貴音「プロデューサーは心配症」back

貴音「プロデューサーは心配症」


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1:
765プロ 事務所
P「」ソワソワ
P「」ソワソワソワソワ
P「」ソワソワソワソワソワソワ
律子「ああああ!! 鬱陶しい!! バカみたいにソワソワしてっ!!」
P「だ、だって! 貴音がまだ帰って来てないんだぞ!?」
P「もう5時半だ! 5時半! いくらなんでも遅すぎる!」
律子「小学生じゃあ無いんですから……」
3:
P「見ろ! 外だってもうこんなに真っ暗だ!」オロオロオロオロ
小鳥「日が落ちるの早くなりましたからねー」
P「なんでそんなに能天気なんですか! そんなんだから婚期も逃s」
小鳥「(ニッコリ)」
P「……ごほん」
P「……暗がりに隠れた悪漢に『チャオ☆』や『チャオ☆』みたいな目にあわされてるかと思うと」ゾワワ
律子「まさかそんなわk」
P「だ、ダメだ! 想像したら心配になってきた!!」
P「うおおおおお!! 貴音ぇぇぇぇぇぇ!!!」
P「貴音ぇぇぇぇぇぇ!!」ダダダダダダダ
4:
ラーメン屋
貴音「……ズズッ」
貴音(仕事を終えた後のらぁめんは格別ですね)
貴音「……ズズズッ」
戸「ガラガラッ」
P「貴音ぇぇぇぇぇぇ!!」
貴音「!?」ビクッ
P「た、貴音! ここにいたのか! 心配したんだぞ!」
P「こんな遅くまでなにをしてるんだ!」
6:
貴音「ズッ!」
貴音(らぁめんを食しております!)
P「こんな時間までか? いくらなんでも遅すぎる!」
貴音「……ズズズズッ!」
貴音(まだ6時を回ったばかりですよ?)
貴音「……ズズズイッ! ズズイッ!」
貴音(わたくしとて子供ではありません。あなた様は神経質過ぎです!)
P「俺に口答えするのか!」
P「お前をずっとプロデュースしてきたのは俺なんだぞ!」
7:
P「良いから帰るぞ貴音!」グイッ
貴音「ズズッ!?」
貴音(らぁめんまで取り上げようと言うのですか!?)
貴音「ズッ……」
貴音(それはあまりにもいけずです……あなた様……)
貴音「……」ゴクゴク……
P「……」
貴音「ごちそうさまでした」フ-
P「……」
貴音「……」フキフキ
P「……」
貴音「さて、と」
貴音「もういい加減にしてください!」ダッ
P「ああっ! どこへいく!」
9:
・・・
貴音「ついてこないでください」
P「夜の街で何をする気だ貴音! 非行は俺が許さないぞ!」
貴音「いい加減、奇行に付き合わされる身にもなってください! わたくしも恥ずかしいのです!」
P「ええい生意気な! 俺がいないと仕事も取れないくせに!」
貴音「事務所の誰一人『しぃらんく』にも連れていけない人が偉そうに言うものです!」
P「うぐっ!?」ビクッ
P「そ、それを……」
貴音「……」フンス
P「それを言うのは反則だろぉ……」グスッ
貴音「……」
11:
貴音(いつからこうなってしまったのでしょう……)
貴音(昔はあんなにも優しく頼りがいのある方だったと言うのに)
貴音(今ではただ口うるさいだけではございませんか……)
貴音(昔は、もっと……)
・・・・・
・・・・
・・・
・・

