地球のコア(核)は25億年前からダダ漏れだった(カナダ・フランス・オーストラリア共同研究)back ▼
地球のコア(核)は25億年前からダダ漏れだった(カナダ・フランス・オーストラリア共同研究)
続き・詳細・画像をみる
1. カラパイア »
2. 知る »
3. 自然・廃墟・宇宙 »
4. 地球のコア(核)は25億年前からダダ漏れだった(カナダ・フランス・オーストラリア共同研究)
-->
地球のコア(核)は25億年前からダダ漏れだった(カナダ・フランス・オーストラリア共同研究)
2019年07月24日 ι コメント(11) ι 知る ι 自然・廃墟・宇宙 ι #
Naeblys/iStock
地球の磁場は、宇宙から降り注ぐ高エネルギー粒子から私たちを守ってくれている。その大切な磁場の発生源となっているのが、地球の深奥にあるコア(核)だ。
だが何しろそれは地下2900キロの深さにあるために、研究することがきわめて難しい。それでも研究者たちは、コアをどうにか理解しようとあの手この手で調査を進めている。
新たなる研究によると、地球のコアは25憶年前から漏れ出していることがわかったそうだ。
スポンサードリンク
-->
地球で一番熱いところ、それがコア
コア(核)は地球で一番熱いところで、外部コア(外核)の部分なら5000度以上にもなる。この熱はその上をおおうマントルをも熱しており、火山の熱の50パーセントはコアから届けられるものと考えられている。
火山活動は地球の主要な冷却システムだ。今現在もハワイやアイスランドを形作っているような火山活動は、コアから地表にまで熱を運んでいるマントルプルームによってコアとつながっている。
しかし物理的な物質については、コアとマントルの間で交換が行われているかどうか、ここ数十年来の議論のテーマだ。
Washiucho/wikimedia
コアの一部はマントルに運ばれている
今回明らかになったのは、コアの一部の物質は過去25億年ほどの間にコアから漏れ出て、確かにマントルプルームの一番下の部分にまで運ばれているということだ。
このことはタングステンの同位体(同じ元素でも、中性子の数が違うもの)比率のわずかな相違から明らかになった。
研究チームはまず、マントルの深いところから地上に運ばれてきた火山岩を調べ、そこにコアが持つ化学的な痕跡がないかどうか探した。
コアの化学構造は独特で、主に鉄とニッケルで占められているのだが、そこにタングステン、プラチナ、金といった元素が一緒に溶けて鉄ニッケル合金になっている。
こうした元素を含む合金があればコアの様子を探ることができる。
dottedhippo/iStock
タングステンの同位体でコア物質を見分ける
元素としてのタングステン(元素記号W)は74個の陽子を持っているのだが、中性子の数によって、182W(中性子108個)や184W(中性子110個)といった同位体がある。
マントルに含まれる182W/184Wの比率はコアよりもずっと高いと予測されているために、これらの同位体を調べれば、それがコアのものなのか、マントルのものなのか区別できるはずだ。
また別の元素であるハフニウム(Hf)が鉄-ニッケル合金に溶けていない一方、マントルには豊富に含まれていることも手がかりになる。現在では絶滅したハフニウム同位体(182Hf)は崩壊して182Wになった。マントルに余計に182Wが存在するのはこのためだ。
ただ、この分析を実際にやるのは非常に難しい。182W/184W比率の違いをPPM(パーセントが100分率であるのに対して、PPMは100万分率)という単位で計測しなければならない上に、岩石に含まれるタングステン濃度は10億分の10というレベルで少ないからだ。
コアが漏れている証拠
研究で明らかになったのは、マントルの182W/184W比率は地球の一生の間に大きく変化しているということだ。
地球で一番古い岩石は現在のほとんどの岩石よりもこの比率が高く、時代が下るほどに減っていく。このマントルの182W/184W比率の変化こそが、タングステンがコアからマントルへと漏れている証拠なのだ。
面白いことに、地球最古の火山岩を地球が誕生してからの18億年というタイムスケールで見た場合、マントルのタングステン同位体に目立った変化はなかった。このことは、43億〜27億年前には、コアから上部のマントルに移動する物質はなかったということだ。
しかし、その後の25億年間では、マントルに含まれるタングステン同位体の構成が大きく変化した。
その理由については、およそ26億年前から太古代の終わりにかけてのプレートの変化が、マントルの対流を引き起こしたからではないかと推測されている。
Rost-9D/iStock
コアが漏れるメカニズム
マントルプルームがコアとマントルの境界から地表へ向けて上昇しているのだとすれば、地表にある物質もまたマントル内部へと沈み込んでいるはずだ。
このとき地表の酸素をたっぷりと含んだ物質がマントルの奥深くへと沈み込み、プレートに組み込まれる。こうしてコア-マントル境界の酸素濃度が上昇する。
この状況を実験で調べてみると、コア-マントル境界の酸素濃度の上昇は、タングステンをコアから引き剥がし、マントルに移動させるらしいことが判明した。
また別の理由として、内部コア(内核)が凝固することが、コア外部の酸素濃度を上昇させるとも考えられる。
地球の磁場はいつ形成されたのか?
