綾波レイ「碇司令。ふーふー、しますか?」碇ゲンドウ「ああ、頼む」back

綾波レイ「碇司令。ふーふー、しますか?」碇ゲンドウ「ああ、頼む」


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幕が上がり、舞台中央を照らす。
丸い食卓の周りにキャストが座っている。
観客席から見て正面に綾波レイ、右隣に碇シンジ、左隣に碇ゲンドウ、碇シンジの右隣に葛城ミサトと惣流・アスカ・ラングレーが並び、ゲンドウの左隣に赤城リツコが並ぶ。
一同は沈黙しており、重苦しい雰囲気。
口火を切るのは葛城ミサト。
「さあーって! 葬式じゃないんだから、パーッと盛り上がっていきましょう! とりあえず、レイ。今日はお食事会に呼んでくれてどうもありがとね!」
無理 矢理テンションを上げるミサトに対して、綾波レイは小さな会釈で応じる。
リアクションの薄さに苦笑するミサトと、不機嫌そうに舌打ちするアスカ。状況は最悪。
ミサトの強力なアイコンタクトによって起死回生を託された碇シンジが意を決して、招待状を貰った時から抱いていた疑問を綾波レイにぶつけた。
「そ、それにしても、綾波。突然料理なんてどういう風の吹き回し?」
「美味しかったから」
「へ? 美味しかったって何が?」
「碇くんのお味噌汁」
以前振る舞った自分の料理を褒められて、碇シンジは照れ臭そうに微笑み、それにつられる形で場は幾分か和んだ。
----------------------------------------------------------------------------
2: 以下、
まともな反応が得られたことに手応えを感じたシンジはさらにレイに質問を重ねた。
「ということは、今日のメニューは……?」
「お味噌汁」
案の定、綾波レイは味噌汁を作ったらしい。
シンジは正直、お食事会に味噌汁というのは如何なものかと思ったのだが、それを口には出さずに無難を受け答えする前に、アスカの横槍が入る。
「地味ね」
すかさず葛城ミサトがフォローする。
「いいじゃない、古風で! ほら昔から良き伴侶の条件として美味しい味噌汁は鉄板だし」
「そう言うミサトは作れないでしょ?」
「うぐっ!」
適当なことを言った罰として、手酷いしっぺ返しを食らったミサトに対し、リツコが深い溜息を吐く。
「なによ、溜息なんて吐いちゃって! リツコだって料理なんてしないでしょうが!」
「失礼ね。そのくらいは一般教養として身につけているわ。それに意外と料理と実験は共通点が多いのよ」
「ケッ。料理を実験と捉えている時点でリツコの味噌汁なんて飲めたもんじゃないわ」
「なんですって!?」
良い歳こいた大人の女の見苦しい口論をよそに、発端となったアスカはワンダースワンを起動して我関せずの態度であり、見かねたシンジが喧嘩を仲裁する。
3: 以下、
「まあまあ! 料理なんて最悪男がすればいいわけですし、その辺で……」
「碇司令はどう思います?」
シンジの如何にも料理が出来る男的な発言が鼻についたリツコは、如何にも料理が出来なそうな男である碇ゲンドウに意見を求めた。
「料理はシェフが作るものだ」
「父さん……」
この人は一応、一児の父だというのになんと身の蓋もない物言いだと息子のシンジは悲しくなり、母親が存命だった頃はどんな夫婦生活を送っていたのかが酷く気になった。
