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NASAの宇宙生物学者が深海にある生命の起源を再現(米研究)


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NASAの宇宙生物学者が深海にある生命の起源を再現(米研究)
2019年03月04日 ι コメント(3) ι 知る ι 水中生物 ι #
image credit:nasa
 宇宙も神秘だが、深海もまた神秘である。
 宇宙の謎に迫るNASAは深海の謎にも迫っている。
 40億年以上前、混沌とした地球において新しい生命の火花がひらめいた。
 これがどのようにして起きたのか、確かなことは明らかになっていないが、証拠からは、それが起きたのは太陽の光が届かない暗い海の底だったことが示唆されている。
 
 地球で生命が誕生したメカニズムを知ることができれば、宇宙のどこかにいるかもしれない生命を探索するうえで、大きな手がかりになることだろう。
 そして今、NASAの研究者は、生命の火花がひらめいたであろう海底環境を再現することに成功した。
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生命はどこで誕生したのか?
 生命の起源に関する仮説の1つによれば、海底にある熱水噴出孔が関係しているという。ここは、しばしば火山活動が活発な場所で、地球内部からの熱が逃げてくるところである。
 原始の地球には、有害な太陽からの紫外線が大量に降り注いでいた。このために、最初の生命が誕生したのは、そうした紫外線が届かない海の底だったのではと推測されている。
 幸いにも熱水噴出孔の周辺では、光合成という地上のほとんどの生命にとっては必要不可欠なプロセスを行う必要がない。
 かわりに、そこにいる生物が利用するのは「化学合成」というやり方だ。
 熱水噴出孔の近くで生きるバクテリアは、そこから噴出してくる硫化水素と海水に含まれる酸素の反応といった、化学エネルギーを利用して糖分子を作り出す――これが食料となる。
 こうしたバクテリアさえ登場してくれれば、ほかの生物はこれを食べ、彼らが作った栄養を摂取することができる。こうして暗闇の中で食物連鎖が形成されるのである。
image credit:NASA/JPL-Caltech
地球以外にも存在する可能性がある熱水噴出孔
 NASAの研究者がこの現象に注目するのは、木星のエウロパや土星のエンケラドゥスといった太陽系内の凍てついた衛星の中には、氷の下にたたえられている海に熱水噴出孔を隠し持っているものがあるかもしれないからだ。
 生命誕生の条件を探っているNASAジェット推進研究所の宇宙生物学者ローリー・バージ(Laurie Barge)らは、化石記録を参考に、ビーカーの中にミニチュアの海底を作り、原始の海の状態を再現してみた。
 彼らが期待していたのは、これが苗床となり、タンパク質の構成要素であるアミノ酸が成長してくれることだ。
 「実際の細胞が登場するために、どのくらいの有機物やミネラルが必要になるのか理解することは、生命が誕生する環境を把握するうえでとても重要です」とバージ氏は説明する。
 噴出口の中の大気、海、ミネラルといったものが、このことにどう影響するのか分かれば、ほかの惑星でこうした環境が生じうるのかどうかを知るヒントになるのだという。
image credit:NASA/JPL-Caltech
原始の海の状況を再現
 バージ氏らが再現した原始の海水は、水とミネラル、それから熱水噴出孔で形成されるピルビン酸塩とアンモニアの2つの分子(アミノ酸の形成に重要)を混ぜたものだ。
 また原始の地球にあった無酸素の海に近づけるために、水から酸素を取り除き、pHをアルカリ性に調整。さらに初期の地球に豊富にあった緑青――すなわち水酸化鉄を加え、熱水噴出孔周辺の温度に近い70度に加熱した。
 この水に少量の酸素を注入したところ、アラニンというアミノ酸が形成された。
 さらにアミノ酸反応の副産物であり、複雑な有機分子と結合して生命を誕生させる可能性があるαヒドロキシ酸までも確認された。
 「初期の地球に似せた地質学的条件では、海底に実際にあると思われる穏やかな条件下のシンプルな反応から、アミノ酸とαヒドロキシ酸が形成されることを証明しました。これは、おそらくほかの惑星でも言えることでしょう。」
 今回のことは、熱水噴出孔が作り出すエネルギーやそこに現れる素材についての9年越しの研究の成果なのだそうで、ようやく初めて有機反応が観察された形だ。
image credit:NASA/JPL-Caltech
氷の衛星での生命発見の期待は高まるばかり
 太陽系に地球以外にも生命が存在するのだとすれば、その最有力候補は、先ほど述べた氷の衛星である。
 そして、今回のような熱水噴出孔の研究によって、そうした衛星が探すべき場所であるとますます強く示唆されている。
 事実、昨年には、エンケラドゥスから噴出する塩水のプルームの中に複雑な有機分子が発見されているのである。
 「地球以外にも生命が存在するという具体的な証拠はまだ見つかっていませんが、その起源に必要となる条件を理解すれば、探すべき場所をいっそう絞り込めます」とバージ氏は話す。
 今、NASAはエウロパとエンケラドゥスの探査ミッションを検討している。
 この研究は『PNAS』に掲載された。
References:NASA Astrobiologists Have Recreated The Deep-Sea Origins of Life in The Lab/ written by hiroching / edited by parumo
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コメント



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1. 匿名処理班


- 2019年03月04日 10:03
- ID:5uBNJ1RI0 #





すごくわくわくする。
地球外で生物が生じてるなら知りたいけど、観測することで干渉することになってはならないとも感じるのでとても歯がゆい。






2


2. 匿名処理班


- 2019年03月04日 10:17
- ID:d7WWPYCO0 #





緑青って、酸化銅では?






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