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コナン「探偵をやめて犯罪者になる」【中編】
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1:
◆12時40分://米花ビル/某階/トイレ◆
【暗闇の中、ウォッカに電話を掛けるジン】
ジン「……ああ。例のコソ泥に巻き込まれたみてぇだ」
ジン「さっき、フロアを回ってみたが――」
ジン「全ての階段に、犬が張り付いてやがる……」
ジン「あの様子じゃ、身体検査は免れねぇだろう」
『じゃ、じゃあ、兄貴はどうやってそこから出るつもりで……?』
ジン「ふっ……心配するな。堂々と出てやるまでだ……」
ジン「まぁ……チャカはここに置いていくハメになるがな……」
『そ、そうですかい……』
ジン「……それより、例のSNSの件はどうなった?」
『あぁ……実はそれが、残念な結果になってしまいまして……』
ジン「……残念な結果だと?」
183:
『ええ。企業から、情報を買うまでは良かったんですが……』
『結局、例のアカウントは《成りすまし》だったんです……』
ジン「……そうか……そいつは残念だ……」
『……兄貴……これからどうしやしょうか……?』
ジン「ちなみに、その成りすまし犯はどこのどいつだ?」
『……米花市○○に住む、円谷って奴だそうですが……』
ジン「近いな……じゃあ今からそこに行くぞ」
『えっ? でもソイツは、ただの一般人ですぜ?』
ジン「だが、工藤新一に成りすましたってことは――」
ジン「奴のことで何か知ってる可能性があるってことだろ?」
ジン「手掛かりのない今、そこまで無駄足にはならねーよ」
『……分かりやした。じゃあ今から米花ビルに向かいます……』
ジン「ああ……1時間以内に来い……」ピッ
185:
◆13時00分://帝丹小学校/教室◆
『キーンコーンカーンコーン』
歩美(……昼休みの時間だ……)ゴクリ
歩美(コナン君……さっきからずっといないけど――)
歩美(もしかして……男子トイレで待ってるのかな……)
小林「……」オロオロオロオロ
歩美「あ、先生……どうしたの?」
小林「よ、吉田さん。江戸川君と円谷君と灰原さん見なかった?」
小林「保健室にもトイレにも……どこにもいないから困ってて……」
歩美「光彦君と哀ちゃんなら、体育の時ちょっと見かけたよ?」
歩美「体育倉庫の近くで、何か話してたみたいだけど……」
小林(……体育倉庫……?)
小林「分かった。じゃあ先生、体育館に行ってみるから」
小林「またその3人を見かけたら、すぐ先生に教えてね」タタタ
歩美「う、うん……(私も男子トイレ……行ってみようかな……)」
188:
◆同刻://帝丹小学校/男子トイレ◆
歩美「コナン君……いる……?」
【廊下から男子トイレに顔を覗かせる歩美】
【返事がなかったので踏み込むことを決意した】
歩美(うぅ……誰かに見つかったらどうしよう……///)
【小便器の前を顔を赤らめながら通り過ぎ、】
【そして3つある個室の前まで足を運んだ】
[空き][空き][故障中]
歩美(この漢字……《こしょうちゅう》でいいのかな?)
歩美(何でもいいけど……この筆跡、明らかにコナン君のだよね……)
【そう――歩美はコナンの《漢字ノート》を見たことがあり、】
【その小1とは思えない達筆さ故、彼の筆跡には覚えがあった】
歩美(……よし……入ってみよ……)
『キィィィ……』
歩美(……あれ……?)
【中には誰もいない。そして何の変哲もない便器】
【疑問に思った歩美は、コナンの意図を考えることにした】
189:
歩美(そっか……故障中の紙を張ってたら――)
歩美(誰かが興味本位で個室を開けるかもしれないもんね……)
歩美(だとすると……コナン君は何かをここに……)
『ビリビリッ……』 『……パサッ』
【少女が《故障中》の張り紙を剥がすと、】
【その裏から、何やら2つ折りの紙が落ちてきた】
歩美(やっぱり……だけど何だろ……)
歩美(この紙……何かのメッセージかな……?)
【恐る恐る、紙を開く歩美――】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
歩美ちゃんへ
君なら見つけてくれると信じてたよ。
早だけど、今すぐ博士の家に来てくれないかな?
ちょっと助けて欲しいことがあるんだ。 コナンより
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
190:
◆同刻://阿笠邸/中庭◆
【歩美がコナンのメッセージを見つけた頃、】
【当の本人は、既に阿笠邸の中庭にいた】
コナン「えーっと、確か合鍵はこの植木鉢の裏に……」
コナン「おっ……あったあった……」ニヤリ
【博士を《鉛玉&蹴力増強靴》で殺したコナンは、】
【停電の中、例の階から小さな脱出口を見つけ脱出】
【そして、帝丹小学校のトイレに書き置きを残した後――】
【何らかの目的をもって、阿笠邸にやってきたワケだ】
コナン(クックック……それにしてもツイてたぜ――)
コナン(あのフロアに、ダストシュートがあったなんてな……)
【そう――標準体型の子供が何とか通れるくらいの大きさだが、】
【米花ビルの各フロアにはダストシュートが設置されていたのだ】
コナン(フッ……元太みたいに太ってなくて良かったぜ……)
192:
◆同刻://阿笠邸/リビング◆
【――鍵を開け、阿笠邸に靴を脱いだコナン】
コナン(……にしてもあの阿笠博士が――)
コナン(例の組織の仲間だったとはな……)
【ジンが博士を《アガサ》と呼んでいたのは、】
【《アーント・アガサ》っていう酒が由来で――】
【つまりそれが博士のコードネームだったんだろう】
コナン(くっ……未だに信じらんねぇぜ……)
コナン(昨日まで、あんなに優しかったのに……)
……
………
…………
193:
◇昨晩://阿笠邸/リビング◇
コナン「なぁ博士ー、最近事件がなくて暇なんだ」
コナン「何かこう、おもしれーことねーのかよ?」
博士「暇なら哀君と雑談でもしてたらどうじゃ?」カタカタ
コナン(は、灰原と……夜に雑談……?)ドキドキ
博士「あ、でも哀君は地下で研究中だから忙しいか……」
コナン(……んだよ……期待させやがって……)
博士「むぅ……ワシも明日の資料を作るので忙しいしなぁ……」
コナン「博士……俺が欲しいのはそんな暇つぶしじゃなくて――」
コナン「こう、血がぐわぁって騒ぐような、刺激とかスリルなんだよ」
コナン「それこそ犯罪者を追い詰める時に匹敵するぐらいのな……」
博士「……ふむ……なるほど……だったらいい考えがある……」
博士「犯罪者がいないなら、犯罪者になればいいじゃろ?」
コナン「……えっ……?」
194:
博士「ワシが最近作ったゲームにな――」
『探偵が犯罪者になって、世を恐怖に陥れる』
博士「――というのがあっての」
博士「それを今からプレイしてみたらどうじゃ?」
コナン「……ゲ、ゲーム……?」
博士「うむ。でも君には、刺激になると思うぞ?」ニヤニヤ
コナン(……探偵が犯罪者になる……)
コナン「……ふっ……面白そうじゃねーか……」ボソッ
博士「じゃろ? 偶にはこういうゲームも――」
コナン「博士。悪いけど、今日は帰るわ」
博士「えっ……していかんのか?」
コナン「ああ。もう遅いし、蘭を心配させちゃ悪いしよ」
博士「……??(な、なんじゃいきなり……)」
…………
………
……
196:
◆現在://阿笠邸/リビング◆
コナン(クックック……《犯罪とはゲーム》なんだ……)
コナン(ゲームオーバーにさえ、ならなければな……)
『カチ……カチ……』
コナン「……あれ? 電気がつかねぇ……」
コナン「まさか……博士ん家まで停電してんのかよ?」
くそっ……これじゃ博士のPCを探れねーじゃねぇか……
せっかく組織の尻尾を掴んで、皆殺しにしようと思ったのに……
コナン「あれ……そういえば、米花ビルが停電したとき――」
コナン「結局最後まで、電気が復旧しなかったよな……」
コナン「確かあそこは、自家発電出来ることが売りなのに……」
―――― コナン ――――ピシュンッ!
ま、まさかキッドの奴、一時的に停電させたワケじゃなく、
ビル内全ての照明機器を破壊した上で犯行に臨んだんじゃ……
198:
コナン(もしそうなら、電気が復旧しなかったことにも頷ける)
でも、照明を全て破壊するなんて荒技ができるのだろうか?