リツコも自らの上司に多くを求めるのは無駄であると悟り、再び大きな溜息を吐いた。
舞台の上ではアスカがゲームをする電子音のみが虚しく響き渡る。
「そろそろ沸いた」
またしても重苦しい雰囲気に包まれた場の雰囲気を気にするでもなく、綾波レイが席を立ち、舞台袖へと消える。
そして、すぐに鍋を持って裾から現れた。
4: 以下、
「レイの初めての手料理、楽しみだわ!」
蓋が閉じられた鍋がテーブル中央に置かれて、立ち上る味噌汁の良い香りに葛城ミサトが期待を膨らませるも、アスカがひとこと。
「どうせ、大したことないに決まってるわ」
「アスカ! いーかげんにしなさい!!」
先程から空気を壊す発言しかしていないアスカに対して、ついにミサトの雷が落ちて問答無用でワンダースワンを没収した。
「ちょっとミサト、返しなさいよ!」
「ダメよ。食事中のゲームはマナー違反ってことくらいは、ドイツ育ちのあなたにもわかるでしょ? 食べ終わるまでゲームは禁止」
「あたしが自分のお金で買ったのに!!」
逆ギレしたアスカが手を伸ばして奪還を試みるも、慣れた手つきでそれを躱すミサト。
そして、暴れる2人を意外な人物が嗜めた。
「葛城一佐。食事中は静かにしたまえ」
「は、はい! 失礼しました、碇司令!」
嗜めたのは、碇ゲンドウ。流石は一児の父。
両手をちゃぶ台の上で両手を組む様はまさに一家の長たる風格を醸し出しており、ミサトは亡き父を懐かしみ、シンジは父親を見直した。
隣のリツコが司令に注ぐ視線も熱っぽい。
5: 以下、
「どうぞ」
「ああ」
騒ぎの最中も普段通りのクールさで鍋から味噌汁を取り分けていた綾波レイから味噌汁が入った椀を受け取り、肯く碇ゲンドウ。
流石に先にひとりで味噌汁を啜る愚を犯す筈もなく、全員に食事が行き届くのを待つ。
「では、頂こう」
一家の長の号令に従って、一同は「いただきます」と口にしてから椀に口を近づけた。
しかし、碇ゲンドウは未だ口をつけない。
なんとなく、先に口にするのは不味いと思って全員の視線がゲンドウへと向かう。
すると、綾波レイは何やら察したらしく。
「碇司令。ふーふー、しますか?」
「ああ、頼む」
一同は耳を疑った。そして悟った。
このおっさんは皆に味噌汁が行き渡るのを待っていたのではなく、単なる猫舌であり、そしてそれを自分でどうにかするわけでもなく、綾波レイに冷まして貰おうと画策していたのだ。
これには息子のシンジが待ったをかけた。
「何を言ってんのさ、父さん!?」
「どうした、シンジ」
「どうしたもこうしたもないよ! 恥ずかしいからそんな情けないことはやめてよ!」
「しかし、熱くて飲めん」
「それが恥ずかしいって言ってんだよ!!」
それは果たして実の父親に対する嫉妬か。
はたまた羨みからくる、妬みであろうか。
烈火の如く怒り狂う碇シンジを見て、綾波レイはまたもや鋭い直感力を発揮して、尋ねた。
6: 以下、
「碇君も、ふーふー、して欲しい?」
「へ? あ……うん。それじゃあ、お願いしようかな。いや?実は僕も猫舌でさぁ!」
「不潔」
この親にしてこの子あり。
そんな格言を体現して見せたシンジにアスカが痛烈な罵倒を見舞い、そしておもむろにシンジの味噌汁をひったくると、何度か息を吹きかけてからまた戻した。
「ほら、これで飲めるでしょ?」
