善子「千歌! どうしよう! リリーが大変なの!」back

善子「千歌! どうしよう! リリーが大変なの!」


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善子「千歌! どうしよう! リリーが大変なの!」
千歌「あれ、善子ちゃん? こんなところまでどうしたのー? 梨子ちゃんの家なら隣だよ?」
善子「そんなことわかっ――って、こんなことしてる場合じゃないの! いいから一緒に来て!」グイッ
千歌「えっ!? ちょ、ちょっと善子ちゃん!?」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
引用元:http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1518513615/
2 :
千歌「ど、どうしたの…? さっき梨子ちゃんがどうとか言ってた気がするけど…って、砂浜に梨子ちゃんが倒れてる!? なんで!?」
善子「気絶しちゃったの! 全然目を覚ます気配がなくて…どうすればいいの!?」
千歌「お、落ち着いて善子ちゃん! えっと、こういうときはやっぱり救急車…だよね!? あっ、ところで気絶した原因――」
善子「しいたけよ」
千歌「え、しいたけ!?」
善子「2人で散歩してたら物陰からいきなりしいたけが飛び出してきて…!」
千歌「それに梨子ちゃんが驚いて気絶しちゃったってこと? しいたけのやつ、朝から見かけないなーと思ったら砂浜にいたのか…」
善子「それから全然目を覚まさなくて…。血とかは出てないみたいだけど…頭を打ったりしたのかも! ねえ千歌、このままだとリリーが…!」
千歌「えっ!? えっと…」
善子「リリーに何かあったら、私…!」
千歌「ま、待ってて! 今すぐ家に戻って救急車を――」
梨子「ん…んぅ…」
千歌「あ! 梨子ちゃん!」
善子「リリー!?」
3 :
梨子「あれ…? 私…」
善子「大丈夫!? どこか痛いところとかない!?」
梨子「…? あぁ…そっか、私…しいたけちゃんに驚いて…」
千歌「ほんとにごめんね、うちのしいたけが…。あとでキツ〜く言っておくから!」
梨子「あれ、千歌ちゃん? どうして…?」
善子「わ、私が呼んだのよ。だってリリーってばなかなか目を覚まさないから…って、そんなことより身体の方は大丈夫なの!? やっぱり、念のため病院
に行った方が――」
梨子「うーん…特にどこか痛いってこともないし…ちょっと驚いただけだから…大丈夫よ。心配かけちゃってごめんね」
千歌「そっか…よかったよ〜」
善子「も、もう…ほんとに人騒がせなんだから…」
千歌「ほとんど善子ちゃんが勝手に騒いでただけだけどね」
善子「うっさいわよ! それと善子じゃなくてヨハネ! …って、リリー、どうしたの? キョロキョロしたりして」
梨子「いえ、私、たしか作曲のときに使うノートを持っていたハズなんだけど…ヨハネちゃん、知らない?」
善子「ああ、それなら多分あそこに落ちて…って、あら? リリー、あなた今…」
梨子「あ、ほんとだ。転んだ拍子に放り投げちゃったのかな。ごめんなさい、ちょっと取ってくるわね」
善子「あっ、まだ起きちゃ――」
千歌「ねぇ、善子ちゃん? 梨子ちゃん今…善子ちゃんのこと、ヨハネちゃんって呼ばなかった? しかも、リリーって呼ばれても普通にしてたよね?」
善子「え、ええ、そう…ね…」
千歌「もしかして…私たちの知らないところでまた何かあった?」
善子「な、何もないわよ! …ないんだからね!? ほんとうに何もないわよ!? そ、そう、何もあるはずが――ん? 待って、まさかさっきのは…」
千歌「ねぇ、善子ちゃーん? 聞いてるー?」
4 :
善子「だからヨハネ! ちゃんと聞こえてるから。でも、どうして…」
千歌「どういうこと?」
善子「多分、だけど…。リリーは今、もうひとりのリリーになっているのかもしれないわ」
千歌「いや、今はそういうのいいから」
善子「大真面目よ! てか酷くない!?」
千歌「え、そうなの…? いや、てっきりいつもの堕天使設定とかかと…」
善子「設定言うな! まったく、人を何だと思ってるのよ…」
千歌「えっと…ごめんね?」
善子「まあ、別にいいけど…」
千歌「それでその…さっき言ってたのはどういうこと?」
善子「ああ、それは…。そうね、スイッチが入る、とでも言うのかしらね。リリーはときおり、まるで別人格に切り替わったかのようになることがあるのよ

千歌「別人格…? 多重人格ってこと? そうは見えなかったけど…」
