P「どうも。元スパイの赤羽根です」【後編】back

P「どうも。元スパイの赤羽根です」【後編】


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8:
961プロ 18:00
秘書「765プロ敗北記念に、乾杯ー!」
職員「「「「「乾杯ー!」」」」」
秘書「いやぁ黒井社長!ついに社長の夢が叶いましたね!」
黒井「……ウィ、そうだな」
秘書「ジュピターの三人ならいつかやってくれると思ってましたよ!」
黒井「……そうだな」
秘書「どうかされましたか?」
黒井「……仕事があるので少し席を外す。楽しんでいろ」
秘書「は、はい!」バタン
黒井「……」
冬馬「……オッサン、廊下に一人で寂しくないのか」
翔太「え?僕たちもいるから4人だよ?」
北斗「男4人ってのも、どのみち悲しいですけどね」
黒井「……ぜだ」
冬馬「ん?」
黒井「なぜ負けたんだ高木ぃぃ!」
冬馬「……オッサン、やっぱりアンタ」
黒井「お前たち、今日はもう上がれ。以上だ」クルッ
翔太「あっ、クロちゃん!」
北斗「翔太、今日はそっとしといてやろう……」
209:
某日 中央霊園 10:17
千早「ごめんね、あまり来れなくて」
千早「優、私もうダメかもしれない……」
千早「……でも優のために、やれることはやるわ」
千早「それじゃ、またあとで来るから……」
P「千早?」
千早「え?プ、プロデューサー!どうしてここに?」
P「津田という男に頼まれてな」
千早「津田?あぁ、ニュースにならなかったって言ってた……」
P「ああ、ちょうどこのあたりだ。少し待っててくれないか」
千早「分かりました」
P「千早はどうしてここに?」
千早「私は、弟が」
P「優くんだったな、すまん」
千早「いえ、気にしないでください」
P「……優くんはどこに?線香を上げさせてくれ」
千早「ありがとうございます、こっちです」
210:
P「なあ、千早はどうして歌が好きなんだ?」
千早「私、ですか?」
P「ああ、美希や春香は楽しいから歌っている、でもお前は思いが強すぎる」
千早「そういえばその二人は今は?」
P「とりあえず、お前抜きでオーディションに行ってる」
P「それより、今はお前だ」
千早「……優は、私の歌が好きでした」
千早「見殺しにしたわけじゃありません。それでも、私が助けられなかったのは事実です」
千早「優のために、私は歌を歌わなければいけないんです」
P「……厳しいことを言うぞ」
P「弟への謝罪のつもりなんだろうがそれは違う」
P「そうすることで許されたいと思っている、自分のために歌ってるにすぎない」
千早「私はそんなつもりじゃ!」
P「分かってる、深層心理というやつだ」
211:
P「別にお前を責めているわけじゃない」
P「もうそろそろいいんじゃないのか?重い十字架を背負うのは疲れただろう」
千早「たとえ優が許してくれても、私自身が許せません」
千早「歌が歌えない私に、もう価値なんてっ!」
P「甘ったれるな!」
千早「」ビクッ
P「お前を応援してくれるファンはどうでもいいのかよ」
P「世界的歌手になる奴が、こんなことでくじけるのかよ!」
千早「っ!それは…」
P「……もしも俺に姉がいて、自分にずっと懺悔し続けてるとしたら」
P「俺は姉に言う。もう大丈夫、お姉ちゃんのやりたいようにやってくれ、って」
千早「……優は、本当にそう思ってるんでしょうか」
P「自分が姉を苦しめてることに、いつかは気づく。俺ならそんなの耐えられないね」
千早「それなら、私はこれから誰のために、歌えばいいんでしょうか?」
P「ファンのためじゃダメか?」
212:
P「あと俺のためにじゃ、ダメか?」
千早「……でも、優を忘れることは」
P「……そうか。なら優くんと少し喋らせてくれ」
千早「プロデューサー?」
P「優くん、初めまして。お姉さんのプロデューサーだ」
P「お姉さんはよく頑張ってる。これからもっと多くのファンを喜ばせるだろう」
P「だが忘れないでほしい、如月千早の公認ファンクラブ第一号は」
P「まぎれもなく君だ。弟としてではなく、ファンとしてこれからも応援してくれ」
千早「……私、頑張れるでしょうか?」
P「……それはお前次第だ」
P「だが、これからは俺がお前をサポートするんだ」
P「名実ともに、歌姫にしてやる」
千早「プロデューサー……」
P「……ああもう面倒臭いな」
P「俺のために、何か一曲歌ってくれ」
千早「っ!……ふふっ、まあ、なんでもいいですけど♪」
213:
事務所 11:39
千早「戻りました」
律子「なんだか憑き物が落ちたみたいな顔ね」
千早「いきなりなに律子?」
律子「別に♪……それとは対照的というか」
千早「?」
P「戻りました」
律子「ああプロデューサー殿、待ってましたよ!」
P「何かあったのか律子」
律子「ええ、春香と美希がケンカしちゃって…」
千早「あの二人が?」
律子「どうやらオーディションがダメだったみたいなの。でもそれにしては様子がちょっと変っていうか」
P「で、二人は今どこに?」
律子「春香は給湯室にいます。美希は、飛び出していったからわからなくて…」
P「わかりました。まずは美希のところに行ってきます」
律子「場所分かるんですか?」
P「元スパイですから」
214:
公園 12:13
美希「ねえカモ先生、やっぱりのんびりアイドルやるって無理なのかな」
P「やっぱりここか」
美希「……どうしてわかったの?」
P「協力者から、時々ここで見かけるって聞いてたから」
美希「そうなんだ……」
P「何があったのか、詳しく聞かせてくれないか?」
美希「ヤ!美希、今は誰とも話したくない気分なの」
P「そんなこと言うなよ」
美希「……」
P「この公園、お気に入りなのか?」
美希「……」
P「……腹減ったろ、コンビニでおにぎり買ってきたけど食うか?」
美希「食べるの」
215:
P「なるほど、オーディションで落ちたのに笑ってる春香にイラついたのか」
美希「だって悔しいの!今日の春香、全然ミスしなかったのに落ちたんだよ?」
美希「ミスしたらしょうがないけど、してないからもっと悔しいの!」
P「なるほど」
美希「美希ね、最近ちょっとアイドルが楽しくなってきてたの」
美希「でも春香は本気でやってるのか分からないな」
P「アイツなりに本気だと思うぞ」
美希「本気なら悔しくて泣いたり怒ったりするって思うな」
美希「美希が言えたことじゃないけど、どうして笑っていられるのか神経疑うの!」
P「……美希、お前変わったな」
美希「美希が?美希は美希だよ?でも胸はちょっと大っきくなったかも」
P「そっちじゃなくてさ、前はもっとのんびりやりたいって言ってたじゃないか」
美希「今もそう思ってるよ?」
P「そうか。だけど本気でやるのも楽しくなってきたって感じだな」
美希「うーん、そうなのかな」
216:
P「なあ美希、本気でやったことって何かあるか?」
美希「んー…ちょっとやればだいたい出来ちゃうから、ないの」
P「なら、今以上にやってごらん。本気って超楽しいんだぜ」
美希「楽しい?どのくらいキラキラできる?」
P「そりゃ想像できないくらいさ」
美希「そうなんだ……」
P「お、アレか。お前の先生は」
美希「分かるの?カモ先生が」
P「なんとなくだけどな」
美希「美希ね、カモ先生みたいにのんびりできたらいいって思うな」
P「鴨ね……なあ美希」
美希「なーに?」
P「俺はその考えを否定はしない。だけどアイドルとしてキラキラしたいなら」
P「鴨もいいが、白鳥になってほしい」
217:
P「別に鴨が嫌いなわけじゃない。でも、キラキラしてるのは白鳥のほうだ」
美希「白鳥?」
P「強制はしない。でも気になったら少し調べてみるといい」
P「それでも鴨がいいなら、好きにしなさい」
美希「……ねえプロデューサー、どうして美希にそんなに構ってくれるの?」
P「担当アイドルだから」
美希「じゃあ担当じゃなかったら構ってくれないんだ」
P「……いや、構うだろうな」
美希「どうして?」
P「星井美希という女の子が、トップへ駆け上がるのを見たいからかな」
P「だけど、俺はいつまでいっしょにいられるか分からない」
P「それでも、命をかけてでも見る価値がある」
P「……なんて、勝手に思われて迷惑か?」
美希「……迷惑なんかじゃ、ないよ」
218:
美希「美希ね、こんな感じでのんびり屋さんだからいつも怒られるんだ」
美希「律子、さんとかには特に怒られちゃうし」
美希「でも本当は知ってるの」
美希「期待してくれてるから怒ってくれるんだって」
美希「もっと頑張ってれば、竜宮小町にだって入れたかもしれないの」
P「……たった一言、よくやったって言われたかったんだよな」
美希「……わかんない」
P「期待が強すぎて、つい厳しい言葉ばかり言われる」
P「俺もそういう経験はあるよ」
美希「プロデューサーも?」
P「ああ、だが安心しろ」
P「これからは本気で褒めるし、悪いことをしたら本気で怒る」
P「美希のために、できることはなんでもする」
美希「プロデューサー……」
219:
P「それに、春香だって悔しいに決まってるさ」
P「でもアイツは知ってるんだよ」
P「くよくよして、落ち込んでばかりじゃ前に進めない」
P「悔しいからこそ、無理やり笑うんだって」
美希「悔しいから笑う……」
P「メンタルはきっと、一番強いんじゃないか?」
美希「……春香は、いまどこ?」
P「事務所だな」
美希「謝ってくる!」ダッ
P「おい美希っ」
ドン 痛ーなこの野郎 ごめんなさいなの
P「……あれ、あいつらどっかで見た覚えが」
不良3「あーあ腕折れたな」
不良2「慰謝料だなこりゃ」
不良1「あれ、こいつアイドルの星井美希じゃね?」
美希「ごめんなさい、美希、急いでて」
不良2「ちょっと遊んでも間に合うって」グイッ
220:
美希「い、いや!離して!」
不良3「見た目ほど男慣れしてなさそうだぜ」
不良1「やべぇ、燃えるわこの展開」
美希「た、助けてプロデューサー!」
言われなくても助けるって。
不良2「痛ってぇ!」
不良1「どうし、た…」
不良3「て、てめー…」
P「どうやら縁があるみたいだな、俺たち」
不良3「逃げるぞ!」
不良2「ちょ、ま、待てよ!」
不良1「早くしろ!」
スタコラサッサー
P「大丈夫か?」
美希「」ポー
P「美希?」
美希「へ?あ、ありがとうなの!」
221:
事務所 12:26
美希「早く謝りたいのに?」
千早「プロデューサーの指示に従って、大人しく待ちましょう」
美希「むー、千早さんは大人なの」
 給湯室
P「春香、お前の言い分は分かった」
春香「私はただ、みんなと楽しくやりたいだけだったんです……」
P「分かったてば。いいか、大事なことを言うからちゃんと聞け」
P「慣れ合いを仲間とは言わない。本気で相手を想うからこそキツイことだって言うんだ」
春香「っ……そう、ですね」
P「今、美希がやっと本気を出そうとしている」
P「それを最も引き出せるのは俺じゃない、お前たちだ」
P「励ましや慰めも大事だが、これからは本当の仲間でありライバルだ」
P「お互いを挑発して、より高みを目指してくれ」
P「春香、お前ならできるだろう?」
春香「は、はい!私、頑張ります!」
P「それでいい。前向きなのはお前の長所だからな」
222:
春香「美希、ごめんうわぁ!」
美希「春香ー!」ダキツキー
春香「み、美希どうしたの?」
美希「ごめんね春香!美希、春香に追いつけるように頑張るの!」
春香「ええ!?美希は私より歌もダンスも上手いし」
美希「それでも春香の方が上なの!」
P『挑発して、より高みを――』
春香「……ふふ、分かったよ美希。それじゃあ私も美希に追いつけるように頑張るから!」
美希「だーかーらー、春香の方が上なの!」
春香「美希の方が上だよ!」
美希「春香なの!」
春香「美希だって!」
美希「春香!」
春香「美希!」
美希春香「「ぐぬぬぬぬー!」」
千早「……なんですかこれ」
P「俺が聞きたい」
223:
ある平日の昼下がり
やよい「こんにちはー…」
小鳥「あらやよいちゃん、学校は?」
やよい「今日は創立記念日でお休みです…」
小鳥(やよいちゃんの元気がない……やよいちゃんの元気がない!?)
小鳥「ぷぷ、ぷろ、プロデューサーさん!119番って何番でしたっけ!?」
P「落ち着け小鳥。やよい、えらく落ち込んでるがどうした」
やよい「プロデューサー……元気ってなんなんでしょうか」
小鳥「プロデューサーさん!は、早くやよいちゃんを病院に!」
P「黙ってファンレターの仕分けしろ小鳥!」
小鳥「すみませんピヨ…」
P「さて、元気って何?か……」
やよい「はい……実は、クラスに学校に来ない人がいたんです」
224:
やよい「私、その人と仲が良かったから、家に行って励ましていたんです」
やよい「だけど、なかなか元気にならなくて、転校してしまいました…」
やよい「元気って、なんなんでしょうか…元気にできないなら、私、アイドルやってる意味が…」
P「……励ましてるとき、お前の顔に元気はあったか?」
やよい「あ……」
P「周りを元気にしたい、それは立派なことだ」
P「だが励ましているお前自身が元気じゃなかったら、不安になるばかりだ」
やよい「……」
P「まずは自分が元気になれ。それから、これを」
やよい「?なんですかこの紙?」
P「……ファンレターに混ざっていた。その子からの手紙だよ」
やよい「!」
P「中身は読んでない。……まあ、おおかた予想はつくがな」
やよい「プロデューサー……私、誰よりも元気なアイドルになります!」
P「……期待してるぜ」
225:
事務所 20:00
千早「では、明日吉澤さんが取材にくるんですね」
P「そうだ、とりあえず明日に備えて今日はもう帰れ」
千早「お疲れ様でした」
真「お疲れさま」
小鳥「私もそろそろ用事があるので」
P「お疲れ様です」
真「……」
P「」カタカタ
真「……」
P「」カタカタ
真「……あの」
P「なんだ」カタカタ
真「プロデューサーはここに住んでるんですよね?」
P「それがどうした」
226:
真「……特訓に付き合ってくれませんか」
P「可愛くなるための?」
真「はい」
P「その前に、お前は何時に帰るつもりだ」
真「プロデューサーが本気で可愛いって言ってくれたら帰ります」
P「……やってみろ」
真「いきますよ!コホン…きゃぴぴぴ?ん、菊地真ちゃんなりよ?☆」
真「みんな?いつものいくよ?!せ?のっ、まっこまっこり?ん☆」
P「……」
真「……」
P「極一部にはウケそうだな」
真「お、男の人にはそんな感じですか?」
P「いや、女でも変わらん」
227:
P「真、隅で丸くなってないでこっちに来い」
真「だって……精一杯考えたのに……」
P「そういう時もある」
真「プロデューサー……可愛いってなんなんでしょうか」
P「これまた漠然とした質問だな」
真「ボクは雪歩や貴音さんみたいに見た目が可愛いわけじゃないし」
真「美希やあずささんみたいに可愛い仕草ができるわけでもない」
真「春香は中身があるって言ってくれたけどよく分かりません……」
P「……俺には分かるよ」
P「ありのままの自分があるってこと」
P「俺にはまだ自分がない」
P「でも、お前にはあるだろ?」
真「……ありのままのボク、ですか」
P「そうだ。誰よりも本当は乙女なことを、俺は知っている」
228:
真「なっ//なに言ってるんですかもう!」
そういうと真は正拳突きを放ってくる。
P「危ねぇなオイ」パシ
真「へ?うわぁあ!?なんで手を握ってるんですかぁ//」
P「いや正拳突きを受け止めただけで」パッ
真「あっ……」
P「……な、乙女だろ」
真「うぅ//」
P「まあ、あまり変に考えずにいったほうが俺はいいと思うぞ」ガチャ
美希「ハニー!忘れ物しちゃったの!って真クン?」ダキツキー
真「美希!どうしたの?」
P「ほら、ブランケット忘れてるぞ」
美希「ありがとうハニー!」
P「……まあ、呼び方なんて人それぞれだけどさ」
229:
美希「真クンも忘れ物?」
真「え、あ、ああうんそんなところかな、アハハ」
美希「じゃあ途中まで一緒に帰るの!」
真「う、うん。えっとじゃあ先に行ってて」
美希「分かったの!じゃあねハニー!」
P「気を付けて帰れよー。真もとりあえず今日は帰れ」
真「は、はい……」
P「……どうした?」
真「最後に一個、試していいですか?」
P「いつでもどうぞ」
真「目をつぶってください」
P「? ああ、分かった」
真「は、ハニー!」ダキツキー
P「!!!!!」
真「うう//そ、それじゃまたねハニー!」ダッシュ
バタン カオアカイヨマコトクン? ナンデモナイヨ!
P「……いいかもしれない」
230:
事務所 12:00
やよい「そろそろ笑っていいかなの時間ですー!」
雪歩「今日は竜宮小町がゲストだもんね!」
真美「……」
P「えーっと響のPVの撮影が明後日で…」
やよい「伊織ちゃんすごいな?」
雪歩「あずささんもしっかりファンの心をつかんでますぅ」
真美「……」
P「こんなもんか。雪歩、テレビ見てないでラジオの準備しとけ」
雪歩「は、はい!」
P「……真美」
真美「なに?」
P「悔しいのか?」
真美「……少し」
P「焦るな、ちゃんとトップアイドルにしてやる。今日はバラエティに出るんだかr」
真美「そういうことじゃないよ」
231:
P「……いつも、いっしょにいたもんな」
真美「うん、いつもいっしょにいたのに今はいないんだ」
真美「だから、なんか悔しい」
真美「真美はもう大人だから、全部がいっしょじゃダメだって分かってる」
真美「真美たちに違いがあることで、それが武器になるのは分かってる」
真美「分かってるけど、分かってるけど……」
P「……真美、悔しいのは本当なんだろうけど、もっと別の感情があるんじゃないか?」
真美「別?」
P「本当は、悔しいよりも寂しいんじゃないのか?」
真美「真美が、寂しい?」
P「俺にはそう見える」
真美「そうかも、しれない……でも、しょうがないよ兄ちゃん」
真美「亜美は竜宮小町で頑張ってるもん、なかなか一緒にはなれないよ」
P「……いっしょになりたいなら、方法はある」
232:
真美「なに!?なにをすればいいの?」
P「もっと売れるんだ。そしたら、俺が双子で何かのレギュラーをとれるように掛け合う」
P「前にはろスタの準レギュラー取ったじゃないか」
P「絶対できるよ、お前なら」
真美「……うん」ニコッ
真美「真美、頑張るよ!」
P「そうだ。子どもは元気にやってりゃいいんだ」
真美「真美はもう大人だよ!」
P「あずさぐらいになったら言え」
真美「ミキミキぐらいまではすぐなるもん!」
P「はいはい。それにしても、亜美はこの前とうってかわってスゴイな」
やよい「うーん……」
真美「どうしたのやよいっち?」
やよい「なんか、伊織ちゃんがちょっと変かなって」
233:
>>232酉つけ忘れました
P「伊織が?」
やよい「えっと、なんか表情が硬い気がして」
P「……確かに伊織らしくないな。猫かぶるのは得意なハズ」
真美「いおりんどうしたんだろ?」
P「……律子に任せたほうがいいな。竜宮小町のプロデューサーはあいつだ」
響「ただいまー…」
やよい「響さんお帰りなさいですー!」
真美「ひびきんお帰りー!ってどうしたの?」
P「オーディション駄目だったのか?」
響「……オーディションは合格だったぞ」
P「じゃあなんで落ち込んでるんだ」
響「…いっしょに受けた他の子に、嫌味を言われたんさー…」
やよい「なんて言われたんですか?」
響「完璧じゃないくせにうるさい。竜宮小町のいる事務所だから受かったんだって」
234:
P「完全な八つ当たりだな」
真美「ひびきんがスゴイから受かったに決まってるじゃん!」
響「うん……でも、完璧なんかじゃないってのは、本当は自分が一番分かってるんさー」
響「自分、トップアイドルになるまで帰らないって言ってきたから」
響「今はまだ帰れないんだ」
響「でも、嫌味とか言われちゃうとやっぱり寂しくなるし」
響「ハム蔵たちにも気を使わせちゃうみたいで、頭の中がグチャグチャになっちゃうんだ」
P「なあ響、そんなのは気にしなくていいじゃないか」
響「どうして?」
P「だって765プロっていう家族があるだろ?」
響「だけど……やっぱり本当の家族じゃないから」
P「そうかな。前はシンカー(仲間)って感じだったけど」
P「今はヤーニンジュ(家族)って感じだと思うぞ」
響「プロデューサー、ウチナーグチ分かるのか!?」
P「沖縄に潜伏してたときもあったからな」
P「大丈夫、俺たちがいるんだなんくるないさ」
響「っ!そ、そうだね!自分、こんなことでへこたれないぞ!」
235:
公園 翌日 18:00
真美、響に続き、今日は雪歩か。
最近、こういうのが多い気がするが誰かの陰謀か?