「あ、ありがとう、アスカ」
「あら?? アスカったら、ヤキモチ?」
「ち、違うわよ! 変なこと言わないで!」
「実に興味深いわ」
邪推してきたミサトとリツコの年増2人に猛然と否定するアスカであったが、またもや一家の長たるゲンドウから叱責が飛んだ。
「食事中だと言っている」
「も、申し訳ありませんでした!」
慌ててミサトが謝罪し、リツコはゲンドウの先程の醜態を見て機嫌を損ねたらしく無視。
同じくアスカも完璧に無視した。
7: 以下、
「では、改めて。頂こう」
再び厳かな口調でそう促すゲンドウであったがその威厳は既に失われて久しく、一同は勝手に味噌汁に口をつけていた。
真っ先に感想を口にしたのは、シンジだ。
「綾波! この味噌汁、すごく美味しいよ!」
「そう」
意外と言っては失礼かも知れないが、恐らくレシピに忠実に作られたと思しき綾波レイの味噌汁は普通に美味しく出来ていた。
「ほんと美味しい。これは隠れた才能ね」
「この子にこんな才能があるなんて」
ミサトとリツコも同じく意外そうに舌鼓を打つ中、やはりアスカだけは面白くなさそうに。
「なによ、こんなの普通じゃないの」
「でもね、アスカ。普通に美味しい味噌汁を作るのは、なかなか難しいんだよ?」
「うっさいバカシンジ! んなこと言われなくてもわかってるわよ! 黙ってなさいよ!」
実は綾波レイが料理を練習していることにいち早く気付いていたアスカは自らもシンジのために料理を練習しており、なのでその辺の難しさは重々理解していたのだった。
8: 以下、
「弐号機の人は、口に、合わない?」
シンジとアスカのやり取りを聞いた綾波レイにそう尋ねられると、咄嗟に嘘はつけず。
「チッ……まあまあよ」
「そう」
苦しぎれに褒めてやったのにさして嬉しそうでもなく肯く綾波レイにアスカはブチ切れそうになったが、そうするとまた年増2人に茶化されてしまうのでここは仕方なく、矛を収めてやることにした。
そんな2人のEVAパイロットの女の子の様子をシンジは微笑ましく見守っていたのだが、ふと父親が妙に静かだと思い、声をかけてみた。
「そう言えば、父さんはこの味噌汁……」
「ううっ……」
「父さん!?」
なんと、父、ゲンドウは泣いていた。
滂沱の涙を流して鼻水を垂らし、味噌汁にそれが入っていて、大変汚らしい有様であった。
9: 以下、
「ちょっ! 何泣いてんのさ!?」
「うぐっ……ぐじゅっ」
「とにかく、早く鼻をかんで!」
初めてみた父親の泣き顔にドン引きしたシンジがポケットからティッシュを取り出して父親に鼻をかませる。
そこで一同はようやく異変に気付いた。
「ちょっと、どうしちゃったのよ碇司令」
「何かのアレルギーかしら?」
「キモチワルイ」
「碇司令……」
上司の心配をするミサトと、科学的な検証を試みるリツコと、唾棄するアスカ。
流石の綾波レイもどことなく困惑している。
鼻をかんで涙を拭い、落ち着きを取り戻したゲンドウが謝罪を口にした。
「すまない……取り乱した」
「どうしたのさ、父さん」
「少し、ユイのことを思い出してな」
「母さんのこと?」
ゲンドウは語る。ユイの手料理のことを。
10: 以下、
「ユイは特別料理が得意なわけではなかったが、私は彼女の料理を残したことはない」
碇ユイとはゲンドウの亡き妻で、シンジの母親である。