善子「いわゆる多重人格とかじゃないと思うわ。リリーはあくまでリリーのままよ。ただ、なんというか…性格が少し変わるというか…普段よりも自信に満
ちあふれた感じになるの」
千歌「ふぅん…。梨子ちゃんにそんな一面があったなんて…全然知らなかったよ」
善子「無理もないわ。そうなることは普段はないもの。ちなみに、ヨハネとマリーはその状態のリリーのことをギルティーモードと呼んでいるわ」
5 :
千歌「ぎ、ギルティーモード…? って、鞠莉ちゃんも知ってるの?」
善子「ええ。今までもGuilty Kissのライブや練習のときには大抵なっていたから。それでそう呼ぶようになったのだけれど…でも、それ以外の場面でその状
態になるのは私も初めて見るわ」
千歌「言われてみれば、ユニットのときの梨子ちゃんって雰囲気が全然違うもんね。そっか、そういうことだったんだ…」
善子「おそらく一種の自己催眠のようなものね。羞恥心を押さえ込もうとするあまり、理想とするもう1人の自分を無意識のうちに生み出して肩替わりさせよ
うとする。よくある話よ」
千歌「なんだか詳しいね、善子ちゃん」
善子「だからヨハネ! …フッ、堕天使たるもの、これくらいの知識は当然よ」
千歌「うーん、梨子ちゃんであって梨子ちゃんではない、か…。よくわからないけど…結局、梨子ちゃんは大丈夫…なんだよね?」
善子「まあ、何度もなっては戻ってるわけだし、大丈夫だとは思うけれど…」
千歌「けれど?」
善子「なにより問題なのはいざ元に戻ったとき…いえ、やっぱりその存在自体がちょっと怖いかもしれないわ」
千歌「怖いって…なんで?」
善子「ギルティーモードのリリーが何をしでかすのか分からないからよ」
千歌「しでかすって…大袈裟だよ(笑)」
善子「大袈裟なんかじゃないの。こういう場合、普段は心の奥に隠されている深層意識が増幅されて表に出てくるケースが多いのよ。正直まだ行動パターン
もよく分かっていないし…注意しておいた方がいいわ」
千歌「うーん、考えすぎだと思うけどなぁ…」
梨子「おまたせ。2人で何か話してたみたいだけど、何の話?」
千歌「えっ!? えっと…」
6 :
善子「新曲の振り付けが難しいわよね、って話よ。ね、千歌?」
千歌「え、あ、うん…」
梨子「あぁ…あそこのターン、難しいものね。私もあとで自主練しておかないと…」
善子「…それより私、そろそろ帰るわね。今ならバスの時間もちょうどいいし」
梨子「あ、うん…。せっかく遊びに来てくれたのにいろいろとごめんね、ヨハネちゃん」
善子「……。フッ、この堕天使ヨハネ、あれしきのことで動揺する器ではない故、問題ないわ。ではまた」
梨子「ええ。また明日、部室でね」
千歌「またねー、よし――」
善子「さっきの話だけど…とにかく、気を付けなさい。忠告はしたわよ」ヒソッ
千歌「あ、行っちゃった…」
梨子「じゃあ、私も部屋に戻ろうかな。今日は騒がせちゃってごめんね、千歌ちゃん」
千歌「う、ううん! 全然! それよりも、具合が悪くなったらすぐに言ってね?」
梨子「うん、ありがとう。じゃあ、また明日」
千歌「うん、また明日ー!」
千歌「うーん、善子ちゃんはああ言ってたけど…大丈夫…だよね?」
7 :
次の日
曜「あ、千歌ちゃん梨子ちゃん! おはヨーソロー!」
千歌「おっはよー」
梨子「ふふ。おはよう、曜ちゃん。今日も朝から元気いっぱいね」
曜「元気がとりえの曜ちゃんだからね! あれ、そういえば千歌ちゃん、今日日直じゃなかった?」
千歌「あっ、ヤバ! 忘れてた! ちょっと職員室行ってくる!」
梨子「いってらっしゃい」
曜「いってらっしゃ〜い! って…あの、梨子ちゃん?」
梨子「ん? どうしたの、曜ちゃん?」
曜「いやその…なんか…今日はやけに近くない?」
梨子「そう?」
曜「う、うん…。近いというか、むしろ密着してるというか…」
梨子「仲のいい女の子同士ならこのくらい普通でしょ?」
曜「う、うん、そう…だね?」
曜(このぴったりとくっついた感じ…まるで恋人同士みたいだなぁ…)
梨子「もう…私と曜ちゃんの仲じゃない。それとも曜ちゃんは…私とくっつくの、いや?」
曜「そ、そんなことないよ!」
曜(ドキドキしちゃうから離れて欲しい、なんて言えないよ…)
梨子「あれ? ところで曜ちゃん、なんか顔赤くない? もしかして熱でもある?」
曜「え? 別にそんなこと――」
梨子「ごめんなさい、ちょっと顔貸して?」
曜「わわわ、梨子ちゃん!?」
おでこピタッ
曜(!? か、顔近い! でも…やっぱり梨子ちゃんって美人だよなぁ…まつげもすっごく長いし…これで顔を赤くしないなんて無理だって!)