まさか1つ1つを爆弾で……なんてことはありえないし……
コナン(いや、待て……そもそも“見た目”は壊れてなかったんだ……)
つまり、照明の故障は――内部素子の損傷によるもの。
おそらく、内部に膨大な電流が流れたことが原因だろう。
コナン(てことは……キッドが利用したのは《高圧電流》……)
つまり奴は、比較的大規模な変電所に細工を施し――
高層ビルや工場向けの電気を変圧せずに送電することで、
米花ビルで使用中だった全ての電気機器をダウンさせたんだ。
199:
コナン(ハハ……もしこれが事実なら、電力会社は大変だぜ……)
学校や民家等の小規模な電気事情に対しては問題ないが、
米花ビルのような高層ビルや、中規模な工場等に対しては――
変電所の復旧作業のせいで、電気の一時供給停止は免れないからな。
コナン(……ってあれ? だとしたらおかしくないか?)
コナン(もしそうなら、何でこの家まで停電してんだよ?)
コナン(……この家だって、普通の民家なんだぞ……?)
まぁ確かにココは、博士や灰原の研究施設も兼ねてるけど、
2人がやってることに《膨大な電力が必要》だとは到底思えないし……
コナン(でも事実として、《停電してる》ってことは――)
この家が、《工場並の要電力施設》に分類されてるってことだよな……
コナン(……まさか博士の奴……この家の地下かどこかに――)
コナン(《莫大な電力が必要な何か》を作ってやがるのか……?)
200:
コナン「ククッ……ふはは……アッハハハハハハハッ!!」
コナン「博士の奴、随分と面白れーもんを残してくれたじゃねーか!」
コナン「間違いねぇ! 組織の手掛かりもそこにあるはずだ!!」
コナン「この家の地下に隠された何か――」
コナン「クックック……考えるだけでゾクゾクが止まらねーぜ……」
コナン「奴らの尻尾を掴んで、全員ぶっ殺してやるッッ!!!」ククク
【――1度罪を犯した人間は、もう元には戻れない】
【それが最大の禁忌である『殺人』ならば、尚更に……】
202:
◆1時05分://体育館/体育倉庫◆
クックック……興奮が収まりませんよぉ……
なんたって灰原さん――あなたは僕を怒らせました……
光彦(この縄から解放されたら、レイプの刑ですからね……)
あとそれから、江戸川コナンを八つ裂きにして殺します。
だって彼は、僕からあなたを奪った極悪人なんですよ?
誰がどう見ても、死刑に決まってるじゃないですか。
光彦(ふふっ……ああ……誰か助けに来ないですかねぇ……)
『キュラキュラキュラ……』
光彦(……ん……?)
小林「つ、円谷君!? どうしてこんな――」
小林「――って、なんて格好してるのよ!!!!」
光彦(おやおや……小林先生が僕のヒーローとは……)ニヤリ
【下半身を露出させながらも、鉄柱に縛られた少年は笑った】
204:
【明らかに動揺しながら、光彦の封印を解いた小林】
光彦「先生、ありがとうございます」
小林「ねぇ……どうしてこんな――」
光彦「あの、そこをどいてくれませんか?」
小林「これ誰にされたの!?」
小林「もしかして、虐められてるの!?」
光彦「そんなことありません。どいてください」
小林「先生、誰にも言わないから。ね?」
光彦「少しは生徒の言葉に耳を傾けて下さいよ」
小林「でも、こんなのどう見たって……」
光彦「僕は虐められてない、そう答えたはずです」
光彦「先生なのに、日本語分からないんですか?」
小林「ちょ、ちょっと……そんな言い方――」
光彦「教師なら、“どけ”くらい理解して従えよ」
小林「……ッッ!?」
207:
小林「……つぶらや……くん……?」
光彦「ところで先生、最近やけに機嫌がいいですよね」
光彦「もしかして白鳥警部とセックスでもしました?」
小林「……えっ……」
光彦「『えっ』じゃねーよ。純情ぶってんじゃねーよ」
光彦「てめぇの穢れた穴に、ドス黒い肉棒を挿れたのか聞いてんだよ」
光彦「あと乳房は揉まれたのかよ。乳首はどうされたよ。感じたのかよ」
光彦「クンニはどうなんだよ。まさか手マンだけかよ。噴いたのかよ」
光彦「後ろの穴は使ったのかよ。奴にはどんな奉仕をしたんだよ」
光彦「手かよ。足かよ。脇かよ。奥までしゃぶったのかよ。乳淫かよ」
光彦「何回射精させたよ。顔射かよ。挟射かよ。飲んだのかよ」
光彦「中に出したのかよ。てめぇは逝ったのかよ。満足できたのかよ」
小林「ちょ、ちょっと円谷君。いい加減に――」
光彦「だったらドケやゴルァアアアアアアアアア!!!!!」
208:
【光彦の意味不明な恫喝に、小林は思考を停止した】
【まぁ無理もない。普段敬語を使う礼儀正しい少年が――】
【全てにおいて、真逆の態度を取ったのだから……】
光彦「ふふっ……やっとどいてくれましたね……」ニヤリ
【そう言って、3時間ぶりに体育倉庫を出る光彦】
『キュラキュラキュラ……』
光彦「じゃあ先生……僕は自宅に帰るんで……」ニヤリ
小林「……あ……ちょっと待っ……」
光彦「ふふっ。さようなら」ニヤリ
『……ガシャン!』
小林「……」
小林(……何で……? どうして……?)
【もはや教師には、生徒を追いかける気力はなく――】
【現実を飲み込もうとするのに、精一杯であった……】
210:
◆その頃://円谷家/光彦の部屋◆
【学校から出た後、一度阿笠邸に帰宅した灰原は、】
【《データ救出用OS》をUSBメモリにダウンロードし、】
【そして1時間前に、円谷家を訪れていた――】
灰原「ほら……これが証拠よ……」
[Web履歴]XVIDEOS、Xhamster、YourFileHost……
朝美「……あちゃー……本当だね……」
【両親不在のため、代わりに光彦の姉――朝美に対し、】
【弟・光彦のネットブラウジング履歴を見せつける灰原】
【何故彼女が、光彦のPCの履歴が見れるのかというと――】
【それは《データ救出用OS》の悪用によるものだった】
●用語解説《データ救出用OS》●
USBメモリやCD等から本OSを起動することで、
対象PCに保存されたデータを見ることが可能。
パスワード不要で、データにアクセス出来るため、
灰原のように、悪用しようと思えば出来るわけだ。
212:
灰原「――これで分かった?」
灰原「弟さんを真っ当な人間に育てたければ――」
灰原「今すぐネットをやめさせないとダメだって……」
朝美「……うん……みっちゃんのためだもんね……」
朝美「今夜、お父さんとお母さんに言っとくよ」
灰原「ええ……お願いするわ」
朝美「……じゃあさ、ちょっと休憩する?」
灰原「きゅ、休憩?」
朝美「うん。だって哀ちゃん、疲れたでしょ?」
朝美「今、紅茶とお菓子持ってきてあげるからね」ニコッ
灰原「えっ……あ……ありがと……」
216:
朝美「よしっ……じゃあちょっと待っててねー♪」
【――嬉しそうに部屋から出ていった朝美】
灰原(そういえば今日って……金曜日よね……)
灰原(何であの子……学校に行ってないのかしら……?)
【今日が平日である以上、灰原の疑問はごもっともだ】
灰原(……まぁそんなこと、私には関係ないけど……)
【灰原は深く考えず、引き続き光彦のPCに向かう――】
『カチカチッ……』
【――というのも先程、気になる項目を見つけたからだ】
灰原(……やっぱりこのフォルダって――)
《博士のデータ》
灰原(――彼が博士のPCから盗んだデータのことよね……)
218:
灰原(……ついでに確かめるべきね……)
『カチカチッ……』
【《博士のデータ》にアクセスする灰原――】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[博士のデータ]
├[写真]
│ ├[FJT072B]
│ ├[幼少期の新一]
│ └[ょぅし゛ょ]
├[音楽]
│ └[よつのは OST]
├[動画]
│ └[新しいフォルダ(2)]
├[書籍]
│ ├[闇の男爵]
│ └[罪と罰]
└[文書]
├[発明品]
└[日記]
├ 表日記.txt
└ 裏日記.txt ←
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
灰原(ん……この《裏日記》って、何かしら……?)
