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穂乃果「音ノ木坂軍事学校が廃校?!」


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1:
穂乃果「私の輝かしい軍隊生活が……」
♪オープニングテーマ 『僕らは壕の中で』
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3:
#1 集え! 私たちの隊――
穂乃果「可及的やかに状況を打破しなければならない!」
海未「何か方法がありますか?」
ことり「学校をPRして入学希望者を増やすとか?」
穂乃果「そうだよ! この学校のいいところを探そう!」
海未「なにか目立った戦果があったでしょうか」
4:
ことり「“殺戮の丘”を生き延びた人がいるみたい」
穂乃果「すごいじゃん!」
ことり「ソ連側だけどね」
穂乃果「ガッカリだよ」
海未「あとは……アフガンで27人殺害した新兵がいたようです」
穂乃果「なかなかだね!」
5:
海未「ん? あ、すべて友軍への誤射のようです」
穂乃果「戦犯じゃん!」
ことり「コソボで捕虜になったけど、料理を振る舞って解放された人が……」
穂乃果「駄目だぁ?」><
海未「よく考えたら英雄がいればもっと人気ですよね……」
穂乃果「うーん、困った……」
6:
秋葉原UTX
穂乃果「たやすいことではないなぁ……」
♪Can I do? I take it,baby!
穂乃果「ん?これは……」
♪What'cha do what'cha do? I do "Private Wars"
穂乃果「!! ……こ、これだよ!」
8:
学校
穂乃果「我々はUTX学園の宣戦布告に応じる!」
海未「は? なにを言ってるんです?」
穂乃果「戦争を始めれば入学希望者も増えるはずだよ!」
ことり「そんな無茶な……」
穂乃果「むこうもやる気なんだよ。この曲を聴いてみて!」
9:
♪What'cha do what'cha do? I do "Private Wars"
海未「これは宣戦布告ですね」
ことり「もろに『戦争する』って言ってるね」
穂乃果「どう?」
海未「しかし、どうしてUTX学園が?」
10:
穂乃果「よく考えてみてよ、Private Warsだよ? なにか思い出さない?」
海未「Private……二等兵……戦争……プライベート・ライアン?」
ことり「ノルマンディー上陸作戦の歌なの?」
穂乃果「そして、このUTXという名前!」
ことり「名前? うーん……あっ、Uってもしかして……」
11:
海未「United States……?」
穂乃果「そしてこのTX、これはユニオンジャックを象ってると思うんだ」
海未「ユニオンジャックの重ね十字ですか? 縦線が少し短いような」
穂乃果「他に丁度いいアルファベットがないから、仕方なくこうしたんだよ」
ことり「アメリカとイギリス……連合国の中核だね」
12:
海未「なるほど、連合国側の組織が、枢軸国に名を連ねていた日本で、ノルマンディーの歌を発表した、と……」
穂乃果「そう……きっとあの戦場を再現しようとしてるんだ……この日本で!」
海未「…………」
ことり「ねえ海未ちゃん、私、やってみようかな」
海未「ことり、本気ですか?」
13:
ことり「穂乃果ちゃんは、私たちが見たことない景色を見せてくれるんだ……」
海未「…………まったく、しょうがないですね」
穂乃果「海未ちゃん!」
海未「やるなら、私たち三人でやらないと、意味がないです」
14:
生徒会室
穂乃果「隊の編成を申請します!」
絵里「認められないわ」
穂乃果「どうしてですか?!」
絵里「分隊レベルでも九人は必要よ。たった三人じゃ班も組めないわ」
16:
穂乃果「じゃあ、人数を増やせばいいんですね?」
絵里「……なぜこの時期に隊を作りたいの?」
穂乃果「廃校をなんとか阻止したくて……だから戦争をしたいんです!」
絵里「ならなおさら認められないわ。戦争は生徒を増やすためにするものじゃない」
17:
帰り道
穂乃果「どうすればいいんだろう……」
海未「どうすれば……」
ことり「あぁ、どうすれば……」
19:
♪だって熱源 感知したんだ
そうだススメ
後退したくない 目の前に
僕らの敵がいる?
レッツゴー! ドゥーン!
穂乃果「私やっぱりやる、やるったらやる!」
20:
#2 戦争をはじめよう!
絵里「これは?」
穂乃果「銃器の使用許可申請書です」
絵里「あなたたち、まだ諦めてなかったの?」
海未「生徒なら所属に関係なく銃器の使用ができると、校則にも書いてあります」
21:
希「まあ生徒会が口を挟むことじゃないかもね」
絵里「ちょっと希!」
穂乃果「では、認めていただけますね?」
絵里「……わかりました。いいでしょう」
22:
教室
穂乃果「武器は手に入った! あとは仲間だね!」
海未「どうやって探しましょう?」
ことり「チラシを貼って募集すればいいんじゃないかな」
23:
穂乃果「そうだね! あっ、でも部隊名はどうしようか」
海未「部隊名といっても、どこかの所属というわけでもないですし難しいですね……」
ことり「独立部隊だし、なんでもいいんじゃない?」
穂乃果「うーん……ま、それも募集すればいっか!」
24:
廊下
穂乃果「このチラシを見て、誰かきてくれるといいな……」ぺたぺた
「……イ……ザーイ」
穂乃果「ん? この声は」
「ばんざーい! 天皇陛下、愛してる! ばんざーい!」
25:
穂乃果「か、革命家……」
穂乃果「あの子か……これは使えるかも」
穂乃果「ねえあなた?」
真姫「ヴェエ?!」
穂乃果「なにしてるの?」
28:
真姫「べっ、別に……」
穂乃果「なんか不穏な言葉が聞こえてきたんだけどな?」
真姫「ヴェエ……」
穂乃果「軍人が反社会的勢力に加担してるなんて知れたら大事だな?」
真姫「な、なによ、何が言いたいの?!」
29:
穂乃果「私たちの仲間になりませんか?」
真姫「な、なにそれ、イミワカンナイ!」
穂乃果「私たち、仲間の秘密をバラすようなことはしないよ」
真姫「どういう意味よ、き、脅迫してるの?」
穂乃果「もしかしたら、私、そのへんに武器を置き忘れちゃうかもな?」
30:
穂乃果「もしそれをあなたがネコババして、組織に横流ししても気づかないかもなぁ?」
真姫「……私を買収しようとしてるの? 本気?」
穂乃果「その気になったら会いにきて。我が隊は君を待っている!」m9 ビシ
真姫「国粋主義者の前でアンクル・サムの真似しないで!」
31:
教室
穂乃果「あったよー! 部隊名の応募!」
ことり「やったね!」
海未「どんな名前ですか?」
穂乃果「えーっとね……M's……?」
32:
海未「sはsquadのことでしょうか」
ことり「MINAMI squad! ことり分隊だ!」
海未「違うでしょう……Mは普通にフォネティックコードだと思いますよ……」
穂乃果「そうか……Mike squad……私たちは、マイク分隊だ!」
ガラッ
33:
真姫「真姫ちゃん分隊ってのはどう?」