梨子「うーん、やっぱりちょっと熱いような…って、曜ちゃん?」
曜「…えっ? な、何、梨子ちゃん?」
梨子「やっぱりちょっとボーッとしてるみたいだし…今日も練習あるんだし、あまり無理はしないでね?」
曜「う、うん…」
梨子「何かあったら遠慮なく言ってね。大好きな曜ちゃんに何かあったら、私…」
曜「り、梨子ちゃん…ありがとう///」
8 :
ダイヤ「いきなり今日はユニット練習の日にしよう、などと言い出したから何事かと思えば…なるほど、そういうことでしたのね」
千歌「信じてくれるの?」
ダイヤ「にわかには信じがたい話ではありますが…」ちらっ
曜「えへへ…梨子ちゃん…うへへ」
ダイヤ「あのような姿の曜さんを見せられては信じないわけにはいきませんわね」
千歌「朝からずっとあの調子で…」
花丸「曜ちゃん、どうしてメガネなんかかけているずら?」
千歌「なんか、ああでもしないと梨子ちゃんを直視できない、だってさ」
果南「うわぁ…重症だね。まさに恋する乙女って感じ」
ルビィ「でもなんだかとっても幸せそう…」
ダイヤ「…ともかく、千歌さんが善子さんから聞いた話が本当であれば、ここは同じユニットである鞠莉さんと善子さんに任せるのが一番ですわ。わたくし
たちだってそれぞれのユニットでやらなくてはならないことがあるのです。いつまでも無駄に悩んで、時間を浪費しているわけにはいきませんわよ」
果南「…うーん、そうだね、じゃあ練習再開しよっか。まあ、鞠莉なら上手くやるでしょ。なんか察してた感じだったし」
ルビィ「だ、だといいけど…」
9 :
タッ…タッ…タッ…
果南「ほら、噂をすれば…って、鞠莉!?」
鞠莉「ソーリィ、みんな…」
花丸「鞠莉ちゃん、ボロボロずら!」
ルビィ「髪までほどけちゃってる!」
ダイヤ「ま、鞠莉さん! 一体何があったんですの!?」
鞠莉「私では…今のあの娘を止めることはできなかったわ…」
千歌「鞠莉ちゃん、それってまさか…!」
鞠莉「イグザクトリィ…。どうにかヨシコだけは逃がしたけど…見てのとおり、私はもう…」
梨子「ふふ、ダメよマリー。まだ途中だったのにいきなり走り出すなんて」
千歌「…梨子ちゃん!」
梨子「あら? みんな集まってどうしたの? 今日はそれぞれユニットで練習しているはずよね?」
ダイヤ「た、たまたま休憩時間が重なったのですわ。ちょうど、そろそろ練習を再開しようと思っていたところで…」
梨子「なるほど、そうだったんですね。ほら、マリー、邪魔しちゃ悪いわ。私たちも戻って続き、しましょ?」
鞠莉「ま、待ってリコ…髪は…髪だけはダメなの…! だってまだカナンにも触らせたことないし…」
果南「…なんでそこで私? それに私、鞠莉の髪なんて何度も触ったことあるよね?」
鞠莉「そ、それはちょっと意味とかニュアンスが違うっていうか…ねえ、リコにだってわかるでしょう…?」
梨子「もう、マリーってばシャイなんだから。それに、そんな他人行儀な呼び方じゃなくて、いつもみたいにリリーって呼んでくれていいのよ?」
鞠莉「いいえ…今はあえてこう呼ぶわ、リコ。いつものあなたに戻ってもらうためにも」
梨子「何のことを言っているかわからないけど…その話は髪を直してからゆっくり聞くわ。ほら、いい加減おとなしくして?」
千歌「…そもそも、どうして髪なの?」
梨子「練習を始めようとしたときに、マリーの髪がいつもより雑な編み方をされてるのに気付いたの」
果南(気付いた?)クルッ
ダイヤ(いいえ)フルフル
10 :
鞠莉「きょ、今日はたまたま…セットする時間があまりなくて、だから…」