科学者であったユイはEVA初号機の起動試験の事故によって、帰らぬ人となった。
ゲンドウは綾波レイの普通に美味しい味噌汁とユイの手料理を重ねて感極まったのだ。
「どこか物足りないユイの料理はしかし、決して不味くはなく、この先ずっと作って欲しいと思わせる味だった」
「綾波の味噌汁みたいに?」
「ああ。よく似ている」
そう言われると、息子のシンジとしてもこの味噌汁を遠い昔に飲んだことがあるような、そんな懐かしさを覚えた。
なにぶん、母親が他界したのはシンジがまだ幼い頃だったので定かではないが、記憶でなく舌がこの味を、そして嗅覚が匂いを覚えている。
匂い。母さんの匂い。綾波の匂い。
11: 以下、
「そうか……これが、母さんの味なのか」
父親から思いがけず昔話を聞けて、しみじみとそう呟きながら味噌汁を啜るシンジ。
心温まるエピソードに一同は和み、流石のアスカも静かに味噌汁を飲んで、この味をしっかり覚えることに努めていた。
やがてシンジの椀が空になり、まるで待ちかねたように、すかさず綾波が彼に尋ねた。
「おかわり、いる?」
「ありがとう。お願いするよ」
少しばかり涙ぐみながらおかわりを頼んだシンジに頷き、綾波レイは席を立った。
そして冷めた味噌汁を台所で温め直すためにステージの袖へと消えた。
果たして、彼の涙に彼女は何を思ったのか。
それを各々想像しつつ、味噌汁を啜る。
「私もお料理を勉強しようかしら」
「そうね。私もレパートリーを増やすことにするわ。和食も良いものだと実感したわ」
「すぐにえこひいきに追いついてみせるわ」
手料理の偉大さを実感したミサトが三日坊主発言をして、リツコが実験に対する意気込みを見せ、アスカが対抗心を燃やす中、ゲンドウは一心不乱に味噌汁を啜る。
大して美味くもなさそうに、けれど箸を止めることなく食事をする父、ゲンドウの姿に息子、シンジは苦笑しつつ、母さんもこうして笑っていたのだろうかと思いを巡らせた。
12: 以下、
舞台は反転して綾波宅の台所。
コンロで追加の味噌汁を温めながら、綾波レイは不穏な動きを見せる。
手に持った白い紙袋をじっと見つめるレイ。
「これで、碇君にポカポカして貰う」
そう呟いて、袋から取り出した錠剤を碇シンジの碗へと落とした。そしてすぐに溶ける。
「ふふっ……愉しみ」
念入りに味噌汁をかき混ぜる綾波レイの横顔には珍しく笑みという名の愉悦が浮かんでいた。
13: 以下、
再び舞台は反転し、食卓へと戻る。
食事会は宴もたけなわとなり、それぞれ帰り支度を始めていた。
そこでシンジは先程から父、ゲンドウの姿が見えないことに気づく。
「あれ? 父さんはどうしたんだろう」
「多忙な方だから、先に帰られたのかも知れないわね」
疑問を口にすると、リツコから納得の答えを得られた。たしかにゲンドウは多忙である。
しかし、食事会に呼ばれて何も言わずに帰るのは失礼だと感じて、ついシンジはぼやく。
「あんなにおかわりしといて、何も言わずに帰っちゃうんだもんな……」
ゲンドウは息子のシンジに対抗心を燃やすかのように、何度も味噌汁をおかわりした。
料理はシェフが作るものだと言っていた癖に、大人というのはやはりズルい生き物だ。
「さてと、それじゃあ僕らもそろそろ……」
暇を告げようとしたその時、襲来した。
「ぐぎっ!?」
ぐきゅるるるるるるるるるるるるるぅ?っ!