13:
・・・
貴音『あなた様! 巨大な城が!』
P『ああ、あれはマジンガーだよ』
貴音『まじんがー……』キラキラ
貴音『で、ではあれはなんと言うのです?』ワクワク
P『あっちはマジンカイザー。隣に並んでるのは真ゲッターロボっていうんだ』
貴音『まじんかいざー、しんげったー……』キラキラ
貴音『あなた様は物知りなのですね!』
P『ちなみに俺はマジンガーを動かせる』
貴音『な、なんとっ!』
・・・
貴音(あなた様は世間知らずのわたくしに色々な事を教えてくださいました……)
貴音(あれこれと質問ばかりのわたくしに、嫌な顔ひとつせず……)
18:
・・・
貴音『あなた様? なにやら心惹かれる香りが……』
P『ああ、ラーメン屋だ』
貴音『らぁ、めん?』
P『初めてか? 折角だし食べてみようか。ご馳走するよ』
貴音『よ、よろしいのですか?』ゴクリ
P『もちろん。何と言っても俺は貴音のプロデューサーだからな!』
貴音『あなた様……』ジ-ン
・・・
貴音(あなた様と食事を共にした時でしたね、らぁめんとの出会いは……)
貴音(今では、らぁめんはわたくしの『そうるふーど』です)
貴音(なによりあなた様と食事を共に出来た事がうれしかったのです)
貴音(それだと言うのに……)
・・・
19:
翌朝
765プロ事務所
P「……zzz」
律子「ちょっとプロデューサー。もう始業時間ですよ?」
律子「いい加減起きてください」
P「……zzz」
律子「……このダメ男」ボソッ
P「なんだと! 俺は遅くまで書類と格闘しててだな」ガバッ
律子「仕事の途中で事務所を飛び出すから徹夜なんてする羽目になるんです!」
20:
貴音「……」
P「あ、貴音」
P「おはよう。昨日は帰れなくてごめんな。よく眠れたか?」
貴音「……」
P「……貴音、昨日の事でまだ怒ってるのか?」
貴音「……」
P「貴音?」
貴音「あなた様……」
貴音「家にも帰らないと思えば、律子嬢にまで迷惑をかけ、あまつさえわたくしには口うるさく小言を言う……」
貴音「我慢できません!」
貴音「もうわたくしには話しかけないでください!」
P「なんとっ!?」
P「何を言い出すんだ!」
貴音「……ふんっ!」プイッ
25:
・・・
律子「貴音、1人で仕事に行っちゃいましたね」
P「うーん……。まぁどうせすぐに機嫌直してくれるだろ」
P「それより1人で大丈夫かな……」
P「グラビア撮影と称してスタッフに『チャオ☆』なんてされたりしてないよな?」
律子「懲りませんね……」
律子「貴音がなんであんなに怒ったのか考えたりはしないんですか?」
P「難しい年頃だからなぁ。いちいち取り合ってたらキリがないさ」
律子「……そーですか」
・・・
29:
・・・
終業後
P「久しぶりに家に帰るか」
P「お土産でも買って帰れば少しは機嫌直してくれるだろうか」
P(……)
P『お土産だぞー! 貴音ー!』
貴音『まぁあなた様!ありがとうございます!』
貴音『あなた様はわたくしをここまで思っていてくださったのですね……。そうともしらず申し訳ございませんでした……』ウルウル
P『ハハハ! 良いってことよ! 俺は貴音のプロデューサーだからな!』
貴音『あなた様ぁ!』
P『貴音ぇ!』
P『えんだあああああああああ』
貴音『いやああああああああ』
P(……)
P「よしっ! いける!」グッ
・・・
35:
・・・
P宅
P「ただいまー」
P「……」
P「貴音はまだ帰ってないのか」
P「じゃあ飯でも作って待っててやるかな」
P「さきにテーブルを片付けて……」
ボトッ
P「……手帳? 貴音の日記かな」
P「……」ペラリペラリ
・・・
38:
○月○日
「あの方から『ぼぉるぺん』なるものを頂きました。まこと面妖な音を奏でる楽器で、夢中になって演奏していたら響に怒られてしまいました」
P「……」
○月△日
「あの方から『ぱふぇ』なるものをご馳走して頂きました。甘味もいいものですが、わたくしはらぁめんの方が好きです。そう伝えるとあの方は苦笑いしながら付き合ってくださいました」
P「……」
○月□日
「今日もあの方が色々な事を教えてくださいました。自分の世界が広がってゆくのを感じます。明日は何を教えてくださるのでしょうか」
「月を眺めるのがこんなにも憂鬱なのは初めてです」
P「……」
P「貴音には良い友達が出来たみたいだな……」
P「……『あの方』ってのは誰の事なんだろう」ペラペラ
P「……」
40:
△月○日
「あの方の誕生日が近づいて来ました。日頃のお礼に何か贈り物をしたいものです。しかし殿方を喜ばせる術をわたくしは知りません……」
P「お、男だったのか……」ワナワナ
「平生ならばあの方になんでも尋ねることが出来ましょう。しかし今回ばかりはわたくしが自分で考えなければ意味の無いこと」
P「随分と入れ込んでるんだ」
P「……」
P「そういえば最近、なんにも相談してくれなくなったよなあ」
P「どうしてだろ」
ドア「ガチャ」
貴音「ただいま帰りました」
P「あ、おかえり貴音」
43:
貴音「あなた様? なにをお読みに……」
貴音「!!! そ、それは」
P「ん? ああ。やっぱり貴音の日記だったのか」
貴音「よ、読んだのですか……?」
P「ああ、ちょっとだけ。ごめんな」
P「しかし関心しないなアイドルともあろうものが1人の男に……」
貴音「……!」パシ-ン
P「……っ!」
P「な、なにを」
貴音「見損ないました! 人の日記を読むなど……ふしだらです!」
P「お、俺はお前が心配で……!」
貴音「お黙りなさい! いくらなんでもやり過ぎというもの!」
貴音「あなた様なんて大嫌いですっ! もうこのような者がいる家には帰ってきません!」
P「た、貴音!」
貴音「好きにさせていただきます!」
45:
・・・

