エレン「ウルトラマンイェーガー!」back

エレン「ウルトラマンイェーガー!」


続き・詳細・画像をみる


ここ最近ウォールローゼ内では度重なる怪現象が報告されていた。
曰く壁内に巨人が出た・・・曰く奇怪な生物が町中を闊歩していた・・・
駐屯兵団はこの事態に対応するため、昼夜を問わず怪現象の調査を行ったが
証言は増える一方で実際に現場に遭遇することはついぞなかった。
このころから悪質ないたずらの可能性も考えられたが、
すでに噂で持ちきりの壁内は軽いパニック状況に陥っていた。
そんな中、訓練兵団にも付近の警備の任が課せられ、この夜も訓練兵数名が駆り出されていた・・・
これからしばらくの間あなたの心はあなたの体を離れ
この不思議な世界へと入っていくのです・・・
※進撃×ウルトラパロです。
※本編ネタバレ要素多少有り。
※昭和っぽいはじまりだけど基本平成っぽい作風かも。
※ネタかぶりあったらごめんなさい。
3 :以下、
ーー
ーーー
ーーーーー
「ーーーン」
「ーーーレン」
「ーーエレン!」
自分を呼ぶ声が聞こえてくる・・・
訓練兵エレン・イェーガーが重い瞼をうっすら開けると目の前にはよく知る幼なじみの顔がのぞき込んでいた
「ーーーミカサ?」
そう幼なじみの名を呼ぶと、彼女はボロボロと大粒の涙をこぼし抱きついてきた
「よかった・・!もう目覚めないのかと・・・」
そう言うと彼女は抱きついた腕に力を込める。女子離れしたその腕力にエレンは再び意識が飛びそうになる。
「ミカサ!落ち着いて!エレンが苦しそうだよ」
と、もう一人の幼なじみのアルミンがミカサをたしなめるが彼女はその言葉が聞こえないのか力を緩める気配はない
「ミカサ・・・!ミカサ!苦しいって!!」
絞り出すようにエレンがそう言うとようやく少し力を抜いてくれた。
軽く深呼吸をし、ズキズキと痛む頭を抱えて廻りを見ると見知った顔が心配そうにこちらを見ていた
4 :以下、
「どうやらもう大丈夫のようだな」そう微笑んでいるのは隊の兄貴分のライナー。
「まったく、悪運の強い野郎だぜ。」その後ろでは皮肉屋のジャンがそうつぶやく
「ほんとうに、心配したんですよ」二人の隙間から、サシャが顔をのぞかせる
「なんにしてもよかったよ、もう三日も目を覚まさないからどうなるかと」と、長身のベルトルトがそう顔をほころばせた
(三日?三日も寝てたのか?俺・・・)
まだ意識は朦朧としているが、状況を理解するため記憶をたぐってみるが、どうにもはっきりしない。
霞がかかったようにここ最近の事が思い出せない。
アルミン「どうだい?エレン、意識ははっきりしている?」
エレン「ああ、まだ少しはっきりしないが、何とか・・・ここは、医務室・・だよな」
アルミン「ああ、そうだよ。エレンは数日前に付近の調査中に行方不明になったんだ」
エレン「行方不明に・・・?」
5 :以下、
アルミン「うん、そして三日前リュウガモリ湖の近くでエレンが倒れているのが見つかったんだ」
リュウガモリ湖とは訓練兵舎の近くにある大きな湖である。普段は水練などで皆がよく行く所でもある。
エレン「・・・そうなのか」
アルミン「・・・その調子だとまだ記憶もはっきりしてないみたいだね。ごめんねエレン。
  今日はあまり考えず、ゆっくり休みなよ。」
エレン「ああ、すまない。・・・もう少し眠りたい」
そう言うとエレンはまだ抱きついていたミカサを強引に離し、横になった。
7 :以下、
「・・・まあもう大丈夫みたいだし、私は部屋に戻るよ」と、ずっと皆の後ろで様子を見ていたアニがそう言って部屋を出ようとすると
「なぁに?アニったらさっきまで泣きそうな顔してたくせにエレンに優しい言葉かけてあげたら?」と、彼女の友人のミーナが、意地悪そうに微笑む。
アニ「・・・うるさいな」
ライナー「ははっ、無理だ無理だ。こいつにそんな可愛げがあるわけないだろう」
ミーナ「エレンが意識不明って聞いたときのアニの顔。エレンにも見せてあげたいよ。」ププッ
アニ「ーーー!!///」
ライナー「ちょっ蹴るな!」
ミーナ「痛い!ごめんアn・・痛い!」
アルミン「ちょっと、みんな!」
ミカサ「みんな静かに」
いつもの面々のいつもと変わらない光景にエレンは少し安堵感を覚える。
エレン「お前ら今日の所は勘弁してくれ。明日になったら、元気になっておくからさ」
そう言い、エレンは笑った。
8 :以下、
ウルトラマンのサイズはいかほどなんですか
11 :以下、
>>8
そういやウルトラマンも怪獣も超大型巨人並みなんですよねw
まあ、その辺りはこのSSのみの設定で15m級ぐらいと言うことでお願いします
10 :以下、
アニ「//あ、ああ。ごめんなさい。また明日ね」
ライナー「いや、すまなかったな。」
ベルトルト「・・・全くライナーは・・・」
そうして同期の面々は医務室を後にする。
アルミン「ミカサ、僕たちも行こう」
ミカサ「私はここにいる」
アルミン「・・・そう?じゃあエレンのこと頼んだよ」
ミカサ「うん」
そう言い、部屋を出ようとしたアルミンはふと思い出したように踵を返しエレンの近くに来ると
「・・・そうだ。エレンこれを」
アルミンは円筒状のものをエレンに手渡した。
12 :以下、
エレン「これは?」
ミカサ「わからない。リュウガモリ湖でエレンが倒れていたときに握りしめていた」
アルミン「すごくしっかりと握ってて離すの大変だったんだよ」
エレン「ふーん」
そういうとエレンはそのカプセルのようなものを手に取った
___
_____
________
それは・・・・・タ・・・・セル
________
_____
___
不意にエレンは何かを思い出せるような気がしたが、まだ霞がかった記憶の中のこと、
はっきりしない意識を追い払うように頭を振る
14 :以下、
ミカサ「エレン?どうかしたの?」
エレン「いや・・・大丈夫。まだ頭痛がひどくてさ」
アルミン「詳しい話は、また今度にしよう。とにかくもう休もう。エレン」
エレン「ああ・・・すまない・・・もう・・・少し・・・寝る・・・よ」
そう言うが早いか、エレンは再び深い眠りについた。
15 :以下、
ーー次の日の朝。
エレンは目覚めると、体を起こした。まわりを見るとミカサがうたた寝をしていた。
すっと看病してくれていたのだろう、額には濡れたタオルが乗せてあった。
「ありがとな、ミカサ」
そう言いミカサの頭に手を伸ばすとミカサが目を覚ました。
「っとと」
エレンは慌てて手を引っ込めるとわざとらしく咳払いをしてみる
ミカサ「エレン!起きたの?気分はどう?」
エレン「ああ、ずいぶん・・・いや・・・」
そこで初めて気付いたが昨日の状態が嘘のように意識もはっきりしている。
体もどこにも痛みはなく、むしろ爽快さを感じていた。
16 :以下、
エレン「大丈夫だ、逆にすごく調子が良いみたいだ」
ミカサ「本当に?無理してない?」
エレン「ああ、本当だって!」
そう言うとエレンは起き上がりベッドから降りるとバク宙をしてみせる。
ふらつくこともなくキレイに一回転し着地してみせると、ミカサはようやく安堵の表情を見せる
ミカサ「うん、よかった。でも無理だけはしないで」
エレン「わかってるよ。とにかくまず教官に報告に行こう。」
そう言い、エレンはミカサ共に医務室を出ると、そろそろ朝食の時間かみんなが集まりだしていた。
エレンは助けてくれたことと心配してくれたことへの感謝を言うと、みんなは笑ってよかった。と言ってくれた。
その中にアルミンの姿が見えたのでエレンはアルミンに声をかけた
17 :以下、
________
_____
___
それからほどなくして、エレンはアルミンを連れて教官室に来ていた。
まだ、記憶のあやふやな部分があったため、当時の状況について話してもらうためである。
キース「・・・なるほど。その調子だともう体の方は良いようだな。」
エレン「はっ!多大なるご迷惑をお掛けし申し訳ありませんでした!」
キース「うむ。無事ならばそれでよい。だが、病み上がりで申し訳ないが色々と聞きたいことがある」
エレン「はい・・・しかしまだその日の記憶があやふやで・・」
キース「アルレルト、その日イェーガーに同行していたのは貴様だったな」
アルミン「はい、あの日私とイェーガー訓練兵はリュウガモリ湖付近を調査していました。
  しかし途中で、私の立体起動装置に異常があったため先に寄宿舎に戻りました」
エレン「その辺りまでは自分も覚えています。自分も一緒に戻ろうかと思いましたが
 付近で不審な光を見たために自分だけ残り、調査を続けました」
キース「不審な光?」
18 :以下、
エレン「はい、遠目に見たときはもやのようにも見えましたが、近づいてみると
 赤く光る球体と青く光る球体がものすごいスピードで飛んでいたのです」
キース「赤い球体と青い球体?・・・それが件の怪現象の正体なのか・・・?」
エレン「並んで飛んでいるというよりはぶつかり合ったりしてまるで戦っているようにも見えました」
 しばらく見続けていましたが、不意に赤い球体が近づいてきて・・・・・・
 ・・・それから先のことは覚えていません」
アルミン「その後、立体起動装置を交換した私は、アッカーマン訓練兵とともに戻りましたが
  その時には既に彼の姿はなく、粉々に砕けた彼の立体起動装置のみが残されていました」
キース「ふむ。今の話を統括すればその赤い球体とやらにイェーガーが衝突し、重傷を負ったのであろうが」
アルミン「なぜ、イェーガー訓練兵が姿を消したのかまでは現時点では分かっておりません」
19 :以下、
エレン「アルミン、俺はどこか離れたところに倒れていたのか?」
アルミン「いや、それがエレンをみつけたのは、前に僕とミカサがエレンの立体起動装置を見つけたとこなんだ」
エレン「えっじゃあ・・・」
アルミン「うん、エレンはそこで居なくなった後、またそこに戻ってきたんだ」
キース「今はまだそれ以上のことは憶測でしか話せないようだな。だが、リュウガモリ湖に
 なにかがあるのは間違いないようだ。イェーガー、アルレルト。再度その近辺の調査を命じる。
 但し、今度は単独での行動は避けるように」
エレン・アルミン「はっ!!」
そうして訓練兵団の上位メンバーで再びリュウガモリ湖近辺の調査が始まったが、
これといった成果がないまま数日がたったある日のこと
コニー「たっ大変だー!」
20 :以下、
訓練兵の一人コニーがサシャと共に食堂に駆け込んできた。
エレン「なにかあったのか?」
コニー「れ、例のリュウガモリ湖にでっかいトカゲが出た!!」
エレン「とかげ?」
サシャ「そうです!さっきコニーとリュウガモリ湖の近くをお散歩してたらこーんなおっきいとかげが」
そう言ってサシャが手を伸ばして振り回していると、ほかの訓練兵からは笑いが漏れた
ジャン「おいおいコニー、サシャ、おまえらなにいってんだよ。でかいトカゲって・・・」
ライナー「ここ数日手がかりがまるでないからと言って、そんなでたらめを」
コニー「嘘じゃねえって!」
ベルトルト「二人とも夢でも見たんだよ」
アニ「・・・・・・」
サシャ「ほんとに見たんです!信じてください!!」
21 :以下、
アルミン「二人とも、ほんとに・・・」
次の瞬間、すさまじい地響きと共に耳をつんざくような鳴き声が響き渡る!
エレン「な、なんだ!?」
そこにいた面々が耳を押さえながら、驚きの表情を見せていると、キース教官が慌てたように入ってきた
キース「貴様ら、すぐに出撃準備をしろ!」
アルミン「な、何があったのですか?」
キース「・・・リュウガモリ湖に、怪生物が現れた」
22 :以下、
それから程なくしてリュウガモリ湖を見渡せる小高い丘の上で訓練兵たちは目を疑うのである
ジャン「なんだ・・・ありゃあ・・・」
コニー「ほらみろ!俺の言ったとおりだろう!」
リュウガモリ湖、その中央にはトカゲと表現が正しいのかはともかく、みたこともないような生物が
たたずんでいた。その姿はまるでおとぎ話の中に出てきたような・・・
ミカサ「巨人以外にあんな大きな生物がいるなんて・・・」
キース「何という奇っ怪な・・・怪しい獣・・・怪獣でどうだろう?」
アルミン「どうだと言われましても・・・」
みんなが浮き足立っている。アルミンはそう感じていた。
無理もない。巨人相手なら、まだ、心の準備もできるかもしれない。
しかし、あんな未知の生物など見たことも聞いたこともないのだ。
アルミンがふと隣を見ると、エレンが呆然としていた
アルミン「エレン・・・?」
エレン「・・・ベムラー・・・」
アルミン「え?」
23 :以下、
そのとき、エレンの中で何かがはじける
ーーーーー巨人は奴らの雛形に過ぎないーーーー
ーーーーーこの星は狙われているーーーーー
頭の奥ーーー遠いところで記憶のかけらがうごめく
ーーーーー戦い方は、彼らの・・・
 ーーーー偉大なるウルトラ兄弟の記憶が教えてくれる
エレン「うわああああああああ!」
突然、大声を発しエレンが丘を駆け下りる。
ミカサ「エレン、待って!!!」
アルミン「エレン!!どこに行くんだ!!」
そこにいた全員があっけにとられている隙に、エレンの姿は見えなくなる
ミカサ「エレーーーン!!」
ミカサが後を追うように丘を降りようとすると、それに呼応するようにベムラーがこちらに向かって
青い怪光線を放った!
25 :以下、
「うわああああ!」
そこにいた全員慌ててその場を離れるがすさまじい爆発に吹き飛ばされる。
ライナー「みっ・・・みんな無事か!?」
ライナーが声を張り上げる。
アニ「なんとか、少しけが人も出たみたいだけど命に別状はないみたい」
ジャン「おいおいおいおい!なんだありゃ!なんなんだよ!あんなやつ相手にどうしろと!?」
ミカサ「くっ」
それでも降りようとするミカサをアルミンが制止する
アルミン「落ち着いて!ミカサ!」
ミカサ「でも!エレンが!!」
ミカサが泣きそうか顔でエレンが走っていった方面を見る。そこは先ほどの怪光線で焼け落ちていた
26 :以下、
アルミン「ミカサ、落ち着いて、あんな攻撃されたんじゃあ立体軌道でもうかつに近づけない」
ミカサ「でもどうしたら!」
ミカサがそうアルミンに詰め寄ると、アルミンは意を決したように持っていた鞄の中から一丁の銃を取り出す
ミカサ「これは・・・鉄砲?」
アルミン「こんなこともあろうかと作っておいたんだ。それは、スーパーガン。」
ミカサ「え?」
アルミン「ここ最近、いろんな発明が僕の頭の中に溢れてきたんだ。これもその一つで・・・」
エレンが持っていたあのカプセル。それがアルミンに様々な物を閃かせたのだが、アルミンは知るよしもない
アルミン「試作品だからあまり出力は出ないけど、さっきのあの生物が出した光線と同じような物で攻撃できる。
  とは言っても、牽制ぐらいには使えるはずだ。やつにはあまり近づかずに、これで何とか注意をそらして」
ミカサ「わかった。ありがとう、アルミン」
そう言うとミカサは、エレンの後を追っていった。
32 :以下、
一方その頃、エレンは焼け焦げた森の中で倒れていた。どうやら先程の光と爆発の中に巻き込まれたようだ。
混濁する意識の中、あの日のことが思い返される・・・
ーーーーーー
ーーーー
ーーー
「ーーーン」
「ーーレン」
「ーエレン」
自分を呼ぶ声が聞こえてきて目を覚ますと、そこは一面の赤い世界だった。
なんだ?ここは・・・。
体を動かそうとするが全く力が入らない。どうやら声も出せないようだ。
エレンは朦朧とする意識を振り払い、視線だけであたりを見渡す。
するとそこにはエレンがよく見知った姿があった。
あ・・・ああ・・!
「久しぶりだなエレン」
そこには、ウォールマリアでの一件以降行方をくらましていた父、グリシャの姿があった。
33 :以下、
とう・・さん・・?
グリシャ「まったく・・・急に飛び出してくるからお父さんびっくりしたぞ」
は?
グリシャ「道路を横断するときはちゃんと左右を確認して手を上げて渡れと教えたはずだ」
いや、そんな事じゃなくて・・・
グリシャ「飛び出してきたのがお前だったから良いようなものを」
おい、いいかげんに・・・
グリシャ「危うくお父さん、殺人を犯すところだったじゃないか」
エレン「いいかげんにしろ!!」
父親のずれた物言いに腹を立てたエレンはそう怒鳴りつける
34 :以下、
エレン「さっきからなにを訳分からないことを!!今まで・・・今までどこに!」
捲し立てるエレンを尻目に父グリシャは目を細める
グリシャ「ほう・・・もう動けるのか。思ったより『馴染む』のが早かったな。さすが私の息子だ」
エレン「なにが・・・」
グリシャ「話すから落ち着け」
言いかけたエレンの言葉を遮り側に来てエレンの顔をのぞき込む
グリシャ「色々言いたいことがあるのは分かるが今は時間がない。奴に見つかるわけにはいかんのでな」
グリシャ「まずはじめに、私はこの星の人間ではない。遠い星から来た宇宙人だ」
エレン「は?何を言って・・・」
35 :以下、
グリシャ「理解できなくて当然だ。今は違う世界から来たくらいの認識でいい、
  先程湖の上にいた赤い光、あれが私だ。わたしは巨人から孵化した怪獣、
  ベムラーを倒すため戦っていた」
エレン「巨人から・・・孵化した・・・?」
グリシャ「巨人とは言わば幼虫のようなものだ。」
グリシャ「過去兄弟達に倒された怪獣や宇宙人達の怨念を結晶化し人形の器に入れ放置する
  人形はやがて育ち、元の姿に戻るためエネルギーを求めだす。人間の生命力を・・・
  ・・・いや、話がそれたな。私はベムラーと戦っていたが途中で邪魔が入った
  それが青い光の方だ。何者かは知らんが、そのせいでお前と衝突してしまった」
エレン「青い光・・・」
36 :以下、
グリシャ「幸いその後青い光はいなくなったが、お前はほとんど死にかけていた
  そこで予定より少し早まったがお前に私の力を継がせることにした
  ここは先ほどの赤い光の中だよ」
エレン「ま・・まて、何を言っているのかわからないのは俺が馬鹿だからじゃないよな」
グリシャ「安心しろ、お前は馬鹿だが最初からすべてを理解してもらおうとは思っていない」
グリシャはそこまで話すと、懐から円筒状の物を取り出しエレンに向かって放り投げた
エレン「これは?」
グリシャ「ベータカプセルだ。困ったときはそれを使え。そうすると・・・」
エレン「そうするとどうなる」
グリシャ「はっはっはっはっはっは・・・心配することはない」
エレン「いや、ものすごく心配なんだけど・・・」
グリシャ「エレン、大切なのは壁内に怪獣が現れたことだ。今までにこんなことはなかった
  何者かが壁内に巨人を転送し、エネルギーを与え続けている」
エレン「そんなことを誰が・・・」
37 :以下、
グリシャ「わからん。私はこれからそれを探ってみようかと思う。お前は、その力で皆を守れ」
そう言うとグリシャはエレンの体を外に運びだそうとした。
エレン「まっまってくれ!まだ・・聞きたいことが・・・」
グリシャは微笑むとエレンの頭をなでた・・・
「今は休め、我が息子よ。いつかすべてを話せるときがくるだろう・・・」
そこでエレンの意識は途切れた
38 :以下、
ーーーーーー
ーーーー
ーーー
エレンは焼け焦げたにおいで目を覚ます。頭から血が出ているようだが、不思議と痛みはあまりない。
先ほど思い返していたのは、夢なのか現なのか・・・
エレンは立ち上がるとふらふらと自分がベムラーと呼んだ怪物に向かい歩き出す。
なぜあの怪物を知っているのか・・・なぜこんなにも落ち着いているのか・・・
自分の中にある記憶の断片がそうさせるのか・・・
近づいてくるエレンに気付いたのか、ベムラーはエレンに向かって動き出した
恐怖も高揚もない。ただ何かに導かれるようにエレンは懐からベータカプセルを取り出すと
天に突き出すようにそれを掲げた
39 :以下、
その頃、訓練兵たちは・・・
サシャ「かっ怪獣が動き出しました!」
ライナー「いかん!町の方に向かっている!」
コニー「だけどどうするんだよ!巨人用の装備で通用するのか!?」
ジャン「んなことわかるかよ!ちくしょう・・・だがやるしかないだろ!」
ベルトルト「ジャンの言うとおりだ。このまま黙っているわけにはいかない」
アルミン「ミカサ・・・」
その時、辺りはまばゆい光に包まれた!!
ミーナ「こ、今度はなに!?」
ジャン「お・・・おい・・あそこ」
訓練兵たちは何とか目を細めジャンが指す方に目をやると強い光の中、巨人が姿を現した
サシャ「こっ今度は巨人・・・巨人が現れました!!」
アニ「・・・・・!!!!」
40 :以下、
銀色の体に赤いライン、人と言うには異質めいたその姿は、これもまた今までの巨人と違う物だと認識させる
ライナー「次から次へと・・・何が起こってるんだ」
コニー「おい、あいつかいじゅうに向かっていくぞ!?」
その巨人は、宇宙人である父グリシャから託されたエレンがベータカプセルで巨人に変身した姿である
マッハ5のスピードで空を飛び、強力なエネルギーであらゆる敵を粉砕する不死身の男となったのだ!
それゆけ!我らがヒーロー!
巨人はベムラーにタックルでぶち当たるとそのまま押し倒しマウントポジションを取る
ベムラーにめがけて2,3発拳を振り落とすとたまらずベムラーは暴れ出した
コニー「いけー!そこだー!」
サシャ「がんばれー!負けるなー!」
ジャン「おい」
41 :以下、
コニー「なんだよ」
ジャン「何応援してんだよ、別にあいつは味方って訳じゃないだろう」
サシャ「そうでしょうか」
アニ「・・・・・・・」
サシャ「あの巨人、なんだか怖くないんですよ。悪者じゃなさそうって言うか」
ライナー「何か根拠でもあるのか?」
サシャ「根拠というか・・・さっきのあの光、なんだかとても暖かくて・・・とても安心するんです」
その場にいた一同は、それを笑わなかった。おそらく同じことを感じたのだろう。
ベルトルト「・・・光の巨人か・・・・」
その時、すさまじい騒音共に巨人が逆に倒されていた。
コニー「ああっ」
43 :以下、
ベムラーは巨人に向かって怪光線を放射し、巨人と距離をとる。どうやら巨人はアレにやられたようだ。
巨人は右肩を押さえ再び構え直すと、じりじりと距離を詰める。
それを待ち受けるようにベムラーは怪光線を放つ!すんでの所で躱すが少し距離を開けられた
ジャン「だめだ、近づけねえ!」
ライナー「なにか方法はないのか?」
その時、ベムラーの後方から別の光線がベムラーに向かって照射される!
アルミン「ミカサ!!」
見るとミカサが森の中からスーパーガンを発射している。ベムラーに命中するもあまり効果はないようだが
それでもベムラーの気が巨人から離れる
すかさず巨人は間合いを詰めるとそのまま背負い投げた
ジャン「よし!いいぞ!いけ!」
サシャ・コニー「・・・・・」ジー
ジャン「・・・こっちみんな//」
44 :以下、
ベムラーは焦ったのか、怪光線を乱射する。
さすがにすべては躱せず被弾すると、ベムラーが追撃しようとした
ミカサ「させない!」
ミカサは森の中を立体機動で高移動しながらスーパーガンを乱れ打つその内の一発がベムラーの目に命中した
ミカサ(なぜだろう、なぜ私はあの巨人を援護している?)
ミカサ(なぜ、こんなにも守りたくなる?)
ベムラーは怒り狂ったように吠えまくると再び怪光線を発射しようとする、が、
巨人がすかさずベムラーの顔面を殴りつける。すると巨人の胸にあるランプが点滅し始めた。
ライナー「あっあれはなんだ?」
アルミン「おそらく危険信号だと思う。赤ランプは万国共通だからね」
ジャン「そんなことわかるもんか」
45 :以下、
そんなことを言っているうちに点滅はどんどんくなっていく
アルミン「もしかして・・・エネルギーに限界があるのか?」
アルミンの推測は当たっていた。宇宙人である光の巨人は、地球上では著しくエネルギーを消耗するのだ
巨人は意を決したように、ベムラーの懐に飛び込むと強引に持ち上げ投げ飛ばす
ベムラーの方も限界に近いのかふらつきながら立ち上がろうとする
巨人はそれを見るとゆっくりと腕を交差させた。
交差させた腕からは今まで以上の光があふれ出しそれはすさまじいエネルギー帯となって
ベムラーを打ち貫いた!
ベムラーはゆっくりと崩れ落ちると轟音を立てて爆発した
コニー「おおおおお!」
サシャ「やったーー!」
ジャン「倒したのか?おい!」
その場にいた全員諸手を挙げて喜び合った。巨人はそれを見届けると、今度は光の中に消えていった・・・
46 :以下、
ライナー「あいつ・・なんだったんだ・・・」
アルミン「さあ、通りすがりの正義の味方、じゃないのかな」
ジャン「なんだよ、それ」
そう言って笑い合っているとミカサが息を切らせて走ってきた
ミカサ「アルミン!みんな!」
アルミン「ミカサ!無事だったんだね!」
ミカサ「うん、エレンは!?」
その時遠くの方から声が聞こえてきた
エレン「おおーい!」
見ればエレンが手を振りながらこちらに走ってくる
ミカサ「エレン・・!」
ライナー「あいつ!今までどこに行ってたんだ!?」
ジャン「つーか普通に敵前逃亡じゃないのか?あれ」
47 :以下、
キース「まあ、今回のは仕方あるまい。イェーガーも病み上がりで錯乱していたのだろう」
エレンは教官の前まで走ってくると姿勢を正し敬礼をする
エレン「イェーガー訓練兵、ただ今戻りました。勝手な行動に走り申し訳ありません」
キース「今までどこにいた」
エレン「はっあの怪生物の光線に焼かれそうになったときに、彼に助けてもらいました」
キース「彼?」
エレン「先ほどの巨人です。彼に助けてもらった後、近くの木の上に避難しておりました。」
ジャン「なんだそりゃ、なさけねえ」
アルミン「ちょっと待って、彼、彼って親しそうに言うけど、あの巨人何者なのさ」
エレン「さあ、そこまでは知らないよ」
サシャ「そうだ、私たちで名前をつけません?」
コニー「名前?」
48 :以下、
ライナー「それならマウンテンガリバーとかどうだ。山のようにでっかくて強い」
ジャン「だせえ」
ライナー「」
ミカサ「・・・光の巨人」
サシャ「まんま過ぎますね」
ミカサ「」
エレン「・・・それならさ、ウルトラマンってのはどうだ?」
アルミン「ウルトラマン?」
エレン「ああ、ウルトラマンイェーガー!」
ジャン(こいつ、どさくさで自分の名前入れやがった)
ミカサ「それはいい。とても優雅な名前」b
サシャ「ではそれで決定ですね!」
コニー「おい!」
ライナー「いいのかよ!それで!」
49 :以下、
アニ「・・・・・・」
ミーナ「どうしたの?アニ・・・ははーんエレンのことが心配でやきもきしてたんだよね
 アニってホンと乙女なんだから?」
そういいつつミーナはアニの蹴りに対応するため防御の構えをとったが
アニ「・・・そんなんじゃないよ」
そう言って踵を返し一人宿舎に戻っていった
ミーナ「・・・アニ?」
エレン「おーい!ミーナ!宿舎に戻るぞ!」
ミーナ「う、うん」
ーーこうして、人類史上初の怪獣討伐戦は幕を閉じる
 まだ戦いは始まったばかりだ、負けるなエレン、負けるなウルトラマン!
 