梨子「理事長のお仕事が忙しいのはわかるけど…だからってまともに櫛も入れずに編んだら痛んでしまうのはマリーだってわかっているでしょう? これか
ら練習で汗だってかくんだし、そのままにしておくのはよくないわ」
鞠莉「そ、それは…そうだけど…」
梨子「そうだわ、いっそ果南ちゃんと同じポニーテールにしてみるのはどうかしら。動きやすいし」
鞠莉「か、カナンと同じ髪形に? ごくり…」
果南「…鞠莉?」
梨子「決まりね。まず手櫛でほぐして整えてあげるわ。動いちゃダメよ」
鞠莉「あっ、ちょっと待っーあひゃっ!?」
梨子「やっぱり金髪って綺麗よね…」サワサワ
梨子「1本1本が光を反射して…まるで本当に輝いてるみたいだわ」
鞠莉「あっ…あんっ…人に髪を触られるって…あんっ! んんっ…なんか…変な気分…んっ!」ブルッ
梨子「固くなってるここを…こうして…」スルッ
鞠莉「んっ! あっ…! ダメ…そ、それ以上は――」
梨子「はい、結べたわよ。これで果南ちゃんとお揃いね」
鞠莉「――しゃ、シャイニー!」バタッ
11 :
千歌「ああっ! 鞠莉ちゃん!?」
ダイヤ「は、話には聞いていましたが…この少し強引な感じは…」
ルビィ「見た目は梨子ちゃんだけど…」
花丸「中身はまるで別人ずら…」
千歌「そう? 梨子ちゃんってたまに強引なことあるよ?」
果南「それは千歌がなかなか歌詞書かないからでしょ」
千歌「うっ…」
花丸「なんて言ってる間に…」
ルビィ「こ、こっち来る!」
ダイヤ「い、いけませんわ! みなさん、下がってください! ここはわたくしが――」
梨子「ダイヤちゃん」ニコッ
ダイヤ「!?」
12 :
梨子「私ね、前から思っていたんです。ダイヤちゃん」
ダイヤ「り、梨子さん…?」
梨子「ほら、それです」
ダイヤ「ど、どれですの!?」
梨子「年下にも必ずさん付け、しかも丁寧語。真面目でおしとやかなダイヤちゃんらしくていいとは思いますけど…堅すぎるとは思いませんか?」
ダイヤ「いえ、これはなんというか、長年の癖のようなものでして…」
梨子「でしたら練習しましょう」
ダイヤ「練習…? 呼び名を変える練習、ということですか?」
梨子「はい」
ダイヤ「い、今さらそのようなことを言われても…」
梨子「ぶっぶーですよ、ダイヤちゃん。挑戦もせずに諦めるなんて、何事にも妥協せずに全力を尽くすダイヤちゃんらしくないです」
ダイヤ「!? た、たしかにそのとおりですわ…」
梨子「ほら、練習しましょ? …そうですね、手始めに私のことをちゃん付けで呼んでみてください」
ダイヤ「…わ、わかりましたわ」
(すーはーすーはー)
ダイヤ「い、いきますわ! り…」
梨子「り?」
ダイヤ「り…梨子…ちゃ…」モジモジ
梨子「ごめんなさい。よく聞こえませんでした。もう一度言ってもらってもいいですか?」
ダイヤ「う、うう…」
梨子「ほら…早く?」
ダイヤ「…り、…り、…梨子ちゃん!」
梨子「はい、ダイヤちゃん」ニコッ
ダイヤ「……////」
梨子「ほら、言えたじゃないですか」
ダイヤ「…と、当然ですわ。やればできないことなどありま――」
梨子「本当に…よくできましたね。とっても偉いですよ…ダイヤちゃん」耳元ササヤキ
ダイヤ「はぁぅ…」ふらっ
バタンッ
ルビィ「お、お姉ちゃーー」
13 :
梨子「ねえルビィちゃん」
ルビィ「ピギッ! り、梨子ちゃん!?」
果南「早い! 倒れるダイヤに気を取られたあの一瞬でルビィちゃんに詰め寄るなんて!」
梨子「ルビィちゃん、私って…魅力、ないのかな…」
ルビィ「え…そ、そんなことないよ! 梨子ちゃんとってもきれいだし、優しいし…」
梨子「ありがとう。でも、ルビィちゃんてば2年生の中だと千歌ちゃんや曜ちゃんとばかり一緒にいるんだもの。私、ちょっとだけ寂しいわ」
