海未「もうすっかり秋ですね」back

海未「もうすっかり秋ですね」


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1:
海未「朝はだいぶ冷え込みますね……」
海未(いつの間にか日も短くなってきましたし)
海未(おっと。そろそろ行かないと、遅れてしまいますね)
海未「行ってまいります」
海未(よく見ると、空の色も夏の青とは違いますね)
海未(風も冷たく感じます)
海未(……なんだか、人恋しいですね)
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2:
――放課後、部室
海未(なんだか今日はつかれましたね)
凛「あぁーっ!」
海未「」ビクッ
凛「にこちゃん、凛のお菓子食べちゃったの!?」
海未(……凛?)
4:
にこ「なによ、そこに置いておくのが悪いのよ」
凛「よく見るにゃ! ここに凛の名前書いてあるでしょ!」
海未(名前書いていたんですか……)
にこ「そ、そんな小さく書いたって、見えるわけないじゃない!」
凛「これのどこが小さいにゃ! にこちゃん老眼なの!?」シャーッ
海未(凛は見ていて飽きませんね)
6:
にこ「ろ、老眼!? そんなわけないでしょ! にこをなんだと思ってるの!?」
凛「後輩?」キョトン
海未(いつもいろんな表情を見せてくれます)
にこ「あんた……いい加減にしないと怒るわよ」
凛「怒ってるのはこっちにゃ!」
海未(怒った顔もかわいいですね)
8:
海未(……? あれ、今、私何を)
にこ「いいわ。全面戦争、始めましょうか」ガタッ
凛「のぞむところにゃ」ガタッ
海未(……それより、そろそろ二人を止めないと)
海未「二人とも」
にこ「」ビク
凛「」ビクッ
9:
にこ「あの、これは、違うのよ? 凛が」
海未「ほう、凛が?」
凛「ち、違うにゃ! にこちゃんが凛のお菓子を……」
海未「両成敗です」キッ
にこ「」
凛「」
10:
海未「二人とも、そこに座りなさい」
海未「以前にも言いましたよね、部室で暴れるなと」
海未「そもそも二人は普段からもう少し落ち着きを――」
海未「――わかりましたね!」
にこ「……はい」
凛「わかったよ……」
絵里「……そろそろいいかしら?」
海未「! 絵里、いつの間に」
11:
絵里「いえ、私だけじゃなかったのだけど……もう皆屋上に向かったわ」
海未「もうそんな時間ですか……」
にこ「あの、にこももう行っていい?」
海未「ええ、構いませんよ。長い間引き留めてすみません」
にこ「いいのよ……今回ばかりはにこが悪かったわ」
絵里「私も行くわ。準備ができたら二人も来てちょうだいね」
海未「はい、わかりました」
凛「了解にゃ」
12:
海未「ふぅ……」
海未(また、怒ってしまいました)
海未(毎度こうでは、いつか嫌われてしまうかもしれませんね)
海未(……いえ。ですが、普段から皆を律しなくては、ラブライブ出場は果たせないでしょう)
海未(もう、遊びでやっているのとは訳が違うのです)
海未「……っ」
13:
凛「? 海未ちゃん、どうしたにゃ?」
海未「いえ、なんでもありません」
凛「そう?」
海未「はい。さあ、凛も練習に行きましょう」
凛「うん、わかったにゃ」タタタッ
14:
海未(私一人になってしまいました)
海未「……」
海未(なんだかんだ言って、静かな部室に一人というのはさみしいですね)
海未「……凛」
海未(……凛が頭に浮かぶのは)
海未(きっと凛のことが……)
15:
凛「呼んだかにゃ?」
海未「」ビクッ
凛「海未ちゃん?」
海未「り、凛。先に行ったのでは?」
凛「海未ちゃんが来ないからどうしたのかなぁ、って思って」
海未「そ、そうですか。すみません、私も向かいます」