         第1話 完
50 :以下、
次回予告
ウルトラマンの力を手に入れたエレンは、次々に現れる怪獣相手に戦う日々を送っていた
ところがある日、エレンの前にあの青い球体が現れる!エレンが危ない!
次回、ウルトラマンイェーガー第2話「青き光」 来週もみんなで見よう!
57 :以下、
予定より早かったですが第2話をちょっとだけ投下します。
前回がほぼノリと勢いだけで書いているので設定を少しだけ変えます
・エレン(ウルトラマン)はまだ空を飛ぶことができない(壁を越えちゃうからねしょうがないね)
・グリシャは宇宙人だが、エレンは混血。
・エレンのウルトラマンは宇宙人と言うよりティガ、ダイナ、ガイアに近い存在
・ウォールマリアは超大型巨人が破壊したのではなく、原作9?10巻に近い状況
・ライベルアニはこのSSではウォールマリアの件には関与していない。
・原作巨人組がウルトラマンなり怪獣なりになれるわけではない。そもそもこのSSでは原作のような巨人化はできない設定
・エレンは前回の父親との邂逅を完全に思い出していない
・ヒロインはわtミカサ
こんな感じで進めていきます。後付け設定ってこうやってできていくんだね。
よろしければ、もうすこしだけおつきあいください
58 :以下、
ウルトラマンイェーガー
第2話「青き光」
爆音と悲鳴が街中にこだまする。身の毛もよだつような雄叫びと共にその巨体が姿を現した。
ーーー怪獣と呼ばれる存在、1年前のベムラー出現より実に7度目の出現である。
今までは郊外に現れていた怪獣も、とうとう街中にまで出現するようになってきた。
人々が逃げ惑う中を、軍服に身を包んだ若者たちが怪獣に向かって進んでいく。
『あーあー聞こえますかーこちら本部』
耳につけた通信機と呼ばれる物から聞こえる音に兵士たちは応える
59 :以下、
「ああ、聞こえているぞ!状況は?」
『おお!ほんとに聞こえるみたいだぞ!すげえなこれ』
『ちょっ・・ちょっとユミル。だめだよ、まずはお仕事しないと』
『なんだよ、かってえなクリスタは。お前だって聞こえたときちょっと感動したろ?』
『う・・うんちょっとだけ』エヘヘ
「いいから状況!!」
いらついたように怒鳴り声を上げると、スピーカーの向こう側の二人は慌てて報告に入る
『ご、ごめんなさい。目標は15m級1体、街の南西から北上しています』
「住民の避難状況は?」
『まだほとんどが終わってねえな。駐屯兵団の皆さんががんばっちゃいるがな』
60 :以下、
「了解。仕方がねえ!隊を二つに分けるぞ!俺とミカサ、ライナーベルトルトの4人で目標に当たる!
 エレン、コニーサシャの三人は逃げ遅れた人の救援に当たれ!」
「了解!」
7人は声を掛け合い、それぞれの任務に当たるため離れる
『みんな!気をつけて!』
「おっし!クリスタの応援があれば百人力だぜ!』
『まあ、がんばれよ』
「おまえはいらねえ」
『殺すぞゴリラ』
「てめえら通信装置で遊んでんじゃねえ!・・・敵さんのお出ましだ」
61 :以下、
前方を見るとなるほど、巨大な影が見えている。
青黒い身体に頭部やのど回りを鎧のような物で覆っている。
ベルトルト「なんだかずいぶん堅そうな敵だね」
ミカサ「関係ない。削ぐ。」
ジャン「落ち着け、不用意に近づくな。まずは光線銃で威嚇する。ミカサ、ベルトルトは隙を見て
 ブレードでの攻撃を試みてくれ!」
「了解!」
4人は立体起動装置で飛びながら怪獣を囲むように回り込むと、スーパーガンで攻撃する。
怪獣はうっとうしそうに払うと頭部から光線を発し反撃してきた
62 :以下、
ジャン「あぶねえ!」
光線は当たりはしなかったが、こちらの光線も効いていないようだ。
ベルトルト「スーパーガンじゃあ足止めにもならなそうだね」
ライナー「じゃあ、こいつの試し打ちと行こうか」
ライナーは先日完成したばかりの新型光線銃スパイダーショットを構える
ライナー「堅くてぶっといのをくらいな!」
スパイダーショットから放たれた熱戦は怪獣に当たると爆発し怪獣をぐらつかせる
63 :以下、
ミカサ「!!」
その隙を見逃さずミカサは怪獣に斬りかかったが、ガシィンと言う音が鳴りミカサの持つブレードは弾かれた
ミカサ「くっ」
ジャン「やっぱり堅いな。スパイダーショットがもう一丁あればいいんだが」
ベルトルト「ないものを言っても仕方がないよ。別に弱点がないか探りながら戦うしかない」
ライナー「まったく。毎度毎度、いい加減にしてほしいぜ」
64 :以下、
一方その頃、エレンたちはーーー
コニー「急げー!こっちだ!」
サシャ「慌てず騒がずしっかり急いで!怪獣は待っててくれますから!たぶん」
市民の誘導に走り回っていた。
エレン「おーい!こっちはもう避難は終わったぞ!」
コニー「こっちもこれで最後だ!」
クリスタ『エレン、駐屯兵団の人たちが担当していたところも避難が完了したみたいだよ』
65 :以下、
エレン「そうか、なら俺たちもあいつらに合流しよう!」
コニー「おっしゃ!」
サシャ「エレン、コニー!あれ!」
二人がサシャの指さす方を見ると小さい子供が泣きじゃくってこっちに走ってきた
コニー「逃げ遅れた子か?」
サシャ「よかったです!もう大丈夫ですよ!」
とサシャが子供を抱くと、子供は泣きじゃくりながら
「お母さんが、お母さんがああ」そう言った。
三人はびっくりして顔を見合わせる
66 :以下、
コニー「まだ人がいたのか!?」
エレン「俺が探してくる!二人はその子を避難させてくれ!」
そう言うとエレンは子供が来た方へと走り出した
サシャ「エレン!無茶はだめですよ?!」
エレンは手を振ってそれに応えると再び走り出す
サシャ「エレン、大丈夫ですかね」
コニー「大丈夫だろ、今のあいつなら」
サシャ「エレン、なんだか前と変わりましたもんね」
コニー「以前のあいつなら、人命救助より怪獣討伐の方を優先しそうだったのにな」
67 :以下、
母親はすぐに見つかった。だが、がれきに足をつぶされて動けないようだ。
エレンは思わず拳を握りしめる。
あの日ーーー母カルラが死んだ時を思い出す。
くっ・・・
エレンはいやな感情を振り払うように頭を振ると、母親に近づく
エレン「大丈夫ですか?しっかりしてください!」
彼女は気を失っていたが、命に別状はないようだ。
この岩をどかさないとーーーその時頭上を熱戦が走り、目の前の建物が崩壊した
まずい!
エレンは懐に手をやるとベータカプセルを天に掲げた
68 :以下、
まばゆい光と共に、巨人はその姿を現した
ミカサ「! あれは・・・」
サシャ「ウルトラマン!ウルトラマンが来てくれました!」
ジャン「チッ 正義のヒーロー様のご登場かよ・・・」
ウルトラマンは怪獣の前に立つと構える
エレン(あれは、超古代怪獣ゴルザ・・・か)
ウルトラマンとなったエレンは、時折こうやって自分の記憶外の情報を思い出すことがある
決して気持ちのいい物ではないが、今は情報を得られるだけでもよしとする
69 :以下、
ウルトラマンは低く構えるとゴルザに向かって突進し体当たりするが、逆にウルトラマンの方がぐらつく
そこにゴルザの放った熱戦が命中しウルトラマンは後方に吹き飛んだ
コニー「おい!なにやってんだよ!」
ライナー「くっ」
ライナーが放ったスパイダーショットの熱戦がゴルザを足止めする。
その間にウルトラマンは立ち上がると今度はネックブリーカーに持ち込みそのまま投げる
ひっくり返ったゴルザに向かい、ウルトラマンとライナーが光線を打ち込んだ。
ジャン「やったか?」
70 :以下、
だがゴルザはふらつきながらも立ち上がると地面を掘りだした
ベルトルト「・・・しぶとい!」
ミカサ「もしかして・・・逃げる気?」
そうはさせまいとウルトラマンがゴルザに向かうが、思いの外スピードがくゴルザは地中に消えていた
ジャン「くそっ逃がしちまったか!」
ミカサ「クリスタ、ユミル。周囲に警戒を呼びかけて」
ユミル『了解。お前らも、いったん戻ってくるんだろ?』
ジャン「ああ、そうしよう」
そう言いながら、ジャンはウルトラマンを睨み付ける
ウルトラマンはいつものように光の中に消えていった
ジャン「ウルトラマン、か・・・」
71 :以下、
エレンは元の姿に戻ると、さっき変身した際助け出していた母親を抱え皆の所に戻ろうとした
「!?」
その時エレンは視界の端に見知った顔を見たような気がした
エレン(今のは・・・アニ?・・・いや、まさかな。あいつがここにいるはずがない)
一年前、憲兵団に入隊し、内地へと行った旧友の顔を思い出す。だが、辺りを見回しても人の気配はなかった。
(やっぱり気のせいか・・・)
エレンは後ろ髪を引かれる思いがしながらも、コニーとサシャの所に戻っていった。
74 :以下、
半年前に創設された新しい兵団「科学特捜兵団」通称「科特隊」。
増えだした怪現象・怪獣などに対応するため創設された兵団だが、入隊したメンバーはほとんどが1年前まで訓練兵だった者たちであった。
これは第一次怪獣討伐戦に深く関わったのも大きいが、憲兵団を始めほかの兵団が「怪獣」などという未知の脅威に尻込みしたのが原因、ようはやっかいごとを押しつけた形になったのだ。
唯一科特隊に理解を示した調査兵団も、壁外調査は引き続き行わなければならないため人員を割くことができず、一部の者が科特隊に参加しているのみである。
科特隊は怪獣討伐だけでなくさまざまな科学分野の研究にも携わっており、特にアルミン・アルレルトの生み出した発明品は「電気」と呼ばれるエネルギーを始め武装のみならず、市民生活の中にまで大きな影響を及ぼすほどであった。
75 :以下、
隊員達が本部に戻ると、通信士として先日入隊したユミルとクリスタが出迎えてくれた。
二人は調査兵団から来た人間で、エレン達とは訓練兵時代同じ釜の飯を食べた同士でもある。
クリスタ「みんな、お疲れさま!今、紅茶を入れたよ」
クリスタはあらかじめ用意しておいたらしいお菓子と紅茶をテーブルの上に並べていた
ライナー「おお、ありがたいぜ。(結婚しよ)」
ユミル「おお、ありがたく飲めよ」
コニー「何でお前が偉そうにしてるんだよ」
76 :以下、
エレン「アルミンは?」
クリスタ「ずっと研究室に籠もりっぱなし・・・お茶を煎れるからって呼びに行ったんだけど」
ジャン「ほっとけよ、腹が減ったら出てくんだろ」
サシャ「何言ってるんです、私じゃあるまいし・・・」モグモグ
ユミル「自分でいうか」
隊員達が談笑していると前訓練兵団教官で現在は科特隊隊長のキースが入ってきた。
全員即座に起立し敬礼をすると、キースはゴホンを咳払いをし
キース「よせよせ、ここは他の兵団とは違う。窮屈な敬礼など必要ない」そう笑った
78 :以下、
科特隊は独立治安維持部隊としてのあらゆる特権行使が許されている。
が、先にも述べたように巨人以上の脅威とされた怪獣に少数で立ち向かうことを義務づけられた「鉄砲玉」という側面もあり、死にゆく者への最低限の常歩でもあった。
ただ、周囲の予想に反して彼らはただの一人の犠牲者も隊内はもちろん、市民からすら出しておらず
先述の特権行為の件と合わせて、他の兵団からも疎ましく思われ始めていた。
キースはこの周囲の状況に、憤りも感じるが仕方のないことだとも思い、隊内のみでは「無礼講」を認めていた。
キース「それで、今回の被害状況を知らせ」
クリスタ「はい!今回の被害状況ですが、死者はゼロ。けが人は十数名。しかし取り逃がした怪獣の行方は未だつかめず、科特隊の捜索班と駐屯兵団とで足取りを追っていますが・・・」
79 :以下、
ライナー「さすがに地中を移動されたんじゃ捜しようもないな」
クリスタ「それと南部の町は軒並み怪獣に破壊され、多くの避難民が出ています。」
キース「うむ。今後このような事態が続くやもしれん。お前達は事態に備え体を休めておけ」
報告を終えキースが部屋から出て行くと皆は再び話し始める
エレン「しかし、避難民が多く出ているのは問題だな」
ミカサ「うん」
二人は数年前のウォールマリアでの件で避難民として数年暮らしたことがある。あの日々の苦しさを思えば
今日家を失った人々への想いは強くなる
80 :以下、
ベルトルト「その辺りに関しては、何とかもう少し迅な対応ができるようになればいいね」
ミカサ「今日の出撃で通信機は役に立った。これをもう少し活用できれば」
意見を出し合う隊員達を尻目に、ジャンは吐き捨てるように言った
ジャン「俺たちがこれ以上何かやる必要があるのか?」
その言葉に、その場にいた者はキョトンとしたような顔でジャンを見る
ジャン「今日もそうだが、急いで駆けつけたところで結局敵を倒すのはあの正義のヒーロー様だ」
エレン「・・・」
81 :以下、
コニー「何をいってんだ?俺たちだって怪獣を倒したことあったじゃないか」
ジャン「それだって、ウルトラマンの援護があってだ、別に俺は自分たちの力を卑下したいわけじゃねえ
 今日の通信機やスパイダーショットだって効果は確認できた。その内、奴に頼らなくても
 倒せる日だって来るかもしれねえ・・・だがな、力をつければつけただけ思い知るんだよ
 奴が・・・ウルトラマンがどれだけ化け物かってな」
エレン「・・・!」
ジャン「お前らは何も感じないのか!?あの力が、もし俺たちに向かってきたら!」
コニー「それは・・・」
サシャ「で、でも!ウルトラマンは今までだってずっと私たちを守ってくれたじゃないですか!」
ジャン「それだってどうだかわかんねえぜ?そもそも本当に奴は俺たちを守ってくれているのかよ」
ユミル「まあ確かに結果的にこちらが助かっているだけかもしれないしな」
エレン「お前ら、何が言いたいんだよ・・・」
82 :以下、
ジャン「てめえは一度直接助けられたことがあったから肩入れすんのかもしれねえけどな、
 奴の目的がなんなのかわかんねえ以上俺は奴を完全に信用できねえ、
 だが、奴が怪獣と戦っている以上こっちに都合がいいのも事実だ」
エレン「・・・」
ジャン「なら俺たちはそれを徹底的に利用する!・・・ああ、化け物の相手は化け物にやらせるべきだ」
エレン「・・・この屑やろうが!!!」
激高したエレンがジャンに掴みかかる
ライナー「おい!やめろ!」
ライナーが二人の間にわってはいるが、エレンは止まろうとしない
83 :以下、
エレン「俺たちがここまで生き残ってきたのは、俺たち自身が強くなっていたからじゃねえのか!
 今日だって、ライナーの援護がなけりゃ、どうなってたかわからねえんだ!
 その俺たちが、力の放棄を考えてどうしようってんだ!」
ジャン「別に力を放棄しようって訳じゃねえ!ただ、利用できるモンは利用してやれってことだよ!」
エレン「だったらお前は何でここにいるんだ!元々お前は憲兵団志望だっただろうが!
 憲兵団に行くことのできる権利を放棄してまで、最前線に残ったのは何のためだよ!!」
ジャン「・・・!」
エレン「戦うためじゃないのか!?俺たち自身の手で、人々を守るために!」
「わりいけど」そうユミルが割って入る「正直ジャンの言ってることは間違ってるとは思えねえよ」
ユミル「というか、お前の言っているのはただの綺麗事にしか聞こえねえ。」
エレン「な・・・」
84 :以下、
ライナー「エレン、確かにお前の言っていることは正しいとは思う。だが今は非常時だ、俺たちは
  どんなに汚名をきようがどんなに泥にまみれようが、守れるもんは守らなきゃならねえ」
エレン「・・・」
コニー「・・・お前、ほんとに変わったよな」
エレン「・・・・え?」
ミカサ「・・・・・・」
コニー「なんていうかさ、ちょっと前のお前なら。怪獣が現れたら真っ先に『駆逐してやる!』とかいって
 真っ先に飛び出したりしてだろうし、それどころか今日は人命救助の方を率先してやってたじゃないか」
エレン「それは・・・」
コニー「今日のジャンの言ってることだってホントは納得してたんじゃないのか?」
85 :以下、
エレンは何も言えず拳を握りしめると部屋から出て行こうとした
ミカサ「エレン!」
エレン「・・・すまない、ちょっと頭冷やしてくる」
そう言い部屋から出て行った
コニー「・・・ちょっと言い過ぎちまったかなあ」
ジャン「フン、気にするこたあねえよ。」
そう言いジャンはふてくされたように椅子に座った
クリスタ「でも・・・私は今のエレンの方が好きかな」
ライナー・ユミル「え”・・・!」
ミカサ「・・・」チラッ
86 :以下、
クリスタ「あっいや、そういうことじゃなくて、なんていうか・・・訓練兵の頃のエレンって私、怖くて
  近寄れなかったんだよね、だけど今はあの威圧感がなくなったっていうか・・・」
サシャ「以前とは考えられないくらい話しかけやすくなりましたよね?」
ミカサ「確かに・・・エレンは少し変わった・・・だけど・・・」
サシャ「だけど?」
ミカサ「エレンはエレンだから」
ユミル「なんだそりゃ」
87 :以下、
その頃エレンは一人丘の上で思いにふけっていた
ーーーーお前、ほんとに変わったよな
ああ、自分でもわかっている
ーーーー奴が・・・ウルトラマンがどれだけ化け物かってな
エレンは胸にあるベータカプセルに触れた
ーーーーこの力を使って、皆を守れ
「・・・俺は、本当に俺なのか?」
92 :以下、
「エレン?エレンじゃない!」
その声に振り返ると、そこにはかつての仲間ミーナ・カロライナの姿があった
「・・・ミーナか。久しぶりだな」
ミーナ「なあに!?久しぶりに元班員に逢ったのにテンション低いなあ」
そういってふくれる彼女に、エレンはすまないと言った
ミーナ「・・・何か悩み事?相談に乗ってあげようか?」
エレン「ああ、いや別にいい」
ミーナ「??!そういう所は変んないわね」
ミーナは側にあったベンチに腰掛けると、ここに座れと言わんばかりに自分の隣をバンバンと叩く
エレンは観念したようにミーナの隣に座ると彼女はにっこりと微笑み、さあ話せと言った。
93 :以下、
所変わって科特隊本部の中。最も奥深い所にある一室にアルミン・アルレルトはいた。
今にも崩れそうに積み重なった書類と書物の中比較的小さい身体をさらに小さくして何かに没頭していた。
「よっ少年。はかどってるかい?」
後ろから聞こえた声に振り返ることもなくアルミンは応える。
「ええ、もう少しで完成しそうです。ハンジ博士」
「博士はやめってっていてるじゃない」
そういってハンジと呼ばれた女性はカラカラと笑った。
彼女の名はハンジ・ゾエ。調査兵団に所属している兵士で、科特隊の研究所員の一人でもある。
元々巨人の研究に熱心だった彼女は、今では生物学の権威としてもその才を発揮し始めていた。
彼女は鞄から書類を取り出すとアルミンに手渡す。
ハンジ「はいこれ、リヴァイからの報告書」
94 :以下、
アルミンは背中越しに無言で受け取るとぱらぱらとその書類に目を通す
ハンジ「これって私たちの予想・・・いや空想に近かったものが現実になってきていない?」
アルミン「怪獣出現後、巨人が軒並みいなくなりつつある」
ハンジ「壁に群がっていた巨人の数がずいぶん減ってきたと思ってきてたけど、リヴァイたちがシガンシナ区に
 行って戻ってくるまでの間、巨人にほとんど襲われていない」
アルミン「やはり巨人と怪獣は何かしらつながりがある・・・」
ハンジ「こうなると、そう考えるのが妥当でしょうね・・・ねえ、アルミン。君はどう思っている?」
アルミン「というと?」
ハンジ「1年前、第1次怪獣討伐戦から始まってからのこと。偶然、怪獣の出現に合わせて現れた正義のヒーロー
 偶然同じ頃から減り始めた巨人たち。そして偶然同時期から、とんでもない発明品が次々と世に出てきた」
アルミン「・・・・・・」
95 :以下、
ハンジ「あまりにもよくできた偶然の重なり方だ。『当事者』の君として今の状況をどう考えている?」
アルミン「そうですね、確かに何者かから背中を押され続けているような感覚が絶えません。
  まるで一刻も早く世界を次のステージまで押し上げようとしているような、そんな感覚が。
  元々発明品に関する知識は祖父の書庫にあった蔵書にヒントは書いてありました、しかし
  それらはほぼ空想に近い物で実現が可能だとはとても思えなくて」
ハンジ「しかし君は作り続けている、誰も思いもよらないような。それこそ絵空事のような物を」
アルミン「正直、なぜ僕にそんな知識が溢れ始めたのか、思い当たる節がないわけではありません
  ただ、確証もないままうかつに声に出すことではないとも思っています」
ハンジ「・・・」
アルミン「それに現状僕のこの発明は確実に怪獣の驚異を取り除くことができるはず。ならば、
  余計なことは考えずに今はただ、作り続けるだけです」
ハンジ「君は変わったよ、アルミン。なんて言うか『大人』になってしまったな」
アルミン「この急激に変わって行く世界で、変わらないでいられることなんて出来ませんよ」
そう言ってアルミンは薄く笑った
96 :以下、
「・・・なあに?そんなことでジャンと喧嘩したわけ?」
そう言ってミーナはお腹を抱えて笑った
エレン「そんなにおかしいことかよ」
エレンは少しむすっとしてミーナを見る
ミーナ「ごめんごめん、ただ少し懐かしいなって」
エレン「懐かしい?」
ミーナ「訓練兵時代はさ、そうやってエレンとジャンはよく喧嘩してたなって」
エレン「・・・ああ」
ミーナ「あの頃からさ、エレンは自分の信念にまっすぐで、揺るがなくて・・・
 まあそこが融通のきかなさにもつながっていたけど。」
エレン「む・・・」
ミーナ「だから回りとの衝突もよくあった。だけど少なくとも私たちにはそれがとてもまぶしく見えた。
 ・・・今だから言うけど、私エレンのこと好きだったんだよ」
97 :以下、
エレン「えっええ!?」
わかりやすく狼狽えるエレンにミーナは笑う
ミーナ「あはは、心配しないで。あくまで終わった恋だから・・・とても叶いそうになかったしね」
エレンはなんだか一方的に告白されたあげく一方的にふられたような感覚がしてむず痒くなる
ミーナ「エレンはさ、そうやって諦めていく私たちとは違うんじゃないのかな。
 自分が信じたものを最後まで信じ抜いていけばいいんじゃないのかなって」
エレン「でも、それが間違っていたら?」
ミーナ「あはは、そのときはきっとジャンが余計なことを言って喧嘩してくれるよ
 きっとミカサが、エレンを止めてくれるよ」
エレン「・・・・・・」
98 :以下、
ミーナ「・・・そうだ!私ね、今新聞記者やってるんだ」
そう言って鞄から新聞を取り出す
ミーナ「ここの記事見てよ!」
エレンがその記事を見るとそこにはウルトラマンのことが書かれてあった。
曰く人類の救世主、曰く神の使いだとーーーー
ミーナ「もちろん、うちの編集部にもウルトラマンの存在を懐疑的に見ている人もいるよ
 憲兵団でもウルトラマン討伐の案が出ていたみたいだし」
エレン(討伐案だって?・・・いや当然か)
ミーナ「だけど同時に、ウルトラマンは人々の希望にもなっているんだ。特に子供たちはすごいよ
 ウルトラマンの記事が出るたび、目をキラキラさせてその活躍を見守っている」
エレン「・・・・・・」
99 :以下、
ミーナ「私にはウルトラマンが敵か味方かなんて難しいことはわからないよ。
 だけど、初めてウルトラマン見たときの、あの光の暖かさだけは覚えている」
ミーナ「それだけじゃあ、だめかな?」
エレン「・・・そうだよな。俺が信じなくて、誰が信じるかってんだ」
ミーナ「そうそう、エレンもあたしと同じであまり頭はよくないんだから深く考えるの無駄だって」
エレン「おい」
そう言って二人は笑う。エレンは少し肩の力が抜けたような感じがした
ミーナ「あ、もうこんな時間だ!戻らなきゃ」
エレン「ああ、すまない仕事中だったか」
ミーナ「うん、今から憲兵団に取材に行くんだ」
100 :以下、
エレン「憲兵団に?・・・そうだミーナ、お前今アニがどうしているか知っているか?」
ミーナ「アニ?うん、取材で行く時は必ず逢って一緒にお茶してるよ」
エレン「最近、アニがこっちに来るようなこと、あったか?」
ミーナ「どうだろう、アニも結構忙しそうにしてるから、今日みたいに怪獣が出てくる日は
 憲兵団は基本的に本部に待機状態になるからこっちにはこれないはずだけど」
エレン(やっぱり、あれは気のせいだったのか?)
ミーナ「・・・なに?アニのこと、そんなに気になるの?」
エレン「・・・ああ、ちょっとな」
ミーナ(こっこれは!ましゃか!!?)
ミーナ「じゃ、じゃあ私行くね!」
そう言うとミーナは駆け足で去って行った
101 :以下、
エレン「ありがとな?!」
エレンがそう叫ぶと遠くから「うん」と言う返事だけが聞こえてきた
エレン「なんだ?あいつ・・・」
旧友のおかしな様子に首をかしげながらもエレンは科特隊本部に戻ろうとした、とその時
エレン「うわ!!」
突然地震が起き、エレンはその場に座り込む。そして聞こえてくる聞き覚えのある鳴き声
エレン「まさか・・・!」
102 :以下、
クリスタ「昼間の怪獣が姿を現しました!」
キース「場所は?」
ユミル「昼間の場所の側、ウォールローゼ南区の山間部です」
キース「よし、科学特捜兵団、出撃!」
「はっ!!」
ミカサ「エレンがまだ戻っていません!」
ジャン「なにやってんだあの馬鹿」
ライナー「しかたない、俺たちだけで出撃するぞ!」
一同はうなずき武器と立体起動装置を手に出立する
103 :以下、
コニー「思ったよりく出てきたな!」
サシャ「きっとお腹がすいたんですよ」
ミカサ「冗談言っている場合じゃない」
サシャ(えっ・・・冗談?)
ライナー「ほかの兵団は?」
ジャン「住人の避難はほとんど完了しているからな、後は俺たちに押しつけて穴熊決め込む気らしい」
ライナー「いつものこととはいえ、あきれるぜ」
ベルトルト「・・・ホントだよ。本当人間って度し難いよね。」
ライナー「何を言ってるんだ?ベルトルト」
104 :以下、
ベルトルト「こんな調子が続くようなら、人間はよりよい指導者の下に統率されるべきなんじゃないのか、
  もしくはいっそ滅んだ方が・・・」
ジャン「ふざけたことを言うな!」
ベルトルト「冗談だよ。昼間のエレンとジャンのこともあってさ、ちょっと苛立っていた。ごめん」
ジャン「そ、それを言われるとあれだけどよ」
ライナー「・・・冗談でも言っていいことと悪いことがある。聞いていたのが俺達だけだったから良いようなものを
  もし誰かに聞かれたら、反逆罪に問われるかもしれないんだぞ」
ベルトルト「ああ、ごめん。気をつけるよ」
隊員はそれ以上は何もしゃべらず、怪獣に向かって飛び続けた。
その下をエレンが走っていた。科特隊本部に戻ろうとしたが、先ほど別れたミーナのことが気になり戻ってきていたのだ
105 :以下、
エレン(あいつ・・無事だと良いんだが・・・)
さっきミーナと話していた丘の上に来ると、怪獣、ゴルザの姿が目視できた。
くっ・・・!
エレンが懐のベータカプセルに手をかけようとすると、人の気配を感じて振り返る
するとそこには、アニの姿があった。
エレン「アニ・・・?」
アニは無言で怪獣を見据えると、右腕をゆっくりと掲げた。
その右腕についていたブレスレットにエレンはぎょっとする
ーーーあれは、ベータカプセルと同じーーー
次の瞬間、周囲は青き光に包まれ、ゴルザの前には青い巨人がその姿を現した。
106 :以下、
クリスタ「ユミル、ウルトラマンだよ!」
ユミル「いや・・違う。いつものウルトラマンじゃない」
キース「ウルトラマンは一人ではないのか」
現れた青いウルトラマンはゆっくりと怪獣に近寄る
エレン(まさか、あいつがウルトラマンだったなんて)
青いウルトラマンーーーアニが右手を掲げると、青い光弾がゴルザに襲いかかる
光弾がゴルザに命中しひるむとアニはローキックを入れさらにぐらついたところに回し蹴りを入れた
もんどり打つゴルザにとどめを刺そうとするアニに、ゴルザの熱線がおそう!
油断したのかまともに食らうとアニは後方に吹き飛んだ
「!!」
それを見たエレンはベータカプセルを天に掲げた!
107 :以下、
ミカサ「!ウルトラマン」
ライナー「また巨人か」
ジャン「いったいどうなってやがる」
赤いウルトラマンーーーエレンはアニを押さえ込もうとしているゴルザに体当たりをするとしっぽをつかみ投げ飛ばした
エレンはまだ倒れているアニを助け起こそうとした時、後ろからゴルザの熱線が飛んできた 
今度はエレンが吹き飛ぶとゴルザはエレンを羽交い締めにする
エレンが思わず片膝をつくとゴルザはそのまま首を締め上げた
グウッ
エレンが苦しそうにうごめくと、アニがゆっくり立ち上がってこちらを見る
そのまま胸の前で両手を交差させるとそこには青い光球が大きなエネルギーを集め膨らんでいく
(お、おいまさか・・・・!)
108 :以下、
アニはそのまま両腕を前方に突き出し光弾をエレンとゴルザに向かって放出した
(くうっ・・・・!)
エレンは一瞬覚悟したが、光弾はエレンの横を抜けて、ゴルザの胸と貫いた
ゴルザはそのまま断末魔の叫びを上げ、爆発し消滅した。
エレンはふらふらと立ち上がると、アニと対峙する
しばらくにらみ合っていたが、二人のウルトラマンは光の中に消えていった
ジャン「・・・あのどちらかと戦うことになるのか?・・・科特隊、帰投するぞ!」
「了解」
怪獣とウルトラマンが消えたのを確認し、科特隊の面々は本部に帰っていった
109 :以下、
ーー
ーーーー
ーーーーー
夕日の中、元の姿に戻ったエレンは、先ほどの丘の上にいた
エレン「くそっ頭の中じゃ、もっと動けているのに!」
そう言ってふらふらと立ち上がると、目の前にアニの姿があった
エレン「アニ・・・お前・・・」
アニ「エレン、あんたが二番目だったんだ・・・」
エレン「どうしてお前がウルトラマン・・・」
それを遮るようにアニは続ける
110 :以下、
アニ「この世界はもう限界に来ている。その世界を守れるのは、科特隊なんて言う仲良しグループじゃない
 それがわかったから私は科特隊に参加しなかった。この世界にとって人類とは病原菌よ・・・
 世界をマイナスエネルギーで汚していくだけの存在」
エレン「・・・違う」
アニ「ウルトラマンの力は世界を守るためにあるもの。しかし存在理由を持たない人類まで救う義理はない!」
 エレン、科特隊なんてやめてしまいなさい、私と共にゆくことがあんたの成すべきことよ!」
エレン「違う・・・絶対にお前の考えは間違っているぞ!!」
二人の言葉は交わることはなく、睨み合ったまま、ただ時間だけが過ぎていった。
         第二話 完
111 :以下、
次回予告 
憲兵団の仕事で野戦病院に赴いたアニはそこで一人の少女と出会う
少女とのふれあいで心の揺らぐアニの前に怪獣が襲いかかる。子供達が危ない!
次回 ウルトラマンイェーガー 第3話「二人のウルトラマン」来週もみんなで見よう!
112 :以下、
おまけ
アニレイター…アニが変身する際右手首に装着する、青い光を宿した変身ブレスレット。中央部が発光部となっており、通常時は翼状のパーツが折りたたまれた状態でアニが携帯している。名前をつけたのはアニで名前を考えるのに三日三晩を要したという
118 :以下、
ウルトラマンイェーガー
第3話 「二人のウルトラマン」
薄暗い路地裏、頭からすっぽりとフードを被ったアニは目の前に現れた男に話しかける
「・・・・・・なんの用だい?ベルトルト」
ベルトルト「やあ、アニ。久しぶり」
アニ「・・・なにかあったの?」
ベルトルト「それはこっちの台詞だよ。なぜ姿を現した?」
アニ「・・・・・・」
119 :以下、
ベルトルト「マイナスエネルギーの浸食度合いをもう少し確認できるまで動かないと決めていただろう?」
アニ「・・・ライナーはなんて言っているの?」
ベルトルト「ライナー・・・?ああ、もうだめだよ。結局ライナーはデュナミストになり損ねた奴だ
  もう、あの頃の記憶すら残っていないだろう。すっかり科特隊の一員さ」
アニ「・・・そう。ねえベルトルト。もし・・・エレンと私が組んだらこの世界のマイナスエネルギーを
 完全に消し去ることが出来ると思う?」
ベルトルト「そんなことを考えてエレンの所に行ったのか?アニは・・・。
  まったく、昨日あの程度の怪獣に二人がかりで苦戦しておいて、よく言えるね」
120 :以下、
アニ「・・・あれは・・・」
ゴルザ相手の戦闘では、決して共闘したわけではない。そう言いたくもあったが、
苦戦したのもまた事実なのであまり強くはいえない
ベルトルト「まあいいさ、ウルトラマンの登場で確かにマイナスエネルギーはかなり薄まっているようだ
  ウルトラマンというのは、人の心にも光を与えるものらしい」
アニ「だったら・・・!」
ベルトルト「憲兵団にいるアニならわかっているはずだよ、この世には、何とも度し難い人間も
  数多くいることを」
アニ「・・・・・・」
123 :以下、
ベルトルト「光が強くなれば当然影も濃くなっていく。誰が言い出したのかは知らないけど的を得てるよ」
アニ「結局人類をどうにかしない限りこの世界は救われない・・・の?」
ベルトルト「心配することもないさ。もうすぐ僕も光を手に入れる・・・そうすれば」
アニ「・・・何言っているの?結局あんたも光には選ばれなかったじゃない」
ベルトルト「・・・ライナーと一緒にするな!僕はデュナミストだ、エレンもアニも
  光を手にしたのは偶然に過ぎない。・・ああ、そのために僕は科特隊に入ったんだ
  僕こそが、あの光を受け継ぐのにふさわしいんだ」
アニ「・・・あんたホントにベルトルトかい?ずいぶん饒舌になったもんだ」
ベルトルト「・・・変わるために僕はここに来た、いつまでも昔の僕じゃない」
124 :以下、
アニ「もういいよ、私は私でこの世界を救う。たとえ・・・すべてを・・・」
そこまで言うとアニは踵を返し歩き出した
ベルトルト「アニ。久しぶりに会ったエレンはどうだった?」
アニ「・・・別に、前と変わらない、馬鹿のままだったよ」
そう言ったアニの顔は微笑んでいたのか、フードに隠れてよくは見えなかったが
それ以上何も言うこともなくアニは街の中に消えていった。
ベルトルトも科特隊本部に向かって歩いていると後ろから呼ぶ声が聞こえてくる
科特隊の面々が自分を呼んでいるようだ
ライナー「どこに行っていたんだ、ベルトルト!探したんだぞ!」
(・・・・・・)
ベルトルトはゆっくりと振り返ると、すまなそうに笑っていた
ベルトルト「ごめん、ちょっと道に迷ってさ、みんなを探しているうちに更に迷ってみたいで」
126 :以下、
ジャン「おいおい、だいじょうぶか?お前」
コニー「いいからさっさと帰ろうぜ?もう日も落ちちまったよ。せっかくの休日だったのに」
サシャ「最後に本部でお留守番しているエレンとミカサにお土産買っていきましょうよ!」
ジャン「ミカサと二人っきりでいられる奴に土産なんかいらねえよ!うらやましい!」
ユミル(まだ諦めていなっかたのか・・・)
クリスタ「いいじゃない、それにアルミンにも買っていかないと」
ライナー「なんという優しさ・・・まさに女神か」
ユミル(お前もいい加減諦めろよ・・・)
やいのやいの騒ぎながら街道を練り歩く科特隊一行の後ろをついて行きながら、
ベルトルトはアニが去った方に目をやる
(アニ、君も今に思い知るさ・・・本当に人類を導けるのは誰なのかを
 その時まで、せいぜい踊っておくれよ・・・僕のアニ・・・)
128 :以下、
その頃、科特隊本部ではエレンとミカサが訓練場で汗をかいていた
「ふっ!」
ミカサがエレンの奥襟をとろうとするとエレンは少し前にかがませながら
伸びてきたミカサの腕をとり関節を極めようとする。だがミカサは力に逆らおうとせず
そのままエレンが関節を動かした方に身体を回転させると腕を外しそのままエレンの
後ろに回り込みチョークスリーパーを極める
「ぐっぐう・・・」
エレンは参ったと床を叩くがミカサは力を抜かない
129 :以下、
・・・スーハースーハー
ミカサの鼻息が荒くなってきている
本能的にエレンは危機を感じ取るとわずかにミカサの腕が緩んだ瞬間に背負い投げの要領で
ミカサを前方に投げ、距離を離し息を整える
ミカサ「ああ・・・」
残念そうに言うミカサにエレンは思わず声を荒げる
エレン「何残念そうにしてやがる!訓練で絞め殺すつもりかよ!」
ミカサ「ごめんなさい、あまりにもいい香りがしたからつい」
悪びれずそういうミカサにあきれるエレン
130 :以下、
エレン「全くお前は・・・やっぱり対人格闘の訓練はアニの方が・・・」
そこまで言ってエレンは昨日のことをまた思い出す。
横でミカサがむっとしているが気にならない、というか出来なかった。
エレン(くそっアニの奴どういうつもりだよ・・・)
昨日のことが納得できずに何度も頭の中で昨日のやりとりを繰り返している
頭に来て早々に本部に帰ってきたが、もっと話を聞いておけばよかったという後悔もある
エレン(世界を救うには人類が邪魔?)
 (なんだよ、マイナスエネルギーって)
 (何で肝心な部分を・・・あっ俺が聞かなかったんだ!)
131 :以下、
文字通り頭を抱えていると、ふと気配を感じ顔を上げるとミカサの顔が真近くにあって思わずのけぞる
エレン「なっ、なんだよ・・・」
ミカサ「エレン、昨日のことまだ考えているの?」
ミカサが言っているのは、ジャンと喧嘩したことだろう。アニのことで頭がいっぱいで
すっかりと忘れてしまっていたが、ミカサが心配してくれているのはわかる
エレン「ああ、悪い。まだ自分の中で折り合いが付かないみたいだ」
アニのことを話せるわけでもないのでそうお茶を濁そうとしたが・・・
ミカサ「・・・耳が赤くなっている。嘘付いてる証拠」
家族の目をごまかせるほど嘘は得意ではなかった
132 :以下、
ミカサ「やっぱり、エレンは少し変わった。人や、まわりを見る目が優しくなった。」
エレン「なんだよそれ。そんなこと言っても何にもでねえぞ」
ミカサ「でも同時にすごくつらそうな目ををするときがある・・・
 ・・・話して欲しい。一人で悩んでいるんだったら。私達は家族なんだから」
エレン「ミカサ・・・」
ーーーーなぜ、正体を明かさないの?
昨日、アニが最後に言った言葉が頭をよぎる
ーーーー人は過ぎた力を望んではいない
ーーーーあんたも私も、正体が知られればたちまち化け物扱い。そうでしょう?
133 :以下、
だから正体を明かさないというわけではないが、
ーーーー奴が、ウルトラマンがどれだけ化け物かってな
アニが言っていることを完全に否定できずにいる自分もいる
俯き黙り込むエレンにミカサは続ける
ミカサ「覚えてる?エレンが私を助けてくれたあの日・・・」
エレン「ああ・・・」
ミカサ「さらわれた私を助けるために大人相手に立ち向かい、そして殺した」
エレン「・・・・・・」
135 :以下、
ミカサ「それを狂気だとなじる人もいる。けどエレンが力を振るうときはいつだって
 何かを守るためだった」
ミカサ「エレンがどんなに変わっても、エレンの本質は決して変わらない
 エレンはあの日から、そして今でも・・・ずっと私のヒーローだから」
そうまっすぐにエレンを見つめてミカサは言った
エレンはくすぐったそうに笑うとまっすぐにミカサを見て言った
「・・・ああ。ありがとう。ミカサ・・・でも今はまだ言えない」
「今は?」
「いつか、必ず話せる日が来ると思う。その時までは・・・」
「うん・・・わかった・・・待っている」
136 :以下、
遠くの方で騒がしい声がする。どうやらみんなが帰ってきたようだ。
エレン「さて、俺たちも行こうか」
ミカサ「うん」
どちらからというわけでもなく手をつなぐと二人は仲間達の所に歩き出した。
140 :以下、
それから一週間が過ぎようとした頃、アニは憲兵団の仕事でウォールローゼ内にある
病院に来ていた。前回の怪獣出現時に出た、負傷者リストの作成ができたのでその確認のためだ
何でそんなことを自分が。そう思ったが、前回ゴルザ出現時に本部にいなかったのがばれたため、
雑用を押しつけられたのだ。我ながら間抜けだとアニは自戒する
 
