服部瞳子「私の嫌いな人」back

服部瞳子「私の嫌いな人」


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アイドルマスターシンデレラガールズです。
服部瞳子さんのお話……なんですが、主人公は多分ありすです。
2:
喫茶店
ありす「ここのイチゴパフェが美味しいらしいんです」
モバP(以下P)「へぇ、さすがありすは下調べばっちりだな」
ありす「橘です!」
ありす「ふふ……私にはこのタブレットがありますから」
P「そんなに気に入ってくれたのか? それ」
ありす「当然です! プロデューサーさんがお祝いにプレゼントしてくれたんですから!」
P「俺はそういうの疎いんだけど、ありすが前に持ってた奴と同じじゃないのか?」
ありす「橘です。違うんです。確かに私が持っていたやつの新しいモデルってだけですが、私にとっては違うんです」
ありす「す、好きな人からのプレゼントですから……」
P「そっかそっか。喜んでくれたなら何よりだ」
P「で、注文はイチゴパフェでいいのか?」
ありす「はい。プロデューサーさんはお決まりですか?」
P「俺はコーヒーかな。店員さん呼ぶぞ」
P「すみませーん!」
----------------------------------------------------------------------------
3:
??「はい、ただいま」
??「ご注文はお決ま……Pさん?」
P「と、瞳子か……?」
ありす「? お知り合いなんですか?」
瞳子「……もしかしてまだプロデューサーなんてやっているの?」
P「……俺にはこれしかないからな」
瞳子「……またこんな小さな子を騙して。いい加減に懲りたらどうなの」
ありす「なっ!? プ、プロデューサーさんは騙してなんかいませんよ!」
P「ありす。店内では静かに」
ありす「プロデューサーさん……」
瞳子「本当にあなたは小さい子を騙すのが得意なのね」
瞳子「今も、昔も」
P「……」
4:
瞳子「……ご注文はお決まりでしょうか」
P「イチゴパフェとホットコーヒー」
瞳子「かしこまりました。少々お待ちください」
P「……すまない」
瞳子「……」
ありす「……な、なんなんですか! あの人!」
P「まぁ、気にするな」
ありす「気にするなって、そんなの無理です。誰なんですか、あの人」
P「……昔の担当アイドルだよ。俺の」
ありす「担当、アイドル……?」
P「夢を諦めさせてしまった、な……」
ありす「プロデューサーさん……」
ありす(それからのプロデューサーさんは私がどんなに話しかけてもどこか上の空なままでした)
5:

CGプロ
ありす(『CGプロ』、『とうこ』、検索……)
ありす(ダメ、か。せめてあの人の名前の漢字さえわかればもう少し検索できるのに)
ありす「とうこ……瞳子? 桃子? メジャーなのは前者……」
P「おはようさん、どうしたんだブツブツ言って」
ありす「ぴゃいっ!?」
ありす「ププププロデューサーさん!? 居たなら声をかけてください! びっくりします!」
P「いや、今来たから声をかけたんだが……」
ありす「な、ならいいです」
ありす(危ない……見られちゃったのかと思った)
P「ありすは元気だなぁ」
ありす「橘です!」
6:
P「……あんまり昔の事を詮索しないでくれ」
P「俺が何と言われようが気にしないけど、あいつには……瞳子にはこれ以上迷惑かけたくないんだ」
ありす「プロデューサーさん……」
ありす「じゃあ教えてもらって良いですか。あんなに露骨に何かありましたって雰囲気出されると気になります」
P「瞳子は俺の昔の担当アイドルだったんだよ。俺の初めての担当アイドル」
P「俺が何も出来ずにトップアイドルの夢を諦めさせてしまったんだ」
ありす「それだけ、ですか?」
P「あぁ、それだけだ」
P「悪いな。早く仕事しないと怒られるからここまでだ」
ありす「わかりました」
ありす(きっと『それだけ』ではないです。じゃなきゃ一度も目を合わせないなんてありえません)
ありす(……プロデューサーさんが話してくれないなら)
7:

喫茶店
ありす(き、来ちゃった……! 勢いで来た物のどう切り出せばいいのか見当がつかない!)