穂乃果「あ、あなた! 入ってくれる気になった?」
真姫「……いいわ、乗ってあげる。そのかわり、武器の件、頼むわよ」
海未「なんです? 武器?」
穂乃果「な、なんでもない! 気にしないで!」
34:
ことり「穂乃果ちゃん、何か隠してる……?」
穂乃果「ほ、ほんとに、別に武器を横流しとかそんなことぜんぜん!」
海未・ことり「…………」
希「フフ、動き出したようやな……」
38:
#3 まいく・ろみお・ぱぱ
穂乃果「さて新兵、君に初任務がある」
真姫「なんなの、急に偉そうに……」
穂乃果「我が隊は現在人員に困窮している。しからば、我らの意思に賛同する同士を見つけてもらいたい」
真姫「仲間探しを手伝えってこと? 人使い荒いわね……」
穂乃果「ほらいったいった! 上官命令だよ!」
真姫「なによ! そっちだって兵卒じゃない!」
39:
穂乃果「だまれ! 貴君の階級を述べよ!」
真姫「に、二等兵だけど……」
穂乃果「ほのか、一等兵だよ」
真姫「くっ……」
ことり「ここはおとなしく、いった方がいいんじゃないかな、はは……」
穂乃果「伍長殿もこういっておられる! ほらいけ!」
真姫「なんなのよもう!」
40:
廊下
真姫「仲間ったってねえ……ん?」
花陽「…………」
真姫「ねえ、そこのあなた」
花陽「え?! ……わ、私……ですか?」
真姫「そうよ、他にいないでしょう」
真姫「あなた、その部隊に興味があるの?」
花陽「! い、いえ、そういうわけでは……」
真姫「チラシをじーっと見てたじゃない」
41:
花陽「あの、その……」
真姫「まあいいわ、もし興味があるなら声をかけて」すたすた
チャリ……
花陽「…………」
花陽「ん? ドッグタグ?」
花陽「西木野……真姫さん……」
凛「おーい、かよちーん、帰るにゃー」
花陽「あ、うん」
42:
帰り道
花陽「実はさっきかくかくしかじかで」
凛「西木野真姫さん? いつも一人でいる子だよね?」
花陽「うん、それで、このドッグタグ返しに行こうと思うんだ」
凛「うんっ、いいよー」
43:
真姫の家
花陽「あの、突然訪ねてごめんなさい」
真姫「別にいいわ、どうかしたの?」
花陽「これ、拾ったから」
真姫「あ、私のタグ、いつ落としたのかしら」
花陽「学校で話したときに」
真姫「そう、ありがとう……ねえあなた、さっきも聞いたけど、部隊に興味があるんじゃない?」
45:
凛「部隊?」
真姫「私たち独立部隊を作ろうとしてるのよ」
花陽「……興味がないって言ったら、嘘になる……でも……」
真姫「それなら入ってよ。歓迎するわ」
花陽「駄目なんです……私なんかが入っても、足を引っ張るだけだと思うし……」
凛「かよちん、悪い癖が出てるよ」
真姫「音ノ木坂に入ったのに、そんなんじゃ仕方ないじゃない」
凛「そうだよ、かよちんは兵士になりたかったんでしょ……?」
46:
花陽「私、臆病で、どんくさくて……そんな自分を変えたかったけど……」
真姫「だったら、思い切ってやってみるのがいいんじゃない?」
花陽「……ううん、私にはまだ早いよ……」
ガシャーーーン!!!
そのとき突然窓が割れて、何かが部屋に飛び込んできた。
凛「わっ、なに?!」
ブシューーーー
花陽「スモークグレネード?!」
47:
真姫「赤軍派だわ! くそっ、ここがバレるなんて!」
凛「なんでそんな奴らが襲ってくるのぉ?!」
真姫「その話はあと! あいつら銃も持ってる! 身を隠して!」
パンパン!バラララ!
窓の外から銃弾が打ち込まれる。
花陽「助けてえ!」
真姫「床下収納に武器がある! これよ! 使って!」
拳銃を受け取った花陽は真っ先に窓際の壁に張り付いた。
48:
花陽「戦わなきゃ……戦わなきゃ……死んじゃう……」
凛「かよちん、窓際にいたら危ないよ!」
花陽「あそこに敵がいるの!」
花陽が窓から顔を覗かせて、ガバメントのトリガーを引く。
パン! パン!
真姫(臆病なんて言って、すごい闘争心じゃない!)
バラララララ!
花陽「ひいっ! 倒さなきゃ! 倒さないとやられちゃう……!」
真姫(いや、臆病だからこそ、死に物狂いなのか……)
49:
真姫「小泉さん、敵は何人見える?!」
花陽「4、5、6人……!」
真姫「オーケー、プランがあるわ。フラッシュバンを投げる、一斉に飛び出す、一人2キル、どう?」
凛「正面突破?! それってプランっていうの?!」
真姫「小泉さん、できる?!」
花陽「やらなきゃ死んじゃうよぉ!」
真姫「だって、どう?」
凛「めちゃくちゃだにゃー! でもこっちのかよちんも好き!」
真姫「じゃあ、いくわよ、3、2、1……!」
50:
某ビルの屋上
海未「フラッシュバン? あ、出てきた」
穂乃果「うっそ、正面突破?」
ことり「度胸あるね……」
海未「……勝っちゃいましたね」
穂乃果「やるぅ!」
ことり「真姫ちゃんの素性調査にきただけなのに、大変な場面に出くわしちゃったね」
穂乃果「うーん、あの二人、欲しいなあ」
51:
真姫の家
真姫「はぁ、はぁ、なんとかなった」
凛「死ぬかと思ったにゃー!」
『西木野二等兵、こちらマイク分隊だよ、オーバー』
真姫「高坂一等兵? どうしたの?」
『今の戦闘見てたよ。是非ともその二人を我が隊に招きたい! オーバー』
花陽「えっ……?」
真姫「だ、そうよ、どうする?」
52:
花陽「でも……私がお役に立てる自信、ないです……」
『兵士に必要なのは、戦って生き残ることだけ。あなたたちはそれを果たした。あなたたちはもう立派な兵士なんだよ! オーバー』
凛「かよちん、やりたかったんでしょ?」
真姫「素直になりなさいよ」
花陽「…………」
花陽「……小泉花陽、二等兵です。これより帰投し、隊に合流します! オーバー!」
『了解だ二等兵! 学校で待ってるよ! マイクアウト!』
59:
#4 にこ襲来
絵里「駄目よ」
穂乃果「まだ何も言ってません!」
絵里「どうせブリーフィングルームが欲しいとか、そういう話でしょ」
穂乃果「うっ……」
絵里「駄目よ、もう空きはないの」
穂乃果「そんな、それじゃあ隊に必要な人数を集めても、活動拠点がないじゃないですか!」
60:
絵里「そもそも何人集めても編成は無理よ、もう我が校に独立部隊は存在するの」
穂乃果「ファッ?!」
希「そう、だから、そこの隊長さんと話付けないとね」
絵里「希! 余計なこと言わないで!」
穂乃果「そんな……」
61:
廊下
穂乃果「上層部はいつもこうだよ! 情報の後出し、小出し、割りを食うのは前線の兵士なのに!」
ことり「聞いた話だと、隊長さんはこの部屋にいるみたい」
海未「でも、会ってどうするんです? 別部隊の隊長さんにうちの部隊に入ってくださいとは……」
穂乃果「とりあえず会ってみなきゃはじまらないよ」
コンコン
にこ「入れ」
ガラッ
穂乃果「失礼します!」
62:
にこ「あんたは?」
穂乃果「高坂穂乃果、一等兵であります!」
にこ「で、なに」
穂乃果「私たちは独立部隊を編成したいのです。しかし既に存在するから駄目だと」
にこ「そうね、私の隊がある」
穂乃果「それでお話に上がりました。私たちの隊に加わっていただけませんか?」
にこ「……」
バァァン!