ルビィ「そ、それは…その…同じユニットってのもあるし…その…」
梨子「私ね、もっとルビィちゃんに甘えてもらいたいな」だきっ
ルビィ「わ、わわっ! 梨子ちゃんくすぐった…い、いい…におい…それに…なんかやわらかいよぅ…」トロン
梨子「ほら、その可愛いお顔をもっと見せてちょうだい?」
ルビィ「り…梨子ちゃ…」
梨子「ふふ、なあに?」
ルビィ「梨子…お姉さまぁ…」クテッ
14 :
千歌「す、すごい…黒澤姉妹があっという間に陥落するなんて…」
果南「まあ、ダイヤは案外ちょろいところがあるからあれだけど…とはいえ、あんなに顔赤くしたダイヤを見たのは初めてだよ」
花丸「ルビィちゃんに至っては瞬殺だったずら…」
果南「ていうか…よくわからないけど、とりあえず逃げた方がいいかもね」
千歌「う、うん。えっと、曜ちゃんは――」
曜「ああ…梨子ちゃん…」
千歌「…ほっといても大丈夫そうだね」
花丸「頬を染めながらこれ以上ないほどのにやけ顔で梨子ちゃんを眺めているずら。ご満悦ずら」
果南「ほら、そうと決まったら早く行くよ千歌! 花丸ちゃんも!」
千歌「わ、わかった!」タッ
花丸「わ、待ってほしいず――」
ガシッ
花丸「ずらっ!?」
15 :
梨子「花丸ちゃん。実は私、花丸ちゃんにちょっと相談したいことがあるんだけど…いいかな?」
花丸「そ、そそそ相談ずら!?」
梨子「うん。あのね、本のこと…なんだけど」
花丸「…ほ、本?」
梨子「花丸ちゃんって、いつもどんな本を読んでるのかな?」
花丸「まるは…わりとどんな本でも読む…けど…」
梨子「じゃあ、恋愛の本とかも読んだりする?」
花丸「い、一応読むこともあるずら…」
梨子「あのね、私も恋愛に関する本をよく読むんだけど、それについて語れる相手がいなくて、ちょっと寂しいなって思ってて…」
花丸「……! わ、わかるずら! 本を読むこと自体が楽しいのはもちろんだけど、その感動を誰かと共有できたらもっと楽しいなと思うその気持ち、その
もどかしさ! 痛いほどわかるずら!」
梨子「ありがとう、花丸ちゃんならきっとわかってくれるって思ってたの」
花丸「まるでよければ話し仲間になるよ。それで、梨子ちゃんがよく読むのはどんな本なの?」
梨子「あ、ちなみに本と言ってもほとんどマンガなんだけど…」
花丸「本に貴賤はないずら。マンガも等しく本に違いないずら」
梨子「よかった。はい、こういう感じなの」
花丸「こ、これは…! 一般的なものよりすごく薄くて…本、というよりは…冊子? でもそのわりにはちゃんと装丁されてるし…読んでみてもいいずら?

梨子「もちろん」
ぺらっ
17 :
花丸「えっと…」
花丸「ふむふむ…」
花丸「…ずら?」
花丸(これってもしかして…女の子同士の恋愛を描いた、いわゆるガールズラブと呼ばれるもの…?)
梨子「花丸ちゃん…どう…かな?」
花丸「…衝撃ずら」
梨子「引いちゃった…?」
花丸「いや、そうじゃなくて…まるの知らない世界が広がっているというか…わ、わわわ…こんなことまで…!?」
梨子「そのくらいなら、今どきの少女マンガならそこまで珍しくもないと思うけど」
花丸「まる、実は少女マンガってあまり読んだことがなくて…。たまに、ルビィちゃんに読ませてもらうことはあるけど…」
梨子「まあ、これは厳密には少女マンガではないけどね」ボソッ
花丸「ん? 梨子ちゃん?」
梨子「あ、ちなみにこっちにもあるんだ」ドサッ
花丸「こ、こんなに!? これ全部こんな感じのマンガなの?」
梨子「そうよ」
花丸(未知の世界がこんなにたくさん…も、もっと読みたいずら…!)