【何やら、ヤバいものを見つけてしまった……】
220:
>>218
その新しいフォルダ(2)とやらをこちらに転送してはくれないだろうか
219:
◆その頃://円谷家/台所◆
【紅茶を煎れるため、お湯を沸かす朝美】
朝美「ふふっ……やっぱり哀ちゃんって可愛い……!」
何かこう――大人びてて凄くクールなのに、
強がった感じの、寂しいオーラが出てて――
朝美(胸とか触った時の反応とか、見てみたいなぁ♪)
朝美(くぅ〜! 想像するだけできゅんきゅんしちゃう♪)
【そう――朝美は重度のレズビアンだったのだ】
【それ故に多くの女子には距離を置かれ――】
【男子には誂われる学校生活を送っている……】
朝美(あぁ〜、キスして、ギュゥッてしたい……///)
朝美(……後で後ろからハグしちゃおっと……♪)ニヒヒ
222:
◆1時15分://毛利探偵事務所◆
小五郎「……ふぁーあ……暇だぜったく……」
【登場人物が非日常に翻弄される中――】
【眠りの小五郎だけは、いつも通りだった】
TV『か〜ごめか〜ごめ カゴの中のと〜り〜は』
TV『いついつ出会う〜 出会うなr』
小五郎「ちっ……ウゼェな……ぶっ殺すぞ……!!」
TV『――えぇー、ここで緊急ニュースです』
小五郎「……ああ? 緊急ニュースだぁ?」
TV『本日開催された、タイムマシンの発表会にて――』
TV『タイムマシンが盗まれるという事件が発生しました』
小五郎「……な……何だと……?」
225:
TV『その際に、2人の男性が被害に遭い――』
TV『少年Aは計3発の銃弾を身体に受けており重体』
TV『タイムマシン開発者である阿笠氏は――』
TV『心臓に銃弾を受けたため、即死だったそうです』
『少年A (17) 重体』
『阿笠博士(52) 死亡』
小五郎「……へ……?」ポカーン
TV『また、場所について、少年Aはタイムマシンの保管室――』
TV『阿笠氏は同階のトイレにて被害に遭遇したため――』
TV『警察は現在、これらを別の事件として捜査を進めています』
226:
TV『さらに、少年Aがキッドの格好をしていたことから』
TV『警察は――』
『怪盗キッドの正体は少年Aである』
『タイムマシンを盗んだ犯人は別にいる』
TV『――との見解を示しており』
TV『“その人物が少年Aを拳銃で撃った”として』
TV『引き続き、捜査を続ける模様です』
小五郎「」ポカーン
TV『続いて、電力供給の一時停止についての情報です』
TV『此度の事件に関連して攻撃されたと思われる《変電所》ですが』
TV『現在、部分的な機能不全に陥っており――』
TV『○○電力は、一部の高層ビルや工場に対し――』
TV『変電所復旧のため、一時的に送電を停止する旨を発表しました』
TV『今のところ、復旧の目処等は立っていないとのことです』
TV『尚、一般家庭等には影響ありませんのでご安心ください』
227:
小五郎「……何だよ……これ……」
阿笠博士が……死んだ……?
小五郎「ハハッ……嘘だろぉ……」
『※ 現在、停電中及び警察の捜査のため』
『《米花ビル》は立入禁止となっています』
小五郎「……ん……《米花ビル》……?」
小五郎「あれ……そういえば蘭の奴……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
明日は午前中に学校が終わるから、
その後、阿笠博士の発表会に行くの。
えっ……場所? 《米花ビル》だよ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
小五郎(おい……蘭は無事なんだろうな……?)
228:
『PRRRRRR♪ PRRRRRRR♪』
小五郎「くっ……こんな時に電話かよ……!」
小五郎「はい毛利探偵事務所! すみませんが今は――」
『毛利君! 今すぐ《米花ビル》に来れるかね!?』
小五郎「め……目暮警部!? どうしたんすか!?」
『どうしたもこうしたもない!!』
『《米花ビル》で何が起きたかは知ってるだろ?』
小五郎「え、ええ……大体は……」
『蘭君がどこかに監禁されている恐れがある』
小五郎「……へ?」
『キッドの仕業だ。奴は阿笠氏に近づくために――』
『前もって、蘭君に成りすましていたんだよ!!』
小五郎「なっ……なんですって!!!?」
229:
『園子君の証言によると――』
『《米花ビル》に向かう時から蘭君に違和感を感じていたそうだ』
『だからキッドと蘭君は、それより前に入れ替わったと考えられる』
小五郎(……そんな……蘭……!!)
『一度一人で、高校のトイレに寄ったそうだから――』
『てっきりその時に入れ替わったと思ったんだがな……』
『生憎、トイレには誰も監禁されていなかったよ……!』
小五郎「……くっ……キッドの野郎……!!」
『とにかく電話じゃ埒が明かん。今すぐ来てくれ。分かったな!?』
小五郎「はい! 5分で行きます! では……!!」ガチャン
小五郎(くそっ……無事でいてくれ……蘭……!!)タタタタ
230:
◆13時20分://阿笠邸前◆
歩美(コナン君……学校抜けてきたよ)
【学校を早退するという悪行――】
【それは歩美の胸を苦しめた……】
歩美(本当に私が……必要なんだよね……?)
【コナンが自分を求めてくれている――】
【もはやそれだけが、歩美の精神的支えなワケで……】
歩美(……よしっ……チャイムを鳴らそう……)
【インターホンに指を伸ばす少女――】
【だがその時、後ろから誰かに声を掛けられた】
蘭「……あれ……歩美ちゃんじゃない……」
歩美「ら……蘭お姉さん……!?」
【蘭の手には、ロープが握られていた……】
232:
歩美「ど、どうしたの……そのロープ……」
蘭「えっ……ああこれ?」
蘭「何かお姉ちゃんね、怪盗キッドに――」
蘭「トイレで眠らされちゃったみたいでさ」
蘭「目が覚めたらコレで縛られてたから――」
蘭「頭にきて、引きちぎって来たの」
蘭「だって私、新一を探してるのよ?」
蘭「そんな私を縛るなんて、許せないでしょ?」
蘭「しかも携帯まで奪うとか、考えられないわ」
蘭「まぁこの縄は新一を縛るのに使えるからいいけど」
歩美「……おねえ……さん……?」
蘭「というワケだから歩美ちゃん。携帯貸して?」
歩美「……え……わ、私……まだ持ってないよ……」
蘭「は?」 歩美(……うぅ……!)ブルブル
【一度発動したヤンデレは止まらない……】
235:
歩美(わ、話題を逸らさなきゃ……)
歩美「ね、ねぇ……何で博士ん家に来たの?」
蘭「は? 私、隣の新一の家に用があるんだけど?」
歩美「ご、ごめんなさい……(こ、怖いよぉ……)」ブルブル
蘭「歩美ちゃんこそ、何でこんな所にいるの? 学校は?」
歩美「あ、その……実はコナン君に呼ばれて……」
蘭「コナン君? 何でコナン君が博士ん家にいるのよ?」
歩美「それは……分からないけど……」
蘭「意味分かんない。てか、子供の恋愛は気楽でいいわね」
蘭「好きな人に毎日に会えるとか、死ねばいいのに」
歩美(も、もう嫌ぁ……誰か助けて……)グスン
光彦「……あれ? 歩美ちゃんと、蘭さんじゃないですか?」
蘭「あら、光彦君。こんにちは」
歩美(……み、光彦君だっ!!)キラキラ
歩美(これで蘭さんと話さなくて済む……!)
241:
歩美「み、光彦君。先生が探してたよ」
光彦「……先生が? それはおかしいですね」
光彦「ちゃんと早退するって伝えたはずですが……」
歩美「えっ……そ、そうなんだ。ならいいんだけど――」
歩美「――って早退? 光彦君。具合でも悪いの?」
光彦「ええ、少し頭痛が……だから今は帰宅中なんです」
歩美「そうなんだ……お大事にね……」ショボン
光彦「は、はい……ありがとうございます……///」
光彦(ふふっ……やっぱり歩美ちゃんも可愛いですね)
蘭「ところで光彦君。新一見なかった?」
光彦「……え? 新一さんですか……?」
242:
蘭「そうよ。私の恋人の工藤新一のこと」
光彦(……私の恋人……ねぇ……)
光彦(……そういえば灰原さんって――)
あれだけチャンスをあげたのに、
僕に《フェラ》しなかったですよね?