瞳子「いらっしゃいませ……、あら? あなたPさんと一緒に居た……」
ありす(あ、あの時の!)
ありす「あ、その、えっと……! は、初めまして! 橘ありすと言います!」
瞳子「えっ!? あ、初めまして、服部瞳子よ」
ありす「瞳子さん! 少し、お時間頂けませんか? お話があります!」
瞳子「……私の事? それともPさんの事?」
ありす「両方です」
瞳子「いいわ。でも少し待っていてくれるかしら? 店長に話して休憩もらってくるから」
ありす「はい。お待ちしてます」
瞳子「なるべく早く行くわね」
8:
ありす(ひとまず、瞳子さんが戻ってくるまでに何を聞くか整理しておかないと)
ありす(まず、瞳子さん自身の事。次にプロデューサーさんとの関係。……答えてくれるかはわからないけど、二人に何があったのか)
ありす(……そう言えば『服部瞳子』って言ってたっけ)
ありす「『服部瞳子』っと……」
ありす「……あんまり出てこないな。あ、これかな?」
ありす「服部瞳子……当時12歳。大人びたルックスと確かな演技力と歌唱力でジュニア アイドルとして最前線を走るも、日高舞の登場以降……」
瞳子「お待たせ」
ありす「ひゃいっ!? ま、待ってませんよ!?」
瞳子「? 結構待たせちゃったと思うんだけど……。あ、はい。これ良かったら食べて」
ありす「イチゴのパフェ……!」
ありす「はっ! あ、ありがとうございます……」
瞳子「良いのよ。気にしないで」
ありす「じゃあ、遠慮なくいただきます」
瞳子「……」
ありす「あの……見られてると食べづらいんですが」
瞳子「アイドルは見られるのが仕事でしょう?」
9:
ありす「それはそうですけど……。あれ? 私、アイドルって言いましたっけ?」
瞳子「いいえ。私はあなたの名前しか知らないわ」
ありす「じゃあ……」
瞳子「でも、あの人の事はありすちゃんよりも知っているの」
瞳子「あの人に出来るのは小さな女の子を騙してアイドルもどきにするだけだから」
ありす「……なんですかそれ」
瞳子「ん?」
ありす「プロデューサーさんは私を騙してなんかいません! 私をトップアイドルにするって約束してくれました! それに……待っててくれるとも」
瞳子「私も同じ事を言われたのよ」
瞳子「『瞳子ならトップアイドルになれる。いや、俺がしてみせる。だから俺と一緒に歩いてくれ』って」
ありす「それ……!」
瞳子「あの人が騙す時に使う台詞よ」
瞳子「……私だって信じてたのに」
ありす「瞳子さん……」
ありす「あの、瞳子さん」
ありす「教えてくれませんか。あなたとプロデューサーさんの事。あなたとプロデューサーさんに何があったのかを」
瞳子「嫌って言ったら?」
ありす「教えてくれるまで付きまといます」
瞳子「……本当に似てるのね。私とあなたって」
ありす「似てる……?」
瞳子「良いわ。じゃあ教えてあげる。あの人がどんな人かを」
瞳子「私がどんなアイドルだったのか」
10:

瞳子「Pさん! どうだった!?」
P「あぁ! 最高だった! さすが俺の瞳子だ!」
瞳子「えへへっ!」
P「やっぱり瞳子ならトップアイドル間違いなしだな」
瞳子「私だけの力では無理だと思うわ」
P「いやいや、瞳子の大人びたルックスに演技力に歌唱力。どれをとっても同年代のアイドルになんか負けないって!」
P「何より世界一可愛いしな!」
瞳子「世界一だなんて……言い過ぎよ」
瞳子「でも……私もPさんと一緒なら頑張れるわ」
瞳子「私がPさんをトップアイドルのプロデューサーにしてあげる!」
P「そうか? それは楽しみだな! じゃあこれからも二人で頑張っていこう!」
