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【艦これ】駆逐戦隊!ショキカンジャー!!改【後半】


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7:
スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
?デストロイキャノン?
漣「さあ今回も始まりました例のコーナー」
吹雪「例の、って……」
叢雲「今回は……アレかしら?」
五月雨「でもその前に、電ちゃんの必殺技の解説入れたほうがいいんじゃない?」
漣「そですな。今回初登場だったし」
電「はい、わかったのです」
668:
電「電のアンカーハンマーは、アンカーパーツを取り付けることで、ある特殊機能を使えるようになるのです」
電「それは……重力操作なのです」
吹雪「今回やったみたいに、殴った相手の体を重くしたりできるってこと?」
電「そうなのです。あのときガードになっていたキーさんたちにかかっている重力を強くして、ガードを崩したのです」
五月雨「大抵の敵は行動不能になるし、そうでなくても動きを鈍らせるくらいはできるよ」
叢雲「この間のコウワンの時どうして使わなかったのよ」
電「あ、あの時はまだうまく使えなかったのです!」
669:
電「それと、このアンカーハンマー自体の重力も操作できるのです」
五月雨「重くできるの?」
電「はい。ハンマーを振り下ろす際に重力を強くすれば、より強力な攻撃ができるのです」
漣「10tオモーリみたいなもんか……」
叢雲「ただでさえ恐ろしい武器なのに、さらに凶悪になったわね……」
吹雪「怖い……」
電「どうしてなのです!?」
670:
吹雪「それで、次の説明はこれかな?」
漣「そう!我々の必殺バズーカ、『デストロイキャノン』!」
五月雨「私たちの武器を変形させ、組み合わせることで作ることができます」
叢雲「電のハンマーが砲身になって、他の武器は軸になったり持ち手になったり……」
電「若干ハウリングキャノンに似てる気もするのです」
吹雪「それ弓部分だけじゃないの?」
671:
叢雲「超強力な光弾を発射して、敵を仕留めるわ」
五月雨「まともに受けたらただじゃすまないね」
吹雪「ただし、軌道が読みやすく、避けるのが難しくないことから、敵の体力を十分に削ってからじゃないと撃てないね」
電「そもそも撃つと電たちの体力が奪われちゃうのです」
漣「要するに、気軽に使えないわけ。とどめに使うほかないね」
672:
漣「ところでさ、これって撃てるのただの光弾だけなの?」
叢雲「そうじゃないの?」
吹雪「他に何があるのさ」
漣「いや、温泉卵とか守衛さんとか……」
五月雨「……なにそれ?」