光彦(……ということはつまり――)
『江戸川コナン=工藤新一』だってことを、
蘭さんにバラしてもいいってことですよね?
光彦(……ふふっ……灰原さん――)
――僕を舐めすぎましたね。
光彦「……ああ……新一さんなら見ましたよ」
蘭「えっ……どこで? 嘘じゃないでしょうね?」
光彦「もちろん、嘘なんかじゃありません」フフフ
蘭「ちょっと!! 勿体ぶってないで教えなさいよ!!」
244:
光彦「――コナン君です――」
蘭「えっ……?」
光彦「江戸川コナンこそが、工藤新一なんですよ」
蘭「ちょっと……何を言って……」
光彦「あれ? もしかしてないんですか?」
光彦「コナン君の中に、新一さんを見たことは……」
蘭「……!!」
歩美(光彦君……何言ってるの……?)
蘭「ある……そんなのたくさんあるわよ……!」
蘭「でも証拠はあるの?」
蘭「高校生が、小学生になった証拠――」
蘭「そんな証拠が、あなたに示せるの!?」
光彦「ハハッ……そればっかりは無理ですよ――」
光彦「――その経緯なら、お答えできますけどね」
247:
蘭「ふふっ……じゃあ聞いてあげようじゃないの……」
蘭「新一がコナン君になった……その経緯をね……!」
光彦「ええ。まずは《誰が》新一さんを小さくしたか――」
光彦「それは何を隠そう――あの“灰原”さんなんです!」
蘭「……灰原さん? それって哀ちゃんのこと……?」ピクッ
光彦「ええ。僕らといつも一緒にいる、灰原さんです」
蘭「アハハ……何で哀ちゃんが……新一と関係あるのよ?」
蘭「もしあったとして……何で新一を小さくしたのよ!?」
光彦「ふふっ……それはですね――」
【光彦は、>>107の推理を、そのまま蘭に聞かせた】
?実は灰原さんの正体も、17才くらいの高校生で――
?そんな灰原さんは、イケメンの工藤新一に片想いすると同時に、
彼と“固い絆で結ばれた”幼馴染――蘭さんの存在を知りました。
?「このままだと彼女に勝てない」、そう考えた灰原さんは、
阿笠博士を共犯者に誘って《身体を小さくする薬》を開発。
?そして機会を見計らい、“本人含め誰にもばれないように”
その《小さくなる薬》を工藤新一と自分に投与しました。
?博士は幼児化した彼に「バレたら騒ぎになるから誰にも言うな。
行方不明だと都合がいいからそういう体で」と念を押し――
?さらに「心配するな。知り合いの天才科学者とチームを組み、
早急に《解毒剤》を開発するから」と、彼を元気づけます。
?そして月日が経ち、灰原さんが博士の家に住み込むことに。
灰原さんと彼は同じ境遇――故に親近感の向上は必然です。
?《解毒剤》の開発過程を見せることで、彼の信頼を勝ち取り、
また一緒に通学することで、さらなる好感度アップを期待。
?しかしその裏で、灰原さんは《解毒剤》を完成させるつもりはなく、
やがて工藤新一の存在は、蘭さん含め世間から忘れられていきます。
?そうなったら灰原さんの勝ち。蘭さんは他の男に心移りし、
居場所のなくなった彼は、灰原さんと恋に落ちるって寸法です。
光彦「――というワケなんです」
蘭「……ハハ……何よそれ……」
【――《恋敵》。その言葉は、蘭をより盲目にさせた……】
250:
蘭「フザケンじゃないわよ!!! あの女!!!」
歩美「……ッ!」ビクッ 光彦「」ニヤリ
光彦(ふふっ……いいですよ……もっと熱くなって下さい……)
それで灰原さんから、コナン君を奪っちゃってくださいよ。
――そしたら僕は、灰原さんを貰っていきますから……
蘭「新一を私から奪う? アハハッ!! ばっかじゃないの!?」
蘭「そんなこと、この私がさせるワケないじゃない!!」
【元々コナンに対して、多くの疑問を抱いていた蘭】
【そんな彼女にとって、もはや証拠なんてどうでも良かった】
【新一に放置され、精神的に狂ってしまった怪女は――】
【能動的に行動できる――具体的なWhatToDoが欲しかったのだ】
【もしコナンが新一なら――これ以上待つ必要なんてない……】
【彼の居場所、そして何をすべきか……全て知ってるのだから……】
蘭「ふふ……ふふふふっ……ねぇ歩美ちゃん……」
歩美「えっ……な、なに? 蘭お姉さん……」ビクッ
蘭「さっき博士ん家に、コナン君がいるって言ったわよね?」
歩美「……うん……言った……けど……」
255:
蘭「じゃあ今から、コナン君の童貞、奪ってくるね……」
歩美「……どう……てい……? それって何……?」
蘭「要するに、コナン君のことは諦めろって言ってるのよ」
歩美「えっ……そ、そんなの……歩美……嫌だよ……」グスン
蘭「ハハッ、馬鹿ね。アンタが嫌だろうが私には関係ないわ」
光彦(クックック……いいですね、いいですよ……)
光彦(歩美ちゃんからコナン君が消えるのも、僕としては良好です)
蘭「ふふっ。博士ん家に居れば、いずれあの女も帰ってくるし――」
蘭「新一の童貞を奪える上に灰原を殺せるなんて、一石二鳥だわ」
歩美「……え……?(灰原さんを……何て……?)」
光彦(おっと……流石にそれはいただけませんね……)
まぁ、灰原さんは僕の家に一生居てもらいますから――
――どうでもいいっちゃ、どうでもいいですけどね……。
光彦「ふふっ……じゃあ蘭さん。頑張ってくださいよ」
光彦「僕はあなたの恋愛を、一番応援してますから♪」ニヤリ
蘭「あら。ありがとう……光彦君……♪」ニヤリ
256:
◇数分前://阿笠邸/リビング◇
コナン(――にしても遅ぇーな。歩美の奴)
ちっ……博士のシークレットベース(>>199)を探す前に、
まぁ確かにココは、博士や灰原の研究施設も兼ねてるけど、
2人がやってることに《膨大な電力が必要》だとは到底思えないし……
コナン(でも事実として、《停電してる》ってことは――)
この家が、《工場並の要電力施設》に分類されてるってことだよな……
コナン(……まさか博士の奴……この家の地下かどこかに――)
コナン(《莫大な電力が必要な何か》を作ってやがるのか……?)
歩美にフェラで抜いてもらおうと思ったのによ……。
コナン(……しゃーねぇ。先に探すとするか……)
まずはやっぱり地下からだよな……。
何せ『大規模な電力を要する設備』なんだ。
あるとしたら、スペース的に地下しかねぇ。
コナン(よしっ……階段を降りよう……)
◇同刻://阿笠邸/地下◇
『カチッ……カチッ……』
コナン(まだ電気は復旧してねぇか……)
コナン(じゃあこの《腕時計型ライト》で――)
=O=< ピカッ
コナン(さぁ……捜索開始だぜ……!!)
259:
【地下にある部屋を次々と回るコナン】
【探し始めて、数分は経ったようだった】
『……ガチャン』
コナン(はぁ……この部屋も、何もなかった……)
コナン(もしかして、俺の推理が間違ってるのか……?)
[哀くんの部屋]
コナン(いよいよ最後の砦――灰原の部屋だ)
コナン(女の子の部屋に入るのは気が引けるが――)
コナン(だからといって、調べないわけにはいかない……)
コナン「へへっ……すまねぇな、灰原……」
『ガチャ……』
266:
◆同刻://阿笠邸/地下/灰原の部屋◆
【ドアを開けると、他の部屋とは明らかに異なる空間だった】
【いかにも整理された、女の子の清潔な部屋って感じである】
コナン(……流石灰原の部屋……いい香りだぜ……)クンクン
【照明を点けて、もっと楽しみたいところだが、】
【停電の最中ともなれば、それは諦めるしかないだろう】
コナン(さて……真面目に捜査すっかな……)
【本棚の裏や壁など、隠し部屋に通じてそうな場所を探すコナン】
【しかしこれまでの部屋と同様、ハズレにしか出会えない……】
コナン(はぁ……やっぱり巨大設備とかはねーのか……)
コナン(ちっ……期待させやがって……ん?)
