日本兵「ここは何処だ?」 侍「江戸でござる」back

日本兵「ここは何処だ?」 侍「江戸でござる」


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1:
日本兵「(侍?ははぁん、さては日光江戸村的な観光名所か)」
日本兵「コホン。えー、見ての通り私は皇軍の兵である。この園の出口は何処か?」
侍「何を言ってるか分からん。薩摩者か?」
日本兵「いや、私の出身は神戸である」
侍「コーベ?そんな地名聞いたことないわ」
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2:
過去の過去とは新しいジャンル
5:
侍「まぁお主が何者かは知らんがの、今は町中大騒ぎなんじゃ。下手なことしてると奉行所に引っ張られるぞ」
日本兵「奉行所?この時代に何を言っとるんだお前は。それに騒ぎとは何だ?」
侍「知らんのか?海の向こうから異人の黒船がやって来ておる」
日本兵「く、黒船だと?」
7:
侍「ほれ見てみい。あのデッカイ船が異人の船よ」
日本兵「(ほ、本物の黒船!!! と言うことは……コイツも本物の侍!?)」
日本兵「な、なるほど。つまり日本に異敵が攻めてきておる状況のわけだな……」
侍「異敵?なーにを言っとるんだ、敵も何も無いわ。奴等は幕府に手紙を持ってきただけじゃそうな」
日本兵「な、何を呑気な!!!見よ!!!あの船は大砲を積んでいるではないか!!!」
侍「それがどうかしたのか?異人の船なら大砲ぐらい積んでおろう」
日本兵「(な、何なんだ。侍は日本の誇り。誇り高き魂を持つ人々のはずではないのか?)」
13:
日本兵「お前はアイツと戦わんのか!!!異敵だぞ。い、て、き!!!!」
侍「何をカッカしてとるんじゃ気持ち悪い。田舎者じゃあるまいし戦なぞせんわ」
日本兵「で、ではその腰に指した刀は何のための物だ!!!戦うためのものではないのか!!!!」
侍「これか?これは竹光っちゅうてな、ただの棒よ。刀身はずーっと家に置いとるわ」
日本兵「な、何故だ!!!刀と言えば武士、いや日本人の誇りの象徴であろう!!!!」
侍「あんな重くて高価な物を年中ブラブラさせておれるか。アホかお主は」
18:
日本兵「(なんなんだコイツは。伝え聞く武士の姿とは似ても似つかんぞ)」
侍「まぁなんじゃ。恐らく黒船の噂を聞いてやってきた田舎者じゃろう?戦なぞ無いから落ち着け」
日本兵「ええい黙れ!!!貴様は売国奴よ!!!貴様のような奴が明治まで生きて堪るかぁ!!!!」刀シャッキーン
侍「うぉおおお!!!!お主気でも狂ったか!!!!」
日本兵「黙れぃ!!!貴様のような武士が居るなぞ許せるかぁ!!!!」
同心「あやつ刀を抜いておるぞー!!!御用だ!!!御用だー!!!」
日本兵「な、なんだ?」
侍「お主、やってもうたのぅ……」
23:
お奉行「……あー、お主。もう一度言ってくれるか?」
日本兵「あの侍の格好をした売国奴!!!アイツが異敵と戦わぬと言っておったから斬らんとしたのだ!!!」
お奉行「なるほど。お主、ここの出身ではないな?遙々田舎から来たんじゃろう?」
日本兵「は?」
お奉行「今は太平の時代よ。戦だ何だと騒ぐのは大方田舎者と相場が決まっておる」
