【ミリマス】真壁瑞希「将棋で宮尾さんに勝つぞ。……めらめら」back

【ミリマス】真壁瑞希「将棋で宮尾さんに勝つぞ。……めらめら」


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1:
17日なので、シアター17歳組のSS
2:
宮尾美也「おや〜? 看板の通りに劇場へ向かって歩いていたのですが、違う場所に来てしまいました〜。ここはどこでしょう?」
真壁瑞希「説明ありがとうございます。まんまと迷い込んでしまいましたね宮尾さん。私の作戦通りです」
美也「なんと、まさかあの看板は瑞希さんが〜?」
瑞希「はい。朝一で設置しました」
3:
美也「どうして私をここに〜?」
瑞希「それは、宮尾さんに勝負を挑むためです」
美也「ほほう。勝負、ですか〜」
瑞希「劇場の二大勝負師といえば、私と宮尾さんです。では、どちらがより優れた勝負師なのでしょうか」
美也「むむ、それは気になりますな〜」
瑞希「はい。ですからここで決着をつけましょう。種目は……将棋です」
美也「!」
4:
瑞希「私も勉強はしましたが、まともに戦っては勝ち目は薄いでしょう。ですが宮尾さんの得意分野で勝たなければ意味がありません。そこで……」
横山奈緒「私らの出番っちゅうわけや!」
瑞希「宮尾さんの体力を削るため、助っ人を4人呼びました。まずみなさんと、最後に私と戦ってもらいます」
白石紬「多勢に無勢。宮尾さんには申し訳ありませんが……真壁さんの頼みです。心を鬼にしましょう」
島原エレナ「ミヤ、ごめんネ。 ミズキは宿題を手伝ってくれたから……」
美也「なるほど〜。面白くなってきましたな〜」
5:
美也「……おや? 助っ人は4人いるのでは〜?」
奈緒「紗代子は遅れるって言うとったで」
瑞希「それで、どうしますか宮尾さん。不利な条件です。断るのも1つの手ですが」
美也「いいえ。受けて立ちますよ〜」
瑞希「それでこそです。では早始めましょう。……白石さん」
紬「はい。宮尾さん、よろしくお願いします」
美也「よろしくお願いします〜」
6:
エレナ「ツムギって将棋できるノ?」
奈緒「まあ、和風のやつは全部できる雰囲気あるけどな」
瑞希「小さい頃はよくおじいさんと指していたそうです。勝ったのも一度や二度ではないとか」
奈緒「いや、昔の話やんそれ。しかも相手がおじいちゃんて。孫と将棋するんやから手加減してたに決まっとるやろ」
エレナ「じゃあ、ツムギは負けちゃうノ?」
奈緒「多分な。美也だって強いんやし、そう簡単にはいかんやろ」
7:
瑞希「いいえ。きっと白石さんなら勝利を掴んでくれます」
奈緒「断言するやん。なんか理由でもあるん?」
瑞希「お二人は紬さんのソロ曲をご存知ですか?」
エレナ「もちろん! 『さかしまの言葉』と……」
奈緒「『瑠璃色金魚と花菖蒲』やな。それがどうしたん?」
瑞希「『菖蒲』は『勝負』を連想させて縁起がいいです」
エレナ「…………」
奈緒「…………」
瑞希「…………」
エレナ「えっ、それだけ?」
奈緒「そんなおせちみたいな理由で勝てたら苦労せんわ!」
8:
紬「……まさか、私はそんな理由で呼ばれたのですか?」
美也「ふふふ、よそ見をしている場合ではありませんよ〜。王手です〜」
紬「あっ……。ええっと、これは……」
美也「あと4手で詰みですね〜。私が手を誤らなければ、ですが〜」
紬「……ありません」
美也「はい、ありがとうございました〜」
9:
紬「真壁さん、申し訳ありません……」
瑞希「負けたからといって謝る必要はありません。お願いしたのは宮尾さんの体力を減らすことです。白石さんはそれをしっかり果たしてくれました」
紬「……つまり、最初から私の勝利には期待していなかったと?」
奈緒「まあ、そうなってまうよな」
瑞希「えっと……そ、そのうえ、宮尾さんの戦法についても知ることができました。白石さんのおかげです」
エレナ「苦しい言い訳だネ」
紬「そうでしたか。お役に立てたようで何よりです」
奈緒「納得するんかい。ま、ええか。次は私やな」
10:
エレナ「ワタシ、ナオの方が将棋のイメージないかも」
瑞希「確かにそうかもしれません。しかし、考えてもみてください。横山さんは大阪の出身です。そして日本将棋連盟の関西本部には、あの藤○聡太さんが所属しています」