676:
第六話「ロボットがほしい!」
ショキカンジャー本拠地
吹雪「えー、それでは第六回ショキカンジャー会議を始めます」
バッチリミナー バッチリミナー
吹雪「…それ、違うよね?」
漣「うん」
吹雪「ライダーだよね?」
漣「うん」
吹雪「…」
677:
吹雪「えっと…何を話そうとしてたか忘れちゃった」
漣「まったく、何やってんだい」
叢雲「あんたのせいでしょ」
吹雪「…ああ、そうだ。夕張さんと明石さんが話があるらしいよ」
叢雲「話?」
吹雪「うん。内容は知らないけど」
五月雨「何だろう…?」
電「ショキブレスに何か問題があったのでしょうか?」
漣「使ってても問題なかったけどねぇ」
吹雪「とにかく、今から工廠に行ってみよう」
678:
工廠
夕張「あら、来たわね」
明石「いらっしゃーい」
電「こんにちは、なのです」
叢雲「どうしたの?」
夕張「うん。実は、戦隊に必要なものを作ることになってて」
五月雨「え、必要なもの?」
明石「さて、なーんだ?」
漣「放送枠」
夕張「いや、そういうのじゃなくて」
679:
吹雪「戦隊と言ったら、あとは…」
電「巨大ロボットとか、でしょうか…」
明石「ピンポーン。大正解」
明石「この度、私たちは巨大ロボットを作ることになりましたー」
叢雲「え、作れるの!?」
夕張「うん。ていうか、話自体はずいぶん前に出てて、少しずつ作ってたんだけど」
明石「本格的に作り始めることになって」
五月雨「でも、お二人だけで作れるんですか?」
夕張「いやあ、さすがに無理だよ」
明石「今までだって、妖精さんに協力してもらってたし」
漣「へー、そうだったんですか」
680:
吹雪「でも、どうして今になって本格的に作ることになったんですか?」
明石「えーっと……順を追って話すね」
明石「ディープマリンが現れてから、提督は大本営にそのことを報告してたんだけど」
明石「同時に、協力を要請してたんだよね」
明石「それで、最近になって資材や物資を支援してくれるようになって」
明石「今回、技術面でも協力してくれるようになったの」
五月雨「技術面……ということは」
夕張「そう。巨大ロボットの作成に協力してくれることになったってこと」
吹雪「そんなの、よく協力してくれましたね……」
明石「うん。なんか通っちゃった」
夕張「まあ、相手は深海棲艦以上に謎だし、実際危険な存在だからね」
夕張「何が起こるかわからないし、巨大ロボくらい用意しておこう、ということに」
叢雲「はぁ、なるほどねぇ」
681:
明石「それで、ここからが本題なんだけど」
明石「私と夕張ちゃんは、これから一か月くらい、別の場所でロボットを作るので、鎮守府にいません」
電「え、ここで作れないのです?」
夕張「やっぱり場所をとるからねぇ……」
明石「それに、協力者として優秀な艦娘や妖精さんを呼んでくれるらしいんだけど」
明石「その人たちも集まりやすいから、という理由で別の場所に」
漣「確かにあんなバカでかいものをここで作るわけにはいきませんな」
夕張「というわけで私たちはしばらくいないから、ショキブレスのメンテとかできないの」
夕張「壊したりしないように、という注意をしたかったわけ」
五月雨「なるほど。わかりました」
明石「五月雨ちゃんが一番不安なんだけどね」
五月雨「ちょ、ちょっと!どういうことですか!」
682:
電「ところで……お二人がいないのは、艦隊としては大丈夫なのでしょうか?」
明石「ああ、大丈夫だよ。多分」
叢雲「多分て……」
夕張「今は大型作戦もないし、大丈夫だって」
明石「そうそう。そんなことよりロボットだ!」
漣「どんなロボットにするんですか?」
明石「変形合体ロボットだよ。五つのメカが合体するの」
漣「おー、王道ですな」
明石「というわけで今から出かけるから、あとはよろしく」
吹雪「はい、了解です!」
683:
電「巨大ロボット、ですか……」
漣「うっひょー!みなぎってきましたなー!」
吹雪「一か月でできちゃうんだ……」
五月雨「本当になんなんだろうね……この謎技術」
叢雲「そんなロボットが使えたら、戦いも楽になるでしょうね」
漣「いや、巨大ロボットはホイホイ使っちゃいけないんだよねぇ」
吹雪「……そういえば、敵が巨大化したときとかにしか使わないね」
漣「本当にホイホイ使えるものじゃないだろうし」
684:
五月雨「確かに……動かすのに莫大なエネルギーが必要そうだし」
電「動かした後の処理も大変そうなのです」
漣「しかも巨大ロボで通常サイズの敵狙っても攻撃当たりづらいとかなんとか」
吹雪「へぇー……」
「ねえ」
漣「んお?」
大井「あなたたち、ちょっといいかしら?」
叢雲「あら?」
五月雨「大井さん?」
685:
ショキカンジャー本拠地
吹雪「えっと……どうしたんですか?」
大井「いえ……ちょっとね」
大井「以前、私が知っているディープマリンについての情報を話したけど……」
大井「今度は、あなたたちが知ってることについて教えてほしいの」
五月雨「私たちが……ですか?」
電「知ってること、と言われましても……」
漣「そんなにないよねぇ」
686:
大井「とはいっても、最近の奴らの動向を知ってるのはあなたたちだけよ」
大井「以前とほとんど同じだとは思うけど……聞かせてほしいの」
叢雲「なるほどね……わかったわ」
吹雪「最近の動向か……でも、大井さんもいくらかは知ってますよね?」
大井「ええ。工具や資材がなくなったりするのは知ってたわ」
大井「それを聞いたときはまさかと思ったけどね」
五月雨「そうですね……とりあえず、順番に話していきましょうか」
大井「ええ、お願い」
687:
──────────
──────
───
電「……と、こんなところなのです」
大井「……そう、わかったわ」
漣「大井さんの時と比べてどうですか?」
大井「そうね……やっぱり、ほとんど一緒ね」
大井「ただ、気になることがいくつかあるわね」
吹雪「はい?」
688:
大井「あなたたちの話を聞く限りでは……奴ら、以前よりも力をつけているわね」
叢雲「そうなの?」
大井「ええ。コウワンも前より頑丈になってたわ」
大井「大きな変化ではないかもしれないけど、それでも一年前よりは強くなってるってことよ」
五月雨「それは厄介ですね……」
689:
大井「あと、私が知っている中でも……まだ残っている幹部がいるわ」
吹雪「以前言ってた、隠し玉ですか?」
大井「それもあるけど、もう一人いるわね」
電「もう一人?どんな人なのです?」
大井「リトウっていう、離島棲姫そっくりな奴よ」
大井「確か……悪の科学者を自称してたわね」
漣「へー、そういやまだそういう人いなかったなぁ」
690:
大井「主に怪人や兵器を作るのが仕事らしいけど・・・まあ、正直大したことなかったわ」
叢雲「あら、じゃああんまり問題ないのね」
漣「かぁーっ……浅はかですなー、叢雲ちゅわ?ん」
叢雲「は?」ギリギリ
漣「ぐえーっ!?」
吹雪「叢雲ちゃん、ストップストップ!」
691:
叢雲「全く……何が浅はかなのよ」
漣「だってさー……ディープマリンって一年前より強くなってるんでしょ?」
五月雨「確かに、そのリトウさんの科学力が増しててもおかしくないよ」
大井「ええ。その可能性は高いわ」
叢雲「……言われてみれば、そうね……」
漣「これだからツンデレガールは……」
叢雲「は?」ギリギリ
漣「ぐええっ!?」
692:
大井「それと、あなたたちがクウボと戦った時のことが気になるわね」
吹雪「え?何かありましたか?」
大井「……クウボが何しに来たのかってことよ」
電「……あ!そういえば……」
五月雨「何しに来たか知らないね……」
漣「なんか本人は海水浴とか花見とか言ってたけど」
693:
叢雲「クウボって白雪を操って工具を盗ませてたのよね?それが関係するのかしら?」
吹雪「でもわざわざあんな鎮守府の近くまで来なくていいんでしょ?」
電「工具を運ばせるのもイーさんたちにやらせていたみたいですし……」
大井「クウボじゃないとだめなのか、クウボ以外でもいいのか……」
大井「それはわからないけど、少なくとも幹部クラスが必要なことをしていたってことよ」
五月雨「戦闘員に何か指示してたみたいですけど……」
叢雲「しかも、爆発音まで出してたわよね」
大井「だとしたら、あそこで戦闘員に何かをやらせていて……その監督をしていた可能性が高いみたいね」
大井「……というか、何でそれだけ怪しいのに調べてなかったのよ」
漣「うっ、申し訳ない……」
694:
鎮守府のはずれ クウボとの戦闘跡
漣「と、大井さんに罵られて調査しに来ましたが」
五月雨「このあたりだよね、クウボさんがいたのって」
叢雲「もう少し森に入ったところじゃなかったかしら」
電「でもこんなところで本当に何をしていたのでしょう……?」
吹雪「確かに……ここまで来たんならいっそ攻めてくればいいのにねぇ」
漣「まぁ、もしかしたらその攻めるための準備だったのかもしれませんぞ」
五月雨「確かにその可能性も……」
ガサッ
五人「!!」
695:
吹雪「……今の音、何?」ヒソヒソ
叢雲「動物……って感じじゃなかったわね」ヒソヒソ
カーン カーン
漣「お、解体っぽい音も聞こえてきた」ヒソヒソ
電「いえ、あれはもっと嫌な感じなのです」ヒソヒソ
五月雨「えっと……誰かが工具を使って何かしてる……っていうのは間違いないかな」ヒソヒソ
696:
五人「……」ゴソゴソ
五人は息をひそめ、音のする方へと近づいていく
カーン カーン
叢雲「……誰かいるわね」
吹雪「……あれって」
リ級?「はー、だるいよー……」カーンカーン
リ級?「なんで私がこんなことを……」カチャカチャ
リ級に似た人物が、地面に向かって何かをしている
吹雪「今度は重巡リ級にそっくりな人だ……」
電「ということは……ディープマリンなのです?」
五月雨「その可能性が高いねぇ……」
697:
漣「んで、あの人何やってるの?」
叢雲「工具を使って何かしてるみたいだけど……」
吹雪「ここからだとよく見えないね」
五月雨「もうちょっと近づいてみる?」スッ
ガサッ
五人「あ」
リ級?「!?だ、誰だっ!!」バッ
電「……バレちゃったのです」
漣「ちょっと?五月雨ちゅわ?ん」
五月雨「……ごめんね」
698:
リ級?「艦娘……?くそっ、バレたか!」
リ級?「……まあ、こうなったら仕方ない」
リ級?「おい、お前ら!」
吹雪「はい?」
リー「私は秘密結社ディープマリンのリー様だ!」
リー「死にたくなかったら私の言うことを聞くんだな!」
叢雲「え、何その三下感満載のセリフ」
漣「フラグでしかないね」
699:
リー「とりあえず……お前たちの艤装を渡してもらおうか」
電「艤装を?どうしてなのです?」
リー「お前たちが知る必要はない!いいから渡せ!」
漣「嫌に決まってんじゃん」
リー「ふんっ……まだ自分たちの立場が分かっていないようだな……」
リー「素直に従えば、命は奪わないでやる!さあ早く持ってこい!」
吹雪「話せば話すほどダメな感じになっていくねこの人……」
700:
五月雨「とりあえず変身して戦う?」
吹雪「そうだね。じゃあみんな、準備して!」
リー「何をコソコソ……」
五人「抜錨!!」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
リー「!?」
リー「な、何だ!?いきなり!」
リー「何者だ、お前ら!?」
漣「何だかんだと聞かれたら」
叢雲「答えてあげるが……って、何言わせるのよ」
701:
リー「ま、まさかお前らがショキカンジャー……?」
吹雪「はい、そのまさかです」
リー「なんてこった……よりにもよってこんな時に……」
五月雨「一体、ここで何をしていたんですか?」
電「教えてほしいのです」
リー「こ、答える義理はない!こうなったら、お前らをぶっ倒してやる!」
702:
リー「覚悟しろぉ!」ダダッ
電「来たのです!」
吹雪「漣ちゃ……」
漣「はいはーい」ギリギリ
バシュッ!
リー「ぐはぁっ!」グサッ
漣「ふふん。いい感じに当たったね」
703:
リー「くっ、まだまだぁ……!」ヨロッ
リー「まだ近づけば……!」
シュバッ
叢雲「ふん、遅いわね」
リー「え?いつの間に後ろに……」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!
叢雲が槍による強烈な一撃でリーを吹っ飛ばす!
リー「ぐああああああああ!!?」ビューン
リー「う、嘘だああああああああああ!!」
キラーン
704:
叢雲「ふん、口ほどにもない」
電「見事に場外ホームランなのです」
叢雲「適当に小突いただけで吹っ飛んでったわ」
五月雨「すごいよ叢雲ちゃん!」
漣「ちょっとー、漣はー?」
吹雪「うんうん。漣ちゃんも反応が早くて良かったよ」ナデナデ
漣「……なんでなでられてるの?」
705:
五月雨「それで……あの人何してたの?」
吹雪「ああ、そうだ!その辺に何か……」キョロキョロ
漣「……なんぞこれ?」
リーがいた場所には、半壊した何らかの機械が地面に埋まっていた
叢雲「何かの機械……っていうのはわかるけど」
電「何の機械なのかはわからないのです」
五月雨「しかも壊れてる……あの人はこれを修理してたってことなのかな?」
706:
吹雪「うーん、これは詳しい人に見てもらうしかないけど……」
漣「じゃあ明石さんたちを……って」
五月雨「……もう、ロボット作りに行っちゃったよね?」
叢雲「それで……一か月いないのよね?」
五人「……」
電「……とりあえず、掘り起こして工廠まで運びましょうか」
吹雪「そうだね……二人が帰ってくるまで待とう」
707:
翌日
五人は、昨日リーと戦った場所まで来ていた
吹雪「で、また来たわけだけど」
叢雲「昨日ああやってここに来てたってことは、今日も来るかもしれないからね」
五月雨「あのまま機械も放っておかないだろうしね」
漣「うむ、解説ご苦労」
電「……何言ってるのです?」
708:
漣「んで、どうすんの?」
五月雨「隠れてたほうがいいかな?」
吹雪「……五月雨ちゃんが音立てちゃうから駄目だね」
五月雨「うっ……ごめん」
ガサガサッ
電「……?」
五月雨「何の音?」
叢雲「まさか……」
ガサガサッ
リー「よしっ、ここまで来たぞ」ガサガサッ
五人「……」
709:
リー「昨日はなんか途中で見つかっちゃったけど……」
リー「今日こそはシュシュっと修理を……ん?」
五人「……」
リー「……」
五人「抜錨!」
リー「う、うわああああ!!」
710:
数分後
リー「な、何故だ……どうしてこんなことに……」ボロッ
叢雲「さーて、色々しゃべってもらおうかしら」
リー「!?な、何をする気だ!」
吹雪「とりあえず、あなたには捕虜になってもらいます」
リー「くっ、拷問でもする気か……!」
漣「しますよ。えっぐいの」
リー「ど、どんな……?」
漣「そうですねぇ。例えば……」
漣「あなたが、中学生の時に書いた日記やポエムを音読しつつネットにさらす……とか?」
リー「うわああああああああああ!!やめろおおおおおおおおおお!!」
電「あなた、中学時代とかあったのです?」
リー「……はっ、そういえばなかった」
五月雨「えぇ……」
711:
吹雪「とにかく、まずは司令官の所へ……」
リー「くっ……」
ガサガサッ
叢雲「……ん?また……?」
シュバッ!
五人「!?」
ガッ
リー「う、うわっ!?」
シュバッ ガサガサッ
何者かが突如現れ、リーを奪って去って行った!
712:
五月雨「な、何?今の!」
電「わからないのです……」
吹雪「多分、あの人の味方……ディープマリンの一員だとは思うんだけど」
叢雲「……今の奴、動きからしてなかなかの手練れね」
叢雲「あのリーとかいう奴より、かなり強いと思うわ」
漣「確かに……顔がフードで見えなかった」
五月雨「え、それ関係あるの?」
漣「強キャラでそんな感じのがよくいるんだよ」
713:
吹雪「でも……これはまずいね」
電「え?」
吹雪「敵がここで何かしようとしてるってことだよ」
叢雲「そうね……目的はよくわからないけど、あの機械で何かしようとしてるみたいね」
五月雨「機械は一応工廠に持って行ったけど、また作られる可能性高いし……」
漣「まあ普通に来られるだけでも危ないしねぇ」
電「なるほど……ではどうしましょう?」
吹雪「とりあえず、司令官に報告してここに他の人を近寄らせないようにしてもらおう」
五月雨「そうだね。一応敷地外だし、ただでさえ人はほとんど来ないけど」
叢雲「警戒するに越したことはないわ」
714:
漣「それで、来たときはどうするん?」
電「少なくともいいことをしてるとは思えないですし、やっぱり戦うしかないと思うのです」
吹雪「そうだねぇ……」
叢雲「でも奴らが来た時、どうやってそのことを知るのよ」
五月雨「シンプルに、カメラやセンサーを設置したらどうかな」
五月雨「そのうち壊されちゃうかもしれないけど……」
漣「大丈夫っしょ。あいつら馬鹿だし。壊すにも全くバレずにやるってのも難しいだろうし」
叢雲「まあ……それがよさそうね。下手な小細工よりはいいと思うわ」
電「そうですね。とりあえず、司令官さんに報告するのです」
715:
執務室
提督「うーむ、鎮守府近くで敵が何かしようとしている、か……」
吹雪「それで、どうですか?」
提督「ああ。あそこには近寄らないよう、全員に通達しておくよ」
提督「あと、カメラとかなら簡単に設置できるはずだ。今日中には終わるだろう」
提督「異常があった時はお前たちに知らせるようにする……が」
漣「が?」
提督「できれば、昼の間だけでもその近くにいてくれないか?」
提督「近くにいたら、すぐ対応出来るだろう」
提督「それに、何が起こるかわからん。いつの間にか、カメラが壊されてるかもしれんからな」
五月雨「はい、了解です」
提督「頼んだぞ」
716:
叢雲「うーん……しばらく、あのあたりにいることが多くなりそうね」
電「どのくらい続くのでしょうか?」
吹雪「わからない……どうにか目的がわかればいいんだけど」
漣「えー?めんどいー」
五月雨「でも本当にあそこにしか来ないのかな?」
吹雪「どうかな……そうだといいんだけど」
叢雲「今考えても仕方ないわ。とにかく、私たちはあそこで様子を見ましょ」
717:
電「でも……強い敵が来たらどうするのです?」
叢雲「どうするって言っても、戦うしかないじゃない」
吹雪「うーん、まあ訓練して戦力増強するしか……」
漣「……戦力ということに関して、問題があると思うんですけど」
五月雨「え?」
718:
電「あっ、確かに……そうなのです」
吹雪「え?え?」
叢雲「そうよね……漣の言う通り、問題あるわね」
五月雨「な、何……?」
漣「……だって、吹雪ちゃんと五月雨ちゃんさぁ……」
漣「……まだ、必殺技使えないじゃん」
吹雪・五月雨「うっ……」
719:
吹雪「そ、それはその……ごめん」
叢雲「二人とも、どうしてちゃんと訓練してるのにまだ使えないのよ?」
五月雨「わ、わからないよ……」
電「まだ武器を使いこなせてないのでしょうか……」
漣「武器になんか問題があるんじゃない?」
吹雪「いや、前に明石さんたちに見てもらったけど、問題ないはずだって……」
五月雨「電ちゃんが使えるようになったのも、ついこの間でしょ?」
五月雨「だから、武器の扱い以外で何か原因があるんじゃないかって……」
漣「うーん……原因がわからない以上は仕方ないか」
吹雪・五月雨「すみません……」
720:
翌日
