男「スーパーマリオブラザーズ1-1を一発クリアできたら1000万円!? ただし……」back

男「スーパーマリオブラザーズ1-1を一発クリアできたら1000万円!? ただし……」


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1 :
男「お〜い、新作の対戦ゲーム買ってきたぞ!」
オタク「おお〜、発売日に買ってくるとはさすがだねえ」
男「そりゃそうさ! ゲーム同好会がこのゲーム買わないでどうするってんだ!」
イケメン「ボクたちは三度の飯よりゲームが好きだもんね」
茶髪「俺も参加させてもらうぜ! 必修の講義あるけど知ったことか!」
眼鏡女「……留年しちゃうよ?」
茶髪「いんだよ! 留年したって! 大学は8年間いれるし!」
男「講義なんざうっちゃって、みんなでゲームしよう!」
イェーイッ!
引用元:http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1514566819
8 :
ワイワイ… ワイワイ…
男「あ、くそっ! やるなぁ!」
オタク「ぐふふっ、同好会ナンバーワンの座は譲らないよ」
茶髪「ちくしょーっ!」
『フフフ、楽しそうですね……』
男「ん? 誰か何かいったか?」
イケメン「ボクは何もいってないよ」
茶髪「気のせいだろ?」
『あなたたちのような方と、ぜひゲームを楽しんでみたい……』
眼鏡女「いえ……知らない声が聞こえる……」
オタク「なんだよ、これぇ!?」
男「誰だ!?」
『私の世界へご招待しましょう!』
ブワォッ!!!
12 :
男「なんだ、ここは……!?」
イケメン「ゲーム同好会のサークル室ではないようだね……」
悪魔「ようこそ、私の“家”へ」
男「なんだお前は!?」
悪魔「私はゲーム好きの悪魔です。あなたがたと同類ですね」
悪魔「だからこそ皆さんと波長が合い、こうしてお会いできたのですが」
オタク「あ、悪魔!? ひいいいっ……!」
茶髪「悪魔なんかが俺たちになんの用だ!?」
悪魔「あなたがたとゲームを楽しみたいと思いまして、お呼びしたんですよ」
16 :
男「どんなゲームをしようってんだ?」
悪魔「これです」
オタク「これは……ファミコンだぁ!」
悪魔「ソフトは……『スーパーマリオブラザーズ』」
男「マリオ1ってやつか」
悪魔「あなたがた、プレイした経験は?」
男「世代じゃないけど、ある」
オタク「ボクもあるよぉ〜」
イケメン「リメイクされたバージョンなら……」
茶髪「俺もだ!」
眼鏡女「実況動画を見たことならあります……」
悪魔「さすがゲーム同好会の皆さん。ならばゲーム内容の説明はしなくて結構ですね」
悪魔「ではさっそく、“私とのゲーム”についてご説明しましょう」
悪魔「もしも、このゲームの1-1を一発クリアできたら、1000万円差し上げましょう」
男「1000万!?」
悪魔「ただし……」
18 :
悪魔「もしミスをした場合、その方の魂を頂きます」
茶髪「魂? そしたら俺たちはどうなるんだよ!?」
悪魔「その方は死にます」
男「死……!」
悪魔「ああ、それと……1-1には一ヶ所土管でワープできる場所がありますが」
悪魔「そこを使うのはナシとさせて下さい。いくらなんでも簡単すぎになってしまいますから」
オタク「もし間違って入っちゃったら?」
悪魔「その時は、もう一度スタート地点から、ということで」
悪魔「五人のうち、参加する人のみ一人ずつプレイして頂きます。さあ、いかがいたしますか?」
19 :
男「……どうする?」
茶髪「俺、やるぜ! 1-1なんて楽勝だし、1000万もありゃ気兼ねなく留年できるってもんだ!」
オタク「ボクもやるよぉ〜。マリオ1なら何度もクリアしたし」
イケメン「だったらボクもやろうかな」
男「んじゃ、俺も!」
男「お前は?」
眼鏡女「みんながやるんなら、私も……」
男「よっしゃ、決まり! 悪魔さん、全員参加だ!」
悪魔「分かりました。五名とも参加、ということで」ニッコリ
22 :
男「一応聞いておくけど、悪魔さん」
悪魔「なんでしょう?」
男「五人ともクリアしたら、5000万円もらえるってことでいいんだよな?」
悪魔「もちろんです!」
男「よぉーし、みんなで5000万円ゲットしよう!」
オーッ!!!