会場に鳴り響く重低音は、使徒の足音により地響きではなく、シンジの腹の音であった。
14: 以下、
「碇君、ポカポカしてきた?」
「あ、綾波……?」
突然、要領を得ない問いかけをされて、碇シンジは困惑する。ポカポカって何のことだ。
「そろそろ、ポカポカしてくる頃だから」
「何を、言ってるんだ、綾波」
「赤城博士から貰った薬は良く効く」
シンジに見せつけるように、綾波レイは白い紙袋を取り出す。『内服薬』と書いてある。
「く、薬って、なんの……?」
「私が便秘の時に飲む薬」
「まさかあの薬を味噌汁に混ぜたの!?」
驚愕したのは処方した赤城博士である。
極度の偏食から綾波レイは便秘気味であり、その解消の為に定期的に与えていた薬だ。
「リ、リツコさん、その薬って……?」
「端的に言えば強力な下剤よ。ネルフ本部謹製の特注品で、使徒ですらたちまち腹痛に喘いで立ち上がれなくなるほどの代物よ」
それほどの劇薬を常人が服用すればどうなるか、シンジは身をもって知ることとなった。
15: 以下、
「ポカポカ、する?」
「ポカポカどころの騒ぎじゃないよ!?」
それはまるでこの世の地獄であった。
全力でクソを押し出そうとする大腸の活動はまさしく暴力的であり、脂汗が滲み出す。
「何やってんのよ、バカシンジ」
やれやれと呆れつつも、心配してくれたアスカがくいっと顎をしゃくり、道を示す。
「間に合わなくなる前にさっさとトイレに行って、出すもん出してきなさいよ」
それはこの状況下でもっとも明確な優先すべき解決策であり、シンジはその案に乗った。
「綾波、ごめん! トイレを借りるよ!」
「どうぞ」
シンジとしては同年代の女子の家で排泄するのは出来れば避けたいところであったが、事は急を要するのでまさしく断腸の思いで綾波宅のおトイレ訪問を敢行した。
尻を押さえつつ舞台の袖へと消えるシンジ。
舞台は反転して、綾波宅のトイレ前。
16: 以下、
「あ、開かない!? なんで!?」
「シンジか。遅かったな」
「父さん!?」
なんとトイレは使用中であり、中に入っていたのは姿の見えなかったゲンドウであった。
「悪いが、ここは使用中だ。あと小一時間は出れそうもない。他を当たれ」
「そんな!?」
どうやらシンジと同じくおかわりを繰り返したゲンドウの味噌汁にも、ポカポカして欲しい綾波レイからの贈り物が混ざっていたらしい。
「お願いだから早く済ませてよ!?」
「それは出来ない相談だ。思えば、ユイもこうして悪戯をすることがよくあった。その経験から、私はトイレを先に確保したのだ」
「そんな昔話は今はどうだっていいよ!?」
「まあ、聞け。ユイは腹痛に喘ぐ私のことが世界で一番好きだと……」
「どうだっていいって言ってるでしょ!?」
実の父親の惚気話という世界でもっともどうでも良い話を聞かされたシンジは流石にキレて地団駄を踏む。
そんな聞き分けのない息子を諭すことを諦めたゲンドウはトイレの中から携帯端末によって各所に指示を出した。
「冬月か。私だ。ああ。どうやら時が来たようだ。あとのことは手筈通りに任せた」
まるでこうなることは折り込み済みであるかのような業務連絡にシンジの憤りが募る。
17: 以下、
「手筈通りってどういう意味だよ!?」
「言葉通りの意味だ。言われなくてもそのくらいは理解しろ。大人になれ、シンジ」
あまりの理不尽さにシンジは怒り狂う。
「ちゃんとわかるように言ってよ!?」
「お前は現時点より、使徒と認定された」
「僕が、使徒……?」
「そしてこの場には、対使徒殲滅のエキスパートが揃っている。その意味がわかるな?」
「まさか、最初からこのつもりで……!?」
「総員、第一種戦闘配置」
舞台が赤く照らされ、警報が鳴り響く。
「第一種戦闘配置の発令を確認! 碇シンジを使徒として認定し、直ちに対処します!」
「ミサトさん!?」
シンジを取り囲むネルフ関係者。
現場の指揮をミサトに任せたゲンドウは便器に前傾姿勢で座りぶりぶり排泄しながら、両手を組んで個室内から指示を伝えた。
「葛城一佐。君の好きなようにやりたまえ」
「……手段は問わないと?」
「そう言ったつもりだ」
「はっ! お任せください!」
