【シャニマスSS】甘奈「あれから、もう一年かぁ……」back

【シャニマスSS】甘奈「あれから、もう一年かぁ……」


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3:
!!注意!!
・【ゆらゆらアクアリウム】大崎甘奈のコミュネタバレを多く含みます。
・【ゆらゆらアクアリウム】大崎甘奈のコミュを見ている前提で話が進みます。
・【ゆらゆらアクアリウム】大崎甘奈のコミュは実際良い。
甘奈「あれから、もう一年かぁ……」
甘奈「……って、感慨にふけってる場合じゃないよね」
甘奈「そろそろ準備始めないと、間に合わなくなっちゃう」
甘奈「飾りつけをして、料理の仕上げをして、ケーキも焼いて……」
甘奈「うん、頑張らなくちゃだよね」
甘奈「だって今日は、記念のパーティーだもん」
4:
甘奈「デミグラスソースはこれで完成かな」
甘奈「味見、味見っと……よし、完璧☆」
ピンポーン
甘奈「……あれ、誰か来たのかな?」
甘奈「この時間だと、まだ誰も来ないはずだけど……誰だろ」
甘奈「はーい! 今でまーす!」
甜花「なーちゃん、三日ぶり……」
甘奈「あ! 甜花ちゃん!」
甜花「仕事、早く終わったから……」
甜花「お手伝いに、来たよ……」
甘奈「わ、本当!? めっちゃ嬉しいよ!」
甘奈「甜花ちゃんがいれば、百人力だもん☆」
甜花「家事だと……まだ、なーちゃん程には……」
甘奈「外、寒かったでしょ? 上がって上がって! 取って置きの紅茶淹れて来るから、待っててね!」
甜花「うん……」
甜花「……にへへ……」
5:
甜花「この紅茶……落ち着く……」
甜花「あ……なーちゃん、それ……」
甘奈「どうしたの、甜花ちゃん」
甜花「机の上の……お手紙、なのかな……」
甜花「『大きくなった自分へ』と、『未来の自分へ』……?」
甘奈「あ、それね。今朝倉庫の整理をしてたら出てきたの」
甘奈「自分に宛てた手紙。昔の自分から、未来の自分へ……って」
甜花「二つあるけど……どっちも……?」
甘奈「うん、どっちも」
甘奈「『大きくなった自分へ』の方が、ちっちゃい頃に書いた物」
甘奈「その数年後に、それを見て改めて書いたのが『未来の自分へ』の方かな」
甜花「そう……なんだ……」
甘奈「ちっちゃい頃の方は、小学校の授業で書いた物だったと思うから……」
甘奈「甜花ちゃんも、同じ物を書いてると思うんだけど」
甜花「……」
甜花「……全然、記憶にない」
甘奈「うーん、残念……」
甘奈「でも、それはそれで甜花ちゃんらしいのかも」
6:
甜花「その手紙……どんなこと、書いたの……?」
甘奈「古い方は色々書いてあったよ。子供が書いた物だから、無軌道に、本当に色々と」
甘奈「でも、ほとんどが自分への質問だったかな」
甘奈「『今楽しくしてますか』とか……そんな感じで」
甜花「へぇ……」
甘奈「新しい方は、質問が三つあって……」
ピピピ! ピピピピピ!