16:
凛「……ねえ、海未ちゃん」
海未「はい?」
凛「今日、海未ちゃんの家に寄っていっていい?」
海未「……ええ、大丈夫ですよ」
凛「ありがと。じゃあ、練習の後で」
海未「はい。ではそろそろ行きましょう。皆も待っているはずです」
凛「うん!」
18:
海未「1、2、3……あっ」
絵里「どうしたの、海未?」
海未「いえ、弓道部に行く用事があるのを思い出して」
絵里「そうなの? 大丈夫よ、あとは任せてちょうだい」
海未「すみません。日が暮れる前には、解散にしてもらって構いませんので」
絵里「海未も、あんまり無理はするんじゃないわよ?」
海未「はい。では、お先に失礼します」
海未(あとで凛に連絡しておかなくては)
凛「……」
19:
――昇降口
海未(思いのほか長くなってしまいました)
海未(日も暮れましたし、皆はもう帰ったでしょう)
海未(夜になると、また肌寒いですね……)
海未(羽織るものを一枚用意する必要がありますね)
海未(……おや、あそこにいるのは)
20:
凛「あ、海未ちゃん!」
海未「凛、どうしたのですか?」
凛「んー? 今日は海未ちゃんの家に寄ってく、って言ったにゃ」
海未「遅くなるからまた後日、と連絡を入れたはずですが……」
凛「約束、だもん」
海未「凛……」
凛「さ、一緒に帰るにゃ」ギュッ
海未「ちょ、凛!」
21:
海未(それから、私の指は凛の小さな手に包まれ)
凛「そのときかよちんがね――」
海未(他愛ない話をしながら帰路につきました)
凛「そしたらにこちゃんが――」
海未(すこし恥ずかしいですが)
凛「ほんっと、真姫ちゃんも――」
海未(凛の温かさが、身に染みて――)
22:
海未(胸の高鳴りに戸惑いつつ、気が付けば私の家に着いていました)
凛「……海未ちゃん?」
海未「あぁ、凛……さあ、中に入りましょう」
凛「うん」
海未「温かいものでも用意しますね」
凛「ありがとにゃ!」
23:
海未「さあ、私の部屋に……」
凛「縁側でも、いい?」
海未「え、ええ。ですが、少し寒くはありませんか?」
凛「……」
海未「……?」
凛「海未ちゃんが、凛をあたためてくれるよね」
24:
海未「……凛、あなたは誰もいないと途端に甘えん坊ですね」
凛「む……海未ちゃんだって、おんなじじゃん」
海未「……では、お茶の用意をしてくるので、縁側で待っていてください」トタトタ
凛「あ、逃げたにゃ」
凛「……」
凛(海未ちゃんのばか)
34:
海未「お待たせしました」
凛「ありがとにゃ」
海未「隣、いいですか?」
凛(いいに決まってる)
凛「うん、もちろん」
海未「ありがとうございます」
35:
凛(海未ちゃんは、行儀がいい)
海未「ちょっと熱めにしましたので、気を付けてくださいね」
凛「はーい」
凛(でも、そのせいか、どこか他人行儀に感じる)
海未「やはり夜も冷えますね」
凛「うん。この前まですんごく暑かったのに」
海未「そうですね」
36:
海未「……」
凛「……あ、今なんか聞こえた」
海未「ええ、今のは……鈴虫、ですかね」
凛「うん。リーン、リーンって」
海未「ふふっ、まるで凛を呼んでいるみたいですね」
凛「むぅ、鈴虫に知り合いはいないにゃ!」
海未「そうですね、ふふ、すみません」
37:
凛「……」
凛(海未ちゃんの笑顔はずるい)
凛(練習以外で会うことが少ないから、そう思うのかな)
凛(いつもは厳しいけど、たまに見せる笑顔が、凛は……)
海未「あの、凛」
凛「ん?」
海未「その、えっと……」
凛「……」
海未「さ、寒くは、ありませんか?」
38:
凛「うーん……お茶のおかげであったまったかも」
海未「そう、ですか」
凛(……あ、わかったにゃ)
凛「でも」
海未「?」
凛「海未ちゃんは、凛をあたためてくれるんだよね」
39:
海未「……ええ。その、もし、凛がよろしければ、ですが」
凛(いいに決まってるよ、海未ちゃん)
凛「じゃあ、お願いするにゃ」
海未「で、では……」
凛「凛、海未ちゃんの脚の間がいい!」
海未「そ、そんなところですか?」
凛「うん!」
40:
凛(凛のすぐ後ろに、海未ちゃんがいる)
海未「いつも思うのですが、凛はあたたかいですね」
凛「ん、そうかな?」
凛(近いから、海未ちゃんは凛の耳元でささやくみたいに話す)
海未「ええ、心が安らぐようです」
凛(そのせいで、凛の心は落ち着かないよ)
海未「あ、凛。見てください」
凛「どうしたの?」
41:
海未「星空、綺麗ですよ」
凛「!」ドキッ
海未「……凛?」
凛「あ、う、うん。そうだね」
凛(わかってる)
凛(海未ちゃんは夜空のことを言ってるんだ)
凛(そもそも、凛のこと『星空』なんて呼ばないし)
海未「……」
42:
凛(それに、凛はきれいなんかじゃ……)
海未「月も、だいぶ昇ってきましたね」
凛「ほんとだ……あっ」
海未「どうしました?」
凛(そういえば、この前なんかで読んだ……)
海未「やっぱり、まだ寒いですか?」
凛「ううん。大丈夫だよ」
海未「それならいいのですが……」
43:
凛「ねえ……海未ちゃん」
海未「はい」
凛「えと、月が、きれいですね」
海未「……!」
凛「えへへ……」
44:
海未(い、今のは、なんですか?)
凛(言っちゃった)
海未(まさか、凛……)
凛(きっと海未ちゃんなら、気付いてくれるよね?)
海未(この体勢では凛の顔が見えませんね)
凛(……あ、でも海未ちゃんだし、気付いてもはぐらかすかも)
海未(ちょっと判断がつきません……)
凛(その前に、ちょっと鈍感だしなぁ……)
海未(私は、どう応えたら……)
46:
凛「……」
海未「……」
凛「……あの」
海未「凛」
凛「はいっ」
海未「……」
凛「どう、したの?」
47:
海未「死んでも、いいわ」
凛「……!」
海未「っ」
海未(これは……思っていた以上に恥ずかしいですね)
凛「海未ちゃん、それって」
海未「凛、こちらを向いてください」
凛「?」
海未「ん……」チュッ
49:
凛「! な、なっ……」
海未「……すみません、いきなり」
海未「ただ、あまり多くを口にするのは、いただけませんので……」
凛「う、海未ちゃんは、ずるいにゃっ」
海未「す、すみません」
凛「罰としてもう少しこのままね!」
海未「……はい」
56:
海未「……」
凛「……」
海未(どうしましょう)
凛(どうしよう)
海未(つい、キス……してしまいました)
凛(なんか、キス……された)
58:
海未「あの」
凛「海未ちゃん」
海未「はい?」
凛「なに?」
海未「……」
凛「……」
59:
海未(ああぁぁあ、なんですか、これは!)
凛(にゃあぁぁ、失敗しちゃったよ……)
海未(くっ……こうなったら)ギューッ
凛「にゃっ!」
海未「す、すみません。痛かったですか?」
凛「う、ううん。ちょっとびっくりしただけ」
海未「それならいいのですが」
60:
海未(そして、会話がなくなりました)
凛「……」
海未(……凛は本当にあたたかいですね)
凛「……」
海未(ん……なんだか、少し眠くなってきました)
凛「……」
海未(凛が、あたたかいのがいけないん、です……)
61:
海未「……」コテン
凛(ん、肩になんか……)チラッ
海未「……」スー
凛「う、海未ちゃん?」
海未「んっ……」スー
凛(寝てる……のかな)
62:
凛(……海未ちゃん、一番忙しいもんね)
海未「……」スースー
凛(髪が首にあたって、くすぐったいよ)モゾモゾ
海未「……んん」
凛(起きちゃうかな……)
海未「りん……」
凛「!」
63:
海未「ん……」スー
凛(寝言、かにゃ?)