病院側とのリストの照合を終え、さあ帰ろうかとしたとき後から馴染みの声が聞こえてきた
「アーニー」
アニがげんなりした表情でふり返ると、そこには満面の笑みを浮かべたミーナの姿があった
141 :以下、
アニ「・・・なに?」
ミーナ「何って何よ!こないだせっかく憲兵団本部に行ったのにアニいなかったじゃない!」
アニ「ああ、だから今日はこんなところに来る羽目になったのよ」
そう言ってアニは書類の束をミーナに見せる
ミーナ「自業自得でしょ、そうやってしょっちゅうサボっているから余計な仕事までする羽目になるのよ」
アニ「はいはい。あんたこそ何でこんなとこにいるの?」
ミーナ「私はちゃんとした仕事です」
彼女はここにここ最近出現した怪獣による被害のまとめを記事にするらしい
要は自分と同じだ。アニがそう言うとミーナはその書類を見せてと詰め寄ってきた。
本来まだ公表できない書類ではあるが、アニにとってはどうでも良いことなので
いわれるまま、ミーナに見せる
142 :以下、
アニ「ああ、一応丸写しはやめてね」
ミーナ「わかってるって」
言ってる側から丸写ししているのは気のせいか、アニはわざとらしく溜息をつく
ミーナ「そういえばね」
アニ「うん」
ミーナ「こないだエレンにあったよ」
アニ「・・・ふーん」
ミーナ「なんだかね、アニのことすっごく気にしていたみたい」
アニ(それはそうだろうね・・・)
143 :以下、
ミーナ「なあに?その淡泊な反応。せっかくアニが喜ぶと思って教えてあげたのに」
アニ「・・・なんで私が喜ぶの」
ミーナ「・・・なんでだろうねぇ」
ミーナはじとっとした目でこちらを一瞥すると再び書類に視線をおとす
アニ「あんたはすぐそっちに話を持って行きたがるけど、私にそんな気はないって何度も言ってるじゃない」
ミーナ「あーはいはいそーですねー」
少しイラッとしたがぐっと堪えて話を続ける。
144 :以下、
アニ「だいたい、あいつにはミカサがいるじゃない」
ミーナ「・・・アニの場合、恋敵がいることが問題なんじゃないでしょ」
アニ「問題って」
ミーナ「いいの?自分の気持ちにずっと嘘をつき続けたままで」
なんだかんだと、ミーナとのつきあいはもう4年になる。
訓練兵時代はそれこそ寝食を共にしていたのだ。互いの嘘もそれなりに敏感になる。
アニ「あんたってほんとに・・・」
ずかずかと人の中に入り込んでくる。訓練兵時代は私に声をかけてくる奴なんてほとんどいなかった。
私の方も人と関わろうとしなかった。その結果頂いた愛称が「冷血女」
その私に、物怖じすることなく話しかけてきたのはミーナとエレンだけだった。
145 :以下、
ああ、白状すればエレンのことは憎からず思っている。
しかし、だからどうだと言うのだろう。エレンは決してこの世界の人間を捨てることはない。
なら、この先相対することはあっても手を取り合うことはないだろう
時々自分が分からなくなる時がある。
この間はエレンに人類は滅ぶべきだといいながら
今はこうやって気の置けない友人との無駄話に心地よさを感じている
自分の心を極力閉ざしてここまで来たつもりが
エレンへの想いを完全に捨てきれずにいる
ーーーーーアニ、光がお前を選んだ
ーーーーーこの力は、あまりに大きすぎる
ーーーーーアニ、お前はお前が心から守りたいと思うものの為にこの力を使いなさい
うん分かってるよ、お父さん。私はお父さんが愛したこの世界を守る
たとえ全てを犠牲にしてでも。
146 :以下、
「いっちゃやだよ??!」
突然子どもの泣き声が響く、うるさいな。そう思いアニがそちらに視線を送ると
どうやら託児所に父親が子どもを預けようとしているのを、子どもがいやがっているらしい
その父親が駐屯兵団のジャケットを着ていたので、アニは慌てて自分のジャケットを脱ぐ
ミーナ「あらら、あの女の子すっごく泣いてるよ。お父さんと離れるのがよっぽど嫌なんだね」
アニ「・・・・・・・」
父親「いいから、言うことを聞いておくれ。お父さんはこれから大事なお仕事があるんだ」
娘「やだ!お父さんと一緒にいるの!」
泣きわめく娘を前に父親が頭を抱えていると、アニが女の子をそっと抱きかかえた
「お姉ちゃんと、遊ぼう」
ーーーわたしはなにがしたいんだろうーーー
147 :以下、
その頃、科特隊本部には一通の報せが届いていた
クリスタ「報告によりますとウォールローゼ東区のキソ谷近辺に不気味な物体が落下したそうです」
キース「不気味な物体?」
クリスタ「はい。駐屯兵団が現地に赴き探索を開始していますがこれといった情報は入っていません」
キース「しばらくは駐屯兵団の報告待ちか」
ユミル「それが、現地に行った兵士からの連絡が軒並み途切れたようです」
ライナー「どういうことだ?駐屯兵団にも通信機は渡してあるんだろう?」
クリスタ「それがどうも故障したみたいでザーッザーって言う音が聞こえるだけで」
ジャン「何も聞こえてこないってのか…まさかその物体とやらに関係あるのか?」
隊員達が報告について話し合っていると、作戦室にアルミンが入ってきた
148 :以下、
アルミン「どうやら、通信障害が発生しているみたいだね」
エレン「通信障害?」
アルミン「うん。そうだなあ…糸電話はわかるでしょ?あれはコップの間に張ってある糸を伝達して
  音を伝える仕組みだけど。その糸を切るか弛ませれば音は聞こえなくなるでしょ」
ジャン「つまり、通信機の電波って奴を切ったり弛ませる何かがキソ谷周辺にあるってことなのか」
アルミン「そうだね」
コニー「わかるか?」ヒソヒソ
サシャ「むしろ何故わかるとおもったんですか?」ヒソヒソ
ミカサ「故障の可能性は?」
アルミン「報告によれば現地に入った駐屯兵団員は20名近く、その全てが同時に故障するとは思えないよ」
149 :以下、
キース「ふむ。こちらも先手を打って動いておく必要があるか」
アルミン「そうですね、念のために中継地点に数名配置するのがいいかと」
キース「うむ。ならばジャン、ミカサ、ベルトルトの3名は直ちにキソ谷へ迎え!
 ライナー、コニー、サシャの3名は途中で待機し非常事態に備えよ」
一同「はっ!」
キース「それでは科特隊出げ・・・」
エレン「あっあの!俺は・・・?」
キース「貴様はここで待機だ」
エレン「ど、どうして」
アルミン「僕からお願いしたんだよ。今回に限っては全ての通信が使えなくなる可能性もある
  本部に誰か残っておいた方が、あらゆる場面に対応できる」
エレン「で、でも・・・」
アルミン「それに、いろいろ確かめたいこともあるしね」
そう言ってアルミンは笑った
155 :以下、
少女「はいおねえちゃん、あーん」
アニ「・・・あーん」
ミーナ「・・・」
アニ「なによ」
ミーナ「いや、さすがにこれは意外だったわ」
アニ「私もそう思う」
結局二人は先程の少女の面倒を見ることになった。父親には面倒なので憲兵団であることは伏せ、
ここの職員だと話した。
156 :以下、
アニ「今度は何するの?」
少女「おえかき!」
少女は画用紙とクレヨンを取り出すと、鼻歌交じりにお絵かきを始めた
ミーナ「アニって子ども好きだっけ」
アニ「別に」
さっきの親子の姿がかつての自分とダブって見えたのは確かだが、
まさか率先して子守をする羽目になるとは思わなかった
アニ(結局、偉そうなことを言っておいて一番覚悟がないのは私なのか)
157 :以下、
「おねえちゃん?」
その声にアニがはっとして少女を見ると、少女は心配そうにこちらを見ている
どうやら知らぬ間に表情が険しくなっていたようだ
アニ「大丈夫よ。それより、何を描いたの?」
そうアニが微笑むと、少女はにこっと笑い「これ!」とアニに絵を見せる
そこには赤と青、二人のウルトラマンが描かれていた
ミーナ「うわぁ、上手だねえ。こっちはこないだ出てきた新しいウルトラマンか」
少女「うん!」
アニ「・・・」
158 :以下、
少女「お父さんがね、言ってたんだ。悪い怪獣はみんなウルトラマンが
 やっつけてくれるって。そしたらお父さんもお母さんみたいに
 いなくなったりしないって」
ミーナ「あ・・・」
ミーナは手許のリストに思わず目をやる。そこには数名の犠牲者の名前があった。
きっと父親は自分の職業上、余計な心配を子どもにさせないためにそう言ったのであろうが・・・
アニ(いや、迷うな。・・・いずれはこうなるんだ)
アニは自分に言い聞かせるように小声でそうつぶやく。その時アニの通信機から発信音が鳴る
憲兵団からの定時通信だろう。アニは通信機を手に取る
アニ「・・・なに?」
『なにじゃないわよ、あんたいつまで油うってんだい?緊急事態だよ』
159 :以下、
少し時間はさかのぼり、キソ谷周辺ではーーーー
ジャン「こちらジャン。本部応答願う」
クリスタ『ーーこちらーー本部。今のところーー』ザザッ『どうにかーー聞こえるみたいね』
度々ノイズで途切れるが問題なく通信はできているようだ
アルミン『それーーじゃあ、ジャンーー例の物をーー準備しーーて』
ジャン「ああ、分かった。ベルトルト!準備してくれ!」
ベルトルトは頷くと周囲で最も高い大木の上にアンテナを付ける
ベルトルト「ジャン、こっちはいいぞ」
ジャン「おう!・・・本部これでどうだ?」
ユミル『おお!ちゃんと聞こえるようになったぞ』
アルミン『ジャン、これでしばらくは大丈夫だと思うけどあくまで応急措置だよ』
ジャン「分かってる。作戦はやかに行うさ」
160 :以下、
ーーー科特隊本部
エレン「すごいな。どうやったんだ、アルミン」
アルミン「大したことじゃないよ。単純に違う回線を3つほど用意しただけだよ」
アルミン「どの位相で障害が起こっているか分からないからね。丁度通ったのがあって良かったよ
  おそらく意図的にジャミングされているんじゃなくて、
  付近に高周波電流を発する何かがある。例の物体の正体はたぶんそれだね」
クリスタ「ユミル、アルミンは何を言って・・・」
ユミル「考えるな。感じるんだ」
キース「しかし貴様の報告書にある通りだとすれば、それに近づくだけでも危険なのではないか?」
アルミン「はい、おそらく周囲には強い磁場が発生しています。戻っていない駐屯兵団の
  兵士達はおそらくはその影響で体調に異変が起きたのでしょう」
161 :以下、
エレン「大丈夫なのか?それ」
アルミン「まあ、せいぜい強い吐き気や頭痛がするといったところだと思うよ。
  もちろん作戦遂行上あまり好ましいことではないだろうけど」
エレン「じゃあ、ミカサ達も危ないんじゃないのか?」
アルミン「一応、ジャン達には少しでも体調に異変が出たときは引き返すように言っているけど
  さすがに対電磁波用の防護服までには手が回らなかったしね
  まあ、万が一のためにライナー達を配置しているから大丈夫だと思うよ」
エレン「やっぱり、俺も行くべきじゃあ・・・」
その時ジャンから通信が入った
ジャン『おい、倒れている駐屯兵団の連中を見つけたぞ、A5地区だ』
キース「よし、彼らの救出は待機している駐屯兵団に任せてお前達は原因の究明に当たれ」
ジャン『了解』
162 :以下、
ーーーー中継地点
ライナー「どうやら、遭難していた連中は無事見つかったようだな」
コニー「俺たちいつまでここにいればいいんだ」
ライナー「せめてジャン達がなにかを見つけるまではここを動くことはできんだろう」
話している二人の横でサシャは寝息を立てている
ライナー「・・・こいつは」
コニー「なあ、そういやなんでお前やミカサじゃなくてジャンが現場指揮官をやってるんだ?」
ライナー「適役だからさ。俺やミカサでは、ジャンほどの成果はおそらく得られまい」
163 :以下、
コニー「そうなのか?まあ、あいつのことを不満に思ってるわけじゃないけどさ」
ライナー「あいつは科特隊の誰よりも俯瞰の視点でものを見ることが出来る。
  俺はどちらかと言えば、サポート型だしミカサは攻撃色が強い。
  ほかに適役と言えば、ベルトルトぐらいだが」
コニー「ベルトルトか、あいつなに考えてるかわかんないときあるからなあ」
ライナー「そう言うな、普段は無口だがあれで気さくないい奴なんだ」
その時サシャが突然起き上がった
ライナー「うお!」
コニー「どうした!?」
サシャ「・・・何か、いやな予感がします」
164 :以下、
ーーーーー
ーーーー
ミカサ「・・・見つけた」
ジャン「やっぱりかよ!くそ!」
ベルトルト「・・・・・・」
黄色地に黒模様の体色、長大な尾と本来の動物なら眼があるであろう場所にある回転する三日月形の角。
独特の鳴き声を発しながらその巨体が湖の中から迫り出した
クリスタ「か、怪獣出現!」
キース「やはり出たか」
エレン(出現した怪獣は、エレキングか)
アルミン(さて、どうでるかな。ウルトラマンは)フフッ
クリスタ(アルミン・・・?)
165 :以下、
ジャン「ミカサ!ベルトルト!行くぞ!」
ミカサ「ええ!」
ベルトルト「・・・ああ」
ジャン「まずは奴の出方を見る。離れたこの位置から集中砲火だ」
三人はそれぞれ持った光線銃でエレキングに攻撃する。派手な爆発音が鳴りエレキングに着弾するも
ひるむこともなく前進する
ジャン「アルミンが言っていたように光線銃じゃいまいちか?・・・ベルトルト!」
ベルトルト「ああ!」
ベルトルトは出撃前にアルミンから渡された新兵器マッドバズーカを構える
ジャン「撃て!」
ジャンの合図と同時に発射されるマッドバズーカ。
今度は、命中するとエレキングの身体が大きく後退した
166 :以下、
ジャン「よし、こいつならいける・・・」
エレキングは後ろによろめきながら口の部分にある発光体から三日月状の光弾を放つ
ミカサ「・・・来る!」
光弾は上方をかすめたが同時に周囲に電流が走り三人の身体にも微弱ではあるが電流が流れる
ジャン「ぐうっ!」
ミカサ「う・・あぁ・・・」
ベルトルト「二人とも大丈夫か?」
ジャン「体がしびれて・・・くそ・・・本部!応答してくれ」
ザザッ・・・ガー・・・・ピー
ジャン「・・・最悪だ」
167 :以下、
クリスタ「三人との通信が途切れました!」
キース「中継地点の三人に通達!直ちに前衛の救援に向かわせろ」
ユミル「は!」
エレン「!」
同時にエレンが作戦室を飛び出す
クリスタ「エレン!?」
アルミン「大丈夫。すぐ戻ってくるよ」
エレンは屋上に上ると懐に手を入れる。しかし
エレン(ベータカプセルが・・・無い!)
エレンは慌てて体中をまさぐるがどこにもない。部屋に戻り漁ってみたがやはり無い
エレン(無くした?いつだ、いや、作戦前は確かにあったはず・・・)
仕方なくエレンは再び作戦室に戻るとアルミンが声をかける
アルミン「エレン、ライナー達がジャン達に合流する。今度は僕とエレンで中継地点に向かおう」
エレン「あ・・・ああ・・・」
168 :以下、
ーーーー
ジャン「ミカサ、ベルトルト動けるか?」
ミカサ「もう少しで・・・」
ベルトルト「こっちもだ」
辺り一帯が帯電でもしたのかしばらく三人のしびれはとれなかった。その間にも怪獣はどんどんと移動していく
ジャン「ますいな、町の方に向かっている。だが連絡が取れねえ」
ミカサ「本部にはアルミンがいる。通信が途切れたなら何か動いてくれるはず」
ジャン「ちくしょう。こんな時にかぎっていつまでも出て来やがらねえ」
ベルトルト「なにが?」
169 :以下、
ジャン「正義のヒーロー様だよ。いつもならとっくに出て来やがるのにな」
ミカサ「・・・ジャン。あなたはウルトラマンを信じているのね」
ジャン「はあ!?」
思わず声を荒げるジャンにミカサは続ける
ミカサ「信じていないのなら、ウルトラマンが怪獣を倒しに来るだろうと言う考えは捨てるべき」
 当てにならないものにすがる余裕は私達にはない」
ジャン「けどよ」
ミカサ「どのみち来ていない以上。私達でどうにかするしかない。来てくれたならそれでいい」
ジャン「ミカサ・・・お前は信じているのか?」
ミカサ「エレンが彼を信じた。だから私も信じる。それだけ」
ジャン「は・・ははは・・・全く。お前といい、エレンといい、単純すぎてうらやましいよ」
ミカサ「ジャン。私達は強い。あなたが思っている以上に。でも戦わなければ勝てない」
ジャン「ああ、わかっているさ」
ようやくしびれも取れた。三人は立ち上がると。怪獣の後を追った
170 :以下、
その頃、アニ達がいた病院では避難が始まっていた。
時折地響きがする。怪獣が近づいているのだろう
アニ「ミーナ、あんたも逃げな」
ミーナ「二人をおいて、行けるわけ無いでしょう」
そう言うと、二人は少女に目をやる
ミーナ「ねえ、あなたも一緒に逃げよう」
しかし少女は嫌だという
アニ「お願いだから。ね?」
少女「お父さんと約束したもん!迎えに来るから待ってるって約束したもん!」
そう言い少女は泣き出した
171 :以下、
アニ「・・・・・・・」
アニは溜息をつくとミーナに言った
アニ「ミーナ。先に行ってて。私がこの子を抱きかかえて出るから」
ミーナ「だったら一緒に・・・!」
アニ「お願い。ミーナ」
ミーナ「・・・わかったわ。先に行く。必ず来てよね」
ミーナはそう言い残し避難していく。外では怪獣の鳴き声も聞こえてきた
もう、終わりにしなきゃね。もうすぐこの箱庭の世界にも限界が来る。
そうなれば、どのみち全てが消え去るのだ。
自分の中に残るわずかな未練ももう消そう。
アニは泣きじゃくる少女をおいてその場から歩き出した
背中に少女の泣き声を聞きながら、アニは拳を握りしめる
その時、すさまじい爆発音と共に天井が崩れだした
172 :以下、
轟音と静寂。背中に強い痛みを感じながらアニは懐にかばった少女に目をやる
少女は気を失っているのかうわごとのようにくり返していた
「ウルトラマン・・・助けて・・・ウルトラマン・・・」
その手には半分焼け落ちた先程のウルトラマンの絵が握りしめられていた
アニは唇をかみしめると背中に落ちてきた石片と土砂を払いのける。
まわりでは火の手が上がり始めていた。
そのまま少女を抱きかかえ炎の中を外に歩き出す
ミーナ「アニー!アニぃー!」
間一髪で難を逃れたミーナは二人を探すため崩れかかった病院に戻っていた
燃えさかる炎の中ミーナが声を上げていると炎の向こうからアニが歩いてくる
173 :以下、
ミーナは胸をなで下ろすとアニの元に走る
ミーナ「よかった、アニ」
アニは応えず少女をミーナに預けると
アニ「この子をお願い。左の方から安全に出られるから」
それだけ言って外に駆けだした
ミーナ「アニ!どこに行くの!?」
アニは振り返らず、静かに言った
アニ「・・・どうやら私も・・・馬鹿だったらしい」
アニは走った。もう何も考えられなかった。正面に怪獣を見据えると
己の衝動の赴くままに光のブレスレットを天に掲げた
179 :以下、
強い光が瞬いた後、青い巨人がエレキングの前に降り立った
ジャン「あれは・・・」
ミカサ「あの時のウルトラマン」
ようやくエレキングに追いついた三人は現れた巨人を見る
ベルトルト(あきれるよ・・・アニ。一体、何をやってるんだ)
巨人となったアニはエレキングに向かって駆けると体当たりしそのまま押し返す
ミカサ「なに・・・してるの?」
ジャン「まさか、町から遠ざけようとしているのか?」
コニー「おーい!お前ら!」
ジャン達が後ろを向くと、ようやくライナー達が追いついてきたようだ
180 :以下、
ジャン「おせえぞ!」
ライナー「すまん。状況は?」
ミカサ「例のウルトラマンが出た。怪獣と戦っている」
サシャ「青い方のウルトラマンですね」
コニー「で、どうするんだ?」
ジャン「きまってんだろう、ウルトラマンを援護だよ!」
181 :以下、
ライナー「それでいいんだな?」
ジャン「ああ!ウルトラマンは怪獣を街から離そうとしている
 俺たちも怪獣を後退させるために前方から集中砲火だ
 ウルトラマンにあてねえように注意しろ」
科特隊の隊員達はウルトラマンの背後からエレキングに向かって発射する
先ほどはあまり効果のなかったスーパーガンだが数をまとめて放てば
さすがのエレキングもよろめく
その隙を突きウルトラマンはエレキングを抱え上げるとエレキングが出てきた
湖の方に投げ飛ばした
182 :以下、
ーーーーー
ーーー
アルミン「へえ、あれが噂の青いウルトラマンか」
エレン(アニ・・・お前・・・)
エレン「アルミン。俺たちも行こう」
アルミン「言っただろう?僕たちは待機だよ」
エレン「だけど!」
アルミン「大丈夫だよ、今回は新兵器も渡してるし今はウルトラマンもいる」
エレン「・・・」
アルミン「エレン、何を焦ってるんだい?」
エレン「アルミンは何でそんなに落ち着いているんだよ」
183 :以下、
アルミン「落ち着いてはいないさ。今でも不安はあるよ。
  でも僕には確認したいことがあるんだ」
エレン「さっきもそんなこと言ってたな。なんだよ確認したいことって」
アルミン「・・・うーん。半分はもう確認できたんだ。後は残り半分」
エレン「半分?」
アルミン「ねえ、エレン。エレンはもし自分の中に得体の知れない物が
  自分の中に入り込んできたら自分はどうなってしまうと思う?」
エレン「な・・・何だよそれ・・・」
エレンはどきりとしてアルミンを見る。
184 :以下、
アルミン「自分の中にあるその大きな力が、はたして自分の自意識で制御できるもの
  なのか、それとも何か別の意思が自分を動かしているのか」
アルミンはエレンの方に体を向けると、エレンを見て言った
アルミン「エレンがその立場になったとしたらエレンはその力をふるうとき
  全て自分の意思で行ったことだと言い切ることが出来るかい?」
エレンは少し目を伏せゆっくりと目を開けるとまっすぐにアルミンを見て言った
エレン「たとえどんな力があっても、どんな姿になっても・・・
 俺は俺だ、エレンイェーガーだ」
アルミンは少し寂しそうに微笑むと言った
アルミン「やっぱり、エレンは強いね」
185 :以下、
ーーーーー
ーーー
キソ谷ではエレキングとウルトラマン達の戦いは続いていた
ジャン「ライナー、ベルトルト!」
ジャンの合図に合わせて二人はマッドバスーカとスパイダーショットを放つ
エレキングがひるんだところにウルトラマンが手から光弾を連射し追撃する