後者のケースは、地球の磁場の起源についてのヒントになるかもしれない。
地球のコアは最初、完全な液体の金属だったが、やがて冷えて部分的に固まった。そして磁場はコア内部の固まった部分が回転することで発生する。
だが内部コアが凝固した時期は、地球惑星科学の中でも最大の難問の1つだ。
今回の研究では、コアとマントルとの間に物質の相互作用があることや、地球内部のダイナミクスの変化を追跡する方法が明らかになった。これを利用すれば、磁場のスイッチはどのように、そしていつ入ったのかより理解を深められるはずだ。
この研究は『Geochemical Perspective Letters』(6月20日付)に掲載された。
(2019/07/24)本文を一部訂正し再送します。
References:A New Study Just Revealed That Earth's Core Is Actually Leaking/ written by hiroching / edited by parumo
あわせて読みたい
極小のブラックホールが地球の中心に存在するという説を主張する元NASAの科学者
ダイヤモンドがありふれた鉱物に?地球の奥深くに1000兆トンのダイヤモンドが眠っていることが判明(米研究)
地球の地下1,000キロメートルに大量の水分を発見。干上がった場合、生命が絶滅する恐れがある(英米研究)
地球の地下に存在する奇妙なゼリー状の塊。月を生み出す衝突で形成されたマグマの海が存在した可能性(米研究)
もし地球の自転が止まったら?逆回転したらどうなっちゃうの?【夏休み科学電話相談めいたトリビア】
この記事に関連するキーワード
キーワードから記事を探す
- 漏洩
- タングステン
- ニッケル
- 地球
- 磁場
- 核
- コア
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
スポンサードリンク
- twitter公式アカウント
- facebook公式ページ
- カラパイア全記事一覧
「知る」カテゴリの最新記事
「自然・廃墟・宇宙」カテゴリの最新記事
「自然・廃墟・宇宙」カテゴリをもっと見る
この記事をシェア :
人気記事
最新週間ランキング
1位
1874 points
時間が逆転?量子コンピューターを用いた観測で、量子レベルで時間が逆方向に流れる現象を確認(米・露共同研究)
2019年7月22日
657100514468
2位
1861 points
Amazonのアレクサがお手柄。加害者が口にした「警察を呼んだのか!」を受けて警察に通報。被害者が保護される
2019年7月16日
10826683873
3位
1742 points
都会の自宅でも簡単にミツバチを飼育できる養蜂巣箱キットが開発される(イタリア)
2019年7月21日
3231376637
4位
1591 points
国鉄時代の列車のニオイがする石鹸「国鉄の香り石鹸」がネットで販売予約受付中!