【諦めかけたその時、コナンは他の部屋にはないものを見つけた】
268:
コナン(この部屋だけ……《カーペット》が敷いてある……)
【そんなもの、人が生活する部屋だから、と言えばそれまでだが】
【元・探偵がそれを捲るくらいの労力を惜しむようではいけない】
『クルクルクルクル……』 コナン「……ん……!?」
コナン「……こ、これは……!?」
【遂に見つけた――《地下二階への入り口》らしきもの】
【そして蓋を開けると――下へ続く梯子が姿を現した】
コナン「やっぱり俺は……間違ってなかったんだ――」
コナン「この下に、《組織の秘密兵器》が……!」ゴクリ
【深淵を目の前に唾を飲んだコナン。そして疑問を抱く――】
コナン「あれ……にしても何で、灰原の部屋なんかに入り口が……?」
【脳裏を過る――灰原哀が、未だ組織の一員である可能性……】
【だが冷静に考えてみれば、あっても不思議ではない話なのだ】
【なんたって灰原は、組織の仲間である博士と同居してるのだから……】
コナン「……まさか灰原の奴が……そんな……」
『ふふっ、しんいちー。この家にいることは分かってるのよー?』
コナン(……なっ!? 蘭の声……だと……!?)
275:
◆13時25分://米花ビル付近/ポルシェ356A◆
【車内でジンを待ちながら、ボスに連絡するウォッカ】
ウォッカ「はい……結局のところ、成りすましだったワケで……」
『なんと……それは残念だ……』
ウォッカ「ええ。しかしまだ希望があるかもしれないんで――」
ウォッカ「一応、今からその成りすましの根城へ向かう予定です」
『そうか……なら結果を期待しているぞ……』
ウォッカ「……はい。ではまた後ほど、報告に上がります」ピッ
ウォッカ(……ふぅ……次は何か成果を持って帰らねーと……)
『ガチャ……』 ジン「……待たせたなウォッカ……」
ウォッカ「と、とんでもないです。自分も今来たところで……!」
【《米花ビル》から出てきたジンは、車の助手席に座った】
277:
ウォッカ「……兄貴。よく無事で出られましたね……」
ジン「ああ。それより新しいチャカは持ってきたんだろうな?」
ウォッカ「はい。兄貴が使ってたのと同じ型のです」スッ
ジン「……よし、じゃあその円谷って奴のところへ連れて行け」
ウォッカ「ふふっ……分かりやした」ピッ
NAVI『ピピッ、カーナビゲーションシステムを起動します――』
NAVI『目的地をキー入力、または音声入力してください』
ウォッカ「えーっ、東京都米花市米花町△△ー□□ー○○」
NAVI『ピピッ、目的地を確認しました。ルート検索を開始します』
ジン「ふっ……便利な世の中になったもんだ……」
NAVI『ピピッ、ジン様のお役に立てて光栄です』
ジン「……ッ!?///」
ウォッカ(えっ……兄貴が……NAVIに名前を……?)チラッ
ジン「な、何見てんだ……さっさと行け……!///」クッ
ウォッカ「ふふっ……分かりやした」ニヤニヤ
279:
ジンさんwwww
281:
◇時は少し戻り://円谷家/光彦の部屋◇
灰原(……まさか……この《裏日記》(>>218)って……)
[博士のデータ]
├[写真]
│ ├[FJT072B]
│ ├[幼少期の新一]
│ └[ょぅし゛ょ]
├[音楽]
│ └[よつのは OST]
├[動画]
│ └[新しいフォルダ(2)]
├[書籍]
│ ├[闇の男爵]
│ └[罪と罰]
└[文書]
├[発明品]
└[日記]
├ 表日記.txt
└ 裏日記.txt ←
【――明らかに怪しいそのファイル名……】
【『博士が組織の仲間である事実』を知っている灰原は――】
【その文書に何が書いてあるか、簡単に予想できた……】
灰原(もし、このテキストファイルに――)
『博士が組織の仲間であること』が書かれていたら――
灰原(それが円谷君に、知られてるかもしれないわ……!)
いや……私ったら何言ってるのよ……
灰原(そもそも組織の存在自体、バレたら駄目じゃない……!)
そして私達が、何をしようとしてるのかも……絶対に……
灰原(とにかく、この《裏日記》は見る必要があるわね……)
灰原(プライバシーがどうとか、言ってる場合じゃないわ)
※携帯からだとここから先のページが見れないようなので
携帯からご覧頂いてるかたはこちらから続きをどうぞ
コナン「探偵をやめて犯罪者になる」【携帯用】
285:
『カチカチッ……』
【灰原哀は、味方の甘さに幻滅しながらも――】
【文書ファイルを開き、現実を受け止めようとした】
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■4月9日(月)■
新一が幼児化した身体で、ワシを訪ねてきた。
恐らく厚司君が開発していた薬のせいだろう。
まさかここまで、開発が進んでいるとは……。
シェリー、君は父をも超える天才に違いない。
■4月30日(月)■
今日、シェリーが監禁室から脱走した。
恐らくダストシュートから脱出したのだろう。
つまり彼女は、自分自身に《APTX4869》を投薬したのだ。
このことに気づいているのは、ワシぐらいじゃろうか。
■4月30日(月)追記■
小さくなったシェリーがワシの家の前で倒れていた。
「ロリコンなら子供を守れ」、ワシは己の信条に従った。
彼女に《灰原哀》と名前を付け、奴らから守ることを決意。
ちなみにワシらの計画を話したところ、彼女は快く乗ってくれた。
286:
ロリコンなのか博士…
289:
>>286
あんなかわいい子が家に突然来たらロリコンにもなるだろ
292:
>>289
でもさ
「ロリコンなら子供を守れ」、ワシは己の信条に従った。
つまり元からロリコンなんじゃね?
288:
ロリコンなら子供を守れだと…
ただのいい人じゃないか
290:
■5月07日(月)■
APTX4869の開発が停滞している今、
組織はワシの研究により力を入れてくれるようになった。
お陰で《ブレインジャグラー》の完成はすぐそこ。
この件に関しては、組織に感謝してやってもいい。
■5月14日(月)■
駄目だ。どうしても1つだけ、バグを取り除くことができない。
『同じ時間軸に同一人物がいると強制終了』してしまうバグが……。
やはり板倉の担当モジュールを他の奴に任せたのが駄目だったか?
くそっ。あの天才プログラマーさえいれば、こんなことには……。
■5月17日(木)■
タイムマシン発表会は明日。もうバグ取りは間に合わない。
板倉の奴め。タイムマシンの完成に怖気づきやがって……。
何が『人類の為に断念した』だ。人類の害になるワケないじゃろ!
……まぁ仕方ない。明日の時間旅行体験は19世紀以前に限定しよう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
294:
すげぇww
板倉まで絡めて来やがったwwww
296:
板倉ってどんなやつだっけ?
299:
>>296
ホテルに隠れてゲームしてたら殺されたプログラマー
298:
灰原(なによ……これ……)
思いっきりアウトじゃない……!
何考えてるの!? あのハゲオヤジ……!
『ガシッ!』 灰原「きゃっ!?」
朝美「えへへー。哀ちゃん捕まえたー♪」
灰原「……えっ!?」バフッ
【背後から突如現れたのは、光彦の姉――】
【彼女は灰原を光彦のベッドへと押し倒した】
灰原(ダメ……! パソコンに《裏日記》を開いたまま……)
朝美「ふふっ、可愛い! もう逃さないわよぉ♪」ニヤニヤ
灰原「ちょっと……急に……何……!」
『むにゅむにゅ……』
灰原「ひゃっ……な、な、何するのよ!?///」
朝美「んはぁ〜! 可愛いぃぃいいい!!」ムニュムニュ
灰原「いやっ……お願い離して……!!!」
『ただいまー』 朝美・灰原「……えっ?」
303:
【――そして、事態は更にカオス化する……】
『ガチャ……』
光彦「……え……?」
光彦「僕の部屋で、何やってるんですか?」
朝美「み、みっちゃん!?」
灰原(円谷君……どうして……!?)