甜花「この音は……タイマー……?」
甘奈「あ、もうこんな時間! お鍋の火を止めないと……」
甘奈「甜花ちゃん、ちょっとゴメンね。その手紙見てていいから!」
甜花「え、いいの……?」
甜花(こういうのって……見られるのは、結構恥ずかしいと思うんだけど……)
甘奈「もっちろん! 甜花ちゃんだもん☆」
甜花(……)
甜花「……じゃあ、後で見せてもらうね」
甜花「まずは、パーティーの準備を終わらせてから……その為に来たんだし……」
甜花「……なに、すれば良い?」
7:
甜花「なーちゃん……にんじんの型取りと、パセリのみじん切り終わったよ……」
甜花「タッパーに、入れといた……」
甘奈「ありがとね、甜花ちゃん」
甘奈「……それじゃあ、ローストビーフのソースをお願いしようかな」
甘奈「材料はそこにまとめてあるから、小鍋に混ぜて弱火で煮詰めておいて」
甜花「目安は……どれくらい……?」
甘奈「取り敢えず、ソース全体がトロッとするまで……かな。鍋底が焦げないようにだけ気をつけて」
甜花「うん、了解……」
甘奈「よろしく、甜花ちゃん」
甘奈「それじゃあ、こっちはこっちで、ローストビーフを冷やしておかないと……」
甘奈「アルミホイルはもう出したから、キッチンペーパーを……」
甜花「そういえば、なーちゃん」
甘奈「なに? 何か分からない所あった?」
甜花「ソースの事は大丈夫……だから、その事じゃなくて……」
甜花「今日は……誕生日プレゼント、持ってきたから……」
甜花「誕生日からは、もう半月経っちゃったけど……」
8:
甘奈「……仕方ないよ、甜花ちゃんは大忙しだもん」
甜花「なーちゃんだって、忙しくて……大変そうだったよ……」
甘奈「それでも甜花ちゃんの比じゃないよ。それに最近は、少しずつ仕事減らしてもらってるし……」
甜花「……だけど……」
甘奈「それでも……」
甘奈「今年度も、直接プレゼントの交換が出来そうで良かったよ……」
甘奈「ね、甜花ちゃん」
甜花「……うん」
甜花「本当に……良いこと……」
甘奈「楽しみにしててね、甜花ちゃん。アクセ、バッチリ似合うのを用意したんだから」
甜花「それは……楽しみ……」
甜花「プロデューサーさんも、自身満々だったし……」
甘奈「え……」
甜花「プレゼント……プロデューサーさんと、一緒に選んだんだよね……?」
甜花「どうせ……」
甘奈「ど、どうせ……!?」
甘奈「そ、それは、確かにそうだけど……だって……だし……」
甜花(あ、顔が真っ赤になった……)
甜花「うん……やっぱり、楽しみ……」
9:
甜花「ちなみに……なーちゃんは、プロデューサーさんに何を貰ったの……?」
甘奈「……誕生日プレゼント、だよね?」
甜花「うん……」
甘奈「その……」
甘奈「雑誌の見本誌、かな」
甜花「雑誌の……見本誌……?」
甘奈「雑誌の見本誌、一冊だけ余分に貰って来てくれたの」
甜花「何で、そんなのを……?」
甘奈「そう、頼んだから」
甜花「なーちゃんが、プロデューサーさんに……?」
甘奈「うん」
甜花「何で……?」
甘奈「その、なんというか……」
甘奈「ちょっと待ってて。確かコピーを取って、この辺りに……」
甘奈「……あった。はい、甜花ちゃん」
甘奈「これがその、雑誌の切り抜き記事」
甜花「記事のタイトル……」
甜花「『成功の秘訣・283プロの大物Pに迫る』……?」
10:
──
P「なぁ甘奈、本当にこんな物でいいのか?」
P「折角の誕生日プレゼントだし、少しぐらい値が張る奴だって……」
甘奈「いいのいいの。これが今一番欲しい物なんだから」
甘奈「別に遠慮してるわけじゃないんだよ?」
P「と言ってもなぁ……それ、俺のインタビュー記事が載ってるだけの雑誌だぞ?」
甘奈「それが見たかったんだもん」
甘奈「『プロデューサーさんの記事ってある?』……って、昔聞いたの覚えてるかな」
P「え? いや、すまん。覚えてない」
甘奈「『いつかインタビューされたらいいね☆』って言ったのは?」
P「それも覚えてないが、多分そう聞かれたら……」
P「『甘奈の記事が増えた方が良い』みたいな事を答えた……のだと思う」
甘奈「うん、正解。『俺のことはいいよ』とも言われたよ」
甘奈「それで実際に、それから『大崎甘奈』の記事は増えて……」
甘奈「283プロのプロデューサーの記事は、一つも出てこなかった」