エレキングも負けじと光弾を乱れ撃つ
ジャン「またか、やべえ!」
するとウルトラマンは隊員達の前に立つと、光の円形の幕を張り光弾を防ぐ
ライナー「あいつ・・・」
ジャン「・・・俺たちを、守ってくれたのか?」
ベルトルト「・・・・・・・」
186 :以下、
その時、エレキングの長い尻尾がアニの足下から伸びてきて巻き付くと
そのまま自分の方に引き寄せアニの身体を尻尾で締め付ける
何とかふりほどこうととしたとき、エレキングは尻尾から高圧電流を流した
サシャ「まずくないですか?」
サシャの言葉通り、ウルトラマンは片膝をつくと、胸のカラータイマーが赤く点滅し始める
ミカサ「!!」
それを見たミカサが、エレキング身向かって飛び出した
ジャン「ミカサ!あいつにあまり近づくな!」
187 :以下、
ミカサは回り込むようにエレキングに接近するとスーパーガンを撃つ
それが頭部の黒い角にかすめたとき、エレキングが発していた電流が一瞬弱まる
ミカサ「うあああああああああ!」
ミカサはそれを見てエレキングに向かって飛ぶとエレキングの片方の角を
ブレードでたたき切った!
ライナー「よし!」
コニー「すげえ・・・」
ミカサは、エレキングの動きが止まったのを確認してすぐさま離脱する
188 :以下、
ようやく絡まった尻尾がほどけたと思ったが、今度はその尻尾を狂ったように
振り回し始める
アニはそれを華麗に躱し続け、一瞬の隙を突き光弾でもう片方の角を破壊する
エレキングの動きが完全の止まったところでアニは右腕から光の剣を発生させると
素早くエレキングに近接し切り裂いた
エレキングはゆっくりと三つに崩れると、爆発し、消滅した。
ジャン「よし!」
サシャ・コニー「やったあああ!」
手を叩いて喜び合う科特隊の面々の後ろでベルトルトは一人忌々しそうに
ウルトラマンを見る
ベルトルト(アニ・・・・)
189 :以下、
ーーーーー
ーーー
アルミン「・・・どうやら、無事終わったようだね」
エレン「ああ・・・」
アルミン「ああ、そうだ、エレンこれを」
そう言ってアルミンはエレンにベータカプセルを手渡した
エレン「!・・・アルミン・・・これは?」
アルミン「作戦室に落ちていたのを拾ったんだ。それ、エレンのでしょ?」
アルミン「大切な物なら、しっかりと、持っていないと」
エレン「・・・ああ・・・気をつけるよ・・・」
エレンはアルミンからベータカプセルを受け取ると懐にしまった。
190 :以下、
ーーーーー
ーーー
アニは病院付近の小高い丘に戻っていた。先ほどの戦いと、変身前の傷から
体中が痛んだが、ふらふらと立ち上がると病院に向かって歩き出した
二人は無事だろうか
自分の目的を捨てて今日は戦った。今でもそれが正しいのかはわからない
だが不思議と心の中は晴れやかだった
全く、私もヤキが回ったもんだ
そんなことを考え微笑むアニの前にベルトルトが姿を現した
アニ「・・・話すことは、何もないよ」
ベルトルト「こちらにはあるよ、アニ」
191 :以下、
アニ「あんたはあんたの道で世界を救えばいい。私は、一緒には行けない」
ベルトルト「何を勘違いしてるんだい?アニ。僕は良い知らせを持ってきたんだ」
アニは少し驚きベルトルトを見る。てっきり自分を責めに来たのだと思っていたが
ベルトルト「この世界からマイナスエネルギーを少ない犠牲で取り払える方法さ」
アニ「え・・・?」
ベルトルト「アニ・・・エレンを殺しなよ。そしてアニがエレンの光を取り込むんだ」
アニ「な!なにを!」
ベルトルト「二つの光の力をうまく融合することが出来ればきっと出来るよ」
192 :以下、
アニ「だったら、エレンに協力してもらえば良い!あいつならきっと・・・!」
ベルトルト「アニ、大事なのは光のエネルギーが二つあることじゃない
  二つの力をきれいに融合させることだ。
  二人の意思が完全にシンクロしない限りそんなことは出来ないだろう
  少なくともアニとエレンでは無理だ」
アニ「それ、どういう意味だい?」
思わずアニの頬が紅潮する。怒りなのか別の何かなのか
ベルトルト「しかし、エレンの光をアニが取り入れれば、アニ一人の意思で
  安定した力を発揮できるだろう」
アニ「だからって殺す必要は・・・」
193 :以下、
ベルトルト「・・・やっぱり、アニには覚悟が足りないみたいだ。そうやって、
  ありもしない希望にすがって大事なのもを全て失う気か?」
アニ「・・・それは」
ベルトルト「正直なことをいえば、確かにエレンを殺さなくてもいいだろう
  僕はただ、アニに覚悟を決めてほしいだけなんだよ」
アニ「・・・・・・」
ベルトルト「最後の最後には、人類を滅ぼす選択をするためのね」
そこまで話して、ようやくアニはベルトルトの背後に人影があるのに気づく
194 :以下、
ベルトルト「・・・ああ、気付いたか。さっきそこで逢ってさ、
  話を聞いてもらうためについてきてもらったんだ、
  彼女も、アニの大切な人だからね」
そう言うとベルトルトは後ろにいた人物を無理矢理アニの前に差し出した
アニ「・・・ミーナ」
そこには先ほど別れたミーナの姿があった。その顔は、ひどく怯えている。
ミーナ「アニ・・・今の話、本当なの?」
アニ「・・・ベルトルト」
アニはベルトルトを睨み付ける
195 :以下、
ミーナ「ねえ、アニ。ベルトルトの話は本当なの?本当に、アニがウルトラマンなの?」
アニ「・・・・・・」
アニは否定はしなかったが、その態度こそが肯定でもあった。
ミーナ「・・・そんな・・・そんなの・・・」
ーーーーあんたも私も、正体が知られれば、たちまち化け物扱い。そうでしょう?
いつかエレンに言った言葉が思い出される。
アニは、ミーナの顔を正視できなかった。たった一人の親友の顔を。
196 :以下、
ベルトルト「しょうがないさ、アニ。どうせ僕らは人類から見たら異物だ
  ただの人間に僕らデュナミストのことを理解などできやしないよ」
そう言うとベルトルトはミーナの首を片手で締め上げた
アニ「ベルトルト!!」
アニがベルトルトに駆け寄ろうとすると、ベルトルトはもう片手でアニを牽制する
ベルトルト「アニ、別に彼女を殺すつもりはないよ。言ったろう?
  僕はアニに覚悟を決めて欲しいだけなんだ」
アニは拳を握りしめる。ベルトルトとは少し距離が離れている。
近づく前に、ベルトルトならミーナの首をへし折れるだろう
197 :以下、
ベルトルト「だからさ、アニ。取引だよ。
  エレンを殺してくれば、ミーナは解放しよう。最悪の事態でも
  彼女一人なら殺さなくてすむかもしれない」
あまりの怒りにアニは自分がどんな顔をしているのかわからなかった
握りしめた拳が、ガタガタと震えている
ベルトルト「考えるまでもないことだよ、アニ。・・・良い答えを期待しているよ」
そう言うとベルトルトはミーナを連れて闇の中に消えていった
一人取り残されたアニはその場にへたり込む
エレンとミーナの顔が浮かんでは消えていく
「あ・・ああ!・・・あああああああああああああ!!」
闇の中にアニの悲痛な叫びが響きわたった・・・
       第三話 完
198 :以下、
次回予告
ミーナを人質に取られたアニはエレンとの戦いを決意する。
激しくぶつかり合う二人の巨人。
だがそこにさらなる闇が二人に襲いかかる。二人が危ない!
次回 ウルトラマンイェーガー 第4話「影を継ぐもの」来週もみんなで見よう!
203 :以下、
ウルトラマンイェーガー
第4話「影を継ぐもの」
その日は朝から雨が降っていた。
その中を科特隊のメンバーは懸命に捜索していた
ベルトルトが失踪した
エレキング撃退後、忽然と姿を見せなくなった
何かの事件に巻き込まれたのではないか。科特隊の隊員達は
そう思い捜索を続けた
程なく三日が過ぎ去ろうとした頃それは訪れる
204 :以下、
その日もエレンとミカサは街中を探し回っていたが
何も成果は得られず、科特隊本部に戻ろうとしていた
本部に繋がる細い路地に入ったところで二人は足を止める
目の前にはアニの姿があった
いつからそこにいたのだろう、アニはずぶ濡れの状態で
傘も差そうとはしていない
アニの顔は虚ろで生気が感じられない
ただ、その目だけは何かの決意に満ちているようだった
アニはゆっくりと近づくと話し始めた
205 :以下、
「ミカサ、悪いけどエレンを貸してくれない?」
その言葉にミカサはエレンの前に立つと
「だめ」
それだけ答えた
訓練兵時代にはよく見られた光景だったが
この日は、その後に続く周囲の冷やかしも
戸惑い呆れるエレンの姿もなかった
「ミカサ、すまない。俺もアニに話があるんだ」
「だめ」
ミカサもアニの様子に何かを感じているのかエレンの前からどこうとはしない
206 :以下、
「ミカサ、頼む」
エレンはミカサの両肩を掴むとそのまま頭を下げる
「嫌!私も一緒に行く」
すがるミカサにエレンは首を振る
「どうして?」
ミカサが、少し涙声になっているのは気のせいなのか
「どうしてエレンはいつも私を置いていくの?」
今のエレンにはその言葉の意味はわからなかった
「別に置いて行きやしないさ。本部で待っててくれ」
だからそんな言葉を投げかける
207 :以下、
たまらずアニは二人の会話を遮る
「行こう、エレン」
アニには、ミカサの気持ちが痛いほどわかっていた、
だが、この男に乙女心を理解しろという方がもう無駄なんだろう
エレンとアニは、そのままそこから立ち去る
アニは振り返るとまだ元の場所に立ち尽くしているミカサにむかって
「ごめんなさい」
それだけこぼした
208 :以下、
二人は元訓練兵詰所の近くにあるリュウガモリ湖に来ていた。
「久しぶりだな、ここも」
「あんたが、初めてウルトラマンになった場所」
「あの時、アニは気付いていたのか?俺のこと」
「当然でしょう。あれから私は、ずっとあんたを見ていた」
「ああ、俺も時々お前の視線を感じていた」
「珍しいね。ただの朴念仁だと思っていたんだけど」
「悪かったな」
そこで会話が止まった。雨はまだ降り続いている。
209 :以下、
あの日、赤い光と青い光を見た日。
まさかこんなことになるとは思っていなかった
本当なら今頃、調査兵団として巨人と戦っていただろう
憲兵団に行ったアニとは、もうこうして話すこともなかったかもしれない
それが何の因果か同じ力を持つ同士、こうして相まみえている。
アニに聞きたいことはいくらでもある。
正直なことを言えば、アニとこうして話せることは嬉しかった
だから、すまなそうな、泣き出しそうな顔をしているアニに
声をかけづらかった
210 :以下、
「エレン・・・」
雨の音にかき消えそうなほど小さい声でアニがぽつりと言った
「エレン・・・私は・・・あんたを殺しに来た・・・」
そしてアニは、エレンに向けて銃を構える
不思議と驚きはしなかった、いや驚かなかったと言えば嘘になるが
何となく、そんな気がしていた
「・・・なんでだよ」
「あんたを殺してあんたの光を私がもらう」
「それで世界は救われる」
「俺が死ねば世界が救われるって?」
「ああ」
「何故かって聞いても答えてくれないんだろう?」
「・・・・・・・」
211 :以下、
「どいつもこいつもなんで肝心なことは話さねえんだ」
「それはあんたもだろう。自分のことミカサにすら話してないだろ?」
「・・・まあ、そうだな」
アニが何を考えそんなことを言い出したのかは分からない
ただ、アニの覚悟だけは痛いほど伝わってくる。ならば
「ああ、わかったよ。俺と戦え。アニ、お前が勝ったら煮るなり焼くなり好きにしろ」
「・・・・・・」
「だけど俺が勝ったら、アニ、お前は俺の所に来い!」
アニはぽかんと口を開け。そして笑い出した
「・・・何それプロポーズ?・・・節操ないねあんたは」
「そんなんじゃねえよ。ただ、お前の全てを話してもらう」
212 :以下、
「お前が何を抱えているかは知らない。
 だけど、俺とお前は同じ運命を持った兄妹みたいなもんだろう」
「・・・あんたはやっぱりもう少し乙女心を学ぶべきだよ」
「なら、例えお前が俺の命を狙おうと、アニだって俺の守る物の一つだ」
ああ、やっぱりあんたは馬鹿だ。そんなんだから、私もミカサもあんたに惹かれたんだ
「アニ、銃なんかいらないだろう。ここは俺とお前の二人きりなんだ」
「確かにね」
アニはそう言うと銃を投げ捨てる。先程までの陰鬱な気分がいつの間にか無くなっていた
「俺とお前、ケリをつけるなら」
「そうだね、訓練兵以来だよあんたとやり合うのは」
二人向き合い、同時に自分の中の光を解き放った
213 :以下、
対峙する赤と青の巨人
先に仕掛けたのは青い巨人
じりじりと間合いを詰めると、エレンに向かってローキックを放つ
エレンもそれを読み、脛で受けようと構えたが
アニの足がそこから軌道を変えエレンの延髄に向けて走る
エレンはとっさに腕でガードしたが、さすがに受けきれずよろける
そこにアニは右腕から発生させた光の剣を振り下ろす
エレンは何とかアニの手首をつかむと巴投げの要領で後方に投げ飛ばした
二人は素早く立ち上がると互いに光線を放つ
光線はぶつかり合い相殺されその衝撃でまた二人は吹き飛ばされた
214 :以下、
双方、すでにカラータイマーは鳴り響いている
間合いをとり、構える
二人は意を決したように両腕にエネルギーを集中させる
(アニ・・・!)(エレン・・・!)
まるで呼吸を合わせたかのように、二人の巨人はエネルギーを放出する
強大な光線はぶつかり合いせめぎ合った
互いに引かず更に力を振り絞る。力が臨界まで達したとき
二人のウルトラマンは力尽きるように崩れ落ちた
215 :以下、
降りしきる雨の中、元の姿に戻ったエレンとアニは地面に突っ伏したまま動かない
二人とも満身創痍だった
(ミーナ・・・ごめんなさい・・・)
結局エレンにとどめを刺せなかった
今回は、手を抜いたつもりはなかった
エレンは自分が思っていたよりも、ずっと強くなっていた
それが嬉しくもあり、憎らしくもあった
(これで・・・なにもかも終わった)
216 :以下、
そのとき遠くから聞こえるよく知った声がする
「アニぃーーーー!」
アニが体を起こすと、ミーナがこちらに向かって走って来るではないか
その後からベルトルトが歩いてきている
ミーナはアニの元まで走ってくると傷だらけのアニを見る
顔をぐしゃぐしゃにして泣き出すとアニを思いきり抱きしめた
「ミーナどうして・・・」
アニは状況が理解できず近づいてきたベルトルトを見る
「ベルトルト・・・」
ベルトルトは満足そうに笑うと言った
「アニ、最初から言っているだろう?僕は君に覚悟を決めさせたいだけだと」
217 :以下、
まだ唖然としているアニにベルトルトは続ける
「ミーナを殺すつもりはハナから無かったよ。だからこうして無事に連れてきたのさ」
だが、アニは笑顔でしゃべるベルトルトに言い知れない不安を感じていた
「本当にそれだけなの?」
「もちろん、僕にも目的はあったさ」
そう言うとベルトルトはエレンの元に歩いて行く
エレンもようやく気付いたのかベルトルトの姿に驚きを見せる
「ベルトルト・・・お前・・・今までどこに・・・」
ベルトルトは答えす、まだ起き上がれないエレンの顔を思い切り蹴りつける
218 :以下、
「ぐはっ・・・!!」
エレンは血を吐きながら転げる
「ベルトルト!何を!」
アニが二人の元に行こうとするとミーナががっちりとアニに抱きついたまま離れない
「ミーナ、離れて・・・!」
ふとミーナの顔を見るとその目には生気が感じられない。
(催眠術?まさか、ベルトルトに・・・)
「しばらくそうしててくれないか?アニ。すぐに終わるからさ」
そう言いながらベルトルトは執拗にエレンを蹴り続ける
エレンが動かなくなるとベルトルトはエレンの懐からベータカプセルを取り出した
219 :以下、
「ベルトルト、あんた、まさか」
ベルトルトは満足そうにベータカプセルを眺めながら言った
「きれいだなあ・・・これだけが僕に足りなかった僕の身体を光に変えるシステム」
「やめろ・・・」
足下を見ると、エレンがベルトルトの足をつかんでいる
「エレン、君は自分だけが特別な存在だとでも思っているのかい?」
ベルトルトはありったけの力を込めてエレンの腹を踏みつける
「君が選ばれたのは偶然だよ、光の力がなければ君はただの矮小な人間さ」
吐き捨てるようにそう言うとベルトルトはその場から去って行った
それと同時にミーナが崩れ落ちるベルトルトがかけた催眠術が解けたのだろう
220 :以下、
アニはミーナをその場に寝せるとエレンの元に這っていった
「エレン、しっかりして・・・エレン!」
エレンの体を揺さぶるが返事はないどうやら完全に気絶しているようだ
「あいつは、私達が弱まるのを待っていたのか・・・」
まんまと踊らされた自分に腹が立つが今はそうも言っていられない
アニはまだ重い体を無理矢理起こしミーナを担ぎ、エレンを引っ張って歩き出した
(エレンの変身道具を持って行ったけど、あいつじゃ巨人にはなれないはず)
221 :以下、
アニはベルトルトの行動を考える。エレンのベータカプセルもアニが持つアニレイターも
あくまでウルトラマンに変身するための触媒に過ぎない。
光の力を発揮するのはあくまで自分自身なのだ。
ベルトルトは確かに適能者だが光に選ばれていないはず
「まさか・・・クリシスを使う気?」
そこまで考えたところで、前方にミカサがいることに気付く
どうやら別れてからずっとあの場所で待っていたようだ
(・・・一途にも程があるだろ)
ミカサがこちらに気付き駆け寄ってくる。それを確認したところでアニは気を失った
226 :以下、
見知らぬ一室のベッドの上でアニは目を覚ます
隣にはミーナの姿も見えた
まだ痛む体を起こしアニが周囲を確認していると、見知った顔が入ってきた
クリスタ「あっアニ、気付いたんだ!・・・私のことわかる?」
アニ「ああ、大丈夫だよ、クリスタ」
クリスタ「よかった。忘れられてたらどうしようって思ってた」
そう言って笑うとクリスタは持ってきた洗面器でタオルを濡らす
クリスタ「はい。身体を拭いてあげるよ、アニ」
アニ「・・・いいよ自分でする」
227 :以下、
クリスタ「だーめ。怪我人なんだからもうしばらくじっとしていて」
クリスタはまずミーナの額にあった濡れタオルを取り替えると、アニの服を脱がし始める
アニ「ちょ・・・ちょっと・・・」
クリスタ「沢山汗かいてたから、体拭かないとよく眠れないよ」
気恥ずかしさもあったが、確かに汗ばんで気持ち悪かったし
まだ身体が重いためされるがままになる
アニ「ここは科特隊本部?」
クリスタ「そうよ。科特隊本部の医務室。びっくりしたよ、ミカサが三人を抱えて来たから」
アニ(・・・さすがだ)
228 :以下、
アニ「それで?私がここに来て何時間ぐらい経ったの?」
クリスタ「ううん、もう丸二日経っているよ」
アニ「二日!?」
アニは思わず身を乗り出すが、めまいを起こし崩れ折る
クリスタ「ほら、急に起き上がるから。後で何か作ってくるから何か食べないと」
アニ「そんなことはいい!何か変わったことは起きてない?」
クリスタ「ああ、うん。訓練兵時代にベルトルトって人いたでしょう?
  今は科特隊の隊員だったんだけど、今、行方不明で・・・」
アニ(まだ、行動を起こしていないのか?それともやはり変身など無理だったのか?)
クリスタ「それで今みんな出払っているの。私とミカサでお留守番」
229 :以下、
アニ「みんな・・・そういえばエレンは?」
クリスタ「エレンなら、昨日目を覚ましたんだ。ひどいケガだったけど今はもう大丈夫みたい」
アニ「・・・そう」
アニは安心したように微笑むと、クリスタが
「そうだ!アニが起きたらエレンに教えてくれって言われてたんだった」
そういって医務室から出て行った
となりではミーナも寝ている。ミーナもとりあえずは無事だったようだ。
アニは一息つくとこの前のことを考える
ベルトルトは、ずっと光になることに執着していた。
いつか言っていた“そのために科特隊に参加した”とは
おそらくエレンから変身道具を奪うチャンスを伺っていたのだろう
230 :以下、
はあ・・・
アニはため息をつく。とにかく、エレンに話そう。
私たちのことーーーー
この世界の闇のことーーーー
そうこうしていると勢いよくドアが開く
エレン「アニ!」
アニ「エレン・・・」
エレンはアニの元に駆け寄ってくると両肩をつかんで言った
エレン「アニ、起きたばっかですまないが・・・」
アニ「ああ。あいつのことだろう?・・エレン、肩痛い」
エレン「ああ、すまない・・・」
思わず力が入っていたようだエレンは力を抜くとふと視線を下にやる
231 :以下、
エレン「・・・・・・・」
アニ「ど、どうしたの・・・・」
アニ「・・・・・・」
そこまで言って、ようやくアニは、自分が裸なのを思い出す。
さっきクリスタに身体を拭いてもらったあと、考え事ばかりして
服を着るのを失念していたのだ
エレン「ち、違う!違うんだ!早く話を聞かなきゃと慌ててて」
違う違うと言いながらエレンの視線はアニの身体から動かず
アニ「」
アニの頭の中はすでに真っ白になっていた
慌てふためくエレンの後頭部を何者かがガシッと鷲掴みする
エレンがそっと振り返るとそこには
ミカサ「・・・・・・」
鬼が一匹
232 :以下、
閑話休題
アニに服を着せ、クリスタが平謝りし、エレンが土下座したところでミカサが話し出した
ミカサ「何があったの?」
アニはまだ恥ずかしがっているのかこちらに背を向けたままだ
ミカサ「話せないことなの?」
アニ「・・・別にそんなんじゃないさ。ただ、私がエレンに告白した。
 だけど振られてその腹いせに喧嘩した」
アニ「ミーナは仲裁しようとして巻き込まれた。それだけさ」
ミカサ「・・・そう」
233 :以下、
ミカサはエレンの方を見るエレンはまだ土下座したままだ
ミカサ「エレン、もう顔を上げてもいい」
エレン「・・・・・・」
エレンが顔を上げると両目に大きな痣ができている
ミカサとアニに殴られた跡だ。クリスタがエレンにも濡れたタオルを渡そうとすると
ミカサ「クリスタ、渡さなくていい」