信頼に応えるべく、直ちに作戦を立案する。
18: 以下、
「アスカ、レイ。よく聞いて。作戦の概要はこうよ。使徒と成り果てたシンジくんの便をあなた達の手で受けとめて貰います」
「手で受けとめる?!?」
アスカの仰天を視線で嗜めたミサトは挙手した綾波レイに発言を許可した。
「本作戦の成功確率は?」
「神のみぞ知るってところね」
これには赤城博士にも難色を示した。
「MAGIの計算でもしくじる確率は99%強。これはもはや作戦とは呼べないわ」
「ゼロじゃないなら賭ける価値はあるわ。奇跡を起こすのよ。人の力でね」
「葛城一佐ッ!!」
「現責任者は私です」
時に技術開発部の意に沿わぬ作戦でも強行せねば、使徒を殲滅することは出来ないのだ。
「先制肛撃はアスカに任せたわ。レイはしくじった際のフォローをお願い」
「この配置の根拠は?」
「女の勘よ」
「なんたるアバウト!」
パイロット2人の不安を理解しつつも、それでもミサトは己の勘と経験を信じた。
19: 以下、
「ミサトさん、正気なんですか!?」
瞬く間に自分に対する作戦を組み上げたミサトに、シンジが堪らず叫ぶも、完全に仕事モードとなった指揮官は揺らがない。
「アスカ、レイ。用意はいいわね。発進」
短い下命。ついに火蓋は切って落とされた。
「どぉりゃあああああああああッ!!!!」
掛け声と共に、両手を合わせて人差し指を揃え、シンジの尻を目掛けて突貫してきたアスカのコークスクリューカンチョー肛撃。
「ひぃっ!?」
しかし、光の度に達するその一撃は地球の自転の影響によって僅かに逸れて直撃には至らなかった。
「くっ! ちょこまかと!」
「弐号機の人、コアを!」
「わかってるわよッ!!」
コアとはつまり、シンジの肛門である。
第一射を外したアスカのフォローをするべく、綾波レイはシンジのズボンを下ろす。
ボロンっ!
「きゃあっ!? 何すんのさ、綾波!?」
「碇君が、もう……! 腹痛に喘がすに済むようにする!! だから……!!」
何がだからだ。
そもそも下剤を盛ったのは綾波じゃないか。
そっちがその気ならシンジにも考えがある。
20: 以下、
「ATフィールド、全開!!」
パキィイイインッ!!!!
シンジの尻に展開されたのは心の壁。
個の自我によって生み出された鉄壁だ。
シンジはもう、誰も信じない。
「七光りぃいいいいいいいッ!!!!」
しかし敵もさることながら、流石はEVAパイロット。すぐに体勢を立て直してきた。
アスカも負けじとATフィールドを展開。
無敵の盾と矛が、いま激突する。
ガキィイイインッ!!!!
「アスカァッ!!」
「くぅっ! 弐号機の人、早くコアを!!」
「わかってるちゅうのおおおおおお!!」
焼けつくようなポカポカのシンジの尻たぶを掻き分けて、レイがコアを露出する。
その好機を、アスカは見逃さない。
「あたしに命令しないで!!」
「アスカァアアアアアッ!!」
絶対絶命のピンチ。万事休すだ。
絶叫するシンジの叫びは懇願か。
はたまた、救いを求める悲鳴か。
「このまま強行するッ!!」
なんにせよ、この一合で勝負は決まった。
22: 以下、
ずふっ!
「ああっ!?」
砕かれたATフィールド。
めり込むアスカの指先。
固く閉ざされたシンジの心の扉が開く。
ぶりゅっ!
「フハッ!」
排泄音と共に響く愉悦。
それは他ならぬ綾波レイのものだった。
「強奪成功……後味はサイアクね」
討ち取った張本人たるアスカは、指先に伝わる湿り気の不快さに顔を顰めた。
「漏らしなさい、シンジくん!」
「ミサト!?」
シンジの後押ししたのは鉄仮面を脱ぎ捨てて保護者の姿を晒したミサトであり、リツコの静止を振り切って叫ぶ。
「誰かのためじゃない! あなた自身の願いのためにっ!!」
「ああ、あああ、ああああああッ!!!!」
ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅぅ?っ!
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
ぶりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅぅ?っ!