おかげで二つ知ったこともあった。
雪歩はどこからともなくスコップを取り出せること。
そしてすごいさで掘り進めること。
P「雪歩ー。そろそろ泣き止んだかー?」
雪歩「うう、私なんて、私なんて、グス」
あと何分これが続くんだろうか……。
P「雪歩、気になることがあるんだが」
雪歩「うう、なんですかぁ?」
P「こんなに深く掘って、どうやって脱出するんだ?」
雪歩「……出られませんー!」ザクザク
P「待て待て待て待て!掘るのを止めろー!」
236:
P「まったく、捕虜の救出経験があったからいいものを」
雪歩「うぅ//」クスン
P「いったい何があったんだ?」
雪歩「実は、昨日のラジオの収録前に悪口を言われたんですぅ……」
確か、響もそんなことを言っていた。
偶然か?
P「なんて言われたんだ」
雪歩「……セルフハンディキャップばかりのズルい子だって」
P「それを言ったやつは正しく意味を理解してないな」
雪歩「そ、そうなんですかぁ?」
P「失敗してもいいように、あらかじめ逃げ道を作ることを言うんだ」
P「最大の違いは、お前は努力しているってことだ」
雪歩「でも、私は本当にダメダメで…」
237:
P「萩原雪歩!」
雪歩「はっはい!」
P「謙遜と自虐は違うんだ」
P「お前はいつも劣等感をまとってる」
雪歩「うぅ、ごめんなさいぃ…」
P「だが劣等感を持つことは悪いことばかりじゃないんだ」
雪歩「ふぇ?」
P「劣等感ってのは理想と現実のギャップだ」
P「高い理想を持ち、つまずきながらも努力して目指す」
P「そして芯の強さなら誰にも負けない」
雪歩「そ、そんなことありません…」
P「そう言うな。お前を応援しているファンがそう言ってるんだ」
P「胸張って堂々としてりゃあいいんだ」
雪歩「でも、私が失敗しちゃったら…」
P「そのときは俺がカバーしてやる。プロデューサーってそんなもんだろ?」
雪歩「っ!ありがとうございますぅ!」
238:
事務所 21:00
P「みんなランクDまでは上がった。竜宮小町はランクC」
P「もう少しで追いつけるな……」
律子「9人をプロデュースしてよくそこまでできますね…」
P「だけど最近になって、アイツらが弱音を吐くようになったんだ」
律子「それだけ信用してるってことですよ」
P「本当にそうだといいんだが」
律子「本当にそうですよ。いままでもずっと不安になりながら頑張って来たんですから」
P「……そうだったのか」
律子「……ところで貴音は何かあったんですか?」
P「なに?」
律子「……まさか気づかなかったんですか?」
P「今、どこに?」
律子「屋上です。プロデューサー殿、少し疲れてるのでは?」
P「……まさか。屋上だな、行ってくる」
律子「……人間らしくはなってるけど、なんか変わってきたわね」
239:
P「今日は月も隠れてみえないな」
貴音「……あなた様」
P「何を悩んでいるんだ」
貴音「前のように当ててはくれないのですか?」
P「今回はさっぱり分からなくてな」
貴音「そうでしたか……わたくしは、あなたに感謝しております」
P「そうか」
貴音「おかげでここまで来ることができました」
貴音「しかし、ここから先は一筋縄ではいきません」
貴音「わたくしは、己の力に限界を感じ始めています」
貴音「よく響や雪歩に相談をされます」
貴音「しかしそれは、わたくしが年上であるゆえのこと」
貴音「わたくしは気丈に振る舞っていますが、そこまで強い女ではありません」
貴音「妖怪の類や蛇なども苦手な、普通の女です」
P「……お前みたいなのが普通なら、世の中のエンゲル係数はもっと高いだろうな」
240:
P「周りから頼られる奴が、逆に頼ってはいけないなんて誰が決めた?」
P「お前たちの曲にもあるだろう」
P「一人ではできないこと、仲間とならできること」
P「もっと頼っていいんだ、俺だって協力する」
貴音「……仲間、ですか」
P「なんなら俺は執事でも構わん」
P「銀色の女王には釣り合わないか?」
貴音「……ふふ、とてもお似合いですよ」
貴音「しかし、それでは伊織の執事はどうされるのですか?」
P「そうだな、どっちもやってやるよ」
貴音「ふふ、あなた様は本当にいけずな方です♪」
P「嬉しそうだな」
貴音「あなた様が変わってきていることが、喜ばしいからです」
貴音「前よりも角が取れて、丸くなってきています」
P「……丸く、か」
貴音「わたくしは、齢18の若輩者でございますが、これからもよろしくお願いします」
241:
10月20日(日) 事務所 17:47
律子「はあ…」
P「フェスの結果、聞いたよ」
律子「あれ以来、どうしてもジュピターが相手だと実力が出せなくて…」
律子「ランクCから伸び悩んでるし…」
律子「私がしっかりしないから、あの子たちに迷惑をかけちゃう…」
P「なあ、一度ゆっくり話し合ってみたらどうだ?」
律子「伊織たちと、ですか?」
P「そうだ、今みたいにな」
律子「……私が弱気になってたら、あの子たちを不安にさせてしまうじゃないですか」
P「そうかな」
律子「……じゃあどう思うんですか」
P「お前はいままで弱音も吐かずによく頑張ったよ」
P「でもさ、たまには弱音を吐いてみてもいいんじゃないか?」
242:
P「弱音を吐けるってのは、強い証拠さ」
P「だから俺は、凄いけど強くはない」
P「だいたい当たってるだろ?」
P「今すぐとは言わないけど、早めに話してみろよ」
律子「ホントになんでもお見通しなんですね」
P「そうでもないよ。さて仕事仕事」
伊織「ああここにいたのね、ちょっと付き合いなさい」
P「伊織か、先に行ってろ。ちょっと書類そろえるから」
伊織「……給湯室にいるわ」
P「分かった。えっとコレとコレでいいかな…」
律子「……プロデューサー殿」
P「うん?あ、コレも必要か」
律子「私たちは、あなたの弱さをいつでも受け入れますから!」
P「……ありがとよ」
243:
給湯室 17:58
P「それで?なにがあったんだ?」
伊織「……」
P「黙ってちゃ分かんねぇぞ」
伊織「……」
P「話したくなったらまた来い。じゃあ俺は仕事があるから」ガタッ
伊織「っ!待って!」
P「……」
実際に服の裾を掴まれると、どうしていいか分からないものだな。
P「……ふぅ、とりあえず座れよ。オレンジジュースだっけ?」
伊織「……竜宮小町のリーダーが私で、本当にいいの?」
P「それは律子に聞け」
伊織「アンタは、アンタはどう思ってんのよ……」
P「……伊織」
244:
P「俺は、お前がリーダーってのは筋が通ってると思う」
伊織「本当に?」
P「あずさと亜美、そしてお前の中なら打倒だろ」
伊織「……それなら、どうしてランクCで止まってるのよ」
伊織「あのジュピターはもうランクBでもうじきAになるわ」
伊織「ここの中でもみんなに追いつかれそうになってる」
伊織「私は、もっと先に進まなきゃいけないの!」
P「なあ、伊織」
伊織「こんなとこで立ち止まってる場合じゃないのよ……!」
P「水瀬伊織!」
伊織「な、何よ」ビクッ
P「お前、何を焦っているんだ?」
伊織「焦ってる?そりゃ焦るに決まってるでしょ!」
P「自分の力で成り上がりたいとか言ってたっけ」
245:
P「そろそろ本当の理由を言ったらどうだ?」
伊織「私はウソなんか言った覚えはないわ」
P「具体的に言えってことだよ。父や兄に認めてほしいんだろ?」
伊織「はぁ!?なんでそんなこと知ってるのよ!」
P「誰を相手に言ってんの?」
伊織「っ!それもそうね……調べたってワケ?」
P「悪いな。これも管理のウチってことで」
伊織「……変態」
P「なんと言われようと構わん」
P「それより、お前は焦りすぎだ。特にここ最近はな」
伊織「だって!」
P「分かってる。認めさせるためだろ」
伊織「そうよ。早くトップアイドルになって、見返してやるんだから!」
246:
P「なあ、そんなに家族を目の敵にするのはやめたらどうだ?」
伊織「嫌よ!いつも見下してばかりで、お前にはまだ早いとかばっかり」
P「辞めろって」
伊織「でも事実なのよ!」
P「辞・め・ろ。辞めろ!」
P「だいたい本当に見下してると思ってんのか?」
伊織「そうに決まってる!」
P「……そうか、俺はそう思わないがな」
P「危険なことから守るために、下手な真似はさせたくない」
P「今なら大丈夫だろうと判断したから、ここにいる」
P「認めているからこそ、可愛い子には旅をさせよってことなんじゃないのか?」
伊織「……きっと違うに決まってる」
P「家族ってのはなかなか素直になれない間柄らしいな」
P「だから思ってることと逆の言葉ばかりが出てくる」
伊織「アンタに、アンタに何が分かるのよ!」
247:
P「何も分かんねえよ」
P「……俺には、家族がいなかったからな」
伊織「っ!そ、そういうつもりじゃ……」
P「気にするな。昔の話だ」
伊織「でもっ!」
P「今はこんなにも立派な家族に囲まれて、俺は何ひとつ後悔していねぇ」
P「お前は特に、いつも真逆の言葉ばっかりだ。だから一番嬉しいかもしれないな」
伊織「……なんなのよアンタ」
P「あん?」
伊織「なんでアンタはなんでもかんでもお見通しなのよ!」
P「……さあな」
伊織「ふざけんじゃないわよ!そんなアンタだから、私はっ!」
P「……俺?」
伊織「っ!……もういいわ」
248:
伊織「それより、アドバイスを頂戴」
P「思い切って新曲とかどうだ」
伊織「……それで勝てるの?」
P「どうした?水瀬伊織ともあろう者が、勝てないのか?」
伊織「……いいわ、勝ってやろうじゃないの!」
P「そうやって、お前は自信もって前向いてればいいんだよ」
P「だが今日みたいなときは、たまには家族に甘えてもいいんじゃないか?」
P「俺たちもだし、父や兄にもたまには電話してみろよ」
律子「プロデューサー殿、今大丈夫ですか?」ガチャ
P「今度はなんだ?」
律子「悪いんですけど、あずささんを探してきてくれませんか?」
P「……まさかコンビニから帰ってこれないのか?」
律子「ええ、すみません……」
P「分かりました。すぐに他のアイドルにも連絡を取ってくれ」
P「じゃ、また明日な、伊織」バタン
伊織「……」ポパピプペ
伊織「あ、お父様?お仕事中ごめんなさい」
伊織「大した用事じゃないのだけれど……ありがとう」
伊織「は?イジメ?そんなことあるわけないでしょもう!……頑張るから」ピッ
249:
公園 18:21
あずさ「すみませんいつも……」
P「コンビニぐらいからは帰ってこれるようになりましょうよ」
あずさ「はい……」
P「……フフッ」
あずさ「な、なにかおかしいことでもありましたか?」
P「いえ、大したことじゃないよ」
あずさ「あ、私がおかしいですよね……こんなにも迷子になるなんて」
P「別にそっちじゃなくてさ、今日は竜宮小町の日だなーなんて」
あずさ「えっと、どういうことですか?」
P「律子、伊織に続いてあずさ。次は亜美かな?」
あずさ「あ、あのープロデューサーさん?」
P「ああ、すまない。あずさも何か相談事があるんじゃないのか?」
あずさ「……分かります?」
P「暗い顔だからな。笑った方が似合うぞ」
あずさ「あらあら//……少しだけお話しに付き合ってもらっていいですか?」
P「歩きながらどうぞ。あ、手は繋がさせてもらうよ」
250:
P「つまり、竜宮小町に迷惑をかけたくない、と」
あずさ「はい。私、年長者なのにオロオロしてばかりで……」
P「確かに決断することは苦手みたいですね」
あずさ「この前も、年長者の私がなにもできなくて……事務所の雰囲気が悪くなちゃったりして……」
P「あぁ……その説は大変お騒がせしました」
あずさ「いえ、その、スパイさんだなんてなかなか会えませんから」
P「なかなかってレベルではないんじゃ……」
互いに軽く笑い合って、そして少し黙って歩いた。
P「――なあ、ちょっと疑問に思うんだけど」
下を向いていたあずさが、ゆっくりと顔を上げる。
P「年長者って肩書きは必要なのか?」
あずさ「肩書き、ですか?」
P「肩書きというか、うまく言えないな」
P「だけどさ、年上という理由だけでなんでもできなきゃいけないのか?」
251:
あずさ「でも、みんなは私よりしっかりしてるから……」
P「しっかりしてないことは、悪いことか?」
あずさ「現にプロデューサーさんにもご迷惑をおかけしてますし……」
P「迷惑?」
あずさ「はい、律子さんや他の子たちにも迷惑をかけてしまって……」
P「じゃあ聞いてみたらいいじゃないか」
あずさ「え?」
P「本当に迷惑がかかってるのかを」
あずさ「そ、そんなこと!……できません」
P「試しに俺に聴いてみろよ」
あずさ「ええっ!?」
P「ほら早く」
あずさ「で、でも」
P「はーやーくー」
あずさ「うぅ……私、迷惑でしょうか……」
P「大迷惑だな!」
あずさ「……やっぱりそうなんですね」
252:
P「おかげでこうして迎えにこなきゃならないし」
あずさ「すみません…」
P「まったく、これからもかけ続けてください」
あずさ「え、え?」
P「迷惑だが、不思議と嫌な気持ちにはならないんだよ」
P「律子たちはどうなのかは知らない」
P「だけどこうしてさ」
俺は繋いだ手をあずさの顔の前に挙げる。
P「竜宮小町の三浦あずさと手を繋げたんだ。迷惑だけど迷惑じゃないんだよ」
あずさ「まあ……っ!」
P「分かったか?迷惑と同時になんか良いものをもらってるんだよ」
あずさ「……あの、プロデューサーさん?」
P「なんだ?」
あずさ「ありがとうございます。あ、事務所が見えてきましたね」
P「そろそろ手を離すか」
あずさ「そうですね。でもいつか、竜宮小町じゃなくて、ただの三浦あずさとして手を繋いでください」
P「どういう意味だ?」
あずさ「うふふ、なんでもないですよー」
そう言って、事務所へあずさは小走りで行った。
その顔は、いつも以上に笑顔が似合っていた。
253:
事務所 18:31
亜美「兄ちゃん、ちょっといい?」
P「ゲーム?」
亜美「ううん、相談したいんだ」
律子「プロデューサー殿、お願いします」
P「ここはお前が対応するべきじゃないか?」
律子「今なら応接室が空いてますから」
P「対応する気ゼロですか」
律子「プロデューサー殿をご指名みたいですので」
P「いやそうだけどさ」
律子「それに、悔しいけど今一番頼れるのはあなたですから」
P「いいのか?」
律子「私もすぐに頼れる存在になりますから!」
P「……」
律子「もう!亜美が待ってますよ!」
P「……充分、頼れる存在だよ。じゃあ話してくる」
254:
P「それで、どうした?」
亜美「……フェスの結果、知ってる?」
P「ああ。ジュピターに勝てなかったみたいだな」
亜美「うん。亜美、一生懸命頑張ったら、あまとうぐらい勝てるって思ってた」
亜美「でも、でも……勝てなかった……っ!」
机の上で、その小さな手をぎゅっと握りしめる亜美。
P「よっぽど悔しかったみたいだな」
亜美「だって、勝でるど思ってだのに……グス」
P「オイ鼻水出てるぞ。ほらティッシュ」
亜美「ありがと……」チーン
P「まあ勝負なんだから負けることもあるさ」
亜美「でも、亜美のせいで負けてるかもしれないじゃん」
P「亜美のせい?」
亜美「亜美、竜宮小町の中で一番下だと思う」
255:
亜美「バラエティとかでも、亜美はお笑い担当っていうか……」
P「……RPGってジャンルはやるか?」
亜美「ラストファンタジーとか?ふつーにやるけど?」
P「最初の村なんかでさ、洞窟の情報と毒薬草をくれるためだけの村長っているだろ」
亜美「うん、話が変わるか気になって何度も話しかけるお爺さんでしょ?」
P「あるいはただの嫌がらせってパターンもあるな」
P「最初で、しかも全く重要人物からは程遠い人物だ」
P「ぶっちゃけいなくてもなんら物語に影響はない」
P「なのにどうしていると思う?」
亜美「うーん……なんでだろ?」
P「じゃあいなかった時のことを考えてみろ」
亜美「えっとー……毒攻撃でゲームオーバーになるかも」
P「そうだ。別に道具屋で買えないわけじゃない。でもいないと一回目は失敗するかもしれない」
亜美「まあ亜美くらいの上級者は、最初からカジノで大儲けして強いアイテム手に入れるけどね!」
256:
P「そうだな。ところが誰もが一発で大儲けできるとは限らない」
P「そして正攻法で村長から情報と毒薬草をもらい、攻略するやつもいる」
P「そういうプレーヤーは村長に対し、少し感謝をする」
亜美「一回しか見ないけど、亜美も攻略サイトには感謝するよ!」
P「さて、竜宮小町というパーティががいて、それぞれに違う能力や魅力がある」
P「さっきバラエティではお笑い担当と言ったが、それは亜美にしかできないコマンドだ」
P「分かるか?律子がお前をユニットに入れたのは、お前にしかできないことがあるからなんだ」
亜美「亜美にしか、できないこと…」
P「お前にしかできないことを、お前は任された」
P「なのに、自分は役立たずだからと言って責任放棄か?」
P「僧侶がいじけて、回復してくれなきゃゲームオーバーだ」
亜美「……うん、そうだね。亜美、自分にできることを一生懸命やるよ!」
P「そうだ、ジュピターに勝てる作戦なら、すぐに用意できる」
P「でも、俺という攻略サイトを毎回使って勝つことが、本当に嬉しいか?」
亜美「ううん、アイドル活動だけは攻略サイトにあんまり頼りたくない!」
P「いい子だ」
亜美「大人だもん!」
257:
P「大丈夫だ、俺がすぐに真美を有名にして、二人で仕事させてやる」
P「竜宮小町のゲストとして、二人が組めば誰にも負けない」
P「だからそれまでは、律子たちを信じて突き進め」
亜美「分かった」
P「じゃあ、真美のことも応援しててくれ。俺もお前らを応援してるよ」
亜美「兄ちゃん!」
P「ん?」
亜美「えっと、しゃがんで目をつぶって」
P「こうか?」
亜美(よし、ほっぺならセーフだよね//)
あずさ「亜美ちゃーん?」ゴゴゴ
亜美「うあうあー!!いつ入ってきたのあずさお姉ちゃん!」
あずさ「いつだったかしらー?」
伊織「話が終わったなら早く出なさいよアンタたち」
律子「――はい、はい――え、明日ですか!?あの、少々お待ちください。プロデューサー殿!」
258:
P「今度はなに?」
律子「961プロからお電話です!」
P「お電話変わりました赤羽根です。あぁ黒井社長」
P「え?なんでいるんだ?いなくなる予定が変更になったので……はぁ、明日ですか」
P「分かりました、高木に伝えておきます。失礼します」
律子「……明日、来るんですか?」
P「みたいだな。明日は月曜日だ、大人だけで話し合って解決しよう」
律子「私も含まれてますか?含まれてませんよね、そうですよね!」
P「バッチリ含まれてるな。あずささんはオフだから関係ないけど」
律子「うぅ……なんか苦手なんですよね、黒井社長」
P「あんまり気にすんな」
律子「それができるのはアナタぐらいです」
P「はいはい。それじゃ俺はファンレターのチェックがあるから」
そう言って手紙の山を見る。
なかなか多くなってきたが、まだまだ竜宮小町宛てが多いな。
P「……ん?これは――?」
259:
10月21日(月) 事務所 8:02
小鳥「プロデューサーさん、何を書いてるんですか?」
P「気分転換に、思いついたことを書いてるだけだよ」
小鳥「見てもいいですか?」
P「どうぞ」
小鳥「えーっと、人生というキャンバスにどんな絵を描く?」
P「まだそこまでしか書いてませんがね」
小鳥「結構哲学的なんですねぇプロデューサーさんって」
P「そうですかね?あ、小鳥ならどんな絵を描く?」
小鳥「私ですか?そうですね、名前が小鳥なのでやっぱり大空を飛ぶ小鳥を描くんでしょうか?」
P「いや俺に訊かれても」
小鳥「そ、そうですよね、ははは…」
P「――不安ですか?」
小鳥「へ?何がですか?」
P「案外、表情が顔に出やすいタイプだな」
小鳥「やだっ、そんな顔してましたk、あ……」
260:
P「へー表情が顔に出やすいのかー」
小鳥「誘導尋問とは、さすが元スパイ…」
P「黒井社長に、なにか負い目があるのか?」
小鳥「ええ、まあ」
P「ふーん……」
そのときノック音が聞こえた。
小鳥「っ!わ、私ちょっと社長室へ用事が」
P「ありません。一緒に出迎えなさい」
小鳥「ピヨ?…」ズルズル
扉を開けると、そこには黒井社長が立っていた。
黒井「高木はいるか?」
P「ええ、会議室にいます」
黒井「出迎えもなしか」
P「出会いがしらに喧嘩されても困りますので」
黒井「……フン、入るぞ」
261:
高木「……やあ、待っていたよ」
黒井「貧民がセレブを待つのは当たり前だ」
高木「まあ、座りたまえ。いま音無くんがお茶を淹れてくれるさ」
黒井「高級な茶葉か?最低でも玉露以外は茶と認めんぞ」
高木「そういわずに」
小鳥「ムリです許してください」
P「とりあえずお茶ぐらいは出した方がいいのでは?」
小鳥「邪魔にならないように屋上にいますから、終わったらよんでくださいではさらば」ダッシュ
P「あ、ちょ、待て……っ」
とりあえず俺が淹れるか。
雪歩なら美味しく淹れられるんだろうか?