五人は、例の場所の近くで訓練をしていた
漣「そこで漣は言ってやったんですよ」バシュッ
叢雲「ほうほう」ブンッ
漣「『てめぇの敗因はたった一つ……たった一つのシンプルな答えだ』」
漣「『鎮守府近海を一人でうろついてるからだ』と」バシュバシュッ
叢雲「そりゃあイ級も納得せざるを得ないわね」ブンブンッ
漣「でしょ?そしたら大人しく帰って行ったけど、また一人で来たんだよねー」
叢雲「迷子じゃないの?それで偶然ここまで来たとか」
漣「まあそうかなー」
叢雲「っていうか、言葉通じたのね」
漣「うん。何か通じた」
721:
吹雪「こらー、二人ともー。真面目に訓練しなさーい」
叢雲「してるわよ。雑談しながらやってるだけよ」ブンブンッ
漣「そうだよ。ほら、全部的に当たってるし」バシュバシュッ
吹雪「いや、的に一回穴空いたら当たったかどうかなんてわかんないよ……」
漣「あっ、そっか」バシュバシュッ
722:
五月雨「今日も来るのかな?」
電「来ないのが一番なのですが……」
吹雪「でも、また一人で来るってことはないよね」
五月雨「そうだねぇ……一人だとまずいってことはわかっただろうし」
電「イーさんたちを引き連れてくるのでしょうか?」
吹雪「それくらいならまだいいんだけど……」
ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!
五人「!!」
叢雲「これって、昨日設置したセンサーの警報……よね」
五月雨「ていうことは、誰かが……?」
吹雪「みんな、行こう!」
723:
漣「……来てみたけど」
電「あれは……」
ジリリリリリリリリリリリリリ!!!!
ル級?「ちょっと!何よこれ!」
リー「あれ?昨日までこんなのなかったんですけど……」
ル級?「あー、もう!これどうやったら止まるのよ!」
イー「うるさくてかなわんですイー」
724:
漣「そこのボタン押したら止まりますよー」
ル級?「え、これ?」
漣「そうそう。それ」
ポチッ
ル級?「あっ、止まった」
漣「おー、よかったよかった」
漣「イエーイ」スッ
ル級?「イエーイ」スッ
パシッ
ピシガシグッグ
漣・ル級?「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」
725:
ル級?「ふぅ……」
ル級?「……」
ル級?「……うわぁ!誰よあんた!」
五月雨「え、遅すぎない?」
叢雲「やっぱディープマリンってバカしかいないのかしら」
リー「あー!お前たち……!」
リー「ルーさん!こいつらがショキカンジャーです!」
ルー「え!?こいつらがショキカンジャー!?」
電「今度は戦艦ル級にそっくりなのです」
吹雪「空母ヲ級もそのうち出てきそうだね」
726:
ルー「ふむ……まあいいわ」
ルー「私の名前はルー!今からこいつらと一緒にあなたたちを打ち倒してくれるわ!」
漣「大柴さんですか?」
ルー「え!?藪からスティックに何を言うのよ!」
叢雲「ノリノリね」
五月雨「あれ?これ、今から戦うんだよね?」
吹雪「そうだけど」
電「そんな空気じゃないのです」
727:
ルー「あーもう!とにかく、邪魔する気ならやるわよ!お前たち!」
イーたち「イー!!」ダダッ
五月雨「うわ、いっぱい来たよ!」
叢雲「あーもう……さっさと倒すわよ」
電「このくらいの数なら、大丈夫なのです!」
吹雪「みんな、準備はいい!?」
漣「いいともー!」
五人「抜錨!」
728:
イーたち「イー!!」ダダダ
電「そーっ、れ!」ブンッ
ドゴォォォォォォォォォォォォ!!!
電がハンマーを振り回し、イーたちを打ち倒していく!
イーたち「イーーーーーーッ!!!」
リー「なっ、一撃であんな大勢を!?」
ルー「噂通り、ただ者じゃないわね……!」
イーたち「ま、前に戦った時よりも格段に強くなってるイー……!」
電「訓練の賜物なのです」
729:
ルー「ひ、ひるむんじゃない!お前たち、行きなさい!」
ルー「あと、リーも行きなさい!」
リー「え、私もですか!?」
ルー「いいから、ほら!」
リー「うぅ……仕方ない!」ダダッ
リー「おらぁ!喰らえぇ!」ブンッ
吹雪「よっと」シュバッ
リー(!避けられ……)
吹雪「はぁっ!」ズバッ
リー「ぐあああああああ!!」
730:
ルー「り、リー!!大丈夫!?」
リー「くっ……大丈夫、です……が……」
リー(心配するならむやみに突っ込ませるなよ……)ガクッ
ルー「リーーーーーーーー!!」
ルー「くそう、よくもリーを……!」
ルー「こうなったら、私が直々に戦ってやるわ!覚悟なさい!」ダダッ
五月雨「……え!?私!?」
ルー「とうっ!」ブンッ
五月雨「くっ!」バシッ
ルーの拳を、五月雨は刀で防いだ!
731:
ルー「ほらほらほらぁ!」バシバシッ
五月雨「は、い……!」バシバシッ
五月雨(イーたちよりも強い……一筋縄じゃいかない)
五月雨「……そこっ!」
ザパァァァァァァ!!!
五月雨はルーの足元めがけて水を放出した!
五月雨(これでバランスを崩せば……!)
ルー「おっと!」シュバッ
五月雨(!?避けられた……!)
ルー「甘い甘い!」ドガッ!
五月雨「うぁっ……!」ヨロッ
ルー「このままボコボコにしてやるわ!」ブンッ
五月雨「……!」
732:
吹雪「せいっ!」ドガッ
ルー「ウワラバッ!?」ズザッ
ルーが五月雨に拳を振り上げた瞬間、吹雪が背後から一撃を加える!
五月雨「ふ、吹雪ちゃん!?」
吹雪「五月雨ちゃん、大丈夫?」
五月雨「う、うん……」
ルー「くっ……いつの間に後ろに……」
吹雪「お仲間はもういませんよ」
ルー「何っ!?」バッ
イーたち「イー……」ピクピク
リー「うーん……私のポエム……読まないで……」ピクピク
ルー「なっ、全滅なんて……!」
叢雲「ふん、あっけなかったわね」
電「束になっても、電たちには勝てないのです!」
733:
吹雪「さあ、残るはあなただけです」チャキッ
ルー「くっ……」
ルー「こうなっては仕方ない……やってやるわ!」ダダッ
吹雪「……!」
ルー「うおおおおおお!!」ダダダダ
ズルッ
ルー「あれ?」コケッ
ルー(あ、さっきの水で足元が)
吹雪「とりゃあ!!」
ズバァァァァァァァァッ!
ルー「ぎゃあああああああああ!!」
734:
ルー「ぐはぁ……強い……!」
吹雪「さて、あなたたちを捕虜に……」
ルー「!!て、撤退よ!あんたら!」
イーたち「イ、イー!!」ダダッ
リー「……え!?あれ!?ちょっ、置いてかないでー!!」ダダッ
叢雲「あ、待ちなさい!」
電「行っちゃったのです……」
漣「逃げ足いなー」
735:
吹雪「……五月雨ちゃん、大丈夫?」
五月雨「……」
吹雪「五月雨ちゃん?」
五月雨「……うん、大丈夫。ありがとう」
叢雲「じゃ、帰りましょ」
漣「何だかんだ疲れたー」スタスタ
電「お茶でも飲むのです」スタスタ
五月雨「……」スタスタ
五月雨「……はぁ……」
漣「あ、五月雨ちゃん、気を付けてー」
五月雨「え?」
ズルッ
五月雨「あ」
736:
そして、それから────
ルー「ふはははは!!また来たわよ!」
リー「今度は作戦がある!行くぞ!フォーメーションZだ!」
「イー!」「ロー!」「ハー!」「ニー!」
叢雲「しつこい!」ドカッ!
737:
ディープマリンは何度も攻め込み────
ルー「今日は助っ人を連れてきたわ!」
ター「ドーモ、ショキカンジャー=サン。ターです」ペコッ
漣「ドーモ、ター=サン。ショキカンジャーです」ペコッ
電「……何やってるのです?」
ター・漣「アイサツ」
漣「イヤーッ!」バシュッ!
ター「グワーッ!」グサッ!
漣「サヨナラ!」
738:
ショキカンジャーと戦い────
リー「今日は私の相方を連れてきた!」
ネー「……」
リー「……ネー?どうした?」
ネー「……帰っていい?」
リー「え!?」
リー「ちょっ、ネー!助けて!」
ネー「……ごめん……こっちも、いっぱいいっぱい……」
リー「ええ!?」
ネー「……本当に申し訳ない……」
リー「そ、そんなぁ!」
電「えいっ!」ブンッ
リー「えっ」
739:
その度に敗走し────
ヲー「……」
吹雪(本当に来た、ヲ級そっくりな人……)
ルー「……ヲー?どうしたの?」
ヲー「……ヲッ」
ヲー「ヲッヲッヲー」
ルー「……ふむふむ、そうなの」
吹雪「え、言ってることわかるんですか?」
ルー「いや、全然わかんない」
吹雪「えぇ……」
吹雪「はぁっ!」ズバッ
ヲー「……」
吹雪「……!?効いてない!?」
ヲー「……」プルプル
ルー「……いや、これは痛いのを我慢してるわ」
吹雪「えぇ……」
そしてなんやかんやで最初の襲撃からニ週間が経過した
740:
ショキカンジャー本拠地
叢雲「あー、もう!何なのよあいつら!毎日のようにあそこに来て!」
電「流石に疲れるのです……」
漣「マジでたまにセンサーとか壊すし……やってらんねーぜ!」
吹雪「妖精さんたちに直してもらってるとはいえね……」
吹雪「しかし、相変わらず目的が分からない……」
叢雲「すぐに出ていかずに、ちょっと様子見したこともあったけど……」
漣「結局ほとんど何もしないんだもんよー。わからん!」
電「でも、正直……ただ単に来て戦ってるようにしか見えないのです」
吹雪「どうなんだろうね……」
741:
五月雨「……」ボー
叢雲「……五月雨?」
五月雨「……ふぇ!?な、何!?」
叢雲「いや、何でもないけど……」
電「どうしたのです?最近ボーっとすることが多いのです」
漣「顔色も少し悪いし、疲れてるんじゃ?」
五月雨「だ、大丈夫!何でもないよ!」
叢雲「ドジることも多いし」
電「この間はジュースと間違えてタバスコ飲みそうになったのです」
漣「五月雨ちゃんがドジなのは元からだから問題ない」
五月雨「ちょ、ちょっと!漣ちゃん!」
742:
五月雨「とにかく、何でもないから心配しないで」
叢雲「そう?ならいいけど」
漣「じゃあドミニオンでもしようか」
電「あ、帝国入れてほしいのです」
叢雲「そもそもあれ四人までのゲームじゃない……」
五月雨「……」
吹雪「……」
743:
その夜
吹雪「……」
吹雪は、いつも五人が訓練している場所の近くに来ていた
涼風『ん?五月雨?』
吹雪『うん。最近ちょっと様子がおかしくて』
涼風『あー、確かにボーっとしてるねぇ』
吹雪『同室の涼風ちゃんなら何か知ってると思って』
涼風『うーん、そうだねぇ……』
涼風『……最近、夜に部屋をこっそり出ることが多くなったね』
744:
吹雪『夜に?』
涼風『うん。消灯してしばらくすると、どっか行っちまうんだよ』
涼風『最初はトイレで行ってんのかと思ったけど、それにしては長い間戻ってこないみたいなんだよ』
涼風『あたいはその間に寝ちまうからそのあとは知らないけど、朝起きたら普通に戻ってるよ』
涼風『そのことについて聞こうかと思ったこともあるけど、なんだか聞きづらくてねぇ』
吹雪『……そっか』
吹雪『わかった、ありがとう』
涼風『おう!』
745:
吹雪(私の予想だと、このあたりで……)
ブンッ ブンッ
吹雪「……!」
五月雨「はぁ……はぁ……」
ブンッ ブンッ
五月雨は、一人で刀の練習をしていた
五月雨「はっ!はっ!」
ブンッ ブンッ
吹雪「……」
吹雪(やっぱりね……)
746:
五月雨「はぁ……はぁ……」
吹雪「……こんな時間に、何やってるの?」
五月雨「!!」
五月雨「……吹雪ちゃん」
吹雪「……訓練なら、二人でやったほうが良いんじゃない?」
五月雨「……」
吹雪「相手になるよ」
五月雨「……うん、じゃあ、お願いしようかな……」
747:
しばらく後
吹雪「はぁ……はぁ……」
五月雨「こ、ここまでにしよう……」
吹雪「そ、そうだね……」
五月雨「ふぅー……」
吹雪「……」
吹雪「……どうして、夜中に訓練してるの?」
五月雨「……今日、なんとなく眠れなくて」
吹雪「でも、最近夜に出てることが多いって、涼風ちゃんが」
五月雨「あれ……涼風にバレてたんだ……」
五月雨「起こさないようにしてたつもりなんだけどな……」
五月雨「あはは……ダメだなぁ、私……」
吹雪「……」
748:
五月雨「……最近、みんな強くなったよね」
吹雪「え、そう?」
五月雨「うん。強くなった」
吹雪「そうかな……五月雨ちゃんも同じくらいだと思うよ」
五月雨「いや、そういう単純なことじゃなくて……」
吹雪「?」
五月雨「……何て言ったらわからないけど……もっと、根本的で、大切なもの……」
五月雨「そういった強さが、最近みんなの中で芽生えてる気がするんだ」
吹雪「……」
749:
五月雨「……この間だって、吹雪ちゃんに助けられたし」
五月雨「このままだと……みんなの足を引っ張って、迷惑かけちゃうと思って……」
五月雨「みんなと同じ強さは手に入らないと思ったから……少しでもみんなに近づけるよう、こうやって夜に訓練してたんだ」
吹雪「……そうだったんだ」
五月雨「……でも、全然追いつけない」
五月雨「みんな、本当に強いから」
五月雨「私なんかじゃ……ダメなのかな」
吹雪「……」
750:
吹雪「……そんなことないと思うよ」
五月雨「……え?」
吹雪「私からしたら、五月雨ちゃんは強いよ」
五月雨「吹雪ちゃん……?」
吹雪「だって……」
ドガッ
二人「!?」
何かが破壊される音が、二人の耳に入ってきた!
751:
吹雪「何今の!?」
五月雨「今の音……森の方からだね」
五月雨「しかも、木なんかが折られた音じゃなくて、機械が壊されたような音だったよ」
吹雪「……もしかして、カメラやセンサーが壊された!?」
五月雨「行ってみよう!」
752:
ダダッ
五月雨「!!誰かいる!」
吹雪「あれって……!」
フード「……」
フードをかぶった何者かが、破壊されたセンサーとカメラを前にして立っていた
吹雪「この人……」
五月雨「この間、リーさんを連れて去って行った人……だね」
753:
吹雪「……まさか、夜にセンサーを壊しに来るなんてね」
五月雨「しかも、センサーに全く引っかからずに……」
五月雨「どうする?みんなを呼んでくる?」
吹雪「その間に逃げちゃうと思うよ……」
フード「……」
五月雨「じゃあ、二人で戦うしか……?」
吹雪「それしかなさそうだね」
吹雪「……大丈夫?訓練の後だけど」
五月雨「大丈夫……戦える」
吹雪「じゃあ……行くよ!」スッ
二人「抜錨!!」
754:
吹雪「はぁっ!」ブンッ
フード「……」バシッ
吹雪(!素手で、弾かれた……)
吹雪(でも、まだ!)
吹雪「はあああ!!」シュバババッ
フード「……」バシバシバシッ
吹雪「くっ……」
755:
五月雨「やぁー!!」ブンッ
フード「!」ガッ
グググ……
五月雨(!……刀を素手でつかむなんて……でも!)
ザパァ!!
フード「……!」
バシィッ!!
五月雨は刀に水をまとわせ、フードの腕を弾いた!
五月雨「そこぉ!!」ブンッ
フード「!!」
756:
シュバッ!
五月雨「!!」
五月雨の攻撃を、フードは宙返りでかわした!
五月雨「っ……」
スタッ
フワッ
宙返りした時、フードがめくれ、敵の素顔が現れた
二人「……!」
レ級?「……」
757:
吹雪「お次はレ級のそっくりさんか……」
五月雨「これは強そうだね……」
レ級?「……」シュバッ
吹雪「!!」
ドガッ!
レ級?は吹雪に接近し、キックを喰らわせた!
吹雪「ぐあ……!」
五月雨「吹雪ちゃん!」
758:
レ級?「……」シュバッ
五月雨(ッ!い!)
ドガッ!
五月雨「うあぁっ!」ズザッ
吹雪「くっ……強い……」
五月雨「コウワンさんをバランス型にしたみたいな強さだね……」
759:
レ級?「……」シュバッ
吹雪「!!」
ガキィン!
レ級?「……」
吹雪「くっ……」グググ
レ級?の背後からの攻撃を、吹雪は剣で受け止める!
バシィッ!
レ級?「……」ブンッ
吹雪「はぁっ!」
ボォォォォォォォォォォォ!!!
吹雪はレ級?の拳をはじき、すかさず剣から炎を放出した!
レ級?「!!」シュバッ
五月雨「そこだっ!」シュンッ
レ級「!?」
五月雨はレ級?が炎を避け、体勢を崩した隙をついて、背中を切りつけた!
ズバァァァァァァァァァァァッ!!!!
760:
吹雪「よしっ!」
五月雨「当たった……!」
レ級?「……」
五月雨「……あれ?」
ブンッ!
五月雨「うわぁ!?」シュバッ
五月雨「ま、まだ来るの!?」
吹雪「効いてないわけじゃないみたいだけど、やっぱり一撃程度じゃだめか……」
761:
五月雨(……そうだ!必殺技を使えば……!)
五月雨(あれが使えれば、きっと……!)
漣『……まだ、必殺技使えないじゃん』
五月雨(……でも私、あれからまだ一回も成功してない……)
五月雨(私なんかじゃ、やっぱり……)
762:
五月雨「……」
レ級?「……」スッ
五月雨(っ!そうだ、このままだとやられちゃう!)
五月雨(だったら、一か八か……!)
カチャッ
五月雨はアンカーパーツを刀に取り付けた!
吹雪「五月雨ちゃん!?」
五月雨「これしかない……!やってみるよ!」チャキッ
五月雨はそのまま、刀をかまえる!
レ級?「……!」
763:
五月雨(なんとかしないと……!)
五月雨(だからお願い……!このままじゃ……!)
五月雨「……っ」
レ級?「……」
しかし、五月雨の武器に変化は起こらなかった……
764:
五月雨「なんで……っ!どうして……?」
吹雪「五月雨ちゃん!来るよっ!」
レ級?「……」スッ
五月雨「!?」
吹雪「……っ!」チャキッ
シュバッ ガサガサッ……
二人「……!?」
二人の予想に反し、レ級?は二人に向かってこずに、森へと消えていった
765:
吹雪「……逃げた、のかな?」
五月雨「多分……でも、どうして……?」
吹雪「それはわからないけど……まあ、助かったんじゃないかな」
五月雨「……そっか」
吹雪「……」
吹雪「……とりあえず、センサーはまた妖精さんに頼んで修理してもらおう」
吹雪「明日のお昼にも来るだろうし……」
五月雨「……うん、そうだね」
766:
吹雪「それで、結局何しに来たんだろう?」
五月雨「センサーとカメラを壊しに来ただけ……にしか見えないけど」
吹雪「でもそれだったら、どうして夜にわざわざ……?」
五月雨「センサーに引っかからないように動けるなら、お昼にやろうとしてることをやればいいし……」
二人「うーん……」
吹雪「……今考えても仕方ないね」
五月雨「そうだね……あんまり頭が回らないよ……」
767:
吹雪「とにかく何かしようとしてるなら、夜も油断できない、けど……」
吹雪「毎晩ここにいるわけにはいかないね」
五月雨「え?どうして?実際私は……」
吹雪「そ、れ、が!ダメなの!」
五月雨「ええ!?」
吹雪「五月雨ちゃん、夜に訓練してるってことは、あんまり寝てないでしょ?」
五月雨「え、えっと……」
吹雪「最近ボーっとしたりするのは、睡眠不足が原因だよ」
吹雪「そんなんじゃ、戦うときに危険だし、何よりみんなに心配かけちゃうよ」
五月雨「は、はい……ごめんなさい……」
768:
吹雪「……だから、夜の訓練、及び見張りは交代制にしよう」
吹雪「他のみんなにも言ってさ」
五月雨「え、みんなにも言うの!?」
吹雪「え、ダメ?何で?」
五月雨「だって……みんなお昼にも頑張ってるのに、夜にも見張りしてもらうってなると悪いし、それに……」
吹雪「それに?」
五月雨「……私が今まで一人で訓練してたのバレると……何か、恥ずかしいから」
吹雪「……ぷっ」
769:
五月雨「あー!何で笑うのー!」
吹雪「あはは、ごめんごめん」
吹雪「別にいいじゃない。悪いことじゃないし」