ミサトの激励と、シンジの慟哭。
思わず耳を塞ぎたくなる排泄音。
そして綾波レイの高らかな哄笑。
まさにこの世の終わりのような光景を目の当たりにして、リツコが呟く。
「この世の理を超えた新たな生命の誕生ね」
シンジの尻から翼が伸びて、羽ばたく。
「翼を……15年前と同じ」
父の形見のペンダントを握り締めて、ミサトはかつて目撃したセカンド・インパクトを思い返して、舞台は暗転する。
23: 以下、
暗闇に便器に座ったゲンドウが照らされる。
「手筈通り、シンジの覚醒は成ったな」
『ゼーレが黙っていないぞ』
「その為のネルフだ」
Sound Only の通信端末から届く音声はネルフ本部副司令である冬月コウゾウの声であり、この筋書きは彼らの思い通りということが察せられる。
「3年ぶりの親子の団欒をこんな形でぶち壊してまで、お前は悲願を優先させるのか?」
「冬月。我々はそのためにここに居る」
「そうだな……最後まで、付き合うよ」
「ああ。終わりは近い。あとひと息だ」
舞台はまた暗転して幕が降りる。
会場が明るくなり、観客が動き出す。
幕の裏側でゲンドウはそのざわめきを聴きながら、悦に浸った。
「フハッ!」
無人の会場で彼の愉悦を聞いた者は居ない。
終劇。
【ベン*ヱヴァン下痢ヲン】
FIN
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佐天「対象のアナルを敏感にする能力か……」ス、スタイリッシュアクションだった!
麦野「どうにかして浜面と付き合いたい」レベル5で楽しくやっていく
ミサカ「俺らのこと見分けつく奴なんていんの?」蒼の伝道師によるドタバタラブコメディ
一方通行「あァ!? 意味分からねェことほざいてンじゃねェ!!」黄泉川ァアアアアアアアアアア!!
さやか「さやかちゃんイージーモード」オナ禁中のリビドーで書かれた傑作
まどかパパ「百合少女はいいものだ……」君の心は百合ントロピーを凌駕した!
澪「徘徊後ティータイム」静かな夜の雰囲気が癖になるよね
とある暗部の軽音少女(バンドガールズ)【禁書×けいおん!】舞台は禁書、主役は放課後ティータイム
ルカ子「きょ、凶真さん……白いおしっこが出たんです」岡部「」これは無理だろ(抗う事が)
岡部「フゥーハッハッハッハ!」 しんのすけ「わっはっはっはっは!」ゲェーッハッハッハッハ!
紅莉栖「とある助手の1日ヽ(*゚д゚)ノ 」全編AAで構成。か、可愛い……
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」SUGEEEEEEEEEEEEEEEEE!!
遊星「またD-ホイールでオナニーしてしまった」……サティスファクション!!
遊星「どんなカードにも使い方はあるんだ」龍亞「本当に?」パワーカードだけがデュエルじゃないさ
ヲタ「初音ミクを嫁にしてみた」ただでさえ天使のミクが感情という翼を
アカギ「ククク・・・残念、きあいパンチだ」小僧・・・!
クラウド「……臭かったんだ」ライトニングさんのことかああああ!!
ハーマイオニー「大理石で柔道はマジやばい」ビターンビターン!wwwww
僧侶「ひのきのぼう……?」話題作
勇者「旅の間の性欲処理ってどうしたらいいんだろ……」いつまでも 使える 読めるSS
肛門「あの子だけずるい・・・・・・・・・・」まさにVIPの天才って感じだった
男「男同士の語らいでもしようじゃないか」女「何故私とするのだ」壁ドンが木霊するSS
ゾンビ「おおおおお・・・お?あれ?アレ?人間いなくね?」読み返したくなるほどの良作
犬「やべえwwwwwwなにあいつwwww」ライオン「……」面白いしかっこいいし可愛いし!
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WandaWes:DIO「ASB?」
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MichaelAnera:DIO「ASB?」
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