瞳子「うん!」
11:

瞳子「そんな……私が……落ちた……?」
P「……あぁ。俺もびっくりだ。こんな事があるなんてな」
瞳子「受かったのは誰なの?」
P「『日高舞』って言う、先日デビューした新人だ」
瞳子「私が新人に負けたの……?」
P「たまたまだって! 気にするな。今回、瞳子は調子が悪かっただけだ」
瞳子「Pさん……オーディションの日、私に『完璧だった。最高だった』って言ってくれた……」
P「それは、そうだが……」
瞳子「あの言葉は嘘だったの?」
P「嘘なんかじゃない! あの日だって瞳子は最高だった! 完璧だった!」
瞳子「じゃあどうして私が受からなかったのかしら……」
P「その件の『日高舞』ってのを見てみないと確かな事は言えないが……」
P「今回はたまたま需要が『日高舞』にあったんだよ。だから瞳子は気にするな。瞳子はいつも通り完璧で最高な俺のアイドルだよ」
瞳子「うんっ……!」
P「だから泣くなって」
瞳子「うん……」
12:

瞳子(私が『日高舞』に負けたあの日から、私のアイドルとしての人生は大きく変わっていった)
瞳子「また、駄目だったの……?」
P「……すまん」
瞳子「また『日高舞』?」
P「……あぁ」
瞳子「私の何が駄目なのかな。何が『日高舞』と違うのかな」
瞳子(『日高舞』はデビューからわずかの間にアイドル界に君臨した。誰も寄せ付けない王者として)
瞳子(『日高舞』が現れてからと言う物、同世代のアイドル達を見かける事がめっきりと減ってしまった)
瞳子(引退をしてしまったアイドル達も相当数居るとか)
瞳子(誰も『日高舞』に勝てないまま、負けっぱなしで去る事を余儀なくなれてしまった)
瞳子(もちろん、負けっぱなしなのは私も例外ではない……)
瞳子「今月、受かったオーディションって……」
P「一件だけだな……」
瞳子「『日高舞』が居なかったやつだけ、よね?」
P「……あぁ」
13:
瞳子「ねぇ、Pさん。『日高舞』と私達って何が違うのかしら」
P「違わない! 何も違わない!」
P「確かに『日高舞』はアイドルの才能に恵まれてる。でも、それは瞳子だって同じだ! もっと言えば他のアイドル達だって才能がある!」
瞳子「じゃあ! どうして誰も『日高舞』に勝てないの!?」
P「それは……」
瞳子「私が完璧に最高に歌っても踊っても。『日高舞』は退屈そうに興味無さそうに私のパフォーマンスすら軽々超えていく」
瞳子「これ以上私はどうすればいいの……? どうすれば『日高舞』に勝てるの……?」
P「……」
瞳子「ねぇ、何か言ってよ、Pさん……」
P「すまん……今の俺にはまったく思いつかない」
P「でも! 考えるから! 俺の瞳子は世界一のアイドルだって言いたいんだ。だから、もう少しだけ頑張ってくれ」
P「頼むよ、瞳子……」
瞳子「うん……」
瞳子(きっと、この時の私がPさんを追い詰めてしまったのだろう)
瞳子(あの時、私がもっとうまく立ち回れたならあんなことにはならなかったはずだ)
14:

瞳子「おはようございます」
P「あぁ……瞳子か。おはよう」
瞳子「……また徹夜?」
P「え? ……あぁ、そっか。もう朝か。そうだよな。瞳子が来たんだし、朝だよな」
P「すまん。ちょっと顔だけ洗ってくるよ。すぐ送っていくから準備しててくれ」
瞳子「大丈夫、なの? 寝てないんでしょ?」
P「大丈夫だって、瞳子が心配しなくても良いから」
瞳子「フラフラしてるじゃない。私は大丈夫だから少しは休んで。お願いよ」