海未「……ふぁ」
凛(かわいい声)
海未「……せなか、さむい」プルプル
凛「あ、海未ちゃん。風邪引いちゃうよ」
海未「うん……」
64:
凛(いま、海未ちゃんが、うん、って)
海未「……りん?」ボー
凛「ん。海未ちゃん、お布団、行こ?」
海未「わかった」ボー
凛(なにこの海未ちゃん、かわいい)
65:
海未「……」フラフラ
凛(……じゃなくて、疲れてるんだよね)
海未「……」ボフッ
凛(布団に倒れこむくらいに)
凛「ちゃんとお布団かけないとだめにゃ」
海未「りん……いっしょに、ねよ?」
凛「!」ドキッ
66:
海未「だめ……?」
凛「も、もちろんおっけーだよっ」モゾモゾ
海未「ふふふ。りん、あったかい」ギュ
凛「あ、ありがと」
海未「おやすみ、りん」
凛「うん。おやすみ、海未ちゃん」ギュッ
71:
海未「ん……」パチッ
海未(……いつのまに眠ってしまったのでしょうか)
海未(暗いですね)
海未(時計……まだ、3時ですか)
海未(もう一眠り、しましょうかね)モゾモゾ
海未「……?」
72:
海未(なにか……)バサッ
凛「……」スー
海未「」
海未(な、なぜ凛が)
海未(布団の中で丸まっているのですか)
凛「……ん」
海未(本当に、猫みたいですね)
73:
海未(そういえば、さっきまで凛と一緒に……)
海未「……っ!」
海未(お、思い返すと……恥ずかしい、です)
海未(ど、どうしましょう)
凛「……んんっ」ブルッ
海未(とはいえ……この時間に、起こすわけにはいきませんね)パサ
海未「おやすみなさい、凛」
74:
凛「……にゃ?」パチ
海未「……」スー
凛(近い)
海未「……」スー
凛「……」ジー
凛(きれいだなぁ)
75:
凛(あ……ちょっと寒いかも)
凛「……」ギュ
海未「ん……」
凛(海未ちゃん、あったかいな)
海未「……」スー
凛(まだ外暗いし、もうちょっと寝ようかな……)
凛「……」スー
76:
――翌朝
海未「んっ」パチッ
海未「いま、何時でしょう……」
海未「!」
海未「もうお昼前ではありませんかっ」ガバッ
凛「んん……」
海未「あ、凛……」
77:
凛「にゃ……?」
海未「凛、起きてください」
凛「んー? ……まだ眠いにゃ」
海未「練習に遅れますよ」
凛「わかったよぉ……」ゴシゴシ
78:
凛「よし、行くにゃ!」
海未「ふふ、ご飯を食べた途端に元気ですね」
凛「うん! 海未ちゃんの卵焼きおいしかったよっ」
海未「ありがとうございます」
凛「……これからも、食べたいな」
海未「……いつでも作ってあげますよ」
凛「ん」
79:
海未「さ、さぁ。行きましょう。もう皆行っているかもしれません」
凛「そ、そうだね」
海未「……」テクテク
凛「……」トタトタ
海未「……」ギュ
凛「……!」
80:
海未「その、まだ少し、肌寒いので……手を」
凛「……」
海未「だめ、でしょうか?」
凛「う、ううん。そんなこと」ギュッ
海未「凛……」
凛「は、早く行こっ」
海未「ええ、今日も頑張りましょう!」
――終わり
81:
穏やかなのを書きたかっただけです。
ところで、海未のスクフェスイベントが始まりましたね。近いうちにイベント関係も書きたいと思います。
ここまで読んでくれた方々、ありがとうございました。
82:
乙ー
よかった
84:

まじえんじぇー
8

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