公園
貴音「……」
ギ-コ…ギ-コ…
貴音「……」
ギ-コ…ギ-コ…
貴音「……」ハァ
律子「貴音?」
貴音「律子嬢……」
貴音「どうしてこんなところに」
律子「それはこっちのセリフよ。こんな時間に出歩いてたら、どっかの誰かがうるさいんじゃない?」
貴音「……」
48:
律子「貴音?」
貴音「……もう、よいのです」
貴音「あのような者の事など、わたくしの知ったことではありません」
律子「……喧嘩、したのね」
貴音「……」
貴音「昔はもっと優しい方でした……」
貴音「なのに今では……」
貴音「わたくしはもう、あの方のおかしな姿は見たくありません」
律子「……そう」
律子「……」
51:
律子「ねえ貴音、事務所に行きましょう?」
貴音「事務所に、ですか?」
律子「うん。どうせ家には帰る気にはなれないんでしょう? 私もいてあげるから」
貴音「分かりました。ご迷惑を……」
律子「気にしないの」
律子「……」
律子(貴音と喧嘩したとなれば、あの人もどうせ……)
54:
・・・
同時刻
765プロ 事務所
P「聞いてくださいよ……小鳥さぁん……」グス
小鳥「はいはい、聞いてますよ」
P「俺、貴音と喧嘩しちゃったんですよ……」
P「大嫌いだって言われて、家出されてしまいました……」
小鳥「そういえば、プロデューサーさんと貴音ちゃんは一緒に住んでましたね」
P「俺が勝手に引き取っただけです……」
P「身寄りのいない貴音が寂しい思いをしないようになるべく一緒にいてあげたかったんですが……」
小鳥「……」
小鳥(メール? 律子さんから……)
55:
P「最近はどうも貴音にも好きな男が出来たみたいで……。俺はもうお邪魔虫みたいです……」
P「昔はなんでも話してくれたものですが、最近はどうも避けられている気がして……」
小鳥「……」
小鳥「プロデューサーさん。少し飲み過ぎですよ。私ちょっとお茶いれてきますね」
P「あ、はい」
P「……」
P「親代わりも、そろそろお役御免なのかな……」
58:
・・・
ドアの外
貴音(なんと……)
貴音(すべて、わたくしの所為だったのですね……)
貴音(あの方はいつでもわたくしを思っていてくださったというのに……)
貴音(わたくしが面倒臭がって、疎んじて)
貴音(何も話さなくなってしまったから……心配症になってしまったのですね……)
貴音「あなた様ぁ……」グスッ
律子「……」
律子(まったく面倒くさい親子なんだから……)
律子「ほら、さっさと行って話して来なさい?」
律子「もう日付も変わってしまったわね……さて今日はなんの日だったか」
貴音「!」
貴音「律子嬢、いってまいります!」
律子「はいはい」
・・・
62:
・・・
ドア「ガチャ」
貴音「あなた様……」
P「た、貴音!」
貴音「あの、このたびはまことに申しわk」
P「いい、いんだそんなこと……」
P「よく……帰って来てくれた……」ギュ
貴音「……」
P「ごめんなぁ貴音。目障りだったろう……」
P「日記も勝って読んでしまって本当にすまない」
貴音「……」
P「でも、お節介もこれで最後だ。お前が選んだ男なら間違いはないと思う……」
P「幸せになるんだぞ。お前の幸せは俺の幸せなんだ」スッ
P「……なんと言っても俺は、お前の親代わりなんだから」
貴音「あなた様……」
63:
貴音「……わたくしからもお話があるのです」
P「ああ。なんでも話してくれ」
貴音「実はわたくし、予てよりある殿方をお慕いしているのです」
P「……ああ」
貴音「その方はわたくしに色々なものを与えてくれました」
P「ああ……」
貴音「もう、その方以外と幸せになれるなどとは思えないのです」
貴音「できることなら、その方と添い遂げたい……」
P「……なら、それを本人にいってあげなさい」
貴音「……ですから、先ほどから申し上げているではありませんか」
P「……」
P「えっ?」
貴音「……」ニコリ
65:
P「でも、あの日記に書かれていた男は? あの、誕生日が近いっていう……」
貴音「あなた様はご自身の誕生日も忘れてしまったのですか?」
P「あ……」
70:
貴音「わたくしの幸せがあなた様の幸せだと言うのなら」
貴音「どうかわたくしめをもらってやってください……」ギュ
貴音「……もう、親代わりはお役御免ですね」
貴音「ね? 『あなた様』?」
おわり
73:
乙!
74:
えんだあああああああああ
8

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