甘奈「だから、嬉しいの。やっと見れて、とっても嬉しい……」
甘奈「本当に、嬉しいんだよ……」
P「……」
P「……まぁ、甘奈が喜んでくれてるなら良いけどさ」
──
11:
甜花「これって、プロデューサーさんの記事……?」
甘奈「あ、やっぱり甜花ちゃんも知らなかったんだ。インタビューのこと」
甘奈「ちょっとだけ前の話なんだけど、『今話題の業界人に成功の秘訣を問う!』って企画があったんだ」
甜花「それで……プロデューサーさんに取材が……?」
甘奈「そうそう。それで結構恥ずかしがってたから、誰にも話してないのかと思ってたけど……」
甜花「……何も、聞いてない」
甘奈「予感的中、だったみたいだね」
甜花「なーちゃんは、プロデューサーさんのスケジュール知れるもんね……立場上……」
甘奈「この事を知れた時ほど、今の立場に感謝した事はなかったかも」
甜花「この記事、今読んでもいい……?」
甘奈「そう言うと思って……はい、マグネット」
甘奈「そこの小さい方のホワイトボードに貼り付ければ、鍋の面倒を見ながらでも読めるから」
甜花「さすが、なーちゃん……用意周到だね……」
甘奈「どういたしまして、甜花ちゃん」
甜花「じゃあ貼り付けて……えっと……」
12:
P『座右の銘は、易きに甘んずることなかれ、です』
記者『ほうほう、それは厳しいお言葉ですね』
P『はい。社長からの受け売りではあるんですが、間違いなく私の芯となっている言葉です』
P『ですが……昔は、この言葉を勘違いしていました』
記者『勘違い、と言いますと?』
P『深く考えずに盲信していたんです。それで、ただただガムシャラに働いていました』
P『食事も満足に取らず、寝る間も惜しんで……四六時中、気を張り詰めていたと思います』
記者『それは……体の方は、大丈夫だったんですか?』
P『全く大丈夫じゃありませんでしたね。案の定というか、ふらっと来てしまって、倒れてしまいました』
P『そしてその姿を、当時の担当アイドルの一人に見られてしまったんです』
記者『それは……最悪ですね』
P『いえ、最悪だったのはそこから何ですよ』
P『目覚めた私は、その介抱してくれたアイドルを変に気遣ってしまいました』
P『彼女の涙声の理由も考えずに、です』
P『そして、自分自身を蔑ろにするような事を言って……』
P『彼女を、怒らせてしまったんです』
13:
P『それで泣きながら怒られて、ふと思ったんですよ』
P『ガムシャラに頑張るだけという事もまた、易き、なのではないのかと』
P『自分が倒れた場合の影響を考えなかったのは、ただの怠慢で』
P『自分が頑張っていれば良いと思うのは、傲慢ではないのかと』
記者『つまり……?』
P『私は、担当アイドルと向き合う事を忘れて、ガムシャラに働くという易きに流れていました』
P『それに気付いて、成長できました』
P『言うなれば……そうですね、視野が広くなったんです。独善を知り、何の為に頑張っているのかを思い出したんです』
記者『なるほど。では、成功の秘訣というのはズバリ……』
P『ああ、これってそういう企画でしたっけ。そうですね……』
P『私が言えるのは三つです』
P『一つ目は、易きに甘んずることなかれ』
P『二つ目は、目的と常に向き合い続けろ。目をそらすな』
P『三つ目は……』
P『頑張る時には必ず、大切な人を心に思い描け、という事ですね』
14:
甜花(この話……プロデューサーさんが倒れた話……誰かから、聞いたことあるような……)
甜花(……あ……)
甜花(この『担当アイドルの1人』って、なーちゃんだ……)
甜花(あれ? 次の面に、まだ続きがある……)
甜花(ちょうど良く切れてたから、これで終わり……かと……)
記者『三つもありがとうございます。それでは、最後に何か一言頂けますでしょうか』
P『最後に……』
記者『何でも良いですよ。締めの言葉でも、関係の無い言葉でも』
P『だったら、お礼ですかね。その……気付かせてくれた彼女に』
P『あの時は、ありがとうと』
P『他の時でも、どんな時でも、支えてくれてありがとうと……』
P『彼女への、お礼の言葉で締めくくりたいと思います』
甜花(これは……)
甜花(ある意味、ちゃんと……誕生日プレゼント……)
甜花(でも……結局、これをプレゼントとして渡したプロデューサーさんって……)
甜花(まぁ……なーちゃんが喜んでるなら、いいのかな……?)
