荒木比奈「インソート100」back

荒木比奈「インソート100」


続き・詳細・画像をみる

1:
感じろそう初投稿です
2:
漫画で伝えることが出来ないのは、匂いと、音と、感触、それから温度なんスよ。
3:
僕は温泉街にいた。湯気が立ちこめる中、白い息を吐き出した。体はまだ湯冷めしていない
僕の吐く息は、いつの間にか白色に変わっていた。鼻で透明を大きく吸い込んでから、口で白色を吐き出した。もう冬だ。昼間、日が照っていても暖かさはそこまでで。夜になりかけている時間は、今までよりもずっと早くやってくる。例年通りの冬が、僕らの元にやって来ていた
夕焼けのオレンジが、もう消えかけている。太陽はまだギリギリ沈んでない。けれど、もう肉眼でも見えるくらいに薄暗くなっている。
牛乳を飲みながら首を上げ、暇つぶしに一番星を探してみる。もういくつも光があって、どれが一番目なのか分からなかった。いっとう光ってるやつがそうだろうか、なんて考えた
「寒いな……」
白い息と一緒に、言葉を吐く。ポッケに手を突っ込んで、体を少し屈ませた。そうしてしばらくすると、向こう側から、安っぽいシャンプーの香りが漂った
「プロデューサー、お待たせしましたぁ?」
待っていた彼女が、荒木比奈がやって来た。よく見ると、髪の毛がまだ完全に乾ききってない。特徴のある癖っ毛が、いつもよりしっとりとしている。冷えて風邪を引くだろうに、もっと時間をかけて乾かしてきても良かっただろうに、そういうことを言おうとして、でもやめて、代わりにコーヒー牛乳を指しだした
「いい湯だった?」
「いい湯だったっスよ……あっ、ありがとうございまス」
彼女は差し出された瓶の蓋を開け、一気に半分くらい飲み干す。
「…っはぁ、温泉の後のコーヒー牛乳はたまんないっスねぇ〜!」
上ずった、満足げな声だった。僕もそれを観ながら、残った牛乳を飲んでいく。比奈があまりにも美味しそうに飲むから、僕もコーヒー牛乳にすれば良かったな、なんて思ってしまった。飲み終えた瓶は軽かった。
「それ飲んだら、旅館に戻ろうか」
「はい」
もう半分を、彼女は再び飲み下していく。待つ時間は、驚くほどに短く感じた。
4:
今回のロケ先はとある温泉街だった。レトロな雰囲気を残していて、ここだけが時代に取り残されている様な錯覚に包まれる、魅力的な場所だった。町並みの中に灯るスマートフォンの明かりは、いささかミスマッチで、でもそれさえも素敵だと思える、不思議な街だった。
午前中をこの温泉街のレポに使い、午後はせっかくだからと一泊、明日の朝に帰る予定だ。
で、その泊まった旅館の女将さん曰く、内湯もあるがそれよりも有名な温泉がいいだろう、と。レポは食事関係の方が多く、温泉は足湯止まりだったので、僕たちはオススメされた場所へやってきたのだ。そこのロビーには芽衣子さんのサインが飾ってあった。
「ロケ隊の人たちはどうしてるんスか?」
「『もったいないから!』ってまだ温泉に入ってる」
「……のぼせないんスか?」
「わかんないや」
我慢大会とかやりだしそうだしなぁ、あの人達。旅館のご飯の時間までには戻ってきて欲しいけれど。
比奈がコーヒー牛乳を全部飲み終えた。瓶を受け取って、二つともケースの中に入れた。
「じゃあ、戻ろうか」
「はいっス」
僕たちは、旅館までの100メートルを辿りだした。
5:
冬は空気が澄んでいて、光はどの季節よりも綺麗だ。星も、街灯も、透明の中で輝いている。そんな光の下、僕達は踵をそろえて歩く
比奈がスマホを取り出し、町並みを撮りだした。作画の資料かい、と言う必要はもう無いだろう
「使えそう?」
だから、代わりの言葉を投げた。
「うぅ?ん……結構、いいかも」
「それはよかった」
画面を見せてもらう。なるほど、これはいい。モノクロにしても、魅力が消えることはなさそうだ
止めていた足を再び動かして、僕らは歩き出す。旅館まで残り80メートル。僕らの歩みは、さっきよりも遅かった。
6:
空の星が増えてきた。三日月も、より一層光を強くした。すれ違う人は少なくなっていって、僕たちは、どんどん二人きりになっていく。
