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【古見さんは、コミュ症です。】 只野 「母の日です。」


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………………
只野 「うーん……」
只野 「んー……」
只野 「……あー」
古見さん 「……?」
なじみ 「………………」
ニコッ
なじみ 「ところで古見さん、この前の体育のときさー」
古見さん 「!?」 ←気にしてあげないの!? という表情。
なじみ 「へ? いや、ほら、なんか只野くん構ってほしそうだからさ」
なじみ 「そういうの、ボク逆にスルーしたくなるタチじゃない」
古見さん 「!?」
163:以下、
古見さん [只野くん、どうかしましたか?]
只野 「へ? あ、ああ、古見さん」
只野 「もうすぐ母の日だから、スマホで色々調べてたんです」
只野 「でも考えてもなかなかいいプレゼントが思いつかなくて……」
古見さん 「………………」
ハッ
古見さん 「………………」 ガタガタガタガタ
只野 「ど、どうかしましたか?」
古見さん 「………………」 カリカリカリ……
古見さん [母の日のことをすっかり忘れていました。]
只野 「ああ……」 クスッ 「古見さんもそういうことあるんですね」
只野 「大丈夫ですよ。僕も昨日妹に言われて思い出しましたから」
164:以下、
なじみ 「なになにー? 母の日のプレゼントー?」
古見さん 「!?」
なじみ 「ボクはもう準備してあるよー。何用意したか聞きたい?」
只野 「お前は発想が小学生だからな。どうせ肩たたき券とかだろ」
なじみ 「ちっちっち、甘いぜ、只野くん」
ニヤァ
なじみ 「川原で拾った綺麗な石! ホラ見て、すっごくピカピカでしょ」
只野 「どっちにしろ小学生低学年レベルなのな」
なじみ 「ほんと、只野くんのボクには容赦がないところ好きだなぁ」
165:以下、
なじみ 「母の日のプレゼントってそんなに悩むようなものかなぁ」
只野 「難しくないか? 母親って言っても異性だから、何がほしいかとか分からないし」
古見さん 「………………」 ヌヌヌヌヌヌ……
古見さん 「………………」 ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ……
只野 「……?」 (古見さんどうしたんだろ)
古見さん [あの、只野くん。]
只野 「は、はい」
古見さん [もしよかったらなのですが、] カリカリカリ……
古見さん [今日の放課後、一緒にデパートに行きませんか?]
只野 「へ……へっ!?」
古見さん [母の日のプレゼント、一緒に買いに行きませんか?]
古見さん [女子として、少しはお役に立てるかもしれません。]
只野 「あっ……えっと……」 カァアアアア…… 「ぜ、ぜひ、お願いします……///」
古見さん 「……///」 コクッ
なじみ 「………………」 (青春してんなー……)
166:以下、
………………放課後 デパート前
只野 「………………」
古見さん 「………………」
只野 「えっと……じゃあ、行きましょうか」
古見さん [はい。]
只野 「あっ、催事場で母の日ギフトコーナーなんてやってるみたいですよ」
古見さん 「………………」 フムフムフム
只野 「……行ってみますか?」
古見さん 「………………」 コクッ
古見さん 「………………」 ←今さらふたりきりだということに気づいた。
ドキドキドキドキ……
古見さん 「………………」 カァアアアア…… ←しかも自分から誘ったのだと気づいた。
167:以下、
………………
只野 「おお……!!」
古見さん 「………………」 ピョコピョコッ
只野 「色んなものが置いてありますね。ここなら何でもありそうです」
古見さん 「………………」 コクコクコク
只野 「ちなみに、古見さんはどういうものをプレゼントしようか考えては……」
古見さん 「………………」 ムムムムムム……
只野 「……ない、ですよね。さっき思い出したんですもんね」
只野 「じゃあ、色々と見て回って決めましょうか」
古見さん [はい。そうしましょう。]
168:以下、
………………
只野 「へぇ、美顔パック……」
只野 「色々な模様があって面白いですね。歌舞伎とか、レスラーのマスクとか……」
只野 「へぇ、般若の顔もありますよ。少し怖いですね」
古見さん 「………………」
カリカリカリ……
古見さん [般若の顔を見ると、修学旅行中の佐々木さんを思い出します。]
只野 「!?」 (えっ、どういうこと?)
只野 (修学旅行、古見さんすごく楽しそうだったけど、何かあったのか!?)
