【ラブライブサンシャイン】ダイヤ「それは押し花の様に」back

【ラブライブサンシャイン】ダイヤ「それは押し花の様に」


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沼津駅から降りると、ほんのりと香る初夏の潮風の匂いが私の鼻を擽った
幾つも配置されたバスロータリーの停車場も、今更迷う事は無い
時刻表を覗いて見ると、次にやって来るバスは十五分後らしい
見慣れた地だから、と対して時間も調べもせず来ましたが、思いの外待たされずに済みそうです
「いたた……やはり、鈍行は腰が痛みますわね……」
腰を抑えながら独り言をつぶやくと、同じくバス停のベンチに座っていたお年寄りにちら、とこちらを見られる
思いの外声量が出ていたのようで、少し、恥ずかしい
2:以下、
固いベンチに腰を落ち着けていると、定刻より一分早くバスが到着しました
オレンジの塗装でピカピカに磨き上げられたその車に、乗り込み、紙で出来た整理券をもぎ取る
このバスの整理券というやつを、私は不思議に思っていた。紙で出来ているのにも関わらず硬貨と共に無造作に入れてもしっかりと機械が反応しているように見えます
中で機械が選別しているのか、はたまた運転手側からは見える様になっていいて、裏から超高で視認しているのか……身近に根付いた謎が、私の頭の隅に取りつきました
「……まあ、後者はないでしょうね、おそらく」
自らの思考を自分で小突いていると、車内に響き渡るブザーの音と主にバスの扉が閉まり、ゆっくりと進みだしました
3:以下、
車窓の外に流れる商店街は、私の持っていた記憶と所々変化していた
一本のアーケードを軸に立ち並ぶのは、飲食店、古着屋、花屋、八百屋。日本の商店街らしい古くからある無秩序さが、この街には有りました
あそこにあったあの店が無い、あのケーキ店は相変わらず派手な店構えをしている
窓硝子の外の景色を眺めながら、何の気なしに私は、自分自身の記憶との答え合わせを行っていました
「あそこの店、限定プリンを三つ買って帰って冷蔵庫に置いておいたら、ルビィに二つ食べられましたっけ……」
必要の無い思い出も思い出しながらも、私の心の中の花びらが少しずつほどけていくような気がしました
4:以下、
窓の外を眺めていると左手に、曜の実家がちらり、と見えた
思えば、彼女は二年間もこのバスに揺られて登校していた。一日二日程度なら何とも思わないが、毎日数十分もバスに往復で揺られるとなると、想像しただけで少し気が滅入る
二人は一年の間同じバスで登校し、同じバスで下校していた。自分はその姿を、夕暮れ時にバスの窓から手を振る二人の姿しか見たことがありませんでした
二人は、この気が滅入る様な数十分の時間を如何様にして潰していたのだろうか。
今日の練習について?今後のAqoursについて?
否、二人共根は真面目だが、ふざけ癖がある。もしかすると本当に他愛のない話で、このバスの時間は流れていたのかもしれない
5:以下、
沼津駅から内浦へと続く車道は細い一本道で、車幅のあるバスが反対車線の乗用車とぶつかってしまわないか、後ろに乗っているだけでヒヤヒヤします
この感覚は、子供のころから変わらない。歩くよりも何倍もいスピードで目の前をすれ違う車たちに、私は原始的な恐れを抱いていました
私が、心の中で人知れず肝を冷やしているのにも関わらず、周りの乗客は澄ました顔で乗っている。何なら、どことなく呆けた、気の抜けた表情だ
免許を取って、自分で運転するようになったら感覚が変わってくるのだろうか
勉学優先だったり、東京では電車がどこにでもあるから車を使う機会がない、なんて言い訳をしながら私はついぞ、大学生の期間に免許を取らなかった
車が運転できないことで別段困ったことはない。偶に鞠莉に会った時、鼻を天狗の様に伸ばして自慢げな顔をされるのが頭にくるくらいで、「車が運転出来たらどこどこに行けたのに」なんて思うことは、今の時代殆ど起きない
「そういえば最近、千歌さんが免許を取ったんでしたっけ」
実家手伝いの彼女は、旅館所有のハイエースを乗り回さなけばならないらしく、最近免許を取得したと報告がありました
