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恒星のベテルギウスに異変。急に明るさが低下、超新星爆発の前兆か?
2019年12月29日 ι コメント(20) ι 知る ι 自然・廃墟・宇宙 ι #
gremlin/iStock
近頃、オリオン座の右肩の部分がなにやら様子がおかしいことに気がついただろうか? 恒星で変光星でもある1等星で、冬の大三角形を構成するベテルギウスの輝きがとても弱々しいのだ。
21世紀に入ってから実に一番の暗さなのだそうで、天文学界隈ではベテルギウスが超新星爆発を起こす前触れだという噂で持ちきりだ。
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10月と比べて明るさが半分、観測史上稀にみる暗さ
『The Astronomer’s Telegram』(12月8日付)に掲載されたアメリカ・ビラノバ大学の研究では、10月に比べてベテルギウスの明るさが半分にまで減光してしまったことを確認している。
よく晴れた夜空を見上げてみれば、確かに近くにある1等星のアルデバランよりも暗いことが分かるだろう。
じつはベテルギウスのような変光星にとって、この程度の変化は異常なことではない。とは言っても、このように大幅な陰りを目の当たりにすれば、天文学ファンなら固唾を呑んでその後の成り行きを見守りたくなるだろう。
Orion rising on Dec 21 with apparently a dimmer #Betelgeuse at top centre as the red supergiant undergoes one of its fading episodes. @universetoday @skyatnightmag @SkyNewsMagazine @SkyandTelescope @AstronomyMag @SPACEdotcom pic.twitter.com/UO8YzvB45d— Alan Dyer (@amazingskyguy) December 22, 2019
地球の近くに存在する超新星の最有力候補
赤色超巨星ベテルギウスは地球から640光年の先にあり、太陽の12倍大きい。物理的には現在膨張を続けており、半径は8AU(1AUは地球と太陽の平均距離)であると推測されている。太陽系を重ねてみれば、太陽から木星までがベテルギウスによって飲み込まれるほどの大きさだ。
特筆すべきは、我々が暮らす地球のすぐそばにある超新星の有力候補であることだ。
超新星は宇宙では頻繁に起きているが、最先端の望遠鏡が天の川で起きるその姿をとらえたことはない。我々の銀河で最後に目撃されたのは、1604年に発見されたへびつかい座の超新星「ケプラーの星」だ(なお、その次は1987年に観測された大マゼラン星雲のもの)。
ベテルギウスはこれまでも星自体が不安定になっていることや、形状が球形ではなくコブのようなものができていることが指摘されてきた。もし、本当に超新星爆発を起こしたとすれば、絶好の観測チャンスとなる。
ESOによるベテルギウスのイラスト ESO/L. Calcada
ベテルギウスの陰りは超新星爆発の前兆なのか?
はたして噂されているベテルギウスの輝きの陰りは超新星のプレリュードなのだろうか?
ベテルギウスのような赤色巨星は寿命が短く、わずか1000万年程度で燃料の水素を使い果たし、若くして死ぬ。いずれは急に崩壊し、II型超新星を起こす運命にある。それは今から10万年内に起きると推測され、今夜であってもおかしくないのは確かだ。
ただし、それが本当に今回なのかどうか、天文学者にもはっきりとしたことは分からない。
ただ、たった640光年先の超新星は、間近でその壮麗なイベントを観察する千載一遇のチャンスになるだろうことは間違いない。