63:
穂乃果「……え?」
ことり「ひっ」
海未「に、逃げましょう!」
ドタドタドタ
穂乃果「うわああああ! あの人いきなり50口径ぶっぱなしたよ!」
海未「ヤバイですよあの人!」
ことり「とさかが、ことりのとさかがなくなってる! うわああああ!」
64:
希「追い返されたみたいやな」
穂乃果「あ、副会長さん!」
海未「なんなんですかあの人! 命がいくつあっても足りませんよ!」
希「矢澤にこ少尉、CJTF252第7空挺団所属Mike分隊、唯一の生き残り」
ことり「CJTF252……イラクに派遣された多国籍部隊ですか?」
穂乃果「あの人もマイク分隊なんだ」
希「……」
希「当時は矢澤にこ軍曹だった」
65:
希「第7空挺団に与えられたタスクは、アラビア海側からクウェートに上陸し、侵攻するものだった」
希「それほど難しいミッションではない……はずだったんや」
希「だけど、イラクの国境線に待っていたのは、一個旅団クラスの大部隊だった」
希「そんな情報はなかった。作戦失敗は火を見るより明らかだった」
希「まもなくして、第7空挺団はほぼ壊滅状態。
作戦の継続は不可能だったけど、なかなか撤退の許可は下りなかった」
希「矢澤軍曹が率いるMike分隊は、隊長以外の全員が戦死」
希「大きな損害を出した矢澤軍曹は軍法会議にかけられたけど、
作戦失敗を認めるわけにはいかなかった上層部は、
アリバイ作りと口封じのため、矢澤軍曹を少尉に任命するという特別措置を講じた」
66:
希「書類登録上、矢澤少尉のMike分隊はまだ生きているから、君たちの隊は認められないというわけ」
穂乃果「そんなことが……」
海未「地獄を見たんですね……」
穂乃果「……私やっぱりあの人と仲間になりたい」
ことり「どうやって?」
穂乃果「もう一度いこう、マイク分隊招集!」
67:
にこ隊の部屋前
穂乃果「あっ、少尉!」
にこ「あんたたち、また……」
穂乃果「お願いします、私たちの仲間になってください!」
にこ「ふざけんなっつーの! 無礼者め!」
バタン!
真姫「ちょっと、話くらい聞いてくれても……!」
ガラッ……カツン
真姫の足元に手榴弾が転がる。
68:
真姫「え?」
海未「ブービートラップです! 退避!」
真姫「うわあああああああああ!」
パンッ!
真姫「あああ……あ? 訓練用……?」
穂乃果「…………」
穂乃果「……西木野二等兵が戦死! KIAだ!」
真姫「え? 生きてるけど……」
69:
穂乃果「現時刻より矢澤少尉を脅威と認定し、これに対抗する!」
真姫「あの……」
穂乃果「いいからそこで死んでて!」
真姫「はぁ?」
穂乃果「作戦目標は矢澤少尉の捕縛! マイク分隊、状況開始!」
凛「窓から逃げたみたいです、一等兵殿!」
穂乃果「外に出て回り込め!」
凛「了解! いくにゃー!」
70:
バシャー!
凛「痛い! 痛い!」
海未「茂みの中にクレイモアです!」
凛「あとは……お願いしますにゃ……」ガクッ
穂乃果「くそぅ!」
ことり「あっ、アルパカがこっちにくるよ!」
花陽「危ないからきちゃだめ! 小屋に戻してきます!」
アルパカ「ベェエ?」
71:
花陽「ん? これは……」
花陽「あ、アルパカの首にC4が……!」
パーン!
花陽「きゃー!」
ことり「小泉二等兵とアルパカ大佐が戦死しました!」
海未「目標は校舎内に戻ったもようです!」
穂乃果「海未ちゃんはAルート、ことりちゃんはBルートでお願い! 挟み撃ちにするよ!」
海未・ことり「了解!」
74:
校舎内
海未「逃げ足がいですね……」
『こちらことり、目標をB棟1階で確認、B-4通路からC-2方面へ移動中だよ!』
『こちら穂乃果、目標確認、C-2階段から2階に上がった!』
海未「了解。ということは……こっちにきますね」
海未「ことり、C-1階段から2階へ上がってください。裏を取れるはずです」
『了解!』
75:
海未「…………おかしい、もうきてもいいはず」
『こちら穂乃果、A棟3階、ポイントF付近に目標発見!』
海未「そんな、予想ルートと違う!」
ことり「海未ちゃん! 目標は?」
海未「化かされました! ここにはきません!」
すー……
にこ「誰がこないって?」
海未「――?!」
ことり「窓の外?!」
76:
バラララララララララ!
ことり「いやーー!」
海未「痛い痛い! 痛いですって!」
にこ「ふん、一丁上がり」
にこはわざと見つかりながら移動し、海未とことりをB棟の“あるポイント”におびき出したのだった。
そこはA棟と隣接するエリアで、A棟の窓からラペリング降下したにこの射程範囲であった。
二人を撃破したにこは、振り子のように勢いをつけて、B棟に飛び移った。
77:
にこ「通信機を貸しなさい」
にこ「あー、こちらは矢澤少尉。あんたの隊は全滅よ」
『え?! 海未ちゃん、ことりちゃん、やられちゃったの?!』
ことり「うん……」
海未「まんまと……」
『そうか……でも少尉、私は諦めません』
にこ「はぁ? あんた一人で何ができるわけ?」
『捕まえられないなら、そちらからきてもらうまでです』
78:
にこ「何いってんのよ、いくわけな」
ドカーーーーーーン!!
にこ「え?! なに?!」
窓の外を見ると、教室の一つが木っ端微塵に吹き飛んでいた。
にこ「あばば……あ、あんたがやったの?! どういうつもりよ!」
『次はあなたの部屋をふっ飛ばします。あなたのMike分隊のブリーフィングルームを』
にこ「っ……! ふ、ふざけるな! そんなことさせない!」ダッ
79:
にこ部屋前
ドカアアアーーーーーン!!!