悪魔「フフフ……」
29 :
悪魔「電源を入れました。どなたからチャレンジしますか?」
男「えーと……どうする? 誰からいく?」
オタク「自信はあるけど、一番手はちょっとぉ〜」
眼鏡女「私も……」
茶髪「じゃあ俺がやってやるぜ!」
悪魔「分かりました……ではコントローラーをお持ち下さい」
茶髪「よっしゃあ!」
32 :
テレッテッテテッテッテ♪
茶髪(これをクリアしたら1000万……! 楽勝だ……!)
茶髪(ただでさえ遊ぶための大学生活で、さらに遊びまくれる……!)
茶髪(だけど失敗したら……)
茶髪(失敗したら……)
茶髪(死……)ゴクッ…
34 :
茶髪「あ、あああ……」ガタガタ…
男「どうした? 昔のマリオって時間制限あるから、急がないと」
茶髪「そ、そうだな!」
茶髪(や、やべえ……コントローラー持ったとたん、急に恐ろしくなってきた!)ガタガタ…
茶髪(震えが止まらねえ!)ガタガタ…
悪魔「タイムアップによるミスも、もちろんアウトですよ」
男「だってよ! 進まないと!」
茶髪「そ、そうだよな!」
37 :
茶髪(だいぶ時間を消費しちまった……大急ぎでクリアしないと!)
茶髪「うおおおおおおおっ!!!」
タタタタタッ
オタク「ちょっと! ストップ!」
男「何やってんだ! ジャンプしろ、ジャンプ!」
イケメン「最初のクリボーにぶつかるぞっ!」
テレッテテレッテレ♪
男(クリボーにぶつかって……マリオが死んだ……)
43 :
茶髪「」シーン…
男「死んでる……」
オタク「ウソだろぉ〜!?」
イケメン「そ、そんな……」
眼鏡女「ホントに死ぬなんて……」ガタガタ…
男「てめええっ!!!」ガシッ
悪魔「なんですか?」
45 :
男「あいつ、死んでるじゃねえかっ!」
悪魔「だからいったではないですか。ミスしたら死ぬって」
男「生き返らせろ!」
悪魔「無理ですよ。彼の魂は私のものになりました」
男「殴られたいのか!?」グッ
悪魔「人間には私を殺せませんし、たとえ殺しても彼は生き返りませんよ」
男「ぐ……!」
悪魔「ちなみにもう参加表明は済んでますから、今から辞退となるとミスと同じ扱いになります」
悪魔「つまり、死にます」
悪魔「その方が私としてはありがたいのですが、どうしますか?」
男「うぐっ……!」
47 :
オタク「次はボクがやるよぉ〜!」
男「オタク!」
オタク「ゲーム同好会で一番ゲームが得意なボクがあっさりクリアして」
オタク「みんなの緊張をほぐしてみせるよ」
男「オタク……」
悪魔「素晴らしい。見た目はともかく、勇気ある心の持ち主のようです」
オタク「見た目はともかくってなんだよ」
悪魔「フフッ、これは失敬。ではプレイして頂きましょう」
オタク「オーケイ」
51 :
テレッテッテテッテッテ♪
オタク「いくぞぉ〜」
タタタタッ ピョーン ピョーン
男(いいぞ、さすがオタク! キノコを取って、クリボーもかわしてる!)
男(だけど、やっぱり命がかかってるからか、プレイがぎこちない!)
男(焦るな……いつものお前なら8-4までだってノーミスでクリアできる!)
52 :
オタク「ここに1UPキノコがあるんだったよな……」
オタク「!」
オタク(しまった! 取り損ねた1UPキノコが、どんどん地面を走っていく!)
オタク(ボクとしたことがぁ!)