アニ「・・・自業自得」
二人に止められる
234 :以下、
エレン「悪かったよ、今度からノックぐらいはするよ」
だが、先程ノックせずに入ったことにエレンは何一つ後悔はなかった
ミカサ「・・・鼻の下が伸びてる」
ミカサがエレンの頬を思い切りつねる
クリスタ「ホントにごめんなさい」
クリスタが申し訳なさそうに頭を下げると
アニ「あんたのせいじゃないよ。私もとっとと服を着るべきだった」
アニは先程のことを思いだし、また赤面する
アニ(ああ!話しようとしてたのに!まともにエレンの顔を見れなくなったじゃないか!)
235 :以下、
それを見たミカサが、エレンに言った
ミカサ「エレン、しばらく自分の部屋に戻っていて」
エレン「え?いや、俺まだアニに話が・・・」
ミカサ「いいから出る。それとクリスタ、アニに何か作ってきて欲しい」
クリスタ「え?うん、そうだね、何か食べなきゃ元気でないもんね!」
エレン「いや、まて!」
ミカサは有無を言わずエレンを部屋の外に放り出した
236 :以下、
エレン「おい!なんだよ!」
クリスタ「エレン、あんなことがあった後じゃアニもしゃべりづらいよ」
エレン「ぐむ・・・」
クリスタ「エレンもまだ傷が完全に癒えてるわけじゃないから、休んできたら?」
エレン「・・・そうだな、仕方ない出直すか」
二人が医務室から離れるのを待ってミカサが切り出した
ミカサ「アニ・・・本当は何があったの?」
アニ「言ったろう?振られた腹いせにエレンをボコボコにしたって」
ミカサ「・・・ミーナがまだ目を覚まさない」
アニ「!」
237 :以下、
ミカサ「外傷は無いし、身体に異常も見られない。なのに目を覚まさない」
アニ「・・・」
ミカサ「今日ハンジ博士がここに来るからその時調べてもらうけど」
ミカサ「ただの喧嘩でこんなことにはならない」
アニ「・・・」
ミカサ「・・・アニ、エレンをかばう必要は無い」
アニ「かばってなんか・・・」
ミカサ「・・・私ね・・・エレンがウルトラマンだって知ってるよ・・・」
アニ「・・・!」
238 :以下、
その頃郊外では科特隊の面々がベルトルトの捜索を続けていた
ジャン「おい、何か手がかりはあったか?」
コニー『まったくだ、全然手がかりがねえ』
ユミル『他の兵団にも当たってはみたんだが、誰もベルトルさんの事は知らないらしい』
サシャ『あれだけ大きな人なんですから目立ちそうなんですけどねえ』
ライナー『とりあえず、ひとまず合流しよう』
『了解』
239 :以下、
ジャンは通信機を切ると集合場所へと急ぐ。そこに
「おーい、ジャーンじゃん」
そんな気の抜ける声を上げる奴がいた
ジャン「・・・誰だよ」
ハンジ「やっほー久しぶりー」
満面の笑顔でハンジ博士が手を振っていた
ジャンはげんなりした顔で「ああ、お久しぶりです」と言った
240 :以下、
ーーーー
ーーー
ーー
コニー「あいつおっせえなあ」
サシャ「あっ来たみたいですよ!」
サシャの視線の先にジャンが走ってくるのが見えた
ユミル「何やってたんだよ、おせえよ」
ジャン「・・・ああすまない。奇行種に捕まっていた」
ライナー「巨人が出たのか?」
ジャン「ああいや、そっちじゃなくてな」
ジャンはハンジに捕まっていたのを話す
241 :以下、
コニー「うわあ、そっちかよ」
ライナー「そいつは災難だったな」
そう言ってみんなが笑うと、ジャンはこっちは笑えねえと漏らした
ジャン「まったく、書類ぐらい自分で渡せっての」
そう言うとジャンは分厚い書類を皆に見せる
サシャ「そういえば今日はアルミンは本部にいないんですか?」
ジャン「らしいぜ、朝からどっか行ってるらしい」
コニー「この大変なときに、一体どこいってんだ?」
ユミル「ま、アルミンのことだからお前より有意義なことやってんだろうけどな」ジョリジョリ
コニー「頭をなでるな!」
242 :以下、
ジャン「しっかしまあ、ベルトルトの奴ホントにどこに行ったんだ」
サシャ「科特隊が嫌になって出て行ったとか」
ユミル「案外きつくなって逃げ出したんじゃねえの」
ライナー「あいつはそんな奴じゃない!」
ユミル「じょ・・冗談だよ、冗談・・・いや、悪かったよ」
ライナー「ああ・・・こっちこそ怒鳴ったりしてすまない」
サシャ(ライナー最近すごく不安そうですね)ヒソヒソ
ジャン(無理もねえよ、ガキの頃からのダチが行方知れずなんだ、そりゃ焦るさ)ヒソヒソ
243 :以下、
コニー「何をこそこそやってんだ?ひとまず本部に帰ろうぜ」
ジャン「ああ、そうだな」
サシャ「そうですね、お腹もすきましたし」
ユミル「お前はホントそればっかだな」
ライナー「はは、じゃあ戻るとするか」
(ライナー)
不意に呼ばれた気がしてライナーは振り返るが誰もいない
ライナー(・・・?気のせいか?)
(ライナー、君も帰るんだ。君の故郷に)
ジャン「くっちゃべってねえでさっさと帰るぞ。おいライナー!」
ジャンが振り返る。だがそこにライナーの姿はなかった
244 :以下、
ーーーー
ーーー
ーー
「ーーーン」
「ーーーレン」
「ーーーエレン!」
自分を呼ぶ声が聞こえてきて、重い瞼を開けると、そこにはアニの顔があった
アニ「ようやく起きた。早く支度して、行くよ」
エレン「ーーーアニ?あれ?そういえば・・・」
アニ「まだ寝ぼけてるの?」
エレンは欠伸をしながらふらふらと起き上がる
エレン「お前もう起きて大丈夫なのか?からだは・・・」
245 :以下、
そこまで言って先ほどのアニの艶姿を思い出し赤くなる
察したらしくアニも真っ赤になってエレンにローキックをお見舞いする
エレン「痛いっやめっ」
アニ「忘れろ忘れて忘れなさい頼むから」
アニはエレンを気の済むまで蹴ると制服をエレンに投げる
エレン「痛い・・・」
アニ「早く着替えて。」
エレン「行くって言ってたか?一体どこに・・・」
アニ「私たちの故郷。ベルトルトもきっとそこにいる」
249 :以下、
エレン「故郷って遠いのか?」
本部を出て、郊外に向かって歩くアニの後をついて行きながらエレンが問いかける
アニ「とても遠くて、とても近い場所よ」
エレン「はあ?」
アニ「先に行っておく、私達はこの世界の人間じゃない」
エレン「え?」
アニ「正確には、私達のお父さん達が、この世界に巻き込まれた」
エレン「ちょ・・・」
250 :以下、
アニ「私達はこの世界を守るために遺伝子プールから生み出された人間」
エレン「なに・・・」
アニ「かつてF計画と呼ばれた人造ウルトラマン計画の果てに私達が生まれた」
エレン「まて・・・」
アニ「それが適能者と呼ばれる私達。あいつはかっこつけてデュナミストとか呼んでたけどね」
エレン「おい・・・」
アニ「百年前、お父さん達のいた世界はこの世界と併合された」
エレン「おま・・・」
251 :以下、
アニ「原因は分かっていない。ただ分かっているのはここが、鳥籠の世界と言うことと」
エレン「いや・・・」
アニ「この世界の外殻になっているのがマイナスエネルギーと呼ばれる人間の負の感情」
エレン「あの・・・」
アニ「メタフィールドに似ているけど、この世界の原理もよくわかっていない」
エレン「まてまてまて!」
エレンはアニの前に回り込む
エレン「そんないっぺんに言われてもわからん!てか、一つもわからん!」
252 :以下、
アニはエレンの横をすり抜けると再び歩き始める
エレン「待てって!」
アニ「・・・悪いけど、どこがわからなかった?」
きょとんとして聞き返すアニにエレンは力が抜ける
エレン(ああ、説明下手か・・・)
エレン「この世界の人間じゃないって・・・」
アニ「あまり難しく考えなくていい。他の国の人間ぐらいの感覚で良いよ」
エレン「私たちってのはお前と・・・ベルトルトもなのか?」
アニ「ええ、それとライナーの3人」
エレン「ライナーもなのか!?」
253 :以下、
アニ「うん、だけどライナーは元々不安定だったから小さい頃の記憶はほとんど無いよ」
エレン「兄弟だったのか?」
アニ「兄弟ではないよ。ただ、遠い遠い親戚ってとこ」
しばらく歩いた所でアニはきょろきょろと周りを見回す
アニ「この辺りで良いかな」
エレン「ついたのか?」
アニ「この付近一帯をゲートに指定してるのよ」
エレン「ゲート?」
アニ「いいからこっちに来て」
254 :以下、
エレンがアニに寄り添うように立つと、アニが何やら機械のようなものを取り出し
スイッチを押す。すると回りの景色がゆがみ始めた
エレン「な・・!なんだ!?」
エレンが狼狽えるとアニがエレンの手を握る
アニ「大丈夫。落ち着いて」
周囲のゆがみは大きくなりやがて暗転すると、今度は見知らぬ場所に出てきた
エレン「なんだ・・・ここ・・・」
アニ「ここはジオベース。私たちが生まれた場所」
そこは異様に無機質な場所だった
255 :以下、
エレン「すげえな、壁も、床も、階段も・・・全て鉄で出来ているのか」
エレンが物珍しそうに周囲を眺めているとアニが促す
アニ「エレン、こっち」
エレンは促されるままアニの後を追う
エレン「なあ、ここ、他に人はいないのか?」
アニ「・・・みんな・・・死んだよ」
エレン「・・・」
アニ「7年前、ある予言の元、私たちは行動を開始した」
エレン「予言?」
256 :以下、
アニ「近い未来、この世界に破滅をもたらすものが現れる」
アニ「はじめは、それは巨人のことだと思われていた」
アニ「だけど分析をすすめるうちにこの世界を破滅にもたらすのものがなんであるかわかった」
エレン「それが、人類だって言うのか?」
アニは無言で頷く
エレン「一体誰がそんなことを・・・」
そうこうしていると、二人は開けた場所に出るそこは
エレン「でけえ・・・」
そこは巨大なコンピュータールームだった
257 :以下、
エレン「これってあれだろ?『こんぴゅーた』ってやつだろ?アルミンが作ってた」
アニ「ええ、これが私たちの行動の基盤になる光量子コンピューター『クリシス』」
エレン「クリシス・・・」
アニ「さっきの予言を導き出した張本人」
エレン「ちょっと待てよ、こんなものにそんなこと言われたからって」
アニ「悪いけど、これは私たちでは到底たどり着けない答えを導き出すことが出来る」
エレン「頭がいいって事か?」
アニ「アルミン100人分ぐらい」
エレン「それはすげえな」
エレン「だけど、アルミンだって間違うことはある。こいつだって間違っているこの可能性は」
アニ「もちろんその可能性は探したよ、だけど・・・」
258 :以下、
そう言ってアニは俯く
アニ「・・・その頃だった、私にアグルの光が舞い降りたのは」
エレン「アグルの光」
アニ「私とベルトルト、ライナーの3人の適能者の中で、選ばれたのは私だった」
アニ「思えば、ベルトルトはその頃から自分が光に選ばれたことが不満だったんだろうね」
エレン「それで、俺のベータカプセルを」
アニ「・・・だけど幼かった私は、光の力をうまく使えなかった」
アニ「ある日、力を制御する訓練中。私は暴走してしまう」
アニ「それを止めようとしたお父さん達を、私は殺してしまった・・・」
エレン「え?」
アニ「私が・・・殺してしまったんだ・・・」
259 :以下、
「私が・・・」
アニは震えていた。俯いて表情ははっきりとわからなかったが泣いているようにも見えた
エレンは思わずアニを抱きしめる。アニはびくりとしてエレンの顔を見上げた。
「エレン・・・」
「俺も・・・人を殺したことがある」
「え・・?」
「お前とは少し理由は違うけどな」
260 :以下、
「だけどそれを理由に自分を追い込むのはやめろ」
「代わりに俺が、少し背負ってやるからさ」
「エレン・・・」
アニはエレンの背中に手を回すとつま先立ちになりエレンに顔を近づけた
「!アニ・・・」
ごめんなさい。ミカサ。でも・・今だけは・・・
急がねばならないことはわかっていた。だが、いつまでもこのままで・・・
アニはそう願ってしまっていた・・・
264 :以下、
どれくらいの間そうしていただろうアニはそっと顔を離すと
行こう、とだけ言って歩き出した。
エレン「まてよ」
エレンはアニの腕と掴むとこちらに振り向かせる
アニ「・・・さっきのは、悪かったよ。もう忘れて」
エレンはかっとなって言った
エレン「忘れられるわけねえだろ!」
アニ「ごめん」
エレン「謝るぐらいならあんな事なんでやったんだよ!」
265 :以下、
アニ「・・・」
エレン「謝られたら・・・嬉しかった俺の気持ちはどうなるんだよ」
アニ「!」
エレン「言ったろう?お前も大切に思ってるって」
それを聞いたアニの顔がみるみる赤くなる
アニ「だ、だって、あんたにはミカサがいるじゃない」
エレン「?もちろんミカサもアニと同じくらい大切に思っているぞ?」
アニ「」
それを聞いたアニの顔がみるみる冷めていく
エレン「ミカサにキスされたときもなんだかんだ嬉しかったしな」
アニ「」
266 :以下、
エレン「やっぱ、大切に思っている奴からそういう事されるのは嬉しいもんな」
満面の笑顔のエレンにアニの拳が飛んだ。鈍い音と共にエレンが転がる
エレン「な、にするんだ・・・」
アニ「・・・私とミカサの怒りだよ」
アニはため息をつくと転がっているエレンの近くに座り
「で?私とミカサ以外にも誰か大切な人はいるの?」
と聞いた。エレンは少し首をかしげた後
エレン「は?・・・えーと・・・アルミン」
真顔でそう答えた
アニ「・・・もういいよ」
267 :以下、
アニはまた深くため息をつく。この男はやはりどこかずれている
二人の女に大切な人と言ったのは本気なんだろうが、
そこに邪な気持ちが無いのがたちが悪い
アニ「ホントに最低な男だよあんた・・・」
エレン「そ、そうなのか?」
ぶたれた頬をさすりながらエレンは涙をにじませる
アニ「・・・これが惚れた弱みって奴なのかな」
ミカサとのこととか、いろいろ悩んでいるのが馬鹿らしくなってきた
ああ、もうこの男にはいろいろ気を遣うのはやめよう
268 :以下、
アニ「エレン、罰として帰ったらミカサにあんたのことをちゃんと話すんだ」
エレン「え?」
アニ「ミカサは、あんたを信じてずっと待っているんだ。あんたはちゃんと応えなきゃ」
エレン「・・・ああ」
アニ「・・・二人の女を手玉にとろうってんだ。それくらいの誠意は見せなよ」
エレン「手玉って・・・そんなつもりは」
アニ「ならさ」
アニはエレンに向かってずいっと身を乗り出す
アニ「さっきのお返ししてくれるんだろう?」
そう言ってアニは目を閉じる
269 :以下、
エレン「いやその理屈はおかしい・・」
アニは目を閉じたままエレンのすねを足で小突く
エレンはゴクリとつばを飲むとそっとアニの肩を抱く
アニ「・・・!」
エレンはアニの頬に手を添えそのまま・・
ライナー「・・・なにやってるんだ?お前ら」
エレン「」
アニ「」
270 :以下、
ライナー「・・・!ひょっとしてあれか?ちゅーか?ちゅーしようとしてたのか?」
エレン「な・・・」
ライナー「まさかお前らがそんな仲だったとは」
アニ「な・・・」
ライナー「はっ!エレンお前ミカサはどうした!?まさか二股か!?」
アニ「何であんたがここにいるの?」
ライナー「ああ、いやそれがわからんのだ」
ライナーが言うにはベルトルトの探索中、妙な声に呼ばれて気付いたらここにいたとのこと
271 :以下、
ライナー「薄気味悪いが、なんだかここは懐かしい気がしていてな」
アニ「・・・・・・」
ライナー「ここを調査していたら声が聞こえてきてな、来てみたらお前らだったんだ」
エレン「なあ、アニ。ライナーはここの事を」ヒソヒソ
アニ「ええ、覚えていないみたい」ヒソヒソ
アニ(ベルトルトがライナーを呼んだの?でもなぜ・・・)
アニ「ライナー。エレンと私もベルトルトを探していてここに迷い込んだんだ」
ライナー「そうだったのか、しかしここはどこなんだ?出口らしきものすらないとは」
272 :以下、
アニ「ライナー手分けして探そう。私とエレンはあっちの方を探すからライナーは反対の方を」
エレン「後でここに落ち合うようにしよう」
ライナー「ああ、わかった。じゃあ行ってくるぜ」
ライナーはそう言って歩き出したが、
ライナー「・・・まさかお前ら」
そう言って振り返る
エレン・アニ「!」
ライナー「まさか俺が行った後さっきの続き・・いやそれ以上のことやり出す気じゃ・・・」
アニ「いいからさっさといけ!」
そう言ったアニは近くにあった物をライナーに投げつける
273 :以下、
ライナー「いてえ!」
アニ「なに考えてんのよエロゴリラ」
ライナー「そんなおっかねえ顔で怒ることないだろ。今の顔をエレンに見せて見ろ!」
アニ「うるさい!」
ライナー「エレン、お前は知らんかもしれんが、アニは俺にとって妹みたいなもんなんだ」
アニ「!」
ライナー「その妹を泣かせるようなまねだけはしてくれるなよ」
エレン「・・・ああ、わかってる」
ライナー「はは、じゃあアニのこと頼んだぜ」
そう言ってライナーは去っていった
274 :以下、
アニ「エレン、私たちも行こう」
エレン「なあ、ライナーには言わなくてよかったのか?」
アニ「忘れているのなら、忘れてくれた方がいい・・・ここは、辛いことが多すぎたから」
エレン「そうか・・・」
エレンは、アニに連れられ地下へと向かった
エレン「この先に、ベルトルトはいるのか?」
アニ「たぶん」
エレン「この先には何かあるんだ?」
アニ「・・・ウルトラマンの石像」
エレン「は?」
275 :以下、
アニ「私も詳しくは知らない、ずっとずっと昔に光の力を使い果たして石化した
 ウルトラマンらしいけど」
エレン「そんなものが・・・」
アニ「もうすぐだよ・・・」
二人が向かった先には大きな空洞。そしてその中央には・・・
エレン「これが・・・・」
確かに、その中央にはエレンのウルトラマンに似た石像があった
エレンがその石像に近づいたその時
ベルトルト「ここまでこれたんだねえ」
ベルトルトが姿を現した
アニ「ベルトルト!」
276 :以下、
ベルトルト「ああ、アニも一緒なら来ることは簡単か」
実に愉快そうに石像の前に立ち笑顔のまま話し始める
ベルトルト「なあ、言っただろう?君は特別なんかじゃないって」
ベルトルトはそう言いながら石像を見上げる
エレン「そうだ、俺は特別な人間なんかじゃない」
ベルトルト「・・・・・・」
エレン「だけど、俺は自分の出来ることをする。この世界と、この世界の仲間をみんなと一緒に守る!」
アニ「・・・・・・」
ベルトルトは心底愉快そうに笑う
277 :以下、
ベルトルト「みんな?みんなはウルトラマンが神だと思っているんだよ?
  ・・・いいのかいそんな情けない意識でさあ」
アニ「・・・情けないだって?」
ベルトルト「そうさ、君達は光の力に頼っているだけだ。人類の進化を強制的に導くのがウルトラマンの使命さ」
ベルトルトは懐からベータカプセルを取り出す
エレン「!」
ベルトルト「これは君の身体を光の粒子に変異させるシステムなんだ」
アニ「・・・あんたが何をしようとしているのかこれではっきりしたよ」
278 :以下、
アニはじりじりとベルトルトと間合いを詰める
アニ「それは、エレンの物だ。返してもらうよ」
だが、アニの後ろからアームが伸びてきてアニを拘束する
アニ「くっ!」
エレン「アニ!」
ベルトルト「アニ、少しおとなしくしててくれ。もうすぐだ・・・もうすぐ君と一つになれるんだ」
アニ「ベルトルト?」
ベルトルト「今から僕は巨人と融合し、その後で君の光ももらう。そしてぼくは・・」
エレン「おまえでは、ウルトラマンになれねえよ」
それを聞いたベルトルトは突然大笑いをし始める
279 :以下、
ベルトルト「ほら、君はやっぱり自分が特別だと思ってるんだ。君と僕は同じデュナミストだ」
  言ってみれば僕たちは兄弟みたいなものなんだよ」
アニ(・・・違うんだよベルトルト。エレンと私たちは違うんだ・・・)
ベルトルトは巨人の足下にあった装置にベータカプセルを装着する
アニ「やっぱりクリシスのシステムを使って・・・」
ベルトルト「クリシスもひょっとしたらこうなることを予想していたのかもねえ」
  ・・・ああ、だから光は僕を選ばなかったのさ」
エレン「やめろ!」
エレンがベルトルトに向かって走りだすが、その途中でエレンの身体に電撃が走り
エレンはその場に崩れ落ちる
280 :以下、
アニ「エレン!」
ベルトルト「ああ、君はもう必要ないや」
ベルトルトはエレンに向かってスーパーガンを向ける
アニ「ベルトルト!!やめて!!」
ベルトルト「じゃあね、エレン」
その時、スーパーガンの光線がベルトルトをかすめる
ベルトルト「!?」
ライナー「大丈夫か!?エレン!アニ!」
アニ「ラ、ライナー?」
281 :以下、
ベルトルト「ライナー?何故ここに?・・・アニが連れてきたのか?」
アニ(ベルトルトがライナーをここに呼んだんじゃないの?)
ライナーは近づいてくるとベルトルトに気付く
ライナー「ベルトルト!?お前、今までどこに・・・いや、この状況は何だ?」
拘束されているアニとエレンに銃を構えるベルトルト。
アニ「ライナー!ベルトルトを止めて!」
ベルトルト「・・・うるさいよ、アニ」
ベルトルトはアニに向かってスーパーガンを撃つ。
当たりはしなかったがアニの髪が数本はらはらと落ちる
ベルトルト「いくら君でもこれ以上僕の邪魔をするなら僕も考えなきゃいけないよ」
282 :以下、
ライナー「ベルトルト・・・お前どうしちまったんだよ。お前は、そんな奴じゃないだろ?」
ベルトルト「どいつもこいつも…もう僕は君たちの後ろで震えているだけの僕じゃない」
そう言うとベルトルトはためらいもなくライナーを撃った
ライナー「ベル・・トルト・・・」
胸を打ち抜かれたライナーはその場にゆっくりと倒れる
エレン「ライナー・・・!!」
アニ「・・・ライナー・・・あ・・あああ!!」
倒れたライナーを見たアニは言葉に出来ない叫び声をあげる
アニ「ベルトルト・・・よくも・・・よくもおおおおお!!」
283 :以下、
ベルトルト「・・・誰だろうと僕の邪魔はさせない」
ベルトルトは再び装置に近づく
エレン「やめろ!間違った心のまま光になったら!」
ベルトルト「・・・間違いかどうかこれでわかるさあ」