日本兵「何を言うか!!!貴様も徳川将軍家に使える誇り高き武士であろうが!!!」
お奉行「あー、そうよの、うん。その通りじゃ、お主の言う通りよ、うん」
24:
テンポも良くて感じいいな
27:
完全に酔っ払いを相手にするお巡りさん
30:
お奉行「ふぅ……。あのな?今の世の中でそんな事を叫ぶなぞ時代遅れも甚だしいぞ。周囲から孤立してないか?」
日本兵「はぁ!?」
お奉行「やれ攘夷だ戦だ焼き討ちだ。黒船が来て昨今、戦国の倣いだと切腹までするキチガイが増えとる」
日本兵「切腹は武士の倣いであろう!!!誉れであろう!!!」
お奉行「何百年前の話をしとるんだお主は。あんな野蛮な行為は野蛮な戦国の世が作った遺物よ」
お奉行「今どき切腹なぞキチガイが重罪人がするもの、不名誉極まるわ。おぉ恐ろしい」
日本兵「な、何を言うて……」
34:
お奉行「それに武士の倣いだと役にも立たぬ馬術や剣術を習わされとるワシらの身にもなれぃ」
日本兵「ぶ、武士なら当然だろう、それぐらい……」
お奉行「剣や馬で飯が食えるか?うん?無理じゃろうて。そんな事よりも銭勘定や仕事が大事じゃろう?うん?」
日本兵「(な、なんで武士がこんな役人みたいなことを言ってるんだ……)」
お奉行「まぁなんじゃ、お主も田舎から出て気が奮っておったのじゃろう。今日は多目に見てやる。ワシも忙しい」
日本兵「あ、あぁ……」
お奉行「もう二度と来るでないぞ。ワシもホントに忙しいんだから」
日本兵「(な、なんなんだ。ここはホントに江戸時代か?愛国心溢れる誉れ高い侍が闊歩していたのでは無かったのか?)」
39:
侍「おうおう、お疲れさんじゃったの。迎えに来てやったぞ」
日本兵「あ、あぁ……」
侍「どうした?元気がないな。そんなに絞られたか?」
日本兵「いや、江戸の侍って…思ってたのと違って……」
侍「HAHAHA♪田舎から出て来た者は皆そう言うわ。血気盛んなのは良いことだがもっと時勢と空気を読まんとな」
44:
侍「まぁせっかく田舎から出たんじゃ。飯でも奢ってやるわ」
日本兵「あ、あぁ……ありがたいな」
侍「行きつけの寿司屋があってな。珍しく昼でも開いとるのよ」
日本兵「寿司?あんな高価な物を奢ってやくれるのか?」
侍「お主どんだけ糞田舎から出てきたんじゃ。高い寿司なぞこの世にありゃせんだろ」
日本兵「(こ、ここは本当に日本なのか?)」
46:
戦国自衛隊思い出したわ
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48:
商人「こらこらお侍さんよ!!待て待て!!!」
侍「げぇっ!?」
日本兵「(な、なんだ?)」
商人「お主よぉ、そろそろ貸し付けた銭を返してくれんのか?期限は遠に過ぎているぞ」
侍「ももも申し訳ない。昨今は黒船騒ぎで食うのも精一杯で……」
商人「黒船がアンタの財布から銭を吸いとってるとでも言うのか?えぇ?」
侍「ホントに申し訳ない。平に平にご容赦を?……」
50:
日本兵「(な、何故誇りある武士がこんな商人に頭を下げているんだ…侍なら切り捨て御免だろう……)」
商人「ホントね、頭を下げてりゃ良いって物でもないんだよ?」
侍「平に?平にぃ?……」
日本兵「おい貴様、商人風情が武士に向かって何を言っておるか」
侍「なっ、待て待て!!」
52:
寿司は今のハンバーガー的な存在か?