甜花(……)
甜花(この感じだと……あの事は、やっぱり単なる思い過ごし……?)
15:
甘奈「料理はもう温めて出すだけだから……これは、まるを付けて良くて」
甘奈「テーブルクロスも敷いたし、食器も並べてるから、これとこれもオッケーで……」
甘奈「うん! これで準備完了だね☆」
甜花「お疲れさま、なーちゃん……」
甘奈「甜花ちゃんもお疲れ様。手伝って貰えて、すっごく助かっちゃったよ」
甜花「後は……プロデューサーさんが帰ってくるのを待つだけ……?」
甘奈「うん。他のみんなも連れてきてくれると思うから、帰ってき次第パーティー開始かな」
甘奈「あ、それも書いとこっと……」
甘奈「『甜花ちゃんと一緒に帰りを待つ☆』っと……」
甜花「準備の行程……ホワイトボードに、全部まとめてたんだね……」
甜花「さっきまで……全然、気がつかなかった……」
甘奈「段取りを先にまとめておくと、色々と効率的だもん。便利だし」
甜花「なーちゃん、昔から計画立てるの得意だったもんね……」
甜花「……それにしても……」
甘奈「それにしても?」
甜花「リビングに、大きなホワイトボードが在ると……」
甜花「まるで、ここが事務所みたいだね……」
16:
甘奈「言われてみると、そうなのかも……」
甘奈「でも、それも当然だよ」
甘奈「だって……二人が落ち着ける場所と言ったら、やっぱり事務所だもん」
甜花「……」
甜花「……『今楽しくしてますか』」
甘奈「甜花ちゃん?」
甜花「『勉強はちゃんとしてますか』」
甘奈「それ、古い方の手紙の……」
甜花「なーちゃんが最後のチェックしてる間に……古い方は、全部読んだよ」
甜花「それで……古い方の手紙の質問……」
甜花「手紙のお願いは、ちゃんと叶ってるんだよね……?」
甘奈「それは……うん。今は楽しいし、色んな勉強だって出来てる」
甘奈「前に読んだ時……新しい方の手紙を書いた時も、ちゃんと叶ってたと思うよ」
甜花「それじゃあ……新しい方の手紙は……?」
甜花「まだ読んでないけど……さっき少し言ってた、三つの質問……」
甜花「その三つのお願いは、叶ってるの……?」
甘奈「それは……」
甘奈「……最初の二つは、今は半分だけ」
甘奈「最後の一つは、まだ分からないかな」
17:
甘奈「書斎の仕事机……ちょっと、整理してくるね」
甜花「それは、プロデューサーさんの?」
甘奈「うん。多分散らかってるから、誰か酔って入っちゃうと危ないし」
甘奈「だから、新しい方の手紙……読んでみてね。甜花ちゃん」
甜花「……うん」
甜花(……)
甜花(あれから、一年……だよね……)
甜花(……それは、それとして……)
甜花(宛先は……『未来の自分へ』……)
甜花(『アイドルとして、しっかりと輝けていますか』)
甜花(『ファンのみんなを、今よりもっと笑顔にできていますか』)
甜花(これが、なーちゃんに取っては半分だけ……)
甜花(なーちゃんが、もうアイドルじゃないから……なのかな……?)