朝美「あれ……学校終わるの早くない!?」
光彦「そんなことはどうでもいいじゃないですか」
光彦「それよりも、そちらの状況を説明して欲しいです」
朝美「こ、これはその……」
光彦「いくら姉さんといえども――」
光彦「僕の灰原さんに手を出したら許しませんよ?」
朝美「えっ……もしかして2人は付き合ってるの?」
光彦「付き合ってる? ふふっ、当然じゃないですか」
灰原「……!?」
304:
灰原「私、あなたとそんな関係になった覚えはないわ……」
朝美「……えっ……?」
光彦「おやおや……酷い言われようですねぇ……」
光彦「僕らは一生の愛を誓った仲だというのに……」
灰原「ちょっと……適当なこと言わないでくれる?」
光彦「ふふっ。じゃあ何で灰原さんは僕の部屋にいるんですか?」
光彦「それはつまり、僕とエッチしにきたってことでしょ?」
光彦「ネットを解約させるとか、そんな名目で来といて――」
光彦「本当は僕のジョニーで、ジュブっと犯して欲しいんでしょ?」
灰原「……あなた……何も進歩してないのね……」
灰原「体育倉庫で、少しは反省したかと思ったけど……」
光彦「アッハッハ。僕のどこに、反省する要素があるんですか?」
光彦「むしろ僕にフェラをしなかった、あなたが反省するべきですよ」
灰原「……くっ……相変わらずのクズっぷりね……」
朝美(……えっ……何? なんなの? この状況……)
305:
こいつらって小1じゃなかったっけ?
306:
最近の小1は進んでるな
307:
光彦「じゃあ反省はしないんですね?」
灰原「決まってるでしょ。するわけないじゃない」
光彦「なら致し方ありません。あなたにレイプを執行します」
灰原「……えっ?」
光彦「姉さん。あなたはどちらに付きますか?」
?僕と一緒に、灰原さんを犯すか
?灰原さんと一緒に、僕を倒すか
光彦「――2つに1つ。さぁ、いずれかを選んで下さい」
朝美「えっ……そんな、急に言われても……」
光彦「早く答えないと、姉さんの秘密をバラしますよ?」
朝美「ッ!? わ、分かった。答えるからそれだけは……!」
光彦「じゃあ5秒以内に。5、4、3、2、1――」
朝美「ど、どちらかと言えば……哀ちゃんを犯してみたいけど……」
灰原「……は?」 光彦(……ふふっ……)ニヤリ
光彦「決まりですね。じゃあ姉さん、灰原さんを抑えて下さい!!」
朝美「りょ、りょうかい!!」ガシッ 灰原「きゃっ!?」バサッ
309:
◆13時30分://円谷家門前/ポルシェ356A◆
『キィィィッ……!』
【円谷家の門前で動きを止める黒い影――】
NAVI『目的地周辺です。運転お疲れ様でした』
ウォッカ「兄貴……どうやらここみたいですぜ」
ジン「……よしっ……隙を見て乗り込むぞ……」
『ガチャッ』『タタタタ……』『ガチャ』
ウォッカ「ん……!? 鍵が開いてます……!」
ジン「何だと……? ソイツは間抜けだな……」
ウォッカ「どうしましょう? このまま突入しやすかい?」
ジン「……ああ。構うことはない」
ジン「成りすまし犯に、地獄を思い知らせてやれ」
311:
◆その頃://円谷家/光彦の部屋◆
光彦「へへっ……美味しいですよ、灰原さん……」ペロペロ
灰原「ひゃ……いやああああ……!」ブンブン
【光彦は、灰原のほっぺたをペロペロ舐め――】
【それに対し、唇だけは奪われまいと必死に抵抗する灰原】
【朝美は、そんな灰原を興奮全開で抑えつけていた――】
朝美「もう……みっちゃんばっかりずるい……」ハァハァ
光彦「ふふっ、心配しなくても後でやらせてあげますから」スッ
灰原「んぁっ……!?」
【お次は胸。そのぷっくりと控えめに膨らんだ乳房を――】
【コナンがやったように、我が物顔で揉みしだく光彦】
光彦「おほぉおおおおお!! なんて柔らかいんでしょう!!」
光彦「まるでマシュマロ!! いや、それ以上の何かです!!」
光彦「これは是非とも、生で揉ませていただきたい!!」
灰原「や、やめてっっ!! お願いだから……もう!!」
光彦「問答無用!! この興奮はもう止まりましぇん!!!」
光彦「姉さん! 灰原さんの服を脱がせますよ!!」
314:
『スッ……!』
灰原「いや……いやあああああああ!!///」
【姉弟に、ブラとパンティー姿にされた灰原】
【羞恥心と恐怖が折り重なって悲鳴になる】
朝美「ふふっ。大人びた下着つけちゃって――」
朝美「背伸びする哀ちゃん可愛すぎるよぉ!///」スリスリ
光彦「あぱぱ……あぱぱぱぱあああああああああああ!!!」
光彦「止まりません……止まりませんよぉおおお!!!///」フガフガ
灰原「……もう……いやぁ……」グスン
光彦「何言ってるんですか! そんなえっちな下着つけて――」
光彦「僕とのエッチを想定してたとしか思えませんよぉお!!?」
朝美「えへへ……というかこのブラそこまで必要ないよね?」ハァハァ
朝美「ねぇみっちゃん……このブラとっていいかなぁ……?」ハァハァ
光彦「クックック。当たり前じゃないですか! 姉さん!!」フガフガ
光彦「灰原さんを丸裸にして、全身舐め尽くしま――」フガフガ
ジン「動くな」カチャ 朝美・光彦「!?」 灰原「……ッ!?」
317:
ウォッカ「チッ……ガキばかりか……くそっ!」
ジン「落ち着けウォッカ。成りすまし犯が大人とは限らない」
光彦(……な、何なんですかこの怖そうな大人達は……)
朝美(……えっ……あれ、本物の銃? 嘘でしょ……?)
灰原(……な、何でジンとウォッカが……)ブルブル
ジン「……ん?」
灰原「ッ!!」ビクッ...ブルブル
ジン「おい……真ん中のガキ……面をこちらに向けろ……」
灰原(……ッッッッ!!!)ブルブル
ウォッカ「早くしろ! 兄貴の言うことが聞こえねーのか!?」ドンッ
灰原「…………」ブルブル
【恐る恐る、ジンに顔を向ける灰原――】
【余りの恐怖に目鼻からは液体が漏れていた……】
ジン「!?」 ウォッカ「!?」
ジン(な、何だこのガキ……シェリーの幼少期に瓜二つだぞ!?)
321:
ジン(ま、まさかシェリーが小さく……)
――ってバカか俺は。人間が小さくなるワケ……
ジン(――ダストシュート――!?)ピシュン
そうだ……あの監禁室にはダストシュートがあった……
もし幼児化が可能なら、あそこから脱出できるんじゃ……
ジン「……おい貴様。名は何という?」
灰原「……ッ!!」グスン
灰原「は……はい……ばら……灰原……哀……」グスン
ジン(灰原……? 偽名か? それとも別人か?)