親譲りの童顔の彼女が、大きな図体の車を乗り回しているのを想像すると、思わず口角が吊り上がってしまいます
ただ……年下に抜かされるのに、心に引っ掛かりが無い、と言えば嘘になります
6:以下、
延々と続く細い路地を抜けると、右手に海が見えてきた。建物で度々隠されてしまうが、ちらり、と覗かせる水色の煌めきは、間違いなく私たちが過ごした駿河の海だ
「次は、淡島マリンパーク前。次は、淡島マリンパーク前でございます」
感傷に浸っていると不意に、見知った名前がストレートに耳に入ってきた
その瞬間、私の中の何か甘酸っぱいような記憶が、ぱちり、と弾けたような気がしました
頭の中に電流が通ったような、ぱっ、と咲いた花の香りが目の前を通り過ぎたような、何にせよ目の覚める様な感覚に私は襲われました
手元のボタンを指先で押して光らせ、足元の荷物を素早くまとめる
バス停についてみると、私のほかにも数人の人が降りて行った。慌ててボタンを押す必要は、どうやらなかったらしい
握りしめた硬貨と紙の整理券を投入口に流し込む。機会が感知するまでの一秒にも満たない時間が、なぜかもどかしかった。
荷物を握りしめ、バスステップを一段飛ばしで降りて薄暗い車内から、太陽の照り付ける地上へと降り立ちます
東京での就職を決めて以来、故郷の地に降り立つのは、五年振りでした
7:以下、
この先の長浜のバス停で降りるつもりであったから、手に握っていた硬貨は、予定より70円多く残っていました
バスが音を立てて走り去り、この先の道を更に南下していく。
そこにあった物は、何も変わらなかった。
コンクリートに煌々と照り付ける陽の匂い。私の腰近くまである髪をさらり、と撫でて過ぎ去っていく潮風。道の脇に無造作に存在する、萌えた草の匂い
目に見えるもの、肌に感じるもの。その全てに既視感のようなものを感じます
ともに降りた乗客は、既にマリンパークの方に向かっており、ここには居ない
私は、周りに誰もいないことをもう一度確認して、ぎゅっと、目を閉じる
海の音、風のささやき、土の匂い。五感全てが夏模様
頭の中に思い浮かべるのは、郷愁の潮騒
「ふふっ…………」パチッ
目を開ければ別世界、そう思うことにしました。目に見えるものすべてが、今ここにあるのに、懐かしい
年相応の落ち着いた色のワンピースは、色が眩しい制服へと変身していました。緑のネクタイを気持ちきつく結び、襟を一直線になるように整え、視線を上向きに直して歩き出します
余所行き様の革の鞄はスクールバックになりました。丁寧に扱っていたつもりですがやはり三年も使っていると少し、傷が目立っていました
体が潮風が通り抜けてしまう程、綺麗に感じました。一歩進めば、風になって飛んで行ってしまえそうな程、心も気持ちも軽やかです
気分は既に、タイムトラベラーです。十年前の世界に、私は確かに、足を踏み入れました。
8:以下、
バスの後を追って、私も徒歩で南下していく
くねくねと曲がるS字の道路のせいで、このあたりの道路は直線距離で考える以上にずっと時間がかかる
じりじりと照り付ける太陽は、私の長い黒髪に集まり、焼けるような熱を纏わせてくる
「この辺りまで、最後の方は走りましたっけ」
かつて、スクールアイドルであったころ、練習の一環にランニングが組み込まれていた
最初のころは学校の周りを一周するだけで殆どの者がへばっていたが、最終的には、それこそ先ほどまでいた淡島の前まで往復で走ることが度々有った
ランニングの距離の区切りという意味では、バス停は便利だった。走った距離を正しく把握できるし、順番にたどっていけば誰かが先行しすぎてもはぐれることがない
久しぶりに、走りだしてみようか。そんなことを私は思いつきました
9:以下、
T字になっている交差点の横断歩道を越えた所で、スタートの準備をする。
足を半歩先に、体を前に。脇を閉めてスクールバックを体に寄せて固定する
アスファルトを蹴り上げる。後ろ脚を発条仕掛け玩具の様に弾ませて、私はランニングを始めます。日に焼けた地面の照り返しも無視して私は、目的地へと一直線に駆け出して行きました
走り出してみて、体のなんと軽い事か!