にこ「あ、あああ……」
にこは爆散する教室の前で立ちすくんだ。
その背後から穂乃果が忍び寄って、にこの後頭部に銃を押し当てた。
穂乃果「遅かったですね、少尉」
にこ「貴様、ふざけるなよ……地獄に送ってやる……」
80:
穂乃果「安心してください、少尉。今吹き飛んだのは、あなたの部屋の手前の教室です」
にこ「……え?」
穂乃果「私たちのブリーフィングルームを、破壊したりしませんよ」
にこ「あんたたちの仲間にはならない!」
穂乃果「違います、私たちをあなたの隊に入れて欲しいんです」
にこ「……っ、私はもう部下など持ちたくない」
穂乃果「ではどうして、この学校にいるんです」
穂乃果「尉官の称号をぶら下げて、あの部屋を守り続けているのはなぜです?」
81:
にこ「……死者のためよ! 彼らがいた証を、ここに残し続けなくちゃならない!」
穂乃果「それだけですか? あの部屋にある装備は、まるで戦争をするためのものに見えます」
にこ「…………」
穂乃果「CJTF252……司令部はペンタゴンですよね」
にこ「何が言いたいの」
穂乃果「いえ、ただ、私たちは、アメリカ及び連合国と戦争しようと思っています」
にこ「はぁ?! なにわけのわからないこと……」
82:
穂乃果「私たちは6人です。1人でやろうとしてる人よりは、わけわかるんじゃないかな」
にこ「はっ、誰よそのマヌケな1人は」
穂乃果「自分たちを地獄に送り込んで見殺しにしたアメリカに、復讐を望んでいる人です」
にこ「もうういいわ! 話は終わり。馬鹿なことを考えるのはやめなさい」
穂乃果「少尉、一つ勝負をしませんか?」
にこ「はあ?」
穂乃果「ロシアンルーレットです。弾は何発入れても構いませんし、どちらが先にやるかを決めるのもそちらで構いません」
83:
にこ「あら素敵、6発入れてあんたが先ね」
穂乃果「OKです。これ6発入ってるから丁度いいや」
穂乃果はにこに押し当てていたリボルバーを自分のこめかみに向けた。
穂乃果「私の命をあなたに預けます、隊長」
にこ「なんのつもり」
穂乃果「私が死んでも、あなたが生きている限り、私の思いは死なない」
にこ「やめなさい」
穂乃果「だから、あとのことは頼みます。できれば、私の仲間を部隊に加えてあげてください」
84:
にこ「もうわかった! それを離しなさい!」
穂乃果「これが隊というものです、にこ隊長! みんなの夢をあなたに託します!」
穂乃果はトリガーを引いた。
しかし弾丸は発射されなかった。撃鉄がにこの指に食い込んでいた。
にこ「いだだだだだ! いだい! いだい!」
穂乃果「私の勝ちですね、にこ隊長!」
85:
屋上
にこ「我が隊の訓練は厳しいわよ! ちゃんとついてこれる?!」
全員「はい!」
にこ「いくわよ、にっとにっとへー!」
全員「にっとにっとへー!」
真姫「なんなのこれ」
にこ「左にいる赤いの! ちゃんとやりなさい!」
真姫「私は右にいる黒いのよ!」
にこ「それじゃあもう一回いくわよー! にっとにっとへー!」
ちゃららちゃんちゃんちゃーん
てれれてんてんてーん だだだだだだだ
とぅーとぅとぅんとぅんとぅー
とぅーとぅとぅんとぅんてーてーてーてー
ててってー ててってーてれれー
素直に追いかけて?
86:
#5 隊長は誰だ?
にこ「私に決まってるでしょ」
穂乃果「そうだよね」
海未「なにせ少尉ですしね」
ことり「指揮権が移るとしたら死んだときくらいだよね」
凛「にこ少尉が死んだら誰が隊長になるの?」
ことり「階級的には私かな」
海未「その次に上等兵の私、次が穂乃果」
花陽「そのあとは?」
穂乃果「じゃんけんで決めたら?」
真姫「そうね、みんな同じ階級だし」
にこ「はいこの話は終わり」
91:
#6 エリーチカ
花陽「大変です?! ラブライブとかいうのが開催されるみたいですー!」
穂乃果「なにそれ?」
花陽「よくわからないけど、例のUTX学園の広告塔的なやつらも参加するみたいです」
ことり「あらいなんとかってやつ?」
海未「軍事サミットみたいなものでしょうか?」
凛「きっと凛たちを潰す作戦を立てるんだよ!」
にこ「一大事だわ! 私たちも乗り込みましょう!」
真姫「じゃあ大佐のところに許可をもらいに行きましょ」
92:
大佐室前
穂乃果「緊張するなあ……よーし……」
ガチャ
穂乃果「わっ」
希「ん? 君たちどうしたん?」
絵里「なんの用?」
穂乃果「うわわ生徒会長……」
真姫「大佐にお話があってきました」
絵里「申請は生徒会を通すように」
真姫「申請とは言ってないわ、ただ話があるの!」
穂乃果「真姫二等兵、上官であらせられるぞ!」
南大佐「絢瀬少尉、構いません。通して」
絵里「はい……」
93:
……
南大佐「ふぅん、ラブライブ。いいんじゃないかしら」
穂乃果「では、認めてくださいますか?」
南大佐「オーケーよ」
穂乃果「やったー!」
絵里「なぜです! 生徒会には学校存続のための活動を認めてくださらないのに!」
南大佐「だってあなたたち私の直轄じゃない。下手打たれると私が困るのよねー」
絵里(糞野郎……)
南大佐「それに学校がなくなっても私は軍部に戻るだけだしー?」
絵里「糞野郎……」
希「声に出とるよエリチ」
94:
南大佐「少尉、口から糞を垂れる前と後にサーを付けろ!」
絵里「サー! 糞野郎! サー!」
南大佐「よし」
穂乃果(いいんだ……)
絵里「……失礼します」つかつか、バタン!
南大佐「一つ条件があります」
穂乃果「え?」
南大佐「今度の試験で不合格者を出さないこと、いいですね」
ことり「さすがに不合格はないからだいじょ……あれ……?」
穂乃果・凛・にこ「うぅ……」ガックシ
95:
ブリーフィングルーム
穂乃果「大佐はそれを試験と呼んだ。我々はそれを、ヘルズハイウェイと呼んだ」
凛「誰か凛に銃を! 自殺用の銃を!」
にこ「おふぃふひははいお、あわひはいあえ(落ち着きなさいよ、だらしないわね)」
ことり「デザートイーグル咥えながら言われても……」
海未「二人はともかく、少尉もですか……」
にこ「ははひははいほふほ!(私は大丈夫よ)」
海未「困りましたね、穂乃果は私とことりが、凛は真姫と花陽が教えればいいですが……」
96:
ことり「にこ少尉はどうすればいいのかな」
ガラッ
希「それはウチが担当するよ」
にこ「げっ、希……わ、私は心配ないって言ってるでしょ」
希「んー? 嘘つくとアブグレイブ式尋問術やよぉ?」わしわし
にこ「いやだー! 乳首に電極を刺されるのはいやだー!!」
花陽「拷問はジュネーブ条約で禁止されたはずじゃ……」
穂乃果「よし、ブリーフィングは終わり。明日から頑張ろう!」
海未「今からです」
97:
勉強中……
凛「これが毎日続くのかにゃー……」
真姫「当たり前でしょ」
凛「あ! 上空に敵軍の無人偵察機!」
花陽「え?!」
真姫「ひっかかると思ってる?」バシっ
花陽「グローバルホークなのかぁ……」
穂乃果「ことりちゃん……さよなら」ガクッ
ことり「穂乃果一等兵がKIAですー!」
海未「まったく……」
98:
希「この問題の答えは?」
にこ「ええと……に、にっとにっとへー……?」
希「ちゃんとやらんとアブグレイブやゆうたやろ?」ビリビリビリ!
にこ「ぎゃーーーーーーーー!!!」
海未「はぁ……ことり、あとは頼みます。私は訓練があるので」
ことり「了解!」
ガラッ
絵里「まったく、こんな状態で部隊が成り立つのかしら」
海未「生徒会長……」
99:
絵里「あなたたちのしたことで、学校の名に傷がつくことも考えられるのよ?」
海未「そうならないように努力しています。今も……」
絵里「戦場も知らないルーキーが多少努力したところでどうなるというの」
海未「それは……でも、訓練を積んでいけば……」
絵里「無理ね。私にとっては、あなたたちのしてることは、おままごとよ」
海未「あなたにそんなこと言われたくありません!」
……
100:
神社
希「そう、エリチにそんなこと言われたんや」
海未「どうしてあんなに私たちを敵視するんでしょうか……」
希「エリチは戦争狂なんよ。KKEって知ってる?」
海未「いえ」
希「"Knife kill Eli" 切れたナイフのエリーチカ。戦場でのエリチのあだ名よ」
希「エリチはロシア軍将校の私設傭兵団に所属してたの」
希「世界中の戦場を飛び回って、来る日も来る日も戦いに明け暮れた」
希「エリチが音ノ木坂にくる以前に殺した兵士の数はおよそ150人」
海未「すごい……」
101:
希「その内、銃によるものは100人ほど。残りの50人は素手で殺したんよ」
海未「そんな馬鹿な!」
希「システマの技に腕を鞭のように振るう打撃法があるやろ?」
希「エリチはそれを指先でやるんよ。相手の喉めがけてね」
希「すると相手は、まるでナイフで切られたみたいに喉を裂かれる。それがKKEの由来」
希「その動作がまるで踊ってるみたいだから、
『エリーチカに会ったらbullet(弾丸)よりballet(バレエ)に気をつけろ』
なんて言われることもあった」
希「そんなエリチからしたら、実戦に出たことのない兵士なんて、お遊びにしか見えないってのもわかるやろ?」
海未「……そうだったんですか……」
……
102:
そして試験は終わり、マイク分隊の面々は無事合格点を取れた。
穂乃果「大佐に報告しに行こう!」
大佐室
絵里「どういうことですか!」
南大佐「これは決定事項よ。二週間後のオープンキャンパスでいい結果が出なければ、音ノ木坂軍事学校は廃校とします」
穂乃果「えっ!」
♪ちゃららちゃんちゃんちゃーん
素直に追いかけて?