……いや、社長は大丈夫として黒井社長に怯えるからムリかな。
P「どうぞ、粗茶ですが」
黒井「……オイ、事務員はどうした」
P「……なるべく早く連れてきます」
黒井「……ウィ、傷つけないように頼む」
262:
屋上 8:17
P「隣いいか?」
小鳥「……どうぞ」
少し肌寒く感じるのは、秋が深まっているからというだけではなさそうだ。
小鳥「――どうして、黒井社長がここに来たか分かりますか?」
P「分かりますよ」
小鳥「そうですか。そうですよね、元スパイなんだし」
P「今日は、4、いや3人の人間が人生の選択をする日です」
小鳥「……」
263:
会議室 同時刻
黒井「私が来た理由が分かるか?」
高木「ああ、謝罪だろう?」
黒井「流石にその脳みそでも覚えていたようだな」
黒井「私のジュピターは、私の意見は、全てが正しかった」
黒井「昨日、いやもう少し前からだ」
黒井「下衆な記者もいない、風評被害もない状態で、私の完全勝利だった」
高木「あぁ、吉澤くんのおかげで如月くんは社会的に立ち直れたよ」
黒井「そうか。では認めるんだな、お前は間違っていたと」
高木「……ああ、約束だったからな」
黒井「ならば話は早い。まずは事務員、いや音無小鳥に謝罪だ」
黒井「その後に日高舞へ謝罪しに行く」
高木「分かった」
黒井「あとは、あの男が連れてくるのを待つだけだ」
高木「……」
264:
屋上
小鳥「知ってますか?私は元アイドルだったんです。ランクはCで止まりましたけど」
P「知ってます」
小鳥「どこまで知っていますか?」
P「少し前、魔王エンジェルというユニット企画が立ち上がった」
P「社長の二人はゆっくり実力をつけさせたかったが、会社は反対した」
P「結果、アナタは過労で倒れてしまい、日高舞は会社の男性と結婚、妊娠」
P「それを機に、あの二人は方針が対立した」
P「高木社長は会社に責任があるとわざと言い続けている」
P「黒井社長は自分たちが止められなかったことにより、責任を感じている」
P「そして、あなたは自分が倒れたせいだと感じている」
小鳥「全部じゃないですか…」
265:
小鳥「あのとき、私が倒れなかったらきっとランクSまで行けたんです」
小鳥「会社にも、社長のお二人にも、舞ちゃんにも」
小鳥「私はイドル復帰を考えられませんでした。心が、折れてしまったんです」
小鳥「せめて私のような人が出ないように、支える側に回ったんです」
小鳥「カッコ悪いですよね、この業界にしがみついて……でも臆病だからアイドルには戻れないんです」
小鳥「名前の通り、音が無くなって、小鳥のままで終わったんです……」
P「カッコ悪いです」
P「あなたはいつまで過去にとらわれてるつもりですか?」
小鳥「…分かりません」
P「それならもう今日で終わりにしましょう」
小鳥「で、でも私は、もうアイドルには戻れないんです!」
P「無理に戻れなんて言ってないだろ?」
小鳥「え?」
P「きっとこう考えたハズ。今からやってもまた失敗する」
P「だったらそんな考えは捨てろ」
266:
小鳥「でも…私は失敗したんです!」
P「そんなこと無ぇ!」
小鳥「」ビクッ
P「……発明王エジソンの格言を教えます」
小鳥「天才とは99%の努力と1%の閃きd」
P「いいえ、それは誤訳です。1%の閃きがなければ、99%の努力は無駄になる」
小鳥「真逆じゃないですか!やっぱり失敗はあるんです!私は失敗したんです!」
P「――私は今までに、一度も失敗をしたことが無い。
 電球が光らないという発見を、今まで2万回したのだ――」
P「あなたは、支える側に回った。そして、ランクSにならない方法を見つけた」
P「この体験は、アナタにしか伝えられないことなんだ」
267:
P「よく、俺は万能だなんてみんな言うが」
P「俺が失敗なんか存在しないなんて、説得力に欠けるだろう」
P「覚悟を決めろ。過去と立ち向かってケリをつけるんだ」
P「たとえ誰の責任になろうと、上手くいかないという体験ができた」
P「責任者は、その経験をした。ただそれだけだ」
P「誰が悪いとか、そんなのは無い」
小鳥「……私に、できるでしょうか」
P「もし途中でくじけそうになったら、俺が少し助けてやる」
P「それに、そろそろ下の二人も痺れを切らしてる頃だろうよ」
268:
黒井「遅いな」
高木「屋上にいるみたいだな」
黒井「まったく何をグズグズしているんだあの男は」
黒井「茶もマズイ、客人を待たせる……これだから底辺で低俗な会社は嫌いなんだ」
高木「……お前も怖いんだな」
黒井「何の話だ、恐れるものなど私の才能以外に無い!」
高木「それなら、私たちの方から謝りに行こう」
黒井「なに?」
高木「彼に任せずとも、すぐに呼びに行ける距離じゃないか」
高木「それでも呼びにいかないのは、呼びにいけないからだろう?」
高木「お前も私も、過去と向き合うの決心がまだついていないんだ」
黒井「…寝言は寝て言え」
269:
高木「黒井、お前は昔からキザなヤツだった。天才に憧れが強かった」
高木「だから隠れて努力していた。だがもう、自分の気持ちまで隠すのはやめるんだ」
黒井「うるさい!」
コンコン
高木「入ってくれ」
ガチャ
小鳥「遅れてしまい、申し訳ありません」
律子(怖すぎる……帰りたい……)
P「お待たせしました」
黒井「事務員だけ来い。二人は席を外してくれ」
小鳥「あの、赤羽根プロデューサーだけは同席を認めてくれませんか?」
黒井「……勝手にしろ」
律子(……これってラッキーなのかしら?)
高木「では、律子くんは席を外してくr」
律子「わかりましたそれでは」
P(……よっぽどこの空気が嫌だったんだろうなー)
270:
黒井「さて音無小鳥、久しぶりだな」
小鳥「お久しぶりです、黒井社長」
黒井「今日ここへ来たのは、君に謝罪をするためだ」
小鳥「待ってください」
小鳥「会社のせいでも、お二人のせいでもありません。私が倒れなければ、良かったんです」
高木「それは違うぞ音無くん!」
小鳥「いいえ、現に舞ちゃ、舞さんはちゃんとお仕事をこなしていました」
黒井「それは、彼女自身のポテンシャルが高いからであって」
小鳥「とにかく、もうお二人が争うところを見たくないんです」
高木「しかしだね、それでは君ひとりが責任を負うことになるじゃないか」
小鳥「そうです、その方がいいんです」
黒井「何をバカな事を言っているんだ!高木がそう言えとでも言ったのか!」
小鳥「高木社長は関係ありません!……黒井社長、そんなに自分を責めないでください」
小鳥「高木社長もです」
271:
黒井「コイツは自分じゃなく会社のせいにしたんだ!自分が悪いなど思ってない!」
高木「――いだろう」
黒井「なにか言ったか?」
高木「私に責任がない?そんなわけないだろう!」
高木「黒井、お前の言うとおりだ。私たちが止められなかったのが悪い!」
高木「もうずっとそう思っているよ。だが、お前はずっと反抗した」
高木「私はどうだ?会社の圧力に簡単に負けた」
高木「それはもう、私たちではなく私一人に原因があるだろう!」
高木「だから私は、お前が責任を感じていることに耐えられなかった」
高木「だからわざと、会社の責任だと言い張ってきたんだ!」
高木「責任をとるのは、私一人で充分なんだ!黒井、自分をそれ以上責めるな!」
黒井「……なんなんだ貴様は。どこまでお人好しなんだ」
小鳥「高木社長、本当は心の中で、ずっと責任を感じていたんですね」
小鳥「でも、それも違います。私がうまくいかなかっただけです」
小鳥「社長のせいではありません」
272:
高木「しかし!」
小鳥「失敗なんて、ないんですよ?上手くいかない方法を見つけただけです」
小鳥「だから私は、これからトップアイドルになる人へそれを教えることができるんです」
黒井「それならば、いったい誰が悪いというのだ!」
小鳥「……誰も悪くないと思います」
小鳥「確かにトップアイドルになれなかったのは残念です。勢いもあったのに……」
小鳥「でも、私はもう過去にとらわれたくないんです」
P「……少し、いいですか?」
三人は俺を見る。
俺は一枚の手紙を取り出した。
P「ファンレターの中に、混ざっていました。日高舞からの手紙です」
高木「日高くんからか!?」
黒井「なに!?」
小鳥「舞ちゃん!?」
273:
P「読み上げます」
舞『なんとなく感が働いたので、手紙を送ります。回し読みしてください。
 高木さん黒井さん、ご無沙汰してます。小鳥、元気でやってる?
 私は元気です。娘の愛も、うるさいぐらいに元気です。
 あのときから、私たち4人の時間は止まってしまった。
 ずっと後悔しています。三人ともそれぞれの考えがあって、自分が悪いと思ってる。
 私も同じです。どうしてもっとセーブしてやれなかったんだろうって。
 一人で突っ走って、着いてくる人のことを考えてやれなかった。
 だから、私のせいなんだって思ってた。
 あれから時間が経って、愛を産んだりしてるうちに、考えが変わったの。
 あのときは上手くいかなかったけど、次は絶対うまくいく。
 なぜなら私だから。そして小鳥がいて、今は社長になった二人がいて。
 失敗するハズがない。
 だから、4人ともそろそろ時間を進めるときがきたのかもしれない。
 過去には戻れないんだから、突き進むのみよ。
 ――というわけで、来年から再デビューすることにしました。
 上手くいったら、また一緒に歌ってくれるよね?
 一緒にプロデュースしてくれますよね?
 身勝手かもしれないけれど、私は一足先に進みます。
 必ず追いついてください。  舞
 p.s 直筆サイン付きの手紙なんだから、プレミアつくわよ』
P「……以上です」
274:
P「誰もが責任を感じ、苦しんできた」
P「もうそろそろ、思い十字架を背負わなくても許されるのでは?」
P「それに、こうして一歩踏み出している人もいます」
P「それがどんなに苦しい道のりになると分かっていても、ね」
P「別に無理に昔に戻らなくても、いいんですよ」
P「だけど、過去とそろそろ決別しましょう」
P「俺はこの手紙に、そんなメッセージがあると思います」
黒井「……ククク」
小鳥「黒井社長?」
黒井「ハーハッハ!実に彼女らしい!」
黒井「いいだろう、全て水に流してやる」
高木「黒井……」
黒井「しかーし!あの事件がなくても私は今のやりかたを貫く!それが私の答えだ」
高木「……ははっ、お前らしいな」
275:
黒井「高木、私は貴様のようなぬるま湯でアイドルを育てたりはせん」
黒井「だが、ジュピターはもうすぐランクAに対し貴様らはまだランクCとD」
黒井「そんな格下相手に勝ったところで何も得るものはない」
黒井「私ならライブでも開いて注目を集めるがな」
高木「ウチはなにかと貧乏でね。ライブはまだまだかな」
黒井「ならば使え」
黒井社長は小切手に金額を書き、突き出す。
小鳥「こ、これなら……でもどうして?」
黒井「勘違いするなよ、格下のくせにライバルなどと世間から言われるのが不快なだけだ」
黒井「今更ジュピターのランクを下げることはできん。早く貴様らがランクを上げろ」
黒井「それに高木には昔、金を借りた。利子をつけて返しただけだ」
高木「……缶コーヒーのことか?」
黒井「よく覚えていたな。褒美に明後日公演のジュピターのライブチケットを1枚やろう」
高木「私に研究させてくれるのか?」
黒井「ノンノン、完成されたパフォーマンスに圧倒され、自ら負けを認めさせる機会を作ってやっただけだ」
高木「……本当にキザなやつというかなんというか」
黒井「さて、私は一刻も早くオフィスに戻って玉露で口直しするとしよう、アデュー!」
小鳥「……行っちゃいましたね」
276:
小鳥「これで、良かったんでしょうか?」
P「良かったんじゃないか?」
高木「これで良かったんだよ」
小鳥「プロデューサーさん、ありがとうございました」
高木「私からも礼を言うよ」
P「いえ、俺はただ手紙をよんだだけです」
P「それより、せっかく資金をいただいたんですから、ライブの企画書でも作りますね」
高木「ああ、頼むよ」
小鳥「晴舞台ですね!楽しみだな?」
P「小鳥も歌うよ?」
小鳥「はい?」
P「手紙に書いてあったじゃん。歌ってくれるよねって」
277:
小鳥「でもアイドルには戻りませんから」
P「特別ゲストで一日だけ戻ってもらいます」
小鳥「ええ!?でもそんな……ありえませんよね社長?」
高木「……ティンときた!」
小鳥「ぐっ!……でも事務員としてのお仕事もありますし」
P「代わりにやっときます。俺の分はだいたい終わってるんで」
律子「小鳥さん歌うんですか?」
小鳥「イヤですよ!」
律子「でも社長命令なら諦めるしかないんじゃ」
P「そうだ、律子も歌おう」
律子「は!?なんで私まで」
高木「ティンときた!二人で限定ユニットを組めば」
P「いいですね、じゃ作りますか」
律子「というかなんで歌うとか歌わないとかそういう話に?」
P「黒井社長の援助でライブをやるんだよ」
律子「……えええええぇぇぇぇ!!!!!??????」
278:
10月26日(土) 事務所 12:00
高木「ウォッホン、えーアイドル諸君、大事な話がある」
美希「なーに社長?」
高木「実は、11月24日の日曜日、765プロオールスターライブを行う」
一同「」ポカーン
高木「では、あとの説明頼むよ君」
P「はい。えーまずは会場なんだが」
春香「ちょちょちょっと待ってください!」
P「なんだ春香」
春香「ライブですよ!ライブ!いきなりなんで決まったんですか!?」
P「まあ色々あってな。パシフィコ横浜国立大ホールを押さえたから」
律子「そんな大きなところ押さえたんですか!?」
P「資金的には武道館でも良かったけど」
千早「あの、収容人数はどのくらいですか?」
P「5000くらいかな」
やよい「ほぇー……」
279:
P「質問はとりあえず終わってから聞く」
P「そういうわけで、レッスンはライブを想定したものになる。全体練習もある」
P「さらに細かい話はしないが、小鳥と律子も出す」
律子「本気で言ってるんですか?」
小鳥「もう、諦めましょう……」
P「なのでレッスンを手伝うように。詳しくは練習の段階で指示する」
P「あとは営業でライブの告知をすること。以上」
一同「……」
P「……どうした?」
一同「やったあぁぁ!!!!」
貴音「皆に光を届けられるのですね!」
真「なんだか緊張してきた!」
響「自分、すっごく嬉しいぞ!」
280:
あずさ「あらあら、みんなとっても嬉しそう」
美希「あずさもとっても嬉しそうなの!」
伊織「うまくいけば、ランクも上がるってわけね」
やよい「一生懸命がんばりますー!」
雪歩「えっと、告知のためのポエム考えなきゃ!」
亜美「ねー真美」ゴニョゴニョ
真美「んっふっふー、ナイスアイディア!」
春香「ライブかー、楽しいだろうなーってうわぁ!」ドンガラガッシャーン
千早「春香、本番では転んじゃダメよ?」
一同「あはははは!」
律子「はぁ……ま、たまにはアイドルに戻るのも面白いかもしれませんね」
小鳥「私、ちゃんと歌えるかしら……」
281:
同時刻 都内某所
??「なあ吉澤、この世界は腐っていると思わないか」
吉澤「君が言うなら腐っているんじゃないのか?」
??「誰もが平和に、安心して暮らせるような世界は作れないのか」
吉澤「難しいね、社会主義で成功した国はほとんどない」
??「じゃあ共産主義ならどうだ?」
吉澤「一旦すべてをゼロにして、そのあと平等に成長する」
??「だが独裁者が偏った考えを持つと失敗する」
吉澤「じゃあダメだな」
??「独裁者が、偏ってなければどうだ?」
吉澤「上手くいくさ。でもそんなの神様ぐらいだろ」
??「そうか?神は全知全能だ」
??「たとえば、パーフェクトとかさ」
282:
吉澤「……君は何を考えているんだ、安藤」
安藤「昔も今も、世の中の平和を願ってるだけだ」
吉澤「……」
安藤「そろそろ俺はやるぞ、世界を平和にする」
吉澤「……」
安藤「どうだ?俺といっしょに世界を変えないか?」
吉澤「……」
安藤「無言は肯定とみなすぞ」
吉澤「なあ、君は本当に完璧な世界がほしいのか?」
安藤「欲しいね。お前はこの不完全な世界のどこがいいんだ」
吉澤「不完全だが、なかなか味があるもんだよ」
安藤「……喰えない奴だ。安藤派とか吉澤派とか、意味がなくなるというのに」
吉澤「最近、異動が多いのはどういう意味なんだ?」
安藤「同じ志の者を集めているだけだ」
吉澤「……そうかい」
283:
11月1日(金)
P「それぞれの持ち歌はたぶん大丈夫だ」
P「問題は全体での練習だな」
雪歩「ひぅ!すみませぇん!」
春香「えっとここで……あれ?」
真「雪歩と春香が入れ替わるんだよ」
亜美「んー、なんかここはあずさお姉ちゃんが前に出た方がいいかも」
真美「いやいやお姫ちんでしょー」
律子「選ぶ基準が…はあ」
あずさ「あらー?」
千早「大丈夫ですか小鳥さん?」
小鳥「低音って難しい……」
響「足をクロスすると回りやすいぞ」
貴音「くろす、ですか」
やよい「クロス……あ、できましたー!」
伊織「なるほどね…」
美希「そろそろ次のステップに行きたいの」
284:
11月3日(日) 14:57
伊織「あずさ!間違えて告知しちゃ意味ないでしょもう!」
あずさ「ごめんね?伊織ちゃん」
亜美「でもメチャ注目されてたし、オッケーっしょ!」
律子「じゃあジャージに着替えて練習よ」
ハーイ キョウモガンバロー マッテーリツコサーン
高木「うむ、仲良きことはいいことかな」
千早「春香、告知で噛んじゃったらダメじゃない」
春香「ご、ごめんね千早ちゃん」
貴音「しかし注目はされたようです」
高木「……ちゃんと集まるかな」
285:
11月9日(土) 12:28
美希「疲れたのー…」
響「オーバーマスターは結構動くからね…」
貴音「ふぉうふぉほあかもすいへまいひまひあ(丁度おなかも空いてまいりました)」
響「貴音、食べながら言うのはやめるさー…」
雪歩「えっとここでターン…それから…」
美希「雪歩は頑張り屋さんなの」
雪歩「えぇ!?そんなことないよぅ」
P「おつかれさん、差し入れだ」
美希「ハニー!」ダキツキー
P「あいかわらずだな」パサッ
美希「ハニー分の補給なの!」
春香真(羨ましい…)
小鳥「あれ?封筒落としましたよプロデューサーさん」
P「え?ああ、これか。ちょうどいい」
286:
P「前に思いついたことを書いていたでしょう?」
小鳥「一文だけ書いてたのですか?」
P「それだ、続きを書いてまとめたんだが」
P「社長に見つかって、作曲家に勝手に依頼を出したらしい」
響「それでそうなったんだー?」
P「まさかの曲になった」
やよい「プロデューサーが作った曲なんですかー!?」
千早「ライブで歌うんですか?」
P「できればそうしてくれと作曲家の先生から言われたよ」
亜美「なんて曲?」
真美「せくちーな曲?」
P「せくちーじゃないな」
封筒からCDと歌詞カードを取り出す。
P「Colorful Daysだ。振り付けはこれから考えるから、まずは歌えるようにしておいてくれ」
やよい「うっうー!プロデューサーのために一生懸命歌います!」
287:
11月20日(水) 13:17 たるき亭
吉澤「安藤は、近いうちに何か行動を起こすかもしれない」
P「何をするつもりなんだ?」
吉澤「部下に探らせているが、さっぱりわからない」
吉澤「しかも、反安藤派の連中を消したり、異動させているんだ」
吉澤「僕の部下もだいぶ減ってしまった。護衛に回せる人数もギリギリだ」
P「邪魔な人間を遠ざけているのか」
吉澤「それから、全知全能の神に近い存在として君の名を挙げていた」
吉澤「世界を変えるとか言っていたな」
P「……いっそこちらから先に消しに行くか?」
吉澤「その後はどうする。統率系統が乱れたら、反乱分子が湧き出るぞ」
P「……吉澤さんなら、統率もとれるでしょう」
吉澤「なるべくしたくはないかな」
P「……ご主人、そんなに聞き入らないでください」
吉澤「台詞合わせはここまでにしようか。生姜焼き定食をひとつ」
288:
11月23日(土) 会場 19:09
P「機材も演出もいい感じだな」
小鳥「あの、ホントに歌うんですか?」
春香「大丈夫ですよ!1曲だけですから!」
小鳥「でもソロって……」
律子「しょうがないじゃないですか…竜宮小町に回されたんですから」
千早「あとは力を出し切るだけですね」
P「そうだな、あと不安な者はいるか?」
やよい「な、なんだか緊張してきちゃいました…」
雪歩「私も…うぅ、間違えずにできるかな」
伊織「大丈夫よ、明日もリハーサルは一回あるし、ちゃんとできてたじゃない」
真「もし間違えても、堂々とやれば大丈夫だよ!」
289:
貴音「……はて、いま無関係な人物がいたような」
――なんだと?