エレナ「テレビで聞いたことある! すごく将棋が強い人なんでショ?」
紬「……藤○さんは確かにご高名な方ですが、それと横山さんの実力になんの関係が?」
奈緒「関係なんてないで。私将棋できへんし」
エレナ「えー!?」
美也「そもそも藤○さんの出身は愛知県ですね〜」
11:
紬「しかし、それでは勝負になりません」
奈緒「甘いで紬。世の中には素人でも勝てる将棋ってのがあるんや」
紬「ま、まさか……」
奈緒「さあ、勝負や美也! ただし、『将棋崩し』でな!」
美也「なるほど、そうきましたか〜」
12:
奈緒「正直こっちの方も全然やったことないんやけどな」
美也「でも、お上手ですよ〜?」
奈緒「うん。自分でもびっくりやわ。まあでも、考えたら当然かもしれへんな。手先が不器用やと大阪では生き残れへんもん」
美也「そうなんですか〜?」
奈緒「せやで。最低でもたこ焼きを作るんに苦労しないくらいやないと。あとお好み焼き」
美也「なるほど〜」
奈緒「私はその辺り完璧やからな! 将棋崩しだって楽勝や! ……あ」
美也「派手に崩れましたな〜」
13:
紬「……終わってみれば、宮尾さんの圧勝でしたね」
瑞希「将棋の駒に多く触れていると将棋崩しも上手くなるのでしょうか」
奈緒「ぐぬぬ……。あそこで崩しさえしなければ……」
美也「さて、お次はどなたですか〜?」
奈緒「紗代子……はまだ来てへんな」
瑞希「では、島原さんですね」
エレナ「任せて! ミヤ、勝負だヨ!」
美也「はい〜。手加減はしませんよ〜」
紬「つまり、私のときは手加減をしていたと?」
美也「……では、始めましょ〜」
紬「宮尾さん?」
14:
奈緒「この中やとやっぱりエレナが本命やな」
瑞希「そうですね。宮尾さんを除けば、最も将棋の経験と実力があるのは島原さんです」
紬「ですが、島原さんは他でもない宮尾さんから将棋を教わったのでは?」
奈緒「そういえばそうやった。となると流石に厳しいか……?」
瑞希「確かに、師匠に勝つのは簡単なことではありません。ですが、島原さんは言っていました」
エレナ『ミヤ? 強いよネ。序盤、中盤、終盤、隙がないと思うヨ』
エレナ『だけど……ワタシ負けないヨ』
エレナ『駒たちが躍動するワタシの将棋を、みんなに見せたいネ』
15:
奈緒「えらい気合い入っとるやん」
エレナ「うー……」
奈緒「ただ、あの分やと難しそうやな」
紬「追い込まれていますね。……やはり宮尾さんは私との対局でかなり手を抜いていたのでは……」
エレナ「ま、参りました……」
美也「ありがとうございました〜。エレナさん、とても強くなっていますよ〜」
奈緒「あ、やっぱりあかんかった」
16:
瑞希「島原さん、素晴らしい一局でした」
エレナ「ミズキ、ごめんネ。まだまだミヤにはかなわないヨ……」
奈緒「まあ手の内全部バレとるんやししゃあないやろ。それに勝つんが目的やないしな」
紬「ですが、宮尾さんはまだまだ余裕があるようです。高山さんがどれだけ体力を減らせるか……」
奈緒「あんまり期待できそうにないな。紗代子も将棋は素人やし」
17:
高山紗代子「みんな、お待たせ!!」
エレナ「あ、サヨコ! ウワサをすれば、だネ」
奈緒「……って、なんやそのクマ。体調でも悪いん?」
紗代子「お父さんが録画してる将棋の番組を全部見てきたの! 徹夜で!」
紬「高山さん、そこまで……」
紗代子「勝つためならこれくらい当たり前だよ!!」
奈緒「だから私らは勝つのが目的やないんやって」
紗代子「さあ、勝負だよ美也ちゃん!」
美也「よろしくお願いします〜。ふふふ、燃えますな〜」
18:
紗代子「えいっ!!」
美也「むむ、そうきますか〜。では……」
紗代子「それなら……こうっ!!」
奈緒「毎回叫ぶやん」
瑞希「将棋を指しているとは思えませんね」
エレナ「でもサヨコすごいヨ! ちゃんと指せてるヨ!」
紬「ですが、決め手がありません。……このままでは息切れしてしまいます」
19:
美也「さあ、私が攻める番ですよ〜」
紗代子(こ、攻撃を完全に受け切られちゃった……! 私の駒はほとんど前に行ってて、玉ががら空き……。カウンターで一気に攻め込まれちゃう!)