106:
#7 やりたいことは
穂乃果「事態は逼迫している。二週間で国土を燃やさなければならない」
海未「たった二週間でなにかできますかね……」
にこ「そういえばラブライブとかいうのはどうなったの」
花陽「大変ですー!」
バタバタバタ
花陽「ラブライブはアイドルグループじゃないと参加できないらしいです!」
107:
ことり「アイドル?」
真姫「なによそれ、軍事サミットじゃなかったの?」
穂乃果「きっと隠れ蓑だよ! あらいなんとかっていうのもアイドルの真似してたし!」
にこ「じゃあ私たちもアイドルを装って潜入するわけ?」
穂乃果「うん! アイドルをはじめよう!」
凛「面白そうにゃー!」
108:
生徒会室
絵里「どうしたらいいの……あと二週間で……」
希「どうすればいいか、じゃなくて、なにをやりたいか、が大切なんじゃない?」
絵里「私だってやりたいようにやってうまくいくなら、そうしたいわよ!」
希「だったら……っ」
絵里「私たちの学校のこれからがかかってるのよ……!」
希「ウチずっと思ってた……エリチはいつも自分を押し殺して、人のことばかり」
絵里「そうしなきゃならないんだから仕方ないじゃない!」
109:
希「エリチの本当にしたいことはなに?!」
絵里「私の……したいこと……」
絵里「殺したい……殺して殺して殺して殺して、死体の山に旗を突き立てたい!」
絵里「だけどそんなことして何になるっていうの?!」
希「ウチね、エリチに黙ってたことがあるんよ」
絵里「え……?」
希「ウチの出身地、って言ったらいいのかな。それは、バージニア州マクレーン」
絵里「う……そ……それって……」
110:
希「ホワイトハウスもペンタゴンも、自衛隊を軸に日本の軍事体制を整えたがってる」
希「でも『ウチら』は違う。『ウチら』にとっては、旧帝国陸軍の亡霊であるこの学校が必要」
絵里「C……」
希「それ以上言ったらあかんよ?」
絵里「……」
希「日本にはカンフル剤を打たなきゃならない。軍部の復権のためにね」
希「そのための準備はしてきた。日本は間もなく戦火に包まれる」
希「エリチが踊る舞台は、もう用意されてるよ!」
111:
屋上
穂乃果「うーん、アイドルって難しいね」
ことり「ダンスなんてしたことないもんね」
にこ「こんなんじゃアイドルを装うなんて無理だわ!」
海未「ダンス……? そうだ! 生徒会長!」
穂乃果「どうしたの?」
海未「生徒会長はバレエが得意なんです! あの人に教えてもらえたら……!」
絵里「私の力が必要なようね、マイク分隊諸君!」
112:
海未「会長!」
希「絢瀬絵里少尉、並びに東條希軍曹! マイク分隊への入隊を志願します!」
穂乃果「本当ですか?!」
にこ「入隊を認めるわ、少尉、軍曹。さっそくだけど私たちは、一週間でダンスを覚えないとならないの」
絵里「お安いご用よ。システマの基礎から叩き込む。
あまりの厳しさに死者が出るかもしれないけど恨まないでよね。
一週間後あなたたちは、最高のウォーマシーン、そして最高のダンサーになってるわ!」
113:
……一週間。睡眠も食事も許されず、飢えをしのぐ手段は泥水をすすることだけ。
全身に傷を負い、筋肉は腫れ上がり、四肢が痺れ、折れた骨は一本や二本じゃすまない。
気を失おうものなら水中に沈められ、目覚めなければ溺死する。
そんな地獄の特訓をマイク分隊は耐えぬいた。
そしてついに究極の肉体を手に入れたのだ。
乳房は完全に胸板となり、膨らみに乏しかったにこですら、胸囲が100cmを超えていた。
114:
にこ「さて諸君、悲願のラブライブだ。この日をどれだけ待ったことか……」
穂乃果「ああ、嬉しいよ……俺達はこの日のために地獄のような一週間を送った……」
ことり「死んだほうがマシだと一秒に十回は思ってたぜ……」
海未「だがそれももう終わり……ついに俺達の最高のダンスをお披露目できるというわけだ」
凛「見ていやがれクソッタレどもめ……ラブライブなど踏み台にすぎん」
花陽「そう、俺達はここから世界に羽ばたく……!」
希「マイケルのバックダンサーになるためにな!」
絵里「よろしい、みんな、精一杯頑張りましょ」
真姫「……どこから突っ込んだらいいかわかんないけど、まず性別変わってない?」
116:
穂乃果「いくぞおおおお! マイク分隊、ミュージックスタートおおおお!!!」
全員「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」
そしてラブライブの本番。
マイク分隊は、世界でも稀に見るレベルの最高のパフォーマンスを見せつけた。
しかし彼女たちはあまりにアイドル離れしていた。
鋼のような肉体、猛獣すら怯える鋭い殺気、大地が揺らぐほどの威圧感。
彼女たちはアイドルというより、もはやスタローンだった。
当然、最下位に終わった。
優勝者であるA-RISEのメンバー、綺羅ツバサは、彼女たちを見てこう言ったという。
ただ一言「つよそう」と……。
120:
#8 最高のプラン
海未「ワンツースリーフォー」パンパン
穂乃果「…………」
海未「こら穂乃果、なにさぼってるんです!」
穂乃果「目を覚ませ!」パァン!
海未「あうっ!」
ことり「穂乃果ちゃん、どうしたの?!」
穂乃果「それはこっちの台詞だよ! みんなどうしちゃったの?!」
にこ「次のラブライブに向けてレッスンしてるんじゃない」
海未「そうですよ! 次こそ勝とうって……!」
穂乃果「バカ!」バチッ!