P「……せっかく瞳子が頑張ってるのに俺が休んでたら『日高舞』には到底追いつけないだろ? だから大丈夫」
瞳子「Pさん……」
瞳子(来る日も来る日もPさんはほとんど不眠不休で『日高舞』を研究していた)
瞳子(どうすれば私が『日高舞』に勝てるのか。『日高舞』に何か弱点はないのか)
瞳子(毎日毎日、『日高舞』『日高舞』『日高舞』……)
瞳子「私の事……見てくれてないじゃない……」
15:

瞳子「おはようございます」
瞳子「……Pさん?」
瞳子(Pさんがそんな生活を始めてしばらく経った頃、いつものように事務所に行くとそこにいつも居るはずのPさんの姿がなかった)
瞳子「休憩室で仮眠でもしてるのかしら」
瞳子「居ないわね」
瞳子「じゃあ家に帰ってるのかしら。でも、事務所の鍵は開いてたし……」
瞳子「あと見ていない場所は屋上だけど……」
瞳子「あれ、扉が開いてる……?」
瞳子「っ!? Pさん!? Pさん! どうしたの!? 大丈夫!? ねぇ!」
P「……」
瞳子(屋上には目の下に濃いクマを作り、ヨレヨレのスーツを着たPさんが倒れていた)
瞳子「きゅ、救急車……! 119番! は、はやく……!」
瞳子「待っててね! すぐ呼んでくるから!」
P「……」
瞳子(震える指で119番を押してからは何をしゃべったのかはっきりとは覚えていない)
瞳子(それから数日はPさんに会えないままで、私は細々と与えられた仕事をこなしていたわ)
16:
瞳子(面会謝絶が解けて、やっとPさんに会えたのは、Pさんが倒れた日から一ヶ月も経った頃。病室のベッドの上でだった)
瞳子「Pさん……」
P「……瞳子、か」
瞳子「ごめんなさい……私が無理させてしまったから……」
P「瞳子は何も悪くないよ。俺が勝手に無理したんだ」
瞳子「でも……」
P「でもじゃないから。ほら、泣くなよ。せっかくの可愛い顔がブサイクになってるぞ」
瞳子「私はブサイクじゃない……」
P「じゃあ泣き止めって」
瞳子「うん……」
瞳子(頭を撫でてくれたPさんの腕は昔とは違い、まるで骨と皮しかないようで。とても痛々しかった)
17:

瞳子「Pさん、身体は大丈夫?」
P「大丈夫だって。心配し過ぎだよ」
瞳子「でも……」
P「倒れたのももう2年前だぞ? あんな無茶はもうしてないさ」
瞳子「うん……」
P「ありがとな、瞳子」
瞳子「私には……Pさんしか居ないから」
瞳子(『日高舞』がデビューしてから数年。私は小さな仕事をポツポツとこなしながらなんとかアイドルを続けていた)
瞳子(同期でアイドルになっていた子達はもうほとんど誰も残っておらず、私がアイドルを続けているのもPさんと離れたくないって理由だけだった)
瞳子(このアイドル業界では、もう誰も『日高舞』には勝てない。誰もがそう思い始めていた頃)
18:
瞳子「ねぇ、Pさん。今度の日曜日にどこかお出かけしない?」
P「日曜日ってオーディションがあるだろ?」
瞳子「終わってからでいいのよ」
P「終わってからって……そんなにすぐ終わらないだろ」
瞳子「いいえ、すぐ終わるわ。だって『日高舞』が居るんだもの」
P「瞳子……」
瞳子「だからオーディションが終わったら近くの喫茶店にでも行きましょう。おしゃべりしたいの」
P「瞳子。お前はオーディションに受かる気があるのか?」
瞳子「変なこと聞くのね、Pさん」
瞳子「オーディションは『日高舞』が出る限り、『日高舞』が受かる。そうでしょ?」
瞳子「私がどうこうしたって無駄よ」
19:
P「……瞳子。話がある」
瞳子「何かしら? もしかしてデートのお誘い?」
瞳子「もしそうなら私、すごく嬉しい。いつも私から誘ってばかりだもの。ねぇ、どこへ行くの?」