真美「お姫ちんどうしたの?」
貴音「いえ、なんでもありません。明日は全力をつくしましょう」
亜美「そーそー!自分たちならなんくるないさー」
響「うがー!自分の真似するなよもー!」
……念のため明日は見回りを強化するか。
美希「ハニー!明日は美希のこと、ちゃーんと見ててね!」
万が一の場合は、春香たちとファンを先に避難させなければならない。
美希「ハニー?怖い顔してどうしたの?」
P「……ん?ああ悪いな美希、明日は見守ってるぞ」
美希「見守るだけじゃヤ!応援してほしいって思うな」
あずさ「そうね、美希ちゃん一生懸命頑張ってたものね」
P「分かった、サイリウム振るから。あずさは大丈夫か?」
あずさ「えっと、衣装が少しきついかなって//」
響「どこまで大人なんだ……」
290:
11月24日(日) 0:00 某所
安藤「諸君、時はきた」
安藤「今こそ世界を変えるべきだ」
安藤「20時丁度に、パシフィコ横浜国立大ホールを襲う」
安藤「心配はいらない、吉澤派は代表もろとも処刑した」
安藤「邪魔する者はいない」
安藤派「「「「「「ウオォォー」」」」」」
安藤「独裁者は偏った考えを持ってはならない」
安藤「ゆえに、最も闇を知り尽くし完璧な人間でなければならない」
安藤「それにふさわしいのは誰だ?」
安藤派「「「「パーフェクト!」」」」
安藤「その通りだ……なんとしても我々は勝つ」
安藤「――行け」
安藤派「「「「イエッサー!!」」」」
291:
事務所 1:19
邪魔な人間を遠ざけ、俺の存在を世界に公開した。
安藤にとって、何が不利益になるのだろう。
革命。
どういう意味なんだろう。
第六感は答えまでは教えてくれない。
高木『もしそれが本当なら、君ひとりでも革命を起こせるのではないかね?』
いつかの高木社長の言葉がよみがえる。
まさか、安藤は革命を起こすつもりなのか?
いや、そんなハズはない。
世界平和を、日本の安全を、裏から守ってきた。
私利私欲に走ることは、忘れたハズ。
ドンドンドン!
ふいに扉を叩く音がした。
敵か?いや、敵なら急襲を選ぶ。
この時間に来るやつなんて……。
思案しながらも注意しつつ、俺は扉を開けた。
292:
吉澤「ぜぇ、やあ……ご覧の、ありさまだよ…」
P「誰に、襲われたんだ」
吉澤「安藤派の連中さ、私の部下も皆殺しだ」
P「まずは入れ、応急処置しかできないがマシになるだろう」
吉澤さんは酷い怪我をしていた。
消毒と止血が先か。
吉澤「私の、部下が…ぜぇ…ゲロったよ…す、すまない」
P「……俺の居場所がバレたのか?」
吉澤「ぜぇぜぇ…そのようだ……家族を人質に取られた、らしい…げほっ」
P「……とりあえず止血はした。あと痛む場所は?」
吉澤「なに、肋骨が少しやられただけさ…ぜぇ」
P「……その部下はどうなった」
吉澤「……殺されたようだ」
沸々と湧き上がる怒りを鎮めると、代わりに一つの疑問が浮かぶ。
293:
P「なぁ、連中はどうして俺を探しているんだ」
吉澤「殺すためじゃないのか?」
P「本当に?独裁者がどうとか言っていたよな」
吉澤「げほげほっ…完璧な人間…パーフェクトがふさわしいとか」
P「……仮説だが、安藤が革命を起こすとしよう」
P「動機はわからない、だが奴は世界を1度ぶっ壊すつもりだ」
P「そして俺に統治させる……」
吉澤「説得力はあるね。だがそれでは説明がつかない」
P「ああ、俺の存在をバラすメリットがない」
吉澤「……気をつけなさい。私を含め、同胞を殺すなど異常だ」
吉澤「行動を起こすのは時間の問題かと思われる」
P「……俺の任務は、大抵の場合問題を防ぐのが多かった」
P「事が起きてから解決するのは、あまり得意とは言えない」
P「とは言え奴らにも準備が必要だ。相手がこの俺だ、綿密な計画を練るだろう」
P「準備が完了し、革命のために世間の注目を浴びる時」
P「それは終末、すなわち大晦日だ」
P「だから12月に入った時点で、こちらから仕掛ける。先手必勝だ」
吉澤「勝ち目は、あるのか?」
P「……今は、それ以外じゃ勝てない」
294:
事務所 8:04
吉澤さんは、足手まといになりたくないと言って出ていった。
それなりに回復はしているし、あの人なら追跡も撒けるだろう。
とは言え、事態は深刻だ。
会場周辺に不穏な輩がいるかもしれない。
――待て、吉澤さんの部下が俺の情報をリークした。
その部下は、なぜ俺を知っている?
吉澤さんはこの事態を恐れて、俺の情報を言っていない。
誰が、いつ、どこで、どうして、なぜ、何の因果で俺を教えた?
吉澤さんが裏切ったとは考えにくい。
だが、仮説として説得力はある。
……いったい、何を信じればいいんだ。
295:
会場 9:48
千早「少しずつ、お客さんが集まってきたわ」
雪歩「ええ?開場は16時からなのに…」
あずさ「そのぐらい楽しみにしてくれてるってことじゃないかしらー」
美希「美希、今日はたくさんの人にお祝いしてもらえるんだね」
雪歩「美希ちゃん、昨日お誕生日だったもんね。きっとファンの人も一日遅れだけど楽しみにしてるよ」
あずさ「そうねー、美希ちゃん、ちゃんとMCで何を言うか考えておいてね」
美希「もちろんなの!律子、さんに昨日しつこく言われたの!」
律子「しつこくて悪かったわね」
雪歩「あああの律子さん!美希ちゃんはそういう意味で言ったわけでは」
律子「分かってるわ雪歩。今日ぐらいは絶対怒らないって決めてるから」
亜美「聞きましたか真美隊員」
真美「バッチリであります。今なら秋月総隊長のボールペンを壊してしまったことも、水に流せるであります」
律子「伊織、当分二人の分は無しでいいわよ?ゴージャスセレブプリン」
亜美真美「「めちゃ怒ってるー!?」」
296:
会場 10:17
P「じゃあ打ち合わせの確認をしていてくれ。俺はスタッフに挨拶してくる」
一同「はーい!」
……挨拶は別にすぐ終わる。
それよりも会場内に異変が無いかをチェックしなければ。
たとえばそう、爆弾なんかがあったらとんでもないからな。
P「本日はよろしくお願いします」
スタッフ「こちらこそお願いします」
P「あの、申し訳ないんですが会場全体の見取り図はありますか?」
スタッフ「うーん、ホントに細かく載ってる見にくいやつしかないですけど」
P「一枚頂けませんか?万が一地震とかあったら大変ですので」
スタッフ「誘導目的ですか?」
P「あとは双海亜美、双海真美がかくれんぼとかするとなかなか見つけられないので」
スタッフ「アハハ、そいつは大変だ。えーと余ったのがコレか、どうぞ」
P「ありがとうございます」
スタッフ「今日は頑張ってね」
297:
地図によると、1階は広いエントランスで、大きなモニターがお出迎え。
普段は横浜の風景を映しているらしい。
2階はエントランスを抜けたその先にあり、シーサイドロビーとなっている。
つまりは横浜港の観光スポットように作られた、長いカーブの廊下だ。
3?6階まではメインホールと客席だ。
ここもくまなく探索しておいた方がいいだろう。
次に一般客は入れない裏側だ。
地下1階は荷物の搬入口となっている。
斜めになった土地に建てたからだろうか?
業務用エレベーターが1つあり、3階の裏口に直接続いている。
次に1階、スタッフの会議室、仮眠室、および動力室がある。
全て見回ったが、どこにも異常は見つからなかった。
2階、食堂らしき小さな休憩室がある。
また避難階段があることから、あの長い廊下の内側だと分かる。
3階、ステージの裏側。
いわゆる部隊の袖であり、スタッフも普通に働いているので問題はない。
3階は奥に行くと、先ほどよりも立派な会議室がある。
今日はここに救護班が待機する予定らしい。
確か医薬品の類は、仮眠室にあった。
ベッドがあるおかげで、処置しやすいからだろう。
298:
会場周辺も探索したが、不審な人物及び怪しい物体は見つからなかった。
ちらりと腕時計を見る。
P「一旦戻るか」
戻る途中、グッズ販売を少し見て回った。
そこで俺の目に留まったのは、
765プロオリジナルウォッチ。
今使っているのは、俺がパーフェクトの名を継いだときに受け取った特別仕様。
目立たないが耐久性のある腕時計だ。
P「……一つください、4000円で、はい」
もうそろそろ俺はあの組織から自由になる。
別に時計にこだわりもない、着けたい物を着けよう。
渋沢「ヒャハハ…待ってろ、今日こそテメーを記事にしてやる」
渋沢「あとは、安藤とかいう男が何かするのを待つだけだ…」
299:
13:36
春香「もう少し、だね…」
やよい「グッズ販売にいっぱい並んでますー!」
伊織「グッズ販売自体は誰でも並べるものね」
真「誰が一番人気なのかな?」
伊織「そりゃあこの伊織ちゃんに決まってるじゃない」
真「うぐっ、竜宮小町はやっぱり強いなぁ…」
貴音「確かに桃色のさいりうむが売れ行きは好調のようですね」
響「おーいハム蔵ー、こんな時に逃げちゃダメだろー!」
春香「また逃げちゃったの?」
響「そうなんだ!ハム蔵のやつ、人がいっぱいいるせいか緊張して運動してくるって…」
貴音「なんと、ハム蔵殿もライブに出演するのですか?」
やよい「ハム蔵さんすごいですー!」
真「いやぁそれは難しいんじゃないかなぁ…」
やよい「え?でもハム蔵さんっていつも響さんといるから…」
響「実は一緒に出るつもりだぞ!自分の時だけなんだけど」
300:
伊織「そんなことより早く見つけなさいよ!」
響「そんなこと言っても返事してくれないんだぞ…」
小鳥「……?今なにか背中にっひゃあ!な、なにコレくすぐったっっ!」
春香「小鳥さーん!ハム蔵くん知りませんか?」
小鳥「えっと響ちゃんのぁん!何かが胸にっんっ!」
真「もしかして……」
貴音「小鳥嬢、失礼します」
小鳥「え、なにするの貴音ちゃ、え、ちょちょちょっと待ってぇ/////」
やよい「あー!ハム蔵さんがいましたー!」
ハム蔵「ヂュイ(●´ω`●)」
響「なに満足そうな顔してるんさー!ハム蔵のえっちー!」
伊織「まあいたんだからいいじゃない」
高木「みんな!グッズ販売でもう売り切れてしまったものがあるそうだ!」
春香「だ、誰のグッズですか!」
小鳥「うぅ、おへそ見られた…// でもこれはこれでアリか…」
高木「なんと音無くんのポスターだ!」
小鳥「……ピヨオォォォォォ!!!???」
301:
会場 15:47
スタッフ「開場は16時から、開演は18時からです!水以外の持ち込みは禁止といたします!」
A「16時に開場のようです」
H「心配するな、受付の人間の一部は我々の仲間だ」
T「武器はどうなってるんです?」
H「工藤さんの指示によれば、搬入口にあとから届くらしい」
A「しかしなんでこのライブ会場を襲うんですか?」
T「なんでもパーフェクトがこの会場に来るという情報があったらしい」
H「とある週刊誌の記者からの情報だ。まあ違っても構わん」
工藤「そうだ、どのみち我々は絶対的な正義か、凶悪なテロリストの未来が待っている」
AHT「「「工藤さん!」」」
工藤「なに、心配はいらない。まずは入ることが優先だ」
AHT「「「わかりました」」」
302:
ステージ 同時刻
P「うん、リハーサルはバッチリだな」
高木「ああ、この前のジュピターに劣らないパフォーマンスだと思うよ」
P「あ、社長、お疲れ様です」
高木「今日のアイドル諸君は、いつも以上に輝いて見えるようだ」
P「そうですね。ところでジュピターのライブ行ったんですね」
高木「年甲斐もなく、若い女性の隣でサイリウムを振ったよ」
P「黒井社長とお話はしましたか」
高木「王は褒め称える言葉を聞き飽きたと言っていたな」
高木「良かったら私たちのライブにも来てくれと伝えておいたよ」
P「来ると思いますか?」
高木「親友だからね、きっとジュピターも連れてくるんじゃないかな」
P「……営業方針は変わらないみたいですけど、和解できてよかったですね」
高木「君のおかげだよ。日高くんも来てくれたらよかったんだが、家事が忙しいそうだ」
P「来られたらすべての注目を奪われそうで怖いです」
303:
会場内 17:52
あれから何度も見回りをした。
不審な物も一切見当たらない。
なのに、なぜかこの不安は晴れない。
冬馬「オイ、辛気臭ぇ顔してんじゃねえよ」
P「……冬馬?」
冬馬「……なんか、変わったな」
P「そうか?」
北斗「確かに苗字で呼んでいたのに、名前に変えるのは急ですね」
翔太「でも親近感がわくからいいと思うよ?」
P「……黒井社長は?」
翔太「クロちゃんなら水買いに行ったよ」
冬馬「オッサンに無理やり連れられてなきゃ、絶対にこなかったぜ」
翔太「え?さっきまで必死にイメージカラー覚えてたじゃん」
北斗「あずささんのイメージカラーは?」
冬馬「え、えっと…紫!そうだ紫だよどうだ思い知った、か…」
P「たいへんよくできました」
冬馬「うるせぇ!そんな目で俺を見るな!」ダッ
北斗「やれやれ、今日はしっかりと楽しませてくださいね。チャオ☆」
翔太「待ってよ冬馬くーん!」
304:
P「俺が変わった…変えられたというのが正しいかな」
春香「プロデューサーさん!」
P「ああ、今行く」
あと少しで、コイツらの晴れ舞台だ。
余計なことは考えず、まずは円陣を組もう。
高木「さて、君たち。あとはただ楽しみなさい。ファンよりも楽しみなさい、以上」
律子「そうよ、私たちならできるわ。ボヤボヤしてると、引退した私に追い抜かれるわよ?」
小鳥「みんなに負けないように、私も頑張るわ!」
貴音「皆の力を合わせれば、何も恐れることはありません」
響「まあ完璧な自分についてくればなんくるないさー!……みんなも完璧だぞ?」
あずさ「緊張しちゃうわ?、でも、ゆ?っくり頑張りましょ?」
亜美「あずさお姉ちゃん、ホントに緊張してる?」
真美「リラックスしてるようにしか見えないYO」
伊織「ま、平常運転で安心ね」
やよい「私、来てくれた人を元気にできるように、元気いっぱいでやりますー!」
雪歩「わ、私も来てくれた人をガッカリさせないように頑張りますぅ!」
真「中身がしっかりしてれば大丈夫だよ、雪歩!」
美希「美希、今日はキラキラできるよね?もうワクワクが止まらないの!」
千早「私は、一人でも多くの人に歌を届けます……見ててね、優」
春香「みんな行くよー!765プロー!」
一同「オー!」
P「行ってこい、そこにお前らの未来がある。その手で思いっきりつかんで来い!」
一同「ハイ!」
305:
そのときだった。
せっかく良いセリフで決めたのに、その余韻に浸ることはできない。
第六感が働いた。
いま動かなければ、取り返しがつかなくなる。
P「……社長、ちょっと持ち場を離れます」
高木「どこに行くのかね?」
P「ゴミ掃除です、ではっ」
高木「き、君ぃ!」
誰に会うべきなのか。
どこに向かうべきなのか。
さっぱり分からないが、体が進む方へ勝手にひた走る。
スパイとしての能力は、もうガタガタに落ちている。
それでも、俺以外に対応できる奴はいない。
信じたくないことも、事実ならば受け入れなければならない。
根拠はない。
だがそれでも、未来を汚す敵がいると確信した。
306:
18:00 ステージ
ザワザワ
ファン「まだかなー?」
ファン「そろそろじゃない?」
ファン「真王子ぃー!」
?オープニング♪
ファン「「「「「わぁぁーー!」」」」」
アイドル「ARE YOU READY!! I'M LADY!! 始めよう やれば出来る きっと 絶対」
アイドル「私 NO.1!」
ワー!ハルルン チーチャン ユキピョン マコトオージ アズササーン
ミキチャーン オヒメー ヒビキチャーン アミマミ ヤヨイターン
同時刻 B1 搬入口
なぜここへ来たのか。
そんなのは俺自身にも分からない。
そもそも、来たことが正解か不正解かすらも分からない。
U「こりゃあたまげた。本当に生きてたんだなぁ、お前」
Y「あら、パーフェクトなんだし不思議じゃないわよ?」
U「それもそうか、で、どうする?」
Y「安藤さんからの指示は……生け捕りにしろ、だってさ」
307:
U「まったく、武器の調達も楽にできねえのかよ」
Y「そう言いながら戦闘態勢に入ってるじゃない」
ふざけんな。
なんでよりによって今日なんだ。
またこれだ。
俺と関わったせいで、アイツらが不幸になる。
P「そんなの、ダメだ」
Y「なんか言ったかしら?」
P「俺は絶対、アイツらを守る!」
左足で地を強く蹴る。
男の方にまずは右ヒザで腹部を狙う。
U「俺かよ!チッ」
男は横へ移動してかわす。
着地を女が手に持ったナイフで狙う。
Y「恨みは無いけど刺されなさい!」
P「断る」
行動が読めれば対処はできる。
着地の際に半身をひねり、女の手首を掴む。
そのままひねりあげれば、ナイフを落として女を人質にできる。
308:
Y「痛っ!」
U「大丈夫ぐぁ!」
女の腕を背中に回し拘束、落ちたナイフを男にむけて蹴りぬく。
U「クソがあぁ!」
見事にナイフは男の太ももに刺さった。
P「大人しく抵抗をやめろ、さもなくばこの女を殺す」
Y「……やってみなさい。知ってるわよ?あなた唯一殺したことがないパーフェクトですってね」
P「……だからなんだ。殺せないと言うのか?」
U「テメーは腰抜けだ!」
本気だぞ。
そう言おうとした次の瞬間、頭に鈍い音が響いた。
少し遅れて、痛みが襲ってくる。
O「二人だけだと思ったかい?残念、オレもいました?」
俺はゆっくりと意識を失う。
危機管理能力がここまで落ちていたとは。
薄れゆく意識の中で俺が最後に思い描いたのは――
P「みん、な……」
765プロの景色だった。
309:
ステージ 18:05?
春香「★START!! START!! START!!
 EVERYTHING OK♪
 その一歩がこの今へあの未来になる」
千早「眠り姫 目覚める 私は今
 誰の助けも借りず
 たった独りでも
 明日へ 歩き出すために」
雪歩「ALRIGHT* 今日が笑えたら
 ALRIGHT* 明日はきっと幸せ
 大丈夫!! どこまでだって
 さあ出発オーライ*」
310:
やよい「キラメキラリ ずっとチュッと
 地球で輝く光
 キラメキラリ もっとMOREっと
 私を私と呼びたい」
真「もっと 高めて果てなく 心の奥まで
 あなただけが使えるテクニックで 溶かしつくして
 本能 渦巻く最中に墜ちてくときめき
 今宵だけの夢 踊るわ 激しく」
亜美真美「スタ→トスタ→ スタ→とスタ→
  目と目 手と手 繋いで
  ひとりじゃない星にウィンク
  双子な星座がトゥインクル」
311:
フェアリー「Thrill のない愛なんて
  興味あるわけないじゃない
  わかんないかな
  Taboo を冒せるヤツは
  危険な香り纏うのよ
  覚えておけば?