121:
海未「うわぁー!」
穂乃果「なにアイドルぶってるの! 私たちは軍人なんだよ!」
全員「……!!」ハッ
海未「そ、そうでした……すっかり忘れていました……」
穂乃果「廃校決定までもう一週間ないんだよ!」
凛「やばいにゃ……やばいにゃ……」
絵里「安心しなさい! 私たちがアイドルぶっていた一週間は無駄ではないわ!」
真姫「たしかに身体能力は飛躍的に上がったわ」
花陽「素手で喉掻っ切れるようになったしね」しゅっしゅっ
希「あぶなっ! KKE振り回すのやめーや!」
穂乃果「とにかく残された時間でなんとかしないと!」
122:
ブリーフィングルーム
にこ「みんな、良い報せと悪い報せがあるわ。どちらから聞きたい?」
絵里「悪い報せを」
にこ「UTXは普通の学校だった。連合国とはなんの関わりもなかったわ。私たちの攻撃目標にはならない」
穂乃果「うそ?!」
海未「私ははじめからおかしいと思ってたんですよ……そんなわけないじゃないですか」
凛「良い報せはー?」
にこ「三日後、合衆国大統領が来日する」
花陽「まさか……」
123:
にこ「そのまさかよ二等兵。私たち九人の最初のミッションが決まった。大統領暗殺よ」
ことり「ふえぇ……」
真姫「うっそでしょ……本気で戦争になるわよ」
にこ「では作戦参謀、説明を」
希「三日後の夜、銀座で大統領と首相が会食するんよ」
希「そこをウチらが襲撃するってわけ」
希「彼らは50台ほどの車列で到着し、店に入る」
希「そこから作戦開始や。警備に攻撃を仕掛け、大統領が脱出するまでの短い時間が勝負」
穂乃果「はいっ! どうしてそこなんですか? 他にも狙えるタイミングはあるのでは?」
124:
希「まず空港は無理や。セキュリティが厳しいし、脱出経路が多くて向こうに有利」
希「そして宿泊私設を襲うのも無理やな。侵入できても脱出する方法がない。袋のネズミや」
海未「なるほど、街中なら私たちの脱出経路も多く、しっかりしたセキュリティもない」
絵里「非常事態となれば、大統領は狭い店内に籠もってるわけにいかない。あぶり出すのも簡単ね」
希「そういうこと。それと重要な点が一つ。決してウチらの素性が知れてはならない」
にこ「ターゲット殺害よりも、捕まらないことを優先して。暗殺に成功しても捕まったら作戦失敗よ」
希「逆に暗殺失敗しても、全員脱出できれば作戦成功。だから絶対に無理はしないでね」
125:
真姫「なるほどね、で、敵の規模は?」
希「まず日本の警察が16000人」
にこ「こいつらはぶっちゃけどうでもいいわ。適当にあしらって」
希「問題は米側の戦力。おそらく軍の一個小隊が第一防衛ライン。
そして米警察の特殊部隊が第二防衛ライン。
最後にシークレットサービスが大統領の周りを固めてる」
にこ「最も警戒しなきゃならないのは第二防衛ラインよ。
奴らは都市部での要人警護に長けている。ことこの戦場においては軍より強いと思っていいわ」
希「警護専門のシークレットサービスと違って、制圧力も高い。できれば交戦したくない相手やね」
126:
にこ「作戦概要はだいたいこんな感じ。マップを見て」
希「監視カメラの死角になっているセーフティゾーンをリストアップしてあるよ」
にこ「このセーフティゾーンが状況開始ポイント、かつ脱出ポイントになるわ」
花陽「脱出ポイントがいくつもある? どういうことですか?」
希「簡単よ。まず普通の女子高生の格好で現地入りするやろ?」
絵里「そしてセーフティゾーンで戦闘服に着替えるわけね」
希「そう。で、撤退の際も同じように、適当なポイントで女子高生ルックに着替え、
素知らぬ顔でそこを離れる」
海未「なるほど、日本社会ではこれ以上ないほどの都市迷彩ですね」
にこ「突然現れて突然消える、亡霊兵士ってわけよ」
127:
凛「配置はどうなるの?」
希「こんな感じやね」
観測手→東條
斥候→西木野、小泉
狙撃手→絢瀬、園田
歩兵→(矢澤、星空)(高坂、南)
希「ウチがみんなに情報を伝えるよ。ただ場所がビル街だけあって見通しが悪い。
ウチの死角を真姫ちゃんと花陽ちゃんにカバーしてもらうからね」
花陽「はい、精一杯やります」
真姫「了解よ」
128:
希「エリチと海未ちゃんは歩兵のフォローね。特に脱出の成否は二人の仕事にかかってるよ」
絵里「任せて」
海未「成功させてみせます」
にこ「歩兵はツーマンセルを2チーム。しっかり頼むわよ、凛」
凛「がんばるよ!」
穂乃果「私とことりちゃんがコンビかぁ」
ことり「よろしくね!」
にこ「それじゃあみんな、マップをしっかり頭に叩き込んでおくのよ。解散!」
129:
大佐室
南大佐「目的のために自国のトップまで生贄にするとは、とんでもないわね、あなたたちは」
希「大統領の代わりはいますが、帝国陸軍の代わりはないんですよ、閣下。合理的判断です」
南大佐「ま、あなたの国の事情はどうでもいいけどね」
希「それはこちらも同じです。軍が復活したあとの国内事情には関知しません」
南大佐「で、うまくいくのかしら?」
希「ええ、きっと。カードがそう言っています」
南大佐「情報のプロが占い? 面白いジョークだわ、ミス・トージョー」
希「不確かなものにこそ可能性が潜んでいるんですよ、だから面白いのです」
130:
南大佐「よく言うわ、二の矢、三の矢を準備しているくせに」
希「なんのことです?」
南大佐「あなたの通信記録、調べさせてもらったわよ。イスラム武装組織にもお友達がいるようね」
希「お見通しですか。まあ、そういうことです。この作戦は成功させますよ」
南大佐「心強いことね、ミス。でもひとつ言わせてもらうわ」
希「なんでしょう」
南大佐「なんでもあなた方の思い通りになると思うな。あなたの上司にも伝えておけ」
希「はっ……ははははっ……! ……肝に銘じておきますよ閣下、それでは」
ギィ
バタン……
133:
 _人人人人人人人人人人人人人人人_
 >図解!これがマイク分隊の装備だ!<
  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
■穂乃果、ことり、にこ、凛:IMIマイクロ・ガリル
ガリルの銃身を切り詰め、折り畳み式ストックに変更した小型モデル。
アサルトライフルとしては非常にコンパクトで、通学カバンに入れて携行しやすい。
■絵里:VSSヴィントレス
大型のサプレッサーと特殊な低弾を組み合わせ、非常に高い消音効果を実現した狙撃銃。
市街地での近距離狙撃ミッションであるため、隠密性を考慮してこれを採用した。
ギターケースで携行する。
■海未:SVU
ドラグノフ狙撃銃をブルパップ化したモデル。VSSが一丁しかなかったのでこれを使用。
サプレッサーは装着しているが、消音効果は薄いため、脱出時のバックアップが主用途。
同じくギターケースで携行。
■希、真姫、花陽:コルトM1911A1
みんなだいすきガバメント。
一応持ってるが、観測手と斥候は戦闘を許可されてないので基本的に使用しない。
136:
#9 せんゆう
銀座の街を4人の女子高生たちが歩いている。
穂乃果「えー、マジー? 超ゆるふわじゃーん」
にこ「マジおしゃんてぃーなんですけどー」
凛「うちらモテカワだしぃー?」
ことり「激おこだよねー」
希『セーフティーゾーン侵入、周囲に人影なし』
イヤホンから聞こえた声を合図に、女子高生たちは静まる。