甜花(それで、三つ目が……)
甜花(『そして』)
甜花(『甘奈の大切な人は』──)
ガチャリ
18:
P「たっだいまー。甘奈ー、いるかー?」
甜花「……あ、お帰りなさい。プロデューサーさん」
甜花「お邪魔、してるね……」
P「もう来てたのか、甜花。ひょっとして仕事早めに終わったのか?」
甜花「だいぶ、早く終わった……」
甜花「プロデューサーさんも、予定時刻より早いけど……」
P「無理矢理にでも仕事を終わらせてきたんだよ。今日くらいは、神様だって許してくれるさ」
甜花「それは、たしかに……」
P「それで、甘奈は……」
P「……おぅ……」
甘奈「……後ろ」
P「ああ、書斎の方にいたのか」
P「しかし、その、だな……」
P「……そうやって抱きついてると、俺の背中は冷たくないか?」
甘奈「外、寒かったんだね……」
甘奈「……お帰りなさい、パパさん」
19:
P「パ、パパさん……!?」
P「その呼び方は気が早くないか、とも思うが……」
P「凄く思うが……けど、悪くはないな」
甘奈「えへへ」
P「ただいま、甘奈」
甘奈「うん……!」
甜花「……」
甜花「……あの、プロデューサーさん……?」
P「何だ?」
甜花「その……また聞くのも、アレなんだけど……」
甜花「本当に、二人きりじゃ無くていいんだね……?」
甜花「一年目の、結婚記念日」
20:
P「みんなの予定が合いそうだったからな」
P「それなら、ホームパーティーでもやった方が良いのかと……」
甜花「本当に……それだけ、だったんだね……」
P「? 甜花、何か怒ってないか……?」
甜花「別に……そんな事は、無いよ……」
甜花(初の結婚記念日なのに、二人っきりで過ごさないから……)
甜花(珍しく、喧嘩でもしたのかと思ったけど……)
甜花(さっきのやり取りで……完全に、ただの思い過ごしだって分かった……)
甜花(……あぅ……)
21:
P「千雪さん達も、もう少ししたら到着するってさ。社長だけは遅くなるらしい」
甘奈「うん、了解だよ☆」
P「それと何人か、飛び入りでの参加がいるらしい」
甘奈「そうなの? お料理、足りるかな……」
P「大丈夫だろ。飛び入り組には、何か一品ずつ買って来て貰えばいいさ」
P「一応、今ある料理の情報を送っておこうかな。ローストビーフにオムレツ、パエリア、シーフードサラダ……」
P「ん? 手紙……?」
P「『未来の自分へ』……」
甘奈「それ、覚えてる?」
P「ああ。これは覚えてるぞ。甘奈が、自分のWINGの年に書いた奴だろ」
P「だから……もう、10年も前か」
甘奈「こっちは、覚えててくれたんだね」
P「甘奈の事だからな」
甘奈「自分の事は?」
P「そっちは、忘れないように努力してる。心を入れ替えた後は、特にな」
甘奈「それなら安心……かな」
22:
P「その……願い事は、叶ってるか?」
甘奈「三つあって、最初の二つは……半分だけ」
甘奈「『アイドルとして、しっかりと輝けていますか』」
甘奈「『ファンのみんなを、今よりもっと笑顔にできていますか』」
甘奈「もうアイドルじゃ無いから、微妙かなって」
P「それは叶ってる換算でいいんじゃないか?」
P「引退する二年前までは、トップアイドルと言って差し支えなかったわけだし……」
甘奈「だけど、手紙を発見したのは今朝だもん」
P「まぁ……納得しているなら、良いけどな。それが何よりだし」
P「それじゃあ、三つ目の願い事は?」
甘奈「三つ目は……」
甘奈「三つ目の、願い事は……」
甘奈(『そして』)
甘奈(『甘奈の大切な人は』──)
甘奈「……」
P「何だ? 俺の顔を見つめて……」
P「正面から見つめられると、未だに少し恥ずかしいな。ははは……」
甘奈「……!」
甘奈「……うん……」
23:
甘奈「三つ目の願い事は、ちゃんと叶ってるよ」
甘奈「私のPさん♪」
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