  Come again!」
竜宮小町「キミが触れたから七彩ボタン
  全てを虹に変えたよ
  どんなヨロコビもキミと分かちあえる
  はじめまして
  ボクに出会ってくれてありがとう」
小鳥「いつか咲こう きっと 諦めないで
 葉を広げて うんと 茎を伸ばして
 高くたって ゆける
 まっすぐに芽を
 限りない明日へ向けてゆこう」
312:
客席 19:40
高木「やはり来てくれたか」
黒井「ジュピターの三人がどうしてもというからな」
冬馬「オッサンがどうしてもって言うから」
北斗「もう来たかったって言えばいいじゃないか」
翔太「なんか冬馬くん、クロちゃんに似てきたねー」
高木「ありがとう、もう少ししたらアンコールが始まるよ」
黒井「フン、もうこれ以上時間を無駄に過ごす必要はない。お前たち、帰るぞ」
冬馬「もういいのか?」
北斗「それにしては名残惜しい顔をしてますね…」
翔太「……あ、渋滞に巻き込まれたくないんだ」
黒井「」
高木「……今日はありがとう…ぷぷっ」
黒井「笑ったな貴様!高木の分際で!」
北斗「まあまあカリカリしないで社長」
冬馬「それに高木社長もステージ裏に戻っといたほうがいいぜ」
高木「ありがとう。では気をつけて」
黒井「アデュー!二度と来るか!」
北斗「また来ますよ☆」
313:
客席 同時刻
安藤「――あー諸君、聞こえるか?」
安藤「武器を隠せる者はそのまま客席に」
安藤「隠せない者は配置に着け」
安藤「合図と共に、作戦開始せよ」
安藤「……あまり精度が良くない無線だな」
安藤「まあいい、奴を序盤で無力にできたのは大きい」
安藤「あとは、我々の時間が来るのを待つだけだ」
ステージ裏 19:55
高木「諸君、本当に素晴らしかったよ」
高木「客席から見たんだ、これは間違いない」
高木「あとは、彼が作ってくれた曲を、全力で歌うだけだ」
高木「幕が閉まっているうちに、配置についてくれ」
春香「あの、プロデューサーさんは?」
高木「それが、携帯もつながらなくて…いったいどこにいるんだろうか」
小鳥「……大丈夫、私と律子さんで探すわ」
律子「そうね、もうずっとついてなくても、やりきれるって信じるわ」
高木「……うむ、仲良きことはいいことかな」
春香「分かりました!みんな!」
一同「」コクン
アイドル「765プロー!オー!」
350:
1F 仮眠室 ??:??
P「――っ、うーん……ここ、は……っ痛!」
目を覚ますと、そこは仮眠室だった。
後頭部がまだ痛む。
殺すつもりで殴ってきたみたいだな。
P「……ハッ、今何時だ!?」
慌てて765プロウォッチに目をやる。
P「22時、だと……」
6時間近く気絶していたことになる。
やけに外からの音が騒がしい。
対照的に、中は静まり返っている。
まさか、死んで――そんなハズない。
最悪の状態だけは、想像したくない。
嫌な想像をかき消し、まずはここから出なければならない。
P「ん?開かない?」
仮眠室は外からつっかえ棒のような何かで塞がれているようだった。
351:
P「クソ、何か武器になるようなものは……」
ガタン
不意に上から音がした。
そこでようやく天井を見る、すると、大きな排気口からまた音がした。
ここから脱出できるか?
思考を巡らせていると、見覚えのある顔が金網越しに現れた。
吉澤「遅くなってすまないね、悪いがネジを外してくれないか?」
吉澤さんはこちらに小さなマイナスドライバーをよこす。
サイズが小さく、開けるのに手間取ってしまった。
P「怪我は大丈夫なのか!?」
吉澤「大丈夫なわけないだろう。マトモな戦闘は期待しないでくれ。よいしょっと」
吉澤「ふぅ、疲れたよ。あ、ここから外には出られないよ」
P「ならどこから?」
吉澤「実は記者として今日ここに来ていたんだ。奴らは2時間前に銃声をぶっ放した」
P「アイツらは無事なのか!?」
吉澤「直前で僕はトイレに行ってたんだ。異変に気づいて、3階のトイレからここまで君を探していたんだ」
吉澤「おかげで2時間も排気口をさまよっていたよ」
P「……アイツらを助けなきゃ」
352:
P「協力してください。このままじゃ、アイツらが!」
吉澤「もちろんだ。安藤を止めるのは、今が最後だ」
見張り『中に誰がいる!そこを動くなよ!』
扉の向こうで、棒を外す音がした。
チャンスだ。
見張り「止まれぐぁ!」
扉の死角に入り、思いっきり扉を蹴り返した。
吉澤「悪いが若造にはまだ負けんよ」
ひるんだ瞬間、吉澤さんは武器を取り上げあっという間に無力化してしまった。
P「悪いが代わりに眠っていてくれ」
新米らしき見張りを気絶させ、仮眠室に拘束しておいた。
吉澤「撃たずとも威嚇にはなるだろう。あと無線も持っていてもいいかもしれない」
P「吉澤さんの分もあとで調達が必要ですね」
吉澤「きっと手に入るよ。さて、このまま行くか、排気口を使うか……」
排気口の方が時間はかかるかもしれないが、安全だ。
このまま行けば危険だが、時間はかからない。
――待て、安藤ならどうする?
排気口を見落とすか?
もしも排気口を進み見つかれば、あっという間に終わる。
P「どのみち危険ですが、このまま行きましょう」
吉澤「分かった」
353:
1F 仮眠室前廊下 22:07
敵は皆銃を持っており、定位置を中心に徘徊している。
だが人数が足りないようで、いずれも単独行動。
しかも連携はとれない距離に配置されている。
だからこそ使えない新人が見張り役に無理やりされていたのかもしれない。
都合のいいように思えるが、裏を返せば危険だ。
本当の戦力は、安藤の近くに集中させているといえる。
また外がうるさいのはおそらく警察やメディアの報道機関だと思われる。
ヘリの音が聞こえるのは、上空からの報道部隊だろう。
まさか自衛隊が出動するとは思えない。
P「吉澤さん、俺が注意をひきつけます。後から出てきて気絶させてください」
吉澤「……ふふ」
P「吉澤さん?」
吉澤「殺せと言わないのが、実に君らしいと思ってね。さあ行こう、まずは会議室まで」
354:
B「……誰だ」
P「俺だよ」
B「拳銃一丁で勝てると?」
P「負けはしない、俺を殺せないからな」
敵は明らかに嫌な顔をする。
P「安藤の指示で、殺せないハズだ」
B「……だが傷つける程度なら許可は出ている」
言い終わると同時に、サイレンサー付きのベレッタを撃ってくる。
B「……なんで避けれるんだ」
しかし当たることはなく、あっという間に距離をつめて銃口を額に当てる。
P「別に見てから避けてるわけじゃない」
吉澤「ごめんよ」
スタンガンが敵の背中を直撃する。
B「……化け物め」
ゆっくりと敵は倒れた。
これで二人分の無線は確保した。
355:
1F 会議室 22:16
C「うわぁ!」
D「話せば分かるって、だからやめろぉぉ!」
吉澤「やはり精鋭部隊は安藤の周りを固めているのか」
P「スタンガンの出力を上げすぎてないか?」
まさかそんなハズないだろうと乾いた笑い声をだす。
死なない程度に押さえてくれればそれでいいけど。
吉澤「ところで、私がトイレに行ったときの話なんだが」
P「トイレ?」
吉澤「ああ2Fの廊下の途中だよ。私の他にも、誰か個室に入っていたような気がするんだ」
P「……敵、でしょうか」
吉澤「分からないが、注意はした方がいい」
P「そうですね、今のところ無線で指示もでていないみたいだし、ゆっくり攻略していきましょう」
2F 障害者用トイレ個室 同時刻
北斗「……翔太、少し詰めてくれ」
翔太「静かに!バレちゃうよ!」
冬馬「なんで男四人で個室に……」
黒井「やっぱり来なきゃ良かった」
356:
1F エントランス受付の机の下 22:19
吉澤「現在地点エントランス、敵は7名、いずれも銃を所持」
P「了解、麻酔銃での狙撃をお願いします」
俺はゆっくりとエントランスに出る。
5人が正面入り口を向いて待機していた。
おそらく警察の突撃を少しでも遅らせるためだろう。
K「っ!動くな!」
一人が気づき、こちらに銃口を向ける。
その声で、残りの6人もこちらに向き直った。
P「なるほど、入り口とボスの二か所はそれなりに考えてるわけか」
L「余計なことは喋るな!」
P「おいおい、俺は死なない技術もあるけど裏返せば死ぬ技術もある」
P「下手に撃とうとすれば死ぬぞ?射殺許可は出てないのに」
I「な、なぜそれを!」
P「へぇそうなんだ。単なるブラフだったんだけどまだ許可は無しか」
K「貴様!「待て」」
柱の死角から、がたいのいい男が出てきた。
手には軽機関銃がある。
357:
P「開発しているという噂は聞いたが、本当に武器作ってたのか」
工藤「そうだ、とてもスリムな形だろう?」
P「物騒だな、ソレもお前も」
工藤「君ほど危ない存在じゃあない」
依然として8つの銃口は俺を見つめたままだ。
P「8人か……まあ普通に処理できる人数だな」
H「なんだと!」
工藤「慌てるな、これがコイツのやり口だよ」
P「そういう工藤さんこそ、幹部のくせに小心者って噂だぜ」
工藤「まったく口がよく回るやつだ」
P「寡黙な人間って近寄り難いでしょ?」
工藤「……お前らは撃たずに援護しろ、死なれちまうからな。俺が気絶に抑える」
目の前の銃口がわずかに上下した。
工藤は右利き、俺から見て右側に体を運べば躱せる。
工藤「チィ!なめるなよ!」
俺は接近から一転、バク転で体重移動を後ろに切り替える。
358:
M「クソっ、遠ざけるだけでいっぱいだ!」
こっちもいつまでも避けられない。
急いで柱の後ろに身を隠す。
周りであちこちが火花を散らせる。
N「ち、くしょ…」
工藤「どうしたどうしたぁ!天下のパーフェクトが逃げの一手か!」
俺は近くの観葉植物を投げる。
瞬く間に鉢が蜂の巣になった。
投げた方向とは逆に飛出し、Mの左足を打ち抜く。
M「ぐあぁぁ!」
工藤「ちょこまかと!」
また別の柱へ身を隠し、呼吸を整える。
P「次は……アレだ!」
俺はモニターを打ち抜く!
液晶画面が割れ、工藤以外の目を引く。
ウッ ウァ
工藤「ミスディレクションにはもう引っかからんぞ!」
P「危ねぇ!」
グフ
弾の出所から俺の場所を推測し、滅茶苦茶に撃ってくる。
359:
机の下へと戻ったが、いくつかすり傷を作ってしまった。
致命傷じゃないだけマシか。
工藤「ククク、追い詰めたぞパーフェクト」
P「……」
工藤「観念してそこから出てこい、殺してやりたいがそこまではしないさ」
I「かはっ、く、工藤さ、ん…」
工藤「流れ弾に当たったか、クズめ」
I「そ、そん、な、ゴフ!」
工藤「フン、間抜けも一人いたが、この状況と人数で勝てるのか?」
工藤が威嚇射撃を一発撃つ。
同じタイミングで、吉澤さんが最後の一人を狙撃した。
P「……降参だ」
両手を挙げ、降伏の意思を示しながらゆっくりと出る。
そして、ゆっくりと入り口側へ歩く。
工藤「ゆっくり歩けば逃げられるとおもってんのか?」
工藤も合わせて、ゆっくりと向きを変える。
工藤の目と銃口は、俺一人にしか向けられていない。
机から目を離したお前に、もう勝機はない。
P「追い詰めた?間抜けが一人?」
工藤の表情が、次第にこわばっていく。
工藤「お、お前ら、なぜ寝ている…」
P「追い詰められた間抜けはテメーだ」
吉澤「おやすみ」ドシュッ
360:
2F シーサイドロビー 22:26
吉澤「君はどうやって弾を避けているんだ?」
P「発射のタイミングを読んで、少し前に射線から外れるだけです」
P「利き手、クセ、銃の反動……なんだか昔に戻ったみたいだ」
吉澤「戻った?」
P「殴られたせいなのか、アイツらのために動いているのか……」
P「どっちかは分かりませんが、訓練されたばかりのように、全てが研ぎ澄まされている感じです」
吉澤「それで眼鏡をつけているのか」
P「鋭敏すぎて、使い物になりませんから。抑制した方がちょうどいいんです」
吉澤「なるほど、ちょっとストップ」
P「ええ、敵がいますね」
カーブを描く廊下のおかげで、ギリギリまでは近づける。
だが、逃げ場も少ない危険地帯だ。
吉澤「さっきみたいな無茶な真似は、できるだけしないでくれ」
P「善処します……ところでどうしてポカリがリュックに?」
吉澤「ライブ前に買った物だが」
P「あのですね、水以外は持ち込み禁止なんですよ」
吉澤「いやぁすまない。僕はあまり動かないからそんなに飲まなかったけどね」
P「没収します」
吉澤「立派なプロデューサーだね」
361:
P「さてリュックの中を見回したけど、スタンガンぐらいしか使えないかな」
吉澤「麻酔銃も切れてしまったからねぇ…年を取るとどうも射撃が苦手になる」
P「向こうは全員銃を持ってる。かなり不利だな……はっ!」
吉澤「……!一旦こっちに!」
急いで俺たちは引き返す。
偶然なのか、敵の一人がこちらへ歩いてきた。
P「気づかれてはいないが…どうすれば」
いっそこのまま突撃をかけた方がいいのか。
しかし、敵には見覚えがあった。
安藤の参謀役、松下。
カリスマ性はないが、戦える頭脳派といった感じだ。
そしてなにより鼻がつまっているため話し方がキモい。
吉澤「もう少し戻ろう、確かトイレがあったハズ」
P「……トイレにいる奴が敵なら無力化しておかないと、挟み打ちになりますね」
もし誰もいなければ、作戦を考える場所にしよう。
362:
P「……」
吉澤「……」
障害者用トイレから、なんというか気配を感じた。
鍵までかけて、ここに誰かいますよと主張が激しい。
吉澤「……これで敵がいたら間抜けにもほどがあるねぇ」
冬馬(だ、誰か来ちまったぞオイ!)
翔太(冬馬くんどうにかしてよ!)
冬馬(なんで俺!?)
北斗(リーダーじゃないか)
冬馬(リーダーって死ぬポジション!?)
黒井(骨は拾ってやる。……残ってれば)
冬馬(ふざけんなオッサン!)
吉澤「念のため銃は構えさせてもらうよ」
北斗(じゅう?)
翔太(銃のことかな)
北斗(死ぬときって怖さを通り越して何も考えられないな)
翔太(きっと天国に行けるよボクたち)
冬馬(誰かあぁ、助けてくれえぇー!」
北斗「あ、声に出ちゃった」
363:
2F トイレ 22:33
P「なにやってんだお前ら」
黒井「ノーン!こちらの台詞だ!どういうことだこれは!」
翔太北斗冬馬「「「シー!」」」
黒井「す、すまん」
P「えっと、説明するとだな、ここはテロリストに占拠された」
冬馬「( ゚д゚)」
P「そして俺は元スパイでテロリストの元同僚」
北斗「(;゚д゚)」
P「この方は俺の味方で、普段は芸能記者」
翔太「(;;゚д゚)」
P「生き残りたければ素直に指示に従え。冬馬、ちょっと小型マイクをつけさせてもらう」
黒井「(´;ω;`)」
吉澤「やれやれだねぇ……メイクと演技の稽古の時間だ」
364:
2F シーサイドロビー 22:49
P?「久しぶりだな、松下さん」
松下「おや、やはり出てきましたか」
P?「じゃないと目的地に行けないし」
松下「それで、どうするつもりですか」
P?「見逃してくれたら嬉しいね」
松下「そんなわけないでしょう」パチン
松下が指を鳴らすと、部下たちがぞろぞろと前から集まってくる。
松下「さて、この状況で一斉射撃を行ったらどうなる?」
P?「蜂の巣だ」
松下「ですが射殺許可は無い」
松下「しかし誤射にしましょう、工藤は責任を自らの命で払ったことにしてね」
P?「……残念だが、俺は本当に俺かな?」
松下「気が狂いましたか?」
P?「いーや、いたって正常だ」
365:
前には松下を含め9人の敵。
横には食堂へのスタッフ用の入り口。
松下たちより5メートル前にはトイレ。
そこで松下を指さし、こう言う。
P?「例えばお前らの後ろにいるのは誰だ?」
松下「誰か確認しなさい」
後ろを振り返った部下が慌てて叫ぶ。
E「ま、松下さん!後ろにも奴がいます!」
松下「……ほぉ、影武者ですか」
P?「そうだ、どちらが本物か分かるか?」
松下「分かりません」
松下「が、二人とも捕らえましょうか」パチン
指を鳴らすと同時に、5人が前へ、4人が後ろに走り出す。
そこで横の扉をくぐる。
P「5人は任せたぜ、冬馬」
366:
P(冬馬)「ダアアアァァァ!」
翔太「こっちこっち!」
北斗「階段だ冬馬!」
冬馬「分かってらぁー!」
松下「どうやらニセモノですね、無暗に撃たないように」
P「走りながらじゃショットガンは狙えねぇだろ!」
とは言え殺傷能力はかなり抑えた弾薬を使っているようだ。
当たれば死にはしないが激痛だ、すぐに捕まる。
P「カーブ構造にこんなに感謝する日がとはな」
E「クソ!こっちが本物か!?」
F「どっちでもいい!」
G「このままじゃいつまでもグルグル回るだけだぞ!」
Q「口より足動かせ!」
回るのは1周で充分だ。
367:
R「どこに行った!」
S「警戒を高めろ!」
V「……非常口が開いてる」
T「報告しますか?」
松下「待ちなさい、報告したら殺せないでしょう」
?非常階段 踊り場?
吉澤「よくやった」
黒井「ケガはないか?」
冬馬「ぜぇっぜぇっ…二度とこんなにくは走れねぇ…」
翔太「それで、このあとは?」
吉澤「まずは彼が来るまで待機だ」
北斗「その間に襲われるのでは?」
吉澤「こちらにも銃はある」
冬馬「なっ!変装道具にピストルって……」
黒井「見るな、見てはならないものだ」
368:
P「よし、着いてきてるな」
後は俺も食堂に飛び込むだけだ。
だが、このまま終わるわけがない。
そう、一人ぐらいは逆回りしてるかもしれない。
G「行き止まりだ!」
こんな具合にね。
P「どけよ雑魚がぁ!」
G「くっ!止まれぇ!」
目の前の男が引き金を引く。
死ぬ間際には映像がスローに見えるというが、まさにスローに見える。
危険を察知し、記憶の密度が高くなるからだという。
そしてそれは、引き金を引く方も同じだ。
違うのは、そこで次の行動に移れたかどうかだ。
俺はほぼスピードを落とさず、スライディングで股を通り抜ける。
男は反動で次の行動には移れなかったようだ。
G「コイツ……!」
後転倒立から両足を首に絡め、そのまま気絶させる。
首4の字固めに近い感じだが、上手く決まって良かった。
369:
その後3人がついてきていることを確認し、食堂へ入る。
松下たちの姿は見えない。
P「上手く階段へと誘い込めたか…」
俺は開いている非常口へと目をやる。
罠が仕掛けられている可能性もあるが、こんなに狭い場所では爆弾も設置できない。
なぜなら自分たちが巻き込まれるからだ。
P「……やっと三人が来たな」
隠れるところはいくらでもある。
Q「奴はどこだ!」
E「非常口が開いてる……」
F「気をつけろ、常に構えておけ」
案の定、俺には気づかなかったようだ。
じゃあ、ひとつやりますか――。
松下「もしかして吉澤かな?」
吉澤「やあ松下くん、できればその銃を下ろしてくれ」
松下「嫌ですね。あなたこそ下ろしてください」
吉澤「そしたらあっという間に階段を下りて撃ち殺すんだろう?」
松下「ええ、当たり前でしょう?あなたのことを報告したら」
松下「殺せ、と」
370:
ステージ 同時刻
安藤「……こちら、ステージ、なんだ」
安藤「……そうか、死にぞこないめ」
安藤「殺せ」
安藤「……ん?そんなに怖がることはないじゃないか」
高木「っ、頼む、誰ひとりとして危害は加えないでくれ」
安藤「ああ、下手な真似をしなけりゃ危害は加えない」
安藤「我々はこの腐った世界を変えるだけだ」
高木「ば、バカなことをするんじゃない」
安藤「ムダな言動は慎め」
高木「ヒッ……わ、わかった……」
安藤「それでいい。死に急ぐことはない」
371:
2F 非常階段 踊り場 22:54
F「松下さん!」
E「奴はどこに?」
Q「気をつけろ……どこかに潜んでいるかもしれん」
どうやら8人が踊り場に集合したか。
P「まんまと挟み撃ち成功ってことだな」
俺は踊り場に近づき、拳銃を構える。
松下「ククク、かーっかっか!」
しかし松下は臆することなく笑う。
松下「あのですね、私がこうなることを想像できないとでも?」
北斗(これってなんだかやばそうじゃないですか?)
吉澤「……なんだか余裕そうだねぇ」
松下「階段なら廊下よりも狭い、数を活かせないのはすぐに分かる」
松下「だからわざと挟まれたんですよ」
372:
P「どういうことだ」
松下「これですよ」
試験管を2本取り出し、ニヤリと笑う。
松下「これを混ぜれば爆破する。だが、指向性なんだよね」
翔太(指向性?)