マルイの紙袋から取り出したUCP迷彩の戦闘服を制服の上に直接着て、
頭部にアフガンストールを巻き顔を隠す。
素く着替えると、今度は紙袋からマイクロ・ガリルを取り出す。
マガジンを装着し、コッキングハンドルを引いて、セレクターをセミオートに合わせる。
紙袋は手く畳んでポケットに詰める。エコのためではない。生きて帰るためだ。
137:
にこ「配置についたわ、指示を」
希『ゲット・レディ』
希が手元のリモコンを操作すると、エリアの一角で爆発が起こった。
4人の歩兵がいるブロックの対角方向だ。陽動である。
希『オープン・ファイア』
絵里『ファイア』
VSSのバレルが跳ね上がり、9x39mmSP-6徹甲弾がシークレットサービスの顎を食いちぎる。
にこ「いくわよ! ゴー、ムーブ!」
歩兵部隊が行動を開始する。互い違いに二列に並んだ隊形で、静かに、迅に前進する。
曲がり角の先に敵兵士を発見した。
にこ「コンタクト。どうする?」
希『やかに排除』
にこ「了解」
マイクロ・ガリルが火を吹き、敵兵士の膝が弾ける。
何が起こったかもわからず崩れ落ちる敵に、二発三発とフルメタルジャケットを叩き込む。
138:
にこ「タンゴ・ダウン」
にこは敵の死亡を確認すると、ハンドサインで隊に前進を指示した。
穂乃果「さっきの爆発のお陰でこっち側は敵が少ないね」
ことり「ちょっと安心したかも」
凛「今のうちにどんどん進むにゃー」
にこ「無駄口を叩かないように」
希『そのまま進むと敵が複数いるエリアに入るよ、油断しないでね』
にこ「了解」
希『エリチ、そこから見える?』
絵里『見えないわ、一つ先の十字路まで押し込んでくれれば狙えるけど』
にこ「みんなやることはわかるわね?」
穂乃果「もちろん」
希『6人いるよ、確認できる?』
にこ「確認したわ。とっとと片を付けるわよ」
にこは隊に待機の指示を出し、MK2破片手榴弾のピンを抜いた。
二秒待ってそれを敵集団に投げ込む。
139:
にこ「斉射」
手榴弾が炸裂するとともに、4人の銃弾が一斉に敵を襲う。
この奇襲によって敵は次々と倒れた。
咄嗟に身を隠した者はたまらず後退するが、その先こそがキリング・フィールドだ。
絵里『いらっしゃい』
虎視眈々と待ち受けていた絵里がVSSのトリガーを引くと、最後の一人も沈んだ。
にこ「お見事」
花陽『今の爆発音と銃声でこちら側の敵に察知されました。場所も特定されてるみたいです』
真姫『陽動で混乱した奴らも態勢を整えて集結し始めてるわよ』
希『敵の規模と進行ルートは?』
花陽『CブロックからEブロック方面へ移動中、一個分隊です』
真姫『こっちはまだ動いてないわ、でも時間の問題よ』
海未『そのルートなら私のレンジに入ります。撃ちますか?』
希『まだや、海未ちゃん。居場所がバレたらまずい』
海未『了解、引き続き待機します』
140:
にこ「オーケー、歩兵部隊は予定通り二手に別れるわよ」
希『穂乃果チームはEブロック方面へ、にこチームは迂回して敵のサイドに出て』
穂乃果「了解、行こうことりちゃん」
ことり「うん」
にこ「凛、付いてきて」
凛「アイサー」
希『ここからじゃそちらの様子はわからない。海未ちゃん報告して』
海未『敵は想定されたルートを進行中。このままいけば数十秒後に穂乃果チームとコンタクトします』
真姫『こちらも動き出したわ。Aブロックから一個分隊が南下中』
絵里『そいつらは私が受け持つわ』
ことり「穂乃果ちゃん、きたよ」
穂乃果「敵分隊確認、いきます!」
希『にこチームが到着するまで踏ん張って!』
穂乃果とことりがビルの角から半身を覗かせて射撃を開始する。
しかし敵も警戒態勢であったため、これまでの奇襲のようにはいかなかった。
素く遮蔽物に身を隠し、応戦してくる。
141:
穂乃果「おっと……!」
銃弾がビルの壁面を削り取り、穂乃果は慌てて顔を引っ込める。
ことり「二人で分隊相手はやっぱり厳しいね」
接近を許すとそのまま物量で押し切られてしまう。
危険だが絶えず撃ち続けなければならない。
花陽『にこチーム見えました。そのまま大通りの方向へ行けば敵の右翼に出ます』
にこ「オーケー」
凛「急ごう!」
穂乃果チームはなんとか敵の侵攻を食い止めているが、弾薬の消費が激しく、ジリ貧だった。
敵の攻勢に耐えるにはフルオートでばら撒くしかなかったのだ。
穂乃果「ことりちゃん、手榴弾は?」
ことり「あといっこ!」
穂乃果「まずいなぁ」
そのとき敵のフォーメーションが崩れた。
二人か三人か、地べたに這いつくばるのが見えた。
ことり「きた!」
142:
にこチームが敵のサイドから襲撃を食らわせたのだ。
だが敵の対応も迅だ。隊から何人かが分離し、にこチームに狙いを定める。
凛「こっちにくるよ」
にこ「さがって」
絵里『こちらの敵を何人か撃ち漏らしたわ』
希『にこっち、そっちに行くはずよ、退避して』
にこ「移動するわよ。合流されたら面倒だわ」
にこチームはきた道を戻る。しかし敵も追ってきた。
にこ「穂乃果たちは消耗してると見て、私たちを目標にしたんだわ」
凛「どうしよう!」
にこ「逃げながら倒す。絵里が逃したやつらがくる前に片付けないと」
二人は追ってくる敵に応戦しながら、可能な限り急いで後退する。
角を曲がったところで、ビルの壁面に外階段が備えられているのに気付いた。
にこ「これを使うわ、凛、登って」
凛「了解だにゃー!」
143:
凛が階段を駆け上がり、二階のドアから建物内に進入する。
にこは近くの電柱に身を隠し、突き当りの壁に向けて射撃した。見せ弾だ。
曲がり角の直後で止まらず、もっと奥まで退避していることを知らせるためだ。
敵はまんまと乗せられた。曲がり角の直前まで到達し、そこで止まった。
その姿は建物二階の窓から丸見えだった。
凛はフルオート射撃で窓を粉々に割り、すぐさま身を乗り出して眼下の敵に銃口を向けた。
にこは窓が割れる音を合図にして手榴弾を投げ込む。
銃声と爆発音が鳴り響き、そして次に凛の声が聞こえた。
凛「クリア!」
にこ「上出来! さあいくわよ」
144:
希『おかしい……誰か、特殊部隊を見た?』
花陽『こちらは見ていません』
海未『こちらもです』
希『どうして出てこないの……向こうさんにもかなり被害が出てるのに』
絵里『この戦闘を静観してるとは思えない……見逃したんじゃないの?』
真姫『私と希の位置から、車列はすべてカバーできるのよ、見逃すなんてありえないわ』
希『どういうことや……』
海未『待ってください! います! 撃たれました!』
穂乃果「ねえ、敵が多い! どうして?! さっきより増えてるよ!」
ことり「さっきまでの軍人さんと服が違う!」
希『やられた……! 出てこないんじゃない! はじめから戦場にいたんや!』
絵里『私たちがくる前から、配置済みだったっていうの?!』
希『今までは歩兵チームの動きを見て、ウチらの位置を割り出してたんや!』
海未『くっ、だから私の位置がバレてるんですか……!』
145:
希『おそらくほぼ全員の位置が割れた……だから出てきた!』
凛「こっちにもいるよ! 黒い戦闘服のやつら!」
にこ「ねえ、どうするの希! 指示を!」
希『花陽ちゃん、そっちのエリアに民間人はいる?』
花陽『いないと思います、避難済みです』
希『よし……ら一帯に……けた爆薬を全部起……これで……全てが脱……ントや』