ベルトルトが装置に手をかざすとベータカプセルから光があふれ出す
ベルトルト「これで僕は人間などと言う矮小な存在から進化するのだ!
  古代の力よ僕に光を与えたまえ!」
エレン「やめろおおお!」
エレンがベルトルトに駆け寄るが、またしても電撃に阻まれる
284 :以下、
ベータカプセルは光を更に強く発し始めた
「ひいいいかああありいいいよおおお!」
周囲がまばゆい光に包まれる、ベルトルトは光の粒子となって石像に吸い込まれていった
アニ「そんな・・・」
エレン「ばかな・・・」
銀色の身体に黒いライン。エレンのウルトラマンに似ているがまるでその姿は・・・
アニ「・・・イーヴィル」
285 :以下、
巨人となったベルトルトはエレン達を一瞥するとどこかに消えていった
エレン「くそ・・・」
エレンは再び立ち上がるとふらふらと残されたベータカプセルに近づくが
また電流に阻まれ、吹き飛ばされる
アニ「エレン、もうやめて!」
エレンが顔を上げるとそこには動かなくなったライナーの姿があった
エレン「ライナー・・・」
エレンはライナーの元に這っていく
286 :以下、
エレン「ライナー、すまない・・・俺は・・・何の力もない、ただの人間だ」
エレンがライナーの身体に手を伸ばすと、突然ライナーの身体が輝き出す
エレン「な・・・!」
アニ「!?」
先ほどのベルトルトのようにライナーの身体が光の粒子となり、飛んでいく
その先には、もう一体怪獣の石像があった
エレン「あれは・・・」
ライナーの光がその石像に吸い込まれていく
287 :以下、
アニ「ライナー?」
ライナーの光を吸収した怪獣は、雄叫びを上げ、イーヴィルの後を追うように消えていった
エレン「一体・・・何が」
アニ(きっとベルトルトの光が瀕死のライナーの遺伝子にも反応したんだ)
 (私とエレンに何もなかったのはあくまでシステム化された光だからだろうか・・・)
アニは何とか変身しようとするが、腕と共にアニレイターが固められているため無理だった
エレンは再び立ち上がるとまたベータカプセルに向かって歩き出す
アニ「エレン、もう・・・」
288 :以下、
エレン「アニ、俺は、ただの人間だ。あれがなければあいつらを止めることも出来ない」
そう言ってベータカプセルを見る
アニ「そんなことは・・・」
エレン「なら、俺はあれに頼る前に、人間として出来ることをやるだけだ!」
エレンはゆっくりと近づく、今度も同じようにエレンに電撃が走るが
エレン「ぐうう!!」
エレンはその場で踏ん張り少しづつ前に進み出す
289 :以下、
アニ「エレン!」
電流で身体が破裂しそうになる。痛みを耐えるために食いしばった口から血が流れた
うわああああああああ!!
エレンが倒れ込むように前に進むと、電流の帯を抜けることが出来た
エレンはふらふらと立ち上がるとベータカプセルを手にする
エレン「アニ、待ってろ!俺が、あいつらを止める!」
アニ「うん・・・エレン、お願い」
エレンは頷くとベータカプセルを天に掲げた
294 :以下、
ハンジ「うーん・・・」
ミカサ「どうですか?」
科特隊の医務室、ハンジは、ミーナの容態を見るために来ていたが
ハンジ「悪いけど、報告書以上のことは分かりそうにないねぇ」
そう首を横に振った
ミカサ「そうですか・・・」
ハンジ「せめてこうなった直前の状況が分かればねえ」
ミカサ「・・・」
ミカサは、先程アニから事情を聞いたためミーナの状態は知っていたが、
それをどう話したものか悩んでいた。
295 :以下、
ハンジ「・・・でもこの症状、どっかで見たような・・・」
ミカサ「え・・・」
ハンジ「ああっアルミンだ、アルミンの症状に似てるんだ」
ミカサ「・・・アルミン!?あの、アルミンどこか悪いんですか!?」
ハンジ「いや、特に悪いという訳じゃないけど、時々こうやって意識を失うことがあるらしいんだ」
ミカサ「それ、十分悪いんじゃ・・・」
ハンジ「それがさ、アルミンに頼まれて一度精密検査をしたことがあったんだけどさ」
ミカサ「なにもなかったと・・・?」
296 :以下、
ハンジ「正確に言えば何もなかった訳じゃないけど・・・」
ミカサ「何があったんです!?」
ハンジ「身体事態は健康そのものなんだ・・・ただ・・・」
ミカサ「ただ?」
ハンジ「・・・うーん、うまく説明できないなあ。一応レポートにまとめて
 アルミンに渡そうとしたけど、今日アルミンいなくてさ。
 ジャンにそのレポートを渡したんだよね.それに詳しく書いてるよ」
ミカサ「・・・・・・」
ハンジ「ねえ、ミカサ」
ミカサ「はい?」
ハンジ「アルミンは、昔からあのままだったのかな・・・?」
ミカサ「は?」
297 :以下、
その時けたたましい足音と共にクリスタが駆け込んできた
クリスタ「ミカサ!大変なの!作戦室に至急来て!」
ミカサ「なにかあったの?」
クリスタ「それが・・・今度はライナーがいなくなったって」
ミカサ「え?」
二人が急いで作戦室に向かうと、ユミルが戻ってきていた
クリスタ「ユミル!帰ってきてたんだ!」
ユミル「ああ、なんだかとんでもないことになってるな」
ミカサ「ジャン達は?」
ユミル「まだ、ライナーを探してる。ああそれとミカサ」
ミカサ「なに?」
298 :以下、
ユミル「エレンの奴は調子はどうなんだ?できればあいつも出動して欲しいんだけど」
ミカサ「エレンは・・・」
クリスタ「アニも目を覚ましたけど・・・まだ動けないよね」
ユミル「アニも目を覚ましたのか。今は猫の手も借りたいんだ。
 何しろライナーは私達の目の前でいなくなった。間違いなく何かに巻き込まれてんだ」
クリスタ「目の前で?」
ユミル「サシャも嫌な予感がするってずっと騒いでいる」
ミカサ(確かに、こういうときのサシャの勘は良く当たる。それも悪い方向に。でも・・・)
ユミル「なあ、ミカサ。無理は承知で言ってるんだ。2人に何とか・・・」
ミカサ「それはできない」
299 :以下、
クリスタ「うーん。やっぱりそうだよね」
ユミル「・・・私が直接2人に掛け合ってくる」
ミカサ「そ、それはできない」
ユミル「なんでだよ」
ミカサ「それは・・・その・・・」
ユミル「いえねえのか?」
ミカサ「・・・ごめんなさい」
ユミル「今の状況を知ってもか?」
ミカサ「・・・うん」
300 :以下、
ユミル「・・・・・・」
ミカサ「・・・・・・」
ユミル「・・・わかったよ。深くは追求せずにおくよ」
ミカサ「ユミル・・・」
ユミル「その代わり、お前には3人分働いてもらうぞ」
ミカサ「もちろん!・・・ユミル。ありがとう」
ユミル「礼なんかいらねえよ。お前らの痴話喧嘩にゃ馴れっこてだけさ」
そう言ってユミルは意地悪そうに笑った
ミカサ「そ、そんなんじゃない」
赤くなって首を振るミカサをユミルがからかっているとクリスタがぽつりと漏らす
クリスタ「・・・ウルトラマン」
301 :以下、
その声に2人がクリスタの方を見る
クリスタは、先日アルミンが作った映写機に目を向けていた。
二人がのぞき込むとそこには確かに光り輝くウルトラマンが映っている。
ユミル「なんだ?怪獣が現れたなんて報告は来てないぞ?」
ミカサ「・・・違う」
クリスタ「え?」
ミカサ(あれはエレンじゃない)
ユミル「違うって何が・・・」
その時通信機から発信音が響く
302 :以下、
ジャン『おい!ウルトラマンが出てきてるが、怪獣でも出たのか?』
クリスタ「それが・・・そんな報告は何も・・・」
ミカサ(まさか・・あれがアニが言っていた・・・)
その頃街中は軽いパニック状態に陥っていた。
無理もない。今までウルトラマンが姿を現すときは、怪獣が出る時でもあるのだ
サシャ「ジャン、怪獣はどこだかわかりましたか!?」
ジャン「いや、本部にもそんな連絡は行っていないらしい」
コニー「じゃ、じゃあ、ウルトラマンは何しに出てきたんだ?」
ジャン「知るかよ!」
303 :以下、
サシャ「・・・ねえ、コニー、ジャン。気のせいかも知れませんけど」
コニー「は?」
サシャ「なんだかあのウルトラマン。いつもと違う気がしません?」
ジャン「言われてみりゃあ、ウルトラマンに似ちゃいるが・・・」
コニー「やけに光ってるしな」
その時、周囲に声が響き渡る
「諸君、私は進化した人類だ」
サシャ「う、ウルトラマンがしゃべった!?」
コニー「てか、この声・・・」
ジャン「ベルトルトの声じゃねえか」
「愚かしい旧人類は、私に導かれることこそが生き延びる道だ」
ウルトラマンを見ていた群衆からどよめきが走る
304 :以下、
ジャン「まずいな・・・」
コニー「なあ、どういうことなんだ?あれ、ベルトルトなのか?」
アルミン『違うよ』
通信機からアルミンの声が聞こえてくる
ジャン「アルミンか!違うってどういうことだ?」
アルミン『あの巨人の位置と声の発信元が違っている。
  あの巨人がしゃべっているわけじゃないよ』
サシャ「じゃあ、ベルトルトはどこかでこれをしゃべってるんですか?」
アルミン『どうだろう。声の発信源がどうにもはっきりしないんだ』
305 :以下、
ジャン「と言うか、このまましゃべらせていいのかよ」
アルミン『そうだね、このままだと妙な方向に民衆を扇動しかねない』
サシャ「むしろみんなウルトラマンを怖がっているような・・・」
ジャン「急にしゃべり出したかと思えば、言ってることが大仰だからな」
コニー「おい、なんだか巨人の様子が変だぞ?」
見れば、巨人は先ほどから身体の周りを覆っていた光が消え、
苦しそうにうめきだし、そしてゆっくりと構える。
ジャン「おいおいおい・・・まさか・・・」
次の瞬間、巨人は街に向かって光弾を発射した
コニー「なっ!!」
光弾はそのまま周囲を吹き飛ばした!
306 :以下、
建物の崩れる音。そして人々の悲鳴と断末魔が響きわたる。
そこで街は完全にパニック状態に陥る
な、何でウルトラマンが・・・
ウルトラマンも結局敵だったのか?
そりゃそうだ、考えてみりゃあ、奴らだって化け物なんだ・・・!
人々の口からそんな言葉が溢れた
逃げ惑う人々の間をかき分けるようにアルミンは科特隊本部に向かう
アルミン(とうとう始まってしまった・・・僕は・・・保つのか?)
310 :以下、
一方科特隊本部ではーーー
キース「一体何が起きている!」
キース隊長が騒ぎを聞きつけ作戦室に入ってきた
クリスタ「あ、隊長!その、ウルトラマンが町を破壊しています!」
キース「どういうことだ?」
ミカサ「三人目の巨人です」
キース「三人目・・・それからさっきから街に響いている声、あの声は」
ユミル「はい、この声はベルトルトのものです・・・」
311 :以下、
ミカサ(アニが言っていたようにベルトルトが巨人の力を手に入れた?)
 (なら、エレンとアニは・・・)
ミカサは拳を握りしめる。思わず飛び出していきそうになったとき
クリスタ「こ、今度は怪獣が出現!!」
キース「こんなときに」
ユミル「怪獣が、巨人に向かっていきます!」
モニタに映し出された怪獣は、ゆっくりと巨人に向かって動いていく
コニー「ああ!もう、こんなときに出てこなくてもいいじゃねえか!」
ジャン「くそ!あの偽ウルトラマンが呼びやがったのか?」
コニー「偽って・・・」
ジャン「ああ!?あんなもんニセモンに決まってんだろ!」
312 :以下、
サシャ「・・・あの・・・変なこと言っていいですか?」
ジャン「ここにパンはねえぞ!」
サシャ「違いますよ!私ってそんなイメージですか!?」
コニー「まあ、そんなイメージだよな」
サシャ「コニーまで…もうデートしてあげませんよ!」
コニー「な、なんだよそれ!」
ジャン「おい・・あの怪獣」
見ると、怪獣は巨人に掴みかかっていたが、それはどちらかというと・・・
コニー「なんか、取り押さえているように見えるな」
313 :以下、
サシャ「そうですよ!なんだかあの怪獣、悪い子に見えないんです!」
ジャン「悪い子って・・・」
確かに、怪獣はすがるように巨人に抱きつくと何かを訴えるように吠える
巨人はそれを振りほどくと、怪獣を前蹴りで吹き飛ばし、光弾で追撃する
サシャ「ああ!」
怪獣は傷だらけになりながらのそりと立ち上がるとまた何か訴えるように
悲しそうな遠吠えをする
ジャン「・・・あの怪獣、泣いてやがるのか?」
見れば怪獣の瞳からは涙があふれていた。怪獣は再びのそのそと巨人に近づくと
巨人の右腕を甘噛みする。
314 :以下、
巨人は一瞬動きを止めたが、今度は怪獣を投げ飛ばし再び光弾を浴びせる!
ジャン「やめろおおおお!」
ジャンが巨人に向かって、スパイダーショットを放つとコニーとサシャもそれに続く
コニー「いい加減にしやがれ!この偽物やろうが!」
サシャ「今日はあなたの方が悪い子です!」
科特隊の一斉射撃に巨人が倒れる。そこに怪獣がのしかかった。
ウオオオオン・・・・ウオオオオン・・・・
怪獣の声が響く。だが、巨人は下から怪獣の首を掴むとそのまま横に倒し
自分は素早く起き上がった
ジャン「ちいっ」
315 :以下、
科特隊が再び巨人に発砲すると今度はそれを察したか光の防御幕を張り科特隊に打ち返した
ジャン「よけろお!」
ジャンの合図で3人はその場から飛び去ったが、完全に躱すことができず吹き飛ばされる
クリスタ『ジャン、応答してジャン、大丈夫?』
ジャン「ああ・・・大丈夫だ、それより・・・来てくれたぜ・・・本物が・・・!」
吹き飛ばされ、倒れているジャンの上を赤い巨人が飛んでいく
そのまま空中で一回転すると黒い巨人に跳び蹴りを放った
まともに受けた黒い巨人は大きく吹き飛ばされた。
316 :以下、
クリスタ「ウルトラマン!」
キース「今度は本物か?」
ミカサ(エレン・・・よかった・・・)
ミカサがほっと胸をなで下ろすと作戦室にアルミンが入ってきた
アルミン「遅れてすみません!」
ミカサ「アルミン!」
アルミン「・・・状況は?」
ユミル「いつものウルトラマンが現れた、今あの巨人とにらみ合っている」
キース「・・・超人同士の戦いか」
ミカサ「いいえ、これは人の心が引き起こした戦いです」
キース「なに?」
アルミン「・・・・・・」
ミカサ(必ず勝って・・・エレン!)
317 :以下、
黒い巨人…イーヴィルと赤い巨人…ウルトラマンはにらみ合う
ふとイーヴィルが光弾を放とうとして構える。
ウルトラマンがそれに反応し構えたが、イーヴィルは突如向きを変え反対方向にいた
怪獣を打ち抜いた!
(・・・!!)
怪獣はゆっくりと崩れ落ちると、静かに目を閉じ、動かなくなった
ウルトラマンは、動かなくなった怪獣を呆然とみる
無意識のうちに手が震えた
ーーーああ、覚えているこの感情
318 :以下、
胸の奥から沸き起こってくる激情にウルトラマンは震えた
拳を握りしめ、イーヴィルを見る
イーヴィルはウルトラマンに向き直すと「こい」と言わんばかりに手をかざした
それが合図
ウルトラマンは一気に間合いを詰めるとイーヴィルの顔を殴り飛ばした
苦悶の声を上げイーヴィルが後ろにのけぞるとウルトラマンはそれを追うように前進し
膝でボディを蹴り上げるとそのまま回し蹴りをイーヴィルに放つ
だがイーヴィルはそのケリをいなすと逆にウルトラマンに蹴りを入れる
今度はウルトラマンがのけぞったところにイーヴィルが顔面を殴りつけた
319 :以下、
二人の巨人の拳が、技がぶつかり合う、一進一退の攻防
二者鏡像のような構えから放った必殺の光線も互角のまま相殺された
陽はとうに傾きかけ、二人のカラータイマーも終焉を知らせる
ウルトラマンとイーヴィルは意を決したようにお互いに向かって飛び込んだ
交錯する二人の巨人
先に膝をついたのはウルトラマンだった
イーヴィルがウルトラマンを見下ろしとどめを刺そうとしたとき、
苦しそうにうなり声を上げ、今度はイーヴィルが倒れた
ウルトラマンはゆっくりと立ち上がると
残りのエネルギー全てをイーヴィルに叩きつけた
グオオオオオオ!!
イーヴルはうめき声を上げウルトラマンに手を伸ばそうとしたが
光の粒子となって消えていった・・・
320 :以下、
ウルトラマンはイーヴィルが消えたのを確認すると怪獣に歩み寄る
怪獣を抱き上げ、ぎゅっと抱きしめるとウルトラマンと怪獣も光となって消えていった
ジャン「・・・終わったのか?」
ジャンはそう言って周囲を見る。街は惨憺たる物だった。
おそらく今までで一番の被害者が出ただろう。
ジャン「くそっ」
サシャ「ジャン・・・」
321 :以下、
ショックは大きかった。今回攻撃してきたのは他でもないウルトラマンと同タイプの巨人。
しかもそれを止めようとしたのは怪獣。おまけにベルトルトも何か関わっているようだ
ジャン「どうなってやがるんだよ、これは・・・」
コニー「おい!あそこ!」
コニーが指さす方を見ると、ベルトルトが倒れていた
サシャ「ベルトルトですよ!」
三人がベルトルトの元に駆け寄ると、ベルトルトは苦しそうに身をよじらせている
ジャン「・・・とにかくベルトルトを連れて本部に戻るぞ」
コニーとサシャは頷き、ベルトルトの身体を抱えた
322 :以下、
ーーーー
ーーー
ーー
科特隊本部医務室のベッドの上でミーナはゆっくりと目を覚ます
ミーナ「・・・あれ・・・わたし・・・」
まだはっきりしない意識の中、ふと横を見ると微笑んでいるアニの姿があった
ミーナ「アニ・・・」
アニ「ミーナ・・・よかった・・・」
ミーナ「そうか・・・私・・・」
ミーナは起き上がるとアニの方に身体を向ける
ミーナ「アニ、私にずっと嘘をついてたんだね」
アニ「・・・」
323 :以下、
ミーナは俯くアニの身体を引き寄せると、ぎゅっと抱きしめる
ミーナ「馬鹿だよアニは、ずっと、ずっと一人で抱え込んで」
アニ「ミーナ・・・」
ミーナ「ウルトラマンは、たった一人で戦わなきゃいけない義務でもあるわけ?」
アニ「・・・・・・」
ミーナ「ずっと一人で・・・そんなの、そんなのひどすぎると思わない?」
アニ「ミーナ・・・」
ミーナ「アニが抱えているものの大きさは私じゃわからないかも知れない」
アニ「・・・・・・」
ミーナ「でも、もっと話して欲しい、もっと信頼して欲しい。アニは私の、
 大切な友達なんだから・・・!」
324 :以下、
アニ「ごめん・・なさい・・・ごめんなさい・・・」
アニの瞳から大粒の涙がこぼれる。
ミーナもつられて泣き出した。
二人で泣くだけ泣いた後、なんだか気恥ずかしくなり、二人笑う
アニ「ミーナ、ありがとう。でも今の私は・・・一人じゃないから」
それはミーナですら初めて見る、満面の笑みだった
ミーナ「アニ・・・」
そこに医務室の扉が開き、ライナーが入ってくる
325 :以下、
ライナー「よお、気付いたか、アニ、エレンの奴が探していたぞ」
アニ「ああ、わかった。すぐに行くよ、お兄ちゃん」
ライナー「・・・その呼び方はやめろ。なんかむず痒い」
苦笑いをしながらライナーは医務室を出る
結果として、ライナーは助かった。
あの後、エレンと共に元の姿に戻ったライナーはジオベースの
医療設備にかけられ何とか一命を取り留めたのだ。
ベルトルトの方は今、科特隊本部の地下牢に幽閉してある
一連の事件に関与は認めているものの、肝心なことは話そうとはしない
エレンもアニも、今のところはベルトルトのことは話すつもりはない。
326 :以下、
これは、アニからエレンに持ちかけられたもので、どうにかベルトルトが思い直してくれることを願っているのだろう
なんだかんだと言ってアニにとっては、ベルトルトもやはり大切な兄弟なのだ
科特隊の方も、ベルトルトのことは上に報告していない。
皆の気持ちも同じなのだろう
アニ「・・・さて、私、エレンの所に行くね」
ミーナ「ちょっと、病み上がりの親友をおいて彼氏のとこに行くとか」
アニ「彼氏って・・・」
ミーナにとってはただのからかいのつもりだったのに真っ赤になるアニを見て
ミーナ「・・・・・・・・・・・エレンとなにかあったの?」
ミーナは嬉しそうにずいっと身を乗り出す
ミーナ「ねえ!なんかあったんでしょう!?」
ああ、しまったなとアニは思ったが、
まあ、親友が元気になるのはいいことだとため息をついた
327 :以下、
ほぼ同時刻、中央司令室に科特隊隊長キースは呼び出されていた
キース「何のご用でしょうか」
そこにいた司令官の面々は無言でキースに司令書を差し出す
キースが書面に目を通すとそこには
キース「・・・ウルトラマン討伐指令ですか」
「そうだ、科学特捜兵団は、件の巨人が出現次第やかに抹殺せよ」
       第4話完
次回 ウルトラマンイェーガー 
最終話「地球はウルトラマンの星」
331 :以下、
ウルトラマンイェーガー
最終話 「地球はウルトラマンの星」
科特隊本部の一室、エレンの私室にエレンとミカサは向かい合って座っていた
先日アニと交わした約束を果たすためだ
エレン「ーーーーというわけなんだ」
ミカサ「・・・・・・」
エレン「正直、俺も自分のことがよくわからない。親父もあれから姿をみせねえ」
 「だけど、俺はこの力を皆を守るために使いたい。みんなや、お前を」
332 :以下、
ミカサ「・・・エレン」
ミカサはエレンの手を取る
ミカサ「エレン、あなたが何者だろうと、私には関係ない
 前にも言ったよね・・・エレンはいつだって私のヒーローだって」
エレン「ミカサ・・・」
ミカサ「エレンが今までどんなにどんなに悩んだのか、どんなに苦しんだのか
 私はずっとあなたの隣にいたのにわかってあげられなくて、ごめんね」
333 :以下、
エレン「そんなこと・・・」
ミカサ「エレン、私はずっとあなたの側にいる。だからそんな心配はしなくていい」
エレン「心配?」
ミカサ「・・・なんでもない」
そう言ってミカサは笑う
ミカサ(大丈夫、あなたが何者だろうとあなたの子供はちゃんと産んでみせる!)
334 :以下、
エレン「ありがとう、ミカサ。ホントのこと言えばさ、確かに不安だったよ」
ミカサ「・・・エレン」
エレン「だけど、同じ力を持つアニに会えてよかった」
その言葉にミカサの顔が強ばる
エレン「一人じゃないってやっぱり心強いもんだなって・・・」
エレンは話しながら、ミカサの厳しい表情に気付く
エレン「な、なんだよ・・・」
ミカサ「理解できない。どうしてアニの話をし出すの?」