花丸「あ、あのう、梨子ちゃん…えっと…」そわそわ
梨子「よかったら――」
花丸「……!」
梨子「花丸ちゃんさえよければ、家でじっくり読んで、感想とか聞かせてもらえると嬉しいな」
花丸「!! わ、わかったずら! お借りして、早家に帰って読むずら! じゃあまるはこれで!」バッ
スタタタッ…
梨子「花丸ちゃん、楽しんでくれるといいなぁ」
19 :
カツッ…カツッ…
果南「来たね、梨子ちゃん…」
梨子「もう、そんなに構えないでください。何もしませんよ」
果南「可愛い後輩の言葉だし、信じてあげたいところだけど…今はちょっと無理かな」ギロッ
梨子「うっ…そんな…酷い…」ぐすっ
果南「うっ…ま、待って! ごめん、泣かせるつもりはなかったんだけど…つい力が入っちゃったというか…」
梨子「うぅ…」
果南「ああもう、ほら…こっちおいで」
果南「ハグ…しよ?」
ぎゅっ
21 :
梨子「果南ちゃん…あったかい…」
果南「落ち着いた?」
梨子「…はい。ごめんなさい、取り乱しちゃって…」
果南「こっちこそごめんね。梨子ちゃんだっていろいろあって不安なはずなのに…」
梨子「……」はぐぅ
果南「……」はぐぅ
梨子「果南ちゃんはやっぱり…Aqoursのお姉さんだよね」
果南「ははっ、なにそれ」
梨子「なにかあったらすかさずフォローしてくれるし、自由に振る舞っているように見えて、いつもみんなのことを気にかけているし…」
果南「まあ…3年生だしね。誕生日は私が一番遅いんだけど…。千歌の『お姉ちゃん』は昔からやってるし、言ってみれば、他のみんなも私の妹みたいなもの
だよ」
梨子「でも、果南ちゃんは今のままでいいの?」
果南「ん? どゆこと?」
梨子「マリーに聞いたの。昔の果南ちゃんは誰よりも積極的にスクールアイドル活動に取り組んでいた、って」
果南「鞠莉のやつ…」
22 :
梨子「今は、どこかみんなを見守るような役目に徹してるけど…本当は、いちばんスクールアイドルであることを楽しみたいと思っているのは果南ちゃんじ
ゃないのかな、って」
果南「べ、別にそんなこと…。それに、私はちゃんと楽しんでるよ。そりゃ、たしかに昔のAqoursは私にとって特別だけど…。今のAqoursだってもちろん大
好きだよ。9人だからこそできることだってあるしね」
梨子「果南ちゃんは、もっとわがままを言ってもいいと思うな」
果南「わがまま?」
梨子「そう、わがまま。前に、昔果南ちゃんが書いた歌詞をマリーに見せてもらったことがあったんだけど…すごくアイドルっぽい、ポップでキャッチーな
ものばかりで…」
果南「まぁーーーーーりぃーーーーー?」
梨子「そのときにふと思ったの。果南ちゃんにはまだ、やりたいことがあるんじゃないか、って」
梨子「そりゃ、ないって言ったら嘘になるけど…」
梨子「じゃあ、聞かせて?」
果南「そ、それはちょっと恥ずかしいかな…」
梨子「よければ、私、果南ちゃんの歌詞に合わせた曲だって作るよ? せっかくこうして同じグループになれたんだし、果南ちゃんがやりたかったことや思
い描いていたことを、もっと知りたいの」
果南「いや、ちょっとーー」
梨子「あ! なんなら曜ちゃんにお願いして、これぞアイドル! って感じのフリフリヒラヒラな衣装も用意してもらって――」
果南「う…海! 海が私を呼んでるから! じゃあ梨子ちゃん、私はこれで!」ダッ
梨子「って、あら…逃げられちゃった…」
23 :
梨子「あ、千歌ちゃん。ここにいたのね」
千歌「り、梨子ちゃん…? いつもの梨子ちゃんに戻った…の?」
梨子「どうしたの、千歌ちゃん? 私は私よ?」
千歌「そ、そうだよね! ごめんね、変なこと言って」
梨子「ううん。…隣、いい?」
千歌「うん」
梨子「やっぱり綺麗ね…ここからの眺め」
千歌「うん…。普段は練習に気を取られてばっかりで、のんびり眺めてる暇なんてないけどね」
梨子「それだけ頑張って練習に取り組んでるってことよ。自信持たなきゃ」
千歌「そう…かな…」
