃないかって思われてたんですよね?」
サガット「……そうだな」
ヤムチャ「そういう所で使えばいいんですかね?」
サガット「うむ、いいな……ボディスラムで相手を投げて……起き上がりのタイミングに合わせて、相手に当てる……それなら、説得力も出そうだ」
ヤムチャ「おうおう、なんかいい感じになってきたじゃねぇか! ちょっと、やってみたいっす! バイソンさん、付き合ってもらってもいいですか?」
バイソン「おうよ! 任せておけっ!」
ヤムチャ「じゃあ、バルログさん……ビデオ回してもらってもいいですか!?」
バルログ「はいはい、わかりましたよ。では、始めて下さい……」
ヤムチャ「うっす!」
671:
ヤムチャ「持ち上げて……」
バイソン「おっ、おおっ……」
ヤムチャ「……落とすっ!」
バイソン「……ぐっ!」
ヤムチャ(後は、起き上がるタイミングに合わせて……溜めてっ……!)ググッ
サガット「……む?」
バイソン「くっ……おっ……おおっ……」ムクッ
ヤムチャ「……おらぁっ!」スパーンッ
バイソン「……ぐわぁ」
バルログ「……」ジーッ
674:
ーーー
ヤムチャ「よっしゃ、よっしゃ! どうですかね!? 早、チェックしてみましょうよ!」
バルログ「はいはい、巻き戻すので、待っていて下さいね……よっと、できましたよ?」
ヤムチャ「よ〜し、早見てみるか! おっ、おおっ! 凄ぇ、いいじゃん! 俺、格好いいじゃん」
バイソン「お〜、想像してたより、いい感じになってるじゃん! なぁ、バルログ!?」
バルログ「えぇ、ここから見てても、いい出来だったと思いますよ?」
ヤムチャ「よっしゃ! トラースキックはモノにしたんじゃねぇか!? やっぱり、俺センスあるじゃねぇか!」
サガット「……ヤムチャ君、ちょっと待ってくれ」
ヤムチャ「……ん、どうしたんですか?」
675:
サガット「悪いが、狼牙風風拳の構えをしてもらいたい……」
ヤムチャ「えっ、どうしたんですか……?」
サガット「俺の思い過ごしかもしれない……まぁ、とりあえず、構えてくれ……」
ヤムチャ「え〜っと……はい……」シュッ
サガット「よし、次はトラースキックだ……構えてくれ……」
ヤムチャ「何なんですか、いったい……も〜う……」ググッ
バルログ「……あっ」
バイソン「……あっ」
サガット「やはり、そうか……」
ヤムチャ「あれ、どうしたんですか? 俺、何かやっちゃいました……?」
676:
サガット「ヤムチャ君の、狼牙風風拳に入る時の構えと、トラースキックを溜める時のモーションが似てるんだ」
ヤムチャ「……へ?」
バイソン「サガット、よく気づいたな? 確かに、似てるから変えた方がいいわ、これ」
ヤムチャ「え〜っと……似てたら、問題でもあるんですかね……?」
バルログ「そりゃ、ありますよ。トラースキックをしようとして、お客さんが狼牙風風拳すると思ったら、どうなると思います?」
ヤムチャ「え〜っと……それは……」
サガット「折角のトラースキックが台無しだ。なんだ、狼牙風風拳じゃねぇのかよ……なんて、お客さんはガッカリするだろうな」
ヤムチャ「マ、マジっすか!?」
サガット「自分がこの動きをしたら、この技に入るんだ……と、いうのをしっかりしておいた方がいいな。モーションは変えた方がいい」
ヤムチャ「じゃあ、溜める時の構え……変えてみます……」
サガット「うむ、身体で覚えた方がいいと思う。デビュー戦での狼牙風風拳は強烈だったからな。お客さんはきっと構えをまだ覚えているだろう」
677:
ーーー
ヤムチャ「よし、溜めて……」ググッ
バルログ「ダメです、ヤムチャ君! また、癖が出てますよ!」
ヤムチャ「……えっ?」
バイソン「ほら、自分の構え見てみなよ……最初のに戻ってるじゃん……」
ヤムチャ「あっ……しまった……」
バルログ「う〜ん……ちょっと、試合まで時間がないのに、困りましたねぇ……」
ヤムチャ「やっぱり、いつもこの構えで戦ってましたからね……いきなり、違う構えしろって言われても……」
サガット「……だが、お客さんが狼牙風風拳だと、勘違いしてしまったら大変な事になるぞ?」
ヤムチャ「そうっすよね……リュウさんとケンさんにも怒られそうだし……なんとかしなきゃ……」
バイソン「とにかく、数こなして練習だよ! 身体で覚えよう!」
ヤムチャ「うっす!」
プーアル「皆さん! ヤムチャ様の練習に付き合って頂いてありがとうございます! ザンギエフさんから、今日の予定表もらってきましたよ!」
サガット「おっ、プーアル君、ありがとう。 早、見てみるか」
680:
本日の予定試合
第一試合(10分決着)
×コーディ ー ソドム◯
第二試合(10分決着)
◯ブランカ ー ディージェイ×
第三試合(15分決着)
かりん ー キャミイ
×さくら 春麗◯
第四試合(15分決着)
ヤン ー ガイル ×
◯ユン ナッシュ
第五試合(20分決着)
ヤムチャ バイソン×
ケン ー バルログ
◯ リュウ サガット
第六試合(30分決着)
×ベガ ー 豪鬼 ◯
ヤムチャ「プーアル! プロレス団体から俺にオファーが来たぞ!」【後編】へつづく
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SSが書籍化!!
SS報VIP傑作集 勇者と魔王篇
橙乃ままれ
アニメ
・まおゆう魔王勇者 (1)
・まおゆう魔王勇者 (2)
・まおゆう魔王勇者 (3)
・まおゆう魔王勇者 (4)
・まおゆう魔王勇者 (5)
・まおゆう魔王勇者 (6)
書籍
・まおゆう1 「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」
・まおゆう2 忽鄰塔(クリルタイ)の陰謀
・まおゆう3 聖鍵(せいけん)遠征軍
・まおゆう4 この手でできること
・まおゆう5 あの丘の向こうに 特装版
・まおゆう5 あの丘の向こうに 通常版
・エピソード1 楡の国の女魔法使い
・エピソード0 砂丘の国の弓使い
外伝
・ まどろみの女魔法使い
まおゆう4コマ
・「向いてませんよ、魔王様」
・まおゆう魔王勇者~丘の向こうへ(1)
・まおゆう魔王勇者~丘の向こうへ(2)
・まおゆう魔王勇者~丘の向こうへ(3)
石田 あきら (著)
・まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(1)
・まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(2)
・まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(3)
・まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」(4)
浅見よう (著)
・まおゆう魔王勇者(1)
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・まおゆう魔王勇者(3)特装版
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