ウォッカ「あ、兄貴! これを見て下さい!!」
灰原(……あっ……そ、それはッ……!!!!)グスン
【――PCの画面には、博士の《裏日記》が表示されていた】
【しかも内容が内容。2人がスルーしてくれるわけもなく――】
ジン「小さくなったシェリーに、《灰原哀》と名付けた……だと?」
328:
ジン「……おい、何だこれは!?」 光彦「!」ビクッ
光彦「あ、阿笠博士が持ってたデータですっ……!」ブルブル
ジン「何? ……アガサの日記だと?」
ジン「何でそんなものが、この家にあるんだ?」
光彦「それは……僕が博士のPCにハッキングして……」ブルブル
ジン「ほう……コンピュータに詳しいのか?」
光彦「え、ええ……それなりには……」ガクブル
ジン「じゃあ貴様が成りすまし犯か?」
光彦「……」ブルブル
光彦「……は、はい……」ブルブル
ジン「ふっ……正直で気に入ったぜ……」
『カチャ……』
ジン「あの世行きなのが残念だ……」
灰原・朝美「!?」 光彦「!?」
334:
光彦「ちょ、ちょっと待って下さい……!」
光彦「ま、まさか……僕を殺すつもりですか!?」
光彦「それは僕が成りすまし犯だからですか!?」
ジン「ああ? んなこたぁ関係ねぇよ……」
光彦「じゃ、じゃあ何で……!」
ジン「貴様は人の女に手を出した――」
光彦「……ぇ……?」
ジン「ただ、それだけだ――」
『ズキュンッッッッッッッッ!!!!!』
灰原・朝美「……ッ!?」 光彦「がぁっ!?」ピシャアアア
灰原・朝美「……え……」 光彦「……ぁう……!」ポタポタ
342:
光彦「あがっっ……くっ……ぼはぁ……ッ!」ポタポタ
朝美「……みっ……ちゃん……?」
ジン「シェリーは俺の女だ。異論はあるか?」
光彦「……しぇりーなんて……どうでも……」ポタポタ
光彦「……ただ……はいばら……さんは……」ポタポタ
光彦「……ぼくと……えっち……」ポタポタ
『ズキュンッッッッッッッッ!!!!!』
光彦「」ピシャアアアアアアアアアアア
光彦「――」ポタポタ
ジン「死んで詫びろ。ガキ」
朝美「……ぃゃ……いやあああ……いやああああ!!!」
『ズキュンッッッッッッッッ!!!!!』
朝美「っあ……ッ!」ピシャアアアアア
ジン「受け取れブス――その鉛玉は、口止め料だ」
朝美「……ぅ……」ポタポタ
347:
光彦「――」ポタポタ 朝美「――」ポタポタ
灰原「……ぁ……ぃゃ……」グスン
ウォッカ「あ、兄貴……これで良かったんですかい?」
ジン「構わん。シェリーが手に入った今――」
ジン「成りすまし犯なんて、どうでもいいからな……」
ウォッカ(いや、自分が言いたいのは――)
家の前に珍しい外車を駐車してる上に、
こんな真昼間に民家で計3発も発泡したら、
幾ら何でも足がつくってことで……
ウォッカ(……まぁ仕方ないか……)
兄貴、シェリーが関わると盲目になるもんな……
ジン「クックック。再開を祝おうじゃないか」
ジン「――会いたかったぜ? シェリー?」ニヤリ
灰原「……ッ……!!」グスン
灰原(……もう……ダメ……)グスン
……工藤君……助けてっ……
348:
◆その頃://阿笠邸/地下二階◆
【遠くで助けを求められてるなんて、夢にも思わない新一は】
【むしろ自分が助けを求めたいくらいの、窮地に陥っていた】
『新一ぃ、そこにいるんでしょ?』ドゴオオン
『あれ、いない? 何で!? どうして!?』
【タイトルをつけるなら『闇鬼ごっこ』――】
【停電の中、捕まったら終わりの命がけ……】
コナン(くっ……捲れた《カーペット》のせいでバレたのか――)
コナン(蘭の奴、どうやらこの《地下二階》にいるようだ……!)
【ライトを付けたら見つかる。そんな恐怖の中――】
【最善策を模索しながら逃げ続けるコナン……】
コナン(にしてもデケー部屋だな。学校の体育館以上あるだろこれ)
真ん中には、これまた超デカイ機械が置いてあるし、
おそらくこの機械が、組織のすげー秘密兵器なんだろうな……。
くっ……明かりさえつけられたら、これが何か分かるのに……。
『新一ぃいいい!! どこ!! どこなの新一!!!』ドゴン
『出てきなさい新一! 私、今なら裸よ!! ねぇ新一!』
コナン(おいおい蘭の奴、マジで狂ってんじゃねーのか……)
351:
『ドンッ』
コナン(いてっ……何だ?)
コナン(あ……端まで来ちまってたか……ん? 梯子?)
コナン(こっち側にも、出入口があるのか……)
コナン(……よし……とにかく今は上に逃げよう)
【梯子を登り、《地下二階》からの脱出に成功したコナン】
【蓋を開けて辿り着いた場所には、どこか覚えがあった……】
352:
コナン(ん? 何かここ来たことあるような……)
【《時計型ライト》を付けたコナンは――】
【その部屋、その事実に驚愕した……】
コナン「なっ……《父さんの書斎》じゃねーか!!」
【間違いない。この本の数、机の配置、独特の匂い……】
【優作お気に入りの古時計は13時45分を指していた】
おい待てよ……てことは、ここは俺ん家の地下一階で……
つまり《工藤邸》と《阿笠邸》は《地下二階》で通じてて……
その《地下二階》には《黒の組織の秘密兵器》があって……
コナン「……これらをまとめると……要するに……」
『俺の父親――工藤優作も――組織の仲間ってことじゃ……』
360:
???「その通りだよ新一……」
コナン「!?」ビクッ
???「いや、今はコナンというべきか……」
コナン「だ、誰だ!?」
【声のする方へ、ライトを向けたコナン――】
【するとそこに、架空の大悪党が浮かび上がった】
闇の男爵「私の唯一にして、最高のバカ息子よ」
コナン「ナ、ナイトバロンッ……!?」
366:
闇の男爵「クックック……ナイトバロンか……」
闇の男爵「もはや、悪の代名詞だな……」
コナン「……なんだと……?」
闇の男爵「我々の俗称なのだよ、《ナイトバロン》は」
コナン「……俗称? 黒の組織のか……?」
闇の男爵「ああ。ちなみに正式名称は《クローバー》――」
闇の男爵「綴りは《Clover》でなく、《鴉の酒場(CrowBar)》と書く」
闇の男爵「――洒落が効いてるだろ?」
コナン「バーロー。んなことはどうでもいいんだよ」
コナン「まさかてめぇ……組織のボスか……?」
闇の男爵「いかにも。機械の癖にやるじゃないか」
コナン「あぁ? どういう意味だ!?」
闇の男爵「クックック。機械のように、常時何かに従い――」
闇の男爵「自分では何も考えないカスのような人間って意味だよ」
コナン「な、なんだとてめぇ!!」
368:
コナン「俺が何も考えない人間なワケないだろ!!」
コナン「俺は探偵をやめて、犯罪者になると決めたんだ!」
コナン「だから俺は、お前を殺して――」
コナン「《黒の組織》のボスになってやるぜッ!」
闇の男爵「……息子が父親を倒すと……?」
コナン「ああそうさ! 立派な王道じゃねーか!」
コナン「俺が機械なんかじゃねーことを証明してやるよ!」
闇の男爵「ほう。それで私を倒した後、どうするつもりだ?」
コナン「はっ? んなもん決まってるじゃねーか!」
コナン「この下にある《組織の秘密兵器》を使って――」
コナン「この世の人間を皆殺しにしてやるのさッ!!」
370:
闇の男爵「……ふっ……ハッハッハッハッ……!」
闇の男爵「《組織の秘密兵器》? だからお前は三流なのだよ」
コナン「なっ、なんだと!?」
闇の男爵「まぁいい。時間も無くなってきたことだ」
闇の男爵「そろそろ本題に入ることとしよう」
コナン「……本題?」
闇の男爵「ああ。私がこの場所に来た理由……それは――」
『お前に、自首をするよう説得するためなのだ』
コナン「……は? この俺が自首だと……?」
闇の男爵「……そうだ……」
コナン「ハハッ、バーロー! 寝言は寝て言いやがれ!」
コナン「常識的に考えて、自首をするのはてめぇの方だろ」
コナン「悪の組織を束ねる分際で、どの口が言うんだよ!」
374:
闇の男爵「ふん……これだから恣意的解釈は……」
コナン「恣意的解釈……? どういう意味だ?」
闇の男爵「悪は常に悪とは限らない、ということさ」
闇の男爵「一度悪とは何か、考えてみたらどうだ?」
コナン「……あ? てめぇ、誰に向かって――」
闇の男爵「お前は阿笠博士を殺した――そうだろ?」
コナン「ッ!?」
闇の男爵「他人の罪よりまず、自分の罪を考察しろ!」
闇の男爵「そして自分で自分を裁判に掛ける――」
闇の男爵「もしその判決が有罪なら――」
闇の男爵「その罪を余生で、精一杯に償え!」
闇の男爵「それがお前にとっての最善策だ!!」
コナン「……はぁ? 俺は博士を殺して後悔なんかしてねぇよ」
コナン「むしろ最高な気分――達成感で溢れてるぜ!」
コナン「誰が好き好んで自首なんてするかよ!」
378:
闇の男爵「ふっ……そうか……それは残念だ……」
闇の男爵「阿笠博士を殺したことは――」