タタタタタッ
男「!?」
男「おい、何やってんだ! 無理に追いかけ――」
男「あ」
男(1UPキノコを追いかけたマリオが、穴に転落した……)
54 :
オタク「」
男「オタクゥゥゥゥッ!」
イケメン「オタク君!」
眼鏡女「いやぁぁぁ……っ」
悪魔「あーあ、一発勝負だから1UPキノコ取ったところで意味がないのに」
悪魔「ゲームが得意ゆえにアイテムを逃さない完璧なプレイをしようとした……それゆえの自滅ですね」
悪魔「きっとマリオ以外のゲームでも、コンプリート要素があれば完璧にこなさないと」
悪魔「気が済まないタイプだったのでしょうね」
悪魔「たとえば、RPGのダンジョンで正しい道を選んだら引き返す、という具合に」
男「ぐっ……!」
57 :
悪魔「さて、次は誰がいきます?」
イケメン「次はボクだ!」
男「イケメン……ちょっと時間を置いた方が……」
イケメン「大丈夫、二人の犠牲があって、かえって冷静になれたよ」
イケメン「残る三人は必ずクリアしよう!」
イケメン「そして……可能なら悪魔と交渉して死んだ二人を生き返らせてもらうんだ」ボソッ
男「……ああ!」
悪魔「……」ニヤニヤ
58 :
タタタタッ ピョーン ピョーン
イケメン(よし、チビマリオではあるけどコースの真ん中まで来た!)
イケメン(ここでスターを取って、一気にゴールまで駆け抜ける! スターは絶対取る!)
イケメン「あっ!」
イケメン(スターが跳ねていく! 追いかけないと!)
男「焦るな! クリボーとノコノコがいるぞっ!」
イケメン「しまっ――」
テレッテテレッテレ♪
59 :
男「イケメン!」
眼鏡女「イケメン君!」
イケメン「ボク……将来はスターになりたかったんだ……」
イケメン「だから、どうしてもスターを……」ガクッ
男「ああっ……!」
眼鏡女「いやぁぁぁぁぁっ!」
悪魔「これで残り二人。さて、どちらからプレイしますか?」
男「じゃあ俺――」
眼鏡女「私がやる……」
男「!」
眼鏡女「最後になるのは嫌だから……」
悪魔「分かりました。ではあなたからにしましょう」
60 :
イケメンらしい死に様
61 :
眼鏡女「……」
男「どうした? なんで進まないんだ?」
眼鏡女「ごめん……怖くて……」
男「怖くて……ってタイムアップになっちまうぞ! 右に進ませなきゃ!」
眼鏡女「ごめんね……」
男「やっぱり俺が――」
悪魔「おっと! 今からコントローラーをチェンジしたら二人ともミス扱いにしますよ」
男「てめえ、どこまで悪魔なんだ!」
悪魔「なにしろ悪魔ですから」
62 :
悪魔「残り時間あとわずか。BGMがスピードアップしましたよぉ」
男「おいっ! マリオを動かせ! 動かすんだ!」
眼鏡女「ごめんね……ごめんね……」
眼鏡女「お願い……どうか……クリアして、ね……」
男「分かった! 必ずクリアしてやるっ!」
ガクッ…
63 :
男「……」
悪魔「四人もお仲間に死なれてショックでしょう。少し休みますか? 追悼したいでしょうし」
男「いや、今すぐやるよ」
悪魔「ほう、いい顔をしている」
男「必ず1-1をクリアしてやる。あいつらの分まで!」
悪魔「素晴らしい……! あなたのその心意気だけで、1000万円をあげたくなりますよ」
男「ほざきやがれ」
男「ゲームスタートだ!」
66 :
タタタタッ ピョーン ピョーン
男(クリボーかわして、キノコ取って……)
男(1UPキノコは無視、ファイアフラワーゲット……)
悪魔「順調ですね。しかし、大きいマリオでも穴に落ちたら死にますからねえ」
男「……」
悪魔「コインのブロックは叩かないんですか? そんな余裕ありませんか?」
男(悪魔のヤジに惑わされるな……)
男(敵は全部ファイアボールで処理して……穴も落ち着いて越える)
男(よし、ゴールまであとわずか!)