五月雨「だって、一人で夜に訓練とか、漣ちゃんにベタだとか言われそうだし……」
吹雪「……まあ、それはそうだね」
吹雪「でも実際問題、言わないわけにはいかないでしょ?」
吹雪「今回あのレ級っぽい人が来たことも言わないといけないし」
五月雨「……うん、確かにそうなんだけどね……」
770:
五月雨「わかったよ。じゃあ明日改めて話し合いしようか」
吹雪「うん。じゃあ今日はもう寝よう」
五月雨「そうだね……ふぅ……」
吹雪「……あっ、夜が明けそう」
五月雨「え!?もうそんな時間!?」
吹雪「あれ、そろそろ起床時間じゃ……」
五月雨「い、急いで戻らないとー!」ダダッ
吹雪「あ、五月雨ちゃん!危な……」
五月雨「あっ」コケッ
771:
翌日
昼の襲撃の後、ショキカンジャー本拠地にて
叢雲「……最近五月雨の様子がおかしいと思ったら、そんなことしてたの」
漣「さすが五月雨ちゃん!ベタなことすんね?!」
五月雨「うぅ、やっぱり言われた……」
電「無理はしないほうがいいのです」
叢雲「そうよ。心配したわ」
五月雨「ごめんね、みんな……」
772:
吹雪「それで……どう?」
叢雲「ええ、夜の見張りくらいならやってもいいわ。訓練も足りないと思ってたしね」
電「電ももちろんいいのです。何があるかわからないですから……」
漣「やだ!漣は夜は寝るんだ!」
吹雪「外でテント張って寝ててもいいから」
漣「マジで?じゃあいいよ」
五月雨「いいんだ……」
773:
漣「んで、結局そのレ級さんは何しに来たわけ?」
吹雪「それがわからないんだよ。カメラとセンサーを壊しに来たことしか……」
電「本来なら、それはこちらに気付かれずにできてたわけですよね?」
五月雨「うん、偶然私たちがいたからバレたけど……」
叢雲「……もし、バレずに行えてたらどうなってた?」
吹雪「えっと、まあ今日の襲撃が気付きにくくなってたね」
漣「なんかあそこでやろうとしてることを進めてたかもね」
774:
五月雨「センサーなしでも、私たちはそのうちに気付いたと思うけど……」
電「どっちにしろ、さらに警戒する結果になってたと思うのです」
叢雲「下手したら、本当にあそこに張り込むことになってたかもね……」
吹雪「うーん、本当に何する気なんだろ……」
五月雨「……」
五月雨「……もしかして、本当に何もする気がないんじゃ……?」
775:
漣「んお?どういうこと?」
五月雨「あそこで何かしようとしてるってずっと思ってたけど」
五月雨「本当は何もする気はなくて、私たちに警戒心を持たせることが目的なんじゃないかな」
電「確かに、警戒は実際していますが……」
叢雲「でも、だったらなんなのよ。私たちに警戒させて何の得があるのよ?」
五月雨「うん……。だから、もしかしたら……」
五月雨「あそこで何かしようとしてるって思わせて、私たちをあそこに張り付けて」
五月雨「……いつも来る場所とは別の場所で、『本当の目的』を達成しようとしてるんじゃないかな」
四人「……!」
776:
吹雪「……確かに、そうかも」
電「それなら、夜間にセンサーを壊そうとしてたことにも納得がいくのです」
叢雲「もしそれが本当なら……正直、効率がいいかは謎ね」
五月雨「……うん」
漣「まあそういう作戦を立てるのは悪の組織ならではだからの」
777:
吹雪「でも仮にそうだったとしても、どうやって対処する?」
吹雪「別の場所の調査するにしても、鎮守府近くまで来てるあの人たちを放置しておけないよ」
五月雨「そうだね……どうしようか」
叢雲「二手に分かれるのはどうかしら?」
叢雲「一組は敵を倒して、もう一組はその『本当の目的』を調査するっていうの」
漣「うん、まあ無難な手ですな」
電「でも、さっき言ってたレ級そっくりな人が攻めてきたら大変なのです」
吹雪「確かにそう考えると、戦う時には五人そろってたほうがいいけど……」
五月雨「下手に動くと、敵の作戦を探ってることに気づかれそうだし……」
五人「……」
五人「……あ」
778:
最初の襲撃から約一か月後
リー「ふぅ……毎日毎日疲れますね」ガサガサ
ルー「そういわないの。そろそろアレが完成するでしょ?」
リー「あー、そうらしいですね。リトウ様が言ってましたね」
ルー「ええ、だからもうひと踏ん張りよ」
ルー「さ、今日も奴らを呼び出すわよ」
リー「はーい」スッ
ジリリリリリリリリリリリリリ!!!
779:
ルー「よし。あとは少し待てば……」
ガサガサッ
リー(ん、あいつら、いつもより来るの早い?)
シュバッ!
ルー「む、来たわね!」
リー「……あれ?」
ルー「覚悟しなさい!ショキカン……ジャー?」
大井「……」
780:
ルー「あ、あれ?」
リー「だ……誰?え?ショキカンジャーは?」
大井「……」パカッ
大井「出撃!」カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
大井の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
781:
ルー「何!?まだ味方がいたのあいつら!?」
大井「……残念だったわね。あなたたちの作戦はもうわかってるのよ」
ルー「な、なんですって!?」
大井「あの子たちは本丸を叩きに行ってるわ。あなたたちの相手は、この私よ」
リー「ル、ルーさん!逃げましょう!ここにいたらまずいですよ!」
ルー「慌てるんじゃないわよ!相手は一人、大したことないわ!」
ルー「戦闘員、行きなさい!」
イーたち「イーッ!!」ババッ
大井「……なめられたものね」チャキッ
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
782:
一方そのころ
これまで襲撃があった場所と真反対に位置する、鎮守府敷地外の森
???「さて……もう少しで完成ね」カチャカチャ
???「リーの動きがバレた時はどうなるかと思ったけど、なんとかこの陽動作戦でここまで来たわ」
???「ふっふっふ……私の作戦は完璧よ」
???「これが完成すれば、艦娘殲滅に大きく近づくわ……ふっふっふ」
「そうはさせません!!」
???「!?」
783:
離島棲姫?「ショ、ショキカンジャー!?どうしてここに!?」
吹雪「離島棲姫そっくり……あなたがリトウですね!」
五月雨「毎日怪人や戦闘員たちに襲撃させて私たちの警戒を集中させるという、あなたの作戦はわかっています!」
漣「効率いいのか悪いのかよくわからない作戦しやがって!」
リトウ「な、何よ!効率とかどうでもいいのよ!」
叢雲「どうでもいいわけないでしょ」
電「ゴスロリに白衣のファッションもよくわからないのです」
リトウ「別にいいじゃない!悪の組織の女幹部でゴスロリの天才科学者で美少女!私を超えるキャラはそういないわ!」
漣「でもあんたら女幹部しかいないじゃん」
電「女幹部は、数ある幹部や怪人の中で一人二人いるから目立つのです」
叢雲「女幹部だらけじゃねぇ……」
リトウ「うっ……!私たちが地味に気にしてることを!」
吹雪「えっ、気にしてたんだ」
784:
リトウ「でもルー達の報告では、あなたたちは常に五人で戦ってて、ここには来てなかったはず!」
吹雪「ええ、確かにそうです」
叢雲「でも私たちには、頼りになる仲間がもう一人いたのよ」
電「その人に鎮守府付近の調査を頼んで、そして昨日やっとあなたを見つけたのです」
五月雨「……あそこにあった機械と同じものをここでも作ってたみたいですが」
リトウ「うっ……」
785:
吹雪「艦娘殲滅に近づくって……何をしようとしているんですか!」
リトウ「こ、答える義理はないわ!」
漣「答えないなら……ひっ捕らえて恥ずかしい目にあわせてやるよぉ!」
リトウ「!は、恥ずかしい目って……?」
漣「五月雨ちゃんと同じ、腋丸出しの服着せてやるよぉ!」
五月雨「……え?」
リトウ「!そ、それは恥ずかしい!」
五月雨「ええ!?」
786:
吹雪「とにかく!あなたを捕らえて、色々と話してもらいます!」
リトウ「そうはいくものですか!出てきなさい!」パチッ
シュバッ
何者かが木陰から現れた!
五人「!!」
レ級?「……」
五月雨「あの時の……!」
787:
リトウ「この子の名前はレー。私が作った超強い怪人よ」
リトウ「これまでもちょいちょいここに送ってたけど……まだ未完成だったから、本格的な戦闘まではさせられなかったわ」
リトウ「でも、この子はもう完成形よ。勝てるかしら?」
五月雨「……あの時より、強い……」
吹雪「……五月雨ちゃん」
五月雨「……うん、大丈夫」
吹雪「……」
吹雪「みんな、行くよ!」
五人「抜錨!!」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
788:
デデッデデー デデッデデーン
吹雪「吹雪レッド!」
叢雲「叢雲ブラック!」
漣「漣ピンク!」
電「電イエ口ー!」
五月雨「五月雨ブルー!」
吹雪「五人そろって!」
五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」
バァァァァァァァァァァァァァァン!!!
789:
叢雲「はぁっ!」ブンッ!
レー「……」シュバッ
叢雲「……っ」
叢雲(聞いていた通り、なかなか素早いわね……)
電「えいっ!」ブンッ!
レー「……」シュバッ
電(っ!背後に……!)
ドガッ!
電「うっ……!」ズザッ
790:
漣「コノヤロー!食らいやがれ!」バシュバシュッ
レー「っ!」シュバッ
吹雪「はぁっ!」ブンッ
レー「!!」
漣が放った矢をレーが避けた隙をついて、吹雪が剣を振り下ろす!
バシッ!
吹雪「……っ!」
しかし、片腕で剣を弾かれてしまう!
791:
叢雲「このっ!」ブンブンッ!
吹雪「まだまだ!」ブンブンッ!
レー「……」バシバシバシッ!
レーは吹雪と叢雲による連続攻撃を、両手で弾いていく!
叢雲(くっ……二人がかりでも弾かれる……)
吹雪(……でも、今なら隙が!)チラッ
五月雨「たぁー!!」ブンッ
レー「……!」
レーの背後から、五月雨が刀を振り下ろした!
792:
レー「……」
バッ!
吹雪「え!?」
叢雲「な!?」
シュバッ クルッ
五月雨「え!?」
スカッ
レーは吹雪と叢雲を振りほどき、宙返りで五月雨の攻撃をかわした!
793:
レー「……」ドガッ!
五月雨の背後に着地したレーは、そのまま五月雨に蹴りを食らわせる!
五月雨「うぁっ……!」ズザザ
吹雪「五月雨ちゃん!」
五月雨「くっ……」
吹雪「五月雨ちゃん、下がって……」
五月雨「まだ……まだ!」ダダッ
五月雨は起き上がり、レーへと向かっていく!
吹雪「!?ダメ、危ない!」
794:
五月雨「やぁーっ!」ブンッ
レー「……」シュバッ
五月雨(やっぱり避ける……でも!)スッ
ザパァァァァァァァァァァァァ!!!
レー「!」
五月雨はレーに向けて刀から水を放出した!
レー「……!」フラッ
五月雨(これで隙ができる!目もすぐには開けられない!)
795:
五月雨「これで……!」ブンッ
レー「……」
ガッ
五月雨「!!?」
五月雨(完全に隙を突いたと思ったのに……こっちを見ずに刀を掴んできた!?)
レー「……」グイッ
五月雨「!!」
レーは五月雨ごと掴んだ刀を引き寄せ、そのまま五月雨に強烈な蹴りを叩きこむ!
ズドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!
五月雨「うわあああああああああああ!!!!」
796:
五月雨「うっ……」ヨロッ
レー「……」スッ
レーは体勢を崩した五月雨に、追い打ちをかけようと近づいてくる
五月雨「……っ!」
五月雨(……やっぱり、私なんかじゃダメなのかな)
五月雨(私なんかが……みんなみたいに強くなるなんて無理だったのかな)
五月雨(この人に勝つなんて……できないのかな)
五月雨(いくら頑張っても……努力しても……)
五月雨「私は……弱いままなんだ……」
797:
シュバババッ!
突如、レーに無数の矢が襲い掛かる!
レー「!!」シュバッ
五月雨「!」
漣「五月雨ちゃんから離れやがれ、このヤロー!」
五月雨「漣ちゃん……!」
レー「……っ」ダッ
レーは漣に向かって走り出す!
798:
電「こっちなのです!」ブンッ
レー「!!」ガッ
グググ……
レーは電の攻撃を受け止めるが、電がわずかに押している!
レー「……!」グググ
叢雲「そこっ!!」ブンッ
レー「!!」
ズガァァァァァァァァァァァン!!!
叢雲「……ふぅ……ほんと、すばしっこいわね」
レー「……」
すんでのところで、レーは叢雲の攻撃を避けていた
799:
五月雨「……」
吹雪「五月雨ちゃん、無事?」
五月雨「……ごめんね」
吹雪「え?」
五月雨「……私は、やっぱり駄目だなぁ……」
五月雨「……また、みんなに助けられて……」
吹雪「……」
800:
吹雪「五月雨ちゃん。私たちは一人で戦ってるんじゃないんだよ」
五月雨「……っ」
吹雪「誰も……一人じゃあの人を倒せない」
吹雪「みんなで協力して倒さないといけない……」
吹雪「そして……それには、五月雨ちゃんも必要なんだよ」
五月雨「……!」
吹雪「もっと、仲間を頼っていいんだよ」
吹雪「私たちも……五月雨ちゃんを頼るから」
吹雪「みんなで、一緒に戦おう」
五月雨「……」
801:
五月雨(……どうして忘れてたんだろう)
五月雨(私たちは一人じゃない。一人だけで戦ってるんじゃない)
五月雨(一緒に戦って、支えあって……本当の『強さ』を持って戦えるんだ)
五月雨(仲間がいるから……私は戦える)
五月雨(仲間がいるから、希望が持てる……!)
五月雨(仲間がいる限り、私は諦めちゃいけない!!)
五月雨「……ありがとう、吹雪ちゃん」
五月雨「一緒に……戦おう!!」
吹雪「……うん!」
802:
五月雨(……あの人はかなり素早い。普通に攻撃しても避けられちゃう)
五月雨(大きな隙を作って、そこに強い一撃を与えないといけない……)
五月雨(隙を作るのに一番いいのは電ちゃんの重力操作だけど……)
五月雨(電ちゃんはどうしても攻撃が大振りになっちゃう。そのための一撃が簡単に入るとは思えない)
五月雨(……もしくは……少しの隙をついて攻撃をする……)
五月雨(『アレ』を使えば……)
吹雪『五月雨ちゃん!?』
五月雨『これしかない……!やってみるよ!』チャキッ
五月雨『なんで……っ!どうして……?』
五月雨「……っ」
803:
五月雨「……みんな、お願い!レーに隙を作って!」
叢雲「隙って……そんなに大きな隙は作れそうにないわよ!」
五月雨「少しでいいの!少しでも隙があれば……!」
吹雪「っ!五月雨ちゃん、まさか……」
五月雨「……」コクリ
電「……了解なのです!少し足止めするくらいならできるのです!」
漣「よっしゃ!やってやるよー!」
804:
漣「ほいほいっ!」バシュッバシュッ!
レー「……」シュバッ
漣「やっぱり避けるか!でもまだまだ!」バシュバシュッ!
レー「……!」シュバッ
電「逃がさないのです!!」ブンッ
レー「っ!!」バッ
レーは電の振り下ろしたハンマーを、間一髪のところで回避する!
805:
レー「……」スッ
レーはそのまま電に接近し、攻撃を加えようとする!
叢雲「そこっ!」ブンッ!
吹雪「はぁっ!!」ブンッ!
レー「!?」ガッ
しかしそこへ叢雲と吹雪が横から同時に武器を振り下ろし、レーは思わず両手で武器をつかんだ!
806:
吹雪「五月雨ちゃん!」
五月雨「うん!」カチャッ
五月雨はアンカーパーツを刀に取り付けた!
五月雨(……大丈夫!)
五月雨(みんなが作ってくれたチャンス……絶対無駄にしない!)
807:
シュンッ
レー「!?」
五月雨「やぁーっ!!!」
五月雨は高でレーに近づき、すれ違い様に斬りつけた!
ズバァァァァァァァァァァァッ!!
レー「……!!」
808:
五月雨「まだまだ!!」クルッ
シュンッ
レー「っ!!」
ズバァァァァッ!!
五月雨はレーに向き直り、再び高でレーを斬りつける!
五月雨「はぁっ!たぁっ!!」
ズバッ! ズバッ!
五月雨は何度も高で接近し、斬撃を浴びせていく!
809:
レー「……っ」フラッ
シュンッ
レー「!!」
五月雨「はああああああああああああああ!!!!」
ズガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
810:
レー「……っ」ヨロッ
五月雨「よしっ……!みんな、トドメだよ!」
吹雪「了解!!」
電「アンカーハンマー!」ヒュンッ
漣「デッキアロー!」ヒュンッ
叢雲「マストランス!」ヒュンッ
五月雨「キールブレード!」ヒュンッ
吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!
五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!
五人「デストロイキャノン!」
811:
漣「目標捕捉!」
電「照準よし!」
叢雲「充填完了!」
五月雨「発射準備完了!」
吹雪「ってえええええええええええええええええええ!!!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
レー「……!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
812:
リトウ「そ、そんな……レーが負けるなんて……」
リトウ「私の作った超強い怪人が……どうして!?」
吹雪「さて……リトウ。あなたが何をしようとしていたか、話してもらいましょうか」
リトウ「くっ……まだよ!まだ……!」スッ
リトウ「このスイッチを押せば……!」カチッ
五月雨「無駄な抵抗はやめてください!」
電「そうなのです。これ以上は……」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
五人「!?」
813:
漣「な、何事!?」
叢雲「どこから音が……」
吹雪「……!みんな、あそこ!」
四人「!!」
レー「……」
遠く離れた森の中に、巨大化したレーが現れた!
814:
五月雨「ど、どういうこと!?」
リトウ「ふっふっふ!奥の手を残しておくのは科学者の基本よ!」
リトウ「巨大化したレーにはさすがに勝てないはずよ!覚悟なさい!ふーっはっはっは!」ダダッ
電「あ、逃げたのです!」
叢雲「くっ……あのゴスロリめ……!」
漣「倒した後に怪人が巨大化とか、マジでやってくるとか思わなかったよ!」
吹雪「ど、どうしよう!?このままじゃ……」
815:
ズシーン…… ズシーン……
叢雲「少しずつこっちに近づいて来てる!このままだと鎮守府が危ないわ!」
電「でも、このまま戦いに行っても倒せるとは思えないのです……」
吹雪「……っ」
ピピピピピピピッ
吹雪「……?通信?」
漣「誰か間違えてボタン押しちゃった?」
吹雪「いや、自分の色のボタンが点滅してる……」
五月雨「ってことは……明石さんたちから!?」
816:
ピッ
明石『もしもしみんな?聞こえるー?』
吹雪「明石さん!」
明石『今すぐ港まで来て!巨大ロボ使えるよ!』
五月雨「え、もう帰ってきてるんですか!?」
明石『ついさっきね!ロボのパーツ持って帰ってどうしようかと思ってたら、なんか巨大な敵が見えて……』
明石『こりゃあ早ロボの出番でしょ?だから早く来て!』
明石『すぐに使える準備は整ってるから!』
吹雪「わ、わかりました!すぐ行きます!」
817:

そこには赤、黒、ピンク、黄色、青の五隻の船があった!
叢雲「うわっ!なにこれっ!」
電「はわわ、大きいのです……」
明石「みんなー、こっちこっち!」
五月雨「あ、明石さん!」
吹雪「明石さん、これがもしかして……」
明石「そう、これが変形して巨大ロボ『ショキカンオー』になるよ!」
明石「さあさあそれぞれの色に乗った乗った!」
818:
吹雪「明石さん、とりあえず操縦席まで来ました!」
明石『よーし、じゃあ早合体だよ!』
漣「ヨッシャー!キタコレ!」
五月雨「それで、どうすれば?」
明石『全員、操縦席の右の方に大きなレバーがあるでしょ?それを同時に引いて!』
明石『それでその時、「駆逐合体!」って叫んでね』
叢雲「叫ばないとダメ?」
明石『駄目です』
819:
吹雪「みんな、準備はいい!?」
叢雲「ええ、いいわ!」
漣「いつでも来いよ!」
電「問題ないのです!」
五月雨「うん。大丈夫だよ!」
吹雪「よし、それじゃ……」
吹雪「せー、のっ!」グイッ
820:
五人「駆逐合体!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ヒュォォォォォォォォォォ
五隻の船が空中で合体し、一つの巨大なロボットになる!!
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!
五人「完成!ショキカンオー!!」
821:
ショキカンオーコックピット
吹雪「ほ、本当にロボットになった……」
漣「うーむ、素晴らしいね!」
叢雲「って、感心してる場合じゃないわ。早くレーを倒さないと!」
電「もう結構近くまで来てるのです!」
五月雨「明石さん、操作方法は!?」
明石『その辺のレバーとかボタンを適当にガチャガチャやったら何とかなるよ!』
吹雪「えぇ……」
明石『大丈夫大丈夫!艤装操る感覚でドーンと行っちゃって!』
五月雨「は、はい……」
822:
ドシーン…… ドシーン……
漣「おお、動いた!」
叢雲「な、なんとか上手く歩けてるみたいね」
五月雨「このままいけば……もう少しでレーと接触するね」
電「いよいよなのです……」
吹雪「……行くよ!みんな!」
ブンッ!
レー「……」
ガシィッ!
823:
叢雲「やっぱり普通のパンチくらいは防いでくるわね……」
漣「ひるむな!もういっぱーつ!」
ブンッ!
ガシィッ
レー「……!」ググググ……
電「……!押してるのです?」
五月雨「パワーはこっちの方が上みたいだね!」
吹雪「よーしっ!このまま押し切る!」
グググググ……
レー「……!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
824:
叢雲「よしっ!地面に倒したわ!」
吹雪「このまま追撃すれば……!」
シュバッ!
五人「!?」
倒れたレーがすぐさま起き上がり、跳びあがった!
漣「うわっ!跳んだ!?」
電「大きいのに身軽なのです……!」
825:
レー「……」ズシィン……
レーはそのままショキカンオーを飛び越え、後ろに回り込んだ!
漣「ど、どこ行ったあいつ!?」
五月雨「後ろだよ!早く回避……」
ズドォォォォォォォォォォォォン!!!
五人「うわああああああああああああああ!!!」グラグラ
826:
叢雲「くっ……後ろから殴りかかるなんて……」
電「早く反撃するのです!」
漣「そうだ、このロボ剣とか持ってないの!?」
五月雨「明石さん、何か武器ないんですか!?」
明石『あるよ!五月雨ちゃんの前の青いボタン押して!』
五月雨「はい!」ポチッ
ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!
ショキカンオーの右腕のパーツが一部変形し、剣を持った!
827:
吹雪「よし、これで!」グイッ
ガキィィィィィンッ!!
レー「!」
叢雲「効いてるわ!追撃するわよ!」グイッ
ガキィィィィィンッ!! ガキィィィィィンッ!!
レー「……!」ヨロッ
828:
五月雨「動きが鈍くなってきた……!」
漣「よーし!ここらで必殺技撃って決めるぞい!」
電「必殺技って……そんなのあるのです!?」
明石『あるよ!『ギガデストロイキャノン』っていうのが!』
吹雪「あるんだ!」
明石『みんなの操縦席に、ショキブレスのアンカーパーツを取り付ける台があるの!』
明石『全員同時に、アンカーパーツをそれに取り付けて!』
五月雨「わ、わかりました!」
829:
五人「アンカーパーツ、セット!」カチャッ
ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!
ショキカンオーの胸部から、巨大な砲身が現れる!
レー「……!!!」フラッ
五人「ギガデストロイキャノン!!」
吹雪「ってえええええええええええええええええええええええ!!!!」
キュィィィィィィィィィィン……
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
レー「!!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
830:
吹雪「か、勝てた……」
電「よかったのです……」ホッ
叢雲「え、もしかして今後もこのロボ使うの?」
漣「現に巨大化してるから、その可能性は高いねぇ……」
五月雨「……ロボの操作の訓練も追加だね」
831:
──────────
──────
───
五月雨「……吹雪ちゃんの言う通りだったよ」
吹雪「ん?」
五月雨「みんなで、一緒に戦う……」
五月雨「仲間全員が必要だって」
五月雨「本当に……みんながいないと無理だった」
832:
吹雪「……もちろん、五月雨ちゃんもいなかったらダメだったよ」
五月雨「……そうかな」
吹雪「そうだよ。ちゃんと必殺技使ってくれたでしょ?」
吹雪「五月雨ちゃんがいなかったら、ああやってレーを倒すことはできなかったよ」
吹雪「これまでも……そして、これからも」
吹雪「五月雨ちゃんも……みんなも、必要だよ」
五月雨「……うん」
833:
吹雪「だから、もう弱いなんて言わないでね」
五月雨「あはは……そうだね」
吹雪「……前も言ったけど、私は五月雨ちゃんは強いと思うよ」
吹雪「前に五月雨ちゃんが言ってた……本当の強さが五月雨ちゃんにもあると思う」
吹雪「使えなかったはずの必殺技を、諦めずに使おうとしたんだもん」
吹雪「最後まで諦めない心……それも、強さじゃないかな」
五月雨「……」
834:
五月雨「あの時ね……私、本当は諦めそうになってたよ」
五月雨「でも、みんながいてくれたから……諦めちゃダメだって思えたよ」
五月雨「みんなが一緒に戦ってくれて……チャンスも作ってくれた」
五月雨「それを絶対に無駄にしちゃいけないって思ったんだ」
五月雨「だから、私が諦めないでいれたのはみんなのおかげ」
五月雨「みんなが……仲間がいてくれたから、私は希望を持って戦えたんだよ」
吹雪「……そっか」
835:
五月雨「……だから、これからもよろしくね?吹雪ちゃん」
吹雪「こちらこそ、頼りにしてるよ。五月雨ちゃん」
吹雪「……一緒に頑張ろう!」
五月雨「……うん!」
吹雪「さあ、本拠地いくよ!会議始まっちゃう!」
五月雨「あ、待ってー!」
836:
五月雨(……もっともっと、強くなりたい)
五月雨(仲間と一緒に、希望をもって戦うために!)
五月雨「よーっし!」
五月雨「ショキカンジャー、ブルーの五月雨!頑張ります!」
第六話「ロボットがほしい!」 艦
837:
次回予告!
旧ショキカンジャーのホワイト、大井です
あの子たち、ディープマリンの幹部のほとんどを撃退したらしいけど……
まだ一人、私たちを追い詰めたアイツがいるわ
……今でも忘れられない、あの光景……
仲間がやられていく中で、何もできなかった自分と、奴が許せない
奴を見つけたら、絶対にこの手で……!
次回、第七話「更なる力!?」
次回も見てくださいね、北上さん♪
838:
スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
?ショキカンオー?
漣「えー、始まりました。『ショキカンジャーって?ああ!』 のコーナー」
吹雪「今回で五回目か……」
叢雲「早いものねぇ……」
電「今回はショキカンオーなのです?」
漣「まーその前に五月雨ちゃんの必殺技の解説ですな」
五月雨「うん、わかったよ」
839:
五月雨「私のキールブレードにショキブレスのアンカーパーツを取り付けると、高移動ができるようになります」
叢雲「高って……どのくらいいなの?」
五月雨「えっと……わかんない」
漣「レッドバスターくらいらしいよ」
吹雪「うわっ、いなぁ……」
電「コウワンさんといい勝負なのです」
840:
五月雨「ただ、直線移動しかできないんだよね」
電「カーブとかできないってことなのです?」
五月雨「うん。まあスピード出しながら曲がるのは難しいよね……」
吹雪「ブレーキは掛けられるから、今回みたいに何回も斬りつけることが可能だね」
叢雲「うまく使えば、攻撃以外にも使えそうね」
漣「五月雨ちゃんがドジって高でぶつからないことを祈ろう……」
五月雨「そ、そんなことしないよ!」
841:
吹雪「それで次は……」
叢雲「私たちの変形合体巨大ロボ、『ショキカンオー』ね」
電「電たちが乗る、五隻の船が変形合体して出来上がるのです」
五月雨「赤が胴体と頭、黒が右脚、ピンクが左脚」
五月雨「青が右腕、黄色が左腕になります」
漣「合体前の船にも攻撃機能とかついてるけど、多分使わんね」
842:
電「コックピットにはそれぞれの席の前に、レバーやボタンがあるのです」
叢雲「それを色々ガチャガチャやって操作するわ」
吹雪「えぇ……」
五月雨「私の前にある青いボタンを押せば、剣を装備するよ」
吹雪「基本的にその剣で戦うことになるかな」
漣「その他にも色々特殊な機能があるとかないとか……」
843:
吹雪「そして、全員がアンカーパーツを台にセットすることで、必殺技が撃てます!」
漣「その名も『ギガデストロイキャノン』!超強力なビーム砲だよ!」
電「しかし、撃つには結構なエネルギーが必要なのです」
五月雨「一回撃ったら、しばらくは撃てないね」
叢雲「デストロイキャノンと同じで、とどめで使うしかないわね」
844:
漣「で、このロボ使った後ってどうなんの?」
吹雪「どうって?」
漣「今回戦った森とか、ぐちゃぐちゃなんじゃないかなって」
電「……環境破壊なのです?」
五月雨「……大丈夫なの?これ」
叢雲「……深く考えたらだめよ」