黒井(……指向性マイクとかの指向性か?)
松下「分かるな?我々を中心に周りだけが吹っ飛ぶということだ」
松下「挟み撃ち……いい作戦だがあなたの負けだ、パーフェクト」パチン
冬馬(これってヤベーぞ!)
P「……吉澤さん、銃を下ろそう」
P「俺も下ろす」
373:
吉澤(みんな、耳を塞ぎなさい)
松下「かーかっか!懸命な判断ですよ」
P「……なあ、死ぬかもしれねえから一つ言わせてくれ」
松下「なんですか?」
P「アンタのその喋り方さあ、キモいんだわ」
P「常に点鼻薬を持つことを、おすすめするよ」パチン
次の瞬間、バチバチと大きな音を立てて松下は崩れた。
もちろん他の敵もである。
黒井「……何が起きたんだ」
冬馬「お、終わったのか?」
吉澤「もういいよ、我々の勝利だ」
P「うまくいって良かったな」
翔太「どういうこと?」
P「おっと、濡れてるところは踏まないように」
北斗「濡れてる?……なんですかこの匂い。どこかで嗅いだような」
P「これだよ」
374:
俺は先ほど没収したポカリの空の容器を見せる。
P「気づかれないように、奴らの足元に流しておいた」
吉澤「指で合図が鳴ったから、スタンガンで一気に感電させたんだ」
P「アイツは鼻が詰まってるから気づかなかったみたいだな」
北斗「というか死ぬかもしれない状況でこんな微かな匂いに気付けませんよ」
P「俺なら普通にわかるけど?」
翔太「765のお兄さん凄すぎ……」
P「ここはさすがに見回ってないみたいだな。ここを降りていけば出られる」
黒井「本当か!?」
P「俺はみんなを助けるから残るけどな」
冬馬「……俺も残る」
翔太「ええ!?」
北斗「冬馬!?」
冬馬「アンタにだけカッコつけさせたくねぇ。それに、俺だって協力できるだろ!」
375:
P「あのなぁ、運が良かっただけかもしれないぞ」
冬馬「それでもだ!今日のライブで、やっぱりアイツらには負けられねぇって思った」
P「だから頼むってか?危ねえんだぞ」
黒井「……貴様がいるからこそ安全だろう」
P「正気か?」
黒井「万が一ここを降りた先で撃たれたらどうする」
P「……分かった、前にもそんなこと言われたな」
P「あの時は伊織だったっけ」
吉澤「はははっ、それじゃあとは3階に行くだけだ」
翔太「それが一番危ないんじゃ……」
北斗「でも、ここにいつまでもいたら不安が増すばかりだ」
P「はいはい、それじゃ作戦を立てよっうぐ」フラリ
冬馬「おいアンタっ!やっぱりどこか撃たれて」
P「違うよ、耳が良すぎるんで至近距離での発砲が耳に響くだけだ」
北斗「完璧の代償ですか」
P「痛みを鈍化させても、すぐに治癒させるなんてできない。完璧な人間なんかいないんだよ……」
376:
ステージ 23:07
春香「あ、あの……」
A「黙れ」
春香「は、はい…」
安藤「こらこら、怖がらせるんじゃない」
安藤「なんだねお嬢さん。言ってみなさい」
春香「…みなさんは何が目的なんですか?」
安藤「革命だよ、腐りきった世界を正す時がきたのさ」
春香「……どうして私たちのライブなんですか」
安藤「別に君たちに恨みがあるわけじゃない」
安藤「だが、君たちの関係者には、ある人物が関わっていてね」
千早「……プロデューサーのことですか」
安藤「ほう、そんな役職だったのか」
安藤「奴は世界にとってもはや脅威だ、危険因子は排除する」
千早「……クッ!」
真「なら、どうして逃げられたんだよ!その前にだってそういうチャンスはあったじゃないか!」
Y「威勢のいい娘ね、でもそれ以上は頭と引き換えよ」チャキ
真「…!」
377:
亜美「うぅ……」
真美「パパ…ママ…」
あずさ「大丈夫、きっと警察が助けに来るわ」
U「警察ぅ?こりゃたまげたぜハッハ!」
O「怪我人の分際で笑ってんじゃねーよ」
U「あぁん!?なんか言ったかコラ!」
樋口「騒ぐなやかましい…転がすぞ」
W「キャー樋口さん怖ーい(棒)」
貴音「革命ですか。あなた方は、歴史に名でも残すつもりですか」
Z「発言するときは手を挙げてって習わなかった?」
X「どっちでもいいじゃん」
安藤「別に英雄になりたいわけじゃないさ」
伊織「じゃあなに?誘拐ってわけ?」
安藤「水瀬財閥にも興味はない。まあ国民の金が不平等なのはお前のせいかもな」チャキ
律子「やめて!」
378:
安藤「撃たない撃たない、むやみに命を奪いたくはないからね」
美希「こ、こわい…助けてハニー…」
やよい「げ、元気でいなきゃ…」ブルブル
雪歩「ふぇぇ、怖いですぅ…」プルプル
安藤「もう少しすりゃあ我々の要求を全世界に届けられる。それまでの辛抱だ」
小鳥「こ、こんなことがいつまでも続くもんですか!」
安藤「……なに?」
響「そ、そうだぞ!プロデューサーがお前らなんかすぐにやっつけるさー!」
安藤「……くく、そうだな。奴はまだ生きている」
安藤「だが、我々の元へ必ず帰る。奴の居場所は我々しかないのだから」
安藤「そもそも彼の何を知っている?」
安藤「世界をひっくり返す情報を、君たちは知らない」
安藤「それが奴を活かす理由さ。情報さえ手に入ればどうだっていい」
379:
安藤「世界各地で紛争が絶えないのも」
安藤「無数に宗教が派生したのも」
安藤「すべて奴は知っている」
安藤「だが奴はエリートだ、情報漏れが無いようにある工夫をしている」
安藤「奴以外は認証しないコンピューターがある」
安藤「奴のアクセスが1年間無ければ、自動的に消滅だ」
安藤「死後の処理まで想定しているとはな……。だが奴は死ねない」
安藤「死ねばここにいる人質全員が道連れだと、ちゃんと理解しているようだ」
高木「……全ての情報を公開すれば、平和になるとでもいうのか」
Z「手ェ挙げて言えってば」
X「律儀なやつ」
安藤「全てではないが、可能な限り公開はしよう」
安藤「どのみち革命後には一般人には扱えねぇだろうがな」
安藤「むしろ知ってしまうことで、立ち直れなくなるかもしれないが…」
380:
江角「安藤、客は全員3Fに集めたぞ」
安藤「ご苦労、少し狭いが管理はしやすくなった」
A「安藤さん、無線がほとんど応答しません」
安藤「放っておけ、革命についてこれないクズどもだ」
A「イエッサー!」
安藤「……さて、もうそろそろか?」
1B 搬入口 23:09
P「いいな、これが最後だ」
冬馬「本当にいいのか?」
翔太「なんか、緊張してきたかも」
北斗「普通のUSBが、こんなにも重く感じるなんて……」
黒井「さあ、我々はさっさと6階の客席まで行くぞ」
吉澤「くれぐれも気をつけるように」
P「……それじゃ、俺の合図でやれ」
P「合図は『取れるもんなら取ってみろ』」
381:
1F 動力室 23:14
北斗「……あの、いいですか?」
吉澤「なんだね?」
北斗「この袋に入った粉はなんですか?」
吉澤「仮眠室にあったマイスリーという睡眠薬だよ」
翔太「睡眠薬?強力なの?」
吉澤「まあまあかな。他にも色々あったが、副作用がなるべく少ないものを選んだ」
翔太「ふーん。ねえねえ、僕も質問いい?」
吉澤「どうぞ」
翔太「最後の作戦なんだけどさ、どこまで信用できるの?」
黒井「確かに。すべて”ハズだ”をつけて話していたな」
冬馬「それに肝心の最後は任せろとしか言わなかったぜ?」
吉澤「あぁ、まぁ…すべて推測は当たるだろうね。しかし最後は私もどうするのか…」
黒井「なんでもいい。空調の電力はどれだ」
吉澤「えーっと…これだね。予備電源はこっちか。じゃあオフにしたし6階に行こう」
冬馬「推測外したら一生呪ってやる」
北斗「外れたら死ぬから呪えないよ」
冬馬「……死んでもあの世で呪い続けてやる」
382:
業務用エレベーター 23:22
俺が安藤ならどうするか。
まず部隊の人数は少ない。
精鋭部隊の数は6、7人くらい。
幹部が3人はいるかもしれない。
その人数で制圧するには、5000人近くの人質を一か所に集めるだろう。
ステージも使えば狭いが無理ではない。
そしてパーフェクトをおびきよせ、情報を聞き出す。
パーフェクトには吉澤という負傷者がいる。
つまり安藤一人でパーフェクトを対処し、他は吉澤を。
ホールの入り口は3か所。扉に向けて狙撃体制を取る。
それでも残りの人間で人質は抑えられる。
そしてパーフェクトと対峙したとき、最悪の場合は撃ち合いだ。
こちらには残り6発のリボルバーが一丁。
不利もここまで不利だと笑える。
……そういえば、亜美真美とクロックタワーやったときを思い出すな。
確かエレベーターでシザーマンに殺されたっけ。
流石に今は打ち殺せるから別にってそもそもいるわけねーよな。
383:
6F 観客席 扉前 23:25
吉澤「いやぁ遅れてすまない」
冬馬「何してたんだ?」
吉澤「扉に罠を仕掛けてきた」
北斗「あぁ…彼が言ってましたっけ」
翔太「大丈夫なの?」
吉澤「それはお楽しみだよ。じゃあ僕はここまでだ」
黒井「我々だけで行くのか!?」
吉澤「大丈夫、推測は当たるよ」
黒井「それなら貴様はどこに行く」
吉澤「僕は警察を非常口から呼んでくる。適度に負傷してるし逃げてきたように見えるだろ?」
吉澤「大丈夫、空調操作は怠らないから」
冬馬「……分かった。行くと言ったのは俺だ、覚悟を決める」
翔太「冬馬くん…分かった。ここまで来たら引き返せないもんね」
北斗「そろそろ時間です」
黒井「ウィ、気づかれないようにそっと扉を開けろ」
384:
3F ステージ裏 23:30
……暑い。どうやら作戦は進行中らしい。
吉澤【……チャンネル4-2、聞こえ…か…】
そこで吉澤さんから無線が届いた。
安藤たちとは別のチャンネルを使うように改造した。
だがもともと制度が悪いのか、改造がダメだったのか……かなり聞き取り難い。
P「聞こえた、どうぞ」
吉澤【無事に……らは着いた…ぬなよ…】
ジュピターたちは無事に配置についたようだ。
最後の出番か。
P『だから12月に入った時点で、こちらから仕掛ける。先手必勝だ』
吉澤『勝ち目は、あるのか?』
P『……今は、それ以外じゃ勝てない』
無線のスイッチを切り、おもむろにつぶやく。
P「死ぬなよ、か……」
385:
ステージ 23:55
U「クソ……血が少し足りねぇ」
Y「そういえば刺されたんだっけ」
U「あぁ、なんだか睡魔が襲ってきやがった…血が頭にいってねえな」
O「名誉の負傷だよ」
樋口「足手まといになるくらいなら寝てろ……じゃなきゃ転がすぞ」
W「樋口さんマジ怖ーい(棒)」
X「俺も眠い…ふわぁ」
江角「いつものことだろ」
A「……暑くないですか?」
Z「発言するときは手ェ挙げろっての」チャキ
安藤「銃を下ろしてやれ、まったく……暇だな」
X「逃げたんじゃない?それか死んだんだよ……ふわぁ」
安藤「オイお前ら、奴が来るまで何か一曲歌え」
386:
小鳥「な、なに言ってるんですか……」
安藤「歌って踊るのが仕事だろー?」
律子「っ!……なんて、人なの」
安藤「もう少ししたら警察が要求を聞いてくるだろう」
安藤「その時に世界の真の姿を教えるのさ」
安藤「全てではないがな」
千早「……『約束』でいいですか」
美希「千早さん!」
真「な、何考えてるんだよ!」
江角「安藤、お前頭大丈夫か?」
安藤「大丈夫なわけないだろう」
安藤「俺はどうしようもないバカだ」
安藤「だがいつだってそういう奴が時代を動かしてきた」
響「! それ、プロデューサーの台詞!」
安藤「で、歌うの?歌わないの?」
387:
あずさ「……歌いましょう」
亜美真美「「あずさお姉ちゃん!?」」
貴音「……わたくしたちは、不安になっているふぁんの皆に歌うのです」
伊織「アンタたち、正気!?」
雪歩「うぅ、わ、私足がすくんじゃって立てませぇん……」
やよい「怖いです……」グス
千早「私も、怖いわ。でも、不思議と緊張はしない」
千早「歌っていた方が、まだ気は紛れる」
千早「だからみんなお願い、一人じゃ怖くて……」
春香「千早、ちゃん……」
O「アイドルの生歌かー」
Z「手を挙げて歌うのか?」
樋口「挙げなくていい……転がすぞ」
W「もう逆に怖くなーい(棒)」
春香「……そうだね、私も緊張はしてない」
小鳥「無理しないでみんな!」
高木(クソ!極度の緊張でみんなが壊れたか…?)
高木「早く…早く来てくれ…」
A「緊張していない……副交感神経……なんだこの違和感」
P「アカペラでやるつもりか?」
アイドル「プロデューサー「さん」!!!!」
388:
11月25日(月) 0:02 会場前
レポーター「――えー犯人グループは未だに立てこもっています」
レポーター「今から約一時間前に銃声が聞こえて以来、現場に変化はありません」
レポーター「…ん?あれ、ちょっとカメラさんあそこを!」
レポーター「男性です!男性が非常階段を降りてきました!」
レポーター「どうやら怪我をしてるしているようですが…今、警察に保護されたようです」
吉澤「ふぅ、いやぁ疲れた」
刑事「すみません、あなた今、中から出てきましたよね」
部下「お話をお聞かせ願います。中の様子は?おい誰か、手当てを頼む!」
吉澤「まあまあ慌てなさんな。先に警視総監へ連絡しなさい」
刑事「警視総監?失礼ですがあなたのご関係は?」
吉澤「そうだねえ…『JEIO』で確認を取ってくれ」
刑事「は、はい…」
吉澤(日本特殊諜報機関JEIO。さすがに話が通じるだろう)
刑事「分かりました。警視総監から変わってくれと」
吉澤「ありがとう、手当てはいいから少し席を外してくれ」
刑事「了解しました」
389:
ステージ 0:04
安藤「会いたかったよ」
P「会いたくなかったぜ」
安藤「よく来たと言いたいが、むしろ来れなければこちらが困っていたよ」
P「来なきゃ紅い部屋になってただろうからな」
安藤「ククク……ヒーローは遅れてやってくるというが」
P「遅すぎたってか?俺はヒーローなんかに憧れてない」
安藤「まぁ、いい……チャンスをやろう」
安藤「今なら戻っても罰は与えない」
P「……いくつか知りたいことがある」
安藤「世界にお前の存在をバラしたのは俺だ」
P「なぜ?」
安藤「お前はあまりに脅威的だ」
安藤「優秀ゆえに、危ない」
P「俺が戻ってもその事実は変わらない。戻るメリットは?」
安藤「充分にあるさ」
390:
安藤「なぁパーフェクト、この世界は腐ってると思わないか?」
P「腐りきってるな」
安藤「俺は世界を変えたいんだ」
安藤「平等を掲げつつ何も平等じゃない」
安藤「異性は見た目じゃないと言いつつ最低限のラインを引く」
安藤「生まれつきの運動神経だけでイジメは発生する」
安藤「そしてイジメは命まで奪う」
安藤「勉学に励めば逆転できると思うが」
安藤「落ちこぼれが妬み、負の感情は負の感情を生み出す」
P「……それが現実だな」
安藤「だからこそ、すべてを一度無に返し再生する」
P「誰が導くつもりだ」
安藤「もちろんパーフェクトだ」
P「それが利点か」
391:
安藤「どうだ、戻ってこないか?」
P「……」
世界の脅威。
なんだかいい気はしないな。
俺を武器として見るなら、俺を手に入れた奴は世界を手に入れることになる。
いわば最強の武器、グングニルの槍。
その槍が直接世界の頂点に立つ。
そりゃあ誰も逆らえない。
P「確認させてくれ」
P「断ったらどうなる」
安藤「断れないさ」
P「……いったい何の罠を仕掛けている」
安藤「そういうわけじゃないが、お前をしばらくは生かすよ」
P「何が狙いだ」
安藤「分かってるだろう?」
P「……なるほど、俺の持つ情報か」
392:
安藤「そうだ、お前以外にアクセスできないコンピューターがあるだろ」
P「頑張ってハッキングしろ」
安藤「それができないから言ってるんだ」
P「ふーん…」
安藤「分かるか?お前の持つ力は強すぎるんだ」
安藤「一人じゃ管理もたいへんだろう」
P「俺はアンタの教育のおかげで、あいにくだが革命なんか興味はない」
P「アンタの教育のおかげで、表情も感情も捨てた」
P「アンタの教育のおかげで、銃火器の扱い方も覚えた」
P「アンタの教育のおかげで、テロリストの制圧のしかたを覚えた」
P「アンタの教育のおかげで」
P「俺はアンタからパーフェクトの名を継いだ」
P「今日の推測も行動も、ここに来るまでの動きも」
P「俺かアンタかの違いでしかない」
P「全く同じ考えを持つ人間が二人いた……簡単な理論だが恐ろしいよな」
393:
6F 0:11
冬馬(推測は外れない…)
翔太(そういう意味だったんだ…)
北斗(なんだかとんでもないことになってますね…)
黒井(……つまり、ここにくるのは必然だった)
黒井(罠と分かってそれでも進んだのか…バカな男だ)
3F 同時刻
安藤「ククク……そうだな」
安藤「パーフェクトってのは初代からずっとそうだ」
安藤「姿が違うだけで、ただのコピーさ」
安藤「俺はそこも気に入らない」
安藤「気に入らなかった……なぜ俺だけ個性を消さなきゃならないのかと」
安藤「ところがお前を教育して気づいたよ」
安藤「みんないっしょにすればいいやって」
P「あんなツラい訓練、耐えれない奴はどうなる」
安藤「そんなのは革命後の世界にはいらない」
P「……どうして変わった。昔はそんな野望も捨てていただろう」
安藤「全て捨てた私が、密かに捨てきれなかったものだ」
P「……はぁ」
394:
P「先に言おう。俺は導き手になんかならない」
P「俺は自由が欲しい、お前の元には戻らない」
P「そして革命後の世界には、自由はない」
P「全て平等なら、悲しみも楽しみもない」
P「俺はこの世界が大っ嫌いだ」
P「任務に就くたびに、醜さを知ってしまう」
P「本当にバカだ。人類はどうしようもなくバカだ」
安藤「そうだろう?なのになぜ戻らない。自由がないからというだけか?」
P「……救いようのないバカなこの世界」
P「だがいつだって、そんなバカが時代を動かしてきた」
P「俺はこの大っ嫌いな世界が大好きで大っ嫌いだ!」
安藤「ククク……お前もパーフェクトの器じゃなかったのか」
安藤「いいだろう。大人しく情報を渡して死ね」
P「どうしても欲しいか」
俺はゆっくりと安藤にから遠のく。
誰も背後にいないように移動する。
安藤「よこせ、いまや貴様には過ぎた玩具だ」
横目で部下を見る。わずかに目の瞳孔が小さくなっている。
暗い所では普通大きくなるのに。
準備は整った。
P「欲しけりゃくれてやる。ただし」
P「取れるもんなら取ってみろ」
395:
合図と同時に、6階から4つのUSBが宙を舞う。
江角「! 回収しろ!」
江角の一言で一斉に動き出す。
俺はすぐにに拳銃を構える。
まずは左手にいる男の右手を狙い撃つ。
A「ぐあぁ!」
派手に倒れ、見覚えのある女がこちらを見た。
右手を同じく狙い撃つ。
Y「っだあ!」
そこで何人かの銃弾が飛んでくる。
横っ飛びでステージから降り、体制を直しながらもうひとりの女を狙う。
左利きらしかったので当然左手を狙う。
W「あーあ、やられたー(棒)」
樋口「調子に乗るな!転がされてーのか!」
樋口は確か右利きだった。
そしてリボルバーの名手でもある。
P「フン……おっと手元が」
樋口「甘いぜ!転がしたる!」
396:
樋口はステージに上り、上から射撃してきた。
俺が撃った弾は、いつもよりも大きな音を立てながら飛ぶ。
だが無情にも外れ、セット一部を破壊する。
樋口がハンマーを引く隙に、視界に映った男が狙っていた。
容赦なく右手を打ち抜く。
O「あ痛!やり、返された…」
そして俺は動きを止める。
樋口はステージ上から俺を見下しながら言う。
樋口「よくやったよお前。だがこの距離じゃ俺は外さねぇ」
江角「気をつけろ、そいつは射線を見極めてかわすぞ」
樋口「ほう…なら俺の弾を避けた時にお前が撃て」
ギシ
江角「手柄は私のものか?」
ギシ…ギギ
樋口「追い詰めた俺の手柄だ。舐めてると転がすぞコラ」
江角「分かりましたよ……なんだこの音」
ステージのはるか上で、バキっとセットの柱の一部が崩れた。
それらは樋口と江角目がけて降ってくる。
樋口「チィ!邪魔だ!」ドン
江角「何をすっうわぁ!」
樋口は江角を突き飛ばし、降ってくる大きな欠片に発砲。
体制を崩しながらも、直撃はまぬがれたようだ。
江角は頭に受け、気絶してしまった。
立ち上がろうとする樋口の右手を狙い撃つ。
だが激しく動くせいで、リボルバーだけを弾き飛ばす。
そのまま抵抗できないよう、顔めがけて拳銃を構える。
樋口「ハァハァ……始めから狙いはコレか」
P「ああ、射撃訓練はアンタにしてもらったからな」
P「戦イ方其ノ四、地形ヲ利用セヨ……そう言ってたよな」
樋口「ハァ、ハァ…転がせ」
P「そうしたいが扉の近くから三人、安藤がステージから狙っていてね」
安藤「面白い、戦闘力だけを奪っていくとは……五年前のマリツール紛争の戦い方にそっくりだ」
397:
U「たまげたね、樋口さんと同等かそれ以上の腕前だァ」
X「でももう詰みっしょー…ふわぁ」
Z「てめぇ江角さんに手ぇ出したな!ぶっ殺す!」
安藤「さて、これで終わりかな?」
P「……かもな」
実はもう弾は残ってない。
安藤なら、きっとそれもバレている。
それでも言わないのは、俺から情報を抜き出せていないからだ。
安藤「後ろの三人、落ちたUSBを回収しなさい」
P「――いいのかな?扉を離れて」
安藤「……なんだ?」
P「これを見越して、扉の外側に爆弾をしかけた」
P「警察のスピード違反を検知する機械を応用した」
P「扉の向こうの人間がある一定の距離を離れると、音波が距離を探知して起爆する」
P「松下が昔、俺に熱心に教育してくれたよ」
398:
6F 0:18
翔太(警察のあの機械ってそんな危ないの!?)