92:
>>52
うん。
寿司の屋台は世界初のファストフードだ。
54:
日本兵「誉れ高い武士がここまで頭を下げておるのだ。引いてやるのが仁義であろう」
商人「銭の為に頭を下げる奴が誉れ高い?笑わせるんじゃないよ」
侍「商人様よぉ、コイツは田舎者だからまだココの事をよく分かってねぇんだよ」
日本兵「私は確かに田舎者。しかし血気盛んな田舎者である故、ここで思わず手が動くかも知れんぞ」
商人「な、何を……」
侍「バカ!!!お主さっきも刀抜いて奉行所に引っ張られただろうが!!!」
59:
商人「わ、分かった分かった。別に無理して返してもらおうとは思っておらん」
侍「ホントか!?いや?ありがてぇ」
商人「ただし明日明後日にも催促に来るからね。準備しとくんだよ」
侍「感謝っ!!ありがたや?ありがたや?」
日本兵「ふん、武士ならあんなの自分で往なしてみせたらどうなんだ?」
侍「阿呆が。そんなことしたら次から借りれなくなるだろうが」
63:
日本兵「はぁ…しかし何とも理解しがたい事が立て続けに起こるな……」
侍「なんのことだ?もう江戸の人の多さに酔ったか?」
日本兵「違う。武士と言えば主君に尽くし、命を賭けて戦う誉れ高き人々であると聞いていたのだ私は」
侍「ほほぅ……そりゃまるでお伽噺だな」
66:
日本兵「私にとってはこの現実がお伽噺だ!!!何なんだ一体!!!」
侍「まぁ落ち着け田舎者。カッカしてると身体に悪いぞ」
日本兵「お前もお前だ!!!さっきからずっと飄々としているがお前には武士としての気概や誇りはないのか!!!」
侍「あぁ、ないね」
日本兵「!!」
68:
日本兵「き、貴様!!!武士としてではなく日本人としても最低の人物だな!!!!」
侍「おいおい、俺はれっきとした武士だぞ。ほれ、刀も差しとる」
日本兵「それは竹光であろうが!!!!」
侍「まあまあ落ち着け……お主は田舎者故、まだココの現状を知らんだけよ」
日本兵「現状なら分かっている!!!今まさに敵が攻めてきているのだ!!!備えて戦うべきであろうが!!!」
侍「はぁ…とことん頭が可哀想な奴だな……」
日本兵「貴様!!!憂国の心を可哀想と言うか!!!」
侍「……分かった。ではココの現実を見せてやる。着いてきな」
72:
日本兵「……なんだこの広場は。公園か?」
侍「ここにはちょっと前までそれなりの店があったんだがな。ある事情で無くなっちまったのよ」
日本兵「事情……?」
侍「攘夷の連中……いや、攘夷を語る連中の仕業よ」
73:
侍「田舎から出てきたバカ共がやれ攘夷だ焼き討ちだと称してな、倉や店を襲うたかるの限りを尽くしたのよ」
日本兵「そ、そんなバカな事があるか……っ!!!」
侍「事実よ。これは噂だが帝のお膝元じゃ毎日のように攘夷同士の斬り合いが起きてるって話よ」
侍「お前が言うところの「武士の誇り」だ「異敵と戦う」と唱えてる連中がな」
日本兵「…………。」
74:
侍「俺はそういうのが嫌いなんだ。そりゃ刀を差しているからには言われたら戦うさ、その覚悟ぐらいは持ち合わせている」
侍「でも自分勝手な主張で力を振りかざすのはなぁ…ちょっと違うと思う」
侍「それに違う考えを持ってる奴…志を違えた者を斬るのも、まぁ間違いだと思ってる」
侍「違う志を持ってる奴ってのは、自分とは違う何かが見えてるってことだ。それを斬るのは惜しいことだ」
侍「攘夷の連中は見てるものが小さすぎるのよ。誇りだ異敵だ……その結果がこのくだらん所業よ」
日本兵「…………。」
79:
侍「っと、ちょっとしんみりしてしちまったか。別にお前の考えが間違ってるってわけじゃないんだ」
侍「ただ世の中にはアンタみたいな真面目な奴を利用して悪事を働く奴もいるってことよ。これはその結果よ」
日本兵「いや……ご教授…かたじけない……」
侍「よせよせ。田舎者にイロハを教えるのは江戸っ子の仕事なのよ!!!」