69 :
ズオオオオッ ウイーン…
男(なんか変な音が聞こえるが、気にするな)
男「最後の階段登って……」
男「ジャンプ!!!」
ピョーンッ
男(やった! クリアだ!)
プツンッ…
男「えっ!?」
72 :
!?
73 :
ズオオオオッ ウイーン…
男「画面が……消えた」
悪魔「どうやら、私のお母さんの掃除機がファミコンのコードに引っかかってしまったようですねえ」
男「は?」
悪魔「ファミコンの天敵はお母さんの掃除機。これはファミコン世代の人間にとって常識です」
悪魔「掃除機にぶつからないよう、ファミコンを移動させるべきでしたね」
男「ふざけんな……! こんなのノーカンだろ!」
悪魔「いいえ、これは掃除機の接近に気づかなかった、あなたの“ミス”です」
男「なにいってやがる……!」
男「んなこといったら、てめえがファミコンの本体蹴るのだってありじゃねえか!」
男「てめえ、最初からクリアさせる気なんかなかったんだな!」
悪魔「当たり前でしょう。私は悪魔ですよ?」
男「この……クズ野郎が!」
悪魔「お褒めの言葉をありがとうございます」
悪魔「さぁ、ゲームは終了です! あなたの魂も頂きましょうか!」
74 :
ドカッ!
悪魔「いてっ!」
悪魔母「いつまでゲームやってんだい、このバカ! 掃除の邪魔だよ!」
悪魔「バカってひどいや! 人間から魂を奪ってたんだよ! 悪魔の生業じゃないか!」
悪魔母「こんなアンフェアなハメルールでかい!? クソゲーもいいとこだよ!」
悪魔母「人間にもちゃんとチャンスや勝利の可能性があるルールで人間から魂を奪ってこそ」
悪魔母「より絶望に満ちた魂を得られるんだろうが! なんも分かってないねえ、あんたは!」
バキッ! ドゴッ! ガンッ!
悪魔「や、やめてっ! 掃除機で殴らないでよぉ!」
悪魔母「息子じゃなかったら、ブチ殺してるところだよ!」
ガツンッ!
75 :
悪魔母「大丈夫かい?」
男「は、はい……」
悪魔母「すまなかったねえ、お仲間の魂はすぐ戻すからね」
悪魔母「あたしら悪魔にも悪魔なりの仁義はあるってのに、あのバカは……まったく」ギロッ
悪魔母「あと少なくて悪いけど、これは迷惑料だよ、取っといて」クシャッ
男「ど、どうも……」
悪魔母「じゃ、元の世界に帰すからね!」
ブワォッ!!!
サーテ、オシオキダヨ! ユルシテオカアサン… ギャァァァァ…
…………
……
76 :
男「……ん」
オタク「あれ……」
イケメン「ここは……」
茶髪「ゲーム同好会の部室だ……」
眼鏡女「今のは……夢?」
77 :
オタク「今、なんか変な夢を見てたよ!」
イケメン「ボクも! スーパーマリオの1-1をプレイする夢! スター追いかけてミスしたけど!」
茶髪「俺もだ! 俺なんかビビって真っ先に死んでたぜ!」
眼鏡女「私も……」
眼鏡女「夢だったのね……。みんな、無事でよかった……」
ワイワイ…
男「……」
男(しわくちゃの千円札が、俺のポケットに入ってる……)
男(あれは……夢じゃなかったんだ)
78 :
男「じゃあ、みんな目が覚めたところで……」
男「ゲームはこのくらいにして、真面目に講義出ようか! 単位危ない奴もいるし!」
オタク「う、うん!」
イケメン「そうしよう!」
茶髪「留年しないよう頑張るぜ!」
眼鏡女「ゲームは程々が一番……だね」
― 終 ―
81 :
殺されかけた迷惑料が1000円てのが悪魔だな
乙でした
82 :

俺は最初の土管と土管の間にいるクリボーに当たって死にそう
8

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