P「瞳子」
瞳子「……何?」
P「今のままの瞳子を、俺はプロデュース出来ない」
P「悪いが、担当を変えてもらうように上に掛け合う」
瞳子「ど、どうして? 私の何が駄目なの……? 何かPさんの気に障るような事をしてしまった? ごめんなさい! Pさんが気に入らないならすぐ直すわ!」
P「違うよ、瞳子が俺に何かしたわけじゃない」
瞳子「じゃあどうして……?」
P「瞳子に勝つ気がないからだよ」
瞳子「勝つ? 勝つってまさか『日高舞』に?」
P「そうだ」
瞳子「何を言っているの? Pさん。『日高舞』には誰も勝てないでしょう? なんでそんな……」
P「俺は勝つつもりだったよ。さっきまでは」
瞳子「さっき……?」
P「俺は瞳子と一緒に『日高舞』に勝つつもりでいた。でも、瞳子にその意思がないならもうプロデュースなんて出来ない」
20:
瞳子「だって何度やっても駄目だったのよ? どうやっても何をやっても誰でもあっても『日高舞』には勝てない。そうでしょう?」
P「だったらもう俺は瞳子と一緒には居られない」
P「俺は昔瞳子に言ったように瞳子をトップアイドルにするつもりだし、瞳子と一緒にトップアイドルのプロデューサーになるつもりだった」
P「それが俺の夢だったんだよ」
P「だから、その夢が見られないなら、もう瞳子とは一緒に居られない」
P「担当から外してもらうように言ってくる」
瞳子「ま、待って……! 駄目……! 私はPさんと一緒じゃなきゃ……!」
P「じゃあ一緒に『日高舞』を倒してくれるか?」
瞳子「それは……」
P「瞳子。もう俺達は無理だよ。ここから先、どれだけやっても昔の俺達には戻れない」
P「だから、お別れだ」
瞳子「なんでも……なんでもするから! いやよ! 捨てないで! お願い! Pさん!」
P「……俺にはもう無理だよ。すまん」
瞳子「いや……いや……! そんなの……!」
瞳子(私がどれだけ泣いても、もうPさんは戻ってきてくれる事はなかった)
21:

瞳子「……」
TV『日高舞が引退! 担当プロデューサーとの熱愛も!?』
瞳子(『日高舞』……引退するんだ……)
瞳子「じゃあ……私も今ならトップアイドルになれるのかな……」
瞳子「無理……よね……。Pさんに捨てられちゃったんだもの……」
瞳子「あはは……そうよ……捨てられたんだもの……」
瞳子「どうして……私の何がいけなかったの……」
瞳子「『日高舞』なら良かったの? 『日高舞』なら良くて、どうして私は駄目なの……?」
瞳子「私はただPさんの事が好きだったのに……Pさんと一緒に居たかったのに……ただそれだけだったのに……」
22:

瞳子「そうして『服部瞳子』はアイドルから引退したのよ」
瞳子「これでわかったでしょう? あの人がどんなに酷い人かって」
ありす「そんなの……」
ありす「そんなの瞳子さんの勝手な逆恨みじゃないですか!」
瞳子「……」
ありす「プロデューサーさんはただ瞳子さんと一緒にトップアイドルになりたかっただけなのに、瞳子さんが勝手にやる気をなくして、ただプロデューサーさんに依存してただけじゃないですか!」
瞳子「そう、ね。確かにそうよ」
瞳子「でもね、ありすちゃん。当時の私はあなたと同じなの」
瞳子「アイドルになりたかった。でも、いつの間にかアイドルになるは口実で、ただ好きな人と一緒に居たかった。それだけなの」
ありす「す、好きって……」
瞳子「プロデューサーさんの事、好きなんでしょう?」
ありす「それは……その……えっと……」
瞳子「無理に否定しなくてもいいわ。あなたは私と同じだもの」