日本兵「(なんだろうな。今まですがっていた物を根こそぎ否定されたのに、コイツの言葉は変に清々しい)」
日本兵「(武士道…誇り……どうやら俺も在り方を少しだけ改める必要がありそうだな……)」
81:
侍「どれ、説教垂れたら腹が減ってきたな、寿司食いに行くか!!!」
日本兵「はは、ご馳走してもらおうかな」
侍「言っとくが鰹だなんだ、高いのは止めてくれよ?今俺の財布は拗ねちまっているからな」
日本兵「分かっている。黒船の仕業なんだろう?」
侍「そう言うことだ!!!HAHAHA♪」
町人「て、てーへんだ!!!また攘夷がやらかしたってよ!!!橋の向こうで建物が燃えてらぁ!!!」
83:
侍「おおぅ、おっかねぇなぁ……」
日本兵「これも攘夷の仕業なのか?」
侍「いやぁ…昨今は何かにつけて攘夷攘夷と叫ぶから実際のところは何とも言えんなぁ。どれ、ちょいと見物に行ってみるか」
日本兵「おい、飯はどうするんだ飯は」
侍「ちょっと寄り道しても飯は腐ったりしねぇ。それに火事と喧嘩は江戸の華だからな、お前も見た方が良いぞ」
日本兵「まったく、野次馬根性の極みだな……」
87:
侍「おうおう、これまた派手に燃やしてるなぁ」
日本兵「お、おいコレ周りの建物は大丈夫なのか?」
侍「風が無きゃ平気よ。コイツ一棟だけ勝手に燃え崩れるだろうよ」
日本兵「な、なるほど。そういうものなのか……」
町人「おお、おい!!!屋敷の娘がまだ中に取り残されているってよ!!!」
89:
侍「この火事に逃げ遅れたのか。不運な娘さんだな……」
日本兵「火消しの連中は何をしてるんだ!!!江戸の火消しは勇猛果敢なのだろう?どこにいるのだ」
侍「阿呆か。この火の海に飛び込む馬鹿なんぞ江戸におらんわ」
日本兵「で、では誰も娘を助けに行かんのか!?」
侍「無茶言うな、江戸の者は火の怖さを分かっている。だから誰も行かんし行けん」
日本兵「では残された娘は見殺しにされるのか!!それで良いのか貴様らは!!!」
侍「良いわけねぇだろう!!!だが今あの火の海に飛び込んだら一瞬で炭にされちまう!!!無駄死だ!!!」
日本兵「……分かった、ならば俺が行ってやる」
91:
侍道やるかのう
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94:
侍「何を言ってるんだ!!!あの火の海が見えねえのか?娘と仲良く御陀仏だぞ!!!」
日本兵「このまま見殺しには出来ん。それにこの大きさの屋敷なら探すのに時間はかからん。助け出せるかも知れん」
侍「お主なぁ…火の怖さを知らんのか?黒船も真っ青になるぐらいの真っ黒焦げになっちまうんだぞ?」
日本兵「誰ぞ水を持ってこい!!!!私が屋敷の中に入って娘を救いだす!!!」
95:
侍「お…おい、本当にやるのか?」
日本兵「あぁやる。武士に二言はない」
侍「お主は本当に堅物よなぁ…近くにいるだけで息苦しくなるわ」
日本兵「誉め言葉として受け取っておく……あぁそうだ、コレを」
侍「なんじゃ、お主の刀じゃねぇか」
99:
日本兵「お前が持っていてくれ。邪魔になるからな」
侍「良いのか?お主の言を借りると武士の魂を俺みたいなのに預けちまって」
日本兵「良いんだ。それは所詮物で魂なんぞではないからな」
侍「ほほぅ…随分と丸くなったな」
日本兵「俺が死んだらソイツは質にでも入れて財布の足しにでもしてくれ」
侍「それは承知しかねるな」
日本兵「二度は言わんぞ」
103:
町人「ほれ、水を汲んできたぞ」
日本兵「かたじけない」
侍「良いか?娘さんが仏になってたらお前だけすぐに逃げろ。何も死人の為に死ぬことはない」
日本兵「分かった」
日本兵「おーし!!!皇軍兵士の心意気!!!今こそ天上天下に轟かせてくれるわ!!!!」
群衆「いよ!!!兄ちゃん格好いいぞぉ!!!江戸っ子の鑑よ」
日本兵「おおぅ!!!全軍突撃だぁーっ!!!!」
侍「なんとまぁ…威勢の良いことよ」
107:
日本兵「(くっ、火の勢いが強い。早く娘を見つけないと俺も危ないぞ……)」
日本兵「誰ぞー!!誰ぞ居らんのかー!!」
日本兵「(返事がない。まずいな……)」
日本兵「誰か居らんのかー!!居たら返事をしろー!!」
日本兵「(……やはり返事がない。となると、二階か!!!)」
日本兵「待ってろー!!!今二階に上がって……って、うぁああああああああっ!!!!」
110:
町人「おおお、おい!!!建物が崩れ始めたぞ!!!」
町人2「な、中に入った奴は大丈夫なのか?まずいんじゃねぇのか?」
侍「くっ、やむを得ん!!!ワシも中に入るぞっ!!!奴をむざむざ死なせるわけにはいかん!!!!」
火消し「道を開けろぃ!!!ろ組のお通りでぇ!!!!」
113:
侍「退け貴様ら!!!中にワシの知り合いがおるのだ!!!」
火消し「それは罷り通らねぇ!!!いたずらに仏を増やさねぇのがあっしらの仕事だ!!!」
侍「いいから退け!!!武士の行く手を遮ると痛い目を見ることになるぞ!!!退け!!!」
火消し「黙れこの貧乏侍が!!!俺らの仕事を邪魔するってんなら容赦しねぇぞ!!!」
侍「問答をしている暇はないんだ!!頼む、通してくれ!!頼む!!!」
火消し「ええい邪魔だ!!!すっこんでやがれっ!!!」
侍「ぐはっ!!!」
114:
北島三郎のめ組じゃねーのかよwwwwwww
118:
日本兵「(くっ……瓦礫がのしかかって身体が動かん……)」
日本兵「(あぁ……駄目だ…頭を打ったせいで意識が……)」
日本兵「(ははっ…まさか戦場ではなく江戸時代で、しかも屋敷に押し潰されて死ぬとは……)」
日本兵「(やはり人生は面白い……が…思い通りには…いかない……の…か……)」
??「Hey!!Japanese soldier!!」
123:
日本兵「な…なんだ……?」
??「申シ遅レマシタ。私、アナタヲ国ヘ帰スタメニ派遣サレタ【役人】デース。鬼畜米英ノ出身デース」
日本兵「な…何を言って……」
役人(自称)「本当デスヨ?ホラ、チャーント背広ヲ着テイルデショウ?役人デース」
日本兵「が…外人の役人が死にかけの俺に何の用だ…?む…迎えか?」
役人(自称)「Oh……死神デハアリマセンヨー。チョットシタ手違イデ、アナタヲ江戸時代ニ連レテキテシマッタンデース」
126:
役人「ト言ウワケデ、アナタヲ元ノ時代ヘト戻シマスネー。attention pleaseデスヨー」
日本兵「ま、待て……まだこの屋敷には娘が残って……」
役人「大丈夫デース。屋敷ニ誰モ残ッテマセーンヨ」
日本兵「な、なに!?」
役人「多分屋敷内ニ隠レテタ私ノ姿ヲ見テ勘違イシタンデショー。HAHAHA♪」
日本兵「ふ、ふざけやがって……」
134:
役人「ソレデハ、元ノ時代マデノ旅ヲドウゾオ楽シミクダサーイ、good-bye♪」
日本兵「なっ!!ま、待て……ッ」
日本兵「(な、なんだ…急に意識が遠く…………だ…駄目だ……ッ)」
??「大尉殿…大尉殿」
136:
日本兵「うっ……ここは…何処だ?」
??「気付かれましたか大尉。ここは東京の病院ですよ。私は医者です」
大尉「びょ、病院?何で俺が病院に……って痛っ!!!」
医者「あぁ動かないで。車に轢かれたんですよアナタは」
大尉「く、車!?全然覚えてないぞ」
医者「無理もありません。轢かれてそのまま20mほど吹き飛ばされて頭を打ったのですから」
大尉「じゅ、20mも吹き飛ばされたのか?ピンピンしてるぞ!!!」
医者「いやぁ、こういう奇跡もあるんですねぇ、ははは♪」
139:
二等兵「失礼します!!!大尉殿、お気付きになられましたか」
大尉「お、おう。心配かけたな」
二等兵「申し訳ありません!!!私が付いていながら大尉をお守りすることが出来ず!!!」
大尉「お、お前もその場に居たのか?」
二等兵「はっ!!一緒に大通りを歩いていたのですが、突然私の目の前で大尉が20mほど吹き飛ばされました」
大尉「そ、そうなのか」
141:
二等兵「上官の身も守れず、それに加えて吹き飛ばされた大尉の軍刀も見付けることが出来ませんでした!!!」
大尉「そうか。まぁ仕方無いな」
二等兵「仕方無くありません!!!刀は武士の魂であり誇りだと大尉は言っておられたではありませんか!!!」
二等兵「かくなる上はこの責任を取って私は日本男児として腹を切って詫びを……」
大尉「まてまて!!!刀なんてたかが物だ!!物の為に命を棄てる馬鹿な真似は止めろ!!!」
二等兵「し、しかし大尉は常々……」
143:
大尉「良いから。今回のはただの事故だ、兵士なら死ぬのは戦場にしろ。何も病院で死ぬことはないだろうが」
二等兵「は、はぁ……大尉殿、頭を打たれましたか?何か雰囲気が……」
大尉「そうだ、頭を打ったんだ。だからこれ以上頭痛の種を増やすな」
二等兵「はっ!!失礼しました。それでは私は軍務に戻ります」
146:
大尉「(はぁ…交通事故ね。江戸時代に行ったと言われた方がまだ信じられるな)」
大尉「(いやぁしかし面白い夢だった。変に現実味があったな。空気の匂いも町の喧騒もはっきりと覚えているし……)」
大尉「(もしかしたら本当にあの役人とかいう奴に江戸時代まで……いや無いな)」
大尉「(どれ、もう一眠りしてあの夢を……)」
看護婦「失礼します。あの…受付に大尉宛のお届け物が……」
148:
大尉「わざわざすまないな。見舞いの品か?」
看護婦「いえ、大きな箱にしまわれておりまして中身までは……」
大尉「ふむ、どれ取りに行こうか」
看護婦「い、いえ私が持ってきますので……」
大尉「その必要はない。ちょうど暇してからな、私が行こう」
151:
受付「こちらがその届け物でございます」
大尉「また随分と古い箱だな。本当に私宛の物なのか?」
受付「はい。名前と部屋番号まで指定して預けられました」
大尉「それでコレを届けてくれた者は?」
受付「かなりお歳を召した男性でした……大尉さんのご親族では?」
大尉「ふむ。どれ、とりあえず中身をしてみんことには、っと……」
152:
侍も日本兵も桜に共通してるから桜トリックかもw
156:
大尉「……………おい、これを届けた者は今どこにいる」
受付「はい。建物を出て右に曲がったバス停に……って大尉さん!!!」
看護婦「ありゃりゃ。何あの人、脱走?」
受付「いえ…多分あのご老人にお礼を……」
看護婦「ふーん。何を届けてくれたの?」
受付「その……」
受付「かなり古い刀のようですが……」
159:
大尉「(何処だ?何処に行った?確かバス停とか言ってたな)」
大尉「(あった!!!あれだな)おーい!!!そこのご老人!!!話があるだがー!!!」
老人「はて、私の事ですかな?」
大尉「そ…そうだ。この刀を届けてくれたのはアナタか?」
老人「如何にも。私がある人に言われてここの受付に預けましたが」
大尉「あ、ある人?そのある人に会いたいのだ!!!教えてくれ!!!何処にいるんだ!!!」
162:
老人「ふむ、軍人さんや、とりあえず落ち着けなさい」
大尉「おお落ち着いていられるか!!!あの刀は……」
老人「ははは、軍人さん。さては東京者じゃないね?」
大尉「は?」
老人「恐らく神戸出身だろう?これだから田舎者だから困る。何かあるとすぐ騒ぎだす」
大尉「なっ……アンタ」
164:
老人「あの刀は昔ある人に託された物でね。売っても良いと言われたんだが形見として取っておったのですよ」
老人「それが今日、変な風体の外人が突然私の枕元に立って言ったのですよ」
老人「"そーれの持ち主はビョーインにいるでーすよ♪"ってな」
大尉「お、おい…それ……」
老人「ははは、頭の固いアナタには理解しがたい話でしたかな?」
170:
?完?
173:
外人はクロエか?
187:
くろえるめーるですよぉ
174:
一乙
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