335 :以下、
エレン「は?あれ?アニのことはアニから聞いたんだよな・・?」
ミカサ「そういう事じゃない。エレンの側には私がいるって話してるのに
 アニの話になるのはおかしい」
エレン「え?いや、だから同じ力を持ってるから・・・」
ミカサ「そういえば最近アニのエレンを見る目が前に増しておかしい」
エレン「」
ミカサ「この間アニと何かあった?」
ミカサの目が光る
エレン「あ・・・え・・・いや・・・」
エレンがしどろもどろになって目をそらしていると通信機がなる
336 :以下、
エレン「助かった・・・あ、いや、なんだ?」
クリスタ『どうしかしたの?・・・それより、作戦室に集まれだって』
エレン「ああ・・・わかった。すぐに行くよ」
通信機を切りエレンは立ち上がると
エレン「ほ、ほら!行こうぜ!」
そう言って部屋を出ようとすると、ミカサがエレンの服の裾を掴む
エレン「ミカサ・・・」
ミカサは少し寂しそうな顔をしている
337 :以下、
エレンは頭をかくとミカサの方を向いて話す
エレン「確かに、色々あったよ。だけど、ミカサの心配するようなことはない」
ミカサ「ホントに?」
エレン「ああ・・・」
アニに殺されそうになったことだよな。なら、もう大丈夫だろう。
エレンはそんなことを考えていた
338 :以下、
二人が作戦室に行くとすでに全員が集まっていた。
エレン「すまない、遅くなった」
エレンが自分の席に着こうとすると、その横にアニが座っているのに気付く
エレン「あれ?何でお前・・・」
アニ「ああ、しばらくここにやっかいになるから、私も参加しろってさ」
ミカサ「・・・憲兵団の方は?」
アニ「・・・ああ、あっちは退団したんだ」
エレン「え?なんで」
339 :以下、
アニ「・・・あの後もうジオベースで暮らすつもりだったから」ヒソヒソ
エレン「そうだったのか」ヒソヒソ
ミカサ「・・・なにを話しているの?」
エレン「え?・・・いや」
アニ「・・・私とエレンの話だよ。別にいいでしょ?」
ミカサ「・・・・・・」
アニ「・・・・・・」
サシャ「・・・あの・・・二人が怖いんですけど」
ユミル「まあいいじゃねえか。久しぶりにおもしろくなってきたよ」
340 :以下、
クリスタ「もう、ユミル!・・・隊長・・・」
キース「フッ・・・若いな」
クリスタ「隊長?」
ジャン「いいから本題に入るぞ!!!」
エレン「な、何怒ってるんだよ・・・」
ジャン「うるせえ!お前が言うな!!」
ライナー「まあ、いつものレクリエーションだな」
アルミン「まったくだよ」
二人はあきれたように笑った
341 :以下、
ーーーーー
ーーーー
ーーー
エレン「ウルトラマン討伐指令だって?」
アニ「・・・・・・」
ミカサ「どういうことですか?」
キース「以前から、この話しは常に議題として上がっていた」
エレン(そういや、ミーナもそんなこと言ってたな)
キース「それが今回の巨人襲撃により甚大な被害を被ってしまった」
アルミン「どの巨人が大丈夫なんて保証がない以上・・・・・・」
ジャン「こういう案が出るのは仕方ないってことか」
342 :以下、
サシャ「そんな・・・だってこの間の巨人だって・・・」
コニー「結局ウルトラマンが倒したじゃないかよ」
ライナー「そうかもしれんが、俺達もウルトラマンの事はよくわかってないんだ」
アルミン「たとえ僕たちがウルトラマンを信じられると訴えたところで」
キース「うむ。内地にいる上層部の面々は決して納得するまい」
エレン「だからって・・・」
アニ「しょうがないよ、過ぎた力は淘汰される。別にウルトラマンに限ったことじゃない」
ミカサ「それは・・・私たち科特隊も同じ事?」
アルミン「そうだね、今は怪獣という脅威があるから僕たちは許されている」
ジャン「そんなこと考えたってしょうがねえよ。今はこの指令に俺たちがどう動くかだ」
343 :以下、
サシャ「私は嫌です!」
コニー「うーん、まあ、俺も反対かなあ」
ライナー「しかし、上からの指令を無下にするわけにはいかんぞ」
アルミン「まあ、仮に倒すとなったところで僕たちに倒せる保証など無い」
ジャン「下手に攻撃して完全に敵になっちまったらと考えるとな」
エレン「そんなことはねえよ!」
ミカサ「そんなことはない」
アニ「まあ、ないね」
一同は3人を見る
344 :以下、
ライナー「その保証がないから、今話し合ってるんだろうが」
アニ「・・・その保証がとれればいいのかい?」
エレン「アニ?」
コニー「・・・ベルトルトの奴が話してくれりゃあなあ」
そこで話が止まる。ベルトルトはまだ地下牢にいる
暴れも騒ぎもしないが、口を閉じたまま今に至る
ライナー「また後で、俺が会いに行ってくるよ」
アニ「・・・私も行こう」
とりあえず、科特隊の態度としてこの件に関して、現時点では保留と言うことで解散になった
その後、エレン、ミカサ、アニの三人はエレンの部屋に集まる
345 :以下、
エレン「なあ、俺たちのこと・・・せめてみんなには話した方が」
アニ「ここの連中になら、ね。だけど他所の連中じゃあそうはいかない」
エレン「・・・・・・・」
アニ「ミカサやミーナが受け入れてくれるのは普段のつきあいが深いからだ」
ミカサ「・・・・・・・」
アニ「前にも言ったろう?・・・何も知らない人間からすれば」
エレン「・・・俺たちはただの化け物・・・か」
アニ「結局それじゃ一緒なんだ。どうしたって受け入れられない人間だっている」
ミカサ「中央の人間に納得してもらわなければ同じ事・・・」
346 :以下、
アニ「・・・だから、今度怪獣が現れたら、私が行く」
エレン「アニ!・・・お前!」
アニ「そこで科特隊のみんなに私を攻撃させな」
エレン「馬鹿を言うな!そんなこと出来るかよ!」
アニ「だけどそこでウルトラマンが無抵抗なら考えも少しは動くだろう」
ミカサ「アニ・・・」
エレン「だめだ!そんなことなら俺が行けばいい!」
アニ「エレン、これは私の罪滅ぼしの一つでもあるんだ・・・頼むよ・・・」
そう言ってアニは薄く笑った
347 :以下、
エレン「だからお前の罪は・・・」
そこまで言ったところでエレンをミカサが止める
ミカサ「エレン、アニの決意は固い」
エレン「だけど・・・!」
ミカサ「アニ、悪いけど。お願い」
アニ「ああ、まかせなよ」
そう言うとアニは部屋から出て行った
エレン「ミカサ・・・お前!」
ミカサ「エレン、何もアニに怪我をさせる必要は無い」
エレン「はあ?」
348 :以下、
ミカサ「アルミンに頼んで見た目は派手だけど攻撃能力の無い武器を作ってもらおう」
エレン「ああ、なるほど・・・!」
ミカサ「アニには攻撃されたような演技をしてもらえばいい」
エレン(あいつ演技なんて出来るのか?)
エレン「でもアルミンにはなんていう?」
ミカサ「もちろん、アルミンには全てを話す」
エレン「え?」
ミカサ「どうしたの?」
349 :以下、
エレン「いや、アルミンに話すのか?」
ミカサ「?」
ミカサがきょとんとした顔をする。当然だ、彼女にしてみれば幼馴染みのアルミンに全てを打ち明けることはごく自然なのだ。だが・・・
エレン(そういや、俺、なんで今の今までアルミンに相談してないんだ?)
以前は困ったことがあったら全てアルミンに話していた。なのに・・・
ーーーやっぱりエレンは強いね
いつかのアルミンの寂しそうな笑顔を思い出す。まさか、アルミンにも何かあるんじゃ
エレンは自分の中に沸いた不安を隠すように、口を手で覆った
353 :以下、
科特隊本部地下深くにその地下牢はある
ベルトルト「やあ、ライナー、アニ」
そう言って問題の男は笑った
ライナー「ベルトルト、いいかげんお前の知ってることを話してくれ」
ベルトルト「さて、なんのことやら」
アニ「・・・・・・」
ベルトルト「アニ、よかったじゃないか。みんなに受け入れられて」
アニは牢屋の扉を思い切り蹴りつける
アニ「あんた、いつまでいじけてるつもりだよ」
354 :以下、
ライナー「目を覚ましてくれ!お前の知識が必要なんだ!」
ベルトルト「さあね・・・」
ライナー「しっかりしろ!ベルトルト!償えるチャンスじゃないか」
ベルトルト「・・・僕のしようとしたことは間違っていない」
ベルトルト「闇に覆われる世界を光で照らし導くものが必要なんだ」
アニ「それは・・・あんたじゃない」
それを聞いたベルトルトは突然笑い出す。ひとしきり笑ったところで
「そうだね・・・アニは正しい」
そうこぼした
355 :以下、
ミカサ「エレン、アルミンと何かあったの?」
口をつぐんだまま動かないエレンにミカサが問う
ミカサ「最近エレン、アルミンと話してる?」
エレン「・・・いや」
それだけ言ってエレンは顔を背ける
ミカサ「・・・私も最近アルミンとほとんどしゃべっていない」
科特隊が出来てから、アルミンはよく研究室に籠もることが多くなっていたのもあるがここまで三人の間に会話がないのは、出会ってから初めてだった
エレン「なんでだろうな、少し前まではなんでもアルミンに話してたってのに」
356 :以下、
ミカサ「もしかして・・・この間のこと・・・」
エレン「なにかあったのか?」
ミカサは先日のハンジとのことを話す
エレン(やっぱり、アルミンには何かあるのか?)
ミカサ「エレン、アルミンの所に行こう」
エレン「ああ、行こう!」
その時、通信機が鳴る
クリスタ『怪獣出現!直ちに作戦室に集まってください!』
357 :以下、
ライナー「了解。すぐ行く」
アニ「・・・行こうライナー」
ライナー「ああ」
二人がベルトルトを見ると、とっとと行けと言わんばかりに手を振る
二人は顔を見合わせ、その場を立ち去ろうとしたとき
「気をつけなよ、本当の闇はすぐ近くにある」
ベルトルトがそう呟いた
358 :以下、
ユミル「怪獣はトロスト区西方5km地点に出現。幸い近辺に居住区等はないな」
ジャン「隊長は?」
クリスタ「中央司令部から呼び出し。ここ最近多いよ」
ミカサ「私たちだけでも出撃を」
エレン「よし!いこうぜ、ジャン!」
ジャン「ああそうだな、科特隊出撃するぞ!」
「了解!」
エレン「アニ・・・」
エレンがアニの方を見るとアニは一瞥して部屋を出る
359 :以下、
エレン「まてよ!アニ!」
エレンがアニを追おうとしたが、すでにアニの姿はなかった
エレン「くそ!」
ライナー「なにしてんだ!?行くぞ!」
エレン「あ、ああ・・・」
ミカサ「エレン、仕方がない。あの事はまた今度にしよう」
エレン「そうだな、どのみち科特隊の皆にも話した方がいいだろうし」
二人は頷きあい、皆の後を追った
360 :以下、
トロスト区西方の山間に,その姿はあった
サシャ「アレは・・・鳥ですか?」
コニー「いや、ふくろう?」
エレン(今回の敵は・・・ベムスター・・・か)
ジャン「よし!科特隊!攻撃に移る・・・」
ジャンがそう言いかけたとき、まばゆい光と共に青いウルトラマンが現れた
サシャ「あ、ウルトラマン」
ライナー「今日はずいぶん早く出て来たな」
エレン(アニ・・・)
ミカサ(・・・・・・)
361 :以下、
ジャン「よし、俺たちは散開しつつウルトラマンを援護だ」
「了解!」
アルミン『待った』
ジャン「どうした、アルミン?」
アルミン『たった今、中央からこの機会にウルトラマンを倒すようにとの指令が出たんだ』
ジャン「そうか・・・」
アルミン『そういうわけで科特隊はそのまま待機』
ライナー「何だって?」
サシャ「どういうことです?」
362 :以下、
アルミン『せっかく今ウルトラマンが怪獣と戦っている』
ジャン「・・・共倒れを狙うって事か」
アルミン『十中八九ウルトラマンが勝つだろうけどね』
エレン「アルミン、お前!」
アルミン『まあ、エレンが怒るのは分かるよ』
コニー「???どういうことだ?」
ミカサ「つまり・・・怪獣と戦い終わってウルトラマンが弱ったところを叩く」
サシャ「そんな・・・!」
アルミン『逆をいえばそこぐらいしか僕たちがウルトラマンを倒すチャンスはない』
ライナー「しかしな・・・」
363 :以下、
ジャン「アルミン・・・それは、上の判断か?」
アルミン『そうじゃなきゃ、こんな話はしないよ』
ジャン「じゃあ仕方ねえ、命令ならな」
エレン「おい!本気かよ!」
ジャン「俺たちは戦いが終わるのを待ってから攻撃すればいいんだな?」
アルミン『少し違うよ、攻撃するのは・・・』
その時初めて、科特隊の面々ウルトラマンとベムスターを囲むように
配置してある一団に気付く
アルミン『君たちじゃウルトラマンを攻撃できないだろうからね』
ジャン「・・・憲兵団の連中かよ」
見れば憲兵団の面々は、その手に科特隊の武器を持っている
364 :以下、
ライナー「連中スーパーガンを持ってやがる」
アルミン『急揃えしたものだから、君たちの物に比べれば性能は低いけどね』
サシャ「・・・なんかいい気はしません」
アルミン『とにかく君たちは今日はその場で待機。万が一の時の為にね』
エレン「アルミンやめさせろ!ウルトラマンは味方だ!」
アルミン『・・・だからだよ』
エレン「え?」
そこでアルミンからの通信は止まった
通信を終わらせたアルミンの横でクリスタが不安そうにアルミンを見る
クリスタ「アルミン・・・よかったの?」
ユミル「連中絶対納得してないだろう」
アルミン「大丈夫だよ。きっとジャンがうまく動いてくれる」
ユミル「ホントかよ」
アルミン「それに、エレンがいるしね」
365 :以下、
ーーーー
ーーー
ーー
エレン「俺が行く」
ミカサ「落ち着いて、エレン」
エレン「けどこのままじゃアニが!」
ジャン「アニがどうかしたのか?」
エレン「あ、いや・・・」
コニー「でもホントに攻撃するのか?」
サシャ「なんか納得できません」
ミカサ「・・・・・・」
ライナー「しかし、上からの命令は絶対だ」
ジャン「まあ、憲兵団の皆さんにはせいぜい頑張ってもらうさ」
366 :以下、
エレン「あいつらにやれんのかよ」
ジャン「できるわけねえだろ」
コニー「おい、それじゃ・・・」
ジャン「俺たちはいつだって前線にいた。いつも後ろに隠れていた奴らに
 何が出来るって言うんだよ」
ミカサ「ええ、そうね」
ジャン「せいぜいエリート様には踊ってもらうさ。俺たちは戦場が混乱しだしたら
 さらに戦場をかき回してウルトラマンを逃がすぞ」
エレン「ジャン、お前・・・」
ジャン「・・・前に、奴にはかばってもらったことがあったからな」
そう言ってジャンはそっぽを向いた
370 :以下、
怪獣の鳴き声が響く。隊員達が怪獣の方を向くと
両のかぎ爪で、ウルトラマンが攻撃されている
ウルトラマンは少し間合いをとるが、ベムスターは二つの羽を大きく動かし突風を起こすとウルトラマンは吹き飛ばされる
素早く立ち上がるが、距離を保ったまま動かずにいる
ジャン「なんだ?ウルトラマンの奴、苦戦してるのか?」
サシャ「今日はなんだか消極的ですね?」
ライナー「というかなんかさっきからこっちをチラチラ見てないか?」
言われてみるとなるほど、今もこちらの方をチラチラ見ている
371 :以下、
コニー「俺たちのことに気付いたのか?」
ジャン「まさか」
ミカサ「エレン・・・アニは・・・」
エレン「俺たちが攻撃してこないのを気にしてるのか?しかし・・」
そのときベムスターの頭部の角から光線が放たれウルトラマンを再び吹き飛ばす
ジャン「おいおいおい!」
コニー「よそ見なんかしてるからだろ!」
エレン「・・・ミカサ」
ミカサ「・・・わかった、気をつけて」
ミカサと頷きあいエレンはその場から離れる
372 :以下、
ジャン「おい、エレンはどこ行ったんだ?」
ミカサ「え、エレンは・・・お腹を壊した・・・ので、お手洗いに・・・」
ライナー「はあ?・・・こんな時にあいつは・・・」
ジャン「・・・ミカサ」
ミカサ「な、なに?」
ジャン「・・・いや、なんでもない」
ーーーー
ーーー
エレンは人気のないところまで後退するとベータカプセルを手にする
その時、エレンの回りを数人の兵隊が取り囲んだ
373 :以下、
エレン(人がいた?そんな気配は・・・)
エレンが制服の印に目をやると憲兵団のマークがある
エレン(憲兵団?しかし何でここに)
いや、憲兵団がどれだけの人員をどれだけの広範囲に動員しているしているのかはわからない以上ここで会っても不思議ではないが・・・
エレン(こいつら、何か変だ)
目は虚ろで、落ち着きがなく揺らめくように動いている。まるで麻薬中毒者のようだ。だが、動きはしっかりとこちらを捕らえていて隙がない
エレンはベータカプセルを懐にしまうと静かに構えた
374 :以下、
その頃、ウルトラマンの方も苦戦していた。ベムスターは羽ばたき上空へ舞い上がると、滑空してウルトラマンに体当たりをする
何とか踏みとどまったが、畳み掛けるようにベムスターはかぎ爪を振り回してきた
ライナー「ジャン、ウルトラマンを援護しよう。このままじゃまずいぞ」
ジャン「・・・いや、待機だ」
コニー「なんでだよ!」
ジャン「忘れたか、待機は上からの命令だ、憲兵団の目がある以上うかつに動けねええだろ」
サシャ「でも、憲兵団の人たち、動く気配がないんですよねぇ」
375 :以下、
ライナー「今はまだ怪獣の方がピンピンしてやがるからな」
ジャン「もしこのままウルトラマンが負けたら、怪獣は俺たちに押しつけるつもりなんだろうよ」
サシャ「ミカサ?何をそわそわしてるんです?」
ミカサ「何も・・・」
ミカサは少し焦っていた、エレンのウルトラマンが出てこない。
何かあったのではないのか、エレンの方に行った方がいいのではないか
そう考えているうちに今度はウルトラマンがベムスターを投げ飛ばし、光線を放つ構えをとる
ジャン「いけるか?」
ウルトラマンは胸の前に凝縮された光球をベムスターに向かって解き放った
しかしその光球はベムスターの腹部にあるもう一つの口に吸収されていった
376 :以下、
ジャン「なっ・・・」
コニー「光線を吸ったのか!?」
これにはウルトラマンーーアニも怯んだ。それに呼応するようにカラータイマーが鳴り出す
ライナー「・・・まずいぞ」
サシャ「ジャン、行きましょう!」
ジャン「くっ・・・」
ミカサ「ジャン、サシャの言うとおり行きましょう。憲兵団の姿が消えている」
ジャン「なに!?」
見ると確かに、先ほどまであれほどいた憲兵団が消えている
377 :以下、
ライナー「いつの間にか移動したのか?しかしなぜ」
コニー「逃げ出したんだろう?どうせ」
ミカサ「ジャン、これで言い訳は立つ」
ジャン「ああ、科特隊、行くぞ!ウルトラマンの背後からウルトラマンをかすめるように怪獣を攻撃するぞ!」
サシャ「そんな難しい要求できませんよ」
ミカサ「無理だろうと、上からの命令を踏まえた上で援護するなら」
ライナー「この方法しかないか」
科特隊はウルトラマンの後方に回り込むとベムスターに向かって射撃を開始する
ジャン「ウルトラマンに出来るだけ当てんじゃねえぞ!」
コニー「くそ!」
378 :以下、
ベムスターに向かって次々と攻撃を加える科特隊だったが、先ほどと同様に光線は全て吸収されてしまう
ジャン「ちぃ!だめか!」
ライナー「おまえらどいてろ!」
ライナーがマッドバズーカを構える
ライナー「行けえ!」
実弾武器マッドバズーカの砲撃はベムスターを捕らえ吹き飛ばした
コニー「よし!」
ベムスターが起き上がろうとしてる間にウルトラマンは素早く近づくと
右腕から発生させた光の剣でベムスターを切り裂いた
ベムスターはばらばらに崩れ落ちると爆発して消えていった
379 :以下、
ジャン「やったか・・・」
ジャンはそう言ってウルトラマンを見上げる。それを察してかウルトラマンもこちらを見る
周りには憲兵団の姿は何故か無い。ジャンは銃をウルトラマンに向ける
ジャン「・・・・・・」
ウルトラマンはこちらを見たままじっとしている
ジャン「・・・」
ジャンは何も言わずに銃を下ろす
ジャン「・・・科特隊、帰投するぞ」
ライナー「いいのか?」
ジャン「ああ」
380 :以下、
ライナー「了解だ、お前ら!帰るぞ!」
ミカサ「私はエレンを待っている」
コニー「そういえば、エレンの奴遅いな」
サシャ「まだトイレですかねぇ」
ジャン「わかった、ミカサ。先に帰っているぞ」
ミカサ「ええ」
科特隊の一行はミカサをおいて本部に帰投した、途中ジャンは振り返りミカサの方を見る
ジャン(・・・ひょっとして・・・いや、まさかな)
ジャンはふと頭をよぎった考えに自分で苦笑してその考えを追い払った
381 :以下、
残ったミカサはまだそこに佇んでいた青いウルトラマンを見上げる
ミカサ「アニ・・・」
アニは何か言いたそうだったがそのまま光の中に消えていった
元の姿になったアニはその場にへたり込む。今回はさすがに危なかった
肩で呼吸をしながら、重い身体を休める
アニ「攻撃してこなかったな・・・」
それがエレンとミカサの優しさでもあったのだろうが・・・
迷惑をかけた分みんなの役に立ちたかった。だが結果は・・・
違うとはわかっていても疎外感を感じてアニは少し涙目になる
382 :以下、
そこに軍服を着た数人がアニの周りを取り囲んだ
アニ「・・・なんだい、あんたたちは」
兵士達は応えない、アニはその中に見知った顔をみる
アニ(あれは・・・ヒッチにマルロ・・・憲兵団の連中が何故?)
アニは憲兵団の顔を見てハッとする
アニ(あの表情はあの時のミーナと同じ・・・誰かに操られている?)
だが、ミーナの時とは違いベルトルトは幽閉されている
アニ(一体誰が?・・・いや私を狙ってきたのなら、私の正体を知っている?)
すると突然憲兵団がアニに襲いかかる
383 :以下、
アニ「くっ・・・」
アニは一番手前の男のあごを肘でかち割るとその右後ろにいた男に回し蹴りをお見舞いする
アニ「悪いね、今の私はかけらの余裕もないんだ。顔見知りだからって手加減は出来ないよ」
アニの身体が踊りでる。襲いかかる憲兵団を片っ端から仕留めていった
だが先ほどの激戦の疲れはまだ残っていたのか、わずかの戦闘でもアニの足に震えが来る
アニ(まずいね、早く終わらせないと・・・!)
だが、その考えは焦りとなりアニの動きを更に鈍らせる
384 :以下、