闇の男爵「お前の法律では、《無罪》なんだな……」
コナン「たりめぇだ。バーロー」
コナン「俺は生半可な気持ちで犯罪者になってねぇんだよ」
闇の男爵「……なら聞こう。お前にとって《悪》とは何だ?」
コナン「俺にとっての《悪》? はっ、んなもん――」
『この俺を退屈させる、この世の全てに決まってるじゃねーか』
コナン「だから俺のやってる事は、言わば《正義》だ」
『《悪》を倒すのは《正義》と、相場が決まってるだろ?』
379:
闇の男爵「愚かな……そんなもの、《正義》とは言わない」
闇の男爵「《正義》とは、真に《貫けること》――」
闇の男爵「お前のそれに、一貫性なんてものがあるのか?」
闇の男爵「殺人に対して、死ぬまで後悔しないと言い切れるのか?」
闇の男爵「ただの《暇つぶし》に、それだけの責任が取れるのか?」
コナン「あっ? うっせーな! 暇つぶしのどこが悪いんだよ!」
コナン「俺は何があっても、絶対に罪悪感なんて覚えねぇ!」
コナン「だから俺の犯罪は《正義》だ! 異論は認めねぇぞ!」
闇の男爵「ふん……まるで説得力がない」
コナン「黙れ! つーかてめぇの《悪》こそ何なんだよ?」
コナン「まさかそんな格好して――」
コナン「道徳の授業で習うような《悪》じゃあるめぇよな?」
闇の男爵「ふっ……私にとっての《悪》か……?」
闇の男爵「……そんなもの、ずっと昔から変わってない――」
闇の男爵「私にとっての《悪》――それは私自身だよ」
382:
コナン「……あ? てめぇ自身が《悪》だと……?」
闇の男爵「ああ。時は20年前に遡る……」
父親に影響されて探偵ごっこを始めた高校生の私は、
ある時、人体実験を行う組織の存在を知ったのだ。
まぁその組織こそが、今の《クローバー》なワケだが、
私は当時、阿笠博士と協力して、奴らを追っていてね。
次第に奴らを潰すことに、生きる意味を見出していったのさ。
コナン「……は? テメェはそこのボスなんじゃねーのかよ?」
闇の男爵「まぁ話は最後まで聞け。私は奴らを倒そうとしたが――」
闇の男爵「そんなことが一介の高校生や中年に出来るワケないだろ?」
だから私はこう考えたのだよ。
『奴らを倒すには、奴らの上に立つしかない』
『対立組織が存在しない以上、奴らの仲間になり――』
『奴らのトップに立つことが、何よりベターである』とね。
コナン「へぇ……内部から奴らを潰そうとしたってワケか?」
闇の男爵「ああ、その通りだよ」
387:
闇の男爵「そうと決まれば話は早かった――」
私は『組織から博士に勧誘のオファーがあった』ことを利用し、
博士が『私を組織に入れること』を組織加入の条件にすることで、
私と博士は闇の組織《クローバー》に潜入することができたんだ。
闇の男爵「ちなみに私は、この《ナイトバロン》の仮装でな……」
ハハハ。お陰で組織の連中にはずっと白い目で見られてたよ。
だが奴らを完璧に欺くには、犯罪者になるしかなかったのだ。
だから私は、誰よりも非情になるため、この仮装を選んだワケさ。
闇の男爵「まぁその甲斐もあり、最初はただの雑用だったが」
闇の男爵「私の有能さは、ゆっくりと組織に広まり始め――」
闇の男爵「私が《闇の男爵》を執筆して賞を受賞した頃には――」
闇の男爵「コードネーム《ラム》が《闇の男爵》に取って代わった」
……そしてそこから5年――すなわち今年のことだよ。
闇の男爵「私がようやく《クローバー》4代目首領になれたのは」
391:
闇の男爵「また私がボスになることで――」
闇の男爵「組織には《ナイトバロン》という異名がつき――」
闇の男爵「もはや《クローバー》は、表記上まで悪の象徴となった」
コナン「……へぇ……中々すげぇことやってるじゃねぇか……」
闇の男爵「ふふっ。まぁここに至るまで、何度も苦労したがな……」
闇の男爵「オホン……話を続けよう」
ところで組織には、毎年《晩餐会》という定例の会があってな、
それは述べ500人の組員が集う、たった一つのチャンスであり、
その開催日時及び場所は、ボスが決める体となっているんだ。
闇の男爵「そして私は今年、この開催場所を――」
《阿笠邸》と《工藤邸》にしようと思っている。
私が《工藤優作》であることを、皆に公表してな……
コナン「何っ? 何でわざわざ、そんなことをするんだ?」
コナン「せっかく今まで、悪の象徴として成り上がってきたのによ」
闇の男爵「ハッハッハ……新一よ、忘れてはいないか?」
闇の男爵「私は組織を倒すために、組織に入ったのだぞ?」
闇の男爵「私は《晩餐会》で、全てを終わらせるつもりだ」
394:
闇の男爵「そして、そのための《兵器》こそが――」
闇の男爵「お前の言う《組織の秘密兵器》――」
そう――《充電式超巨大電力放出装置》なのだよ!
18年前に《工藤邸》と《阿笠邸》を同時に建てた際――
私達はそこに《地下二階》を設け、ソイツを作っていたのだ!
闇の男爵「装置の完成には13年も要したが――」
闇の男爵「5年間も電気を蓄える時間があったから問題ない」
この《充電式超巨大電力放出装置》の凄いところは、
電気を蓄え続ければ、限度なしに放出ボルテージが上がることで、
試算すると、『6600ボルトの電圧で5年間充電』した場合、
700億ボルトの出力で対象を攻撃することが可能なのだ。
闇の男爵「おおよそこれは雷の70倍の電圧にまで昇る」
コナン「な、なんだって……!!」
闇の男爵「そして私達はこれを《晩餐会》にて放電することで――」
闇の男爵「私を含めた、悪の象徴《ナイトバロン》を――」
闇の男爵「この世から永遠に葬り去るつもりなのだ!!」
コナン(くっ……狂ってやがる……)
闇の男爵「分かったか? これが私と博士の《正義》だ!」
397:
コナン「へっ……とんだ酔狂だぜこりゃ……」
闇の男爵「私はこの20年間、確かに罪を山ほど犯した」
闇の男爵「だがそれは、根本に組織を倒すという――」
闇の男爵「一貫した強い意思があったからだ!」
闇の男爵「いくら公の法が、私を《大悪党》だと言い張ろうが」
闇の男爵「私は私の法で、自らを《無罪》と判決したんだ!」
闇の男爵「つまり、私は《大正義》。異論は認めない!」
闇の男爵「お前の薄っぺらい《正義》とは格が違うだろう!?」
コナン「……何? てめぇも自分で自分を裁いてるじゃねぇか!」
コナン「この俺と、何がどう違うってんだよ!?」
闇の男爵「お前の場合、ろくに《考えてない》だろ!」
闇の男爵「いいか新一。私が言いたいのはな――」
《真の悪》とは、《考えない》こと――
そして《考えた上での犯罪》つまり《一生貫ける犯罪》は――
公上罰を受けることになるが、決して《犯罪ではない》ことだ!
闇の男爵「むしろ《正義》。全世界に誇っても良いくらいさ!」
402:
コナン「ああああああ! うぜえええええええええ!!!」
コナン「何なんだよてめぇ!!」
闇の男爵「さぁ、今一度問おう。お前は博士を殺したが――」
『それは“一生”、絶対に“後悔しない”と言えるのか!!』
コナン「……ッ!」
『一時的な欲求に従い、何も考えずに殺したんじゃないのか!!』
コナン「……くっ……!!!」
闇の男爵「さぁ答えろ機械!!!」
コナン「バ、バーロー! 俺が後悔するわけ――」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
博士「新一。ゲームを作ったからやってみてくれんか?」
博士「新一。ほら頼まれておいた物、作っといてやったぞ」
博士「新一。新しい発明品が出来たんじゃ。試してくれないか?」
博士「新一。どうしてワシを殺したんじゃ? 理由を教えてくれ」
博士「新一。新一。新一。新一……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
コナン「ああ……あああ……ああああああああああ!!!!」
409:
コナン「……あ……ああ……」
闇の男爵「新一……1日だけ時間をやる」
闇の男爵「そしてもし自首する気になったなら――」
闇の男爵「警察に行く前に、私に会いに来てくれ……」
闇の男爵「その時は私もこの仮面を取って――」
闇の男爵「最後に“親子として”、再会しようじゃないか……」
【そう言って、闇の男爵はコナンに背を向ける……】
闇の男爵「だが1日じっくりと考えた末――」
闇の男爵「それでも『一生後悔しない』と言い張るのなら――」
闇の男爵「己の《正義》に従って、この私を殺しに来い!」
闇の男爵「さすればお前を《邪魔者》と見なし――」
闇の男爵「私は仮面を取らず、“《ナイトバロン》として”――」
闇の男爵「躊躇なく、お前を殺すことだろう……」
【最後に強く言葉を放ち、書斎を立ち去る闇の男爵……】
【余韻を残す優作の声に、コナンはただただ沈黙していた……】
〜中編・完〜
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