849:
第七話「更なる力!?」
ショキカンジャー本拠地
吹雪「はいはい、それでは第七回ショキカンジャー会議を始めます」
……………
吹雪「……?」
漣「どったの吹雪ちゃん」
吹雪「……いや、何でもない」
漣「……」ニヤリ
叢雲(何こいつ)
850:
五月雨「それで、今日は何を話すの?」
吹雪「うん。この間攻めてきた敵の目的について……」
叢雲「なんか変な機械設置しようとしてたのよね」
電「あれって結局何だったのです?」
吹雪「明石さんたちに何の機械なのか調べてもらったんだけどね」
吹雪「いくつか分かったことがあるらしいから、今から聞きに行こう」
851:
工廠
漣「というわけで来たゾイ、工学部コンビ」
夕張「誰が工学部コンビだ」
大井「大体あってるじゃない」
夕張「メカニックとお呼び!」
叢雲「……って、あれ?大井さん?」
電「大井さんも来たのです?」
吹雪「うん。やっぱり前回のことで大井さんの協力が必要だってわかったからね。情報共有のためにちゃんと呼ぼうと思って」
大井「まあ、他にもちょっと用事があったしね……」
852:
五月雨「それで、あの機械が何かわかったんですか?」
明石「ええ、まあ一応ね」
明石「なんか……ウイルスみたいなのを散布する装置じゃないかって思うんだけど」
漣「は?ウイルス?」
夕張「そう、ウイルス。ナノマシンとかかもしれないけど」
吹雪「何ですか?それ」
叢雲「具体的には何なのよ」
明石「うーん、実はね……肝心の散布する中身が入ってなくて」
夕張「結局よくわかってないのよ」
夕張「しかも、それだけにしては余分なパーツが多いし……他にも何か用途があったのかも」
853:
電「大井さん、前の時はこんなのなかったのです?」
大井「なかったわね……装置の製作自体はしてたかもしれないけど、少なくとも見たことはないわ」
五月雨「それじゃあ、目的はほとんどわからずじまいですね……」
明石「一つ考えられるのは、単純に艦娘を弱らせるためにインフルエンザみたいなウイルスをばらまくこと」
叢雲「あー……今までの奴らの手口を考えると、十分あり得そうね」
大井「もっと凶悪なウイルスである可能性はないの?」
吹雪「確かに、最悪死に至らせるようなものとか……そういうものがあれば、それをばら撒くでしょうね」
明石「そうだね。まあ、そんな感じでバイオハザードを起こすってこと」
854:
漣「仮にそうだったとしたら、超やばかったんじゃね?」
五月雨「うん。何とか回避できてよかったよ……」
夕張「いや、まだ油断はできないよ」
電「え、どうしてなのです?」
夕張「少なくとも、そういう何らかのウイルスだとかナノマシンだとかを持ってるってこと」
夕張「散布は止められたけど、今後の戦いで直接使われちゃったりする可能性もあるわけ」
吹雪「そうか……そのウイルス自体は無力化できてないわけですからね」
明石「ええ。だから、そのウイルスが何かによるけど……」
明石「……気を付けてね」
855:
叢雲「……気を付けるのはいいんだけど」
明石「ん?」
叢雲「いまだに吹雪が必殺技を使えないのどういうことなのよ」
明石「うっ……」
吹雪「そうですよ!私だけいつまでたっても使えないんじゃ、いくら気を付けても戦力的に不安なんですよ!」
夕張「だ、だって原因がわからないんだもの……」
五月雨「私が使えるようになったのもついこの間ですし……単純に武器の扱いだけの問題じゃないですよね?」
電「早めにどうにかしたいところなのです」
明石・夕張「うぅ……」
856:
大井「……いい加減白状したら?」
夕張「お、大井……」
吹雪「大井さん、何か知ってるんですか?」
大井「ええ、一応ね」
明石「わ、わかったよ、白状するよ……」
明石「本当は、どうして必殺技が使えないかは予想がついてるの」
漣「えぇ……」
857:
明石「まず、最初に武器を作った段階で叢雲ちゃんが必殺技を使えなかったのは、敵さんが言ってた通り」
明石「単純に武器に慣れてなかったから、暴走しないようにリミッターがかかっちゃったわけ」
夕張「それは別としても、その時の戦いから武器の力不足を感じてたからさ」
夕張「武器をもっと改良しないといけないって二人で話してたんだけど……」
夕張「ちょうどその頃、戦隊パワーの解析に成功して、技術に組み込めるようになったんだよ」
電「そういえば、戦隊パワーは実在することがわかってたのです」
夕張「いやあ、みんなの持つ戦隊パワーはすごいよ……これはうまく使えば、戦力アップにつながるって思ったのよ」
五月雨「えっと、つまり……」
明石「……そう、つまり私たちは戦力増強のために武器とショキブレスを改造し!」
明石「戦隊パワーに比例して武器やスーツの性能を上げることに成功したのだぁ!!」
五人「な、なんだってーーー!!」
858:
吹雪「つ、つまり戦隊パワーが高まればその分強くなるってことですか!?」
明石「その通り!ただし戦隊パワーの高め方は未だによくわかんないけどね!」
叢雲「そこ一番肝心なところじゃないの」
漣「んで、そのことと吹雪ちゃんが必殺技使えないウーマンになってることにどんな関係が?」
夕張「それなんだけど……必殺技を使うには、それなりにエネルギーが必要なわけ」
夕張「で、こうして戦隊パワーをエネルギーとして使うことができるようになったから……」
五月雨「……ある程度戦隊パワーが高まらないと、必殺技が使えないってことですか?」
明石・夕張「その通り!!」
五人「……」
859:
叢雲「……事情は分かったけど……」
吹雪「よ、要するに私の戦隊パワーが必殺技を使うのに十分高まってないってことですか!?」
明石「正確には『高まったことがない』かな。一定の戦隊パワーを検知すると、リミッターは外れるからね」
明石「そうしたら、比較的小さな戦隊パワーでも使えるようになるよ。負担は少し大きいけど」
電「どちらにしても、吹雪さんの戦隊パワーが足りていないわけですね」
漣「でも何でなん?さっきよくわかんないって言ってたけど、戦隊パワーってヒーローっぽい恰好とか言動とかで高まるんでしょ?」
五月雨「装備や戦い方でそこまで差がついてるとは思えないんですけど……」
860:
夕張「まず、装備とかで戦隊パワーが高まってるのは確かなんだけど……やっぱり、一概にそれだけで高まるとは言えないみたい」
大井「多分、直接的に装備や言動と、その……戦隊パワー?が関わってるわけではないと思うのよね」
明石「私たちもそう思うの。だから、差が付くとしたら装備とかは関係ないと思うね」
電「でも、どちらにしても吹雪さんだけ戦隊パワーが小さい理由がわからないのです」
夕張「いや……それがね」
漣「んお?」
夕張「昨日、みんなが訓練してるときに物陰からこっそりみんなの戦隊パワーを測定したんだけど……」
吹雪「そんなことできるんですか……」
夕張「結果、ほとんど差は見られなかったわ」
861:
吹雪「え、じゃあ私だけ戦隊パワーが小さいわけじゃないってことですか?」
明石「そう。大井さんも含めて、通常戦闘時の戦隊パワーは大体同じみたい」
夕張「だから必殺技が使えないのは、また別の理由なのよ」
電「じゃあどうしてなのです?」
明石「それは……えーっと……」
叢雲「あーもう!回りくどいわね!わかってることをさっさと教えなさいな!」
五月雨「む、叢雲ちゃん落ち着いて!」
明石「ごめんごめん!結論を言うとね……」
明石「単純な話。吹雪ちゃんの必殺技だけ、要求する戦隊パワーが少しだけ大きいんだよ」
862:
吹雪「私だけ……ですか?」
明石「そう。まあ吹雪ちゃんのはかなり無茶する技だからね……万一のことがないように少しだけ高めに設定してるのよ」
漣「要するに、吹雪ちゃんだけちょっとリミッター強め……と」
夕張「そうそう。そういうこと」
吹雪「はあ……何となく理解はできましたけど……」
明石「だから解決策は二つ。要求度を下げるか……どうにかして吹雪ちゃんの戦隊パワーを上げるか」
863:
夕張「要求度は武器とショキブレスをちょっといじれば下げられるよ」
夕張「ただ、さっきも言った通りリミッターが強いのは負担を考えてのことだからね」
吹雪「……どうしよう」
五月雨「吹雪ちゃんのいいようにすればいいと思うよ」
電「そうなのです。吹雪さんが決めるのです」
吹雪「うーん……」
吹雪「……とりあえず、今のままでいいです。そのうち戦隊パワーも上がるかもしれないですから」
864:
叢雲「でも、戦隊パワーがほとんど同じなら……五月雨はどうしてこの間まで使えなかったのよ」
五月雨「あっ、確かに!どうしてなんですか?」
明石「その後に戦隊パワーがみんなと同じくらいまで上がったんじゃない?」
漣「ほう、シンプルないい答えだァ……」
吹雪「……って!それ、大事なことなんじゃないんですか!?」
吹雪「それで戦隊パワーを上げる方法がわかるかもしれないんじゃ……!」
夕張「おー、そうだね。って言っても、何かわかる?五月雨ちゃん」
五月雨「いえ、正直何も……」
大井「……とりあえず、具体的な話を聞かせてもらえるかしら」
五月雨「は、はい……」
865:
──────────
──────
───
五月雨「……なので、正直私にもよく……」
大井「……なるほどね」
夕張「大井、何かわかったの?」
大井「ええ……まあ、大したことではないけどね」
大井「やっぱりその戦隊パワーは、以前言ったように特殊な精神エネルギーである可能性が高いわ」
大井「つまり、その強さは精神に寄与するってことね」
吹雪「精神……ですか」
大井「そう。何か迷いがあったりだとか、恐怖を感じたりだとか……」
大井「精神的に不安定だったりネガティブな感情を持っていたりすると、弱くなるんじゃないかってことよ」
五月雨「なるほど……」
漣「ブレイドのライダーシステムみたいなもんか」
866:
叢雲「じゃあ、精神が安定していれば戦隊パワーは高まるってわけ?」
大井「安定っていうか……『強い思い』を持つことがいいのかもしれないわね」
電「強い思い?」
大井「闘志を燃やす、って言ったらいいのかもしれないわね」
大井「とにかく、この戦隊パワーは精神状態によって左右するってことよ」
明石「なるほど、確かにそれは十分考えられるね」
夕張「ますますヒーローっぽくなってきたね」
吹雪「でも、そうなると戦隊パワーを高めることは簡単ではないですね……」
大井「そうね。まあ、気を張ることはないわ。あくまでも仮説だし」
867:
電「そういえば……どうしてこんな大事なことを明石さんたちは黙ってたのです?」
五月雨「本当ですよ!必殺技についたはこの間も相談したじゃないですか!」
明石「うぐっ!そ、それは……」
夕張「武器を改造した後、戦隊パワーのことみんなに伝えるのすっかり忘れてて……」
明石「怒られると思って、今更言い出しづらくて……」
叢雲「子供かっ!?」
漣「ないわぁ……」
868:
大井「まあ、おかげであなたたちの戦力が増強してるのは事実よ」
大井「ただでさえでディープマリンに特効とされてる戦隊パワーに比例して、装備の性能まで上がるんだもの」
吹雪「はい。確かにそれは素晴らしいですし、すごく助けられたと思います」
電「でも、大事なことはちゃんと言ってほしいのです」
大井「その通りね。ちゃんと情報は伝えるべきよ」
漣「やめてよね」
明石・夕張「本当に申し訳ない……」
869:
五月雨「それはともかく、色々とありがとうございました」
叢雲「そうね。なんかやばそうなもの持ってるかもっていうのはわかったし」
明石「うん。もしまた何かわかったら知らせるね」
吹雪「じゃあ、私たちは訓練に行きますね」
電「大井さんはどうするのです?」
大井「私は、まだこの二人と話があるからこのまま残るわ」
吹雪「何かあるんですか?」
漣「そりゃあ裏金取引よ……」ククク
大井「そんなわけないでしょ……」
870:
大井「……全く、さっさと教えておきなさいよ」
夕張「そんなこと言ってー。大井だってあのこと隠してるじゃない」
大井「……別に隠してるわけじゃないわ。聞かれなかったから答えただけよ」
明石「まあちゃんと完成してから知らせた方が面白いからね!」
大井「……」
夕張「それで、どんな感じ?」
大井「ええ、そうね……」
871:
数日後
ショキカンジャー本拠地
吹雪「うーん……」ズーン
漣「どったの吹雪ちゃん。眉間にしわ寄せて」
叢雲「そうよ。かわいい顔が台無しよ」
吹雪「かっ、かわいい!?」ボンッ
五月雨「爆発したっ!?」
吹雪「なななな、なに言ってるの叢雲ちゃん!?お姉ちゃんをからかわないでよね!!」アセアセ
電「ちょろすぎるのです」
872:
五月雨「それで、本当にどうしたの」
吹雪「いや……戦隊パワーを上げるにはどうしたらいいか本当にわからなくて」
叢雲「精神に依存するかもって言ってたじゃない」
電「強い思いを持つのです」
吹雪「そうは言っても簡単にできることじゃないよ……」
漣「そりゃあ確かに、訓練したって無理でしょうな」
吹雪「……」
漣「しかし、実際の戦いの中でなら話は別だ……君には資質がある」
漣「いつか君も戦隊パワーを上げて、必殺技を使える時が来るだろう……私はそう信じている」
吹雪「漣ちゃん……?」
漣「だから戦うしかないのだ……ジョジョ」
吹雪「誰がジョジョだ」
873:
叢雲「言い方は変だけど、漣の言う通りよ」
吹雪「え、あんまり意味わかんなかったんだけど」
漣「要するに、今焦ってもしょうがないってことだよ。機を待つべし!」
吹雪「うーん……確かにその通りだよね……」
吹雪「……そうだよね。焦っても仕方ない。今はやるべきことを頑張ろう」
電「それがいいのです!」
874:
五月雨「って言っても、今やるべきことって何?」
叢雲「訓練……はほぼ毎日してるけど」
漣「なんかやんないといけないことあったっけ?」
電「パッとは思いつかないのです」
吹雪「強いて言えば、そろそろ敵の情報をこちらから掴みたいかな」
五月雨「あー……確かに、敵のことについてはあんまりわかってないもんね」
叢雲「そもそもあいつらどこから湧いて出てくんのよ?特に戦闘員!」
漣「それは突っ込んじゃダメダーメ」
875:
電「……そういえば、気になることがあるのです」
吹雪「え、何?」
電「あの時、コウワンさんはあそこで何をしていたのでしょう?」
叢雲「何って……私たちを待ち伏せしてたんじゃないの」
漣「ご丁寧にスピーカー付いた首輪をした猫まで用意して」
五月雨「その前にセンスイさんがあそこまで逃げてるから……私たちがあのあたりを調べに来ることはある程度予想できたかもね」
吹雪「でも、確かにそれだけのために来るかなっていうのはあるね……」
876:
漣「んじゃ、あの例の採石場であの人は何かしてたわけ?」
電「確信は持てないですけど……」
五月雨「あと一応あそこ採石場じゃないよ……」
漣「でも例の採石場に似てるじゃん」
叢雲「そうね……他にやることもないし、あそこを調べてみる価値はあるんじゃないかしら」
五月雨「うん。センスイさんがあっちの方に逃げてたのは事実だし、何かわかるかもね」
吹雪「よし、じゃあ今から行ってみようか」
877:
例の採石場(っぽいところ)
漣「ほらやっぱり似てるよ」
五月雨「そう言われても……」
電「それで、どうやって調べるのです?」
吹雪「まあ怪しいところ、違和感を感じるところがあればそれを調べるのが一番だけど……」
叢雲「とにかく手分けして色々見てみましょう。場合によっては更に奥に……」
ゴゴゴゴゴ……
叢雲「……?」
878:
五月雨「どうしたの?」
叢雲「いえ……何か、地響きみたいな音が……」
電「地震なのです?」
叢雲「さあ……わからないけど」
漣「そういえば異常現象にありましたな、地響き」
吹雪「そういえばそうだっけ」
879:
電「それって、まだ聞こえるのです?」
叢雲「いや……今は聞こえないわ」
漣「じゃあ気のせいだったんじゃない?」
叢雲「そうかもね……」
叢雲(気のせいねぇ……確かに聞こえたと思ったんだけど)
ゴゴゴゴゴ……
叢雲「!!」
叢雲「五月雨!!前方に飛びなさい!早く!!」
五月雨「!?」シュバッ
ボコォッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!!
突然五月雨がいた地面が隆起し、槍のように突き出した!
880:
五月雨「な、なにこれ!?」
電「地面が突然とんがったのです!?」
ゴゴゴゴゴ……
叢雲「気を付けて!まだ来るわ!」
ボコォッ! ボコォッ!
吹雪「うわぁっ!?」シュバッ
漣「なんぞこれー!!??」シュバッ
881:
五月雨「敵の仕業だよね!?これ!!」
叢雲「多分ね……!だからどっかにこの地面を操ってるやつがいるはずよ!」
吹雪「!!叢雲ちゃん!!」
ボコォッ!
叢雲「っ!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!
叢雲「ぐあああっ!!」ザシュッ!
882:
電「叢雲さん、大丈夫なのです!?」
叢雲「くっ……大丈夫よ、少し腕をかすっただけ……」
五月雨「このままだとやられる……!変身しないと!」
吹雪「そうだね!みんな、いくよ!」チャキッ
四人「了解!!」チャキッ
883:
五人「抜錨!!」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
884:
ゴゴゴゴゴ……
ボコォッ! ボコォッ!
吹雪「ふっ!」シュバッ
電「はわわっ!」シュバッ
漣「変身したはいいけど、どっちにしろこのままじゃジリープアー(徐々に不利)だよ!」シュバッ
五月雨「どこにいるの!?操ってる人は!」シュバッ
叢雲「それがわかったら苦労しないわよっ!」シュバッ
885:
ボコォッ!
五月雨「うわぁっ!?」シュバッ
吹雪「こ、このままだと隆起した地面が邪魔で避けられなくなっちゃう!」
電「ハンマーで一つ一つ壊すのはキリがないのです……」
電「叢雲さん!衝撃波で何とかなりませんか!?」
叢雲「このくらいの範囲なら、なんとかなるかもしれないけど……みんなも巻き添えになるわよ!」
漣「だったら跳べばいいだろ!」
叢雲「はぁ!?」
漣「衝撃波は地面にしか走んないから、その時に漣たちはジャンプすりゃいいってこと!」
叢雲「あーもう、わかったわよ!巻き込まれないよう気を付けてよね!」
886:
叢雲「一、二の、三!!」ブオンッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
叢雲が地面に槍を突き刺すと、地面に衝撃波が走った!!
同時に、隆起していた地面も崩れ落ちる!
ガラガラガラガラ……
887:
叢雲「ふぅ……何とかなったわね」
吹雪「ナイス叢雲ちゃん!」
五月雨「でも油断はできないよ!本体を叩いてないから、まだ攻撃は終わらないはず……!」
電「そうなのです!早く敵を見つけないと……!」
漣「くっそー!隠れてないで出てきやがれってんだー!!」
「……フフフ……」
五人「!!」
888:
泊地棲姫?「話に聞いていた通り……面白い……子たちね……」
泊地棲姫に似た人物が、背後から歩いてきた
叢雲「姿を現したわね……」
泊地棲姫?「隠れてて……ごめんなさいね……」
泊地棲姫?「あなたたちと……ちょっと……遊んでみたかったから……フフフ……」
五月雨「……ディープマリンの、最後の幹部ですか?」
泊地棲姫?「ええ、そうよ……私は……ハクチ……」
ハクチ「ディープマリン、最後の幹部……」
漣「っていうことは、大井さんが言ってた隠し玉……!?」
889:
ハクチ「あなたたち……このあたりに何かあると思って……調べに来たんでしょうけど……」
ハクチ「でも……そんなことは……気にしなくていいのよ……」
叢雲「え……?」
ハクチ「だって……あなたたち……」
ハクチ「ここで……終わりだもの……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
五人「!!?」
地面が巨大な手の形に隆起し、襲い掛かってきた!
890:
漣「な、なんぞこれ!?」
電「えーいっ!」ブンッ
ドゴォッ!
電「っ……ギリギリ防げましたが……」
ハクチ「フフフ……流石に……このくらいは……防ぐみたいね……」
ハクチ「でも……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
五人を取り囲むように、地面から複数の手が生えてきた!
五人「うわぁ!!?」
891:
ハクチ「私の……能力は……ご覧のとおり……」
ハクチ「基本は……地面を……隆起させたりして……操る能力だけど……」
ハクチ「応用すると……このように……腕を生やせたり……するわ……」
ハクチ「時間をかければ……もっとすごいことも……」
吹雪「まずい……数が多すぎる」
五月雨「このまま襲われたら……」
ハクチ「フフフ……」
ハクチ「行きなさい……!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!
892:
叢雲「でも甘いわね!衝撃波で壊せることは確認済みよ!」
漣「やっちゃえー!叢雲ちゅわーん!!」
叢雲「みんな!ちゃんと避けなさい……よっ!」ブォンッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
ガラガラガラ……
吹雪「よし、崩れた!」
叢雲「ふふん、ざっとこんな……」
叢雲「……っ!?」
ハクチ「フフフ……」
囲んでいた大量の手が崩れると、さらにその外側を大砲のようなものが五人を囲んでいたことに気が付いた!
893:
五月雨「な、なにこれ!?」
漣「こんなのも作れんのかよー!!」
ハクチ「当然でしょう……私は……大地を意のままに操れるのよ……」
ハクチ「さあ……撃ちなさい……!」バッ
囲んでいた大砲が、五人に向かって一斉射撃を放つ!
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
「うわああああああああああああああ!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
894:
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……
ハクチ「……」
ハクチ「……惜しかったわね……もう少しで……仕留められたのに……」
五人「……っ」
五人は、囲まれていたはずの大砲よりも、外側に移動していた!
五月雨「はぁ……はぁ……」
電「あいたた……」
吹雪「た、助かったよ五月雨ちゃん……」
五月雨「ご、ごめんみんな……加してもこれが精一杯で……」
叢雲「大丈夫よ……あのままじゃどっちにしろやられてたし」
吹雪(砲撃の寸前、高移動と水の射出を利用して、みんなを弾き飛ばして脱出……あの状況じゃ、これが最善手だよね)
吹雪(とにかく助かった……)
895:
ハクチ「まあ……この程度で終わるとは……思ってなかったけどね……」
ハクチ「あのお方が……いい加減……邪魔になって……消したくなるのもわかるわ……」
吹雪「あのお方……?」
漣「なんだ?ディープマリンのボスか?」
ハクチ「……そうよ……ディープマリンのボス……センカン様……」
ハクチ「あのお方が……あなたたちは……邪魔だっていうから……私が……消しに来たのよ……」
叢雲「ふん、そう簡単に消せるかしら?」
ハクチ「……確かに……このまま……遊んでても仕方ないものね……」
ハクチ「だから……そろそろ……」
ハクチ「お遊びは……終わりにしようかしら……」パチンッ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
896:
五月雨「また地響き!?しかも、さっきまでより大きい!」
電「というか、地面が揺れてるのです!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
吹雪「ハクチ!一体何を……!」
ハクチ「フフフ……あれを……御覧なさい……」スッ
五人「……!?」
ハクチが指さした先では、遠くの小山の一部が変形し、岩石の巨人へと変化していた!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
897:
叢雲「何よあれ……!また巨大な敵!?」
漣「また出やがった!」
ハクチ「私が本気を出せば……あれくらいできるのよ……」
ハクチ「かなり疲れるし……時間もかかるから……前もって準備してたんだけどね……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
ボゴォッ!!!
ズシィィィィィィィィィィィン……
岩石の巨人が完全に形作り、地面に降り立った!
898:
電「か、完成しちゃったのです!」
ハクチ「あの子は……自律して動いて……あなたたちを潰そうとするわ……」
ハクチ「せいぜい……踏みつぶされないように……することね……」スッ
叢雲「ちょっと!逃げるつもり!?待ちなさ……」
ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!
五人「!?」
五人とハクチとの間で、地面が隆起して巨大な壁ができた!
叢雲「あーもう!邪魔よコレ!」ドカッ
五月雨「これは逃げられちゃったね……」
漣「どうする!?追う!?」
ズシィィィィィィィィィィィン…… ズシィィィィィィィィィィィン……
吹雪「いや、先にこっちをどうにかしないと!」
吹雪「明石さんたちに連絡して、ショキカンオーを呼ぼう!」
899:
ピピピピピピピッ
明石『はい、こちら明石!』
吹雪「明石さん!緊急事態です!」
明石『わかってる!ショキカンオーでしょ!?』
五月雨「え、なんでわかったんですか!?」
明石『なんか地震起こったと思ったら、変なでっかい巨人みたいなのが遠くに見えたから!』
明石『既にそっちの方に船発進させてるよ!』
漣「さすが明石さん!仕事が早いぜ!」
電「でもここ、水がないのにどうやって船が来るのです?」
明石『実はあれ飛べるから!』
五人「うそぉ!?」
900:
ゴォォォォォォォォォォ……
五隻の船が、五人のもとへと飛んできた!
吹雪「うわあ、本当に来たよ!」
漣「そういや合体するときに飛ぶしな」
明石『あとは前回と同じようにやってね』
明石『あ、そうそう!もしかしたら大井さんがそっち向かってるかも!』
叢雲「大井さんが?」
明石『うん。さっきまで一緒に工廠にいたんだけど、なんかその巨人みたいなのを見た途端にどこかに行っちゃって……」
明石『そっちの方に向かったのかなって』
五月雨「わかりました……」
901:
電「大井さん……こっちに向かってるのでしょうか?」
叢雲「多分そうだろうけど……でも、巨大戦力がないのにどうするつもりかしら?」
五月雨「……ハクチさんが、狙いなんじゃないかな」
吹雪「え?」
五月雨「だって……ハクチさんって、大井さんの仇なんでしょ?」
吹雪「……!そうか、大井さんの仲間はハクチに……」
漣「でも一人で戦うなんて危険じゃん!放っておくわけには……」
ズシィィィィィィィィィィィン…… ズシィィィィィィィィィィィン……
五月雨「……でも、こっちの方も放っておけないね」
吹雪「しょうがない……大井さんとハクチのことは気になるけど」
吹雪「急いでこの巨人を倒して、大井さんを助けに行こう!」
四人「了解!」
902:
五人「駆逐合体!!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
ヒュォォォォォォォォォォ
五隻の船が空中で合体し、一つの巨大なロボットになる!!
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!
五人「完成!ショキカンオー!!」
903:
その頃
例の採石場(っぽいところ)のはずれ
ハクチ「……なるほど……あんなものが……あったのね……」
ハクチ「でも……私の人形も……一筋縄では……いかないからね……」
ザッ
ハクチ「……あら……?」
大井「……」
904:
ハクチ「あなた……さっきの子たちの……お仲間……?」
ハクチ「何の……用かしら……?」
大井「……」パカッ
大井「……出撃」カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン…………