にこ「なに? ノイズが入ってよく聞こえないわ、もう一度言って!」
無線の大部分がノイズ混じりになった。ジャミング攻撃がはじまったのだ。
希『……信妨害……くそ……みん……げて……全力で……繰り返……力で脱出……』
希がリモコンを操作すると、数寄屋橋エリア一帯のいたるところで爆発が巻き起こった。
最悪の事態に備えて、すべての監視カメラを破壊するために仕掛けられていたものだ。
これによってエリア全体が脱出ポイントとなった。
146:
絵里『脱……脱出脱……出……脱出……聞こえた?! ……』
無線はもはやほとんど聞こえなくなっていたが、脱出することだけはわかった。
海未は近くで敵と交戦している穂乃果チームに直接声をかける。
海未「穂乃果、ことり、脱出です! 急いで!」
ドラグノフで二人を援護する。
が、位置が知られているため、顔を覗かせれば撃たれる。狙撃がままならない。
それでもなんとかギリギリの角度で射撃する。
しかしそう長くは保たないだろう。建物内に侵入されたら一巻の終わりなのだ。
近接戦闘に持ち込まれたら、狙撃銃しか装備していない海未に勝ち目はない。
穂乃果「脱出……! しようにも……! これじゃ……!」
ことり「囲まれてるよ! 穂乃果ちゃん!」
相手は軍人が3人、特殊部隊がおそらく4、5人。
複数方向から囲まれている分、軍人だけを相手にしていたときよりも状況は悪い。
しかも弾薬の大部分を消費してしまっているのだ。
147:
海未「なんとか私の方向へ逃げてください! バックアップします!」
海未がいる場所はエリアの端だ。脱出するには最も近道なのである。
しかし、そこへ辿り着くには大通りを横切らなければならない。
前と後ろに敵がいる、遮蔽物もない通りを渡るのだ。
穂乃果「抑えきれない!」
ことり「もう弾が切れちゃう! ここにいたら駄目だよ!」
海未「合図したら走って! いきますよ! 3、2、1、ゴー!」
海未がスタングレネードを投げた。
広い大通りの複数方向に展開している敵に対しては、大きな効果は期待できない。
それでも、このなけなしの装備に頼るしか活路がなかった。
穂乃果とことりは、合図と同時に走りだした。
敵の復帰は早かった。
大通りを渡り切るすんでのところで、こちらに銃口を向ける敵の姿が、ことりの眼に映った。
149:
ことり「穂乃果ちゃん、危ない!」
ことりは一歩前を走っていた穂乃果の背中をぐいと押しやった。
穂乃果はその勢いでバランスを崩し、大通りを越えたところの路地に転がり込んだ。
銃声が聞こえた。
咄嗟に振り返った穂乃果の眼に入ったのは、血まみれの脚を引きずってもがき這うことりだった。
穂乃果「うわあああああ! ことりちゃん! ことりちゃあん!」
ことり「ほの……に……げて」
そのとき既にことりの視界はほとんど闇だった。
眼を開けているつもりなのに、すぐそばにいる穂乃果の姿すらぼんやりとしか見えなかった。
穂乃果「ことりちゃん、しっかりして! 逃げよう! ねえことりちゃん!」
穂乃果は必死でことりの腕を引っ張る。
しかしことり自身に動く力が残されていなかった。
そのため、まるで死体を引きずるような重さだった。
ことり「げ……て……ほ……の……」
穂乃果「駄目だよ! 一緒にいくんだよ! ことりちゃあん!」
ことりは最後の力を振り絞って、残り一個の手榴弾を掴んだ。
150:
…………
……

南大佐「作戦失敗、かしら?」
希「いいえ、成功です」
南大佐「暗殺できなかったんでしょう?」
希「私たちのミッションは示威行動なのです。
政治的暗殺ではなく、軍事的攻撃であることをしらしめるための、ね。
だから、『戦闘を行うこと』そのものに意味があったんです。
おかげで大統領の宿泊先が、民間のホテルではなく、迎賓館に変更になりました。
政府私設というのは、情報が非常に多くて、私たちにとってはやりやすいんですよ」
南大佐「迎賓館になにか仕掛けがあるわけ?」
希「まあ、地図を書き換えることになるかもしれませんね」
南大佐「滅茶苦茶だわ」
希「そうだ、私、CIAを辞めようと思っています」
南大佐「あら、監視の目がなくなるってこと?」
希「それは……私の代わりがくると思いますけど」
南大佐「そう、残念だわ。しかしどういう風の吹き回し? せっかくの立場を捨てるなんて」
希「そうですね、まあ……『ウチを入れて9人』っていうことですかね」
151:
# エピローグ
装甲車が揺れる。
私たちを戦地に運ぶ。
銀座での作戦のあと、迎賓館に飛行機が墜落し、大統領は逝去した。
戦争と呼んで何ら差し支えない戦闘が国土の中で起こったことで、軍拡の論調は日に日に高まっていった。
その結果、自衛隊と軍部はともに解体、再編され、日本国防軍として生まれ変わった。
国防に繋がることであれば、他国での軍事行動も許可される組織だ。
まさしく我が日本国は戦争ができる国になったというわけだ。
犠牲になったものもあった。
東アジア諸国とロシアとの関係悪化だ。しばらくの間、極限の緊張状態が続いた。
やがて張り詰められたゴムは、北朝鮮による「やってはならない挑発行動」によって、ぷっつりと弾けた。
第三次世界大戦の幕開けだ。
152:
……そして私たちはここにいる。
作戦区域に到着し、装甲車が止まる。
後部ハッチが開き、私たちはこれから戦場となる地面を踏みしめる。
にこ「点呼!」
穂乃果「いち!」
海未「さん!」
真姫「よん!」
凛「ご!」
花陽「ろく!」
にこ「なな!」
希「はち!」
絵里「きゅう!」
153:
ひとつ、昔と変わったことがある。
隊の名称を改称したのだ。
マイク分隊……M'sはもうなくなり、私たちは今、μ'sと名乗っている。
ミューズ、9人の女神の名だ。
私たちがかつて9人であったことを、決して忘れないようにという思いを込めて、そうした。
にこ「展開!」
私たちは装甲車の左右に別れ、4人と4人の組になって整列する。
まるで……。
鳥の翼のようだな、と、ふと思った。
155:
# エピローグ2
ねえねえ、聞いた? またμ'sが勝ったんだって!
すごいよね! ああいう人たちを英雄っていうんだよ!
私この学校に入ってよかったぁ、μ'sの後輩ってだけで自慢になるもん。
それにしても、なんでμ'sなんだろ?
9人の女神っていう意味らしいけど。
でも、8人だよね? μ'sって。
それが、聞いた話なんだけど、あとの一人は、戦場で脚を切断する大怪我をしちゃったんだって。
除隊したっていうこと? それとも……。
それがわからないんだよね……生きてるか、死んでるかも……。
156:
開戦前の極秘任務だったから、記録が残ってないって聞いたよ。
あれ? そういえば、理事長って……。
片足が……。
まさか……ね。
あっ、ねえ、理事長が視察にきてるよ!
聞いてみる……?
う、うん、聞いてみよう!
あの、理事長、少しよろしいでしょうか……?
ことり「ん? なにかな?」
終わり
157:
いい話じゃねぇか!乙です
158:
ギャグのつもりで書き始めたのに超真面目になってしまった
ラブライブでやる意味あるのかって感じですが、読んでくれた方に感謝します
159:
終わりか
ギャグだと思ったら熱かった乙
16

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