地を蹴る度、腕を振る度、体が前へ前へと加していく。
額にしっとりと汗が滲むのを気にも留めず、私は進み続けます。長く、腰まである髪が降り乱れるのも気にしないで私は全力で走り出していました。
ぐんぐんと、景色が吹き流れる風の様に変化していく。目まぐるしく変わる街の景色と、一定のリズムで交差する海の波がそこにはありました
10:以下、
千歌さんの実家が見えてきました、その右手には砂浜も広がっています
幾度となく練習した、思い出の砂浜です。いつだったか、手を取り合っ夕陽の中海へ入ったことも有りました
木の枝や、石の多く落ちたこの砂浜は、満ちては引いてを繰り返す波によって染められていました
生まれてからずっと、それよりもっと前、ずっとずっと前からこの海はここにあって、この町と、この地と共に在ったのでしょう
走り去る最中、私の胸の中にある漣の音と、全く同じ響きが、私の耳に染み渡る様に流れてきました
11:以下、
水族館を越えた先のトンネルの入り口まで、私は一切のスピードを落とさずに走って来ました
洞窟の中は朱色で照らされていて、まるで日常とは切り離されたようでした。暖色に鈍く光る照明がどこか息苦しさを感じます
狭い歩道の中、私はまだ、走り続ける
封じられた空間の中、自然に息継ぎの頻度を落として走るのでまるで溺れているような気持ちになり、さらに私は焦りの中歩を進めて行きました
肌の上を流れ落ちる汗も、次第に荒くなっていく呼吸も、気になりません
ただただ、前に進むことしか考えていませんでした
12:以下、
トンネルを抜けて、再び海が見えてきました。もう目的地は目と鼻の先です
私は、脚を回すのを辞めません。体を駆動する度に、スピードをが上がっていく、その感覚がいやに心地良かったのです
キラキラと煌めく海が、私の心でした。
足を回し、前に進む
「長浜」と二文字書かれたバス停が見えてきました、オレンジの塗装は錆で覆われ、あちこちが剥がれかかっていますが、まだ使われているようです
ついに私は、立ち止まって、海を見ました。横に並列に並ぶ漁船は、波に揺られて皆一様に上下しています
汗で張り付いたシャツと背中を離すと、その隙間に冷たい風がすり抜けました
弾む心臓を抑え、深呼吸で胸いっぱいに潮風を吸い込みます。熱くなった体の中身が、爽やかな心地に浸されていきます
13:以下、
年甲斐もなく、はしゃいでしまいました。それも、家の中でも無く、道すがらで
私が思うに、思い出とは押し花の様な物なのだと思います
本棚の奥、忘れ去られるような場所に隠されていても、何かの拍子に不意にそのページを開いた時、その香りと色が胸に去来するのです!
もうその色と香りがこの世に無くても、記憶の奥底を掘り起こす様な、強い、鮮烈な衝撃を受けて胸の中にもう一度作り始め
そんな過去から置いてきた落とし物の様な、淡く切ない香りを纏った、ふとしたときに通り過ぎる春風の様な、贈り物なのです
14:以下、
ひとしきり眺めて、私は海に背を向けます。目的地はこの海では無く、その後ろにあります
私の生家、町の外れの古くからある館の様な家が、私の生まれ育った家です
車を通り過ぎるのを待って、道路を渡る
もう数歩歩いてしまえば、私は家へと辿り着く
帰ったら、家族はなんと言うだろうか。五年も顔を出さなかったことを、咎めるだろうか。それとも、娘の帰りを、笑って迎えてくれるだろうか
使用人の皆にも会いたい、家を空けがちだった両親に代わって、私とルビィの世話をこなしてくれた、いわば親代わりだ。今も居るかは分からないが、居たら、礼の一つくらいは残したい
私は木造りの門に取りつけられたインターホンを鳴らし、返事を待つ
何にせよ、言うことはただ一つだ
ガタリと、カメラの奥で誰かが出た音がした。私はまっすぐ瞳を前に向けて、レンズの向こうと相対する
潮風が、私の髪の間を通り過ぎて流れて行きました
「ただいま」
15:以下、

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