大井の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
905:
大井「仇を……取りに来たわ」
ハクチ「……」
ハクチ「……ああ、その姿……思い出したわ……」
ハクチ「そう……あの時……逃げ帰った子ね……フフフフ……」
大井「……」ギリッ
大井「あなただけは……絶対に許さない……!」
906:
ハクチ「それで……私に……一人で……挑もうというの……?」
ハクチ「私の力を……知っておきながら……?」
大井「……っ」
ハクチ「フフフ……素晴らしい……度胸ね……」
ハクチ「いいわ……その度胸に……応えてあげる……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井の周りの地面が変形し、無数の腕や大砲が大井を取り囲む!
ハクチ「……本気で……いくわよ……?」
大井「……来なさい」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井「……『トーピードーボム』!!」
907:
──────────
巨人「……」ブォンッ
ドゴォォォォォォォォォォォォォ!!
吹雪「うわぁっ!!」グラッ
漣「こなくそー!」グイッ
ショキカンオーは巨人に向けて剣を振り下ろす!
ガキィィィィィンッ!!
巨人「……」
叢雲「くっ……固いわね、こいつ」
電「押されてるわけではないですが、倒すのに時間がかかっちゃうのです!」
908:
五月雨「剣じゃ厳しい……明石さん!他に装備ってないんですか!?」
明石『あるよ!』
叢雲「あるの!?」
明石『電ちゃんの前の黄色いボタンを押して!』
電「は、はいなのです!」ポチッ
ウィィィィィィィィィィン ガッシィィィィィィィィィン!!
ショキカンオーの左腕のパーツが変形し、ドリルになった!
909:
漣「おードリル!いいですなー!」
吹雪「じゃあこれで……!」グイッ
キュィィィィィィィィ ガキィィィィィンッ!!
巨人「……」ヨロッ
五月雨「さっきより効いてる!ドリルの方が有効みたいだね……!」
漣「石にはドリルってことか!」
叢雲「このまま追撃を……」
巨人「……」ブォンッ
電「っ!?」
ズガァァァァァァァァァァァァァン!!
五人「うわああっ!?」グラグラ
910:
電「ゆ、油断はできないのです!確かにさっきよりは良い状況みたいですが……」
吹雪「簡単には勝たせてくれないってことだね……」
叢雲「くっ……!さっさとこいつを倒さないと……!」
五月雨「……大井さん……」
漣「……」
911:
──────────
大井「くっ……『パワーボム』!」バシュッ
ドカァァァァァァァァァン!!!
ハクチ「フフフ……無駄よ……無駄無駄……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井(くっ……破壊しきれない)
大井(うまく腕や大砲を破壊できても、また新しいのが生えてくる……キリがない!)
大井(やはり、ハクチ本体を狙うしか……!)スッ
大井「喰らいなさいっ!」バシュッ
ドカァァァァァァァァァン!!!
912:
シュゥゥゥゥゥゥゥ……
大井「……!」
ハクチ「フフフ……危ない危ない……」
大井(地面を隆起させて、防御壁を……!)
ハクチ「ホラ……ホラァ……!」
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
大井「うああ!?」ズザザッ
ハクチ「あなたの……武器は……どちらかと言えば……サポート向け……」
ハクチ「一人で戦うには……向いてないのよ……」
913:
大井「……っ」フラッ
ハクチ「まだ……来るの……?しつこいわねえ……」
大井「黙りなさい……!」
ハクチ「それとも……あの子たちが……来るまで……粘っているのかしら……?」
大井「……」
大井「……これは、私の戦い」
大井「あの時……一人で逃げた自分の罪を……少しでも償うための……」
大井「……だから……あの子たちを巻き込むわけには……」
ハクチ「……ふぅん……」
ハクチ「まあ……なんでもいいけど……」スッ
ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
大井「ぐああ……っ!」ドザッ
914:
ハクチ「……そろそろ……終わりにしようかしら……?」
大井「くっ……」
大井(まだ手はある……!まだ……)
大井(まだ……『アレ』を使うことができれば……!)スッ
ハクチ「……フフフ……」
大井「……ッ!」ビクッ
915:
大井(……駄目ね……こんなことじゃ……)
大井(自分でわかる……今の私じゃ、『アレ』を使うためのエネルギーが足りていない……)
大井(自分で言ったもの……あの子たちが言う戦隊パワーは、精神に寄与するって……)
大井(……やっぱり、私は……)
大井(私は……あいつが怖い)
大井(死ぬのが……怖い)
大井(こんなことで……戦えるわけがないわ……)
916:
ズドォォォォォォォォォォォォォン……
彼方では、ショキカンオーの一撃により岩石の巨人が崩れ落ちていくのが見えた
大井「……!」
ハクチ「あらあら……あっちの方では……やられちゃったみたいね……」
ハクチ「でも……あの子たちが……すぐにこっちに向かったとしても……時間がかかるわ……」
ハクチ「あなたに……助けは……来ないのよ……」
大井「……だから言ってるでしょう」
大井「これは私の戦い。あの子たちは関係ないのよ……」
ハクチ「……そう……」
ハクチ「じゃあ……そろそろ……」
ハクチ「……とどめを……刺してあげるわ……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井の周りを、大砲が取り囲む!
大井「……っ」
917:
ハクチ「……フフフ……じゃあね……」
ハクチ「あなたも……一年前に殺した……あの子たちのもとへ……送ってあげるわ……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井「……」
大井(……もうダメ……みたいね……)
大井(……ごめんなさい、みんな……)
大井(私は……仇を、取れなかった……)
918:
「させるかぁーーーーーーーー!!!」
シュバババババババッ!!
突然、無数の矢が、大井を取り囲んでいた大砲を破壊した!
ズガァァァァァァァァァァァァァン!!!
大井「!?」
ハクチ「!?」
919:
漣「大井さん、無事ですか!?」
大井「あなた……どうして……!?」
ハクチ「馬鹿な……!あそこから……こんな短時間で来れるはずが……!」
漣「へっへーん。漣一人だけ途中で抜け出して、こっちに向かってたんだよ!」
漣「まあ、あのごつごつした奴は漣一人いなくても倒せるくらい弱っちかったってことだね!」
ハクチ「くっ……そんな……そんなこと……!」ギリッ
920:
大井「ど、どうして来たの!早く逃げなさい!」
漣「え、何で?」
大井「あいつ、とんでもなく強いのよ!知ってるでしょ!?」
大井「今からでも遅くない!逃げ……」
漣「そんな強いって知ってて、大井さんは一人で戦ってたんですか?」
大井「だって、私は……!」
大井「私は……こうでもしないと……自分を許せなくて……!」
漣「……」
921:
漣「……大井さん、前に言いましたよね?」
大井「え……?」
漣「勇気と無謀は違う……」
漣「勝算のある戦いをしろって」
大井「……」
漣「自分で言ったことを守れないようでは、まだまだですな」
922:
ハクチ「この……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
漣「邪魔すんな!!」バシュバシュッ!
ズガァァァァァァァァァァァァァン!!!
ハクチ「くっ……!」
漣「……大井さん。はたから見ても、今のあなたはダメダメですよ。強がってるけど、ビビりまくりで……そんなんじゃ勝てません」
大井「な……っ」
漣「多分ですけど……一年前のあなたは、こんなダメダメじゃなかったはずです」
漣「どうしてか……わかりませんか?」
大井「……」
923:
タッタッタ……
吹雪「漣ちゃん!大井さん!」
叢雲「何とか間に合ったみたいね……」
漣「おー、みんな乙乙。何とか勝ててよかったねー」
電「でもここからが本番なのです!」
ハクチ「また増えて……!厄介ね……!」
五月雨「覚悟してください!」
大井「……」
924:
──────────
──────
───
一年前
大井『ふぅ……』
『どうしたのさ大井さん。元気ないじゃん』
大井『いえ……ちょっと考え事してただけよ』
『ふーん……』
大井『……』
925:
大井『ねえ』
『ん?』
大井『……どうやったら、あなたみたいに強くなれるの?』
『え?な、なに急に!?』
大井『いえ……ただ』
大井『あなたって、私たちの中で誰よりも強いし……』
大井『どんなに強い敵が現れても、立ち向かっていくから……』
大井『……どうしてそんななのか、気になっただけよ』
926:
『うーん、別に私そんなに強くないんだけどなぁ……』
『むしろ私は、艦隊戦での大井さんの強さの方が気になるけどね』
大井『あれは北上さんを想っているからよ!他の鎮守府で頑張ってる北上さんに会うためにも、沈むわけにはいかないのよ!」
『ははは……大井さんらしいね』
『でも、多分基本的にそれと一緒だよ』
大井『え?』
927:
『仲間や大切な人のことを思うとさ……その人たちのために頑張らなきゃって、思えるんだよね』
『だから負けちゃいけないって思えるし、怖気づいてる暇なんてない』
『どんな敵にも立ち向かっていけるんだよ』
大井『……そうなの?』
『うん、多分そう。あんまり考えたことないけど』
『でも……まあ、その思いは直接出てくるわけじゃないんだけどね』
928:
大井『?どういうことよ?』
『うーん、なんていうか……』
『……まず私、弱くて自分一人じゃ戦えないと思ってるんだよね』
大井『え?』
『一人で戦っても多分どうにもなんないんだよ。そしてそれは、私だけじゃないと思う』
『大井さんだって、ね』
大井『……』
929:
『だったら、仲間と共に戦わないといけない。そして仲間の大切さに気付くんだよ』
『だから、私は大切な仲間のために頑張らないとって思う。そしてそれが「強さ」に繋がる』
『要するに、自分の「弱さ」を認めることで、何かしらの「強さ」にたどり着けるんじゃないかって、私は思うんだ』
大井『……』
『ほら、カーレンジャーのオープニングでもあったじゃん』
『自分にもある弱さを知れば、本当のヒーローって』
大井『……はぁ?』
『えぇ!?』
930:
大井『なんだか一部よくわからなかったけど……』
『えー、残念だなぁ……』
『でも、大井さんならいつかわかってくれるって、私は信じてるよ』
大井『……そうなの……?』
『うん……いや』
『……本当は、もうわかってるのかもね』
931:
──────────
──────
───
大井(……本当はわかってた)
大井(一人で戦っても意味がない……ただ負けるだけだって)
大井(だって、私一人では『弱い』から)
大井(そして……立ち向かうために必要なものも……わかってたはずだったのに……)
漣『死ぬのは、確かに怖い……だけど』
漣『仲間を失うのは、もっと怖い……!』
漣『漣は、大切な仲間を守りたいんです!』
大井(本当に馬鹿ね……私)
大井(あの子に偉そうに説教しておいて……自分で忘れちゃってるんだから)
932:
大井「……あなたたち」
五人「!」
大井「……お願いがあるの」
大井「……私と一緒に……戦って」
大井「私一人じゃ……勝てないから」
五人「……」
933:
五月雨「……当り前じゃないですか!」
叢雲「そうね。まだ借りも返せてないし」
電「そうなのです!前に電たちを助けてくれた分、お返しするのです!」
漣「ふふん、ようやく大井さんがデレたか!」
吹雪「大井さん……言われなくても、私たちは共に戦います」
吹雪「だって、私たち……」
吹雪「……仲間じゃないですか」
大井「……」
大井「……ええ、そうよね」
934:
漣「……そうだ、大井さん。こっちからもちょーっとお願いがあるのですが?」
大井「え?」
漣「ゴニョゴニョ……」
大井「……」
漣「……駄目?」
大井「……はぁ……仕方ないわね」
大井「……今回だけよ」
935:
ハクチ「ふん……でも……相手が何人でも……」
ハクチ「問題ないわ……少し……面倒なだけだもの……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
吹雪「よし……行くよ!みんな!!」
五人「了解!!」
936:
デデッデデー デデッデデーン
吹雪「吹雪レッド!」
叢雲「叢雲ブラック!」
漣「漣ピンク!」
電「電イエ口ー!」
五月雨「五月雨ブルー!」
大井「大井ホワイト!」
吹雪「六人そろって!」
六人「ショキカンジャー!!!」
バァァァァァァァァァァァァァァン!!!
937:
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井「……あなたたち!少しだけ時間を稼いで!」
叢雲「時間稼ぎ!?」
大井「少しでいいわ!そうすれば……!」
吹雪「……わかりました!」
電「生えてきた腕や大砲を壊すくらいなら、簡単なのです!」
938:
大井「……」
大井(今こそ、これを使うときね)ゴソッ
大井は一枚のカードを取り出した!
大井(……大丈夫、今ならできる……)
大井(『仲間』のためにも……私は、やらなくちゃいけないのよ!!)
939:
大井「……第二改装!!」
大井は、ショキフォンの横の溝に、取り出したカードをスラッシュした!
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……
大井のスーツが変化し、より強化されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
大井「大井ホワイト、改二!!」
940:
五月雨「お、大井さん!?なんですかそれ!?」
大井「『強化フォーム』とだけ言っておくわ。詳しい説明はあとで夕張たちから聞いて!」
ハクチ「何をしても……無駄よ……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
大井「『パワーボム』!」バシュッ!
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
大井に迫っていた岩石の腕や大砲が一掃された!
941:
ハクチ「なっ……!?」
叢雲「ば、爆弾の威力が上がってる!?」
漣「さすが強化フォームだぜ!」
大井「漣!」バシュッ!
漣「!」
大井はハクチに向けて爆弾を射出した!
942:
ハクチ「!!ぼ、防壁……!」ゴゴゴ
ドカァァァァァァァァァン!!
ハクチ「あ、危ない……ギリギリ防げ……」
バシュッ!!
ハクチ「!!」
防壁が破壊された瞬間、矢がハクチへと飛んできた!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォ!!!
ハクチ「ぐああああああああああああ!!!」
943:
ハクチ「ぐぅ……!この程度……!」
ハクチ「こんなものでは……私は……!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
岩石でできた無数の腕や武器が六人に襲い掛かる!
大井「五月雨!叢雲!」クイッ
五月雨「!はい!」
叢雲「わかったわ!」
944:
五月雨「やあぁーーーっ!!」
ザパァァァァァァァァァァ!
五月雨は、迫りくる腕や武器に向かって水をまき散らした!
ハクチ「その程度で……止まるとでも……!」
大井「『フロストボム』!!」バシュッ!
パリンッ カキィン……
大井が放った爆弾が破裂すると同時に、水が凍ってゆく!
945:
ハクチ「なっ!?」
叢雲「凍ってもろくなったんなら、全部一気に壊せるわ……ねっ!」ブォンッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
叢雲が地面に槍を突き刺し、地面に衝撃波が走らせた!!
凍っていた岩石の腕や武器は、全て粉々に砕け散った!
ガラガラガラガラ……
946:
ハクチ「そ、そんな……そんな馬鹿な……!」
大井「吹雪!電!」
吹雪「はい!」ダダッ
電「わかったのです!」ダダッ
ハクチ「来るな……来るなぁ……!」ゴゴゴゴ……
大井「防壁なんて張ったって無駄よ!」
大井「『フレイムボム』『エレキボム!』」バシュバシュッ!
パリィンッ ボォォォォォォォォォォォォ!! バチバチバチバチバチィ!!
大井が放った爆弾が吹雪と電の武器に当たり、二人の武器が纏っていた炎と雷が更に激しくなる!
947:
吹雪「はあああああああああああ!!」ブォンッ!
電「ええええええええええいっ!!」ブォンッ!
ドゴォォォォォォォォォォォォォッ!!!
二人の攻撃は防壁を簡単に打ち破り、そのままハクチに直撃する!
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
ハクチ「ぐああああああああああああああああ!!!!!」
948:
ハクチ「う……あ……こんな……はずじゃ……」フラッ
ザッ
ハクチ「……!」
大井「……」
ハクチ「ひ、ひぃっ……!」ダダッ
大井「逃がすか!『フリーズボム』!」バシュッ!
ベチャッ
ハクチ「……!?う、動けない……!」グググ
吹雪「これで終わりです、ハクチ!」
大井「覚悟しなさい!」
ハクチ「ま……待って……!」
949:
電「アンカーハンマー!」ヒュンッ
漣「デッキアロー!」ヒュンッ
叢雲「マストランス!」ヒュンッ
五月雨「キールブレード!」ヒュンッ
吹雪「ブリッジソード!」ヒュンッ
ピキィィィィィン ガッシィィィィィン!!!
五人が投げた武器が空中で合体し、バズーカとなった!
五人「デストロイキャノン!」
950:
大井「……もう一つ、とっておきの爆弾があるのよ」
大井「……そのとっておきを使ってあげる……光栄に思うといいわ」
ハクチ「た……助けて……!」
大井「……仲間の命を奪ったあなたの命乞いなんて……聞くと思ってる?」
ハクチ「ひぃっ……!」
大井「……終わりよ!!」
951:
漣「目標捕捉!」
電「照準よし!」
叢雲「充填完了!」
五月雨「発射準備完了!」
吹雪「ってえええええええええええええええええええ!!!!!!」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!
大井「『デストロイボム』!!」
ハクチ「う、うわあああああああああああああ!!!!」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!
952:
大井「……」
吹雪「か、勝てた……」
叢雲「なかなかの強敵だったわね……」
五月雨「大井さん、すごかったです!」
電「本当なのです!強化フォームなんてあったのです!?」
漣「あったんなら教えてくれればよかったのにー。このこのー」グイグイ
大井「……」
漣「……?大井さん?」
バタッ
五人「!?」
953:
──────────
──────
───
吹雪「明石さん!大井さんは大丈夫なんですか!?」
明石「うん、大丈夫大丈夫。命に別状はないよ」
明石「ただ……しばらくは目は覚まさないと思う」
叢雲「どのくらいかかりそうなの?」
明石「具体的にはわからないけど……数日……もしかしたら、一週間以上は目を覚まさないかもね」
漣「そんなに……」
954:
五月雨「夕張さん。大井さんが『強化フォーム』って言ってたものがあったんですが……」
夕張「ええ、あれね」
夕張「とりあえずみんなには最初から説明しないといけないわね」
電「お願いするのです」
夕張「『強化フォーム』……ヒーローものではお決まりになってる物ね」
夕張「特殊な装備やエネルギーを使用して……まあ要するにパワーアップするっていうの」
夕張「そして、大井がいた旧ショキカンジャーは、それを作ってたんだって」
955:
明石「それで、その強化フォーム……『改二』に使われるのが、この『改装設計図』っていうカード」ピラッ
吹雪「確かに、大井さんはそれを使ってましたね」
漣「それって使うと減ったりしないんですか?」
夕張「しないよ。何回でも使い放題」
明石「まあよくできてたんだけど、戦隊パワーとの連動はしてなかったからね」
明石「みんなの武器とか必殺技とか……それと同じように扱えるようにしたら、さらにパワーアップが見込めると思ったんだよ」
夕張「それで色々改造したり調節したりしつつ、大井に色々テストしてもらってたわけ」
夕張「でも、まだ調整段階で……完成はしてなかったのよ」
明石「それを無理に使っちゃったから、その分余計にエネルギーを使って、ガタが来たんだろうね」
五月雨「それで眠ってる……ってことですか」
夕張「うん、そういうこと」
956:
叢雲「ずいぶん無茶するのね、あの人も……」
電「でも無茶してくれなかったら、電たちも危なかったのです」
吹雪「うん。大井さんがいてくれてよかった」
明石「それでね……調整はそろそろ終わるから、みんなの分も作ろうと思うんだけど」
漣「え、漣たちも改二になれるんですか?」
明石「……艦娘としての改二については提督に言ってね」
漣「チッ」
957:
夕張「必殺技と同じように、戦隊パワーがそれなりに高まらないと使えなくなるとは思うけど……」
夕張「きっと、みんなの戦いに役立つはずだよ」
吹雪「……わかりました。お願いします」
明石「よし、じゃあ早改造に取り掛かろう。みんな、ショキブレス渡してね」
電「はいなのです」カチャッ
五月雨「……大井さんが戦えない分、頑張らないとね」
吹雪「……うん。そうだね」
吹雪「……」
958:
──────────
──────
───
大井「……あれ?」
大井は気が付くと、真っ白な空間に一人でいた
大井「なにこれ……夢?」
大井「えっと……たしかハクチを倒して……それから……」
大井「……思い出せないわ……」
959:
「大井さん」
大井「!!」
「……やっぱり、わかってくれたんだね」
大井「あなたは……」
「大井さんなら、きっとわかってくれるって、信じてたから」
大井「……」
960:
大井「……でも、私は……」
大井「……私は、忘れてしまってたのよ。あなたの言葉も……大切な、仲間を思う気持ちも……」
大井「ただ、ハクチが……ディープマリンが憎くて……でも、恐怖から動けだせなくて……」
大井「大切なことは忘れて、何もできずにいた……」
大井「……本当、私って駄目よね……」
「……」
961:
「……でも、思い出させてくれたんでしょ?」
大井「……」
大井「……ええ」
「だったら何も問題ないよ」
「あなたには、そうして大切なことを思い出させてくれる仲間がいる」
「そんな仲間がいれば、それがまた『強さ』につながっていくからね」
962:
「……あの子たち、本当に強いね」
大井「……そうね。あんなに成長するとは思わなかったわ」
「あの子たちだったら……もしかしたら、ディープマリンを倒せるかもね」
大井「……それは違うわ」
「え?」
大井「絶対に倒せる。あの子たちならね」
「……ふふっ、そっか」
963:
「……でも、そのためには……あなたの力も必要だよ」
大井「私の……?」
「そう。私は言ったよね」
「『仲間と共に戦わないといけない』って」
「あなたもあの子たちの仲間なんでしょ?だから、あなたも共に戦わないといけない」
大井「……」
「別に、あの子たちの隣で戦う必要はないよ」
「場所は離れていても、できることはある。共に戦うことはできるよ」
大井「……そうね」
964:
「……そろそろ、行かないとね」
大井「……もう行ってしまうの?」
「うん。このままだと、大変なことが起っちゃうから」
大井「大変なこと……?」
「……それは、あなたの目が覚めた時にわかると思う」
大井「……」
965:
「それじゃあね、大井さん……」
大井「……待って」
「……?」
大井「……ずっと謝りたかった。あの時のことを……」
「……あの時逃げてっていったの私だよ?」
大井「それでも、私は……逃げた自分が許せなかった」
大井「……本当に、ごめんなさい……っ」
「……」
966:
大井「……それで、もう一つ」
「ん?」
大井「……あなたたちは、私にとって大切な仲間よ」
大井「それは今でも変わらないわ」
「……うん、そっか」
「ありがとう、大井さん。私も同じ気持ちだよ」
「あなたと……仲間でいれて、本当に良かった」
967:
大井(……大切な仲間のために、私は戦う)
大井(自分の弱さも、強さに変えてくれる……仲間のために)
大井(それはきっと、いつまでも変わらない)
大井「……お礼を言うのはこっちよ」
大井「……本当にありがとう。『ショキカンジャー』」
第七話「更なる力!?」 艦
968:
次回予告!
リーダーのレッド、吹雪です
激闘の末、大井さんがしばらく戦闘不能になってしまいましたが……私たちの戦いは続きます
ディープマリンとの戦いもいよいよ大詰め。決戦の時が近づいています
でも……私には、気がかりなことが二つあります
一つは、未だに敵についてわからないことが多いこと
もう一つは……まだ、私の力が足りていないこと
強い思いを持てばいいって言われても……
私は……一体、どうしたらいいんだろう?
次回、第八話「燃える心」
次回も、よろしくお願いします!
969:
スペシャルコーナー『ショキカンジャーって?ああ!』
?大井ホワイト改二?
漣「始まったゾ」
叢雲「……何が?」
漣「もう言わなくてもわかるでしょ?」
吹雪「……飽きたの?」
漣「ちょっと」
970:
五月雨「えっと……ショキカンジャーの強化フォーム、『改二』の説明をします」
電「この『改装設計図』というカードを、ショキブレスやショキフォンの側部にある溝にスラッシュすることで変身するのです」
漣「みーんな改装設計図いるのかよ……勲章溶けまくりじゃん」
吹雪「……この改装設計図は別に勲章を使って作っているわけではありません」
叢雲「使ってなくなるわけでもないわ」
五月雨「変身するには、ある程度戦隊パワーを高める必要があります」
971:
吹雪「改二になると、パワー、スピード、ジャンプ力、装甲など……全体的に性能が強化されます」
叢雲「強化にも個人差があるらしいから、どう強化されるかはやってみないとわからないわね」
電「武器も変化したりするのです」
電「ここで、具体例を挙げて説明したいのですが……」
漣「というわけで、大井さんの改二について説明します」
吹雪「大井さんまだ眠ったままなんだけど……」
漣「うん。だから我々が代わりに解説するのだ!」
972:
五月雨「大井さんの改二の大きな特徴は、使用する爆弾の種類が増え、威力が上がることです」
吹雪「パワーボムの威力はかなり上がってたね」
叢雲「追加された爆弾について……まずは『フロストボム』よ」
電「炸裂した部分をカチコチに凍らせちゃうのです」
五月雨「私の水と組み合わせると、広範囲で凍らせられるよ」
漣「UREYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY……」
叢雲「……何言ってんの?」
漣「いや、凍らせると聞いて」
973:
吹雪「次に『フレイムボム』と『エレキボム』」
五月雨「炸裂した部分に、炎や電気を発生させます」
電「普通に投擲してもよいのですが、電や吹雪さんの武器にぶつけることで、武器の炎や雷を強化するのです」
叢雲「つまり威力二倍ってことね」
漣「にばいにばーい」
974:
漣「最後に『デストロイボム』!!」
吹雪「強化されたパワーボムみたいなものだね」
叢雲「凄まじい威力の爆撃を相手にお見舞いするわ」
五月雨「デストロイキャノンとどっちが強いかな?」
電「わからないのです……」
漣「試してみるか」
叢雲「は?どうやって」
漣「漣が大井さんの変身アイテム使って変身して……」
吹雪「……やめた方がいいと思うよ」
975:
漣「やってみねえとわかんないじゃん!早やるぞい!」パカッ
五月雨「なんで持ってるの!?」
漣「えーっと、このボタン押せばいいんだよね?んじゃ……」
漣「出撃!」カチッ
『ERROR!!』
漣「え?」
バチバチィッ!!
漣「いたぁっ!?」
四人「……」