梨子「…あのね、千歌ちゃん。私ね…ずっと思っていたことがあるの」
千歌「梨子ちゃん…?」
梨子「千歌ちゃんはそう思えてないかもしれないけど…千歌ちゃんはとても頑張ってると思う。むしろ、頑張りすぎてて周りが心配になるくらいに」
千歌「……」
梨子「だから、たまには休まない? ちょっとだけでもいいの。大丈夫、今はきちんとした目標があるもの。それを実現するための、ただのひとやすみ。そ
れならいいでしょ?」
千歌「でも…」
24 :
梨子「私はね…ピアノから一度離れて、スクールアイドルに打ち込むことでまたピアノと向き合うことができた。きっかけをくれた千歌ちゃんには本当に感
謝してるの」
千歌「そんな、感謝だなんて…。それに梨子ちゃんはきっと、私がいなくても――」
梨子「ううん。あのままじゃ私、ピアノを嫌いになってたかもしれない。コンクールのときだって、スクールアイドルを言い訳にしてピアノを投げ出そうと
してた。でも、千歌ちゃんが背中を押してくれたから、私はもう一度壇上に立つ決意ができたの。全部、千歌ちゃんのおかげよ」
千歌「梨子ちゃん…」
梨子「だからね、私、千歌ちゃんに恩返しがしたい」
千歌「恩返しだなんて…そんなのいいって! むしろ私こそ、作曲ができる梨子ちゃんに入ってもらえて大助かりだったのに」
梨子「クスッ…そう言うと思った。だから、恩返しとまではいわなくても…何かお手伝いできたらな、って思うんだけど…どうかな?」
千歌「お手伝い?」
25 :
梨子「そう。千歌ちゃんがスクールアイドルを始めようと思ったのは、輝きたいから、なんだよね?」
千歌「うん」
梨子「その輝きは多分、千歌ちゃんにしか見つけられないものだけど…輝きにもいろいろあるし、スクールアイドルをやっているだけでは見つからない輝き
も、あると思うの」
千歌「たしかに…」
梨子「だから、たまにはスクールアイドル以外のことに目を向けるのもいいんじゃないかって思うの。スクールアイドルとしての今後の活動にも幅が出るか
もしれないでしょ?」
千歌「うーん、スクールアイドル以外のこと、か〜。スクールアイドルと出会ってからは、そんなこと考えたこともなかったなあ」
梨子「たとえばだけど…恋愛なんかはどう?」
千歌「恋愛か…。でも前にも言ったけど、別に私、好きな人なんていないよ?」
梨子「別に本気の恋愛じゃなくてもいいの。擬似的な体験からでも、何かが見えてくるかもしれないでしょ?」
千歌「そういうもの…かなあ?」
梨子「恋はするものではなく、堕ちるもの。そう言われることもあるけれど…恋愛にはいろいろな形があるし、自然に恋をするだけがすべてじゃない。そう
は思わない?」
千歌「え、えっと…私まだそういうのはよくわから――」
梨子「だから試しに、まずは私と…」くるっ
千歌「え、梨子ちゃん…?」
ドンッ
千歌「あ、あうーー///」
クイッ
梨子「少女以上の恋、してみましょう?」
26 :
???「そこまでよ!」
梨子「…あら、ヨハネちゃん。遅かったじゃない」
千歌「ふにゃ〜///」ドサッ
善子「…そのようね。ごめん千歌…」
梨子「ごめんね千歌ちゃん。ちょっとの間だけ、ここで寝ててね」そっ
千歌「すぅ…すぅ…」
梨子「それで…ヨハネちゃんはどうしてここに?」
善子「当たり前でしょ、リリーを探してたのよ」
梨子「ふぅん…。ところでその格好…わざわざ着替えに行ってたの?」
善子「これは堕天使ヨハネとしての正装…もとい聖装よ。今日こそ堕天使の真の力を見せてあげるわ!」
梨子「あら怖い。何をするのかしら」
善子「当然、リリーを止めるわ」
梨子「止めるって、私はただ、みんなと仲良くしたいだけよ。それの何が問題なの?」
善子「みんなと仲良くしたい…なるほど、それがリリーの心の内に秘めた願望なのね。だけど…」
27 :
善子「リリーが求めていた友情は、本当にこんなものなの?」
梨子「友情の形は人それぞれでしょう?」
善子「限度ってものがあるわよ! みんなを片っ端から口説き回って!」
善子(このヨハネというものがありながら!)