2019年7月22日
3781181230
5位
1225 points
子供にきちんとした教育をうけさせたい。雨季の間、子供たちをビニール袋に入れて急流の川を渡る親たち(ベトナム)
2019年7月19日
266859496
もっと読む
----------------------------------------------------------------------------
スポンサードリンク
Facebook
カラパイア
コメント
1
1. 匿名処理班
- 2019年07月24日 09:43
- ID:c07biPT80 #
ザ・コアのように特殊合金でできた特殊車両で地下を
捜索しようぜ。
ただし映画だとほぼ全員ぺっちゃんこになり、2人だけ
しか生き残れなかったけどね
2
2. 匿名処理班
- 2019年07月24日 10:10
- ID:p23ihQZc0 #
其のお陰で人類が生きていける訳だからありがたいが、今年は世界各地で火山噴火が起きてるのが恐ろしい。
3
3. 匿名処理班
- 2019年07月24日 10:48
- ID:rjdioDBp0 #
噛むととろけるこういうガムがあった(´・ω・`)
4
4. 匿名処理班
- 2019年07月24日 11:12
- ID:mmIFkSzL0 #
ええええええ…もうこんなん偶然とか無理やん…狙わないと地球型の惑星なんて無理やん…
5
5. 匿名処理班
- 2019年07月24日 11:20
- ID:EVx63xwM0 #
漏れるって表現は違うくないか?
6
6. 匿名処理班
- 2019年07月24日 11:32
- ID:Nc1YB6wg0 #
>>1
内圧の問題もあるが最も問題なのはその温度に耐えられるかどうかと人を乗せた内部と温度を確実に遮断できるかどうかにかかってる。あと沈んで行くには比重がまわりより重くなる必要もある。それをどう実現するのかもかなり問題だ。
7
7. 匿名処理班
- 2019年07月24日 11:40
- ID:lnGgA6Q00 #
25憶念ってすごい誤字だなおい
8
8. 匿名処理班
- 2019年07月24日 11:48
- ID:HYQD3Eym0 #
ポーラーボーラ
9
9. 匿名処理班
- 2019年07月24日 11:54
- ID:HYQD3Eym0 #
地殻(固体)
マントル(固体)
外核(液体)
内核(固体)
じゃなかったっけ
核がマントルに入り込んでいるんだったら
同じ量のマントルも核に入り込んでるよね
体積は変わらないはずだから4
ということは核とマントルの違いがなくなっちゃう?
10
10. 匿名処理班
- 2019年07月24日 12:21
- ID:aHK.u3pD0 #
>>4
単なる比重の問題だから、大抵の地球型惑星なら出来うる話。太陽系内でもコアがまだ生きてる惑星は地球以外にもあるしな。
11
11. 匿名処理班
- 2019年07月24日 12:26
- ID:B5gdkJUL0 #
※6
なんか起きたらアメリカと日本がなんとかしそう
で中国がなんか陰謀企ててヨーロッパはガーガー騒ぐ感じ?
12
1
続き・詳細・画像をみる
【悲報】若者「選挙? よほど悪い状態にならない限り、みんなが平等に悪くなるならそれでよい」 誰の責任だよこれ
サムスン「ギャラクシーフォールド」発売準備を完了
韓国大手が日本離れ、サムスンは新半導体の量産計画変更なし、LGは韓国産材料を試験し「問題ない」
アパートの住人の騒音に参ってて苦情の手紙を出そうと思ってるから問題無さそうか見て欲しい
【悲報】無敵の人(40代無職)、またしてもやらかす
襲撃するならうちにどうぞ!盛り上がりを見せるエリア51への突入イベントの裏で、救われる動物が!?
【速報】紳助兄さん、上京し会見する模様
男子に「ブス!」と言われたら「ゲソ!」と言い返すことにした。男子はぎょっとしてこそこそ逃げて行った
ヤフーニュースのコメント欄でレスバしてた2人、現実でもバトルしてしまう
南條愛乃の4thアルバム「LIVE A LIFE」発売。ライブBDやフォトブックも同梱
朗報!! なろう小説『異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件』の漫画が10万部突破!!
お前ら車の運転自信ありそうだけど、事故った人の57%が運転に自信あると答えていた
back ▲ 過去ログ 削除依頼&連絡先