続き・詳細・画像をみる


【注目Q&A】 乳液を盗まれるので容器に漂白剤を入れておいたら盗んだ人からクレームが

30km以上のスピード違反なんて「けっ、6万円払えば良いんだろ!」思ってやってるよな

【画像】 いいケツしたじゃじゃ馬ドイツ娘、フルヌードを公開!

厚労省「来年から小中高生にネット断食をさせるわwwwwww」

【画像あり】板野友美さんの最新バージョンをご覧ください・・・・・・・・・・

東京電力の切り札 高性能汚染水浄化装置「アルプス」が一日でオシャカ

奇妙な行動を見せる猫たちをとらえたおかしな猫動画総集編が面白い!!

竹中平蔵 「移民を受け入れないと日本はマジで終わる。移民に反対する奴はよく考えるべき」

2年間で700人以上の女性を監禁、強姦した5人組 「ほぼ毎日」 犯すだけ犯して山中に捨てる…最悪の性犯罪をふり返る

女「ねえ初音ミクってなにか知ってる?」 (^ν^)「・・・・・・」 ←どう答えれば正解なのか

【画像あり】最近のごんぎつね可愛すぎワロタwwwwwwwww

【悲報】吉高由里子さんのツイッターwwwwwwwwwwww

back 過去ログ 削除依頼&連絡先