梨子「口説くだなんて人聞きの悪い。…ていうか見てたの?」
善子「ちょ、ちょっとだけ…」
善子(雰囲気がアレすぎて、毎度毎度出ていくタイミングが掴めなかったのよ!)
善子「と、とにかく! 観念なさいリリー! このヨハネが今すぐ浄化してあげるわ!」
梨子「うーん、私にはヨハネちゃんと戦う理由なんてないけど…でも、いいわ。邪魔をすると言うのなら、相手になってあげる」
善子「フッ、この堕天使ヨハネに敵うと思っているの?」
梨子「愚問ね」
善子「…どういうこと?」
梨子「だって、あなたを召喚したのは他でもない…私でしょう?」
善子「…フフ。いいわ、今日だけはそういうことにしておいてあげましょう」
善子(とは言ったものの…具体的にどうするか考えてなかったのよね。いくつか候補はあるけど…)
梨子「善子ちゃんが来ないなら…まずは私からいかせてもらうわね?」
カツッ…カツッ…
善子「…………」
梨子「威勢がよかった割には何もしないのね? 虚勢だったのかしら?」
キュッ
梨子「ふふっ…。ヨハネちゃん、私とも……堕天、しましょう?」
壁ドン&顎クイッ
善子「…………」
29 :
ガシッ
善子「捕まえたわよ、リリー」ニヤッ
梨子「…あら」
善子「甘いわね、私にいまさらこんな攻撃が効くと思っているの?」
梨子「…そのわりには顔が真っ赤よ、ヨハネちゃん」
善子「う、うるしゃいわよ! こんな至近距離で顔近づけたら恥ずかしいに決まってるじゃない!」
梨子「だったらよせばいいのに…」
善子「堕天使にはね、引いてはいけないときがあるのよ! そして、それはまさに…今!」
善子(こうなったらヤケよ! 意地でもリリーを元に戻して見せる!)
善子「いくわよリリー、ヨハネともっと堕天させてあげるわ!」
梨子「え、さっき浄化って――」
ちゅっ
梨子「!」
梨子(…って、なんだ、ただのキスじゃない。こんなのいつもして――)
善子「れろっ…」
梨子「…んっ!?」
31 :
梨子(し、舌!? ヨハネちゃんの舌が、私の唇を割って入ってきて…しかも、口の中をすみずみまで這っていく…!?)
善子「ちゅぴ…るらぁ…んぶっ」
ちゅぽっ…
梨子「はぁ…はぁ…はぁ…」
善子「はぁ…はぁ…これを…元のリリーに、戻るまで…何時間でも…続けてあげるわ…」
梨子「な、何時間…でも!? ちょ、ちょっと待ってヨハネ――」
善子「善子よ!」
梨子「んっ!?」
梨子「ん〜〜〜〜〜!」
…数分経過
善子「ちゅぷ…んん…れろ…ちゅぱぁ…」
梨子「んっ…んう…んんっ!」
梨子(だ、ダメ、息が…。だんだん、身体に力が入らなくなって…これ以上は…もう…意識…が…)
梨子「ふあぅ…」バタッ
善子「はぁ…はぁ…これが堕天使の…真の…力よ…」
梨子「…………」
善子(私の無駄に多い肺活量がこんなことに役立つとは正直思ってなかったけど…今はそれに感謝するべきかしら)
善子「…そうだわ。念のため、リリーが目を覚ましたときに元に戻っているように、おまじない…もとい、儀式でもしておこうかしら」
そっ
善子「ゆっくりとおやすみなさい、リリー…」
ちゅっ
32 :
梨子「ハッ!?」
梨子「…………」キョロキョロ
梨子「私の…部屋…? そ、そうよね。全部ゆめ――」
窓の外(梨子ちゃーん! 起きてるー?)
梨子「この声は…」
ガラガラッ
梨子「千歌ちゃん! おは――」
千歌「あっ、梨子ちゃん! よかった、今度こそ元の梨子ちゃんに戻ったんだね! 善子ちゃんに聞いてはいたけど心配で心配で――」
梨子「…千歌ちゃん? も、戻った…と、いうことは…やっぱりあれは全部、夢じゃなくて、げん…じつ…?」
千歌「…梨子ちゃん?」
梨子「い…」
千歌「い?」
梨子「いーーーーーーーやぁーーーーーーー!!!」
このあと滅茶苦茶引きこもった。
おわりこ
38 :
|c||^.-^||乙ですわ
39 :

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