瞳子「私もPさんの事が好きだった。ただそれだけよ」
ありす「でも!」
23:
瞳子「もしも、今プロデューサーさんがありすちゃんの事をプロデュース出来ないなんて言ったらどうする?」
ありす「……プロデューサーさんがそんな事言うなんてありえません」
瞳子「私もそう思ってたわ」
ありす「私と瞳子さんは違います。だって私はトップアイドルになるつもりですし、プロデューサーさんをトップアイドルのプロデューサーにしてあげるつもりです」
ありす「夢を途中で投げだしたあなたとは違うんです」
瞳子「ありすちゃんは『日高舞』みたいな存在が現れても同じことを言えるかしら」
瞳子「向こうはこちらを歯牙にもかけない。何度挑んでもどんなに挑んでも、指先すら届かない。そんな存在に立ち向かい続ける事が出来る?」
ありす「……わかりません。でも……プロデューサーさんと一緒なら頑張れます」
ありす「どんなに辛くても、苦しくても。好きな人と一緒なら頑張れます」
ありす「一人では耐えられなくても二人なら耐えられます」
瞳子「……」
ありす「瞳子さんが一人では耐えられなかったように、プロデューサーさんだって一人では耐えられないでしょう」
ありす「でも、プロデューサーさんは一人じゃないです。私がいます」
ありす「同じように私にはプロデューサーさんが居ます。だから私も耐えられるんです」
ありす「『日高舞』にも向き合わず、プロデューサーさんとも向き合わなかった瞳子さんとは違うんです」
瞳子「……」
ありす「それに、私はあなたと違って好きな人を恨んだりは絶対にしません。だってあの人は待っててくれるって約束もしてくれました。だから私はプロデューサーさんを信じるんです」
ありす「どうですか、何か言い返せますか。言い返せませんよね、論破です」
24:
瞳子「……Pさんを恨んでるわけじゃないわ」
ありす「そうでしょうか。でも、先ほどまでの話を聞いてるとプロデューサーさんを恨んでるようにしか聞こえませんが」
瞳子「だって、この気持ちをどうすればいいのかもう私にはわからないのよ」
瞳子「あの後、私だって散々悩んだ、後悔だってしたわ。私だってPさんともっとアイドル続けたかった! でも……でも、もう遅いのよ……」
ありす「と、瞳子さん……!」
ありす(ど、どうしよう……。まさか大人の人を言い負かした挙句に泣かせてしまうなんて……)
P「その言葉、あの時に聞きたかったなぁ……」
ありす「プ、プロデューサー!? い、いったいいつからそこに!?」
P「今さっきだよ、ありすに連絡がつかなかったから探しにきたんだ」
P「なぁ、瞳子」
瞳子「な、なに……?」
P「さっきの言葉、本当か? 俺とアイドル続けたかったって」
瞳子「えぇ……」
25:
P「じゃあもう一度、俺と一緒にアイドルやらないか?」
ありす「なっ!?」
瞳子「でも、もう私おばさんになっちゃったし……」
P「それを言うなら俺だってもうアラフォーのオッサンだよ」
P「瞳子は俺よりももっと若いだろ? 俺だってまだ夢を見てるんだ。俺よりも若い瞳子が夢を見ちゃいけないなんて道理はないだろ?」
ありす「待ってください! プロデューサーさん! まさか瞳子さんをスカウトするつもりですか!?」
P「厳密には違うな。プロデュースを再開するんだ」
P「瞳子は、俺にとって一番最初の担当アイドルだからな。まだ瞳子をトップアイドルにしてやれてない」
ありす「屁理屈です! そんなの認められません!」
P「屁理屈だろうが、理屈は理屈だ」
26:
P「なぁ、瞳子。俺の屁理屈に付き合ってくれるか? あの時の約束、果たしてくれるか?」
P「俺をトップアイドルのプロデューサーにしてくれるんだろ?」
瞳子「……私、Pさんに酷い事言っちゃった」
P「あー、まぁおおかた予想はつくな。でも仕方ない。子供だった瞳子にあんな対応した俺にも非がある」
P「瞳子、俺ともう一度トップアイドルの夢を見ないか? もう一度、俺のアイドルになってくれないか?」
瞳子「……まだ私の事をアイドルって言ってくれるの?」
P「あぁ、服部瞳子は俺の最高のアイドルだ!」
瞳子「Pさん……」
瞳子「……もう一度だけ、一緒に夢を見てくれますか?」
P「もちろん」
瞳子「じゃあ……よろしくお願いします、Pさん!」
P「あぁ、任せておけ。今度こそ瞳子をトップアイドルにしてみせるから! また一緒に頑張ろう!」
瞳子「うんっ!」
ありす「って!! 私を置いてけぼりにしないでください!」
ありす「なんなんですか、それ! 認めません! 私は認めませんよ!」
P「ありすが認めないって言ってもなぁ。瞳子もやる気になってくれたし」
瞳子「えっと……またPさんと一緒なら私は頑張れるわ」
ありす「橘です! じゃあ私はどうなるんですか! 今度は私を捨てるんですか!?」
P「そんな事はないぞ。任せとけ。ありすも瞳子もまとめてトップアイドルにしてみせる!」
ありす「??っ!」
瞳子「その、ありすちゃん……。これからよろしくね?」
ありす「タ・チ・バ・ナですっ!」
ありす「なんなんですか! これ! 私は絶対に認めませんから!」
27:

おまけ
ありす「……」
P「ありす、いい加減機嫌直せって。ほーら、イチゴのパフェですよ?」
瞳子「イチゴのスムージーなんてどう? ありすちゃん」
ありす「橘ですぅー!」
P「こうなると長いんだよなぁ……。すまん、ちょっとトイレ行ってくるからありすの事頼むわ」
瞳子「えっ!?」
P「じゃ、よろしく!」
瞳子「えっと……その、ありすちゃん?」
ありす「……橘です」
瞳子「あ、あはは……」
28:
ありす「……瞳子さん」
瞳子「な、なにかしら?」
ありす「私、負けませんから。アイドルもプロデューサーさんも。全部私が独り占めしてみせますから」
ありす「なんたって私は現役アイドルです。アイドルから離れてた瞳子さんとはスペックが違います」
瞳子「私だって元アイドルよ? きっとありすちゃんよりも基礎はしっかりしているわ」
ありす「それに私は若いですから。衰えるだけのおばさんと違って私はまだ成長しますから」
瞳子「……へぇ。言うじゃない」
瞳子「でも、私にはありすちゃんにはない大人の魅力があるのよ」
ありす「老けてるだけですよね、それ。論破です」
瞳子「うふふ、ありすちゃんのは若いじゃなくて『幼い』よね」
ありす「は?」
瞳子「は?」
29:
ありす「プロデューサーさんだっておばさんより若い子が良いに決まってるじゃないですか!」
瞳子「でもありすちゃんは未成年でしょう? Pさんが手を出したら犯罪だわ。それに、ありすちゃんとPさんじゃ親子じゃない。でも私なら丁度いいと思わない?」
ありす「は? 思いませんけど?」
瞳子「あら、想像力が足りないのね」
P「ただいま……ってなんかあっという間に仲良くなってるな」
ありす、瞳子「「なってない!」」
P「息もぴったりだな。これは良いユニットになるんじゃないか?」
ありす、瞳子「「なりません!」」
End
30:
以上です。
もっとほのぼのとした話になるはずだったのに、どうしてこうなった。不思議だ。
本日は服部瞳子さんのお誕生日です! おめでとうございます!
