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捕食者の存在が獲物集団の健康改善に役立つ可能性が示唆される(米研究)
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捕食者の存在が獲物集団の健康改善に役立つ可能性が示唆される(米研究)
2019年11月13日 ι コメント(6) ι 知る ι 水中生物 ι #
image credit:Pixabay
ご存じのとおり、自然界には捕食者と獲物がいる。捕食される側にとってみれば捕食者には絶対に出会いたくないところだが、ある意味ではありがたい存在なのかもしれない。
新たな研究によると、野生動物の集団の中で発生した病気の改善には、捕食者が最善の解決策になるかもしれないというのだ。
捕食者は、健康な個体より病気に冒された個体のほうを攻撃する傾向があるという。それが結果的に、捕食集団に恐ろしい病原体が蔓延するのを防ぐことになるという。
捕食者の存在を含めた生物学的な多様性が、もしかすると生物の群れの健康を改善するのに役立つ可能性があるようだ。
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ウィルスに感染させたオタマジャクシをヤゴと対峙させると?
この仮説を発表したのは、アメリカ・パデュー大学の森林および天然資源学部の准教授ジェイソン・ホーヴァーマン氏だ。
ホーヴァーマン氏によると
この仮説は、捕食者が野生動物の群れの病気のリスクを減らす役目を果たしていることを示唆している。捕食者が、群れの中で感染が広がるかどうかの運命を握っているようだ。
捕食者たちが獲物の群れを襲いその密度を減らすと、結果的に病んだ個体が健康な個体と接触する機会を減らすことになるからだ
とのこと。
この仮説を試してみるために、ホーヴァーマン氏は、大学院生のサマンサ・ギャラガーさんとターナー・デブリューさんとともにある実験を行った。
ハイイロアマガエルとヒョウガエルのオタマジャクシの集団をナラウィルス(両生類・魚類に感染して大量死を引き起こすウィルス)にさらし、オタマジャクシにとって天敵のトンボの幼生・ヤゴと対峙させたのだ。
水槽の中のオタマジャクシを観察するジェイソン・ホーヴァーマン氏
image credit:Tom Campbell
すると群れのウイルス感染率がハイイロアマガエルは57%、ヒョウガエルは83%も減ったのだとか。
さらにヒョウガエルの場合、天敵のヤゴによって病原体がほとんど取り除かれたといってもいい結果となった。
つまり、捕食者が群れの密度に影響を及ぼし、群れから病原体(に冒された個体)を追い出したことになる。
肉食性の水生昆虫として知られるヤゴ
image credit:Wikimedia commons
オタマジャクシ以外の群れでも病気のリスクが下がるのか調査
べつの実験では、病原体がもたらした個体の脆弱性が捕食を誘発した。つまり、捕食者は病気に冒された個体をより攻撃する傾向があるという証拠が示された。
トリゴエアマガエル、ハイイロアマガエル、アメリカヒキガエル、ヒョウガエルのオタマジャクシをラナウィルスにさらし、ヤゴに対峙させて生存率を調査。
すると4種のうち3種で、ラナウィルスにさらされたものはさらされていないものと比較すると、ヤゴと対峙したときの生存率が2〜9倍低くなることがわかった。
image credit:Pixabay
ウィルスに感染するとオタマジャクシの行動に変化が見られ、捕食者側からするとより脆弱で捕えやすく見えるようだ。
わたしたちの最近の研究から、ラナウィルスにさらされたオタマジャクシはやたら活発になり、常軌を逸したような動きをすることがわかった。
動きに反応するヤゴのような捕食者にとってはこうした変化のおかげで獲物をより簡単に見つけ、捕えることが可能になる
とホーヴァーマン氏。
ホーヴァーマン氏の研究チームは実験を進めて現地調査を行い、より多様な捕食者に襲われる恐れのある群れについて病気のリスクが低くなるのかどうかを見極めようとしている。
また、農薬のような化学汚染物質が、この仮説になんらかの影響を及ぼすのかどうかを調査する予定だ。この研究は、アメリカ国立衛生研究所が支援している。
References:reddit / Futurity / BES / IR / Purdueなど / written by konohazuku / edited by usagi
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コメント
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1. 匿名処理班
- 2019年11月13日 09:05
- ID:sOXUY1t20 #
人間に捕食者がいたら、肥満病などの生活習慣病は改善されるだろうから、
多少はね ?
2
2. 匿名処理班
- 2019年11月13日 09:20
- ID:gGPnCWYw0 #
これちょっと経験があって納得した。アクアリウムやビオトープでは苔取りにエビを入れるんだけど、その時にメダカみたいな弱めの捕食者を入れておく方が経験的にはエビが順調に繁殖してくれてると思う。
メダカは大人のエビは食べれないから、多分体質的に弱い個体を小さいうちに間引いてくれてるんだと思う。鯉みたいな強い捕食者は皆殺しにしちゃうからダメだけど。
3
3.
- 2019年11月13日 09:23
- ID:QL1Smmpa0 #
4
4.
- 2019年11月13日 09:41
- ID:mLGc5oUX0 #
5
5. 匿名処理班
- 2019年11月13日 10:06
- ID:PLN05ucM0 #
いやいやwただ単に弱い個体から狙うってだけだよね?
6
6. 匿名処理班
- 2019年11月13日 10:29
- ID:L26IlK0V0 #
こんなノンキな事いってられるのも人間を捕食する存在がいないから
7
7. 匿名処理班
- 2019年11月13日 11:30
- ID:9H1TcN3K0 #
弱ってるから捕食者が狙いやすいだけなのか
それとも、病気の個体を遠ざけるために、獲物側が病気になると何らかの影響で捕食されやすくなるのか
もし後者なら上手くできてるな
狙いやすいだけなら、捕食者側の都合
病気を追放するためなら、獲物側の知恵
大穴で、食われる事でウイルスにとって何か利があるとしたら、ウイルス側の知恵 もあるな
可能性は尽きない
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