冬馬(あのジジイ、なんてもんつくってやがる!)
北斗(……ブラフ?どっちにしろ爆発したら巻き込まれて終わり?)
黒井(そもそもその機械を手に入れてないだろう…ブラフか…)
  会場前 同時刻
レポーター「えーたった今この会場内で銃声が聞こえました!」
レポーター「事態を重く見た警察は、SATを非常口に配置させました」
レポーター「そのため我々取材班はえー少し離れたところに、えー避難するようにと」
レポーター「警察の方から指示がありました」
レポーター「はたして人質は無事なのでしょうか?えーー、一旦スタジオに……たった今情報が入りました!」
レポーター「どうやらSATの配置が完了したようです!えー今度こそスタジオにお返しします」
  非常口前 同時刻
吉澤「私の指示で突撃してくれ」
吉澤「テロリストは皆、黒い服で背中に白い八咫烏のマークがついている」
吉澤「人数は10人近くいる、いずれも軍人だと思って対応しなさい」
吉澤「私も着替えたら配置につく、心してかかれ」
SAT「「「「了解!」」」」
403:
3F 同時刻
P「さぁ、どうする」
安藤「……いいだろう、そっちの方が面白そうだ」
P「安藤、お前は必ず確認させる」
P「だから俺はあえて教える」
P「教えなきゃ、ここにいるみんなが吹っ飛ぶからだ……まぁ、どうしようもなかったら」
P「それもいいかもな」
安藤「……その表情を教えたのは俺だが、今は腹が立つばかりだ」
安藤「後ろの三人、扉を一斉に開けて爆弾を確認せよ」
先ほどの三人が、お互いに顔を合わせて頷く。
そして三人が取っ手に触れる瞬間
安藤「どのみち着いて来れん」
そう呟いた。
三人は触れるとどうじに苦痛な表情で悲鳴を上げ倒れる。
安藤「爆弾というのは見え透いたブラフだ」
安藤「だがアイツらは革命後の世界についてこれない」
安藤「そうなる前に前もってドロップアウトさせた」
安藤「優しいだろう?」
P「……俺が言うのも変だが、お前は狂ってる」
安藤「狂ってなきゃ、世界は変えられないんだよ」
404:
安藤「…感電?スタンガンでも取り付けてあったのか?」
P「ご名答、予備も合わせて3か所だ」
安藤「予備…」
P「なかなか回路を組む材料が足りなくてね」
P「いくつか蛍光灯を破壊して手に入れたよ」
安藤「…はっはーん、吉澤か…なるほど、計算外だった」
安藤「てっきり吉澤ぐらいは殺したと思っていたよ」
安藤「ということは今頃SATが来ているハズだ」
安藤「ふむ……まいったな」
A「ハァ…ハァ…ハァ…安藤、さん…ハァ、ゆ、USBを回収しました」
安藤「……ご苦労、死ね」
A「え?」
パン
サイレンサー付きの銃は乾いた音を鳴らし、あっけなく命を奪った。
405:
雪歩「ひぅ!……ぅーん」パタ
真「雪歩!?しっかりして雪歩!」
貴音「落ち着くのです、音に驚いて気絶しただけですから」
O「あ、あれ?」
Y「な、なにしたって言うのよ」
安藤「実はパーフェクトにはスタンガンをあまり持たせるように言ってない」
安藤「なぜならスタンガンは言うほど強力じゃあないし、どちらかと言えばけん制用に持つからだ」
安藤「つまりは仲間がいる、この計画は失敗だ」
安藤「そこで、プランKに変更する」
樋口「な、なんだそれ聞いてね」
パン
またもや簡単に命は消える。
今度は樋口だ。
樋口「かは…っ!」
安藤「プランKはKILLのKさ」
P「……みんな、目をつぶっていなさい。絶対に見ちゃダメだ」
春香「は、はい!」
406:
安藤「まったく…おかげで部下をみんな撃つことになるとはね」
安藤「もう組織は終わりかな」
P「もう俺とお前、吉澤さんしかいない」
安藤「吉澤ねぇ……最も長いつきあいだったが、裏切るとは」
P「先に裏切って殺しにかかったのはお前だ」
安藤「ああそんなこともあったな」
P「……指導者になるか、死ぬか」
P「俺の道は二つだけか」
安藤「その必要はない、お前は死んでもらう」
安藤「USBは集まった。捕まってしばらくしたら、それこそ俺の時代が来る」
安藤「この”情報”を守るなら、檻の中が安全だろう」
P「……ふふ」
安藤「何がおかしい」
P「残念だがそいつはニセモノだ。安売りで買った」
安藤「ほう…つまりニセモノを巡って俺は自ら組織を壊したと」
P「そういうことだ。独裁者のなれの果てだよ」
407:
安藤「はぁ…やられたよ、まんまとやられた」
安藤「ククク…だがまだやることはある」
安藤「お前を殺さなきゃ」
P「なぁ、どうして俺を世界にバラした」
P「いままで通り秘密で良かったじゃないか」
P「どうしてだ?何のメリットがある?」
安藤「メリットなど無い、お前は力がありすぎるんだ」
P「……醜いぜ、あまりにも醜い」
安藤「そうさ、この際だからハッキリ言おう」
安藤「お前が羨ましい…お前が憎い」
安藤「勘違いするな、根幹の行動原理は正義感だ」
安藤「格差と怨恨に満ち溢れたこの世界を、平等にしたいだけなんだ」
安藤「同じパーフェクトなら、やはり平等にあるべきだ」
P「狂ってるなんてレベルじゃねーな」
408:
安藤「しかしまぁいい教訓にはなった」
安藤「負うた子に浅瀬を教えられるとはこのことか」
安藤「そしてこれからは少しも油断はしないようにする」
安藤「俺はお前を殺したい、お前は俺を止めたい」
安藤「分かりやすい構図だな」
安藤「違うのはただ一つ、お互いの実力は同じ、互いの考えも同じ」
安藤「このこう着状態を先にくずした方が勝ちってことだ」
P「SATがそろそろ来るだろう」
P「こう着状態に時間制限がある以上、俺の絶対的有利にはかわりない」
安藤「その時は私は自殺する」
安藤「ちょうど弾もあと2発あるしな」
P「丁度?」
安藤「お前を殺して俺も死ぬ」
安藤「どうせ俺はもう死ぬ運命だ」
安藤「クク、こんなセリフは小説の世界だけかと思っていたよ」
P「……以前の俺なら、死ねと命令されたら死んでいた」
P「今だけは、どんな手を使ってでも生きたい」
409:
ステージに上がり、安藤との距離を詰める。
その距離は腕を伸ばせば届くほどだ。
安藤「アイドル14人と社長、そして銃を持った戸籍の無い男が二人」
安藤「この舞台は喜劇か?それとも悲劇か?」
P「吟遊詩人気取りか?」
安藤「辞世の句の延長線上にあるものだと思え」
P「じゃあ戦国武将は皆ナルシストか」
安藤「カリスマ性があるなら、自分にも惚れると思うが、ね!」
互いに拳銃を相手の額に構えて対峙する。
春香「プ、プロデューサーさん!」
俺は目を安藤からは離さずに、静かに怒る。
P「目をつぶれと言ったろ…春香だけじゃなく、みんなだ」
安藤「少しでも隙を見せたら撃つつもりだが、そんなことはないか」
410:
P「口を動かすより頭を動かせ。じゃなきゃ」
安藤「今考えたことは――」
P安藤「「お前の銃がなくなっても気づかないぞ」」
言い終わると同時に俺は動く。
左掌底で銃口を上へと向けさせる。
もちろん安藤も同じ行動だ。
俺の右手も上を向く。
そこで俺は、右手の銃を捨てる。
どうせ弾は入ってない、持ってても意味がない。。
それよりも両手が開いている方が都合がいい。
左手で銃身を掴み、右手で手首を掴む。
そのまま本当は肘を曲げさせるのだが、そこは安藤。
安藤「下ががら空きだ!」
腹に激痛が走る。
大きくあとずさりしてしまった。
安藤「流石だ、それでも俺の銃を奪うとは」
そう、俺は奪った。
あとは撃つだけ。
411:
しかし、俺は撃てない。
俺が構える前に安藤が構えていたからである。
安藤「発想は悪くない。だがその先は考えなかったのか?」
P「俺が捨てた銃…」
頭に浮かんでいなかったわけではない。
安藤が部下を撃つとき、弾を6発入れ直した。
そしてあと2発あると言った。
つまり、2発は装填しているが、まだ予備の弾丸を持っている。
……かもしれない。
それでも勝つには、賭けに勝たなきゃならない。
安藤「お前は悩んでいる、俺が予備の弾を入れたかどうか」
安藤「お前は蹴られていたから、弾を詰めるところを見ていない」
安藤「悩んでるということは、自慢の張力が完璧には使えない」
安藤「耳元で撃たれたか、耳元で松下の爆弾が爆発したか」
安藤「それで正常に機能しないといったところだろう」
P「大正解」
悩んでいる。
仮に装填していると厄介だ。
よく銃を突きつけたまま対峙するなら、先に撃てばいいという奴がいる。
しかし、撃たれた側は反射反応で引き金を引いてしまい、結果相撃ちになってしまう。
そう、悩んでいる。
賭けに勝っていなければの話だが。
412:
P「悪いが一時休戦だ」
俺はステージを駆け抜け、ステージ裏に姿を隠す。
安藤「ほう、精神的に動揺するかと思っていたが……」
安藤は銃をあっという間に分解すると足元にバラバラと落とす。
安藤は銃を撃てなかった。
理由は簡単、俺が撃てなくした。
銃身をわずかに曲げておいた。
俺は怪力というわけじゃないが、てこの原理で一点に力を集中させれば曲げられる。
当然撃てば銃自信が壊れる。
安藤「お前なら、いや俺ならそうすると思ったよ」
しかし俺も撃てない。
安藤の銃は撃てるだろう。
そうでなければ部下を撃てない。
しかし安藤を撃てるかどうかは話が違う。
部下よりも強力な防弾チョッキを着ているかもしれない。
ありとあらゆる可能性を、行動と確定情報、クセ、そして俺ならどうするか――
そうやって可能性を絞っていく。
なにより考えを裏切らなければ勝てない。
出し抜くには……。
414:
安藤「なにを迷っている?やればいいじゃないか」
安藤「さっきみたいに弾丸の火薬量を増やせばいいじゃないか」
P「……そこもバレてるか」
樋口に向けて撃ったあの5発目。
俺は確かに火薬の量を増やして威力を挙げていた。
安藤「音が少し大きかったからね、すぐに分かったよ」
もちろん普通の人間には分かるはずもない。
安藤「つまり、お前には弾頭を外すツールも、少量の火薬もある」
安藤「そしてその判断自体は正解だ」
安藤「威力を挙げないと、防弾チョッキを貫通できない」
安藤「ところが仕方なく樋口相手に使った」
安藤「だからお前は、いや俺でも、いま弾頭を外して火薬を詰める」
安藤「かといって阻止しようとすれば、あっという間に組み立てて撃たれる」
安藤「万事休すというやつだ」
安藤の言うことはすべてが当たっている。
当たり前か、俺でも当てる。
「パーフェクト」が相手という条件なら、全てを。
P「解説役どうも、負ける覚悟はできたか?」
安藤「する必要はない」
415:
安藤「絶対に勝てる方法を知ってるか?」
P「……いつか言ってたっけ」
P安藤「「負けなきゃいい」」
コイツ、この状況でもまだ策があるのか?
……やはり、あれをするつもりか。
確かにあれなら、俺も動揺する。
頼む、それだけはやめてくれ。
安藤「さて、また舞台に役者が揃ったか」
P「……おとなしく両手を上に上げろ」
安藤「はいはい」
P「顔の位置よりも高く上げろ」
安藤「奪う算段も看破してるか」
P「当たり前だ」
安藤はしぶしぶ上げる。
P「ゲームオーバーでいいか?」
安藤「んー……アレをやるしかないか」
417:
安藤「命令だ、銃をよこせ」
P「……嫌だ」
安藤「ではしょうがない」
――やめろ。
安藤「唯一お前が欲しくても手に入らなかった情報」
――言うな。
安藤「お前の両親と出生の秘密は話さないことにしよう」
P「……約束が違う」
安藤「なんのことだ?」
P「俺が組織と世界の平和を守ったら、いつかは教えると言った」
P「いつとは明言していない……だが言わないのは約束が違う!」
安藤「だからなんだ?」
P「その情報は渡せ!」
安藤「嫌だ、ついでに言うと、いつでも消せる」
P「待て!消すのだけは…クソ!」
安藤「そうだな……銃と取引だ」
418:
パーフェクトは初代のコピーとは言うが、多少は違いがある。
例えば潜入に長けた者もいれば、暗殺に長けた者もいる。
俺は情報操作に秀でていることと、任務の遂行率が異常に高かった。
そして目の前にいる安藤は、カリスマ性に長けている。
巧みな話術で人の心を見通し、弱点を見つけて揺さぶる。
その逆もまた然り、人を心酔させることも得意とする。
P「チッ…分かった、情報は諦める…ただし銃は渡さない」
安藤「いいのか?」
P「構わない。これがお前のやり口だということはよく知っている」
安藤「そうか、じゃあ頑張って自分で調べるんだな」
安藤「まぁ、調べても両親の存在など見つからないがね」
両親が、いない――?
安藤「そもそも少しの教育で感情を捨て切れる人間など存在するハズがないじゃないか」
何を、言っているんだコイツは……。
安藤「人間離れした能力は、そりゃあ普通の人間じゃないんだから当り前さ」
安藤「……おや?どうやらめったにかかない汗をかいているようだな」
419:
安藤「そうそう汗といえばここは暑いな」
安藤「いやあ見事な手腕だよ」
安藤「睡眠薬を細かく砕いて上から撒く」
安藤「また体温を上げて血液の巡りを良くすれば、薬の効果は早く効きはじめる」
安藤「ことごとく弾をかわしたのは、射線を見極められるからだけじゃない」
安藤「脳内のメラトニンが急激に増え、それに伴って集中力が切れたから当たりずらかった」
安藤「しかも、緊張とリラックスをどちらも高められた結果、自律神経が乱れてイライラさせた」
安藤「睡眠薬もUSBも、時間経過に伴って落ちる仕掛けか…よくできてるよ」
俺に固執してるせいか、他人が行ったことの推理はすべて外れている。
当たり前だ。
吉澤さんを除き、俺に協力者がいるとは普通考えもつかない。
それより恐ろしいのは、この口車で安藤のペースに持ってかれることだ。
わずかに芽生えた感情を、ありったけの理性で抑える。
P「そろそろ解説は聞き飽きたぜ」
安藤「……あっそ、じゃあ撃てよ」
P「本気だぞ」
安藤「育ての子になら、撃たれても悔いはないさ」
俺は引き金に指をかける。
安藤「大した度胸だ。殺したくないという葛藤で指が震えるハズなのに」
だが、そこから先は少しも動かせない。
動揺を悟られないよう必死に取り繕う。
430:
すみません、>>419と>>429の間に抜けがありました
それと、書き溜めが尽きたので遅くなります
安藤「もしや、引けないのかな」
P「黙れ!」
安藤「怒るなよ、確かに両親がいないのは残念だけどさぁ」
P「黙れ黙れ黙れぇ!」
安藤「叫ぶな聞こえてるから」
安藤「でもさ、世界の統治者になって両親のことを知って」
安藤「何が不満なんだ?」
P「黙れと言ってるだろう!」
安藤「ああそうか。結局孤独は解消されないもんね」
P「黙れぇ!!」
安藤「そりゃあ自由も欲しくなるな」
P「黙れ……殺すぞ!」
安藤「ちょっとアイドルに優しくされたら、そりゃ嬉しくなるよな、孤独なんだもん」
P「だ、まれ…」
安藤「泣くなよ?、事実は受け入れなきゃ前に進めないだろ?」
P「…だ……れ…」
安藤「うなだれたら外すぞ?」
P「だ……黙れ……黙れよ……」
安藤「黙ってもお前は……これ以上は言わなくてもいいか」
P「ひっく……そうだ……俺は孤独だ……だからそれ以上はその口を開くな!」
420:
安藤「……はぁ?」
P「なに、しらばっくれてんだテメー!」
安藤「しらばっくれ……なに言ってんの?」
P「この野郎!」
安藤「あぁ、孤独ってこと?」
P「黙れ!」チャキ!
安藤「……よく考えたら間違いだった」
ダメだ。
このままだと、引き金を引いてしまう。
……ダメ?
こんなクズ相手に何がダメなんだ?
やめろ、こんなのは俺じゃない。
だが負の感情に覆われそうな俺がいる。
俺であって俺じゃない。
今にも引き金を引いてしまいそうな俺は、誰なんだ?
421:
安藤「――俺じゃ、ダメか?」
うつむいていた顔を思わず上げてしまう。
安藤「そりゃ俺はお前の本当の親じゃない」
安藤「だけどさ、ガキの頃から知ってる」
安藤「一番長く接してきたのは俺だ」
ゆっくりと手を差し出してくる。
安藤「戻ってこい、お前の居場所はここだろう?」
P「俺の、居場所…」
春香「プロデューサーさん!」
千早「プロデューサー!」
安藤「孤独ってツライよな…」
やよい「プロデューサー!」
美希「ダメなのハニー!」
422:
P「孤独は…嫌だ…」
高木「君ぃ!落ち着くんだ!」
律子「プロデューサー殿!」
安藤「お前は、誰かに必要とされたかった」
雪歩「プロデューサー!ダメですぅ!」
響「そんなの聞いちゃダメだプロデューサー!」
P「誰かに、居てほしいと言われたい…」
伊織「アンタが必要なのよプロデューサー!」
亜美「兄ちゃん!そんなのってないよ!」
安藤「今からなら遅くはない。お前と二人なら、SATなんか大したことはない」
貴音「いけませんあなた様!」
真「こっちを見てプロデューサー!」
423:
安藤「知っているだろう?世界は闇に包まれている」
真美「兄ちゃん!真美たちを守るって言ったじゃん!」
あずさ「目を覚ましてくださいプロデューサーさん!」
安藤「俺が、その闇から守ってやる……俺以外には誰も守れないだろう?」
P「守る…」
小鳥「プロデューサーさん……プロデューサーさん!」
――気づけば俺は、銃を手渡していた。
424:
安藤「ククク……分かっていたよ、こうなることは」
高木「そんな…そんな…」
P「安藤さん、俺に指示をください」
安藤「では……そのまま待機だ」
安藤が銃を持ったまま、五歩後ろに下がる。
安藤「指示を出そう」
安藤はゆっくりと、その銃を上げる。
安藤「統治者となる神は一人でいい。パーフェクトは二人もいらない」
安藤「世界のために、死ね。孤独であわれな男よ」
やられた。
結局やつのペースに呑まれた。
死ねと言われると、命令通りにしようとする自分がいる。
あぁ、ここで死ぬのかと思うと、途端に恐怖は消え、冷静さが戻ってくる。
そして気づく。
やられた。
こんなことになるなんて……
425:
   分かっていた
426:
?回想?