美也「無血開城ですな〜」
紗代子「あ、そこは……」
美也「うふふ、詰みですね〜」
20:
奈緒「あちゃー。紗代子もあかんかったか」
エレナ「途中までサヨコのペースだったのに……」
紬「おそらく、宮尾さんの手の平の上だったのでしょう」
瑞希「さすがは宮尾さんです。……勝てるかどうか不安になってきたぞ」
21:
紗代子「……まだ! まだ諦めない!」
奈緒「いやいや、もう詰みやって言われとるやろ?」
紗代子「でも、まだ玉は取られてない! この手番で美也ちゃんの王を取れれば……!」
紬「そんなこと、できるはずがありません」
紗代子「どうしてそんなこと言えるの!? ほら、見てよ! ここにある私の銀が斜めに2マス進めたら、美也ちゃんの王を取れる!」
エレナ「た、確かに……!」
奈緒「“確かに”ちゃうわ! そんなんできるわけないやろ!」
紗代子「だから、できないって誰が言ったの!? 私は諦めない! 諦めたくない! 銀だって、頑張れば斜めに2マス動けるはずだよ!!!」
22:
奈緒「……あかん。完全に変なスイッチ入ってもうてるやん。瑞希もなんか言うたってや」
瑞希「……高山さん、感動しました」
奈緒「瑞希も変なスイッチ入ってるんかい!」
瑞希「“銀だって頑張れば斜めに2マス動けるはず”……そのとおりです。私はいつの間にか、積み重なったルールを大事に抱え込み鎖に縛られ動けなくなっていたようです」
23:
紗代子「というわけで、美也ちゃん! 私の銀は斜めに2マス進める! だからこの番で王を取って、私の勝ちだよ!!!!!」
美也「だめですよ〜」
紗代子「そんな!!!!!」
エレナ「ルールは守らないといけないよネ」
奈緒「紗代子ってこんなにアホやったっけ?」
紬「徹夜の影響が出ているのでは……」
24:
紗代子「瑞希ちゃん、ごめん。私、役に立てなかった……」
瑞希「いいえ、そんなことはありません。高山さんの想い、そしてみなさんの想いは確かに受け取りました。みなさんのためにも、私は絶対に勝ちます……!」
25:
美也「王手ですよ〜」
瑞希「参りました」
紗代子「瑞希ちゃーーーん!!」
エレナ「ミズキーーーーー!!」
奈緒「そらそうなるわな」
紬「私も、薄々わかっていました」
奈緒「そもそも、体力を削れば将棋で勝てるっていう前提からよくわからんかったもん」
紬「私たちとの4局で体力を減らせたとも思えません」
奈緒「実際は3局やけどな。私のは数に入らんやろ」
紗代子「3局も指して、あんなに余裕そうな表情……。すごい、すごいよ美也ちゃん! 私なんて1局だけで目がチカチカしてるのに!」
奈緒「だからそれは徹夜のせいや!」
26:
瑞希「完敗です。劇場一の勝負師の称号は宮尾さんのものです」
美也「やりました〜。でも、将棋は私の得意分野ですからね〜。今度はその称号を賭けて、ポーカーで勝負しましょ〜」
瑞希「宮尾さん……。わかりました、受けて立ちます」
美也「そのときは、みなさんを助っ人として呼びますね〜」
エレナ「ワオ、ポーカーも楽しそうだネ!」
紗代子「徹夜で勉強してくるよ!」
紬「私たち、上手く使われているだけのような……」
奈緒「駒が勝った方のものになって……まるで将棋やな」
27:
終わり。意図せず時事ネタみたいになった。
将棋は難しく、SSを書くのも難しいので、オチが弱いのも仕方がない。
2

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