冷たい風がふいた。湯冷めするのは避けないといけない。もうロケはないけれど、仕事は明後日以降もある。僕はプロデューサーとして、比奈はアイドルとして、体調を崩してしまわないようにしなければならない
でも、僕たちは誰かに言われたわけでもなく、互いに言うのでもなく。
ゆっくりと、ゆっくりと、残り75メートルを消費していった
「寒くない?」
「大丈夫、体がいい具合に冷めるっスから」
彼女も僕も、寒さを感じているはずだ。なのに、歩くのをやめようとしそうになる。
ゆっくりと歩いている最中に、寒さ以外も僕らを取り囲む。地面と靴の裏が擦れる音と、喉に残る牛乳の感触。それから、隣からほのかに届くシャンプーの匂い。
何故かそれらが愛おしくて、心地よくて。
この感情だけは、他人にどうしても伝えられないだろう。このぬるま湯のような心地は、誰にも伝えることができないのだろう
7:
いつかの彼女の言葉を思い出す
『漫画には、どうしても出来ないことが多いんスよ』
原稿を手伝っているときに聞いた言葉だった。彼女が愚痴のように溢したものだった。どうしてこんな時に思い出したのだろう、という疑問には、記憶がすぐに答えを出した
『紙……最近は電子書籍も増えてまスけど、二次元には変わりないので。表現の幅が限定されちゃうんス』
休憩ついでに、体を伸ばしながら、彼女は言葉を紡いでいく
『漫画で伝えることが出来ないのは、匂いと、音と、感触、それから温度なんスよ』
……正直、初めて聞いたとき、僕はその言葉を理解していなかったと思う。でも、今なら、その言葉の真意を読み取ることが出来る気がする。
僕が漫画を描けるとしても。画力や文才を持っているとしても。
今のこの感情だけは、決して誰にも伝えられないのだ。
安いシャンプーの匂いも、靴裏の音も、喉に残った牛乳の感触も、この愛おしい寒さも。
僕はきっと、これらを言葉と絵を使っても、何一つ伝えることが出来ないのだ
8:
「あ、この川も撮っていいっスか?」
「分かった」
僕らは足を止めた。また彼女は写真を撮りだした。僕はそれを眺めていた
……彼女は今、どんなことを考えているのだろう
きっと漫画のことだろうか。資料をどうやって使うか、て具合に。僕は比奈じゃないから分からないけれど。けど、彼女が今考えていることは、いつかきっと、彼女の作品として誰かに伝わる。
もちろん全部を伝えきるのは難しいだろうけど、少しでも彼女の中のモノを紙に乗せられるよう、僕も手伝っていきたいな、なんて事を考えた。夏より花は、僕だって技術が身についているはずだし
これも、プロデュース業務の一環だろうか。いや、きっと……
旅館まで残り50メートルになった。残り半分。僕らは更にゆっくりになる。一歩の次までが遠くなっていく
上を見上げてみた。一番星はどれだろうか探してみた。星があまりにいっぱいあって分からなかったから、比奈にも観てもらった。都会より綺麗だと、彼女は口にした
「旅館のご飯はなんだろうね」
「あ、アタシ女将さんに聞いてきたんスよ」
僕らは言葉を伝え合いながら、歩いて行く。旅館まであと半分もない。残された時間を少しでも長くしたいという思いだけは、僕らの中で共通していたのだろうか。そうだといいな
夕食に遅れない程度に、僕らは歩いた


続き・詳細・画像をみる


穴だらけの外国人医療費、与党は穴を塞ぐ対策を政府に求める 立憲議員は手厚い制度が必要と訴える

神ワイ「プロ野球12球団のうち1球団だけ四国に移転しなさい」

【ニュー速】来週ボーナスもらえるけど、何買う?

ワイ「のんのんびよりみたいな田舎に住みたい」 敵「田舎はクソ」

穴だらけの外国人医療費、与党は穴を塞ぐ対策を政府に求める 立憲議員は手厚い制度が必要と訴える

【画像】カッコイイガンダムベスト3が決定

【チーズダッカルビ】「数年後には日本発祥にされそう」韓国ネットが日本の韓国料理ブームに危機感★3

「喪主」とかいう、親が死んだら通らなければいけない関門wwwwww

初代牙狼の思い出

トッモ「ボーナス50万や、、クソやでほんま」ワイ「たしかに」

【明細】なんj民の冬のボーナス額wwwewwwwewwwwewwwewwwewwwewwwwe

【悲報】とろサーモン久保田、ガチのマジでリアルに終了する

back 過去ログ 削除依頼&連絡先