どうあがいても安藤相手に心理戦で勝てないことは分かっていた。
安藤『なにを迷っている?やればいいじゃないか』
安藤『威力を挙げないと、防弾チョッキを貫通できない』
安藤『だからお前は、いや俺でも、いま弾頭を外して火薬を詰める』
安藤『万事休すというやつだ』
安藤は分かっていた。
最後に必ず銃を手に入れると。
そして安藤は俺でもある。
安藤の考えは俺の考えでもある。
だから俺は1発の弾頭を外した。
そして火薬を、すべて抜き取って戻した。
427:
P「……目が覚めたぜ」
P「やっぱり、俺はもう戻らない」
P「俺はもう、孤独じゃない」
P「俺には、家族がいる……こんなにも立派な家族がな!」
いま引き金を引かれても、弾はただジャムるだけ。
そこで生まれる隙を、俺は絶対に見逃さない。
負けない……俺は必ず、みんなを守る。
  吉澤『勝ち目は、あるのか?』
 P『……今は、それ以外じゃ勝てない』
……例え、命を犠牲にしてでも。
俺の命で助かるなら……
P「俺の命なんか、喜んでくれてやる!安藤!」
安藤「……ククク」
428:
 安藤「分かって、いたよ」
429:
安藤「正常な判断ができなくなる……それをお前は恐れた」
安藤「お前は俺で、俺はお前だ」
安藤「最後の罠も、見事だが残念だったな」
安藤「どうして五歩離れたか分かるか?」
――しまった。
安藤「正常な思考に戻る前に、距離さえ取れれば俺の勝ちだった」
安藤「なぜなら」
弾倉を抜き、一番上の弾丸。
トラップバレッドを親指で弾き捨てる。
安藤「ジャムらせる弾を、取るための安全圏が欲しかったからだ」
P「……ふふ、分かってたよ」
わずかに安藤の表情が曇る。
安藤「……まだ、何かあるというのか」
P「いや、もう本当に手は尽きた」
P「俺の、負けだ」
433:
P「春香」
春香「い、イヤです……聞きたくありません!」
P「お前はドジでバカみたいに明るくて前向きで」
P「お前のお菓子はちょっと甘ったるくて」
P「最初は危ないヤツだって思った」
P「だが……いままでありがとう」
春香「うぅ……」ポロポロ
P「千早」
千早「やめてください!」
P「これほどまでに面倒な女はそういない」
P「頭が固いというか、なんというか」
P「だがそれでも、お前の魅力と歌は、かけがえのない宝になったよ」
P「お前の歌は、最高だ」
千早「……くっ!」
434:
P「雪歩」
雪歩「うぅ……」
P「いつも劣等感をまとっているし」
P「犬も男も苦手だって本当に大変だった」
P「だが時に癒され時に芯の強さで成長し」
P「お前を見てるのが、初めて心から楽しいと思えた…ありがとう」
雪歩「こんなの、あんまりですぅ…」
P「やよい」
やよい「グス、うぇ、うう」シクシク
P「周りを元気にできるなんて、本当にすごい」
P「お姉さんだからか、大人でもあった」
P「苦労を苦労と思わない、そんなお前だからみんな好きなんだろうな」
P「ハイタッチ、嬉しかったよ」
やよい「うわあぁぁん……ぷ、プロデューサー…」
435:
P「律子」
律子「……なんですか」
P「お前は俺を目標にするなんて言ってたけど」
P「俺の目標はお前だった」
P「データだけじゃない、人の気持ちすらもちゃんと考えて行動できる」
P「それが大事だって、俺は教えてもらったよ」
律子「……そう、ですか……」
P「伊織」
伊織「……黙りなさい」
P「わがままで、自信家で、猫かぶって」
P「でも本当は優しくて、努力家で」
P「許されるなら、お前の執事に生まれ変わりたいよ」
P「大事に思ってくれるからこその罵声、最後に聞かせてくれ」
伊織「うるさいうるさいうるさーい!アンタなんて…アンタ、なんて…!」
436:
P「あずさ」
あずさ「はい」
P「俺はお前と手を繋いだが、そこで人のぬくもりってやつを知った」
P「……こうなったのも運命、なのかな?」
P「だとしたら、俺はお前に出会えたこの運命にこう言おう」
P「ありがとう、願わくばまた会わせてくれ……ってな」
あずさ「はい……ダメ、涙が……」ポロポロ
P「亜美」
亜美「兄ちゃぁん…グス…」
P「よく、頑張ったな」
P「後先考えないお前にはよく振り回された」
P「でも、その行動力はお前の最強の武器だ」
P「……俺も、俺の役目を果たせたかな?」
亜美「うぅ……兄ちゃぁん!」
437:
P「真美」
真美「イ゛ヤだよ兄ぢゃん!」
P「……ゴメンな、亜美とレギュラー取らせるって、約束したのに」
P「行動力だけじゃなく、思いやりの気持ちをもった」
P「超ナイスでグレートな女の子だ」
P「本当に、ゴメンな」
真美「グス、ずるいよ…イヤだよ…」
P「真」
真「ボク、ボク…」ボロボロ
P「誰よりも強く、誰よりもカッコイイ」
P「誰よりも最強だ。間違いなく」
P「俺は知ってる、最強だがカワイイ瞬間はもっと最強だって」
P「……誰が何と言おうと、お前が可愛くないなんて認めない」
真「ぷ、ぷろでゅーざぁ!ボクは!ボク、は……うう」ボロボロ
438:
P「美希」
美希「ハニー…」
P「ありとあらゆることにおいて小悪魔だったよ」
P「どうすれば本気出すか、本気ならどれだけすごいか」
P「俺の知ってるなかでこれほど先の展開を裏切ってくれた奴はお前だけだ」
P「もっとお前を見ていたかった…ありがとう」
美希「待ってハニー!そんなの、ヤ!だって美希、美希は……!」
P「響」
響「な、なんだよプロデューサー!」
P「実は感情を教わったのはお前からだ」
P「その豊かな表情と、ダンスへの情熱」
P「他にも数えきれないほど、完璧だった。完璧を目指すからこそ、美しくなれるのかな」
P「響、にふぇーでーびる」
響「うぅ…か、完璧なんて…まだまだだから…こ、こんなの嫌だぞ!」
439:
P「貴音」
貴音「……はい」
P「月は一人じゃ輝けない…それでも、輝けば美しく華麗で儚い」
P「そんなお前を見たくて、俺はお前を照らす太陽になりたかった」
P「だけどお前は月のように美しい太陽だった」
P「こんな俺を慕ってくれて、感謝しきれないな」
貴音「あなた様…それは、わたくしの言葉です…言い足りないのでまだ居てください!」
P「小鳥」
小鳥「……プロデューサーさん」
P「いつもみんなを一番支えているのは、あなたでした」
P「俺はみんなに愛されてるって、言ってくれたのもあなたでした」
P「そんなあなたも、みんなから愛されているんです」
P「こんな俺でも支えてくれて、嬉しかったよ」
小鳥「いやです…お別れなんていやです!」
440:
安藤「時間だ」
P「……あぁ、そうだな」
安藤「ククク…知ってるか?頭蓋骨は意外と硬い」
P「だから自殺の時は銃口を咥えた方が成功するって話か」
安藤「そうだ、そこで心臓を狙うことにする」
安藤「その前に、防弾チョッキを着ていないか確かめる」
P「もういいだろう、最後の1発は威力を上げてあるんだから」
安藤「ククク…それもそうだったな。俺を撃つために威力を上げた弾丸を2発目に仕込んだ」
安藤「完全に裏目に出たな」
P「……安藤、俺は撃たれて死ぬ」
P「だが、銃声とともにSATが来るぞ」
安藤「知っている、もうすぐ近くまで来ている事ぐらい分かるよ」
あと5分もしないうちに、きっと突入するだろう。
安藤「時間稼ぎにしては、大成功だな」
442:
11月25日 0:49
扉(外側)
吉澤「いいか、銃声がしたら一気に突撃だ」
SAT「了解!」
ステージ
安藤「……さらばだ」
バン
空気の層を突き抜け、あっという間に俺に飛んでくる。
そして、弾丸は俺の胸を捉えた。
勢いよく後ろに倒れる。
「突撃ーーー!!!」
春香「イヤ…イヤ…いやあああぁぁぁぁぁ!!」
443:
SAT「犯人を確保!遺体が数人転がっている、確認急げ!」
SAT「人質との接触に成功!ただちに避難誘導します」
千早「プロデューサー!」
雪歩「プロデューサー!」
SAT「君たち!ここは危ないんだ、ただちに離れるぞ!」
真「イヤだ!プロデューサーを置いてなんかいけない!」
あずさ「こんなところで終わるわけがありません!」
真美「そうだそうだ!だって兄ちゃんなんだから!」
SAT「くそ、おい!こっちにも手を貸せ!」
響「自分完璧なんかじゃないぞ!だから完璧にする義務があるさー!」
やよい「もやし祭りにまだ招待してません!だから絶対に連れて行きますー!」
律子「私一人で12人も見れるわけないでしょう!寝てないで起きてください!」
SAT「こうなったら無理やり連れて行くしかない!」
伊織「どこ触ってんのよ変態!アイツじゃなきゃ抱っこなんかさせてって離しなさい!」
美希「離すの!勝手に連れて行かないで!ハニーがまだ残ってるの!」
亜美「はーなーせー!おーぼーだ!訴えてやるー!」
SAT「こっちにもまだいるぞ!」
小鳥「プロデューサーさん!プロデューサーさん!」
貴音「あなた様!あなた様!」
444:
会場外 0:53
レポーター「たった今SATが突入しました!」
レポーター「どうやら人質の救出に成功したようです!」
レポーター「あ!あれが主犯でしょうか!顔は見えませんが両手を拘束されています!」
SAT「車に乗れ!」
安藤「ククク……アイツの死をもって作戦を終了する」
安藤「俺は諦めんぞ…最大の障害が無くなったいま、いつの日か…」
安藤「いつの日か必ず世界を変えてみせる」
安藤「クックック…」
―――――――――
――――――
――
445:
12月24日(火) たるき亭 13:07
高木「やぁ、遅れてすまない」
黒井「この距離でも遅刻するのか貴様は」
高木「今日は家から来たんだ」
黒井「フン…調子はどうだ」
高木「あれからしばらくはマスコミが騒ぎたてたからね、あと2か月は活動自粛だ」
黒井「そうか……」
高木「ジュピターは元気かね?」
黒井「活動に影響はない」
高木「そうか。あの会場に、お前とジュピターはいなかったことになってるのだが」
黒井「マスコミに圧力をかけて、我々のイメージダウンにつながらないようにしただけだ」
高木「そうか…ケガなどが無くてなによりだ」
446:
黒井「……今日はクリスマス・イブだ」
高木「街は賑やかだな」
黒井「ささやかながら、貴様の事務所宛てにプレゼントを送った」
黒井「ジュピターの連中が、どうしてもというからな」
高木「……ありがとう、きっと彼女たちも喜ぶよ」
高木「実は、今日は萩原君の誕生日でね」
高木「仕事もできない状況だし、事務所で夜にお祝いしようということになったんだ」
黒井「私は行かないぞ、ジュピターも行かせん」
高木「……そうか」
黒井「……話だけなら聞いてやる」
高木「はは、まあそれでだねぇ……萩原君は誕生日を優先されてきたそうなんだ」
黒井「だから今年はクリスマスのお祝いをしようということか?」
高木「あぁ、みんなで決めたみたいだ」
447:
黒井「……今日はクリスマス・イブだ」
高木「街は賑やかだな」
黒井「……ささやかながら、貴様の事務所宛てにプレゼントを送った」
黒井「ジュピターの連中が、どうしてもというからな」
高木「……ありがとう、きっと彼女たちも喜ぶよ」
高木「実は、今日は萩原君の誕生日でね」
高木「仕事もできない状況だし、事務所で夜にお祝いしようということになったんだ」
黒井「私は行かないぞ、ジュピターも行かせん」
高木「……そうか」
黒井「……話だけなら聞いてやる」
高木「はは、まあそれでだねぇ……萩原君は誕生日を優先されてきたそうなんだ」
黒井「だから今年はクリスマスのお祝いをしようということか?」
高木「あぁ、みんなで決めたみたいだ」
448:
高木「あとは、彼がいてくれれば良かったんだがね…」
黒井「忘れろ、所詮捨て駒だ」
高木「お前もなかなか気に入っていたみたいじゃないか」
黒井「私が?ノンノン目上の者に対する言葉づかいを直してやろうと思っただけだ」
高木「それはお前だけじゃないかな」
黒井「……」
高木「……」
黒井「早く新しいプロデューサーを見つけろ」
高木「ああ」
黒井「日高舞に追い越されるぞ」
高木「そうだな」
黒井「…アデュー」
高木「メリークリスマス」
449:
某所 14:25
吉澤「……安藤」
吉澤「戦友として、君を救えなかったな」
吉澤「……私の友であり」
吉澤「彼にとっては親同然だった」
吉澤「……さて、何か新しい記事でも探すとしよう」
渋沢「見つけた」
吉澤「ん?あー如月千早の記事の」
渋沢「そうだ、アンタを探していた」
渋沢「ヒャハハ、いったいあの男は何者だ?」
渋沢「妙にアンタと話していたみたいだからな、アンタをつつけば何かは出るだろっ…ぅぐ!」
吉澤「……ご愁傷様だねぇ、今すぐ病院に行ったほうがいいよ」
渋沢「うぐわぁ!な、んあ!急に息が……!」
吉澤「安藤と接触したな?少しでも証拠を残さないために一服盛られたな」
吉澤「連れて行ってやる。運が良ければ一生入院で済むよ」
渋沢「あああぁぁぁあああぁぁああぁああぁぁあぁああああぁ!!」
450:
765プロ事務所前 17:54
真「あれ?春香?」
春香「あ、真!会いたかったよー!」
真「何時からいたの?集合時間18時だよ?」
春香「えっと30分くらい前に…」
伊織「早すぎるわよ」
やよい「でも伊織ちゃん、早く行こうって」
伊織「それは別なのよやよい!」
春香「まぁまぁ。伊織、やよい、久しぶり!」
伊織「そうね、元気してた?」
やよい「お久しぶりですー!」ガルーン
千早「ふぅ、家を出た時は吹雪みたいだったわ」
春香「千早ちゃーん!」
千早「春香、本当にいつも元気ね」
やよい「私も負けてられませーん!」
千早「ふふ、高槻さんはもっと元気ね」
451:
響「うぅ、寒いぞ…」
貴音「こんばんわ皆様」
真「あ、響、貴音さん!」
貴音「こんばんわ真、真、今日は楽しみですね」
真「え、えっと…まこと…あぁ、そういうことか!」
千早「くくく」プルプル
響「千早の沸点もいつも通り低いなー」
亜美「ただいま参上!」
真美「いえーい!」
やよい「亜美、真美、なんだか今日はとっても可愛いですー!」
亜美「んっふっふー、やはりやよいっちは気づくか」
真美「さすがじゅーしームックの申し子!」
律子「それを言うなら純真無垢ね。そもそもジューシームックってなに?」
響「今日はどこか変わってるのか?」
春香「んー…あ!そのマフラー!」
452:
真美「おーさすがはるるん!」
亜美「ミキミキが雑誌でオススメしてたやつだよ!」
美希「うー寒いの…」
律子「噂をすれば」
美希「みんなこんばんあふぅ」
伊織「いつ見ても眠そうというか…」
美希「あ、でこちゃんそのホッカイロ借りるの」
伊織「それぐらいいいわよ、あとでこちゃんゆーな」
美希「さすがなの、これからはなんでもでこちゃんに借りるの」
伊織「少しは自分で用意しなさいよこの金髪毛虫!」
雪歩「お、遅くなっちゃいましたかぁ?」
あずさ「ごめんね雪歩ちゃん、つい雪だるま作りに夢中になっちゃって」
響「いったいどういう状況なんだ?」
453:
小鳥「す、すみませーん!電車が遅れちゃって!」
千早「これで全員集合ね、ぷぷ…」
真「まだ抜けきってなかったんだ…」
春香「あれ?社長とプロデュー、……社長は?」
小鳥「え?いないの?」
高木「ふぅ、なんとか飲み物が買えたよ」
小鳥「社長!遅刻ですよ!」
律子「いや言える立場じゃないでしょう…」
社長「ハッハッハ、仲良きことはいいことかな」
雪歩「仲、いいんでしょうか…?」
あずさ「うふふ、いつも通りで平和ね?」
小鳥「いつも通り……」
一同「……」
伊織「……小鳥」
454:
小鳥「あ、あの…私、そういうつもりじゃ」
伊織「違うわ、早く鍵開けて。みんな待ってるわ」
小鳥「そ、そうね、今開けるわ」
カシャン
小鳥「……アレ?」
響「どうかしたのかピヨ子ー?」
小鳥「なんか、鍵がかかっちゃった」
あずさ「え、えっとーそれって鍵が開いてたってこと?」
455:
律子「小鳥さん?」
小鳥「ちゃ、ちゃんと昨日、閉めて帰りましたよ!?」
真美「じゃあ誰が?」
亜美「しゃちょーが犯人だー!」
高木「わ、私は昨日は休んでいたが…」
雪歩「まさか、ど、泥棒さん!?」
真「えぇ!?」
美希「じゃあ開けてみればいいの」
千早「み、美希?」
美希「美希たちはまだ飾り付けもやってないんだよ?」
美希「ホントに誰かがいるなら、美希たちみんなで捕まえちゃえばいいって思うな」
貴音「しかし……もしも、もしもあの安藤とかいう者の仲間がいたとしたら…」
高木「……分かった、私が代わりに開けよう。下がっているんだ」
456:
18:03
カチャン、と音がしてドアは開く。
高木「電気は……あった」
765プロの事務所内に、明かりが灯る。
高木「な、なんだこれは……?」
小鳥「どうしたんですか社長って、ええ!?」
その後も次々と入っては驚きの声を上げる。
どうして、飾り付けがしてあるのか、と。
457:
P「メリークリスマース! チキンあるけどみんな食う?」
458:
春香「プロデューサーさん!」
千早「プロデューサー!」
真「えぇ!?プロデューサー!」
雪歩「プ、プロデューサー!」
美希「ハニー!」
やよい「プロデューサー!」
伊織「この変態!なんでいるのよ!」
亜美「兄ちゃん!」
真美「兄ちゃんだー!」
あずさ「プロデュ?サ?さ?ん!」
響「プロデューサーじゃないか!」
貴音「あなた様!」
律子「プロデューサー殿!」
小鳥「プロデューサーさん!」
高木「き、君ぃ!」
P「よっ」
459:
その後はまぁ大変だった。
なんでいるんだとか。
どうして生きてるんだとか。
幽霊じゃないのかとか。
P「正直、本当にもうダメだと思った」
P「でもよ、死亡フラグは10人以上立てれば生存フラグかハーレムフラグになる」
P「だろ?亜美」
亜美「それ、夏合宿の時の…」
P「生まれて初めて神頼みってやつをしたよ」
P「そしたらさ、弾丸は心臓に当たらなかったんだ」
俺はかつてつけていた腕時計を出す。
弾丸が埋まっていて、当然壊れている。
P「こいつは耐久性の高い特別使用なんだ」
P「利き手側に着けて、手首のささやかな保護に使うんだ」
P「ちょうど別の着けてたから、内ポケットに入れてたんだ」
P「ほら、丁度0時49分で止まってる」
461:
P「まぁこの時間が、本当の俺が始まった時間ってことだな」
P「……なんだ、どうしてみんなそんな怖い顔してんだ?」
P「――え?本気で心配して本当に悲しかった?」
P「悪かったって、俺だってまさか助かるとはさぁ」
P「……許してくれんのか?」
P「条件? 言うべき言葉?」
P「えー…この度は本当にご心配をおかけして大変申し訳ございませんでした」
P「……足りない?」
P「え、えーと…焼き土下座でもすればいいか?」
P「いやぁさっきコンビニで立ち読みしたら出てきたから……」
P「そんなことじゃない? じゃ、じゃあ血を賭けて…」
P「謝罪はもういい? じゃあなんだよ?」
P「ああそれか…あーいやなんでもございません」
P「なに、とびっきりの笑顔で?」
P「あーもう分かったよ、精一杯やるよ。こんな感じか?」
P「な、笑うなよ…ったく、いいか?言うぞ?」
462:
  P「ただいま!」
「「「「「「「「おかえりなさい!」」」」」」」」
エンディング曲
Colorful Days (M@STER VERSION 12 Colors)
465:
これにて終わりです。
読んでくださった方、レスしてくれた方、ありがとうございました。
今のところは続編とかはあまり考えていませんが、
気が向いたら書くかもしれません。
アドバイスや疑問等があったらご自由にどうぞ。
ただし荒らしは他の人の迷惑になりますのでやめてください。
ちなみに実はスパイという設定と負ける事、
最後のオチ(?)ぐらいしか考えていませんでした。
なので途中で結末にどう持っていくべきか悩みました。
なので最後の方はちょっと強引でした、すみません。
このスレはあとはアイマス雑談スレとかにでもしてください。
もしくはこういうの書いてくれとか言われたら書くかもしれません。
※あまり期待はしないでください
それではみなさん、また会う日まで(`・ω・´)ノシ
470:

47

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