169:以下、
………………
古見さん 「………………」 ジーーーーーーーーーッ
只野 「……? ぬいぐるみですか?」
古見さん 「!?」 ブンブンブン
只野 「へ? 違う? 何がですか?」
古見さん 「………………」 カァアアアア……
カリカリカリ……
古見さん [すみません。ねこのぬいぐるみがかわいいなと思って……。]
古見さん [私が欲しくなっていただけです。ごめんなさい。]
只野 「あはは。分かります分かります。人のプレゼント見てると、自分の欲しいものに目が行っちゃうんですよね」
只野 「古見さんへのホワイトデーのプレゼントを買いに来たときも、瞳とふたりで……――」
――――ハッ
只野 「………………」 カァアアアア…… 「す、すみません。何でも、ないです……///」 ←ホワイトデーの色々を思い出した。
古見さん 「……///」 ←ハンドクリームのくだりとかアメのくだりとか思い出した。
170:以下、
………………
只野 「……なかなか、“これだ” っていうプレゼントがありませんね」
古見さん 「………………」 コクッ
只野 「少しスマホで調べてみますね」
只野 「えっと……あっ、母の日に母親がもらって嬉しいプレゼントなんてページがありますよ」
古見さん 「!?」 フンスフンス
只野 「母親がもらって嬉しいもの、第一位は……」
只野 「………………」
古見さん 「?」
只野 「……えっと、その…… “時間” だそうです……」
古見さん 「………………」 ズーン
只野 「あー……」
只野 「……もう少しがんばって、プレゼント探してみましょうか」
古見さん 「………………」
古見さん 「………………」 コクリ
171:以下、
………………数時間後
古見さん 「………………」 ホクホクホク
只野 (古見さん、めっちゃホクホク顔だ)
只野 (時間はかかったけど、プレゼントが無事買えてよかった……)
只野 (僕もまぁ、良さそうなものが買えたし……)
古見さん 「………………」
カリカリカリ……
古見さん [只野くん、今日はありがとうございました。]
只野 「いえいえ、こちらこそありがとうございました」
只野 「……プレゼント、喜んでくれるといいですね」
古見さん 「………………」
ニッ……
古見さん 「………………」 コクッ
只野 「………………」
只野 (……なんだこの綺麗で可愛いすぎる生物は)
172:以下、
………………母の日 古見家
秀子 「まぁ!? これプレゼント!?」
古見さん 「………………」 コクリ
秀子 「ありがとー! すっごく嬉しい!!」
秀子 「……でも、例年のチョイスと少し違うわね」
秀子 「硝子のセンスとは、少し違うような……」
古見さん 「……?」
秀子 「……はっはーん」 キラン
秀子 「さては、只野くんと一緒に買いに行ったわね?」
古見さん 「!?」 ←何で分かったの!?
将賀 「!?」 ←何だと!?
173:以下、
………………只野家
只野母 「仁ちゃんも瞳もありがとねー! とっても嬉しいわ!!」
瞳 「……?」 (お兄ちゃんにしてはプレゼントのセンスがいい……)
キラン
瞳 「……お兄ちゃん、さては硝子さんと一緒にプレゼント買いに行ったね?」
只野 「!? い、いや、そんな、全然……!!」
瞳 「………………」 ジーーーッ
只野 「……まぁ、そう、だけど……」
只野母 「!? 古見さんとこのお嬢さんと!? そ、それは大変だわ……」
只野母 「うちの凡庸な息子がご迷惑をおかけして誠に申し訳ありませんって電話しなくちゃ……」
只野 「母さん的に息子ってどういう存在なの?」
おわり
174:以下、
………………幕間
笑介 「………………」
スッ
秀子 「え? あら、笑介も用意してくれたの? ありがとう」
秀子 「……?」 (こっちも笑介らしくないチョイスね……)
………………只野家
只野母 「瞳まで!? 古見さんとこのお坊ちゃんと一緒にプレゼント買いに行ったの!?」
瞳 「うん。笑介くんほっといたら何も用意しないんじゃないかと思ったからね」
只野母 「ど、どうしたらいいかしら!? また土下座で大丈夫かしら!?」
只野母 「お父さんが帰ってきたら急いでお詫びをしに行かないと!!」
只野 「いやほんと母さんは息子と娘のことなんだと思ってるの?」
おわり
175:以下、

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