984:
第八話「燃える心」
ディープマリン アジト
コウワン「……まさか、ハクチがやられるなんてね」
ホッポ「連中、思ったよりも力をつけてるみたいだな」
センスイ「……どうするの?正直、邪魔ってレベルじゃなくなってきてるわ」
クウボ「ここまでとはね……前回の鎮守府よりもかなり厄介ね」
リトウ「本格的に潰すことを考えないと。そのための作戦は……」
「……フフフ」
985:
クウボ「……センカン様?」
センカン「……ああ、ごめんなさいね。つい……」
センカン「あなたたちが、そんなに焦るなんて……珍しいと思ってね」
リトウ「……ただ、連中が厄介で面倒なだけですよ」
ホッポ「それ、向こうも同じこと考えてると思うぞ」
センカン「……厄介でも面倒でも、その力は確かなものね」
コウワン「ええ……しかしお任せください。我々が必ず奴らを……」
センカン「いいえ、私も動くわ」
五人「!?」
986:
センスイ「せ、センカン様のお手を煩わせるわけにはいきません!」
クウボ「そうです!我々にお任せを……!」
センカン「そう言ってもいられない状況でしょ。いつまでもここで待っているのも飽きたわ」
センカン「それに……ショキカンジャーの『力』にも興味があるしね」
リトウ「例の『力』……ですか?」
センカン「ええ。私たちに対抗するためのあの力……」
センカン「……私たちが、利用させてもらうとしましょう」
987:
ショキカンジャー本拠地
吹雪「……それでは、第八回ショキカンジャー会議を始めます」
ワーワー ドンドン パフパフ
吹雪「それ前もやらなかったっけ?」
漣「原点回帰」
電「会議……改めてこれからの方針の確認なのです?」
吹雪「うん、それもあるけど……漣ちゃんが何かあるって」
叢雲「は?また?」
漣「まあまあそうカッカしないで!」
988:
五月雨「それで何なの?漣ちゃん」
漣「うむ!ズバリこちら!」
ドドン!!
漣「『それぞれの必殺技の名前を考えよう』のコーナーーーーー!!!」
四人「……」
漣「……あり?」
989:
叢雲「……漣。あんたが空気読めないところがあるのは知ってたわ」
電「でもこれはあんまりなのです……」
漣「……え?いや、ちょ……」
吹雪「い、いや!私は気にしてないよ別に!」
五月雨「……」ジトッ
漣「え、えっとその……」
990:
漣「ち、違うんじゃ!これは別に空気読めなかったわけでも吹雪ちゃんを煽りたかったわけでもないんじゃ!」
叢雲「じゃあ何なのよ。ボケたの?」
漣「ちがわい!」
漣「この空気!この空気がいけないのだ!」
電「……?どういうことなのです?」
漣「いくら吹雪ちゃんが自分だけ特殊能力、及び必殺技を使えず取り残されたことを気にしていると言っても!」
吹雪「い、いやだから私は別に気にして」
漣「腫れものを触るようなこの態度がいけない!」
991:
五月雨「うーん……確かにそうだね。焦っても仕方ないって言ったのは私たちだし」
漣「でしょでしょ?」
漣「むしろ触れていくべきだと漣は思うね!吹雪ちゃんドMだから!」
吹雪「違うよっ!?」
叢雲「まあ私たちが気にしてもしょうがないわね」
電「それで、必殺技に名前をつけてみるってことですか?」
漣「うん。名前を叫ぶことでもしかしたら戦隊パワーが上がるかもしんないしね!」
吹雪「……それは否定できないね」
992:
吹雪「わかったよ。じゃあとりあえずそれぞれの必殺技を確認しようか」
五月雨「まず叢雲ちゃんは……槍を振り回すとエネルギーがたまる特殊能力だっけ?」
叢雲「そうね。必殺技ってなると、その状態で敵を攻撃するか、強い衝撃波を地面に放つか……かしらね」
電「……あれ?そういえば叢雲さんも失敗してたのです?」
叢雲「え?……ああ、確かに最初は失敗したわね」
漣「ってことは叢雲ちゃんも吹雪ちゃんと同類なのでは?」
叢雲「……襲撃の時に何回か使ったわよ」
漣「あ、そうなの?」
叢雲「何で知らないのよ……」
漣「……さあ?」
993:
電「漣さんは、矢がコントロールできるようになる特殊能力なのです?」
漣「うむ。複数操ることもできるゾ!」
吹雪「必殺技としては、複数の矢を放って一気に攻撃するアレになるのかな」
五月雨「複数の敵にも、単体の敵にも有効だね」
漣「まーそうだね。結構集中力いるけど」
叢雲「あんたに一番欠けてるものね」
漣「ん?なんか言った?」
叢雲「……別に」
994:
吹雪「電ちゃんは重力操作だっけ」
電「そうなのです。と言っても、重くすることしかできないのですが……」
叢雲「ハンマーを重くしてガンッてやるのが必殺技よね」
漣「かなり痛いですよコレは」
五月雨「しかも重力操作で敵を動けなくしてからの一撃だからね……」
吹雪「……怖い」
電「そ、そんなに恐ろしい技じゃないのです!」
995:
叢雲「五月雨は超高移動よね」
五月雨「うん。高で移動して、何度も敵を斬りつけるよ」
吹雪「加してるから、一撃一撃が強くなってるのかな?」
漣「それが味方に飛ぶと考えると……必殺技使う時くらいはドジらないでよね」
五月雨「そ、そんなことしないって!気を付けるから!」
電「五月雨さんのドジは気を付けてどうにかなるものじゃないのです……」
996:
五月雨「……それで、吹雪ちゃんの武器の特殊能力は……」
吹雪「えっと、あの時渡された説明書によると……」
吹雪「『一定時間能力二倍』……だって」
叢雲「……二倍?」
漣「……能力が?」
電「力もスピードも全部二倍なのです?」
吹雪「そうらしいよ。でもかなり体への負担は大きいらしいね」
五月雨「『かなり無茶する技』って言ってたしね」
叢雲「そりゃあ要求する戦隊パワーも大きくなるわよね……」
997:
漣「それで、その能力から繰り出される必殺技はなんなん?」
吹雪「え?……何だろう」
叢雲「火だるまになってタックルでもする?」
五月雨「一人スーパーダイナマイト?」
吹雪「なんで!?せめて武器は使わせてよ!」
電「じゃあ強化された状態での一撃ってことでいいのです?」
吹雪「それでいいと思うよ……下手なことしたくないもん」
漣「まあ百火繚乱みたいな感じで」
998:
吹雪「とりあえずみんなの必殺技はこんな感じだね」
五月雨「どうする?武器の時みたいにみんなそれぞれで考える?」
漣「いや、みんな自分のだけ考えよう」
電「え、どうしてなのです?」
漣「何となく」
叢雲「えぇ……」
漣「ぶっちゃけ名前全部考えるの面倒くさい」
吹雪「ちょっと発案者!」
電「ま、まあ確かに武器の時と違って全員分考えるのは少し大変なのです!ここは自分のだけ考えるのです!」
999:
数分後
吹雪「みんなできた?」
五月雨「できたよー」
叢雲「じゃあ一斉に……」
吹雪 『ブリッジバスター』
叢雲 『強い槍撃』
漣 『†粛清†』
電 『ごっつんこ』
五月雨 『五月雨斬り』
五人「……」
1000:
吹雪「いや、予想はしてたけど……これはひどい」
叢雲「吹雪の安直すぎない?武器がブリッジソードだからって……」
吹雪「いや、叢雲ちゃんは安直ってレベルじゃないよ!やる気ゼロじゃない!」
五月雨「漣ちゃんのこれは何なの?ダガーマークついてるけど……」
漣「中二っぽいかなーって」
電「どうして戦隊で中二が出てくるのです……」
漣「ああ、小二にすべきだったか」
吹雪「そういう問題じゃなーい!」
2:
叢雲「電のは『ごっつんこ』なんて可愛いものじゃないでしょ絶対……」
漣「『ぐちゃっ』だよね」
電「そんな音しないのです!?」
吹雪「五月雨ちゃん、どうして自分の名前入れたの?」
五月雨「え!?いやそういうつもりじゃなくて、五月雨突きとか五月雨撃ちみたいな感じで……」
叢雲「ダブルミーニングになってるわねこれ」
3:
吹雪「……で、どうしよう」
五月雨「さすがに全部このままってわけにもいかないし……」
電「……そういえば、武器の名前って誰がつけたんでしたっけ?」
漣「確か明石さんと夕張さんだね。武器もらうときに教えてもらった」
叢雲「そうね。安直だけど、割とすぐに定着して……」
五人「……」
4:
工廠
夕張「こんなのでどう?」
吹雪 『ブリッジバスター』
叢雲 『マストブレイク』
漣 『デッキシュート』
電 『アンカークラッシュ』
五月雨 『キールスラッシュ』
漣「うん、やっぱり戦隊の技名はわかりやすいのが一番ということだな」
叢雲「吹雪のはそのままなのね」
夕張「うん、これに統一しようと思ってね」
5:
吹雪「ありがとうございました……すみません、お忙しいのに」
夕張「あー気にしないで。ちょうどみんなに用事あったし」
五月雨「そうなんですか?」
夕張「ええ。多分明石がそろそろ来て……」
明石「ん?呼んだ?」ガラッ
電「あ、来たのです」
6:
明石「ああ、みんな来てたのね。じゃあちょうどよかった」ゴソゴソ
明石「ジャーン!ショキブレスに改二機能を追加したよ!」
吹雪「え!?もうできたんですか!」
夕張「もうほとんど大井の時にできてたしね。細かい調整をすればよかっただけだから」
明石「使い方は大井さんのとほぼ一緒。この『改装設計図』をショキブレスの横の溝にスラッシュするだけ」
五月雨「これも特殊能力と一緒で、戦隊パワーがある程度必要なんですよね?」
夕張「ええ。だから簡単には使えないかな」
7:
吹雪「……」
叢雲「……吹雪?」
吹雪「……あ、いや、なんでもない」
吹雪(……正直、今の状態でうまく使える気がしないなぁ……)
吹雪(まあ使わなくて済むに越したことはないけど……)
電「そういえば、改二の状態でも特殊能力は使えるのです?」
夕張「当然使えるわよ。より強力な効果を使えるはず」
五月雨「……吹雪ちゃんの特殊能力も、ですか?」
8:
明石「うーん、それなんだけど……」
明石「使えるには使えるはず。でも、正直おすすめはしないかな」
吹雪「え?どういうことですか?」
夕張「いくら調整したって言っても、改二を使うことでそれなりに身体に負担はかかるの」
夕張「そこで吹雪ちゃんの特殊能力使うと倍プッシュだからねぇ……」
電「身体のためにも、やらないほうがいいわけですね……」
漣「オデノカラダハボドボドダ!」
吹雪「……わかりました」
明石「でもそれは吹雪ちゃん以外にも言えることだよ。無茶するとすぐにエネルギー切れを起こしちゃうと思うから」
叢雲「状況やタイミングを考えて使わないとダメってことね……」
9:
叢雲「ショキブレスは戻ってきたわけだけど、どうする?」
電「一応、これからの方針を話し合う予定でしたけど……」
吹雪「ああ、うん。そうだったそうだった」
吹雪「もう一度、あそこを調べに行こうと思うんだけど」
五月雨「あそこって?」
吹雪「ほら、センスイとかコウワンとかハクチとかと戦ったところ」
漣「……ああ、例の採石場か」
吹雪「……まあ、そうだね」
10:
五月雨「確かに調べようとしたら、ハクチさんに襲われちゃったもんね」
叢雲「なんかいっつもこんな感じよね、私たち……」
漣「でもやっぱりあそこ、なんかありそうなんだよなぁ……」
吹雪「だよね?鎮守府襲撃の場所にも方角的には近いし……」
電「……もしかして、あそこにディープマリンのアジトがあるとか?」
四人「え?」
11:
五月雨「……まさか」
叢雲「さすがにそんなことは……」
電「い、電もないとは思いますが……」
漣「そんな近くの悪の組織のアジトがあるわけないっつーの!」
吹雪「な、ないよね?そんなこと……」
五人「……」
12:
例の採石場
吹雪「どう?敵影は……」
五月雨「……とりあえずないね」
電「今のところ異常はなさそうなのです」
叢雲「……どうする?また張り込みでもしてみる?」
漣「それは見当違いだった場合やばいことになるからやめとこう」
五月雨「そうだね……じゃあ隠れずに、色々調べてみようか」
吹雪「敵に見つかったときはもう仕方ない。その時に対処しよう」
13:
電「それにしても、先日の一件でここもひどいことになってるのです」
叢雲「そうね……。凸凹が激しいし、大きな壁だとか大砲だとかが転がってるわね」
漣「特にあのでっかいやつの残骸がやばいんだけど」
五月雨「これ、戦いが終わったら私たちがどうにかしないとダメかなぁ……」
吹雪「ダメだろうね……」
吹雪「……ん?」
14:
五月雨「どうかしたの?」
吹雪「いや……」
吹雪「あそこに洞窟みたいなのがあって」
叢雲「洞窟?」
吹雪「ほら、あそこ」
吹雪が指さした先には、確かに洞窟のような横穴があった
15:
電「え、あんなのあったのです?」
吹雪「うん。今まで気づかなかっただけか、この間の戦いでできたのかはわからないけど……」
叢雲「……気にはなるわね。とりあえず覗いてみましょうか」
漣「えー、変なのいたらどうすんの」
五月雨「変なのって?」
漣「イカーゲンとか」
叢雲「なんでそのチョイスなのよ……」
電「でも、実際敵がいる可能性があるのです。注意するに越したことはないのです」
五月雨「そうだね……とにかく近づいてみようよ」
16:
五人は横穴へと近づき、中を覗いてみた
漣「……なんか見える?」
電「真っ暗で奥の方は何も見えないのです……」
五月雨「少なくとも、それなりの深さはあるみたいだね」
吹雪「覗くだけじゃよくわからないし……入ってみようか」
叢雲「……誰から?」
五人「……」
17:
五月雨「……なんか、前もこんなことなかった?」
電「天井裏に入ろうとした時なのです」
漣「じゃああんときと同じで、吹雪ちゃん行ってこーい」
吹雪「何で!?全員で入ればいいでしょ、狭いわけじゃないんだから!」
叢雲「いやいや……ここはやっぱりリーダーが先に行くべきじゃない?」
吹雪「またこんな時だけリーダー扱いを……」
漣「叢雲ちゃん、そんなときは『お願い、お姉ちゃん(はぁと)」って言うもんですよ」
叢雲「え、絶対嫌」
吹雪「そしてお姉ちゃん呼びは拒否するの!?」
18:
五月雨「冗談はここまでにして、そろそろ行こうか」
吹雪「はぁ……敵との決戦が近いのに、こんな調子なんて……」
漣「別にいーじゃん。どんなテンションでも戦いは避けらんないし」
電「気を張りすぎてもよくないのです」
吹雪「そうだけど……」
叢雲「じゃあ、そろそろ中に行き……」スッ
叢雲「……っ!」ピタッ
19:
吹雪「……?どうしたの叢雲ちゃ……っ!」
叢雲「……みんな、気付いた?」
五月雨「……うん。誰かいる」
電「……やっぱり、ここで当たりなのです?」
漣「かもねぇ……」
「……フフフ」
20:
戦艦棲姫?「聞いていた以上に、面白そうな子たちね……」
洞窟の奥から、戦艦棲姫に似た人物が歩いてきた
電「戦艦棲姫、そっくりなのです……」
叢雲「ということは、もしかして……」
吹雪「……あなたが、センカンですか?」
センカン「……ええ、その通りよ。ショキカンジャー」
21:
センカン「私はセンカン。一応、ディープマリンのボスってことになってるわ」
叢雲「……じゃあ、あんたを倒せばそれで終わりってことね」
センカン「……まあ、そういうことになるのかしらね」
センカン「何?私と戦う気なの?」
漣「こうしてのこのこ出てきたってことは戦う気満々なんでしょ?」
センカン「フフフ……まあ、それもそうね」
22:
センカン「私はね……あなたたちの『力』に興味があるの」
五月雨「私たちの、力……?」
センカン「そう……私たちに対抗できる、不安定だけど強力な力……」
センカン「その力のせいで、私たちはここまで追いつめられることになった」
センカン「あなたたちの力は、私たちの想像以上よ」
吹雪「……」
23:
センカン「……だからその力」
センカン「……私にも、見せてもらおうかしら?」
シュンッ
センカンは、凄まじいスピードで五人に接近してきた!
五人「!!」
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
24:
電「……う……」ヨロッ
叢雲「みんな……無事……?」
五月雨「な、なんとか……」
漣「吹っ飛ばされただけだから、ダメージはそんなにない……と思う」
センカン「……フフフ」
センカンは吹き飛ばされた五人へと近づいてきている
吹雪「……逃げられそうにもないね」
吹雪「みんな!こうなったら真っ向から戦うしかない!行くよ!」チャキッ
四人「了解!」チャキッ
25:
五人「抜錨!!」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……………………
五人の体に、スーツが装着されていく!
バァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
26:
デデッデデー デデッデデーン
吹雪「吹雪レッド!」
叢雲「叢雲ブラック!」
漣「漣ピンク!」
電「電イエ口ー!」
五月雨「五月雨ブルー!」
吹雪「五人そろって!」
五人「駆逐戦隊!ショキカンジャー!!」
バァァァァァァァァァァァァァァン!!!
27:
叢雲「はぁっ!」ブォンッ
漣「ていっ!」バシュッ
センカン「……」
シュバッ
叢雲「っ!外したか……でもまだ!」シュバババッ
漣「こっちの攻撃は終わってない!」バシュバシュッ
センカン「……」
ババババッ!
センカンは二人の攻撃をたやすく避けている!
叢雲「なっ……!」
28:
センカン「終わりかしら?」
センカン「だったら、次はこっちの番よ!」ブォンッ
叢雲「!!」
ガシッ!
叢雲(!……重い!!)
ググググ……
電「えーいっ!!」ブォンッ!
センカン「!!」シュバッ
電の攻撃を、センカンはギリギリでかわす!
29:
電「……っ」
センカン「ふぅ……危ない危ない」
吹雪「はぁっ!」ブォンッ!
五月雨「やぁーっ!」ブォンッ!
センカン「!!」
電の攻撃を避けたセンカンに、背後から二人が武器を振り下ろす!
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
30:
吹雪(よし、当たった……!)
五月雨(二人同時の攻撃……ただじゃすまないはず!)
センカン「……」
センカン「……痛いわね」
ブォンッ
吹雪・五月雨「!?」
センカンは二人に拳を叩きこみ、吹き飛ばした!
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
二人「うわあああああああああっ!?」
31:
叢雲「吹雪、五月雨!……このっ!」ブォンッ!
電「今度は命中させるのです!」ブォンッ!
漣「くたばれこの野郎ーーっ!!」バシュバシュッ!
三人の攻撃が同時にセンカンに襲い掛かる!
センカン「……そうねぇ……」
ガシッ
センカンは叢雲の槍を掴んだ!
叢雲「!?」
32:
センカン「そして……!」グイッ
ブォンッ!!
叢雲「んなっ!?」
電「えっ!?」
センカンはそのまま、槍ごと叢雲を電の方へ振り回した!
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!
叢雲「ぐああああっ……!」
電「うぅっ……!」
33:
漣「む、叢雲ちゃん!電ちゃん!」
漣(なんてことを……!しかも叢雲ちゃんを振り回したときに漣の矢まで弾いた!)
センカン「さて……」クルッ
漣「!!」バシュッ!
センカン「遅い!」シュバッ
センカンは漣の矢を避け、一気に漣へと接近する!
ズドォォォォォォォォォン!!!
漣「うあああああ!!」ドサッ
34:
吹雪「ぐっ……みんな……」
吹雪「攻撃が……効いてない!?どうして!?」
五月雨「防御もされてない……もろに当たったはずなのに……!」
センカン「ええ、なかなかの攻撃だったわ。さすがに私も避けることはできなかった」
センカン「でもパワー不足よ。こんなものじゃ私を倒すことはできないわ」
吹雪「……っ」
吹雪(この人、これまでの幹部や怪人とは違う……特殊な力を使ってるわけでもないと思うのに……)
吹雪(強い……今まで戦った誰よりも……!)
35:
吹雪(どうする……普通の攻撃じゃ、多分ほとんどダメージを与えられない)
吹雪(このまま戦っても、ジリ貧にしかならない……)
吹雪(だったら……)
センカン「強力な一撃を与えるしかない……って、思っているのかしら?」
吹雪「っ!?」
センカン「あなたたちが強力な技を持っていることは聞いているわ。合体技なんてものもあるらしいじゃないの」
センカン「強力ではあるけど……隙も大きいし、とどめくらいにしか使えないらしいわね」
センカン「残念だけど、それを食らってあげるほど私もお人好しじゃないの」
吹雪「……っ」
36:
センカン「そうねぇ……今戦ってみて、あなたたちの力により興味がわいてきたところだけど……」
センカン「……やっぱり、五人同時に相手するのは面倒ね」
五月雨「……?」
叢雲「何よ……一騎打ちでもするつもり?」
センカン「一騎打ち……それも面白そうね」
漣「そんなの、するわけないけど!?」
センカン「フフフ……大丈夫よ。こっちもそんなことするつもりはないわ」
センカン「ちょっと一人、貸してもらうだけよ」
37:
吹雪「……?どういうこと……?」
ドガッ
吹雪「ッ!?」
ドサッ
センカン「……こういうことよ、ショキカンレッド」
38:
──────────
──────
───
『ねえ、吹雪ちゃんはどうして戦うの?』
『え?どうしてって……』
『……そうだね、それはきっと……』
『……そっか』
『だったら、私も……』
39:
──────────
──────
───
吹雪「……」
吹雪「……う……」ヨロッ
吹雪「……ここは?」
吹雪が目を覚ますと、怪しげな機械が置かれた黒い部屋にいた
吹雪「確か私……センカンと戦ってて、それで……」
吹雪「……誰かに、後ろから殴られた……?」
「目が覚めたみたいね」
吹雪「!!」
40:
吹雪「センカン……!」
センカン「随分早かったわね。クウボが手加減したのかしら?」
吹雪「……っ!他のみんなは!?ここは一体!?何の目的で私を!?」
センカン「あらあら、元気ね」
吹雪「答えなさい!!」
センカン「そうね……いいわ、一つずつ答えてあげる」
41:
センカン「まずここは私たちディープマリンのアジトの……まあ、ほぼ最深部ね」
センカン「ここへあなたを連れてきたのは、あなたの『力』を見せてもらうため」
吹雪「力……?さっきも言っていたけど」
吹雪「特別な力なんて何も……」
センカン「そうね……確かに特別ではないかもしれないわ」
センカン「それは、あなたたち艦娘は皆持っている力だから」
42:
吹雪「もしかして……戦隊パワーのこと?」
センカン「フフフ……あなたたちはそう呼んでるのね。恐らくそれよ」
センカン「艦娘には二つの特別なエネルギーがある。一つは、艤装を扱うために必要なエネルギー」
センカン「そしてもう一つは、精神状態……感情によって変化するエネルギー」
センカン「私が言っているのは後者のことよ。あなたたちは、このエネルギーで艤装での攻撃を強化することがあるらしいわね」
吹雪「そんなことが……」
センカン「確かに艦娘は皆持っているけれども、あなたたち……ショキカンジャーは別格よ」
センカン「一体どうしてそんなにも大きなエネルギーを持っているのか、気になるところではあるわね」
43:
センカン「もちろんただの偶然かもしれないけど、大きなエネルギーを持っているのは事実」
センカン「その強大な力に、私は興味を持ったのよ」
吹雪「……っ」
吹雪「でもいくら私たちが大きな力を持っていたとしても、あなたたちにはどうすることもできないでしょ!?」
センカン「いいえ、できるわ。それが私の力であり、使命だもの」
44:
吹雪「力であり、使命……?」
センカン「ええ。まず、私たちディープマリンは、簡単に言うと深海棲艦の仲間。亜種みたいなものよ」
吹雪「……やっぱり、深海棲艦と関係があったんですね」
センカン「そうよ……私たちは深海棲艦よりも後に生まれたの。突然変異のようにね」
センカン「私たちと深海棲艦には、色々と違いがあるけれど……その最たるものが使う『力』なのよ」
吹雪「……確かに、あなたたちは深海棲艦のように艦隊戦はしてきませんからね」
センカン「その通り。深海棲艦はその力で艦隊戦を行い、勢力を拡大していった」
センカン「……でも、そんな中であなたたち艦娘が邪魔をしてきたわけよ」
45:
センカン「深海棲艦にしたら、艦娘は邪魔で仕方ない存在だわ。まあ、それは当然なんだけど……」
吹雪「……」
センカン「どうにかして艦娘を妨害したい、陥れたい……そう考えていた時」
吹雪「……あなたたち、ディープマリンの出番ってことですか」
センカン「そうよ。私たちは深海棲艦のような艦隊戦を行うことはできないけれど、別の『力』を持っていたからね」
吹雪「……それで、その力を駆使して、私たちの鎮守府や大井さんがいた鎮守府を襲って……」
吹雪「艦娘の妨害をしていた……っていうことですか……」
センカン「……フフフ」
46:
吹雪「……っ!何がおかしいの……!?」
センカン「フフフ……いや、ごめんなさいね……」
センカン「……あなた、一つ勘違いをしているわ」
吹雪「勘違い……?」
センカン「……私たちの力は、センスイの透明化とか……コウワンの高移動とか……」
センカン「そういった力のことじゃないの。それは後から私たちが身に着けた力なの」
吹雪「え……?」
センカン「私たち……いえ、さっきも言った通り、私の力と言った方が正しいわね」
センカン「私は……あなたたち艦娘や艤装のエネルギーを奪い、自らのものにすることができる能力を持っているの」
47:
吹雪「エネルギーを奪う……!?もしかして、さっき言ってた……!?」
センカン「ええ。と言っても、元々は艤装そのもののエネルギーしか奪えなかったんだけどね」
センカン「……私たちは、生まれた時にはまだ小さな力しかもっていなかったわ」
センカン「でも私は、艦娘の艤装の破片、資材、工具……そういったものから少しずつ艤装のエネルギーを奪っていったの」
センカン「本当は艤装そのものを盗むのがいいんだろうけど……なかなかうまくいかなくてね」
吹雪「もしかして、工具や資材を盗んでたのは、単なる妨害の為だけじゃなくて……」
センカン「ええ、あなたたちの力を奪わせてもらってたわ」
センカン「そして私は、奪ったエネルギーを他のディープマリンに分け与えることもできる。そうして私たちは力を増していったわ」
48:
吹雪「……あなたたちに艤装の攻撃が効かないのは、力を増した結果ですか……?」
センカン「まあ、そうね。艤装そのもののエネルギーを取り込んだから、とも言えるかしら」
センカン「でも効率的にはかなり悪いのよ、そうやって艤装のエネルギーを取り込むのは」
センカン「だからリトウに大量の艦娘をとらえて貰おうとしてたんだけど……あなたたちに邪魔されちゃったわね」
吹雪「もしかして、あの装置はそのために……」
センカン「そう。あれがうまくいけば大量の艦娘を一時的に操り人形にできたんだけどね……残念」
センカン「でも、それももう必要なさそうね」
49:
吹雪「……私のエネルギーを奪う気?」
センカン「ええ、そうよ。特にその……『戦隊パワー』だったかしら?」
センカン「あなたのその力を奪えば、私は強大な力を手に入れることができるわ」
吹雪「でも、戦隊パワーはあなたたちの弱点であるはず……それを奪うことなんてできるんですか!?」
センカン「……そうね。確かに、その力は私たちの弱点」
センカン「艤装に強くなった分、そっちに耐性がなくなったのかしらね」
センカン「でも……だからと言って奪えないわけじゃない。奪うのはエネルギーだけなんだもの」ジリッ
吹雪「ッ!」ジリッ
50:
センカン「あら、そんなに構えなくてもいいのよ」
吹雪「近寄らないで……!そんなこと、絶対にさせない……!」
センカン「フフフ……まあ、そうなるわよね」
センカン「いいわ、少し遊びましょうか。あなたの力、もっと引き出せそうだしね」
吹雪「っ……」
吹雪(……でも、一人で戦って勝てるような相手じゃない……隙を見て逃げて、みんなとどうにか合流しないと……)
51:
センカン「あなたは他の子たちと違って、すぐに壊れないわよね?」
吹雪「……」
吹雪「……え?」
52:
吹雪「ど、どういうこと……?」
センカン「ああ、そういえば質問に一つ答えてなかったわね」
センカン「あなたが起きるまでに、他の子たちの力も見ておこうと思ったんだけど……」
センカン「思ったよりもろかったわね、あの子たち」
吹雪「……!?う、嘘だ!」
吹雪「みんなが……そんな簡単に負けるはずない!」
53:
センカン「……ふぅん」
センカン「まあ、信じなくてもいいけどね……」ゴソゴソ
センカン「でも、これを見てもそんなこと言ってられる……?」ポイッ
カラン……
吹雪「……!!!」
そこには、破損したショキブレスが四つ投げ捨てられた……
センカン「……本当……惨めに消えていったわ」
54:
吹雪「……るな」
センカン「ん?」
吹雪「……ふざけるな」
カチッ
シュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン……………………
吹雪の体に、スーツが装着されていく!
吹雪「ふざけるなああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
55:
シュンッ
センカン「っ!!」
ガキィンッ!!
センカンは吹雪の剣を拳で防ぐ!
センカン(い……!さっきよりも……)
吹雪「よくも……よくもおおおおおおおおおおおおお!!!」
ガキィンッ!! ガキィンッ!!
センカン「くっ……」
5

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1.5倍って実質0.5倍だろ?

ジャイロゼッターをおっさん向けにして二期やってほしい

ゲーム脳ワイ「歩く速度おっそ!街中やけど走ったろ!」 人々「ヒェッ」

【画像あり】橋の解体工事中に荷台が橋桁にぶつかり崩落→下敷きになったダンプ運転手が死亡。

字が汚い人ってどう思う?

来年の楽天はどこまで行けそうや?

こいつぁモノホンのカワイコちゃんだゼェ

【PayPayからのお知らせ】見に覚えのない請求が来たら、ご家族様や知人の方の利用の可能性についてご確認下さい

神楽「銀ちゃーん、私FA移籍したいアル」

納得いかない画像をください!

【ハンター】旅団のノブナガとかいう屑wwwwwwwwwwww

「イライラで草」 ← これ最強の煽りだろ……

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