では、お読み頂けば幸いです。
31:
おつ
これは素晴らしいですわ
元スレ
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1539267648/
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よく耳にするとか、印象的なSS集ダンテ「学園都市か」"楽しすぎて狂っちまいそうだ!"
一方通行「なンでも屋さンでェす」可愛い一方通行をたくさん見よう
インデックス「ご飯くれるとうれしいな」一方通行「あァ?」"一方禁書"凄まじいクオリティ
フレンダ「麦野は今、恋をしているんだね」通称"麦恋"、有名なSS
キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」珍しい魔術側メイン、見るといーの!
垣根「初春飾利…かぁ…」新ジャンル定温物質ウヒョオオ!!
美琴「……レベル5になった時の話ねえ………どうだったかしら」御坂美琴のレベル5に至る努力の経緯
上条「食蜂って可愛いよな」御坂「え?」ストレートに上食。読めて良かった
一方通行「もっと面白い事してモリモリ盛り上がろォぜ」こんなキャラが強い作者は初めて見た
美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」超かみことを見てみんなで悶えましょう
ミサカ「たまにはMNWを使って親孝行しようぜ」御坂美琴のDNAは究極に可愛くて凄い
番外個体「  」番外通行SSの原点かな?
佐天「対象のアナルを敏感にする能力か……」ス、スタイリッシュアクションだった!
麦野「どうにかして浜面と付き合いたい」レベル5で楽しくやっていく
ミサカ「俺らのこと見分けつく奴なんていんの?」蒼の伝道師によるドタバタラブコメディ
一方通行「あァ!? 意味分からねェことほざいてンじゃねェ!!」黄泉川ァアアアアアアアアアア!!
さやか「さやかちゃんイージーモード」オナ禁中のリビドーで書かれた傑作
まどかパパ「百合少女はいいものだ……」君の心は百合ントロピーを凌駕した!
澪「徘徊後ティータイム」静かな夜の雰囲気が癖になるよね
とある暗部の軽音少女(バンドガールズ)【禁書×けいおん!】舞台は禁書、主役は放課後ティータイム
ルカ子「きょ、凶真さん……白いおしっこが出たんです」岡部「」これは無理だろ(抗う事が)
岡部「フゥーハッハッハッハ!」 しんのすけ「わっはっはっはっは!」ゲェーッハッハッハッハ!
紅莉栖「とある助手の1日ヽ(*゚д゚)ノ 」全編AAで構成。か、可愛い……
岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」SUGEEEEEEEEEEEEEEEEE!!
遊星「またD-ホイールでオナニーしてしまった」……サティスファクション!!
遊星「どんなカードにも使い方はあるんだ」龍亞「本当に?」パワーカードだけがデュエルじゃないさ
ヲタ「初音ミクを嫁にしてみた」ただでさえ天使のミクが感情という翼を
アカギ「ククク・・・残念、きあいパンチだ」小僧・・・!
クラウド「……臭かったんだ」ライトニングさんのことかああああ!!
ハーマイオニー「大理石で柔道はマジやばい」ビターンビターン!wwwww
僧侶「ひのきのぼう……?」話題作
勇者「旅の間の性欲処理ってどうしたらいいんだろ……」いつまでも 使える 読めるSS
肛門「あの子だけずるい・・・・・・・・・・」まさにVIPの天才って感じだった
男「男同士の語らいでもしようじゃないか」女「何故私とするのだ」壁ドンが木霊するSS
ゾンビ「おおおおお・・・お?あれ?アレ?人間いなくね?」読み返したくなるほどの良作
犬「やべえwwwwwwなにあいつwwww」ライオン「……」面白いしかっこいいし可愛いし!
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